JP2013244530A - Tig溶接トーチハンド装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接線に忠実に沿った作業が可能で、溶接トーチと溶接線との距離を一定とし、必要に応じて溶接ワイヤの供給も可能であり、管材相互間、管材とエルボ、チーズ等の付属部品との溶接が可能なこと。
【解決手段】TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10を固着する本体部20は、本体部20に取付けられた本体ガイド部材30の上部鞘部33及び下部鞘部34によって管材100を保持できるから、溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10の移動方向のみ、即ち、回動方向のみを溶接線に沿って、または溶接線を中心にウィービング等に気を使って使用することができ、溶接において重要な母材と溶接トーチ1との間隔も保持されているから、移動のみに神経を集中させればよく、経験者でなくてもより良い溶接が可能となる。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば、長尺パイプ等の管材を接続する溶接装置に関するもので、特に、管材相互または管材と其の部品とをTIG溶接するに好適なTIG溶接トーチハンド装置に関するものである。本発明は、マニュアル使用に限られることなく、ロボット溶接の溶接ハンドとしても使用できる。
配管の長尺化を図る場合には、管材相互間を溶接またはカップリングで接続して一体化される。即ち、母材である管材相互を突合せ、その突合せ部分に幅広のU型状開先を施した後、これらを突合せ溶接していた。溶接法としては、TIG 溶接(tungsten inert gas welding:非溶極式のイナートガスアーク溶接でタングステンまたはタングステン合金を電極とする溶接法) を手動でまたは溶接ロボット等で自動溶接を行っていた。
従来のこの種の管材の溶接は、厚さが5mmの管材であっても、突合せ部分のルートフェースが1〜1.5mm程度の幅広のU型状開先加工を施し、その後、添加ワイヤを供給しながら、複数層の溶接を施し、溶接時間と溶接に手間がかかっていた。なお、添加ワイヤを用いない場合には、ルートフェースが短いので割れや、溶け落ちがあり、溶接の制御が困難であると共に、高度な熟練を要し、良好な溶接ができないという問題があった。
また、開先加工の不要な高エネルギー密度溶接、例えば、レーザ溶接等を用いる方法もあるが、ボイラチューブ等の配管の生産量に初期投資のコストが高くなるという問題があった。
特許文献1では、従来の一層溶接では不可能であった厚さ5mmのチューブを溶接する際に、単に突き合わせて添加ワイヤなしでの裏波TIG溶接を可能としている。
即ち、チューブ状の管材相互をトーチで突合せ溶接する溶接方法において、少なくとも5分割の回転ステップで管状の母材またはトーチを回転させ、添加ワイヤ無しで初層のTIG溶接し、次に、添加ワイヤを用いて仕上溶接するもので、具体的には、管母材またはトーチを回転させ、添加ワイヤ無しで初層TIG溶接を行い、次に添加ワイヤを用いて仕上溶接するもので、溶接パス数が2回ですみ、溶接効率が向上し、溶接のコストダウンを図ることができるものである。
また、特許文献2では、活性金属からなる被溶接物を溶接線に沿って覆い、一方には溶接トーチ固定部が設けられたシールドカバーと、前記溶接トーチ固定部の後方の前記シールドカバー内に分散配置され、底部を耐熱性金属からなるメッシュによって支持された耐熱性金属繊維または耐熱性金属ワイヤ片の集合からなる整流部材と、前記整流部材中に延在して、該整流部材中に不活性ガスを充填し、前記底部のメッシュから該不活性ガスを放出するガス放出管と、前記シールドカバー及びこれに取付けられた溶接トーチを前記溶接線に沿ってガイドするガイド部材を有する活性金属の溶接に使用する溶接補助装置を開示している。
この活性金属の溶接に使用する溶接補助装置は、シールドカバー内に空気や焼結金属よりも熱伝導率の高いステンレス鋼等からなる耐熱性金属繊維または耐熱性金属ワイヤ片の集合からなる整流部材を分散配置しているので、溶接ビードから伝達された熱は整流部材を介してシールドカバーから放熱し易く、シールドカバー内が空洞の場合に比べて冷却効果が大きくなり、溶接直後の溶接ビードの酸化防止効果を高めることができる。
また、整流部材の素材は市販のステンレス鋼等の材料を用いることができ、材料・工数とも安価にすることができる。特に、活性金属の溶接に使用する溶接補助装置においては、前記被溶接物がパイプからなって、前記シールドカバーの下面が前記パイプの外周に沿って円弧状に形成されているので、シールドカバーの下面から余分な不活性ガスが流出するのを防ぎ不活性ガスの消費量を少なくすると共に、外部からの空気の巻き込みを防ぎ、安定したアークを発生させることができるという技術である。
特開2000−141044 特開2000−135562
このように、特許文献1は、管状の管母材相互をトーチで突合せ溶接する場合に正確に溶接していないと、次に、添加ワイヤを用いて仕上げ溶接することができなくなり、TIG溶接の技能が問われ、単純に溶接のコストダウンを図ることができない。
また、特許文献2では、シールドカバー内に空気や焼結金属よりも熱伝導率の高いステンレス鋼等からなる耐熱性金属繊維または耐熱性金属ワイヤ片を分散配置し、溶接ビードから伝達された熱をシールドカバーから放散し易くするものであるが、本発明者は放熱性の向上よりも溶接速度を速くすることにより、ステンレス、鉄等の多くの管材においては、溶接直後の溶接ビードの酸化の問題が生じないことが確認された。
そして、特許文献2においては、パイプの溶接線を洗浄してTIG溶接が可能な状態にした後、溶接線に溶接トーチの先端が合うようにシールドカバーを配置し、前記シールドカバーの両側にガイド部材を配置し、係合ピンをガイド溝に係合させ、チェーンをパイプに巻付け、留め具によって両端を連結する。不活性ガスをガス放出管から放出して、整流部材中に不活性ガスを充填し、前側部及び底部のメッシュから不活性ガスをパイプの表面及び溶接トーチに向かって均一に流すと共に、パイプの内部にバックシールドのためのガス放出管から不活性ガスを供給する。そして、溶加材を溜まり部の上方から溶接線付近に近づけ、パイプに対して相対的にシールドカバーをガイド部材に沿って移動させながら、溶接トーチからアークを発生させて溶加材を溶融させ、溶接線に沿って溶接ビードを形成する。1回の溶接の溶接ビードの長さは30mm程度が望ましい。このとき、溶接ビード上を整流部材から流れた不活性ガスによって冷却し、溶接ビードが常温に近づいた状態で、次の溶接ビードの形成作業を続けるという技術を開示している。
即ち、特許文献2の技術には、溶接線を形成する両側のパイプに取付けるチェーンと、当該チェーンに配設した係合ピンと、該係合ピンを収容して案内されるガイド溝を有するシールドカバーと、該シールドカバーに取付けた溶接トーチとを具備するTIG溶接トーチハンド装置が開示されている。しかし、1回の溶接の溶接ビードの長さが30mm程度のものであるから、パイプにチェーンを留め具で取付けてもその移動中に溶接線との平衡が崩れたり、パイプの長さ方向への移動が生じたり、スムーズなシールドカバーの回転が得られないことがある。そのため、作業者はパイプの長さ方向への移動及び周方向への移動、また、溶接線を移動する移動、溶接トーチの揺動によるウィービング等に気を取られて神経を溶接作業に集中できないことがある。
そこで、本発明は、溶接線に忠実に沿った作業が可能で、溶接トーチと溶接線との距離を一定とし、必要に応じて溶接ワイヤの供給も可能であり、管材相互間、管材とエルボ、チーズ等の付属部品との溶接が可能なTIG溶接トーチハンド装置の提供を課題とするものである。
請求項1の発明にかかるTIG溶接トーチハンド装置は、TIG溶接用の溶接トーチを保持するトーチ保持部材を固着する本体部と、前記本体部に固着され、必要に応じて溶接ワイヤを溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材と、前記本体部にフランジ部が取付けられ、溶接する管材に嵌められた鞘部からなる本体ガイド部材とを具備するものである。
ここで、上記トーチ保持部材は、TIG溶接用の溶接トーチを保持するもので、ウィービング等の機能の有無には関係なく、溶接トーチを取付け自在なものであればよい。
また、トーチ保持部材を固着する本体部は、トーチ保持部材と一体に形成した本体部でもよいし、複数部分を後付されたものでも良い。本体部は1個とすることも2個とすることもできる。
そして、上記溶接ワイヤ供給ガイド部材は、前記本体部に固着され、必要に応じて溶接ワイヤを溶接個所に案内するものであればよく、溶接ワイヤの送給装置の有無には関係しない。
更に、上記本体ガイド部材は、前記本体部にフランジ部が取付けられ、溶接する管材の端部に嵌められた鞘部からなるものであり、前記鞘部から完全な形状でフランジ部が形成されていなくとも、前記本体部と結合できる形状であればよい。
請求項2の発明にかかるTIG溶接トーチハンド装置は、TIG溶接用の溶接トーチを保持するトーチ保持部材を固着する本体部と、前記本体部に固着され、必要に応じて溶接ワイヤを溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材と、前記本体部にフランジ部が取付けられ、溶接する管材に嵌められた鞘部からなる本体ガイド部材と、前記本体部に取付けられ、前記本体ガイド部材のフランジ部に嵌合する保持部材を具備するものである。
ここで、上記トーチ保持部材は、TIG溶接用の溶接トーチを保持するもので、ウィービング等の機能の有無には関係なく、溶接トーチを取付け自在なものであればよい。
また、トーチ保持部材を固着する本体部は、トーチ保持部材と一体に形成した本体部でもよいし、複数部分を後付されたものでも良い。本体部は1個とすることも2個とすることもできる。
そして、上記溶接ワイヤ供給ガイド部材は、前記本体部に固着され、必要に応じて溶接ワイヤを溶接個所に案内するものであればよく、送給装置の有無には関係しない。
更に、上記本体ガイド部材は、前記本体部にフランジ部が取付けられ、溶接する管材の端部に嵌められた鞘部からなるものであり、前記鞘部から完全な形状でフランジ部が形成されていなくとも、前記本体部と結合できる形状であればよい。
加えて、上記本体ガイド部材のフランジ部に嵌合する保持部材は、前記本体部に取付けられ、前記本体ガイド部材のフランジ部を嵌合するものであり、管材の長さ方向に移動が拘束されるものであればよい。
請求項3の発明にかかるTIG溶接トーチハンド装置の前記トーチ保持部材は、TIG溶接用の溶接トーチを緩衝材を介して保持するものである。
ここで、緩衝材は合成樹脂、ゴム、皮革等の弾性体であればよい。
請求項4の発明にかかるTIG溶接トーチハンド装置の前記本体部は、トーチ保持部材を両側から固着して前記トーチ保持部材と一体化したものである。
ここで、前記本体部は、対向する2個の部品で構成してもよいし、1個の鋳物で形成してもよい。
請求項5の発明にかかるTIG溶接トーチハンド装置の前記溶接ワイヤ供給ガイド部材は、両側から前記本体部に固着され、その間の略中央に溶接ワイヤの先端を案内するガイド孔を設けたものである。
ここで、溶接ワイヤを案内するガイド孔は複数種類の溶接ワイヤを挿入自在としてもよい。溶接トーチの放電電極の先端に溶接ワイヤの先端が位置すればよい。したがって、溶接トーチの放電電極の先端に溶接ワイヤの先端が位置すれば、その間に傾斜部分があってもよい。或いは送り装置を配設することもできる。
請求項6の発明にかかるTIG溶接トーチハンド装置の前記本体ガイド部材は、前記本体部に前記フランジ部が固着され、溶接する管材の端部に嵌められた鞘部が管材に対して相対的に回動自在としたものである。
ここで、上記本体ガイド部材は、管材の端部に嵌められた鞘部が回動自在であるから、管材の周囲に滑らかな回転が得られ、溶接に無理のない処理ができ、鞘部の締め付けによって自在に回動力の大きさが設定できる。スプリングでローラベアリングを取付けると、管材の長さ方向の移動を積極的に阻止でき、周方向の運動のみとすることができる。
請求項7の発明にかかるTIG溶接トーチハンド装置の前記本体ガイド部材は、前記本体部に前記フランジ部が嵌合され、溶接する管材の端部に取付けられた鞘部がその回動を拘束されているものである。
ここで、上記本体ガイド部材は、前記本体部に前記フランジ部が嵌合され、溶接する管材の端部に取付けられた鞘部がその回動を拘束し、前記本体部と前記フランジ部との間で嵌合して、回動自在としたものである。
請求項8の発明にかかるTIG溶接トーチハンド装置の前記本体ガイド部材は、前記本体部の両側に配設されているものである。
ここで、上記本体ガイド部材は、一方のみとすることができるが、管材相互間を溶接する場合には、前記本体部の両側に配設するのが望ましい。しかし、両側の本体部は必ずしも同一または対称性を求めるものではなく、両者の形状に違いがあってもよい。
請求項9の発明にかかるTIG溶接トーチハンド装置の前記トーチ保持部材及び/または前記溶接ワイヤ供給ガイド部材は、溶接位置の変更が可能なように角度及び/または位置を変更自在としたものである。
ここで、上記トーチ保持部材及び/または上記溶接ワイヤ供給ガイド部材は、溶接ト―チのアーク及び溶接ワイヤの供給が自在になり、溶接が深い場合、浅い場合の対応ができるように、その角度及び/または位置を変更自在とするものである。
請求項10の発明にかかるTIG溶接トーチハンド装置の前記本体ガイド部材は、マグネットで固着するものである。
ここで、前記本体ガイド部材をマグネットで固着する場合、前記本体ガイド部材が磁性体であると、マグネットを配設することによる磁界の影響で前記本体ガイド部材を管材に接合させるのみならず、前記本体ガイド部材間の接合も可能となる。なお、ここで使用するマグネットは、面で吸着するからフェライト磁石程度でも使用に耐える。
請求項11の発明にかかるTIG溶接トーチハンド装置の前記保持部材は、マグネットで固着するものである。
ここで、マグネットは前記本体ガイド部材の離脱を防止するものであるから、ネオジム磁石等のように比較的吸着力が大きいものの使用が望ましい。
請求項1のTIG溶接トーチハンド装置は、TIG溶接用の溶接トーチを保持するトーチ保持部材を固着する本体部は、前記本体部にフランジ部が取付けられ、溶接する管材に嵌められた鞘部からなる本体ガイド部材によって、溶接トーチは溶接線に沿った円周方向の動きが可能となる。また、前記本体部に固着され、必要に応じて溶接ワイヤを溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材は、溶接の際に母材と同一の材料を供給できるから、幅広のU型状開先を施したものであっても、直接的な突合せであっても、管材相互間の溶接間隔の広い狭いに関係なく、TIG溶接が可能となる。
特に、TIG溶接用の溶接トーチを保持するトーチ保持部材を固着する本体部は、前記本体部に取付けられた本体ガイド部材の鞘部によって管材を保持できるから、溶接トーチを保持するトーチ保持部材の移動方向のみ、即ち、回動方向のみを溶接線に沿って、または溶接線を中心にウィービング等に気を付けて使用することができ、溶接において重要な母材と溶接トーチとの間隔も保持されているから、移動のみに神経を集中させればよいことから、経験者でなくてもより良い溶接が可能となる。
このように、溶接線に忠実に沿った作業が可能で、溶接トーチと溶接線との距離を一定とし、必要に応じて溶接ワイヤの供給も可能であり、管材相互間、管材とエルボ、チーズ等の付属部品との溶接が可能となる。また、本発明のTIG溶接トーチハンド装置の装置全体が簡単な構造で、廉価でもある。
請求項2のTIG溶接用の溶接トーチを保持するトーチ保持部材を固着する本体部は、前記本体部にフランジ部が取付けられ、溶接する管材に嵌められた鞘部からなる本体ガイド部材によって、溶接トーチは溶接線に沿った円周方向の動きが可能となる。また、前記本体部に固着され、必要に応じて溶接ワイヤを溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材は、溶接の際に母材と同一の材料を供給できるから、幅広のU型状開先を施したものであっても、直接的な突合せであっても、管材相互間の溶接間隔の広い狭いに関係なく、TIG溶接が可能となる。
特に、TIG溶接用の溶接トーチを保持するトーチ保持部材を固着する本体部は、前記本体部に取付けられた本体ガイド部材の鞘部によって管材を保持できるから、溶接トーチを保持するトーチ保持部材の移動方向のみ、即ち、回動方向のみを溶接線に沿って、または溶接線を中心にウィービング等に気を付けて使用することができ、溶接において重要な母材と溶接トーチとの間隔も保持されているから、移動のみに神経を集中させればよいことから、経験者でなくてもより良い溶接が可能となる。
このように、溶接線に忠実に沿った作業が可能で、溶接トーチと溶接線との距離を一定とし、必要に応じて溶接ワイヤの供給も可能であり、管材相互間、管材とエルボ、チーズ等の付属部品との溶接が可能となる。また、本発明のTIG溶接トーチハンド装置の装置全体が簡単な構造で、廉価でもある。
また、前記本体部に取付けられ、前記本体ガイド部材のフランジ部に嵌合する保持部材は、本体部との間に所定の関係を維持することができるから、取付け及び取外しの作業効率が良い。
請求項3のTIG溶接トーチハンド装置の前記トーチ保持部材は、緩衝材を介してTIG溶接用の溶接トーチを保持するものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、溶接線を中心にウィービング等を行う場合でも、緩衝材の許容する範囲の動きにより可能となる。また、緩衝材の許容する動きの範囲内で動きが採れ、また、通常では、所定の位置決め機能で定点が決まってくるから固定と見做すことができ、母材と放電電極間のアークを安定化させることができる。
請求項4のTIG溶接トーチハンド装置の前記本体部は、トーチ保持部材を両側から固着して前記トーチ保持部材と一体化したものであるから、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の効果に加えて、前記本体部は前記トーチ保持部材の両側から一体化するものであるから、溶接トーチに重心位置が設定されるか、その近くに重心位置が定まるので装置全体を扱いやすく、溶接トーチの操作性に優れる。
請求項5のTIG溶接トーチハンド装置の前記溶接ワイヤ供給ガイド部材は、両側から前記本体部に固着され、その間の略中央に溶接ワイヤを案内するガイド孔を設けたものであるから、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の効果に加えて、ガイド孔を通して溶接ワイヤを案内させ、その溶接に使用することができる。また、前記溶接トーチと前記溶接ワイヤ供給ガイド部材は対向位置とすることができ、本体部の構造を堅固なものとすることができる。
請求項6のTIG溶接トーチハンド装置の前記本体ガイド部材は、前記本体部に前記フランジ部が固着され、溶接する管材の端部に嵌められた鞘部が回動自在としたものであるから、請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の効果に加えて、溶接する管材の端部に嵌められた鞘部はその長さ方向に対しては、ガタツキがない以上は長さ方向の移動は困難となり、回動方向の移動を許容することとなるから、特別な手段を講じることなく、管材の周りに前記本体部、即ち、溶接トーチを回動させることができる。
請求項7のTIG溶接トーチハンド装置の前記本体ガイド部材は、前記本体部に前記フランジ部が嵌合され、溶接する管材の端部に取付けられた鞘部がその回動を拘束されているので、請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の効果に加えて、フランジ部に沿って本体部が回動し、前記溶接トーチの回動のみが自在となり、前記溶接トーチは溶接線に沿った作業のみが可能となる。
請求項8のTIG溶接トーチハンド装置の前記本体ガイド部材は、前記本体部の両側に配設されているものであるから、請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の効果に加えて、前記本体部が両側から保持されるから、安定した溶接トーチの回動を行うことができる。
請求項9のTIG溶接トーチハンド装置の前記トーチ保持部材及び/または前記溶接ワイヤ供給ガイド部材は、溶接位置の変更が可能なように角度及び/または位置を変更自在としたものであるから、請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の効果に加えて、溶接位置、溶接深さ、溶接ワイヤの太さによって溶接トーチの位置と溶接ワイヤとの位置を変化させる必要があるが、それを最適な位置に設定することができる。
請求項10のTIG溶接トーチハンド装置の前記本体ガイド部材は、マグネットで固着するものであるから、請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載の効果に加えて、作業効率を良好にすることができる。特に、ボルトに比較してワンタッチで操作可能になるので、作業効率が良い。
請求項11のTIG溶接トーチハンド装置の前記保持部材は、マグネットで固着するものであるから、請求項2に記載の効果に加えて、正確に設定する必要がある組付けが微調整を行うことなく簡単に行うことができ、作業効率を上げることができる。
図1は本発明の実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置の準備状態を作業者の前方から見て示す斜視図である。 図2は本発明の実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置の使用状態を作業者側から見て示す斜視図である。 図3は本発明の実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置の使用状態の部品展開図である。 図4は本発明の実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置の図2の使用状態の左側面図(a)及び図2溶接線で切断した中央要部断面図(b)である。 図5は本発明の実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置の溶接ワイヤ及び溶接トーチの位置状態を示す説明図で、 (b)は管材の深い位置で溶接する場合、(a)は管材の表面の溶接の場合の左側面図である。 図6は本発明の実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置の溶接ワイヤ及び溶接トーチの相対移動状態を示す説明図である。 図7は本発明の実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置の溶接事例を示すもので、(a)は単純に突合せた場合、(b)はU字状の溝を形成して突合せた場合の説明図である。 図8は本発明の実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置の他の溶接事例の状態を作業者の前方から見て示す斜視図である。 図9は本発明の実施の形態2のTIG溶接トーチハンド装置の使用状態を作業者の前方から見て示す斜視図である。 図10は本発明の実施の形態2のTIG溶接トーチハンド装置の要部部品展開図である。 図11は本発明の実施の形態2のTIG溶接トーチハンド装置の左側面図(a)及び前記 (a)の切断線A−Aによる断面図(b)である。 図12は本発明の実施の形態3のTIG溶接トーチハンド装置の本体ガイド部材の要部断面図を含む正面図(a)及び前記 (a)の切断線B−Bによる断面図(b)である。 図13は本発明の実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置の左側面図(a)及び前記 (a)の切断線C−Cによる断面図(b)である。 図14は本発明の実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置の取付け作業の説明図である。 図15は本発明の実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置を用いて突合せした表面の写真である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、各実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1のTIG溶接について説明する。
TIG溶接とは、電気のアークで溶接するアーク溶接の一種である。例えば、シールドガス(図示せず)の雰囲気中で、融点の非常に高いタングステン棒から管材100等の母材にアークを飛ばし、そのアーク熱で母材を溶かす。このとき、溶接ワイヤ2等の溶加材を加える溶接も可能である。一般に、TIG溶接は高圧管材や精密機器の溶接等に使われ、アルミニウムやステンレスの精密な溶接に多用されている。
溶接の際には、アークがプラズマ状態になり、ガス溶接やハンダ付けのような溶込みをするので、基本的な突合せ溶接であれば溶接ワイヤ2を使用することなく、母材を溶かすことで最も簡単に溶接ができ、しかも、溶接作業時に火花が散ることがない。なお、溶接時に母材の溶融金属部分を大気から遮断して保護するために図示しないアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを吹付けて溶接を行っている。また、溶接の深さを深くするためにも使用される。
次に、TIG溶接用の溶接トーチ1は公知(特開2000−94129参照)であるから、簡単にその概略の構成について説明する。
管材100を突合わせて溶接等を行う溶接トーチ1は、トーチ本体の中央部に設けた上下方向の電極挿通孔の下部にテーパ部を有する筒状のコレットボディの上端部を螺止し、前記コレットボディ内の所要範囲にスリットを形成し、かつ、下端部をコレットボディのテーパ部の内面と係合するテーパ面としたコレットを挿入配置すると共に、前記コレットにタングステン電極(放電電極1b)を上下方向に挿通保持させている。また、前記トーチ本体の電極挿通孔内に位置するコレットの上部に、下端面がコレットの上端面に当接するようにトーチキャップを螺合して、前記トーチキャップを締め込むことによりコレットの下端部をコレットボディのテーパ部の内面に押し付けて放電電極1bを固定させている。
更に、前記コレットボディの下部外周に外胴を一体に設けて、前記外胴の下端開口にガスレンズを取付け、前記トーチ本体の下部にコレットボディ及び外胴を取り囲むように、外胴の外周部への螺入によりシールパッキンを介してガスカップを取付け、トーチ本体のガス供給路に供給したシールドガスを、コレットボディ内から外胴内に導き、ガスレンズを通してガスカップの先端から放出し、放電電極1bの先端でアークを発生させ、そのアーク熱により管材100同士の突合わせの溶接個所に溶融池を形成し、その溶融池に対して溶接ワイヤ2を供給して溶融する。なお、この逆ト字状の型の溶接トーチ1は、市販品(ダイヘン製、デンヨー製、アサダ製等がある)の使用が可能である。
本実施の形態1における溶接トーチ1は、上下から嵌合溝11a及び嵌合溝12aを形成したカバー部材11と受部材12が配設されており、溶接トーチ1のグリップ1aをカバー部材11の嵌合溝11aと受部材12の嵌合溝12aとで挟持し、容易に離脱しないように保持される。この保持は、2本のボルト13によって締め付けている。なお、カバー部材11の嵌合溝11aと受部材12の嵌合溝12aとで挟持するグリップ1aは、通常、合成樹脂製であるが、取付けの際の締め付けが強くならないように、カバー部材11の嵌合溝11aと受部材12の嵌合溝12aには緩衝材11b及び緩衝材12bがグリップ1aとの間に介在するような締付け構造になっている。
この緩衝材11b及び緩衝材12bは、合成ゴムまたは軟質合成樹脂からなるシートであり、カバー部材11と受部材12を締め付けても溶接トーチ1が溶接線Gの直角方向(水平方向)に±5度以内の角度変化が生ずる程度の干渉を行うためにも使用される。
なお、グリップ1aには並行して 電源装置及び不活性ガスの供給を開始させるリモートコントロール用のスイッチ15が配設されている。レバー15aにより、動作開始及び終了が制御される。
このトーチ保持部材10は、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持する構造を有し、カバー部材11の嵌合溝11aと受部材12の嵌合溝12aで緩衝材11b及び緩衝材12bを介してグリップ1aを、必要に応じて多少振れを許容するように保持する構造になっている。
トーチ保持部材10の受部材12は、その両側に配設した本体部20にボルト14a及びボルト14bによって1対の本体部20に取付けられている。1対の本体部20には、弧状の長い調整孔23及び短い調整孔24が形成されており、回動角度及び位置変更が可能なようになっている。即ち、弧状の長い調整孔23及び短い調整孔24には、ボルト14aまたはボルト14bが螺入されるが、長い調整孔23及び短い調整孔24を同時に移動させたり、一方のみを移動させたりすることができる。また、長い調整孔23及び短い調整孔24にボルト14aまたはボルト14bが螺入することにより、堅固に1対の本体部20とトーチ保持部材10とを一体化することができる。
弧状の長い調整孔23及び短い調整孔24は両者を同一長さとすることもできる。何れにせよ、管材100との距離及び管材100と溶接トーチ1との接合角度が変化できればよい。勿論、例えば、弧状の短い調整孔24を円孔とし、それを軸に回動自在としてもよい。また、本実施の形態1では、カバー部材11と受部材12が分離されているが、両者を一体とし、その取付部材によって溶接トーチ1を一体となったカバー部材11と受部材12に取付けてもよい。
本実施の形態1では、溶接トーチ1の方向及び位置を、長い調整孔23及び短い調整孔24にボルト14aまたはボルト14bが螺入することにより決定しているが、本発明を実施する場合には、カバー部材11と受部材12でその角度及び位置を決定してもよい。いずれにせよ、本体部20に対して溶接トーチ1の放電電極1bの方向及び位置が変化できればよい。
1対の本体部20には、各々管材100に接触する管材100の径に略等しい切欠き弧21が形成されている。また、その切欠き弧21と同心軸で切欠き弧21よりも径の大きな切欠き段22が形成されている。切欠き段22は切欠き弧21と同心円状に形成されたものである。切欠き段22には複数のボルト22bが挿通孔31aを貫通して螺合する螺合孔22aが形成されている。特に、1対の本体部20において、各々互いに外面側に切欠き段22を形成している。
1対の本体部20の切欠き段22には、本体ガイド部材30の上部フランジ部31が取付け自在になっている。本体ガイド部材30は上部フランジ部31と下部フランジ部32と、溶接する管材100の端部に嵌められた上部鞘部33と下側鞘部34から構成されている。上部鞘部33と下側鞘部34は管材100の周面に面接触する形態となっており、厳密には、管材100の周面よりも若干大きな径で形成され、管材100の中心軸と同心軸上に形成された周面を有し、中心軸を通る直線で略180度の同心円を通る直線で2分割されている。上部鞘部33と下側鞘部34の内面は、管材100の外周面に密に接触している。ここで、中心軸を通る直線で略180度で2分割とは、180度未満で、管材100の周囲に対して合計360度覆うものではなく、360度未満の覆いを意味し、通常、上部鞘部33または下側鞘部34の一方または両方が160度以上、180度未満の範囲内に設定される。
したがって、本体ガイド部材30は、上部フランジ部31及び上部鞘部33並びに下部フランジ部32及び下部鞘部34によって構成され、管材100の周囲を回動自在になっている。この回動自在は、余りにも接触抵抗が少ないと、溶接線Gに対する溶接位置の移動が簡単に生ずる可能性があるから、所定の接触抵抗によって溶接線Gに対する移動が外力を付与しないと変化し難くなるように設定されている。通常、溶接トーチ1の操作に要する力と均衡がとれる程度の外力によって管材100を回動させている。
上部フランジ部31及び上部鞘部33並びに下部フランジ部32及び下部鞘部34によって構成される本体ガイド部材30は、管材100の周囲を一対の本体部20が回動自在に取付けるもので、上部鞘部33及び下部鞘部34の長さは任意の長さにすることができる。即ち、作業者は溶接時に溶接線Gの周方向に対する外力を加えるが、管材100の長さ方向の外力は加えないので、上部鞘部33及び下部鞘部34の長さは最小の幅とすることができる。即ち、上部フランジ部31及び下部フランジ部32が管材100に対して安定して取付けられる幅であればよい。
一対の本体部20の切欠き段22には、本体ガイド部材30の上部フランジ部31が複数本のボルト22bによって一体に螺止される。このように、本体部20の切欠き段22に上部フランジ部31がボルト22bによって一体に螺止するか否かは、一対の本体部20に本体ガイド部材30を使用するか、片側のみに本体ガイド部材30を使用するかによって決定される。少なくとも、片側の本体部20の切欠き段22には、本体ガイド部材30の上部フランジ部31が取付けられる。
この上部フランジ部31及び上部鞘部33と下部フランジ部32及び下部鞘部34は、複数本のボルト32aによって一体に固定され、管材100の周面に配置される。
このとき、管材100の周面と上部鞘部33及び下部鞘部34との内面との接触は、回動できるが、管材100の長さ方向の移動が困難な程度の接触が望ましい。通常、複数本のボルト32aの締め付け具合によってその状態が得られる。管材100相互間を接続する場合には、両側の本体部20側に対して、一対の本体ガイド部材30を配設することになる。また、管材100とエルボ200(図8参照)、チーズ等の付属部品との溶接を行う場合には、片側の本体部20にのみ本体ガイド部材30を配設することになる。
したがって、管材100に対する上部鞘部33及び下部鞘部34の内面の接触抵抗は、本体部20の両側に本体ガイド部材30を配設するか否かによっても相違するが、使用状態の摩擦力で決定される。
そして、一対の本体部20には、その本体部20に固着され、必要に応じて溶接ワイヤ2を溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材40が配設されている。溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、中央に径の異なる貫通する小の供給孔41a、中の供給孔41b、大の供給孔41cが形成されている。一対の本体部20には、弧状の長円孔25が形成されている。この長円孔25の本体部20の内側には、摺動面26が形成されていて、その面を溶接ワイヤ供給ガイド部材40の両端下面が摺動自在になっている。溶接ワイヤ供給ガイド部材40は摺動面26に載置された状態で、両側からのボルト45aで取付けができるようになっている。
したがって、溶接ワイヤ供給ガイド部材40をボルト45aで取付けたとき、本体部20のトーチ保持部材10の反対側の自由端が固定されるので、一対の本体部20は堅固に固定されることになる。
図1に示すガイド部材40には、貫通する小の供給孔41a、中の供給孔41b、大の供給孔41cの3種類の孔が形成されているが、本発明を実施する場合には、単一の孔であってもよい。例えば、供給孔を溶接ワイヤ2が自重で降下するものであればよい。また、ガイド部材40に対して垂直に溶接ワイヤ2を供給するように図示しているが、本発明を実施する場合には、斜めに溶接ワイヤ2を供給するようにしてもよい。即ち、図1において、右側から供給したり、左側から供給したりし、溶接トーチ1の放電電極1bの位置に辿る供給ができればよい。特に、管材100とエルボ200、チーズ等の付属部品との溶接を行う場合には好適となる。また、ガイド部材40に供給孔41a,41b,41cの機能をなす管路を外付けしてもよい。
本発明を実施する場合のガイド部材40は、溶接ワイヤ2が降下して供給されるものであればよい。
一対の本体部20とトーチ保持部材10、一対の本体部20と溶接ワイヤ供給ガイド部材40との関係を示すと、図6のようになる。
例えば、トーチ保持部材10は一対の本体部20との関係で、母材である管材100の方向または反対方向への移動が可能であり、また、長い調整孔23及び短い調整孔24により、一対の本体部20には受部材12を止めている2本のボルト14aの何れかと、2本のボルト14bの何れかを中心に回動することができる。この構成は、結果的に、溶接トーチ1と一対の本体部20との関係で、溶接トーチ1の放電電極1bの位置角度が変更できればよい。しかし、管材の規格からすると一義的に溶接トーチ1の放電電極1bの位置角度を決定してもよい。
同様に、溶接ワイヤ供給ガイド部材40も、一対の本体部20に弧状の長円孔25が形成されており、また、長円孔25の本体部20の内側には、摺動面26が形成されていて、その面を溶接ワイヤ供給ガイド部材40の両端下面が弧状に摺動自在になっているから、母材である管材100の方向または反対方向への移動が可能であり、また、曲面となっているから角度の変更も可能である。
この構成は、結果的に、溶接ワイヤ2と一対の本体部20との関係で、溶接ワイヤ2の先端の位置角度が変更できればよい。しかし、管材の規格からすると一義的に溶接トーチ1の放電電極1bの位置角度を決定してもよいから、溶接ワイヤ2の位置角度も一義的に決定してもよい。
このように構成される本発明の実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置は、次のように使用される。
まず、管材100相互間を基本的な突合せ溶接する場合について説明する。
この実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置は、管材100の径によって本体部20の弧状の長円孔25の径を管材100のJIS規格に合わせて幾種類かが用意されているものとする。勿論、本体部20の弧状の長円孔25の径は、管材100の径よりも10mm程度以下の大きな内径のものを使用することも可能であるが、理屈は同じであるから、密着する場合についてのみ説明する。
作業に先立って、一対の本体部20には受部材12を2本のボルト14a及びボルト14bによって仮止めし、一対の本体部20と受部材12を一体化する。また、本体ガイド部材30の上部フランジ部31をボルト22bによって一体に固着する。そして、溶接ワイヤ供給ガイド部材40をボルト45aで取付け一対の本体部20と堅固に一体化する。更に、上部フランジ部31及び上部鞘部33と下部フランジ部32及び下部鞘部34を複数本のボルト32aによって一対の本体部20と本体ガイド部材30とを一体に固定し、管材100の周面に配設する。なお、これらの順序は任意に前後または変更してもよい。
一対の本体部20と受部材12と溶接ワイヤ供給ガイド部材40と本体ガイド部材30とを一体に組み付けた概略の状態で、溶接線Gの位置にTIG溶接用の溶接トーチ1の放電電極1bの位置合わせを行い、カバー部材11の嵌合溝11aと受部材12の嵌合溝12aとでグリップ1aを挟持する。このとき、カバー部材11の嵌合溝11aと受部材12の嵌合溝12aには緩衝材11b及び緩衝材12bがグリップ1aとの間に介在するから、それらの締め付けによって、溶接線Gを中心にウィービング等を行う場合の取付け状態と、一直線上に溶接する場合の決定を行う締め付け具合の調節を行う。
この状態で、一対の本体部20とトーチ保持部材10との堅固な取付けを行う。
トーチ保持部材10によって放電電極1bの位置が決まるので、そこで、一対の本体部20に固着されていた溶接ワイヤ2を溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材40の位置決めを行い、溶接ワイヤ供給ガイド部材40の如何なる供給孔41a,41b,41cを使用するかが決定され、溶接ワイヤ2の先端位置が決定される。
この状態で溶接作業が可能になるが、管材100の周囲を回動しやすく、かつ、管材100の長さ方向に移動し難い程度に複数本のボルト32aによって上部フランジ部31及び上部鞘部33と下部フランジ部32及び下部鞘部34とを一体に固定する。この時の本体ガイド部材30と管材100との接触具合がTIG溶接のし易さを左右する。
この溶接作業は、リモートコントロール用のスイッチ15のレバー15aの操作により、電源装置及び不活性ガスの供給を開始させる。同時に、母材の管材100と溶接トーチ1の放電電極1b間が点弧され、アーク放電が開始される。このアーク熱によって母材の管材100が部分的に溶融し、そこに溶融池を作る。
同様に、溶接作業の終了は、リモートコントロール用のスイッチ15のレバー15aの操作により行われる。
図4(a)は、管材100相互間を基本的な突合せ溶接する場合の本実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置における溶接トーチ1及びその放電電極1bと溶接ワイヤ2との位置関係を示す側面図である。なお、溶接線Gを中心にウィービング等を行う場合も同様になる。図4(b)は、突合せ溶接する管材100相互間であり、外周であるところに溶接線Gがあり、そこに放電電極1bが位置決めされ、必要であれば、そこに、溶接ワイヤ2の先端が配置される。
図7(a)に示すように、管材100相互間を突合せとし、放電電極1bの先端でアークを発生させ、そのアーク熱により管材100を母材とし、母材相互の突合わせの溶接線Gに溶融池を形成し、溶接線Gに溶融池を作りながら、母材の管材100を回動方向に回動させることにより溶接ビードYが形成される。溶接方向は母材の管材100を回動方向と反対方向になる。仕上がりは、図15に示すように、現実では素人でも溶接痕が目立たないような良好な溶接Yビードとなる。
また、図5(a)及び図5(b)は、図7(b)に示すように、管材100相互間を幅広のU型状開先を施した後、U字状の溝G1を形成した突合せとし、放電電極1bの先端でアークを発生させ、そのアーク熱により管材100を母材とし、母材相互の突合わせの溶接個所に溶融池を形成し、その溶融池に対して溶接ワイヤ2を供給して溶融させるものである。この溶接は管材100を1回転で完了する場合、2回転以上回動し、仕上げする場合がある。
管材100とエルボ200とを接続する場合には、図8に示すように、一対の本体部20には、一方の管材100側のみ上部鞘部33及び下部鞘部34で本体ガイド部材30を取付け、他方の本体部20には、本体ガイド部材30が取付けられていない。また、必要に応じて、本体ガイド部材30が取付けられていない本体部20には、規格が1段または2段上げて切欠き弧21の径を大きくすることもできる。
このように、本発明の実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置は、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10と、トーチ保持部材10を固着する本体部20と、本体部20に固着され、必要に応じて溶接ワイヤ1を溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材40と、本体部20に上部フランジ部31及び下部フランジ部32が取付けられ、溶接する管材100の端部に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部で形成される本体ガイド部材30とを具備するものである。
TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10を固着する本体部20は、本体部20に上部フランジ部31及び下部フランジ部32が取付けられ、溶接する管材100の端部に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる本体ガイド部材30によって、溶接線Gに沿った円周の動きが可能となる。また、本体部20に固着され、必要に応じて溶接ワイヤ2を溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、溶接の際に母材と同一の材料を供給できるから、管材100相互間の溶接間隔の広い狭いに関係なく、溶接が可能となる。
特に、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10を固着する本体部20は、本体部20に取付けられた本体ガイド部材30の上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部によって管材100を保持できるから、溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10の移動方向のみ、即ち、回動方向のみを溶接線Gに沿って、または溶接線Gを中心にウィービング等に気を使って使用することができ、溶接において重要な母材と溶接トーチ1の放電電極1bとの間隔も保持されているから、移動のみに神経を集中させればよく、経験者でなくてもより良い溶接が可能となる。
このように、溶接線Gに忠実に沿った作業が可能で、溶接トーチ1と溶接線Gとの距離を一定とし、必要に応じて溶接ワイヤ2の供給も可能であり、管材100相互間、管材100とエルボ200、チーズ等の付属部品との溶接が可能となる。
[実施の形態2]
実施の形態1は本体ガイド部材30が管材100の周囲を回動することにより、管材100の周囲をTIG溶接するものである。しかし、管材100に対して本体ガイド部材30を取付け、その接触抵抗を作業者が設定することになる。全く使用したことのない素人にとってはその程度が不明である。そこで、初心者が初回から使用できるのがこの実施の形態2のTIG溶接トーチハンド装置である。なお、ここでは、実施の形態1と相違する構成のみを説明する。
図9乃至図11に示すように、本発明の実施の形態2のTIG溶接トーチハンド装置は、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10と、本体部20に固着され、必要に応じて溶接ワイヤ1を溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材40については、実施の形態1と相違するものがない。
本実施の形態2の本体ガイド部材30は、本体部20に取付けられる上部フランジ部31及び下部フランジ部32には、複数のボルト22bが貫通する挿通孔31aを有していない。勿論、本発明を実施する場合には、挿通孔31aを有することが発明の障害なるものではないから、設けても、設けてあってもよい。
溶接する管材100の端部に嵌められた本体ガイド部材30の上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部は、管材100に対して回動しないように堅固に取付けられる。
本体部20に取付けられる上部フランジ部31または下部フランジ部32には、その外周が同じで、内周が管材100の径よりも1mm程度大きい合成ゴムまたは合成樹脂または自動車用のクラッチに使用される乾式摩擦材と呼ばれる材料からなる摩擦抵抗材35が併設されている。摩擦抵抗材35は本体ガイド部材30の上部フランジ部31及び下部フランジ部32と本体部20との間の摩擦抵抗を大きくする材料であり、回動を阻止するものではない。勿論、摩擦抵抗材35を省略しても使用できるし、また、上部フランジ部31及び下部フランジ部32の周囲にロ−レットを掛けて、短期間の間、その接触抵抗を大きい状態とし、徐々に低下する構成とすることもできる。
上部フランジ部31及び下部フランジ部32と摩擦抵抗材35の対は、本体部20に形成された凹部溝51に挿入される。一対の本体部20の内側の対向面側には、凹部溝51と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の切欠きである切欠き弧52が形成されている。切欠き弧52は凹部溝51と同心円の中心を通る略直線で切断した形状となっている。
また、一対の本体部20の外側の面側には、凹部溝51と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の上部鞘部33及び下部鞘部34と嵌合する切欠きである鞘側切欠き弧53が形成されている。鞘側切欠き弧53は凹部溝51と同心円の中心を通る直線で切断した形状となっている。
ここで、本体ガイド部材30は上部フランジ部31と下部フランジ部32、また、溶接する管材100の端部に回動しないように取付けられた上部鞘部33と下側鞘部34から構成されている。上部鞘部33と下側鞘部34は管材100の周面に相対回動しないように取付けた形態となっており、管材100の中心軸と同心軸上に形成された周面を有し、当該中心軸を通る直線で2分割されている。ここで、中心軸を通る直線で2分割とは、略180度未満で、管材100の径に対して360度の周囲の対応を行わず、上部フランジ部31と下部フランジ部32とを共用する場合には、160〜180度未満の範囲内に設定される。
完全に管材100の中心軸と同心軸上に形成された周面を360度覆う構造としないのは、少なくとも、上部フランジ部31または下部フランジ部32の外周と線接触に近い面接触を行わせるものであり、これによって一対の本体部20と管材100との間の接触抵抗を任意に設定できる構造としている。
一対の本体部20に形成した上部フランジ部31と摩擦抵抗材35の対が挿入される凹部溝51、凹部溝51と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の切欠きである、凹部溝51と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の上部鞘部33と嵌合する切欠きである鞘側切欠き弧53は、保持部材60に形成されている凹部溝61、凹部溝61と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の切欠きである切欠き弧62、凹部溝61と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の上部鞘部33と嵌合する切欠きである鞘側切欠き弧63に連続する円を形成している。
保持部材60は、2本のボルト60aで一対の本体部20に固着されて一体となっている。この状態で本体ガイド部材30の上部フランジ部31と下部フランジ部32は管材100と同時に回動する。しかし、一対の本体部20の凹部溝51、切欠き弧52、鞘側切欠き弧53と保持部材60の凹部溝61、切欠き弧62、鞘側切欠き弧63によって上部フランジ部31と下部フランジ部32は管材100の長さ方向の移動が阻止される。また、一対の本体部20は本体ガイド部材30の上部フランジ部31と下部フランジ部32にガイドされるから、管材100の周囲を回動自在となっている。
しかし、この回動の際には、本体部20の切欠き弧52側の面と本体ガイド部材30の上部フランジ部31と下部フランジ部32との間で摩擦抵抗材35を挟んで摺動するから、所定の接触抵抗が発生することになる。但し、2本のボルト60aで保持部材60を一対の本体部20側に強く締め付けないようにする必要がある。摩擦抵抗材35が徐々に摩耗したとき、一対の本体部20側に保持部材60を締め付けるとそれだけて接触抵抗を大きくすることができる。即ち、初心者が使用を開始するときには、摩擦抵抗材35のみで所定の接触抵抗を得て、摩擦抵抗材35の摩耗の進度に応じて、一対の本体部20側に保持部材60を締め付けるようにしてあるので初心者の学習能力に応じた使い勝手ができる。
したがって、溶接トーチ1を操作する感覚で管材100を回動させながら溶接を行うことができる。
[実施の形態3]
実施の形態1は本体ガイド部材30が管材100の周囲を回動することにより、管材100の周囲をTIG溶接するものである。しかし、管材100の周方向に回動させ、その長さ方向に移動させない構造としては、本実施の形態3の構造も採用できる。なお、ここでは、実施の形態1と相違する構成のみを説明する。
図12に示すように、上部フランジ部31及び上部鞘部33と下部フランジ部32及び下部鞘部34は、複数本のボルト32aによって一体に固定され、管材100の周面に配設される構造であり、実施の形態1の構造との間に違いがない。
相違点は図12(a)及び図12(b)に示すように、上部鞘部33と下部鞘部34には、3個以上の窓部71を上部鞘部33と下部鞘部34に等間隔に形成し、そこに、芯材72で軸支したローラベアリング73を配置する。ローラベアリング73の周囲は、上部鞘部33と下部鞘部34の内面よりも0.1〜1mm突出した配置としている。また、芯材72は鋼材からなり、両端が上部鞘部33と下部鞘部34の外面に配設した支持環74で位置決めし、支持環74及び上部鞘部33の上面または下部鞘部34の上面に溶接している。
したがって、上部鞘部33及び下部鞘部34を複数本のボルト32aで一体化することにより、管材100の周囲がローラベアリング73の周面で接触し、上部鞘部33及び下部鞘部34と管材100との接触抵抗を低下させ、転がり摩擦抵抗としている。これにより、本体部20は管材100の周囲を回動するが、管材100の軸方向の移動は困難となる。また、ローラベアリング73は芯材72の固定位置に近いことから、外力が回転するローラベアリング73の抵抗となり、ボルト32aの締付け具合によって回転移動の調整が可能となる。なお、ローラベアリング73の周面には管材100の長さ方向への移動を禁止するローレットがけをしてもよい。
本実施の形態では、管材100の周囲にローラベアリング73を3個配設しているが、本発明を実施する場合には、3個以上であれば良く、また、好ましくは3個以上の場合、均等配置するのが好ましい。また、市販の複数からなる環状のローラベアリングを複数分割したものでもよい。
また、本発明を実施する場合の管材100の周囲に配設したローラベアリング73は、管材100の周方向に回転自在であり、管材100の長さ方向に移動を規制できる機構であればよい。
[実施の形態4]
上記実施の形態1及び実施の形態3においては、本体ガイド部材30を本体部20にボルトで取付けるものであり、実施の形態2は保持部材60を本体部20にボルトで取付けるものである。しかし、作業効率を上げる場合には、ボルトに代わってマグネット(永久磁石)で固着する手段の採用が望ましい。なお、ここでは、実施の形態2と比較してその構成を説明する。
本実施の形態4の本体ガイド部材30は、実施の形態2と同様、本体部20に取付けられる上部フランジ部31及び下部フランジ部32には、複数のボルト22bが貫通する挿通孔31aを有していない。勿論、本発明を実施する場合には、挿通孔31aを有することが発明の障害となるものではないから、設けても、設けてあってもよい。
溶接する管材100の端部に嵌められた本体ガイド部材30の上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部は、管材100に対して回動しないようにマグネット91により管材100の周囲に堅固に取付けられる。本体ガイド部材30の上部鞘部33及び/または下部鞘部34には弧状にマグネット91が埋設されていて、管材100及び上部鞘部33と下部鞘部34が管材100に吸着させられる構造となっている。
なお、マグネット91の配設は、マグネット91の形状に左右されるものではなく、本発明を実施する場合、マグネット91の形状を拘束する要因もない。結果的に、マグネット91から生じる磁界で、上部鞘部33及び下部鞘部34と管材100が相対移動しないように吸着できるものであればよい。
本実施の形態ではマグネット91は半円弧状のもので、上部鞘部33と下側鞘部34に拡径処理を行った拡径部93と、その端部からの飛び出しを禁止する端部カバー92により収納されている。本実施の形態4では、鉄とニッケル、アルミニウムを主成分とするMK鋼磁石を使用したが、アルニコ磁石を使用してもよい。また、フェライト磁石でも十分な吸着力が得られる。
上部フランジ部31及び下部フランジ部32は、本体部20に形成された凹部溝51に挿入される。一対の本体部20の内側の対向面側には、凹部溝51と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の切欠きである切欠き弧52が形成されている。切欠き弧52は凹部溝51と同心円の中心を通る略直線で切断した形状となっている。
即ち、一対の本体部20の外側の面側には、凹部溝51と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の上部鞘部33及び下部鞘部34と嵌合する切欠きである鞘側切欠き弧53が形成されている。鞘側切欠き弧53は凹部溝51と同心円の中心を通る直線で切断した形状となっている。これらの構造は、実施の形態2と相違するものではない。
本実施の形態4の本体ガイド部材30は、上部フランジ部31と下部フランジ部32、また、溶接する管材100の端部に回動しないように取付けられた上部鞘部33と下側鞘部34、マグネット91から構成されている。上部鞘部33と下側鞘部34は管材100の周面に相対回動しないようにマグネット91で一体に取付けた形態となっており、管材100の中心軸と同心軸上に形成された180度未満の周面を有し、当該中心軸を通る直線で2分割されている。この状態で本体ガイド部材30の上部フランジ部31と下部フランジ部32は管材100と一体となって回動する。
一対の本体部20に形成した上部フランジ部31が挿入される凹部溝51、凹部溝51と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の上部鞘部33と嵌合する切欠きである鞘側切欠き弧53は、保持部材80に形成されている凹部溝61、凹部溝61と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の上部鞘部33と嵌合する切欠きである鞘側切欠き弧63に連続する円を形成している。この保持部材80は、実施の形態2の保持部材60の上部フランジ部31及び下部フランジ部32を収容する嵌合構造と相違するものはない。
保持部材80は、1本の軸ピン81で本体部20に軸支されて一体となっている。その反対側の自由端には、マグネット82が埋設されている。マグネット82は保持部材80の自由端83側を本体部20に吸着し、自由端83側を固定することができる。マグネット82は保持部材80に設けられた挿着孔84に装着されている。したがって、マグネット82としてネオジム磁石を使用しても、自由端83をペンチ、プライヤー等で強く叩くことにより解放され、本体部20から本体ガイド部材30及び管材100を取外すことができる。また、上部フランジ部31及び下部フランジ部32の外周と凹部溝51及び凹部溝61の溝の圧力によって摩擦抵抗を決定することができ、マグネット82の吸着力が当該摩擦抵抗の大きさを決定する。これらマグネット91及びマグネット82は、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石等の永久磁石である。全体の構造によって材料が決定される。
使用の際には、一対の本体部20の凹部溝51、切欠き弧52、鞘側切欠き弧53と保持部材80の凹部溝61、切欠き弧62、鞘側切欠き弧63によって上部フランジ部31と下部フランジ部32は管材100の長さ方向の移動が阻止される。また、一対の本体部20は本体ガイド部材30の上部フランジ部31と下部フランジ部32にガイドされるから、管材100の周囲を管材100と一体となって回動自在となっている。しかし、この回動の際に、所定の接触抵抗を発生させる。したがって、溶接トーチ1を操作する感覚で管材100を回動させながら溶接を行うことができる。
図14の実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置の取付け作業の説明図を用いて、管材100に本装置を取付ける作業について説明する。
図14(a)に示すように、管材100相互を突合わせて、溶接線Gで溶接を行う場合について説明する。まず、図14(b)に示すように、合成樹脂または合成ゴムからなる位置合わせ冶具301を溶接する管材100に被せる。位置合わせ冶具301の深さLは上部フランジ部31及び下部フランジ部32の外面に一致させる距離に等しくなっている。
ここで、図14(c)に示すように、位置合わせ冶具301の端部に本体ガイド部材30を配設する。即ち、上部フランジ部31及び上部鞘部33、下部フランジ部32及び下側鞘部34を、マグネット91によって管材100に取付ける。本体ガイド部材30の配設が完了すると、図14(d)に示すように、位置合わせ冶具301を取り外し、そこに本体20を取付ける。
上記実施の形態1乃至実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置は、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10と、トーチ保持部材10を固着する本体部20と、本体部20に固着され、必要に応じて溶接ワイヤ2を溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材40と、本体部20に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が回動自在にまたは回動不可に取付けられ、上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部が溶接する管材100の端部に嵌められてなる本体ガイド部材30とを具備するものである。
したがって、実施の形態1乃至実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置は、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10を固着する本体部20は、本体部20に上部フランジ部31、下部フランジ部32からなるフランジ部が取付けられ、溶接する管材100の端部に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部からなる本体ガイド部材30によって、溶接線Gに沿った円周の動きが可能となる。また、本体部20に固着され、必要に応じて溶接ワイヤ2を溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、溶接の際に母材である管材100と同一の材料を供給できるから、管材100相互間の溶接間隔の広い狭いに関係なく、溶接が可能となる。
特に、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10を固着する本体部20は、本体部20に取付けられた本体ガイド部材30の上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部によって管材100を保持できるから、溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10の移動方向のみ、即ち、回動方向のみを溶接線Gに沿って、または溶接線Gを中心にウィービング等に気を使って使用することができ、溶接において重要な母材と溶接トーチ1との間隔も保持されているから、移動のみに神経を集中させればよいことから、経験者でなくてもより良い溶接が可能となる。
このように、溶接線Gに忠実に沿った作業が可能で、溶接トーチ1と溶接線Gとの距離を一定とし、必要に応じて溶接ワイヤの供給も可能であり、管材相互間、管材とエルボ、チーズ等の付属部品との溶接が可能となる。
本実施の形態2及び実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置は、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10と、トーチ保持部材10を固着する本体部20と、本体部20に固着され、必要に応じて溶接ワイヤ2を溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材40と、本体部20に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が取付けられ、溶接する管材100に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部からなる本体ガイド部材30と、本体部20に取付けられ、本体ガイド部材30の上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部に嵌合する保持部材60,80を具備するものである。
本実施の形態2及び実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置は、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10を固着する本体部20は、本体部20に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が取付けられ、溶接する管材100に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部からなる本体ガイド部材30によって、溶接トーチ1は溶接線Gに沿った円周方向の動きが可能となる。また、本体部20に固着され、必要に応じて溶接ワイヤ2を溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、溶接の際に母材と同一の材料を供給できるから、幅広のU型状開先を施したものであっても、直接的な突合せであっても、管材100相互間の溶接間隔の広い狭いに関係なく、TIG溶接が可能となる。
特に、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10を固着する本体部20は、本体部20に取付けられた本体ガイド部材30の上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部によって管材100を保持できるから、溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10の移動方向のみ、即ち、回動方向のみを溶接線Gに沿って、または溶接線Gを中心にウィービング等に気を付けて使用することができ、溶接において重要な母材と溶接トーチ1との間隔も保持されているから、移動のみに神経を集中させればよいことから、経験者でなくてもより良い溶接が可能となる。
このように、溶接線Gに忠実に沿った作業が可能で、溶接トーチ1と溶接線Gとの距離を一定とし、必要に応じて溶接ワイヤ2の供給も可能であり、管材100相互間、管材100とエルボ200、チーズ等の付属部品との溶接が可能となる。また、本発明のTIG溶接トーチハンド装置の装置全体が簡単な構造で、廉価でもある。
また、前記本体部20に取付けられ、前記本体ガイド部材30の上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部に嵌合する保持部材60,80は、本体部20との間に所定の関係を維持することができるから、取付け及び取外しの作業効率が良い。
以上のように、本実施の形態1乃至実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置のトーチ保持部材10は、TIG溶接用の溶接トーチ1を緩衝材11b及び/または緩衝材12bからなる緩衝材を介して保持するものである。
したがって、TIG溶接用の溶接トーチ1を緩衝材11b及び/または緩衝材12bからなる緩衝材を介して保持するものであるから、溶接線Gを中心にウィービング等を行う場合でも、緩衝材11b及び/または緩衝材12bからなる緩衝材の許容する範囲の動きにより可能となる。また、緩衝材11b及び/または緩衝材12bからなる緩衝材の許容する動きの範囲内で動きが採れ、また、通常では、所定の位置決め機能で定点が決まってくるから固定手段による固定と見做すことができ、溶接トーチ1と母材としての管材100とのアークを安定化させることができる。
本実施の形態1乃至実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置の本体部20は、トーチ保持部材10を両側から固着してトーチ保持部材10と一体化したものである。したがって、本体部20はトーチ保持部材10の両側から一体化するものであるから、溶接トーチ1に重心位置が設定されるか、その近くに重心位置が定まるので装置が扱いやすく、操作性に優れる。
本実施の形態1乃至実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置の溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、両側から本体部20に固着され、その間の略中央に溶接ワイヤ2を案内するガイド孔41a,41b,41cを設けたものである。
したがって、ガイド孔41a,41b,41cを通して溶接ワイヤ2を案内させ、その溶接に使用することができる。また、溶接トーチ1と溶接ワイヤ供給ガイド部材40は対向位置とすることができ、本体部20の構造を堅固なものに組付けることができる。
本実施の形態1乃至実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置の本体ガイド部材30は、本体部20に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が固着され、溶接する管材100の端部に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部が回動自在としたものである。
したがって、溶接する管材100の端部に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部は、その長さ方向に対しては、ガタツキがない以上は長さ方向の移動は困難となり、回動方向の移動を許容することとなるから、特別な手段を講じることなく、管材100の周りを回動させることができる。
本実施の形態2及び実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置の本体ガイド部材30は、上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が嵌合され、溶接する管材100の端部に取付けられた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部がその回動を拘束されているものである。
したがって、上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が嵌合され、溶接する管材100の端部に取付けられた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部がその回動を拘束しているので、上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部に沿って本体部20が回動し、溶接トーチ1の回動(本体部20が回動)のみが自在となり、溶接トーチ1は溶接線Gに沿ったTIG溶接作業が可能となる。
また、本実施の形態1乃至実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置の本体ガイド部材30は、本体部20の両側に配設されている。本体部20が両側に配設されているものでは、本体部20が両側から保持され、重心位置が中央にくるとともに、トーチ保持部材10、本体部20及び本体ガイド部材30、溶接ワイヤ供給ガイド部材40の構造が安定し、安定した回動を行うことができる。
TIG溶接トーチハンド装置の本体ガイド部材30が、本体部20の片側に配設されているものでは、本体部20が片側から保持され、管材100相互間、または、管材100とエルボ200、管材100とチーズ等の付属部品との溶接が可能となる。
本実施の形態1乃至実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置のトーチ保持部材10及び/または溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、溶接位置の変更が可能なように角度及び/または位置を変更自在としたものである。このように、溶接位置の変更が可能なように角度及び/または位置を変更自在としたものであるから、溶接位置、溶接深さ、溶接ワイヤの太さによって溶接トーチ1の位置と溶接ワイヤ2との位置を最適な位置に設定することができる。
上記実施の形態1乃至実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置のトーチ保持部材10は、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するもので、ウィービング等の機能の有無には関係なく、溶接トーチ1を取付け自在であればよい。例えば、ウィービング等の機能はトーチ保持部材10の付属品として実施することもできる。
また、トーチ保持部材10を固着する本体部2は、トーチ保持部材10と一体に形成された鋳物等の鋳造品の本体部20でもよいし、上記実施の形態1乃至実施の形態4のように、本体部2にトーチ保持部材10が後付されたものでも良い。本体部20は、1個とすることも2個とすることもできる。
そして、溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、本体部20に固着され、必要に応じて溶接ワイヤ2を溶接個所に案内するものであればよく、送給装置の有無には関係しない。必要に応じて、溶接ワイヤ2を溶接個所に案内する送給装置を取付けることができる。
更に、上記本体ガイド部材30は、本体部20に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が取付けられ、溶接する管材100の端部に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部でなり、上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部から完全な環状に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が形成されていなくとも、本体部20と結合できる形状であればよい。
更にまた、実施の形態1乃至実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置のトーチ保持部材10は、TIG溶接用の溶接トーチ1を緩衝材11b及び/または緩衝材12bからなる緩衝材を介して保持するものである。ここで、緩衝材11b及び/または緩衝材12bからなる緩衝材は合成樹脂、ゴム、皮革等の弾性体であればよい。
本体部20は、トーチ保持部材10を両側から固着してトーチ保持部材10と一体化したものであるが、ここで、本体部20は、対向する2個の部品で構成してもよいし、1個の鋳物で形成してもよい。
上記実施の形態1乃至実施の形態4にかかるTIG溶接トーチハンド装置の前記溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、両側から本体部20に固着され、その間の略中央に溶接ワイヤ2を案内するガイド孔41a,41b,41cを設けたものである。
ここで、溶接ワイヤ2を案内するガイド孔41a,41b,41cは複数種類の溶接ワイヤ2を挿入自在としてもよい。或いは送り装置を配設することもできる。また、溶接ワイヤ2を案内するガイド孔41a,41b,41cは一方の本体部20側から溶接トーチ1の放電電極1b側に斜めに配設することもできる。
上記実施の形態1乃至実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置の本体ガイド部材30は、本体部20に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が固着され、溶接する管材100の端部に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部が相対的に回動自在としたものである。
ここで、上記実施の形態1の本体ガイド部材30は、管材100の端部に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部が、管材10と共に回動自在であるから、管材100の周囲に滑らかな回動が得られ、溶接に無理のない処理ができるように上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部の締め付けによって自在に回動力を設定できる。また、実施の形態2及び実施の形態3及び実施の形態4のように構成すると、または、図示しないスプリングでローラベアリングを取付けると、管材100の長さ方向の移動を阻止できる。即ち、実施の形態2及び実施の形態3及び実施の形態4のように、管材100の長さ方向に移動でき難く、その回転方向に移動自在な構造を有しておればよい。
上記実施の形態2及び実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置の本体ガイド部材30は、本体部20に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が嵌合され、溶接する管材100の端部に取付けられた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部がその回動を拘束されているものである。
ここで、本体ガイド部材30は、本体部20に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が嵌合され、溶接する管材100の端部に取付けられた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部がその相対的な回動を拘束され、上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が本体部20に形成された凹部溝51に嵌合して、回動自在としたものである。
上記実施の形態1乃至実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置の本体ガイド部材30は、本体部20の両側に配設されている。ここで、上記本体ガイド部材30は、一方のみとすることができるが、管材100相互間を溶接する場合には、本体部20の両側に配設するのが望ましい。
上記実施の形態1乃至実施の形態4のTIG溶接トーチハンド装置のトーチ保持部材10及び/または溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、溶接位置の変更が可能なように角度及び/または位置を変更自在としたものである。
ここで、トーチ保持部材10及び/または溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、溶接ト―チ1のアーク及び溶接ワイヤ2の供給が自在になり、溶接が深い場合、浅い場合の対応ができるように、その角度及び/または位置を変更自在とするものである。
上記実施の形態2及び実施の形態4では、上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が本体部20に形成された凹部溝51に嵌合して、回動自在としたものであるが、本発明を実施する場合には、フランジ部の断面の凸状を凹状とすることもできる。
なお、実施の形態1の下部フランジ部32及び下部鞘部34、実施の形態2の保持部材60、実施の形態3の下部フランジ部32及び下部鞘部34、ローラベアリング73の構成は、スプリング力で付勢された挟み部品として軸支した回動部品として構成することができる。
また、実施の形態2及び実施の形態4は、本体部20に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が取付けられ、溶接する管材100に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部からなる本体ガイド部材30と、本体部20に取付けられ、本体ガイド部材30の上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部に嵌合する保持部材60,80を具備するものである。この保持部材60,80は実施の形態2では、2本のボルトで固着しており、また、実施の形態4では軸ピン81で軸支している。
しかし、本発明を実施する場合には、例えば、実施の形態2のようにボルト60aで直接取付けるものではなく、ボルト60aにコイルスプリングを通し、保持部材60の移動をスプリング力によって自在とすることもできる。また、保持部材80の軸ピン81から下に管材100の半径程度離れた位置にレバーを取付け、そのレバーを本体部20方向に移動させることにより開閉自在とすることもできる。また、マグネット82に代えて、スプリング力で同様に保持部材80を本体部20方向にスプリング力を付与する構成とすることもできる。
また、実施の形態4のマグネット82,91は、本発明を実施する場合には、相手材と接触することを前提とするものではなく、互いに吸引され、その間の間隔が殆どゼロに近い状態になっておればよい。相手材と接合し、吸引しているときには、両者が離れ難くなる場合があるので、通常、両者を接触させないのが好適な仕様である。勿論、分離する手段を用意すれば問題はない。また、MK鋼磁石、アルニコ磁石、フェライト磁石の場合には、両者を直接接合させても、その分離は自在であった。
1 溶接トーチ
2 溶接ワイヤ
1b 放電電極
10 トーチ保持部材
11 カバー部材
11b,12b 緩衝材
12 受部材
20 本体部
30 本体ガイド部材
31 上部フランジ部
32 下部フランジ部
33 上部鞘部
34 下部鞘部
40 溶接ワイヤ供給ガイド部材
60,80 保持部材
100 管材
200 エルボ
本発明は、例えば、長尺パイプ等の管材を接続する溶接装置に関するもので、特に、管材相互または管材と其の部品とをTIG溶接するに好適なTIG溶接トーチハンド装置に関するものである。本発明は、マニュアル使用に限られることなく、ロボット溶接の溶接ハンドとしても使用できる。
配管の長尺化を図る場合には、管材相互間を溶接またはカップリングで接続して一体化される。即ち、母材である管材相互を突合せ、その突合せ部分に幅広のU型状開先を施した後、これらを突合せ溶接していた。溶接法としては、TIG 溶接(tungsten inert gas welding:非溶極式のイナートガスアーク溶接でタングステンまたはタングステン合金を電極とする溶接法) を手動でまたは溶接ロボット等で自動溶接を行っていた。
従来のこの種の管材の溶接は、厚さが5mmの管材であっても、突合せ部分のルートフェースが1〜1.5mm程度の幅広のU型状開先加工を施し、その後、添加ワイヤを供給しながら、複数層の溶接を施し、溶接時間と溶接に手間がかかっていた。なお、添加ワイヤを用いない場合には、ルートフェースが短いので割れや、溶け落ちがあり、溶接の制御が困難であると共に、高度な熟練を要し、良好な溶接ができないという問題があった。
また、開先加工の不要な高エネルギー密度溶接、例えば、レーザ溶接等を用いる方法もあるが、ボイラチューブ等の配管の生産量に初期投資のコストが高くなるという問題があった。
特許文献1では、従来の一層溶接では不可能であった厚さ5mmのチューブを溶接する際に、単に突き合わせて添加ワイヤなしでの裏波TIG溶接を可能としている。
即ち、チューブ状の管材相互をトーチで突合せ溶接する溶接方法において、少なくとも5分割の回転ステップで管状の母材またはトーチを回転させ、添加ワイヤ無しで初層のTIG溶接し、次に、添加ワイヤを用いて仕上溶接するもので、具体的には、管母材またはトーチを回転させ、添加ワイヤ無しで初層TIG溶接を行い、次に添加ワイヤを用いて仕上溶接するもので、溶接パス数が2回ですみ、溶接効率が向上し、溶接のコストダウンを図ることができるものである。
また、特許文献2では、活性金属からなる被溶接物を溶接線に沿って覆い、一方には溶接トーチ固定部が設けられたシールドカバーと、前記溶接トーチ固定部の後方の前記シールドカバー内に分散配置され、底部を耐熱性金属からなるメッシュによって支持された耐熱性金属繊維または耐熱性金属ワイヤ片の集合からなる整流部材と、前記整流部材中に延在して、該整流部材中に不活性ガスを充填し、前記底部のメッシュから該不活性ガスを放出するガス放出管と、前記シールドカバー及びこれに取付けられた溶接トーチを前記溶接線に沿ってガイドするガイド部材を有する活性金属の溶接に使用する溶接補助装置を開示している。
この活性金属の溶接に使用する溶接補助装置は、シールドカバー内に空気や焼結金属よりも熱伝導率の高いステンレス鋼等からなる耐熱性金属繊維または耐熱性金属ワイヤ片の集合からなる整流部材を分散配置しているので、溶接ビードから伝達された熱は整流部材を介してシールドカバーから放熱し易く、シールドカバー内が空洞の場合に比べて冷却効果が大きくなり、溶接直後の溶接ビードの酸化防止効果を高めることができる。
また、整流部材の素材は市販のステンレス鋼等の材料を用いることができ、材料・工数とも安価にすることができる。特に、活性金属の溶接に使用する溶接補助装置においては、前記被溶接物がパイプからなって、前記シールドカバーの下面が前記パイプの外周に沿って円弧状に形成されているので、シールドカバーの下面から余分な不活性ガスが流出するのを防ぎ不活性ガスの消費量を少なくすると共に、外部からの空気の巻き込みを防ぎ、安定したアークを発生させることができるという技術である。
特開2000−141044 特開2000−135562
このように、特許文献1は、管状の管母材相互をトーチで突合せ溶接する場合に正確に溶接していないと、次に、添加ワイヤを用いて仕上げ溶接することができなくなり、TIG溶接の技能が問われ、単純に溶接のコストダウンを図ることができない。
また、特許文献2では、シールドカバー内に空気や焼結金属よりも熱伝導率の高いステンレス鋼等からなる耐熱性金属繊維または耐熱性金属ワイヤ片を分散配置し、溶接ビードから伝達された熱をシールドカバーから放散し易くするものであるが、本発明者は放熱性の向上よりも溶接速度を速くすることにより、ステンレス、鉄等の多くの管材においては、溶接直後の溶接ビードの酸化の問題が生じないことが確認された。
そして、特許文献2においては、パイプの溶接線を洗浄してTIG溶接が可能な状態にした後、溶接線に溶接トーチの先端が合うようにシールドカバーを配置し、前記シールドカバーの両側にガイド部材を配置し、係合ピンをガイド溝に係合させ、チェーンをパイプに巻付け、留め具によって両端を連結する。不活性ガスをガス放出管から放出して、整流部材中に不活性ガスを充填し、前側部及び底部のメッシュから不活性ガスをパイプの表面及び溶接トーチに向かって均一に流すと共に、パイプの内部にバックシールドのためのガス放出管から不活性ガスを供給する。そして、溶加材を溜まり部の上方から溶接線付近に近づけ、パイプに対して相対的にシールドカバーをガイド部材に沿って移動させながら、溶接トーチからアークを発生させて溶加材を溶融させ、溶接線に沿って溶接ビードを形成する。1回の溶接の溶接ビードの長さは30mm程度が望ましい。このとき、溶接ビード上を整流部材から流れた不活性ガスによって冷却し、溶接ビードが常温に近づいた状態で、次の溶接ビードの形成作業を続けるという技術を開示している。
即ち、特許文献2の技術には、溶接線を形成する両側のパイプに取付けるチェーンと、当該チェーンに配設した係合ピンと、該係合ピンを収容して案内されるガイド溝を有するシールドカバーと、該シールドカバーに取付けた溶接トーチとを具備するTIG溶接トーチハンド装置が開示されている。しかし、1回の溶接の溶接ビードの長さが30mm程度のものであるから、パイプにチェーンを留め具で取付けてもその移動中に溶接線との平衡が崩れたり、パイプの長さ方向への移動が生じたり、スムーズなシールドカバーの回転が得られないことがある。そのため、作業者はパイプの長さ方向への移動及び周方向への移動、また、溶接線を移動する移動、溶接トーチの揺動によるウィービング等に気を取られて神経を溶接作業に集中できないことがある。
そこで、本発明は、溶接線に忠実に沿った作業が可能で、溶接トーチと溶接線との距離を一定とし、必要に応じて溶接ワイヤの供給も可能であり、管材相互間、管材とエルボ、チーズ等の付属部品との溶接が可能なTIG溶接トーチハンド装置の提供を課題とするものである。
請求項1の発明にかかるTIG溶接トーチハンド装置は、TIG溶接用の溶接トーチを保持するトーチ保持部材を固着する本体部と、前記本体部に固着され、必要に応じて溶接ワイヤを溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材と、前記本体部にフランジ部が取付けられ、溶接する管材に嵌められた鞘部からなる本体ガイド部材とを具備するものである。
ここで、上記トーチ保持部材は、TIG溶接用の溶接トーチを保持するもので、ウィービング等の機能の有無には関係なく、溶接トーチを取付け自在なものであればよい。
また、トーチ保持部材を固着する本体部は、トーチ保持部材と一体に形成した本体部でもよいし、複数部分を後付されたものでも良い。本体部は1個とすることも2個とすることもできる。
そして、上記溶接ワイヤ供給ガイド部材は、前記本体部に固着され、必要に応じて溶接ワイヤを溶接個所に案内するものであればよく、溶接ワイヤの送給装置の有無には関係しない。
更に、上記本体ガイド部材は、前記本体部に取付けられ、溶接する管材の端部に嵌められた鞘部からなるものであり、前記本体部と結合できる形状であればよい。
前記トーチ保持部材は、TIG溶接用の溶接トーチを緩衝材を介して保持するものであり、緩衝材は合成樹脂、ゴム、皮革等の弾性体であればよい。
前記本体部は、トーチ保持部材を両側から固着して前記トーチ保持部材と一体化したものである。
また、前記溶接ワイヤ供給ガイド部材は、両側から前記本体部に固着され、その間の略中央に溶接ワイヤの先端を案内するガイド孔を設けたものである。ここで、溶接ワイヤを案内するガイド孔は複数種類の溶接ワイヤを挿入自在としてもよい。溶接トーチの放電電極の先端に溶接ワイヤの先端が位置すればよい。したがって、溶接トーチの放電電極の先端に溶接ワイヤの先端が位置すれば、その間に傾斜部分があってもよい。或いは送り装置を配設することもできる。
請求項1のTIG溶接トーチハンド装置は、TIG溶接用の溶接トーチを保持するトーチ保持部材を固着する本体部は、前記本体部にフランジ部が取付けられ、溶接する管材に嵌められた鞘部からなる本体ガイド部材によって、溶接トーチは溶接線に沿った円周方向の動きが可能となる。
また、前記本体部に固着され、必要に応じて溶接ワイヤを溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材は、溶接の際に母材と同一の材料を供給できるから、幅広のU型状開先を施したものであっても、直接的な突合せであっても、管材相互間の溶接間隔の広い狭いに関係なく、TIG溶接が可能となる。
特に、TIG溶接用の溶接トーチを保持するトーチ保持部材を固着する本体部は、前記本体部に取付けられた本体ガイド部材の鞘部によって管材を保持できるから、溶接トーチを保持するトーチ保持部材の移動方向のみ、即ち、回動方向のみを溶接線に沿って、または溶接線を中心にウィービング等に気を付けて使用することができ、溶接において重要な母材と溶接トーチとの間隔も保持されているから、移動のみに神経を集中させればよいことから、経験者でなくてもより良い溶接が可能となる。
このように、溶接線に忠実に沿った作業が可能で、溶接トーチと溶接線との距離を一定とし、必要に応じて溶接ワイヤの供給も可能であり、管材相互間、管材とエルボ、チーズ等の付属部品との溶接が可能となる。また、本発明のTIG溶接トーチハンド装置の装置全体が簡単な構造で、廉価でもある。
また、前記トーチ保持部材は、緩衝材を介してTIG溶接用の溶接トーチを保持するものであるから、溶接線を中心にウィービング等を行う場合でも、緩衝材の許容する範囲の動きにより可能となる。また、緩衝材の許容する動きの範囲内で動きが採れ、また、通常では、所定の位置決め機能で定点が決まってくるから固定と見做すことができ、母材と放電電極間のアークを安定化させることができる。
そして、前記本体部は、トーチ保持部材を両側から固着して前記トーチ保持部材と一体化したものであるから、溶接トーチに重心位置が設定されるか、その近くに重心位置が定まるので装置全体を扱いやすく、溶接トーチの操作性に優れる。
更に、前記溶接ワイヤ供給ガイド部材は、両側から前記本体部に固着され、その間の略中央に溶接ワイヤを案内するガイド孔を設けたものであるから、ガイド孔を通して溶接ワイヤを案内させ、その溶接に使用することができる。また、前記溶接トーチと前記溶接ワイヤ供給ガイド部材は対向位置とすることができ、本体部の構造を堅固なものとすることができる。
前記本体ガイド部材は、前記本体部の両側に配設されているものであるから、前記本体部が両側から保持されるから、安定した溶接トーチの回動を行うことができる。
図1は本発明の参考形態1のTIG溶接トーチハンド装置の準備状態を作業者の前方から見て示す斜視図である。 図2は本発明の参考形態1のTIG溶接トーチハンド装置の使用状態を作業者側から見て示す斜視図である。 図3は本発明の参考形態1のTIG溶接トーチハンド装置の使用状態の部品展開図である。 図4は本発明の参考形態1のTIG溶接トーチハンド装置の図2の使用状態の左側面図(a)及び図2溶接線で切断した中央要部断面図(b)である。 図5は本発明の参考形態1のTIG溶接トーチハンド装置の溶接ワイヤ及び溶接トーチの位置状態を示す説明図で、(b)は管材の深い位置で溶接する場合、(a)は管材の表面の溶接の場合の左側面図である。 図6は本発明の参考形態1のTIG溶接トーチハンド装置の溶接ワイヤ及び溶接トーチの相対移動状態を示す説明図である。 図7は本発明の参考形態1のTIG溶接トーチハンド装置の溶接事例を示すもので、(a)は単純に突合せた場合、(b)はU字状の溝を形成して突合せた場合の説明図である。 図8は本発明の参考形態1のTIG溶接トーチハンド装置の他の溶接事例の状態を作業者の前方から見て示す斜視図である。 図9は本発明の参考形態2のTIG溶接トーチハンド装置の使用状態を作業者の前方から見て示す斜視図である。 図10は本発明の参考形態2のTIG溶接トーチハンド装置の要部部品展開図である。 図11は本発明の参考形態2のTIG溶接トーチハンド装置の左側面図(a)及び前記(a)の切断線A−Aによる断面図(b)である。 図12は本発明の実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置の本体ガイド部材の要部断面図を含む正面図(a)及び前記(a)の切断線B−Bによる断面図(b)である。 図13は本発明の参考形態3のTIG溶接トーチハンド装置の左側面図(a)及び前記(a)の切断線C−Cによる断面図(b)である。 図14は本発明の参考形態3のTIG溶接トーチハンド装置の取付け作業の説明図である。 図15は本発明の参考形態1のTIG溶接トーチハンド装置を用いて突合せした表面の写真である。
以下、本発明の実施の形態及び参考の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、各実施の形態及び参考の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
参考形態1
まず、本発明の参考形態1のTIG溶接について説明する。
TIG溶接とは、電気のアークで溶接するアーク溶接の一種である。例えば、シールドガス(図示せず)の雰囲気中で、融点の非常に高いタングステン棒から管材100等の母材にアークを飛ばし、そのアーク熱で母材を溶かす。このとき、溶接ワイヤ2等の溶加材を加える溶接も可能である。一般に、TIG溶接は高圧管材や精密機器の溶接等に使われ、アルミニウムやステンレスの精密な溶接に多用されている。
溶接の際には、アークがプラズマ状態になり、ガス溶接やハンダ付けのような溶込みをするので、基本的な突合せ溶接であれば溶接ワイヤ2を使用することなく、母材を溶かすことで最も簡単に溶接ができ、しかも、溶接作業時に火花が散ることがない。なお、溶接時に母材の溶融金属部分を大気から遮断して保護するために図示しないアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを吹付けて溶接を行っている。また、溶接の深さを深くするためにも使用される。
次に、TIG溶接用の溶接トーチ1は公知(特開2000−94129参照)であるから、簡単にその概略の構成について説明する。
管材100を突合わせて溶接等を行う溶接トーチ1は、トーチ本体の中央部に設けた上下方向の電極挿通孔の下部にテーパ部を有する筒状のコレットボディの上端部を螺止し、前記コレットボディ内の所要範囲にスリットを形成し、かつ、下端部をコレットボディのテーパ部の内面と係合するテーパ面としたコレットを挿入配置すると共に、前記コレットにタングステン電極(放電電極1b)を上下方向に挿通保持させている。また、前記トーチ本体の電極挿通孔内に位置するコレットの上部に、下端面がコレットの上端面に当接するようにトーチキャップを螺合して、前記トーチキャップを締め込むことによりコレットの下端部をコレットボディのテーパ部の内面に押し付けて放電電極1bを固定させている。
更に、前記コレットボディの下部外周に外胴を一体に設けて、前記外胴の下端開口にガスレンズを取付け、前記トーチ本体の下部にコレットボディ及び外胴を取り囲むように、外胴の外周部への螺入によりシールパッキンを介してガスカップを取付け、トーチ本体のガス供給路に供給したシールドガスを、コレットボディ内から外胴内に導き、ガスレンズを通してガスカップの先端から放出し、放電電極1bの先端でアークを発生させ、そのアーク熱により管材100同士の突合わせの溶接個所に溶融池を形成し、その溶融池に対して溶接ワイヤ2を供給して溶融する。なお、この逆ト字状の型の溶接トーチ1は、市販品(ダイヘン製、デンヨー製、アサダ製等がある)の使用が可能である。
参考形態1における溶接トーチ1は、上下から嵌合溝11a及び嵌合溝12aを形成したカバー部材11と受部材12が配設されており、溶接トーチ1のグリップ1aをカバー部材11の嵌合溝11aと受部材12の嵌合溝12aとで挟持し、容易に離脱しないように保持される。この保持は、2本のボルト13によって締め付けている。なお、カバー部材11の嵌合溝11aと受部材12の嵌合溝12aとで挟持するグリップ1aは、通常、合成樹脂製であるが、取付けの際の締め付けが強くならないように、カバー部材11の嵌合溝11aと受部材12の嵌合溝12aには緩衝材11b及び緩衝材12bがグリップ1aとの間に介在するような締付け構造になっている。
この緩衝材11b及び緩衝材12bは、合成ゴムまたは軟質合成樹脂からなるシートであり、カバー部材11と受部材12を締め付けても溶接トーチ1が溶接線Gの直角方向(水平方向)に±5度以内の角度変化が生ずる程度の干渉を行うためにも使用される。
なお、グリップ1aには並行して電源装置及び不活性ガスの供給を開始させるリモートコントロール用のスイッチ15が配設されている。レバー15aにより、動作開始及び終了が制御される。
このトーチ保持部材10は、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持する構造を有し、カバー部材11の嵌合溝11aと受部材12の嵌合溝12aで緩衝材11b及び緩衝材12bを介してグリップ1aを、必要に応じて多少振れを許容するように保持する構造になっている。
トーチ保持部材10の受部材12は、その両側に配設した本体部20にボルト14a及びボルト14bによって1対の本体部20に取付けられている。1対の本体部20には、弧状の長い調整孔23及び短い調整孔24が形成されており、回動角度及び位置変更が可能なようになっている。即ち、弧状の長い調整孔23及び短い調整孔24には、ボルト14aまたはボルト14bが螺入されるが、長い調整孔23及び短い調整孔24を同時に移動させたり、一方のみを移動させたりすることができる。また、長い調整孔23及び短い調整孔24にボルト14aまたはボルト14bが螺入することにより、堅固に1対の本体部20とトーチ保持部材10とを一体化することができる。
弧状の長い調整孔23及び短い調整孔24は両者を同一長さとすることもできる。何れにせよ、管材100との距離及び管材100と溶接トーチ1との接合角度が変化できればよい。勿論、例えば、弧状の短い調整孔24を円孔とし、それを軸に回動自在としてもよい。また、本参考形態1では、カバー部材11と受部材12が分離されているが、両者を一体とし、その取付部材によって溶接トーチ1を一体となったカバー部材11と受部材12に取付けてもよい。
参考形態1では、溶接トーチ1の方向及び位置を、長い調整孔23及び短い調整孔24にボルト14aまたはボルト14bが螺入することにより決定しているが、本発明を実施する場合には、カバー部材11と受部材12でその角度及び位置を決定してもよい。いずれにせよ、本体部20に対して溶接トーチ1の放電電極1bの方向及び位置が変化できればよい。
1対の本体部20には、各々管材100に接触する管材100の径に略等しい切欠き弧21が形成されている。また、その切欠き弧21と同心軸で切欠き弧21よりも径の大きな切欠き段22が形成されている。切欠き段22は切欠き弧21と同心円状に形成されたものである。切欠き段22には複数のボルト22bが挿通孔31aを貫通して螺合する螺合孔22aが形成されている。特に、1対の本体部20において、各々互いに外面側に切欠き段22を形成している。
1対の本体部20の切欠き段22には、本体ガイド部材30の上部フランジ部31が取付け自在になっている。本体ガイド部材30は上部フランジ部31と下部フランジ部32と、溶接する管材100の端部に嵌められた上部鞘部33と下側鞘部34から構成されている。上部鞘部33と下側鞘部34は管材100の周面に面接触する形態となっており、厳密には、管材100の周面よりも若干大きな径で形成され、管材100の中心軸と同心軸上に形成された周面を有し、中心軸を通る直線で略180度の同心円を通る直線で2分割されている。上部鞘部33と下側鞘部34の内面は、管材100の外周面に密に接触している。ここで、中心軸を通る直線で略180度で2分割とは、180度未満で、管材100の周囲に対して合計360度覆うものではなく、360度未満の覆いを意味し、通常、上部鞘部33または下側鞘部34の一方または両方が160度以上、180度未満の範囲内に設定される。
したがって、本体ガイド部材30は、上部フランジ部31及び上部鞘部33並びに下部フランジ部32及び下部鞘部34によって構成され、管材100の周囲を回動自在になっている。この回動自在は、余りにも接触抵抗が少ないと、溶接線Gに対する溶接位置の移動が簡単に生ずる可能性があるから、所定の接触抵抗によって溶接線Gに対する移動が外力を付与しないと変化し難くなるように設定されている。通常、溶接トーチ1の操作に要する力と均衡がとれる程度の外力によって管材100を回動させている。
上部フランジ部31及び上部鞘部33並びに下部フランジ部32及び下部鞘部34によって構成される本体ガイド部材30は、管材100の周囲を一対の本体部20が回動自在に取付けるもので、上部鞘部33及び下部鞘部34の長さは任意の長さにすることができる。即ち、作業者は溶接時に溶接線Gの周方向に対する外力を加えるが、管材100の長さ方向の外力は加えないので、上部鞘部33及び下部鞘部34の長さは最小の幅とすることができる。即ち、上部フランジ部31及び下部フランジ部32が管材100に対して安定して取付けられる幅であればよい。
一対の本体部20の切欠き段22には、本体ガイド部材30の上部フランジ部31が複数本のボルト22bによって一体に螺止される。このように、本体部20の切欠き段22に上部フランジ部31がボルト22bによって一体に螺止するか否かは、一対の本体部20に本体ガイド部材30を使用するか、片側のみに本体ガイド部材30を使用するかによって決定される。少なくとも、片側の本体部20の切欠き段22には、本体ガイド部材30の上部フランジ部31が取付けられる。
この上部フランジ部31及び上部鞘部33と下部フランジ部32及び下部鞘部34は、複数本のボルト32aによって一体に固定され、管材100の周面に配置される。
このとき、管材100の周面と上部鞘部33及び下部鞘部34との内面との接触は、回動できるが、管材100の長さ方向の移動が困難な程度の接触が望ましい。通常、複数本のボルト32aの締め付け具合によってその状態が得られる。管材100相互間を接続する場合には、両側の本体部20側に対して、一対の本体ガイド部材30を配設することになる。また、管材100とエルボ200(図8参照)、チーズ等の付属部品との溶接を行う場合には、片側の本体部20にのみ本体ガイド部材30を配設することになる。
したがって、管材100に対する上部鞘部33及び下部鞘部34の内面の接触抵抗は、本体部20の両側に本体ガイド部材30を配設するか否かによっても相違するが、使用状態の摩擦力で決定される。
そして、一対の本体部20には、その本体部20に固着され、必要に応じて溶接ワイヤ2を溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材40が配設されている。溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、中央に径の異なる貫通する小の供給孔41a、中の供給孔41b、大の供給孔41cが形成されている。一対の本体部20には、弧状の長円孔25が形成されている。この長円孔25の本体部20の内側には、摺動面26が形成されていて、その面を溶接ワイヤ供給ガイド部材40の両端下面が摺動自在になっている。溶接ワイヤ供給ガイド部材40は摺動面26に載置された状態で、両側からのボルト45aで取付けができるようになっている。
したがって、溶接ワイヤ供給ガイド部材40をボルト45aで取付けたとき、本体部20のトーチ保持部材10の反対側の自由端が固定されるので、一対の本体部20は堅固に固定されることになる。
図1に示すガイド部材40には、貫通する小の供給孔41a、中の供給孔41b、大の供給孔41cの3種類の孔が形成されているが、本発明を実施する場合には、単一の孔であってもよい。例えば、供給孔を溶接ワイヤ2が自重で降下するものであればよい。また、ガイド部材40に対して垂直に溶接ワイヤ2を供給するように図示しているが、本発明を実施する場合には、斜めに溶接ワイヤ2を供給するようにしてもよい。即ち、図1において、右側から供給したり、左側から供給したりし、溶接トーチ1の放電電極1bの位置に辿る供給ができればよい。特に、管材100とエルボ200、チーズ等の付属部品との溶接を行う場合には好適となる。また、ガイド部材40に供給孔41a,41b,41cの機能をなす管路を外付けしてもよい。
本発明を実施する場合のガイド部材40は、溶接ワイヤ2が降下して供給されるものであればよい。
一対の本体部20とトーチ保持部材10、一対の本体部20と溶接ワイヤ供給ガイド部材40との関係を示すと、図6のようになる。
例えば、トーチ保持部材10は一対の本体部20との関係で、母材である管材100の方向または反対方向への移動が可能であり、また、長い調整孔23及び短い調整孔24により、一対の本体部20には受部材12を止めている2本のボルト14aの何れかと、2本のボルト14bの何れかを中心に回動することができる。この構成は、結果的に、溶接トーチ1と一対の本体部20との関係で、溶接トーチ1の放電電極1bの位置角度が変更できればよい。しかし、管材の規格からすると一義的に溶接トーチ1の放電電極1bの位置角度を決定してもよい。
同様に、溶接ワイヤ供給ガイド部材40も、一対の本体部20に弧状の長円孔25が形成されており、また、長円孔25の本体部20の内側には、摺動面26が形成されていて、その面を溶接ワイヤ供給ガイド部材40の両端下面が弧状に摺動自在になっているから、母材である管材100の方向または反対方向への移動が可能であり、また、曲面となっているから角度の変更も可能である。
この構成は、結果的に、溶接ワイヤ2と一対の本体部20との関係で、溶接ワイヤ2の先端の位置角度が変更できればよい。しかし、管材の規格からすると一義的に溶接トーチ1の放電電極1bの位置角度を決定してもよいから、溶接ワイヤ2の位置角度も一義的に決定してもよい。
このように構成される本発明の参考形態1のTIG溶接トーチハンド装置は、次のように使用される。
まず、管材100相互間を基本的な突合せ溶接する場合について説明する。
この参考形態1のTIG溶接トーチハンド装置は、管材100の径によって本体部20の弧状の長円孔25の径を管材100のJIS規格に合わせて幾種類かが用意されているものとする。勿論、本体部20の弧状の長円孔25の径は、管材100の径よりも10mm程度以下の大きな内径のものを使用することも可能であるが、理屈は同じであるから、密着する場合についてのみ説明する。
作業に先立って、一対の本体部20には受部材12を2本のボルト14a及びボルト14bによって仮止めし、一対の本体部20と受部材12を一体化する。また、本体ガイド部材30の上部フランジ部31をボルト22bによって一体に固着する。そして、溶接ワイヤ供給ガイド部材40をボルト45aで取付け一対の本体部20と堅固に一体化する。更に、上部フランジ部31及び上部鞘部33と下部フランジ部32及び下部鞘部34を複数本のボルト32aによって一対の本体部20と本体ガイド部材30とを一体に固定し、管材100の周面に配設する。なお、これらの順序は任意に前後または変更してもよい。
一対の本体部20と受部材12と溶接ワイヤ供給ガイド部材40と本体ガイド部材30とを一体に組み付けた概略の状態で、溶接線Gの位置にTIG溶接用の溶接トーチ1の放電電極1bの位置合わせを行い、カバー部材11の嵌合溝11aと受部材12の嵌合溝12aとでグリップ1aを挟持する。このとき、カバー部材11の嵌合溝11aと受部材12の嵌合溝12aには緩衝材11b及び緩衝材12bがグリップ1aとの間に介在するから、それらの締め付けによって、溶接線Gを中心にウィービング等を行う場合の取付け状態と、一直線上に溶接する場合の決定を行う締め付け具合の調節を行う。
この状態で、一対の本体部20とトーチ保持部材10との堅固な取付けを行う。
トーチ保持部材10によって放電電極1bの位置が決まるので、そこで、一対の本体部20に固着されていた溶接ワイヤ2を溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材40の位置決めを行い、溶接ワイヤ供給ガイド部材40の如何なる供給孔41a,41b,41cを使用するかが決定され、溶接ワイヤ2の先端位置が決定される。
この状態で溶接作業が可能になるが、管材100の周囲を回動しやすく、かつ、管材100の長さ方向に移動し難い程度に複数本のボルト32aによって上部フランジ部31及び上部鞘部33と下部フランジ部32及び下部鞘部34とを一体に固定する。この時の本体ガイド部材30と管材100との接触具合がTIG溶接のし易さを左右する。
この溶接作業は、リモートコントロール用のスイッチ15のレバー15aの操作により、電源装置及び不活性ガスの供給を開始させる。同時に、母材の管材100と溶接トーチ1の放電電極1b間が点弧され、アーク放電が開始される。このアーク熱によって母材の管材100が部分的に溶融し、そこに溶融池を作る。
同様に、溶接作業の終了は、リモートコントロール用のスイッチ15のレバー15aの操作により行われる。
図4(a)は、管材100相互間を基本的な突合せ溶接する場合の本参考形態1のTIG溶接トーチハンド装置における溶接トーチ1及びその放電電極1bと溶接ワイヤ2との位置関係を示す側面図である。なお、溶接線Gを中心にウィービング等を行う場合も同様になる。図4(b)は、突合せ溶接する管材100相互間であり、外周であるところに溶接線Gがあり、そこに放電電極1bが位置決めされ、必要であれば、そこに、溶接ワイヤ2の先端が配置される。
図7(a)に示すように、管材100相互間を突合せとし、放電電極1bの先端でアークを発生させ、そのアーク熱により管材100を母材とし、母材相互の突合わせの溶接線Gに溶融池を形成し、溶接線Gに溶融池を作りながら、母材の管材100を回動方向に回動させることにより溶接ビードYが形成される。溶接方向は母材の管材100を回動方向と反対方向になる。仕上がりは、図15に示すように、現実では素人でも溶接痕が目立たないような良好な溶接Yビードとなる。
また、図5(a)及び図5(b)は、図7(b)に示すように、管材100相互間を幅広のU型状開先を施した後、U字状の溝G1を形成した突合せとし、放電電極1bの先端でアークを発生させ、そのアーク熱により管材100を母材とし、母材相互の突合わせの溶接個所に溶融池を形成し、その溶融池に対して溶接ワイヤ2を供給して溶融させるものである。この溶接は管材100を1回転で完了する場合、2回転以上回動し、仕上げする場合がある。
管材100とエルボ200とを接続する場合には、図8に示すように、一対の本体部20には、一方の管材100側のみ上部鞘部33及び下部鞘部34で本体ガイド部材30を取付け、他方の本体部20には、本体ガイド部材30が取付けられていない。また、必要に応じて、本体ガイド部材30が取付けられていない本体部20には、規格が1段または2段上げて切欠き弧21の径を大きくすることもできる。
このように、本発明の参考形態1のTIG溶接トーチハンド装置は、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10と、トーチ保持部材10を固着する本体部20と、本体部20に固着され、必要に応じて溶接ワイヤ1を溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材40と、本体部20に上部フランジ部31及び下部フランジ部32が取付けられ、溶接する管材100の端部に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部で形成される本体ガイド部材30とを具備するものである。
TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10を固着する本体部20は、本体部20に上部フランジ部31及び下部フランジ部32が取付けられ、溶接する管材100の端部に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる本体ガイド部材30によって、溶接線Gに沿った円周の動きが可能となる。また、本体部20に固着され、必要に応じて溶接ワイヤ2を溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、溶接の際に母材と同一の材料を供給できるから、管材100相互間の溶接間隔の広い狭いに関係なく、溶接が可能となる。
特に、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10を固着する本体部20は、本体部20に取付けられた本体ガイド部材30の上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部によって管材100を保持できるから、溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10の移動方向のみ、即ち、回動方向のみを溶接線Gに沿って、または溶接線Gを中心にウィービング等に気を使って使用することができ、溶接において重要な母材と溶接トーチ1の放電電極1bとの間隔も保持されているから、移動のみに神経を集中させればよく、経験者でなくてもより良い溶接が可能となる。
このように、溶接線Gに忠実に沿った作業が可能で、溶接トーチ1と溶接線Gとの距離を一定とし、必要に応じて溶接ワイヤ2の供給も可能であり、管材100相互間、管材100とエルボ200、チーズ等の付属部品との溶接が可能となる。
参考形態2
参考形態1は本体ガイド部材30が管材100の周囲を回動することにより、管材100の周囲をTIG溶接するものである。しかし、管材100に対して本体ガイド部材30を取付け、その接触抵抗を作業者が設定することになる。全く使用したことのない素人にとってはその程度が不明である。そこで、初心者が初回から使用できるのがこの参考形態2のTIG溶接トーチハンド装置である。なお、ここでは、参考形態1と相違する構成のみを説明する。
図9乃至図11に示すように、本発明の参考形態2のTIG溶接トーチハンド装置は、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10と、本体部20に固着され、必要に応じて溶接ワイヤ1を溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材40については、参考形態1と相違するものがない。
参考形態2の本体ガイド部材30は、本体部20に取付けられる上部フランジ部31及び下部フランジ部32には、複数のボルト22bが貫通する挿通孔31aを有していない。勿論、本発明を実施する場合には、挿通孔31aを有することが発明の障害なるものではないから、設けても、設けてあってもよい。
溶接する管材100の端部に嵌められた本体ガイド部材30の上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部は、管材100に対して回動しないように堅固に取付けられる。
本体部20に取付けられる上部フランジ部31または下部フランジ部32には、その外周が同じで、内周が管材100の径よりも1mm程度大きい合成ゴムまたは合成樹脂または自動車用のクラッチに使用される乾式摩擦材と呼ばれる材料からなる摩擦抵抗材35が併設されている。摩擦抵抗材35は本体ガイド部材30の上部フランジ部31及び下部フランジ部32と本体部20との間の摩擦抵抗を大きくする材料であり、回動を阻止するものではない。勿論、摩擦抵抗材35を省略しても使用できるし、また、上部フランジ部31及び下部フランジ部32の周囲にロ−レットを掛けて、短期間の間、その接触抵抗を大きい状態とし、徐々に低下する構成とすることもできる。
上部フランジ部31及び下部フランジ部32と摩擦抵抗材35の対は、本体部20に形成された凹部溝51に挿入される。一対の本体部20の内側の対向面側には、凹部溝51と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の切欠きである切欠き弧52が形成されている。切欠き弧52は凹部溝51と同心円の中心を通る略直線で切断した形状となっている。
また、一対の本体部20の外側の面側には、凹部溝51と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の上部鞘部33及び下部鞘部34と嵌合する切欠きである鞘側切欠き弧53が形成されている。鞘側切欠き弧53は凹部溝51と同心円の中心を通る直線で切断した形状となっている。
ここで、本体ガイド部材30は上部フランジ部31と下部フランジ部32、また、溶接する管材100の端部に回動しないように取付けられた上部鞘部33と下側鞘部34から構成されている。上部鞘部33と下側鞘部34は管材100の周面に相対回動しないように取付けた形態となっており、管材100の中心軸と同心軸上に形成された周面を有し、当該中心軸を通る直線で2分割されている。ここで、中心軸を通る直線で2分割とは、略180度未満で、管材100の径に対して360度の周囲の対応を行わず、上部フランジ部31と下部フランジ部32とを共用する場合には、160〜180度未満の範囲内に設定される。
完全に管材100の中心軸と同心軸上に形成された周面を360度覆う構造としないのは、少なくとも、上部フランジ部31または下部フランジ部32の外周と線接触に近い面接触を行わせるものであり、これによって一対の本体部20と管材100との間の接触抵抗を任意に設定できる構造としている。
一対の本体部20に形成した上部フランジ部31と摩擦抵抗材35の対が挿入される凹部溝51、凹部溝51と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の切欠きである、凹部溝51と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の上部鞘部33と嵌合する切欠きである鞘側切欠き弧53は、保持部材60に形成されている凹部溝61、凹部溝61と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の切欠きである切欠き弧62、凹部溝61と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の上部鞘部33と嵌合する切欠きである鞘側切欠き弧63に連続する円を形成している。
保持部材60は、2本のボルト60aで一対の本体部20に固着されて一体となっている。この状態で本体ガイド部材30の上部フランジ部31と下部フランジ部32は管材100と同時に回動する。しかし、一対の本体部20の凹部溝51、切欠き弧52、鞘側切欠き弧53と保持部材60の凹部溝61、切欠き弧62、鞘側切欠き弧63によって上部フランジ部31と下部フランジ部32は管材100の長さ方向の移動が阻止される。また、一対の本体部20は本体ガイド部材30の上部フランジ部31と下部フランジ部32にガイドされるから、管材100の周囲を回動自在となっている。
しかし、この回動の際には、本体部20の切欠き弧52側の面と本体ガイド部材30の上部フランジ部31と下部フランジ部32との間で摩擦抵抗材35を挟んで摺動するから、所定の接触抵抗が発生することになる。但し、2本のボルト60aで保持部材60を一対の本体部20側に強く締め付けないようにする必要がある。摩擦抵抗材35が徐々に摩耗したとき、一対の本体部20側に保持部材60を締め付けるとそれだけて接触抵抗を大きくすることができる。即ち、初心者が使用を開始するときには、摩擦抵抗材35のみで所定の接触抵抗を得て、摩擦抵抗材35の摩耗の進度に応じて、一対の本体部20側に保持部材60を締め付けるようにしてあるので初心者の学習能力に応じた使い勝手ができる。
したがって、溶接トーチ1を操作する感覚で管材100を回動させながら溶接を行うことができる。
実施の形態1
参考形態1は本体ガイド部材30が管材100の周囲を回動することにより、管材100の周囲をTIG溶接するものである。しかし、管材100の周方向に回動させ、その長さ方向に移動させない構造としては、本実施の形態1の構造も採用できる。なお、ここでは、参考形態1と相違する構成のみを説明する。
図12に示すように、上部フランジ部31及び上部鞘部33と下部フランジ部32及び下部鞘部34は、複数本のボルト32aによって一体に固定され、管材100の周面に配設される構造であり、参考形態1の構造との間に違いがない。
相違点は図12(a)及び図12(b)に示すように、上部鞘部33と下部鞘部34には、3個以上の窓部71を上部鞘部33と下部鞘部34に等間隔に形成し、そこに、芯材72で軸支したローラベアリング73を配置する。ローラベアリング73の周囲は、上部鞘部33と下部鞘部34の内面よりも0.1〜1mm突出した配置としている。また、芯材72は鋼材からなり、両端が上部鞘部33と下部鞘部34の外面に配設した支持環74で位置決めし、支持環74及び上部鞘部33の上面または下部鞘部34の上面に溶接している。
したがって、上部鞘部33及び下部鞘部34を複数本のボルト32aで一体化することにより、管材100の周囲がローラベアリング73の周面で接触し、上部鞘部33及び下部鞘部34と管材100との接触抵抗を低下させ、転がり摩擦抵抗としている。これにより、本体部20は管材100の周囲を回動するが、管材100の軸方向の移動は困難となる。また、ローラベアリング73は芯材72の固定位置に近いことから、外力が回転するローラベアリング73の抵抗となり、ボルト32aの締付け具合によって回転移動の調整が可能となる。なお、ローラベアリング73の周面には管材100の長さ方向への移動を禁止するローレットがけをしてもよい。
本実施の形態では、管材100の周囲にローラベアリング73を3個配設しているが、本発明を実施する場合には、3個以上であれば良く、また、好ましくは3個以上の場合、均等配置するのが好ましい。また、市販の複数からなる環状のローラベアリングを複数分割したものでもよい。
また、本発明を実施する場合の管材100の周囲に配設したローラベアリング73は、管材100の周方向に回転自在であり、管材100の長さ方向に移動を規制できる機構であればよい。
参考形態3
上記参考形態1及び実施の形態1においては、本体ガイド部材30を本体部20にボルトで取付けるものであり、参考形態2は保持部材60を本体部20にボルトで取付けるものである。しかし、作業効率を上げる場合には、ボルトに代わってマグネット(永久磁石)で固着する手段の採用が望ましい。なお、ここでは、参考形態2と比較してその構成を説明する。
参考形態3の本体ガイド部材30は、参考形態2と同様、本体部20に取付けられる上部フランジ部31及び下部フランジ部32には、複数のボルト22bが貫通する挿通孔31aを有していない。勿論、本発明を実施する場合には、挿通孔31aを有することが発明の障害となるものではないから、設けても、設けてあってもよい。
溶接する管材100の端部に嵌められた本体ガイド部材30の上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部は、管材100に対して回動しないようにマグネット91により管材100の周囲に堅固に取付けられる。本体ガイド部材30の上部鞘部33及び/または下部鞘部34には弧状にマグネット91が埋設されていて、管材100及び上部鞘部33と下部鞘部34が管材100に吸着させられる構造となっている。
なお、マグネット91の配設は、マグネット91の形状に左右されるものではなく、本発明を実施する場合、マグネット91の形状を拘束する要因もない。結果的に、マグネット91から生じる磁界で、上部鞘部33及び下部鞘部34と管材100が相対移動しないように吸着できるものであればよい。
参考形態ではマグネット91は半円弧状のもので、上部鞘部33と下側鞘部34に拡径処理を行った拡径部93と、その端部からの飛び出しを禁止する端部カバー92により収納されている。本参考形態3では、鉄とニッケル、アルミニウムを主成分とするMK鋼磁石を使用したが、アルニコ磁石を使用してもよい。また、フェライト磁石でも十分な吸着力が得られる。
上部フランジ部31及び下部フランジ部32は、本体部20に形成された凹部溝51に挿入される。一対の本体部20の内側の対向面側には、凹部溝51と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の切欠きである切欠き弧52が形成されている。切欠き弧52は凹部溝51と同心円の中心を通る略直線で切断した形状となっている。
即ち、一対の本体部20の外側の面側には、凹部溝51と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の上部鞘部33及び下部鞘部34と嵌合する切欠きである鞘側切欠き弧53が形成されている。鞘側切欠き弧53は凹部溝51と同心円の中心を通る直線で切断した形状となっている。これらの構造は、参考形態2と相違するものではない。
参考形態3の本体ガイド部材30は、上部フランジ部31と下部フランジ部32、また、溶接する管材100の端部に回動しないように取付けられた上部鞘部33と下側鞘部34、マグネット91から構成されている。上部鞘部33と下側鞘部34は管材100の周面に相対回動しないようにマグネット91で一体に取付けた形態となっており、管材100の中心軸と同心軸上に形成された180度未満の周面を有し、当該中心軸を通る直線で2分割されている。この状態で本体ガイド部材30の上部フランジ部31と下部フランジ部32は管材100と一体となって回動する。
一対の本体部20に形成した上部フランジ部31が挿入される凹部溝51、凹部溝51と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の上部鞘部33と嵌合する切欠きである鞘側切欠き弧53は、保持部材80に形成されている凹部溝61、凹部溝61と同心円で管材100の径が嵌合される弧状の上部鞘部33と嵌合する切欠きである鞘側切欠き弧63に連続する円を形成している。この保持部材80は、参考形態2の保持部材60の上部フランジ部31及び下部フランジ部32を収容する嵌合構造と相違するものはない。
保持部材80は、1本の軸ピン81で本体部20に軸支されて一体となっている。その反対側の自由端には、マグネット82が埋設されている。マグネット82は保持部材80の自由端83側を本体部20に吸着し、自由端83側を固定することができる。マグネット82は保持部材80に設けられた挿着孔84に装着されている。したがって、マグネット82としてネオジム磁石を使用しても、自由端83をペンチ、プライヤー等で強く叩くことにより解放され、本体部20から本体ガイド部材30及び管材100を取外すことができる。また、上部フランジ部31及び下部フランジ部32の外周と凹部溝51及び凹部溝61の溝の圧力によって摩擦抵抗を決定することができ、マグネット82の吸着力が当該摩擦抵抗の大きさを決定する。これらマグネット91及びマグネット82は、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石等の永久磁石である。全体の構造によって材料が決定される。
使用の際には、一対の本体部20の凹部溝51、切欠き弧52、鞘側切欠き弧53と保持部材80の凹部溝61、切欠き弧62、鞘側切欠き弧63によって上部フランジ部31と下部フランジ部32は管材100の長さ方向の移動が阻止される。また、一対の本体部20は本体ガイド部材30の上部フランジ部31と下部フランジ部32にガイドされるから、管材100の周囲を管材100と一体となって回動自在となっている。しかし、この回動の際に、所定の接触抵抗を発生させる。したがって、溶接トーチ1を操作する感覚で管材100を回動させながら溶接を行うことができる。
図14の参考形態3のTIG溶接トーチハンド装置の取付け作業の説明図を用いて、管材100に本装置を取付ける作業について説明する。
図14(a)に示すように、管材100相互を突合わせて、溶接線Gで溶接を行う場合について説明する。まず、図14(b)に示すように、合成樹脂または合成ゴムからなる位置合わせ冶具301を溶接する管材100に被せる。位置合わせ冶具301の深さLは上部フランジ部31及び下部フランジ部32の外面に一致させる距離に等しくなっている。
ここで、図14(c)に示すように、位置合わせ冶具301の端部に本体ガイド部材30を配設する。即ち、上部フランジ部31及び上部鞘部33、下部フランジ部32及び下側鞘部34を、マグネット91によって管材100に取付ける。本体ガイド部材30の配設が完了すると、図14(d)に示すように、位置合わせ冶具301を取り外し、そこに本体20を取付ける。
上記参考形態1乃至参考形態3及び実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置は、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10と、トーチ保持部材10を固着する本体部20と、本体部20に固着され、必要に応じて溶接ワイヤ2を溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材40と、本体部20に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が回動自在にまたは回動不可に取付けられ、上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部が溶接する管材100の端部に嵌められてなる本体ガイド部材30とを具備するものである。
したがって、参考形態1乃至参考形態3及び実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置は、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10を固着する本体部20は、本体部20に上部フランジ部31、下部フランジ部32からなるフランジ部が取付けられ、溶接する管材100の端部に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部からなる本体ガイド部材30によって、溶接線Gに沿った円周の動きが可能となる。また、本体部20に固着され、必要に応じて溶接ワイヤ2を溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、溶接の際に母材である管材100と同一の材料を供給できるから、管材100相互間の溶接間隔の広い狭いに関係なく、溶接が可能となる。
特に、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10を固着する本体部20は、本体部20に取付けられた本体ガイド部材30の上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部によって管材100を保持できるから、溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10の移動方向のみ、即ち、回動方向のみを溶接線Gに沿って、または溶接線Gを中心にウィービング等に気を使って使用することができ、溶接において重要な母材と溶接トーチ1との間隔も保持されているから、移動のみに神経を集中させればよいことから、経験者でなくてもより良い溶接が可能となる。
このように、溶接線Gに忠実に沿った作業が可能で、溶接トーチ1と溶接線Gとの距離を一定とし、必要に応じて溶接ワイヤの供給も可能であり、管材相互間、管材とエルボ、チーズ等の付属部品との溶接が可能となる。
参考形態2及び参考形態3のTIG溶接トーチハンド装置は、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10と、トーチ保持部材10を固着する本体部20と、本体部20に固着され、必要に応じて溶接ワイヤ2を溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材40と、本体部20に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が取付けられ、溶接する管材100に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部からなる本体ガイド部材30と、本体部20に取付けられ、本体ガイド部材30の上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部に嵌合する保持部材60,80を具備するものである。
参考形態2及び参考形態3のTIG溶接トーチハンド装置は、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10を固着する本体部20は、本体部20に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が取付けられ、溶接する管材100に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部からなる本体ガイド部材30によって、溶接トーチ1は溶接線Gに沿った円周方向の動きが可能となる。また、本体部20に固着され、必要に応じて溶接ワイヤ2を溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、溶接の際に母材と同一の材料を供給できるから、幅広のU型状開先を施したものであっても、直接的な突合せであっても、管材100相互間の溶接間隔の広い狭いに関係なく、TIG溶接が可能となる。
特に、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10を固着する本体部20は、本体部20に取付けられた本体ガイド部材30の上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部によって管材100を保持できるから、溶接トーチ1を保持するトーチ保持部材10の移動方向のみ、即ち、回動方向のみを溶接線Gに沿って、または溶接線Gを中心にウィービング等に気を付けて使用することができ、溶接において重要な母材と溶接トーチ1との間隔も保持されているから、移動のみに神経を集中させればよいことから、経験者でなくてもより良い溶接が可能となる。
このように、溶接線Gに忠実に沿った作業が可能で、溶接トーチ1と溶接線Gとの距離を一定とし、必要に応じて溶接ワイヤ2の供給も可能であり、管材100相互間、管材100とエルボ200、チーズ等の付属部品との溶接が可能となる。また、本発明のTIG溶接トーチハンド装置の装置全体が簡単な構造で、廉価でもある。
また、前記本体部20に取付けられ、前記本体ガイド部材30の上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部に嵌合する保持部材60,80は、本体部20との間に所定の関係を維持することができるから、取付け及び取外しの作業効率が良い。
以上のように、本参考形態1乃至参考形態3及び実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置のトーチ保持部材10は、TIG溶接用の溶接トーチ1を緩衝材11b及び/または緩衝材12bからなる緩衝材を介して保持するものである。
したがって、TIG溶接用の溶接トーチ1を緩衝材11b及び/または緩衝材12bからなる緩衝材を介して保持するものであるから、溶接線Gを中心にウィービング等を行う場合でも、緩衝材11b及び/または緩衝材12bからなる緩衝材の許容する範囲の動きにより可能となる。また、緩衝材11b及び/または緩衝材12bからなる緩衝材の許容する動きの範囲内で動きが採れ、また、通常では、所定の位置決め機能で定点が決まってくるから固定手段による固定と見做すことができ、溶接トーチ1と母材としての管材100とのアークを安定化させることができる。
参考形態1乃至参考形態3及び実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置の本体部20は、トーチ保持部材10を両側から固着してトーチ保持部材10と一体化したものである。したがって、本体部20はトーチ保持部材10の両側から一体化するものであるから、溶接トーチ1に重心位置が設定されるか、その近くに重心位置が定まるので装置が扱いやすく、操作性に優れる。
参考形態1乃至参考形態3及び実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置の溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、両側から本体部20に固着され、その間の略中央に溶接ワイヤ2を案内するガイド孔41a,41b,41cを設けたものである。
したがって、ガイド孔41a,41b,41cを通して溶接ワイヤ2を案内させ、その溶接に使用することができる。また、溶接トーチ1と溶接ワイヤ供給ガイド部材40は対向位置とすることができ、本体部20の構造を堅固なものに組付けることができる。
参考形態1乃至参考形態3及び実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置の本体ガイド部材30は、本体部20に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が固着され、溶接する管材100の端部に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部が回動自在としたものである。
したがって、溶接する管材100の端部に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部は、その長さ方向に対しては、ガタツキがない以上は長さ方向の移動は困難となり、回動方向の移動を許容することとなるから、特別な手段を講じることなく、管材100の周りを回動させることができる。
参考形態2及び参考形態3及び実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置の本体ガイド部材30は、上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が嵌合され、溶接する管材100の端部に取付けられた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部がその回動を拘束されているものである。
したがって、上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が嵌合され、溶接する管材100の端部に取付けられた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部がその回動を拘束しているので、上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部に沿って本体部20が回動し、溶接トーチ1の回動(本体部20が回動)のみが自在となり、溶接トーチ1は溶接線Gに沿ったTIG溶接作業が可能となる。
また、本参考形態1乃至参考形態3及び実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置の本体ガイド部材30は、本体部20の両側に配設されている。本体部20が両側に配設されているものでは、本体部20が両側から保持され、重心位置が中央にくるとともに、トーチ保持部材10、本体部20及び本体ガイド部材30、溶接ワイヤ供給ガイド部材40の構造が安定し、安定した回動を行うことができる。
TIG溶接トーチハンド装置の本体ガイド部材30が、本体部20の片側に配設されているものでは、本体部20が片側から保持され、管材100相互間、または、管材100とエルボ200、管材100とチーズ等の付属部品との溶接が可能となる。
参考形態1乃至参考形態3及び実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置のトーチ保持部材10及び/または溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、溶接位置の変更が可能なように角度及び/または位置を変更自在としたものである。このように、溶接位置の変更が可能なように角度及び/または位置を変更自在としたものであるから、溶接位置、溶接深さ、溶接ワイヤの太さによって溶接トーチ1の位置と溶接ワイヤ2との位置を最適な位置に設定することができる。
上記参考形態1乃至参考形態3及び実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置のトーチ保持部材10は、TIG溶接用の溶接トーチ1を保持するもので、ウィービング等の機能の有無には関係なく、溶接トーチ1を取付け自在であればよい。例えば、ウィービング等の機能はトーチ保持部材10の付属品として実施することもできる。
また、トーチ保持部材10を固着する本体部2は、トーチ保持部材10と一体に形成された鋳物等の鋳造品の本体部20でもよいし、上記参考形態1乃至参考形態3及び実施の形態1のように、本体部2にトーチ保持部材10が後付されたものでも良い。本体部20は、1個とすることも2個とすることもできる。
そして、溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、本体部20に固着され、必要に応じて溶接ワイヤ2を溶接個所に案内するものであればよく、送給装置の有無には関係しない。必要に応じて、溶接ワイヤ2を溶接個所に案内する送給装置を取付けることができる。
更に、上記本体ガイド部材30は、本体部20に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が取付けられ、溶接する管材100の端部に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部でなり、上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部から完全な環状に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が形成されていなくとも、本体部20と結合できる形状であればよい。
更にまた、参考形態1乃至参考形態3及び実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置のトーチ保持部材10は、TIG溶接用の溶接トーチ1を緩衝材11b及び/または緩衝材12bからなる緩衝材を介して保持するものである。ここで、緩衝材11b及び/または緩衝材12bからなる緩衝材は合成樹脂、ゴム、皮革等の弾性体であればよい。
本体部20は、トーチ保持部材10を両側から固着してトーチ保持部材10と一体化したものであるが、ここで、本体部20は、対向する2個の部品で構成してもよいし、1個の鋳物で形成してもよい。
上記参考形態1乃至参考形態3及び実施の形態1にかかるTIG溶接トーチハンド装置の前記溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、両側から本体部20に固着され、その間の略中央に溶接ワイヤ2を案内するガイド孔41a,41b,41cを設けたものである。
ここで、溶接ワイヤ2を案内するガイド孔41a,41b,41cは複数種類の溶接ワイヤ2を挿入自在としてもよい。或いは送り装置を配設することもできる。また、溶接ワイヤ2を案内するガイド孔41a,41b,41cは一方の本体部20側から溶接トーチ1の放電電極1b側に斜めに配設することもできる。
上記参考形態1乃至参考形態3及び実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置の本体ガイド部材30は、本体部20に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が固着され、溶接する管材100の端部に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部が相対的に回動自在としたものである。
ここで、上記参考形態1の本体ガイド部材30は、管材100の端部に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部が、管材10と共に回動自在であるから、管材100の周囲に滑らかな回動が得られ、溶接に無理のない処理ができるように上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部の締め付けによって自在に回動力を設定できる。また、参考形態2及び実施の形態1及び参考形態3のように構成すると、または、図示しないスプリングでローラベアリングを取付けると、管材100の長さ方向の移動を阻止できる。即ち、参考形態2及び実施の形態1及び参考形態3のように、管材100の長さ方向に移動でき難く、その回転方向に移動自在な構造を有しておればよい。
上記参考形態2及び参考形態3のTIG溶接トーチハンド装置の本体ガイド部材30は、本体部20に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が嵌合され、溶接する管材100の端部に取付けられた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部がその回動を拘束されているものである。
ここで、本体ガイド部材30は、本体部20に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が嵌合され、溶接する管材100の端部に取付けられた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部がその相対的な回動を拘束され、上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が本体部20に形成された凹部溝51に嵌合して、回動自在としたものである。
上記参考形態1乃至参考形態3及び実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置の本体ガイド部材30は、本体部20の両側に配設されている。ここで、上記本体ガイド部材30は、一方のみとすることができるが、管材100相互間を溶接する場合には、本体部20の両側に配設するのが望ましい。
上記参考形態1乃至参考形態3及び実施の形態1のTIG溶接トーチハンド装置のトーチ保持部材10及び/または溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、溶接位置の変更が可能なように角度及び/または位置を変更自在としたものである。
ここで、トーチ保持部材10及び/または溶接ワイヤ供給ガイド部材40は、溶接ト―チ1のアーク及び溶接ワイヤ2の供給が自在になり、溶接が深い場合、浅い場合の対応ができるように、その角度及び/または位置を変更自在とするものである。
上記参考形態2及び参考形態3では、上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が本体部20に形成された凹部溝51に嵌合して、回動自在としたものであるが、本発明を実施する場合には、フランジ部の断面の凸状を凹状とすることもできる。
なお、参考形態1の下部フランジ部32及び下部鞘部34、参考形態2の保持部材60、実施の形態1の下部フランジ部32及び下部鞘部34、ローラベアリング73の構成は、スプリング力で付勢された挟み部品として軸支した回動部品として構成することができる。
また、参考形態2及び参考形態3は、本体部20に上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部が取付けられ、溶接する管材100に嵌められた上部鞘部33及び下部鞘部34からなる鞘部からなる本体ガイド部材30と、本体部20に取付けられ、本体ガイド部材30の上部フランジ部31と下部フランジ部32からなるフランジ部に嵌合する保持部材60,80を具備するものである。この保持部材60,80は参考形態2では、2本のボルトで固着しており、また、参考形態3では軸ピン81で軸支している。
しかし、本発明を実施する場合には、例えば、参考形態2のようにボルト60aで直接取付けるものではなく、ボルト60aにコイルスプリングを通し、保持部材60の移動をスプリング力によって自在とすることもできる。また、保持部材80の軸ピン81から下に管材100の半径程度離れた位置にレバーを取付け、そのレバーを本体部20方向に移動させることにより開閉自在とすることもできる。また、マグネット82に代えて、スプリング力で同様に保持部材80を本体部20方向にスプリング力を付与する構成とすることもできる。
また、参考形態3のマグネット82,91は、本発明を実施する場合には、相手材と接触することを前提とするものではなく、互いに吸引され、その間の間隔が殆どゼロに近い状態になっておればよい。相手材と接合し、吸引しているときには、両者が離れ難くなる場合があるので、通常、両者を接触させないのが好適な仕様である。勿論、分離する手段を用意すれば問題はない。また、MK鋼磁石、アルニコ磁石、フェライト磁石の場合には、両者を直接接合させても、その分離は自在であった。
1 溶接トーチ
2 溶接ワイヤ
1b 放電電極
10 トーチ保持部材
11 カバー部材
11b,12b 緩衝材
12 受部材
20 本体部
30 本体ガイド部材
31 上部フランジ部
32 下部フランジ部
33 上部鞘部
34 下部鞘部
40 溶接ワイヤ供給ガイド部材
60,80 保持部材
100 管材
200 エルボ

Claims (11)

  1. TIG溶接用の溶接トーチを保持するトーチ保持部材と、
    前記トーチ保持部材を固着する本体部と、
    前記本体部に固着され、必要に応じて溶接ワイヤを溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材と、
    前記本体部にフランジ部が取付けられ、溶接する管材に嵌められた鞘部からなる本体ガイド部材と
    を具備することを特徴とするTIG溶接トーチハンド装置。
  2. TIG溶接用の溶接トーチを保持するトーチ保持部材と、
    前記トーチ保持部材を固着する本体部と、
    前記本体部に固着され、必要に応じて溶接ワイヤを溶接個所に案内する溶接ワイヤ供給ガイド部材と、
    前記本体部にフランジ部が取付けられ、溶接する管材に嵌められた鞘部からなる本体ガイド部材と、
    前記本体部に取付けられ、前記本体ガイド部材のフランジ部に嵌合する保持部材
    を具備することを特徴とするTIG溶接トーチハンド装置。
  3. 前記トーチ保持部材は、TIG溶接用の溶接トーチを緩衝材を介して保持することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のTIG溶接トーチハンド装置。
  4. 前記本体部は、トーチ保持部材を両側から固着して前記トーチ保持部材と一体化したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のTIG溶接トーチハンド装置。
  5. 前記溶接ワイヤ供給ガイド部材は、両側から前記本体部に固着され、その間の略中央に溶接ワイヤを案内するガイド孔を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のTIG溶接トーチハンド装置。
  6. 前記本体ガイド部材は、前記本体部に前記フランジ部が固着され、溶接する管材の端部に嵌められた鞘部が回動自在としたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載のTIG溶接トーチハンド装置。
  7. 前記本体ガイド部材は、前記本体部に前記フランジ部が嵌合され、溶接する管材の端部に取付けられた鞘部がその回動を拘束されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のTIG溶接トーチハンド装置。
  8. 前記本体ガイド部材は、前記本体部の両側に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載のTIG溶接トーチハンド装置。
  9. 前記トーチ保持部材及び/または前記溶接ワイヤ供給ガイド部材は、溶接位置の変更が可能なように角度及び/または位置を変更自在としたことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載のTIG溶接トーチハンド装置。
  10. 前記本体ガイド部材は、マグネットで固着することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載のTIG溶接トーチハンド装置。
  11. 前記保持部材は、マグネットで固着することを特徴とする請求項2に記載のTIG溶接トーチハンド装置。
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