ここでは、まず本発明にかかるパターン形成装置の一実施形態を装備する印刷装置の全体構成および動作を説明する。その上で、本発明にかかるパターン形成装置および方法について詳述する。
A.装置の全体構成および動作
図1は、本発明にかかるパターン形成装置を装備する印刷装置を示す概略斜視図であり、装置内部の構成を明示するために、装置カバーを外した状態で図示している。また、図2は図1に示す印刷装置の断面を模式的に示す図である。さらに、図3は図1の装置の電気的構成を示すブロック図である。この印刷装置100は、装置の左側面側より装置内部に搬入される版PPの下面に対して、装置の正面側より装置内部に搬入されるブランケットの上面を密着させた後で剥離することで、版PPの下面に形成されたパターンによりブランケット上の塗布層をパターニングしてパターン層を形成する(パターニング処理)。また、印刷装置100は、装置の右側面側より装置内部に搬入される基板SBの下面に対して、パターニング処理されたブランケットの上面を密着させた後で剥離することで、そのブランケットに形成されたパターン層を基板SBの下面に転写する(転写処理)。なお、図1および後で説明する各図では、装置各部の配置関係を明確にするために、版PPおよび基板SBの搬送方向を「X方向」とし、図1の右手側から左手側に向かう水平方向を「+X方向」と称し、逆方向を「−X方向」と称する。また、X方向と直交する水平方向のうち、装置の正面側を「+Y方向」と称するとともに、装置の背面側を「−Y方向」と称する。さらに、鉛直方向における上方向および下方向をそれぞれ「+Z方向」および「−Z方向」と称する。
この印刷装置100では、石定盤1上に装置各部(搬送部2、上ステージ部3、アライメント部4、下ステージ部5、押さえ部7、プリアライメント部8、除電部9)が設けられており、制御部6が装置各部を制御する。
搬送部2は版PPおよび基板SBをX方向に搬送する装置であり、次のように構成されている。この搬送部2では、石定盤1の上面の右後隅部および左隅部より2本のブラケット(図示省略)が立設されるとともに、両ブラケットの上端部を互いに連結するようにボールねじ機構21が左右方向、つまりX方向に延設されている。このボールねじ機構21においては、ボールねじ(図示省略)がX方向に延びており、その一方端には、シャトル水平駆動用のモータM21の回転軸(図示省略)が連結されている。また、ボールねじの中央部に対してボールねじブラケット(図示省略)が螺合されるとともに、それらのボールねじブラケットの(+Y)側面に対してX方向に延設されたシャトル保持プレート22が取り付けられている。
このシャトル保持プレート22の(+X)側端部に版用シャトル23Lが鉛直方向Zに昇降可能に設けられる一方、(−X)側端部に基板用シャトル23Rが鉛直方向Zに昇降可能に設けられている。これらのシャトル23L、23Rは、ハンドの回転機構を除き、同一構成を有しているため、ここでは、版用シャトル23Lの構成を説明し、基板用シャトル23Rについては同一符号または相当符号を付して構成説明を省略する。
シャトル23Lは、X方向に版PPの幅サイズ(X方向サイズ)と同程度、あるいは若干長く延びる昇降プレート231と、昇降プレート231の(+X)側端部および(−X)側端部からそれぞれ前側、つまり(+Y)側に延設された2つの版用ハンド232、232とを有している。昇降プレート231はボールねじ機構(図示省略)を介してシャトル保持プレート22の(+X)側端部に昇降可能に取り付けられている。すなわち、シャトル保持プレート22の(+X)側端部に対し、ボールねじ機構が鉛直方向Zに延設されている。このボールねじ機構の下端には、版用シャトル昇降モータM22L(図3)に回転軸(図示省略)が連結されている。また、ボールねじ機構に対してボールねじブラケット(図示省略)が螺合されるとともに、そのボールねじブラケットの(+Y)側面に対して昇降プレート231が取り付けられている。このため、制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じて版用シャトル昇降モータM22Lが作動することで、昇降プレート231が鉛直方向Zに昇降駆動される。
各ハンド232、232の前後サイズ(Y方向サイズ)は版PPの長さサイズ(Y方向サイズ)よりも長く、各ハンド232、232の先端側(+Y側)で版PPを保持可能となっている。
また、こうして版用ハンド232、232で版PPが保持されたことを検知するために、昇降プレート231の中央部から(+Y)側にセンサブラケットを介して版検知用のセンサ(図示省略)が取り付けられている。このため、両ハンド232上に版PPが載置されると、センサが版PPの後端部、つまり(−Y)側端部を検知し、検知信号を制御部6に出力する。
さらに、各版用ハンド232、232はベアリングを介して昇降プレート231に取り付けられ、前後方向(Y方向)に延びる回転軸を回転中心として回転自在となっている。また、昇降プレート231のX方向両端には、回転アクチュエータRA2、RA2(図3)が取り付けられている。これらの回転アクチュエータRA2、RA2は加圧エアーを駆動源として動作するものであり、加圧エアーの供給経路に介挿されたバルブの開閉により180゜単位で回転可能となっている。このため、制御部6のバルブ制御部64による上記バルブの開閉を制御することで、版用ハンド232、232の一方主面が上方に向いてパターニング前の版PPを扱うのに適したハンド姿勢(以下「未使用姿勢」という)と、他方主面が上方を向いてパターニング後の版PPを扱うのに適したハンド姿勢(以下「使用済姿勢」という)との間で、ハンド姿勢を切替え可能となっている。このようにハンド姿勢の切替え機構を有している点が、版用シャトル23Lが基板用シャトル23Rと唯一相違する点である。
次に、シャトル保持プレート22に対する版用シャトル23Lおよび基板用シャトル23Rの取り付け位置について説明する。この実施形態では、図2に示すように、版用シャトル23Lおよび基板用シャトル23Rは、版PPや基板SBの幅サイズ(なお実施形態では、版PPと基板SBの幅サイズは同一である)よりも長い間隔だけX方向に離間してシャトル保持プレート22に取り付けられている。そして、シャトル水平駆動モータM21の回転軸を所定方向に回転させると、両シャトル23L、23Rは上記離間距離を保ったままX方向に移動する。例えば図2では、符号XP23が上ステージ部3の直下位置を示しており、シャトル23L、23Rは、位置XP23からそれぞれ(+X)方向および(−X)方向に等距離(この距離を「ステップ移動単位」という)だけ離れた位置XP22、XP24に位置している。なお、本実施形態では、図2に示す状態を「中間位置状態」と称する。
また、この中間位置状態からシャトル水平駆動モータM21の回転軸を所定方向に回転させてシャトル保持プレート22をステップ移動単位だけ(+X)方向に移動させると、基板用シャトル23Rが(+X)方向に移動して上ステージ部3の直下位置XP23まで移動して位置決めされる。このとき、版用シャトル23Lも一体的に(+X)方向に移動し、印刷装置100の(+X)方向側に配置される版洗浄装置(図示省略)に近接した位置XP21に位置決めされる。
逆に、シャトル水平駆動モータM21の回転軸を所定方向と逆の方向に回転させてシャトル保持プレート22をステップ移動単位だけ(−X)方向に移動させると、版用シャトル23Lが中間位置状態から(−X)方向に移動して上ステージ部3の直下位置XP23まで移動して位置決めされる。このとき、基板用シャトル23Rも一体的に(−X)方向に移動し、印刷装置100の(−X)方向側に配置される基板洗浄装置(図示省略)に近接した位置XP25に位置決めされる。このように、本明細書では、X方向におけるシャトル位置として5つの位置XP21〜XP25が規定されている。つまり、版受渡し位置XP21は、版用シャトル23Lが位置決めされる3つの位置XP21〜XP23のうち最も版洗浄装置に近接位置であり、版洗浄装置との間で版PPの搬入出が行われるX方向位置を意味している。基板受渡し位置XP25は、基板用シャトル23Rが位置決めされる3つの位置XP23〜XP25のうち最も基板洗浄装置に近接位置であり、基板洗浄装置との間で基板SBの搬入出が行われるX方向位置を意味している。また、位置XP23は上ステージ部3の吸着プレート34が鉛直方向Zに移動して版PPや基板SBを吸着保持するX方向位置を意味しており、版用シャトル23LがX方向位置XP23に位置している際には、当該位置XP23を「版吸着位置XP23」と称する一方、基板用シャトル23RがX方向位置XP23に位置している際には、当該位置XP23を「基板吸着位置XP23」と称する。また、このようにシャトル23L、23Rにより版PPや基板SBを搬送する鉛直方向Zでの位置、つまり高さ位置を「搬送位置」と称する。
また、本実施形態では、パターニング時での版PPとブランケットとのギャップ量、ならびに転写時での基板SBとブランケットとのギャップ量を正確に制御するため、版PPおよび基板SBの厚みを計測する必要がある。そこで、版厚み計測センサSN22および基板厚み計測センサSN23が設けられている。なお、本実施形態では、両センサSN22、23として、投光部と受光部とを有する反射タイプの光学センサを用いているが、これ以外のセンサを用いてもよい。
位置XP23では、上ステージ部3が配置されている。この上ステージ部3では、鉛直方向Zに延設されたボールねじ機構31が固定されており、そのボールねじ機構31の上端部には、第1ステージ昇降モータM31の回転軸(図示省略)が連結されるとともに、ボールねじ機構31に対してボールねじブラケット(図示省略)が螺合している。このボールねじブラケットには、支持フレーム32が固定されており、ボールねじブラケットと一体的に鉛直方向Zに昇降可能となっている。さらに、当該支持フレーム32のフレーム面で、別のボールねじ機構(図示省略)が支持されている。このボールねじ機構には、上記ボールねじ機構31のボールねじよりも狭ピッチのボールねじが設けられ、その上端部には、第2ステージ昇降モータM32(図3)の回転軸(図示省略)が連結されるとともに、中央部にはボールねじブラケットが螺合している。
このボールねじブラケットには、ステージホルダ33が取り付けられている。また、ステージホルダ33の下面には、例えばアルミニウム合金などの金属製の吸着プレート34が取り付けられている。したがって、制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じてステージ昇降モータM31、M32が作動することで、吸着プレート34が鉛直方向Zに昇降移動させられる。また、本実施形態では、異なるピッチを有するボールねじ機構を組み合わせ、第1ステージ昇降モータM31を作動させることで比較的広いピッチで吸着プレート34を昇降させる、つまり吸着プレート34を高速移動させることができるとともに、第2ステージ昇降モータM32を作動させることで比較的狭いピッチで吸着プレート34を昇降させる、つまり吸着プレート34を精密に位置決めすることができる。
この吸着プレート34の下面、つまり版PPや基板SBを吸着保持する吸着面に吸着機構が設けられ、負圧供給経路を介して負圧供給源に接続されている。そして、制御部6のバルブ制御部64からの開閉指令に応じて吸着機構と繋がる吸着バルブV31(図3)を開閉制御することで吸着機構による版PPや基板SBの吸着が可能となる。なお、本実施形態では、上記した吸着機構および後述するようにブランケットを吸着保持する吸着機構は、負圧供給源として工場の用力を用いているが、装置100が真空ポンプなどの負圧供給部を装備し、当該負圧供給部から吸着機構に負圧を供給するように構成してもよい。
このように構成された上ステージ部3では、搬送部2の版用シャトル23Lによって版が図1の左手側から搬送空間を介して上ステージ部3の直下の版吸着位置XP23に搬送された後、上ステージ部3の吸着プレート34が下降して版PPを吸着保持する。逆に、版用シャトル23Lが上ステージ部3の直下位置に位置した状態で版PPを吸着した吸着プレート34が吸着を解除すると、版PPが搬送部2に移載される。こうして、搬送部2と上ステージ部3との間で、版の受渡しが行われる。
また、基板SBについても版PPと同様にして上ステージ部3に保持される。すなわち、搬送部2の基板用シャトル23Rによって基板SBが図1の右手側から搬送空間を介して上ステージ部3の直下位置に搬送された後、上ステージ部3の吸着プレート34が下降して基板SBを吸着保持する。逆に、基板用シャトル23Rが上ステージ部3の直下位置に位置した状態で基板SBを吸着した上ステージ部3の吸着プレート34が吸着を解除すると、基板SBが搬送部2に移載される。こうして、搬送部2と上ステージ部3との間で、基板SBの受渡しが行われる。
上ステージ部3の鉛直方向の下方(以下「鉛直下方」あるいは「(−Z)方向」という)では、石定盤1の上面にアライメント部4が配置されている。このアライメント部4では、支持プレート41が、図1に示すように、石定盤1の凹部を跨ぐように水平姿勢で配置され、石定盤1の上面に固定されている。また、この支持プレート41の上面にアライメントステージ42が固定されている。そして、アライメント部4のアライメントステージ42上に下ステージ部5が載置されて下ステージ部5の上面が上ステージ部3の吸着プレート34と対向している。この下ステージ部5の上面はブランケットBLを吸着保持可能となっており、制御部6がアライメントステージ42を制御することで下ステージ部5上のブランケットBLを高精度に位置決め可能となっている。
アライメントステージ42は、支持プレート41上に固定されるステージベース421と、ステージベース421の鉛直上方に配置されて下ステージ部5を支持するステージトップ422とを有している。これらステージベース421およびステージトップ422はいずれも中央部に開口を有する額縁形状を有している。また、これらステージベース421およびステージトップ422の間には、鉛直方向Zに延びる回転軸を回転中心とする回転方向、X方向およびY方向の3自由度を有する、例えばクロスローラベアリング等の支持機構423がステージトップ422の各角部近傍に配置されている。また、各支持機構423に対してボールねじ機構(図示省略)が設けられるとともに、各ボールねじ機構にステージ駆動モータM41(図3)が取り付けられている。そして、制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じて各ステージ駆動モータM41を作動させることで、アライメントステージ42の中央部に比較的大きな空間を設けながら、ステージトップ422を水平面内で移動させるとともに、鉛直軸を回転中心として回転させて下ステージ部5の吸着プレート51を位置決め可能となっている。なお、本実施形態において中空空間を有するアライメントステージ42を用いた理由のひとつは、下ステージ部5の上面に保持されるブランケットBLおよび上ステージ部3の下面に保持される基板SBに形成されるアライメントマークを撮像部43により撮像するためである。
下ステージ部5は、吸着プレート51と、柱部材52と、ステージベース53と、リフトピン部54とを有している。ステージベース53には、左右方向Xに延びる長孔形状の開口が前後方向Yに3つ並んで設けられている。そして、これらの長孔開口と、アライメントステージ42の中央開口とが上方からの平面視でオーバーラップするように、ステージベース53がアライメントステージ42上に固定されている。また、上記長孔開口には、撮像部43の一部が遊挿されている。また、ステージベース53の上面角部から柱部材52が(+Z)に立設され、各頂部が吸着プレート51を支持している。
この吸着プレート51は例えばアルミニウム合金などの金属プレートで構成されている。この吸着プレート51の上面には吸着機構(図示省略)が設けられるとともに、吸着機構に対して正圧供給配管(図示省略)の一方端が接続されるとともに、他方端が加圧用マニホールドに接続されている。さらに、各正圧供給配管の中間部にバルブV51(図3)が介挿されている。この加圧用マニホールドに対しては、工場の用力から供給される加圧エアーをレギュレータで調圧することで得られる一定圧力のエアーが常時供給されている。このため、制御部6のバルブ制御部64からの動作指令に応じて所望のバルブV51が選択的に開くと、その選択されたバルブV51に繋がる吸着機構に対して調圧された加圧エアーが供給される。
また、吸着機構に対しては、加圧エアーの選択供給のみならず、選択的な負圧供給も可能となっている。すなわち、吸着機構の各々に対して負圧供給配管(図示省略)の一方端が接続されるとともに、他方端が負圧用マニホールドに接続されている。さらに、各負圧供給配管の中間部にバルブV52(図3)が介挿されている。この負圧用マニホールドには、負圧供給源がレギュレータを介して接続されており、所定値の負圧が常時供給されている。このため、制御部6のバルブ制御部64からの動作指令に応じて所望のバルブV52が選択的に開くと、その選択されたバルブV52に繋がる吸着機構に対して調圧された負圧が供給される。
このように本実施形態では、バルブV51、V52の開閉制御によって吸着プレート51上にブランケットBLおよびバルーン部材(図5、図7〜図9中の符号BA)を部分的あるいは全面的に吸着させたり、吸着プレート51とバルーン部材との間にエアーを部分的に供給してバルーンを部分的に膨らませてブランケットBLの一部を上ステージ部3に保持された版PPや基板SBに押し付けることが可能となっている。このようにバルーン部材を用いてブランケットBLを版PPや基板SBに押し付けてパターン形成を行っているが、その詳細については、吸着プレート51の吸着機構の構成と併せて後で詳述する。
リフトピン部54では、リフトプレート541が吸着プレート51とステージベース53との間で昇降自在に設けられている。このリフトプレート541には、複数箇所に切欠部が形成されて撮像部43との干渉が防止されている。また、リフトプレート541の上面から鉛直上方に複数のリフトピン542が立設されている。一方、リフトプレート541の下面には、ピン昇降シリンダCL51(図3)が接続されている。そして、制御部6のバルブ制御部64がピン昇降シリンダCL51に接続されるバルブの開閉を切り替えることで、ピン昇降シリンダCL51を作動させてリフトプレート541を昇降させる。その結果、吸着プレート51の上面、つまり吸着面に対し、全リフトピン542が進退移動させられる。例えば、リフトピン542が吸着プレート51の上面から(+Z)方向に突出することで、図示しないブランケット搬送ロボットによりブランケットBLがリフトピン542の頂部に載置可能となる。そして、ブランケットBLの載置に続いて、リフトピン542が吸着プレート51の上面よりも(−Z)方向に後退することで、ブランケットBLが吸着プレート51の上面に移載される。その後、後述するように適当なタイミングで、吸着プレート51の近傍に配置されたブランケット厚み計測センサSN51(図3)によって当該ブランケットBLの厚みが計測される。
上記したように、本実施形態では、上ステージ部3と下ステージ部5とが鉛直方向Zにおいて互いに対向配置されている。そして、それらの間に、下ステージ部5上に載置されるブランケットBLを上方より押さえる押さえ部7と、版PP、基板SBおよびブランケットBLのプリアライメントを行うプリアライメント部8とがそれぞれ配置されている。
押さえ部7は、吸着プレート51の鉛直上方側に設けられる押さえ部材71を切替機構(図示省略)によって鉛直方向Zに昇降することで2つの状態に切替可能となっている。すなわち、切替機構が押さえ部材71を降下させると、吸着プレート51上のブランケットBLが押さえ部7により押さえた状態(ブランケット押さえ状態)となる。一方、切替機構が押さえ部材71を上昇させると、押さえ部7がブランケットBLから離間してブランケットBLの押さえを解除した状態(ブランケット押さえ解除状態)となる。
プリアライメント部8では、プリアライメント上部81およびプリアライメント下部82が鉛直方向Zに2段で積層配置されている。これらのうちプリアライメント上部81は、プリアライメント下部82よりも鉛直上方側に配置され、ブランケットBLとの密着に先立って、位置XP23で版用シャトル23Lにより保持される版PPおよび基板用シャトル23Rにより保持される基板SBをアライメントする。一方、プリアライメント下部82は、版PPや基板SBとの密着に先立って、下ステージ部5の吸着プレート51に載置されるブランケットBLをアライメントする。なお、プリアライメント上部81と、プリアライメント下部82とは基本的に同一構成を有している。そこで、以下においては、プリアライメント上部81の構成について説明し、プリアライメント下部82については同一または相当符号を付して構成説明を省略する。
プリアライメント上部81では、額縁状のフレーム構造体811に対して4つの上ガイド812が移動自在に設けられている。すなわち、フレーム構造体811は、互いに左右方向Xに離間し前後方向Yに延設される2本の水平フレームと、互いに前後方向Yに離間し左右方向Xに延設される2本の水平フレームとを組み合わせたものである。そして、図2に示すように、前後方向Yに延設された2本の水平プレートのうちの左側水平プレートに対し、その中央部で上ガイド812が図示を省略するボールねじ機構により左右方向Xに移動自在に設けられている。そして、このボールねじ機構に連結される駆動モータM81(図3)が制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じて作動することで上ガイド812が左右方向Xに移動する。また、右側水平プレートに対しても、上記と同様に、上ガイド812が駆動モータM81により左右方向Xに移動するように構成されている。さらに、前後方向Yに延設された2本の水平プレートの各々に対しても、上記と同様に、上ガイド812が駆動モータM81により左右方向Xに移動するように構成されている。このように、4つの上ガイド812が位置XP23の鉛直下方位置で版PPや基板SBを取り囲んでおり、各上ガイド812が独立して版PPなどに対して近接および離間可能となっている。したがって、各上ガイド812の移動量を制御することによって版PPおよび基板SBをシャトルのハンド上で水平移動あるいは回転させてアライメントすることが可能となっている。
また、本実施形態では、後で説明するように、ブランケットBL上のパターン層を基板SBに転写した後、ブランケットBLを基板SBから剥離するが、その剥離段階で静電気が発生する。また、版PPによりブランケットBL上の塗布層をパターニングした後、ブランケットBLを版PPから剥離した際にも、静電気が発生する。そこで、本実施形態では、静電気を除電するために、除電部9が設けられている。この除電部9は、(+X)側より上ステージ部3と下ステージ部5で挟まれた空間に向けてイオンを照射するイオナイザ91を有している。
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)61、メモリ62、モータ制御部63、バルブ制御部64、画像処理部65および表示/操作部66を有しており、CPU61はメモリ62に予め記憶されたプログラムにしたがって装置各部を制御して、図4に示すように、パターニング処理および転写処理を実行する。
図4は、図1の印刷装置の全体動作を示すフローチャートである。この印刷装置100の初期状態では、版用シャトル23Lおよび基板用シャトル23Rはそれぞれ中間位置XP22、XP24に位置決めされている。そして、版洗浄装置の版搬送ロボット(図示省略)による版PPの搬送動作と同期して版PPの投入工程(ステップS1)、ならびに基板洗浄装置の基板搬送ロボット(図示省略)の基板SBの搬送動作と同期して基板SBの投入工程(ステップS2)を実行する。なお、版用シャトル23Lおよび基板用シャトル23Rが一体的に左右方向Xに移動するという搬送構造を採用しているため、版PPの搬入を行った(ステップS1)後、基板SBの搬入を行う(ステップS2)が、両者の順序を入れ替えてもよい。
このように、本実施形態では、パターニング処理を実行する前に、版PPのみならず、基板SBをも準備しておき、後で詳述するように、パターニング処理および転写処理を連続して実行する。これによって、ブランケットBL上でパターニングされた塗布層が基板SBに転写されるまでの時間間隔を短縮することができ、安定した処理が実行される。
次のステップS3では、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート22を(−X)方向に移動させる。これによって、版用シャトル23Lが版吸着位置XP23に移動して位置決めされる。そして、版用シャトル昇降モータM22Lが回転軸を回転させ、昇降プレート231を下方向(−Z)に移動させる。これによって、版用シャトル23Lに支持されたまま版PPが搬送位置よりも低いプリアライメント位置に移動して位置決めされる。
次に、上ガイド駆動モータM81が作動して上ガイド812が移動し、各上ガイド812が版用シャトル23Lに支持される版PPの端面と当接して版PPを予め設定した水平位置に位置決めする。その後、各上ガイド駆動モータM81が逆方向に作動し、各上ガイド812が版PPから離間する。こうして、版PPのプリアライメント処理が完了すると、ステージ昇降モータM31が回転軸を所定方向に回転させ、吸着プレート34を下方向(−Z)に下降させて版PPの上面と当接させる。それに続いて、バルブV31が開き、これによって上ステージ用の吸着機構により版PPが吸着プレート34に吸着される。
こうして版PPの吸着が完了すると、ステージ昇降モータM31が逆方向に回転して、吸着プレート34が版PPを吸着保持したまま鉛直上方に上昇して版吸着位置XP23の鉛直上方位置に版PPを移動させる。そして、版用シャトル昇降モータM22Lが回転軸を回転させ、昇降プレート231を鉛直上方に移動させ、版用シャトル23Lをプリアライメント位置から搬送位置、つまり版吸着位置XP23に移動して位置決めする。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させてシャトル保持プレート22を(+X)方向に移動させ、空になった版用シャトル23Lを中間位置XP22に位置決めする。
次のステップS4では、ステージ駆動モータM41が作動してアライメントステージ42を初期位置に移動させる。これによって、毎回スタートが同じ位置となる。それに続いて、ピン昇降シリンダCL51が動作してリフトプレート541を上昇させ、リフトピン542を吸着プレート51の上面から鉛直上方に突出させる。こうして、ブランケットBLの投入準備が完了すると、図示を省略するブランケット搬送ロボットが、装置100にアクセスしてブランケットBLをリフトピン542の頂部に載置した後、装置100から退避する。次に、ピン昇降シリンダCL51が動作してリフトプレート541を下降させる。これによって、リフトピン542がブランケットBLを支持したまま下降してブランケットBLを吸着プレート51に載置する。すると、下ガイド駆動モータM82が作動し、下ガイド822が移動し、各下ガイド822が吸着プレート51に支持されるブランケットBLの端面と当接してブランケットBLを予め設定した水平位置に位置決めする。
こうしてブランケットBLのプリアライメント処理が完了すると、バルブV52が開き、これによって下ステージ用の吸着機構に対して調圧された負圧が供給されてブランケットBLが吸着プレート51に吸着される。さらに、各下ガイド駆動モータM82が回転軸を逆方向に回転させ、各下ガイド822をブランケットBLから離間させる。これによって、パターニング処理の準備が完了する。
次のステップS5では、センサ水平駆動シリンダCL52(図3)が動作してブランケット厚み計測センサSN51をブランケットBLの右端部の直上位置に位置決めする。そして、ブランケット厚み計測センサSN51がブランケットBLの厚みに関連する情報を制御部6に出力し、これによってブランケットBLの厚みが計測される。その後で、上記センサ水平駆動シリンダCL52が逆方向に動作してブランケット厚み計測センサSN51を吸着プレート51から退避させる。
次に、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を所定方向に回転させ、吸着プレート34を下方向(−Z)に下降させて版PPをブランケットBLの近傍に移動させる。さらに、第2ステージ昇降モータM32が回転軸を回転させ、狭いピッチで吸着プレート34を昇降させて鉛直方向Zにおける版PPとブランケットBLの間隔、つまりギャップ量を正確に調整する。なお、このギャップ量は版PPおよびブランケットBLの厚み計測結果に基づいて制御部6により決定される。
そして、押さえ部7の押さえ部材71を下降させてブランケットBLの周縁部を全周にわたって押さえ部材71で押さえ付ける。それに続いて、バルブV51、V52が動作して吸着プレート51とバルーン部材との間にエアーを部分的に供給してバルーン部材の一部を膨らませることでブランケットBLが部分的に上ステージ部3に保持された版PPに押し付けられる。その結果、ブランケットBLの中央部が版PPに密着して版PPの下面に予め形成されたパターンがブランケットBLの上面に予め塗布された塗布層と当接して当該塗布層をパターニングしてパターン層を形成する。なお、この点については後で詳しく説明する。
次のステップS6では、第2ステージ昇降モータM32が回転軸を回転させて吸着プレート34が上昇して版PPをブランケットBLから剥離させる。また、剥離処理を行うために版PPを上昇させるのと並行して適時、バルブV51、V52の開閉状態を切替え、バルーン部材およびブランケットBLに負圧を与えて吸着プレート51側に引き寄せる。その後、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、吸着プレート34を上昇させて版PPをイオナイザ91とほぼ同一高さの除電位置に位置決めする。また、押さえ部7の押さえ部材71を上昇させてブランケットBLの押さえ付けを解除する。それに続いて、イオナイザ91が作動して上記版剥離処理時に発生する静電気を除電する。この除去処理が完了すると、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、版PPを吸着保持したまま吸着プレート34が初期位置(版吸着位置XP23よりも高い位置)まで上昇する。
次のステップS7では、回転アクチュエータRA2、RA2が動作し、版用ハンド232、232を180゜回転させて原点位置から反転位置に位置決めする。これによって、ハンド姿勢が未使用姿勢から使用済姿勢に切り替わり、使用済みの版PPの受取準備が完了する。そして、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート22を(−X)方向に移動させる。これによって、版用シャトル23Lが版吸着位置XP23に移動して位置決めされる。
一方、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、版PPを吸着保持したまま吸着プレート34が版用シャトル23Lのハンド232、232に向けて下降してハンド232、232上に版PPを位置させた後、バルブV31,V32が閉じ、これによって吸着プレート34の吸着機構による版PPの吸着が解除されて搬送位置での版PPの受け渡しが完了する。そして、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を逆回転させ、吸着プレート34を初期位置まで上昇させる。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート22を(+X)方向に移動させる。これによって、版用シャトル23Lが使用済み版PPを保持したまま中間位置XP22に移動して位置決めされる。
次のステップS8では、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート22を(+X)方向に移動させる。これによって、処理前の基板SBを保持する基板用シャトル23Rが基板吸着位置XP23に移動して位置決めされる。そして、版PPのプリアライメント処理および吸着プレート34による版PPの吸着処理と同様にして、基板SBのプリアライメント処理および基板SBの吸着処理が実行される。その後、基板SBの吸着が検出されると、ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、基板SBを吸着保持したまま吸着プレート34を鉛直上方に上昇させて基板吸着位置XP23より高い位置に基板SBを移動させる。そして、基板用シャトル昇降モータM22Rが回転軸を回転させ、基板用シャトル23Rをプリアライメント位置から搬送位置に移動させて位置決めする。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させてシャトル保持プレート22を(−X)方向に移動させ、空になった基板用シャトル23Rを中間位置XP24に位置決めする。
次のステップS9では、ブランケット厚みが計測され、さらに精密アライメントが実行された後で、転写処理が実行される。すなわち、パターニング処理での厚み計測と同様にして、ブランケットBLの厚みが計測される。なお、このようにパターニング直前のみならず、転写直前においてもブランケットBLの厚みを計測する主たる理由は、ブランケットBLの一部が膨潤することでブランケットBLの厚みが経時変化するためであり、転写直前でのブランケット厚みを計測することで高精度な転写処理を行うことが可能となる。
次に、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を所定方向に回転させ、吸着プレート34を下方向(−Z)に下降させて基板SBをブランケットBLの近傍に移動させる。さらに、第2ステージ昇降モータM32が回転軸を回転させ、狭いピッチで吸着プレート34を昇降させて鉛直方向Zにおける基板SBとブランケットBLの間隔、つまりギャップ量を正確に調整する。このギャップ量については、基板SBおよびブランケットBLの厚み計測結果に基づいて制御部6により決定される。そして、パターニング(ステップS5)と同様に、押さえ部材71によるブランケットBLの周縁部の押さえ付けを行う。
こうして、基板SBとブランケットBLとはいずれもプリアライメントされ、しかも転写処理に適した間隔だけ離間して位置決めされるが、ブランケットBLに形成されたパターン層を基板SBに正確に転写するためには、両者を精密に位置合せする必要がある。そこで、本実施形態では、撮像部43が、ブランケットBLにパターニングされたアライメントマークならびに基板SBに形成されるアライメントマークを撮像し、それらの画像を制御部6の画像処理部65に出力する。そして、それらの画像に基づいて制御部6は基板SBに対してブランケットBLを位置合せするための制御量を求め、さらにアライメント部4のステージ駆動モータM41の動作指令を作成する。そして、ステージ駆動モータM41が上記制御指令に応じて作動して吸着プレート51を水平方向に移動させるとともに鉛直方向Zに延びる仮想回転軸回りに回転させてブランケットBLを基板SBに精密に位置合せする(アライメント処理)。
そして、バルブV51、V52が動作して吸着プレート51とバルーン部材との間にエアーを部分的に供給してバルーン部材の一部を膨らませることでブランケットBLが部分的に上ステージ部3に保持された基板SBに押し付けられる。その結果、ブランケットBLが基板SBに密着する。これによって、ブランケットBL側のパターン層が基板SBの下面のパターンと精密に位置合せされながら、基板SBに転写される。
次のステップS10では、版剥離(ステップS6)と同様に、ブランケットBLからの基板SBの剥離、除電位置への基板SBの位置決め、押さえ部材71によるブランケットBLの押付解除、除電を実行する。その後、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、基板SBを吸着保持したまま吸着プレート34が初期位置(搬送位置よりも高い位置)まで上昇する。
次のステップS11では、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート22を(+X)方向に移動させる。これによって、基板用シャトル23Rが基板吸着位置XP23に移動して位置決めされる。また、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、基板SBを吸着保持したまま吸着プレート34を基板用シャトル23Rのハンド232、232に向けて下降させる。その後、バルブV31が閉じ、これによって吸着機構による基板SBの吸着が解除される。そして、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を逆回転させ、吸着プレート34を初期位置まで上昇させる。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート22を(−X)方向に移動させて当該基板SBを保持したまま基板用シャトル23Rを中間位置XP24に移動させて位置決めする。
次のステップS12では、バルブV51、V52が動作して吸着プレート51によるバルーン部材およびブランケットBLの吸着を解除する。そして、ピン昇降シリンダCL51が動作してリフトプレート541を上昇させ、使用済みのブランケットBLを吸着プレート51から鉛直上方に持ち上げる。そして、ブランケット搬送ロボットが、装置100にアクセスして使用済みのブランケットBLをリフトピン542の頂部から受け取り、装置100から退避する。これに続いて、ピン昇降シリンダCL51が動作してリフトプレート541を下降させ、リフトピン542を吸着プレート51よりも下方向(−Z)に下降させる。
次のステップS13では、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート22が(+X)方向に移動する。これによって、版用シャトル23Lが版受渡し位置XP21に移動して位置決めされる。それに続いて、版洗浄装置の版搬送ロボットが使用済みの版PPを印刷装置100から取り出す。こうして版PPの搬出が完了すると、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させてシャトル保持プレート22を(−X)方向に移動させ、版用シャトル23Lを中間位置XP22に位置決めする。
次のステップS14では、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート22を(−X)方向に移動させる。これによって、基板用シャトル23Rが基板受渡し位置XP25に移動して位置決めされる。それに続いて、基板洗浄装置の基板搬送ロボットが転写処理を受けた基板SBを印刷装置100から取り出す。こうして基板SBの搬出が完了すると、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させてシャトル保持プレート22を(+X)方向に移動させ、基板用シャトル23Rを中間位置XP23に位置決めする。これにより、印刷装置100は初期状態に戻る。
B.パターン形成技術
ところで、上記した印刷装置100は、塗布層およびパターン層を担持する板状の担持体としてブランケットBLを用いるとともに、ブランケットBLを版PPや基板SBに押し付けて当接させる押付部材としてバルーン部材を用いている。以下、吸着プレート51、ブランケットBL、バルーン部材、版PPおよび基板SBの寸法関係を図5および図6を参照しつつ説明した後で、図5ないし図9を参照しつつ、上記印刷装置100で採用した本発明にかかるパターン形成装置およびパターン形成方法について説明する。
図5は吸着プレート、ブランケット、バルーン部材、版および基板の寸法関係を示す斜視図であり、図6は本発明にかかるパターン形成装置の一実施形態を示す図であり、下ステージ部の吸着プレートの側断面および空圧回路を模式的に示している。版PPの下面PPaは、ブランケットBL上の塗布層CTをパターニングするための凹凸パターンを有するパターニング面となっており、この凹凸パターンによって塗布層CTがパターニングされてパターン層PLが形成される。また、基板SBの下面SBaは上記したようにブランケットBL上のパターン層PLが転写される被転写面となっている。換言すれば、図5に示すように、ブランケットBLの表面中央部には版PPの下面PPaおよび基板SBの下面SBaと同じ広さの有効パターンエリアEPAが設けられ、その有効パターンエリアEPA内に塗布層CTおよびパターン層PLが形成される。
また、このブランケットBLは、吸着プレート51の上面51aの中央部に配置されるバルーン部材BAを上方より覆った状態で、吸着プレート51の上面51aで保持される。このバルーン部材BAはゴムや樹脂などの弾性材料をシート状に仕上げたものであり、その平面サイズは基板SBおよび版PPのそれよりも大きいが、ブランケットBLのそれよりも小さく、バルーン部材BAはブランケットBLによりすっぽりと覆われる。なお、本実施形態では、バルーン部材BAの交換を考慮して、バルーン部材BAは吸着プレート51の上面中央部に対して着脱自在となっている。
また、バルーン部材BAを上方より覆うようにブランケットBLを吸着プレート51に搬入すると、ブランケットBLの周縁部、つまりバルーン部材BAからはみ出た部分が吸着プレート51の上面周縁部で保持される。このように、本実施形態では、吸着プレート51の上面51aの中央領域がバルーン部材BAを保持するバルーン保持領域として機能する一方、周縁領域がブランケットBLを保持するブランケット保持領域として機能する。
これらのうちブランケット保持領域は上方から見た平面視で額縁形状を有しており、バルーン保持領域を取り囲むように設けられている。また、このブランケット保持領域では、バルーン保持領域を取り囲むように二重の環状溝511、512が形成されている。なお、図6中の符号511a、512aはそれぞれ環状溝511、512の開口であり、ブランケットBLと対向している。
一方、バルーン保持領域は有効パターンエリアEPAよりも広い矩形形状を有しており、そのバルーン保持領域に複数の吸着溝513の開口513aが形成されている。本実施形態では、複数の吸着溝513は、図5に示すように、X方向に延設されたスリット溝であり、Y方向に等間隔で一列に配置されている。このため、開口513aは図6に示すようにY方向に一定間隔でバルーン保持領域内に形成されており、バルーン部材BAと対向する「押付側開口」として機能する。
そして、各開口511a、512a、513aに対して配管の一方端が接続されている。また、各配管の他方端は2つに分岐しており、その一方の分岐配管は上記したようにバルブV51を介して加圧用マニホールド57aに接続されている。また、もう一方の分岐配管はバルブV52を介して負圧用マニホールド57bに接続されている。さらに、これらのマニホールド57a、57bには、それぞれレギュレータにより調圧された正圧および負圧を供給する正圧供給部58aおよび負圧供給部58bが接続されている。このため、制御部6のバルブ制御部64がこれらのバルブV51、V52の開閉状態を個別に制御することで開口511a、512a、513a毎に、正圧供給、負圧供給および供給停止が選択的に行われる。つまり、各開口511a、512a、513aが圧力供給ポートとして機能している。
なお、本明細書では、図7ないし図9に示すように、吸着溝(スリット溝)513の形成位置に応じて各開口513aを区別するため、吸着プレート51の上面51aの中央位置に形成された開口513aを「開口P(0)」とし、開口P(0)から前方向(+Y)に配列されるスリット溝513の開口513aをそれぞれ「開口P(+1)」、「開口P(+2)」、…とし、さらに開口P(0)から後方向(−Y)に配列されるスリット溝513の開口513aをそれぞれ「開口P(−1)」、「開口P(−2)」、…と称する。そして、これらを用いながら、本実施形態におけるパターン形成方法について図7ないし図9を参照しつつ詳述する。
図7ないし図9は本発明にかかる印刷装置におけるパターン形成動作を模式的に示す図である。これらの図中の矢印線は各開口511a、512a、513aに供給される圧力状態、つまり、
上向き矢印実線…正圧供給
下向き矢印実線…負圧供給
矢印なしの点線…供給停止
をそれぞれ示している。なお、ここでは、吸着プレート37に吸着保持された版PPに対し、ブランケットBLを押し付けて当接させることでパターン層をブランケットBLに形成するパターン形成動作について説明する。ただし、基板SBにパターン層を転写してパターンを形成するパターン形成動作も基本的には同一であるため、同一または相当の符号を付して説明を省略する。なお、この点については後の実施形態においても同様である。
このパターニング動作(パターニングS5)の開始直前では、バルーン部材BAは吸着プレート51の上面51aの中央部で全面吸着されている。また、ブランケットBLはバルーン部材BAを覆うように配置されるとともに、ブランケットBLの周縁部が吸着プレート51の上面51aの周縁部で吸着されている。なお、本実施形態では、ブランケットBLに対向する開口512aに対して気体を給排気することで図7に示す2種類の状態を選択的に作り出すことが可能となっており、これらの状態間で切り替えている。なお、以下の説明のために、図7(a)に示す状態を「密着状態」と称する一方、同図(b)に示す状態を「気体層を介在させた状態」と称する。
図7(a)に示す密着状態を作り出すために、制御部6のバルブ制御部64は全てのバルブV51を閉じる一方、全てのバルブV52を開いて各開口511a、512a、513aに負圧を供給する。これによって、ブランケットBLとバルーン部材BAとの間の気体が開口512aを介して排気されて両者が密着された状態、つまり密着状態で吸着プレート51の上面51aに吸着保持される。
一方、図7(b)に示す気体層を介在させた状態を作り出すために、制御部6のバルブ制御部64は開口512aに繋がるバルブV51を除く全てのバルブV51を閉じる一方、開口512aに繋がるバルブV52を除く全てのバルブV52を開く。これにより開口512aに対して窒素ガスなどの気体が供給され、これによってブランケットBLとバルーン部材BAとの間に気体層GLが形成される。なお、その他の開口511a、513aには、密着状態の場合と同様に負圧が供給されてバルーン部材BAは吸着プレート51の上面中央部に吸着保持され、ブランケットBLは気体層GLを介してバルーン部材BAを覆うように配置され、その最外周縁部が吸着プレート51の上面中央部に吸着保持される。
このように本実施形態では、バルブV51、V52の開閉制御によって、「密着状態」と、「気体層を介在させた状態」との切替を行うことができるように構成されている。この切替は、版PP、基板SB、ブランケットBLの種類、さらには塗布層CTを構成する材質や厚みなどのパターン形成条件に応じて設定される。例えば、パターン形成条件に対応した状態を示す情報を含むレシピを予め準備しておくことができる。そして、ユーザやオペレータなどがレシピを選択すると、制御部6が選択されたレシピに基づいて上記状態切替を行うように構成してもよい。これによって、パターン形成に適した状態が自動的に選択され、パターニング動作の準備が完了する。このようにパターニング動作前にブランケットBLとバルーン部材BAとの間における気体層GLの有無を切り替えている(切替工程)。
密着状態が選択された場合、ブランケットBLの中央部は、図8(a)に示すように、バルーン部材BAの上面に密着している。そして、バルブ制御部64が上面中央位置の開口P(0)に接続されるバルブV52を閉じるとともにバルブV51を開いて開口P(0)から正圧を供給することで、密着状態でのパターニング動作が開始される(同図(b))。この正圧供給によってバルーン部材BAの中央部と上面51aとの間に加圧エアーが入り込んで加圧空間SP5が形成され、これによってバルーン部材BAの中央部が浮き上がり、ブランケットBLの中央部を版PPの下面に押し付けて当接される。一方、開口P(0)より(+Y)端縁側および(−Y)端縁側に位置する開口P(+1)、P(+2)、…、P(−1)、P(−2)、…はいずれも負圧が供給されてバルーン部材BAを吸着保持している。現時点では開口P(0)が本発明の「第1押付側開口」に相当するとともに、開口P(+1)、P(+2)、…、P(−1)、P(−2)、…が本発明の「第2押付側開口」に相当している。
次に、制御部6のバルブ制御部64は、現時点での第2押付側開口のうち開口P(0)に隣接する開口P(+1)に接続されるバルブV51を閉じたままバルブV52を開状態から閉状態に切り替えて開口P(+1)への負圧供給を停止する(同図(c))。すると、開口P(+1)近傍では、加圧空間SP5内の加圧力に対するバルーン部材BAを保持する力が次第に弱くなる。そして、それに伴って加圧空間SP5内の気体成分が、バルーン部材BAの開口P(+1)の鉛直上方部分と上面51aとの間に流入して当該バルーン部分を上面51aから浮き上がらせてブランケットBLの開口P(+1)の鉛直上方部分を版PPの下面に押し付けて当接させる。このように、上記加圧空間SP5内の圧力が急激に変動するのを抑制しつつ版PPに当接するブランケットBLの領域、つまり当接領域CAが中央部から(+Y)端縁側に緩やかに安定して拡幅される。したがって、この拡幅中に残留気泡が版PPとブランケットBLとの間に入り込むのを確実に防止することができる。
このように同図(c)に示す拡幅工程においては、開口P(+1)が本発明の「第3押付側開口」に相当している。また、現時点では開口P(0)が本発明の「第1押付側開口」に相当するとともに、開口P(+2)、…、P(−1)、P(−2)、…が本発明の「第2押付側開口」に相当している。また、第3押付側開口に相当する開口P(+1)への負圧供給の停止を行う間、第1押付側開口に相当する開口P(0)への正圧供給を継続させているため、開口P(+1)への負圧供給の停止によって加圧空間SP5が広がる際に、開口P(0)から正圧が供給される。その結果、加圧空間SP5内の圧力変動がさらに抑制されている。
このように(+Y)端縁側への当接領域CAの拡幅が完了すると、次に(−Y)端縁側への当接領域CAの拡幅工程が実行される。つまり、制御部6のバルブ制御部64は、現時点での第2押付側開口のうち開口P(0)に隣接する開口P(−1)に接続されるバルブV51を閉じたままバルブV52を開状態から閉状態に切り替えて開口P(−1)への負圧供給を停止する(同図(d))。すると、(+Y)端縁側への当接領域CAの拡幅工程(同図(c))と同様に、開口P(−1)近傍では、加圧空間SP5内の加圧力に対するバルーン部材BAを保持する力が次第に弱くなり、加圧空間SP5内の圧力が急激に変動するのを抑制しつつ当接領域CAが中央部から(−Y)端縁側に緩やかに安定して拡幅される。したがって、この拡幅中にも残留気泡が版PPとブランケットBLとの間に入り込むのを確実に防止することができる。
このように同図(d)に示す拡幅工程においては、開口P(−1)が本発明の「第3押付側開口」に相当している。また、現時点では開口P(0)が本発明の「第1押付側開口」に相当するとともに、開口P(+2)、…、P(−2)、…が本発明の「第2押付側開口」に相当している。
また、拡幅工程を行うことで加圧空間SP5が広がり、ブランケットBLを版PPに押し付ける加圧力(あるいは押圧力)が低下するおそれがある。そこで、拡幅工程を一定回数(本実施形態では2回)だけ実行した後に、制御部6のバルブ制御部64は負圧供給を停止した開口P(+1)、P(−1)に接続されるバルブV51を閉状態から開状態に切り替え、各開口P(+1)、P(−1)への正圧供給を開始する(同図(e))。この正圧供給追加工程によって、加圧空間SP5が広がった分だけ新たな正圧供給が加わり、ブランケットBLを版PPに押し付ける加圧力(あるいは押圧力)を安定させることができる。なお、現時点では開口P(0)、P(+1)、P(−1)が本発明の「第1押付側開口」に相当している。
本実施形態では、上記した拡幅工程および正圧供給追加工程を繰り返して行うことで、気泡残留を発生させることなく、ブランケットBLを版PPに良好に当接させることができ、版PPによりブランケットBLにパターン層を形成することができる。なお、パターン層の形成が完了すると、元の状態に戻す。
また、パターン形成を行っている間、開口511aには常時負圧を供給してブランケットBLの周縁部を吸着プレート51に密着させておくことができ、パターン形成を安定して行うことができる。
上記においては、密着状態でのパターニング動作について説明したが、気体層を介在させた状態でのパターニング動作は図9に示すようにして実行される。すなわち、気体層を介在させた状態が選択された場合、ブランケットBLとバルーン部材BAとの間に気体層GLが介在しており、ブランケットBLの中央部は、図9(a)に示すように、バルーン部材BAの上面から離間している。そして、それ以降の動作については、密着状態の場合と同一である。ただし、上記したように気体層GLを介在させた状態でバルーン部材BAにより版PPにブランケットBLを押し付けているため、その押付動作は密着状態の場合に比べて緩やかであり、ブランケットBLはゆっくりと版PPに当接する。したがって、密着状態(図7(a)、図8)と、気体層を介在させた状態(図7(b)、図9)とを対比すると、加圧当接速度については密着状態の方が速く、版PPや基板SBに対するブランケットBLの加圧当接力も急激に加わる。
以上のように、本実施形態では、ブランケットBLと対向する開口のうち開口513aに隣接する開口512aに対する気体の給排気が可能となっている。そして、制御部6が上記給排気を制御してブランケットBLとバルーン部材BAとの間での気体層GLの形成を切り替える。その結果、気体層GLの有無によってパターン形成動作における加圧当接性を異ならせることができ、パターン形成条件に応じて適切な状態を選択することが可能となっており、優れた汎用性が得られる。
このように本実施形態では、吸着プレート37、51がそれぞれ本発明の「第1保持手段」および「第2保持手段」に相当している。また、本実施形態では、開口513aが本発明の「押付側開口」に相当している。これらの押付側開口513aに接続されるバルブV51、正圧供給部58aおよび配管により本発明の「正圧供給手段」が構成されるとともに、これらの押付側開口513aに接続されるバルブV52、負圧供給部58bおよび配管により本発明の「押付側負圧供給手段」が構成されている。また、開口512aが本発明の「ブランケット側開口」に相当しており、このブランケット側開口512aに接続されるバルブV51、バルブV52、正圧供給部58a、負圧供給部58bおよび配管により本発明の「気体給排気手段」が構成されている。また、環状溝511が本発明の「溝部」に相当しており、この環状溝511に接続されるバルブV52、負圧供給部58bおよび配管により本発明の「ブランケット側負圧供給手段」が構成されている。また、制御部6およびバルブ制御部64が本発明の「制御手段」に相当している。また、「X方向」が本発明の「第1方向」に相当するとともに、「Y方向」が本発明の「第2方向」に相当している。
図10は本発明にかかるパターン形成方法の他の実施形態を示す模式図である。この実施形態が図8に示すパターン形成方法と相違する点は、バルーン部材BAを最初に浮上させる工程におけるバルブ切替態様と、拡幅工程における当接領域CAの拡幅態様とであり、その他については基本的に同一である。また、ここでは密着状態でのパターン形成について説明するが、気体層を介在させた状態でパターン形成を行う場合も同様である。以下、図10を参照しつつ説明する。
この実施形態においても、パターン形成動作(パターニングS5)の開始直前では、バルーン部材BAは吸着プレート51の上面51aの中央部で全面吸着されている(図10(a))。また、ブランケットBLはバルーン部材BAを覆うように配置されるとともに、ブランケットBLの周縁部が吸着プレート51の上面51aの周縁部で吸着されている。すなわち、制御部6のバルブ制御部64は全てのバルブV51を閉じる一方、全てのバルブV52を開いて各開口511a、512a、513aに負圧を供給している。
そして、バルブ制御部64が上面中央位置の開口P(0)に対してY方向の両側に位置する開口P(+1)、P(−1)に接続されるバルブV51を閉じたままバルブV52を開状態から閉状態に同時に切り替えて開口P(+1)、P(−1)への負圧供給を停止する(同図(b))。それに続いて、バルブ制御部64は、開口P(0)、P(+2)、P(−2)に接続されるバルブV51、V52を次のように同時に開閉制御する。すなわち、開口P(0)に接続されるバルブV52を閉じるとともにバルブV51を開いて開口P(0)から正圧を供給する。また同時に、開口P(+2)、P(−2)に接続されるバルブV51を閉じたままバルブV52を開状態から閉状態に同時に切り替えて開口P(+2)、P(−2)への負圧供給を停止する。その結果、開口P(0)から供給される正圧によって、開口P(0)、P(+1)、P(−1)、P(+2)、P(−2)の鉛直上方に位置するバルーン部材BAの中央部と上面51aとの間に加圧エアーが入り込んで加圧空間SP5が形成され、これによって図8に示す実施形態よりも広い範囲にわたってバルーン部材BAの中央部が浮き上がりブランケットBLの中央部を版PPの下面に押し付けて当接させる(同図(c))。一方、開口P(+2)より(+Y)端縁側に位置する開口P(+3)、P(+4)、…、ならびに開口P(−2)より(−Y)端縁側に位置する開口P(−3)、P(−4)、…のいずれにも負圧が供給されており、これによってバルーン部材BAは吸着保持されている。現時点では開口P(0)が本発明の「第1押付側開口」に相当するとともに、開口P(+3)、P(+4)、…、P(−3)、P(−4)、…が本発明の「第2押付側開口」に相当している。
このように加圧空間SP5が比較的広がっているため、本実施形態では、制御部6のバルブ制御部64は負圧供給を停止している開口P(+1)に接続されるバルブV51を閉状態から開状態に切り替え、開口P(+1)への正圧供給を開始する(同図(d))。この正圧供給追加工程によって、加圧空間SP5に対して新たな正圧供給が加わり、バルーン部材BAがブランケットBLを版PPに押し付ける加圧力(あるいは押圧力)を安定させることができる。なお、この時点では、開口P(+3)、P(+4)、…、P(−3)、P(−4)、…が本発明の「第2押付側開口」に相当していることに変化はないが、開口P(+1)が新たに本発明の「第1押付側開口」に相当することになっている。
次に、制御部6のバルブ制御部64は、現時点での第2押付側開口のうち開口P(0)、P(+1)に隣接する開口P(+3)、P(−3)に接続されるバルブV51を閉じたままバルブV52を開状態から閉状態に切り替えて開口P(+3)、P(−3)への負圧供給を停止する(同図(e))。すると、上記拡幅工程と同様に、開口(+3)、P(−3)近傍では、加圧空間SP5内の加圧力に対するバルーン部材BAを保持する力が次第に弱くなり、加圧空間SP5内の圧力が急激に変動するのを抑制しつつ当接領域CAが中央部から(+Y)端縁側および(−Y)端縁側に緩やかに安定して拡幅される。したがって、この拡幅中にも残留気泡が版PPとブランケットBLとの間に入り込むのを確実に防止することができる。また同時に、制御部6のバルブ制御部64は負圧供給を停止している開口P(−1)に接続されるバルブV51を閉状態から開状態に切り替え、開口P(−1)への正圧供給を開始する。この新たな正圧供給によって、ブランケットBLを版PPに押し付ける加圧力(あるいは押圧力)を安定させることができる。
このように同図(e)に示す拡幅工程においては、開口P(+3)、P(−3)が本発明の「第3押付側開口」に相当している。また、現時点では開口P(0)、P(+1)、P(−1)が本発明の「第1押付側開口」に相当するとともに、開口P(+4)、…、P(−4)、…が本発明の「第2押付側開口」に相当している。
そして、本実施形態においても、上記した拡幅工程および正圧供給追加工程を繰り返して行うことで、図8に示す実施形態と同様に、気泡残留を発生させることなく、ブランケットBLを版PPに良好に当接させることができ、版PPによりブランケットBLにパターン層を形成することができる。また、パターン形成を行っている間、開口511aには常時負圧を供給してブランケットBLの周縁部を吸着プレート51に密着させておくことができ、パターン形成を安定して行うことができる。
C.その他
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、吸着プレート37によって版PPや基板SBなどの板状の物体を吸着保持しているが、当該物体の保持態様はこれに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、図5に示すように版PPや基板SBの外形サイズは同一であるが、板状の物体の外形サイズは単一であることは必須ではなく、相互に異なる場合にも、本発明を適用可能である。
また、本実施形態では、吸着プレート51の上面51aに対して環状溝511、512を設けて環状開口511a、512aを形成し、スリット溝513を設けてX方向に延びる開口513aを形成しているが、各開口の形状、大きさおよび配置などについては任意である。つまり、上面51aに複数の押付側開口が設けられた吸着プレートなどの第2保持手段によりバルーン部材を吸着保持し、さらに当該バルーン部材を覆うようにブランケットBLを保持する装置全般に本発明を適用することができる。
さらに、本実施形態では、本発明にかかるパターン形成装置を印刷装置100に装備させているが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、板状の物体に対してブランケットを当接させてパターンを形成するパターン形成装置全般に適用することができる。