JP2013244037A - アイロン及びアイロン台 - Google Patents
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Abstract
【課題】アイロン掛けの対象物が有する水素結合を効率的に切断することにより、消費電力を低減したアイロンを提供することである。
【解決手段】アイロン10は、筐体11と、5μm以上3000μm以下の波長の電磁波を放射する電磁波発生部12と、電磁波の一部又は全てを透過するベース13とを備えている。これにより、電磁波によってアイロン掛けの対象物が有する水素結合を切断することができる。
【選択図】図1
【解決手段】アイロン10は、筐体11と、5μm以上3000μm以下の波長の電磁波を放射する電磁波発生部12と、電磁波の一部又は全てを透過するベース13とを備えている。これにより、電磁波によってアイロン掛けの対象物が有する水素結合を切断することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、アイロン及びそれに適したアイロン台に関する。
一般的に、家庭で使用される衣類用のアイロンは、シーズヒーター等の発熱体によって加熱されたベース部分を衣類に押し当ててアイロン掛けすることによって、衣類の皺を伸ばすようになっている。
また、他の形態のアイロンとしては、特許文献1に、光を透過するベースと、光を発光する発光体と、この発光体からの照射光をベース方向に反射する反射板とを有するアイロンが開示されている。そして、特許文献1には、作業者の方へ向かう熱がなくなり、したがって作業者が熱い思いをしなくても済むという効果が記されている。
ここで、アイロン掛け作業時にアイロン掛けの対象物で生じている現象を、アイロン掛けの対象物が衣類である場合を例に説明する。衣類の皺は衣類の繊維間の水素結合によって衣類の形状が固定されてしまうために生じる現象である。この皺を取るために、ベースをヒーターで加熱するタイプのアイロンや特許文献1のアイロンでは、衣類を加熱することによって上記の水素結合を一度切断し、ベースを衣類に押しつけることによって皺が形成されていない状態に固定している。これにより、ベースを離した後、再び上記の水素結合が形成されることによって皺のない状態が維持される。
しかしながら、衣類の繊維間の水素結合を切断するのに寄与しているエネルギーは、アイロンによって衣類に与えられる熱エネルギーの一部のみであり、熱エネルギーの大半は衣類、アイロン台、アイロン周辺の空気などに吸収される。このため、衣類を加熱することによって皺を伸ばす手法では、その加熱方式に関わらず電力消費量が大きいという問題がある。
本発明は、アイロン掛けの対象物が有する水素結合を効率的に切断することにより、消費電力を低減したアイロンを提供することを目的とする。また、そのアイロンに適したアイロン台を提供することも目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、5μm以上3000μm以下の波長の電磁波を放射する電磁波発生部と、前記電磁波の一部又は全てを透過するベースと、を備えたアイロンとする。
この構成によれば、アイロン掛けの対象物に電磁波を照射してアイロン掛けの対象物が有する水素結合を切断することができる。
上記のアイロンにおいて、前記ベースが、前記電磁波の一部又は全てを透過する孔を有する導体であってもよい。この構成によれば、ベースの材料として電磁波を透過しない材料を用いることもできる。
また上記のアイロンにおいて、前記孔の前記電磁波の電界方向の長さが、前記電磁波の波長以下である部分を有することが好ましい。この構成によれば、ベースにおいて近接場が発生するため、電磁波のエネルギーを効率良くアイロン掛けの対象物に伝えることができる。
また上記のアイロンにおいて、前記ベースを透過した電磁波を反射する反射板を備えてもよい。この構成によれば、アイロン掛けの対象物を透過した電磁波を再びアイロン掛けの対象物に放射することができるため、アイロン掛けに必要な消費電力をさらに低減できる。
また上記のアイロンにおいて、電磁波を検出する電磁波検出部と、前記電磁波検出部の検出値に基づいて前記電磁波発生部から放射する電磁波照射領域制御部と、を備えてもよい。この構成によれば、電磁波検出部によって得られたアイロン掛けの対象物の情報から、アイロン掛けをする必要のある位置を判別することができ、その位置に集中的に電磁波を放射するように、電磁波照射領域制御部を制御することで、アイロン掛けに必要な消費電力をさらに低減できる。
また上記のアイロンにおいて、前記ベースから前記電磁波が放射される方向に延出した柱状の導波体を備えてもよい。この構成によれば、アイロン掛けの対象物が毛髪である場合に、導波体がヘアブラシとしての役割を果たし、目的の髪型に固定しつつ、ベースから電磁波の放射方向に対して離れた位置にある毛髪に対しても電磁波を放射することができる。
また本発明は、上記の何れかに記載のアイロンから放射された電磁波を反射する反射板を備えたアイロン台とする。この構成によれば、アイロン掛けの対象物を透過した電磁波を再びアイロン掛けの対象物に放射することができるため、アイロン掛けに必要な消費電力をさらに低減できる。
本発明によると、アイロン掛けの対象物が有する水素結合を電磁波によって効率的に切断することにより、アイロンの消費電力を低減することができる。
〈第1実施形態〉
図1は、第1実施形態のアイロンの断面図である。第1実施形態のアイロン10は、筐体11と、電磁波発生部12と、ベース13とを備えている。
図1は、第1実施形態のアイロンの断面図である。第1実施形態のアイロン10は、筐体11と、電磁波発生部12と、ベース13とを備えている。
筐体11は、アイロン掛け時に握られる取手11aと、取手11aの下方に電磁波発生部12を収容するすり鉢状の収容部11bとを有している。電磁波を効率良く均一に放射する観点から、収容部11bの表面にはミラーなどの光学系を配置することが好ましい。
電磁波発生部12は、筺体11の内部である収容部11bに、電磁波をベース13に向かって放射するように設置されている。電磁波発生部12は、5μm以上3000μm以下の波長を有する電磁波を発生させる。電磁波発生部11としては、発光ダイオード、レーザーダイオード、共鳴トンネルダイオード、量子カスケードレーザーなどを使用することができる。発生した電磁波12は、ベース13を透過してアイロン掛けの対象物に放射される。電磁波によってアイロン掛けが可能となる原理は後述する。
ベース13は、アイロン掛けの対象物を押さえる部材であり、筐体11の収容部11bを蓋するように、収容部11bの端部に接合されている。ベース13は、電磁波発生部12が放射した電磁波の一部又は全てを透過する。ベース13の材料としては、セラミックのような電磁波を透過させる材料を用いればよい。ベース13の厚さは、アイロン掛けの対象物を押さえるのに必要な剛性を有する限り、電磁波の透過率を高めるためにできる限り薄いことが好ましい。
図1においてベース13は平板形状をしているが、これに限らず、例えばベース13が円筒形であり、電磁波発生部12によってベース13の中心軸から放射状に電磁波が放射されてもよい。この場合、例えばアイロン掛けの対象物が毛髪である場合に、ベース13に毛髪を巻きつけてアイロンを掛けることができる。また、ベース13の形状にかかわらず、ベース13は毛髪を固定するためのブラシを備えていてもよい。
次に、上記電磁波によってアイロン掛けを行う原理について説明する。分子間の振動を担うポテンシャルが非調和である場合、大振幅振動が起きると分子間の平均距離が広がることが知られている。量子力学的にはポテンシャルに対応する量子準位を考え、電磁波により、その量子準位を高い準位まで連続して励起させることにより、緩和による熱を生じさせずに、高効率に大振幅運動を引き起こすことができると文献(M.Jewariya et al., Phys. Rev. Lett. 105, 203003 (2010))に記載されている。
一方、例えばアイロン掛けの対象物が衣類である場合、衣類の皺は、衣類の繊維間の水素結合によって衣類の形状が固定されてしまうために生じる現象である。従来の一般的なアイロンにおいては、衣類を加熱することによって、衣類の繊維間の水素結合を一度切断し、ベースを衣類に押し付けることによって皺が形成されていない衣類の形状に固定した後に、再び衣類の繊維間の水素結合が形成されることにより、アイロンを離しても皺の無い形状が維持される、といった原理により皺を伸ばしている。
電磁波を用いて水素結合の量子準位を連続して励起させることにより、上記の水素結合を切断する場合、電磁波としては、5μm以上3000μm以下の波長を有する電磁波が好適である。この理由を以下で説明する。水素結合は波長6.27μm程度の電磁波の周波数に相当する振動のモードを有しており、波長6.27μmの電磁波に対して吸収ピークがみられる。波長6.27μmよりもエネルギーが高い、つまり短波長側において、波長5μmの電磁波に対しては、水素結合は上記ピークの1/10の吸収がみられる。それより波長が短いと水素結合が切断に至るまで量子準位を励起するのに必要なエネルギーよりも電磁波のエネルギーが大きくなり、熱となってしまう余分なエネルギーが大きくなるため、電磁波は5μm以上の波長を有することが好ましい。
また、電磁波の波長が長いと、連続励起の途中で緩和が生じてしまい、水素結合の切断に至らない。水素結合の緩和時間は10-12秒〜10-11秒程度であることが知られている。10-11秒は3000μmの波長の電磁波の周期に相当するため、電磁波は3000μm以下の波長を有する必要がある。
具体的な方法としては、まずアイロン掛けの対象物に電磁波を放射し、アイロン掛けの対象物が有する水素結合を切断する。同時に、アイロン掛けの対象物をベース13で押さえ、アイロン掛けの対象物が有する皺を伸ばした状態に固定する。上記の皺が伸びた状態で再び水素結合が形成されると、ベース13によってアイロン掛けの対象物を押さえるのをやめても、皺が伸びた状態で維持される。
上記の原理を用いた本実施形態のアイロン10は、水素結合の切断以外に、アイロン掛けの対象物やアイロン台、アイロン周辺の空気などの温度上昇にエネルギーが使われてしまう従来の加熱式のアイロンと比較して、消費電力が少ない。また、アイロン掛けの対象物を加熱しないので、アイロン掛けの対象物の傷みが小さいという利点がある。
図2は、第1実施形態のベース13の他の形態を示す部分拡大図である。図2に示すように、ベース13は、電磁波の一部又は全てを透過する孔14を有する導体であってもよい。これにより、ベース13に電磁波を透過しない材料を用いても、電磁波に対する透過率が高いベース13を提供できる。孔14を有するベース13の材料としては、鉄などの一般的な金属を用いればよい。ベース13の電磁波に対する透過率を高めるためには、孔14の大きさを電磁波の波長よりも十分大きく、開口率を高く、厚さを薄くすればよい。ただし、ベース13の電磁波に対する透過率を高める方法は、ベース13の剛性とトレードオフの関係にあるため、ベース13がアイロン掛けの対象物を押さえるのに必要な剛性を確保できる範囲とすることが好ましい。
さらに、孔14における電磁波の電界方向の長さが電磁波の波長以下である部分を有している。ここで述べる「電界方向の長さ」について説明する。電磁波が直線偏光の場合、電磁波の電界は一定方向に振動しており、電界方向の長さとは、孔14における電磁波の電界の振動している方向の長さ、という意味である。電磁波が円偏光あるいは楕円偏光の場合、電界方向は電磁波の進行方向と直交する面上の全ての方向となる。
通常の電磁波においては、回折限界のため、電磁波の波長程度の大きさにまでしか集光できないが、上記の構成のように、孔14における電磁波の電界方向の長さが電磁波の波長以下となる部分があることにより、孔14の電磁波が放射されていない側の端面付近において近接場が発生する。近接場は孔14の端面付近に集中し、伝搬することはないため、反射板を設けなくても効率良くアイロン掛けの対象物に電磁波のエネルギーを伝えることが可能となる。
発生する近接場の強度を表面プラズモン共鳴により増幅する観点からは、ベース13の材料として、電気伝導率の高いAu、Pt、Ag、Cu等の金属を用いることが好ましい。
図2では、長方形の孔14が周期的に設けられている。なお、孔14は、図2のように複数設けられていてもよいし、1つだけ設けられていてもよい。孔14の内部には何も形成されていない、すなわち空気でもよいし、誘電体が形成されていてもよい。誘電体を形成する場合は、その材料を少なくとも電磁波を透過する材料とする必要がある。
図2を用いて、近接場の発生について具体的に説明する。長方形の孔14の一方の辺に平行な方向をx軸、長方形の孔のもう一方の辺に平行な方向、すなわちx軸に垂直な方向をy軸とする。孔14のx軸方向の長さをW1、y軸方向の長さをH1とする。また、周期的に設けられた孔14の間隔について、x軸方向の間隔をW2、y軸方向の間隔をH2とする。
一例として電界方向がx軸方向である場合について説明する。電磁波がベース13に照射されると、孔14の表面において表面プラズモンが励起され、伝播し、近接場が発生する。孔14の、電磁波が放射されていない側の端面付近において近接場を集中させるためには、W1は電磁波の波長以下である必要がある。このとき近接場の発生領域は、x軸方向はベース13側の電磁波の侵入長となり、y方向はH1となる。
また、近接場のエネルギーは孔14の電磁波が放射されていない側の端面から孔14の外側へW1程度伝播するため、アイロンの対象物に対して効率良くアイロン掛けを行うためには、W1はアイロン掛けの対象物の厚さとほぼ同じ長さであることが好ましい。
H1を長く、W2およびH2を短くすれば開口率が大きくなるため、エネルギーロスが少なくなり、近接場の発生効率を高められる。また、H1を短く、W2およびH2を長くすれば、局所的に近接場を発生させることができる。
ここでは図2を用いて説明したが、孔14の形状、配置、電磁波の電界方向などは一例であり、これに限らない。例えば、孔14を電磁波の波長以下の直径を有する円形の孔とすることも可能である。この場合、偏光方向が不定の光源を用いても効率良く近接場を発生させることができる。
また、ベース13の厚さは表面プラズモンが伝搬し、近接場を発生するのに十分短い、電磁波の波長以下であることが好ましい。ベース13の厚さが薄いために、アイロン掛けの対象物を押さえるのに必要な剛性が確保できない場合、セラミックのような電磁波を透過させることが可能な材料を、ベース13の電磁波が放射されている面側に設けることによって補強してもよい。
〈第2実施形態〉
図3Aは、第2実施形態のアイロンの反射板を開いた状態の断面図、図3Bは、第2実施形態のアイロンの反射板を閉じた状態の断面図である。第1実施形態と同様の部材については同符号を付してその詳細な説明を省略する。第2実施形態のアイロン20は、筐体11と、電磁波発生部12と、ベース21と、反射板22と、ヒンジ部23とを備えている。
図3Aは、第2実施形態のアイロンの反射板を開いた状態の断面図、図3Bは、第2実施形態のアイロンの反射板を閉じた状態の断面図である。第1実施形態と同様の部材については同符号を付してその詳細な説明を省略する。第2実施形態のアイロン20は、筐体11と、電磁波発生部12と、ベース21と、反射板22と、ヒンジ部23とを備えている。
ベース21は、第1実施形態のベース13と同様の材料を用い、ヒンジ部23によって反射板22と回動可能に接続されている。反射板22は、ベース21を透過した電磁波を反射する平板である。反射板22はアイロン掛けの対象物Aに吸収されず透過した電磁波を反射させ、再びアイロン掛けの対象物Aに放射させるために設けられている。この反射板22としては、鉄など、一般的な金属の板を使用することができる。
アイロン掛けを行う際は、図3Bに示すようにアイロン掛けの対象物Aをベース21と反射板22との間に挟み、ヒンジ部23を閉じた状態で使用する。この場合、反射板22はアイロン掛けの対象物Aを押さえる役割も有している。
なお、反射板22の設置方法はこれに限らず、例えば、反射板22はアイロンとは別に設けてもよい。つまり、アイロン台にアイロンから放射された電磁波を反射する反射板を設けてもよい。この場合も同様の効果が得られる。
〈第3実施形態〉
図4は、第3実施形態のアイロンの断面図である。第3実施形態のアイロン30は、筐体31と、複数の電磁波発生部12と、ベース13とを備えている。このように複数の電磁波発生部12を並列して設置することにより、アイロン掛けの対象物に放射する電磁波の強度を高くすることができる。
図4は、第3実施形態のアイロンの断面図である。第3実施形態のアイロン30は、筐体31と、複数の電磁波発生部12と、ベース13とを備えている。このように複数の電磁波発生部12を並列して設置することにより、アイロン掛けの対象物に放射する電磁波の強度を高くすることができる。
筐体31は、アイロン掛け時に握られる取手31aと、取手31aの下方に電磁波発生部12を収容するすり鉢状の収容部31bとを有している。本実施形態では複数の電磁波発生部12を並列して設置しているので、ミラーなどの光学系を用いずにベース13の全面に一様に電磁波を放射可能となるため、筺体部31を薄くすることができる。
〈第4実施形態〉
図5は、第4実施形態のアイロンの断面図である。第4実施形態のアイロン40は、筐体41と、表示部42と、電磁波発生部12と、電磁波検出部43と、電磁波照射領域制御部44と、ベース13とを備えている。
図5は、第4実施形態のアイロンの断面図である。第4実施形態のアイロン40は、筐体41と、表示部42と、電磁波発生部12と、電磁波検出部43と、電磁波照射領域制御部44と、ベース13とを備えている。
筐体41は、アイロン掛け時に握られる取手41aと、取手41aの下方に電磁波発生部12、電磁波検出部43及び電磁波照射領域制御部44を収容するすり鉢状の収容部41bとを有している。
表示部42は、液晶パネル等からなり、電磁波検出部43によってアイロン掛けが必要な位置が検出されたか否か等の情報を表示する。表示部42の表示状態を確認したユーザーは、アイロン掛けの対象物に対するアイロン40の位置を別の位置に動かすべきか否かを判断できる。
電磁波検出部43は、筺体11の内部である収容部11bに電磁波発生部12と離れて設置され、アイロン掛けの対象物の状態を判別するための電磁波を検出するフォトダイオード等からなるものである。電磁波検出部43がアイロン掛けの対象物から離れている方が、1つの電磁波検出部43によってアイロン掛けの対象物の情報を得ることができる範囲が広くなるため好ましい。このとき、電磁波検出部43によって検出する電磁波は、べース13を透過するような波長の電磁波を選択する必要がある。例えば、ベース13が孔14を有する導体である場合、孔14の大きさと比較して十分短い波長の電磁波であれば、電磁波はベース13を透過し、電磁波検出部43によって検出される。
電磁波検出部43によって検出される電磁波は電磁波発生部12から放射された電磁波に限らない。例えば、アイロン掛けの対象物が衣類の場合、制御部(不図示)は電磁波検出部43によって可視光を検出することにより得られた衣類の画像から、皺のある位置を判別することができる。
また、電磁波検出部43によって検出される電磁波の強度が十分でない場合、筺体部41内に電磁波発生部12とは別に、電磁波検出部43によって検出される波長の電磁波を発生させる電磁波発生部を新たに設けてもよい。例えば、電磁波検出部43によって検出される電磁波が可視光である場合、筺体部41の少なくとも一部に可視光を透過可能な材料を使用し、アイロン40外部からの可視光を取り込むようにしてもよい。
電磁波照射領域制御部44は、電磁波検出部43によって検出されたアイロン掛けが必要な位置に対して集中的に電磁波を放射するように電磁波発生部12を制御する。具体的には、電磁波照射領域制御部44としてポリゴンミラーやDMD(Digital Mirror Device)を用いて、電磁波発生部12から放射された電磁波の放射方向を変化させることにより、電磁波検出部43によって検出されたアイロン掛けが必要な位置のみに電磁波が放射されるように制御すればよい。
これにより、アイロン掛けが不必要な位置に対して、電磁波を放射することがなくなるため、消費電力を低減することができる。また、従来のアイロンのように熱やスチームを利用する場合よりも、アイロン掛けが必要な位置のみに電磁波のエネルギーを集中させることができる。
〈第5実施形態〉
図6は、第5実施形態のアイロンの断面図である。第5実施形態のアイロン50は、筐体51と、表示部52と、複数の電磁波発生部12と、複数の電磁波検出部43と、ベース13とを備えている。複数の電磁波発生部12と電磁波検出部43とは交互に並列して設置されている。複数の電磁波発生部12を設置することにより、アイロン掛けの対象物に放射する電磁波の強度を高くすることができる。
図6は、第5実施形態のアイロンの断面図である。第5実施形態のアイロン50は、筐体51と、表示部52と、複数の電磁波発生部12と、複数の電磁波検出部43と、ベース13とを備えている。複数の電磁波発生部12と電磁波検出部43とは交互に並列して設置されている。複数の電磁波発生部12を設置することにより、アイロン掛けの対象物に放射する電磁波の強度を高くすることができる。
筐体51は、アイロン掛け時に握られる取手51aと、取手51aの下方に電磁波発生部12及び電磁波検出部43を収容するすり鉢状の収容部51bとを有している。本実施形態では複数の電磁波発生部12を均等に設置しているので、ミラーなどの光学系を用いずにベース13の全面に一様に電磁波を放射可能となるため、筺体部51を薄くすることができる。
また、本実施形態では第4実施形態の電磁波照射領域制御部44に相当する部材として制御回路(不図示)を用い、アイロン掛けが必要な位置に対向している電磁波発生部12のみから電磁波を放射するように各電磁波発生部12の出力のON/OFFの切り替えをする。
これにより、アイロン掛けが不必要な位置に対して、電磁波を放射することがなくなるため、消費電力を低減することができる。また、従来のアイロンのように熱やスチームを利用する場合よりも、アイロン掛けが必要な位置のみに電磁波のエネルギーを集中させることができる。
〈第6実施形態〉
図7は、第6実施形態のアイロンの断面図である。第6実施形態のアイロン60は、筐体61と、複数の電磁波発生部12と、平板形状のベース62と、複数の導波体63とを備えている。この構成により、導波体63の側面から電磁波が放射される。このアイロン60はアイロン掛けの対象物が毛髪である場合に好適に使用できる。
図7は、第6実施形態のアイロンの断面図である。第6実施形態のアイロン60は、筐体61と、複数の電磁波発生部12と、平板形状のベース62と、複数の導波体63とを備えている。この構成により、導波体63の側面から電磁波が放射される。このアイロン60はアイロン掛けの対象物が毛髪である場合に好適に使用できる。
筐体61は、アイロン掛け時に握られる取手61aと、取手61aの延長上に電磁波発生部12を収容する収容部61bとを有している。本実施形態では複数の電磁波発生部12を均等に設置しているので、ミラーなどの光学系を用いずにベース62の全面に一様に電磁波を放射可能となるため、筺体部61を薄くすることができる。また、複数の電磁波発生部12を設置することでアイロン掛けの対象物に放射する電磁波の強度を高くすることができる。
導波体63は、ベース62から電磁波が放射する方向に延出した柱状の部材である。導波体63はヘアブラシとして、目的の髪型に固定するという役割を有している。また、ベース62を透過した電磁波は導波体63へ伝わり、導波体63の側面から電磁波が放射されるため、ベース62から離れた位置にある毛髪に対しても効率良く電磁波を照射することが可能となる。このとき、電磁波が効率良くベース62から導波体63へ伝わるために、ベース62は導波体63と接している部分のみ電磁波を透過することが好ましい。
導波体63の内部を電磁波が伝播可能なように、例えば、導波体63が円柱である場合、導波体63の底面の直径は電磁波の波長よりも十分長いことが好ましい。また、導波体63のベース62から電磁波が放射する方向に伸びる方向の長さは、アイロンの対象物を保持するのに好適な長さに適宜設定すればよい。
導波体63としては、セラミックなどの電磁波を透過可能な材料を用い、導波体63の側面に微細な凹凸を形成することにより、導波体63の側面から電磁波が放射されるようにすることが望ましい。
従来はドライヤーなどを用いて毛髪を加熱することによって、毛髪中の水素結合を一度切断し、ヘアブラシを用いて目的の髪型に固定した後に、再び毛髪中の水素結合が形成されることにより、目的の髪型にセットしていた。これに対して本実施形態のアイロン60を用いれば、電磁波によって毛髪中の水素結合を切断することができるので、髪型をセットすることができる。
なお、図1のような形状のアイロン10を用いた場合、髪型の表面にある毛髪に集中して電磁波が放射され、髪型の表面から見て奥の方にある毛髪には電磁波が照射されにくい。また、アイロン10はベース13を用いて髪を押し付ける動作しかできないため、アイロン10とは別にヘアブラシを用いて目的の髪型に固定する必要がある。
なお、図7においてベース62は平板形状をしているが、これに限らず、例えばベースが円筒形であり、導波体63がベースの中心軸に対して放射状に設けられてもよい。この場合、電磁波発生部12によってベースの中心軸から放射状に電磁波が放射され、導波体63によりベースに毛髪を巻きつけてアイロンを掛けることができる。
本発明のアイロンは、アイロン掛けの対象物が有する水素結合を効率的に切断し、低消費電力でアイロン掛けを行うことができるので、衣類用アイロン、ヘアアイロン、ヘアブラシ、ヘアドライヤーなどに利用することができる。
10、20、30、40、50、60 アイロン
11、31、41、51、61 筐体
12 電磁波発生部
13、21、62 ベース
14 孔
22 反射板
43 電磁波検出部
44 電磁波照射領域制御部
63 導波体
11、31、41、51、61 筐体
12 電磁波発生部
13、21、62 ベース
14 孔
22 反射板
43 電磁波検出部
44 電磁波照射領域制御部
63 導波体
Claims (7)
- 5μm以上3000μm以下の波長の電磁波を放射する電磁波発生部と、
前記電磁波の一部又は全てを透過するベースと、を備えたアイロン。 - 前記ベースが、前記電磁波の一部又は全てを透過する孔を有する導体であることを特徴とする請求項1記載のアイロン。
- 前記孔の前記電磁波の電界方向の長さが、前記電磁波の波長以下である部分を有することを特徴とする請求項2記載のアイロン。
- 前記ベースを透過した電磁波を反射する反射板を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のアイロン。
- 電磁波を検出する電磁波検出部と、
前記電磁波検出部の検出値に基づいて前記電磁波発生部から放射する電磁波照射領域制御部と、を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のアイロン。 - 前記ベースから前記電磁波が放射される方向に延出した柱状の導波体を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のアイロン。
- 請求項1〜3の何れかに記載のアイロンから放射された電磁波を反射する反射板を備えたアイロン台。
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JP2012117602A JP2013244037A (ja) | 2012-05-23 | 2012-05-23 | アイロン及びアイロン台 |
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- 2013-05-21 WO PCT/JP2013/064074 patent/WO2013176125A1/ja active Application Filing
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