JP2013247144A - コンデンサユニットおよびガス絶縁遮断器 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のコンデンサ素子の外周付近に形成されるトリプルジャンクションの高電界を緩和させる。
【解決手段】実施形態のコンデンサユニット20aは、誘電体の周囲を絶縁体で被覆した複数のコンデンサ素子1−1〜1−nを直列に接続してなる複数のコンデンサ積層体1と、各々のコンデンサ積層体1を収納する絶縁筒3と、複数のコンデンサ積層体1の両端部を接続電極2を介して接続するシールド電極4と、比誘電率が1より大きく4以下で絶縁筒3の内面を覆う内面被覆10と、を備える。
【選択図】図1
【解決手段】実施形態のコンデンサユニット20aは、誘電体の周囲を絶縁体で被覆した複数のコンデンサ素子1−1〜1−nを直列に接続してなる複数のコンデンサ積層体1と、各々のコンデンサ積層体1を収納する絶縁筒3と、複数のコンデンサ積層体1の両端部を接続電極2を介して接続するシールド電極4と、比誘電率が1より大きく4以下で絶縁筒3の内面を覆う内面被覆10と、を備える。
【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、変電所等で使用される遮断器の遮断接点に設けられるコンデンサユニットおよびガス絶縁遮断器に関する。
近年の高電圧絶縁についての技術革新に伴って、ガス絶縁高電圧機器は年々小型化の要望が高まっている。一方、ガス絶縁開閉装置の一つであるガス絶縁遮断器の遮断接点には、極間の電圧分担率の均等化の為、遮断接点と並列にコンデンサユニットを設けることがある。
なお、複数のコンデンサ素子を直列接続してなるコンデンサ素子列と、このコンデンサ素子列を収納する絶縁容器とを備えたコンデンサ装置において、絶縁容器内に複数のコンデンサ素子列が収納され、この複数のコンデンサ素子列が並列に接続されていることが知られている。
上述したコンデンサユニットの構成方法の従来例を図9に示し、図9のコンデンサユニットを備えたガス絶縁遮断器の従来例を図10に示す。すなわち、セラミックス等の高誘電率材で構成された誘電体をエポキシ樹脂等の絶縁体でモールドし、電極を接合してなるコンデンサ素子(1x−1、1x−2、・・・1x−n)を、所定の個数積層してコンデンサ積層体1xを構成する。このコンデンサ積層体1xを絶縁筒3に収納し、さらにコンデンサ積層体1xの両端には、接続電極2を介してシールド電極4が構成されることでコンデンサユニット20xとする。
このようなコンデンサユニット20xを遮断接点34と並列に接続して、ガス絶縁遮断器30xを提供する方法が提案されている。この方法では、直列に接続するコンデンサ素子1x−1、1x−2、・・・1x−nの個数を調整することによって、必要とする静電容量および耐電圧性能のコンデンサユニット20xを構成するものである。
上述したようなコンデンサユニット20xにおいては、コンデンサユニット20xを製造組立する場合に、コンデンサ素子1x−1〜1x−nおよび接続電極2を絶縁筒3内部に挿入する際の、径方向へのズレを抑制することができる。コンデンサユニット20xはこのような構成であるため、コンデンサ素子1x−1〜1x−nの外面と絶縁筒3の内面との間隔は1mm以下となり、微小ギャップを形成する可能性が高い。
一般的に、金属と絶縁物との間隔が1mm以下の微小ギャップでは、金属と固体絶縁物と気体絶縁物の3つの材料が非常に近い距離で接触するトリプルジャンクションが形成され、このトリプルジャンクションでは電界が集中して高電界を形成することが知られており、この高電界が原因で絶縁破壊が発生する危険性が高い。
図9に示すトリプルジャンクション6xは、上記のような金属と固体絶縁物と気体絶縁物との3材料が形成するトリプルジャンクションではないが、誘電率の異なる2種の固体絶縁物(絶縁筒3内部の表面とコンデンサ素子1x−1〜1x−nの表面)と気体絶縁物の3材料が1点で交わるトリプルジャンクションとなっている。トリプルジャンクション6xは、金属が形成するトリプルジャンクションと同様に電界が集中して高電界を形成する可能性がある。特に2種の固体絶縁物の誘電率の比率が1対6以上に大きくなる場合、金属が形成するトリプルジャンクションに匹敵するほど電界が高くなる可能性があった。
図10に示すように、上述したようなコンデンサユニット20xをガス絶縁遮断器30xに適用した場合、さらに、主回路の遮断接点34である高圧電極32と低圧電極33の位置の近くに、高電界トリプルジャンクション9xが形成される。この高電界トリプルジャンクション9xでは、トリプルジャンクション6xに比べて、より電界集中の作用が高くなる可能性が高かった。
したがって、上述したようなトリプルジャンクション6xまたは高電界トリプルジャンクション9xにおける高電界が原因で部分的な放電が発生し、さらには絶縁破壊が発生する危険性があるため、コンデンサユニット20xの小型化の阻害要因となっており、ガス絶縁遮断器30xの全体での小型化の阻害要因にもなっていた。
このようなトリプルジャンクション6xまたは高電界トリプルジャンクション9xの電界を低減させるための具体的な提案はなされておらず、現在はトリプルジャンクション6xまたは高電界トリプルジャンクション9xの電界が高電界とならないような低い定格電圧での機器適用に限られている。
実施形態が解決しようとする課題は、複数のコンデンサ素子の外周付近に形成されるトリプルジャンクションの高電界を緩和させるコンデンサユニットおよびガス絶縁遮断器を提供することである。
上記課題を解決するために、一つの実施形態のコンデンサユニットは、誘電体の周囲を第1の絶縁材料からなるコンデンサ素子被覆で覆われた複数のコンデンサ素子を直列に接続してなる複数のコンデンサ積層体と、各々の前記コンデンサ積層体を収納する絶縁筒と、前記コンデンサ積層体の両端部を接続電極を介して接続するシールド電極と、比誘電率が1より大きく4以下で、前記絶縁筒の内面を覆う内面被覆と、を備えることを特徴とする。
また、一つの実施形態のガス絶縁遮断器は、誘電体の周囲を第1の絶縁材料からなるコンデンサ素子被覆で覆われた複数のコンデンサ素子を直列に接続してなる複数のコンデンサ積層体と、各々の前記コンデンサ積層体を収納する絶縁筒と、前記コンデンサ積層体の両端部を接続電極を介して接続するシールド電極と、比誘電率が1より大きく4以下で前記絶縁筒の内面を覆う内面被覆と、を備えるコンデンサユニットと、遮断接点を有する主回路と、絶縁性ガスを密封し、前記主回路および前記コンデンサユニットを収納する容器と、を具備し、前記容器内で、前記コンデンサユニットを前記主回路の前記遮断接点と並列に接続したことを特徴とする。
上記課題を解決するために、他の実施形態のコンデンサユニットは、誘電体の周囲を絶縁材料からなるコンデンサ素子被覆で覆われた複数のコンデンサ素子を直列に接続してなる複数のコンデンサ積層体と、各々の前記コンデンサ積層体を収納する絶縁筒と、前記コンデンサ積層体の両端部を接続電極を介して接続するシールド電極と、前記絶縁筒と前記コンデンサ素子との隙間を満たす絶縁油と、を備えることを特徴とする。
また、他の実施形態のガス絶縁遮断器は、誘電体の周囲を絶縁材料からなるコンデンサ素子被覆で覆われた複数のコンデンサ素子を直列に接続してなる複数のコンデンサ積層体と、各々の前記コンデンサ積層体を収納する絶縁筒と、前記コンデンサ積層体の両端部を接続電極を介して接続するシールド電極と、前記絶縁筒と前記コンデンサ素子との隙間を満たす絶縁油と、を備えるコンデンサユニットと、遮断接点を有する主回路と、絶縁性ガスを密封し、前記主回路および前記コンデンサユニットを収納する容器と、を具備し、前記容器内で、前記コンデンサユニットを前記主回路の前記遮断接点と並列に接続したことを特徴とする。
上記課題を解決するために、さらに他の実施形態のコンデンサユニットは、誘電体の周囲を絶縁材料からなるコンデンサ素子被覆で覆われた複数のコンデンサ素子を直列に接続してなる複数のコンデンサ積層体と、各々の前記コンデンサ積層体を収納する絶縁筒と、前記コンデンサ積層体の両端部を接続電極を介して接続するシールド電極と、を備え、前記絶縁筒の内面と各々の前記コンデンサ素子の外面とからなる間隔を、前記コンデンサ積層体の中心軸と各々の前記コンデンサ素子の中心とからなる交線からの角度において少なくとも90度より大きく270度未満の範囲で2mm以上として設け、かつ、0度以上90度未満および270度より大きく360度以下の範囲で、当該角度が180度での間隔より狭く設けたことを特徴とする。
また、さらに他の実施形態のガス絶縁遮断器は、誘電体の周囲を絶縁材料からなるコンデンサ素子被覆で覆われた複数のコンデンサ素子を直列に接続してなる複数のコンデンサ積層体と、各々の前記コンデンサ積層体を収納する絶縁筒と、前記コンデンサ積層体の両端部を接続電極を介して接続するシールド電極と、を備えるコンデンサユニットと、遮断接点を有する主回路と、絶縁性ガスを密封し、前記主回路および前記コンデンサユニットを収納する容器と、を具備し、前記絶縁筒の内面と各々の前記コンデンサ素子の外面とからなる間隔を、前記複数のコンデンサ積層体の中心軸と各々の前記コンデンサ素子の中心とからなる交線からの角度において少なくとも90度より大きく270度未満の範囲で2mm以上として設け、かつ、0度以上90度未満および270度より大きく360度以下の範囲で、当該角度が180度での間隔より狭く設けて、前記容器内で前記コンデンサユニットを前記主回路の前記遮断接点と並列に接続したことを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。なお、従来例として示した図9のコンデンサユニットおよび図10のガス絶縁遮断器と同一の部材に関しては同一符号を付する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明に係るコンデンサユニットの第1の実施形態の構成を示す縦断面図である。ただし、図1では中心線の右半分のみを図示する。また、図2は図1のコンデンサ素子の内部構成を示す図であり、図3は図1のIII-III線矢視横断面図である。
図1は、本発明に係るコンデンサユニットの第1の実施形態の構成を示す縦断面図である。ただし、図1では中心線の右半分のみを図示する。また、図2は図1のコンデンサ素子の内部構成を示す図であり、図3は図1のIII-III線矢視横断面図である。
第1の実施形態のコンデンサユニット20aは、誘電体1aの周囲を絶縁体1bで被覆した複数のコンデンサ素子1−1〜1−nを直列に接続してなる複数のコンデンサ積層体1と、各々のコンデンサ積層体1を収納する絶縁筒3と、複数のコンデンサ積層体1の両端部を接続電極2を介して接続するシールド電極4と、比誘電率が1より大きく4以下で、絶縁筒3の内面を覆う内面被覆10と、を備えている。
コンデンサユニット20aでは、コンデンサ積層体1を構成する個々のコンデンサ素子1−1〜1−nの外径が、絶縁筒3の内径より小さくなるように形成されている。したがって、コンデンサ積層体1の両端に配置する接続電極2の外径も、絶縁筒3の内径より小さくなるよう形成されている。
コンデンサ素子1−1〜1−nの各々は、図2に示すように、誘電体1aの周囲を絶縁体1b(第1の絶縁材料)で被覆したコンデンサ素子を電極1c1および1c2を有するように構成されている。コンデンサ積層体1は、コンデンサ素子1−1〜1−nの電極1c1および1c2を、図1に示すように、n個(nは2以上の整数)直列に接続している。
コンデンサユニット20aでは、直列に接続するコンデンサ素子1−1〜1−nの個数nおよびコンデンサ積層体1の並列数を調整することによって、所望の静電容量および耐電圧性能を得ることができる。
図1に示すように、コンデンサユニット20aにおいて、さらに、上述したような複数のコンデンサ積層体1の両端部を、接続電極2を介してシールド電極4に接続し、絶縁筒3の内面を、比誘電率が1より大きく4以下の絶縁材料(第2の絶縁材料)からなる内面被覆10で覆っている。
図1および図3に示すように、シールド電極4は、円板状に形成されている。外部シールド41は、そのシールド電極4の円周状に沿って、接続電極2を囲うように突起して形成されている。
コンデンサユニット20aでは、図3に示すように、中心軸J(中心線としても示す)を中心にしてコンデンサ積層体1を収納した絶縁筒3が外部シールド41の内周に円周状に複数個(図3では6個)配置され、シールド電極4に取り付けられている。
絶縁筒3の内面に対する内面被覆10は、比誘電率(ε)が1より大きく4以下の絶縁材料(第2の絶縁材料)を用いたシートによる被覆または塗料剤による塗布膜(コーティング)である。例えば、絶縁筒3の内面に比誘電率が1より大きく4以下の塗料を塗布し、絶縁筒3の内面がコーティング等される。
ここで、絶縁材料として従来用いられたエポキシ樹脂等の絶縁材料は比誘電率が6程度あり、好ましくは、内面被覆10において絶縁性ガス21の比誘電率1に近い絶縁材料を用いる。そこで、内面被覆10の絶縁材料として、例えばアクリル樹脂(比誘電率3程度)、シリコン(比誘電率2.4程度)、エポキシ樹脂にシリカ粉末を充填した樹脂(比誘電率3.9程度)などを用いることができる。また、実用的にも、これらの絶縁材料を用いることは問題ない。そこで、本実施形態では、これらの比誘電率を範囲に含むものとして、比誘電率が1より大きく4以下の絶縁材料として用いるものとする。
以上のように絶縁筒3の内面が、絶縁筒3の内面とコンデンサ素子1−1〜1−nの外面とによる隙間に充満される絶縁性ガス(例えばSF6ガス)の誘電率1により近い絶縁材料(比誘電率が1より大きく4以下)で覆われる。これにより、絶縁筒3の内面とコンデンサ素子1−1〜1−nの外面との境界付近でのトリプルジャンクションによる電界集中を低減することができる。
上述した図9に示すコンデンサユニット20xの構成では、トリプルジャンクション6xを形成する部位の材料は、コンデンサ素子1x−1〜1x−nの外皮であるエポキシ樹脂(例えば比誘電率=6)、絶縁筒3の内面であるエポキシ樹脂(比誘電率=6)、気体絶縁物(比誘電率=1)の3要素である。コンデンサ素子1x−1〜1x−nの外皮と絶縁筒3の内面との隙間に、くさび状に比誘電率1の気体絶縁物(絶縁性ガス21)が入り込む構造となっている。
これによって、誘電率の異なる2種の固体絶縁物と気体絶縁物の3材料が1点で交わるトリプルジャンクション6xとなっており、金属が形成するトリプルジャンクションと同様に電界が集中して高電界を形成する可能性がある。したがって、比誘電率6と比誘電率1との比率に応じた電界集中が発生し、高電界となる可能性があった。
そこで、本実施形態のコンデンサユニット20aでは、第1トリプルジャンクション6を形成する部位の片方の側の絶縁材料として、絶縁筒3の内面であるエポキシ樹脂(比誘電率=6)の代わりに、比誘電率が1より大きく4以下の絶縁材料を用いて内面被覆10を構成している。これにより、比誘電率6と比誘電率1との比率に応じた電界に比べて、電界が高くならない。したがって、図1に示す第1トリプルジャンクション6での部分放電または絶縁破壊を抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態のコンデンサユニットは、コンデンサ素子の外周付近に形成されるトリプルジャンクションの高電界を緩和させることができる。
図4は、本発明に係るガス絶縁遮断器の第1の実施形態の構成を示す縦断面図である。ただし、図4では中心線の右半分のみを図示する。また、図4に示すコンデンサユニット20aは図1に示すものと同様である。
第1の実施形態のガス絶縁遮断器30aは、図4に示すように、前述したコンデンサユニット20aと、遮断接点34を有する主回路(高圧電極32および低圧電極33を含む)と、絶縁性ガス21を密封し、主回路およびコンデンサユニット20aを収納する容器31と、を具備している。遮断接点34では、高圧電極32と低圧電極33との切り離し動作が行われる。
ガス絶縁遮断器30aの容器31内で、コンデンサユニット20aが主回路の遮断接点34と並列になるように接続され、収納されている。また、容器31には絶縁性ガス21が封入されている。例えば、絶縁性ガス21は、比誘電率が略1程度であり、例えばSF6ガス、CO2ガス、N2ガス、およびそれらを主成分とした混合ガスなどである。
本実施形態のガス絶縁遮断器30aでは、気体絶縁物(絶縁性ガス21)の比誘電率1により近い比誘電率(比誘電率が1より大きく4以下)の絶縁材料で、第1トリプルジャンクション6(図1に示す)を形成させていることで、第1トリプルジャンクション6での電界集中を低減することができる。
これにより、ガス絶縁遮断器30aは、第1トリプルジャンクション6での電界集中を緩和する構成としたコンデンサユニット20aを用いて、ガス絶縁遮断器30aの主回路の遮断接点34に並列に接続する。
したがって、ガス絶縁遮断器30aを小型化した場合であっても、第1トリプルジャンクション6での電界を許容電界値以下に抑えることが可能となり、第1トリプルジャンクション6において部分的な放電または絶縁破壊を発生させることがない。
以上説明したように、本実施形態のガス絶縁遮断器は、コンデンサ素子の外周付近に形成されるトリプルジャンクションの高電界を緩和させることができる。これにより、信頼性のある小型化されたガス絶縁遮断器を提供することができる。
[第2の実施の形態]
図5は、本発明に係るガス絶縁遮断器の第2の実施形態の構成を示す縦断面図である。ただし、図5では中心線の右半分のみを図示する。
図5は、本発明に係るガス絶縁遮断器の第2の実施形態の構成を示す縦断面図である。ただし、図5では中心線の右半分のみを図示する。
第2の実施形態の特徴は、第1の実施形態の構成と比べ、さらに、絶縁筒に収納するコンデンサ素子の外皮を比誘電率が1より大きく4以下の絶縁材料で被覆したことを特徴としている。
第2の実施形態のガス絶縁遮断器30bは、図5に示すように、コンデンサユニット20bと、遮断接点34を有する主回路(高圧電極32および低圧電極33を含む)と、絶縁性ガス21を密封し、主回路およびコンデンサユニット20bを収納する容器31と、を具備している。
コンデンサユニット20bは、誘電体1aの周囲を比誘電率が1より大きく4以下の絶縁材料(第1の絶縁材料)からなるコンデンサ素子被覆11で覆われた複数のコンデンサ素子1−1〜1−nを直列に接続してなる複数のコンデンサ積層体1と、各々のコンデンサ積層体1を収納する絶縁筒3dと、複数のコンデンサ積層体1の両端部を接続電極2を介して接続するシールド電極4とを備えている。
その絶縁筒3dの内面は、内面被覆10で絶縁被覆している。内面被覆10は、比誘電率が1より大きく4以下の絶縁材料(第2の絶縁材料)を用いたシートによる被覆または塗料剤による塗布膜(コーティング)などである。さらに、図5に示すように、コンデンサユニット20bにおいて、絶縁筒3dに収納するコンデンサ素子1−1〜1−nの外皮を比誘電率が1より大きく4以下のコンデンサ素子被覆11で覆っている。
上述した図10に示すコンデンサユニット20xの構成では、高電界トリプルジャンクション9xを形成する部位の材料は、コンデンサ素子1x−1〜1x−nの外皮であるエポキシ樹脂(比誘電率=6)、絶縁筒3の内面であるエポキシ樹脂(比誘電率=6)、気体絶縁物(比誘電率=1)の3要素であり、コンデンサ素子1x−1〜1x−nの外皮と絶縁筒3の内面との隙間に、くさび状に比誘電率1の気体絶縁物が入り込む構造となっている。したがって、比誘電率6と比誘電率1との比率に応じた電界集中が発生し、高電界となる。
そこで、本実施形態の図5に示す構成では、第2トリプルジャンクション9を形成する部位の絶縁材料を、比誘電率6であるエポキシ樹脂から比誘電率が1より大きく4以下である内面被覆10およびコンデンサ素子被覆11に置き替える。
これにより、比誘電率が1より大きく4以下の絶縁材料と比誘電率1の気体絶縁物とが形成する第2トリプルジャンクション9としているため、図10に示す比誘電率6と比誘電率1との比率によって形成される高電界トリプルジャンクション9xと比べて、電界が高くならない。したがって、第2トリプルジャンクション9での部分放電または絶縁破壊を抑制することができる。第1の実施形態よりもさらに大きな電界集中緩和の効果が得られる。
以上説明したように、本実施形態のコンデンサユニットは、コンデンサ素子の外周付近に形成されるトリプルジャンクションの高電界を緩和させることができる。
また、本実施形態のガス絶縁遮断器は、コンデンサ素子の外周付近に形成されるトリプルジャンクションの高電界を緩和させることができる。これにより、信頼性のある小型化されたガス絶縁遮断器を提供することができる。
[第3の実施の形態]
図6は、本発明に係るガス絶縁遮断器の第3の実施形態の構成を示す縦断面図である。ただし、図6では中心線の右半分のみを図示する。
図6は、本発明に係るガス絶縁遮断器の第3の実施形態の構成を示す縦断面図である。ただし、図6では中心線の右半分のみを図示する。
第3の実施形態のガス絶縁遮断器30cは、図6に示すように、コンデンサユニット20cと、遮断接点34を有する主回路(高圧電極32および低圧電極33を含む)と、絶縁性ガス21を密封し、主回路およびコンデンサユニット20cを収納する容器31と、を具備している。
コンデンサユニット20cは、誘電体1aの周囲をエポキシ樹脂(図2の絶縁体1bに相当部分)などでモールドした複数のコンデンサ素子1−1〜1−nを直列に接続してなる複数のコンデンサ積層体1と、各々のコンデンサ積層体1を収納する絶縁筒3と、複数のコンデンサ積層体1の両端部を接続電極2を介して接続するシールド電極4とを備えている。
コンデンサ素子1−1〜1−nの外皮と絶縁筒3の内面との隙間に絶縁油12(例えば比誘電率ε=2.2〜3.0程度)を注入する。例えば、絶縁筒3の絶縁材(エポキシ;ε=6)に近い絶縁油12で満たすことによりトリプルジャンクションでの電界集中を低減する。
具体的な例として、絶縁油12は、例えばトランス油(比誘電率2.2程度)、シリコン油(比誘電率2.6程度)などが挙げられる。
上述した構成では、前述した実施形態における気体絶縁物で構成していた部位に、絶縁油12を満たした構成としているため、トリプルジャンクションを形成する部位の絶縁材料を、比誘電率1の気体絶縁物から例えば比誘電率2.2程度の絶縁油12に置き替えており、比誘電率が6の材料と比誘電率2.2の材料とが形成するトリプルジャンクションとしている。このため比誘電率6と比誘電率1との比率に応じた高電界の形成ほどは電界が高くならない作用が得られる。したがってトリプルジャンクションでの部分放電または絶縁破壊を抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態のコンデンサユニットは、コンデンサ素子の外周付近に形成されるトリプルジャンクションの高電界を緩和させることができる。
また、本実施形態のガス絶縁遮断器は、コンデンサ素子の外周付近に形成されるトリプルジャンクションの高電界を緩和させることができる。これにより、信頼性のある小型化されたガス絶縁遮断器を提供することができる。
[第4の実施の形態]
図7は、本発明に係るガス絶縁遮断器の第4の実施形態の構成を示す縦断面図である。ただし、図7では中心線の右半分のみを図示する。また、図8は、図7のVIII-VIII線矢視横断面図である。
図7は、本発明に係るガス絶縁遮断器の第4の実施形態の構成を示す縦断面図である。ただし、図7では中心線の右半分のみを図示する。また、図8は、図7のVIII-VIII線矢視横断面図である。
本実施形態のガス絶縁遮断器30dは、誘電体1aの周囲を絶縁体1bで被覆した複数のコンデンサ素子1−1〜1−nを直列に接続してなる複数のコンデンサ積層体1と、各々のコンデンサ積層体1を収納する絶縁筒3dと、複数のコンデンサ積層体1の両端部を接続電極2を介して接続するシールド電極4とを備えるコンデンサユニット20dを具備している。さらに、遮断接点34を有する主回路と、絶縁性ガス21を密封し、主回路およびコンデンサユニット20dを収納する容器31と、を具備している。容器31内で、コンデンサユニット20dを主回路の遮断接点34と並列に接続している。
絶縁筒3dの内面と各々のコンデンサ素子1-1〜1−nの外面とからなる間隔のうち、第1間隔13は2mm以上に設けられている。第1間隔13は、図8に示す位置を基準として、少なくとも90度より大きく270度より小さい範囲に設けられる。
なお、図8に示す位置の基準(0度)は、コンデンサユニット20dが取り付けられた場合に、中心軸J(もしくは遮断接点34を通る中心線)と各々のコンデンサ素子(1−1〜1−n)の中心とからなる交線MLを基準としている。例えば、図8に示すような角度θaおよびθbは、交線MLからの角度0度である。図8では、角度θa=90度であり、角度θb=180度である。図8に示すように、角度θbにおいて、絶縁筒3dとコンデンサ素子1−nとからなる間隔Ptである。この場合に、角度θbが90度より大きく270度より小さい範囲にあるため、間隔Ptは2mm以上に設けられている。
以上説明したように、絶縁筒3dの内面と各々のコンデンサ素子1-1〜1−nの外面とからなる間隔を、複数のコンデンサ積層体1の中心軸Jと各々のコンデンサ素子(1−1〜1−n)の中心とからなる交線MLからの角度を少なくとも90度より大きく270度未満の範囲で2mm以上として設け、容器31内でコンデンサユニット20dを主回路の遮断接点34と並列に接続している。換言すれば、交線MLを基準とする角度は、遮断接点34を通る中心線からもっとも離れた絶縁筒3dの角度方向を基準とする。
一方、図8に示す絶縁筒3dの内面とコンデンサ素子1−nの外面との間に設けられる第2間隔14は、2mmより小さく設けられてもよい。第2間隔14は、図8に示す位置を基準として、0度以上90度未満および270度より大きく360度以下の範囲で、例えば当該角度が180度での間隔Ptより狭く設けた。
すなわち、絶縁筒3dの内側の間隔のうち、遮断接点34側の第1間隔13を広げたことによって、当該部分周辺の電界集中を避けることができる。すなわち、コンデンサユニット20dに形成されるトリプルジャンクションを低減することによって、電界集中を抑えることができる。
なお、経験的に、トリプルジャンクションを形成して高電界となるのは、前述した間隔が1mm以下であり、間隔が1mm以上になるとトリプルジャンクションの効果による高電界効果は徐々に小さくなることが知られている。さらに間隔が2mm以上になるとトリプルジャンクションによる電界上昇は、ほとんどなくなることが知られている。しかし、ガス絶縁遮断器を小型化する上で、絶縁筒3dの内面とコンデンサ素子1−1〜1−nの外面との間隔を必要以上に拡げることはできない。
しかしながら、本実施形態のガス絶縁遮断器では、コンデンサユニットの中心軸と各々のコンデンサ素子の中心とからなる交線から少なくとも90度より大きく270度より小さい範囲の間隔を2mm以上に広げているため、当該部位ではトリプルジャンクションの高電界を緩和させることができる。また、間隔を2mm以上開ける範囲の制限を90度より大きく270度より小さい範囲として絶縁筒の内部を偏心させているため、コンデンサ素子が径方向に振動して心ずれを起こすことを回避することができる。また、コンデンサユニット全体として小型化することができる。
以上説明したように、本実施形態のコンデンサユニットは、コンデンサ素子の外周付近に形成されるトリプルジャンクションの高い電界を緩和させることができる。
また、本実施形態のガス絶縁遮断器は、コンデンサ素子の外周付近に形成されるトリプルジャンクションの高電界を緩和させることができる。これにより、信頼性のある小型化されたガス絶縁遮断器を提供することができる。
なお、以上説明した実施形態のコンデンサユニットでは、全て外部シールド41を形成した例を示したが、外部シールド41を省略することもできる。
[他の実施形態]
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、ガス絶縁開閉装置以外でも同様の装置を有する電力システムに適用できる。また、各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。さらに、これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形には、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、ガス絶縁開閉装置以外でも同様の装置を有する電力システムに適用できる。また、各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。さらに、これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形には、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…コンデンサ積層体、1−1、1−2〜1−n…コンデンサ素子、1a…誘電体、1b…絶縁体、1c1、1c2…電極、2…接続電極、3、3d…絶縁筒、4…シールド電極、6…第1トリプルジャンクション、9…第2トリプルジャンクション、10…内面被覆、11…コンデンサ素子被覆、12…絶縁油、13…第1間隔、14…第2間隔、20a、20b、20c、20d…コンデンサユニット、21…絶縁性ガス、30a、30b、30c、30d…ガス絶縁遮断器、31…容器、32…高圧電極、33…低圧電極、34…遮断接点、41…外部シールド
Claims (10)
- 誘電体の周囲を第1の絶縁材料からなるコンデンサ素子被覆で覆われた複数のコンデンサ素子を直列に接続してなる複数のコンデンサ積層体と、
各々の前記コンデンサ積層体を収納する絶縁筒と、
前記コンデンサ積層体の両端部を接続電極を介して接続するシールド電極と、
比誘電率が1より大きく4以下で、前記絶縁筒の内面を覆う内面被覆と、
を備えることを特徴とするコンデンサユニット。 - 前記内面被覆は、第2の絶縁材料からなるシートによる被覆または塗料剤による塗布膜である
ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサユニット。 - 前記第1の絶縁材料は、比誘電率が1より大きく4以下である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンデンサユニット。 - 誘電体の周囲を第1の絶縁材料からなるコンデンサ素子被覆で覆われた複数のコンデンサ素子を直列に接続してなる複数のコンデンサ積層体と、各々の前記コンデンサ積層体を収納する絶縁筒と、前記コンデンサ積層体の両端部を接続電極を介して接続するシールド電極と、比誘電率が1より大きく4以下で前記絶縁筒の内面を覆う内面被覆と、を備えるコンデンサユニットと、
遮断接点を有する主回路と、
絶縁性ガスを密封し、前記主回路および前記コンデンサユニットを収納する容器と、を具備し、
前記容器内で、前記コンデンサユニットを前記主回路の前記遮断接点と並列に接続した
ことを特徴とするガス絶縁遮断器。 - 前記内面被覆は、第2の絶縁材料からなるシートによる被覆または塗料剤による塗布膜である
ことを特徴とする請求項4に記載のガス絶縁遮断器。 - 前記第1の絶縁材料は、比誘電率が1より大きく4以下である
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のガス絶縁遮断器。 - 誘電体の周囲を絶縁材料からなるコンデンサ素子被覆で覆われた複数のコンデンサ素子を直列に接続してなる複数のコンデンサ積層体と、
各々の前記コンデンサ積層体を収納する絶縁筒と、
前記コンデンサ積層体の両端部を接続電極を介して接続するシールド電極と、
前記絶縁筒と前記コンデンサ素子との隙間を満たす絶縁油と、
を備えることを特徴とするコンデンサユニット。 - 誘電体の周囲を絶縁材料からなるコンデンサ素子被覆で覆われた複数のコンデンサ素子を直列に接続してなる複数のコンデンサ積層体と、各々の前記コンデンサ積層体を収納する絶縁筒と、前記コンデンサ積層体の両端部を接続電極を介して接続するシールド電極と、前記絶縁筒と前記コンデンサ素子との隙間を満たす絶縁油と、を備えるコンデンサユニットと、
遮断接点を有する主回路と、
絶縁性ガスを密封し、前記主回路および前記コンデンサユニットを収納する容器と、を具備し、
前記容器内で、前記コンデンサユニットを前記主回路の前記遮断接点と並列に接続した
ことを特徴とするガス絶縁遮断器。 - 誘電体の周囲を絶縁材料からなるコンデンサ素子被覆で覆われた複数のコンデンサ素子を直列に接続してなる複数のコンデンサ積層体と、
各々の前記コンデンサ積層体を収納する絶縁筒と、
前記コンデンサ積層体の両端部を接続電極を介して接続するシールド電極と、を備え、
前記絶縁筒の内面と各々の前記コンデンサ素子の外面とからなる間隔を、前記コンデンサ積層体の中心軸と各々の前記コンデンサ素子の中心とからなる交線からの角度において少なくとも90度より大きく270度未満の範囲で2mm以上として設け、かつ、0度以上90度未満および270度より大きく360度以下の範囲で、当該角度が180度での間隔より狭く設けた
ことを特徴とするコンデンサユニット。 - 誘電体の周囲を絶縁材料からなるコンデンサ素子被覆で覆われた複数のコンデンサ素子を直列に接続してなる複数のコンデンサ積層体と、各々の前記コンデンサ積層体を収納する絶縁筒と、前記コンデンサ積層体の両端部を接続電極を介して接続するシールド電極と、を備えるコンデンサユニットと、
遮断接点を有する主回路と、
絶縁性ガスを密封し、前記主回路および前記コンデンサユニットを収納する容器と、を具備し、
前記絶縁筒の内面と各々の前記コンデンサ素子の外面とからなる間隔を、前記複数のコンデンサ積層体の中心軸と各々の前記コンデンサ素子の中心とからなる交線からの角度において少なくとも90度より大きく270度未満の範囲で2mm以上として設け、かつ、0度以上90度未満および270度より大きく360度以下の範囲で、当該角度が180度での間隔より狭く設けて、前記容器内で前記コンデンサユニットを前記主回路の前記遮断接点と並列に接続した
ことを特徴とするガス絶縁遮断器。
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---|---|---|---|
JP2012117702A JP2013247144A (ja) | 2012-05-23 | 2012-05-23 | コンデンサユニットおよびガス絶縁遮断器 |
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JP2012117702A JP2013247144A (ja) | 2012-05-23 | 2012-05-23 | コンデンサユニットおよびガス絶縁遮断器 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017157453A (ja) * | 2016-03-03 | 2017-09-07 | 株式会社明電舎 | 分圧コンデンサ及び多点切り遮断器 |
WO2018220955A1 (ja) * | 2017-05-29 | 2018-12-06 | 三菱電機株式会社 | ガス遮断器 |
US10312038B2 (en) | 2016-03-17 | 2019-06-04 | Meidensha Corporation | Voltage dividing capacitor |
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CN114284069A (zh) * | 2021-11-15 | 2022-04-05 | 河南平高电气股份有限公司 | 一种电容器连接结构及灭弧室 |
-
2012
- 2012-05-23 JP JP2012117702A patent/JP2013247144A/ja active Pending
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