JP2013234971A - 3軸標識計測方法、3軸標識計測プログラム、及び3軸標識計測装置 - Google Patents

3軸標識計測方法、3軸標識計測プログラム、及び3軸標識計測装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本願発明の課題は従来技術の問題を解決することであり、すなわち特別な設備や測量機器を必要とせず容易に計測できる手法であって、しかも屋内計測においてはリアルタイム性を備えた計測手法を提供することである。
【解決手段】本願発明の3軸標識計測方法は、表示手段を有する撮像装置によって、3軸標識を撮像し、この画像に基づいて撮像方向に対する3軸標識の向きを算出する。3軸標識は、基準点、及びこの基準点から伸びる1軸の鉛直軸と2軸は水平軸で構成される。画像上の各々の水平軸と鉛直軸とがなす画像挟角をそれぞれ求めるとともに、2つの水平軸がなす実挟角、及び画像挟角に基づいて、撮像方向の水平面投影方向と水平軸とがなす撮像水平角、及び/又は撮像方向と水平面とがなす撮像鉛直角が算出される。
【選択図】図4

Description

本願発明は、測角を行う技術に関するものであり、より具体的には、トランシットやトータルステーションなど高度な測量機器を用いることなく、カメラなどの撮像装置と3軸線を有する標識によって角度を計測する3軸標識計測方法、3軸標識計測プログラム、及び3軸標識計測装置に関するものである。
旧来、任意点の平面座標を求める場合、トランシットによって測角を行い、テープ等で測距を行って計算するのが一般的であった。近年では、測量機器の技術進歩に伴いトータルステーションが汎用機となり、これ1台で平面座標を求めることができるようになった。
例えば、2以上の既知点があって目標点の座標を求める場合、第一の既知点にトータルステーションを据えて第二の既知点と目標点を睨んで測角を行い、さらに第一の既知点と目標点の距離を測る。次に、第二の既知点にトータルステーションを据えて同様の計測を実施する。この計測により得られた2つの距離と角度、さらに既知点座標を用いれば、目標点の平面座標を算出することができる。これがいわゆる前方交会法と呼ばれる手法である。
あるいは、3以上の既知点があって目標点の座標を求める場合、この目標点にトータルステーションを据えて3以上の既知点を睨み、それぞれの角度と距離を測る。これによって得られた角度と距離、さらに既知点座標を用いれば、目標点の平面座標を算出することができる。これがいわゆる後方交会法と呼ばれる測量手法である。
このように、目標点の座標を求めるという代表的な測量手法においては、角度を測る手順が必須であり、そのため角度を測る測量機器が不可欠であった。ところが、GPS(Global Positioning System)による計測技術の発達により、高精度で座標が求められるようになった結果、現在では角度を測ることのないGPSによる測位が一般的な手法となっている。
一方、屋内ナビゲーションやロボット等の移動制御の発展に伴い、屋内における測位技術の需要が高まっている。ここで求められる屋内測位技術の特徴は、移動に応じて即座に座標を求めるいわゆるリアルタイム性が必要とされることであり、そのためトータルステーション等のような測量機器を用いる計測手法はほとんどの場合採用されない。また、リアルタイム性を考えるとGPSによる測位が好適となるが、衛星からの信号を受信するという性質上、屋内でGPSを利用することはできない。
昨今の技術開発により、リアルタイム性を備えた屋内計測の手法が確立されつつある。その手法を例示すれば、無線LANのアクセスポイントを利用した測位方法(Place Engineなど)、LEDの高速点滅を信号として伝送する可視光通信を利用した測位方法、室内にGPS相当の機器を配置して測位するIMES(Indoor Messaging System)、QRコード(登録商標)やビジュアル・マーカー(ARToolKitなどで利用されるマーカー)やRFIDタグなどから位置情報を取得する測位方法、赤外線通信を利用した測位方法などが挙げられる。
また、搬送機械やロボットなどの移動体を室内で制御することに特化した技術もいくつか提案されている。例えば特許文献1では、室内の床面に多数のドット(黒点)を配置し、そのパターンを画像認識することで、移動体の現在位置を検出する技術を提案している。
特開2010−102585号公報
しかしながら、特許文献1のように床面に多数のドットを配置するのは室内装飾という点では好ましくなく、そもそも床上に多くの家具を配置できないという難点がある。他方、無線LANを利用した測位方法、LEDによる測位方法、IMES、ビジュアル・マーカーやRFIDタグを利用した測位方法などは、いずれも特別な設備を必要とし、費用もさることながらその配置に苦慮することも考えられる。
一方、屋外で計測する場合、GPSによる測位ができない場所では、トランシットやトータルステーションを利用した計測手法に頼ることとなるが、GPS測位に比べると計測の手間は著しく大きくなる。
本願発明の課題は上記問題を解決することであり、すなわち特別な設備や測量機器を必要とせず容易に計測できる手法であって、しかも屋内計測においてはリアルタイム性を備えた計測手法を提供することであり、具体的には3軸標識計測方法、3軸標識計測プログラム、及び3軸標識計測装置を提供することにある。
本願発明は、3軸の軸線のうちの1つの鉛直軸と2つの水平軸を有する3軸標識を利用する点に着目したものであり、この3軸標識を撮像した画像に基づいて角度を測るという従来にはなかった発想に基づいてなされた発明である。
本願発明の3軸標識計測方法は、3軸標識を用いた計測方法であり、撮像工程と演算工程を備えた方法である。撮像工程では、表示手段を有する撮像装置によって、3軸標識を撮像する。演算工程では、撮像工程で得られた画像に基づいて、撮像方向に対する3軸標識の向きを算出する。3軸標識は、基準点、及びこの基準点から異なる方向に伸びる3軸の軸線からなる標識で、3軸の軸線のうちの1軸は略鉛直方向に向く鉛直軸であり、他の2軸は略水平面上にある水平軸である。さらに、撮像装置の表示手段には、鉛直方向を示す基準線、及び撮像装置の光軸を表す光軸点が表示される。なお、撮像工程では、光軸点を基準点に合わせるとともに、基準線を鉛直軸に合わせた状態で、3軸標識が撮像される。また、演算工程では、画像上の各々の水平軸と鉛直軸とがなす画像挟角をそれぞれ求めるとともに、2つの水平軸がなす実挟角、及び画像挟角に基づいて、撮像方向の水平面投影方向と水平軸とがなす撮像水平角、及び/又は撮像方向と水平面とがなす撮像鉛直角が、算出される。
本願発明の3軸標識計測方法は、撮像工程において水平軸の一方が略同一線上にある2以上の3軸標識を略同一の撮像位置で撮像し、演算工程において2以上の3軸標識に対してそれぞれ撮像水平角を算出し、さらに座標算出工程を備えた方法とすることもできる。なお、座標算出工程では、演算工程で求められた2以上の撮像水平角、及び2以上の3軸標識間の距離に基づいて、2以上の3軸標識に対する相対的な撮像位置の座標を求める。
本願発明の3軸標識計測方法は、撮像工程において2以上の3軸標識を略同一の撮像位置で撮像し、演算工程において2以上の3軸標識に対してそれぞれ撮像水平角を算出し、さらに座標算出工程を備えた方法とすることもできる。なお、座標算出工程では、演算工程で求められた2以上の撮像水平角、2以上の3軸標識の水平軸の方向の較差、及び2以上の3軸標識の座標に基づいて、撮像位置の座標を求める。
本願発明の3軸標識プログラムは、3軸標識の画像に基づいて3軸標識の向きを求めるプログラムであり、画像読出し処理、画像挟角算出処理、及び撮像方向算出処理を備えたものである。この3軸標識は、基準点、及びこの基準点から異なる方向に伸びる3軸の軸線からなる標識で、3軸の軸線のうちの1軸は略鉛直方向に向く鉛直軸であり、他の2軸は略水平面上にある水平軸である。画像読出し処理は、3軸標識を撮像した画像を読み出す処理を実行させる。画像挟角算出処理は、画像上の2つの水平軸と鉛直軸を抽出するとともに、画像上の各々の水平軸と鉛直軸とがなす画像挟角をそれぞれ求める処理を実行させる。撮像方向算出処理は、2つの水平軸がなす実挟角及び画像挟角に基づいて、撮像方向の水平面投影方向と水平軸とがなす撮像水平角、及び/又は撮像方向と水平面とがなす撮像鉛直角を算出する処理を実行させる。
本願発明の3軸標識プログラムは、画像読出し処理において2以上の画像を読み出し、これらの画像に基づいて、撮像位置の座標を求める座標算出処理を備えたものとすることもできる。このとき、画像読出し処理で読み出す2以上の画像は、略同一の撮像位置で撮像した画像であって、水平軸の一方が略同一線上に配置された2以上の3軸標識のうちいずれかを撮像した画像である。画像挟角算出処理では、2以上の3軸標識に対してそれぞれ画像挟角を求め、撮像方向算出処理では、2以上の3軸標識に対してそれぞれ撮像水平角を算出する。また、座標算出処理では、2以上の撮像水平角、及び2以上の3軸標識間の距離に基づいて、2以上の3軸標識に対する相対的な撮像位置の座標を求める。
本願発明の3軸標識プログラムは、画像読出し処理において2以上の画像を読み出し、前記とは異なる手法で、撮像位置の座標を求める座標算出処理を備えたものとすることもできる。このとき、画像読出し処理で読み出す2以上の画像は、略同一の撮像位置で撮像した画像である。画像挟角算出処理では、2以上の3軸標識に対してそれぞれ画像挟角を求め、撮像方向算出処理では、2以上の3軸標識に対してそれぞれ撮像水平角を算出する。また、座標算出処理では、2以上の撮像水平角、2以上の3軸標識の水平軸の方向の較差、及び2以上の3軸標識の座標に基づいて、撮像位置の座標を求める。
本願発明の3軸標識計測装置は、3軸標識と撮像装置との組み合わせである。この3軸標識は、基準点、及びこの基準点から異なる方向に伸びる3軸の軸線からなる標識で、3軸の軸線のうちの1軸は略鉛直方向に向く鉛直軸であり、他の2軸は略水平面上にある水平軸である。また、撮像装置は表示手段を有しており、この表示手段は鉛直方向を示す基準線、及び撮像装置の光軸を表す光軸点を表示する。
本願発明の3軸標識計測装置は、3軸標識が水平軸の水平状態を計測する水平計測手段を含むものとすることもできる。
本願発明の3軸標識計測装置は、撮像方向算出手段を具備するものとすることもできる。撮像方向算出手段は、1軸を鉛直方向(鉛直軸)に、他の2軸を水平方向(水平軸)に配置した3軸標識を撮像した画像に基づいて、画像上の2つの水平軸と鉛直軸を抽出するとともに、画像上の各々の水平軸と鉛直軸とがなす画像挟角をそれぞれ求める。さらに、2つの水平軸がなす実挟角、及び画像挟角に基づいて、撮像方向の水平面投影方向と水平軸とがなす撮像水平角、及び/又は撮像方向と水平面とがなす撮像鉛直角を算出する。
本願発明の3軸標識計測方法、3軸標識計測プログラム、及び3軸標識計測装置には、次のような効果がある。
(1)本願発明の3軸標識計測方法は、部屋の隅など既設のものを3軸標識とすることができるうえ、この3軸標識を撮像するだけで、3軸標識に対する撮像方向を特定できるので、極めて容易に計測することができる。
(2)本願発明の3軸標識計測プログラムを利用すれば、屋内でも速やかに計測値を得ることができる。
(3)本願発明の3軸標識計測装置は、3軸標識と撮像装置との組み合わせであるが、3軸標識は1点で交差する3軸からなる簡易な構造であり、しかも撮像装置は市販の多機能携帯電話やデジタルカメラ等を利用できるため、極めて安価で製造することができる。
(4)水平軸が略同一線上に配置された2つの3軸標識を利用し、かつこの2つの3軸標識間距離が既知であれば、2つの3軸標識と撮像位置の位置関係を把握することができる。
(5)2つの3軸標識の座標と、これら3軸標識の向き(水平軸の方向較差)が既知であれば、2つの3軸標識と撮像位置の位置関係を把握することができる。
(a)は室内の一角にある3軸標識を示すモデル図、(b)は2本の水平軸を上方から見た平面図。 専用の3軸標識1の一例を示す斜視図。 室内の3軸標識1を撮像装置3で撮像している状況を示す説明図。 (a)は撮像装置として多機能携帯電話を利用した場合の表示手段を示すモデル図、(b)はその表示手段に風景を表示した状態を示すモデル図。 (a)は、撮像装置で3軸標識(入り隅コーナー部)を撮像している状態を示すモデル図、(b)は(a)の状態で撮像したとき、光軸方向に対して直交する平面を模式的に示したモデル図。 2つの画像挟角、及び撮像水平角との関係式を導く過程を説明するモデル図。 光軸方向に対して直交する平面を含む図形の幾何形状を説明するモデル図。 (a)は水平軸の方向が同一直線状となるように配置された2つの3軸標識を用いて、撮像位置の座標を求める状況を示すモデル図、(b)は水平軸の方向が所定較差となるように配置された2つの3軸標識を用いて、撮像位置の座標を求める状況を示すモデル図。
本願発明の3軸標識計測方法、3軸標識計測プログラム、及び3軸標識計測装置の実施形態の一例を、図に基づいて説明する。
(全体概要)
本願発明は、3軸標識を用いて角度を計測するもので、より詳しくは3軸標識の画像に基づいて測角を行うものである。ここで3軸標識とは、例えば室内の隅(以下、「コーナー部」という。)のように、異なる方向に伸びる3軸線と、これら3軸線が交差する頂点(基準点)で構成される。なお、この3軸線のうち1軸は鉛直方向に伸びる「鉛直軸」、残りの2軸は鉛直軸に直交する平面上にある「水平軸」である。本願発明で計測する角度は、撮像装置から3軸標識の基準点を睨んだ方向(以下、「撮像方向」という。)と、3軸標識の鉛直軸や水平軸とがなす角度である。以下、要素ごとに詳述する。
(3軸標識)
3軸標識は、一つの基準点と、異なる方向に伸びる3軸の軸線で構成される。これら3軸の軸線のうち1軸は略鉛直(鉛直含む)方向に伸びる鉛直軸で、残りの2軸は略水平(水平含む)方向の伸びる水平軸であり、鉛直線、水平線いずれも基準点を通過する。すなわち2本の水平軸は、鉛直軸に直交する平面上にある。
3軸標識は、本願発明のため専用のものを作成してもよいが、既設のものを利用することもできる。図1(a)は、室内の一角にある3軸標識1を示すモデル図である。この図では、入り隅の天井側と床面側、出隅の天井側と床面側の4か所のコーナー部を3軸標識として採用することができる。この場合、2つの壁面が交わって形成される軸線が鉛直軸1vとなり、天井面(あるいは床面)と壁面が交わって形成される軸線が水平軸1hとなり、さらにコーナーの頂点が基準点1cとなる。
上記のとおり、水平軸は鉛直軸と直交する平面上にあるため、当然ながらそれぞれの水平軸は鉛直軸と直角で交わっている。ただし、必ずしも2本の水平軸1hは直交する必要はない。図1(b)は、2本の水平軸1hを上方から見た平面図であり、この図に示すように2本の水平軸がなす挟角(以下、現実の挟角という意味で「実挟角」という。)γは、90度に限らず任意の角度を選択することができる。ただし、計測精度を考えると実挟角γは90度、または90度に近い角度を選択するのが望ましい。
3軸標識1は、本願発明のため専用のものを作成することもできる。3軸標識1は、3本の線状材料を1点で固定するだけで作成できるので、材料費や製作手間がかからず極めて容易に作成できる。しかも、持ち運びが可能となるので、室内に限らず屋外など任意の場所に設置して利用することができる。
図2は、専用の3軸標識1の一例を示す斜視図である。この3軸標識1は、鉄筋やなまし鉄線(いわゆる番線)などを軸線として利用しており、1本の軸線(主軸)に対して残りの2本の軸線(従軸)を直交させたうえで、3本の軸線を1点で固定している。主軸が鉛直方向に向くように設置すれば、2本の従軸は水平方向に向き、3軸標識1として使用できる。すなわち、主軸が鉛直軸1vとなり、2本の従軸が水平軸1hとなり、3本の軸線を固定している点が基準点1cとなる。
専用の3軸標識1は、自立する構造としてもよいし、図2に示すように三脚2を利用して設置することもできる。なお3軸標識1は、鉛直軸1が鉛直方向となるように設置する必要があるので、3軸標識1の水平状態を計測する手段(水平計測手段)を備えると好適である。この水平計測手段としては、水平器など従来から用いられている技術を利用することができる。
(撮像装置)
図3は、室内の3軸標識1を撮像装置3で撮像している状況を示す説明図である。3軸標識1は、3軸標識1を撮像した画像を取得できるものであり、カメラ、ビデオ、多機能携帯電話(いわゆるスマートフォン)、あるいはこれらを搭載した機器などあらゆる物を利用できる。また、デジタル形式の画像を取得する撮像装置3(以下、単に「デジタル形式の撮像装置3」という。)に限らず、アナログ形式の画像を取得する撮像装置3(以下、単に「アナログ形式の撮像装置3」という。)を利用することもできるが、後に説明する後続の処理を考えるとデジタル形式の撮像装置3のほうが望ましい。
本願発明に利用する撮像装置3は、ディスプレイなどの表示手段を備えており、この表示手段には「光軸点」と「基準線」が表示される。図4は、撮像装置3として多機能携帯電話を利用した場合の表示手段3dを示すモデル図で、(a)は風景を表示しない状態、(b)は風景を表示した状態を示している。
図4(a)に示すように、表示手段3dの中央付近には光軸点4が表示され、この光軸点4から伸びるように(あるいは光軸点4を通るように)基準線5が表示される。光軸点4は、撮像装置3の光軸(レンズ中心を通過する線)が表示手段3d上のどこであるかを指し示すものであり、点を表すことができれば図に示す「×」に限らず、他の印を用いることができる。なお、光軸点4は必ずしも表示手段3dの中心になるとは限らず、使用する撮像装置3によって異なるので、撮像装置3の諸元に基づいて適切な位置に表示する必要がある。
基準線5は所定長さの線分で示され、図に示す実線としてもよいし、破線や一点鎖線など他の線種を用いることもできる。基準線5の長さは適宜設計できるが、その方向が分かる程度に長く、表示される風景の妨げとならない程度に短くすることが望ましい。
表示手段3dに、光軸点4と基準線5を表示させる手法は適宜設計することができる。例えば、光軸点4と基準線5をシールとして作成し、これを表示手段3dに貼付するなど、いわば外部的処理によって表示手段3dに表示させることができる。あるいは、撮像装置3として多機能携帯電話などを利用した場合、光軸点4と基準線5を表示するプログラムを搭載して、これを実行させるなど、いわば内部的処理によって表示手段3dに表示させることもできる。
(撮像工程)
撮像装置3で、3軸標識1を撮像するのが撮像工程である。このとき、図4(b)に示すように、光軸点4を基準点1cに合わせ、かつ基準線5を鉛直軸1vに合わせた状態で撮像する。撮像する際には、撮像者が撮像装置3を手に持って撮像してもよいし、図3に示すように三脚2にセットして撮像することもできる。後に説明するように、略同位置で異なる2以上の3軸標識1を撮像する場合は、三脚2などを利用して撮像することが望ましい。
撮像工程で取得された画像は、コンピュータのハードディスクやCD−ROMといった記憶媒体である記憶手段に、コンピュータで処理可能なデータ形として記憶させることもできる。したがって、デジタル形式の撮像装置3であれば、そのままの形式で画像を記憶させることができるが、アナログ形式の撮像装置3を利用した場合は、アナログ形式の画像をいったんデジタル形式の画像に変換したうえで記憶させることとなる。
(演算工程)
撮像工程で取得された画像に基づいて、撮像方向と水平軸1h(あるいは鉛直軸1v)がなす角度を算出するのが演算工程である。この工程は、プログラムを用いてコンピュータに処理させることもできる。演算工程で処理する主な内容を、順を追って説明する。
取得した画像には、3軸標識1が表示されており、鉛直軸1vと2本の水平軸1hが写されている。この画像上に表示された鉛直軸1vとそれぞれの水平軸1hがなす挟角(以下、画像上の挟角という意味で「画像挟角」という。)を求める。ここでは便宜上、一方の水平軸1hにより求められたものを「画像挟角α」、他方の水平軸1hにより求められたものを「画像挟角β」とする。
画像挟角αと画像挟角βは、画像から分度器などを用いて直接することで取得してもよいし、コンピュータで処理可能なデータ形として記憶させた場合、コンピュータ処理によって角度を取得する(画像挟角算出処理)こともできる。例えば、従来技術を用いた画像処理によって鉛直軸1vと水平軸1hを抽出し、これらを図形化や数値化することで角度を計測することができる。
つぎに、2本の水平軸がなす実挟角γを用意する。実挟角γが既知の場合はその値を利用し、未知の場合は計測してその値を取得する。画像挟角αと画像挟角β、及び実挟角γが得られれば、撮像方向と水平軸1hや鉛直軸1v)がなす角度は、幾何学的に算出することができる(撮像方向算出処理)。その算出過程を図5〜図7に基づいて説明する。なお説明の便宜上、撮像方向を水平面に投影した方向を「撮影水平方向」、この撮影水平方向と水平軸1hがなす角を「撮像水平角」、撮像方向と水平面とがなす角を「撮像鉛直角」という。さらに、一方の水平軸1h(画像挟角α側)と撮影水平方向がなす角度を撮像水平角θ、他方の水平軸1h(画像挟角β側)と撮影水平方向がなす角度を撮像水平角ω、撮像鉛直角はδで表す。したがって、実挟角γ=撮像水平角θ+撮像水平角ωが成立し、直角(90度)から撮像鉛直角δを引いた値が、撮像方向と鉛直軸1vがなす角度となる。
図5(a)は、撮像装置3で3軸標識1(入り隅コーナー部)を撮像している状態を示すモデル図である。この図では、撮像装置3における光軸中心を点P、3軸標識1の基準点1cを点Aで表している。すなわち、点Pと点Aを結ぶ方向が光軸方向(光軸PA)である。通常、撮像装置で撮像した結果得られる画像は、光軸方向に対して直交する平面(以下、単に「直交平面」という。)に投影されたものである。図5(a)の状態で撮像したときの直交平面を、模式的に示したのが図5(b)である。
図5(b)に示すように、直交平面と水平軸1hが交差する点を点Bと点Cで表し、直交平面と鉛直軸1vが交差する点を点Eで表している。すなわち、三角形BCEは直交平面の一部であり、撮像投影面の一部である。また、光軸PAと三角形BCEが交差する点を、点Oとしている。さらに、光軸PAを含む鉛直面と、線分ABが交差する点を、点Dとしている。
以上の記号を用いて説明すれば、三角形BCEを含む平面が画像に表示される面であり、鉛直軸1v(線分AE)を画像上に表示したのが線分DO、一方の水平軸1h(線分AB)を画像上に表示したのが線分DB、他方の水平軸1h(線分AC)を画像上に表示したのが線分DCである。さらに、画像挟角αは∠BODで、画像挟角βは∠CODで表わされる。
図6は、画像挟角αと画像挟角β、及び撮像水平角θ(撮像水平角ω)との関係式を導く過程を説明するモデル図である。この図に示す三角形BDOと三角形CDOは、既述のとおり画像に表示された形状である。画像挟角αと画像挟角β、並びに実挟角γが既知であれば、水平角θや撮像水平角ωを求めることができ、その結果、撮像鉛直角δを求めることができるのは、この図によって説明することができる。この図の説明を行う前に、図5(b)における形状を明らかにすべく、図7を説明する。
図7は、直交平面を含む図形の幾何形状を説明するモデル図である。この図に示す符号は、図5(b)と一致している。三角形AOD、三角形AOB、三角形BODが直角三角形であることは明らかであるから、当然に式7、式8、式9が成り立つ。したがって式10も成立し、三角形ADBが直角三角形であることがわかる。
三角形ADBが直角三角形であることから、図6に示す式1、式2が成り立つのは明らかである。また、三角形AODと式2から、式3も成り立つ。したがって、三角形BDO、及び式1、式3から、式4が導かれる。式4の過程をたどれば同様に式5が導かれ、式4と式5によって、式6が導かれることとなる。式6のうち、画像挟角αと画像挟角β、並びに実挟角γは既知であるので、有意な撮像水平角θは容易に求められる。ちなみに、実挟角γが90度のときは、(tanθ)=tanα/tanβが成立する。一方の撮像水平角θが定まれば、他方の撮像水平角ωも容易に求めることができる(実挟角γ=撮像水平角θ+撮像水平角ω)。さらに、撮像水平角θや撮像水平角ωが分かれば、式4や式5を使って簡単に撮像鉛直角δを求めることもできる。
既述のとおり、これまでに説明した内容は撮像方向算出処理や画像挟角算出処理を実行させるプログラムとし、コンピュータに処理させることができる。例えば、撮像装置3が多機能携帯電話のような携帯型端末機であれば、撮像装置3に前記プログラムを搭載させることもできる。
(座標算出工程)
角度を計測することができれば、撮像した位置の平面座標(x,y)を求めることもできる。例えば、正弦定理を利用した前方交会法によって平面座標を求める計測が例示できる。図8(a)では、2つの3軸標識1が設置され、しかもこれらの3軸標識1の水平軸1hが同一直線上となるように配置されている。水平軸1hが水平方向に伸びていることを考えれば、2つの3軸標識1の基準点1cが同じ高さに設置されていることもわかる。これは、室内のコーナー部などでよく見られる状態である。
2つの3軸標識1間の距離(詳しくは基準点1c間の距離)が分かれば、2つの3軸標識に対する相対的な撮像位置を求めることができる。この場合、同じ撮像位置で2つの3軸標識1を撮像し、それぞれの撮像水平角θ(撮像水平角ω)を求める。そして、一方の基準点1cの位置を原点とし、2つの基準点1cを結ぶ方向をX軸として、他方の基準点1cの平面座標を求める。2つの基準点1cの平面座標が定まり、2つの撮像水平角θ(撮像水平角ω)を用いれば、前方交会法によって撮像位置の平面座標を求めることができる。もちろん、あらかじめ2つの基準点1cの絶対平面座標(世界測地系など)が既知であれば、撮像位置の絶対平面座標を求めることができる。この撮像位置の平面座標を求める処理(座標算出処理)は、プログラムを用いてコンピュータに処理させることもできる。
あらかじめ2つの基準点1cの平面座標が既知であれば、2つの3軸標識1の水平軸1hが同一直線上となるように配置されなくても、撮像位置の平面座標を求めることができる。ただしこの場合、2つの水平軸1hの方向の較差εを得る必要がある。図8(b)は、水平軸1hの方向が較差εとなるように配置された2つの3軸標識1を用いて撮像位置の座標を求める状況を示すモデル図である。2つの基準点1cの座標が分かれば、2つの基準点1c間の距離も容易に求められる。2つの水平軸1hの方向が交差したときの挟角である較差εが既知であれば、一方の3軸標識1で求めた撮像水平角θ(撮像水平角ω)を、他方の水平軸1hの方向を基準とした角度に変換することができる。これにより、図8(a)で説明したのと同様の手法(前方交会法)によって、撮像位置の平面座標を求めることができるわけである。なおこの場合、2つの3軸標識1(基準点1c)は、同じ高さで設置してもよいし、異なる高さに設置してもよい。またこの場合も、撮像位置の平面座標を求める処理をプログラムとし、コンピュータに処理させることもできる。
撮像位置の座標を求める座標算出工程を説明するために上記2例では、2つの基準点1cを設置した場合で説明した。しかしながら、3以上の基準点1cが設置された場合でも同様に実施できるのは言うまでもなく、3以上のうち2つの基準点1cの測角を用いて処理してもよいし、3以上の基準点1cの測角を用いて処理することもできる。
本願発明の3軸標識計測方法、3軸標識計測プログラム、及び3軸標識計測装置は、屋内、屋外を問わず利用でき、GPS計測が実施不可能な場所や、トータルステーションやトランシットなどの搬入が難しい場所でも利用することができる。さらに、屋内(あるいは屋外)のナビゲーションや、ロボット等の移動制御にも応用することができる。
1 3軸標識
1c 基準点
1h 水平軸
1v 鉛直軸
2 三脚
3 撮像装置
3d (撮像装置の)表示手段
4 光軸点
5 基準線

Claims (9)

  1. 基準点、及び該基準点から異なる方向に伸びる3軸の軸線からなる3軸標識を用いた3軸標識計測方法であって、
    表示手段を有する撮像装置によって、前記3軸標識を撮像する撮像工程と、
    前記撮像工程で得られた画像に基づいて、撮像方向に対する前記3軸標識の向きを算出する演算工程と、を備え、
    前記3軸の軸線のうちの1軸は略鉛直方向に向く鉛直軸であって、他の2軸は略水平面上にある水平軸であり、
    さらに前記表示手段には、鉛直方向を示す基準線、及び前記撮像装置の光軸を表す光軸点が表示され、
    前記撮像工程では、前記光軸点を前記基準点に合わせるとともに、前記基準線を前記鉛直軸に合わせた状態で、前記3軸標識を撮像し、
    前記演算工程では、前記画像上の各々の水平軸と鉛直軸とがなす画像挟角をそれぞれ求めるとともに、前記2つの水平軸がなす実挟角、及び該画像挟角に基づいて、前記撮像方向の水平面投影方向と前記水平軸とがなす撮像水平角、及び/又は前記撮像方向と水平面とがなす撮像鉛直角を、算出することを特徴とする3軸標識計測方法。
  2. 前記撮像工程では、前記水平軸の一方が略同一線上にある2以上の前記3軸標識を、略同一の撮像位置で撮像し、
    前記演算工程では、前記2以上の3軸標識に対してそれぞれ前記撮像水平角を算出し、
    さらに、前記演算工程で求められた前記2以上の撮像水平角、及び前記2以上の3軸標識間の距離に基づいて、前記2以上の3軸標識に対する相対的な前記撮像位置の座標を求める座標算出工程を、備えたことを特徴とする請求項1記載の3軸標識計測方法。
  3. 前記撮像工程では、2以上の前記3軸標識を、略同一の撮像位置で撮像し、
    前記演算工程では、前記2以上の3軸標識に対してそれぞれ前記撮像水平角を算出し、
    さらに、前記演算工程で求められた前記2以上の撮像水平角、前記2以上の3軸標識の水平軸の方向の較差、及び前記2以上の3軸標識の座標に基づいて、前記撮像位置の座標を求める座標算出工程を、備えたことを特徴とする請求項1記載の3軸標識計測方法。
  4. 基準点、及び該基準点から異なる方向に伸びる3軸の軸線からなる3軸標識の画像に基づいて、撮像方向に対する該3軸標識の向きを求める処理を、コンピュータに実行させる3軸標識計測プログラムであって、
    前記3軸の軸線のうちの1軸は略鉛直方向に向く鉛直軸であって、他の2軸は略水平面上にある水平軸であり、
    前記3軸標識を撮像した前記画像を読み出す画像読出し処理と、
    前記画像から、画像上の前記2つの水平軸と前記鉛直軸を抽出するとともに、前記画像上の各々の水平軸と鉛直軸とがなす画像挟角をそれぞれ求める画像挟角算出処理と、
    前記2つの水平軸がなす実挟角、及び前記画像挟角に基づいて、撮像方向の水平面投影方向と前記水平軸とがなす撮像水平角、及び/又は前記撮像方向と水平面とがなす撮像鉛直角を、算出する撮像方向算出処理と、を前記コンピュータに実行させる機能を有することを特徴とする3軸標識計測プログラム。
  5. 前記画像読出し処理では、2以上の前記画像を読み出し、
    前記画像読出し処理で読み出す2以上の前記画像は、略同一の撮像位置で撮像した画像であって、前記水平軸の一方が略同一線上に配置された2以上の前記3軸標識のうちいずれかを撮像した画像であり、
    前記画像挟角算出処理では、前記2以上の3軸標識に対してそれぞれ前記画像挟角を求め、
    前記撮像方向算出処理では、前記2以上の3軸標識に対してそれぞれ前記撮像水平角を算出し、
    さらに、前記撮像方向算出処理で算出された前記2以上の撮像水平角、及び前記2以上の3軸標識間の距離に基づいて、前記2以上の3軸標識に対する相対的な前記撮像位置の座標を求める座標算出処理と、を前記コンピュータに実行させる機能を有することを特徴とする請求項4記載の3軸標識計測プログラム。
  6. 前記画像読出し処理では、2以上の前記画像を読み出し、
    前記画像読出し処理で読み出す2以上の前記画像は、略同一の撮像位置で撮像した画像であり、
    前記画像挟角算出処理では、前記2以上の3軸標識に対してそれぞれ前記画像挟角を求め、
    前記撮像方向算出処理では、前記2以上の3軸標識に対してそれぞれ前記撮像水平角を算出し、
    さらに、前記撮像方向算出処理で算出された前記2以上の撮像水平角、前記2以上の3軸標識の水平軸の方向の較差、及び前記2以上の3軸標識の座標に基づいて、前記撮像位置の座標を求める座標算出処理と、を前記コンピュータに実行させる機能を有することを特徴とする請求項4記載の3軸標識計測プログラム。
  7. 基準点、及び該基準点から異なる方向に伸びる3軸の軸線からなる3軸標識と、
    表示手段を有する撮像装置と、の組み合わせであって、
    前記軸線のうちの第1軸は、前記軸線のうちの第2軸と直交するとともに、前記軸線のうちの第3軸と直交し、
    前記表示手段は、鉛直方向を示す基準線、及び前記撮像装置の光軸を表す光軸点を表示することを特徴とする3軸標識計測装置。
  8. 前記3軸標識が、前記第2軸及び第3軸で形成される面の水平状態を計測する水平計測手段を含むことを特徴とする請求項7記載の3軸標識計測装置。
  9. さらに撮像方向算出手段を具備し、
    前記撮像方向算出手段は、
    前記第1軸が略鉛直姿勢となるように配置した前記3軸標識を、前記撮像装置で撮像した画像に基づいて、画像上の前記第1軸、前記第2軸、及び第3軸を抽出するとともに、
    前記画像上の前記第1軸と前記第2軸とがなす画像挟角、及び前記画像上の前記第1軸と前記第3軸とがなす画像挟角をそれぞれ求め、
    さらに前記第2軸と第3軸とがなす実挟角、及び前記画像挟角に基づいて、撮像方向の水平面投影方向と前記第2軸又は第3軸とがなす撮像水平角、及び/又は前記撮像方向と水平面とがなす撮像鉛直角を、算出することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の3軸標識計測装置。
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