JP2013234504A - 既設トンネルの拡幅装置及び拡幅工法 - Google Patents

既設トンネルの拡幅装置及び拡幅工法 Download PDF

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Abstract

【課題】装置のコンパクト化によりコストダウンが図れると共に汎用性に優れた既設トンネルの拡幅装置及び拡幅工法を提供する。
【解決手段】既設トンネル10のエントランス11内をトンネルの径方向へ前進可能な装置本体13と、装置本体を前進させるべく既設トンネル内に設置される推進ジャッキ14と、装置本体内を仕切る隔壁17にシール装置19A,19Bを介して上下方向への揺動と左右方向への移動が可能に貫通支持された伸縮可能なカッター支持筒18A,18Bと、カッター支持筒を上下方向へ揺動可能に枢支しつつ装置本体に左右方向への移動が可能に支持されたサドル部材20A,20Bと、カッター支持筒を揺動させるスイングジャッキ25と、サドル部材を移動させるスライドジャッキ26a,26bと、カッター支持筒の先端部に取着されたドラムカッター27A,27Bと、隔壁前方の装置本体内の掘削土砂を取り込む排出コンベア35とを備えた。
【選択図】図1

Description

本発明は、既設トンネルの断面を一部拡幅する既設トンネルの拡幅装置及び拡幅工法に関するものである。
道路トンネルの分岐・合流部や非常駐車帯等を構築する際には、既設トンネルの断面を一部拡幅させる(例えばφ約12m→φ約18m)必要がある。このような拡幅工法として、従来、例えば、図7に示すようなものがある(特許文献1参照)。
これは、セグメント切拡げ工法であって、先ず、同図(a)に示したように、一次覆工時に刃口セグメントfを含む特殊セグメントgを組み込んでおき、次いで、同図(b)に示したように、刃口セグメントfに泥水還流装置(図示せず)を取り付け、掘削機本体hを定位置にセットする。
次いで、同図(c)に示したように、拡張装置付きカッターiを刃口セグメントfに貫入し、泥水掘削をしながらボックスフレームjを所定の位置まで圧入していって拡幅する。
この拡幅は1リング毎に行ない、反対側も同様に行って、最後にボックスフレームjの側板を撤去し、二次覆工kにより同図(d)に示したような拡巾トンネルを構築するのである。
特開昭59−88598号公報
ところが、前述したような拡幅工法にあっては、拡張装置付きカッターiが掘削機本体hに対し拡張装置により単に進退可能に設けられているため、拡副部の掘削範囲は拡張装置付きカッターiの大きさ及び個数によって決まり、大きな掘削範囲が必要な場合は拡張装置付きカッターiをそれだけ大径化したり個数を増大したりしなければならず、装置が大掛かりになってコストアップを招来するという問題点があった。
本発明は、このような実情に鑑み提案されたもので、装置のコンパクト化によりコストダウンが図れると共に汎用性に優れた既設トンネルの拡幅装置及び拡幅工法を提供することを目的とする。
斯かる目的を達成するための本発明に係る既設トンネルの拡幅装置は、
既設トンネルの内壁に設置されたエントランス内をトンネルの径方向へ少なくとも前進可能な筒状の装置本体と、
前記装置本体を前進させるべく前記既設トンネル内に設置される複数本の推進ジャッキと、
前記装置本体内を前後方向へ仕切る隔壁にシール装置を介して上下方向へ揺動可能でかつ左右方向へ移動可能に貫通支持された伸縮可能なカッター支持筒と、
前記カッター支持筒の隔壁後方の筒軸方向中間部を上下方向へ揺動可能に枢支しつつ装置本体に左右方向へ移動可能に支持されたサドル部材と、
前記カッター支持筒を上下方向に揺動させる第1の駆動手段と、
前記サドル部材を左右方向に移動させる第2の駆動手段と、
前記カッター支持筒の隔壁前方に位置する先端部に取着されたドラムカッターと、
前記隔壁に吸込口を貫通させて隔壁前方の装置本体内の掘削土砂を取り込む排出コンベアと、
を備えたことを特徴とする。
また、
前記シール装置は、
前記カッター支持筒の上下方向の揺動と左右方向の移動を許容する開口を有して前記隔壁に空けられた取付孔に固定された円弧状のガイド板と、
前記ガイド板の裏面に摺接されて同ガイド板の開口を常時閉塞し得ると共に、その中央部に設けた球面軸受部と前記カッター支持筒外周に設けた球形のジャーナル部とで同カッター支持筒を貫通支持する閉塞板と、
前記閉塞板の裏面を装置本体側から常時前方へ押圧するガイドフレームと、
からなることを特徴とする。
また、前記ガイドフレームは油圧ジャッキにより押圧されることを特徴とする。
また、
前記カッター支持筒及びドラムカッターは前記隔壁にトンネル高さ方向に複数段に亘って設けられることを特徴とする。
斯かる目的を達成するための本発明に係る既設トンネルの拡幅工法は、
前記既設トンネルの拡幅装置を用いて既設トンネルを拡幅する際に、装置本体と推進ジャッキとの間にリング状の覆工部材を継ぎ足しながら当該装置本体を前進させることを特徴とする。
本発明に係る既設トンネルの拡幅装置によれば、カッター支持筒の伸長に加えて上下方向の揺動と左右方向の移動によりドラムカッターによる掘削範囲の増大が図られるので、ドラムカッターの大きさ及び個数の削減が可能となり、装置のコンパクト化によりコストダウンが図れる。また、閉塞板はその中央部に設けた球面軸受部とカッター支持筒外周に設けた球形のジャーナル部とでカッター支持筒を貫通支持するので、シール性を保持しつつカッター支持筒の上下方向の揺動と左右方向の移動を簡単な構造で許容することができる。
本発明に係る既設トンネルの拡幅工法によれば、カッター支持筒の伸縮如何に拘わらず装置本体を任意に前進させて拡幅長さの増大が図れ、汎用性が高まる。
本発明の一実施例を示す拡幅装置の側断面図である。 拡幅装置の正面図である。 拡幅装置の要部拡大斜視図である。 ドラムカッターの左右方向移動の作用説明図である。 図4の(b)のV−V線断面図である。 ドラムカッターの上下方向揺動の作用説明図である。 従来の拡幅工法の説明図である。
以下、本発明に係る既設トンネルの拡幅装置及び拡幅工法を実施例により図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例を示す拡幅装置の側断面図、図2は拡幅装置の正面図、図3は拡幅装置の要部拡大斜視図、図4はドラムカッターの左右方向移動の作用説明図、図5は図4の(b)のV−V線断面図、図6はドラムカッターの上下方向揺動の作用説明図である。
図1及び図2に示すように、断面が円形の既設トンネル10の内壁一部(拡幅部)に断面が矩形(縦長)のエントランス11が設置され、このエントランス11の内周面にはエントランスパッキン12が取着されている。
そして、エントランス11内には、当該エントランス11と断面形状が相似形の筒状の装置本体13が既設トンネル10の径方向(図1中左右方向)へ前進(及び後退)可能に嵌装される。この装置本体13を前進させる複数本の推進ジャッキ14が既設トンネル13内の架台15上に反力受けとなる支持枠16を介して横向きに設置される。
前記装置本体13には、当該装置本体13内を前後方向へ仕切る隔壁17が設けられ、この隔壁17に上,下二段に亘ってカッター支持筒18A,18Bがそれぞれシール装置19A,19Bを介して貫通支持される。
そして、前記各カッター支持筒18A,18Bは、その隔壁17後方の筒軸方向中間部にて上下方向への揺動が可能にサドル部材20A,20Bに枢支(枢支点O1,O2参照)されている。
前記各サドル部材20A,20Bは、図3に示すように、左右一対の倒T字状のブラケット21a,21bとこれらブラケット21a,21bの上端部間と下端部間を連結する上下一対のガイド筒22a,22bとからなり、これらガイド筒22a,22bが装置本体13の左右両部間に水平に架設された上下一対の支軸23a,23b上をそれぞれスライド(左右方向への移動が)可能に嵌装されている。
また、前記各カッター支持筒18A,18Bは、内筒24aと外筒24bとからなる二重筒で形成され、図示しない伸縮機構により内筒24aが外筒24bに対して伸縮可能になっている。
そして、前記各カッター支持筒18A,18Bにおける外筒24bの隔壁17後方の筒軸方向中間部と前記各サドル部材20A,20Bにおける上ガイド筒22aとの間に、各カッター支持筒18A,18Bを上下方向に揺動させるスイングジャッキ(第1の駆動手段)25が介装されると共に、前記各サドル部材20A,20Bにおける上下一対のガイド筒22a,22bと装置本体13との間に、各サドル部材20A,20Bを左右方向に移動させる上下一対のスライドジャッキ(第2の駆動手段)26a,26bが介装される。
また、前記隔壁17前方に位置する内筒24aの先端部に、装置本体13の前進方向に沿った垂直面内で回転する(図1中反時計方向に回転する)ドラムカッター(通称パドルカッター)27A,27Bが取着される。
このドラムカッター27A,27Bは、内蔵された図示しないモータで回転可能になっているが、カッター支持筒18A,18B側に設けたモータの回転力がギア機構等の動力伝達手段を介して伝達されることで回転する構成でも良い。
前記シール装置19A,19Bは、各カッター支持筒18A,18Bの上下方向の揺動と左右方向の移動を許容する開口28aを有して前記隔壁17に空けられた上下一対の取付孔17a,17bの縁部にそれぞれ固定された円弧状のガイド板28と、このガイド板28の裏面に摺接されて同ガイド板28の開口28aを常時閉塞し得ると共に、その中央部に設けた球面軸受部29とカッター支持筒18A,18Bにおける外筒24bの外周に設けた球形のジャーナル部30とでカッター支持筒18A,18Bを貫通支持する円弧状の閉塞板31(前記ガイド板28と同じ曲率半径を有する)と、この閉塞板31の裏面を装置本体13側から常時前方へ押圧するガイドフレーム32とからなる。
図示例では、前記ガイドフレーム32は四角枠状に形成されてその背後に取り付けられた複数本の油圧ジャッキ33を介して装置本体13側に固設された取付板34側から常時閉塞板31の裏面側を押圧して当該閉塞板31の表面側をガイド板28の裏面側に圧接させている。
そして、前記隔壁17の図1中下部に吸込口35aを貫通させて隔壁17前方の装置本体13内の掘削土砂を取り込む排出コンベア35が装置本体13内の左,右両部に二本設置される。
このように構成されるため、既設トンネル10の所定の拡幅部位を拡幅する際には、先ず、予め既設トンネル10の内壁に設置されたエントランス11内に拡幅装置の装置本体13を嵌装する。この装置本体13の嵌装前後に必要に応じて既設トンネル10の拡幅部40における既設の覆工部材(セグメント等)を取り除く。
次に、装置本体13内に、ドラムカッター27A,27B付きのカッター支持筒18A,18Bを、シール装置19A,19B及びサドル部材20A,20Bを介して、スイングジャッキ25とスライドジャッキ26a,26bと共に組み付けると共に、排出コンベア35をセットする。
その後、既設トンネル10内に設置した架台15上に支持枠16を介して複数本の推進ジャッキ14を取り付けて拡幅のための準備が終了する。
この準備が終了した状態から、各ドラムカッター27A,27Bを図示しないモータ駆動により回転させると共にスイングジャッキ25の伸縮により各カッター支持筒18A,18Bを枢支点O1,O2を中心に上下方向に揺動させながら、図示しない伸縮機構により各カッター支持筒18A,18B(厳密には内筒24a)を適宜伸長させて拡幅部位における切羽の掘削を開始する。
各カッター支持筒18A,18Bを最大限に伸長して、例えば、図6の(a)〜(c)に示すような鉛直面における掘削断面Dでの掘削が終了したら、今度は、各ドラムカッター27A,27Bの回転、揺動を停止して各カッター支持筒18A,18Bを収縮し、各ドラムカッター27A,27Bを既設トンネル10内に引き込む。
この状態から、スライドジャッキ26a,26bを例えば収縮し、サドル部材20A,20Bを介して各カッター支持筒18A,18Bを左方向へ移動させた後、上述した掘削方法と同様の掘削方法で掘削することで、図4の(a)に示すように、水平面内での掘削エリアを左右方向へAからBへと拡大できる一方、この後スライドジャッキ26a,26bを例えば伸長し、サドル部材20A,20Bを介して各カッター支持筒18A,18Bを右方向へ移動させた後、上述した掘削方法と同様の掘削方法で掘削することで、図4の(b)に示すように、水平面内での掘削エリアを左右方向へA+BからCへと拡大できる。
掘削された土砂は装置本体13内の下部に取り込まれ、取り込まれた掘削土砂は排出コンベア35により装置本体13外に排出され、図示しない排出手段により外部に排出される。この際、隔壁17におけるカッター支持筒18A,18Bの貫通部は、シール装置19A,19Bのガイド板28における開口28aが、図4〜図6に示すように、カッター支持筒18A,18Bの上下方向の揺動及び左右方向の移動の下にあっても、閉塞板31の球面軸受部29とカッター支持筒18A,18Bの球形のジャーナル部30との係合により、閉塞板31で常時閉塞されるので、既設トンネル10内への浸水等は確実に阻止される。また、エントランス11においては、エントランスパッキン12により、既設トンネル10内への浸水等は確実に阻止される。
この後、全ての推進ジャッキ14を伸長させて装置本体13を前進させ、掘削を推し進めることで所定の長さの拡幅部40が掘削される。即ち、既設トンネル10の拡幅部位において所定の幅に亘って拡幅されるのである。この際、全ての推進ジャッキ14の最大ストローク後、所要の推進ジャッキ14を一本毎あるいは数本纏めて順次収縮し、これにより出来た装置本体13との間隙に押管等(リング状の覆工部材)を挿入することで、拡幅部40長さの増大を図っても良い。
このように本実施例によれば、カッター支持筒18A,18Bの伸長に加えて上下方向の揺動と左右方向の移動によりドラムカッター27A,27Bによる掘削範囲の増大が図られるので、ドラムカッター27A,27Bの大きさ及び個数の削減が可能となり、拡幅装置のコンパクト化によりコストダウンが図れる。
また、閉塞板31はその中央部に設けた球面軸受部29とカッター支持筒18A,18B外周に設けた球形のジャーナル部30とでカッター支持筒18A,18Bを貫通支持するので、シール性を保持しつつカッター支持筒18A,18Bの上下方向の揺動と左右方向の移動を簡単な構造で許容することができる。
また、カッター支持筒18A,18Bの伸縮如何に拘わらず、押管等を挿入あるいは継ぎ足すことで、装置本体13を任意に前進させて拡幅長さの増大が図れるので、汎用性も高まる。
尚、上述した拡幅装置を既設トンネル10の長手方向に盛り替えて既設トンネル10の長手方向へ所定長さに亘って拡幅部40を形成するようにしても良いことは言うまでもない。
尚、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲でカッター支持筒及びドラムカッターをトンネル高さ方向に3段以上設ける等各種変更が可能であることはいうまでもない。
10 既設トンネル
11 エントランス
12 エントランスパッキン
13 装置本体
14 推進ジャッキ
15 架台
16 支持枠
17 隔壁
18A,18B カッター支持筒
19A,19B シール装置
20A,20B サドル部材
21a,21b ブラケット
22a,22b ガイド筒
23a,23b 支軸
24a 内筒
24b 外筒
25 スイングジャッキ
26a,26b スライドジャッキ
27A,27B ドラムカッター
28 ガイド板
28a 開口
29 球面軸受部
30 ジャーナル部
31 閉塞板
32 ガイドフレーム
33 油圧ジャッキ
34 取付板
35 排出コンベア
35a 吸込口
40 拡幅部
A,B,C 掘削エリア
D 鉛直面における掘削断面
1,O2 カッター支持筒の枢支点

Claims (5)

  1. 既設トンネルの内壁に設置されたエントランス内をトンネルの径方向へ少なくとも前進可能な筒状の装置本体と、
    前記装置本体を前進させるべく前記既設トンネル内に設置される複数本の推進ジャッキと、
    前記装置本体内を前後方向へ仕切る隔壁にシール装置を介して上下方向へ揺動可能でかつ左右方向へ移動可能に貫通支持された伸縮可能なカッター支持筒と、
    前記カッター支持筒の隔壁後方の筒軸方向中間部を上下方向へ揺動可能に枢支しつつ装置本体に左右方向へ移動可能に支持されたサドル部材と、
    前記カッター支持筒を上下方向に揺動させる第1の駆動手段と、
    前記サドル部材を左右方向に移動させる第2の駆動手段と、
    前記カッター支持筒の隔壁前方に位置する先端部に取着されたドラムカッターと、
    前記隔壁に吸込口を貫通させて隔壁前方の装置本体内の掘削土砂を取り込む排出コンベアと、
    を備えたことを特徴とする既設トンネルの拡幅装置。
  2. 前記シール装置は、
    前記カッター支持筒の上下方向の揺動と左右方向の移動を許容する開口を有して前記隔壁に空けられた取付孔に固定された円弧状のガイド板と、
    前記ガイド板の裏面に摺接されて同ガイド板の開口を常時閉塞し得ると共に、その中央部に設けた球面軸受部と前記カッター支持筒外周に設けた球形のジャーナル部とで同カッター支持筒を貫通支持する閉塞板と、
    前記閉塞板の裏面を装置本体側から常時前方へ押圧するガイドフレームと、
    からなることを特徴とする請求項1に記載の既設トンネルの拡幅装置。
  3. 前記ガイドフレームは油圧ジャッキにより押圧されることを特徴とする請求項2に記載の既設トンネルの拡幅装置。
  4. 前記カッター支持筒及びドラムカッターは前記隔壁にトンネル高さ方向に複数段に亘って設けられることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の既設トンネルの拡幅装置。
  5. 前記請求項1乃至4の何れか一つに記載の既設トンネルの拡幅装置を用いて既設トンネルを拡幅する際に、装置本体と推進ジャッキとの間にリング状の覆工部材を継ぎ足しながら当該装置本体を前進させることを特徴とする既設トンネルの拡幅工法。
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