JP2013238278A - 波動歯車装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構成でありながら、フレクスプラインの歯とサーキュラスプラインの歯の間のバックラッシュを減少させ、摩擦や騒音などを抑制するようにした波動歯車装置を提供する。
【解決手段】大略円管状を呈して外周面に歯が形成されると共に、入力軸と出力軸の一方に接続自在なフレクスプラインと、大略円管状を呈してフレクスプラインの内側に配置されると共に、入力軸と出力軸の他方に接続自在なウェーブジェネレータ14と、フレクスプラインの外側に配置されると共に、内周面に歯が形成されるサーキュラスプラインとを備え、フレクスプラインの歯がサーキュラスプラインの歯に部分的に噛合する噛合部位を介してフレクスプラインを回転させることで、入力軸の回転を減速して出力軸に出力する波動歯車装置において、ウェーブジェネレータ14の内部に空間14bを形成し、空間14bに圧力を調節自在な媒体24を封入する。
【選択図】図3
【解決手段】大略円管状を呈して外周面に歯が形成されると共に、入力軸と出力軸の一方に接続自在なフレクスプラインと、大略円管状を呈してフレクスプラインの内側に配置されると共に、入力軸と出力軸の他方に接続自在なウェーブジェネレータ14と、フレクスプラインの外側に配置されると共に、内周面に歯が形成されるサーキュラスプラインとを備え、フレクスプラインの歯がサーキュラスプラインの歯に部分的に噛合する噛合部位を介してフレクスプラインを回転させることで、入力軸の回転を減速して出力軸に出力する波動歯車装置において、ウェーブジェネレータ14の内部に空間14bを形成し、空間14bに圧力を調節自在な媒体24を封入する。
【選択図】図3
Description
この発明は波動歯車装置に関する。
従来より、アクチュエータ(例えば電動モータ)から入力される回転出力を減速して出力する減速機構として、波動歯車装置が知られている。波動歯車装置は、一般に出力軸に接続されると共に、外周面に歯が形成されるフレクスプラインと、入力軸に接続されると共に、楕円形状を呈し、フレクスプラインの内側にベアリングを介して嵌合されるウェーブジェネレータと、内周面に歯が形成されると共に、フレクスプラインの外側に配置されるサーキュラスプラインとを備え、フレクスプラインをウェーブジェネレータの形状に即した形に変形して(撓めて)、フレクスプラインの歯をサーキュラスプラインの歯に部分的に噛合させるように構成される。
上記した波動歯車装置にあっては、ウェーブジェネレータがアクチュエータによって回転させられると、それに伴ってフレクスプラインもサーキュラスプラインとの噛合部位を円周方向に移動させつつ減速して回転させられ、その回転を出力軸に出力するように構成される。
波動歯車装置は、ウェーブジェネレータを楕円形状に加工した後、それをフレクスプラインに嵌合して製作される。そのため、ウェーブジェネレータの加工精度によっては、例えばフレクスプラインの歯とサーキュラスプラインの歯の間にバックラッシュが生じてしまい、それに起因して噛合部位に摩擦や騒音などの不具合が発生するおそれがあった。
そこで、下記の特許文献1記載の技術において、ウェーブジェネレータの内部に電磁石と磁性流体を収容するようにし、電磁石を磁化して磁性流体を移動させてウェーブジェネレータを楕円形状に変形させ、その変形によってフレクスプラインを、歯がサーキュラスプラインの歯に押し付けられつつ噛合するように変形させる(撓ませる)ことで、バックラッシュの減少を図ることが提案されている。
しかしながら、特許文献1記載の技術の如く構成すると、電磁石を磁化させるための電力が別途必要になると共に、構成が複雑になるという不都合が生じていた。
この発明の目的は上記した課題を解決し、簡易な構成でありながら、フレクスプラインの歯とサーキュラスプラインの歯の間のバックラッシュを減少させ、摩擦や騒音などを抑制するようにした波動歯車装置を提供することにある。
上記した目的を達成するために、請求項1にあっては、大略円管状を呈して外周面に歯が形成されると共に、入力軸と出力軸の一方に接続自在なフレクスプラインと、大略円管状を呈して前記フレクスプラインの内側に配置されると共に、前記入力軸と前記出力軸の他方に接続自在なウェーブジェネレータと、前記フレクスプラインの外側に配置されると共に、内周面に歯が形成されるサーキュラスプラインとを備え、前記フレクスプラインの歯が前記サーキュラスプラインの歯に部分的に噛合する噛合部位を介して前記フレクスプラインを回転させることで、前記入力軸の回転を減速して前記出力軸に出力する波動歯車装置において、前記ウェーブジェネレータの内部に空間を形成し、前記空間に圧力を調節自在な媒体を封入する如く構成した。
請求項2に係る波動歯車装置にあっては、前記空間は、前記ウェーブジェネレータの外周面までの半径方向長さhが、前記噛合部位に対応する位置において然らざる部位のそれよりも小さく形成される如く構成した。
請求項3に係る波動歯車装置にあっては、前記空間は、軸方向長さLが、前記噛合部位に対応する位置において然らざる部位のそれよりも大きく形成される如く構成した。
請求項4に係る波動歯車装置にあっては、前記空間は、前記ウェーブジェネレータの外周面までの半径方向長さhが、前記ウェーブジェネレータの側面までの軸方向長さrよりも小さく形成される如く構成した。
請求項5に係る波動歯車装置にあっては、前記空間は、軸方向における中央部付近で、かつ前記ウェーブジェネレータの外周面側の部位に凹部が形成される如く構成した。
請求項6に係る波動歯車装置にあっては、前記空間は、軸方向からの側面視において環状を呈するように形成される如く構成した。
請求項7に係る波動歯車装置にあっては、前記空間は複数個形成されると共に、前記複数個の空間がそれぞれ軸方向からの側面視において円弧形状を呈するように形成される如く構成した。
請求項8に係る波動歯車装置にあっては、前記媒体は非圧縮性を有する素材からなる如く構成した。
請求項9に係る波動歯車装置にあっては、前記ウェーブジェネレータは金属ガラスから製作される如く構成した。
請求項10に係る波動歯車装置にあっては、前記空間は、前記空間に封入される媒体の圧力を調節して前記ウェーブジェネレータを変形自在な圧力調節手段に接続可能である如く構成した。
請求項1に係る波動歯車装置にあっては、ウェーブジェネレータの内部に空間を形成し、空間に圧力を調節自在な媒体を封入するように構成したので、例えば媒体の圧力を調整することで(具体的には圧力を加えることで)、ウェーブジェネレータを半径方向に変形させて適切な形状(例えば楕円形状)にすることが可能になり、その変形によってフレクスプラインを、歯がサーキュラスプラインの歯に押し付けられつつ噛合するように変形させる(撓ませる)ことができる。これにより、簡易な構成でありながら、フレクスプラインの歯とサーキュラスプラインの歯の間のバックラッシュを減少でき、摩擦や騒音などを抑制することができる。
また、ウェーブジェネレータをフレクスプラインの内側に配置した後、媒体の圧力を調節してウェーブジェネレータを変形させることも可能となるため、従来技術の如くウェーブジェネレータを加工してからフレクスプラインに嵌合させる場合に比して、ウェーブジェネレータの加工精度の許容範囲を広げることができ、コスト的にも有利である。また、従来の波動歯車装置のようにウェーブジェネレータを楕円形状に精緻に加工する必要がないため、コストダウンを図ることも可能となる。
さらに、フレクスプラインなどの部品が消耗した場合、その一部品のみの交換が可能となる。即ち、例えばフレクスプラインを交換する場合、新しいフレクスプラインをウェーブジェネレータの外側に配置した後、媒体の圧力を調節してウェーブジェネレータを変形させるだけで、フレクスプラインを、歯がサーキュラスプラインの歯に押し付けられつつ噛合するように変形させる(撓ませる)ことができ、よって容易に交換を行うことが可能となる。
請求項2に係る波動歯車装置にあっては、空間は、ウェーブジェネレータの外周面までの半径方向長さhが、噛合部位に対応する位置において然らざる部位のそれよりも小さく形成されるように構成したので、上記した効果に加え、ウェーブジェネレータにおける変形量を、噛合部位に対応する位置と然らざる部位に対応する位置とで相違させることができる、詳しくは噛合部位に対応する位置の変形量を然らざる部位のそれよりも大きくすることができる。これにより、ウェーブジェネレータを半径方向に変形させて適切な形状にすることが可能になり、噛合部位のバックラッシュをより確実に減少させることができる。
請求項3に係る波動歯車装置にあっては、空間は、軸方向長さLが、噛合部位に対応する位置において然らざる部位のそれよりも大きく形成されるように構成したので、請求項2で述べた効果と同様、ウェーブジェネレータにおける変形量を、噛合部位に対応する位置と然らざる部位に対応する位置とで相違させることができる、詳しくは噛合部位に対応する位置の変形量を然らざる部位のそれよりも大きくすることができる。これにより、ウェーブジェネレータを半径方向に変形させて適切な形状にすることが可能になり、噛合部位のバックラッシュをより一層確実に減少させることができる。
請求項4に係る波動歯車装置にあっては、空間は、ウェーブジェネレータの外周面までの半径方向長さhが、ウェーブジェネレータの側面までの軸方向長さrよりも小さく形成されるように構成したので、上記した効果に加え、ウェーブジェネレータを半径方向に確実に変形させることができる、換言すれば、ウェーブジェネレータが軸方向へ変形(膨張)するのを防止することができる。
請求項5に係る波動歯車装置にあっては、空間は、軸方向における中央部付近で、かつウェーブジェネレータの外周面側の部位に凹部が形成されるように構成したので、上記した効果に加え、ウェーブジェネレータの外周面において応力が集中するのを緩和でき、ウェーブジェネレータの製品寿命を向上させることができる。
即ち、例えば空間に封入された媒体が加圧されると、空間の軸方向における中央部付近で、かつウェーブジェネレータの外周面側の部位に応力が集中して作用し易いが、上記の如く、その部位に凹部が形成されるように構成、別言すれば、空間からウェーブジェネレータの外周面までの半径方向長さhを軸方向における中央部付近で大きくする(厚肉にする)ように構成したので、ウェーブジェネレータの外周面側の部位に応力が集中するのを緩和でき、ウェーブジェネレータの製品寿命を向上させることができる。
また、前記した応力の集中緩和によって、ウェーブジェネレータの外周面からフレクスプラインに作用する力を軸方向において均一化できるため、フレクスプラインを適切な形状に変形できてバックラッシュをより一層減少でき、それによってフレクスプラインとサーキュラスプラインのスムーズな噛み合いが可能となり、波動歯車装置の高性能化を図ることができる。
請求項6に係る波動歯車装置にあっては、空間は、軸方向からの側面視において環状を呈するように形成されるように構成したので、上記した効果に加え、空間の構成をより一層簡易にすることができる。
請求項7に係る波動歯車装置にあっては、空間は複数個形成されると共に、複数個の空間がそれぞれ軸方向からの側面視において円弧形状を呈するように形成されるように構成したので、請求項1から5で述べた効果に加え、空間の構成をより一層簡易にすることができる。
請求項8に係る波動歯車装置にあっては、媒体は非圧縮性を有する素材からなるように構成、換言すれば、収縮し難い素材からなるようにしたので、上記した効果に加え、ウェーブジェネレータの収縮に起因するバックラッシュの発生を防止することができる。
請求項9に係る波動歯車装置にあっては、ウェーブジェネレータは金属ガラスから製作されるように構成、具体的には、一般的な金属材から金属ガラスに代えて製作するように構成したので、上記した効果に加え、ウェーブジェネレータの強度を維持したままヤング率(縦弾性係数)を約1/3程度まで減少でき、よって媒体が比較的低い圧力であっても、ウェーブジェネレータを適切な形状に変形させることが可能となる。
請求項10に係る波動歯車装置にあっては、空間は、空間に封入される媒体の圧力を調節してウェーブジェネレータを変形自在な圧力調節手段に接続可能であるように構成したので、上記した効果に加え、空間に封入される媒体の圧力を圧力調整手段によって容易かつ簡易に調節することが可能となる。
以下、添付図面を参照してこの発明に係る波動歯車装置を実施するための形態について説明する。
図1はこの発明の第1実施例に係る波動歯車装置の正面図、図2は図1のII−II線断面図である。
図1および図2において、符号10は波動歯車装置を示す。波動歯車装置10は、アクチュエータ(例えば電動モータ。図示せず)から入力される回転出力を減速して出力する減速機構(動力伝達機構)であり、例えばヒューマノイド型のロボットの関節部分(図示せず)などの駆動に用いられる。
波動歯車装置10は、フレクスプライン(外歯歯車。以下「F/S」と称する)12と、F/S12の内側に配置されるウェーブジェネレータ(波動発生器。以下「W/G」と称する)14と、F/S12の外側に配置されるサーキュラスプライン(内歯歯車。以下「C/S」と称する)16とからなる。
F/S12は、可撓性を有する素材(例えばSNCM(ニッケルクロムモリブデン鋼))から製作され、弾性変形可能とされる。F/S12は、大略円管状を呈する円管状部12aと、円管状部12aの端部12a1から内周側に向けて連続して形成されるダイヤフラム部12b(図2にのみ示す)と、ダイヤフラム部12bに連続して形成されるボス12c(図2にのみ示す)とを備えた、カップ型の形状とされる。
F/S12の円管状部12aの外周面には、歯(外歯)12dが形成される。また、図2に示す如く、ボス12cには、側面視において円形状を呈する孔12c1が穿設され、孔12c1には、想像線で示す出力軸20(入力軸と出力軸の一方)が挿通されて接続される。
W/G14は、降伏強度が比較的高く、かつヤング率が比較的低い材質、具体的には金属ガラス(例えばZr基金属ガラス)から製作され、F/S12と同様、弾性変形可能とされる。W/G14は大略円管状を呈するように形成され、その中心部には側面視において円形状を呈する孔14aが穿設される。孔14aには、想像線で示す入力軸22(入力軸と出力軸の他方)が挿通されて接続される。
W/G14の内部、正確にはW/G14の内部で、かつ外周面に近接する位置には、空間14bが形成されると共に、空間14bには圧力を調節自在な媒体24が封入される。 媒体24は、非圧縮性を有する素材(例えばゲル、液体ゴム、オイル、シリコーンゴム、コロイド溶液(ゾル)など)からなる。
W/G14は、この空間14b内の媒体24の圧力を調節する(具体的には加圧する)ことで、図1に示すような非円形(詳しくは楕円形状)に変形する(撓む)。尚、このW/G14の空間14b、およびW/G14の変形については後に詳説する。
C/S16は、剛性が比較的高い材質(例えばFCD(球状化黒鉛鋳鉄))から製作され、側面視において円管形状を呈するように形成される。C/S16の内周面には、F/S12の歯12dと噛合可能な歯(内歯)16aが形成される。C/S16の歯16aとF/S12の歯12dの数は相違するように設定され、具体的にはC/S16の歯数がF/S12のそれよりも多くなるように設定される。
C/S16の側面16bには、複数個(具体的には6個)の取付け孔16b1が穿設される。取付け孔16b1には図示しないボルトが挿通され、これによりC/S16は、波動歯車装置10を収容するハウジング(図示せず)の適宜位置に取り付けられる。即ち、C/S16はハウジングに固定される。
F/S12とW/G14の間には、薄肉で可撓性を有するボールベアリング26が介挿される。F/S12は、図1に良く示すように、前述したW/G14の変形によってW/G14の形状に即した形(即ち、楕円形状)に変形させられ(撓められ)、これにより歯12dがC/S16の歯16aに部分的に噛合させられる。詳しくは、楕円形状に変形させられたF/S12において、長軸方向に対応する部位(図1において上下2箇所の部位)の歯12dが、C/S16の歯16aに押し付けられつつ噛合させられる。尚、図1においては、このF/S12の歯12dとC/S16の歯16dの噛合部位を破線で囲み、符号Aで示す。
ここで、上記の如く構成された波動歯車装置10の動作について、図1を参照しつつ説明する。アクチュエータの回転出力によって入力軸22およびW/G14が矢印B(図1において時計回り)方向に回転すると、それに伴って噛合部位Aも矢印B方向に順次移動する。
C/S16の歯16aとF/S12の歯12dには歯数差があるため、W/G14が1回転(360度回転)すると、F/S12は歯数差分だけW/G14と逆方向(図1において反時計回り方向)に回転する、別言すれば、大幅に減速されて回転することとなり、この回転を出力軸20に出力する。このように、波動歯車装置10は、噛合部位Aを介してF/S12を回転させることで、入力軸22の回転を減速して出力軸20に出力する。尚、波動歯車装置10の動作自体は公知であるので、これ以上の説明は省略する。
次いで、W/G14について詳しく説明する。図3は、図1に示すW/G14を取り出し、変形する前の状態を示す部分断面拡大斜視図であり、図4は、W/G14の空間14b部分を拡大して示す拡大断面図である。尚、図3においては、理解の便宜のため、W/G14の内部に形成される空間14bを透視して示すと共に、淡色を付して模式的に示す。
図1および図3に示すように、W/G14の空間14bは、軸方向(図3に矢印Cで示す方向)からの側面視において環状(リング状)を呈するように形成される。
また、空間14bは、媒体24の圧力が調節される(具体的には加圧される)とき、W/G14が噛合部位Aに対応する位置A1(図において上下方向)において変形(膨張)して適切な形状、具体的には楕円形状となるように形成される。
詳説すると、先ず図3と図4に示すように、空間14bの軸方向長さをL、空間14bからW/G14の外周面14cまでの半径方向(矢印Dで示す方向)長さをhとするとき、この空間14bからW/G14の外周面14cまでの間の部位の外側への変形量(撓み量)は、これら2つの値に応じて変わる。従って、この軸方向長さLと半径方向長さhの値を適切に設定すれば、W/G14を適切な楕円形状に変形させることができる。
具体的には、空間14bからW/G14の外周面14cまでの間の部位の撓み量は、図5に示すような一般的な梁の強度計算、より具体的には等分布荷重の両持ち梁の強度計算にあてはめて算出することができる。図5において(a)は梁の荷重図、(b)は梁の拡大断面図を示す。
図5に示す梁の最大撓み量δ[mm]は、次式で表される。
δ=5PL4/(384EI)
I=th3/12
上記で、P:等分布荷重[kg/mm]、L:梁の長さ[mm]、E:ヤング率[kg/mm2]、I:断面2次モーメント[mm4]、t:梁の幅[mm]、h:梁の高さ[mm]である。
δ=5PL4/(384EI)
I=th3/12
上記で、P:等分布荷重[kg/mm]、L:梁の長さ[mm]、E:ヤング率[kg/mm2]、I:断面2次モーメント[mm4]、t:梁の幅[mm]、h:梁の高さ[mm]である。
上式から分かるように、最大撓み量δは、梁の高さh(W/G14では半径方向長さhに相当)が小さいほど大きくなる(換言すれば、変形量が増加する)。また、梁の長さL(W/G14では軸方向長さLに相当)が大きくなるほど、最大撓み量δも大きくなる。
以上の特性に基づき、空間14bは、W/G14の外周面14cまでの半径方向長さhが、噛合部位Aに対応する位置A1において然らざる部位(換言すれば、噛合部位A以外の部位(即ち、F/S12の歯12dとC/S16の歯16aが噛合しない部位))のそれよりも小さく形成される。
より具体的には、空間14bは、W/G14の外周面14cまでの半径方向長さhが、噛合部位Aに対応する位置A1において最小となる一方、噛合部位Aに対応する位置A1から離間するにつれて徐々に増加し、位置A1から軸方向C周りに90度離間した位置(図1において左右の位置)Eにおいて最大となるように形成される。尚、図3において、位置Eの半径方向長さを「h1」で示した。
また、空間14bは、軸方向長さLが、噛合部位Aに対応する位置A1において然らざる部位のそれよりも大きく形成される。具体的には、空間14bは、軸方向長さLが、噛合部位Aに対応する位置A1において最大となる一方、噛合部位Aに対応する位置A1から離間するにつれて徐々に減少し、位置A1から軸方向C周りに90度離間した位置Eにおいて最小となるように形成される。尚、図3において、位置Eの軸方向長さを「L1」で示した。
このように空間14bを設定することで、W/G14は、媒体24の圧力が増加するとき、噛合部位Aに対応する位置A1付近で上下方向に変形(膨張)する一方、位置E付近で左右方向に変形(膨張)し難くすることができ、結果としてW/G14を図1に示すような楕円形状に変形させることが可能となる。
さらに、空間14bは、W/G14の外周面14cまでの半径方向長さhが、W/G14の側面14dまでの軸方向長さrよりも小さく形成される。これにより、空間14bに封入された媒体24の圧力が調節されるとき、W/G14の側面14dを変形し難くすることができる、別言すれば、W/G14を軸方向Cではなく、半径方向Dに向けて適切に変形させることができる。
また、図4に良く示すように、空間14bは、軸方向Cにおける中央部付近で、かつW/G14の外周面14c側の部位に凹部14b1が形成される。換言すれば、空間14bは、軸方向Cにおける中央部付近の半径方向長さhが、軸方向Cにおける端部のそれよりも大きくなる(厚肉になる)ように形成される。
図3に示す如く、W/G14の側面14dには、空間14bに媒体24を供給(あるいは空間14bに封入された媒体24を排出)するための供給・排出口(以下、単に「供給口」という)14eが複数個(2個)設けられる。
供給口14eは、連通路14fを介して空間14bの位置E付近に接続される。また、供給口14eにはねじ込み式の逆止め弁(図示せず)が着脱自在に取り付けられる。これにより、供給口14eは、後述するように媒体24が空間14bに封入されるとき、逆止め弁によって液密に封止されることとなる。尚、空間14bに封入された媒体24を供給口14eから排出するときは、逆止め弁を取り外すようにする。
次いで、上記の如く構成されたW/G14において、空間14bへの媒体24の封入、および媒体24の圧力の調節について説明する。
図6は、W/G14と圧力調節手段を模式的に示すブロック図である。
図6に示す如く、W/G14の供給口14eには、空間14bに封入される媒体24の圧力を調節してW/G14を変形自在な圧力調節手段30が接続される、即ち、空間14bには圧力調節手段30が供給口14eを介して接続される。
圧力調節手段30は、媒体24を圧送するポンプ30aと、ポンプ30aと供給口14eとの間に介挿される供給管30bと、供給管30bに配置される圧力センサ30cと、電子制御ユニット(Electronic Control Unit。以下「ECU」という)30dとからなる。
図示は省略するが、ポンプ30aの吸入口は媒体24が貯留された貯留タンクに接続され、よってポンプ30aは、駆動されるとき、貯留タンクの媒体24を吸入して吐出口30a1から吐出(圧送)する。
供給管30bの出口側の端部30b1は、W/G14の供給口14eに接続自在に構成され、空間14bに媒体24を封入するときのみ作業者(図示せず)によって接続される。圧力センサ30cは、供給管30bを流れる媒体24の圧力に応じた信号を出力する。
ECU30dは、図示しないCPU,ROM,RAMなどを備えたマイクロコンピュータからなり、圧力センサ30cの出力が入力される。ECU30dは、入力されたセンサ出力に基づいてポンプ30aの駆動を制御する。
図7は、そのポンプ30aの駆動の制御動作を示すフロー・チャートである。尚、図示のプログラムは、波動歯車装置10の製作段階において、W/G14がF/S12の内側に配置されると共に、供給管30bの端部30b1がW/G14の供給口14eに接続された状態であって、かつ空間14bへの媒体24の封入および圧力の調節指示が作業者から入力されるとき、ECU30dによって実行される。
以下説明すると、先ずS(ステップ)10において、ポンプ30aを始動させて空間14bへの媒体24の供給を開始する。次いでS12に進み、圧力センサ30cの出力に基づいて媒体24の圧力Pを検出し、S14に進んで検出された圧力Pが所定値P1以上か否か判断する。この所定値P1は、W/G14を半径方向Dに変形させて適切な形状(楕円形状)にし、その変形によってF/S12を、歯12dがC/S16の歯16aに押し付けられつつ噛合するように変形させる(撓ませる)ことができたと判断できるような値に設定される。
S14の処理を最初に実行するときは媒体24の供給を開始した直後であるため、通例否定されてS12の処理に戻る。ポンプ30aからの媒体24の供給によって空間14b内の媒体24の圧力が徐々に上昇し、所定値P1以上になると、S14で肯定されてS16に進む。
S16では、ポンプ30aの駆動を停止させて媒体24の供給を終了する。これにより、空間14bへの媒体24の封入は完了し、波動歯車装置10が完成する。
尚、上記では、波動歯車装置10の製作段階で媒体24の封入と圧力の調節を行うようにしたが、例えば波動歯車装置10の長期使用後、何らかの理由でバックラッシュが生じた場合は、上記した媒体24の封入と圧力の調節を再度行ってバックラッシュを削減するようにしても良い。
以上の如く、この発明の第1実施例に係る波動歯車装置10にあっては、W/G14の内部に空間14bを形成し、空間14bに圧力を調節自在な媒体24を封入するように構成したので、例えば媒体24の圧力を調整することで(具体的には圧力を加えることで)、W/G14を半径方向Dに変形させて適切な形状(例えば楕円形状)にすることが可能になり、その変形によってF/S12を、歯12dがC/S16の歯16aに押し付けられつつ噛合するように変形させる(撓ませる)ことができる。これにより、簡易な構成でありながら、F/S12の歯12dとC/S16の歯16aの間のバックラッシュを減少でき、摩擦や騒音などを抑制することができる。
また、W/G14をF/S12の内側に配置した後、媒体24の圧力を調節してW/G14を変形させることも可能となるため、従来技術の如くW/Gを加工してからF/Sに嵌合させる場合に比して、W/G14の加工精度の許容範囲を広げることができ、コスト的にも有利である。また、従来の波動歯車装置のようにW/Gを楕円形状に精緻に加工する必要がないため、コストダウンを図ることも可能となる。
さらに、F/S12などの部品が消耗した場合、その一部品のみの交換が可能となる。即ち、例えばF/S12を交換する場合、新しいF/S12をW/G14の外側に配置した後、媒体24の圧力を調節してW/G14を変形させるだけで、F/S12を、歯12dがC/S16の歯16aに押し付けられつつ噛合するように変形させる(撓ませる)ことができ、よって容易に交換を行うことが可能となる。
また、空間14bは、W/G14の外周面14cまでの半径方向長さhが、噛合部位Aに対応する位置A1において然らざる部位のそれ(例えば半径方向長さh1)よりも小さく形成されるように構成したので、W/G14における変形量を、噛合部位Aに対応する位置A1と然らざる部位に対応する位置とで相違させることができる、詳しくは噛合部位Aに対応する位置A1の変形量を然らざる部位のそれよりも大きくすることができる。これにより、W/G14を半径方向Dに変形させて適切な形状にすることが可能になり、噛合部位Aのバックラッシュをより確実に減少させることができる。
また、空間14bは、軸方向長さLが、噛合部位Aに対応する位置A1において然らざる部位のそれ(例えば軸方向長さL1)よりも大きく形成されるように構成したので、W/G14における変形量を、噛合部位Aに対応する位置A1と然らざる部位に対応する位置とで相違させることができる、詳しくは噛合部位Aに対応する位置A1の変形量を然らざる部位のそれよりも大きくすることができる。これにより、W/G14を半径方向Dに変形させて適切な形状にすることが可能になり、噛合部位Aのバックラッシュをより一層確実に減少させることができる。
また、空間14bは、W/G14の外周面14cまでの半径方向長さhが、W/G14の側面14dまでの軸方向長さrよりも小さく形成されるように構成したので、W/G14を半径方向Dに確実に変形させることができる、換言すれば、W/G14が軸方向Cへ変形(膨張)するのを防止することができる。
また、空間14bは、軸方向Cにおける中央部付近で、かつW/G14の外周面14c側の部位に凹部14b1が形成されるように構成したので、W/G14の外周面14cにおいて応力が集中するのを緩和でき、W/G14の製品寿命を向上させることができる。
即ち、例えば空間14bに封入された媒体24が加圧されると、空間14bの軸方向Cにおける中央部付近で、かつW/G14の外周面14c側の部位に応力が集中して作用し易いが、上記の如く、その部位に凹部14b1が形成されるように構成、別言すれば、空間14bからW/G14の外周面14cまでの半径方向長さhを軸方向Cにおける中央部付近で大きくする(厚肉にする)ように構成したので、W/G14の外周面14c側の部位に応力が集中するのを緩和でき、W/G14の製品寿命を向上させることができる。
また、前記した応力の集中緩和によって、W/G14の外周面14cからF/S12に作用する力を軸方向Cにおいて均一化できるため、F/S12を適切な形状に変形できてバックラッシュをより一層減少でき、それによってF/S12とC/S16のスムーズな噛み合いが可能となり、波動歯車装置10の高性能化を図ることができる。
また、空間14bは、軸方向Cからの側面視において環状を呈するように形成されるように構成したので、空間14bの構成をより一層簡易にすることができる。
また、媒体24は非圧縮性を有する素材からなるように構成、換言すれば、収縮し難い素材からなるようにしたので、W/G14の収縮に起因するバックラッシュの発生を防止することができる。
また、W/G14は金属ガラスから製作されるように構成、具体的には、一般的な金属材から金属ガラスに代えて製作するように構成したので、W/G14の強度を維持したままヤング率を約1/3程度まで減少でき、よって媒体24が比較的低い圧力であっても、W/G14を適切な形状に変形させることが可能となる、換言すれば、図7フロー・チャートの所定値P1を比較的低い値に設定することが可能となる。
また、空間14bは、空間14bに封入される媒体24の圧力を調節してW/G14を変形自在な圧力調節手段30(ポンプ30a、供給管30b、圧力センサ30c、ECU30d)に接続可能であるように構成したので、空間14bに封入される媒体24の圧力を圧力調整手段30によって容易かつ簡易に調節することが可能となる。
次いで、この発明の第2実施例に係る波動歯車装置について説明する。
第1実施例との相違点に焦点をおいて説明すると、第2実施例にあっては、第1実施例で軸方向Cからの側面視において環状を呈するように形成された空間を、円弧形状を呈するように構成した。
図8はこの発明の第2実施例に係る波動歯車装置110を示す、図1と同様な正面図であり、図9は図1に示すW/G114を取り出し、変形する前の状態を示す、図3と同様な部分断面拡大斜視図である。尚、以下においては、第1実施例と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図8および図9に示す如く、W/G114の空間114bは、図において上下に複数個(具体的には2個)形成されると共に、複数個の空間114bがそれぞれ軸方向Cからの側面視において円弧形状を呈し、略対称の形状となるように形成される。
空間114bも、第1実施例の空間14bと同様、媒体24が封入されて圧力が調節される(具体的には加圧される)とき、W/G114が噛合部位Aに対応する位置A1において変形(膨張)して適切な形状、具体的には楕円形状となるように形成される。
具体的に空間114bは、W/G114の外周面114cまでの半径方向長さhが、噛合部位Aに対応する位置A1において然らざる部位(別言すれば、噛合部位A以外にの部位)のそれよりも小さく形成される。
より具体的には、空間114bは、W/G114の外周面114cまでの半径方向長さhが、噛合部位Aに対応する位置A1(円弧形状の中央部)において最小となる一方、噛合部位Aに対応する位置A1から離間するにつれて徐々に増加し、位置A1から軸方向C周りに所定角度(例えば70度)離間した位置E1(円弧形状の端部)において最大となるように形成される。尚、図8において、位置E1の半径方向長さを「h2」で示した。
また、空間114bは、軸方向長さLが、噛合部位Aに対応する位置A1において然らざる部位のそれよりも大きく形成される。具体的には、空間114bは、軸方向長さLが、噛合部位Aに対応する位置A1(円弧形状の中央部)において最大となる一方、噛合部位Aに対応する位置A1から離間するにつれて徐々に減少し、位置A1から軸方向C周りに所定角度(例えば70度)離間した位置E1(円弧形状の端部)において最小となるように形成される。尚、図9において、位置E1の軸方向長さを「L2」で示した。
さらに、W/G114の側面114dには、第1実施例と同様な供給口114eが複数個(2個)設けられる。2個の供給口114eはそれぞれ、連通路114fを介して2個の空間114bの位置E1付近に接続される。
このように、第2実施例に係る波動歯車装置110にあっては、空間114bは複数個(2個)形成されると共に、複数個の空間114bがそれぞれ軸方向Cからの側面視において円弧形状を呈するように形成されるように構成したので、空間114b空間の構成をより一層簡易にすることができる。
尚、残余の構成および効果は第1実施例と同一であるので、説明を省略する。
次いで、この発明の第3実施例に係る波動歯車装置について説明する。
第1実施例との相違点に焦点をおいて説明すると、第1実施例では空間14bへ媒体24を供給するポンプ30aの駆動の停止判断を、媒体24の圧力Pに基づいて行うようにしたが、第3実施例にあっては、F/S12の歯12dとC/S16の歯16dの噛合部位のバックラッシュの量に基づいて行うように構成した。
具体的に説明すると、W/G14の付近には、図6に想像線で示す如く、角度センサ30eが配置され、W/G14の回転角を示す信号を出力する。また、W/G14に接続される入力軸22の付近にはトルクセンサ30f(図6に想像線で示す)が設けられ、入力軸22の負荷トルクに応じた出力を生じる。上記した角度センサ30eとトルクセンサ30fの出力はECU30dに送られる。
次いで、上記の如く構成された第3実施例に係る波動歯車装置における、W/G14の空間14bへの媒体24の封入、および媒体24の圧力の調節について説明する。
図10は、ECU30dによる媒体24の封入および圧力調節動作、詳しくはポンプ30aの駆動の制御動作を示す、図7と同様なフロー・チャートである。尚、図10においては、第1実施例で説明したのと同様のステップは、同一のステップ番号を付して示す。
図10に示す如く、S10において、ポンプ30aを始動させて空間14bへの媒体24の供給を開始し、S12aに進んでF/S12の歯12dとC/S16の歯16dの噛合部位のバックラッシュ量Br[mm]を検出(算出)する。
具体的にバックラッシュ量Brの検出は、先ず出力軸20を固定して回転不能にすると共に、入力軸22を正転/逆転させ、そのときの角度センサ30eとトルクセンサ30fの出力に基づいて入力軸22の無負荷回転角ωn[rad]を検出(算出)する。より具体的には、入力軸22を正転/逆転させつつ、トルクセンサ30fの出力に基づいて入力軸22の負荷トルクが0(あるいはほぼ0)か否か判断し、負荷トルクが0と判断されるときの入力軸22の角度を角度センサ30eの出力に基づいて求め、それを「無負荷回転角ωn」として検出する。
次いで以下の式(1)を用いてバックラッシュ角ωb[rad]を算出する。具体的には、バックラッシュ角ωbは、無負荷回転角ωnを波動歯車装置の減速比Rnで除して得た値である。
バックラッシュ角ωb=無負荷回転角ωn/減速比Rn ・・・式(1)
バックラッシュ角ωb=無負荷回転角ωn/減速比Rn ・・・式(1)
式(1)で算出されたバックラッシュ角ωbからバックラッシュ量Brを算出する。具体的には、下記の式(2)に示す如く、バックラッシュ量Brは、F/S12の長軸方向(変形方向)のピッチ円半径y0[mm]にバックラッシュ角ωbの正接(tan)を乗算して得られる値である。
バックラッシュ量Br=長軸ピッチ円半径y0×tan(ωb) ・・・式(2)
バックラッシュ量Br=長軸ピッチ円半径y0×tan(ωb) ・・・式(2)
図10の説明を続けると、次いでS14aに進み、検出されたバックラッシュ量Brが0か否か判断する。即ち、S14aは、媒体24の供給によってW/G14が半径方向Dに変形し、その変形によってF/S12の歯12dがC/S16の歯16aに押し付けられつつ噛合し、バックラッシュがない(あるいはほぼない)状態になったか否か判断する処理である。
S14aで否定されるときはS12aの処理に戻る一方、肯定されるときはS16に進み、ポンプ30aの駆動を停止させて媒体24の供給を終了し、よって波動歯車装置10が完成する。
このように、第3実施例に係る波動歯車装置にあっては、バックラッシュ量Brに基づいて媒体24の封入および圧力調節を行うように構成したので、F/S12の歯12dがC/S16の歯16aにより一層適切に噛合するように、正確にはバックラッシュがなくなるようにF/S12を変形させる(撓ませる)ことができる。
尚、残余の構成および効果は従前の実施例と同一であるので、説明を省略する。
以上の如く、この発明の第1から第3実施例にあっては、大略円管状を呈して外周面に歯12dが形成されると共に、入力軸22と出力軸20の一方(正確には出力軸20)に接続自在なフレクスプライン(F/S)12と、大略円管状を呈して前記フレクスプライン12の内側に配置されると共に、前記入力軸22と前記出力軸20の他方(正確には入力軸22)に接続自在なウェーブジェネレータ(W/G)14,114と、前記フレクスプライン12の外側に配置されると共に、内周面に歯16aが形成されるサーキュラスプライン(C/S)16とを備え、前記フレクスプライン12の歯12dが前記サーキュラスプライン16の歯16aに部分的に噛合する噛合部位Aを介して前記フレクスプライン12を回転させることで、前記入力軸22の回転を減速して前記出力軸20に出力する波動歯車装置10,110において、前記ウェーブジェネレータ14,114の内部に空間14b,114bを形成し、前記空間14b,114bに圧力を調節自在な媒体24を封入する如く構成した。
また、前記空間14b,114bは、前記ウェーブジェネレータ14,114の外周面14c,114cまでの半径方向長さhが、前記噛合部位Aに対応する位置A1において然らざる部位のそれ(例えば半径方向長さh1(またはh2))よりも小さく形成される如く構成した。
また、前記空間14b,114bは、軸方向長さLが、前記噛合部位Aに対応する位置A1において然らざる部位のそれ(例えば軸方向長さL1(またはL2))よりも大きく形成される如く構成した。
また、前記空間14b,114bは、前記ウェーブジェネレータ14,114の外周面14c,114cまでの半径方向長さhが、前記ウェーブジェネレータ14,114の側面14d,114dまでの軸方向長さrよりも小さく形成される如く構成した。
また、前記空間14b,114bは、軸方向Cにおける中央部付近で、かつ前記ウェーブジェネレータ14,114の外周面14c,114c側の部位に凹部14b1が形成される如く構成した。
また、第1および第3実施例にあっては、前記空間14bは、軸方向Cからの側面視において環状を呈するように形成される如く構成した。
また、第2実施例にあっては、前記空間114bは複数個(2個)形成されると共に、前記複数個の空間114bがそれぞれ軸方向Cからの側面視において円弧形状を呈するように形成される如く構成した。
また、第1から第3実施例にあっては、前記媒体24は非圧縮性を有する素材からなる如く構成した。
また、前記ウェーブジェネレータ14は金属ガラスから製作される如く構成した。
また、前記空間14b,114bは、前記空間14b,114bに封入される媒体24の圧力を調節して前記ウェーブジェネレータを変形自在な圧力調節手段30(ポンプ30a、供給管30b、圧力センサ30c、ECU30d(第3実施例では角度センサ30e、トルクセンサ30f))に接続可能である如く構成した。
尚、上記においては、W/G14に入力軸22を、F/S12に出力軸20を接続するように構成したが、必ずしもそれに限られるものではなく、W/G14に出力軸、F/S12に入力軸を接続する構成であっても良い。その意味から、特許請求の範囲において「入力軸と出力軸の一方に接続自在なフレクスプラインと、・・・前記入力軸と前記出力軸の他方に接続自在なウェーブジェネレータ」と記載した。
また、W/G14の形状を楕円形状に変形させるように構成したが、三角形や四角形などの多角形に変形させるものであっても良く、要はW/G14の変形によってF/S12の歯12dをC/S16の歯16aに部分的に噛合させることができれば、どのような形状であっても良い。
また、ポンプ30aの駆動の停止判断を、第1、第2実施例では媒体24の圧力Pに基づいて、第3実施例ではバックラッシュ量Brに基づいて行うように構成したが、必ずしもそれに限られるものではなく、例えば第2実施例においてバックラッシュ量Brに基づいて行うようにしても良い。さらに、例えば媒体24の圧力Pとバックラッシュ量Brを組み合わせて、ポンプ30aの停止を判断するように構成しても良い。
また、波動歯車装置10の形状をカップ型としたが、その他の形状(例えばシルクハット型やリング型)であっても、本発明を適用することができる。また、各部材の材質などを具体的に示したが、それらは例示であって限定されるものではない。
10,110 波動歯車装置、12 フレクスプライン(F/S)、12d (フレクスプラインの)歯、14,114 ウェーブジェネレータ(W/G)、14b,114b 空間、14b1 凹部、14c,114c (ウェーブジェネレータの)外周面、14d ,114d (ウェーブジェネレータの)側面、16 サーキュラスプライン(C/S)、16a (サーキュラスプラインの)歯、20 出力軸、22 入力軸、24 媒体、30 圧力調節手段、30a ポンプ、30b 供給管、30c 圧力センサ、30d ECU(電子制御ユニット)、30e 角度センサ、30f トルクセンサ、A 噛合部位、A1 (噛合部位Aに対応する)位置
Claims (10)
- 大略円管状を呈して外周面に歯が形成されると共に、入力軸と出力軸の一方に接続自在なフレクスプラインと、大略円管状を呈して前記フレクスプラインの内側に配置されると共に、前記入力軸と前記出力軸の他方に接続自在なウェーブジェネレータと、前記フレクスプラインの外側に配置されると共に、内周面に歯が形成されるサーキュラスプラインとを備え、前記フレクスプラインの歯が前記サーキュラスプラインの歯に部分的に噛合する噛合部位を介して前記フレクスプラインを回転させることで、前記入力軸の回転を減速して前記出力軸に出力する波動歯車装置において、前記ウェーブジェネレータの内部に空間を形成し、前記空間に圧力を調節自在な媒体を封入したことを特徴とする波動歯車装置。
- 前記空間は、前記ウェーブジェネレータの外周面までの半径方向長さhが、前記噛合部位に対応する位置において然らざる部位のそれよりも小さく形成されることを特徴とする請求項1記載の波動歯車装置。
- 前記空間は、軸方向長さLが、前記噛合部位に対応する位置において然らざる部位のそれよりも大きく形成されることを特徴とする請求項1または2記載の波動歯車装置。
- 前記空間は、前記ウェーブジェネレータの外周面までの半径方向長さhが、前記ウェーブジェネレータの側面までの軸方向長さrよりも小さく形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の波動歯車装置。
- 前記空間は、軸方向における中央部付近で、かつ前記ウェーブジェネレータの外周面側の部位に凹部が形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の波動歯車装置。
- 前記空間は、軸方向からの側面視において環状を呈するように形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の波動歯車装置。
- 前記空間は複数個形成されると共に、前記複数個の空間がそれぞれ軸方向からの側面視において円弧形状を呈するように形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の波動歯車装置。
- 前記媒体は非圧縮性を有する素材からなることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の波動歯車装置。
- 前記ウェーブジェネレータは金属ガラスから製作されることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の波動歯車装置。
- 前記空間は、前記空間に封入される媒体の圧力を調節して前記ウェーブジェネレータを変形自在な圧力調節手段に接続可能であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の波動歯車装置。
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