JP2013239430A - 飛行時間型質量分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 一次イオンビームを対象物表面に対し斜め入射させると、一次イオンが対象物表面に到達する際に時間差が発生し、その結果、二次イオンの飛行時間の測定誤差が発生する。
【解決手段】 対象物の保持手段と、一次イオン群を対象物表面に照射するための照射手段と、対象物に対向して配置された引き出し電極と、対象物の表面から放出される二次イオンを飛行時間に基づいて検出するためのイオン検出手段と、を有し、照射手段と保持手段とが、対象物の表面に対して斜めに一次イオン群が入射するように構成されており、一次イオンが対象物の表面に遅い時刻に到達する位置と引き出し電極との電位差が、一次イオン対象物の表面に早い時刻に到達する位置と引き出し電極との電位差よりも大きくなるように、電位勾配を発生させる電位勾配発生器を具備する。
【選択図】 図1

Description

本発明は測定対象物の少なくとも一部をイオン化し、当該イオンの飛行時間を測定することにより質量分析を行う飛行時間型質量分析装置に関する。
病理研究や創薬などの分野における測定対象物表面の物質分布を検出する手法として、近年、「イメージング質量分析」が注目を集めている。イメージング質量分析とは、測定対象物の表面を二次元的に質量分析して、それぞれの質量電荷比に対応する物質の二次元的な検出強度の分布を得ることにより、測定対象物の表面における各物質の分布情報を得る方法をいう。イメージング質量分析によれば、タンパク質などの生体分子や薬剤分子などの同定が可能なうえ、その空間的分布を高い空間分解能で測定することができる。
一般に質量分析とは、レーザー光、イオン、または電子等を照射することによってイオン化した試料を質量電荷比によって分離し、質量電荷比とその検出強度とからなるスペクトルを得る方法である。
測定対象物からイオンを生成する手段としてはレーザーまたはイオン等の荷電粒子ビームが用いられるが、それらを一次ビームと総称する。また一次ビームをイオンビーム(一次イオンビーム)とした場合は、発生したイオンは二次イオンと呼ばれる。一次ビームとしてレーザーを用いる例としては、マトリックスに混ぜて結晶化した試料にパルス化され微細に収束されたレーザー光を照射してイオン化するマトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)や、一次イオンビームを照射して試料をイオン化する二次イオン質量分析法(SIMS)が知られている。
イオン化した試料を質量電荷比によって分離して検出する方法としては、タンパク質等の質量の大きい分子の検出に適した飛行時間型が採用される場合が多い。飛行時間型質量分析装置では、測定対象物の表面でパルス的にイオンを生成し、当該イオンを真空中で電場により加速する。質量電荷比によってイオンの飛行速度は異なるため、測定対象物からイオンが放出されてから検出装置まで一定距離を飛行するのに要する時間を計測することで、当該イオンの質量電荷比を測定することができる。
またイメージング質量分析には走査型と投影型の2つの手法がある。
走査型は、測定対象物上の微小領域(一次ビームのビーム径に依存する)を順次質量分析していき、質量分析の結果と当該微小領域の位置情報から物質の分布を再構成する方法である。
一方、投影型では、測定対象物の比較的広い照射領域を有する一次ビームを照射して広い領域の測定対象物をイオン化し、生成したイオンが当該検出装置に到達した時間と、検出装置の検出面におけるイオンの到達位置とを、位置・時間敏感型の検出器によって検出する。この構成により、検出されたイオンの質量および測定対象物の表面における当該イオンの位置を同時に検出し、測定対象物に含まれる物質の空間分布を測定することができる。
代表的な質量分析装置として、イオンビームを用い基板に対して一様なバイアス電位を印加するもの(特許文献1)が開示されている。イオンを一次ビームとして使用すると、レーザー光を照射する場合に比べてマトリックスを使用する必要がなく、また二次イオンの発生が均一に生じやすいので、画像化の際の分解能を向上させる効果を有する。
従来の飛行時間型質量分析装置では、走査型と投影型ともに、一次イオンビームを測定対象物の表面に対して斜めに入射する配置をとる場合が多い。一次イオンビーム照射系と測定対象物から放出されたイオンを検出する系が干渉することを避けるためである。
一次イオンビームは時間に対してパルス的に測定対象物に照射される。二次イオンをパルス的に生成させることにより、二次イオンの飛行時間を測定するためである。
一次イオンビームがビームの進行方向に対して垂直方向の広がりを持つ場合が多く、測定対象物の表面に対して斜めに入射させると、図1(b)に示すようにイオン源(不図示)から測定対象物2までの距離には測定対象物2の表面上の位置に応じて差が生じる。
その結果、パルス的にイオン源から放出された一次イオンが測定対象物2の表面に到達する時間には位置に応じて差が生じる。
特に、投影型の飛行時間型質量分析装置では、照射領域が広い、すなわち進行方向に対して垂直方向の広がりが無視できない一次イオンビームを用いるため、当該時間差の存在が問題となる。
また一次イオンビームの当該広がりが無視できるほど小さい走査型の場合でも、走査により一次イオンビームの照射位置を移動させると、測定対象物2の表面上の位置に応じてイオン源から測定対象物までの距離に差が生じる。
測定対象物の物質の分布を測定する場合は、一次イオンビームの移動によって表面上のビーム照射位置が変化するため、一次イオンが測定対象物2の表面に到達する時間に位置に応じて差が生じる。
一次イオンが早く到達する場所では二次イオンが測定対象物の表面上で発生する時間は早く、一次イオンが遅く到達する場所では二次イオンが測定対象物の表面上で発生する時間は遅い。その結果、二次イオンの発生について測定対象物の表面上の位置に応じて時間差(以下、発生時間差と呼ぶ)が生じることになる。
当該発生時間差は二次イオンの飛行時間に対する測定誤差の一部となるため、その結果二次イオンの質量測定値には誤差が生じる。例えば、測定対象物の表面上で一次イオンが他の位置に比べて早く到達する位置から発生した二次イオンの飛行時間は見掛けの上では短くなる。よって、質量電荷比[m/z]がより小さく測定される。逆に一次イオンが測定対象物の表面上で遅く到達する位置から発生した二次イオンの飛行時間は見掛けの上では長くなるため、質量電荷比[m/z]がより大きく測定される。
すなわち、測定対象物の表面上の位置に依存して、当該二次イオンの質量測定に誤差が生じるという課題があった。
特許文献1記載の飛行時間型質量分析装置においても、測定対象物に一様にバイアス電圧を印加するものに過ぎず、測定対象物の表面で二次イオンの発生時間差に係る誤差の発生を防ぐことは困難である。
特開2008−282726号公報
すなわち従来の一次イオンビームを測定対象物の表面に対して斜めに入射する飛行時間型質量分析装置では、一次イオンが測定対象物の表面に到達する際に時間差の発生を防ぐことは困難であった。その結果、二次イオンの飛行時間の測定誤差、および質量測定の誤差が生じ、精度良い分析が困難であるという課題があった。
本発明は上記課題に鑑み、二次イオンの飛行時間の測定誤差が小さく、これにより二次イオンの質量測定を精度良く行うことのできる飛行時間型質量分析装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係る飛行時間型質量分析装置は、測定対象物を保持するための保持手段と、一次イオン群を前記測定対象物の表面に照射するための一次イオン照射手段と、前記測定対象物に対向して配置された引き出し電極と、前記測定対象物の表面から放出される二次イオンを飛行時間に基づいて検出するための検出手段と、を有し、前記一次イオン照射手段と前記保持手段とが、測定対象物の表面に対して斜めに一次イオン群が入射するように構成されており、一次イオンが前記表面に遅い時刻に到達する位置と前記引き出し電極との電位差が、一次イオンが前記表面に早い時刻に到達する位置と前記引き出し電極との電位差よりも大きくなるように、電位勾配を発生させる電位勾配発生器を具備することを特徴とする。
また、本発明に係る飛行時間型質量分析方法は、一次イオン群を測定対象物の表面に照射し、前記測定対象物の表面から放出される二次イオンを飛行時間に基づいて検出する飛行時間型質量分析法において、
一次イオンが、前記測定対象物の表面に遅い時刻に到達する位置と早い時刻に到達する位置とが生じるように、前記測定対象物の表面に対して斜めに一次イオン群を入射させ、前記遅い時刻に到達する位置と前記引き出し電極との電位差が、前記早い時刻に到達する位置と前記引き出し電極との電位差よりも大きくなるように、電位勾配を発生させた状態で、二次イオンの検出を行うことを特徴とする。
本発明によれば、一次イオン群を測定対象物の表面に対して斜めに入射させた際の二次イオンの発生時間差に起因する二次イオンの二次イオン検出器への到達時間差を縮小することができる。その結果、二次イオンの飛行時間の測定誤差が小さくなり、二次イオンの質量測定を精度良く行うことが可能になる。
(a)本発明による飛行時間型質量分析装置。(b)一次イオン群が測定対象物に入射する方向と位置。 (a)実施形態1の飛行時間型質量分析装置の見取り図。(b)実施形態1の一次イオン群が測定対象物に入射する条件。(c)電位勾配がないときの実施形態1のイオン軌道シミュレーション。 (a)電位勾配発生時の二次イオン群が測定対象物から放出される条件。(b)電位勾配発生時の実施形態1のイオン軌道シミュレーション。 (a)抵抗器を用いた電位勾配発生器の第一の例。(b)抵抗器を用いた電位勾配発生器の第二の例。(c)測定物保持手段に電流を流す電位勾配発生器。(d)測定対象物に電流を流す電位勾配発生器。 (a)測定対象物に接触した電極対を有する電位勾配発生器。(b)測定対象物に接触しない電極対を有する電位勾配発生器。 (a)実施形態5の電位勾配発生器。(b)開口部方向から見た電位勾配発生器。
本発明に係る飛行時間型質量分析装置の一形態を図1(a)に示す。
飛行時間型質量分析装置は、一次イオンビームとして一次イオン群を測定対象物2に照射するための一次イオン照射手段であるイオン源1と、測定対象物2を保持するための保持手段3と、保持手段3に設置された電位勾配発生器4と、測定対象物2に対向して配置された引き出し電極6と、二次イオンを飛行時間に基づいて検出するための検出手段としての二次イオン検出器7を有する。また図示されないが、真空排気系および信号処理系を有する。
引き出し電極6は、測定対象物の表面と対向するように配置されており、測定対象物から放出された二次イオンを捕集する機能を有する。捕集した二次イオンを二次イオン検出器7に導くことができるように、引き出し電極6は、測定対象物と、二次イオン検出器7との間に配置されている。
一次イオン源1は電子衝突型、表面電離型、または液体金属型イオン源が好適に用いられ得る。パルス幅が数ns程度、あるいはそれより短い高速パルス駆動が可能であることが望ましい。
一次イオンビームの加速エネルギーは通常は数[keV]〜数十[keV]程度であるが、一次イオンビームの収束性や二次イオン発生効率を向上させる観点から数十[keV]以上でも良い。
一方、クラスターイオンを一次イオンとして用いた場合はクラスターイオンを構成する一個の原子または分子あたりの加速エネルギーを8.3[eV]以下にすることが好ましい。例えば(Ar1000では、加速エネルギーを8.3[keV]より低くすると良い。かかる場合、測定対象物の解離を低減した条件で二次イオンが生成することができる、いわゆるソフトイオン化が可能となるため、タンパク質などの高分子の質量を感度良く測定することができる。クラスターイオンを構成する個々の原子または分子の有する運動エネルギーが、測定対象物の有する化学結合エネルギー、例えばC−C(3.6eV)、C−N(2.8eV)、C−H(4.3eV)、C−O(3.4eV)、またはC=O(8.3eV)以下であれば測定対象物の解離が抑制されるからである。
同様に、クラスターイオン一個の原子または分子あたり4.3[eV]であればC−H結合、3.6[eV]であればC−C結合、3.4[eV]であればC−O結合、2.8[eV]であればC−N結合の解離を低減する効果が期待できる。
一方、クラスターイオンの加速エネルギーを、測定対象物の熱エネルギーである0.01[eV]以上にすることが好ましい。
図1(a)および(b)に示すように、一次イオン源1からパルス的に放出された一次イオン群が入射軸Aの方向で測定対象物2に入射する際の角度Φは0度(つまり測定対象物の表面に平行)より大きく90度以下であるが、測定対象物の表面20に対して斜めに入射させれば、一次イオンAと引き出し電極6との衝突を防ぐことができる。
測定対象物2の電位に対して、引き出し電極6に適当な電位Vexを与え、二次イオンBを引き出し電極6の方向へ加速する電場を発生させると、当該電場がない場合に比べて二次イオンの捕集効率を向上させる点で有利である。
測定対象物2から放出された二次イオンは、引き出し電極6で捕集された後、引き出し電極6と二次イオン検出器7の電位差により所定のエネルギーまで加速され、二次イオン検出器7で検出される。
二次イオンが二次イオン光学系8を通過する時間(飛行時間)は、二次イオンの発生時間と二次イオン検出器7での検出時間の差として測定できるため、二次イオンの速度から二次イオンの質量(m/z)を測定することができる。
位置敏感型の検出器を用い、引き出し電極6を含む二次イオン光学系8が、測定対象物2上の二次イオンイメージを二次イオン検出器7上で結像させるいわゆる投影型の構成の場合、一次イオン群が照射された領域の物質分布を一度に測定することができる点で有利である。
一方、一次イオンビームが照射された微小領域の質量分析を行いつつ、微小領域を走査する、いわゆる走査型の構成の場合、微小領域の位置情報と質量分析の結果から測定対象物2の物質分布を測定することができる。
本発明においては、図1(b)に示すように、一次イオン照射手段が前記測定対象物の表面20に斜めから一次イオン群を照射するものであるが故に、同時にイオン源から放出された一次イオン群が到達する時刻が、測定対象物の表面の位置(23と24)によって異なってしまう。このため、一次イオンが測定対象物の表面に遅く到達する位置の測定対象物の表面と引き出し電極との電位差を、早く到達する位置の該電位差よりも大きくすることで、後述するように二次イオンの発生時間差を打ち消すことを特徴としている。
本発明の実施形態では、図1(a)に示すような電位発生勾配器4を設けることでこれを達成しているが、他の実施形態も後述するようにこの構成に限られない。また、図1(b)に示すように、一次イオンビームの入射軸Aを含み測定対象物の表面20に直交する平面11と、測定対象物の表面20との交線12に略平行に電位勾配発生器4が電位勾配Cを生じさせることが好ましい。特に、一次イオン群の入射方向を測定対象物の表面20に向かって垂直に投影した方向、すなわち、交線12の方向と電位勾配Cの方向が同一になるように電位勾配を発生させると良い。電位勾配Cは一般にベクトルで表現することができる。
測定対象物の表面は凹凸形状や傾斜を持っている場合があるが、凹凸の起伏に応じて基準とする平面を適宜設定すれば良い。具体的に例えば、凹凸形状の高低差を平均化させて得られる平面を測定対象物の表面として定義しても良い。測定対象物の表面全体がなめらかな曲面を構成している場合も、これを平均化させて測定対象物の表面を平面として設定して良い。
また、測定対象物としてミクロトーム切片などの所定厚みの薄片の使用を想定し、保持手段の測定対象物を載せる保持面を基準とし、薄片の厚み分を考慮して測定対象物の表面を設定しても良い。
尚、本発明においては、電位勾配Cの方向は交線12に平行な方向成分を含んでいれば良い。すなわち、交線に対して垂直な方向成分のみの電位勾配を除くものである。
特に、電位勾配Cの方向が交線に略平行であると良い。
電位勾配発生器4は、測定対象物の表面近傍に電位勾配を発生できる手段であれば良く、電源などの電圧印加手段およびこれに接続する抵抗体、あるいは電極対を有すると良い。また、保持手段3の表面に形成された抵抗膜でも良い。
電位勾配発生器4は、保持手段3とは別体として設けられた抵抗体又は前記保持手段と一体的に設けられた抵抗体の少なくともいずれか一方を有する、あるいは測定対象物3に電流を流す電極を有すると良い。また、測定対象物保持手段3に設置された抵抗器41(図4(a)および(b))、又は測定対象物保持手段3自体(図4(c))に電流を流した時に生じる電圧降下を利用したものでも良い。
測定対象物保持手段3の一部または全体が抵抗体で構成されているときは、測定対象物保持手段3に電流を流すことで、電位勾配発生器4と測定対象物保持手段3を兼ねることができる点で有利である。
また、電位勾配を発生させる電極を測定対象物保持手段3に設置するもの(図5(a)および(b)、図6(a)および(b)、)や、測定対象物2に電流を流しても良い(図4(d))。
図1(b)を用いて、本発明の電位勾配発生器の作用について説明する。
電位勾配Cは交線12に平行な方向成分を含むため、一次イオンが測定対象物の表面20に早く到達する第一の点24の電位Vfと、一次イオンが遅く到達する第二の点23の電位Vsが異なる(以降、測定対象物保持手段3の電位Vhを基準とする)。
引き出し電極6の電圧VexからVfを引いた電位差Vex−Vfが前記第一の点24から放出された二次イオンに対する引き出し電圧となる。同様に前記第一の点23に対して電位差Vex−Vsが引き出し電圧となる。
以降、説明を簡単にするために、測定対象物2から放出される正の二次イオンに着目すると、Vex−VfとVex−Vs双方またはいずれかが負の電圧であれば、二次イオンは引き出し電極6の方向へ引き出される。
同じ質量電荷比を持つ二次イオンが異なる引き出し電圧により加速されると、当該二次イオンの飛行速度も異なる。
ここでVex−VsとVex−Vfが負の電圧であって、式(1)の関係を満たせば、前記第一の点24から放出された二次イオンよりも、前記第二の点23から放出された二次イオンの方が引き出し電極に向かってより早く加速される。
Figure 2013239430
Figure 2013239430
Figure 2013239430
式(2)のv23は前記第二の点23から放出された二次イオンの引き出し電極6通過時の速度、式(3)のv24は前記第一の点24から放出された二次イオンの引き出し電極6通過時の速度を示す。尚、eは電気素量、mは二次イオンの質量である。
引き出し電極6通過時の速度差が存在すれば、二次イオンが二次イオン検出器7で検出されるまでの飛行時間tも異なってくる。
したがって、式(1)の関係が満たされれば、二次イオンが前記第二の点23から放出されてから二次イオン検出器7に到達する時間t23と、二次イオンが前記第一の点24から放出されてから二次イオン検出器7に到達する時間t24との到達時間差を縮小させることができる。二次イオンの飛行時間差で、二次イオンの発生時間差を打ち消すことができるからである。
その結果、電位勾配Cがない場合(特許文献1)に比べると、同じ質量電荷比を有する二次イオンが二次イオン検出器7への到達時間差が小さくなり、質量分析の精度が向上する。
ここで、VfとVsの差は、二次イオンが引き出し電極6に向かって引き出される方向に対して、Vexについて式(4)の関係を満たす必要がある。二次イオンが引き出し電極6に向かって充分引き出されなくなることを防ぐためである。
Figure 2013239430
一方、電位差だけでなく、電場についても考慮すると、前記第一の点24と前記第二の点23との距離Lfsにより、双方の点を結ぶ方向の電位勾配C(電場と同じ次元)は式5のように表わされる。
Figure 2013239430
他方、引き出し電極6と測定物2との距離をLexとすると、二次イオンが引き出し電極6と測定対象物との間に生じる引き出し電場Eexは近似的に式6のように表わされる。
Figure 2013239430
ここで式7に示されるように、電位勾配Cよりも引き出し電場Eexが二次イオンに強く作用するようにVexやC等を設定しても良く、この場合は、二次イオンは引き出し電極6に向かって引き出す効率が良いという効果を有する。
Figure 2013239430
さらに、二次イオンが測定対象物2から放出される時に0.01〜100[eV]程度の運動エネルギー(初期エネルギー)を有することが多い。そこで、初期エネルギーにおける交線12に平行な成分をKEとすると、前記第一の点24の電位Vfと前記第二の点23の電位Vsとの電位差が式(8)を満たせば、双方の点から放出された二次イオンのエネルギー差よりも、初期エネルギーで代表される二次イオンのエネルギーの広がりが小さくなる。その結果、二次イオンの飛行経路への初期エネルギーの影響が小さくなり、前述した二次イオンの発生時間差を打ち消す効果をより期待できる。
Figure 2013239430
以下に、本発明の実施形態を詳細に述べる。
(実施形態1)
実施形態1の飛行時間型質量分析装置を図1から図4に基づき説明する。
測定が開始されると、一次イオン源1からパルス的に一次イオンビームが放出され、測定対象物2に入射する。尚、パルス幅は本実施形態では無視できる程度に短い。
イオン光学シミュレーションに基づく一次イオン群の軌道の斜視図を図2(a)に示す。一次イオンは加速エネルギー4[keV]のビスマスの3量体の一価イオン(Bi3)+であり、25度の角度で図2(b)の紙面に平行に測定対象物の表面20に入射する。
一次イオン群の入射角度はスパッタ率の低下による測定感度の減少を避けるために、測定対象物の表面20に対して2度以上、好ましくは3度以上であると良い。入射角度をおよそ10度から50度にすると、スパッタ率が上昇し、感度増大が期待できる点で有利である。すなわち、一次イオン群の入射角度を測定対象物の表面20に対して2度以上、30度以下、好ましくは10度以上、50度以下にすると検出感度を向上させる観点で好適な飛行時間型質量分析装置が提供できる。
図2(b)に示すように、一次イオンビームの測定対象物の表面20上の広がりは1[mm]であり、一次イオン群が測定対象物の表面20に到達する時間差は(図中のA1とA2の間で)最大で70[ns]である。
本実施形態では、電位勾配発生器4として抵抗器41が測定対象物保持手段3の引き出し電極61に対向する面に設置されている(図4(a))。
一例として、抵抗器41は単位長さあたり1[MΩ/m]の抵抗を有する。4[mA]の電流を抵抗器41に流すと図3(a)の矢印Dで示されるような電位勾配が発生する。
電流の流れる方向は、図3(a)の紙面に平行な矢印Dの方向であるが、抵抗器41に接続された配線類は省略されている。
測定対象物を保持する保持手段3の電位Vhは0[V]になっており、抵抗器41の一端は測定対象物保持手段3と同電位となっている。
その結果、二次イオンが放出される位置では、−8〜−12[V]までの電位勾配が存在する(図3(a))。つまり図1(b)における前記第一の点24の電位Vfは−8[V]であり、前記第二の点23の電位Vsは−12[V]となる。
尚、本発明の電位勾配発生器4は、一次イオンの入射平面と抵抗器41に流れる電流を平行に設定するよう限定されるものではない。
測定対象物の表面20から放出された二次イオンは引き出し電極6によって加速される。引き出し電極6は3個の電極で構成され、当該3個の電極はいずれも同軸の円形開口部を有するアパーチャー型の静電レンズである。第一の引き出し電極61に−2[kV]、第二の引き出し電極62に−0.4[kV]、第三の引き出し電極63に−1[kV]の電圧を印加している。
測定対象物の表面20と第一の引き出し電極61との距離は50[mm]である。また第一の引き出し電極61と第二の引き出し電極62との距離と、第二の引き出し電極62と第三の引き出し電極63との距離は、双方とも7[mm]である。
本実施形態では、当該3個の電極間に生じる電場により二次イオンの軌道を収束し、二次イオン検出器7の上に投影させているが、引き出し電極の数は3個に限定されるものではない。
尚、当該収束機能がなくとも、電位勾配Cを有することにより、同じ質量電荷比を有する二次イオンが二次イオン検出器7に到達する時間の差が小さくし、質量分析の精度が向上させることは可能である。
二次イオンは第一の引き出し電極61で加速され、第二の引き出し電極62および第三の引き出し電極63の開口部を通過して、300[mm]離れた二次イオン検出器7で検出される。二次イオン検出器7には−1[kV]の電位が印加されている。
二次イオンの信号強度とともに二次イオン検出器7が当該二次イオン検出した時間が信号処理系に伝えられる。尚、二次イオン検出器7は位置・感度敏感型の検出器であっても良く、かかる場合は二次イオンの投影型イメージング質量分析が可能となる。
一次イオンが測定対象物2に入射した時間を基準として、二次イオンが二次イオン検出器7に到達した時間を計測すれば、二次イオンの飛行時間tを測定できる。
本実施形態では、第三の引き出し電極63の電位が二次検出器7の電位Vtofと等しくなるように設定しているため、飛行時間t、および二次イオンの飛行距離Lから、近似的な式(9)および式(10)により二次イオンの質量分析を行うことができる。
Figure 2013239430
Figure 2013239430
図2(c)は本発明の効果と比較するために、抵抗器41に電流を流さない、すなわち電位勾配発生器4が機能しない場合における軌道計算シミュレーションの結果を示したものである。具体的には、一次イオン群が測定対象物の表面20に到達する時間差70[ns]とし、これに起因する質量測定誤差Δmを計算した。
二次イオンの質量電荷比は1000[m/z]であるものとすると、当該二次イオンの飛行時間は軌道計算シミュレーションから前記第一の点24から放出された二次イオンB1では21.33[μs]、前記第二の点23から放出された二次イオンB2では21.40[μs]と求められた。質量測定誤差Δmは式(5)と式(6)から7[m/z]と大きな値になることが判った。
一方、前記のように抵抗器41に4[mA]の電流を流して電位勾配を発生させ(図3(a))、前記と同様の計算を行ったところ(図3(b))、当該二次イオンの飛行時間は21.39〜21.40[μs]となった。ただし図3(a)では抵抗器41の図示は省略されている。
当該二次イオンの飛行時間の変動幅は10[ns]以下、質量測定誤差Δmは1[m/z]以下になったため、抵抗器41に電流を流さない場合に比べて誤差は1/7以下に改善した。
尚、本実施形態では、前記第二の点23から放出された二次イオンが検出器7に到達するまでに飛行する距離の方が、前記第一の点24から放出された二次イオンが検出器7に到達するまでに飛行する距離よりも短いことも、二次イオンの到達時間差を縮小することに寄与している。
ここで、Vexは−2.0[kV]、Vfは−8[V]、Vsは−12[V]であるため、式4の関係は満たされることが判る。
またLexは50[mm]、Lsfは1[mm]であるため、電位勾配Cは−4[V/mm]、引き出し電場Eexは−40[V/mm]となり、式(7)の関係が満たされる。
さらに、測定対象物の表面20から、同表面にほぼ平行に1[eV]程度の運動エネルギーKEで二次イオンが放出されたとすると、式(8)の関係も満たされる。二次イオンの測定対象物の表面20に対する放出角がより垂直に近づいても、同様に式(8)は満たされる。
また、逆に本実施形態では、VfとVsの電位差が−1[V]程度、電位勾配Cが−1[V/mm]程度であっても良いということができる。
同様に二次イオンの運動エネルギーKEが0.01[eV]では電位勾配Cが0.01[V/mm]以上、またKEが0.1[eV]では電位勾配Cが0.1[V/mm]以上であっても良い。
尚、二次イオンの運動エネルギーが高い場合は、Vf、Vs、およびVexが式(4)〜(8)を満たすよう調整しても良い。例えば、KEが10[eV]ならば、Vexは−20[kV]まで増大し、Vfは−80[V]、Vsは−120[V]となるよう抵抗器41に流す電流を調整すればよい。この場合、電位勾配Cは40[V/mm]、Eexは400[V/mm]となり式(8)、(9)の関係を満たす。
(実施形態2)
実施形態2の飛行時間型質量分析装置の構成は、電位勾配発生器4を除き、実施形態1の場合と同様である。
本実施形態の電位勾配発生器は、電流が流れると前記測定対象物の前記表面の方向に電位勾配を発生する抵抗体が配置された保持手段である。すなわち、抵抗器41の代わりに抵抗体で構成された保持手段31に電流を流すことで、電位勾配を発生させる(図4(c))。電流を流す方向は図3(a)の矢印Dと同じである。
測定対象物を保持するための保持手段31の単位長さあたりの抵抗値を本実施形態の抵抗器41と同じ1[MΩ/m]にすれば、4[mA]の電流を流した時に、測定対象物2に対して実施形態1と同様の電位勾配を発生させる。その結果、実施形態1と同様に次イオンの飛行時間の変動幅を縮小することによる本発明の効果を発揮させることができる。
尚、本実施形態では、電位勾配を発生させる保持手段31のサイズを測定対象物2に対して大きくすることができるため、電位勾配の均一性を向上させることができる効果を有する。
(実施形態3)
実施形態3の飛行時間型質量分析装置の構成は、電位勾配発生器4を除き、実施形態1の場合と同様である。本実施形態においては、電位勾配発生器が測定対象物に電流を流す手段である点に特徴がある。すなわち、測定対象物2自体に電位勾配発生電極42を介して電流を流すことで、図4(d)のように測定対象物2自体に電位勾配を発生させている。
測定対象物2に流す電流の方向は図3(a)の矢印Dと同じであり、単位長さあたりの抵抗値と電流値の関係は抵抗器41を用いた場合と同様である。
二次イオンの飛行時間の変動幅を縮小することによる本発明の効果を発揮させることができることも実施形態1と同様である。尚、本実施形態では、測定対象物2自体の抵抗が抵抗器41や保持手段31よりも抵抗が小さくても、容易に電位勾配を発生させることができるという効果を有する。
(実施形態4)
実施形態4の飛行時間型質量分析装置の構成は、電位勾配発生器4を除き、実施形態1の場合と同様である。本実施形態においては、電位勾配発生器が、保持手段に接触して設置され、測定対象物を挟み込むように対向して配置された電極対である点に特徴がある。
図5(a)に示すように、電位勾配発生器として、測定物保持手段3の一次イオン群が照射される面に第一の電位勾配発生電極42と第二の電位勾配発生電極43が設置されている。当該電極は測定対象物2を挟み込むように対向して設置される。また第一の電位勾配発生電極42と第二の電位勾配発生電極43には適当な電位を印加して、対向電極の間に電位勾配を発生させることができる。
本実施形態では、電位勾配発生電極42には0[V]、電位勾配発生電極43には−20[V]の電圧が印加されている。また電位勾配発生電極42と電位勾配発生電極43の間隔は5[mm]である。測定対象物2に対して図3(a)と同様の電位勾配を発生させることができる。
その結果、二次イオンの飛行時間の到達時間差を縮小することによる本発明の効果を発揮させることができることも実施形態1と同様である。
また本実施形態は、測定対象物2の抵抗値が高く、電位勾配発生を発生させるために十分な電流が流せない場合、特に実施形態3が適用できない場合に有効である。さらに、電流による抵抗加熱による抵抗値の変化がないため、電位勾配の安定性が増すという効果を有する。
図5(b)のように、電位勾配発生器が、測定対象物を挟み込むように対向し、保持手段と引き出し電極の間に、且つ少なくとも一方が保持手段とは非接触に設置された電極対とする構成であっても良い。すなわち電位勾配発生電極42と電位勾配発生電極43の少なくとも一方を測定物保持手段3から離して設置しても良い。
(実施形態5)
実施形態5の飛行時間型質量分析装置の構成は、電位勾配発生器4を除き、実施形態1の場合と同様である。
図6(a)に示すように、電位勾配発生器が保持手段に設置され、測定対象物を挟み込むように対向して配置された電極対である点は実施形態4と同様であるが、測定物保持手段3の一次イオン群が照射される面に開口部付き電位勾配発生電極44と第三の電位勾配発生電極45が設置されていることに特徴がある。
一次イオン群は開口部付きの電位勾配発生電極44の開口部(図6(b))を通過して、紙面に平行に測定対象物の表面20に入射する。
実施形態4と同様に、開口部付き電位勾配発生電極44と第三の電位勾配発生電極45には適当な電位を印加して、対向電極の間に電位勾配を発生させることができる。開口部付き電位勾配発生電極44には0[V]、第三の電位勾配発生電極45には−20[V]の電圧が印加されており、両者の間隔は5[mm]である。測定対象物2に対して図3(a)とほぼ同様の電位勾配を発生させることができる。
その結果、二次イオンの飛行時間の到達時間差を縮小することによる本発明の効果を発揮させることができることも実施形態1と同様である。さらに、本実施形態においては、開口部の位置を適当に選ぶことにより、一次イオン群の測定物表面への入射角度を電位勾配発生電極に遮られず、柔軟に設定できる効果を有する。
また、電位勾配発生電極を測定対象物2や引き出し電極に対して相対的に大きくすることができるため、電位勾配を精度良く生成できる効果を有する。
1 一次イオン源
2 測定対象物
3 測定対象物保持手段
4 電位勾配発生器
41 抵抗器
42 第一の電位勾配発生電極
43 第二の電位勾配発生電極
44 開口部を付き電位勾配発生電極
45 第三の電位勾配発生電極
5 電源
6 引き出し電極
61 第一の引き出し電極
62 第二の引き出し電極
63 第三の引き出し電極
7 二次イオン検出器
8 二次イオン光学系
11 一次イオン群入射平面
12 交線
20 測定対象物の表面
23 一次イオンが遅く測定対象物に到達する第二の点
24 一次イオンが早く測定対象物に到達する第一の点
A 一次イオンビーム
A1 早く測定対象物に到達する一次イオン
A2 遅く測定対象物に到達する一次イオン
B 二次イオン
B1 一次イオンが早く測定対象物に到達する点から放出された二次イオン
B2 一次イオンが遅く測定対象物に到達する点から放出された二次イオン
31 電流を流すことができる測定対象物保持手段

Claims (12)

  1. 測定対象物を保持するための保持手段と、
    一次イオン群を前記測定対象物の表面に照射するための一次イオン照射手段と、
    前記測定対象物に対向して配置された引き出し電極と、
    前記測定対象物の表面から放出される二次イオンを飛行時間に基づいて検出するための検出手段と、を有し、
    前記一次イオン照射手段と前記保持手段とが、測定対象物の表面に対して斜めに一次イオン群が入射するように構成されており、一次イオンが前記表面に遅い時刻に到達する位置と前記引き出し電極との電位差が、一次イオンが前記表面に早い時刻に到達する位置と前記引き出し電極との電位差よりも大きくなるように、電位勾配を発生させる電位勾配発生器を具備することを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  2. 前記電位勾配発生器は、前記一次イオンの入射軸を含み、かつ前記測定対象物の表面に直交する平面が、前記測定対象物の表面と交わる交線に平行な成分を有する電位勾配を発生させる請求項1に記載の飛行時間型質量分析装置。
  3. 前記電位勾配発生器が、前記交線と略平行な電位勾配を発生させる請求項2に記載の飛行時間型質量分析装置。
  4. 前記電位勾配発生器が、前記保持手段とは別体として設けられた抵抗体又は前記保持手段と一体的に設けられた抵抗体の少なくともいずれか一方を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の飛行時間型質量分析装置。
  5. 前記電位勾配発生器が、前記測定対象物に電流を流す電極を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の飛行時間型質量分析装置。
  6. 前記電位勾配発生器が、測定対象物を挟み込むように対向し、前記保持手段と前記引き出し電極の間に、且つ少なくとも一方は前記保持手段とは非接触に設置された電極対を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の飛行時間型質量分析装置。
  7. 前記電位勾配発生器が、前記保持手段に接触して設置され、測定対象物を挟み込むように対向して配置された電極対を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の飛行時間型質量分析装置。
  8. 前記電極対を構成する電極のうち少なくとも一方は開口部を有し、前記一次イオン群は当該開口部を通じて前記測定対象物の表面に入射することを特徴とする請求項6又は7に記載の飛行時間型質量分析装置。
  9. 前記電位勾配発生器が発生する電位勾配の強度は、0.01[V/mm]以上であって、前記測定対象物と前記引き出し電極との間に生じる電位勾配の強度以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の飛行時間型質量分析装置。
  10. 前記一次イオン群の入射角度が測定対象物の表面に対して2度以上、50度以下となるように、前記一次イオン照射手段と前記保持手段とが配置されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の飛行時間型分析装置。
  11. 前記一次イオン群はクラスターイオンを含み、当該一次イオン群が測定対象物の表面に入射するエネルギーは、0.01[eV]以上であって、当該クラスターイオンを構成する一個の原子または分子あたりの加速エネルギーが8.3[eV]以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の飛行時間型質量分析装置。
  12. 一次イオン群を測定対象物の表面に照射し、前記測定対象物の表面から放出される二次イオンを飛行時間に基づいて検出する飛行時間型質量分析方法において、
    一次イオンを前記測定対象物の表面に対して斜めに一次イオン群を入射させ、一次イオンが前記表面に遅い時刻に到達する位置と前記引き出し電極との電位差が、一次イオンが前記表面に早い時刻に到達する位置と前記引き出し電極との電位差よりも大きくなるように、電位勾配を発生させた状態で、二次イオンの検出を行うことを特徴とする飛行時間型質量分析方法。
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