JP2013245641A - 圧縮機 - Google Patents

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Yoshiyuki Nikami
義幸 二上
Hiroyuki Kono
博之 河野
Tatsuya Nakamoto
達也 中本
Yusuke Imai
悠介 今井
Atsushi Sakuta
作田  淳
Takashi Morimoto
敬 森本
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Abstract

【課題】最も高温高圧の冷媒が吐出されるマフラー空間と低温低圧の冷媒が流れる固定スクロールの吸入室の位置関係によっては、吸入室の冷媒ガスは、マフラー空間から固定スクロールを経由して熱影響を受けてしまい、実際に圧縮室にとじ込められる時点で、その冷媒ガスは膨張し、循環量の低下を引き起こしてしまう。
【解決手段】固定スクロール12上部の吐出口17を覆うように設けられたマフラー19により形成されたマフラー空間37を、固定スクロール12上部における圧縮室15が、吸入室16に重なる領域以外に設け、マフラー空間37から吸入室16への加熱(熱影響)を抑制し、高い体積効率を実現する圧縮機を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、冷暖房空調装置や冷蔵庫等の冷却装置、あるいはヒートポンプ式の給湯装置等に用いられる圧縮機に関するものである。
従来、空調装置や冷却装置などに用いられる密閉型圧縮機は、一般に、冷凍サイクルから戻ってきた冷媒ガスを圧縮機構部で圧縮し、冷凍サイクルへと送り込む役割を果たしている。冷凍サイクルから戻ってきた冷媒ガスは吸入経路を経て、圧縮機構部に形成された圧縮室へと供給される。その後、圧縮されて高温高圧状態となった冷媒ガスは、圧縮機構部から密閉容器内へと吐出され、密閉容器に設けられた吐出管から冷凍サイクルへと送り込まれる(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、冷媒ガスは吸入管を経て、固定スクロールの吸入室に導かれ、圧縮された後、固定スクロールの吐出口から吐出される。吐出された高温高圧の冷媒ガスは、固定スクロール上部の吐出口を覆うように設けられたマフラーにより形成されたマフラー空間に吐出される。
特開2004−316591号公報
しかしながら、従来の構成では、吸入室とマフラー空間との位置関係は何ら開示されていない。即ち、マフラー空間内の高温の冷媒ガスによる吸入室内の冷媒ガスへの熱影響については考慮されていなかった。実際、最も高温高圧の冷媒が吐出されるマフラー空間と低温低圧の冷媒が流れる固定スクロールの吸入室の位置関係によっては、吸入室の冷媒ガスは、マフラー空間から固定スクロールを経由して熱を受けてしまい、実際に圧縮室にとじ込める時点では、冷媒ガスは膨張し、循環量の低下を引き起こしてしまう課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、体積効率の向上による高効率を実現する圧縮機を提供することにある。
本発明の圧縮機は、固定スクロールの外周側に形成された吸入室に吸入された冷媒ガスを圧縮した後、固定スクロールの中央部に設けられた吐出口から吐出し、吐出口から吐出された冷媒ガスが、固定スクロール上部の吐出口を覆うように設けられたマフラー空間に、吐出されるスクロール圧縮機において、固定スクロール上部における吸入室に重なる領域以外に、マフラー空間を設けたものである。これによって、体積効率の向上による高効率を実現する圧縮機を提供できる。
本発明によれば、固定スクロール上部における低温の冷媒ガスが流れる吸入室に重なる領域以外に、高温の冷媒ガスが存在するマフラー空間を設けているため、マフラー空間から吸入室への加熱(熱影響)を抑制することができ、高い体積効率を得ることができる。
本発明の実施の形態1による圧縮機の縦断面図 図1における圧縮機の断面図 本発明の実施の形態1における旋回スクロールのラップ方向から見た正面図 本発明の実施の形態2による圧縮機の縦断面図 図4における圧縮機の断面図 本発明の実施の形態3による圧縮機の縦断面図 本発明の実施の形態4による圧縮機の縦断面図 本発明の実施の形態4における圧縮機構部の要部拡大断面図 本発明の実施の形態4における各部温度測定結果のグラフ
第1の発明は、鏡板から渦巻きラップが立ち上がる固定スクロール及び旋回スクロールを噛み合わせて双方間に圧縮室を形成し、旋回スクロールを自転拘束機構による自転の拘束のもとに円軌道に沿って旋回させたとき圧縮室が容積を変えながら移動することで、固定スクロールの外周側に形成された吸入室に吸入された冷媒ガスを圧縮した後、固定スクロールの中央部に設けられた吐出口から吐出し、吐出口から吐出された冷媒ガスが、固定スクロール上部の吐出口を覆うように設けられたマフラーにより形成されたマフラー空間に、吐出されるスクロール圧縮機において、固定スクロール上部における吸入室に重なる領域以外に、マフラー空間を設けたものである。
この構成によれば、固定スクロール上部における低温の冷媒ガスが流れる吸入室に重なる領域以外に、高温の冷媒ガスが存在するマフラー空間を設けているため、マフラー空間から吸入室への加熱(熱影響)を抑制することができ、高い体積効率を得ることができる。
第2の発明は、第1の発明において、固定スクロール上部における吸入室に重なる領域に、断熱空間を設けたものである。
この構成によれば、固定スクロール上部における吸入室に重なる領域に設置した断熱空間は、高温の冷媒ガスが侵入しにくい淀んだ状態である。この淀んだ冷媒ガスが断熱層の役割を果たし、高温の冷媒が通過するマフラー空間と、比較的高温の冷媒が存在するマフラー上部の容器内空間から、固定スクロールの吸入室への加熱(熱影響)を抑制することができ、さらに高い体積効率を得ることができる。
第3の発明は、第2の発明において、マフラーを複数個設け、それらのマフラーによって囲まれた空間を断熱空間としたものである。
この構成によれば、第1のマフラーでマフラー空間を形成し、第2のマフラーで断熱空間を形成することが容易にできる。
第4の発明は、第2から3のいずれかの発明において、断熱空間を構成するマフラーを、熱伝導率の低い材料で形成したものである。
この構成によれば、高温の冷媒が通過するマフラー空間および、比較的高温の冷媒が存在するマフラー上部の容器内空間から、断熱空間への加熱(熱影響)を抑制することができ、さらに、固定スクロールにおける吸入室への加熱(熱影響)を抑制することができるため、高い体積効率を得ることができる。
第5の発明は、第2から4のいずれかの発明において、冷媒ガスを圧縮する圧縮機構部
と、圧縮機構部を駆動する電動機部とを密閉容器内に備え、圧縮機構部によって、密閉容器内を、一方の容器内空間と他方の容器内空間に分割し、一方の容器内空間から密閉容器の外部に冷媒ガスを吐出する吐出管を設け、他方の容器内空間に電動機部を配置し、圧縮機構部から吐出される冷媒ガスからオイルを分離するオイル分離機構部を設け、オイル分離機構部が、冷媒ガスを旋回させる円筒状空間と、圧縮機構部から吐出される冷媒ガスを円筒状空間に流入させる流入部と、円筒状空間から一方の容器内空間に、オイルを分離した前記冷媒ガスを送出する送出口と、送出口と対向して配置され、分離したオイルと前記冷媒ガスの一部とを円筒状空間から排出する排出口とを有する圧縮機であって、断熱空間と他方の容器内空間を連通した通路を設けたものである。
この構成によれば、ほとんどの高温高圧の冷媒ガスを、一方の容器内空間に導くことで、冷媒ガスの温度は、他方の容器内空間の方が、一方の容器内空間よりも低くなる。この温度の低い他方の容器内空間と断熱空間を連通する通路を設けることにより、断熱空間内の冷媒ガス温度を低い状態で保持できるため、さらに、固定スクロールの吸入室への加熱(熱影響)を抑制することができ、高い体積効率を得ることができる。
第6の発明は、第1から5のいずれかの発明において、作動流体を、高圧冷媒、例えば二酸化炭素としたものである。
この構成によれば、特に冷媒ガスの密度が高いため、圧力損失の比率も大きくなり、また温度差が大きくなるため、冷媒ガスは吸入室を通過する際に加熱されやすくなる。そのため本発明の構成の効果が顕著に現れ、高い体積効率を実現する圧縮機を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による圧縮機の縦断面図である。
また、図2は図1の断面図、図3は、旋回スクロールのラップ方向から見た正面図である。図のように構成されたスクロール圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
図1に示すように、本発明の圧縮機は、密閉容器1と、その内部に圧縮機構部10、モータ部20を備えて構成されている。密閉容器1内に溶接や焼き嵌めなどして固定したシャフト5の主軸受部材11と、この主軸受部材11上にボルト止めした固定スクロール12との間に、固定スクロール12と噛み合う旋回スクロール13を挟み込んでスクロール式の圧縮機構部10を構成している。旋回スクロール13と主軸受部材11との間には、旋回スクロール13の自転を防止して円軌道運動するように案内するオルダムリングなどによる自転拘束機構14を設け、シャフト5の上端にある偏心軸部5aにて旋回スクロール13を偏心駆動することにより、旋回スクロール13を円軌道運動させる。これにより固定スクロール12と旋回スクロール13との間に形成している圧縮室15が、外周側から中央部に向かって容積を縮めながら移動することを利用して、密閉容器1外の冷凍サイクルに通じた吸接管3から、吸接管3と圧縮室15の間にある固定スクロールに設けられた常に吸入圧力である吸入室16を経て冷媒ガスを吸入し、圧縮室15に閉じ込んだのち圧縮を行う。所定の圧力に到達した冷媒ガスは、固定スクロール12の中央部の吐出口17からリード弁18を押し開けて、吐出される。
固定スクロール12の一方の容器内空間31側には、吐出口17及びリード弁18を覆うマフラー19が設けられている。マフラー19は、吐出口17を一方の容器内空間31
から隔離し、マフラー空間37を形成している。
シャフト5の下端にはポンプ6が設けられ、ポンプ6の吸い込み口が貯オイル部2内に存在するように配置する。ポンプ6はスクロール圧縮機と同時に駆動されるため、ポンプ6は密閉容器1の底部に設けられた貯オイル部2にあるオイルを、圧力条件や運転速度に関係なく、確実に吸い上げることができ、オイル切れの心配も解消される。ポンプ6で吸い上げたオイルは、シャフト5内を通縦しているオイル供給穴7を通じて圧縮機構部10に供給される。なお、オイルをポンプ6で吸い上げる前もしくは吸い上げた後に、オイルフィルタ等でオイルから異物を除去すると、圧縮機構部10への異物混入が防止でき、更なる信頼性向上を図ることができる。
圧縮機構部10に導かれたオイルの圧力は、スクロール圧縮機の吐出圧力とほぼ同等であり、旋回スクロール13に対する背圧源ともなる。これにより、旋回スクロール13は固定スクロール12から離れたり片当たりしたりするようなことはなく、所定の圧縮機能を安定して発揮する。さらにオイルの一部は、供給圧や自重によって、逃げ場を求めるようにして偏心軸部5aと旋回スクロール13との嵌合部、シャフト5と主軸受部材11との間の軸受部8に進入してそれぞれの部分を潤滑した後落下し、貯オイル部2へ戻る。
高圧領域35に供給されたオイルの別の一部は、旋回スクロール13に形成され、かつ高圧領域35に一開口端を有する経路7aを通って、自転拘束機構14が位置している背圧室36に進入する。進入したオイルは、スラスト摺動部及び自転拘束機構14の摺動部を潤滑するのに併せ、背圧室36にて旋回スクロール13の背圧印加の役割を果たしている。
ここで冷媒ガスの圧縮に関して、詳細に説明する。図3は固定スクロール12に旋回スクロール13を噛み合わせた状態の圧縮機構部10の横断面図であり、(I)〜(IV)の順番に位相を90度刻みでずらした状態を示す図である。ここで旋回スクロール13のラップ外壁と固定スクロール12のラップ内壁に囲まれて形成される圧縮室を第1の圧縮室15a、旋回スクロール13のラップ内壁と固定スクロール12のラップ外壁に囲まれて形成される圧縮室を第2の圧縮室15bとする。図3の(I)は、第1の圧縮室15aが冷媒ガスを閉じ込めた瞬間の状態であり、その圧縮室を15a−1とする。その後、第1の圧縮室15aは、(II)の15a−2、(III)の15a−3、(IV)の15a−4、(I)の15a−5、(II)の15a−6、(III)の15a−7と移動し、(IV)の15a−8では固定スクロール12の中心部に形成された吐出口17を経て、点線で示したマフラー空間37に吐出される。
同様に、圧縮室15bにおいて、図3の(III)は、第2の圧縮室15bが冷媒ガスを閉じ込めた瞬間の状態であり、順次中心方向に圧縮室15bが移動し、固定スクロール12の中心部に形成された吐出口17を経て、点線で示したマフラー空間37に吐出される。
ここで、圧縮室15aと圧縮室15bが、常に、吸入圧力となる領域となる吸入室16は、それぞれの圧縮室について、冷媒ガスが閉じこんだ瞬間の、固定スクロール12と旋回スクロール13のラップ接点を結んだ範囲より下流の領域(斜線部)となる。
本実施の形態では、マフラー空間37は、固定スクロール12上部における吸入室16(斜線部)に重なる領域以外に設けている。
低温状態の冷媒ガスは、密閉容器1外の冷凍サイクルと通じる吸接管3から常に吸入圧力の吸入室16を通過し、圧縮室15a及び15bへと供給されるが、吸入室16を通過
する際に外部から加熱されると、膨張してしまい、体積効率の低下を引き起こしてしまう。
特に、固定スクロール12の吐出口17からリード弁18を押し開けて吐出された冷媒ガスは、最も高温であるため、マフラー空間37に相当する固定スクロール上部は、加熱されやすい。しかし、マフラー空間37を、固定スクロール12上部における吸入室16(斜線部)に重なる領域以外に設けているため、マフラー空間37から吸入室16への加熱(熱影響)を抑制することができ、高い体積効率を得ることができる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係わるスクロール圧縮機の縦断面図、図5は、図4の断面図である。
本実施の形態の基本的な構成は、図1と同一であるので説明を省略する。また、図1で説明した構成と同一構成には同一符号を付して説明を一部省略する。
本実施の形態では、固定スクロール12上部における吸入室16に重なる領域に、断熱空間38を設けている。ここで、断熱空間38をマフラー19で形成しているが、これに限ったものではない。
この構成によれば、固定スクロール12上部における吸入室16に重なる領域に設置した断熱空間38は、高温の冷媒ガスが侵入しにくい淀んだ状態であるため、淀んだ冷媒ガスが断熱層の役割を果たし、高温の冷媒が通過するマフラー空間37と、比較的高温の冷媒が存在するマフラー19上部の容器内空間31から、固定スクロール12の吸入室16への加熱を、この断熱空間37の断熱効果で抑制することができ、さらに圧縮室15内での高い体積効率を得ることができる。
本実施の形態では、断熱空間38が、固定スクロール12の吸入室16に重なる領域が広いほど、断熱空間37から吸入室16への断熱効果がより発揮される。また、固定スクロール12上部のマフラー空間37以外の領域において、断熱空間38の領域が広いほど断熱効果がさらに発揮できる。
(実施の形態3)
図6は、本発明の第3の実施の形態に係わるスクロール圧縮機の縦断面図である。
本実施の形態の基本的な構成は、図1と同一であるので説明を省略する。また、図1で説明した構成と同一構成には同一符号を付して説明を一部省略する。
本実施の形態では、マフラー19を複数個設けている。
この構成によれば、第1のマフラー19−1でマフラー空間37を形成し、第2のマフラー19−2で断熱空間38を形成することが容易にできる。すなわち、固定スクロール12上部における吸入室16に重なる領域に設置した断熱空間38は、高温の冷媒ガスが侵入しにくい淀んだ状態である。この淀んだ冷媒ガスが断熱層の役割を果たし、マフラー19−1で形成された高温の冷媒が通過するマフラー空間37と、比較的高温の冷媒が存在するマフラー19−2上部の容器内空間31から、固定スクロール12の吸入室16への加熱(熱影響)を抑制することができ、さらに高い体積効率を得ることが容易にできる。
さらに、本実施の形態のように、圧縮機構部10に吐出口17にリード弁18等を用いて冷媒ガスを吐出させた構成を設けた場合、リード弁18等の騒音をマフラー19−1と
19−2の複数の空間で低減させることができ、更に低騒音の圧縮機を実現できる。
また、実施の形態2、3において、断熱空間38を構成するマフラーを、熱伝導率の低い材料(例えば、樹脂材料(PPS、PEEK等)、セラミック)で形成することができる。
この構成によれば、高温の冷媒が通過するマフラー空間38および、比較的高温の冷媒が存在するマフラー19−2上部の容器内空間31から、断熱空間38への加熱(熱影響)を抑制することができ、さらに、固定スクロール12の吸入室16への加熱(熱影響)を抑制することができるため、圧縮室15内での高い体積効率を得ることができる。
(実施の形態4)
図7は、本発明の第4の実施の形態に係わるスクロール圧縮機の縦断面図である。図7に示すように、本実施の形態による圧縮機は、密閉容器1内に、冷媒ガスを圧縮する圧縮機構部10と、圧縮機構部10を駆動する電動機部20とを備えている。
本実施の形態の基本的な構成は、図1と同一であるので説明を省略する。また、図1で説明した構成と同一構成には同一符号を付して説明を一部省略する。
密閉容器1内は、圧縮機構部10によって、一方の容器内空間31と他方の容器内空間32に分割している。そして、他方の容器内空間32には、電動機部20を配置している。また、他方の容器内空間32は、電動機部20によって、圧縮機構側空間33と貯オイル側空間34に分割している。そして、貯オイル側空間34には、貯オイル部2を配置している。
次に、図7及び図8を用いて、実施の形態4による圧縮機のオイル分離機構部について説明する。図8は図7における圧縮機構部の要部拡大断面図である。
本実施の形態による圧縮機は、圧縮機構部10から吐出される冷媒ガスからオイルを分離するオイル分離機構部40を設けている。
オイル分離機構部40は、冷媒ガスを旋回させる円筒状空間41と、マフラー19で形成されたマフラー空間37と円筒状空間41とを連通する流入部42と、円筒状空間41と一方の容器内空間31とを連通する送出口43と、円筒状空間41と他方の容器内空間32とを連通する排出口44とを有する。
円筒状空間41は、固定スクロール12に形成した第1の円筒状空間41aと主軸受部材に形成した第2の円筒状空間41bとで構成される。
流入部42は、第1の円筒状空間41aに連通し、好ましくは流入部42の開口を第1の円筒状空間41aの上端内周面に形成する。そして、流入部42は、圧縮機構部10から吐出される冷媒ガスをマフラー19内から円筒状空間41に流入させる。流入部42は、円筒状空間41に対し、接線方向に開口している。
送出口43は、円筒状空間41の上端側に形成し、少なくとも流入部42よりも一方の容器内空間31側に形成する。送出口43は、第1の円筒状空間41aの上端面に形成することが好ましい。そして、送出口43は、円筒状空間41から一方の容器内空間31に、オイルを分離した冷媒ガスを送出する。
排出口44は、円筒状空間41の下端側に形成し、少なくとも流入部42よりも他方の
容器内空間32側に形成する。排出口44は、第2の円筒状空間41bの下端面に形成することが好ましい。そして、排出口44は、円筒状空間41から圧縮機構側空間33に、分離したオイルと冷媒ガスの一部とを排出する。
ここで、送出口43の開口部の断面積Aは、円筒状空間41の断面積Cよりも小さく、排出口44の開口部の断面積Bよりも大きい方が好ましい。送出口43の開口部の断面積Aが、円筒状空間41の断面積Cと同じ場合には、冷媒ガスの旋回流が排出口44の方向に導かれることなく、送出口43から吹き出してしまう。また、排出口44の開口部の断面積Bが円筒状空間41の断面積Cと同じ場合には、冷媒ガスの旋回流が排出口44から吹き出してしまう。
また、送出口43の開口部の断面積Aを、排出口44の開口部の断面積Bよりも大きくすることで、送出口43における流路抵抗が減る。これにより、冷媒ガスは排出口44よりも送出口43に流れやすくなる。一例として、A/Bは9程度に設定することができる。
本実施の形態では、固定スクロール12の外周部に孔加工を施すことで第1の円筒状空間41aを形成し、主軸受部材11の外周部に孔加工を施すことで第2の円筒状空間41bを形成する。また、固定スクロール12の反ラップ側端面には、第1の円筒状空間41aに対し、接線方向に開口する溝を形成し、第1の円筒状空間41a側の溝の一部をマフラー19で覆うことで流入部42を構成している。また、送出口43は、マフラー19に形成した孔で構成し、この孔を第1の円筒状空間41aの開口に配置している。また、排出口44は、軸受けカバー45に形成した孔で構成し、この孔を第2の円筒状空間41bの開口に配置している。
以下に本実施の形態によるオイル分離機構部40の作用を説明する。
マフラー19で形成されたマフラー空間37に吐出された冷媒ガスは、固定スクロール12に形成された流入部42を経て、円筒状空間41に導かれる。流入部42は円筒状空間41に対し、接線方向に開口しているため、流入部42から送出される冷媒ガスは、円筒状空間41の内壁面に沿って流れ、円筒状空間41の内周面で旋回流が発生する。この旋回流は、排出口44に向かった流れとなる。
冷媒ガスには圧縮機構部10に給油されたオイルが含まれており、冷媒ガスが旋回している間に、比重の高いオイルは遠心力により円筒状空間41の内壁に付着し、冷媒ガスと分離する。
円筒状空間41の内周面で発生した旋回流は、排出口44に到達後、又は排出口44近傍で折り返し、円筒状空間41の中心を通る上昇流に変わる。
遠心力によりオイルを分離した冷媒ガスは、上昇流により送出口43に到達し、一方の容器内空間31に送出される。一方の容器内空間31に送出された冷媒ガスは、一方の容器内空間31に設けられた吐出管4から密閉容器1の外部に送り出され、冷凍サイクルに供給される。
また円筒状空間41で分離されたオイルは、少量の冷媒ガスとともに排出口44から圧縮機側空間33に送り出される。圧縮機側空間33に送り出されたオイルは、自重により密閉容器1の壁面や電動機部20の連通路を経て、貯オイル部2に至る。
圧縮機側空間33に送り出された冷媒ガスは、圧縮機構部10の隙間を通過して一方の
容器内空間31に至り、吐出管4から密閉容器1の外部に送り出される。
本実施の形態によるオイル分離機構部40は、送出口43を流入部42よりも一方の容器内空間31側に形成し、排出口44を流入部42よりも他方の容器内空間32側に形成することで、流入部42から排出口44までの間では、円筒状空間41の内周面で旋回流が発生し、排出口44から送出口43までの間では、円筒状空間41の中心部で旋回流と逆方向の流れが発生する。従って、排出口44が流入部42から離れるに従い、冷媒ガスの旋回回数が増え、オイルの分離効果が高まる。また旋回後の冷媒ガスは、旋回流の中心部を通過するため、送出口43は、流入部42よりも反排出口側にあればよい。すなわち、流入部42と排出口44との距離を可能な限り大きくすることで、オイル旋回分離の効果を高めることができる。
また、本実施の形態によるオイル分離機構部40は、容器内空間32に分離したオイルを貯留することなく、オイルを冷媒ガスとともに排出口44から排出するため、円筒状空間41の内周面で発生する旋回流を、排出口44の方向に導く作用を備えている。
仮に、円筒状空間41に排出口44を形成せず、円筒状空間41内にオイルを貯留すると、排出口44から外部に引っ張る流れが発生しないため、オイル面に到達する前に旋回流が消滅してしまうか、オイル面に到達するとオイルを巻き上げてしまう。また円筒状空間41に排出口44を形成せずに、オイル分離機能を発揮させるためには、オイルを貯留するに十分な空間を形成する必要がある。
しかし、本実施の形態によるオイル分離機構部40のように、オイルを冷媒ガスとともに排出口44から排出することで、旋回流を排出口44に導くことができるとともに、オイルの巻き上げもない。
本実施の形態によれば、圧縮機構部10で圧縮されてオイル分離機構部40から送出される、ほとんどの高温高圧の冷媒ガスは、一方の容器内空間31に導かれて吐出管4から吐出される。従って、ほとんどの高温高圧の冷媒ガスは、電動機部20を通過しない。
図9は、ある運転条件での各部における冷媒ガスの温度測定結果のグラフである。本実施の形態の冷媒ガスの温度測定結果と、冷媒ガスが電動機部20を通過する図1に示すような実施の形態1の構成における温度測定結果を対比している。ここで、電動機部20には、DCブラシレスモータを使用しており、効率の良い電動機部20であり、電動機部20の運転による発熱も抑制されている。本実施の形態では、電動機部20が冷媒ガスにより加熱されることがないため、図1に示すように、冷媒ガスが電動機部20を通過する構成と比較して、電動機部20の温度を約20℃下げることができる。すなわち、冷媒ガスによって電動機20が加熱されることなく、電動機部20の高効率が図れる。
また、本実施の形態によれば、ほとんどの高温高圧の冷媒ガスを、一方の容器内空間31に導くことで、他方の容器内空間32の圧縮機側空間33の加熱も抑制されるため、特に低温状態の冷媒ガスが通過する吸入室16で発生する冷媒ガスの加熱を低減することができる。さらに、密閉容器1から圧縮機構部10の吸入室16への加熱も抑制される。よって、吸入加熱が抑制されるため、圧縮室内での高い体積効率を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、オイル分離機構部40で分離されたオイルを、冷媒ガスとともに他方の容器内空間32に排出するため、円筒状空間41内にはオイルが滞留することがほとんど無い。従って、分離したオイルが、旋回する冷媒ガスによって円筒状空間41内で吹き上げられ、送出口43から冷媒ガスとともに送出することがなく、安定したオイル分離を行える。更に、円筒状空間41内にオイルを滞留させないため、円筒状空間
41を小さく構成できる。
また、本実施の形態によれば、貯オイル部2を貯オイル空間34に配置し、圧縮機構側空間33ではオイルを貯留しないため、密閉容器1を小型化できる。
また、本実施の形態によれば、圧縮機構部10の吐出口17を一方の容器内空間31から隔離するマフラー19を配設し、流入部42によって、マフラー19内と円筒状空間41とを連通することで、圧縮機構部10で圧縮された冷媒ガスを確実にオイル分離機構部40に導くことができる。すなわち、全ての冷媒ガスがオイル分離機構部40を通過することになるので、冷媒ガスから効率よくオイルを分離することができる。また、吐出口17から吐出されたほとんどの高温の冷媒ガスは、他方の容器内空間32を通過することなく、吐出管4から密閉容器1の外部に吐出されるため、電動機部20や圧縮機構部10の加熱を抑えることができる。
また、本実施の形態によれば、円筒状空間41を、固定スクロール12と主軸受部材11に形成したことで、吐出口17から吐出管4までの冷媒ガスが流れる経路を短く構成でき、密閉容器1を小型化できる。
また、本実施の形態では、図7及び図8に示すように、固定スクロール12上部における吸入室16に重なる領域に、断熱空間38を設けている。そして、断熱空間38と他方の容器内空間32の圧縮機側空間33を連通した通路39を設置している。
この構成によれば、ほとんどの高温高圧の冷媒ガスを、一方の容器内空間31に導くことで、図9に示すように、冷媒ガスの温度は、他方の容器内空間32の圧縮機側空間33の方が、一方の容器内空間31よりも低くなる。この温度の低い圧縮機側空間33と断熱空間38を通路39で連通することにより、断熱空間38内に存在する淀んだ冷媒ガスの温度を低い状態で保持できる。よって、さらに、固定スクロール12の吸入室16への加熱(熱影響)を抑制することができ、高い体積効率を得ることができる。
また、上記実施の形態における圧縮機において、断熱空間38を構成するマフラーを、熱伝導率の低い材料(例えば、樹脂材料(PPS、PEEK等)、セラミック)で形成することにより、断熱空間38への加熱を抑制することができ、さらに、高い体積効率を得ることは言うまでもない。
また、上記各実施の形態における圧縮機においては、冷媒として二酸化炭素を用いることができる。二酸化炭素は高温冷媒であり、このような高温冷媒を用いる場合には、本発明は更に有効である。
本発明は、スクロール圧縮機やロータリー圧縮機など、密閉容器内に圧縮機構部と電動機部を有する圧縮機に適用でき、特に高温冷媒を用いる圧縮機に適している。
1 密閉容器
2 貯オイル部
4 吐出管
10 圧縮機構部
11 主軸受部材
12 固定スクロール
13 旋回スクロール
14 自転拘束機構
16 吸入室
17 吐出口
19 マフラー
19−1 第1のマフラー
19−2 第2のマフラー
20 電動機部
31 容器内空間
32 容器内空間
33 圧縮機構側空間
34 貯オイル側空間
37 マフラー空間
38 断熱空間
39 通路
40 オイル分離機構部
41 円筒状空間
42 流入部
43 送出口
44 排出口

Claims (6)

  1. 鏡板から渦巻きラップが立ち上がる固定スクロール及び旋回スクロールを噛み合わせて双方間に圧縮室を形成し、旋回スクロールを自転拘束機構による自転の拘束のもとに円軌道に沿って旋回させたとき圧縮室が容積を変えながら移動することで、前記固定スクロールの外周側に形成された吸入室に吸入された冷媒ガスを圧縮した後、前記固定スクロールの中央部に設けられた吐出口から吐出し、前記吐出口から吐出された冷媒ガスが、前記固定スクロール上部の吐出口を覆うように設けられたマフラーにより形成されたマフラー空間に吐出される圧縮機において、
    前記固定スクロール上部における吸入室に重なる領域以外に、前記マフラー空間を設けたことを特徴とする圧縮機。
  2. 前記固定スクロール上部における吸入室に重なる領域に、断熱空間を設けたことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記マフラーを複数個設け、それらのマフラーによって囲まれた空間を断熱空間としたことを特徴とする請求項2に記載の圧縮機。
  4. 前記断熱空間を構成するマフラーを、熱伝導率の低い材料で形成したことを特徴とする請求項2または3に記載の圧縮機。
  5. 冷媒ガスを圧縮する圧縮機構部と、前記圧縮機構部を駆動する電動機部とを密閉容器内に備え、前記圧縮機構部によって、前記密閉容器内を、一方の容器内空間と他方の容器内空間に分割し、前記一方の容器内空間から前記密閉容器の外部に前記冷媒ガスを吐出する吐出管を設け、前記他方の容器内空間に前記電動機部を配置し、前記圧縮機構部から吐出される前記冷媒ガスからオイルを分離するオイル分離機構部を設け、前記オイル分離機構部が、前記冷媒ガスを旋回させる円筒状空間と、前記圧縮機構部から吐出される前記冷媒ガスを前記円筒状空間に流入させる流入部と、前記円筒状空間から前記一方の容器内空間に、前記オイルを分離した前記冷媒ガスを送出する送出口と、前記送出口と対向して配置され、分離した前記オイルと前記冷媒ガスの一部とを前記円筒状空間から排出する排出口とを有する圧縮機であって、
    前記断熱空間と前記他方の容器内空間を連通した通路を設けたことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の圧縮機。
  6. 冷媒ガスとしての作動流体を、高圧冷媒、例えば二酸化炭素としてなる請求項1から5のいずれかに記載の圧縮機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020166431A1 (ja) * 2019-02-15 2020-08-20 パナソニックIpマネジメント株式会社 圧縮機

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