JP5919739B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)は、発光する化合物を含有する発光層を陰極と陽極で挟んだ構成を有し、電界を印加することにより、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子が発光層内で再結合することにより励起子(エキシトン)が生成する。このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用した発光素子である。電極と電極の間を厚さわずかサブミクロン程度の有機材料の膜で構成する全固体素子であり、かつ、その発光が数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であることから、次世代の平面ディスプレイや照明への利用が期待されている。
実用化に向けた有機EL素子の開発としては、プリンストン大より、励起三重項からのリン光発光を用いる有機EL素子の報告がされ(例えば、非特許文献1参照)、以来、室温で燐光を示す材料の研究が活発になってきている(例えば、特許文献1、非特許文献2参照)。
さらに、最近発見されたリン光発光を利用する有機EL素子では、以前の蛍光発光を利用する素子に比べ原理的に約4倍の発光効率が実現可能であることから、その材料開発を初めとし、発光素子の層構成や電極の研究開発が世界中で行われている。例えば多くの化合物がイリジウム錯体系等重金属錯体を中心に合成検討がなされている(例えば、非特許文献3参照)。
このように大変ポテンシャルの高い方式であるが、リン光発光を利用する有機ELデバイスにおいては、蛍光発光を利用する有機ELデバイスとは大きく異なり、発光中心の位置をコントロールする方法、とりわけ発光層の内部で再結合を行い、いかに発光を安定に行わせることができるかが、有機EL素子の効率・寿命を捕らえる上で重要な技術的な課題となっている。
そこで近年、発光層に隣接する形で、(発光層の陽極側に位置する)正孔輸送層と(発光層の陰極側に位置する)電子輸送層を備えた多層積層型の有機EL素子が良く知られている(例えば、特許文献2参照)。また、発光層にはホスト化合物とリン光発光性化合物をドーパントとして用いた混合層が多く用いられている。
一方、材料の観点からは高いキャリア輸送性や熱的、電気的に安定な材料が求められている。特に青色リン光発光を利用するにあたっては、青色リン光発光性化合物自身が高い三重項励起エネルギー(T1)を有しているために、適用可能な周辺材料の開発と精密な発光中心の制御が強く求められている。
代表的な青色リン光発光性化合物としてはFIrpicが知られており、主配位子のフェニルピリジンにフッ素置換をすること、及び副配位子としてピコリン酸を用いることにより短波化が実現されている。これらのドーパントはカルバゾール誘導体やトリアリールシラン類をホスト化合物として組み合わせることによって高効率の有機EL素子を達成しているが、有機EL素子の発光寿命は大幅に劣化するため、そのトレードオフの改善が求められていた。
近年、高いポテンシャルを有する青色リン光発光性化合物として、特定の配位子を有する金属錯体が特許文献3で開示され、発光効率、発光寿命の点では改善されている。しかしながら、実用化上の指標である電力効率の点では未だ十分ではない。例えば、長時間連続発光させた場合や高温・多湿下などにおいては発光層内のキャリアバランス変化が生じ、結果発光輝度の低下を主因とする素子性能の劣化が懸念される。特許文献3にはこのような経時安定性の観点については記載されておらず、更なる改良が必要であることが分かってきた。
また一方で、大面積化、低コスト化、高生産性に対する要求から、湿式法(ウエットプロセス等ともいう)に対する期待が大きい。湿式法は、真空プロセスでの成膜に比して低温で成膜可能であるため、下層の有機層のダメージを低減でき、さらに発光効率や素子寿命の改善の面からも大きな期待が寄せられている。しかし、現状では溶剤に対する溶解性、溶液安定性、駆動電圧等プロセスビリティーの点でも不十分であり、更なる改良技術が不可欠であることが分かってきた。
米国特許第6,097,147号明細書 特開2005−112765号公報 米国特許出願公開第2011/0057559号明細書
M.A.Baldo et al.,nature,395巻,151〜154ページ(1998年) M.A.Baldo et al.,nature,403巻,17号、750〜753頁(2000年) S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻,4304頁(2001年)
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、発光効率が高く、低駆動電圧、長寿命であり、かつ経時安定性に優れ、さらにウェットプロセスによる生産適性を有する機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.陽極と陰極の間に少なくとも発光層及び電子輸送層からなる有機層が挟持された有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
前記電子輸送層の少なくとも1層を、半導体ナノ粒子が含フッ素アルコールに液相レーザーアブレーション法により分散した半導体ナノ粒子分散液より成膜したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
2.前記半導体ナノ粒子分散液が、下記一般式(1)を部分構造に有する有機EL用電子輸送材料を含有することを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
Figure 0005919739
[一般式(1)中、R〜Rは、水素原子または置換基を表す。また互いの置換基が結合し、環を形成しても良い。]
.前記発光層が下記一般式(2)で表される配位子が配位した青色リン光発光性有機金属錯体を含有することを特徴とする前記1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
Figure 0005919739
[式中、環A及び環Bは5員または6員の芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表す。Arは芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表す。
及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよく、R及びRの少なくとも一つは炭素原子数2以上のアルキル基またはシクロアルキル基である。
Ra、Rb及びRcはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。
na及びncは1または2を表し、nbは1〜4の整数を表す。]
.前記一般式(2)で表される配位子が配位した青色リン光発光性有機金属錯体が、下記一般式(3)で表される青色リン光発光性有機金属錯体であることを特徴とする前記に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
Figure 0005919739
[式中、環A及び環Bは5員または6員の芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表す。Arは芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表す。
及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよく、R及びRの少なくとも一方は炭素原子数2以上のアルキル基またはシクロアルキル基である。Ra、Rb及びRcはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。
na及びncは1または2を表し、nbは1〜4の整数を表す。
L’はMに配位したモノアニオン性の二座配位子のうちの1つまたは複数である。Mは原子番号40以上かつ元素周期表における8〜10族の遷移金属原子を表す。m’は0〜2の整数を表し、n’は1〜3の整数を表し、m’+n’は2または3である。]
.前記一般式(3)が、下記一般式(3−1)で表されることを特徴とする前記に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
Figure 0005919739
[式中、Arは芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表す。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよく、R及びRの少なくとも一方は炭素原子数2以上のアルキル基またはシクロアルキル基である。
Ra、Rb及びRcはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。
na及びncは1または2を表し、nbは1〜4の整数を表す。
L’はMに配位したモノアニオン性の二座配位子のうちの1つまたは複数である。Mは原子番号40以上かつ元素周期表における8〜10族の遷移金属原子を表す。m’は0〜2の整数を表し、n’は少なくとも1であり、m’+n’は2または3である。]
.前記一般式(3)または前記一般式(3−1)におけるMがIrであることを特徴とする前記又はに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
.白色に発光する有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする前記のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
本発明により、発光効率が高く、低駆動電圧、長寿命であり、かつ経時安定性に優れ、さらにウェットプロセスによる生産適性を有する機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供することができた。
有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。 表示部Aの模式図である。 画素の模式図である。 パッシブマトリクス方式フルカラー表示装置の模式図である。 照明装置の概略図である。 照明装置の断面図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に係る半導体ナノ粒子分散液は、半導体ナノ粒子が含フッ素アルコールに分散されたものである。
また、本発明の半導体ナノ粒子分散液は、一般式(1)で表される電子輸送材料を含有することが望ましい。
Figure 0005919739
そして、有機EL素子を構成する有機層中のいずれか一層が、当該半導体ナノ粒子分散液により成膜される。
《含フッ素アルコール》
置換可能な水素原子の一部あるいは全てがフッ素原子で置換されたアルコールを指す。
該アルコールは、1〜3級のアルコールでも良く、2価以上の多価アルコールでも構わないが、分散溶媒としての使用観点から、融点が100℃以下好ましくは50℃以下、更に好ましくは室温以下(室温で液体であることと同義)である。
そのようなアルコールの例としては、1級アルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−アミルアルコール、ヘキサノール、オクタノール、ベンジルアルコール等)、2級アルコール(イソプロパノール、イソブタノール、sec−ブタノール等)、3級アルコール(ter−ブタノール、t−アミルアルコール、2−メチル−2−ペンタノール、2,3−ジメチル−2−ヘキサノール)多価アルコールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルアルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
本発明中の含フッ素アルコールとは、前述のアルコールの一部または全てがフッ素原子で置換されたものが挙げられる。さらに、含フッ素アルコールの具体例として、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール等が挙げられる。
《半導体ナノ粒子》
有機EL素子を構成する有機層中のいずれか一層に、半導体ナノ粒子が含有されている。半導体ナノ粒子の伝導帯のエネルギー準位は−5.5〜−1.5eVであることが好ましい。半導体ナノ粒子は好ましくは電子輸送層に含有される。
半導体ナノ粒子の製造方法は、固相状態の原料から反応による核生成または粉砕等により粒子化する固相法、溶液等により液相状態とした原料から反応、分散、固化により粒子化する液相法、ガス化等により気相状態とした原料から反応、凝結、結晶化により粒子化する気相法に大別され、粒径分布が狭い無機ナノ粒子の製造方法としては、ビルドアッププロセスである液相法および気相法が有力である。
液相法としては、コロイド合成法、ゾル―ゲル法、噴霧法等があり、気相法としてはCVD法や蒸着凝集法が挙げられるが、本発明の効果を鑑み、後述するフッ素アルコール中で、液相レーザーアブレーション法もしくはマイクロ液中プラズマ法により、ナノ粒子を製造する方法が最適である。特に、液相レーザーアブレーション法の使用が適している。
半導体ナノ粒子は、金属の酸化物、窒化物、硫化物またはハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸化物または金属ハロゲン化物からなることがさらに好ましく、金属酸化物からなることが最も好ましい。
金属原子としては、3〜5族の金属(スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ)や、銅、セリウム、インジウム、スズおよびガリウム、アルミニウム、亜鉛、モリブデンが好ましく、ジルコニウム、イットリウムおよびチタンがさらに好ましい。二種類の金属を含む化合物を用いてもよい。更に、半導体ナノ粒子は金属ナノ粒子の表面だけを酸化させた表面被覆タイプの金属酸化物ナノ粒子であってもよい。
金属酸化物ナノ粒子材料としては、酸化スカンジウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化ガリウム、酸化セリウム、酸化スズ、酸化亜鉛等が挙げられ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化イットリウムが中でも好適に使用できる。しかしながら、同じ酸化物であっても製造方法や材料の状態によって伝導帯レベルは変化するため、その他の金属を含む酸化物ナノ粒子等も適宜使用することができる。
半導体ナノ粒子の粒子径(平均粒子径)は、可視光の波長よりも十分小さく、かつ可視光の波長領域で光散乱をしない粒子径であることが好ましい。半導体ナノ粒子の好ましい粒子径としては1nm〜100nmであり、より好ましくは1nm〜50nmであり、特に好ましくは2nm〜30nmである。
平均粒子径の測定方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば透過型電子顕微鏡(TEM)により半導体ナノ粒子の粒子観察を行い、そこから粒子径分布の数平均粒子径として求める方法、動的光散乱法により半導体ナノ粒子の粒子径分布を測定し、その数平均粒子径として求める方法等が挙げられる。
半導体ナノ粒子の添加量は添加する層の全構成物質100質量部に対して5〜90質量%であることが好ましく、10〜70質量%であるとより好ましい。
半導体ナノ粒子の伝導帯のエネルギー準位としては、−5.5〜−1.5eVの範囲が好ましく、−5.4〜−1.8eVの範囲がより好ましく、−3.0〜−1.8eVの範囲がさらに好ましく、−2.1〜−1.8eVの範囲が最も好ましい。
ここで、半導体ナノ粒子の伝導帯のエネルギー準位を−5.5〜−1.5eVとしたのは、本発明の好ましい形態は、有機EL素子材料であり、上記範囲を超えると、隣接層もしくは同一層内の有機化合物とのエネルギー準位のマッチングが悪く、本発明の効果を活かすことができないからである。
半導体ナノ粒子の伝導帯のエネルギー準位は、上記電子輸送層を構成する電子輸送材料のLUMO準位と、上記発光層のホスト化合物のLUMO準位との間にある。更に、半導体ナノ粒子の伝導帯のエネルギー準位は、上記電子輸送層を構成する電子輸送材料のLUMO準位と、上記発光層の発光ドーパントのLUMO準位との間にあり、好ましくは電子輸送材料のLUMO準位より低く、少なくとも1つの発光ドーパントのLUMO準位よりも高い。
半導体ナノ粒子の伝導帯のエネルギー準位を見積もる方法としては、紫外線光電子分光法、X線光電子分光法、オージェ電子分光法により求められる価電子帯のエネルギー準位および光学的バンドギャップエネルギーから見積もる方法がある。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、一般式(2)で表される配位子が配位した青色リン光発光性有機金属錯体(金属錯体ドーパント)を含有する発光層に対し、陽極上の少なくとも1層に分子内に4個以上の窒素原子を有する芳香族オリゴアミン化合物を含有することにより、高い発光輝度と低駆動電圧、さらに発光寿命の長寿命化も同時に達成できることを見出し、本発明に至った。さらに、本発明の有機EL素子は経時安定性の点でも改善された有機EL素子が得られることが分かった。
以下、本発明に係る化合物について説明する。
《一般式(2)で表される配位子が配位した青色リン光発光性有機金属錯体》
Figure 0005919739
一般式(2)において、環A及び環Bで表される5員または6員の芳香族炭化水素環としては、例えばベンゼン環が挙げられる。
一般式(2)において、環A及び環Bで表される5員または6員の芳香族炭化水素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、等が挙げられる。より好ましくは環Bがベンゼン環であり、さらに好ましくは環Aがベンゼン環である。
一般式(2)において、Arで表される芳香族炭化水素環基の芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
一般式(2)において、Arで表される芳香族炭化水素環基の芳香族複素環としては、例えば、シロール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンズイミダゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、チエノチオフェン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環(カルバゾール環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わったものを表す)、ジベンゾシロール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ベンゾチオフェン環やジベンゾフラン環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わった環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、アクリジン環、ベンゾキノリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、ジベンゾカルバゾール環、インドロカルバゾール環、ジチエノベンゼン環等が挙げられる。
一般式(2)において、Arで表される非芳香族炭化水素環基の非芳香族炭化水素環としては、例えば、シクロアルカン(例えばシクロペンタン環、シクロヘキサン環等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、シクロヘキシルアミノスルホニル基、テトラヒドロナフタレン環、9,10−ジヒドロアントラセン環、ビフェニレン環等が挙げられる。
一般式(2)において、Arで表される非芳香族炭化水素環基の非芳香族複素環としては、例えば、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1,1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、オキサントレン環、チオキサンテン環、フェノキサチイン環等が挙げられる。
一般式(2)においてArで表されるこれらの基は、さらに置換基を有していてもよく、さらに置換基同士が互いに結合して環を形成してもよい。置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭化水素環基、芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。好ましくは、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アルコキシ基が挙げられる。
好ましくは、Arは芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基であり、より好ましくは芳香族炭化水素環基であり、さらに好ましくはフェニル基である。
一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよく、R及びRの少なくとも一つは炭素原子数2以上のアルキル基またはシクロアルキル基である。
一般式(2)において、R及びRで表されるアリール基及びヘテロアリール基としては、前述の一般式(2)においてArで表される芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基から導出される1価の基が挙げられる。
一般式(2)において、R及びRで表される非芳香族炭化水素環基及び非芳香族複素環基としては、前述の一般式(2)においてArで表される非芳香族炭化水素環基及び非芳香族複素環基から導出される1価の基が挙げられる。好ましくは、R及びRが炭素原子数2以上のアルキル基またはシクロアルキル基であり、また、R1及びR2の少なくとも一つが炭素原子数3以上の分岐アルキル基であることも好ましい。さらに好ましくはR及びRが炭素原子数3以上の分岐アルキル基である。
一般式(2)において、Ra、Rb及びRcはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい
一般式(2)において、Ra、Rb及びRcで表されるアリール基及びヘテロアリール基としては、前述の一般式(2)においてArで表される芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基から導出される1価の基が挙げられる。
一般式(2)において、Ra、Rb及びRcで表される非芳香族炭化水素環基及び非芳香族複素環基としては、前述の一般式(2)においてArで表される非芳香族炭化水素環基及び非芳香族複素環基から導出される1価の基が挙げられる。
一般式(2)において、na及びncは1または2を表し、nbは1〜4の整数を表す。
《一般式(3)で表される青色リン光発光性有機金属錯体》
Figure 0005919739
一般式(3)において、環A、環B、Ar、R、R、Ra、Rb、Rc、na、nb及びncは、前記一般式(3)の環A、環B、Ar、R、R、Ra、Rb、Rc、na、nb及びncと同義である。
一般式(3)において、L’で表されるMに配位したモノアニオン性の二座配位子の具体例としては、下記式の配位子が挙げられる。
Figure 0005919739
式中、Rd’、Rd’’及びRd’’’は水素原子または置換基を表し、Rd’、Rd’’及びRd’’’で表される置換基としては一般式(3)においてArで表される基への置換基とした挙げたものが挙げられる。
一般式(3)において、Mは原子番号40以上かつ元素周期表における8〜10族の遷移金属原子を表すが、中でもOs、Ir、Ptが好ましく、さらにIrが好ましい。
一般式(3)において、m’は0〜2の整数を表し、n’は1〜3の整数を表し、m’+n’は2または3を表す。好ましくはn’が3または2、かつm’が0である。
本発明に係る一般式(3)で表される青色リン光発光性有機金属錯体の中でも、一般式(3−1)で表される有機金属錯体が好ましい。
《一般式(3−1)で表される青色リン光発光性有機金属錯体》
Figure 0005919739
一般式(3−1)において、Ar、R、R、Ra、Rb、Rc、na、nb、nc、M、L’、m’及びn’は、上記一般式(3)のAr、R、R、Ra、Rb、Rc、na、nb、nc、M、L’、m’及びn’と同義である。
本発明に係る一般式(3)で表される配位子が配位した化合物、一般式(3)または(3−1)で表される化合物は、国際公開2006−121811号パンフレット等に記載の公知の方法を参照することにより合成可能である。
以下に、本発明において、好ましく用いることのできる一般式(3)で表される配位子が配位した化合物、一般式(3)または(3−1)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005919739
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《有機EL素子の構成層》
本発明の有機EL素子の構成層について説明する。本発明において、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(vi)陽極//正孔輸送層/陽極バッファー層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(vii)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
複数の発光層が含まれる場合、該発光層間に非発光性の中間層を有してもよい。また、上記層構成の内、陽極及び陰極を除く発光層を含む有機層を1つの発光ユニットとし、複数の発光ユニットを積層することが可能である。該複数の積層された発光ユニットにおいては、発光ユニット間に非発光性の中間層を有していてもよく、さらに中間層は電荷発生層を含んでいてもよい。
本発明の有機EL素子としては白色発光層であることが好ましく、これらを用いた照明装置であることが好ましい。
本発明の有機EL素子を構成する各層について説明する。
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層の膜厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2nm〜5μmの範囲に調整することが好ましく、さらに好ましくは2〜200nmの範囲に調整され、特に好ましくは、5〜100nmの範囲である。
発光層の作製には、後述する発光ドーパントやホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいい、例えば、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett法)等を挙げることができる。))等により製膜して形成することができる。
本発明の有機EL素子の発光層には、発光ドーパント(リン光発光性ドーパント(リン光ドーパント、リン光発光性ドーパント基ともいう)や蛍光ドーパント等)化合物と、発光ホスト化合物とを含有し、少なくとも1つの発光ドーパントは前述の一般式(2)または(3)で表される青色リン光発光性有機金属錯体である。
(発光性ドーパント化合物)
発光性ドーパント化合物(発光ドーパントともいう)について説明する。
発光性ドーパントとしては、蛍光ドーパント(蛍光性化合物ともいう)、リン光ドーパント(リン光発光体、リン光性化合物、リン光発光性化合物等ともいう)を用いることができる。
(リン光ドーパント(リン光発光ドーパントともいう))
本発明に係るリン光ドーパントについて説明する。
本発明に係るリン光ドーパント化合物は、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るリン光ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光ドーパントの発光は原理としては2種挙げられ、1つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こって発光性ホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光ドーパントに移動させることでリン光ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型、もう1つはリン光ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光ドーパント上でキャリアの再結合が起こり、リン光ドーパント化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、リン光ドーパントの励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
また、本発明に係る発光層には、以下の特許公報に記載されている化合物等を併用してもよい。
例えば、国際公開第00/70655号、特開2002−280178号公報、特開2001−181616号公報、特開2002−280179号公報、特開2001−181617号公報、特開2002−280180号公報、特開2001−247859号公報、特開2002−299060号公報、特開2001−313178号公報、特開2002−302671号公報、特開2001−345183号公報、特開2002−324679号公報、国際公開第02/15645号、特開2002−332291号公報、特開2002−50484号公報、特開2002−332292号公報、特開2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、特開2002−338588号公報、特開2002−170684号公報、特開2002−352960号公報、国際公開第01/93642号、特開2002−50483号公報、特開2002−100476号公報、特開2002−173674号公報、特開2002−359082号公報、特開2002−175884号公報、特開2002−363552号公報、特開2002−184582号公報、特開2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、特開2002−226495号公報、特開2002−234894号公報、特開2002−235076号公報、特開2002−241751号公報、特開2001−319779号公報、特開2001−319780号公報、特開2002−62824号公報、特開2002−100474号公報、特開2002−203679号公報、特開2002−343572号公報、特開2002−203678号公報等である。
(蛍光ドーパント(蛍光性化合物ともいう))
蛍光ドーパントとしては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、または希土類錯体系蛍光体等や、レーザー色素に代表される蛍光量子収率が高い化合物が挙げられる。
また本発明に係る発光ドーパントは、複数種の化合物を併用して用いてもよく、構造の異なるリン光ドーパント同士の組み合わせや、リン光ドーパントと蛍光ドーパントを組み合わせて用いてもよい。
以下に、本発明において、好ましく用いることのできる公知のリン光ドーパント化合物の具体例を挙げる。勿論、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005919739
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(発光ホスト化合物(発光ホスト等ともいう))
本発明においてホスト化合物は、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であり、かつ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
本発明に用いることができる発光ホストとしては、特に制限はなく、従来有機EL素子で用いられる化合物を用いることができるが、本発明の有機EL素子の発光層の青色リン光発光ドーパントに対するホストとして特に好ましい例を以下に示す。
Figure 0005919739
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また、ホスト化合物としては、従来公知の化合物を本発明に係る上記ホスト化合物と併用してもよい。併用してもよい化合物としては、代表的にはカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するもの、または、カルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の少なくとも1つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す。)等が挙げられる。
本発明に用いることができる公知の発光ホストとしては正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。より好ましくはTgが100℃以上である。
発光ホストを複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。
また、前記リン光ドーパントとして用いられる公知の化合物を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
また、本発明に用いられる発光ホストとしては、低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(重合性発光ホスト)でもよく、このような化合物を一種または複数種用いてもよい。
公知の発光ホストの具体例としては、以下の文献に記載の化合物が挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
《注入層:正孔注入層(陽極バッファー層)、電子注入層(陰極バッファー層)》
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123頁〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるオルトメタル化錯体層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウム、フッ化ナトリウムやフッ化カリウム等に代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
また、陽極バッファー層及び陰極バッファー層に用いられる材料は、他の材料と併用して用いることも可能であり、例えば正孔輸送層や電子輸送層中に混合して用いることも可能である。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。本発明では前述の芳香族オリゴアミン化合物を少なくとも1層に含有するが、通常知られた正孔輸送材料を併用することができる。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。さらに芳香族オリゴアミンとして以下に示すような化合物構造を利用できる。
芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物(米国特許第4,127,412号明細書、特開昭53−27033号公報、同54−58445号公報、同54−149634号公報、同54−64299号公報、同55−79450号公報、同55−144250号公報、同56−119132号公報、同61−295558号公報、同61−98353号公報、同63−295695号公報)、ピリジン誘導体(特開2003−282270号公報)、ポルフィリン化合物(特開昭63−2956965号公報等参照)、
アニリン系共重合体(特開平2−282263号公報、WO08/129947号明細書等参照)、フェニレンジアミン誘導体(米国特許第3,615,404号明細書、特公昭51−10105号公報、同46−3712号公報、同47−25336号公報、特開昭54−53435号公報、同54−110536号公報、同54−119925号公報等参照)。
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、銅フタロシアニンやトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるシクロメタル化錯体やオルトメタル化錯体等も正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.,Applied Physics Letters,80(2002),p.139)に記載されているような、所謂p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることからこれらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の一種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
本発明の有機EL素子の正孔輸送層の形成に好ましく用いられる従来公知の化合物(正孔輸送材料)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
<アリールアミン誘導体>
Figure 0005919739
<含窒素縮合複素環誘導体>
カルバゾール誘導体
Figure 0005919739
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層もしくは複数層を設けることができる。
電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料、電子注入材料も含む)としては陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、電子輸送層の構成材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して、単独または組み合わせて用いることが可能である。
電子輸送層に用いられる従来公知の材料(以下、電子輸送材料という)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、カルボリン誘導体、を含むアザカルバゾール誘導体等が挙げられる。
ここで、アザカルバゾール誘導体とは、カルバゾール環を構成する炭素原子の1つ以上が窒素原子で置き換わったものを示す。
さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引性基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も電子輸送材料として用いることができる。
これらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも電子輸送材料として用いることができる。
また、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
有機EL素子の構成層の形成法については、有機EL素子の作製方法のところで詳細に説明する。
電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5〜5000nm程度、本発明の効果を最大限活用し、金属表面上のプラズモン効果の影響を抑制する観点から好ましくは80〜300nmである。この電子輸送層は上記材料の一種または二種以上からなる一層構造であってもよく、複数の層が積層した積層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
以下、本発明の白色有機EL素子の電子輸送層の形成に好ましく用いられる従来公知の化合物(電子輸送材料)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005919739
さらに本発明の半導体ナノ粒子分散液は、上記一般式(1)で表される電子輸送材料と組み合わせることが望ましい。
本発明の一般式(1)で表される化合物(電子輸送材料)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005919739
Figure 0005919739
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、前述の電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係わる正孔阻止層として用いることができる。
本発明の有機EL素子の正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
正孔阻止層には、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体(ここで、アザカルバゾール誘導体とは、カルバゾール環を構成する炭素原子の1つ以上が窒素原子で置き換わったものを示す)、ピリジン誘導体など、含窒素化合物を含有することが好ましい。
また、本発明においては、複数の発光色の異なる複数の発光層を有する場合、その発光極大波長が最も短波にある発光層が、全発光層中、最も陽極に近いことが好ましいが、このような場合、該最短波層と該層の次に陽極に近い発光層との間に正孔阻止層を追加して設けることが好ましい。
さらには、該位置に設けられる正孔阻止層に含有される化合物の50質量%以上が、前記最短波発光層のホスト化合物に対しそのイオン化ポテンシャルが0.3eV以上大きいことが好ましい。
イオン化ポテンシャルは化合物のHOMO(最高占有軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義され、例えば下記に示すような方法により求めることができる。
(1)米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4,M.J.Frisch,et al.,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002)を用い、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより算出した値(eV単位換算値)として求めることができる。この計算値が有効な背景には、この手法で求めた計算値と実験値の相関が高いためである。
(2)イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接測定する方法により求めることもできる。例えば、理研計器社製の低エネルギー電子分光装置「Model AC−1」を用いて、あるいは紫外光電子分光として知られている方法を好適に用いることができる。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、前述の正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子阻止層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmであり、さらに好ましくは3〜30nmである。
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。
また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
一方、陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。
このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1nm〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
《支持基板》
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等とも言う)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。
好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、10−3ml/(m・24h・MPa)以下、水蒸気透過度が、10−5g/(m・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。
さらに該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し効率は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。
ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
《有機EL素子の製造方法》
有機EL素子の製造方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/陰極からなる素子の製造方法について説明する。
まず、適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの膜厚になるように形成させ、陽極を作製する。
次に、この上に素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、陰極バッファー層等の有機化合物を含有する薄膜を形成させる。
本発明のリン光発光性の有機EL素子においては、少なくとも陰極と該陰極に隣接する電子輸送層は、湿式法により塗布・成膜される。
湿式法としては、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法等があるが、精密な薄膜が形成可能で、かつ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法などのロール・ツー・ロール方式適性の高い方法が好ましい。また、層毎に異なる製膜法を適用してもよい。
本発明に係る有機EL材料を溶解または分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。
また、分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
また、順序を逆にして、陰極、陰極バッファー層、電子輸送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には陽極を+、陰極を−の極性として電圧2V〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
本発明の有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
《封止》
本発明に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に問わない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。
また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。
さらには、ポリマーフィルムは、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・MPa)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。
さらに、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。
この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。
さらに、該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。
これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好ましい。
《保護膜、保護板》
有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜、あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。
これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
《光取り出し》
有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
本発明においては、これらの方法を本発明の有機EL素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、さらに高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。また、さらに1.35以下であることが好ましい。
また、低屈折率媒質の厚みは媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面もしくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は回折格子が1次の回折や2次の回折といった所謂ブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を有することが望ましい。これは発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。
しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては前述の通り、いずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。
このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。
回折格子の配列は正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、二次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
《集光シート》
本発明の有機EL素子は基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を二次元に配列する。一辺は10μm〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして、例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることができる。
プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
また、発光素子からの光放射角を制御するために、光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
《用途》
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機EL素子においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。
本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング(株)製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
また、本発明の有機EL素子が白色素子の場合には、白色とは、2度視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.1の領域内にあることを言う。
《表示装置》
本発明の表示装置について説明する。本発明の表示装置は、本発明の有機EL素子を具備したものである。
本発明の表示装置は単色でも多色でもよいが、ここでは多色表示装置について説明する。
多色表示装置の場合は発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、スピンコート法、印刷法である。
表示装置に具備される有機EL素子の構成は、必要に応じて上記の有機EL素子の構成例の中から選択される。
また、有機EL素子の製造方法は、上記の本発明の有機EL素子の製造の一態様に示したとおりである。
得られた多色表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2V〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。さらに交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
多色表示装置は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレイにおいて、青、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いることによりフルカラーの表示が可能となる。
表示デバイス、ディスプレイとしては、テレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
発光光源としては家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
以下、本発明の有機EL素子を有する表示装置の一例を図面に基づいて説明する。
図1は有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
ディスプレイ1は複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。
制御部Bは表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
図2は表示部Aの模式図である。
表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。
図においては、画素3の発光した光が白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示していない)。
画素3は走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。
発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を適宜同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
次に、画素の発光プロセスを説明する。
図3は画素の模式図である。
画素は有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサ13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
図3において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサ13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
画像データ信号の伝達により、コンデンサ13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。
しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサ13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。
順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
即ち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
ここで、有機EL素子10の発光は複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。また、コンデンサ13の電位の保持は次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
図4はパッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。図4において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。
パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子が無く、製造コストの低減が計れる。
《照明装置》
本発明の照明装置について説明する。本発明の照明装置は上記有機EL素子を有する。
本発明の有機EL素子に共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよく、このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
また、本発明の有機EL素子は照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。または、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
また、本発明の有機EL材料は照明装置として、実質白色の発光を生じる有機EL素子に適用できる。複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得る。
複数の発光色の組み合わせとしては、青色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有したものでもよい。
また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光または蛍光で発光する材料を複数組み合わせたもの、蛍光またはリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたもののいずれでもよいが、本発明に係る白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせ混合するだけでよい。
発光層、正孔輸送層あるいは電子輸送層等の形成時のみマスクを設け、マスクにより塗り分ける等単純に配置するだけでよく、他層は共通であるのでマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で例えば電極膜を形成でき、生産性も向上する。
この方法によれば、複数色の発光素子をアレー状に並列配置した白色有機EL装置と異なり、素子自体が発光白色である。
発光層に用いる発光材料としては特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係る金属錯体、また公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すればよい。
《本発明の照明装置の一態様》
本発明の有機EL素子を具備した、本発明の照明装置の一態様について説明する。
本発明の有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚み300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを陰極上に重ねて透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止し、図5、図6に示すような照明装置を形成することができる。
図5は、照明装置の概略図を示し、本発明の有機EL素子101はガラスカバー102で覆われている(なお、ガラスカバーでの封止作業は、有機EL素子101を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。)。
図6は、照明装置の断面図を示し、図6において、105は陰極、106は有機EL層、107は透明電極(陽極)付きガラス基板を示す。
なお、ガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
以下の実施例に用いた化合物を下記に示す。
Figure 0005919739
実施例1
〔ナノ粒子分散液1−1の製造方法〕
ここでは、高出力パルスレーザーによる液相レーザーアブレーション方式による、ナノ粒子分散液の製造方法について述べる。
まず、5mg酸化イットリウムを試験官に量りとり、5mlの脱水ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を加え、0.1重量%の混合液を調製した。目視では、酸化イットリウムはHFIPに溶解することなく、また溶液も無色透明の状態であった。この混合液をナノ粒子化装置 NS-01(浜松ナノテクノロジー社製)にて、1.0J/(cm2・pulse)の照射条件下で15分レーザー照射を行い、酸化イットリウムのナノ分散液の調整を行った。レーザー照射前後の混合液の状態は大きく変化し、照射時間の経過と共に白濁が認められ、その度合いが強くなるのが観察された。照射後、溶液のSEM測定より、一次平均粒径が30nmのナノ粒子分散液1−1の生成を確認した。該混合液を遠心分離することによって、粒径コントロールが可能であることや更に混合液の濃縮によって、高濃度か可能なことも併せて確認した。
全く同様にして、他の半導体材料に対しても、高出力パルスレーザーによる液相レーザーアブレーション方式を用いることで、本発明に最適な半導体ナノ粒子分散液を製造することが可能であった。
実施例2
〔有機EL素子1−1の作製〕
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス製NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。この透明支持基板上に、H.C.Starck社製PEDOT−PSS(CLEVIOS P VP AI 4083)を純水で70%に希釈した溶液をスピンコート法により成膜した後、200℃にて1時間乾燥し、膜厚30nmの第一正孔輸送層を設けた。
次いで、後述の各材料をモリブデン製またはタングステン製の蒸着用ボートに詰め、真空蒸着装置内に前述の第一正孔輸送層を設けたガラス基板と共にセットした。真空度が1×10−4Pa以下となったところで、α−NPDを蒸着速度0.1nm/秒で20nm蒸着し第2正孔輸送層を設けた。さらに、HS−2を蒸着速度0.1nm/秒で、DP−1を蒸着速度0.02nm/秒で共蒸着を行い、30nm蒸着し発光層を設けた。
窒素雰囲気下で大気圧に戻し、窒素雰囲気のグローブボックス内に取り出し、電子輸送層の形成を行った。電子輸送層は次のようにして形成した。20mgのET−2を10mlのHFIPに溶解し、スピンコート法(1000rpm、30秒)により膜厚80nmの電子輸送層を形成した。この基板を再度、真空蒸着装置にセットし、電子注入層としてフッ化リチウムを1nm、さらに陰極としてアルミニウム110nmを蒸着し、有機EL素子1−1を作製した。
〔有機EL素子1−3の作製〕
有機EL素子1−1において、発光層までは全く同じように製造した。別途、7mlヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に20mgのET−2を溶解し、更に実施例1で別途調整したナノ粒子分散液1−1を5ml加えたナノ粒子分散混合液1−3を調整した。そして、前述の有機EL素子1−1の発光層までを形成した基板上にスピンコート法(1000rpm、30秒)により膜厚30nmの電子輸送層を形成した。更に、この基板を再度、真空蒸着装置にセットし、電子注入層としてフッ化リチウムを1nm、さらに陰極としてアルミニウム110nmを蒸着し、有機EL素子1−3を作製した。
〔有機EL素子1−2の作製〕
有機EL素子1−3の作製方法で用いたナノ粒子分散混合液1−3を後述の方法で調整したナノ粒子分散混合液1−2を用いた以外は全く同様にして、有機EL素子1−2を作製した。前述のナノ粒子分散混合液1−2は、次のようにして行った。7mlヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に20mgのET−2を溶解し、市販の酸化イットリウムナノ粒子分散液(富士化学社製:メディアミル分散、分散溶媒n-ブチルアルコール、20%分散安定剤含有)1−2を5ml加え、ナノ粒子分散混合液1−2を調整した。
〔有機EL素子1−4の作製〕
有機EL素子1−3の作製方法で用いたナノ粒子分散混合液1−3中のET−2をET−9に変更したナノ粒子分散混合液1−4を用いた以外は全く同様にして、有機EL素子1−4を作製した。
〔有機EL素子1−1〜1−4の評価〕
得られた有機EL素子1−1〜1−4を評価するに際しては、作製後の各有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚み300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを上記陰極上に重ねて前記透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて封止して、図5、図6に示すような照明装置を作製して評価した。評価項目及び評価方法は、以下の通りである
〈駆動電圧〉
温度23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下で発光開始の電圧を測定した。なお、発光開始の電圧は、輝度50cd/m以上となったときの電圧値を測定し、有機EL素子1−1の駆動電を100とする相対値で表した。輝度の測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)を用いた。結果を下記表1に示す。
〈駆動電圧変化〉
後述の発光寿命測定条件下で、初期輝度から30%低下した時の電圧値(DV70)とした時、(DV70)−(DV)を駆動電圧変化とし、有機EL素子1−1の駆動電圧変化を100とする相対値で表した。結果を下記表1に示す。
〈電力効率〉
作製した有機EL素子1−1〜1−4について、23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下で2.5mA/cm定電流を印加した時の外部取り出し量子効率(%)を測定し、有機EL素子1−1の電力効率を100とする相対値で表した。なお、輝度測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)を用いた。表1に有機EL素子1−1から1−4の結果を示す。駆動電圧、駆動電圧変化、電力効率について有機EL素子1−1の値を100とする相対値で表した。
Figure 0005919739
上記の結果から、半導体ナノ粒子分散液を用いることで、大きな駆動電圧低下が認められ電荷注入/輸送性能に対して、半導体ナノ粒子が大きな役割を果たしていることがわかる。その中で、本発明の含フッ素アルコールに分散された半導体ナノ粒子分散液を用いることで、駆動電圧変化が抑制されることが明らかである。更に、一般式(1)を部分構造に有する有機EL用電子輸送材料と併用することで、駆動電圧駆動電圧変化に対する効果は顕著に現れ、特に駆動電圧の低下の結果大きな電力効率の利得が得られた。このことは、本発明の効果が、有機ELの利点である省エネルギーに対して非常に効果的な発明であることを示している。
実施例2で用いた半導体ナノ粒子を酸化ジルコニウム等に変化させた場合も、全く同様な傾向を示し、本発明の含フッ素アルコールに分散された半導体ナノ粒子分散液を用いることの汎用性が確認できた。更には、一般式(1)を部分構造に有する有機EL用電子輸送材料として、ET−4、ET−10、ET−14を用いた場合でも、同様な結果を示し、一般式(1)を部分構造に有する有機EL用電子輸送材料と併用が、本発明の効果を最大限引き出す上で重要であることが明白である。
実施例3
〔フルカラー表示装置の作製〕
(青色発光有機EL素子)
実施例2で作製した有機EL素子1−4を用いた。
(緑色発光有機EL素子)
実施例2で作製した有機EL素子1−4において、発光層に用いたDP−1をD−3に変更した以外は全く同様にして作製した有機EL素子1−4Gを製造して、これを用いた。
(赤色発光有機EL素子)
実施例2で作製した有機EL素子1−4において、発光層に用いたDP−1をD−10に変更した以外は全く同様にして作製した有機EL素子1−4Rを製造して、これを用いた。
(フルカラー表示装置の作製)
上記で作製した青色、緑色、赤色発光有機EL素子を同一基板上に並列配置し、図1に記載のような形態を有するアクティブマトリクス方式フルカラー表示装置を作製した。
図2には、作製した前記表示装置の表示部Aの模式図のみを示した。
図2に示すとおり、表示部Aは、同一基板上に複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、並置した複数の画素3(発光色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素等)とを有している。配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料から構成されている。走査線5とデータ線6は格子状に直交しており、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。
前記複数画素3は、それぞれの発光色に対応した有機EL素子、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタと駆動トランジスタそれぞれが設けられたアクティブマトリクス方式で駆動される。走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光するようになっている。このように、赤、緑、青の画素3を適宜、並置することによって、フルカラー表示装置を作製した。
作製した有機EL素子は、各々の電極に電圧を印加することにより各々青色、緑色、赤色の発光を示し、フルカラー表示装置として利用できることが分かった。
実施例4
実施例2で作製した有機EL素子1−4で用いたDP−1を、DP−1、D−3、D−10の三者混合体に変更した以外は同様して、白色発光有機EL素子1−4Wを作製した。得られた有機EL素子1−4Wを、非発光面をガラスケースで覆い、照明装置とした。照明装置は、発光効率が高く発光寿命の長い白色光を発する薄型の照明装置として使用することができた。
1 ディスプレイ
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 コンデンサ
A 表示部
B 制御部
107 透明電極付きガラス基板
106 有機EL層
105 陰極
102 ガラスカバー
108 窒素ガス
109 捕水剤

Claims (7)

  1. 陽極と陰極の間に少なくとも発光層及び電子輸送層からなる有機層が挟持された有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
    前記電子輸送層の少なくとも1層を、半導体ナノ粒子が含フッ素アルコールに液相レーザーアブレーション法により分散した半導体ナノ粒子分散液より成膜したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
  2. 前記半導体ナノ粒子分散液が、下記一般式(1)を部分構造に有する有機EL用電子輸送材料を含有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
    Figure 0005919739
    [一般式(1)中、R〜Rは、水素原子または置換基を表す。また互いの置換基が結合し、環を形成しても良い。]
  3. 前記発光層が下記一般式(2)で表される配位子が配位した青色リン光発光性有機金属錯体を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
    Figure 0005919739
    [式中、環A及び環Bは5員または6員の芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表す。Arは芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表す。
    及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよく、R及びRの少なくとも一つは炭素原子数2以上のアルキル基またはシクロアルキル基である。
    Ra、Rb及びRcはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。
    na及びncは1または2を表し、nbは1〜4の整数を表す。]
  4. 前記一般式(2)で表される配位子が配位した青色リン光発光性有機金属錯体が、下記一般式(3)で表される青色リン光発光性有機金属錯体であることを特徴とする請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
    Figure 0005919739
    [式中、環A及び環Bは5員または6員の芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表す。Arは芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表す。
    及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよく、R及びRの少なくとも一方は炭素原子数2以上のアルキル基またはシクロアルキル基である。Ra、Rb及びRcはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。
    na及びncは1または2を表し、nbは1〜4の整数を表す。
    L’はMに配位したモノアニオン性の二座配位子のうちの1つまたは複数である。Mは原子番号40以上かつ元素周期表における8〜10族の遷移金属原子を表す。m’は0〜2の整数を表し、n’は1〜3の整数を表し、m’+n’は2または3である。]
  5. 前記一般式(3)が、下記一般式(3−1)で表されることを特徴とする請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
    Figure 0005919739
    [式中、Arは芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表す。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよく、R及びRの少なくとも一方は炭素原子数2以上のアルキル基またはシクロアルキル基である。
    Ra、Rb及びRcはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基または非芳香族複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。
    na及びncは1または2を表し、nbは1〜4の整数を表す。
    L’はMに配位したモノアニオン性の二座配位子のうちの1つまたは複数である。Mは原子番号40以上かつ元素周期表における8〜10族の遷移金属原子を表す。m’は0〜2の整数を表し、n’は少なくとも1であり、m’+n’は2または3である。]
  6. 前記一般式(3)または前記一般式(3−1)におけるMがIrであることを特徴とする請求項又はに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
  7. 白色に発光する有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
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