JP2013232602A - 蓄電デバイス用電極材料の製造方法、蓄電デバイス用電極、及び、蓄電デバイス - Google Patents

蓄電デバイス用電極材料の製造方法、蓄電デバイス用電極、及び、蓄電デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】 炭素材料の比表面積が充分に高く、高い充放電特性を発揮することが可能な蓄電デバイス用電極材料の製造方法を提供する。
【解決手段】 ケイ素と炭素前駆体とを含むケイ素含有体を調製又は準備するケイ素含有体調製工程と、上記ケイ素含有体を熱処理することにより、炭素と炭化ケイ素とが含まれる炭化ケイ素含有体を得る炭化ケイ素含有体製造工程と、炭化ケイ素含有体にハロゲン系ガスを作用させることによりケイ素を除去するケイ素除去工程とを含むことを特徴とする蓄電デバイス用電極材料の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、蓄電デバイス用電極材料の製造方法、蓄電デバイス用電極、及び、蓄電デバイスに関する。
近年、内部抵抗が低く、短時間で充放電を行うことができるといった特性を活かし、電気自動車等に使用することを目的として、電気二重層キャパシタ、ハイブリッドキャパシタ及びリチウムイオンキャパシタ(以下、単にキャパシタともいう)等の開発が進められている。
キャパシタ用電極を構成する材料としては、石油コークス系材料をアルカリ賦活、水蒸気賦活した活性炭からなる多孔質炭素材料や、ヤシ殻等を原料とする活性炭からなる多孔質炭素材料等が知られている。
このような多孔質炭素材料には、細孔直径が2nmより小さい細孔(以下、ミクロ孔ともいう)、細孔直径2〜50nmの細孔(以下、メソ孔ともいう)、及び、細孔直径が50nmを超える細孔(以下、マクロ孔ともいう)が形成されている。
マクロ孔のなかには、細孔直径50〜100nm程度の気孔が含まれている。そのため、マクロ孔が多く形成されていると、多孔質炭素材料が嵩高くなり、多孔質炭素材料を用いたキャパシタ用電極では単位体積あたりの蓄電量(以下、単に電極密度ともいう)が小さくなると考えられる。
キャパシタの静電容量を大きくするためには、比表面積の大きな炭素材料が望ましく、そのためにはなるべく小さい細孔が多く形成された炭素材料が望まれる。
しかしながら、従来の多孔質炭素材料を使用したキャパシタ用電極では、メソ孔やミクロ孔等の割合が大きいとは言えず、比表面積が大きくないので、電極密度が充分に大きい電極用材料を製造することが難しかった。
このような問題を考慮した電極材料の製造方法として、例えば、特許文献1には、熱硬化性樹脂に官能基を有するケイ素化合物で修飾した樹脂複合体を調製する工程と、前記樹脂複合体を熱処理して熱硬化性樹脂を炭化し、かつ官能基を持ったケイ素化合物からシリカを生成して、カーボン−シリカ複合体を製造する工程と、前記カーボン−シリカ複合体を粉砕してカーボン微粉末を製造する工程と、前記カーボン微粉末からシリカを除去する工程とを含むカーボン微粒子の製造方法が開示されている。
特開2007−8790号公報
特許文献1に記載の従来の多孔質炭素材料は、製造工程で無機粒子の粒子径を制御することにより、多くのメソ孔が分散したカーボン微粒子を得ることができるとされている。
しかしながら、特許文献1に記載のカーボン微粒子は、メソ孔の割合は大きくなるものの、ミクロ孔の割合が充分に高くないため、カーボン微粒子の比表面積が充分に高いとは言えなかった。
また、炭素材料の電気伝導率も高いとはいえず、電極の内部抵抗によりキャパシタが発熱したり、電力のロスのもととなっている。このため、特許文献1に記載の方法で製造されたカーボン微粒子には、さらに導電材を加えることにより導電率を高めて電極材料として使用している。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、炭素材料中に一旦、炭化ケイ素(SiC)を生成させ、その後、SiC結晶からSiを除去することにより、ミクロ孔の割合がさらに高い電極材料を製造することができることを見出し、本発明の蓄電デバイス用電極材料の製造方法を完成させた。
即ち、本発明の蓄電デバイス用電極材料の製造方法は、ケイ素と炭素前駆体とを含むケイ素含有体を調製又は準備するケイ素含有体調製工程と、上記ケイ素含有体を熱処理することにより、炭素と炭化ケイ素とが含まれる炭化ケイ素含有体を得る炭化ケイ素含有体製造工程と、上記炭化ケイ素含有体にハロゲン系ガスを作用させることによりケイ素を除去するケイ素除去工程とを含むことを特徴とする。
本発明の蓄電デバイス用電極材料の製造方法では、ケイ素と炭素前駆体とを含むケイ素含有体を熱処理することにより、一旦、炭素と炭化ケイ素とが含まれる炭化ケイ素含有体を得た後、SiCの結晶格子のなかからSiを除去するケイ素除去工程を行うので、炭素材料中に原子単位の大きさに近い極めて細かいミクロ孔が形成される。
この蓄電デバイス用電極材料の製造方法により得られた電極材料には、高比表面積のミクロ孔が、該ミクロ孔より低比表面積のメソ孔、マクロ孔よりも多く形成されており、比表面積が大きく、高い充放電特性を発揮することが可能な蓄電デバイス用電極を製造することができる。
本発明の蓄電デバイス用電極材料の製造方法において、上記ケイ素含有体は、高分子鎖にケイ素(Si)を含む修飾基が結合した第1の複合材であることが望ましい。
上記第1の複合材では、高分子鎖にケイ素を含む修飾基が結合しているので、第1の複合材の全体に分子オーダーでSiがほぼ均一に分散しており、熱処理を行うことにより均一に分散した炭化ケイ素を生成することができる。そして均一に分散した炭化ケイ素の結晶粒子からSiを除去するケイ素除去工程を行うことにより、ミクロ孔が材料全体に均一に分散した材料となり、より大きな比表面積の蓄電デバイス用電極材料を得ることができる。
本発明の蓄電デバイス用電極材料の製造方法において、上記第1の複合材は、アルコキシシラン類により修飾された熱硬化性樹脂であることが望ましい。
アルコキシシラン類により修飾された熱硬化性樹脂は、高分子鎖にケイ素を含む修飾基が結合した第1の複合材の具体例であり、従って、ミクロ孔が材料全体に均一に分散したより大きな比表面積の蓄電デバイス用電極材料を得ることができる。
また、熱硬化性樹脂は炭素に変化し易く、炭素生成率が高く、アルコキシシランは、SiOとなり易い。SiOは炭素との反応により、SiOを経由してSiCが製造され易い。また、SiOは気体であるので、反応の途中でSiOも除去され易いため、より比表面積の大きな蓄電デバイス用電極材料を得ることができる。
本発明の蓄電デバイス用電極材料の製造方法では、上記ケイ素含有体は、ケイ素化合物と有機材料とが混合してなる第2の複合材であることが望ましく、具体的には、上記第2の複合材は、シリカゾルと熱硬化性樹脂とが混合してなることが望ましい。
微粒子化したケイ素化合物と有機材料とを混合することにより、比較的簡単に有機材料中にケイ素化合物が均一に分散した第2の複合材を調製することができる。そして、得られる第2の複合材を熱処理することにより、一旦、SiCを生成させた後、SiC結晶よりSiを除去することができるので、やはりミクロ孔の分散性が高く、より大きな比表面積の炭素材料を得ることができる。
本発明の蓄電デバイス用電極材料の製造方法では、上記炭化ケイ素含有体製造工程において、上記ケイ素含有体を熱処理する温度は、1000℃以上であることが望ましい。
上記熱処理温度が1000℃以上である場合には、熱硬化性樹脂等の炭素前駆体が炭素に変化し易く、かつ、生成した炭素の導電率を高くすることができる。ケイ素の周囲に酸素が存在する場合には、ケイ素は、一旦、SiOとなり、周囲の炭素と反応すると、気体のCOとSiOが生成し、炭素とケイ素が揮散する。これにより、やはり細孔が形成され、さらに比表面積を増大させることが可能となる。
本発明の蓄電デバイス用電極材料の製造方法においては、上記ケイ素含有体を熱処理する温度は、2000℃以下であることがより望ましい。
上記熱処理温度が2000℃以下である場合には、ケイ素含有体から充分な量の炭素が生成するとともに、ケイ素がシリカに変化した後、炭素と反応してSiCが生成する。また、熱処理温度が高すぎないので、炭素の黒鉛化が進行しにくく、一旦形成されたミクロ孔が、黒鉛化に伴う原子の再配列によって消滅しにくい。
本発明の蓄電デバイス用電極材料の製造方法において、上記ケイ素除去工程は、減圧下で行われることが望ましい。炭化ケイ素含有体にハロゲン系ガスを作用させると、炭化ケイ素とハロゲン系ガスとの反応により、ハロゲン化ケイ素が生成し、Siが炭化ケイ素の結晶格子から抜けることにより細孔が形成される。生成したハロゲン化ケイ素は、速やかに系外に除去する必要がある。本発明において、ケイ素除去工程が減圧下で行われると、生成したハロゲン化ケイ素が速やかに系外に排出され、ケイ素が存在した部分は、ミクロ孔が形成され、大きな比表面積の炭素材料を得ることができる。
特に、本発明の蓄電デバイス用電極材料の製造方法において、上記したケイ素除去工程が、絶対圧700Torr(93kPa)以下の減圧下で行われると、より生成したハロゲン化ケイ素が系外に排出され易い。
本発明の蓄電デバイス用電極材料の製造方法では、上述したように、上記炭化ケイ素含有体製造工程において、上記ケイ素含有体を熱処理することにより、一旦、シリカと炭素とが生成し、続いてシリカと炭素とが反応することにより、炭化ケイ素が生成するので、大きな比表面積の蓄電デバイス用電極材料となる。
本発明の蓄電デバイス用電極材料の製造方法において、上記ケイ素除去工程では、ハロゲン系ガスとして塩素ガスが用いられることが望ましい。ハロゲン系ガスとして塩素ガスが用いられると、SiCとClとの反応により低沸点のSiClが生成し、Siを容易に除去することができる。また、塩素ガスは、フッ素ガスやフッ酸等に比べて扱い易く、安全性を確保するための高価な装置を用いる必要がなく、容易に上記反応によりSiを除去することができる。
本発明の蓄電デバイス用電極材料の製造方法において、上記ケイ素除去工程は、600〜1200℃の温度下に行われることが望ましい。この場合、生成したハロゲン化ケイ素は、ガス化し、生成したハロゲン化ケイ素を容易に除去することができる。
本発明の蓄電デバイス用電極材料の製造方法において、製造される蓄電デバイス用電極材料は、リチウムイオンキャパシタ用電極又は電気二重層キャパシタ用電極に用いられることが望ましい。製造される電極材料は、ミクロ孔の割合が高いので、比表面積が大きく、単位体積あたりの蓄電量が極めて大きな電極を製造することができる。
本発明の蓄電デバイス用電極は、本発明の蓄電デバイス用電極材料の製造方法により製造された電極材料を含むことを特徴とする。
上記蓄電デバイス用電極は、リチウムイオンキャパシタ用電極又は電気二重層キャパシタ用電極であることが望ましい。
本発明の蓄電デバイスは、本発明の蓄電デバイス用電極材料の製造方法により製造された電極材料を含む電極を備えたことを特徴とする。
上記蓄電デバイスは、リチウムイオンキャパシタ又は電気二重層キャパシタであることが望ましい。
本発明の実施形態に係るリチウムイオンキャパシタの一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
(1)本発明の実施形態に係る蓄電デバイス用電極材料の製造方法
本発明の実施形態に係る蓄電デバイス用電極材料の製造方法は、ケイ素と炭素前駆体とを含むケイ素含有体を調製又は準備するケイ素含有体調製工程と、上記ケイ素含有体を熱処理することにより、炭素と炭化ケイ素とが含まれる炭化ケイ素含有体を得る炭化ケイ素含有体製造工程と、上記炭化ケイ素含有体にハロゲン系ガスを作用させることによりケイ素を除去するケイ素除去工程とを含むことを特徴とする。
(ケイ素含有体調製工程)
本発明の実施形態に係る蓄電デバイス用電極材料の製造方法においては、上記ケイ素含有体調製工程において、ケイ素と炭素前駆体とを含むケイ素含有体を調製するが、ケイ素含有体としては、第1の複合材と第2の複合材の二種類が考えられる。
以下では、まず、第1の複合材及び第2の複合材について説明する。
(第1の複合材)
上記第1の複合材は、ケイ素と炭素前駆体とを含み、高分子鎖にケイ素(Si)を含む修飾基が結合したケイ素含有体である。この場合、高分子鎖が炭素前駆体であり、熱処理により炭素となる。
高分子鎖を構成する材料となるものとしては、例えば、熱硬化性樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ウレタン系樹脂、アミノ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、アルキド系樹脂、及び、ケイ素系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の中では、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、又は、ポリアミドイミド系樹脂が望ましく、特に、フェノール系樹脂、又は、網状骨格を有するポリイミド系樹脂が望ましい。
なお、本明細書において、フェノール系樹脂とは、フェノール樹脂及びフェノール樹脂を主成分とする樹脂(例えば、変性フェノール樹脂等)をいう。エポキシ系樹脂とは、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂を主成分とする樹脂をいう。他の樹脂についても同様である。
ケイ素を含む修飾基としては、例えば、有機珪素化合物等から得られる修飾基が挙げられる。有機珪素化合物としては、具体的に、アルコキシシラン類(例えば、アルコキシシラン化合物、アルコキシシランオリゴマー、ポリアルコキシシラン、及び、シランカップリング剤等)が挙げられる。
上記有機珪素化合物は、例えば、ビニル基、メタクリル基、エポキシ基、アミノ基、窒素含有基、硫黄含有アルキル基、及び、水酸基等の官能基を有していてもよい。
第1の複合材は、有機珪素化合物等の修飾基が、これらの官能基を介して上記熱硬化性樹脂を構成する高分子鎖と結合することにより形成することができる。
アルコキシシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;トリアルコキシシラン類;又はこれらの重合物等が挙げられる。
結合させるアルコキシシラン化合物としては、重合物であるアルコキシシランオリゴマーであることが望ましい。アルコキシシラン化合物の中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類又はこれらの重合物が望ましい。
アルコキシシラン化合物のうち、トリメトキシシランの重合物を化学式(1)に示す。
Figure 2013232602
化学式(1)中、Rはメチル基又はメトキシ基を表す。また、nは0以上の整数である。
また、アルコキシシラン化合物の重合度を小さくして、化学式(1)中のnを2〜10のアルコキシシランオリゴマーを用いることができる。この場合、アルコキシシランオリゴマーがフェノール樹脂等の高分子鎖を有する材料と多数の結合を形成しており、熱処理により炭素とSiOとが形成された後、炭素とSiOとが反応して炭化ケイ素が生成する。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリス(β−メトキシエトキシ)ビニルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、(N−フェニル−γ−アミノプロピル)トリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルファン、オクチルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記シランカップリング剤は、その官能基を介して、熱硬化性樹脂と反応して第1の複合材を形成する。なお、シランカップリング剤は、無機成分が結合しやすい加水分解基と有機成分が結合しやすい官能基とがシリコン原子(Si)に結合したものであり、通常、樹脂改質剤として用いられるものである。シランカップリング剤の官能基の化学反応によって、高分子鎖と結合し、高分子鎖にシランカップリング剤による架橋構造が形成される。
以下、第1の複合材の具体例として、アルコキシシラン化合物により修飾されたフェノール樹脂、アルコキシシラン化合物により修飾されたポリアミドイミド樹脂、及び、アルコキシシラン化合物により修飾されたポリイミド樹脂について説明する。
アルコキシシラン化合物により修飾されたフェノール樹脂は、フェノール樹脂に反応性の高い官能基を有しないアルコキシシランオリゴマーを反応させることにより生成することができる。
化学式(2)に、アルコキシシラン化合物により修飾されたフェノール樹脂の化学構造を示す。なお、フェノール樹脂とアルコキシシラン化合物との結合部位は、任意に選定することができる。
Figure 2013232602
化学式(2)中、Rはメチル基又はメトキシ基を表す。また、mは1以上の整数である。
アルコキシシラン化合物により修飾されたフェノール樹脂は、硬化反応剤と混合し、約170℃で約30分間、約100℃で約30分間、約220℃で約120分間等の条件で加熱することにより硬化させてもよい。
硬化反応剤としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミン、2−エチル−4−メチル−イミダゾール、ホルムアルデヒド等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物により修飾されたポリアミドイミド樹脂は、ポリアミック酸と芳香族カルボン酸のアミド結合体に、アルコキシシラン(アルコキシシランオリゴマー)を反応させることによりゾル−ゲル硬化(アルコキシシランの加水分解及び縮合反応)を行い、その後、得られたゲルを120〜250℃で加熱硬化する。
化学式(3)に、アルコキシシラン化合物により修飾されたポリアミドイミド樹脂の化学構造を示す。なお、アルコキシシラン化合物は、ポリアミドイミド樹脂の任意の部位に結合させることも可能である。
Figure 2013232602
化学式(3)中、Xはアルキルスペーサーを表す。また、mは1以上の整数、nは1以上の整数である。
アルコキシシラン化合物により修飾されたポリイミド樹脂は、ポリアミック酸と芳香族カルボン酸のアミド結合体に代えて、ポリアミック酸を使用すること以外は、上述したアルコキシシラン化合物により修飾されたポリアミドイミド樹脂の調製方法と同様の方法により調製することができる。
すなわち、アルコキシシラン化合物により修飾されたポリイミド樹脂は、ポリアミック酸に、アルコキシシラン(アルコキシシランオリゴマー)を反応させることによりゾル−ゲル硬化(アルコキシシランの加水分解及び縮合反応)を行い、その後、得られたゲルを120〜430℃で加熱してイミド化することにより生成することができる。
化学式(4)に、アルコキシシラン化合物により修飾されたポリイミド樹脂の化学構造を示す。なお、アルコキシシラン化合物は、ポリイミド樹脂の任意の部位に結合させることも可能である。
Figure 2013232602
化学式(4)中、xは1以上の整数、yは1以上の整数、nは1以上の整数である。
なお、フェノール樹脂等の高分子鎖を有する材料にアルコキシシラン(アルコキシシランオリゴマー)を反応させて第1の複合材を形成するには、ゾル状態の両者の混合物において、アルコキシシラン(アルコキシシランオリゴマー)を加水分解と共に重合反応をさせることで、高分子鎖にポリシロキサンが結合される。
そして、例えば、100〜200℃の温度で加熱を行い、ゾル−ゲル反応で有機材料間に架橋を形成して、ゾル状態からゲル状態に硬化させる。
また、フェノール樹脂等の高分子材料の任意の部位に、ほぼ均一な間隔でアルコキシシラン(アルコキシシランオリゴマー)を結合させることができ、架橋硬化した状態において、高分子材料中のポリシロキサンを均一に分布させることができる。
また、フェノール樹脂等の高分子鎖中に結合したポリシロキサンの分子量、結合点の数、結合点の位置を調整することで、細孔の大きさ、数量を制御することができる。
例えば、高分子中に、アルコキシシラン(アルコキシシランオリゴマー)の結合点を多くすれば、ポリシロキサンが高分子材料中に多数結合する。一方、アルコキシシラン(アルコキシシランオリゴマー)の結合点を少なくすれば、ポリシロキサンの結合点は少なくなる。その結果、加熱工程により得られるカーボンの微細構造、すなわち、孔サイズ、孔の数はポリシロキサンの結合点と結合量によって調整されることになる。
上記の例では、熱硬化性樹脂を構成する高分子鎖とケイ素を含む修飾基とが結合した場合について説明したが、高分子鎖を構成する材料となるものとしては、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエステル等の熱可塑性樹脂であってもよく、ブチルゴム、EPDM、ネオプレン等のエラストマーであってもよい。この場合、例えば、シランカップリング材との結合により得られる樹脂等が挙げられる。
さらに、第1の複合材は、シロキサン結合による主骨格を有するシリコーン(シリコン樹脂)であってもよい。
第1の複合材は、高分子鎖にケイ素を含む修飾基を結合させる工程を行って製造してもよく、高分子鎖にケイ素を含む修飾基が結合したものを購入して準備してもよい。
(第2の複合材)
第2の複合材は、ケイ素化合物と有機材料とが混合してなるケイ素含有体である。この場合、有機材料が炭素前駆体となる。
第2の複合材を構成する原料として、例えば、ケイ素化合物がシリカであり、有機材料がフェノール樹脂である場合、第2の複合材の構造としては、シリカ粒子がフェノール樹脂中に分散している構造も考えられる。また、シリカ粒子が−Si−O−単位の側鎖を有するフェノール樹脂中に分散している構造も考えられる。「シリカ」とは、セラミックのシリカ(SiO)だけでなく、有機材料中のSi−O単位をも意味することとする。
ケイ素化合物としては、例えば、固形状シリカ、シリカゾル、アルコキシシラン類、シランカップリング剤等が挙げられる。アルコキシシラン類、シランカップリング剤の具体例としては、上記第1の複合材に関する説明で示したものが挙げられる。なお、シリカゾルには、オルガノシリカゾルも含まれる。
固形状シリカとしては、シリカゲル、湿式シリカ、乾式シリカ、石英、硅砂等が挙げられる。これらのシリカは、微粉末状に粉砕されていることが望ましい。
有機材料としては、熱硬化性樹脂、又は、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ウレタン系樹脂、アミノ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、アルキド系樹脂、及び、ケイ素系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の中では、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、又は、ポリアミドイミド系樹脂が望ましく、特に、フェノール系樹脂、又は、網状骨格を有するポリイミド系樹脂が望ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリウレタン、ポリアセタール等が挙げられる。
有機材料は、第1の複合材であってもよい。
ケイ素化合物の粒子が有機材料中に分散している構造を有する第2の複合材は、オルガノシリカゾル等の無機ゾルとフェノール樹脂等の有機材料とを混合し、無機ゾルを有機材料に分散させることにより生成することができる。
第2の複合材も、上記したように、ケイ素化合物と有機材料とを混合することにより調製してもよく、ケイ素化合物と有機材料とが組み合わされたものを購入し、粉砕等の工程を加えて調製してもよい。
(炭化ケイ素含有体製造工程)
この炭化ケイ素含有体製造工程では、ケイ素と炭素前駆体とを含むケイ素含有体を熱処理することにより、炭素と炭化ケイ素とが含まれる炭化ケイ素含有体を得る。
第1の複合材では、炭素前駆体は、高分子鎖を構成する部分であり、これらの部分が熱処理により炭化して炭素が生成する。一方、ケイ素を含む修飾基の部分は、加熱によりケイ素が周囲に存在する酸素と反応して一旦シリカとなり、さらに生成したシリカと炭素とが反応することにより炭化ケイ素が生成する。炭素とシリカとは、下記の(1)式及び(2)式で示される2段階の反応により進行する。
SiO + C = SiO + CO・・・(1)
SiO + 2C = SiC + CO・・・(2)
以下においては、炭素前駆体が炭素となる反応を炭素化反応といい、上記反応により炭素が生成することを炭素化ということとする。また、炭素とシリカとの反応によりSiCが生成する反応をSiC化反応といい、上記反応によりSiCが生成することをSiC化ということとする。
炭素はシリカと反応することにより消費されるが、SiCが生成した後も、炭素は、電極材料の一部として残留することが望ましい。
残留する炭素は、SiC100重量部に対し、10〜300重量部であることが望ましく、90〜200重量部であることがより望ましい。残留する炭素が90重量部未満であると、空隙が多くなりすぎるため、かさ密度が低下し、蓄電デバイスの容量が小さくなる。残留する炭素が200重量部を超えると、ミクロ孔が多く形成されないので、蓄電デバイスの容量が小さくなる。なお、SiCの部分も、ケイ素除去工程でSiが除去されることにより、炭化ケイ素は、最終的には、炭素となる。
第2の複合材では、有機材料が炭素前駆体であり、上記有機材料が熱処理により炭化して炭素となる。一方、ケイ素化合物は、シリカであるか、加熱によりケイ素化合物中のSiが周囲に存在する酸素と反応して一旦シリカとなり、さらにこのシリカと炭素とが反応することによりSiCが生成する。炭素とシリカとは、上記(1)式及び(2)式で示される2段階の反応により進行する。
第2の複合材を用いた場合も、残留する炭素は、SiC100重量部に対し、10〜300重量部であることが望ましく、90〜200重量部であることがより望ましい。残留する炭素が90重量部未満であると、空隙が多くなりすぎるため、かさ密度が低下し、蓄電デバイスの容量が小さくなる。残留する炭素が200重量部を超えると、ミクロ孔が多く形成されないので、蓄電デバイスの容量が小さくなる。
上記熱処理の温度は、1000℃以上であることが好ましい。炭素化反応及びSiC化反応を良好に進行させるためである。
上記熱処理温度が1000℃未満であると、上記した(1)式及び(2)式によるSiC化反応が進行しにくくなる。
一方、上記熱処理の温度は、2000℃以下であることがより好ましい。反応温度が2000℃を超えた場合には、炭素化反応、SiC化反応は良好に進行するが、炭素の黒鉛化が進行し、炭素内部のミクロ孔を消滅させやすくなる。
上記熱処理の温度は、1150〜2000℃がより好ましく、1350〜1600℃がさらに好ましい。
炭化ケイ素含有体を得るための熱処理は、熱処理温度が1350℃以下の場合、減圧雰囲気中で行われることが望ましい。上記(1)式及び(2)式の反応においては、COガスが発生する。1350℃以下では、上記(1)式及び(2)式の反応速度が遅いので、雰囲気を減圧にして発生したCOガスを除去することにより、SiC化反応が進行し易いからである。
上記熱処理における圧力は、特に限定されるものでないが、熱処理温度が1350℃以下の場合、0.1Torr(13Pa)以下が好ましく、0.02Torr(2.7Pa)以下がより好ましい。圧力が0.02Torr(2.7Pa)以下であると、SiC化反応の進行を特に速くすることができ、後のケイ素除去工程でミクロ孔を多く形成することができる。
なお、上記の圧力は、絶対圧を表している。
加熱工程における加熱時間は、特に限定されないが、1〜100時間であることが望ましく、2〜15時間であることがより望ましい。
加熱時間が1時間未満であると、SiC化反応が進行しにくく、一方、加熱時間が100時間を超えても、得られる炭素や炭化ケイ素の特性は余り改善されず、加熱のための費用が高く付き、不経済となる。
この炭化ケイ素含有体製造工程では、生成した炭素とシリカとが反応し、炭素が消費されるため、製造される炭化ケイ素含有体に細孔が導入される。
上記炭化ケイ素含有体製造工程を減圧下で行った場合には、生成したCOが系外に排出され易く、(1)式及び(2)式の反応が右側に進行し易いが、同時に生成するSiOも、上記熱処理の温度ではガス化し易く、一部がSiOの形で系外に排出されるので、さらに細孔が形成され易い。
従って、上記炭化ケイ素含有体製造工程により得られる炭化ケイ素含有体は、炭素と炭化ケイ素とを含む複合体であり、上記炭化ケイ素含有体製造工程における(1)式及び(2)式の反応に起因して、内部に細孔が形成されている。
(ケイ素除去工程)
このケイ素除去工程では、上記熱処理により得られた炭化ケイ素含有体にハロゲン系ガスを作用させることによりケイ素を除去する。
金属シリコン及びSiOは、従来のフッ酸溶液、ハロゲン系ガスでも除去することができる。フッ酸溶液を用いると、炭化ケイ素を除去することが困難であるのに対し、ハロゲン系ガスを用いると、金属シリコン、SiO及び炭化ケイ素を共に容易に除去することができる。
上記炭化ケイ素含有体にハロゲン系ガスを作用させると、上記炭化ケイ素含有体中の炭化ケイ素とハロゲン系ガスとが反応し、ハロゲン化ケイ素(四フッ化ケイ素、四塩化ケイ素等)が生成する。そのため、SiC結晶格子中のSiが引き抜かれることとなり、SiC粒子が存在していた部分に、細孔直径が2nm以下のミクロ孔が形成され、得られる材料の比表面積が大きく増加する。
ハロゲン系ガスとして塩素ガスを例にとると、下記の(3)式の反応が進行する。
SiC + 2Cl= SiCl + C・・・(3)
上記ハロゲン系ガスは、特に限定されるものではないが、フッ素ガス、塩素ガス、CFガス、CClガス、CHClガスなどが好ましく、取り扱いが容易である観点から塩素ガスが特に好ましい。
上記ケイ素除去工程では、炭化ケイ素含有体製造工程の場合と同様に、減圧条件下で行うことが好ましい。上記(3)式の反応により生成したハロゲン化ケイ素を系外に排出し、(3)式の反応を右側に進行させるためには、減圧が好ましいからである。
ただし、炭化ケイ素含有体とハロゲン系ガスとを反応させるため、ハロゲン系ガスを系内に導入する必要があり、その際には、不活性ガスとハロゲン系ガスの混合ガスを系内に導入する。ハロゲン系ガスを系内に導入する際の系内の圧力は、700Torr(93kPa)以下が好ましく、0.03〜700Torr(4Pa〜93kPa)がより好ましく、100〜600Torr(13〜80kPa)がさらに好ましい。
上記(3)式の反応前、及び、上記(3)式の反応が進行した後には、系内の圧力は、700Torr(93kPa)以下が好ましく、0.03〜700Torr(4Pa〜93kPa)がより好ましく、100〜600Torr(13〜80kPa)がさらに好ましい。
なお、上記の圧力は、絶対圧を表している。
上記ケイ素除去工程における温度は、600〜1200℃が望ましく、800〜1000℃がより望ましい。(3)式の反応を良好に進行させるためである。
上記熱処理温度が600℃未満であると、(3)式によるハロゲン化ケイ素の生成反応が進行しにくくなる。(3)式の反応は、1200℃でほぼ完全に進行させることができ、残留するSiCを殆ど除去することができる。
このケイ素除去工程において、(3)式の反応を終了させるのに要する時間は、1〜4時間が好ましく、2〜4時間がより好ましい。4時間以内に大半の反応が終了し、4時間を超えて反応させても除去量があまり変わらない。反応を1時間以上行うと、未反応のケイ素をほぼ除去することができる。
本ケイ素除去工程で、導入するハロゲン系ガスの濃度は特に限定されない。100%の濃度で使用してもよく、不活性ガスで希釈して使用しても良い。不活性ガスとしては、ヘリウム、アルゴンなどの希ガス、窒素ガスなどが利用できる。
本発明の実施形態に係る蓄電デバイス用電極材料の製造方法では、ケイ素含有体調製工程で得たケイ素含有体を粉砕することにより粉末状のケイ素含有体とし、これを用いて炭化ケイ素含有体製造工程及びケイ素除去工程を行ってもよく、上記ケイ素除去工程を経て得た多孔質炭素材料を粉砕することにより、所定の粒子径を有する炭素粉末を得てもよい。
さらに、ケイ素含有体調製工程で得たケイ素含有体を粉砕して粉末状とするとともに、上記ケイ素除去工程を経て得た炭素を再度粉砕することにより、所定の粒子径を有する炭素粉末を得てもよい。
本発明では、ハロゲン系ガスを導入して炭化ケイ素含有体と反応させ、SiC中のSiを除去するため、炭化ケイ素含有体との反応性を考えると、少なくとも炭化ケイ素含有体は、粉末状であることが好ましい。
多孔質炭素材料の粉砕は、超微粉砕機、ボールミル、ジェットミル等を用いて行うことができる。
(2)本発明の実施形態に係る蓄電デバイス用電極材料の製造方法により得られた電極材料
上記製造方法により得られた電極材料は、炭素材料からなり、ミクロ孔が多数形成されており、大きな比表面積を有する多孔質炭素材料である。
具体的には、N吸着法により1〜2nmの範囲で精度の高いHK法を用いて解析した細孔容積分布曲線や、CO吸着法により1nm未満の範囲で精度の高いMC法で解析した細孔容積分布曲線から見て、細孔直径が2nm未満のミクロ孔が多数形成されていることが判明した。
なお、ここで用いるHK法とは、Horvath−Kawasoe法であり、MC法とは、モンテカルロ法である。
(3)リチウムイオンキャパシタ用電極又は電気二重層キャパシタ用電極
本発明の実施形態に係るリチウムイオンキャパシタ用電極又は電気二重層キャパシタ用電極は、上記蓄電デバイス用電極材料の製造方法により製造された電極材料(多孔質炭素材料)からなることを特徴とする。
ここでは、ハイブリッドキャパシタ用電極の一種であるリチウムイオンキャパシタ用電極を例に説明し、このようなキャパシタ用電極が使用されたキャパシタとして、ハイブリッドキャパシタの一種であるリチウムイオンキャパシタを例に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るリチウムイオンキャパシタの一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すリチウムイオンキャパシタ1は、リチウムイオンキャパシタ用電極(正極を符号2で示し、負極を符号3で示す)、セパレータ4及び電解液(図示せず)から構成されている。
具体的には、リチウムイオンキャパシタ1では、正極2と負極3とが、セパレータ4を介して対向するように設けられている。
正極2は、上述した蓄電デバイス用電極材料の製造方法により製造された多孔質炭素材料を含んでいる。
正極2は、上記多孔質炭素材料からなる電極組成物と、電極組成物が形成される正極集電体2aと、正極集電体2aに取り付けられた正極タブ2bとからなる。正極タブ2bはケーシング5から外部に取り出されている。
正極2の厚みは、好ましくは30〜300μm、より好ましくは40〜200μm、さらに好ましくは50〜150μmである。
正極2の厚みが30μm以上であると、充分な強度があるので、蓄電デバイス内で破れにくくすることができる。正極2の厚みが300μm以下であると、強度を備えながら蓄電デバイスを小型化でき、蓄電デバイスの容量を大きくすることができる。
正極集電体2aは、好ましくは金属、炭素、導電性高分子等から構成されており、金属から構成されていることがより好ましい。
正極集電体2a用の金属としては、アルミニウム、白金、ニッケル、タンタル、チタン、ステンレス鋼、銅、その他の合金等を使用することができる。
これらの中で電気伝導率、耐電圧性の面から銅、アルミニウムまたはアルミニウム合金を使用するのが好ましい。
正極集電体2aの形状は、金属箔、金属エッジド箔などの集電体、エキスパンドメタル、パンチングメタル、網状などの貫通する孔を有する集電体が挙げられるが、電解質イオンの拡散抵抗を低減しかつリチウムイオンキャパシタの出力密度を向上できる点で貫通する孔を有する正極集電体が好ましく、その中でもさらに電極強度に優れる点で、エキスパンドメタル又はパンチングメタルがより好ましい。
正極集電体2aの孔の割合は、好ましくは正極集電体全体の面積の10〜80面積%、より好ましくは20〜60面積%、さらに好ましくは30〜50面積%である。貫通する孔の割合がこの範囲にあると、ドープしたリチウムの拡散抵抗が低減し、リチウムイオンキャパシタの内部抵抗が低減する。
なお、正極集電体の孔はリチウムイオンキャパシタの場合にのみ設けられていればよく、電気二重層キャパシタの場合には孔が設けられている必要はない。
正極集電体2aの厚みは、好ましくは5〜100μmで、より好ましくは10〜70μm、さらに好ましくは20〜50μmである。
負極3は、リチウムイオンを吸蔵し、放出し得る負極活物質を含む電極である。
負極3には、負極集電体3aが設けられており、負極集電体3aには負極タブ3bが取り付けられており、負極タブ3bはケーシング5から外部に取り出されている。
負極集電体3bは、例えば、銅、ニッケル、ステンレス及びそれらの合金等から形成されている。
セパレータ4は、リチウムイオンキャパシタ用電極の間を絶縁でき、イオンを通過させることができるものであれば特に限定されない。
具体的には、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、レーヨン又はガラス繊維製の微孔膜、レーヨン又はガラス繊維製の不織布、パルプ(一般に電解コンデンサ紙と呼ばれる)を主原料とする多孔質膜などを用いることができる。
セパレータ4の厚みは、好ましくは1〜100μmであり、より好ましくは10〜80μmであり、さらに好ましくは20〜60μmである。
また、ケーシング5は、ラミネートフィルム、金属ケース、樹脂ケース、セラミックケース等から形成されていてもよい。
その形状としては、特に限定されず、コイン型、円筒型、角型等であってもよい。
電解液は、電解質と溶媒とから構成されている。
電解質としては、リチウム塩を使用することができる。そのため、カチオンとしては、リチウムイオンを用いることができる。また、アニオンとしては、PF 、BF 、AsF 、SbF 、N(RfSO2−、C(RfSO3−、RfSO (Rfはそれぞれ炭素数1〜12のフルオロアルキル基を表す)、F、ClO 、AlCl 、AlF 等を用いることができる。
これらの電解質は単独または二種類以上として使用することができる。
また、電解質であるリチウム塩の濃度は、0.1〜2.5mol/lが好ましい。
溶媒は、キャパシタやリチウムイオンキャパシタに用いることができる非水系電解液であれば特に限定されるものではない。
具体的には、プロピレンカーボート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;スルホラン類;アセトニトリルなどのニトリル類;が挙げられる。これらの溶媒は単独または二種以上の混合溶媒として使用することができる。中でも、カーボネート類が好ましい。
本実施形態のリチウムイオンキャパシタ用電極は、以下の工程を経て製造することができる。
まず、上記蓄電デバイス用電極材料の製造方法により製造された多孔質炭素材料よりなる炭素粉末、バインダ及び水等の溶媒を混合することにより、正極組成物用スラリーを調製する正極組成物調製工程を行う。また、正極組成物用スラリーを調製する際には、さらに導電材を一緒に混合してもよい。
本実施形態の蓄電デバイス用電極材料の製造方法により製造された多孔質炭素材料を粉砕することにより、所定の粒子径を有する炭素粉末にしておく。
バインダとしては、ポリテトラフルオロエチレン、スチレンブタジエンゴム、ポリテトラフルオロエチレン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。これらのバインダは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。バインダとしては、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
また、バインダは、成形性を容易にするため、粉末状のものが好ましい。
バインダの使用量は、例えば、炭素粉末100重量部に対し1〜30重量部であることが好ましい。
導電材としては、電気二重層を形成し得る細孔をほぼ有さない粒子状の炭素からなり、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、及び、ケッチェンブラック(アクゾノーベル ケミカルズ ベスローテン フェンノートシャップ社の登録商標)などの電気伝導率カーボンブラックが挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラックおよびファーネスブラックが好ましい。
これらの導電材は、単独でまたは二種類以上を組み合わせて用いることができる。
導電材の平均粒子径は、上記多孔質炭素材料からなる炭素粉末の平均粒子径よりも小さいものが好ましく、より好ましくは0.001〜10μm、さらに好ましくは0.05〜5μm、特に好ましくは0.01〜1μmである。導電材の平均粒子径がこの範囲にあると、高い電気伝導率が得られる。
導電材の量は、炭素粉末100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは0.5〜15重量部、さらに好ましくは1〜10重量部の範囲である。
導電材の量がこの範囲にあると、得られるリチウムイオンキャパシタ用電極を使用したリチウムイオンキャパシタの容量を高くし、内部抵抗を低くすることができる。
次に、正極組成物用スラリーを正極集電体2aの上に塗布した後、乾燥させる正極作製工程を行う。
このような湿式成形法により、正極2を作製することができる。
その他の方法として、シート状に成形した正極組成物を、正極集電体上に積層する方法(混練シート成形法)、正極組成物の複合粒子を調製し、正極集電体上にシート成形、ロールプレスする方法(乾式成形法)等が挙げられる。中でも、湿式成形法、乾式成形法が好ましく、湿式成形法がより好ましい。
負極3は、負極活物質とバインダと導電材とを混合し、これを溶媒に添加して負極組成物用スラリーを作製し、このスラリーを負極集電体3aに塗布し、乾燥して形成することができる。
その他、混練シート成形法、乾式成形法により負極を作製してもよい。
負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に担持できる物質であればよい。
具体的には、リチウムイオン二次電池の負極で用いられる電極活物質が広く使用できる。
中でも、黒鉛、難黒鉛化炭素等の結晶性炭素材料、ハードカーボン、コークス等の炭素材料、ポリアセン系物質(PAS)が好ましい。これらの炭素材料及びPASは、フェノール樹脂等を炭化させ、必要に応じて賦活され、次いで粉砕したものが用いられる。
バインダ及び導電材は、正極と同様のものを使用することができる。
なお、一般的な電気二重層キャパシタでは、負極を構成する材料として、活性炭等の正極を構成する材料と同じ材料を用いることができ、上記した本発明の蓄電デバイス用電極材料の製造方法により得られた多孔質炭素材料を用いることができる。
以下に、本実施形態の蓄電デバイス用電極材料の製造方法、該蓄電デバイス用電極材料の製造方法により得られた電極材料(多孔質炭素材料)、及び、該電極材料を用いた蓄電デバイス用電極の作用効果を記載する。
(1)本実施形態の蓄電デバイス用電極材料の製造方法は、ケイ素と炭素前駆体とを含むケイ素含有体を調製又は準備するケイ素含有体調製工程と、上記ケイ素含有体を熱処理することにより、炭素と炭化ケイ素とが含まれる炭化ケイ素含有体を得る炭化ケイ素含有体製造工程と、上記炭化ケイ素含有体にハロゲン系ガスを作用させることによりケイ素を除去するケイ素除去工程とを含む。
上記蓄電デバイス用電極材料の製造方法では、ケイ素と炭素前駆体とを含むケイ素含有体を熱処理することにより、一旦、炭素と炭化ケイ素とが含まれる炭化ケイ素含有体を得た後、炭化ケイ素の結晶格子のなかからSiを除去するケイ素除去工程を行うので、炭素材料中に原子単位に近い極めて細かいミクロ孔が形成される。
このため、上記方法により得られた電極材料には、高比表面積のミクロ孔が、該ミクロ孔より低比表面積のメソ孔、マクロ孔よりも多く形成されており、比表面積が大きく、高い充放電特性を発揮することが可能な蓄電デバイス用電極を製造することができる。
(2)本実施形態の蓄電デバイス用電極材料の製造方法では、ケイ素含有体として、高分子鎖にケイ素を含む修飾基が結合した第1の複合材を用いることができる。
上記第1の複合材では、高分子鎖にケイ素を含む修飾基が結合しているので、第1の複合材の全体に分子オーダーでSiがほぼ均一に分散しており、熱処理を行うことにより均一に分散した炭化ケイ素を生成することができる。そして均一に分散したSiCの結晶粒子からSiを除去するケイ素除去工程を行うことにより、ミクロ孔が材料全体に均一に分散した材料となり、より大きな比表面積の蓄電デバイス用電極材料を得ることができる。
(3)本実施形態の蓄電デバイス用電極材料の製造方法において、上記第1の複合材として、アルコキシシラン類により修飾された熱硬化性樹脂を用いると、上記(2)に記載の効果を得ることができる。また、熱硬化性樹脂は炭素に変化し易く、炭素生成率が高く、アルコキシシランは、SiOとなり易い。SiOは炭素との反応により、SiOを経由してSiCが製造され易い。また、SiOは気体であるので、反応の途中でSiOも除去され易いため、より比表面積の大きな蓄電デバイス用電極材料を得ることができる。
(4)本実施形態の蓄電デバイス用電極材料の製造方法では、ケイ素含有体として、ケイ素化合物と有機材料とが混合してなる第2の複合材を用いることができる。この場合、微粒子化したケイ素化合物と有機材料とを混合することにより、比較的簡単に有機材料中にケイ素化合物が均一に分散した第2の複合材を調製することができる。そして、得られる第2の複合材を熱処理することにより、一旦、SiCを生成させた後、SiC結晶よりSiを除去することができるので、やはりミクロ孔の分散性が高く、より大きな比表面積の炭素材料を得ることができる。第2の複合材の具体例としては、シリカゾルと熱硬化性樹脂とが混合してなるものが望ましい。
(5)本実施形態の蓄電デバイス用電極材料の製造方法では、上記ケイ素含有体を熱処理する温度は、1000℃以上、2000℃以下である。
上記熱処理温度が1000℃以上である場合には、熱硬化性樹脂等の炭素前駆体が炭素に変化し易く、かつ、生成した炭素の導電率を高くすることができる。ケイ素の周囲に酸素が存在する場合には、ケイ素は、一旦、SiOとなり、周囲の炭素と反応すると、気体のCOとSiOが生成し、炭素とケイ素が揮散する。これにより、やはり細孔が形成され、さらに比表面積を増大させることが可能となる。
上記熱処理温度が2000℃以下である場合には、ケイ素含有体から充分な量の炭素が生成するとともに、ケイ素がシリカに変化した後、炭素と反応してSiCが生成する。また、熱処理温度が高すぎないので、炭素の黒鉛化が進行しにくく、一旦形成されたミクロ孔が、黒鉛化に伴う原子の再配列によって消滅しにくい。
(6)本実施形態の蓄電デバイス用電極材料の製造方法では、ハロゲン系ガスとして塩素ガスを用いることができるので、SiCと塩素との反応により低沸点のSiClが生成し、Siを容易に除去することができる。また、塩素ガスは、フッ素ガスやフッ酸等に比べて扱い易く、安全性を確保するための高価な装置を用いる必要がなく、容易に上記反応によりSiを除去することができる。
(7)本実施形態の蓄電デバイス用電極材料の製造方法において、上記ケイ素除去工程は、600〜1200℃の温度下に行うことができる。この場合、生成したハロゲン化ケイ素は、ガス化し、生成したハロゲン化ケイ素を容易に除去することができる。
(8)本実施形態の製造方法により製造される電極材料は、リチウムイオンキャパシタ用電極又は電気二重層キャパシタ用電極に使用することができる。これらの電極材料を使用して電極を製造すると、電極の比表面積が充分に大きいので、高い電極密度とすることができる。
以下、本発明の実施形態をより具体的に開示した実施例を示すが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(A)蓄電デバイス用電極材料の製造
(実施例1)
(1)ケイ素含有体調製工程
アルコキシシラン化合物により修飾されたフェノール樹脂(荒川化学工業株式会社製P−502)と、硬化反応剤としてのヘキサメチレンテトラミンとを、フェノール樹脂:硬化反応剤=5:1(重量比)で混合して硬化反応剤混合物を得た。
得られた硬化反応剤混合物を、ガラス板上に固定したPETシート上に載せた。
次に、ガラス棒を使用し、硬化反応剤混合物をPETシート上に製膜し、170℃、30分間の条件にて乾燥機内で硬化させた。
以上より、フィルム状のケイ素含有体を調製した。
(2)炭化ケイ素含有体製造工程
得られたフィルムを所定の大きさに切断し、外部雰囲気と遮断が可能な加熱炉に入れた後、0.05Torr(7Pa)の減圧雰囲気中、2.5℃/minの昇温速度で1350℃まで昇温した後、1350℃、10時間の加熱条件で加熱し、炭素と炭化ケイ素とを含む炭化ケイ素含有体を得た。炭化ケイ素含有体製造工程における加熱条件は、一定温度で熱処理した際の温度条件を示している。
(3)ケイ素除去工程
次に、上記炭化ケイ素含有体を外部雰囲気と遮断が可能な加熱炉に入れ、一旦、0.1Torr(13Pa)以下の真空にした後、Arを導入して置換し、圧力を10Torr(1.3kPa)としながら、30℃/minの昇温速度で室温から1200℃まで加熱炉を昇温させ、続いてArガス1Lに対し、100mLの塩素を添加した混合ガスを、10L/minの流速で導入し、4時間炭化ケイ素含有体と反応させた。その後、1200℃を維持しながら、炉内を40分間真空引きし、その後冷却した。このような工程を経ることにより、実施例1の蓄電デバイス用電極材料を製造した。
なお、表1のケイ素除去工程における加熱条件は、塩素を導入して炭化ケイ素含有体と反応させる際の条件を記載している。
(実施例2)
表1に示すように、炭化ケイ素含有体製造工程における圧力を0.02Torr(2.7Pa)とした他は、実施例1と同様にして実施例2の蓄電デバイス用電極材料を製造した。
(比較例1)
(1)ケイ素含有体調製工程
実施例1と同様の条件でフィルム状のケイ素含有体を調製した。
(2)シリカ含有体製造工程
得られたフィルムを所定の大きさに切断し、外部雰囲気と遮断が可能な加熱炉に入れた後、常圧のN雰囲気下にて、2.5℃/minの昇温速度で1000℃まで昇温した後、2時間1000℃で保持し、炭素とケイ素とを含むシリカ含有体を得た。なお、Siの主要部は、アモルファスガラスの状態であるSiOとして存在すると考えられる。
(3)ケイ素除去工程
Si量に対して1.5当量の50wt%フッ酸溶液を用い、超音波にて2時間洗浄した。
その後、得られた炭化物の水溶液のpHが7になるまで洗浄、ろ過することにより、比較例1の蓄電デバイス用電極材料を製造した。
(B)蓄電デバイス用電極材料の評価
実施例1、実施例2及び比較例1で製造した蓄電デバイス用電極材料(多孔質炭素材料)について、以下の方法により評価を行った。
なお、実施例1、実施例2及び比較例1で製造した蓄電デバイス用電極材料を、ボールミルに入れ、アルミナ製ボールとともに10時間粉砕することにより、3μmの粒子径(D50)を有する炭素粉末を作製し、この炭素材料を用いて各評価を行った。
(気孔量の測定)
上記炭素粉末を用いて、Nの吸着量を測定し、吸着等温線を作製した。
吸着量の測定には、日本ベル株式会社製Belsorp mini IIを使用した。
得られた吸着等温線をHK法で解析することにより、微分細孔容積分布曲線を得た。
その結果、実施例1、実施例2及び比較例1で製造した蓄電デバイス用電極材料には、細孔直径0.6〜200nmの範囲に含まれる細孔が形成されていた。
細孔直径0.6〜2nmの範囲に含まれる細孔容積の合計値、及び、細孔直径2〜200nmの範囲に含まれる細孔容積の合計値を表2に示す。なお、表2では、上記の細孔容積の合計値を「気孔量」と記載している。
(BET比表面積の測定)
実施例1、実施例2及び比較例1で製造した蓄電デバイス用電極材料について、上記操作により得られた吸着等温線を使用し、BET法によりBET比表面積を求めた。その結果を表2に示す。
なお、BET比表面積は、JIS Z 8830(2001)に準じ、容量法、多点法により測定した。
(Si含有量の測定)
上記炭素粉末を用いて、Si含有量を測定した。
微量のケイ素を定量分析する際には、ICP発光分光分析によりケイ素の定量を行った。また、ケイ素を多量に(10wt%以上)含有している際には、灰化−重量法によりSi含有量を測定した。その結果を表2に示す。
ケイ素ケイ素含有体調製工程で調製したケイ素含有体、炭化ケイ素含有体製造工程又はシリカ含有体製造工程における加熱条件、及び、ケイ素除去工程の条件を表1に示し、得られた蓄電デバイス用電極材料(多孔質炭素材料)の特性を表2に示す。
Figure 2013232602
Figure 2013232602
表1及び表2に示すように、ケイ素含有体(高分子鎖にケイ素を含む修飾基が結合した第1の複合材)を調製した後、炭化ケイ素含有体製造工程を行って、一旦、炭素と炭化ケイ素とが含まれる炭化ケイ素含有体を得、続いて、炭化ケイ素の結晶格子のなかからSiを除去するケイ素除去工程を行って製造した多孔質炭素材料は、炭素材料中に極めて細かいミクロ孔が形成され、極めて比表面積の高いものであった。
具体的には、表1及び表2から以下のことが推測される。
実施例1及び実施例2では塩素ガス(ハロゲン系ガス)、比較例1ではフッ酸溶液によってSi成分の除去を行っている。
金属シリコン及びSiOは、ハロゲン系ガス及びフッ酸溶液のいずれでも除去することができる。一方、炭化ケイ素は、ハロゲン系ガスでは除去することができるが、フッ酸溶液では除去することができない。
フッ酸溶液によってケイ素を除去している比較例1では、ケイ素除去工程後のSi含有量が0.45wt%であり、Si成分がほとんど除去されている。この結果より、比較例1では、ほとんどSiC化が起こっていないことがわかる。
これに対し、実施例1及び実施例2では、炭化ケイ素含有体製造工程における反応温度及び反応圧力から、SiがSiC化していると推測される。
実施例1、実施例2及び比較例1では、同一原料のケイ素含有体(第1の複合材)を使用し、それぞれ炭化ケイ素含有体製造工程、ケイ素除去工程を経て、Si成分をほとんど含有しない電極材料を製造した。
上記の通り、実施例1及び実施例2では、SiC化を経て電極材料を製造し、比較例1ではSiC化を経ずに電極材料を製造した。
比較例1に対し、実施例1及び実施例2から得られる電極材料は比表面積が極めて高く、ミクロ孔(0.6〜2nmの範囲)の量も極めて高いものが得られた。
以上より、ケイ素含有体を調製した後、炭化ケイ素含有体製造工程を行って、一旦、炭素と炭化ケイ素とが含まれる炭化ケイ素含有体を得、続いて、炭化ケイ素の結晶格子のなかからSiを除去するケイ素除去工程を行って製造した多孔質炭素材料は、炭素材料中に極めて細かいミクロ孔が形成され、極めて比表面積の高いものであり、蓄電デバイス用電極材料として最適であることが判明した。
1 リチウムイオンキャパシタ
2 正極
2a 正極集電体
2b 正極タブ
3 負極
3a 負極集電体
3b 負極タブ
4 セパレータ
5 ケーシング

Claims (17)

  1. ケイ素と炭素前駆体とを含むケイ素含有体を調製又は準備するケイ素含有体調製工程と、
    前記ケイ素含有体を熱処理することにより、炭素と炭化ケイ素とが含まれる炭化ケイ素含有体を得る炭化ケイ素含有体製造工程と、
    前記炭化ケイ素含有体にハロゲン系ガスを作用させることによりケイ素を除去するケイ素除去工程と
    を含むことを特徴とする蓄電デバイス用電極材料の製造方法。
  2. 前記ケイ素含有体は、高分子鎖にケイ素を含む修飾基が結合した第1の複合材である請求項1に記載の蓄電デバイス用電極材料の製造方法。
  3. 前記第1の複合材は、アルコキシシラン類により修飾された熱硬化性樹脂である請求項2に記載の蓄電デバイス用電極材料の製造方法。
  4. 前記ケイ素含有体は、ケイ素化合物と有機材料とが混合してなる第2の複合材である請求項1に記載の蓄電デバイス用電極材料の製造方法。
  5. 前記第2の複合材は、シリカゾルと熱硬化性樹脂とが混合してなる請求項4に記載の蓄電デバイス用電極材料の製造方法。
  6. 前記炭化ケイ素含有体製造工程において、前記ケイ素含有体を熱処理する温度は、1000℃以上である請求項1〜5のいずれかに記載の蓄電デバイス用電極材料の製造方法。
  7. 前記ケイ素含有体を熱処理する温度は、2000℃以下である請求項6に記載の蓄電デバイス用電極材料の製造方法。
  8. 前記ケイ素除去工程は、減圧下で行われる1〜7のいずれかに記載の蓄電デバイス用電極材料の製造方法。
  9. 前記ケイ素除去工程は、絶対圧700Torr(93kPa)以下の減圧下で行われる請求項8に記載の蓄電デバイス用電極材料の製造方法。
  10. 前記炭化ケイ素含有体製造工程において、前記ケイ素含有体を熱処理することにより、一旦、シリカと炭素とが生成し、続いてシリカと炭素とが反応することにより、炭化ケイ素が生成する請求項1〜9のいずれかに記載の蓄電デバイス用電極材料の製造方法。
  11. 前記ケイ素除去工程では、ハロゲン系ガスとして塩素ガスが用いられる請求項1〜10のいずれかに記載の蓄電デバイス用電極材料の製造方法。
  12. 前記ケイ素除去工程は、600〜1200℃の温度下に行われる請求項1〜11のいずれかに記載の蓄電デバイス用電極材料の製造方法。
  13. 前記蓄電デバイス用電極材料は、リチウムイオンキャパシタ用電極又は電気二重層キャパシタ用電極に用いられる請求項1〜12のいずれかに記載の蓄電デバイス用電極材料の製造方法。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載の蓄電デバイス用電極材料の製造方法により製造された電極材料を含むことを特徴とする蓄電デバイス用電極。
  15. 前記蓄電デバイス用電極は、リチウムイオンキャパシタ用電極又は電気二重層キャパシタ用電極である請求項14に記載の蓄電デバイス用電極。
  16. 請求項1〜12のいずれかに記載の蓄電デバイス用電極材料の製造方法により製造された電極材料を含む電極を備えたことを特徴とする蓄電デバイス。
  17. 前記蓄電デバイスは、リチウムイオンキャパシタ又は電気二重層キャパシタである請求項16に記載の蓄電デバイス。
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