JP2013238510A - 溶接金属形状の推定方法、推定装置及び推定プログラム - Google Patents

溶接金属形状の推定方法、推定装置及び推定プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】金属配管等における溶接部の溶接金属の外部からは視認できない内部形状を推定することができるようにする。
【解決手段】評価対象の溶接金属2のうち表面に現れている溶接線2aの方向Dwに対し直交する方向Dpにおいて対向する向きのそれぞれに超音波探触子3を走査して第一の走査及び第二の走査を行うステップ(S1)と、第一の走査によって取得された測定データを超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度に変換すると共に第二の走査によって取得された測定データを超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度に変換し、屈折角θi別に同じ位置における第一の走査のエコー強度の値と第二の走査のエコー強度の値とのうち大きい方を選択して合成後エコー強度とするステップ(S2)と、屈折角θi別の合成後エコー強度の中から同じ位置において値が最も大きいものを選択してボリュームマージ後エコー強度とするステップ(S3)とを有するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶接金属形状の推定方法、推定装置及び推定プログラムに関する。さらに詳述すると、本発明は、金属における溶接部の溶接金属の外部からは視認できない内部形状を推定する技術に関する。
例えば種々の金属配管における溶接部の熱影響部においてクリープ損傷が発生することが多く、また、溶接部を補修することによって二度の熱履歴でクリープ強度が弱くなってしまうために補修が実施されたか否かを見極めることが重要であり、これらの事情などのために金属配管等における溶接部の溶接金属の外部からは視認できない内部形状を測定することが必要とされる。
また、溶接を施工する前の開先形状の設計図があるとしても、施工することで開先が収縮することによって溶接後の開先形状が設計図上の設計の形状と乖離する。このため、実際の溶接金属形状を非破壊で計測することができれば、溶接部を含めた配管等の構造物に関する応力解析の解析精度の向上を図ることが可能になり、また、予寿命解析の信頼性の向上を図ることが可能になる。
溶接部分の大きさを測定する従来の方法として、図12に示すように、一対の板金104A,104Bを溶接により接合した被検体104を挟んで加振用Qスイッチパルスレーザ装置101と表面変位測定装置102とが対向配置され、表面変位測定装置102は溶接部分(105)から外れた直近位置で固定すると共に、加振用Qスイッチパルスレーザ装置101を被検体104の溶接部分(105)に跨って一定間隔で変位させつつパルスレーザ光を被検体104に向けて照射して衝撃波を生成し、表面変位測定装置102で被検体104の溶接部分(105)を透過した衝撃波を検出した際の加振用Qスイッチパルスレーザ装置101の位置を計算機103で算出することによって被検体104に形成された溶融部105の溶接幅を測定するものがある(特許文献1)。
特開2012−21918号
しかしながら、特許文献1の溶接幅測定方法では、被検体104に形成された溶融部105の溶接幅を測定することはできても、溶融部105の内部形状を測定することはできない。このため、特許文献1の溶接幅測定方法は、溶接部の溶接金属に関する例えば検査や解析のために必要な情報を十分に提供することはできないという問題があり、したがって有用性が高いとは言い難い。
そこで、本発明は、金属配管等における溶接部の溶接金属の外部からは視認できない内部形状を推定することができる溶接金属形状の推定方法、推定装置及び推定プログラムを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、請求項1記載の溶接金属形状の推定方法は、評価対象の溶接金属のうち表面に現れている溶接線の方向に対し直交する方向において対向する向きのそれぞれに超音波探触子を走査して第一の走査及び第二の走査を行うステップと、第一の走査によって取得された測定データを超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}(ただし、x,y,z:溶接金属を含む母材内の位置座標、i:屈折角θの大きさの識別子)に変換すると共に第二の走査によって取得された測定データを超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}に変換し、屈折角θi別に同じ位置(x,y,z)における第一の走査のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}の値と第二の走査のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}の値とのうち大きい方を選択して合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}とするステップと、屈折角θi別の合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}の中から同じ位置(x,y,z)において値が最も大きいものを選択してボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)とするステップとを有するようにしている。
また、請求項3記載の溶接金属形状の推定装置は、評価対象の溶接金属のうち表面に現れている溶接線の方向に対し直交する方向において対向する向きのそれぞれに超音波探触子を走査して行った第一の走査及び第二の走査によって取得された対向する向き別の測定データを内部記憶装置若しくは外部記憶装置から読み込む手段と、第一の走査によって取得された測定データを超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}(ただし、x,y,z:溶接金属を含む母材内の位置座標、i:屈折角θの大きさの識別子)に変換すると共に第二の走査によって取得された測定データを超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}に変換し、屈折角θi別に同じ位置(x,y,z)における第一の走査のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}の値と第二の走査のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}の値とのうち大きい方を選択して合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}とする手段と、屈折角θi別の合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}の中から同じ位置(x,y,z)において値が最も大きいものを選択してボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)とする手段とを有するようにしている。
また、請求項5記載の溶接金属形状の推定プログラムは、評価対象の溶接金属のうち表面に現れている溶接線の方向に対し直交する方向において対向する向きのそれぞれに超音波探触子を走査して行った第一の走査及び第二の走査によって取得された対向する向き別の測定データを内部記憶装置若しくは外部記憶装置から読み込む手段、第一の走査によって取得された測定データを超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}(ただし、x,y,z:溶接金属を含む母材内の位置座標、i:屈折角θの大きさの識別子)に変換すると共に第二の走査によって取得された測定データを超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}に変換し、屈折角θi別に同じ位置(x,y,z)における第一の走査のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}の値と第二の走査のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}の値とのうち大きい方を選択して合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}とする手段、屈折角θi別の合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}の中から同じ位置(x,y,z)において値が最も大きいものを選択してボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)とする手段としてコンピュータを機能させるようにしている。
したがって、これらの溶接金属形状の推定方法、推定装置及び推定プログラムによると、従来から用いられている超音波探傷装置を用いて所定の測定を行うことにより、金属配管等における溶接部の溶接金属の外部からは視認できない内部の輪郭が推定される。そして、構造物を破壊すること無く即ち非破壊で溶接部の溶接金属の内部の形状が推定される。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の溶接金属形状の推定方法において、さらに、ボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)における母材の表面からの深さ(z)毎の母材からのエコーの最大強度aを用いて以下の数式1によって境界エコー強度Ebを算出すると共にボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)においてエコー強度が境界エコー強度Ebになるときの走査の方向の座標(x)に基づいて溶接金属の輪郭を推定するステップを有するようにしている。また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の溶接金属形状の推定装置において、さらに、ボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)における母材の表面からの深さ(z)毎の母材からのエコーの最大強度aを用いて以下の数式1によって境界エコー強度Ebを算出すると共にボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)においてエコー強度が境界エコー強度Ebになるときの走査の方向の座標(x)に基づいて溶接金属の輪郭を推定する手段を有するようにしている。また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の溶接金属形状の推定プログラムにおいて、さらに、ボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)における母材の表面からの深さ(z)毎の母材からのエコーの最大強度aを用いて以下の数式1によって境界エコー強度Ebを算出すると共にボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)においてエコー強度が境界エコー強度Ebになるときの走査の方向の座標(x)に基づいて溶接金属の輪郭を推定する手段としてコンピュータを機能させるようにしている。これらの場合には、客観的且つ一律の方法によって溶接部の溶接金属の外部からは視認できない内部の輪郭の推定が行われる。
(数1)Eb=(1+Cb)a
ここに、Eb:境界エコー強度〔a.u.〕,
a :母材エコー最大強度〔a.u.〕,
Cb:境界エコー定数 をそれぞれ表す。
本発明の溶接金属形状の推定方法、推定装置及び推定プログラムによれば、従来から用いられている超音波探傷装置を用いて金属配管等における溶接部の溶接金属の外部からは視認できない内部の輪郭を推定することができ、特別の測定装置を用いることなく且つ非破壊で溶接部の溶接金属の外部からは視認できない内部の形状を推定して例えば検査や解析のために必要な情報を十分に提供することが可能であるので、溶接部の溶接金属の測定技術としての汎用性及び有用性の向上を図ることが可能になる。また、本発明の溶接金属形状の推定方法、推定装置及び推定プログラムによれば、構造物を破壊すること無く即ち非破壊で溶接部の溶接金属の内部の形状を推定することができるので、溶接部の溶接金属の内部形状を推定して溶接部を含めた配管等の構造物に関する例えば応力解析の解析精度の向上を図ることが可能になると共に予寿命解析の信頼性の向上を図ることが可能になる。
請求項2,4,6記載の溶接金属形状の推定方法、推定装置及び推定プログラムによれば、さらに、客観的且つ一律の方法によって溶接部の溶接金属の外部からは視認できない内部の輪郭を推定することができるので、溶接部の溶接金属の測定技術としての汎用性及び有用性に加えて適用容易性と信頼性との向上を図ることが可能になる。
本発明の溶接金属形状の推定方法の実施形態の一例を説明するフローチャートである。 実施形態の溶接金属形状の推定方法を溶接金属形状の推定プログラムを用いて実施する場合の当該プログラムによって実現される溶接金属形状の推定装置の機能ブロック図である。 (A)は母材及び溶接金属の構成を説明する正面断面斜視図である。(B)は母材・溶接金属内における超音波ビームと散乱波とのイメージを示す図である。 リニア走査における超音波探触子の走査経路(移動経路)を説明する図である。(A)は第一のリニア走査を説明する図である。(B)は第二のリニア走査を説明する図である。 ラスター走査における超音波探触子の走査経路(移動経路)を説明する図である。(A)は第一のラスター走査を説明する図である。(B)は第二のラスター走査を説明する図である。 第一の走査のエコー強度と第二の走査のエコー強度との合成を説明する図である。 エコー強度曲線に基づく溶接金属の輪郭(幅)の推定の考え方を説明する図である。 超音波探触子の集束方式を説明する図である。(A)はTrue depth方式を説明する図である。(B)はHalf path方式を説明する図である。(C)はFocal plane方式を説明する図である。 実施例1の試験体の構成を説明する斜視図である。 実施例1の試験体の正面図である。(A)は試験体イの正面図である。(B)は試験体ロの正面図である。(C)は試験体ハの正面図である。 実施例1において得られた測定結果を示す図である。(A)は試験体イの測定結果である。(B)は試験体ロの測定結果である。(C)は試験体ハの測定結果である。 従来の溶接幅測定方法に係る測定装置を説明する側面図(被検体は縦断面図)である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1から図8に、本発明の溶接金属形状の推定方法、推定装置及び推定プログラムの実施形態の一例を示す。
この溶接金属形状の推定方法は、評価対象の溶接金属2のうち表面に現れている(言い換えると、母材1の表面に囲まれて当該母材1の表面と連接し構造物の表面の一部として現れている)溶接線2aの方向Dwに対し直交する方向Dpにおいて対向する向きのそれぞれに超音波探触子3を走査して第一の走査及び第二の走査を行うステップ(S1)と、第一の走査によって取得された測定データを超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}(ただし、x,y,z:溶接金属2を含む母材1内の位置座標、i:屈折角θの大きさの識別子)に変換すると共に第二の走査によって取得された測定データを超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}に変換し、屈折角θi別に同じ位置(x,y,z)における第一の走査のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}の値と第二の走査のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}の値とのうち大きい方を選択して合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}とするステップ(S2)と、屈折角θi別の合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}の中から同じ位置(x,y,z)において値が最も大きいものを選択してボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)とするステップ(S3)とを有する。
また、本実施形態の溶接金属形状の推定方法は、さらに、ボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)における母材1の表面からの深さ(z)毎の母材1からのエコーの最大強度aを用いて以下の数式2によって境界エコー強度Ebを算出すると共にボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)においてエコー強度が境界エコー強度Ebになるときの走査の方向の座標(x)に基づいて母材1に囲まれて表面からでは視認できない部分も含めて溶接金属2の輪郭を推定するステップ(S4)を有する。
次に、溶接金属形状の推定装置は、評価対象の溶接金属2のうち表面に現れている溶接線2aの方向Dwに対し直交する方向Dpにおいて対向する向きのそれぞれに超音波探触子3を走査して行った第一の走査及び第二の走査によって取得された対向する向き別の測定データを内部記憶装置若しくは外部記憶装置から読み込む手段(11a)と、第一の走査によって取得された測定データを超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}(ただし、x,y,z:溶接金属2を含む母材1内の位置座標、i:屈折角θの大きさの識別子)に変換すると共に第二の走査によって取得された測定データを超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}に変換し、屈折角θi別に同じ位置(x,y,z)における第一の走査のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}の値と第二の走査のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}の値とのうち大きい方を選択して合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}とする手段(11b)と、屈折角θi別の合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}の中から同じ位置(x,y,z)において値が最も大きいものを選択してボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)とする手段(11c)とを有する
また、本実施形態の溶接金属形状の推定装置は、さらに、ボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)における母材1の表面からの深さ(z)毎の母材1からのエコーの最大強度aを用いて以下の数式2によって境界エコー強度Ebを算出すると共にボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)においてエコー強度が境界エコー強度Ebになるときの走査の方向の座標(x)に基づいて母材1に囲まれて表面からでは視認できない部分も含めて溶接金属2の輪郭を推定する手段(11d)を有する。
さらに、溶接金属形状の推定プログラムは、評価対象の溶接金属2のうち表面に現れている溶接線2aの方向Dwに対し直交する方向Dpにおいて対向する向きのそれぞれに超音波探触子3を走査して行った第一の走査及び第二の走査によって取得された対向する向き別の測定データを内部記憶装置若しくは外部記憶装置から読み込む手段(11a)、第一の走査によって取得された測定データを超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}(ただし、x,y,z:溶接金属2を含む母材1内の位置座標、i:屈折角θの大きさの識別子)に変換すると共に第二の走査によって取得された測定データを超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}に変換し、屈折角θi別に同じ位置(x,y,z)における第一の走査のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}の値と第二の走査のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}の値とのうち大きい方を選択して合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}とする手段(11b)、屈折角θi別の合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}の中から同じ位置(x,y,z)において値が最も大きいものを選択してボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)とする手段(11c)としてコンピュータを機能させる。
また、本実施形態の溶接金属形状の推定プログラムは、さらに、ボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)における母材1の表面からの深さ(z)毎の母材1からのエコーの最大強度aを用いて以下の数式2によって境界エコー強度Ebを算出すると共にボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)においてエコー強度が境界エコー強度Ebになるときの走査の方向の座標(x)に基づいて母材1に囲まれて表面からでは視認できない部分も含めて溶接金属2の輪郭を推定する手段(11d)としてコンピュータを機能させる。
(数2)Eb=(1+Cb)a
ここに、Eb:境界エコー強度〔a.u.〕,
a :母材エコー最大強度〔a.u.〕,
Cb:境界エコー定数 をそれぞれ表す。
そして、溶接金属形状の推定方法の実行にあたっては、まず、超音波探触子による測定を行う(S1)。
本発明においては、超音波探触子を用いての走査による測定が行われる。この走査に際し、はじめに、探傷条件の設定が行われる(S1−1)。なお、本発明における走査による測定はフェーズドアレイ技術を用いて行われる。ここで、フェーズドアレイ技術は周知の技術であり(例えば、特開2004−109129を参照)、また、フェーズドアレイ技術を用いる点を除いては測定は従来の超音波探傷試験における測定と同様であるので、以下においては、基本的な測定方法の詳細については省略し、本発明に特有の構成に関連する事項のみについて説明する。
探傷条件として、具体的には、超音波探触子の走査ピッチ,測定の屈折角(即ち、超音波ビームの方向の角度)の変化範囲及び変化ピッチ,測定の周波数(即ち、超音波ビームの周波数),超音波ビームの集束方式,アクティブ振動子数,基準感度を設定する。なお、本発明においては、溶接金属2部分における散乱波を検出し得るように探傷条件を設定するようにし、具体的にはフェーズドアレイ超音波探傷装置の探傷条件を設定する。
なお、本発明における上記の各探傷条件の設定内容は、特定の条件に限定されるものではなく、評価対象の溶接金属2を有する構造物や部品などの検査対象物の材質や形状、或いは、同様の検査対象物に対する超音波探傷の実績などを踏まえて適宜設定される。
具体的には例えば、超音波探触子の走査ピッチは0.1〜3〔mm〕程度の範囲から選択することが一例として挙げられる。なお、超音波探触子の走査範囲は、超音波ビームの屈折角の変化範囲も踏まえ、評価対象の溶接金属2全体が測定範囲に含まれるように適宜設定される。
また、超音波探触子の超音波ビームの屈折角の変化範囲については10〜80〔deg(度)〕程度の範囲内で設定することが一例として挙げられ、屈折角の変化ピッチについては1〜3〔deg〕程度の範囲から選択することが一例として挙げられる。
また、超音波探触子の超音波ビームの周波数については1〜20〔MHz〕程度の範囲から選択することが一例として挙げられる。
また、超音波ビームの集束方式については True depth方式(即ち、深さに対応した平面6aで集束させる方式;図8(A)参照),Focal plane方式(即ち、路程の半値に対応した球面6bで集束させる方式;同図(B)参照),Half path方式(即ち、二点によって定められた平面6cで集束させる方式;同図(C)参照) の中から選択することが一例として挙げられる。
また、アクティブ振動子数については、16個或いは32個程度とすることが一例として挙げられる。
さらに、基準感度については、超音波ビームの屈折角=45〔deg〕に対応する母材(即ち、溶接部を有する構造物や部品など、具体的には例えば鋼管)の底面からのエコーを50〔%〕に合わせたときの感度とすることが一例として挙げられる。
なお、上記の探傷条件はあくまでも一例であり、本発明における探傷条件が上記のものに限定されるわけではない。
また、本発明者らの知見によると、母材1の材質が9クロム鋼(9Cr)の場合には、超音波探触子の超音波ビームの周波数を10〔MHz〕に、超音波ビームの集束方式を Focal plane に、アクティブ振動子数を16にそれぞれ設定することによって溶接金属2部分における散乱波を最も明瞭に検出することが可能であり、本発明の探傷条件として好ましい設定であると言える。
また、本実施形態では、測定に用いる超音波探触子の探傷面(即ち、母材1表面)における位置及び溶接金属2を含む母材1内における位置を定義するため、任意の位置を原点Oとし、母材1に存在する評価対象の溶接金属2のうち母材1表面に現れている溶接線2aの方向Dwをy軸とすると共に当該溶接線2aの方向Dwに対して直交する方向Dpをx軸とし且つこれらx軸及びy軸に直交する方向をz軸(即ち、z軸方向は母材1表面からの深さ方向)とするxyz座標系を設定する。
続いて、S1−1の処理において設定された探傷条件によって走査が行われる(S1−2)。
本発明においては、母材1に存在する溶接金属2のうち母材1表面に現れている溶接線2aの方向Dwに対して直交する方向Dpに超音波探触子を操作して走査が行われる。また、本発明では、溶接線2aの方向Dwに対し直交する方向Dpにおいて対向する向きのそれぞれについて、且つ、これら対向する向きそれぞれの走査において溶接線2aを跨いで走査が行われる。
本発明における走査としては、リニア走査或いはラスター走査が行われる。そして、前述の通り、溶接線2aの方向Dwに対し直交する方向Dpにおいて溶接線2aを挟んで両側から対向する向きのそれぞれについて溶接線2aを跨いで超音波探触子による走査が行われる。
リニア走査が行われる場合には、図4に示すように、母材1の表面と連接し構造物の表面の一部として現れている溶接線2aの方向Dwに対し直交する方向Dpにおいて、当該方向Dpに沿う一方の向きDp1で走査が行われる(同図(A);以下、第一のリニア走査と呼ぶ)と共に、第一のリニア走査の始点側と溶接線2aを挟んで反対側を始点として、前記一方の向きDp1と対向して前記方向Dpに沿う他方の向きDp2で走査が行われる(同図(B);以下、第二のリニア走査と呼ぶ)。このとき、第一のリニア走査の走査位置のy軸座標Loと第二のリニア走査の走査位置のy軸座標Lo'とを一致させて各走査が行われる。
一方、ラスター走査が行われる場合には、図5に示すように、母材1の表面と連接し構造物の表面の一部として現れている溶接線2aの方向Dwに対し直交する方向Dpに関し、当該方向Dpに沿う一方の向きDp1で始めて折り返し毎に必ず溶接線2aを跨いで走査が行われる(同図(A);以下、第一のラスター走査と呼ぶ)と共に、第一のラスター走査の始点側と溶接線2aを挟んで反対側を始点として、前記一方の向きDp1と対向して前記方向Dpに沿う他方の向きDp2で始めて折り返し毎に必ず溶接線2aを跨いで走査が行われる(同図(B);以下、第二のラスター走査と呼ぶ)。このとき、第一のラスター走査における第一往路位置のy軸座標Ro1,第一復路位置のy軸座標Rh1,第二往路位置のy軸座標Ro2,第二復路位置のy軸座標Rh2と第二のラスター走査における第一往路位置のy軸座標Ro1',第一復路位置のy軸座標Rh1',第二往路位置のy軸座標Ro2',第二復路位置のy軸座標Rh2'とをそれぞれ一致させて各走査が行われる。
なお、図5に示す例では、ラスター走査として超音波探触子が二往復して走査が行われるようにしているが、ラスター走査における超音波探触子の往復の回数は二回に限られるものではなく、溶接金属2の形状推定の対象範囲などに合わせて適宜調整される。
なお、ここでの説明では、リニア走査とラスター走査とを区別する必要が無い場合やリニア走査とラスター走査とのどちらをも指す場合には単に走査や第一及び第二の走査と表記する。
超音波探触子3を用いての走査によって得られる測定データは、具体的には(図6参照)、超音波探触子3の位置座標(xt,yt)における超音波ビーム4の屈折角θ別の測定データD(xt,yt,θi)(ここに、t:位置座標の識別子,i:屈折角の大きさの識別子(i=1,2,3,…))である。なお、第一の走査による測定データと第二の走査による測定データとを区別するときは、第一の走査による測定データをD1(xt1,yt1,θi)と表記すると共に第二の走査による測定データをD2(xt2,yt2,θi)と表記する。
次に、S1の処理によって得られた、超音波探触子の走査による走査向き別の測定データの合成を行う(S2)。
ここで、本発明の溶接金属形状の推定方法におけるS2からS4までの処理は本発明の溶接金属形状の推定装置によって実現され得る。
そして、溶接金属形状の推定方法におけるS2からS4までの処理及び当該処理を実現する溶接金属形状の推定装置は、本発明の溶接金属形状の推定プログラムをコンピュータ上で実行することによっても実現され得る。本明細書では、溶接金属形状の推定プログラムをコンピュータ上で実行することによって溶接金属形状の推定装置が実現されると共に溶接金属形状の推定方法におけるS2からS4までの処理が実施される場合を説明する。
溶接金属形状の推定プログラム17を実行するためのコンピュータ10(本実施形態では、溶接金属形状の推定装置10でもある)の全体構成を図2に示す。このコンピュータ10(溶接金属形状の推定装置10)は、制御部11、記憶部12、入力部13、表示部14及びメモリ15を備え相互にバス等の信号回線によって接続されている。また、コンピュータ10には記憶装置としてのデータサーバ16がバス等の信号回線によって接続されており、その信号回線を介してデータや制御指令等の信号の送受信(即ち出入力)が相互に行われる。
制御部11は記憶部12に記憶されている溶接金属形状の推定プログラム17によってコンピュータ10全体の制御並びに溶接金属形状の推定処理に係る演算を行うものであり、例えばCPU(中央演算処理装置)である。
記憶部12は少なくともデータやプログラムを記憶可能な装置であり、例えばハードディスクである。
メモリ15は制御部11が種々の制御や演算を実行する際の作業領域であるメモリ空間となるものであり、例えばRAM(Random Access Memory の略)である。
入力部13は少なくとも作業者の命令を制御部11に与えるためのインターフェイスであり、例えばキーボードである。
表示部14は制御部11の制御によって文字や図形等の描画・表示を行うものであり、例えばディスプレイである。
そして、本実施形態では、上述の超音波探触子による測定(S1)の処理において測定され取得された評価対象の溶接金属2を含む母材1に関する第一の走査及び第二の走査による測定データ(具体的には、超音波探触子3の位置座標(xt,yt)における、超音波ビーム4の屈折角θ別であって走査における対向する向き別の測定データD1(xt1,yt1,θi)とD2(xt2,yt2,θi)との組み合わせデータ)が測定値データベース18としてデータサーバ16に予め格納(保存)される。なお、評価対象の溶接金属が複数ある場合には、評価対象毎の識別子と対応づけられて第一の走査及び第二の走査によって取得された走査における対向する向き別の測定データD1,D2が記録される。
なお、本発明において走査によって得られた測定データが蓄積されるデータベースやデータファイルが格納(保存)されるのは、コンピュータ10(溶接金属形状の推定装置10)の制御部11がアクセス可能な記憶装置であれば良く、データサーバ16に限られるものではない。具体的には例えば、内部記憶装置である記憶部12に格納されるようにしても良いし、光記憶媒体等の各種記憶媒体や外部記憶装置に格納されるようにしても良い。
そして、コンピュータ10(本実施形態では、溶接金属形状の推定装置10でもある)の制御部11には、溶接金属形状の推定プログラム17を実行することにより、評価対象の溶接金属2のうち表面に現れている溶接線2aの方向Dwに対し直交する方向Dpにおいて対向する向きのそれぞれに超音波探触子3を走査して行った第一の走査及び第二の走査によって取得された対向する向き別の測定データを記憶装置としてのデータサーバ16から読み込む手段としてのデータ読込部11a、第一の走査によって取得された測定データを超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}(ただし、x,y,z:溶接金属を含む母材内の位置座標、i:屈折角θの大きさの識別子)に変換すると共に第二の走査によって取得された測定データを超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}に変換し、屈折角θi別に同じ位置(x,y,z)における第一の走査のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}の値と第二の走査のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}の値とのうち大きい方を選択して合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}とする手段としての測定データ合成部11b、屈折角θi別の合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}の中から同じ位置(x,y,z)において値が最も大きいものを選択してボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)とする手段としてのボリュームマージ部11cが構成される。
また、本実施形態では、コンピュータ10(溶接金属形状の推定装置10)の制御部11には、溶接金属形状の推定プログラム17を実行することにより、さらに、ボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)における母材1の表面からの深さ(z)毎の母材1からのエコーの最大強度aを用いて以下の数式2によって境界エコー強度Ebを算出すると共にボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)においてエコー強度が境界エコー強度Ebになるときの走査の方向の座標(x)に基づいて母材1に囲まれて表面からでは視認できない部分も含めて溶接金属2の輪郭を推定する手段としての溶接金属形状推定部11dが構成される。
そして、溶接金属形状の推定プログラム17が実行されてコンピュータ10(溶接金属形状の推定装置10)の制御部11に構成されたデータ読込部11aは、評価対象の溶接金属2を含む母材1に関する走査向き別の測定データの読み込みを行う。
具体的には、データ読込部11aは、S1の処理において測定され取得されてデータサーバ16に格納されている測定値データベース18に記録されている、評価対象の溶接金属2を含む母材1に関する第一の走査及び第二の走査による測定データであってこれら走査における対向する向き別の測定データD1(xt1,yt1,θi)とD2(xt2,yt2,θi)との組み合わせデータをデータサーバ16から読み込む。そして、データ読込部11aは、読み込んだ走査向き別の測定データD1(xt1,yt1,θi)とD2(xt2,yt2,θi)との組み合わせデータをメモリ15に記憶させる。なお、評価対象が複数ある場合には、評価対象毎の識別子を含めて読み込むと共に当該識別子と対応づけて測定データD1,D2をメモリ15に記憶させる。
続いて、測定データ合成部11bは、走査における対向する向き別の測定データの合成を行う。
具体的には、測定データ合成部11bは、データ読込部11aによってメモリ15に記憶された走査における対向する向き別の測定データD1(xt1,yt1,θi),D2(xt2,yt2,θi)をメモリ15から読み込み、これら測定データD1,D2を走査における超音波ビームの屈折角θi毎に合成する。
ここで、S1の処理における測定は送受信の方向性があるために溶接線2aの片側のみからの走査による測定データを利用して溶接金属形状の全体(即ち、溶接金属2のx軸方向の両側の境界)を観測することは困難である。このため、対向する向き別である第一の走査の測定データと第二の走査の測定データとを一つに合成することによって溶接金属2のx軸方向の両側の境界を観測することが可能になるようにする。このような、走査における対向する向き別の測定データを一つに合成することを本発明では測定データの合成という。
測定データの合成の処理は、具体的には、第一の走査によって取得された測定データD1(xt1,yt1,θi)を超音波ビームの屈折角θi毎に溶接金属2を含む母材1内における位置(x,y,z)でのエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}に変換すると共に、第二の走査によって取得された測定データD2(xt2,yt2,θi)を超音波ビームの屈折角θi毎に溶接金属2を含む母材1内における位置(x,y,z)でのエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}に変換する。なお、走査における超音波ビームの経路は、測定時の超音波探触子3の位置座標(xt,yt)と超音波ビーム4の屈折角θとの組み合わせに基づいて幾何学的な関係によって母材1内における位置(x,y,z)に変換される。
そして、第1の走査によって取得された測定データに基づく超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}と第2の走査によって取得された測定データに基づく超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}とを用いて数式3によって合成の処理を行う。
(数3){Ec(x,y,z)|θi}
=Max[{Ec1(x,y,z)|θi},{Ec2(x,y,z)|θi}]
ここに、Ec:合成後のエコー強度,
c1:第一の走査によって取得された測定データに基づくエコー強度,
c2:第二の走査によって取得された測定データに基づくエコー強度,
x,y,z:溶接金属を含む母材内の位置座標,
θ :超音波探触子の測定における超音波ビームの屈折角,
i :超音波ビームの屈折角の大きさの識別子 をそれぞれ表す。
すなわち、図6に示すように第1の走査の超音波ビーム4(屈折角θi)と第2の走査の超音波ビーム4(屈折角θi)とが交差する点7においては第一の走査によるエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}と第二の走査によるエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}とがあり、屈折角θi別に、同じ位置(x,y,z)における第一の走査のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}の値と第二の走査のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}の値とのうち値が大きい方を選択する。なお、図6においては溶接金属2の図示を省略している。
そして、測定データ合成部11bは、合成後の、測定における超音波ビームの屈折角θi別のエコー強度{Ec(x,y,z)|θi}の値をメモリ15に記憶させる。
なお、リニア走査が行われた場合には、超音波探触子3の位置座標(xt,yt)としてのy座標(yt)は単一であり、そして、溶接金属2を含む母材1内の位置座標(x,y,z)としてのy座標(y)も単一である。したがって、上述の合成の処理を行うことにより、或る特定のy座標(y)における、超音波ビームの屈折角θi別のエコー強度{Ec(x,y,z)|θi}が生成される。
一方で、ラスター走査が行われた場合には、超音波探触子3の位置座標(xt,yt)としてのy座標(yt)は複数あり、そして、溶接金属2を含む母材1内の位置座標(x,y,z)としてのy座標(y)も複数ある。そして、ラスター走査が行われて複数のy座標(y)についての第一・第二のエコー強度Ec1・Ec2が得られている場合に、これら複数のy座標(y)についてのエコー強度Ec1・Ec2を一つに合成する(すなわち、y座標(y)が同一であるか否かにかかわらずx座標(x)とz座標(z)とが同一である第一・第二のエコー強度Ec1・Ec2の値の中で最も大きいものを選択する)ようにしても良いし(この場合には、超音波探触子3の位置座標のy座標(yt)の範囲におけるy方向に亘る平均的な超音波ビームの屈折角θi別のエコー強度{Ec(x,y,z)|θi}が生成されることになり、前記範囲における平均的な溶接金属2の形状を推定することになる)、これら複数のy座標(y)別にエコー強度Ec1・Ec2を合成するようにしても良い(この場合には、複数のy座標(y)毎に超音波ビームの屈折角θi別のエコー強度{Ec(x,y,z)|θi}が生成されることになり、複数のy座標(y)毎に溶接金属2の形状を推定することになる)。
次に、ボリュームマージ部11cは、S2の処理において合成して得られたエコー強度に対してボリュームマージを行う(S3)。
具体的には、ボリュームマージ部11cは、S2の処理においてメモリ15に記憶された合成後のエコー強度{Ec(x,y,z)|θi}の値をメモリ15から読み込み、当該データを用いてボリュームマージを行う。
ここで、特定の屈折角(即ち、超音波ビームの方向の角度)に対応するエコー強度のみでは溶接金属2の母材1表面からの深さ方向(即ち、z軸方向)に亘る形状全体を観測することは困難である。このため、異なる屈折角に対応するエコー強度を一つに合成することによって溶接金属2の母材1表面からの深さ方向に亘る形状を観測することが可能になるようにする。このような、測定における超音波ビームの屈折角毎のエコー強度を一つに合成することを本発明ではボリュームマージという。
エコー強度のボリュームマージの処理は、具体的には、S2の処理によって得られた超音波ビームの屈折角θi別のエコー強度{Ec(x,y,z)|θi}を用いて数式4によって行う。
(数4)Em(x,y,z)=Max[{Ec(x,y,z)|θi,(i=1,2,3,…)}]
ここに、Em:ボリュームマージ後のエコー強度,
Ec:合成後のエコー強度,
x,y,z:溶接金属を含む母材内の位置座標,
θ :超音波探触子の測定における超音波ビームの屈折角,
i :超音波ビームの屈折角の大きさの識別子 をそれぞれ表す。
すなわち、位置(x,y,z)における超音波ビームの屈折角θi毎の合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi(i=1,2,3,…)}の中から値が最も大きいものを選択する。
ここで、溶接金属2内の反射波がボリュームマージした結果に影響を及ぼすことがないように、ボリュームマージにおける超音波ビームの屈折角θの範囲を設定しておくことが好ましい。このボリュームマージにおける屈折角θの範囲は30〜50〔deg〕程度に設定することが一例として挙げられる。
そして、ボリュームマージ部11cは、ボリュームマージ後のエコー強度Em(x,y,z)の値をメモリ15に記憶させる。
ボリュームマージ部11cは、また、以上のS3までの処理によって得られたボリュームマージ後のエコー強度Em(x,y,z)の値を用いて或るy座標(y)における(或いは複数のy座標(y)毎の、また或いはy方向に亘る平均的な)溶接金属2の形状を表示部14に表示したり、ボリュームマージ後のエコー強度Em(x,y,z)の値を推定結果ファイルに記録して例えば記憶部12やデータサーバ16に保存したりする。なお、溶接金属2の形状の表示としては、例えば、エコー強度Em(x,y,z)の値の大きさによって規定された白黒濃淡の縦断面画像を表示したり、前記値の大きさによって規定された色でのカラーの縦断面画像を表示したりすることが考えられる。
次に、溶接金属形状推定部11dは、S3の処理において得られたボリュームマージ後のエコー強度に基づいて溶接金属形状の推定を行う(S4)。
本実施形態では、S3の処理の結果、図7に示す走査方向の座標(x)におけるエコー強度(母材1表面からの或る深さ(z)での走査方向の座標(x)におけるエコー強度を表す曲線)が得られた場合を例に挙げて説明する。
本発明では、走査方向の座標(x)におけるエコー強度を利用して、具体的には、母材1表面からの深さ(z)毎の(また、複数のy座標がある場合にはy座標別に)、母材1と溶接金属2とに亘る走査方向の座標(x)におけるエコー強度を利用して、深さzにおける母材1と溶接金属2のx軸方向両側との境界を決定する。これによって当該深さzにおける溶接金属2の輪郭(幅)を推定することができる。また、深さz毎の境界をz軸方向に連結することによって溶接線2aの方向Dwに対し直交する縦断面における溶接金属2の輪郭を推定する。
具体的にはまず、母材1からのエコーの最大強度を特定する(S4−1)。すなわち、溶接金属形状推定部11dは、S3の処理においてメモリ15に記憶されたボリュームマージ後のエコー強度Em(x,y,z)の値をメモリ15から読み込み、このエコー強度Em(x,y,z)における、母材1表面からの深さz毎の、母材1からのエコーの最大強度(以下、母材エコー最大強度aという)を特定する。
本実施形態では、母材エコー最大強度aの値の特定を以下の手順で行う。なお、以下の処理は、母材1表面からの深さz(即ち、z座標)別に、また、複数のy座標がある場合にはy座標別に行う。
まず、走査方向(即ち、x軸方向)におけるボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)の平均値AEm(y,z)を計算する。
続いて、ボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)の値とボリュームマージ後エコー強度平均値AEm(y,z)の値とを、ボリュームマージ後エコー強度Emについてx座標毎に比較し、ボリュームマージ後エコー強度Em(x座標毎)をボリュームマージ後エコー強度平均値AEm(y,z)よりも大きいグループとボリュームマージ後エコー強度平均値AEm(y,z)以下のグループとに分ける。
続いて、ボリュームマージ後エコー強度平均値AEm(y,z)以下のグループの中で最も大きいボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)を母材エコー最大強度a(y,z)とする。そして、溶接金属形状推定部11dは、特定した母材エコー最大強度a(y,z)の値をメモリ15に記憶させる。
なお、母材エコー最大強度aの特定の方法は、上述の手順に限られるものではなく、母材1からのエコーと溶接金属2からのエコーとを区分して、或いは区分し得るとした上で、母材1からのエコーの中での最大値を特定するものであれば良い。
次に、溶接金属境界からのエコー強度を算出する(S4−2)。なお、以下の処理は、z座標別に、また、複数のy座標がある場合にはy座標別に行う。
具体的には、母材1と溶接金属2との境界からのエコー強度Eb(y,z)(以下、境界エコー強度Eb(y,z)という)は数式5によって算出される。
(数5)Eb(y,z)=(1+Cb)×a(y,z)
ここに、Eb:境界エコー強度〔a.u.〕,
a :母材エコー最大強度〔a.u.〕,
Cb:境界エコー定数,
y,z:溶接金属を含む母材内の位置座標 をそれぞれ表す。
境界エコー定数Cbの値は、具体的には例えば0.05〜0.5程度の範囲で適宜設定される。なお、母材1の材質が9クロム鋼(9Cr)である場合には境界エコー定数Cb=0.2とすると溶接金属2の輪郭(幅)の推定精度が非常に良好であることが本発明者らの検証によって確認されている。
また、境界エコー定数Cbの値は、例えば同じ材質など実際の検査対象物と条件を同じにして若しくは近づけて作成した検証用試験体を用いてS1からS4−1までの処理を行い、この検証用試験体における溶接金属の輪郭を最も精度良く推定し得る定数Cbの値を予め求めておくようにしても良い。
本実施形態では、数式5及び境界エコー定数Cbの値は溶接金属形状の推定プログラム17に予め規定される。なお、境界エコー定数Cbの値は、S4−2の処理を行う際に入力部13を介して作業者によって入力されるようにしても良い。
そして、本実施形態では、溶接金属形状推定部11dは、S4−1の処理においてメモリ15に記憶された母材エコー最大強度a(y,z)の値をメモリ15から読み込み、数式5によって境界エコー強度Eb(y,z)を算出する。さらに、溶接金属形状推定部11dは、算出した境界エコー強度Eb(y,z)の値をメモリ15に記憶させる。
次に、S3の処理の結果得られたボリュームマージ後のエコー強度Emにおいてエコー強度の値がS4−2の処理の結果得られた境界エコー強度Ebであるときの走査方向(即ち、x軸方向)の座標xp,xq〔mm〕を特定する(S4−3)。なお、以下の処理は、z座標別に、また、複数のy座標がある場合にはy座標別に行う。
ここで、例えば高クロム鋼の溶接金属の場合のように溶接金属の結晶粒は母材よりも大きいため、適切な周波数の超音波を溶接金属内に入射すると結晶粒界における散乱波が検出されることになり、具体的には母材1部分におけるエコー強度〔a.u.〕と比べて溶接金属2部分におけるエコー強度は大きくなる(図3(B)参照;なお、図中の符号4は超音波ビーム,符号5は散乱波のイメージをそれぞれ表す)。
そして、本発明ではS1−2の処理において溶接線2aを跨いで対向する向き別に走査を行うと共にS2の処理においてこれら対向する向き別の測定データ(エコー強度)を合成するようにしているので、走査方向の座標(x)によってエコー強度曲線は図7に示すように母材1部分のエコー強度(小)←→溶接金属2部分のエコー強度(大)←→母材1部分のエコー強度(小)という変化をする。このため、エコー強度の値が境界エコー強度Ebになるのは2回あり、言い換えると、エコー強度の値が境界エコー強度Ebである横線とエコー強度曲線とが交差する点は二つあり(図7中の点Pと点Q;境界エコー強度交点P,Qという)、各々の走査方向の座標(x)をそれぞれxp,xq〔mm〕とする。
本発明では、これら境界エコー強度交点P,Qが母材1と溶接金属2のx軸方向両側との境界に対応すると考え、これら境界エコー強度交点P,Qに対応する走査方向の座標xp,xqが溶接金属2の輪郭を規定するとし、また、これら座標xp,xq間の距離を溶接金属2の幅とする。
本実施形態では、溶接金属形状推定部11dは、S3の処理後のボリュームマージ後のエコー強度Emにおいてエコー強度の値が境界エコー強度Ebである二つの点P,Q(即ち、境界エコー強度交点P,Q)を特定し、これら二つの点P,Qにおける走査方向の座標xp,xqを特定する。そして、溶接金属形状推定部11dは、特定したこれら走査方向の座標xp,xqをメモリ15に記憶させる。
次に、S4−3の処理の結果得られた境界エコー強度交点P,Qの走査方向の座標xpとxqとを用いて溶接金属の輪郭を推定する(S4−4)。
本実施形態では、溶接金属形状推定部11dは、S4−3の処理においてメモリ15に記憶された母材1表面からの深さ(z)毎の境界エコー強度交点P,Qの走査方向の座標xp,xqをメモリ15から読み込み、これら値を深さ(z)方向に連結することによって溶接金属2の輪郭を推定し、これをもって溶接線2aの方向Dwに対し直交する縦断面における溶接金属2の形状であるとする。
そして、溶接金属形状推定部11dは、推定した溶接金属2の輪郭を表示部14に表示したり、母材1表面からの深さ(z)毎の境界エコー強度交点P,Qの走査方向の座標xp,xqの値を推定結果ファイルに記録して例えば記憶部12やデータサーバ16に保存したりする。
そして、制御部11は、評価対象の溶接金属の形状の推定処理に係る演算を終了する(END)。
以上のように構成された本発明の溶接金属形状の推定方法、推定装置及び推定プログラムによれば、従来から用いられている超音波探傷装置を用いて所定の測定を行うことにより、金属配管等における溶接部の溶接金属2の外部からは視認できない内部の輪郭を推定することができる。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では、ボリュームマージした走査測定値データに基づいて溶接金属形状の推定(S4)を行う際に、境界エコー定数Cbを含む数式5を用いて母材エコー最大強度に基づいて境界エコー強度Ebを算出すると共に境界エコー強度交点P,Qを導出して各々に対応する走査方向の座標xp,xqを決定するようにしているが、このように母材エコー最大強度からの変化量に基づいて母材と溶接金属との境界を判定する方法に限られず、母材エコー最大強度からの変化率に基づいて母材と溶接金属との境界を判定するようにしても良い。つまり、所定の走査移動量(走査ピッチ)に対応するエコー強度の変化量が所定の量を超えた場合にそれをもって母材と溶接金属との境界であると判定するようにしても良い。具体的には、走査ピッチをΔx,エコー強度の変化量をΔEとし、走査ピッチΔxを予め設定しておいて、ΔE/Δxが所定の値を超えた場合には変化率が大きいということをもって母材と溶接金属との境界であると判定するようにしても良い。
また、上述の実施形態ではS3の処理に続けてS4の処理を行うようにしているが、このS4の処理を行うことは本発明における必須の構成ではない。すなわち、溶接金属2の形状を縦断面画像によって視覚的に確認・把握できれば良い場合などはS3までの処理をもって評価対象の溶接金属の形状の推定処理に係る演算を終了するようにしても良い。
本発明の溶接金属形状の推定方法、推定装置及び推定プログラムを用いて試験体における溶接金属の輪郭を推定した実施例を図9から図11を用いて説明する。
本実施例では、材質が9クロム鋼であり、図9に示すように母材1に対して溶接金属2部分を有する試験体を用いた。なお、試験体の寸法は200×100×40〔mm〕とした。
また、本実施例では、多様な溶接形状の推定が可能であることを検証するため、図10に示すように、通常溶接のみによる溶接金属2部分を有する試験体イ(同図(A)参照)並びに通常溶接に加えて補修溶接を実施した溶接金属2部分を有する試験体ロ(同図(B)参照)及び試験体ハ(同図(C)参照)との合計三体の試験体を用いた。
ここで、試験体ロでは補修溶接の熱影響部の一部がもとの溶接の熱影響部と重畳しているのに対し、試験体ハでは補修溶接の熱影響部がもとの溶接金属内にある。
本実施例では、探傷条件として、超音波探触子の超音波ビームの周波数を10〔MHz〕に、超音波ビームの集束方式を Focal plane 方式に、アクティブ振動子の個数を16個に設定した。
そして、本実施例ではラスター走査を行った(S1)。具体的には、図5に示す移動経路においてx軸方向の走査ピッチを0.2〔mm〕且つy軸方向の走査ピッチを1〔mm〕とすると共に、走査範囲をx軸方向90〔mm〕としy軸方向50〔mm〕とした。
そして、本実施例ではラスター走査を行うことにより、溶接線2aの方向に対し直交する縦断面であって溶接線2a方向において位置が異なる縦断面における溶接金属2の形状を合成することによって溶接金属2の形状を推定するようにした。これにより、溶接金属形状の推定をより一層鮮明に行えることが期待された。
上述の走査によって得られた走査における対向する向き別の測定データ(走査向き別×2往復)を変換したエコー強度の合成を行い(S2)、当該合成されたエコー強度に対してボリュームマージを行う(S3)ことにより、図11に示す結果が得られた。図11は、S3の処理をした後のエコー強度を白黒濃淡で表したものである。この図11に示す推定結果と図10に示す実際の試験体の構造とを対比すると、溶接金属の形状や補修溶接の有無及びもとの溶接の熱影響部と補修溶接の熱影響部との位置関係(包含関係)に影響を受けることなく、本発明によって補修溶接の有無を含めて溶接金属2部分を適確に再現できることが確認された。
さらに、ボリュームマージした走査測定値データを用いて溶接金属形状の推定を行った(S4)。
本実施例では、数式5における境界エコー定数Cbを0.2とした。そして、母材1表面からの深さ15,20,25,30〔mm〕における溶接金属2の幅を推定し表1に示す結果が得られた。
Figure 2013238510
表1に示す結果から、溶接金属の幅の実際値と推定値との平均絶対誤差は1.08〔mm〕,最大絶対誤差は1.97〔mm〕(試験体ロの深さ20〔mm〕位置の結果)となり、良好な推定精度が実現されていることが確認された。
以上の結果から、本発明の溶接金属形状の推定方法によれば、非常に良好な精度で母材に囲まれて表面からでは視認できない部分も含めて溶接金属の輪郭(幅)を推定可能であることが確認された。また、特に9クロム鋼溶接部の溶接金属の輪郭(幅)を推定する際には数式5における境界エコー定数Cb=0.2とすることが好ましいことが確認された。
10 溶接金属形状の推定装置
11 制御部
12 記憶部
13 入力部
14 表示部
15 メモリ
16 データサーバ
17 溶接金属形状の推定プログラム
18 測定値データベース

Claims (6)

  1. 評価対象の溶接金属のうち表面に現れている溶接線の方向に対し直交する方向において対向する向きのそれぞれに超音波探触子を走査して第一の走査及び第二の走査を行うステップと、前記第一の走査によって取得された測定データを超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}(ただし、x,y,z:前記溶接金属を含む母材内の位置座標、i:前記屈折角θの大きさの識別子)に変換すると共に前記第二の走査によって取得された測定データを前記超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}に変換し、前記屈折角θi別に同じ位置(x,y,z)における前記第一の走査のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}の値と前記第二の走査のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}の値とのうち大きい方を選択して合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}とするステップと、前記屈折角θi別の合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}の中から同じ位置(x,y,z)において値が最も大きいものを選択してボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)とするステップとを有することを特徴とする溶接金属形状の推定方法。
  2. さらに、前記ボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)における前記母材の表面からの深さ(z)毎の前記母材からのエコーの最大強度aを用いて以下の数式1
    (数1)Eb=(1+Cb)a
    ここに、Eb:境界エコー強度〔a.u.〕,
    a :母材エコー最大強度〔a.u.〕,
    Cb:境界エコー定数 をそれぞれ表す
    によって境界エコー強度Ebを算出すると共に前記ボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)においてエコー強度が前記境界エコー強度Ebになるときの前記走査の方向の座標(x)に基づいて前記溶接金属の輪郭を推定するステップを有することを特徴とする請求項1記載の溶接金属形状の推定方法。
  3. 評価対象の溶接金属のうち表面に現れている溶接線の方向に対し直交する方向において対向する向きのそれぞれに超音波探触子を走査して行った第一の走査及び第二の走査によって取得された前記対向する向き別の測定データを内部記憶装置若しくは外部記憶装置から読み込む手段と、前記第一の走査によって取得された測定データを超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}(ただし、x,y,z:前記溶接金属を含む母材内の位置座標、i:前記屈折角θの大きさの識別子)に変換すると共に前記第二の走査によって取得された測定データを前記超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}に変換し、前記屈折角θi別に同じ位置(x,y,z)における前記第一の走査のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}の値と前記第二の走査のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}の値とのうち大きい方を選択して合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}とする手段と、前記屈折角θi別の合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}の中から同じ位置(x,y,z)において値が最も大きいものを選択してボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)とする手段とを有することを特徴とする溶接金属形状の推定装置。
  4. さらに、前記ボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)における前記母材の表面からの深さ(z)毎の前記母材からのエコーの最大強度aを用いて以下の数式2
    (数2)Eb=(1+Cb)a
    ここに、Eb:境界エコー強度〔a.u.〕,
    a :母材エコー最大強度〔a.u.〕,
    Cb:境界エコー定数 をそれぞれ表す
    によって境界エコー強度Ebを算出すると共に前記ボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)においてエコー強度が前記境界エコー強度Ebになるときの前記走査の方向の座標(x)に基づいて前記溶接金属の輪郭を推定する手段を有することを特徴とする請求項3記載の溶接金属形状の推定装置。
  5. 評価対象の溶接金属のうち表面に現れている溶接線の方向に対し直交する方向において対向する向きのそれぞれに超音波探触子を走査して行った第一の走査及び第二の走査によって取得された前記対向する向き別の測定データを内部記憶装置若しくは外部記憶装置から読み込む手段、前記第一の走査によって取得された測定データを超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}(ただし、x,y,z:前記溶接金属を含む母材内の位置座標、i:前記屈折角θの大きさの識別子)に変換すると共に前記第二の走査によって取得された測定データを前記超音波ビームの屈折角θi毎のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}に変換し、前記屈折角θi別に同じ位置(x,y,z)における前記第一の走査のエコー強度{Ec1(x,y,z)|θi}の値と前記第二の走査のエコー強度{Ec2(x,y,z)|θi}の値とのうち大きい方を選択して合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}とする手段、前記屈折角θi別の合成後エコー強度{Ec(x,y,z)|θi}の中から同じ位置(x,y,z)において値が最も大きいものを選択してボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)とする手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする溶接金属形状の推定プログラム。
  6. さらに、前記ボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)における前記母材の表面からの深さ(z)毎の前記母材からのエコーの最大強度aを用いて以下の数式3
    (数3)Eb=(1+Cb)a
    ここに、Eb:境界エコー強度〔a.u.〕,
    a :母材エコー最大強度〔a.u.〕,
    Cb:境界エコー定数 をそれぞれ表す
    によって境界エコー強度Ebを算出すると共に前記ボリュームマージ後エコー強度Em(x,y,z)においてエコー強度が前記境界エコー強度Ebになるときの前記走査の方向の座標(x)に基づいて前記溶接金属の輪郭を推定する手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項5記載の溶接金属形状の推定プログラム。
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