以下に記載の実施の形態では製品として望ましい色々な観点の改善が為されており、上述の信頼性向上に特化された課題だけでなく、他のいろいろな課題の解決が為されている。以下代表的な課題と解決策を簡単に述べる。
〔電池セルの消費電力の均一化〕
以下に説明の発明では、直列接続された車両搭載のリチウム電池セルの消費電力が不均衡にならないように工夫されている。即ち車両に搭載された各リチウム電池セルに関する消費電力、言い換えると各リチウム電池セルの電力負荷の均一化を図っている。以下の説明は特に効果の大きい車両搭載を代表例として説明するが、本課題解決策は電車や自動車に代表される車両の搭載に限られるものではなく、産業用の電池システム、特にリチウム電池システム、に適用されると良好な効果が得られる。
車両搭載のリチウム電池セルが発生する電力は、車両に搭載の他の電力系統より電圧が高く、安全性を高めるため車両の他の電力系から電気的に絶縁されている。従って上記リチウム電池セルを制御するための複数の集積回路は、それぞれ上記他の電力系に対して電気的に絶縁されている。上記複数の集積回路と情報の伝達を行う相手先の制御回路や他の情報伝達系は、他の電力系によって動作しているので、上記複数の集積回路と上記制御回路や他の情報伝達系との間の情報伝送は、電気的に絶縁された入出力端子を有する絶縁回路を介して行われる。ここで絶縁回路とは例えばフォトカプラを備えた回路で、該絶縁回路は、入力端子に入力された入力信号をフォトカプラが内蔵する光ダイオードにより光に変換し、さらにその光を内蔵するフォトトランジスタで再び電気信号に変換し出力端子から出力する。絶縁回路の内部は光を媒体として情報の伝達を行うので、情報は伝達可能であるが、入力端子と出力端子とは電気的に絶縁されている。
上記絶縁回路を動作させるためには電力が必要で、とくに光ダイオードを駆動するには比較的大きな電力が必要となる。また、高速で情報を伝送するフォトカプラの方が、低速で情報を伝送するフォトカプラより消費電力が大きい特性を有する。
以下の実施の形態では、リチウム電池セルを制御する各集積回路の情報伝送端子は互いに電気的に直列に接続されており、上記直列接続により構成される伝送路を通して情報が伝送される。他の伝送路や他の制御回路との情報伝送のための受信は、上記直列接続の伝送路を構成する最先端(以下の実施の形態では最上位とも記載している)の集積回路で行われる。一方、伝送路からの送信は、上記直列接続で構成される伝送路を構成する最終段(以下の実施の形態では最下位とも記載している)の集積回路で行われる。上述の如く、絶縁回路であるフォトカプラを介した情報送信には比較的大きな電力が必要である。そのため、上記情報送信のための電力を上記最終段の集積回路に電力を供給しているリチウム電池セルにのみ負担させると、複数のリチウム電池セル間の電力負荷が不均衡となる。この不均衡を少なくすることが望ましい。
以下の実施の形態では、次のようにして電力負荷の均衡を図っている。即ち、リチウム電池モジュールは、複数のリチウム電池セルを直列接続して構成されるリチウム電池セルグループを、更に複数個直列に接続して構成される。さらに、前記各リチウム電池セルグループに関する処理を行うために、前記各リチウム電池セルグループに対応付けられて設けられた複数の集積回路を備えている。そして、前記各集積回路は情報を出力するための送信端子と情報を受信するための受信端子とを有しており、前記集積回路の送信端子は隣接する前記集積回路の受信端子とそれぞれ接続されることにより直列接続により構成される伝送路が形成されている。前記伝送路の最終段の集積回路から情報が出力される絶縁回路の消費電力は、前記最終段の集積回路に対応するリチウム電池セルグループだけで負担するのではなく、複数のリチウム電池セルグループが負担する構成としている。これにより絶縁回路の消費電力が1個のリチウム電池セルグループに偏るのを防止でき、リチウム電池セル間の電力負荷の不均衡を低減できる。以下の実施の形態ではさらに大きな効果を得るために、上記絶縁回路の消費電力を、上記伝送路を構成する先頭の集積回路に対応したリチウム電池セルグループから上記伝送路を構成する最終段の集積回路に対応したリチウム電池セルグループまでの間のリチウム電池セル全体の電気負荷となるようにしている。この構成によりリチウム電池セル間の電力負荷の不均衡を非常に小さくできる。具体的な回路構成は、上記絶縁回路が有する光ダイオードを駆動する駆動回路の電源として、上記伝送路を構成する先頭の集積回路に対応したリチウム電池セルグループから上記伝送路を構成する最終段の集積回路に対応したリチウム電池セルグループまでの間のリチウム電池セル全体の電圧を供給している。
〔リチウム電池セルの消費電力の低減〕
〔消費電力の低減1〕
直列接続されたリチウム電池セルからなる電源の消費電力は、できるだけ節電することが望ましい。特に、自動車では、できるだけ小型のリチウム電池電源で自動車の走行関係の電力を賄うことが望ましく、消費電力をできるだけ節電できることが望ましい。自動車では、駐車状態が長く続く場合があり、駐車中の電力消費を抑えることが特に重要である。以下の実施の形態では、上記電源が使用されない状態で、前記集積回路の送受信端子が直列接続されて構成される伝送路からの出力に使用される絶縁回路の駆動電流が流れない回路構成となっており、消費電力が節約される。伝送路はデジタル信号を使用して情報伝送を行っており、信号が存在しない状態であるデジタル値「0」の状態では前記駆動電流が流れないことが望ましい。すなわちデジタル値「1」の状態で前記駆動電流が流れることが望ましい。前記集積回路は、伝送用の出力端子の電圧が「ハイ」か「ロー」かと前記デジタル値「1」か「0」かの関係を選択するための回路を内部に有しており、外部からの指示信号を受けて上記関係を選択できる。上記関係を選択することで、デジタル値が「0」の状態では前記駆動電流が流れないようにすることが可能となる。例えば以下の実施の形態では、車両の運転が停止状態となるなどのためにリチウム電池セルからなる電源が使用されなくなると、伝送路の出力が「0」の状態がなり、光ダイオードの駆動電流が自動的に遮断された状態となる。このような回路構成のため消費電力が節約される。
〔消費電力の低減2〕
以下の実施の形態では、前記集積回路で構成される伝送路が少なくても2種類ある。一つは第1の伝送路で、集積回路で測定されたリチウム電池セルの端子電圧や命令を送信する役割を果す伝送路で絶縁回路の消費電力が大きい。他方は単に状態のみを伝達する第2の伝送路で、1ビット情報を伝送する機能を有する。第2の伝送路は第1の伝送路に比べ伝送周波数が低く、絶縁回路の消費電力が少ない。本伝送システムにおいて、駐車中などのために伝送路を使用していない状態では第1の伝送路のフォトカプラへの電力供給が停止される。車を始動するなどの為に伝送の必要が生じると上位の制御回路は第2の伝送路に「1」の状態を表す信号を送る。第2の伝送路が上記信号「1」を受信するとこの受信に基づき、第1の伝送路のフォトカプラへの電力供給が開始され、第1の伝送路の伝送動作が開始可能となる。第1の伝送路での伝送動作が行われている状態では自動的に第1の伝送路のフォトカプラへの電力供給が維持されるので、第2の伝送路は本来の情報を伝送する動作に移っても上記第1の伝送路のフォトカプラへの電力供給は維持される。このような回路構成により、伝送停止状態の消費電力が節約される。
〔通信に伴う印加電圧の低減〕
以下の実施の形態では、電池セルコントローラである各集積回路は、高い電源電圧VCCと低い電源電圧VDDの少なくとも2種類の電源電圧を使用する。リチウム電池セルグループを構成する各リチウム電池セルの端子電圧を選択するマルチプレクサは上記高電源電圧VCCを受けて動作し、アナログデジタル変換器あるいは各種記憶装置あるいはデータ伝送のための送信回路は低電源電圧VDDで動作する。以下の実施の形態では、各電池セルコントローラの送受信回路を直列接続することで伝送路を形成している。また各電池セルコントローラの電位は異なっており、上記直列接続の順に従って電池セルコントローラの電位が順に上昇あるいは下降する。このような電位の異なる回路の直列接続で構成される伝送路において、電位の高い方から低い方へ情報伝達する場合には受信回路は高電源電圧VCCで動作し、送信回路を低電源電圧VDDで動作するようにすることで、隣接する電池セルコントローラの送受信回路間の電圧を低減でき、信頼性が向上する。また電位の低い方から電位の高い方へ情報伝達する場合には、低電源電圧VDDで受信回路あるいは送信回路を動作させることにより送受信回路間の電位差を小さくでき、信頼性が向上する。また上記両方式で低電源電圧VDDで回路を動作させることにより、消費電力を節約できる。
〔スリープ状態からの高速立ち上げ〕
以下の実施の形態では、電池セルコントローラである各集積回路の伝送回路を複数個直列に接続して伝送路を構成することにより、必要とする絶縁回路の数を少なくしている。さらに消費電力を低減するために上記電池セルコントローラをスリープ状態とする。車両においては、複数個直列接続されている上記複数の電池セルコントローラを、短時間に動作可能状態にすることが必要である。このため、以下の実施の形態では、各電池セルコントローラは起き上がり信号「wake up」を送信する起動出力回路を有しており、各電池セルコントローラは上記起き上がり信号を受信すると自分自身が起き上がる動作を行うと共に、自分自身の起き上がりの動作完了に関係なく上記起動出力回路から次の電池セルコントローラへ起き上がり信号を同時進行的に送信する。これにより自分自身の起き上がりが完了する前であっても、次の電池セルコントローラへ起き上がり信号を送信でき、直列に繋がる各電池セルコントローラに逸早く起き上がり信号を送信することが可能となる。各電池セルコントローラが起き上がり動作を完了してから次の電池セルコントローラへ起き上がり信号を送信するのに比べ、システム全体の起き上がり動作が非常に速くなる。特に、自動車に以下の実施の形態が使用される場合に、運転者はシステムを急いで動作させ、急いで発進することを希望したとしても、システム全体の立ち上がりが早いので上記希望に沿うことが可能となる。
その他の解決課題や解決策は、図面を使用した説明の中で述べる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1〜5は、本発明に係る車両用電池システムの一実施の形態を説明する図である。図1は車両用電池システムの要部を示す図、図2は車両用電池システムを搭載する車両用回転電機の駆動システムを示す図、図3〜5は電池ユニット900を説明する図である。まず、図2に示す車両用回転電機の駆動システムを説明する。ここで車両としては自動車が最適であるが、電車に適用しても良好な結果が得られる。産業用機械にも適用可能であるが、車両への適用例を代表例として用い、以下説明する。
図2は、一実施の形態の車両用電池システムを車両用回転電機の駆動システムに適用した場合の回路図である。駆動システムは、電池システムを含む電池ユニット900、電池ユニット900からの直流電力を3相交流電力に変換するインバータ装置220、車両駆動用のモータ230、電池ユニット900およびインバータ装置220を制御する上位コントローラ110を備えている。モータ230は、インバータ装置220からの3相交流電力により駆動される。
電池ユニット900は、2つ電池モジュール9A,9Bとセルコントローラ80とバッテリコントローラ20とを有している。電池モジュール9Aと電池モジュール9Bとは、スイッチとヒューズとが直列接続された保守・点検用のサービスディスコネクトとして機能する開閉器6を介して直列接続される。この開閉器6が開くことで電気回路の直接回路が遮断され、仮に電池モジュール9A,9Bのどこかで車両との間に1箇所接続回路ができたとしても電流が流れない。このような構成により高い安全性を維持できる。
電池モジュール9Aは、複数の電池セルが直列に接続されたバッテリセルグループを複数接続して構成されている。電池モジュール9Bも同様に構成される。電池モジュール9Aの正極は、正極強電ケーブル81およびリレーRLPを介してインバータ装置220の正極に接続されている。電池モジュール9Bの負極は、負極強電ケーブル82およびリレーRLNを介してインバータ装置220の負極に接続されている。また、抵抗RPREとプリチャージリレーRLPREとの直列回路が、リレーRLPと並列に接続されている。リレーRLPとインバータ装置220との間には、ホール素子等の電流センサSiが挿入されている。電流センサSiはジャンクションボックス内に内蔵され、その出力線はバッテリコントローラ20に導かれている。
例えば、リレーRLPやリレーRLNには定格電流が80A程度のものが使用され、プリチャージリレーRLPREには定格電流が10A程度のものを用いることができる。また、抵抗RPREには、例えば、定格容量が60W、抵抗値が50Ω程度のものを、電流センサSiには、例えば、定格電流が±200A程度のものを用いることができる。上述した負極強電ケーブル82および正極強電ケーブル81は、リレーRLPやリレーRLNおよび出力端子810,820を介して、モータ230を駆動するインバータ装置220に接続される。このような構成とすることで高い安全性が維持できる。
インバータ装置220は、パワーモジュール226と、MCU222と、パワーモジュール226を駆動するためのドライバ回路224と、約700μF〜約2000μF程度の大容量の平滑キャパシタ228とを有している。パワーモジュール226は、電池モジュール9A,9Bから供給される直流電力を、モータ230を駆動するための3相交流電力に変換する。
平滑キャパシタ228は、電解キャパシタよりフィルムキャパシタの方が望ましい特性を得ることができる。車両に搭載される平滑キャパシタ228は車両の置かれている環境の影響を受け、摂氏マイナス数十度の低温から摂氏100度程度の広い温度範囲で使用される。温度が零度以下に低下すると電解キャパシタは急激に特性が低下し電圧ノイズを除去する能力が低下する。このため、セルコントローラ80に設けられた集積回路に大きなノイズが加わるおそれがある。フィルムキャパシタは温度低下に対する特性低下が少なく、集積回路に加わる電圧ノイズを低減できる。
MCU222は、上位コントローラ110からの命令に従い、モータ230の駆動開始時に、負極側のリレーRLNを開状態から閉状態とした後に、プリチャージリレーRLPREを開状態から閉状態とし、平滑キャパシタ228を充電し、その後に正極側のリレーRLPを開状態から閉状態として、電池ユニット900の電池モジュール9A,9Bからインバータ装置220への電力の供給を開始する。
なお、インバータ装置220は、モータ230の回転子に対するパワーモジュール226により発生する交流電力の位相を制御して、ハイブリッド車の制動時にはモータ230をジェネレータとして動作させ、すなわち回生制動制御を行い、ジェネレータ運転により発電された電力を電池モジュール9A,9Bに回生して電池モジュール9A,9Bを充電する。電池モジュール9A,9Bの充電状態が基準状態より低下した場合には、インバータ装置220はモータ230を発電機として運転する。モータ230で発電された3相交流電力は、パワーモジュール226により直流電力に変換されて電池モジュール9A,9Bに供給される。その結果、電池モジュール9A,9Bは充電される。
モータ230を力行運転する場合、MCU222は上位コントローラ110の命令に従い、モータ230の回転子の回転に対して進み方向の回転磁界を発生するようにドライバ回路224を制御し、パワーモジュール226のスイッチング動作を制御する。この場合は、電池モジュール9A,9Bから直流電力がパワーモジュール226に供給される。一方、回生制動制御により電池モジュール9A,9Bを充電する場合には、MCU222は、モータ230の回転子の回転に対して遅れ方向の回転磁界を発生するようにドライバ回路224を制御し、パワーモジュール226のスイッチング動作を制御する。この場合はモータ230から電力がパワーモジュール226に供給され、パワーモジュール226の直流電力が電池モジュール9A,9Bへ供給される。結果的にモータ230は発電機として作用することとなる。
インバータ装置220のパワーモジュール226は、導通および遮断動作を高速で行い直流電力と交流電力間の電力変換を行う。このとき、大電流を高速で遮断するので、直流回路の有するインダクタンスにより大きな電圧変動が発生する。この電圧変動を抑制するため、大容量の平滑キャパシタ228が直流回路に設けられている。車載用のインバータ装置220ではパワーモジュール226の発熱が大きな問題であり、この発熱を抑えるにはパワーモジュール226の導通および遮断の動作速度を上げる必要がある。この動作速度を上げると、上述したようにインダクタンスによる電圧の跳ね上がりが増大し、より大きなノイズが発生する。このため平滑キャパシタ228の容量はより大きくなる傾向にある。
インバータ装置220の動作開始状態では平滑キャパシタ228の電荷は略ゼロであり、リレーRLPを閉じると大きな初期電流が平滑キャパシタ228へ流れ込む。そして、この大電流のために負極側メインリレーRLNおよび正極側メインリレーRLPが融着して破損するおそれがある。この問題を解決するため、MCU222は、負極側のリレーRLNを開状態から閉状態とした後に、正極側のリレーRLPを開状態に維持したまま、プリチャージリレーRLPREを開状態から閉状態として抵抗RPREを介して最大電流を制限しながら上述した平滑キャパシタ228を充電する。
この平滑キャパシタ228が所定の電圧まで充電された後は、初期状態が解除される。すなわち、プリチャージリレーRLPREおよび抵抗RPREを介する平滑キャパシタ228への初期充電が中止され、上述したように、負極側のリレーRLNと正極側のリレーRLPを閉状態として電源システム1からパワーモジュール226へ直流電力を供給する。このような制御を行うことで、リレー回路を保護すると共に、リチウム電池セルやインバータ装置220を流れる最大電流を所定値以下に低減でき、高い安全性を維持できる。
インバータ装置220の直流側回路のインダクタンスを低減することがノイズ電圧の抑制に繋がるので、平滑キャパシタ228はパワーモジュール226の直流側端子に接近して配置される。また、平滑キャパシタ228自身もインダクタンスを低減できるように構成されている。このような構成で平滑キャパシタ228の初期充電電流が供給されると、瞬間的に大きな電流が流れ込み、高熱を発生して損傷するおそれがある。しかし、上記プリチャージリレーRLPREと抵抗RPREとにより充電電流を制限することにより、上記損傷を低減できる。インバータ装置220の制御はMCU222により行われるが、上述のとおり、平滑キャパシタ228を初期充電する制御もMCU222により行われる。
電池ユニット900の電池モジュール9Bの負極と負極側のリレーRLNとの接続線、および電池モジュール9Aの正極と正極側のリレーRLPとの接続線には、ケースグランド(車両のシャーシと同電位)との間にそれぞれキャパシタCN、CPが挿入されている。これらのキャパシタCN、CPは、インバータ装置220が発生させるノイズを除去して、弱電系回路の誤作動や、セルコントローラ80を構成するICのサージ電圧による破壊を防止するものである。インバータ装置220はノイズ除去フィルタを有しているが、これらのキャパシタCN、CPは、バッテリコントローラ20やセルコントローラ80の誤作動を防止する効果をさらに高め、電池ユニット900の耐ノイズの信頼性をさらに高めるために挿入されている。
なお、図2において、電池ユニット900の強電系回路は太線で示している。これらの線には断面積の大きい平角の銅線が使用される。また、ブロアファン17は、電池モジュール9A,9Bを冷却するためのファンで、バッテリコントローラ20からの指令によってONするリレー16を介して動作するようになっている。
図3および図4は電池ユニット900の具体的な構成の一例を示す図であり、図3は電池ユニット900の外観を示す斜視図、図4は分解斜視図である。電池ユニット900は、金属製の上蓋46と下蓋45とから成る略直方体状のバッテリケース900aを有する。下蓋45には、直流電力の供給あるいは直流電力の受電をするための出力端子810,820が備えられている。
バッテリケース900a内には、複数の電池セルで構成される組電池(バッテリセルグループ)19が複数収容され固定されている。電池ユニット900を構成する部品には電圧や温度を検出するための配線が多数存在するが、金属ケースであるバッテリケース900aで覆われているため、外部からの電気的ノイズから保護されている。また上述のとおり、電池セルはバッテリケース900aとその外側の容器で保護されており、仮に交通事故が発生したとしても電源システムの安全性が維持される。
本実施の形態において、電池セルは、正極活物質をリチウムマンガン複酸化物、負極活物質を非晶質炭素とし、熱伝導性の高いケーシングで被覆した円柱状のリチウム二次電池である。このリチウム二次電池の電池セルは、公称電圧が3.6V、容量が5.5Ahであるが、充電状態が変わると電池セルの端子電圧が変化する。例えば、電池セルの充電量が減少すると2.5Vくらいに低下し、電池セルの充電量が増大すると4.3V程度に増大する。
図3,4に示すように、下蓋45には複数の組電池19がケース長手方向に2列に配設され固定されている。一方の列の複数の組電池19は電池モジュール9Aを構成し、他方の列の複数の組電池19は電池モジュール9Bを構成する。下蓋45の一方の端部には、セルコントローラボックス79がネジ固定されている。セルコントローラボックス79内には、図5に示すセルコントローラ80が設けられた基板83がネジ固定されている。
この基板83は、上下各4箇所に形成された丸穴を介して、セルコントローラボックス79に直立状態でネジ固定されている。このような構造としたため、電池ユニット900の全体が比較的小空間に収納可能となっている。また、各組電池19とセルコントローラ80との配線の煩雑さを解消できる。基板83の左右両側端部には、コネクタ48、49がそれぞれ距離を置いて設けられている。コネクタ48、49は、検出用ハーネスを介して電池モジュール9A,9Bの各電池セルと接続される。
基板83からはバッテリコントローラ20と通信するための通信ハーネス50が導出されており、通信ハーネス50はその先端部にコネクタを有している。このコネクタは、バッテリコントローラ20側のコネクタ(不図示)に接続されている。なお、基板83には、抵抗、キャパシタ、フォトカプラ、トランジスタ、ダイオード等のチップ素子が実装されているが、図5ではこれらの素子については煩雑さを避けるため省略している。基板83には、2つの電池モジュール9A,9Bに対してそれぞれコネクタ48、49が設けられ、これらとは別にバッテリコントローラ20と通信するための上記通信ハーネス50が設けられている。このようにコネクタ48、49と通信ハーネス50とを別々に設けることで、配線作業が容易となり、またメンテナンスも容易となる。
コネクタ48と49の一方は直列接続された高電圧側の電池セルと基板83との接続を行い、コネクタ48と49の他方は直列接続された低電圧側の電池セルと基板83との接続を行うので、各コネクタが受け持つ範囲での電圧差を小さくできる。コネクタ接続時または開放時に瞬間的に一部のみ接続されている部分接続状態が生じるが、各コネクタが受け持つ範囲での電圧差を小さくできるので、部分接続状態がもたらす悪影響を小さくできる。
下蓋45に並設固定された電池モジュール9A,9B同士は、図示を省略したサービスディスコネクトとしての開閉器6により直列に接続されている。下蓋45の正面部には、正極強電ケーブル81、負極強電ケーブル82の電力を外部に供給する、あるいは外部から受電するための出力端子810,820が設けられている。
(伝送路の説明)
図2に示したセルコントローラ80と上位制御回路として動作するバッテリコントローラ20との間の通信用伝送路の詳細について説明する。なお、図2に示すセルコントローラ80は、図1に示す複数の集積回路CC3A,CC3B,…,CC3N,CC4A,CC4B,…,CC4Nで構成されており、ここでは、集積回路CC3A〜CC4Nを、電池セルコントローラCC3A〜CC4Nと呼ぶことにする。
図1は、電池モジュール9A,9B、電池セルコントローラCC3A〜CC4N、伝送路60およびバッテリコントローラ20を示す。上述したように、電池モジュール9Aと電池モジュール9Bとは開閉器6により直列接続されている。電池モジュール9Aの正極側は強電ケーブル81に接続され、電池モジュール9Bの負極側は強電ケーブル82に接続されている。
各電池モジュール9A,9Bは、それぞれ複数の電池セルグループで構成されている。各電池セルグループは、この実施の形態では6つのリチウム電池セルBC1〜BC6から構成されているが、4つリチウム電池セルで構成しても良くまた4つと6つのリチウム電池セルの混ざり合った状態であっても良い。供給すべき電力を4個あるいは6個の一定した数の電池モジュールの組あわせで構成できない場合がある。本実施の形態では、4個あるいは6個といった異なる数の電池モジュールを上記集積回路に接続することができ、供給すべき電力の状態に応じてリチウム電池セルの数を最適値とすることが可能となる。
上記電池モジュール9Aの各電池セルグループに対応して電池セルコントローラCC3A,CC3B,…,CC3Nが設けられ、電池モジュール9Bの各電池セルグループに対応して電池セルコントローラCC4A,CC4B,…,CC4Nが設けられている。すなわち、電池モジュール9Aには電池セルコントローラCC3A,CC3B,…,CC3Nから成る電池セルコントローラグループCCG1が設けられ、電池モジュール9Bには、電池セルコントローラCC4A,CC4B,…,CC4Nから成る電池セルコントローラグループCCG1が設けられている。
図1において、電池セルコントローラCC3Bと電池セルコントローラCC3Nとの間および電池セルコントローラCC4Bと電池セルコントローラCC4Nとの間には、さらに電池セルコントローラが存在するが、同様の構成であり説明の煩雑さを避けるために省略した。また、図1において、図示上側に示した電池モジュール9A,電池セルコントローラグループCCG1および伝送路60と、図示下側に示した電池モジュール9B,電池セルコントローラグループCCG2および伝送路60とは同一である。以下では、電池モジュール9Aに関係する図示上側の構成を参照して詳細を説明する。
バッテリコントローラ20と各電池セルコントローラCC3A,CC3B,…,CC3Nとの間の信号の送信および受信は、信号ハーネス50を含む伝送路60を介して行われる。各電池セルコントローラCC3A,CC3B,…,CC3Nは、伝送路602,604により直列接続されている。バッテリコントローラ20の送信端子TX1から送信されたコマンド信号は、ループ状の通信路を介して電池セルコントローラCC3A,CC3B,…,CC3Nに伝えられ、上記コマンドに対応したデータが上記電池セルコントローラCC3A,CC3B,…,CC3Nからなるループ状の通信路を経由して、バッテリコントローラ20の受信端子RX1で受信される。
すなわち、バッテリコントローラ20の送信端子TX1から送信されたコマンド信号は、伝送路60を介して電池セルコントローラCC3Aの受信端子RXで受信され、電池セルコントローラCC3Aの送信端子TXからコマンド信号に応じたデータやコマンドが送信される。電池セルコントローラCC3Bの受信端子RXで受信されたコマンド信号は、送信端子TXから送信される。このように順に受信および送信を行い、伝送信号は、電池セルコントローラCC3Nの送信端子TXから送信されてバッテリコントローラ20の受信端子RX1で受信される。このようなループ状の通信路を介してシリアル通信が行われる。各電池セルコントローラCC3A,CC3B,…,CC3Nは、受信したコマンド信号に応じて、対応する電池セルグループを構成する電池セルBC1〜BC6の端子電圧の検出および診断等を開始し、コマンド信号に基づき各電池セルコントローラが収集あるいは検知したデータを、上記のようにシリアル通信によりバッテリコントローラ20に送信する。
各電池セルコントローラCC3A,CC3B,…,CC3Nはさらに異常診断を行い、異常がある場合に伝送路604を介して1ビット信号を伝送する。各電池セルコントローラCC3A,CC3B,…,CC3Nは自分自身が異常と判断した場合、あるいは前の電池セルコントローラから異常を表す信号(異常信号)を受信端子FFI1で受信した場合に、送信端子FFOから異常信号を送信する。一方、既に受信端子FFI1に送られてきていた異常信号の来なくなったり、あるいは自分自身の異常判断が正常判断に変わったりした場合に、送信端子FFO1から伝送されている異常信号は正常信号に変わる。
バッテリコントローラ20は、通常は異常信号を集積回路に送信しないが、異常信号の伝送路が正しく動作することを診断するために、擬似異常信号であるテスト信号をバッテリコントローラ20の送信端子FFOUT1から送信する。擬似異常信号であるテスト信号は、バッテリコントローラ20の送信端子FFOUT1から伝送路604を介して電池セルコントローラCC3Aの受信端子FFIに送信される。このテスト信号を受け、電池セルコントローラCC3Aの送信端子FFOからテスト信号が次の電池セルコントローラCC3Bの受信端子FFIに送信される。このテスト信号は順に次の電池セルコントローラに送信され、電池セルコントローラCC3Nの送信端子FFOから伝送路604を介してバッテリコントローラ20の受信端子FFIN1に送信される。
バッテリコントローラ20は車のシャーシ電位をグランド(GND)とし、14V系の電源から作られる5ボルトなどの低電圧で動作するようになっている。一方、リチウム電池セルで構成される電源系は上記14V系の電源から電気的に絶縁された電源系であり、さらにまた各電池セルコントローラCC3A,CC3B,…,CC3Nは、この実施の形態では、対応する電池セルグループの最高位電位と最低位電位との間の電位差すなわち電圧を受けて動作する。このようにバッテリコントローラ20の電源系統とセルコントローラ80の電源系統とは電位関係が異なっており、また電圧の値も大きく異なる。そのため、バッテリコントローラ20とセルコントローラ80とを接続する伝送路60に、電気的に両コントローラを絶縁するための絶縁回路(フォトカプラPH1〜PH4)を設けることで、信頼性の向上を図る。なお、図1において、フォトカプラPH1およびフォトカプラPH2は同一で、フォトカプラPH3およびフォトカプラPH4も同一である。
電池セルコントローラグループCCG1からバッテリコントローラ20への送信用のフォトカプラPH3,PH4の電源には電池モジュール9Aの全体の電池セルが用いられ、フォトカプラPH3,PH4には電池モジュール9A全体の電圧VCCが加えられる。フォトカプラはある程度の電流を流さないと高速で通信ができない。その場合、電池モジュール9Aの総電圧でフォトカプラPH3,PH4を駆動し、電池モジュール9A全体の電池セルからフォトカプラPH3,PH4に電力を供給するようにしたので、送信による電力消費が電池モジュール9Aの一部の電池セルに偏るのを防止することができ、電池モジュール9Aにおける各電池セルの充電量のばらつき発生を抑制することができる。
なお、ここでは、電池モジュール9Aの全ての電池セルグループを合わせた電圧がフォトカプラPH3,PH4に印加されるようにしたが、全てではなく複数の電池セルグループから電力を供給するようにしても、該当する電池セルグループの電池セル間の充電量のばらつきを抑えることができる。例えば、電池セルコントローラグループCC3NのGND端子と電池セルコントローラグループCC3BのVCC端子との間の電圧を、フォトカプラPH3、PH4に印加しても良い。
また、フォトカプラPH3の駆動は、定電流回路613を介して行われる。データ伝送を行うフォトカプラPH3は、上述したようにある程度大きな電流を流す必要があるとともに、そのような条件下で寿命を持たせるためには電流を一定にする必要がある。電流が小さいとフォトカプラPH3のLEDの発光量が減って出力が低下し信号伝送の信頼性が低下し、逆に電流量が多すぎるとフォトカプラPH3の寿命が短くなってしまう。一方、電池モジュール9Aの電圧が変化すると、フォトカプラPH3を流れる電流も変化し、上述したような不具合が生じる。
そこで、定電流回路613を設けることで、電圧に関係なく一定の電流がフォトカプラPH3に供給されるようにした。このように定電流回路613を設けたことにより、信号伝送の信頼性低下やフォトカプラの寿命の低下を防止することができる。さらに、フォトカプラに流れる電流は接続されている抵抗で決まるので、電池モジュール9Aと電池モジュール9Bとの間で電圧差があった場合に流れる電流が異なり、電力消費に差異が生じることになる。しかし、定電流回路613を設けて、フォトカプラPH3に供給される電流値を同一とすることにより、電池モジュール9Aと電池モジュール9Bとの間で信号伝送に関する電力消費を均一化することができる。
一方、バッテリコントローラ20から信号を受信するフォトカプラPH1,PH2の受光素子出力回路を駆動するための電力は、電池セルコントローラCC3Aに関する電池セルグループから供給される。このデータ伝送受信用のフォトカプラPH1と電池セルコントローラCC3Aとの間の伝送路にはスイッチSW01が設けられており、フォトカプラPH1の動作電圧はスイッチSW01を介して供給される。スイッチSW01のベース側にはOR回路OR01が設けられており、スイッチSW01は、バッテリコントローラ20のフラグ送信端子FFOUT1から信号が送信された場合、あるいは電池セルコントローラCC3Aが内部電圧VDDを発生したときに動作する。
データ伝送受信用のフォトカプラPH1は待機時の暗電流が大きく、それによる無駄な電力消費が問題となる。そこで、上述のOR回路OR01により、セルコントローラ80がスリープ状態にあって伝送路を使用しない状態の場合には、スイッチSW01をオフしてフォトカプラPH1への電力供給を停止する。その結果、無駄な電力消費を防止することができる。
電池セルコントローラグループCCG1,CCG2の動作を開始する場合、バッテリコントローラ20のフラグ送信端子FFOUT1,FFOUT12から開始信号を出力する。開始信号によりフォトカプラPH2が駆動され、OR回路OR01によりスイッチSW01がオンし、フォトカプラPH1の受光素子回路がイネーブル状態となる。その後、バッテリコントローラ20は送信端子TX1からデータや命令を含んだ送信信号を出力する。フォトカプラPH1を介してその送信信号が電池セルコントローラCC3Aの受信端子RXに入力され、電池セルコントローラCC3Aが動作する。電池セルコントローラCC3Aが動作を開始すると、電池セルコントローラCC3Aの端子VDDから後述する電圧VDDが出力され、スイッチSW01にベース電流が流れて、フォトカプラPH1の電源供給が維持される。
電池モジュール9Aと電池モジュール9Bは、上述したように開閉器6により着脱可能に接続されている。前述した電池ユニット900の外装ケースは、開閉器6によるロックを外さなければ開かない構造となっている。開閉器6のロックを外すと、直列接続された電池モジュール9Aと電池モジュール9Bとの間の電気的な開閉回路が開き、開閉器6に設けられた開閉検知用スイッチが開く。
バッテリコントローラ20の端子PORTOUTからパルス信号が出力されたとき、開閉器6に設けられた開閉検知用スイッチが閉じていればパルス信号が端子PORTINから入力される。開閉器6が開放していて開閉検知用スイッチが開いていれば、パルス信号の伝送は遮断される。端子PORTINと開閉検知用スイッチとを繋ぐ線は抵抗620を介してアースに接続されているので、パルス信号の伝送が遮断される状態においては、端子PORTINの入力電位はアース電位に保持される。
バッテリコントローラ20は、端子PORTINの入力電位により開閉器6の開閉検知用スイッチの開閉状態を検知することができる。バッテリコントローラ20は、開閉器6の開放を検知すると、関連する制御装置、例えばインバータ装置220に開閉器6の開放状態を伝達して、システム全体の安全が維持されるように制御する。例えば、開閉器6が開放されているときには、インバータ装置220による電池モジュール9A,9Bの充電が禁止される。なお、上述した説明では、電池モジュール9Aに関係する構成について説明したが、同様の構成を有する電池モジュール9Bの伝送路60に関しても同様の効果を奏する。
図1に示した電池システムの効果をまとめると次のようになる。
(a)バッテリコントローラ20とセルコントローラ80とを接続する伝送路60に、電気的絶縁のための絶縁回路(フォトカプラPH1〜PH4)を設けたので、信頼性の向上を図ることができる。
(b)電池モジュール9A全体の電池セルからフォトカプラPH1,PH2に電力を供給するようにしたので、フォトカプラの電力消費が電池モジュール9Aの一部の電池セルに偏るのを防止することができる。そのため、電池モジュール9A内における各電池セルの充電量のばらつき発生を抑制することができる。
(c)定電流回路613を設けたことにより、電池モジュール9A全体の総電圧に関係なく一定の電流がフォトカプラPH3に供給され、信号伝送の信頼性低下やフォトカプラの寿命の低下を防止することができるとともに、電池モジュール9Aと電池モジュール9Bとの間で信号伝送に伴う電力消費を均一化することができる。
(d)セルコントローラ80がスリープ状態にあって伝送路を使用しない状態の場合には、スイッチSW01をオフしてフォトカプラPH1への電力供給を停止するようにしたので、無駄な電力消費を防止することができる。
(e)開閉器6の開閉検知用スイッチの開閉状態を検知することができ、システム全体の安全の向上が図れる。
図6は、伝送路60の他の例を示したものである。上述した図1に示したシステムでは、電池モジュール9Aの電池セルコントローラCC3Nの送信端子TX,FFOから出力された信号をフォトカプラPH3,PH4を介してバッテリコントローラ20の受信端子RX1,FFIN1に入力し、また、電池モジュール9Bの電池セルコントローラCC4Nの送信端子TX,FFOから出力された信号をフォトカプラPH3,PH4を介してバッテリコントローラ20の受信端子RX2,FFIN2に入力するようにした。すなわち、電池セルコントローラグループCCG1と電池セルコントローラグループCCG2とにおいて、それぞれ別個の通信ループを形成するような構成とした。
一方、図6に示す例では、電池モジュール9Aの電池セルコントローラCC3Nの送信端子TX,FFOから出力された信号を、それぞれ電池モジュール9Bの電池セルコントローラCC4Aの対応する受信端子RX,FFIに入力するようにした。この場合、電池モジュール9Aの電池セルコントローラCC3Nの送信端子TX,FFOに接続された伝送路602,604を、電池モジュール9Bの受信用のフォトカプラPH1,PH2に接続するようにした。すなわち、絶縁回路であるフォトカプラPH1,PH2を介して、電池モジュール9Aの電池セルコントローラCC3Nの送信端子TX,FFOと電池モジュール9Bの電池セルコントローラCC4Aの受信端子RX,FFIと接続するようにした。
図1に示した構成の場合には、電池モジュール9A側の通信ループと電池モジュール9B側の通信ループとが別個に設けられている。一方、図6に示す構成の場合には、電池セルコントローラグループCCG1と電池セルコントローラグループCCG2とを直列に接続して一つの通信ループとしているため、伝送動作は遅くなるが、上位制御装置であるバッテリコントローラ20の入出力端子の使用数が少なくて良いという利点がある。図6に示す構成の場合、開閉器6で着脱可能に接続された電池モジュール9A,9Bに関する電池セルコントローラグループCCG1と電池セルコントローラグループCCG2は、絶縁回路(フォトカプラPH1,PH2)を介して信号の送受信を行っているので、図1の場合と同様に信頼性の向上が図れる。すなわち図6に示す実施の形態では、開閉器6を開放すると電池モジュール9Aを構成するリチウム電池セルBC6と電池モジュール9Bを構成するリチウム電池セルBC1との接続が開放され、電池モジュール9Aと電池モジュール9Bとを流れる電流の回路が遮断され、安全性が向上する。
しかし一方、開閉器6が閉じている状態では、集積回路CC3NのGND端子と集積回路CC4AのVCC端子とが電気的に接続された状態であり、集積回路CC3Nと集積回路CC4Aとは電位が所定の値に保持され安定している。開閉器6が開放すると集積回路CC3NのGND端子と集積回路CC4AのVCC端子とが電気的に開放された状態であり、お互いの集積回路間の電位が定まらない。この状態で集積回路CC3Nの伝送用端子「RX」、「RT」、「FFI」、「FFO」と集積回路CC4Aの「RX」、「RT」、「FFI」、「FFO」との間で電気的な接続関係があると、集積回路CC3Nと集積回路CC4Aとの間の電位差が上記接続部分に加わることとなる。集積回路CC3Nと集積回路CC4Aは耐電圧が高くないので、もしどこかに漏洩回路などが発生するなどの要因で、開閉器6の開放時にこれら集積回路間に電位差が生じ、集積回路が電機的に破損する恐れがある。図6では、開閉器6の両端に関係する集積回路CC3Nと集積回路CC4Aの伝送路を絶縁回路を介して接続しているので、信頼性が向上している。
なお、図1および図6に示した例では、伝送方向として高電位から低電位への方向に伝送する方式となっているが、低電位から高電位への方向に伝送する方式や、これらの両方の方式を使用したデータを折り返す方式も可能である。低電位から高電位の方に伝送する回路は後述する。
図7に示す電池システムは図6に示した電池システムの変形例であり、図6に示した電池モジュール9A,9Bに対して、直列接続された電池モジュール9C,9Dを並列接続したものである。電池モジュール9C,9Dは開閉器6によって着脱可能に接続されており、電池モジュール9C,9Dには、図1に示した電池セルコントローラグループCCG1,CCG2と同様の構成の電池セルコントローラグループCCG3,CCG4が設けられている。
電池セルコントローラグループCCG3の受信端子RX,FFIは、絶縁回路630を介してそれぞれバッテリコントローラ20に設けられた送信端子TX3,FFOUT3に接続され、電池セルコントローラグループCCG4の送信端子TX,FFOは、絶縁回路630を介してそれぞれバッテリコントローラ20に設けられた受信端子RX4,FFIN4に接続されている。また、電池セルコントローラグループCCG3の送信端子TX,FFOは、絶縁回路630を介してそれぞれ電池セルコントローラグループCCG4の受信端子RX,FFIに接続されている。図7の絶縁回路630は、図6に示すフォトカプラPH1、PH2に対応している。なお、図6のフォトカプラPH1とフォトカプラPH3は同一であり、またフォトカプラPH2とフォトカプラPH4は同一である。このように伝送路を構成することで信頼性が向上する。
図8に示す電池システムは図1に示した電池システムの変形例であり、図1に示した電池モジュール9A,9Bに対して、電池モジュール9A,9Bと同一構造の電池モジュール9C,9Dを並列接続したものである。電池モジュール9A,9Bの電池セルコントローラグループCCG1,CCG2はそれぞれ別個の通信ループでバッテリコントローラ20に接続され、また、電池モジュール9C,9Dの電池セルコントローラグループCCG3,CCG4の各伝送路602,604もそれぞれ別個の通信ループを形成している。各伝送路602,604は、絶縁回路630を介してバッテリコントローラ20に接続されている。このように開閉器6の両側の集積回路と上位制御回路との伝送をフォトカプラを630介して行う構成としているので、開閉器6の開放時の信頼性が向上し、また並列伝送路のため高速伝送が実現できる。
図1や図8に示す伝送路において、高速伝送が必要な端子〔TX〕や端子〔RX〕を使用した伝送は図1や図8の如く開閉器6の両端の集積回路と上位制御回路〔20〕との間を絶縁回路で接続する構成とし、比較的低速の伝送である端子〔FFI〕や端子〔FFO〕を使用した伝送は図6や図7の如く開閉器6の両端の集積回路の伝送用端子を絶縁回路を介して接続する構成とすることができる。この場合は信頼性の向上と高速伝送を確保しつつ、上位制御回路〔20〕の使用端子を少なくすることができる。
(短絡電流対策、ノイズ対策)
図9は、電池セルコントローラCC3Nと、この電池セルコントローラCC3Nに対応する電池セルグループの各電池セルとの接続を示す図である。図1や図6では、説明を簡略化するために、インバータ装置220などが発生するノイズを低減するフィルタ回路やLi電池セルの蓄積電力量の均一化を図るための放電抵抗を図示しなかったが、図9ではそれらを詳細に示している。なお、電池セルコントローラCC3N以外の電池セルコントローラについても同様の接続となっており、ここでは代表して電池セルコントローラCC3Nについて説明する。
電池セルコントローラCC3Nは、対応する電池セルグループを構成する各電池セルBC1〜BC6の端子電圧を検出するために電圧検出用の端子CV1〜CV6,GNDを備えている。端子CV1〜CV6および端子GNDは、各電池セルBC1〜BC6の正極および負極にそれぞれ接続されている。また、端子CV1〜CV6の入力ラインには抵抗R30がそれぞれ設けられている。電池セルコントローラCC3Nは、電池セルコントローラCC3Nに対応する電池セルグループの最高位電位と最低位電位との間の電位差すなわち電池セルグループの総電圧を受けて動作する。
電池セルコントローラCC3Nは、電池セルBC1〜BC6の電圧検知に関する回路(後述する差動増幅器262,アナログデジタル変換器122,データ保持回路125)、過充電診断や過放電診を行う回路を備えている。電圧を検知する回路には電池セルBC1〜BC6の各端子電圧が入力されるが、抵抗R30を介して各端子に電圧を入力するようにしているので、例えば、電池セルBC1〜BC6の端子電圧を電池セルコントローラCC3Nに導く検出線に異常短絡が生じても、これらの回路に対して短絡電流が制限される。
図1のインバータ装置220が直流−交流の電力変換を行う際には大きなノイズを発生する。また、前述したように、自動車は低温から高温まで広範な環境状態で使用される。インバータ装置220が有する平滑コンデンサ228などは低温時にコンデンサとしての能力が低下するので、電解コンデンサが使用されている場合にはフィルムコンデンサに比べ能力が極度に低下する。このように、コンデンサの能力低下状態のみならず通常においても大きなノイズが電池セルBC1〜BC6に常に加わり、対策が望ましい。本実施の形態では、図9に示すように、コンデンサC10とC20および抵抗R30を設けているため、これらのノイズに対してノイズ除去作用を有している。
図1で説明したように、伝送路60の最終段のフォトカプラPH3,PH4を駆動する回路は、各電池セルコントローラグループCCG1,CCG2の最低電位端子と最高電位端子から供給される電力で駆動される回路構成となっている。この構成に対して、例えば、最終段の電池セルコントローラCC3Nの電圧VCCで動作する回路とした場合、電池セルコントローラCC3Nの一段高電位側の電池セルコントローラCC3Mの電圧検出線に断線などの異常が発生したときに、フォトカプラ駆動回路に予期しない高い電圧が加わる可能性がある。しかしながら、電池セルコントローラグループCCG1,CCG2の最低電位端子と最高電位端子から供給される電力で駆動される回路構成とすることで、そのような不具合の発生を防止することができる。
(電池セルコントローラの説明)
図10は、集積回路である電池セルコントローラCC3Nの内部構成を説明する図である。なお、他の電池セルコントローラも同様の構成であり、ここでは、代表して電池セルコントローラCC3Nを例に説明する。リチウム電池セルBC1〜BC6の端子電圧は、端子CV1〜CV6を介してマルチプレクサ120に入力される。マルチプレクサ120は端子CV1〜CV6のいずれかを選択して、差動増幅器262に入力する。差動増幅器262の出力は、アナログデジタル変換器122Aによりデジタル値に変換される。デジタル値に変換された端子間電圧はIC制御回路123に送られ、内部のデータ保持回路125に保持される。これらの電圧は診断などに利用されたり、図1に示すバッテリコントローラ20に送信されたりする。端子CV1〜CV6に入力される各リチウム電池セルの端子電圧は集積回路である電池セルコントローラのグランド電位に対して直列接続されたリチウム電池セルの端子電圧に基づく電位でバイアスされている。上記差動増幅器262により上記バイアス電位の影響が除去され、各リチウム電池セルの端子電圧に基づくアナログ値がアナログデジタル変換器122Aに入力される。
IC制御回路123は、演算機能を有すると共に、データ保持回路125と、各種電圧の検知や状態診断を周期的に行うタイミング制御回路126と、診断回路130からの診断フラグがセットされる診断フラグ保持回路128とを有している。診断回路130は、IC制御回路123からの計測値に基づいて、各種診断、例えば過充電診断や過放電診断を行う。データ保持回路125は、例えばレジスタ回路で構成されており、検出した各電池セルBC1〜BC6の各端子間電圧を各電池セルBC1〜BC6に対応づけて記憶し、また、その他の検出値を、予め定められたアドレスに読出し可能に保持する。
電池セルコントローラCC3N代表例として説明する各電池セルコントローラには、対応するリチウム電池セルグループを構成する各リチウム電池セルBC1〜BC6の充電量(充電状態とも言う)を調整するためのバランシング用半導体スイッチ(NMOS,PMOS)が設けられている。例えば、端子CV1と端子BR1との間に設けられたPMOSスイッチにより、電池セルBC1の充電量調整を行う。同様に、端子BR2と端子CV3との間には電池セルBC2の充電量調整を行うためのNMOSスイッチが、端子CV3と端子BR3との間には電池セルBC3の充電量調整を行うためのPMOSスイッチが、端子BR4と端子CV5との間には電池セルBC4の充電量調整を行うためのNMOSスイッチが、端子CV5と端子BR5との間には電池セルBC5の充電量調整を行うためのPMOSスイッチが、端子BR6と端子GNDとの間には電池セルBC6の充電量調整を行うためのNMOSスイッチが、それぞれ設けられている。
これらのバランシング用半導体スイッチの開閉は放電制御回路132によって制御される。放電制御回路132には、IC制御回路123から放電させるべき電池セルに対応したバランシング用半導体スイッチを導通させるための指令信号が送られる。IC制御回路123は、図1のバッテリコントローラ20から各電池セルBC1〜BC6に対応した放電時間の指令を通信により受け、上記放電の動作を実行する。
電池モジュール9A,9Bへの充電では、電気負荷からの電流の供給は直列接続された多数の電池セルの全体に対して行われる。直列接続された多数の電池セルが異なる充電状態にあると、電気負荷への電流の供給は多数の電池セルの内の最も放電状態にある電池セルの状態により制限される。一方、電気負荷から電流が供給される場合、多数の電池セルの内の最も充電されている電池セルによって電流の供給が制限される。
このため直列接続された多数の電池セルの内、例えば平均状態を越えた充電状態にある複数の電池セルに対して、これらの電池セルに接続されているバランシング用半導体スイッチを導通状態とし、直列接続されている抵抗R30,R20を介して放電電流を流す。これにより直列接続された複数の電池セルの充電状態が互いに近づく方向に制御されることとなる。また他の方法として、最も放電状態にある電池セルを基準セルとし、基準セルとの充電状態の差に基づき放電時間を決める方法がある。他にも充電状態を調整する種々の方法がある。充電状態は電池セルの端子電圧を基に演算で求めることができる。電池セルの充電状態とその電池セルの端子電圧は相関関係があるので、各電池セルの端子電圧を近づけるようにバランシング用半導体スイッチを制御することで、各電池セルの充電状態を近づけることができる。
(電源電圧VCCと電源電圧VDD)
電池セルコントローラCC3Nの内部回路には少なくとも2種類の電源電圧VCC,VDD(3V)が使用される。図10に示す例では、電圧VCCは直列接続された電池セルBC1〜BC6で構成される電池セルグループの総電圧であり、電圧VDDは主定電圧電源134および起動出力回路135の起動用定電圧電源136によって生成される。マルチプレクサ120および信号伝送のための伝送入力回路138,142は高電圧VCCで動作する。また、アナログデジタル変換器122A、IC制御回路123、診断回路130、信号伝送のための伝送出力回路140,143は低電圧VDD(3V)で動作する。
このように、高低2種類の電源電圧VCC,VDDを使用することで次のような作用効果を奏することができる。
(a)アナログデジタル変換器122A、IC制御回路123、診断回路130、伝送出力回路140,143を低電圧VDDの電源で駆動することにより、これらの回路に要求される耐圧を低くでき、信頼性の向上、コスト低減等を図ることができる。またアナログデジタル変換器122Aに対して高精度の電圧を供給でき、測定精度の向上に繋がる。
(b)電源電圧を下げることで、電池セルコントローラの消費電力を抑えることができ、電池モジュール9A,9Bの電力消費を低減できる。
(c)信号伝送のための伝送入力回路138,142を高電圧電源(VCC)で駆動し、伝送出力回路140,143を低電圧VDDで駆動することで、電池セルコントローラCC3A〜CC3Nの直列接続(ディジーチェーン接続)において次のような大きなメリットがある。すなわち、伝送出力回路140,143を低電圧VDDで駆動することで、伝送先の電池セルコントローラに入力される信号の波高値が低くなり、伝送先の電池セルコントローラの耐圧を低くすることができる。また、伝送先の電池セルコントローラの耐圧を下げない場合であっても、耐圧に関する余裕度が大きくなり信頼性が高くなる。
(d)伝送入力回路138,142を高電圧電源(VCC)で駆動し、伝送出力回路140,143を低電圧VDDで駆動することで、すなわち伝送入力回路と伝送出力回路の駆動電圧を変えることで、動作の安定性が高くなる。
(信号波形の説明)
図11,12は、伝送出力回路140の駆動電圧と信号伝送先の波高値との関係を説明する図である。図11は、送信側の電池セルコントローラCCMの伝送出力回路140と、受信側の電池セルコントローラCCNの伝送入力回路138を示す。なお、伝送出力回路140については、図10に示した伝送出力回路140の一部を省略して示した。また、図12は、信号波形を示す図である。
図11に示すように、伝送出力回路140は、スイッチ244,245の開閉を制御回路246で制御することにより、図12の図示左上に示すような波形の信号を送信端子TXから出力する。図1に示したように、伝送方向上位の電池セルコントローラの端子GND(グランド)は伝送方向下位の電池セルコントローラの端子VCCに接続されている。そのため、伝送出力回路140は、電池セルコントローラCCMのグランド、すなわち電池セルコントローラCCNのVCCを基準に電圧VDDの振幅の信号を出力する。スイッチ245を開きスイッチ244を閉じるとハイレベル(電位VCC+VDD)の信号が出力され、逆にスイッチ245を閉じスイッチ244を開くとローレベル(電位VCC)の信号が出力される(図12の左側12Lの波形参照)。
電池セルコントローラCCMの送信端子TXから出力された信号は、伝送方向下位の電池セルコントローラCCNの受信端子RXに入力された後に、伝送入力回路138の差動増幅器231に入力される。差動増幅器231は、入力された電池セルコントローラCCMの信号と電池セルコントローラCCNの電圧VCCとの差分に応じた信号を出力する。図12の中央12Cに示す信号は差動増幅器231の出力信号(図11の点Pにおける信号)を示したものであり、信号のローレベルは電池セルコントローラCCNのグランドレベルとなり、信号のハイレベルはグランドレベル+VDDの電位となる。差動増幅器231から出力された信号は、コンパレータ232において閾値VDD/2と比較され[1]、[0]信号とされる。
各電池セルコントローラは隣接する他の電池セルコントローラからの信号を受信する回路231とフォトカプラからの信号を受信する回路234とをそれぞれ有しており、これらの回路のどちらを使用するかは、図10に記載の端子CT1に印加される制御信号に基づいて切換器233により選択される。電池セルコントローラCCNが電池セルコントローラグループCCG1の伝送方向最上位のセルコンローラの場合、すなわち、電池セルコントローラCCNの受信端子RXにフォトカプラPH1からの信号が入力される場合には、切換器233は下側接点が閉じ、コンパレータ234の出力信号が伝送入力回路138から出力される。一方、電池セルコントローラCCNの受信端子RXに隣接電池セルコントローラからの信号が入力される場合には、切換器233は上側接点が閉じ、コンパレータ232の出力信号が伝送入力回路138から出力される。図11に示す電池セルコントローラCCNの場合、伝送入力回路138には隣接電池セルコントローラCCMからの信号が入力されるので、切換器233は上側接点が閉じる。
電池セルコントローラCCNが最上位の電池セルコントローラの場合には、図12の右側12Rに示すような信号がフォトカプラPH1から受信端子RXに入力される。この場合の入力信号のハイレベルは電池セルコントローラのグランドレベルを基準に電位VCCとなっている。コンパレータ234は、受信端子RXに入力されたこのフォトカプラPH1からの信号と閾値VCC/2とを比較し、[1]、[0]信号を出力する。
なお、図10に示す伝送入力回路142および伝送出力回路143は、上述した伝送入力回路138および伝送出力回路140と同様の回路構成となっており、端子FFIおよび端子FFOUT間の信号伝送も上述したものと同様であるので、ここでは説明を省略する。
(制御端子CT1〜CT3)
図10に示す電池セルコントローラCC3Nは、上述した制御端子CT1の他に動作切り換えのための制御端子CT2,CT3を備えている。上述したように、制御端子CT1は、伝送信号をフォトカプラPH1,PH2から受信するか、隣接の電池セルコントローラから受信するかを選択するための端子である。フォトカプラからの出力と隣接電池セルコントローラの端子TX,端子FFOからの出力とでは出力波形の波高値が異なるため、判定する閾値が異なる。そのため、制御端子CT1の制御信号に基づいて、伝送入力回路138および起動入力回路147の切換器233,252を切り換えるようにする。切換器233の切り換えは上述したように行われ、切換器252の切り換えについては後述する。
制御端子CT2は、送信端子TX,FFOUTから信号を出力する場合に、隣接の電池セルコントローラへ信号を送るのかフォトカプラに送信するのかを選択するための制御端子である。詳細は後述するが、隣接の電池セルコントローラへ送信する場合と、フォトカプラに送信する場合とでは信号[1]/[0]に対応する信号波形[H/L]の関係(極性)が異なる。
制御端子CT3は、電池セルコントローラCC3Nに対応付けられた電池セルグループのセル数を選択するための制御端子である。例えば、6セルか4セルかを選択する。そして、選択されたセル数に応じて、端子電圧測定等における制御を最適なものに切り換えるようにする。その結果、4セルの電池セルグループと6セルの電池セルグループを組み合わせることにより、種々のセル数の電池モジュール9A,9Bを構成することが容易に可能となる。
図13,14は制御端子CT2の機能を説明する図である。上述したように、制御端子CT2は、信号の送信先が隣接の電池セルコントローラかフォトカプラPH3,PH4かを選択するための制御端子であり、送信先を示す制御信号が入力される。伝送出力回路140,143の切換器241は、制御端子CT2からの制御信号に基づいて送信信号の反転または非反転を切り換える。後述するように、送信先が図1のフォトカプラPH2,PH4の場合には、送信信号を反転し、フォトカプラPH2,PH4の消費電力の低減を図る。なお、端子RX1−端子TX1間の伝送系も端子FFOUT1−端子FFIN1間の伝送路系も基本動作および効果は同じであり、以下では、代表してRX1−TX1伝送系を例に説明する。
図13の伝送路602の信号Aは上位制御装置であるバッテリコントローラ20の出力であり、図14に示すように[1]に対応した信号が「ハイレベル」となっている。信号が存在しないときおよび[0]では「ローレベル」である。従って、信号が存在しないときは、バッテリコントローラ20の送信端子TX1からの出力はフォトカプラPH1を駆動しないので、フォトカプラPH1の消費電力が低減される。また、フォトカプラPH1が駆動されないことで光を受ける側の回路も駆動されず、光を受信する回路は遮断状態となり電流を流さない状態となり、消費電力の低減に寄与する。
このような遮断状態では、電池セルコントローラCC3Aの受信端子RXはハイレベルとなる。そのため、受信端子RXに接続された伝送路602の信号Bは、図14に示すように[0]が「ハイレベル」、[1]が「ローレベル」となる。この関係で電池セルコントローラCC3Aの処理が成され、この関係を維持して信号が次の電池セルコントローラCC3Bに伝送される。以下、このような関係で、直列接続されている電池セルコントローラに信号が次々と伝送される。
フォトカプラPH3を駆動する電池セルコントローラCC3Nの出力(送信端子TXの出力)が上記の関係、すなわち[0]が「ハイレベル」で[1]が「ローレベル」の関係で信号を出力するとした場合、信号の[0]状態だけでなく伝送信号を出力していない期間も出力レベル(出力電圧)が「ハイレベル」となる。この場合、信号の[0]状態だけでなく伝送信号を出力していない期間も出力がハイレベルとなる。その結果、伝送信号を出力していない期間も出力側のフォトカプラPH3,PH4が駆動されることとなり、無駄な電力を消費することとなる。
本実施の形態では、図10に示すように伝送出力回路140,143に切換器241とインバータ242を設けた。切換器241の切り換えは制御端子CT2からの制御信号に基づいて行われ、フォトカプラPH3,PH4に送信する場合にはインバータ242で信号を反転して出力し、隣接する電池セルコントローラに伝送信号を送信する場合には伝送信号を反転しないで出力するようにした。このように、送信信号を反転した後に送信端子TX,FFOから出力することにより、図13の電池セルコントローラCC3Nの送信端子TXに接続された伝送路602の信号Cは、図14に示すようなものとなる。信号Cでは、信号[0]および伝送信号を出力していない期間の信号は「ローレベル」(低電圧)状態に反転され、フォトカプラPH3,PH4を駆動しない状態となる。その結果、この状態でのフォトカプラの消費電力を略ゼロに低減できる。また、光を受信する方の半導体も遮断状態となるので、この点でも消費電力の低減となる。
フォトカプラPH3,PH4の出力側は抵抗によりプルアップされているため、フォトカプラPH3,PH4が駆動されると出力側の電位はローレベル(グランドレベル)となり、フォトカプラPH3,PH4の駆動を停止するとハイレベル(VCC)になる。そのため、フォトカプラPH3とバッテリコントローラ20の受信端子RXとを接続する伝送路の信号Dは、図14に示すような波形となる。
図10において、主定電圧電源134から定電圧VDD(3V)が出力されると電池セルコントローラCC3Nはスリープ状態から立ち上がり動作状態となる。図15,16は主定電圧電源134の動作停止および動作開始を説明する図であり、図15は起動入力回路147,タイマ回路150,主定電圧電源134を示し、図16は図15に示す各回路から出力される信号を示す。起動入力回路147により隣接電池セルコントローラまたはフォトカプラから伝送されてきた信号を受信すると、タイマ回路150が動作し、主定電圧電源134に電圧VCCを供給する。この動作により主定電圧電源134は動作状態となり、定電圧発生回路153から定電圧VDDを出力する。
受信端子RXで受信される信号は必ずハイとローのレベル(電位レベル)を有するので、その変化を例えばコンデンサなどからなる微分トリガ回路253で捕らえ、トリガ信号をタイマ回路150に送信する。タイマ回路150は所定期間、例えば十秒の期間、トリガ信号が入力されないと駆動出力を停止し、主定電圧電源134の動作を停止する。タイマ回路150は、例えばプリセット型ダウンカウンタ152で構成し、トリガ信号が入力されるたびにカウント値がセットされる回路で実現できる。図16に示すようにカウントダウンにより所定値(例えばゼロ)となると、信号出力を停止し、定電圧発生回路153に供給されているVCC電圧を遮断する。
一方、図1において上位制御装置であるバッテリコントローラ20の送信端子FFOUTから起動の信号が出力されるとスイッチSW01が導通し、TX信号を伝えるフォトカプラPH1に電源が供給される。その結果、信号が最上位の電池セルコントローラCC3Aの受信端子RXに伝えられ、受信端子RXから起動入力回路147に入力される。起動入力回路147には切換器252が設けられており、信号をフォトカプラPH1から受信するように接続されている電池セルコントローラでは、制御端子CT1に加えられる信号により常に切換器252の下側接点が閉じようになる。このような電池セルコントローラでは入力された信号をコンパレータ250により閾値(VCC+1.5V)と比較する。一方、信号を隣接の電池セルコントローラから受信する電池セルコントローラでは、制御端子CT1に加えられる信号により常に切換器252は上側接点が閉じ、入力された信号をコンパレータ251により閾値(1.5V)と比較する。
起動入力回路147は、その比較結果に基づく[0]/[1]信号を、微分トリガ回路253を介してタイマ回路150および起動出力回路135へ出力する。起動出力回路135は、出力電圧3Vの起動用定電圧電源136に接続されたスイッチ254,255と、それらの開閉を制御する制御回路256とを備えており、起動入力回路147からの信号を振幅3Vの信号に変えて伝送出力回路140の切換器243へ伝える。切換器243は、起動前か起動後かによって切換を行うものであって、起動前には下側接点が閉じている。そのため、起動出力回路135から伝えられた信号は、送信端子TXから次の電池セルコントローラの受信端子RXに送信される。
このように、受信端子RXから信号を受信した電池セルコントローラの立ち上がり動作(起動動作)とは別に、起動出力回路135から次の電池セルコントローラの受信端子RXへ信号が送られるので、電池セルコントローラが立ち上がってから次の電池セルコントローラに信号を送る場合に比べてシステム全体の動作開始が早くなる。
図1や図6〜図13で説明した実施の形態は伝送路の情報伝送方向が電位の高い方から低い方向に限定するものではないが、一例として電位の高い方から低い方向に情報が伝送される回路を記載した。上記図1や図6〜図13に記載の実施例の如く、電位の高い方から低い方向に情報が伝送される方が色々な利点があるが、逆方向であっても上記効果が得られる。以下図17から図20により、電位の低い方から電位の高い方向に情報を伝達する実施の形態を説明する。ただし、基本的な動作は図1や図6〜図13で説明の実施の形態と同じであり、基本動作や共通する作用効果は省略する。また端子RXや端子TXを接続して作られる伝送路と端子FFIや端子FFOを接続して作られる伝送路とで、電池セルコントローラの電位変化と伝双方向との関係に関する動作がほとんど同じであり、代表して端子RXや端子TXを接続して作られる伝送路で説明する。
(伝送回路の他の実施の形態と信号波形の説明)
図17、図18、図19は、伝送出力回路140の駆動電圧と信号伝送先の波高値との関係を説明する図11と図12で説明の実施の形態に関する他の実施の形態である。本実施の形態では、図1や図6、図7、図8と異なり、電位の低い送信端子RXから電位の高い受信端子TXへ情報が伝送される。図17は、送信側の電池セルコントローラCCMの伝送出力回路140と、受信側の電池セルコントローラCCNの伝送入力回路138を示す。なお、伝送出力回路140は、先に説明した図11に示す伝送出力回路140に対応する回路で、図10で説明した伝送出力回路140の一部を省略して示している。また、図18と図19は、伝送される情報の信号波形を示す図である。
図17で、伝送出力回路140は、図11に示すスイッチ244,245の開閉を制御回路246で制御される回路を備えているが、これらの回路を省略した。電池セルコントローラCCMの伝送出力回路140は、図18の18Lで示す波形の信号を送信端子TXから出力する。本実施の形態では、伝送方向上位の電池セルコントローラCCMの端子VCCは、伝送方向下位の電池セルコントローラCCNの端子GND(グランド)に接続されている。そのため、伝送出力回路140は、電池セルコントローラCCMのグランドを基準に電圧(VCC+VDD)の振幅の信号を出力する。
電池セルコントローラCCMの送信端子TXから出力された信号は、伝送方向下位の電池セルコントローラCCNの受信端子RXに入力された後に、伝送入力回路138のコンパレータ232に入力される。コンパレータ232は、グランドレベルが電池セルコントローラCCMのVCCの電位に有り、さらにグランド電位に加えてVDD/2電圧を閾値としているので、電池セルコントローラCCMの出力信号は電圧(VCC+VDD/2)と比較される。この状態を図18の信号18Cで示す。
図11で説明の如く、図17に示す各電池セルコントローラは、隣接する他の電池セルコントローラからの信号を受信するコンパレータ232と、フォトカプラからの信号を受信する比較回路234とをそれぞれ有しており、これらの比較回路のどちらを使用するかは、端子CT1に印加される制御信号に基づいて動作する切換器233により選択される。電池セルコントローラCCNが電池セルコントローラグループCCG1の伝送方向最上位のセルコンローラの場合、すなわち、電池セルコントローラCCMやCCNの受信端子RXがもしフォトカプラPH1からの信号が入力される場合には、切換器233は下側接点が閉じ、コンパレータ234の出力信号が伝送入力信号として使用される。
図17の電池セルコントローラCCNの場合、電池セルコントローラCCNの受信端子RXには隣接電池セルコントローラCCMの出力端子TXが接続されているので、端子CT1の受信する制御信号に基づき、切換器233は上側接点が閉じ、コンパレータ232の出力信号が伝送入力回路138の出力信号として出力される。
図19は、電池セルコントローラが電気絶縁回路であるフォトカプラから信号を受信する場合の動作を示す。電池セルコントローラがフォトカプラから信号を受信する場合は、端子CT1に印加される制御信号に基づいて切換器233はコンパレータ234を選択する。フォトカプラから受信端子RXに入力される信号は、図12を使用して先に説明したとおり、電池セルコントローラのグランドレベルを基準に振幅が電圧VCCで変化する。従ってこの実施の形態では、フォトカプラからの信号を比較するコンパレータ234の閾値は、図11で説明の場合と同様、コンパレータ232の閾値より高い電圧である電圧VCC/2としている。コンパレータ232は入力信号を上記閾値VCC/2と比較し、その結果をデジタル値である[1]、[0]信号を出力する。
なお、図17に示す伝送入力回路138および伝送出力回路140は、以下で説明する端子FFOと端子FFIを使用する伝送路においても同様であり、ここでは説明を省略する。
(電池セルコントローラの他の実施の形態の説明)
図20は、先に図10を使用して説明しました集積回路である各電池セルコントローラの内部構成を説明する他の実施の形態の図で、図17を備えた点が図10に示す構成に対する相違点である。なお、他の電池セルコントローラも同様の構成であるが、ここでは、代表して電池セルコントローラCC3Nを例に説明する。
図10で説明のとおり、リチウム電池セルBC1〜BC6の端子電圧は、端子CV1〜CV6を介してマルチプレクサ120に入力される。マルチプレクサ120は端子CV1〜CV6のいずれかを選択して、差動増幅器262に入力する。差動増幅器262の出力は、アナログデジタル変換器122Aによりデジタル値に変換される。デジタル値に変換された端子間電圧はIC制御回路123に送られ、内部のデータ保持回路125に保持される。これらの電圧は診断などに利用されたり、図1に示すバッテリコントローラ20に送信されたりする。
図10の説明と同様、IC制御回路123は、演算機能を有すると共に、データ保持回路125と、各種電圧の検知や状態診断を周期的に行うタイミング制御回路126と、診断回路130からの診断フラグがセットされる診断フラグ保持回路128とを有している。診断回路130は、IC制御回路123からの計測値に基づいて、各種診断、例えば過充電診断や過放電診断を行う。データ保持回路125は、例えばレジスタ回路で構成されており、検出した各電池セルBC1〜BC6の各端子間電圧を各電池セルBC1〜BC6に対応づけて記憶し、また、その他の検出値を、予め定められたアドレスに読出し可能に保持する。
図10を使用して上述したとおり、各電池セルコントローラには、対応するリチウム電池セルグループを構成する各リチウム電池セルBC1〜BC6の充電量(充電状態とも言う)を調整するためのバランシング用半導体スイッチ(NMOS,PMOS)が設けられている。例えば、端子CV1と端子BR1との間に設けられたPMOSスイッチにより、電池セルBC1の充電量調整を行う。同様に、端子BR2と端子CV3との間には電池セルBC2の充電量調整を行うためのNMOSスイッチが、端子CV3と端子BR3との間には電池セルBC3の充電量調整を行うためのPMOSスイッチが、端子BR4と端子CV5との間には電池セルBC4の充電量調整を行うためのNMOSスイッチが、端子CV5と端子BR5との間には電池セルBC5の充電量調整を行うためのPMOSスイッチが、端子BR6と端子GNDとの間には電池セルBC6の充電量調整を行うためのNMOSスイッチが、それぞれ設けられている。
これらのバランシング用半導体スイッチの開閉は放電制御回路132によって制御される。放電制御回路132には、IC制御回路123から放電させるべき電池セルに対応したバランシング用半導体スイッチを導通させるための指令信号が送られる。IC制御回路123は、図1のバッテリコントローラ20から各電池セルBC1〜BC6に対応した放電時間の指令を通信により受け、上記放電の動作を実行する。
図10を用いて先に説明のとおり、各電池セルコントローラCC3Nは少なくとも2種類の電源電圧VCC,VDD(3V)が使用される。ここで電圧VCCはVDDより高い電圧であり、本実施の形態では電圧VCCは直列接続された電池セルBC1〜BC6で構成される電池セルグループの総電圧であり、電圧VDDは主定電圧電源134および起動出力回路135の起動用定電圧電源136によって作られる電圧である。マルチプレクサ120は高電圧VCCで動作する。一方信号伝送のための伝送入力回路138,142あるいは信号伝送のための伝送出力回路140,143、あるいはアナログデジタル変換器122A、IC制御回路123、診断回路130、信号伝送のための伝送出力回路140,143は低電圧VDD(3V)で動作する。
このように、高低2種類の電源電圧VCC,VDDを使用することで次のような作用効果を奏することができる。
(a)アナログデジタル変換器122A、IC制御回路123、診断回路130、伝送出力回路140,143を低電圧VDDの電源で駆動することにより、これらの回路に要求される耐圧を低くでき、信頼性の向上、コスト低減等を図ることができる。またアナログデジタル変換器122Aに対して高精度の電圧を供給でき、測定精度の向上に繋がる。
(b)電源電圧を下げることで、電池セルコントローラの消費電力を抑えることができ、電池モジュール9A,9Bの電力消費を低減できる。
(c)信号伝送のための伝送入力回路138,142あるいは伝送出力回路140,143を低電圧VDDで駆動することで、伝送先の電池セルコントローラに入力される信号の波高値が低くなり、伝送先の電池セルコントローラの耐圧を低くすることができる。また、伝送先の電池セルコントローラの耐圧を下げない場合であっても、耐圧に関する余裕度が大きくなり信頼性が高くなる。
伝送出力回路140は先に図17を用いて説明の如く動作し、詳細は図20に示す如く、隣接する電池セルコントローラに送信する信号を作るスイッチ回路260と、フォトカプラに送信する信号を作るスイッチ回路244,245とを備えている。これらの信号の選択は、制御端子CT2に加えられ制御信号に基づいて動作する切換器259により行われる。インバータ回路242は信号を反転する回路で、信号値が「ゼロ」を意味する信号でフォトカプラの光ダイオードが駆動されない状態となるようにする機能を持つ。この機能のために、フォトカプラの消費電力を低減できる。とくに車の駐車中は伝送動作が停止するので、信号値が「ゼロ」の状態で光ダイオードの駆動電流が流れない状態となることは電力消費の大きな節約となる。制御回路246はスイッチ回路244,245を駆動する機能を持ち、インバータ回路242の出力に基づきスイッチ回路244,245を動作させる。スイッチ回路260からは図18に示す信号18Lが出力され、スイッチ回路244,245は図19に示す信号18Rが出力される。
切換器243は電池セルコントローラが起動前か起動後かに基づいて切換回路で、起動後は上記スイッチ回路244,245および上記スイッチ回路260の方が選択され、これらからの信号が端子TXから出力される。端子FFOから信号を出力する伝送出力回路143は上記伝送出力回路140と構造や作用が同じであり、説明を省略する。
伝送入力回路138は図17で説明のとおりである。端子FFIからの入力信号に関する伝送入力回路142は上記伝送入力回路138と同様であり、説明を省略する。端子FFIから受信した信号は、異常状態を伝送するために使用される。端子FFIから異常を表す信号を受信すると、その信号は伝送入力回路142およびOR回路288を介して伝送出力回路143に入力され、伝送出力回路143から端子FFOを介して出力される。また診断回路130で異常を検知すると、端子FFIの受信内容に関係なく、診断フラグ保持回路128からOR回路288を介して伝送出力回路143に異常を表す信号が入力され、伝送出力回路143から端子FFOを介して出力される。
図10で説明の如く、端子RXから信号を受信すると信号の受信を起動入力回路147のコンパレータ251で検知し、微分トリガ回路253により、タイマ回路140にトリガ信号を送ると共に、起動出力回路125にもトリガ信号が送られ、起動出力回路135から切換器243を介して端子TXから起動信号が出力される。タイマ回路140が動作し、次に主電源回路134が動作して電池セルコントローラは立ち上がるが、この立ち上がりを待たないで、起動出力回路135から起動信号が次の電池セルコントローラに送られるので、システム全体は短時間に立ち上がることができる。
図20の起動出力回路は、伝送出力回路140,143と同様にフォトカプラへの出力か隣接する集積回路への出力かを選択でき、またフォトカプラの電力消費を少なくするためのインバータ回路242を有している。隣接する集積回路である電池セルコントローラの起き上がり制御のみであれば、必ずしもフォトカプラへの出力回路は必要としないが、起き上がり信号が正しく伝送されたかどうかを上位の制御回路20で確認できるほうが信頼性の向上につながる。このために起動出力回路が上記フォトカプラへの出力回路を有していることは重要である。
上述した各実施形態はそれぞれ単独に、あるいは組み合わせて用いても良い。それぞれの実施形態での効果を単独あるいは相乗して奏することができるからである。また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。