JP2013233734A - 軽量気泡コンクリートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 切断面を平滑化させてケバ立ちや粉落ちを減少させ、塗装仕上げ後の外観性にも優れたALCパネルの製造に使用するALC半可塑体の切断用線材を提供する。
【解決手段】 ALC半可塑体の切断に使用する線材であって、その長手方向に垂直な面での断面形状が楕円形を有している。この線材は、該断面楕円形の半短軸の短半径をrとしたとき、半長軸の長半径が2r以上であることがより好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】 ALC半可塑体の切断に使用する線材であって、その長手方向に垂直な面での断面形状が楕円形を有している。この線材は、該断面楕円形の半短軸の短半径をrとしたとき、半長軸の長半径が2r以上であることがより好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は軽量気泡コンクリートの製造方法に関する。
軽量気泡コンクリート(ALC)は内部に気泡や細孔を含んでいるため、絶乾かさ比重が0.5程度と非常に軽量でありながら強度が比較的高いという優れた性質を有している。このALCを板状に成形してなるALCパネルの内部には、補強用の鉄筋が埋設されており、建築構造物の壁材、屋根材及び床材として多用されている。ALCパネルの厚さは標準的な100mmを中心として75〜125mmが主流であるが、37〜50mmの住宅用うす型パネルや150mm以上の厚いパネルも用いられている。
上記ALCパネルの製造では、一般に珪石や珪砂などの珪酸質原料と、セメント、生石灰などの石灰質原料とが主原料として用いられており、これに石膏、炭酸カルシウム、繰り返し原料などの副原料と、界面活性剤などの添加物とが適量の水と共に加えられ、更に発泡剤であるアルミニウム粉末が加えられる。これら全ての原料を一つの鋳込ミキサーで攪拌しながら混錬してスラリー化される。
混錬により生成されるスラリーでは、アルミニウム粉末の反応で水素ガスが発生するが、発生した水素ガスは気泡安定剤によって球状の気泡として安定化する。これにより、スラリーは体積膨張する。一方、セメント及び生石灰は、原料スラリー中の水を取り込み、水和物を生成する。その結果、スラリーは硬化して当初の流動性のある状態から流動性の無い半硬化状の半可塑体となる(以降、この半可塑体をALC半可塑体とも称する)。
この半可塑体に対して、オートクレーブにおいて180℃、10気圧程度の高温高圧の水蒸気で約6時間に亘って養生を行う。この養生過程において、珪石等の珪酸質原料とセメントや生石灰等の石灰質原料から珪酸カルシウム水和物のトバモライトが生成し、強度物性が向上する。
ところで、上記水蒸気養生を行う前、一般に両端を固定して緊張させたピアノ線を用いて半可塑体を所望のパネルサイズに切断する作業が行われる。その際、切断面にピアノ線の通過に伴うケバ立ちと呼ばれる荒れた状態が形成されることがあった。このケバ立ちは、ALCの粉として施工現場で飛散するため、作業環境上の問題になることがあった。また、上記切断面は塗装が施された後にALCパネルの外観上の表面となるため、荒れた外観が美感を損ねることがあった。
このケバ立ちの形成は、半可塑体の硬化度、ピアノ線の線径、ピアノ線の走行方法などに影響されることが知られており、従来からケバ立ちを減少させてパネル表面を平滑化する方法が幾つか提案されてきた。例えば特許文献1には、カーボン繊維からなる帯板形状の切断材を用いて切断する方法が提案されている。また、特許文献2には、樹脂性のテープをピアノ線に巻いて断面を紡錘形状にした部材を用いて切断する方法が示されている。更に、特許文献3には、所定の硬さの半可塑体に対して線径0.6mm以上0.8mm以下のピアノ線を用いて8m/分以下の速度で切断する方法が提案されている。
上記したように、従来のピアノ線による切断では切断面でのケバ立ちにより粉落ちも多くなる上、表面が荒れた状態となって塗装仕上げを施しても外観上好ましいものが得られなかった。本発明はかかる従来のピアノ線を用いた半可塑体の切断方法の問題に鑑みてなされたものであり、大掛かりな装置を必要とすることなく切断面を平滑化させることが可能であり、よってケバ立ちの形成や粉落ちが少なく、塗装仕上げ後の外観性にも優れたALCパネルの製造方法及びそれに使用する半可塑体の切断用線材を提供するものである。
本発明者らは、ALC製造過程における半可塑体に対して、パネル表面となる切断面を平滑化させるべく種々の断面形状のピアノ線を用いて切断を行ったところ、特定の断面形状のピアノ線を用いることによって切断面が平滑化され、ケバ立ちや粉落ちが減少すると共に、塗装仕上げ後に優れた外観を呈することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明が提供する軽量気泡コンクリート(ALC)の半可塑体の切断用線材は、該線材の長手方向に垂直な面での断面形状が楕円形であることを特徴としている。上記楕円形は、半短軸の短半径をrとしたとき、半長軸の長半径が2r以上であるのがより好ましい。
本発明によれば、水蒸気養生を行う前の半可塑体を切断したときに得られる切断面を平滑化できるため、該切断面のケバ立ちや粉落ちが減少する上、塗装仕上げ後の外観性を向上させることが可能となる。
一般にALC半可塑体はある程度の弾性を有しているため、ピアノ線を用いて切断する際、その長手方向に垂直な面での断面形状が円形状の従来のピアノ線を用いると、ピアノ線の進入により一時的に押し広げられた半可塑体が、ピアノ線が通過するとその後方に回り込んでピアノ線に一旦付着する。そして、この付着した半可塑体はピアノ線の進行方向に先端を向けるようにして剥がれ、ケバ立ちになると考えられている。
これに対して、長手方向に垂直な面での断面形状が楕円形の切断用線材を使用した場合は、ALC半可塑体の後方への回り込みを抑えることができる。特に、上記断面形状が、半短軸の短半径rに対して半長軸の長半径が2r以上の楕円形であると、より効果的にALC半可塑体の後方への回り込みを防止することができる。
なお、上記したようにピアノ線の後方へのALC半可塑体の回り込みを抑えるには、ALC半可塑体を切断する際、ピアノ線の断面楕円形における長軸方向がピアノ線の進行方向に略一致するようにピアノ線を緊張させるのが望ましい。
以下、実施例を挙げて上記断面楕円形の切断用線材を用いた本発明のALCの半可塑体の切断方法をより詳細に説明する。先ず、珪石45重量部、石灰質原料としての生石灰5重量部、セメント30重量部、及び繰り返し原料20重量部を混合して固体原料とした。この固体原料の合計100重量部に対して水60重量部を加え、更にALC用アルミニウム粉末及び界面活性剤を加えて混練し、スラリーを作成した。
該スラリーは、石灰質原料の水和によりある程度硬化して半可塑体になった。このような半可塑体を6つ用意し、その内の2つは断面が円形状の従来のピアノ線で切断し、残りの4つは断面が楕円形状のピアノ線で切断した。そして、切断した6つの半可塑体をオートクレーブ内に装入し、180℃、10気圧の高温高圧水蒸気によって6時間に亘って養生処理を施した。これにより、厚さ100mmのALCパネルの試料1〜6を作製した。
これら試料1〜6のALCパネルに対して、目視により切断面のケバ立ちの状態を確認した。更に切断面を手で擦って粉落ちの程度を確認した。その結果を、切断に使用したピアノ線の断面における半短軸の短半径及び半長軸の長半径と共に下記の表1に示す。ケバ立ちについては、目視によりケバ立ちが認められなかったものを「○」、認められたものを「×」、ケバ立ちの形成が抑えられているものの若干残っているものを「△」と評価した。粉落ちについては、表面を手で擦ったときに手にケバ立ちによるALC粉が付着しなかったものを「○」、付着したものを「×」、若干付着したものを「△」と評価した。
上記表1の評価結果より、半径0.6mmの断面円形のピアノ線を用いて切断した試料1〜2では、切断面であるALCパネルの表面にケバ立ちが認められ、ALCパネルの表面から発生する粉落ちも多かった。これに対して断面楕円形状のピアノ線を用いて切断した試料3〜6では、ケバ立及び粉落ちの両方とも改善が認められ、ALCパネルの表面が平滑化されることが分かった。
特に、半短軸の短半径rに対して半長軸の長半径が2r以上の断面楕円形状のピアノ線を用いてALC半可塑体を切断した試料4〜6では、ALCパネルの表面がより平滑化され、ケバ立ちや粉落ちも著しく減少させることができ、塗装仕上げ後の外観性にも優れていた。なお、ケバ立ちについて「×」と評価された試料1の切断面の写真を図1に、「○」と評価された試料4の切断面の写真を図2に示す。
Claims (3)
- ALCの半可塑体を切断する線材であって、該線材の長手方向に垂直な面での断面形状が楕円形であることを特徴とするALC半可塑体の切断用線材。
- 前記楕円形の半短軸の短半径をrとしたとき、半長軸の長半径が2r以上であることを特徴とする、請求項1に記載のALC半可塑体の切断用線材。
- 請求項1又は2に記載のALC半可塑体の切断用線材を用いてALC半可塑体を切断することを特徴とするALCパネルの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012107739A JP2013233734A (ja) | 2012-05-09 | 2012-05-09 | 軽量気泡コンクリートの製造方法 |
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JP2013233734A true JP2013233734A (ja) | 2013-11-21 |
Family
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JP2012107739A Pending JP2013233734A (ja) | 2012-05-09 | 2012-05-09 | 軽量気泡コンクリートの製造方法 |
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JP (1) | JP2013233734A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104108132A (zh) * | 2014-05-20 | 2014-10-22 | 张春雨 | 一种预应力空心板切割机 |
-
2012
- 2012-05-09 JP JP2012107739A patent/JP2013233734A/ja active Pending
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