JP2013230508A - 切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 切削加工する際に良好な耐溶着性が得られて、工具寿命が長い切削工具を提供する。
【解決手段】 基体6の表面に被覆層(7、8、9、10、11、12、14)を多層に形成しており、被覆層の最表層14がTiN相とTiOx(0.5≦x≦3)相との混相からなるとともに、前記TiOx(0.5≦x≦3)相の含有割合がすくい面2より切刃部4のほうが高いインサート1等の切削工具である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、鋼等の切削加工において優れた耐摩耗性を発揮する切削工具に関する。
切削工具として、超硬合金やサーメット等の基体の表面に被覆層を成膜して、耐摩耗性、摺動性、耐欠損性を向上させたコーティング超硬合金が広く使われている。
例えば、特許文献1では、超硬合金基体の表面に、TiNやTiCNの下部層とAl層の上部層を3〜30μm厚みで成膜した後、TiOx層の最表面下地層を0.1〜3μmと、TiCNO(Oは前記最表面下地層から拡散した酸素)層を0.05〜2μmとの順に積層した構成の硬質被覆層を形成した切削工具が開示され、ステンレス鋼や軟鋼などの粘性の高い被削材の切粉に対する親和性が低くて、耐溶着性に優れていることが記載されている。
また、特許文献2や特許文献3では、上記構成に類似する被覆層を成膜した後で、被覆層の表面を研磨加工して被覆層の表面を滑らかにする方法が開示されている。
特開2001−310203号公報 特開2008−055581号公報 特開2006−297585号公報
しかしながら、特許文献1−3の構成では、被覆層の表面にTiCNO層を有することから、すくい面においては切粉に対する耐溶着性が向上するものの、溶着が生じやすい切刃部における溶着を抑制することはできず、切刃部において溶着を引き金とする摩耗や欠損が発生するおそれがあった。
本発明では、切削加工する際に良好な耐溶着性が得られて、工具寿命が長い切削工具を提供することを目的とする。
本発明の切削工具は、基体の表面に多層からなる被覆層を設けており、前記被覆層の最表層が、TiN相とTiOx(0.5≦x≦3)相との混相からなるとともに、前記最表層における前記TiOx(0.5≦x≦3)相の含有割合がすくい面より切刃部のほうが高いものである。
本発明によれば、最表層がTiN相とTiOx(0.5≦x≦3)相との混相からなるので、最表層の残留応力が低くなり、被覆層の耐欠損性を高めるという効果がある。また、最表層を構成するTiOx(0.5≦x≦3)相は、鋼または合金鋼等の被削材が切削工具の切刃部に溶着することを抑制して、被覆層が被削材の溶着によって変質して、摩耗や欠損につながることを抑制する効果がある。TiN相は最表層の耐欠損性を高める効果がある。しかも、切刃部においてTiOx相が多く存在するので、切削加工時に切刃部に
被削材が溶着しやすい加工条件においても溶着を抑制できるとともに、クレータ摩耗が進行しやすいすくい面における耐摩耗性も高くて工具寿命が長くなる。
本発明の切削工具のインサートの一例について、(a)概略斜視図、(b)要部拡大断面図である。
本発明の切削工具のインサートの一例について、図1の概略斜視図および要部拡大断面図を基に説明する。
図1のインサート1は、すくい面2と逃げ面3との交差稜線部が切刃4を構成しているとともに、基体6の表面に、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、窒酸化物および炭窒酸化物のうちの1層以上と、α型結晶構造のAl層(以下、単にAl層と略す。)12と、TiN相とTiOx(0.5≦x≦3)(以下、単にTiOx相と称す。)相との混相からなる最表層14とが順に積層してなる被覆層が設けられている。なお、図1のインサート1は、板状で主面が概略正方形形状からなる。そして、最表層14のTiOx相の含有割合がすくい面2より切刃部4のほうが高い構成となっている。
ここで、切刃部4における最表層14のTiOx相の含有割合は、TiN相とTiOx相との合計量に対して70〜90%、すくい面2における最表層14のTiOx相の含有割合は、50〜70%であることが望ましい。
なお、本発明において、最表層14のTiOx相の含有割合とは、最表層14のX線回折測定にてTiNのピークとTiOxのピークが存在するか否かを確認するとともに、切刃部4およびすくい面2において、最表層14の表面からオージェ電子分光分析によって、TiN相とTiOx相との存在強度を求めて、TiN相とTiOx相との含有割合に換算することによって求められる。また、本発明において、すくい面2における厚みや構成成分を測定する際には、すくい面2の端部である切刃部4から500μmの内側の位置で測定する。
この構成により、被覆層の最表層14に含有されるTiOx相は、最表層14の表面に被削材が溶着することを抑制する効果がある。そして、本発明によれば、最表層14がTiN相とTiOx相との混相からなるので、被覆層の耐欠損性が向上する。しかも、切刃部4においてTiOx相が多く存在するので、切削加工時に切刃部4に被削材が溶着しやすい加工条件においても溶着を抑制できて工具寿命が長くなる。
また、切刃部4における最表層14の厚みtとすくい面2における最表層14の厚みtとの比(t/t)が0.8〜1.2であることが望ましい。すなわち、比(t/t)がこの範囲であれば、切刃部4およびすくい面2における耐摩耗性と耐欠損性とのバランスが良好である。なお、比(t/t)は、後述する最表層14の成膜条件およびその後の研磨加工の条件を制御することによって調整する。
ここで、TiOx相は、TiO相およびTi相の混相からなることによって、最表層14の色を調整することができて、例えば、異なる形状のインサート間で色を変えて目視でインサートの区別を可能とすることができる。
なお、TiN相とTiOx相との混相からなる最表層14は青系色を示すが、xによってその色合いが変化するため、インサート1の表面を異なる色に調整することができ、インサート1を使用したときに最表層14が摩耗して使用済みかどうかの判別がつきやすく
、また、摩耗の進行を容易に確認できる。
また、すくい面2における最表層14の厚みが0.5〜1μmであり、表面粗さ(Ra)が0.05〜2μmであることが、最表層14の耐摩耗性および耐チッピング性を高める点で望ましい。
次に、最表層14の下(基体6)側に形成されるAl層12について説明する。Al層12を構成するAl結晶はα型結晶構造であることが望ましく、かつ基体6の表面に対して垂直な方向から見た平均結晶幅が0.05〜0.7μmであることが、耐摩耗性の点で望ましいものである。
また、Al層12の基体6側に形成される被覆層は、TiC、TiN、TiCN、TiCNO、TiCO、TiNOの群から選ばれる1層以上が好適に用いられ、Al層12およびその下層によって耐摩耗性および耐欠損性が向上する。本実施態様によれば、具体的な構成として、基体6の直上には第1層としてTiN層7が形成され、第2層としてTiCN層8−10が形成されている。TiCN層8−10としては、アセトニトリル(CHCN)ガスを原料として含み成膜温度が780〜900℃と比較的低温で成膜した柱状結晶からなる、いわゆるMT−TiCN層8,9と、成膜温度が950〜1100℃と高温で成膜した、いわゆるHT−TiCN層10とが順に成膜された構成であることが望ましい。さらに、MT−TiCN層8,9は、平均結晶幅が0.5μm未満と微細な微細柱状結晶からなる微細MT−TiCN層と8、平均結晶幅が0.5〜2μmと比較的大きい粗大柱状結晶からなる粗大MT−TiCN層9との積層からなることが望ましい。これによって、Al層12との密着力が高まり、被覆層の剥離やチッピングを抑えることができる。
また、HT−TiCN層10の上部または全部は、成膜工程で酸化されて、Ti原子を40〜55原子%と、酸素(O)を15〜25原子%と、炭素(C)を25〜40原子%と、残部が窒素(N)とのTiCNO層に変化して、厚み0.05〜0.5μmの中間層11を形成していることが望ましい。これによって、平均粒径0.05〜0.7μmのα型結晶構造のAl結晶からなるα型Al層12をより容易に作製することができる。
なお、各層の厚みおよび各層を構成する結晶の性状は、インサート1の断面における電子顕微鏡写真(走査型電子顕微鏡(SEM)写真または透過電子顕微鏡(TEM)写真)を観察することにより、測定することが可能である。また、本発明においては、被覆層の各層を構成する結晶の結晶形態が柱状であるとは、各結晶の被覆層の厚み方向の長さに対する前記平均結晶幅の比が平均で0.3以下の状態を指す。一方、この各結晶の被覆層の厚み方向の長さに対する前記平均結晶幅の比が平均で0.3を超えるものは結晶形態が粒状であると定義する。
一方、インサート1の基体6は、炭化タングステン(WC)と、所望により周期表第4、5、6族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物の群から選ばれる少なくとも1種と、からなる硬質相を、コバルト(Co)やニッケル(Ni)等の鉄属金属からなる結合相にて結合させた超硬合金やTi基サーメット、またはSi、Al、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(cBN)等のセラミックスのいずれかが好適に使用できる。中でも、インサート1を切削工具として用いる場合には、基体6は、超硬合金またはサーメットからなることが耐欠損性および耐摩耗性の点で望ましい。また、用途によっては、基体6は炭素鋼、高速度鋼、合金鋼等の金属からなるものであっても良い。
(製造方法)
本実施形態のインサートの製造方法について説明する。
まず、上述した硬質合金を焼成によって形成しうる金属炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物等の無機物粉末に、金属粉末、カーボン粉末等を適宜添加、混合し、プレス成形、鋳込成形、押出成形、冷間静水圧プレス成形等の公知の成形方法によって所定の工具形状に成形する。その後、得られた成形体を真空中または非酸化性雰囲気中にて焼成することによって上述した硬質合金からなる基体6を作製する。そして、上記基体の表面に所望によって研磨加工や切刃部のホーニング加工を施す。
次に、得られた基体6の表面に化学気相蒸着(CVD)法によって被覆層を形成する。まず、基体の直上に第1層としてTiN層を形成する。TiN層の成膜条件としては、混合ガス組成として四塩化チタン(TiCl)ガスを0.5〜10体積%、窒素(N)ガスを10〜60体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を800〜940℃(チャンバ内)、圧力を8〜50kPaにて成膜される。
次に、第2層としてTiCN層を形成する。ここでは、TiCN層が、平均結晶幅が小さい微細柱状結晶層と、この層よりも平均結晶幅が大きい粗柱状結晶層とのMT−TiCN層と、HT−TiCN層との3層にて構成する場合の成膜条件について説明する。
MT−TiCN層のうちの微細柱状結晶層の成膜条件は、四塩化チタン(TiCl)ガスを0.5〜10体積%、窒素(N)ガスを10〜60体積%、アセトニトリル(CHCN)ガスを0.1〜0.4体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を780〜900℃、圧力を5〜25kPaとする。MT−TiCN層のうちの粗柱状結晶層の成膜条件は、四塩化チタン(TiCl)ガスを0.5〜4.0体積%、窒素(N)ガスを10〜40体積%、アセトニトリル(CHCN)ガスを0.4〜2.0体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を780〜900℃、圧力を5〜25kPaとする。
HT−TiCN層およびそれを酸化して形成されるTiCNOからなる中間層の成膜条件は、四塩化チタン(TiCl)ガスを0.1〜4体積%、メタン(CH)ガスを0.1〜10体積%、窒素(N)ガスを5〜25体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を950〜1100℃、圧力を5〜40kPaとして成膜する。そして、チャンバ内を950〜1100℃、5〜40kPaとし、四塩化チタン(TiCl)ガスを1〜5体積%、メタン(CH)ガスを4〜10体積%、窒素(N)ガスを10〜30体積%、一酸化炭素(CO)ガスを4〜8体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを調整してチャンバ内に10〜60分導入して成膜した後、続いて体積%で二酸化炭素(CO)ガスを0.5〜4.0体積%、残りが窒素(N)ガスからなる混合ガスを調整してチャンバ内に導入し、成膜温度を950〜1100℃、5〜40kPaにて、HT−TiCN層を酸化させてTiCNO層に変化させながら中間層を成膜する。なお、このCOガスを含む混合ガスを流す工程を経ることなく中間層を形成することもできるが、α型Al層を構成する結晶を微細なものとするためには、COガスを含む混合ガスを流す工程を経ることが望ましい。
Al層の成膜条件は、まず、体積%で二酸化炭素(CO)ガスを0.3〜4.0体積%、残りが窒素(N)ガスからなる混合ガスを調整してチャンバ内に導入し、成膜温度を1000〜1100℃、5〜40kPaにて、チャンバ内に5〜30分導入することによって、被覆層表面の表面粗さを粗くする。そして、引き続き、α型Al層を形成する。α型Al層の成膜条件としては、三塩化アルミニウム(AlCl)ガスを0.5〜5.0体積%、塩化水素(HCl)ガスを0.5〜3.5体積%、二酸化炭素(CO)ガスを0.5〜5.0体積%、硫化水素(HS)ガスを0〜0.5体積
%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスをチャンバ内に導入し、成膜温度を950〜1100℃、圧力を5〜10kPaとして成膜することが望ましい。
さらに、α型Al層の上層に最表層を形成する。混合ガス組成として、四塩化チタン(TiCl)ガスを1〜5体積%、窒素(N)ガスを5〜30体積%、二酸化炭素(CO)ガスを0.1〜2.0体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用いる。ここで、本発明によれば、四塩化チタン(TiCl)ガスと、窒素(N)ガスと、水素(H)ガスの一部との混合ガスの第1供給配管と、二酸化炭素(CO)ガスおよび水素(H)ガスの一部の混合ガスの第2供給配管との2つの配管で混合ガスをチャンバ内に供給する。このとき、第2供給配管の温度をチャンバの温度よりも高い温度とすることによって、TiOx相の反応が活性化し、基体のエッジ部にTiOx相が多く生成する。そして、チャンバの温度を960〜1100℃、圧力を10〜85kPaとして、最表層を成膜する。この成膜条件によって、TiN相およびTiOx相の混相からなる最表層が成膜される。また、成膜時にはTiN相およびTiOx相の混相が切刃部に優先的に成膜され、結果的に、切刃部における最表層の厚みがすくい面よりも1.1〜2倍、望ましくは、1.2〜1.5倍厚く成膜される。
その後、最表層の表面から、被覆層の表面の少なくとも切刃部、または切刃部とすくい面を研磨加工して、切刃部における最表層の厚みtとすくい面における最表層の厚みtとの比(t/t)が0.8〜1.2となるように調整する。この研磨加工により、切刃部に厚く成膜された最表層の厚みを調整できるとともに、切刃部およびすくい面が平滑に加工され、被削材の溶着を抑制して、さらに耐欠損性に優れた切削工具となる。
平均粒径1.5μmの炭化タングステン(WC)粉末に対して、平均粒径1.2μmの金属コバルト(Co)粉末を6質量%の割合で添加、混合して、プレス成形により切削工具形状(CNMG120412)に成形した。得られた成形体について、脱バインダ処理を施し、0.5〜100Paの真空中、1400℃で1時間焼成して超硬合金を作製した。さらに、作製した超硬合金に対して、ブラシ加工にてすくい面側について刃先処理(Rホーニング)を施した。
次に、上記超硬合金に対して、CVD法により各種の被覆層を表1に示す成膜条件、および表2に示す層構成にて形成した。なお、表1の成膜条件において、2つの配管を用いる成膜条件については、各配管に供給されるガス種および配管の温度を分けて記載した。そして、被覆層の表面、すなわち最表層の表面をブラシ加工して、すくい面における最表層の厚みと切刃部における最表層の厚みとが0.8〜1.2となるように調整して、試料No.1〜7の表面被覆切削工具を作製した。
得られた工具について、すくい面の被覆層について走査型電子顕微鏡観察を行い、各層を構成する結晶の形状、平均粒径(または平均結晶幅)、厚みを見積もった。なお、表2中、被覆層の各層を構成する結晶の結晶形態が柱状であるとは、各結晶の被覆層の厚み方向の長さに対する前記平均結晶幅の比が平均で0.3以下の状態を示し、この各結晶の被覆層の厚み方向の長さに対する前記平均結晶幅の比が平均で0.3を超えるものは結晶形態が粒状であることを示している。例えば、表2の試料No.1において、第1層を構成する結晶は、被覆層の厚み方向の長さに対する平均結晶幅の比が平均で0.3を超えるものであり、粒状結晶が第1層の厚み方向に複数個存在する構造となっている。また、第2層を構成する結晶は、被覆層の厚み方向の長さに対する平均結晶幅の比が平均で0.3以下であることを示している。
また、被覆層の表面である最表層の表面粗さを触針式の表面粗さ計で測定した。さらに、最表層のX線回折測定にてTiNのピークとTiOxのピークが存在するか否かを確認し、切刃部およびすくい面において、最表層の表面からオージェ電子分光分析によって、TiN相とTiOx相との存在強度を求めて、TiN相とTiOx相との合計量に対するTiOx相の含有割合を算出し、表3にTiO割合として示した。すなわち、TiO割合が80%とはTiOx相が20%であることを指す。さらに、最表層については、上記刃先を施す前の成膜直後のすくい面および切刃部における厚みも測定した。結果は表2、3に示した。
次に、このインサートを用いて以下2つの切削条件にて切削試験を行った。結果は表3に示した。
(摩耗評価)
切削方法:旋削加工
被削材 :SCM415
切削速度:300m/分
送り :0.30mm/rev
切り込み:2.0mm
切削状態:湿式
評価方法:フランク摩耗が0.3mm以上となる時間(表中、摩耗評価寿命と記載。)とそのときの切刃の状態
(断続評価)
切削方法:旋削加工
被削材 :SCM440(4本溝入り)
切削速度:300m/分
送り :0.35mm/rev
切り込み:1.5分
切削状態:湿式
評価方法:切刃が欠損するまでの衝撃回数
表1〜3に示される結果から、最表層がTiO相のみまたはTiNO相のみからなる
試料No.5、6では、最表層が早期に欠損してしまった。また、最表層を構成するTiO相の含有割合が切刃部とすくい面とにおいて同じである試料No.7でも、切刃部における溶着が激しく、工具寿命が短かった。これに対し、本発明の範囲内である試料No.1〜4では、耐溶着性が高く、工具寿命が長くなる傾向にあった。
1 インサート
2 すくい面
3 逃げ面
4 切刃部
6 基体
7 TiN層
8、9 MT−TiCN層
10 HT−TiCN層
11 中間層
12 Al
14 最表層

Claims (3)

  1. 基体の表面に多層からなる被覆層を設けており、前記被覆層の最表層がTiN相とTiOx(0.5≦x≦3)相との混相からなるとともに、前記最表層における前記TiOx(0.5≦x≦3)相の含有割合がすくい面より切刃部のほうが高い切削工具。
  2. 前記切刃部における前記最表層の厚みtcと前記すくい面における前記最表層の厚みtrとの比(tc/tr)が0.8〜1.2である請求項1記載の切削工具。
  3. 前記TiOx(0.5≦x≦3)相が、TiO相およびTi相の混相からなる請求項1または2記載の切削工具。
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