JP2013234499A - 地盤内補強工法及びそれにより構築される補強構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】液状化が生じても杭の鉛直度を保持し、上載構造物の不等沈下を防止する。
【解決手段】既設構造物の廻りの地盤中に多数の杭を建て込む地盤内補強工法において、杭として、既設構造物の周囲に沿って所定間隔で建て込まれる鉛直用杭材10、及び杭材10の下部に下端側を支軸を介して回動可能に連結されてその杭材の側部に沿って配置された1以上の筋交用鋼材12からなるものを用いて、杭材10及び鋼材12を地盤中に一体物として建て込む貫入工程と、貫入工程で杭材10と共に建て込まれた鋼材12を、その鋼材上部側を別途に建て込まれた隣接する杭材の上部に向けて支軸14を支点として回動する傾動工程と、傾動工程で所定角に傾動された鋼材12の上側を隣接する杭材10の上部に連結する連結工程とを経ることを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば地震により液状化が予測される地盤上に小規模建屋などの既設構造物があり、その既設構造物の不等沈下を防止するため地盤を補強するに好適な地盤内補強工法及びそれにより構築される補強構造体に関する。
砂を多く含む砂質土や砂地盤は、砂の粒子同士の剪断応力による摩擦によって地盤は安定を保っている。このような地盤で地下水位の高い場所で地震などの連続した振動が加わると、その繰り返し剪断によって体積が減少して間隙水圧が増加し、その結果、有効応力や剪断応力が減少して液状化現象が起きる。その際、地盤は急激に耐力を失う。また、間隙水圧は土被り圧(全応力)に等しく地盤は急激に支持力を失い、特に重心の高い建物や重心が極度に偏心した建物ではより顕著に不等沈下が生じ、転倒・倒壊に至る場合がある。なお、これら現象は、新潟地震(1964年6月16日)の際に信濃川河畔や新潟空港などで発生したことから広く知られるようになり、近年では東日本大震災時(2011年3月11日)に液状化の被害が東京近郊の広範囲に発生している。
ところで、この種の不等沈下に起因した既設構造物の被害を未然に防止するための従来対策工法としては、コンパクションパイル工法、ドレーン工法(ラベルドレーン、ペーパードレーン、サンドドレーンなど)、薬液注入工法、パイル打設工法などが挙げられる。これら工法は、大規模な構造物に適合するものの、個人住宅などの小規模建屋の液状化対策工に適用するとなると、施工費用が上載構造物である建屋の施工費用に比べ極度に高価となり、また、薬液注入工法だと住居下の土壌成分が自然土壌とは異なってしまうため入居者に無用な不安感を与えかねない。
これに対し、特許文献1に例示されるごとく既設構造物の廻りの地盤中に多数の杭を打設するようにした地盤補強工法も開発されている。この工法では、杭の鉛直方向の打設に加えて傾斜方向にも打設し、傾斜杭の下端と鉛直杭との下端をグラウトを用いて地盤内に定着し、傾斜杭を地中ブレース(筋交)として作用させたものである。
特開平8−128055号公報
特許文献1のような地盤補強工法では、鉛直杭と傾斜杭の下端同士は直接結合されておらず、単にグラウトを介して地盤内に定着されているだけなので、液状化により側方流動が発生し、鉛直杭及び傾斜杭に地盤の水平方向のせん断や曲げの力が作用すると、定着部がせん断破壊されたり、定着部から抜け易いなどの虞がある。一旦定着部に対する杭の結合が外れると、傾斜杭は地中ブレースとしては機能しなくなり、各杭はそれぞれランダムに傾斜変位して、上載構造物を支えることができなくなる虞もあり、液状化対策工としては満足できなかった。
本発明の目的は、上記したような課題を解決して、地盤に液状化が生じても杭の鉛直度を保持しつつ、上載構造物の強固な支持が可能で、不等沈下による建物などの構造物の傾斜・転倒を有効に防止可能にした地盤内補強工法及びそれにより構築される補強構造体を提供することにある。他の目的は、特に、個人住宅など上載荷重が比較的小さな小規模建物の液状化対策工として好適であり、かつ、敷地面積が狭隘であっても施工面積を大きく占有することのない施工費用の安価な地盤内補強工法及びそれにより構築される補強構造体を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明は、既設構造物の廻りの地盤中に多数の杭を建て込む地盤内補強工法において、前記杭として、既設構造物の周囲に沿って所定間隔で建て込まれる鉛直用杭材、及び前記杭材の下部に下端側を支軸を介して回動可能に連結されてその杭材の側部に沿って配置された1以上の筋交用鋼材からなるものを用いて、前記杭材及び鋼材を地盤中に一体物として建て込む貫入工程と、前記貫入工程で前記杭材と共に建て込まれた前記鋼材を、その鋼材上部側を別途に建て込まれた隣接する杭材の上部に向けて前記支軸を支点として回動する傾動工程と、前記傾動工程で所定角に傾動された前記鋼材の上側を前記隣接する杭材の上部に連結する連結工程とを経る、ことを特徴としている。
以上の本発明工法は、請求項2〜4のごとく具体化されることがより好ましい。即ち、
(イ)前記杭材の複数が前記既設構造物を囲む枠状となるよう点在して建て込まれ、かつ、前記各杭材の上端が枠材又は/及びコンクリート等の固化材を介在して連結一体化される構成である(請求項2)。
(ロ)前記鋼材の上端側に軸支された駆動回転体と、前記鋼材の下端側に軸支された従動回転体と、前記駆動回転体及び従動回転体の間に取外可能に懸架されて前記駆動回転体の回転によりその鋼材長手方向に沿って無端状に移動しつつ地盤内を切削可能とした掘削手段を有し、前記傾動工程において前記掘削手段により地盤内を掘削しながら前記鋼材を回動する構成である(請求項3)。
(ハ)前記傾動工程において、前記鋼材の上端側に着脱可能に連結した引張部材を引きながら前記鋼材を回動する構成である(請求項4)。
これに対し、請求項5の補強構造体は、以上の地盤内補強工法により構築されて全体が地中上下に延びる枠状で筋交付きとなっている構成である。
請求項1の発明工法では、杭として杭材及びその杭材の下部に下端側を支軸を介して連結された1以上の筋交用鋼材からなるものを使用し、地中への貫入工程と、前記貫入工程で杭材と共に建て込まれた鋼材についてその鋼材上部側を先行の隣接する杭材上部に向けて下端側支軸を支点として回動する傾動工程と、鋼材の上側を隣接する杭材の上部に連結する連結工程とを経ることで、図7から図9に例示されるごとく1又は複数の既設構造物の周囲全体を囲って、複数の鉛直用の杭材及び隣接する杭材同士を筋交用鋼材で上下に連結した補強構造体を比較的簡単に構築できる。工法特徴は、個々の杭材や鋼材を小径にできるため、建て込み作業時において施工面積を大きく占有しない利点があり、特に既存の個人住宅など上載荷重の小さな建屋の地盤液状化対策工を安価かつ確実に行うことができる。
請求項2の発明工法では、杭材の複数が既設構造物を囲む枠状となるよう点在して建て込まれ、各杭材の上端が枠材又は/及びコンクリート等の固化材を介在して連結一体化されるため、構築される補強構造体の耐久性や支持強度をより高強度に保つことができる。
請求項3の発明工法では、傾動工程において、鋼材が杭材と共に地中に建て込まれた状態から、その鋼材に組み込まれた掘削手段により地盤内を掘削しながら鋼材を下端側の支軸を支点とする回動を伴って所定角に傾動されるため作業性を良好に維持できる。
請求項4の発明工法では、傾動工程において、鋼材が杭材と共に地中に建て込まれた状態から、鋼材上側に連結された引張部材を引きながら下端側の支軸を支点とする回動を伴って所定角に傾動されるため作業性を良好に維持できる。
請求項5の補強構造体では、以上の本発明工法の利点を具備でき、特に鉛直用杭材の杭径及び筋交用鋼材の断面が細くても既設構造物の内外を複数の杭材及び鋼材にて仕切った地中支持構造となり、地盤液状化対策として信頼性が得られる。
(a)〜(c)は本発明工法の造成手順の概略を示す模式断面図である。 (a)〜(c)は本発明工法に用いられる鉛直用杭材及びその杭材に下端側を支軸を介し連結されている筋交用鋼材からなる杭構成の3例を示す断面図である。 (a)と(b)は本発明工法に用いられる鉛直用杭材及びその杭材に下端側を支軸を介し連結されている筋交用鋼材からなる杭構成の他の例を示す断面図である。 (a)と(b)は本発明工法に用いられる鉛直用杭材及びその杭材に下端側を支軸を介し連結されている筋交用鋼材からなる杭構成の更に他の例を示す断面図である。 上記杭材と共に建て込まれた鋼材を傾動する際の要部を示す模式図である。 (a),(b)上記杭材と共に建て込まれた鋼材を傾動する際の地表側の2例を示す模式図である。 (a),(b)は本発明工法で構築された地盤内補強構造体を模式的に示す縦断面図と上面図である。 (a)〜(c)は図5のA(A1,A2)〜C(C1,C2)の拡大図である。 (a),(b)は本発明工法で構築された地盤内補強構造体を模式的に示す縦断面図と上面図である。 本発明工法で構築された地盤内補強構造体の他の例を模式的に示す上面図である。
以下、本発明を図1〜図9の形態例及び図10の変形例を参照して説明する。この説明では、地盤内補強工法として、対象地盤、用いられる杭構成、工法の主工程及び構築される地盤内補強構造体、その地盤内補強構造体の他の例の順に述べる。なお、図面は細部を省略して模式的に示している。
(対象地盤)本発明の地盤内補強工法は、従来の液状化対策に比べ、特に建屋などの既設構造物がある場合に好適であり、比較的安価かつ確実な効果が得られるものとして工夫されたものである。対象地盤は、図1(a)に例示されるごとく、地表GL1から所定深度まで到達する液状化層E1の下部に所定深度で粘土層などの不透水層E2が形成されているよう地層構成である。補強工法の類型は、そのような地盤において、既設構造物の廻りの地盤中に多数の杭を建て込むタイプである。そのため、杭用の削孔深度は、地表GL1から不透水層E2の表層GL2をやや貫入する深度に設定される。なお、液状化層E1は、一般に地表GL1から10〜15mの深度であるとされているが、施工場所、地形などにより様々であることから予めボーリングなどの事前調査により、地表GL1から不透水層E2の表層GL2までの深度を計測した後、その計測深度に応じた深度まで削孔するよう設計される。
(杭構成)本発明工法に用いられる杭構成は、図2〜図6から分かるごとく、鉛直用杭材10、及び杭材10の下部に下端側を支軸14を介して回動可能に連結された1以上の筋交用鋼材12の複合材である。ここで、杭材10及び鋼材12は、一体物として既設構造物の周囲に沿って所定間隔で建て込まれる。この杭材10には比較的小径の中空鋼管が好ましい。これに対し、鋼材12は、隣接した杭材10同士の間に掛け渡される筋交となるもので、断面コ形のものが用いられている。各鋼材12には、図2及び図6のごとく下端側及び上端側にコ形の中間部長手方向に延びた長溝状の切欠き12bがそれぞれ設けられている。下端の切欠き12bは鋼材下端を貫通している。上端の切欠き12bは鋼材上端の手前に設けられている。各切欠き12bは、掘削手段を構成している下側の従動スプロケット16と、上側の駆動スプロケット22とを回転自在に配置可能にする。なお、鋼材12の長さは杭材10より長くなっている。これは、鋼材12が隣接の杭材10との間で筋交つまり杭材間の地中ブレースとして機能させるためである。
図2は、杭材10に2本の鋼材12を回動可能に連結する場合の3つの配置例を示している。同(a)は図7(b)の左右中間に用いられた同図の拡大部に対応した複合材、同(b)と(c)は図7(b)の左側と右側に用いられた同図の拡大部に対応した複合材であり、何れもが下側の連結構造を掘削手段を組み込んだ状態で示している。
図2(a)の複合材は、2つの鋼材12が杭材10の円筒管の対向面つまり180度変位した側面に沿って平行配置されている。各鋼材12は、杭材10の対向面にあってコ形の向きが逆向きに配置され、杭材10の下部にその下端側を共通の支軸14により回動可能に連結されている。各鋼材12及び杭材10には同軸線上に軸孔が貫通形成される。支軸14は、一方鋼材12の対向側部12aに設けられた各軸孔に挿通するときにそのコ形内及び切欠き12bに配置された従動スプロケット16を枢支した後、杭材10の各軸孔を通過し、他方鋼材12の対向側部12aに設けられた各軸孔に挿通するときにもそのコ形内及び切欠き12bに配置された従動スプロケット16を枢支する。勿論、各従動スプロケット16は、各鋼材12が杭材10に連結するときの支軸14を利用して支持したが、各鋼材12に対し専用の支軸で枢支するようにして差し支えない。以上の複合材は、両側の鋼材12が左右に略平行に展開されるときに好適な一例である。
図2(b)と(c)の各複合材は、2つの鋼材12が杭材10の円筒管の周囲にあって略直交つまり90度変位した側面に沿って配置されている。両者は、同(b)の各鋼材12が杭材10の交差する面部にあってコ形の向きを逆方向となるよう配置されているのに対し、同(c)の各鋼材12が杭材10の交差する面部にあってコ形の向きが同方向となるよう配置されている。また、両者は、各鋼材12を杭材10の下部にその下端側を専用の支軸14により回動可能に連結している。このため、各複合材では、2つの鋼材12が杭材10に対し高さに段差を待たせて枢支されている。すなちわ、一方鋼材12及び杭材10には同軸線上に軸孔が貫通形成されている。他方鋼材12及び杭材10には、前記の軸孔と段差を保った箇所において軸孔が同様に同軸線上に貫通形成される。各支軸14は、鋼材12の対向側部12aに設けられた各軸孔に挿通するときにそのコ形内及び切欠き12bに配置された従動スプロケット16を枢支する。以上の各複合材は、両側の鋼材12が略90度の角度で展開されるときに好適な2例である。
図3は、杭材10に3本の鋼材12を回動可能に連結する場合の一例を示している。同(a)は図1(a)のX部に対応する箇所を想定した模式図、同(b)は(a)のY2−Y2線の模式断面図である。図4は、杭材10に対し鋼材12を水平方向に回動可能に連結する場合の一例を示している。同(a)は図1(a)のX部に対応する箇所を想定した模式図、同(b)は(a)のY3−Y3線の模式断面図である。なお、図3は例えば図10の左右中間部の箇所に用いられる複合材であり、図4は鋼材が杭材に対し任意の角度だけ回動可能に連結した一例である。
詳述すると、図3の複合材は、同(a)のY1−Y1線の模式断面図が図2(a)の状態となり、 Y2−Y2線の模式断面図が図3(b)の状態となる。図3(b)の状態は図2(b)の下側の鋼材12及び支軸14を省略した構成である。これに対し、図4の複合材は、杭材10が下端部に別体の回動杭部100を回動可能に連結している。回動杭部100は、杭材10が下端部に対し凹凸嵌合などの周知の接続手段を介して90度ほど回動可能に連結されている。これは、複合材として、上記図2(a)のごとく鋼材12同士を180度展開するタイプ、及び図2(b)や(c)のごとく鋼材12同士を90度展開するタイプに加え、鋼材12を他の鋼材12(又は杭材10)に対し90度内で任意の角度に展開するタイプを工夫したものである。これを用いることにより、対象地盤としては、図7及び図9の各(b)のごとく水平断面で長方形だけどはなく、例えば台形となるような場合にも的確に対処可能にする。
以上の各複合材は、図7や図9に例示されるごとく既設構造物の廻りに所定間隔で建て込まれるが、それに必要となる本数と上記図2や図3に挙げたような必要な種類が作成される。各鋼材12には、建て込みに際して掘削手段を構成しているチェーン18などが組み込まれる。この掘削手段は、前記駆動スプロケット22及び従動スプロケット16と、各スプロケット16,22の間に取外可能に懸架される無端状チェーン18とからなり、駆動スプロケット22がモータMにより回転されると、チェーン18が鋼材12の長手方向に沿って回転移動する。チエーン18は、移動に伴いチェーン外周に固定された複数の刃20により地盤内を切削する。このため、各鋼材12の上側には、図4のごとく駆動スプロケット22に対応してブラケット26などが付設され、モータMがブラケット26に保持されると共にモータ出力軸が駆動スプロケット22の支軸22aに連結される。
(工法の主工程及び構築される地盤内補強構造体)この地盤内補強工法は、以上の鋼材12を回動可能に連結した杭材10、つまり杭材10及び鋼材12からなる複合材が必要数用いられて、杭材10及び鋼材12を地盤中に一体物として建て込む貫入工程と、貫入工程で杭材10と共に建て込まれた各鋼材12を、その鋼材上部側を別途に建て込まれた隣接する杭材10の上部に向けて下側の支軸14を支点として回動する傾動工程と、傾動工程で所定角に傾動された鋼材12の上側を隣接する杭材10の上部に連結する連結工程と、各杭材10の上端を枠材としてL型鋼34、又は/及び、コンクリート等の固化材42を介在して枠状に拘束する最終仕上げ工程とを経る。以下、各工程の細部を明らかにする。
貫入工程では、図1(a)に示したごとく掘削予定地の地表GL1面に掘削機1のベースマシン2を設置し、次いでガイドポスト4をロッド3などを介して地表面に鉛直に支持固定する。ガイドポスト4にはオーガヘッド6が昇降可能に設けられている。オーガヘッド6は、ガイドポスト6側の上下方向に連続したギア5に噛み合う連結機構7を介して昇降駆動されることにより、ヘッド下端に取付けたスクリュオーガ9を回転しつつ貫入して液状化層E1を貫通し、不透水層E2の表層GL2直下まで削孔する。予定深度まで削孔したらスクリューオーガ9を逆回転しつつ上昇して地表部に引上げる。この削孔は、図5の例だと、矩形枠に沿って合計6つ、又は8つ程度設けられる。
次いで、オーガヘッド6は、スクリューオーガ9を取外した後、図1(b)に示したごとくヘッド下端側にチャック8が装着される。そして、チャック8には、上記複合体つまり杭材10に連結された各鋼材12の上端側、又は、杭材10及び各鋼材12の上端側が装着される。なお、各鋼材12の上端側だけをチャック8に装着する場合は、杭材10及び各鋼材12の上側を着脱式バンドなどで拘束しておくことが好ましい。この状態から、オーガヘッド6の昇降により、杭材10及び鋼材12が一体物として地盤内に貫入され鉛直に建て込まれる。この貫入工程では、通常、用意された全ての複合材が予め形成された削孔に建て込まれる。なお、図1(a)では、理解し易くする関係で、先行して建て込まれた杭材10及び鋼材12からなる複合材に続いて、スクリューオーガー9で次の削孔を形成している状態を示している。
傾動工程では、準備作業として、図6に示されるごとく地表に突出している鋼材12の上部に設けられたフランジ部26にモータMを設置してモータ出力軸を駆動スプロケット22の支軸22aに軸結してチエーン18を回転駆動可能にする。また、地表面において、図6(a)のごとく杭材10から所定の角度で傾斜する案内台30を隣接の杭材10に向けて敷設した後、又は、図6(b)のごとく杭材10と次の杭材10との間に杭材間とほぼ同じ長さの案内台30Aを敷設した後、ワイヤWのループ端を鋼材12の上端に付設したフック軸24に掛けて係止し、案内台30又は30A上に設けたガイドプーリ30に通した状態で、ワイヤWの他端をウインチ(不図示)に連結することで、地中ブレースの造成準備作業を完了する。なお、ワイヤWの端部は、ウインチを使用しないで引き操作するようにしてもよい。
以上の準備作業後は、モータMを回転駆動して、駆動スプロケット22を回転させ、駆動スプロケット22と従動スプロケット16の間で鋼材12の長さ方向に沿ってチェーン18を回転移動させつつその外周の刃20により地盤を切削する。同時に、前記したウインチの駆動によりワイヤWを隣接する杭材10側に牽引することになる。これにより、鋼材12は、図5に示されるごとく下部側の支軸14を支点に地盤内を切削しつつ隣接する杭材10側に向けて回動されながら傾斜する。最終的には、隣接する杭材10の地表側突出端の側面に上端を一致させた状態で、切削、牽引作業を終了する。
このようにして、建て込まれた複数の杭材10について、杭材10に連結された各鋼材12が順に杭材10同士の間の筋交として傾動される。なお、鋼材12が傾動された後には、チェーン18はループ解除用のピンが取外されると、地表側に一本のベルト状となって引出されて回収される。回収されたチェーン18は洗浄の上、建て込み前の鋼材12用のソーチェーンとして転用可能である。モータMは、例えば、ブラケット26ごと鋼材12から取外されると共に、支軸22a及び駆動スプロケット22を鋼材12から取外すことにより、次の傾動作業に転用できる。
連結工程では、傾動工程で所定角に傾動された鋼材12の上側を隣接する杭材10の上部に連結する。すなわち、傾動工程の作業後は、支軸22a用の軸孔又は専用のピン孔に隣接する杭材10に予め形成されたピン孔(不図示)を一致させ、両孔に連結ピン32を差込むことにより、鋼材12の隣接する杭材10の上端に対する固定を完了し、一対の杭材10間の上下を結ぶ1つの筋交ができる。
次いで、隣接する杭材10に設けられた鋼材12も前記と同一要領の作業を繰返すことにより、鋼材12の下部側の支軸14を支点に傾動し、鋼材12の上端側を当該杭材10の地表部側に連結すれば、隣接する一対の杭材10間にX字形に交叉した筋交である地中ブレースが構築される。両地中ブレースつまり鋼材12同士のX字形交叉部は、平面的に見て杭材10の杭径に相当する距離分だけ離間して交叉しているので、地中部においてX字形に交叉することによる互いの干渉の不具合は生じない。
図1(c)は以上の作業を繰返すことにより地盤内に構築された補強構造体を示している。この補強構造体は、正面視で地盤内に所定間隔をおいて建て込まれた複数の杭材10と、各杭材10の上下に前述する連結ピン32及び支軸14を介して隣接する各杭材10間の上下を連結して、X字形に組みつけられた地中ブレースとを備えることにより、強固な地中構造体で既設構造物の廻りを囲うことになり、液状化層E1に液状化や液状化による側方流動が生じても杭材10の鉛直度を保つことができる。なお、この工法では、地盤内には従動スプロケット14が地中に残置されるだけであり、チェーン18及び駆動スプロケット22は転用可能なため経済的である。
最終仕上げ工程は、以上の各工程を経て構築された地中構造体における地表部側の一体化処理である。この工程では、杭材10の複数が既設構造物を囲む枠状となるよう点在して建て込まれているので、各杭材10の上端を図7や図9、或いは図10のように連結一体化する。
すなわち、この工程では、図7(a),(b)に示すように、地表GL1上において各杭材10と鋼材12との交叉連結端外側の全体を長方形に囲うL型鋼34を縦横に配置し、溶接などにより一体化する。次に、対向する長辺側L型鋼34間及び短辺側L型鋼34間に複数の補強材としてPC鋼棒38を挿通して縦横に配置し、L型鋼34の外側に突出する各PC鋼棒38の端部にナット40を螺合して締め付ける。
更に、この形態では、L型鋼周囲に所定幅の枠板材を設置し、内側にコンクリートを打設することにより、図9(a),(b)のごとく高強度の枠状のコンクリート床版42が構築される。以後は、コンクリート床版42の養生後枠板材を撤去することになる。
(他の地盤内補強構造体)以上の地盤内補強構造体は、既設構造物として単一の小規模建屋を想定したものである。これに対し、図10は、既設構造物として2以上の小規模建屋を想定したものである。この場合は、上記の地盤内補強構造体に比較し、複合材とのうち、左右の中間位置に建て込まれる複合材として、上述した図3(b)のような鋼材を3本構成としたものが用いられる。
なお、以上の形態は本発明を何ら制約するものではない。本発明は、請求項1で特定される技術要素を備えておればよく、細部は必要に応じて種々変更可能なものである。その例として、鋼材12はコ字形鋼に限られず、筋交構造として好ましい断面であれば、各種断面の鋼を採用できる。枠材にはL型鋼34を用いたが、他の鋼材でもよい。
また、貫入工程では、上記した杭材10及び鋼材12を一体物として目的の深さまで建て込むことができればよく、高圧噴射などの他の方法で削孔を形成するようにしてもよい。更に杭材10及び鋼材12の合計断面積は小さいので、予め掘削用ケーシング内に挿通した状態でケーシングにより掘削を行った後、杭材10及び鋼材12を地盤内に残置した状態でケーシングのみ引き上げるような方法でもよい。
また、最終仕上げ工程では、例えば、杭材10と鋼34との連結構造として、図8(b)の上端模式図に示したごとく弾性体45を介在させることで振動吸収能を付与することある。更に、以上の地盤内補強構造体が構築後に地盤沈下により地表に突出状態となるような対策としては、以上の複合材を構成している杭材10及び鋼材12の上部側を所定長さだけ、その上下寸法を調整可能に構成しておくこともある。
1…地盤掘削機(2はベースマシン、3はガイドポスト、4はオーガヘッド)
M…モータ(掘削手段)
W…ワイヤ(引張部材)
10…鉛直用杭材
12…筋交用鋼材(12aは側部、12bは切欠き)
14…支軸
16…従動スプロケット(回転体:掘削手段)
18…チェーン(掘削手段、20は刃)
22…駆動スプロケット(回転体:掘削手段)
32…連結ピン
34…L型鋼(枠材)
38…PC鋼棒
40…ナット
42…コンクリート床版(固化材)

Claims (5)

  1. 既設構造物の廻りの地盤中に多数の杭を建て込む地盤内補強工法において、
    前記杭として、既設構造物の周囲に沿って所定間隔で建て込まれる鉛直用杭材、及び前記杭材の下部に下端側を支軸を介して回動可能に連結されてその杭材の側部に沿って配置された1以上の筋交用鋼材からなるものを用いて、
    前記杭材及び鋼材を地盤中に一体物として建て込む貫入工程と、
    前記貫入工程で前記杭材と共に建て込まれた前記鋼材を、その鋼材上部側を別途に建て込まれた隣接する杭材の上部に向けて前記支軸を支点として回動する傾動工程と、
    前記傾動工程で所定角に傾動された前記鋼材の上側を前記隣接する杭材の上部に連結する連結工程とを経る、ことを特徴とする地盤内補強工法。
  2. 前記杭材の複数が前記既設構造物を囲む枠状となるよう点在して建て込まれ、かつ、前記各杭材の上端が枠材又は/及びコンクリート等の固化材を介在して連結一体化されることを特徴とする請求項1に記載の建物における地盤内補強工法。
  3. 前記鋼材の上端側に軸支された駆動回転体と、前記鋼材の下端側に軸支された従動回転体と、前記駆動回転体及び従動回転体の間に取外可能に懸架されて前記駆動回転体の回転によりその鋼材長手方向に沿って無端状に移動しつつ地盤内を切削可能とした掘削手段を有し、前記傾動工程において前記掘削手段により地盤内を掘削しながら前記鋼材を回動することを特徴とする請求項1又は2に記載の地盤内補強工法。
  4. 前記傾動工程において、前記鋼材の上端側に着脱可能に連結した引張部材を引きながら前記鋼材を回動することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の地盤内補強工法。
  5. 請求項1から4の何れかに記載の地盤内補強工法により構築されて全体が地中上下に延びる枠状で筋交付きとなっていることを特徴とする補強構造体。
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