JP2013244192A - 領域確保用器具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】経管腔的内視鏡手術に使用される領域確保用器具であって、中空な内視鏡収容空間を内部に有する筒状の本体部11を備えており、本体部11は、内視鏡収容空間と外部との間を連通する挿入口が一端に形成されており、内視鏡収容空間を形成する壁15内に、流体を収容し得る流体収容空間が設けられており、本体部11は、流体収容空間に流体が供給されると外径および内径が拡大し、かつ、挿入口以外に内視鏡収容空間と外部とを連通する連通通路が形成される構造を有している。領域確保用器具の流体収容空間に流体を供給すると本体部11の外径が拡大するので、領域確保用器具を胃内に配置して流体収容空間に流体を供給すれば胃を拡張することができる。
【選択図】図1
Description
また、図12示すように、口から軟性内視鏡Sを挿入し、この軟性内視鏡Sの先端によって胃STの壁に孔hを形成し、この孔hから軟性内視鏡Sの先端を腹腔内に侵入させ、膵臓や肝臓等に形成された腫瘍等を軟性内視鏡Sによって取り除く手術もNOTESに該当する。
しかも、軟性内視鏡Sによる手術では、軟性内視鏡自体を消化管腔から挿入離脱を繰り返して施術を行うことが一般的であり、かかる挿入離脱を繰り返す際に、目的とする患部への迅速なアクセスが望まれる。
しかし、患部へのアクセスルートが確保されていないと、一旦、軟性内視鏡を引き抜いてしまうと、軟性内視鏡を挿入する度に患部を探索しなければならない事態になり、手術時間が長期化してしまう可能性がある。
しかし、胃内等に挿入できる軟性内視鏡は多くても2本が限界である。2本の軟性内視鏡では、虚脱した胃を持ち上げて展開することは困難であるから、上述したような方法では、十分な視野を確保することは不可能である。
かかるフードを設けた場合、フードによって軟性内視鏡の先端と胃壁等の間に空間を形成することができるので、胃壁等の観察が行い易くなる。また、フードの先端開口内に患部等が位置するようにすれば、その患部を軟性内視鏡の先端からある程度離した状態とすることができるから、軟性内視鏡による患部の処置が行い易くなる。
しかも、胃壁を切除する手術の途中で胃壁がしぼんだ状態となってしまえば、軟性内視鏡にフードを設けていても、フード前面の胃壁が折り重なったような状態となり、手術のために十分な視野、術野を確保することは困難となる。
また、胃壁に形成された孔から軟性内視鏡の先端を腹腔内に侵入させて手術を行う場合には、さらに大きな視野、術野が必要となるので、上記のごときフードを設けただけでは、手術を行うことは不可能である。
そして、かかるフードは軟性内視鏡自体に固定されているので、かかるフードでは、軟性内視鏡を消化管腔から引き抜いた後再度患部にアクセスするには、一から患部の探索を行う必要があるという問題を解消することはできない。
第2発明の領域確保用器具は、第1発明において、前記本体部は、内部に前記流体収容空間を備えた筒状部材を螺旋状にしたものであることを特徴とする。
第3発明の領域確保用器具は、第2発明において、前記本体部の筒状部材は、前記流体収容空間に流体が供給された状態において、ピッチの短い複数の短ピッチ部と隣接する短ピッチ部の間に該短ピッチ部よりもピッチの長い長ピッチ部が形成されるものであることを特徴とする。
第4発明の領域確保用器具は、第2または第3発明において、前記本体部は、該本体部の軸方向に沿って伸縮可能に設けられた支持部材を備えており、該支持部材は、該支持部材を伸長させた状態において、前記筒状部材が螺旋状の形状を維持しうるように前記筒状部材に連結されていることを特徴とする。
第5発明の領域確保用器具は、第1発明において、前記本体部は、筒状の外壁と、該外壁の内部に設けられ、その内面によって囲まれた空間に前記内視鏡収容空間を形成する筒状の内壁と、該内壁の外面と前記外壁の内面とを連結する連結部と、を備えており、該内壁の外面と前記外壁の内面との間に前記流体収容空間が形成されていることを特徴とする。
第6発明の領域確保用器具は、第5発明において、前記外壁が、伸縮性を有する素材によって形成されており、前記内壁が、前記外壁の素材よりも伸縮性が小さい素材で形成されており、前記外壁は、収縮した状態では、その内径が軟性内視鏡の外径よりも小さくなるように形成されており、前記内壁は、伸展した状態ではその内面によって筒状の空間が形成され、該筒状の空間内の断面積が内視鏡の断面積よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする。
第7発明の領域確保用器具は、第5または第6発明において、前記流体収容空間に流体が供給されていない状態において、内視鏡の外面に前記内壁の内面を密着させて固定する固定機構を備えており、該固定機構によって内視鏡の外面に固定されると、前記本体部の外径が消化管腔を挿通し得る大きさに形成されていることを特徴とする。
第8発明の領域確保用器具は、第5、第6または第7発明において、前記連通通路が、前記流体収容空間に流体が供給された状態において、前記本体部の側面を貫通するように形成されていることを特徴とする。
第9発明の領域確保用器具は、第1発明において、前記本体部は、略環状であって内部に前記流体収容空間を備えた環状部材を複数連結して形成されており、該複数の環状部材は、各環状部材の中心が略同軸上に並ぶように連結されていることを特徴とする。
第10発明の領域確保用器具は、第9発明において、前記複数の環状部材は、前記本体部の軸方向において、隣接する環状部材間に隙間が形成されるように連結されていることを特徴とする。
第2発明によれば、流体収容空間に流体を供給すれば、筒状部材を成形する螺旋構造は、その外径および内径がいずれも大きくなるように拡大する。したがって、筒状部材の流体収容空間に流体を供給すれば、筒状部材によって囲まれた部分に、内視鏡収容空間を確実に形成することができる。
第3発明によれば、短ピッチ部の間に長ピッチ部が形成されると、長ピッチ部では、螺旋状となった筒状部材において本体部の軸方向における隣接する部分の間に大きな隙間を形成することができる。すると、本体部を胃などの内部に配置して流体収容空間に流体を供給すれば、長ピッチ部に形成される隙間を通して、本体部の側方に位置する胃壁に形成された患部でも容易にアクセスすることができる。
第4発明によれば、支持部材を伸長させても筒状部材が螺旋状の形状を維持できるから、支持部材を設けても本体部内に確実に内視鏡収容空間を形成することができる。また、本体部の軸方向に加わる力を支持部材によって支持させることも可能となるので、本体部を安定した状態に維持することができる。
第5発明によれば、外壁および内壁が筒状の部材であるので、流体収容空間に流体を供給すれば、筒状の本体部を形成することができる。しかも、内壁の外面と外壁の内面とが連結部によって連結されているので、外壁の膨張に伴って、内壁も外方に広げることができる。したがって、流体収容空間に流体を供給した際に、内壁によって囲まれた内視鏡収容空間を確実に形成することができる。
第6発明によれば、流体収容空間に流体を供給しない状態では、外壁を収縮させた状態で本体部を内視鏡の先端に取りつけることができる。また、内部シートが外壁よりも伸縮性の小さい素材によって形成されているので、外壁の膨張に伴って内壁が外方に広げられたときに、内視鏡を挿通し得る内視鏡収容空間を確実に形成することができる。
第7発明によれば、本体部を内視鏡の先端に固定すれば、消化管腔を通して、本体部を内視鏡によって所望の位置まで搬送することができる。そして、その位置で本体部の外径を拡大させれば、所望の位置までの内視鏡を通すためのアクセスルートを確保することができる。
第8発明によれば、連通通路が本体部の側面を貫通するように形成されているので、本体部を胃などの内部に配置すれば、連通通路を通して本体部の側方に位置する胃壁に形成された患部でも容易にアクセスすることができる。
第9発明によれば、流体収容空間に流体を供給すれば、環状部材の外径および内径を拡大させることができる。したがって、流体収容空間に流体を供給すれば、環状部材によって囲まれた部分に、内視鏡収容空間を確実に形成することができる。
第10発明によれば、環状部材間に隙間が形成されているので、胃などの内部に配置すれば、その隙間を通して本体部の側方に位置する胃壁に形成された患部でも容易にアクセスすることができる。
本発明の領域確保用器具は、軟性内視鏡を使用した経管腔的内視鏡手術(以下、NOTESという)において使用される器具であって、軟性内視鏡の構造等を複雑にしなくても、視野や手術のための術野を確保することができるようにしたことに特徴を有している。
まず、本発明の領域確保用器具を説明する前に、本発明の領域確保用器具を使用してNOTESを実施する軟性内視鏡1の形状について簡単に説明する。
軟性内視鏡1は、生体の消化管に挿入されるシャフト2(図12参照)と、このシャフト2を操作する図示しない操作部3と、シャフト2先端に光を供給する光源本体に接続する部位等を備えている。この軟性内視鏡1のシャフト2の径は、5〜15mm程度であり、一般的な軟性内視鏡では10mm程度である。
後述するように、本発明の領域確保用器具における内視鏡収容空間は、本体部が収縮している状態において上述した径を有する軟性内視鏡1のシャフト2を挿入でき、しかも、本体部が拡大した状態において上述した径を有する軟性内視鏡1が自由に移動できる大きさであることが必要である。
以下では、第1〜第3実施形態の領域確保用器具について説明するが、第2、第3実施形態の領域確保用器具の説明において、第1実施形態の領域確保用器具において説明した内容と実質的に同等の構成や効果などについては、適宜割愛している。
つぎに、第1実施形態の領域確保用器具10について説明する。
図1に示すように、第1実施形態の領域確保用器具10は、筒状の本体部11を備えている。この筒状の本体部11は、その軸方向を貫通する貫通孔11hが形成されたものであって、その径方向に拡大収縮可能となるように形成されたものである。この貫通孔11h内の空間が特許請求の範囲にいう内視鏡収容空間である。
そして、流体収容空間15h内に供給される流体の圧力によって胃壁や胃の上部に位置する臓器などを持ち上げたりその重量を支えたりすることになるので、胃の上部に位置する臓器などが重くても、胃が拡張した状態を維持することができる。また、萎んだ状態の胃内に本体部11を配置して流体を流体収容空間15h内に供給すれば、胃を拡張することもできる。
しかし、図4に示すように、本体部11の側面を貫通する窓11wを設けて、連通通路としてもよい。かかる窓11wを設けた場合には、消化管腔内に配置した本体部11の側面に患部が存在しても、貫通孔11hからシャフト2による患部へのアクセスが容易になる。例えば、図6に示すように、本体部11を配置すれば、窓11wを通して、胃壁にある患部の処置を行うことができる。
なお、窓11wと患部Bを合わせる方法はとくに限定されないが、本体部11を拡大する前に窓11wと患部Bの位置をある程度合わせておいてもよいし、本体部11を拡大してから窓11wと患部Bとをあわせてもよい。この窓11wと患部Bの位置を合わせるマーカーとして、本体部11の先端部にマークmを設けていることが好ましい(図4(B)および図7参照)。この場合、シャフト2を本体部11の貫通孔11hに取り付けた状態でも、軟性内視鏡1のカメラによって視認できる位置(例えば本体部11の貫通孔11hの先端部内面等)にマークmが設けられていれば、マークmによって窓11wの位置を把握できるので、窓11wと患部Bとを合わせやすくなる。
しかし、流体収容空間15h内に流体を供給して本体部11を拡大しているので、胃壁を貫通する孔hが形成されて胃STは萎もうとしても、胃STおよび胃STに載っている臓器等の重みを本体部11によって支えることができる。すると、孔hを窓11wに配置した状態に維持できるし、しかも、窓11wと連通する本体部11の貫通孔11h内に、シャフト2が可動でき鉗子による施術が可能な程度の空間を維持できる(図5(B))。
例えば、胃前庭部用の場合には、膨張したときの外径が100mm、内径が90〜95mm、軸長が100mm、窓11wの大きさが軸方向50mmで周方向の長さが周長の1/2〜1/3程度が好ましい。胃体部用の場合には、膨張したときの外径が100mm、内径が90mm、軸長が130mm、窓11wの大きさが軸方向70mmで周方向の長さが周長の1/2〜1/3程度が好ましい。また、十二指腸用の場合には、膨張したときの外径が50mm、内径が45mm、軸長が100mm、窓11wの大きさが軸方向50mmで周方向の長さが周長の1/2〜1/3程度が好ましい。しかし、各サイズは、上記のごとき範囲に限られるものではない。臓器のサイズなどは個人により異なるために、実際の臨床試験をふまえて、最終的に、使用する部位などに応じて適切なサイズに決定すればよい。
つぎに、第1実施形態の領域確保用器具10の本体部11について、詳細に説明する。
壁15を形成する外壁16は、シート状の部材を筒状に形成したものである。この外壁16を形成するシート状の部材(以下単に外壁用シートという)の素材は、通気性や通液性が全くない、または、通気性や通液性が非常に低く、しかも、伸縮性を有する素材によって形成されている。例えば、外壁用シートは、ゴム等によって形成されている。
また、外壁用シートは、特定の方向の伸縮性が大きいが、その特定の方向と直交する方向の伸縮性が小さくなるように形成されている。具体的には、筒状に形成したときに、その周方向の伸縮性が大きいがその軸方向の伸縮性は小さくなるように、外壁用シートは形成されている。
壁15を形成する内壁17も、外壁16と同様に、シート状の部材を筒状に形成したものである。この内壁17を形成するシート状の部材(以下単に内壁用シートという)の素材も、外壁16と同様に、通気性や通液性が全くない(液密および/または気密)、または、通気性や通液性が非常に低い素材によって形成されている。
一方、内壁用シートは、外壁用シートよりも伸縮性が小さい素材によって形成されている。例えば、内壁用シートは、外壁用シートの素材よりも伸縮性が小さいゴムや、全く伸縮性を有しない素材(例えば布等)によって形成されている。
そして、内壁17は、その周方向の長さが、流体収容空間15h内に気体および/または液体を供給した状態における貫通孔11hの周方向の長さとほぼ同じ長さとなるように形成されている。
連結部18は、伸縮性が全くない素材や、内壁用シートや外壁用シート外壁16よりも伸縮性が小さい素材によって形成されている。この連結部18は、本体部11の周方向に沿って一定の間隔ごとに設けられている。例えば、図10に示すように、連結部18は板状の部材によって形成したり(図10(A))、軸状の部材によって形成したり(図10(B))することができる。
一方、窓11wの周方向を形成する枠は、高い伸縮性が要求されるので、外壁16と同等以上の伸縮性を有する素材によって形成することが好ましい。
また、内壁17を伸縮性のない素材によって形成する場合には、内壁17が周方向に展開可能となるように、初期状態(つまり、流体を流体収容空間15h内に供給する前の状態)では、周方向に沿って折りたたんだ状態としていてもよい(図9(A)参照)。すると、初期状態では、内壁17が嵩張らず本体部11をコンパクトにすることができる。一方、流体を流体収容空間15h内に供給した際には、スムースに内壁17を進展させることができるので、本体部11を迅速かつ確実に拡大させることができる(図9(C)参照)。
すると、初期状態では、外壁16および内壁17が嵩張らず本体部11をコンパクトにすることができる。一方、流体を流体収容空間15h内に供給した際には、スムースに外壁16および内壁17を伸展させることができるので(図9(C)参照)、本体部11を迅速かつ確実に拡大させることができる。しかも、外壁16および内壁17が伸びないので、外壁16および内壁17を伸展させたときの形状を所望の形状にしやすくなるという利点も得られる。
第1実施形態の領域確保用器具10を所望の場所に配置する場合、鉗子口を通して軟性内視鏡1のシャフト2の先端から突出させた鉗子等によって本体部11を保持して、そのままシャフト2とともに消化管腔内を通して所望の場所まで搬送してもよい。
しかし、本体部11をシャフト2の先端に固定することができれば、シャフト2の操作だけで本体部11を所望の位置に配置することができるので、好ましい。
また、本体部11の先端に輪状のフックを設けておけば、シャフト2に本体部11を固定しなくても、フックを鉗子で保持しておけば、シャフト2とともに本体部11を消化管腔内に挿入することができる。
具体的には、外壁16が、収縮した状態では、その内径がシャフト2の先端外径よりも小さくなるように形成しておく。この場合、流体収容空間15h内に流体を供給しない状態としておき、本体部11の貫通孔11h内にシャフト2の先端を挿入する(図8(A))。すると、外壁16の収縮力によってシャフト2の先端が締め付けられる。言い換えれば、外壁16は自分の収縮力によってシャフト2の先端に固定されるので、そのままシャフト2とともに消化管腔内に挿入することができる。
そして、流体収容空間15h内に流体を供給すれば、上述したように、外壁16の外径および内壁16の内径が拡大し、本体部11の貫通孔11hの断面積がシャフト2の先端の断面積よりも大きくなるので、シャフト2から本体部11を取り外すことができる(図8(B)、(C))。
しかも、流体収容空間15h内から流体を排出すれば、外壁16の収縮力によって、本体部11は収縮する(図8(B)から図8(A)の状態)。したがって、貫通孔11h内にシャフト2の先端を挿入しておき、流体収容空間15h内から流体を排出すれば、外壁16の収縮力によってシャフト2の先端に収縮した本体部11を固定することができる。すると、シャフト2を消化管腔から抜けば、シャフト2とともに本体部11を消化管腔から取り出すことができる。
したがって、外壁16の収縮力によって本体部11をシャフト2の先端に固定できるようになっていれば、本体部11の消化管腔や腹腔内への配置および回収が容易になるので、好ましい。
本発明の領域確保用器具として、以下のような形状としてもよい。
図11に示すように、第2実施形態の領域確保用器具20は、本体部21が、複数本の環状部材22と、この環状部材22を連結する複数本の連結部23とによって形成されている。
また、環状部材22をゴムなどの伸縮性を有する部材によって形成した場合において、必ずしも、環状部材22は、その軸方向への膨張割合が径方向への膨張割合よりも大きくなるように形成されていなくてもよい。環状部材22の流体収容空間22h内に流体を供給したときに、貫通孔21hの内径が大きくなるようになっていればよい。
本発明の領域確保用器具として、以下のような形状としてもよい。
図13に示すように、第3実施形態の領域確保用器具30の本体部31は、筒状部材35を螺旋状にして形成されたものである。具体的には、本体部31の外径が略円筒状となり、しかも、本体部31の内部には軸方向に沿って貫通する空間(貫通孔31h)が形成されるように、筒状部材35は配設されている。
また、この状態から、筒状部材35の流体収容空間内に気体や液体を供給すれば、筒状部材35が軸方向および周方向に伸びた状態(膨張状態)とすることができる(図13(A))。
給されたときの軸方向の伸び率をX、半径方向の伸び率をYとし、膨張前の筒状部材35からなる本体部31の円筒形状の周長(筒状部材35の中心を基準とする)をL1、筒状部材35の周長(筒状部材35における軸方向と直交する断面の周長)をL2としたときに、
L1/L2>(Y−1)/(X−1)
の関係を満たす材料を選べば、膨張状態となると、収縮状態に比べて、貫通孔31hの内径が大きくなる。
つまり、本体部31内にある程度の広さを持った空間を形成することができる。すると、シャフト2の先端と貫通孔31hの内面との間にも十分な隙間ができるので、シャフト2の先端を貫通孔31h内で移動さることができる。そして、貫通孔31hから完全にシャフト2の先端を離脱させたり、また、シャフト2の先端を貫通孔31hの先端から突出させたりすることも可能となる(図8参照)。
そして、流体収容空間内に供給される流体の圧力と筒状部材35を円周上に連結配置する形状の効果(つまり筒状部材35を螺旋状にした効果)によって胃壁や胃の上部に位置する臓器などを持ち上げたりその重量を支えたりすることになる。このため、胃の上部に位置する臓器などが重くても、胃が拡張した状態を維持することができる。また、萎んだ状態の胃内に本体部31を配置して流体を流体収容空間内に供給すれば、胃を拡張することもできる。
例えば、筒状部材35は、短ピッチ部31A(図13参照)のような螺旋形状として流体を充填したとき、半径方向に20N以上の力が発生するような膨張力を発生させることができる伸縮力があればよい。
このような筒状部材35を形成できる素材としては、例えば、天然ゴムやシリコンなどを挙げることができる。
また、本体部31は、螺旋状に形成した筒状部材35の隣接する部分同士がくっついた状態で膨張収縮するようにしてもよいが、膨張収縮した際に、筒状部材35の隣接する部分同士の間に隙間が形成されるようになってもよい。
隣接する部分同士がくっついた状態で膨張するようになっていれば、膨張状態において隣接する部分間に隙間が形成される場合に比べて、膨張状態における本体部31の径方向から加わる荷重に対する耐久性(つまり、略円筒状の形状を維持する能力)を高くすることができる。
この場合、短ピッチ部31Aは、その径方向から力が加わっても、ある程度その形状(つまり略円筒状の形状)を維持できるし、長ピッチ部31Bの隙間から、本体部31の側方に位置する部分に軟性内視鏡1のシャフト2の先端を接近させることができる。つまり、長ピッチ部31Bの隙間を図4〜図6の窓11wのように機能させることも可能となる。
例えば、本体部31を胃内に配置するような場合には、患部を挟むように一対の短ピッチ部31A,31Aを配置しておけば、患部の位置の胃をある程度張力が加わった状態とすることができる。すると、その状態の患部に長ピッチ部31Bの隙間から軟性内視鏡1のシャフト2の先端を接近させることができるから、鉗子口を通された鉗子による施術を行いやすくなる。
膨張状態となっても隣接する部分同士が接触した状態で維持する方法はとくに限定されない。例えば、隣接する部分の一部を接着剤等によって接着してもよいし、伸縮性を有する紐状の部材で束ねてもよい。
上記のように、筒状部材35を螺旋状に形成した本体部31の場合、筒状部材35によって形成された複数の円環状の部分が本体部31の軸方向に並んだような状態となっている。そして、2ヶ所の短ピッチ部31A間にそれぞれ長ピッチ部31Bを設けた場合には、長ピッチ部31B間の隙間が軟性内視鏡1のシャフト2を胃壁にアプローチするためのポイントとなる。しかし、本体部31の軸方向に対して斜めに力が加わると、上述した複数の円環状の部分が軸方向に対して傾いてしまい(倒れてしまい)、平衡状態を維持できなくなる可能性がある。この場合、長ピッチ部31Bが潰れてしまい、胃壁へのアプローチポイントが失われる可能性がある。かかる状況を防ぐ上では、本体部31に、その軸方向に沿って伸縮可能に設けられた支持部材36を設けておくことが好ましい。
また、支持部材36として、蛇腹状に形成された筒状の部材を使用することも可能である。この場合にも、内部の空間に気体や液体などの流体を供給すれば、支持部材36を伸長させることができる。
さらに、支持部材36として、複数の筒状の部材を組み合わせたテレスコピック構造を有する部材を使用することも可能である。
例えば、以下のような方法で本体部31と支持部材36とを連結すれば、上述したような状態とすることができる。
そして、支持部材36の外面と貫通孔31h内面(つまり、筒状部材35の表面)とを、本体部31の軸方向において、適宜間隔を空けて連結する。
すると、支持部材36を伸長させた状態で本体部31を膨張状態とすれば、確実に筒状部材35が螺旋状の形状を維持できるから、本体部31が膨張状態となったときに、本体部31内に空間を確実に形成することができる。
dissection)などの手術において視野や術野を確保する器具として適している。
2 シャフト
10 領域確保用器具
11 本体部
11h 貫通孔
11w 窓
15 壁
16 外壁
17 内壁
18 連結部
20 領域確保用器具
21 本体部
21h 貫通孔
30 領域確保用器具
31 本体部
31h 貫通孔
35 筒状部材
36 支持部材
ST 胃壁
Claims (10)
- 経管腔的内視鏡手術に使用される領域確保用器具であって、
中空な内視鏡収容空間を内部に有する筒状の本体部を備えており、
該本体部は、
前記内視鏡収容空間と外部との間を連通する挿入口が一端に形成されており、
前記内視鏡収容空間を形成する壁内に、流体を収容し得る流体収容空間が設けられており、
前記本体部は、
該流体収容空間に流体が供給されると外径および内径が拡大し、かつ、前記挿入口以外に前記内視鏡収容空間と外部とを連通する連通通路が形成される構造を有している
ことを特徴とする領域確保用器具。 - 前記本体部は、
内部に前記流体収容空間を備えた筒状部材を螺旋状にしたものである
ことを特徴とする請求項1記載の領域確保用器具。 - 前記本体部の筒状部材は、
前記流体収容空間に流体が供給された状態において、ピッチの短い複数の短ピッチ部と隣接する短ピッチ部の間に該短ピッチ部よりもピッチの長い長ピッチ部が形成されるものである
ことを特徴とする請求項2記載の領域確保用器具。 - 前記本体部は、
該本体部の軸方向に沿って伸縮可能に設けられた支持部材を備えており、
該支持部材は、
該支持部材を伸長させた状態において、前記筒状部材が螺旋状の形状を維持しうるように前記筒状部材に連結されている
ことを特徴とする請求項2または3記載の領域確保用器具。 - 前記本体部は、
筒状の外壁と、
該外壁の内部に設けられ、その内面によって囲まれた空間に前記内視鏡収容空間を形成する筒状の内壁と、
該内壁の外面と前記外壁の内面とを連結する連結部と、を備えており、
該内壁の外面と前記外壁の内面との間に前記流体収容空間が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の領域確保用器具。 - 前記外壁が、伸縮性を有する素材によって形成されており、
前記内壁が、前記外壁の素材よりも伸縮性が小さい素材で形成されており、
前記外壁は、
収縮した状態では、その内径が軟性内視鏡の外径よりも小さくなるように形成されており、
前記内壁は、
伸展した状態ではその内面によって筒状の空間が形成され、該筒状の空間内の断面積が内視鏡の断面積よりも大きくなるように形成されている
ことを特徴とする請求項5記載の領域確保用器具。 - 前記本体部は、
前記流体収容空間に流体が供給されていない状態において、内視鏡の外面に前記内壁の内面を密着させて固定する固定機構を備えており、
該固定機構によって内視鏡の外面に固定されると、前記本体部の外径が消化管腔を挿通し得る大きさに形成されている
ことを特徴とする請求項5または6記載の領域確保用器具。 - 前記連通通路が、
前記流体収容空間に流体が供給された状態において、前記本体部の側面を貫通するように形成されている
ことを特徴とする請求項5、6または7記載の領域確保用器具。 - 前記本体部は、
略環状であって内部に前記流体収容空間を備えた環状部材を複数連結して形成されており、
該複数の環状部材は、
各環状部材の中心が略同軸上に並ぶように連結されている
ことを特徴とする請求項1記載の領域確保用器具。 - 前記複数の環状部材は、
前記本体部の軸方向において、隣接する環状部材間に隙間が形成されるように連結されている
ことを特徴とする請求項9記載の領域確保用器具。
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