JP2013245179A - 金属錯体、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置 - Google Patents

金属錯体、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置 Download PDF

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Abstract

【課題】有機エレクトロルミネッセンス素子用の金属錯体を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される配位子を有する金属錯体であって、連結基Gと環Vとのそれぞれのファンデルワールス体積の合計値が、155Å以上であることを特徴とする金属錯体。
Figure 2013245179

(式中、環A、B、Vは芳香環又は複素環を表し、Rb及びRcは置換基を表し、nbは0〜4の整数を表し、ncは0〜2の整数を表す。Gは連結基である。ngは1〜5の整数を表す)
【選択図】なし

Description

本発明は、金属錯体、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置に関する。
従来、発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子や有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)が挙げられる。無機エレクトロルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。
一方、有機EL素子は、発光する化合物を含有する発光層を陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、更に自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
実用化に向けた有機EL素子の開発としては、例えば、プリンストン大より、M.A.Baldo et al.,nature、395巻、151〜154ページ(1998年)に記載のように、励起三重項からのリン光発光を用いる有機EL素子の報告がされ、以来、米国特許第6,097,147号明細書、M.A.Baldo et al.,nature、403巻、17号、750〜753頁(2000年)などに記載のように、室温でリン光を示す材料の研究が活発になってきている。
リン光発光を利用する有機EL素子では、以前の蛍光発光を利用する素子に比べ原理的に約4倍の発光効率が実現可能であることから、その材料開発を初めとし、発光素子の層構成や電極の研究開発が世界中で行われている。
発光素子の層構成の材料として、イリジウム錯体系等重金属錯体を中心に多くの化合物の合成検討がなされており、例えば、S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)には、それらの金属錯体を有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子ともいう)の発光層に使用することが記載されている。
このように、リン光発光方式は大変ポテンシャルの高い方式であるが、リン光発光を利用する有機ELデバイスにおいては、発光中心の位置をコントロールする方法、とりわけ発光層の内部で再結合を行い、いかに発光を安定に行わせることができるかと共に、リン光発光材料自身の発光性をいかに向上させるかが、素子の効率・寿命の面から、重要な技術的な課題となっている。
有機EL素子に使用される青色リン光用の発光材料として、フェニルピラゾール系、イミダゾフェナンスリジン系、フェニルイミダゾール系等の配位子を有するイリジウム錯体が知られているが、発光性、短波長発光、高耐久性の全てを同時に満足させることは非常に困難である。
単純なフェニルピラゾールのイリジウム錯体は室温では全く発光せず、置換基としてベンゼン環のような、イリジウム錯体のLUMO(最低空軌道)のエネルギー準位とHOMO(最高被占軌道)のエネルギー準位のギャップを小さくするような基を導入してはじめて発光するようになることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、配位子としてイミダゾフェナンスリジンを有する金属錯体は、発光波長が比較的短い発光材料であることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、フェニルイミダゾールの金属錯体は発光波長が比較的短波な発光材料であることが開示されている(例えば、特許文献3、4参照)。
しかしながら、上記した従来の化合物によっては、有機EL素子の発光効率や発光寿命の向上が不十分であり、更なる向上が求められている。
国際公開第2004/085450号 国際公開第2007/095118号 国際公開第2008/156879号 米国特許第2011/0057559号明細書
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、有機エレクトロルミネッセンス素子用の金属錯体を提供することである。また、それを用いた駆動電圧が低く、発光効率が高く、長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において発光層中において、ドーパント分子が分解あるいは非発光成分になることが、発光寿命を決定する要因と推定し、ドープ濃度を高めた素子を作製したが、発光寿命はむしろ低下し、さらに発光効率も低下するという課題に直面した。本発明者らは更に検討を行った結果、ドーパント配位子の部分構造を制御した金属錯体を用いることで本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.下記一般式(1)で表される配位子を有する金属錯体であって、連結基Gと環Vとのそれぞれのファンデルワールス体積の合計値が、155Å以上であることを特徴とする金属錯体。
Figure 2013245179
(式中、環Aは、単環の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、イミダゾール環と結合している原子と隣接している2つの原子のうち、少なくとも一方は、炭素原子数2以上のアルキル基を置換基として有する。環Bは、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。R及びRは置換基を表し、nbは0〜4の整数を表し、ncは0〜2の整数を表す。Gは任意の位置で環Aに置換した連結基である。連結基Gと環Aが縮合環を形成しても良い。ngは1〜5の整数を表す。環Vは、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。)
2.前記一般式(1)で表される配位子を有する金属錯体が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする前記第1項に記載の金属錯体。
Figure 2013245179
(式中、環A、環B、環V、連結基G、R、R、nb、nc及びngは、一般式(1)における環A、環B、環V、連結基G、R、R、nb、nc及びngと同義である。Mはイリジウム又は白金を表し、Lはモノアニオン性の2座配位子、nは1〜3の整数を表し、mは0〜2の整数を表す。)
3.前記一般式(1)又は一般式(2)において、ngが1を表し、連結基Gが−O−、−S−、−C(R−、−C(=O)−又は−C(=O)O−のいずれかである、ただしRは水素原子又は置換基を表し、2つのRは同じでも異なっていても良い、ことを特徴とする前記第1項又は第2項に記載の金属錯体。
4.前記一般式(1)又は一般式(2)において、ngが1であり、連結基Gが単環の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、さらに連結基G及び環Aが、硫黄原子、酸素原子、炭素原子又は窒素原子を介して縮合環を形成し、当該縮合環がカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フルオレン環又はフルオレノン環のいずれかであることを特徴とする前記第1項又は第2項に記載の金属錯体。
5.前記一般式(1)又は一般式(2)中、環Aの、前記イミダゾール環と結合している原子と隣接している2つの原子が、共に置換基を有し、少なくとも一方の置換基は炭素原子数3以上の分岐アルキル基であることを特徴とする前記第1項から第4項までのいずれか一項に記載の金属錯体。
6.陽極と陰極との間に、有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機層が、前記第1項から第5項までのいずれか一項に記載の金属錯体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
7.前記金属錯体を有する有機層が、湿式法により形成された有機層であることを特徴とする前記第6項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
8.白色発光することを特徴とする前記第6項又は第7項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
9.前記第6項から第8項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が具備されていることを特徴とする表示装置。
10.前記第6項から第8項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が具備されていることを特徴とする照明装置。
本発明の上記手段により、有機エレクトロルミネッセンス素子用の金属錯体を提供することができる。また、それを用いた駆動電圧が低く、発光効率が高く、長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。ドーパント濃度を高めたことでドーパント同士、あるいはドーパントとホスト化合物の不必要な相互作用が生じ、結果的にドーパント分子の分解あるいは非発光成分への転化が促進されたものであると考えた。連結基Gと環Vとのそれぞれのファンデルワールス体積の合計値が、155Å以上である本発明の配位子を有する金属錯体により、上記相互作用が適度な範囲に調整され、発光効率と長寿命を両立させることができるものと推定している。
有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図 図1の表示装置の表示部の模式図 照明装置の概略図 照明装置の断面図
本発明の金属錯体は、前記一般式(1)で表される配位子を有する金属錯体であって、連結基Gと環Vとのそれぞれのファンデルワールス体積の合計値が、155Å以上であることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項10までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記一般式(1)で表される配位子を有する金属錯体が、前記一般式(2)で表されることが好ましい。また、前記一般式(1)又は一般式(2)において、ngが1を表し、連結基Gが−O−、−S−、−C(R−、−C(=O)−又は−C(=O)O−のいずれかであることが、金属錯体同士の相互作用を適切な範囲に調整する効果が得られることから、好ましい。
さらに、本発明においては、前記一般式(1)又は一般式(2)において、ngが1であり、連結基Gが単環の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、さらに連結基G及び環Aが、硫黄原子、酸素原子、炭素原子又は窒素原子を介して縮合環を形成し、当該縮合環がカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フルオレン環又はフルオレノン環のいずれかであることが好ましい。これにより、金属錯体同士の相互作用に加え、金属錯体と他の有機物、特にホスト化合物との相互作用を適切な範囲に調整するという効果が得られる。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記一般式(1)又は一般式(2)中、環Aの、前記イミダゾール環と結合している原子と隣接している2つの原子が、共に置換基を有し、少なくとも一方の置換基は炭素原子数3以上の分岐アルキル基であることが好ましい。また、陽極と陰極との間に、有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機層が、前記金属錯体を含有することにより、発光効率と長寿命を両立する効果が得られることから、好ましい。
さらに、本発明においては、前記金属錯体を有する有機層が、湿式法により形成された有機層であることが、金属錯体のドープ濃度のばらつきが少なくなり、発光効率と発光寿命の両立が、し易くなることから好ましい。
本発明の実施態様としては、有機EL素子が白色発光することが好ましい。
本発明の金属錯体は、有機EL素子、表示装置及び表示装置に好適に具備され得る。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
本発明者らは有機エレクトロルミネッセンス素子のさらなる性能向上、具体的には発光性と発光寿命の向上を目的に鋭意、検討を行うなかで、発光層中において、ドーパント分子が分解あるいは非発光成分になることが発光寿命を決定する要因と推定し、ドープ濃度を高めた素子を作製したが、発光寿命はむしろ低下し、さらに発光性も低下するという課題に直面した。
この要因については、ドーパント濃度を高めたことでドーパント同士、あるいはドーパントとホスト化合物の不必要な相互作用が生じ、結果的にドーパント分子の分解あるいは非発光成分への転化が促進されたものと推定した。そこで本発明者らは更に検討を行い、ドーパント配位子の部分構造を制御した金属錯体を用いることで本発明を完成するに至った。具体的には発光ドーパントのドープ率を高めた場合にも発光性の低下を抑制し、発光寿命の長い有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
また、特に本願発明の金属錯体を有する有機層は、蒸着法でも湿式法(ウェットプロセス等ともいう)でも適用可能であるが、湿式法による有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に対して、より顕著な効果が発現することが分かった。湿式製造法への適用は有機エレクトロルミネッセンス素子の大面積化、低コスト化、高生産性の観点から有用と期待されているが、これまでに湿式製造法で製造された有機エレクトロルミネッセンス素子は、蒸着法で製造された有機エレクトロルミネッセンス素子に比較してドープ濃度の調整が難しく、濃度のばらつきが生じ易かった。このばらつきに起因すると考えられる発光性と発光寿命の両立の困難さを改善するという観点から、金属錯体を有する有機層が、湿式法により形成された有機層であることが好ましい。
なお、本発明において、有機層とは有機化合物を含有する層をいう。
《有機EL素子の構成層》
本発明の有機EL素子の構成層について説明する。
本発明では、陽極と陰極との間に、有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機層が金属錯体を含有することが好ましい。
本発明において、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(vi)陽極//正孔輸送層/陽極バッファー層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(vii)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
発光層は、ユニットを形成して発光層ユニットとしてもよい。更に、発光層間には非発光性の中間層を有していてもよく、中間層は電荷発生層を含んでいてもよい。
本発明の有機EL素子は白色発光することが好ましい。また本発明の有機EL素子を用いた照明装置であることが好ましい。
以下、本発明の有機EL素子を構成する各層について説明する。
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層若しくは複数層を設けることができる。
電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料、電子注入材料も含む)としては陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、電子輸送層の構成材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
電子輸送層に用いられる従来公知の材料(以下、電子輸送材料という)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、カルボリン誘導体、を含むアザカルバゾール誘導体等が挙げられる。ここで、アザカルバゾール誘導体とは、カルバゾール環を構成する炭素原子の1つ以上が窒素原子で置き換わったものを示す。
前記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引性基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も電子輸送材料として用いることができる。
更に、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも電子輸送材料として用いることができる。
また、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいい、例えば、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett法))等の公知の薄膜化法により成膜して形成することができる。
電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。この電子輸送層は前記材料の一種又は二種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。例えば、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
以下、本発明の有機EL素子の電子輸送層の形成に好ましく用いられる従来公知の化合物(電子輸送材料)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2013245179
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Figure 2013245179
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なお、本発明の有機EL素子の電子輸送層に更に好ましく用いられるのは下記の一般式(R−1)で表される化合物である。
Figure 2013245179
前記一般式(R−1)において、G〜Gは窒素原子又は−C(Rs)=を表し、該G〜Gの少なくとも1つは窒素原子を表す。Rrは置換基であって、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基であることが好ましい。Rsは水素原子又は置換基を表し、Rsで表される置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基であることが好ましく、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基であることがより好ましい。
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極又は電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層の膜厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、好ましくは2nm〜5μmの範囲に調整され、更に好ましくは2〜200nmの範囲に調整され、特に好ましくは5〜100nmの範囲に調整される。
発光層の形成には、後述する発光ドーパントやホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、湿式塗布法(ウェットプロセスともいい、例えば、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett法))等により形成することができる。
本発明の有機EL素子の発光層には、発光ドーパント(リン光発光性ドーパント(リン光ドーパント、リン光発光性ドーパント基ともいう)や蛍光ドーパント等)化合物と、発光ホスト化合物とを含有することが好ましい。
(1)発光性ドーパント化合物
発光性ドーパント化合物(発光ドーパントともいう。)について説明する。
発光性ドーパントとしては、蛍光ドーパント(蛍光性化合物ともいう。)、リン光ドーパント(リン光発光体、リン光性化合物、リン光発光性化合物等ともいう。)を用いることができる。
(1.1)リン光ドーパント
本発明に係るリン光ドーパント(リン光発光ドーパントともいう。)について説明する。
本発明に係るリン光ドーパント化合物は、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るリン光ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光ドーパントの発光は原理としては2種挙げられる。
1つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こって発光性ホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光ドーパントに移動させることでリン光ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型である。
もう1つはリン光ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光ドーパント上でキャリアの再結合が起こり、リン光ドーパント化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型である。
いずれの場合においても、リン光ドーパントの励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
本発明の実施形態における金属錯体はリン光ドーパントとして用いられることが好ましい。
以下、本発明の金属錯体について詳細に説明する。
本発明の金属錯体は下記一般式(1)で表される配位子を有する金属錯体であって、連結基Gと環Vとのそれぞれのファンデルワールス体積の合計値が、155Å以上であることを特徴とする。
Figure 2013245179
本発明における環V及び連結基Gを合算した体積の求め方について以下に説明する。
まず、上記一般式(1)で表される配位子を有する金属錯体の分子構造を分子計算して、該錯体の最安定化構造を求める。次に、最安定化構造において、連結基G又は環Vと環Aの結合を切除し、環Aを含む部分構造を削除する。すると、連結基G及び環Vの構造のみが残ることになるので、残った連結基G及び環Vについてファンデルワールス体積を算出し、この体積を本発明における“連結基Gと環Vとのそれぞれのファンデルワールス体積の合計値”と定義する。
本発明において、連結基Gと環Vとのそれぞれのファンデルワールス体積の合計値が155Å以上であれば、特に限定されないが、155〜500Åの範囲内が好ましく、160〜350Åが更に好ましく、200〜300Åが更に好ましく、200〜250Åの範囲内が最も好ましい。このように連結基G及び環Vを合算した体積を適度な範囲に調整することで、発光性と発光寿命を両立した有機EL素子を提供することができる。これは、金属錯体同士の相互作用や金属錯体と他の分子との相互作用が適度な範囲に調整されたためと考えられる。
本発明における、分子計算により求めた最安定化構造、とは米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian03(Gaussian 03,Revision D.01,M.J.Frisch,G.W.Trucks,H.B.Schlegel,G.E.Scuseria,M.A.Robb,J.R.Cheeseman,J.A.Montgomery,Jr.,T.Vreven,K.N.Kudin,J.C.Burant,J.M.Millam,S.S.Iyengar,J.Tomasi,V.Barone,B.Mennucci,M.Cossi,G.Scalmani,N.Rega,G.A.Petersson,H.Nakatsuji,M.Hada,M.Ehara,K.Toyota,R.Fukuda,J.Hasegawa,M.Ishida,T.Nakajima,Y.Honda,O.Kitao,H.Nakai,M.Klene,X.Li,J.E.Knox,H.P.Hratchian,J.B.Cross,V.Bakken,C.Adamo,J.Jaramillo,R.Gomperts,R.E.Stratmann,O.Yazyev,A.J.Austin,R.Cammi,C.Pomelli,J.W.Ochterski,P.Y.Ayala,K.Morokuma,G.A.Voth,P.Salvador,J.J.Dannenberg,V.G.Zakrzewski,S.Dapprich,A.D.Daniels,M.C.Strain,O.Farkas,D.K.Malick,A.D.Rabuck,K.Raghavachari,J.B.Foresman,J.V.Ortiz,Q.Cui,A.G.Baboul,S.Clifford,J.Cioslowski,B.B.Stefanov,G.Liu,A.Liashenko,P.Piskorz,I.Komaromi,R.L.Martin,D.J.Fox,T.Keith,M.A.Al−Laham,C.Y.Peng,A.Nanayakkara,M.Challacombe,P.M.W.Gill,B.Johnson,W.Chen,M.W.Wong,C.Gonzalez,and J.A.Pople,Gaussian,Inc.,Wallingford CT,2004).により、キーワードとしてB3LYP/LanL2DZを用いて構造最適化を行うことにより得られた構造、を意味する。求めたエネルギーやリン光波長等が実測値と良く相関しており、実際の系と近似した安定化構造が得られていると考えられる。
以下、一般式(1)で表される配位子について説明する。
環Aは単環の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。芳香族炭化水素環として、ベンゼン環であることが好ましい。また好ましい芳香族複素環基としてフラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環が挙げられ、ピリジン環、ピリミジン環のいずれかであることがより好ましく、ピリジン環であることが更に好ましい。また、環Aは5員環であっても6員環であっても良いが、より好ましくは6員環である。
さらに環Aのイミダゾール環と結合している原子と隣接している2つの原子のうち、少なくとも一方は炭素原子数2以上のアルキル基を置換基として有している。また、少なくとも一方は炭素原子数3以上のアルキル基を有することが好ましく、両方が炭素原子数3以上のアルキル基を有することがより好ましい。また、この時炭素原子数は2以上であれば特に限定されないが炭素原子数が8以下であることが好ましく、さらには炭素原子数が6以下であることがより好ましい。このようなアルキル基として、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、環状アルキル基のいずれであっても良く、分岐アルキル基であることが好ましい。分岐アルキル基として好ましくはα位に分岐を有するアルキル基であって、具体的にはイソプロピル基、2−ブチル基、2−(3−メチル)ブチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、3−(2−メチル)ペンチル基、3−ヘキシル基、3−(4−メチル)ヘキシル基等が好ましい例として挙げられ、イソプロピル基、2−(3−メチル)ブチル基、3−(2−メチル)ペンチル基であることがより好ましい。
環Aのイミダゾール環と結合している原子と隣接している2つの原子以外の環Aを構成する元素も、アルキル基等の置換基を有することができる。
環Bは芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、キノリン環、インドール環、カルバゾール環であることが好ましく、ベンゼン環、ピリジン環であることが更に好ましく、ベンゼン環であることが最も好ましい。
は環Bの置換基を表す。このような置換基として、例えばアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、イソブチル基、ドデシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロヘキシルオキシ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基等)、複素環基(例えば、エポキシ環、アジリジン環、オキセタン環、テトラヒドロフラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、1,3−ジオキサン環、トリオキサン環、チオモルホリン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、チオキサンテン環等から導出される一価の基)、芳香族炭化水素基(アリール基とも言い、例えば、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、フルオレン環、ペンタセン環、ペリレン環、ピレン環等から導出される一価の基)、芳香族複素環基(ヘテロアリール基とも言い、例えば、シロール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンズイミダゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズオキサゾール環、キノキサリン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環(カルバゾール環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わったものを表す)、ジベンゾシロール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ベンゾチオフェン環やジベンゾフラン環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わった環、ベンゾジフラン環、アクリジン環、フェナジン環、フェナントロリン環、ジベンゾカルバゾール環、インドロカルバゾール環等から導出される一価の基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、プロピルオキシ基、オクチルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ドデシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、エチルアミノスルホニル基、ジブチルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、3−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、エチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、フェニルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基等)、ホスホノ基等が挙げられ、好ましくはハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であって、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シリル基であって、さらに好ましくはアルキル基、アリール基である。
は0〜4の整数を表し、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
はイミダゾールの置換基を表し、このような置換基としては、上記Rと同様の置換基を挙げることができ、好ましくはアリール基、アルキル基である。
ncは0〜2の整数を表し、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
Gは任意の位置で環Aと結合した連結基を表し、このような連結基として、上記Rで表される置換基から更に水素原子を1つ除いた2価の連結基を挙げることができる。Gで表される連結基として、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、−O−、−S−、−C(R−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NR−、−Si(R−が挙げられる。連結基Gは、−O−、−S−、−C(R−、−C(=O)−又は−C(=O)O−のいずれかであることが金属錯体同士の相互作用を適切な範囲に調整する効果が得られることから、より好ましい。Rは水素原子又は置換基を表し、水素原子であることが好ましい。Rが置換基の場合、置換基としては上記Rと同様の置換基を挙げることができ、アルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
前記一般式(1)又は一般式(2)において、ngが1であり、連結基Gが単環の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、さらに連結基G及び環Aが、硫黄原子、酸素原子、炭素原子又は窒素原子を介して縮合環を形成することが好ましい。
この場合連結基Gは芳香族炭化水素環又は芳香族複素環であることが好ましく、より好ましくはベンゼン環、ピリジン環である。
また、連結基Gが芳香族炭化水素環又は芳香族複素環であって、連結基Gがさらに連結基を介して環Aと縮合環を形成する際の連結基は、−O−、−S−、−C(R−、−C(=O)−、−NR−と表すことができ、さらには−O−、−S−、−NR−のいずれかであることが好ましい。Rは水素原子又は置換基であり、置換基としては上記Rと同様の置換基を挙げることができ、好ましくは芳香族炭化水素環基、アルキル基である。
このように連結基Gがさらに連結基を介して環Aと縮合環を形成する場合、3環縮合環を形成することが好ましく、このような3環縮合環として、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フルオレン環又はフルオレノン環のいずれかであることが好ましい。これにより、金属錯体同士の相互作用に加え、金属錯体と他の有機物、特にホスト化合物との相互作用を適切な範囲に調整するという効果が得られる。カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フルオレン環のいずれかであることがより好ましく、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環のいずれかであることが更に好ましく、ジベンゾフラン環であることがさらに好ましい。
ngは1〜5の整数を表し、1〜3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。また、ngが2〜5の整数である場合、連結基Gは同一であっても異なっていても良い。
環Vは芳香族炭化水素環又は芳香族複素環であって置換基を有していても良い。またこれらの縮合環であっても良い。環Vで表される芳香族炭化水素環として好ましくはベンゼン環、ビフェニル環が挙げられ、芳香族複素環として好ましくはピリジン環、イミダゾール環等が挙げられ、さらにベンゼン環、ピリジン環であることがより好ましく、ベンゼン環であることが最も好ましい。また、好ましい置換基として芳香族炭化水素環又は芳香族複素環が挙げられ、ベンゼン環、ピリジン環が挙げられ、ベンゼン環あることがより好ましい。
また、前記一般式(1)で表される配位子を有する金属錯体が、下記一般式(2)で表されることが好ましい。
Figure 2013245179
式中、環A、環B、環V、連結基G、R、R、nb、nc及びngは、一般式(1)における環A、環B、環V、連結基G、R、R、nb、nc及びngとそれぞれ同義である。Mはイリジウム又は白金を表し、Lはモノアニオン性の2座配位子、nは1〜3の整数を表し、mは0〜2の整数を表す。
Lとして具体的には下記式(L1)〜(L9)で表される配位子等が挙げられる。
Figure 2013245179
式中、R′、R″及びR′″は水素原子又は置換基を表し、R′、R″及びR′″で表される置換基としては前述の一般式(1)におけるR及びRで表される置換基等が挙げられる。
Mはイリジウム又は白金を表し、好ましくはイリジウムである。
Xは酸素原子、硫黄原子、置換基を有する窒素原子のいずれかを表し、このような置換基として上記Rで表される置換基と同様の置換基を挙げることができ、アルキル基又は芳香族炭化水素環であることが好ましく、芳香族炭化水素環としてベンゼン環、ビフェニル環であることが好ましく、アルキル基としてメチル基、エチル基、イソプロピル基であることが好ましい。また該芳香族炭化水素環は窒素原子との連結位の2つの隣接位の原子のいずれか一方又は両方が置換基を有することが好ましく、このような置換基としてアルキル基を有することが好ましく、炭素数3以上のアルキル基を有することが更に好ましい。また、アルキル基は直鎖でも分岐でも環状であっても構わないが、分岐アルキル基、環状アルキル基であることが好ましく、分岐アルキル基であることがより好ましい。好ましいアルキル基としてはイソプロピル基、2−ブチル基、2−(3−メチル)ブチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、3−(2−メチル)ペンチル基が挙げられ、更にはイソプロピル基、2−ブチル基、2−(3−メチル)ブチル基であることがより好ましい。
nは1〜3の整数を表し、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
mは0〜2の整数を表し、1又は2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
m+nは2又は3を表し、m+nは中心金属Mの価数と同じ数字である。
(L1)〜(L9)で表される配位子において、好ましくは(L4)、(L5)、(L6)、(L7)、(L8)及び(L9)であり、更に好ましくは(L5)、(L6)、(L7)、(L8)及び(L9)であり、さらに好ましくは(L5)、(L8)及び(L9)であり、さらに好ましくは(L5)及び(L8)である。
本発明に係る前記一般式(2)で表される金属錯体の中でも、下記一般式(3−1)及び一般式(3−2)で表される有機金属錯体が好ましい。
Figure 2013245179
一般式(3−1)及び(3−2)において環B、R、nb、環V、L、M、n及びmは一般式(2)における環B、R、nb、環V、L、M、n及びmと同義である。
及びRは水素原子又は炭素数2以上のアルキル基を表し、少なくとも一方は炭素原子数2以上のアルキル基であって、共に炭素原子数2以上のアルキル基であることが更に好ましい。このようなアルキル基として炭素原子数3以上のアルキル基であることが更に好ましい。具体的にはエチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基のいずれであっても良く、分岐アルキル基であることが好ましい。分岐アルキル基として好ましくはα位に分岐を有するアルキル基であって、具体的にはイソプロピル基、2−ブチル基、2−(3−メチル)ブチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、3−(2−メチル)ペンチル基、3−ヘキシル基、3−(4−メチル)ヘキシル基等が好ましい例として挙げられ、イソプロピル基、2−(3−メチル)ブチル基、3−(2−メチル)ペンチル基であることがより好ましい。
Wは好ましくは−O−、−S−、−C(R−、−C(=O)−、−NR−のいずれかであって、−O−、−S−、−NR−のいずれかであることが好ましく、−NR−であることがより好ましい。Rは前記Rと同義であり、好ましい例も前記Rと同じである。
連結基Gは芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基であり、芳香族炭化水素環基として好ましくはベンゼン環であり、芳香族複素環基として好ましくはピリジン環であり、ベンゼン環であることがより好ましい。
また、本発明に係る前記一般式(2)で表される有機金属錯体の中でも、下記一般式(4−1)又は(4−2)で表される金属錯体が好ましい。
Figure 2013245179
一般式(4−1)及び(4−2)において環B、R、nb、環V、L、M、n及びmは一般式(2)における環B、R、nb、環V、L、M、n及びmと同義である。
及びRは水素原子又は炭素数2以上のアルキル基を表し、少なくとも一方は炭素原子数2以上のアルキル基であって、共に炭素原子数2以上のアルキル基であることが更に好ましい。このようなアルキル基として炭素原子数3以上のアルキル基であることが更に好ましく。具体的にはエチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基のいずれであっても良く、分岐アルキル基であることが好ましい。分岐アルキル基として好ましくはα位に分岐を有するアルキル基であって、具体的にはイソプロピル基、2−ブチル基、2−(3−メチル)ブチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、3−(2−メチル)ペンチル基、3−ヘキシル基、3−(4−メチル)ヘキシル基等が好ましい例として挙げられ、イソプロピル基、2−(3−メチル)ブチル基、3−(2−メチル)ペンチル基であることがより好ましい。
Gは連結基を表し、一般式(1)における連結基Gと同義である。
また、本発明の金属錯体の分子量については、特に限定されないが、800以上、2000未満であることが好ましく、1000以上、1750未満であることがさらに好ましく、1100以上、1500未満であることがより好ましい。
上記した本発明の金属錯体は、有機EL素子の有機層において、いずれの層に用いられていてもよい。有機層が、金属錯体を含有することにより、発光効率と長寿命を両立する効果が得られる。金属錯体は、発光層、電子輸送層、正孔輸送層に用いられることが好ましく、発光層、正孔輸送層に用いられることがより好ましく、発光層に用いられることが更に好ましい。更に、本発明の金属錯体は、発光層中のドーパント材料としてホスト材料と共に用いられることが最も好ましい。
上記した本発明の金属錯体は有機層中に3〜45質量%含有することが好ましい。さらに好ましくは有機層中に10〜40質量%含有することであり、より好ましくは12〜35質量%含有することである。本発明では、有機金属錯体を多量に用いても発光効率の劣化が少ない。
以下、本発明の金属錯体の例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2013245179
Figure 2013245179
Figure 2013245179
Figure 2013245179
Figure 2013245179
Figure 2013245179
Figure 2013245179
Figure 2013245179
Figure 2013245179
Figure 2013245179
以下に、本発明の金属錯体及び比較の化合物の合成例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例として化合物(13)及び比較化合物2の合成方法を説明する。
《例示化合物(13)の合成》
(配位子の合成)
(配位子中間体N1の合成)
Figure 2013245179
1L4頭フラスコに別途調整した2−ヨード−7−ニトロジベンゾフラン、15.0gとジベンゾフラン−2−ボロン酸、10.5g及び炭酸カリウム12.2gを加え、さらにDME(ジメトキシエタン)350mlと水50mlを加え、撹拌しながら窒素ガスで30分間バブリングした。
ここにジクロロ[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)、1.8gを加え、窒素雰囲気下で8時間加熱還流した。
放冷後、不溶物をセライトで除き、THF(テトラヒドロフラン)、350mlを加え抽出し、水層が中性になるまで有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。この粗成物をTHF/EtOH(エタノール)で再結晶し、目的の中間体N1、19.0gを得た(収率、43%)。目的物の構造はNMR及びMassスペクトルで確認した。
(配位子1及び金属錯体の合成)
上記中間体N1から配位子1の合成及び配位子1から金属錯体(例示化合物(13))の合成は、米国特許公報第2011/020433号明細書を参考に合成した。参考までに反応スキームを下記に示す。
Figure 2013245179
Figure 2013245179
例示化合物(13)の構造はNMR及びMassスペクトルで確認し、後述する有機エレクトロルミネッセンス素子の作製においては、さらにGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)精製を行ったサンプルを用いた。
《比較化合物2の合成》
(配位子の合成)
(中間体M1の合成)
Figure 2013245179
1L丸底フラスコに4−アミノジフェニルメタン、50g及びジクロロメタン350mlを加え氷水冷した。ここにN−ブロモスクシンイミド、102gをジクロロメタン300mlに溶解した溶液を、5℃以下を保ちながら滴下した。滴下終了後、室温に戻し、さらに1時間撹拌した後、水を加え、有機層を抽出した。さらに有機層を水、200mlで3回洗浄したのち、ジクロロメタンを減圧留去した。この粗成物をEtOHから再結晶し、目的の中間体M1、42gを得た(収率、45%)。中間体M1の構造はNMRスペクトルで確認した。
(中間体M2の合成)
Figure 2013245179
1L4頭フラスコに中間体M1、40.5g、DME(ジメトキシエタン)、500ml及びベンズアルデヒド、13.8gを加え、エステル環をつけて加熱還流し、溶媒100mlを留去した。放冷後、窒素ガスで15分バブリングし、4,4,5,5−テトラメチル−2−プロペニル−1,3,5−ジオキサボラン、17.2g、リン酸カリウム、76.6g、S−Phos(2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2,6−ジメトキシビフェニル)、4.9g及びビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、3.4gを加え、16時間加熱還流した。
放冷後、1N塩酸、200mlを加え3時間撹拌した後、水酸化ナトリウム水溶液を水層が弱塩基性を示すまで添加した。混合溶液から有機層を抽出し、食塩水で3回水洗したのち、有機層をセライト濾過し、溶媒を減圧留去して組成物を得た。この粗成物をEtOH分散して目的の中間体M2、21.0gを得た(収率、67%(やや副生成物あり))。
(中間体M3の合成)
Figure 2013245179
中間体M2、20gを水添用1Lフラスコに入れ、THF、300ml、EtOH、300mlを加え溶解させた。ここにパラジウム炭素、4.0gを加え、水素気流下、激しく撹拌した。なお、8時間撹拌後、パラジウム炭素をセライト濾過し、新規にパラジウム炭素、4.0gを加え、さらに8時間水素気流下、激しく撹拌した。
反応終了後、パラジウム炭素をセライト濾過で除去し、溶液を減圧留去した後、カラムクロマトグラフィーによって精製し、目的の中間体M3、13.6gを得た(収率、67%)。目的物の構造はNMR及びMassスペクトルで確認した。
(配位子2の合成)
Figure 2013245179
中間体M3、13.0gを500mlフラスコに入れ、ここにアセトニトリル、250ml及びピリジン50mlを加え氷水冷した。この溶液に塩化ベンゾイル、8.2gとアセトニトリル20mlの混合溶液を5℃以下を保ちながら滴下した。滴下終了後、溶媒を減圧留去し組成物を得た。
この粗成物にトルエン、150mlを加え、塩化ホスホリル、7.8gを加え、2時間加熱還流すると組成物が溶解した。放冷後、溶媒を減圧留去し、トルエン100mlを加え撹拌した後、溶媒を減圧留去した。
再びトルエン、300mlを加え、氷冷しながらアミノアセタール、14.8gを滴下し、続けてトリエチルアミン、19.4gを加え激しく2時間撹拌した。反応後、有機層を分液ろうとに移し、水50mlで2回洗浄したのち、有機層を減圧留去しオイル状の組成物を得た。
さらにこの粗成物にトルエン、300ml及びリン酸カリウムの85%水溶液、16.7gを加え、エステル環を着けて溶媒20mlを3回抜きながら6時間加熱還流した。
放冷後、10%炭酸カリウム水溶液を発泡が収まるまで注意深く加え、有機層を抽出し、続けて水で2回、食塩水で1回洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾別し、ろ液を減圧濃縮して粗成物を得た。
さらに組成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、目的の配位子2、6.0gを得た(収率、31%)。目的配位子の構造はNMR及びMassスペクトルによって確認した。
(比較化合物2の合成)
Figure 2013245179
100ml3頭フラスコに配位子2、0.8g、錯体M4(μ−クロロ錯体)、1.7g及びグリセリン、40mlを加え50℃まで加熱後、激しく撹拌した。さらに窒素気流下、反応溶液を170℃まで加熱し、4時間反応させた。
放冷後、反応液に水、50mlを添加し、激しく撹拌し、組成物をろ取した。この組成物をカラムクロマトグラフィー、GPCによって精製し、比較化合物2、0.7gを得た(収率、21%)。
なお、後述する有機エレクトロルミネッセンス素子の作製においては、さらに昇華精製を行ったサンプルを用いた。
本発明の目的効果を損なわない範囲で、本発明の有機EL素子に係る発光層には、以下の特許公報に記載されている化合物等を併用してもよい。
例えば、国際公開第00/70655号、特開2002−280178号公報、特開2001−181616号公報、特開2002−280179号公報、特開2001−181617号公報、特開2002−280180号公報、特開2001−247859号公報、特開2002−299060号公報、特開2001−313178号公報、特開2002−302671号公報、特開2001−345183号公報、特開2002−324679号公報、国際公開第02/15645号、特開2002−332291号公報、特開2002−50484号公報、特開2002−332292号公報、特開2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、特開2002−338588号公報、特開2002−170684号公報、特開2002−352960号公報、国際公開第01/93642号、特開2002−50483号公報、特開2002−100476号公報、特開2002−173674号公報、特開2002−359082号公報、特開2002−175884号公報、特開2002−363552号公報、特開2002−184582号公報、特開2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、特開2002−226495号公報、特開2002−234894号公報、特開2002−235076号公報、特開2002−241751号公報、特開2001−319779号公報、特開2001−319780号公報、特開2002−62824号公報、特開2002−100474号公報、特開2002−203679号公報、特開2002−343572号公報、特開2002−203678号公報等である。
(1.2)蛍光ドーパント
蛍光ドーパント(蛍光性化合物ともいう)としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等や、レーザー色素に代表される蛍光量子収率が高い化合物が挙げられる。
(1.3)従来公知の発光ドーパントとの併用
また、発光ドーパントは、複数種の化合物を併用して用いてもよく、構造の異なるリン光ドーパント同士の組み合わせや、リン光ドーパントと蛍光ドーパントを組み合わせて用いてもよい。
ここで、発光ドーパントとして、使用可能な発光ドーパントの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2013245179
Figure 2013245179
Figure 2013245179
Figure 2013245179
Figure 2013245179
Figure 2013245179
Figure 2013245179
Figure 2013245179
Figure 2013245179
(2)ホスト化合物
本発明の有機EL素子の発光層に含まれるホスト化合物とは、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物であることが好ましく、更に好ましくはリン光量子収率が0.01未満の化合物である。
ホスト化合物は、1種の化合物が単独で用いられてもよいし、又は複数種の化合物が併用して用いられてもよい。
本発明に用いられる発光ホスト化合物としては、構造的には特に制限はないが、代表的にはカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族ボラン誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するもの、又は、カルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の少なくとも1つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す。)等が挙げられる。
また、本発明に用いられるホスト化合物は、低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
ホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ、発光の長波長化を防ぎ、高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
本発明においては、発光層を単層としていても、複数層有していても良く、その場合にはホスト化合物は発光層ごとに異なっていてもよいが、同一の化合物であると、優れた駆動寿命特性及び色度安定性を得られることから好ましい。
また、前記ホスト化合物は、その最低励起3重項エネルギー(T1)が、2.7eVより大きいことがより高い発光効率を得られることから好ましい。本発明でいう最低励起3重項エネルギーとは、ホスト化合物を溶媒に溶解し、液体窒素温度において観測したリン光発光スペクトルの最低振動バンド間遷移に対応する発光バンドのピークエネルギーをいう。
また、前記ホスト化合物のT1の値は、米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用い、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより算出した値(eV単位換算値)を用いることもできる。この計算値が有効な背景には、この手法で求めた計算値と実験値の相関が高いためである。
本発明においては、ガラス転移点が90℃以上の化合物が好ましく、更には130℃以上の化合物が優れた駆動寿命特性を得られることから好ましい。
ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
本発明の有機EL素子においては、ホスト材料はキャリアの輸送を担うため、キャリア輸送能を有する材料が好ましい。キャリア輸送能を表す物性としてキャリア移動度が用いられるが、有機材料のキャリア移動度は、一般的に電界強度に依存性が見られる。電界強度依存性の高い材料は、正孔と電子注入・輸送バランスを崩しやすいため、中間層材料、ホスト材料は、移動度の電界強度依存性の少ない材料を用いることが好ましい。
また、前記ホスト化合物は分子量が500以上2000以下であることが好ましく、より好ましくは500以上1500以下である。
なお、本発明の有機EL素子のホスト材料として、更に好ましく用いられるのは下記の一般式(H1)で表される化合物である。
一般式(H1)
Qm−Ln
一般式(H1)において、Qで表される置換していても良い芳香族炭化水素環又は芳香族複素環としては、前述の一般式(1)の環Vにおける芳香族炭化水素環及び芳香族複素環と同様のものが挙げられる。
Qの置換基としては後述の一般式(H2)におけるR′及びR″で表される置換基等が挙げられる。
一般式(H1)において、Lは置換していても良い縮合した芳香族複素環を表す。Lとしては、インドール環、ベンズイミダゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、チエノチオフェン環、3環以上の環が縮合してなる芳香族複素環(ここで、3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環としては、N、O及びSから選択されたヘテロ原子を、縮合環を構成する元素として含有する芳香族複素縮合環であることが好ましく、具体的には、カルバゾール環、アザカルバゾール環(カルバゾール環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わったものを表す)、ジベンゾシロール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ベンゾチオフェン環やジベンゾフラン環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わった環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、アクリジン環、ベンゾキノリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、ジベンゾカルバゾール環、インドロカルバゾール環、ジチエノベンゼン環等)等が挙げられる。
Lの置換基としては後述の一般式(H2)におけるR′及びR″で表される置換基等が挙げられる。
Lは好ましくは3環以上の環が縮合してなる芳香族複素環であり、中でも一般式(H2′)で表される芳香族複素環であることが好ましい。
Figure 2013245179
一般式(H2′)において、A′はO原子、S原子又はNR′″基を表し、A′11〜A′18はN原子又はCR″″を表す。好ましくはA′11〜A′18が全てCR″″である。
一般式(H2′)において、R′″及びR″″は他の基との連結部位、水素原子又は置換基を表し、CR″″が複数ある場合、各々のCR″″は同じでも異なっていても良く、また複数のR″″が互いに結合して環を形成してもよい。
R′″及びR″″で表される置換基としては、後述の一般式(H2)におけるR′及びR″で表される置換基等が挙げられる。
一般式(H1)において、n及びmはそれぞれ1〜3の整数である。nが2以上の時は、Lは互いに異なっていても良く、mが2以上の時は、Qは互いに異なっていても良い。より好ましくはm+nが3以上である。
一般式(H1)で表される化合物は、分子内に一般式(H2)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2013245179
一般式(H2)において、AはO原子、S原子、NR′基又はCR″=CR″を表し、A11〜A23はN原子又はCR″を表す。好ましくはAがO原子、S原子又はNR′基である。また、好ましくはA11〜A23が全てCR″である。
一般式(H2)において、R′及びR″は他の基との連結部位、水素原子又は置換基を表し、CR″が複数ある場合、各々のCR″は同じでも異なっていても良く、また複数のR″が互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(H2)において、R′及びR″で表される置換基としては、例えばアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、非芳香族炭化水素環基(例えば、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、テトラヒドロナフタレン環、9,10−ジヒドロアントラセン環、ビフェニレン環等から導出される一価の基)、非芳香族複素環基(例えば、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1,1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、オキサントレン環、チオキサンテン環、フェノキサチイン環等から導出される一価の基)、芳香族炭化水素基(例えば、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等から導出される一価の基)、芳香族複素環基(例えば、シロール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンズイミダゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、チエノチオフェン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環(カルバゾール環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わったものを表す)、ジベンゾシロール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ベンゾチオフェン環やジベンゾフラン環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わった環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、アクリジン環、ベンゾキノリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、ジベンゾカルバゾール環、インドロカルバゾール環、ジチエノベンゼン環等から導出される一価の基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
一般式(H2)で表される構造は、下記一般式(H2−1)又は(H2−2)で表されることが好ましい。
Figure 2013245179
一般式(H2−1)又は(H2−2)において、A及びA11〜A23は前述の一般式(H2)におけるA及びA11〜A23同義である。
一般式(H1)で表される化合物は、好ましくは一般式(H3)〜(H22)で表される。
Figure 2013245179
一般式(H3)〜(H22)において、L及びQは前記一般式(H1)の定義と同様である。
一般式(H3)〜(H22)において、少なくとも1つのLがカルバゾール環であることが好ましい。
以下、本発明に係る一般式(H1)及び一般式(H3)〜(H22)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2013245179
Figure 2013245179
Figure 2013245179
Figure 2013245179
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Figure 2013245179
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《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。
例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体及び導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更に、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、いわゆるp型正孔輸送材料を用いることもできる。
本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は、前記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
正孔輸送層の膜厚については、特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は前記材料の一種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもでき、例えば、特開平4−297076号、特開2000−196140号、同2001−102175号の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
以下に、本発明の有機EL素子の正孔輸送層の形成に好ましく用いられる化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。なお、nは2以上の整数を表す。本発明の有機EL素子に用いられる重合体の数平均分子量は、1000〜100000の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、2000〜50000の範囲内である。この範囲とすることで、塗布法で有機EL素子の有機層を形成する場合に、溶媒への溶解性及び粘度が有機層形成に適するようになり、有機層を容易に形成することができる。
Figure 2013245179
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また、正孔輸送材料として分子内に4個以上の窒素原子を有する芳香族オリゴアミン化合物含有することが好ましい。このようなオリゴアミン化合物は下記一般式(OA)で表される。
Figure 2013245179
式中、Ar及びArは、それぞれ独立して、核炭素数6〜30のアリーレン基又は核原子数5〜30の芳香族複素環基であり、Aは、単結合、核炭素数6〜30のアリーレン基、核原子数5〜30の芳香族複素環基、アミノ基、フルオレニレン基である。B、Bは水素原子又はフッ素原子、シアノ基を表す。n1は、0又は1を、n2は1以上1000以下の整数を表し、nが2以上の場合、各々のAr、Ar、A、B、Bは、同一でも異なっていてもよい。Ar、Ar、A、B、Bは、1個以上の置換基を有していてもよく、各々が結合して環を形成してもよい。環を形成する場合は、縮合芳香族環を形成することが好ましい。
また分子内の窒素原子数は、Ar、Ar、A、B、B上の置換基に含まれる窒素原子の数は含まない。
一般式(OA)で表される具体的化合物例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2013245179
Figure 2013245179
Figure 2013245179
さらに芳香族オリゴアミンとして以下に示すような化合物構造を利用できる。
芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物(米国特許第4,127,412号明細書、特開昭53−27033号公報、同54−58445号公報、同54−149634号公報、同54−64299号公報、同55−79450号公報、同55−144250号公報、同56−119132号公報、同61−295558号公報、同61−98353号公報、同63−295695号公報)、ピリジン誘導体(特開2003−282270号公報)、ポルフィリン化合物(特開昭63−295965号公報等参照)、アニリン系共重合体(特開平2−282263号公報、WO08/129947号明細書等参照)、フェニレンジアミン誘導体(米国特許第3,615,404号明細書、特公昭51−10105号公報、同46−3712号公報、同47−25336号公報、特開昭54−53435号公報、同54−110536号公報、同54−119925号公報等参照)。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、前記有機化合物薄膜の基本的な構成層の他に、必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、前記電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。
本発明の有機EL素子における正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
正孔阻止層には、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体(ここで、アザカルバゾール誘導体とは、カルバゾール環を構成する炭素原子の1つ以上が窒素原子で置き換わったものを示す)を含有することが好ましい。
また、本発明においては、複数の発光色の異なる複数の発光層を有する場合、その発光極大波長が最も短波にある発光層が、全発光層中、最も陽極に近いことが好ましいが、このような場合、当該最短波層と当該最短波層の次に陽極に近い発光層との間に正孔阻止層を追加して設けることが好ましい。
更には、当該位置に設けられる正孔阻止層に含有される化合物の50質量%以上が、前記最短波発光層のホスト化合物に対しそのイオン化ポテンシャルが0.3eV以上大きいことが好ましい。
イオン化ポテンシャルは、化合物のHOMO(最高占有軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義され、例えば、下記に示すような方法により求めることができる。
(1)米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用い、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより算出した値(eV単位換算値)として求めることができる。この計算値が有効な背景には、この手法で求めた計算値と実験値の相関が高いためである。
(2)イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接測定する方法により求めることもできる。例えば、理研計器社製の低エネルギー電子分光装置「Model AC−1」を用いて、又は紫外光電子分光として知られている方法を好適に用いることができる。
一方、電子阻止層とは、広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ、電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで、電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、前記正孔輸送層の構成を、必要に応じて電子阻止層として用いることができる。
本発明において、正孔阻止層、電子阻止層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲内であり、更に好ましくは3〜30nmの範囲内である。
《注入層:正孔注入層(陽極バッファー層)、電子注入層(陰極バッファー層)》
注入層には、正孔注入層と電子注入層がある。
注入層は、陽極と発光層又は正孔輸送層との間、陰極と発光層又は電子輸送層との間に必要に応じて設けられる。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のため、電極と有機層との間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123頁〜166頁)にその詳細が記載されている。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体バッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるオルトメタル化錯体層等が挙げられる。
正孔注入層は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、前記芳香族オリゴアミン化合物に代表されるオリゴアミンバッファー層、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
電子注入層は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウム、フッ化ナトリウムやフッ化カリウム等に代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
注入層はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
また、正孔注入層及び電子注入層に用いられる材料は、他の材料と併用して用いることも可能であり、例えば、正孔輸送層や電子輸送層中に混合して用いることも可能である。
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。
このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で、透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状パターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。
この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極のシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に、膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
一方、陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質として用いられる。
このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極のシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は、通常10nm〜5μmの範囲が好ましく、更に好ましくは50〜200nmの範囲である。
なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が、透明又は半透明であると、発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの範囲内の膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
《支持基板》
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等ともいう)としては、ガラス、プラスチック等、種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。
好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル又はポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)又はアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の皮膜又はその両者のハイブリッド皮膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が10−3ml/(m・24h・MPa)以下、水蒸気透過度が10−5g/(m・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に、バリア膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ処理法、大気圧プラズマ処理法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ処理法によるものが特に好まし
い。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し量子効率は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。ここで、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用してもよく、有機EL素子からの発光色を、蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
《有機EL素子の製造方法》
有機EL素子の製造方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極から構成される有機EL素子の製造方法について説明する。
まず、適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1.0μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲内の膜厚になるように形成させて、陽極を作製する。
次に、この陽極上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等の有機化合物を含有する薄膜を順次形成させる。
特に本願発明の金属錯体を有する有機層は、蒸着法でも湿式法(ウェットプロセス等ともいう)でも適用可能であるが、湿式法による有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に対して、より顕著な効果が発現することが分かった。湿式製造法への適用は有機エレクトロルミネッセンス素子の大面積化、低コスト化、高生産性の観点から有用と期待されているが、これまでに湿式製造法で製造された有機エレクトロルミネッセンス素子は、蒸着法で製造された有機エレクトロルミネッセンス素子に比較してドープ濃度の調整が難しく、濃度のばらつきが生じ易かった。このばらつきに起因すると考えられる発光性と発光寿命の両立の困難さを改善するという観点から、金属錯体を有する有機層が、湿式法により形成された有機層であることが好ましい。
湿式塗布法としては、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法等があるが、精密な薄膜が形成可能で、且つ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法などのロール・ツー・ロール方式適性の高い方法が好ましい。また、層ごとに異なる製膜法を適用してもよい。
本発明に係る有機EL素子材料を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホオキシド(DMSO)等の有機溶媒を用いることができる。分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
これらの層を順次形成した後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
また、順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には陽極を+、陰極を−の極性として、電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
本発明の有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
《封止》
本発明の有機EL素子は、陽極、陰極、及び陽極と陰極との間に設けられる各層を、封止部材によって外気から遮断して封止しておくことが好ましい。
本発明に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されていればよく、凹板状でも平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に問わない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、有機EL素子を薄膜化できるということから、ポリマーフィルム、金属フィルムを使用することが好ましい。
更には、ポリマーフィルムは、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・MPa)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が1×10−3g/(m・24h)以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤として、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、封止膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。
更に、前記封止膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。
これら封止膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ処理法、大気圧プラズマ処理法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、中でも、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
《保護膜、保護板》
有機層を挟み支持基板と対向する側の封止膜又は封止用フィルムの外側に、有機EL素子の機械的強度を高めるため、保護膜又は保護板を設けてもよい。特に封止が封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜又は保護板を設けることが好ましい。
これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
《光取り出し》
有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15〜20%程度の光しか取り出せないと一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は全反射を起こし、有機EL素子の外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が有機EL素子の側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法として、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)、有機EL素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(基板と外界間を含む)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
本発明においては、これらの方法を本発明の有機EL素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、又は基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(基板と外界間を含む)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度又は耐久性に優れた有機EL素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚さで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど外部への取り出し効率が高くなる。低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましく、更には、1.35以下であることが好ましい。
また、低屈折率媒質の厚さは媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは低屈折率の媒質の厚さが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面若しくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は回折格子が1次の回折や2次の回折といったいわゆるブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間若しくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。これに対し、屈折率分布を二次元的な分布にすると、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては前述のとおり、いずれかの層間若しくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。
回折格子の配列は正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、二次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
《集光シート》
本発明の有機EL素子は、基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工すること、又は集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば、有機EL素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を二次元に配列する。一辺は10〜100μmの範囲内が好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚さが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして、例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることができる。
プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
また、発光素子からの光放射角を制御するために、光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
《用途》
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。
発光光源として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれらに限定するものではない。特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機EL素子においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、有機EL素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。
本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング(株)製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
また、本発明の有機EL素子が白色素子の場合、白色とは、2度視野角正面輝度を前記方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.1の領域内にあることをいう。
《表示装置》
本発明の表示装置について説明する。本発明の表示装置は、本発明の有機EL素子を具備したものである。本発明の表示装置は単色でも多色でもよいが、ここでは多色表示装置について説明する。
多色表示装置の場合は発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、スピンコート法、印刷法である。
表示装置に具備される有機EL素子の構成は、必要に応じて本発明の有機EL素子の中から選択される。また、有機EL素子の製造方法は、前述の本発明の有機EL素子の製造方法の一態様に示したとおりである。
得られた多色表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
多色表示装置は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレイにおいて、赤、緑、青発光の3種の有機EL素子を用いることによりフルカラーの表示が可能となる。
表示デバイス、ディスプレイとしては、テレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
発光光源としては家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
以下、本発明の有機EL素子を有する表示装置の一例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の有機EL素子から構成される表示装置の構成の一例を示した概略斜視図であって、有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
図1に示すとおり、ディスプレイ1は、複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。
制御部Bは表示部Aと電気的に接続されている。制御部Bは、複数の画素それぞれに対し、外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送る。その結果、各画素が走査信号により走査線毎に画像データ信号に応じて順次発光し、画像情報が表示部Aに表示される。
図2は、図1に記載の表示部Aの模式図である。
表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。
図2においては、画素3の発光した光が白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料から構成されている。走査線5とデータ線6は互いに格子状に直交して、その直交する位置で画素3に接続されている(詳細は図示していない)。
画素3は、走査線5から走査信号が送信されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を適宜同一基板上に並列配置することによって、フルカラー表示が可能となる。
《照明装置》
本発明の照明装置について説明する。本発明の照明装置は、本発明の有機EL素子を有する。
本発明の有機EL素子は共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよく、このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、レーザー発振をさせることにより前記用途に使用してもよい。更に、本発明の有機EL素子は照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
また、本発明の有機EL材料は照明装置として、実質白色の発光を生じる有機EL素子に適用できる。複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得る。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有したものでもよい。
また複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光又は蛍光で発光する材料を複数組み合わせたもの、蛍光又はリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたもののいずれでもよいが、本発明に係る白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせ混合するだけでよい。
発光層、正孔輸送層又は電子輸送層等の形成時のみマスクを設け、マスクにより塗り分ける等単純に配置するだけでよく、他層は共通であるのでマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で電極膜等を形成でき、生産性も向上する。
この方法によれば、複数色の発光素子をアレー状に並列配置した白色有機EL装置と異なり、素子自体が発光白色である。
発光層に用いる発光材料としては特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係る金属錯体、また公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すればよい。
《本発明の照明装置の一態様》
本発明の有機EL素子を具備した、本発明の照明装置の一態様について説明する。
本発明の有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚さ300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを陰極上に重ねて透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止し、図3、図4に示すような照明装置を形成することができる。
図3は、照明装置の概略図を示している。
図3に示すとおり、有機EL素子101はガラスカバー102で覆われている。ガラスカバー102での封止作業は、有機EL素子101を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行われる。
図4は、照明装置の断面図を示している。
図4に示すとおり、陰極105及び有機EL層106は、透明電極付きガラス基板107上に形成されている。ガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例に用いる化合物の構造とファンデルワールス体積の求め方を以下に示す。
Figure 2013245179
≪環Vと連結基Gのファンデルワールス体積の合計値≫
Figure 2013245179
[ファンデルワールス体積の求め方]
比較化合物1を例にして、本発明に係る環Vと連結基Gのファンデルワールス体積の合計値の求め方を以下に示す。
1)比較化合物1で表される金属錯体の最安定化構造を、米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian03を用いて分子計算により求める。
2)該最安定化構造において、環Aと連結基G又は環Vの結合を切断し、環Aを含む部分構造を削除する。具体的には上記、右図において点線で表される部分が環Aを含む部分構造に該当する。
3)残った連結基G及び環Vのファンデルワールス体積を求める。具体的には上記右図の点線枠で囲った部分、より具体的にはビフェニルから水素原子を1つ除いた構造、のファンデルワールス体積を求める。
上記比較化合物1の場合、比較化合物1で表される金属錯体の体積は1360Åであり、環V及び連結基Gの体積は、154Åとなる。
なお、連結基Gがさらに連結基を介して環Aと縮合環を形成する際の連結基−O−、−S−、−C(R−、−C(=O)−、−NR−は、連結基Gの置換基とみなし、連結基Gのファンデルワールス体積の計算に含める。
(実施例1)
≪。有機EL素子1−1の作製≫
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を用いて3000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した後、200℃にて1時間乾燥し、膜厚20nmの第1正孔輸送層を設けた。
この基板を窒素雰囲気下に移し、前記第1正孔輸送層上に、50mgのHT−27を10mlのトルエンに溶解した溶液を用いて1500rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した。80℃に基板を加熱しながら110秒間紫外光を照射し、光重合・架橋を行い、更に60℃で1時間真空乾燥し、膜厚約20nmの第2正孔輸送層とした。
この第2正孔輸送層上に、150mgのホスト化合物HS−3と、ドーパント化合物として20mgの比較化合物1とを10mlの酢酸ブチルに溶解した溶液を用いて1000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した。更に60℃で1時間真空乾燥し、膜厚60nmの発光層とした。
次に、この発光層上に、50mgのET−11を10mlのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解した溶液を用いて1000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した。更に60℃で1時間真空乾燥し、膜厚約25nmの電子輸送層とした。
続いて、この基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、陰極バッファー層としてフッ化カリウム0.4nmを蒸着し、更にアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子1−1を作製した。
≪有機EL素子1−2〜1−20の作製≫
有機EL素子1−1の作製において、ドーパント化合物である比較化合物1を表1に記載のドーパント化合物に変えた以外は同様にして有機EL素子1−2〜1−20を作製した。
≪有機EL素子2−1の作製≫
有機EL素子1−1の作製において、発光層形成時に使用するホスト化合物HS−3を100mg、ドーパント化合物の比較化合物1を50mgに変更し、ドーパント化合物とホスト化合物の比率を変えてドーパント化合物の比率を12質量%から33質量%に増やした以外は有機EL素子1−1の作製同様にして、有機EL素子2−1を作製した。
また、先に作製した有機EL素子1−1と有機EL素子2−1の組み合わせをサンプル1とした。塗布膜厚は同じであるため、サンプル1では、単位面積あたりのドーパント化合物の塗設量は約2.8倍異なる。
≪有機EL素子2−2〜2−20の作製≫
有機EL素子2−1の作製において、ドーパント化合物である比較化合物1を表1に記載の化合物に変えた以外は有機EL素子2−1の作製と同様にして有機EL素子2−2〜2−20を作製した。それぞれドーパント化合物の比率のみ変えた組み合わせをサンプル2〜20とし、表1に示した。
≪有機EL素子1−1〜2−20の評価≫
得られた有機EL素子を評価するに際しては、作製後の各有機EL素子の非発光面をガラスカバーで覆い、ガラスカバーと有機EL素子が作製されたガラス基板とが接触するガラスカバー側の周囲にシール剤としてエポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラクストラックLC0629B)を適用し、これを上記陰極側に重ねて前記透明支持基板と密着させ、ガラス基板側から有機EL素子を除いた部分にUV光を照射して硬化させ、封止して、下記の図3,4に示すような照明装置を形成して評価した。
次いで、下記評価を行った。
[発光効率]
有機EL素子1−1〜1−20及び有機EL素子2−1〜2−20を室温(約23℃〜25℃)、2.5mA/cmの定電流条件下で発光させ、発光開始直後の発光輝度(L)[cd/m]を測定することにより、外部取り出し量子効率(η)を算出した。
以下の発光輝度の測定はCS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いた。
各サンプルにおける素子1の各素子と素子2の各素子のEQEの割合を発光性として表2に示した。
例えば、比較の化合物1を用いたサンプル番号1、有機EL素子1−1と有機EL素子2−1の場合であれば下記式となる。
(発光性)=(有機EL素子2−1のEQE/有機EL素子1−1のEQE)×100
この値が100に近い値を示すほど、ドーパント化合物の量を増やしても発光効率が低下しないことを示す。
[寿命変化]
有機EL素子1−1〜1−20及び有機EL素子2−1〜2−20を室温下、初期輝度1000cd/mを示す定電流条件下による連続発光を行い、初期輝度の70%の輝度になるのに要する時間(τ70)を測定し発光寿命とした。さらに表1に表されるサンプル番号Xによって有機EL素子1−Xと有機EL素子2−Xの各寿命の変化率を求め、下記、表2には各サンプルに対し、サンプル番号4の変化率を1.00とする相対値として、寿命変化を表した。なお、変化率は、サンプル番号4、有機EL素子1−4と有機EL素子2−4の場合であれば下記、式(A)で求められ、各サンプル番号Xの寿命変化は下記、式(B)で求められる。
式(A)
(変化率)=(有機EL素子2−4の発光寿命/有機EL素子1−4の発光寿命)×100
式(B)
(寿命変化)=(各サンプル番号の変化率/サンプル番号4の変化率)×100
表2には環Vと連結基Gのファンデルワールス体積の合計値を共に示した。
Figure 2013245179
Figure 2013245179
表2より、比較の化合物をドーパント化合物に用いた有機EL素子は発光層のドープ濃度を上昇させると発光性が大幅に低下するのに対し、本発明の金属錯体をドーパント化合物に用いた有機EL素子では発光層のドープ濃度を増やしても発光性はほぼ保持していることが分かる。
また、有機EL素子のドープ濃度を変化させた寿命変化を見ると、本発明の金属錯体を用いた有機EL素子では発光寿命が保持あるいは長寿命化するのに対し、比較の化合物を用いた有機EL素子では発光寿命が大幅に低下することがわかる。
このように本発明の金属錯体を用いることで、ドープ濃度を増やしても発光効率が低下せず、さらに発光寿命の長い有機EL素子を提供できることがわかる。
(実施例2)
≪有機EL素子3−1の作製≫
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウム錫酸化物)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方モリブデン製抵抗加熱ボートにHT−2を300mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにHT−2を300mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにHS−199を300mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボート比較の化合物2を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにET−8を200mg入れ、さらに別のモリブデン製抵抗加熱ボートにET−7を200mg入れ、真空蒸着装置に取り付けた。
次いで真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、HT−2の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で、透明支持基板に蒸着し10nmの正孔注入層を設けた。
更にHT−2の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で、前記正孔注入層上に蒸着し30nmの正孔輸送層を設けた。
更にホスト化合物HS−199とドーパント化合物である比較化合物2の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.1nm/秒、0.015nm/秒で、前記正孔輸送層上に共蒸着し60nmの発光層を設けた。
更にET−8の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で、前記発光層上に蒸着し10nmの正孔阻止層を設けた。
更にET−7の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で、前記正孔阻止層上に蒸着し30nmの電子輸送層を設けた。
引き続き、陰極バッファー層としてフッ化リチウム0.5nmを蒸着し、更にアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子3−1を作製した。
≪有機EL素子3−2〜3−11の作製≫
有機EL素子3−1の作製において、ドーパント化合物の比較化合物2を表3に記載のドーパント化合物に変えた以外は同様にして有機EL素子3−2〜3−11を作製した。
≪有機EL素子3−1〜3−11の評価≫
得られた有機EL素子を評価するに際しては、作製後の各有機EL素子の非発光面をガラスカバーで覆い、ガラスカバーと有機EL素子が作製されたガラス基板とが接触するガラスカバー側の周囲にシール剤としてエポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラクストラックLC0629B)を適用し、これを上記陰極側に重ねて前記透明支持基板と密着させ、ガラス基板側から有機EL素子を除いた部分にUV光を照射して硬化させ、封止して、下記の図3,4に示すような照明装置を形成して評価した。
次いで、下記評価を行った。
(駆動電圧)
有機EL素子3−1〜3−11を室温下、輝度300cd/mを示す電流条件で発光させたときの、電圧を測定し、駆動電圧とした。なお、駆動電圧は有機EL素子3−1を100とした相対値で示した。駆動電圧の数字が小さい程、低電圧から発光することを示す。
(発光寿命)
有機EL素子3−1〜3−11を室温下、初期輝度1000cd/mを示す定電流条件下による連続発光を行い、初期輝度の70%の輝度になるのに要する時間(τ70)を測定した。なお、発光寿命は有機EL素子3−2を100と設定する相対値で表3に表した。また、表3には、環Vと連結基Gのファンデルワールス体積の合計値を示した。
Figure 2013245179
なおドーパント化合物に比較化合物1及び比較化合物3を用いた有機EL素子も上記有機EL素子3−1と同様にして作製したが、製膜後、比較化合物1及び比較の化合物3の入っていたモリブデン製抵抗加熱ボートを調べたところ、残渣が着色しており、上記評価における値も非常に低い値を示したため表には記載しなかった。
表3より、本発明の金属錯体を用いた有機EL素子は比較化合物2を用いた有機EL素子に対し、駆動電圧が低下していることが分かり、発光寿命も2倍以上に向上していることが分かる。このように本発明の金属錯体は蒸着法で製造した有機EL素子に対しても有用であることが分かる。
(実施例3)
《有機EL素子4−1の作製》
100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に、陽極としてITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した基板(AvanStrate株式会社製、NA−45)にパターニングを行った。その後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥して、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer株式会社製、Baytron P Al4083)を純水で70%に希釈した溶液を用い、スピンコート法により薄膜を形成した後、200℃にて1時間乾燥し、膜厚30nmの第1正孔輸送層を設けた。
この第1正孔輸送層上に、正孔輸送材料Poly(N,N′−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N′−ビス(フェニル))ベンジジン(American Dye Source株式会社製、ADS−254)のクロロベンゼン溶液を用い、スピンコート法により薄膜を形成した。150℃で1時間加熱乾燥し、膜厚40nmの第2正孔輸送層を設けた。
この第2正孔輸送層上に、120mgのホスト化合物HS−154と30mgのドーパント化合物である比較化合物1とを10mlの酢酸ブチルに溶解した溶液を用い、スピンコート法により薄膜を形成し、120℃で1時間加熱乾燥し、膜厚30nmの発光層を設けた。なお、発光層において、ドーパント化合物の含有比率は20質量%である。
この発光層上に、電子輸送材料としてのET−16の1−ブタノール溶液を用い、スピンコート法により薄膜を形成し、膜厚20nmの電子輸送層を設けた。
この基板を、真空蒸着装置に取付け、真空槽を4×10−4Paまで減圧した。次いで、フッ化リチウムを蒸着して膜厚1.0nmの電子注入層を形成し、アルミニウムを蒸着して膜厚110nmの陰極を形成し、有機EL素子4−1を作製した。
《有機EL素子4−2〜4−15の作製》
有機EL素子4−1の作製において、発光層における比較化合物1を表4に示すドーパント化合物に変更した以外は同様にして、有機EL素子4−2〜4−15を各々作製した。
《有機EL素子4−1〜4−15の評価》
得られた有機EL素子を評価するに際しては、作製後の各有機EL素子の非発光面をガラスカバーで覆い、ガラスカバーと有機EL素子が作製されたガラス基板とが接触するガラスカバー側の周囲にシール剤としてエポキシ系光硬化型接着剤を適用し、これを上記陰極側に重ねて前記透明支持基板と密着させ、ガラス基板側から有機EL素子を除いた部分にUV光を照射して硬化させ、封止して、下記の図3,4に示すような照明装置を形成して評価した。
次いで、下記評価を行った。
(発光効率)
有機EL素子4−1〜4−15を室温(約23℃〜25℃)、2.5mA/cmの定電流条件下で発光させ、発光開始直後の発光輝度(L)[cd/m]を測定することにより、外部取り出し量子効率(η)を算出した。
ここで、発光輝度の測定はCS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いた。
発光効率の数値は、有機EL素子4−4の値を100とする相対値で示した。
(発光寿命)
有機EL素子4−1〜4−15を室温下、初期輝度1000cd/mを示す定電流条件下による連続発光を行い、初期輝度の70%の輝度になるのに要する時間(τ70)を測定した。なお、発光寿命は有機EL素子4−4を100と設定する相対値で表3に示した。また、表3には、環Vと連結基Gのファンデルワールス体積の合計値を示した。
Figure 2013245179
表4より、本発明の金属錯体を用いた有機EL素子4−4〜4−15は比較化合物1、2及び3を用いた有機EL素子4−1〜4−3に対し、発光効率が高く、発光寿命も向上していることが分かる。このように本発明の金属錯体は湿式法で製造した場合であっても、発光性が高く、長寿命な有機EL素子を提供できることがわかる。
(実施例4)
≪有機EL素子5−1の作製≫
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウム錫酸化物)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を用いて3000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した後、200℃にて1時間乾燥し、膜厚20nmの第1正孔輸送層を設けた。
この基板を窒素雰囲気下に移し、前記第1正孔輸送層上に、47mgのHT−44と3mgのHT−45とを10mlのトルエンに溶解した溶液を用いて1500rpm、30秒の条件の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した。120℃、90秒間紫外光を照射し、光重合・架橋を行い、更に60℃で1時間真空乾燥し、膜厚約20nmの第2正孔輸送層を形成した。
この第2正孔輸送層上に、100mgのホスト化合物HS−2と、それぞれ青色、緑色、赤色に発光するドーパント化合物として30mgの本発明の金属錯体(13)、0.5mgのD−3及び0.2mgのD−10を10mlの酢酸ブチルに溶解した溶液を用いて600rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した。更に60℃で1時間真空乾燥し、膜厚約70nmの発光層とした。
次に、この発光層上に、50mgのET−13を10mlのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解した溶液を用いて1500rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した。更に60℃で1時間真空乾燥し、膜厚約20nmの電子輸送層とした。
続いて、この基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、陰極バッファー層としてフッ化カリウム0.4nmを蒸着し、更にアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子4−1を作製した。
作製した素子に通電したところ、2度視野角正面輝度を前記方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.1の領域内にある白色発光を示した。また、そのまま連続で24時間点灯後も白色の発光が得られ、照明装置として使用できることが確認できた。
なお白色光の測定には、CS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いた。
≪有機EL素子5−2の作製≫
前記有機EL素子5−1の作製において、本発明の金属錯体(13)を比較化合物2に替えた以外は同様にして有機EL素子5−2を作製した。
作製した素子に通電したところ、通電初期10分は白色の発光を示したが、徐々に色味が変化し、2時間後には橙へ変化し、照明装置としては利用できないことがわかった。
1 ディスプレイ
3 画素
5 走査線
6 データ線
A 表示部
B 制御部
101 有機EL素子
102 ガラスカバー
105 陰極
106 有機EL層
107 透明電極付きガラス基板
108 窒素ガス
109 捕水剤

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表される配位子を有する金属錯体であって、連結基Gと環Vとのそれぞれのファンデルワールス体積の合計値が、155Å以上であることを特徴とする金属錯体。
    Figure 2013245179
    (式中、環Aは、単環の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、イミダゾール環と結合している原子と隣接している2つの原子のうち、少なくとも一方は、炭素原子数2以上のアルキル基を置換基として有する。環Bは、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。R及びRは置換基を表し、nbは0〜4の整数を表し、ncは0〜2の整数を表す。Gは任意の位置で環Aに置換した連結基である。連結基Gと環Aが縮合環を形成しても良い。ngは1〜5の整数を表す。環Vは、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。)
  2. 前記一般式(1)で表される配位子を有する金属錯体が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1に記載の金属錯体。
    Figure 2013245179
    (式中、環A、環B、環V、連結基G、R、R、nb、nc及びngは、一般式(1)における環A、環B、環V、連結基G、R、R、nb、nc及びngと同義である。Mはイリジウム又は白金を表し、Lはモノアニオン性の2座配位子、nは1〜3の整数を表し、mは0〜2の整数を表す。)
  3. 前記一般式(1)又は一般式(2)において、ngが1を表し、連結基Gが−O−、−S−、−C(R−、−C(=O)−又は−C(=O)O−のいずれかである、ただしRは水素原子又は置換基を表し、2つのRは同じでも異なっていても良い、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属錯体。
  4. 前記一般式(1)又は一般式(2)において、ngが1であり、連結基Gが単環の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、さらに連結基G及び環Aが、硫黄原子、酸素原子、炭素原子又は窒素原子を介して縮合環を形成し、当該縮合環がカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フルオレン環又はフルオレノン環のいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属錯体。
  5. 前記一般式(1)又は一般式(2)中、環Aの、前記イミダゾール環と結合している原子と隣接している2つの原子が、共に置換基を有し、少なくとも一方の置換基は炭素原子数3以上の分岐アルキル基であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の金属錯体。
  6. 陽極と陰極との間に、有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機層が、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の金属錯体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記金属錯体を有する有機層が、湿式法により形成された有機層であることを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 白色発光することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 請求項6から請求項8までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が具備されていることを特徴とする表示装置。
  10. 請求項6から請求項8までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が具備されていることを特徴とする照明装置。
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