JP2013246177A - 機械的荷重のかかったガラスまたはガラスセラミック部材の耐破断性仕様を決定する方法 - Google Patents

機械的荷重のかかったガラスまたはガラスセラミック部材の耐破断性仕様を決定する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】機械的な負荷のかかるガラスまたはガラスセラミック部材の薄肉化の提供。
【解決手段】本発明は、次のパラメータ:材料の所定の機械的荷重に依存する部材(1)の最短耐用期間、または機械的荷重が生じる所定の耐用期間に依存する機械的耐荷力のうちの1つにより、ガラスまたはガラスセラミック部材(1)の材料の仕様を決定する方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は概括的には、製品の材料特性の特性決定に関する。とりわけ、本発明は、桁構造のような機械的荷重のかかった部材の耐破断性の決定に関する。
従来、表面性状により安定性が影響される材料からなる部材の長期安定性の信頼性のある決定法は知られていなかった。この判定基準は、とりわけガラスやガラスセラミックといったもろい材料に当てはまる。ガラスやガラスセラミックはそれ自身非常に丈夫な材料であり、鋼が不具合を発生する応力において初めて破断する。しかしながら、この強度は表面性状、特に表面に亀裂があることの影響を大きく受けてしまう。そうした亀裂により機械的境界応力は2桁も低下してしまう。
さらに、いくつかの部材においては、用途により異なる所定の長さの期間の間に非常に故障率が低く、高い信頼性が要求される。要求されるような低い故障率においては、また、測定値が少ないかあるいは全く存在しない。したがってもろい材料からなる部材のこうした領域において、故障率あるいは所定の故障率における許容できる機械的応力を特定するには、存在するデータを外挿するしかない。このため低故障率領域においては、機械的応力は非常に不確かな値となる。こうした不確かな値に基づくので、部材の故障を避けるために、部材の厚さはどうしても過大になってしまう。
F.Kerkhof、H.Richter、D.Stahn、「Festigkeit von Glas, zur Abhaengigkeit von Belastungsdauer und Verlauf」、Glastechn.Berichte、54(1981)No.8、265〜277頁
したがって、本発明の課題は、部材の耐用期間、あるいは許容できる機械的荷重に関する部材の特性決定を改善し、対応して部材の寸法設計をこれに適合させることにある。該課題は、独立請求項1の主題によって解決される。本発明の好適な形態およびさらなる発展型が従属請求項に記載される。
このため、本発明は、次のパラメータ:
− 部材の所定の機械的荷重に依存する部材(1)の最短耐用期間、または
− 機械的荷重が生じる所定の耐用期間に依存する機械的耐荷力
のうちの1つにより、ガラスまたはガラスセラミック部材、あるいはまたそうした部材の材料の仕様を決定する方法を提供する。
仕様決定は、そのたびに次の関係式を用いて行われる。
Figure 2013246177
式中、
tは、最短耐用期間、
nは、ガラスまたはガラスセラミック部材の材料の応力腐蝕係数、
Figure 2013246177
は、応力増加速度、
σB,cは、部材の耐用期間中に生じる機械的引張応力の形態の機械的荷重、および
σB,rは、部材において、応力増加速度
Figure 2013246177
で上昇する機械的応力の作用によって破断にいたる機械的引張応力の形態の部材最小有効強度
を表す。
これらのパラメータを把握することで、ガラスまたはガラスセラミック部材が、所定の負荷に、定められた期間破断することなく耐えるように設計し製造することが可能である。ガラスまたはガラスセラミック部材の製造方法は、したがって以下の工程によっている:
− 部材の最短耐用期間と、部材への機械的荷重を設定する、
− 所定の機械的荷重において、少なくとも所定の最短耐用期間が達成できるように部材の寸法設計をする、
− 求められた寸法のガラスまたはガラスセラミック部材を作製する、式中、ガラスまたはガラスセラミック部材の寸法設計を、上述の関係式(1)を用いて行う。また、部材の寸法は、平均して最短耐用期間中に作用する荷重が、ガラスまたはガラスセラミック部材の材料中に平均してσB,cより大きい引張応力を生じないように選ぶ。
このようにして、所定の荷重が確保されているという前提で、部材は、最短耐用期間中は少なくとも不具合を発生しない、あるいは逆に、所定の荷重においては、少なくとも最短耐用期間は、破断を生じず持ちこたえる。
驚くべきことに、本発明によれば、部材の意図した使用目的を損なったり、信頼性を低下させたりせずに、相当に肉薄にすること、すなわち例えば板状のガラスまたはガラスセラミック要素の厚さを減らすことが可能になることが確かめられる。これにより、とりわけ大きな重量削減が達成される。
このとき、本発明は、ガラスおよびガラスセラミック部材は、機械的荷重を破断するまで上げていくとき、通常のワイブル分布に従わないという驚くべき発見に基づいている。正確に言うと、驚くべきことに、最小有効強度が存在し、したがって、機械的荷重がこの限界値にまでならないと故障は実際上生じ得ない。
パラメータσB,rは、一連の測定から得られる。最小有効強度σB,rは、本発明の発展型で求めることができ、このとき、好ましくは、その表面を、ガラスまたはガラスセラミック部材と同じまたは類似の方法で加工した複数個のガラスまたはガラスセラミック部材の試料に、応力増加速度
Figure 2013246177
で増加する機械的引張応力をそれぞれの試料が破断するまで負荷する。破断時の負荷の値から限界値として最小有効強度σB,rを求めることができる。
応力腐蝕係数は、材料固有であり、部材の環境条件に依存する。この係数も同様に測定できる。文献にも値が示されている。無次元の応力腐蝕係数の測定値の測定方法が、例えば、F.Kerkhof、H.Richter、D.Stahn、「Festigkeit von Glas, zur Abhaengigkeit von Belastungsdauer und Verlauf」、Glastechn.Berichte、54(1981)No.8、265〜277頁で知られる。
この文献には、関係式(1)に類似の耐用期間に対する方程式が示されているが、本発明と異なるのは、既知の深さの亀裂のある板と、亀裂の無い板との比較の形となっている。前記関係式(1)は、これに代わり最小有効強度を組み込んでおり、ある応力増加速度に対して、規定された表面を有するあるガラスまたはガラスセラミック部材に対して一般的に当てはまる。これにより、深く入った亀裂の無いような工業的に生産されたガラスまたはガラスセラミック部材に対しても耐用期間および/または一般的な対応力強度の予測が可能となる。
部材の寸法設計は、必要な最短耐用期間で、ちょうど必要な機械的耐荷力に到達するように行われなければならないわけではない。むしろ、部材をより丈夫に寸法決めすれば、これまでにガラスまたはガラスセラミック部材用に採用された寸法設計に比べて著しく高い機械的耐荷力が生じるので、一般的に有利である。したがって本発明のさらなる発展型においては、所定の最短耐用期間が50%まで延長される、あるいはσB,cに対して50%まで高い機械的耐荷力が部材の破断無しに達成するように部材の寸法を定めることができる。
関係式(1)は、たとえ目に見える深い亀裂がガラスセラミックの表面近くに無くとも、引張応力のかかった状態での部材の耐用期間に決定的に重要である、特に微小亀裂である欠陥が存在するかもしれないという知見に基づいている。これらの亀裂は、表面にかかる引張力の作用で成長する。この亀裂の成長は、環境によっても影響される。すなわち、亀裂は、湿度の高い環境では、真空中や乾燥した雰囲気中より速く成長する。こうした、材料ないし環境の特性は、応力腐蝕係数(応力腐蝕割れ係数とも表す)とともに考慮にいれる。この係数nは、多数のガラスおよびガラスセラミックに対して知られている。
以下、応力割れ係数のいくつかの例を示す。
a)Zerodurガラスセラミックに対しては、nとして相対湿度が30%〜60%の空気中での非常に保守的な値として27〜33が見積もられている。文献での、測定値は50〜55の範囲である。50〜55のn値は、真空中や不活性条件下にも当てはまる。
b)ソーダ石灰ガラスに対しては、文献では下記の値が仮定された:
水中での亀裂に対して、n=16
相対湿度50%の空気中のガラス表面の亀裂に対して、n=18.1
不活性条件下または真空中で、n=70。
本発明のさらなる発展型によれば、応力腐蝕係数は簡単な方法で測定もできる。とりわけ、このためには複数の試料に破断にいたるまで機械的荷重を大きくしていくことができ、このときそれぞれ異なる応力増加速度を用いる。応力腐蝕係数は、次の関係式を用いて行うことができる:
Figure 2013246177
式中、σは、試料の破断点での引張応力、
Figure 2013246177
は、応力増加速度を表す。パラメータconst.と、応力腐蝕係数nを変動させながら、関係式(2)を測定値に当てはめ、これにより応力腐蝕係数を決定することができる。当てはめは、例えば最良適合(Best−Fit)による。破断応力を応力増加速度の関数として、両対数図で表示すると、応力腐蝕係数は、直線の勾配を示す。
本発明を以下に例示的実施形態を用い、添付図を参照しながらさらに詳細に説明する。このとき、図中の同じ符号は同一または同等な要素を示す。
機械的荷重をかけるガラスまたはガラスセラミック部材の模式図である。 ガラスセラミック部材の例示的実施形態の図である。 ガラスセラミック試料の測定破断強度のグラフである。 拡張データ群を含む測定破断強度のグラフである。 機械的耐荷力に依存する耐用期間のグラフである。 機械的耐荷力に依存する耐用期間のグラフである。
部材の寸法設計において、部材の使用時に生じる機械的荷重を用いて、機械的荷重により部材に生じる最大引張応力の形態の必要となる機械的耐荷力の、ガラスまたはガラスセラミック材料中での値をどのように求められるかを、例示的実施形態を、図1を用いて説明する
この例示的実施形態において、ガラスまたはガラスセラミック部材1とは、両端を支持された桁である。この例示的実施形態において、桁には、中央で力Fが負荷されている。機械的荷重およびこれに関連するたわみにより桁の表面2には、引張応力σが生じる。反対面に生じる圧縮応力は、理想的なケースでは同じ大きさである。ガラスまたはガラスセラミック部材の強度においては引張応力が決定要因であるので、以下においては引張応力にのみ着目する。
桁の中央の縁に生じる最大引張応力σmaxには次式が成り立つ:
Figure 2013246177
式中、Fは加わる力、Lは桁の長さ、Wは断面係数を表す。断面係数に対して次式が成り立つ:
Figure 2013246177
式中、hは桁の高さ、Iは軸に関する断面二次モーメントを表す。長方形の桁においてIに対して次式が成り立つ:
Figure 2013246177
式中、Aは桁の断面積を表す。これにより、この簡単なケースにおいて、例示的に錘を置いて作用させる力Fを桁にかけたときの最大引張応力は、次式となる:
Figure 2013246177
より複雑な形態に対する計算方法は、当業者には既知である。例えばより複雑に形作られた部材1に対しては、有限要素計算も使用できる。
必要な最短耐用期間および予想される機械的荷重の範囲においての最大引張応力が、上記の関係式(1)から求めることのできる最小有効強度σB,rに達したりまたはこれを超えたりしないように、部材の寸法を設計し、さらに製造することができる。これにより、部材は、所定の機械的荷重、すなわち図1の例では、力Fにおいて、所定の最短耐用期間は少なくとも達成するように寸法を設計できる。
図2は、軽量支持体の形態のガラスまたはガラスセラミック部材1の例示的実施形態を示す。支持体は、非常に高い機械的耐荷力を、同時に低い重量において実現するために、Zerodurガラスセラミックで作製され、ハニカム形状の構造を有している。そうしたガラスセラミック部材は、例えば宇宙飛行において使用される。ガラスセラミック部材は、ハニカム5を形成する芯壁6で構築される。部材1に荷重をかけたとき、最大の引張応力は通常芯壁6の縁7において生じる。
そうした部材では、大きな機械的荷重は特に運搬ロケットの発射時に生じるが、これは主としてロケットの加速度によって発生し、したがってほんの数分間にだけ生じる。部材はこの場合、大きな機械的荷重を受け止めねばならないが、これは短時間だけ、例えば5ないし15分の間であるように寸法を決められる。部材は、最短耐用期間が、機械的荷重が続くよりもっと長くなるよう設計するのが好ましい。換言すれば、所定の機械的荷重で破断無しで少なくとも所定の最短耐用期間に到達する、好ましくはこれを超えるように、部材1の寸法は定められ、その結果部材1は、最短耐用期間が経過したのちも機械的荷重がかかっていても健全でいられる。図示された例においては、寸法設計は、例えば芯壁6の幅の決定によって行うことができる。芯壁の幅が拡大されると同じ機械的荷重において、芯壁6の縁7での引張強度が減少する。
以降の図を用いて、関係式(1)により行う寸法設計、ならびにガラスまたはガラスセラミック部材(1)の強度および耐用期間の本発明による仕様決定、をさらに明らかにする。
まず、図3を用いて従来のガラスまたはガラスセラミック部材の寸法設計の問題点を明らかにする。図3は、ワイブル確率紙の形のグラフであり、Zerodurガラスセラミック試料の2系列の破断強度の測定値がプロットされている。
2つの系列は、試料の表面加工において異なっている。「D151」と表示される測定値は、表面を最大粒径151μmの研磨材で研磨した試料を測定した。「D25」と表示される測定値は、平均粒径20μmで研磨した試料を測定した。異なる破断強度から、ガラスまたはガラスセラミック部材の表面加工が、破断強度に影響するのが見て取れる。このとき、細かい粒度で処理された、すなわち、より平滑なガラスセラミックの破断強度の方が高くなる。
測定値に対し2パラメータのワイブル分布をそれぞれ当てはめた。このとき曲線10は、測定系列「D151」のワイブル分布を、曲線11は、測定系列「D25」のワイブル分布を表す。このときワイブル分布は、次式で与えられる。
Figure 2013246177
式中、σは引張応力を表す。σはワイブル分布では一般に位置パラメータと呼ばれ、λは形状パラメータと呼ばれる。
さらに、分布10、11の95%信頼区間12、13が書き込まれている。驚くべきことに曲線10および11が、低い故障率において交差している。これは、本来、より丈夫な平滑な表面を有するガラスセラミックが、高い信頼性のためには重要な破断確率の低い領域で、粗いガラスセラミックよりも強度が低いということを意味することになる。当てはめられたワイブル分布11に従い、対応のガラスセラミック部材に不具合が決して発生しないようにしようとすると、非常に低い引張応力のみが容認でき、部材をこれに合わせて頑丈に寸法設計すべきことになる。
これに信頼区間も考慮すると、図3から見られるように、0.01と低い故障率に対しては、部材中の引張応力は、10MPaを超えてはならないことになる。この考察での問題点は、明らかにデータを破断確率の数桁も外挿しなければならない点である。さらに2パラメータのワイブル分布は、図1に描かれていない原点から始まるので、破断を完全には排除できない。
本発明は、2パラメータのワイブル分布は、低い破断確率領域を正しく描写するのには適していないという知見に基づいている。
図4のグラフに描かれた拡大データ群においてこれは明らかとなる。データ群「D151」および「D25」は、ここでも対応の粒度で研磨された試料で求めた破断強度である。データには、低い破断確率のため、対応してまれな低い破断応力も入っている。両方のデータ群のこうした領域は、楕円で囲み強調してある。2パラメータのワイブル分布の当てはめとは明白なシステム的乖離が示されている。とりわけ図4から見て取れるように、両方の測定値群とも破断応力の限界値に向っている。この限界値以下では、最小有効強度σB,rは少なくとも、測定時に用いられた応力増加速度
Figure 2013246177
で定まる時間内には破断はもはや生じない。これは、少なくとも試料に大きな損傷が無い限り成り立つ。図4に示す例では、応力増加速度
Figure 2013246177
は2MPa/秒である。両方の測定系列とも下式の3パラメータのワイブル分布が非常によく当てはまる。これは次の式によって与えられる。
Figure 2013246177
この関数は3個のパラメータγ、η、βで規定され、これらのパラメータを変動させることによって測定値に当てはめられる。3個のパラメータのワイブル分布も、特に引張応力σが値γを取るときにはゼロになる。このパラメータは、測定値への3個のパラメータのワイブル分布の当てはめにおいて、したがって最小有効強度σB,rとして定められる。この値以下の引張応力において、破断確率はゼロである。
したがって、本発明のさらなる発展型においては、特別な材料としてガラスセラミックやZerodurに限定されることなく、ガラスまたはガラスセラミック材料の複数の試料に、応力増加速度
Figure 2013246177
で増加する機械的引張応力をそれぞれの試料が破断するまで負荷し、破断時の値から最小有効強度σB,rを限界値として決定する。このとき3個のパラメータのワイブル分布を測定値に当てはめ、最小有効強度をワイブル分布がゼロになる引張応力として定める。このとき安全のために、若干小さい最小有効強度、好ましくはワイブル分布がゼロになる点での引張応力よりたかだか20%低い引張応力を使用する。部材の寸法設計における安全係数は、異なるものを使用できる。
図4に示す例においてワイブル分布の限界値として、測定系列「D151」に対して最小有効強度は47.3MPa、測定系列「D25」に対して最小有効強度は67.7MPaである。従来の通常のZerudur部材の最高10MPaまでの引張応力での設計と比較して、本発明による部材は、明瞭に異なっており、特に、想定された負荷での故障率を上げることなく非常に軽量に寸法設計される。これは、引っ張られている部材表面が、同じ、同様あるいは類似の特性を有する限り成り立つ。表面処理によって異なる引張応力−強度の原因は、表面の微小亀裂と思われる。これらは、通常は全く目には見えないが、強度に影響を及ぼす。とりわけ、亀裂は、小さくとも、ガラスおよびガラスセラミック中で、表面の引張荷重により成長するのでそうなる。
このとき、亀裂の成長には以下の微分方程式が当てはまる:
Figure 2013246177
この関係式において、aは亀裂長さを表し、Aは材料定数であり、σは引張応力を表し、fは亀裂形状因子であり、一般的にはf=2が用いられ、またnはまた応力腐蝕係数である。関係式(1)は、原理的に、引張応力σが一定で、応力増加速度
Figure 2013246177
が一定のときの微分方程式(9)の解として与えられる。
応力割れ係数の測定によって、ガラスまたはガラスセラミック部材1の材料は、所定の機械的荷重に依存する最短耐用期間に関して、あるいは機械的荷重が生じる所定の耐用期間に依存する機械的耐荷力に関して特性決定される。以降の図5および図6は、Zerodurガラスセラミックの例でのそうした特性決定を示す。
図5は、部材に生じた引張応力σの関数として対数でプロットした最短耐用期間tを示す。関係式(1)から生じる曲線が、Zerodurガラスセラミックにおいて測定された2つの応力腐蝕係数n=29.3およびn=51.7に対してプロットされている。このとき、n=29.3の値は、湿空気下のガラスセラミックで亀裂腐蝕に対して測定された。n=51.7の値は、同様に通常の室内湿度での亀裂腐蝕に対する別の測定で求めたが、真空中での亀裂腐蝕として評価することもできる。両方の曲線はたかだか151μmの粒度で研磨されるガラスセラミックのものであった。すなわちこれらの曲線は、図4に示されるデータ群「D151」に対応して表面処理されているガラスセラミック部材に対するものである。
グラフには、さらに所定の耐用期間の直線を印した、すなわち1時間の最短耐用期間に対し直線1h、1日の最短耐用期間に対し直線1d、1月の最短耐用期間に対し直線1m、ならびにそれぞれ1年、10年の最短耐用期間に対し直線1yおよび10yを印した。耐用期間30年は、ほぼ直線1・10秒に対応する。
例えば、ガラスセラミック部材が衛星の部品、例えば鏡あるいは鏡の支持体として使用される予定なら、高い機械的荷重は運搬ロケットの発射時の短い時間だけ生じる。ここでもし、安全範囲が設けられ、ロケットの発射時に生じる機械的荷重のかかる最短耐用期間が1時間必要なら、部材は35MPaの耐荷力を有するように寸法設計できる。このとき、部材は、ロケットの発射時通常の湿度の空気中に存在するという前提とし、応力腐蝕係数n=29.3の曲線が該当する。部材がロケット中で不活性雰囲気下にあるならこれに対しn=51の曲線を利用する。この場合、機械的耐荷力を約40MPaにして部材を寸法設計できる。したがって、これまで前提として用いられた10MPaの引張応力と比べて、本発明による部材は、破断確率を増加させることなく、著しく肉薄に寸法設計できる。
例えば、図2に示した部材について考察すると、縁7の幅は少なくとも1/3に減らすことができる。対応する部材は、したがって、これまでの基準で寸法設計した部材の数分の一の重量にしかならない筈であり、しかも破断確率の大きくなるのを容認する必要もない。
図6は逆に、部材の使用中に予想される機械的荷重σB,cの形の機械的耐荷力の、対数的にプロットした最短耐用期間tの関数としてのグラフである。さらに10分あるいは30年の最短耐用期間に対する直線「10min」および「30y」の直線を描いた。データは、測定系列「D151」を用いて求めた最小有効強度に基づいている。応力腐蝕係数n=29.3およびn=51.7の両曲線は、これに応じて「D151」と印す。
すでに図4で明らかだったように、機械的耐荷力および機械的荷重下に達成される最短耐用期間が、表面を平滑に加工すると、さらに大幅に向上できる。図6には加えて、表面を測定系列「D25」の試料に対応して加工したZerodurガラスセラミック部材の機械的耐荷力の2本の曲線を描き入れた。2本の曲線は、前提としている応力腐蝕係数が、n=29.3およびn=51.7と同様に異なっている。同じ応力腐蝕係数の曲線の比較から明らかになるように、細かい粒度での研磨により機械的耐荷力は、40%超も向上する。最短耐用期間の向上はさらにはっきりしている。151μmの粒度で研磨された部材の40MPaの機械的荷重での最短耐用期間は100秒である。これに対し、最大25μmの粒度で研磨された部材の最短耐用期間は約3・10秒であり、したがって4桁以上向上する。
例示的実施形態に限定されることなく、一般に、材料削除表面加工により、ガラスおよびガラスセラミック部材の強度および耐久性が向上する。したがって、本発明の発展型においては、全般として見るとガラスまたはガラスセラミック部材の少なくとも引張力をかける表面は、成形後材料削除加工を行う。強度の向上の原因は、この材料削除で微小亀裂の生じた表面域が除去されることである。
本発明のさらなる発展型による強度および耐用期間の特に大きな向上が、使用中に引張応力のかかったガラスセラミック部材の表面のエッチングによる材料削除で実現できる。このとき、特に有効なのは、研削とその後のエッチングの組み合わせである。このときZerodurガラスセラミックについて、以下の値を測定した:測定系列「D151」は、上述したように最小有効強度が47.3MPaとなる。そのように研磨された表面をさらにエッチングして、さらに83μmの材料を表面から除去すると、最小有効強度の値は79.9MPaまで向上する。
本発明は、特に宇宙飛行での、例えば、衛星支援望遠鏡鏡面あるいは鏡支持体、ならびにマイクロリソグラフィ・ステッパ支持体用のガラスまたはガラスセラミック部材の製造に適している。このとき、マスク用の、さらには露光するウェーハ用の支持体が考慮対象となる。これらの支持体は、一方で熱膨張が非常に低く、他方マスクやウェーハは、非常に大きな加速度、また対応して大きな機械的荷重の下で動かされる。
当業者には、本発明は、図を用いて記述した例示的実施形態に限定されず、多様に変更できることが明らかである。このため本発明は、Zerodurガラスセラミックを測定して説明した。もちろんのこと、他のガラスセラミックからなる他の部材でも、本発明に従い寸法を設計し製造することができる。

Claims (8)

  1. 次のパラメータ:
    − 所定の機械的荷重に依存する部材(1)の最短耐用期間、または
    − 機械的荷重が生じる所定の耐用期間に依存する機械的耐荷力
    のうちの1つにより、ガラスまたはガラスセラミック部材(1)の材料の仕様を決定する方法において、
    前記仕様決定はそのたびに次の関係式によって行われ、
    Figure 2013246177
    式中、
    tは、最短耐用期間、
    nは、ガラスまたはガラスセラミック部材(1)の材料の応力腐蝕係数、
    Figure 2013246177
    は、応力増加速度、
    σB,cは、部材(1)の耐用期間中に生じる機械的引張応力の形態の機械的荷重、および
    σB,rは、部材(1)において、応力増加速度
    Figure 2013246177
    で上昇する機械的応力の作用によって破断にいたる機械的引張応力の形態の部材最小有効強度
    を表す、方法。
  2. ガラスまたはガラスセラミック部材(1)の製造方法において、
    − 部材(1)の最短耐用期間と、部材への機械的荷重を設定する、
    − 所定の機械的荷重において、部材の破断無しに少なくとも所定の最短耐用期間が達成できるように部材の寸法設計をする、
    − 求められた寸法のガラスまたはガラスセラミック部材を作製する
    工程を有し:
    ガラスまたはガラスセラミック部材(1)の寸法設計を、次式を用いて行い、
    Figure 2013246177
    式中、
    tは、最短耐用期間、
    nは、ガラスまたはガラスセラミック部材(1)の材料の応力腐蝕係数、
    Figure 2013246177
    は、応力増加速度、
    σB,cは、部材(1)の耐用期間中に生じる機械的引張応力の形態の機械的耐荷力、および
    σB,rは、部材(1)において、応力増加速度
    Figure 2013246177
    で上昇する機械的引張応力の作用によって破断にいたる機械的応力の形態の部材最小有効強度
    を表し、
    部材(1)の寸法を、平均して前記最短耐用期間中に作用する荷重が、前記ガラスまたはガラスセラミック部材(1)の材料中に平均してσB,cより大きい引張応力を生じないように選ぶ方法。
  3. 請求項2に記載の方法において、前記所定の最短耐用期間が50%まで延長される、またはσB,cに対して50%まで高い部材の機械的耐荷力が、破断無しに達成するように、部材の寸法を設計することを特徴とする方法。
  4. 請求項2乃至3のいずれか1つに記載の方法において、前記ガラスまたはガラスセラミック部材(1)の作製後、その表面(2)に材料削除加工を施すことを特徴とする方法。
  5. 請求項4に記載の方法において、前記ガラスまたはガラスセラミック部材の表面(2)を研削後エッチングすることを特徴とする方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1つに記載の方法において、複数個のガラスまたはガラスセラミック材料の試料に、前記応力増加速度
    Figure 2013246177
    で増加する機械的引張応力をそれぞれの試料が破断するまで負荷し、破断時の負荷の値から限界値として最小有効強度σB,rを求めることを特徴とする方法。
  7. 請求項6に記載の方法において、限界値を、測定値に3パラメータのワイブル分布を当てはめ、最小有効強度を、ワイブル分布がゼロになる引張応力、または、ワイブル分布がゼロになる点での引張応力よりたかだか20%低い引張応力として決定することを特徴とする方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1つに記載の方法において、複数個の前記ガラスまたはガラスセラミック材料の試料に、徐々に上昇する機械的荷重を破断するまで負荷し、その際、異なる応力増加速度を用い、さらにパラメータconst.と、応力腐蝕係数nを変動させながら、次式を測定値に当てはめて、応力腐蝕係数を決定する、
    Figure 2013246177
    (式中、σは、試料の破断点での引張応力、
    Figure 2013246177
    は、応力増加速度を表す)
    応力腐蝕係数nを求めることを特徴とする、方法。
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