JP2013230418A - 徐放性凝集剤、濁水処理方法および徐放性凝集剤の製造方法 - Google Patents

徐放性凝集剤、濁水処理方法および徐放性凝集剤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期にわたり凝集効果を維持しつつ、余剰の凝集剤成分や低pHの処理水の流出を抑える徐放性凝集剤、濁水処理方法および徐放性凝集剤の製造方法を提供する。
【解決手段】2価または3価の金属含有化合物を含む水溶性凝集剤の表面を、樹脂を含む被膜材料で被覆してなり、且つ水溶性が1g/20℃純水100g以上である徐放性凝集剤。
【選択図】図1

Description

本発明は濁水処理に際し、浮遊懸濁物質(SS)の凝集沈殿に用いる徐放性凝集剤、濁水処理方法および徐放性凝集剤の製造方法に関するものである。
河川、湖沼などにおける架橋、護岸工事などの建築土木工事や砂利採取作業などで発生する泥排水には、不溶性の浮遊懸濁物質(以下「SS」という。)が多量に含まれており、このような泥排水を放流するにあたっては、生活環境や生態系に悪影響を及ぼさぬよう、水質汚濁防止法などの規制に基づいて懸濁物質をあらかじめ除去する必要がある。かかる懸濁物質の除去処理には、従来から無機系および有機系の凝集剤が用いられている。これらの凝集剤はpH依存性があり、処理に際してpH調整を必要とする。
一方、SS除去を中心に考える場合、凝集剤を使用しない自然沈殿方式と、凝集剤を使用する凝集沈殿方式とに分類される。
自然沈殿方式は凝集剤を使用しないため、攪拌装置や凝集剤注入ポンプなどが不要となり、設備的には最も簡易なものとなるが、重力によって沈降させる方式であるため、微細な粘土粒子などの粒径の小さなSSを多量に含む濁水にはあまり適さない。
凝集沈殿方式は、凝集剤によってSSを大きなフロックにし、該フロックを沈殿池やシックナで沈降させるので、粒径の小さな懸濁物質でも沈降させることができるが、凝集剤を溶解するためのタンクや、凝集剤の注入量を制御するポンプや攪拌機などの設置が必要であるため、濁水処理に要する設備投資などの費用が高くなる。
凝集沈殿方式では、上記したように、従来から無機系および有機系の凝集剤が使用されている。無機系凝集剤としては、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸アルミニウムカリウムまたはアルミン酸ナトリウムなどのアルミニウム含有化合物、硫酸鉄または塩化鉄などの鉄含有化合物、あるいは生石灰または消石灰などのカルシウム含有化合物があり、ポリ塩化アルミニウム、消石灰、塩化第二鉄などを使用する技術(例えば、特許文献1参照)、シリカおよび生石灰を主成分とし、塩素、鉄成分、アルミニウム成分を含む凝集剤(例えば、特許文献2参照)、あるいは、3価の鉄塩と3価のアルミニウム塩と1価のカリウム塩とアルミナカリウム塩とを含む汚泥処理剤に、さらに塩化マグネシウムを含有する排水処理剤(例えば、特許文献3参照)などが知られている。一方、有機系凝集剤としては、ポリアクリルアミドまたはアルギン酸ナトリウムなどのカチオン性高分子凝集剤(例えば、特許文献4参照)、アニオン性有機高分子電解質とカチオン性有機高分子電解質と中性の無機アンモニウム塩とを混合してなる凝集剤(例えば、特許文献5参照)、あるいは、天然有機酸と硫酸アルミニウム、および硫酸アルミニウムカリウム、炭酸ナトリウム、ポリアクリルアミドなどからなる凝集剤(例えば、特許文献6参照)などが知られている。
しかし、上記凝集剤は溶解速度が速いため、速効的な効果を発揮できるものの効果の持続に課題があり、効果の持続には凝集剤濃度を維持する必要がある。例えば、沈砂池および沈砂池への濁水流路に直接凝集剤を供給する場合、SSを沈殿させるのに必要な量だけ凝集剤を供給することが理想であるが流水条件下では困難である。よって効果の持続のためには、凝集効果が得られる前に流出してしまう凝集剤量を考慮して過剰の凝集剤を供給し、SSを除去しているのが実態である。その結果、凝集剤の利用率が低いことはもとより、下流域に凝集剤成分や低pHの処理水が流出し、生活環境や生態系に悪影響を及ぼすことが懸念される。凝集剤の溶解が持続的に行われるようにする方法としては、例えば、凝集剤の粒子径を大きくする、硬く成形するなどして凝集剤の水への放出速度を徐放化する、水溶性物質を膜で覆う、または、結合材などで成形体の形状を保つ、ことなどが挙げられるが、最近、凝集剤を芯材としてその表面に、樹脂などの被膜材料で被覆した形態が検討されている。
特開昭64−90100号公報 特開2000−70608号公報 特開2000−237800号公報 特開昭63−267408号公報 特公平6−91922号公報 特開2005−118675号公報
本発明は、長期にわたり凝集効果を維持しつつ、余剰の凝集剤成分や低pHの処理水の流出を抑える徐放性凝集剤、濁水処理方法および徐放性凝集剤の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の金属含有化合物を含む水溶性凝集剤の表面を、樹脂を含む被膜材料で被覆することにより、水溶性凝集剤成分の放出速度を調節することができ、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の事項を含む。
本発明の徐放性凝集剤は、2価または3価の金属含有化合物を含む水溶性凝集剤の表面を、1種以上の樹脂、詳しくは熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を含む被膜材料で被覆してなり、水溶性凝集剤の水溶性が1g/20℃純水100g以上であることを特徴とする。
上記金属含有化合物は、アルミニウム、鉄およびカルシウムよりなる群から選ばれる金属を含有する化合物であることが好ましい。
上記熱可塑性樹脂は、オレフィン系重合体、上記熱硬化性樹脂は、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂またはアルキッド樹脂であることが好ましい。
上記被膜材料は、さらにフィラーおよび界面活性剤を含んでいてもよい。
上記フィラーの含有割合は、特に限定されるものではないが、被膜に対し、10〜80質量%含まれることが好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜80質量%が特に好ましい。
また、上記界面活性剤の含有割合は、特に限定されるものではないが、被膜に対し、0.01〜10質量%含まれることが好ましく、0.1〜5質量%含まれることがより好ましい。
上記被膜材料は、水溶性凝集剤100質量%に対し、被膜材料が1〜25質量%、好ましくは2〜18質量%である。
本発明の濁水処理方法は、2価または3価の金属含有化合物を含む水溶性凝集剤の表面を、1種以上の樹脂を含む被膜材料で被覆してなり、水溶性凝集剤の水溶性が1g/20℃純水100g以上である徐放性凝集剤を沈砂池および沈砂池への濁水流入路に投入して、該水溶性凝集剤を1〜5mg/Lの範囲の量で水中に放出することを特徴とする。
本発明の徐放性凝集剤において、水溶性凝集剤表面を被覆するための方法は、特に限定されるものではない。例えば、溶融させた樹脂及び添加物(樹脂等という)を水溶性凝集剤に噴霧する方法、溶剤に樹脂等を溶解または溶解分散させた溶解液またはエマルジョンを水溶性凝集剤表面に噴霧する方法(以下「溶解液噴霧法」という)、樹脂等の粉末を水溶性凝集剤表面に付着させ、溶融して被膜を形成させる方法、更に樹脂等の溶融液または溶解液に水溶性凝集剤を浸すディップ法、被膜材料を噴霧・滴下後、反応硬化させて被膜を形成させる方法等で製造することができる。
本発明の徐放性凝集剤の製造方法は、(1)水溶性凝集剤を温度40℃以上の上昇気流により流動させる工程、(2)前記流動状態の水溶性凝集剤に熱可塑性樹脂を含む被膜材料溶解分散液を噴霧する工程、(3)前記噴霧により水溶性凝集剤表面に付着した被膜材料溶解分散液から上昇気流により溶媒を除去する工程、(4)前記(3)の上昇気流に含まれる溶媒を気流から分離回収する工程の各工程を含み、被膜が水溶性凝集剤の表面を熱可塑性樹脂で被覆することを特徴とする。
具体的には、上方に水溶性凝集剤投入口を有し、下方に徐放性凝集剤排出口を有する噴流塔と、該噴流塔から排出された気体から固形物を分離し、固形異物が除去された気体を凝縮器に送り込む固気分離器と、該固気分離器から送り出された気体に含まれる溶剤等を凝縮回収する凝縮器と、該凝縮器で溶剤等を除去した気体をヒーターに送り、噴流塔下部に導入して、噴流塔下部から上方へ上昇気流を形成するブロアーと、ブロアーから送られた該気体を加熱するヒーターとを有する徐放性凝集剤の循環製造装置を用いて徐放性凝集剤を製造する方法であって、上記水溶性凝集剤投入口から投入した水溶性凝集剤に、熱可塑性樹脂を含む被膜材料を溶剤に溶解または溶解分散させた溶液を、噴流塔の下部にある整流缶から噴霧ノズルを介して噴流塔の上方に向う温度40℃以上、好ましくは40〜200℃に加熱された気流に噴霧して、該上方に向い気流中で水溶性凝集剤の外周に厚さ10〜1000μmの被覆層を形成すると共に、噴流塔内に形成された上方気流により該水溶性凝集剤を被覆する被覆層から溶剤を分離して、噴流塔下部から徐放性凝集剤を排出させることを特徴とする。
上記のほかに本発明の徐放性凝集剤の製造方法としては、(1)水溶性凝集剤を温度20℃〜100℃の流動状態または転動状態にする工程、(2)流動状態または転動状態の水溶性凝集剤に熱硬化性樹脂を含む被膜材料を被覆する工程、(3)前記被膜材料から成る未硬化被覆層を前記水溶性凝集剤表面に形成させる工程、(4)形成した未硬化被覆層を熱硬化させて被膜を形成する工程の各工程を含む方法で、被膜が水溶性凝集剤の表面を熱硬化性樹脂で被覆することを特徴とする。
上記徐放性凝集剤、濁水処理方法または徐放性凝集剤の製造方法では、水温25℃の閉鎖系容器内の水中で、下記式で表される放出率が80質量%になるのに要する時間が240時間以上であることが好ましい。
Figure 2013230418
本発明の徐放性凝集剤を使用すれば、凝集剤を注入するための設備等を必要とせず、長期にわたり凝集効果を維持しつつ、低pHの処理水および余剰凝集剤成分が流出しにくい効果を併せもつ濁水処理が可能である。
すなわち、本発明の徐放性凝集剤は、水溶解性の高い水溶性凝集剤を特定の樹脂で被覆することにより、濁水中の凝集剤成分の放出速度を調整できるため、凝集剤成分の過剰溶解による処理水のpH低下や余剰成分の流出を抑制することができる。このような徐放性凝集剤を用いた濁水処理方法は、濁度や濁水の流量(空間速度SV)に応じて、凝集剤の放出速度やその供給量を選択することで、種々の工事現場で容易に実施することができる。
図1は徐放性凝集剤の製造装置の一例を示すフローシートである。 図2は図1の製造装置に用いられる絞り円盤(オリフィス)の一例である。 図3はカラム通水試験の装置図である。 図4は濁水処理の一例を示すフローシートである。
以下、本発明の徐放性凝集剤、濁水処理方法および徐放性凝集剤の製造方法について詳細に説明する。
なお、本発明において、「徐放性」とは、濁りの解消に有効な凝集剤成分の放出または溶出が持続的に行われることであり、上記[数1]で表される放出率が80質量%になるのに要する時間が240時間以上である事を意味する。
[徐放性凝集剤]
本発明の徐放性凝集剤は、2価または3価の金属含有化合物を含む水溶性凝集剤の表面を1種以上の樹脂、詳しくは熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を含む被膜材料で被覆してなり、水溶性凝集剤の水溶性が1g/20℃純水100g以上である徐放性凝集剤である。
上記水溶性凝集剤は、例えば、汎用の水溶性アルミニウム含有化合物など、2価または3価の金属含有化合物を含むもので、かつ、水溶性のものであれば、特に制限なく用いられる。2価または3価の金属含有化合物は、アルミニウム、鉄およびカルシウムから選ばれる金属を含有する化合物、すなわち、2価または3価のアルミニウム塩、鉄塩およびカルシウム塩から選ばれた少なくとも1種以上であることが好ましい。具体的には、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウムまたは、これらの複塩、無機高分子系凝集剤(活性ケイ酸・ポリシリカ鉄)、天然有機高分子系凝集剤(アルギン酸ソーダ・キチン・キトサン系・バイオ凝集剤)および合成有機高分子系凝集剤(カチオン・アニオン・ノニオン系)の凝集剤などがある。これらのうち、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄が好ましい。また、これらの複塩、あるいはこれらを2つ以上複合したものを用いることもできる。
上記被膜材料は1種以上の樹脂であり、詳しくは熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を含むものである。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂としては、オレフィン系重合体、塩化ビニリデン系重合体、ジエン系重合体、ワックス類、ポリエステル、石油樹脂、天然樹脂、油脂およびその変性物、ならびにウレタン樹脂が挙げられる。
オレフィン系重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−一酸化炭素共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−ブタジエン共重合体、ポリブテン、ブテン−エチレン共重合体、ブテン−プロピレン共重合体、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素三元共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体およびエチレン−メタクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
塩化ビニリデン系重合体としては、例えば、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体などが挙げられる。
ジエン系重合体としては、例えば、ブタジエン重合体、イソプレン重合体、クロロプレン重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、EPDM重合体およびスチレン−イソプレン共重合体などが挙げられる。
ワックス類としては、例えば、密ロウ、木ロウおよびパラフィンなどが挙げられる。
ポリエステルとしては、例えば、ポリ乳酸およびポリカプロラクトンなどの脂肪族ポリエステルならびにポリエチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステルが挙げられる。
天然樹脂としては、例えば、天然ゴムおよびロジンなどが挙げられる。
油脂およびその変性物としては、例えば、硬化物、固形脂肪酸および金属塩などが挙げられる。
上記熱可塑性樹脂は、オレフィン系重合体が好ましく、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−一酸化炭素共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、およびプロピレン−ブテン共重合体、から選ばれた1種以上であることがより好ましい。
上記被膜材料には、本発明の効果を損なわない程度であれば、フィラーまたは界面活性剤を含有させることができる。
フィラーとしては、例えば、タルク、クレー、カオリン、ベントナイト、硫黄、白雲母、金雲母、雲母状酸化鉄、金属酸化物、珪酸質、ガラス、アルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩、吸水性高分子および澱粉などが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオールの脂肪酸エステルに代表されるノニオン界面活性剤、非イオン系界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤などが挙げられる。
上記フィラーの含有割合は、特に限定されるものではないが、被膜材料100質量%に対し、好ましくは20〜80質量%の範囲であり、より好ましくは、30〜80質量%の範囲である。上記範囲内であると、徐放性凝集剤の被膜整膜性および溶出速度の制御性が良好である。
上記界面活性剤の含有割合は、特に限定されるものではないが、被膜材料100質量%に対し、好ましくは0.01〜10質量%の範囲であり、より好ましくは、0.1〜5質量%の範囲である。界面活性剤は溶剤に被膜材料等を溶解または溶解分散させた溶解液またはエマルジョン中のフィラーの分散性を良くするのに役立ち、上記範囲内であると、効果が充分であり溶出速度コントロールに影響することもない。
被膜は樹脂を含む層が1層以上であれば良く、例えば、硫黄などのフィラーを外層あるいは内層に使用しても良い。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、アミノ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ウレタン樹脂および乾性油などが挙げられる。このうち、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂またはアルキッド樹脂が好ましい。
上記熱硬化性樹脂は一般に、硬化剤や硬化促進剤と組み合わせて用いられるが、本発明では、これらの組み合わせは特に限定されない。
なお、2価または3価の金属含有化合物およびこれを含む水溶性凝集剤については、すでに上記した通りである。
上記熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂は、それぞれの単独使用のほか、本発明効果を損なわない範囲であれば、被膜中にそれぞれが混合された状態で含まれていてもかまわない。
上記被膜材料は、水溶性凝集剤100質量%に対し、被膜材料が1〜25質量%、好ましくは2〜18質量%の量である。被膜材料が下限値未満では放出速度を制御する事が難しく、上限値を超えると、放出速度が遅くなる傾向にあり、且つ凝集剤成分の割合が低下する事など製造コスト高くなり実用的ではない。
被覆用水溶性凝集剤粒子の平均粒子径は1〜10mm、好ましくは1〜5mmである。平均粒子径は上記範囲内であると製造性が良好であり、下限値未満では被覆中に粒子間の固着が発生しハンドリングが悪くなる。また上限値を超えると、噴流状態を維持するための風量(エネルギー)が必要となり実用的ではない。
また、上記徐放性凝集剤の形態は、特に限定されるものではないが、放出速度を安定的にコントロールするという点から、粒状であることが好ましく、球状に近いことがより好ましい。本発明の水溶性凝集剤の粒子径に特に制限はないが、通常0.5〜10mm、好ましくは1〜5mmである。また、形状は球状に近いものが好ましい。具体的には下記式で求められた円形度係数が、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.75以上、更に好ましくは0.8以上の球状である。円形度係数の最大値は1であり、1に近づくほど粒子は真円に近づき、粒子形状が真円から崩れるに従って円形度係数は小さくなる。
円形度係数={(4π×粒子の投影面積)/(粒子投影図の輪郭の長さ)2
[濁水処理方法]
本発明の濁水処理方法は、2価または3価の金属含有化合物を含む水溶性凝集剤の表面を1種以上の樹脂、詳しくは熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を含む被膜材料で被覆してなり、水溶性凝集剤の水溶性が1g/20℃純水100g以上である徐放性凝集剤である徐放性凝集剤を、沈砂池および沈砂池への濁水流入路に投入して、該水溶性凝集剤を1〜5mg/Lの範囲の量で水中に放出する。水中に放出する凝集剤濃度が1mg/L未満では凝集効果が得られず、5mg/Lを超えると、凝集効果は得られるが、排水中のpHは低下する。
上記徐放性凝集剤を、沈砂池および沈砂池への濁水流入路に投入する方法としては、特に制限はなく、徐放性凝集剤が濁水と効率的に接触できればよいが、例えば、不織布やナイロン製の袋、樹脂性のネット袋などに徐放性凝集剤を入れ、沈砂池や沈砂池への濁水流路に満遍なく設置するか、または、濁水流入路に徐放性凝集剤を充填したカラムを設置し、そのカラムに濁水を通水するなどの方法が挙げられる。例えば、図4に記載された方法などを用いてもよい。
上記徐放性凝集剤は、水温25℃の閉鎖系容器内の水中で、下記式で表される放出率が80質量%になるのに要する時間が240時間以上であり、240時間以上960時間以下の範囲であることがより好ましい。
Figure 2013230418
放出率が80質量%になるのに要する時間が240時間以上であれば従来の徐放性でない凝集剤と比べて過剰供給になりにくく、処理水のpH低下も発生しにくい。また、960時間以内であれば、安定的に凝集効果得られ、かつ、凝集剤の使用量が多くなりすぎないことが期待できる。
ここで、放出時間の測定方法の具体例を以下に示す。
徐放性凝集剤5gをポリエチレン製の蓋付容器に入れ、200mlの蒸留水を満たして密栓する。この容器を25℃のインキュベーターに保存し、7日間経過毎に蒸留水に放出した全アルミニウム量を測定する。徐放性凝集剤の放出率は下記の式で算出する。
Figure 2013230418
80質量%放出時間とは、放出されたアルミニウム濃度の累積放出量が80%になる時間である。
本発明の徐放性凝集剤を用いて濁水処理を行うことにより、濁水中における凝集剤成分の放出速度が調整され、凝集剤成分の過剰溶解による処理水のpH低下や余剰成分の流出を抑制することができ、また、濁水処理設備の簡略化や徐放性凝集剤散布の省力化も図ることができる。さらに、上記徐放性凝集剤を用いることにより、濁度や濁水の流量(空間速度SV(Space Velocity))に応じて、凝集剤の放出速度やその供給量を選択することで、種々の工事現場において容易に実施することができる。
なお、本発明の濁水処理方法では、本発明の効果を損なわない程度であれば、上記徐放性凝集剤とともに、例えば、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄などの公知の凝集剤を用いてもよい。
[徐放性凝集剤の製造方法]
本発明の徐放性凝集剤の製造方法は特に限定されないが、被膜材料によって適当な方法を選択することができる。
本発明の徐放性凝集剤は、下記(1)〜(4)の工程を含み、所定量の熱可塑性樹脂を含む被膜材料で被覆された水溶性凝集剤を落下させて噴流塔下部から排出させることにより製造することができる。
(1)水溶性凝集剤を温度40℃以上、好ましくは40〜200℃の上昇気流により流動させる工程
(2)前記流動状態の水溶性凝集剤に熱可塑性樹脂を含む被膜材料溶解分散液を噴霧する工程
(3)前記噴霧により水溶性凝集剤表面に付着した被膜材料溶解分散液から上昇気流により溶媒を除去する工程
(4)前記(3)の上昇気流に含まれる溶媒を気流から分離回収する工程
具体的には、本発明の徐放性凝集剤の製造方法は、上方に水溶性凝集剤投入口を有し、下方に徐放性凝集剤排出口を有する噴流塔と、該噴流塔から排出された気体から固形物を分離し、固形異物が除去された気体を凝縮器に送り込む固気分離器と、該固気分離器から送り出された気体に含まれる溶剤等を凝縮回収する凝縮器と、該凝縮器で溶剤等を除去した気体をヒーターに送り、噴流塔下部に導入して、噴流塔下部から上方へ上昇気流を形成するブロアーと、ブロアーから送られた該気体を加熱するヒーターとを有する徐放性凝集剤の循環製造装置を用いて徐放性凝集剤を製造する方法であって、上記水溶性凝集剤投入口から投入した水溶性凝集剤に、熱可塑性樹脂を含む被膜材料を溶剤に溶解または溶解分散させた溶液(以下、「被覆液」とする)を、噴流塔の下部にある整流缶から噴霧ノズルを介して噴流塔の上方に向う温度40℃以上、好ましくは40〜200℃に加熱された気流に噴霧して、該上方に向い気流中で水溶性凝集剤の外周に厚さ10〜1000μmの被覆層を形成すると共に、噴流塔内に形成された上方気流により該水溶性凝集剤を被覆する被覆層から該気流中へ溶剤を分離して、噴流塔下部から徐放性凝集剤を排出させることにより製造することができる。尚、被覆液を噴霧する際の気流の温度が上記範囲であるときは製造性が良好であるが、40℃未満では、凝集剤表面に付着した被膜材料溶解分散液からの溶剤が効率的に除去できず、その結果、溶剤が残る(乾燥不足)事により被膜の整膜性が損なわれ、且つ粒同士の固着が発生する。また200℃を超えると、樹脂の軟化が起こり粒同士の固着が発生するなどのトラブルが起こる。
ここで、被覆液を噴霧する際の噴流状態にある水溶性凝集剤の温度は40〜80℃であることが好ましい。
本発明で使用する徐放性凝集剤の製造装置について一例を挙げて説明する。図1に示すように、噴流塔1は塔径(内径)1,300mm、高さ8,500mm、円錘角50度の形状を有し、水溶性凝集剤投入口15および徐放性凝集剤排出口13を有する。噴霧ノズル2はフルコン型一流体スプレーノズル、3は水溶性凝集剤である。6は固気分離器、7は凝縮器である。8はブロワー(ルーツ型)、12はヒーターである。9は攪拌機付の被膜材料混合溶解槽(溶解槽)であり、10は送液ポンプ(ダイヤフラム型)である。14はガイド管(直径300mm、長さ1,760mm、フッ素樹脂被覆品)、11は整流缶である。21は絞り円盤である。図2は絞り円盤21の詳細が示されており、絞り円盤21は直径154mm、噴出孔23の内径45mm、噴出孔数4個(開口率34%)、各噴出孔23の中央にそれぞれ噴霧ノズル2を設けたものである。なお、噴霧ノズル2は、絞り円盤21の中心を中心とする直径95mmの円上に配置する。
上記装置において、ブロワー8を用いて、噴出孔23での気流温度150℃に保持した空気を噴流塔1に送りながら、水溶性凝集剤3を水溶性凝集剤投入口15から投入し、水溶性凝集剤3を噴流状態にする。このとき、水溶性凝集剤の温度が70±5℃になるように、熱せられた気流の流量および温度を調節する。70±5℃に昇温したところで被覆液を送液ポンプ10にて噴霧ノズル2より霧状で噴流状態にある水溶性凝集剤に吹きつける。このとき、気流の流量はブロワー8と整流缶11との間に設置した流量計で測定しながら調節し、熱せられた気流の温度は、水溶性凝集剤の温度および噴流塔出口温度を測定しながら調節する。循環風量は3,000m3/hであり、凝集剤投入量は1,000kgである。所定量の被覆液を供給したらブロワー8を止めて被覆された水溶性凝集剤を製品排出口13より抜き出し、徐放性凝集剤を得る。
なお、上記製造例は、本発明の徐放性凝集剤の製造方法の一例を示すものであり、製造条件などはこれに限定されるものではない。例えば、上記製造方法において、流動装置または噴流動装置により、水溶性凝集剤を流動状態にしてもよい。
本発明の徐放性凝集剤の製造方法は、下記(1)〜(4)の工程を含み、熱硬化性樹脂を含む被膜が水溶性凝集剤100質量%に対して1〜25質量%であることを特徴とする。
(1)水溶性凝集剤を温度20℃〜100℃の流動状態または転動状態にする工程
(2)流動状態または転動状態の水溶性凝集剤に熱硬化性樹脂を含む被膜材料を被覆する工程
(3)前記被膜材料から成る未硬化被覆層を前記水溶性凝集剤表面に形成させる工程
(4)形成した未硬化被覆層を熱硬化させて被膜を形成する工程
例えば、ポリウレタン材料の滴下や噴霧は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分の混合液を滴下または噴霧しても、ポリオール成分とポリイソシアネート成分を混合せずにそれぞれを交互に、あるいは同時に滴下または噴霧してもよい。ポリウレタン材料の滴下や噴霧の方法としては、連続滴下、一液または二液ノズルを用いた噴霧、ガスを用いた二流体ノズルなどが使用できる。尚、水溶性凝集剤を流動状態または転動状態する温度が上記範囲であるときは製造性が良好であるが、20℃未満では、凝集剤表面に付着した被膜材料の硬化反応が遅く粒同士の固着が発生する。また100℃を超えると、硬化反応が速いため被膜の整膜性が損なわれる。
すなわち、上記製造方法では、回転パンや回転ドラムなどにより水溶性凝集剤を転動状態にせしめ、熱硬化性樹脂を含む被膜材料に必要な硬化剤や硬化促進剤を滴下し、噴霧するなどの方法で該水溶性凝集剤に添加して、該水溶性凝集剤の表面を被覆し、被膜を形成させることにより徐放性凝集剤を製造することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<水溶性の測定>
2価または3価の金属含有化合物各1gを純水200mlビーカーに入れた20℃の純水100g中に攪拌しながら加えた。3分間攪拌し静置した後沈殿がある場合を不溶(×)、沈殿がない場合を可溶(○)と判定し結果を表1に示した。
Figure 2013230418
以下、実施例および比較例で用いられた水溶性凝集剤は、水溶性が1g/25℃純水100g以上であるF1〜F2を使用した。
[徐放性凝集剤の製造]
水溶性凝集剤F1について、以下の方法により被覆を行い、水溶性凝集剤成分の放出速度が異なる凝集剤C1〜13を得た。
<製造装置1>
製造装置1の構成は、図1のフローシートと同様であり、噴流塔1は塔径(内径)1,300mm、高さ8,500mm、円錘角50度の形状を有し、水溶性凝集剤投入口15および製品排出口13を有する。噴霧ノズル2はフルコン型一流体スプレーノズル、3は水溶性凝集剤(芯材)である。6は固気分離器、7は凝縮器である。8はブロワー(ルーツ型)、12はヒーターである。9は攪拌機付の被膜材料混合溶解槽(溶解槽)であり、10は送液ポンプ(ダイヤフラム型)である。14はガイド管(直径300mm、長さ1,760mm、フッ素樹脂被覆品)、11は整流缶である。21は絞り円盤である。
絞り円盤21の詳細を図2に示す。図2において、直径154mm、噴出孔23の内径45mm、噴出孔数4個(開口率34%)、各噴出孔23の中央にそれぞれ噴霧ノズル2を設けたものであった。なお、噴霧ノズル2は、絞り円盤21の中心を中心とする直径95mmの円上に配置した。
<製造方法1>
上記の製造装置1を用いて、下記の条件下、被覆された凝集剤を製造した。すなわち、熱せられた気流が噴流塔1の下部から上部に向けて流れ、固気分離器6を通過し、凝縮器7で気流を冷却し、有機溶媒を凝縮回収する。凝縮器7によって有機溶媒を分離・除去された気流はブロワー8からヒーター12を通過して加熱され高温気流として再度噴流塔1へ導かれるように循環している。まず、ブロワー8を用いて、噴出孔23での気流温度150℃に保持した空気を噴流塔1に送りながら、水溶性凝集剤3を凝集剤投入口15から投入し、水溶性凝集剤3を噴流状態にした。この際、水溶性凝集剤の温度が70±5℃になるように、熱せられた気流の流量および温度を調節した。70±5℃に昇温したところで、被膜材料を溶解分散させた被覆液を送液ポンプ10によって噴霧ノズル2より霧状で噴流状態にある凝集剤に吹きつけた。その際、気流の流量はブロワー8と整流缶11との間に設置した流量計で測定しながら調節し、熱せられた気流の温度は、水溶性凝集剤の温度や噴流塔出口温度を測定しながら調節した。循環風量は3,000m3/hであり、凝集剤投入量は1,000kgであった。所定量の該被覆液を供給したらブロワー8を止めて、製品排出口13より凝集剤を抜き出し、被覆された凝集剤を得た。
[実施例1〜4および比較例3〜4]
有機溶剤(テトラクロロエチレン)95質量%に、表1に示す組成の被膜材料を溶解・分散させることにより、被覆液を調製した。上記製造装置を用いて、水溶性凝集剤F1の表面に上記被覆液で被覆することにより、被覆された凝集剤C1〜C13を製造した。
本実施例で使用した熱可塑性樹脂としては、汎用的な低密度ポリエチレンとエチレン−酢酸ビニル共重合体を使用した。
Figure 2013230418
<製造装置2>
製造装置2として、熱風発生機を付設した温度制御可能な傾斜パン型転動造粒機(パン径450mm)を用いた。
<製造方法2>
上記の製造装置2を用いて次の方法により徐放性凝集剤を製造した。水溶性凝集剤920gを、上記製造装置2に仕込み、20〜45RPMで回転させ、該水溶性凝集剤を転動状態にした。該装置を加熱して該水溶性凝集剤の温度を65〜75℃に維持し、転動状態を維持した。熱硬化性樹脂の原料としてポリオールとポリイソシアネート、およびアミン触媒としてジメチルエタノールアミン0.8gを混合し、送液ポンプを用いて加温されかつ転動状態にある該水溶性凝集剤にそれぞれ40分間で添加し、被覆した。その後、該水溶性凝集剤の温度を10分間、65〜75℃の範囲に保持することにより被覆された凝集剤を得た。
[実施例5〜6および比較例5]
表2に示す組成の被膜材料および被膜重量(被覆される凝集剤に対する被膜の質量%)に従って、上記製造装置2を用いて被覆された凝集剤C14〜C16を製造した。被覆される水溶性凝集剤としてはF1を用いた。
Figure 2013230418
[濁水処理に要するアルミニウム濃度についての評価]
高濃度濁水(浮遊物質(SS)濃度2500mg/L)および低濃度濁水(浮遊物質(SS)濃度100mg/L)に、アルミニウム濃度がそれぞれ2、5および10mg/Lとなるように硫酸アルミニウムを添加し、よく攪拌混合した。
硫酸アルミニウムを入れた濁水を1Lビーカーに入れて、往復振とうにより攪拌した後、25℃の室温内に静置した。
静置した後、1、10、30、60、240および1440分後に水面から10cmの箇所をピペットで50〜200mL採取し、SS濃度を測定して沈降速度を求めた。
濁水処理に要するアルミニウム濃度についての評価結果を表4に示す。
Figure 2013230418
上記結果から、アルミニウム濃度が2〜5mg/Lの範囲であれば、凝集沈殿が達成できることがわかる。また、高濃度濁水の場合、5mg/L以上添加しても、それ以上沈降速度は上がらず、低濃度濁水の場合、2mg/L以上添加しても沈降速度は上がらないことがわかる。
[凝集剤の特性評価]
(1)凝集剤の放出特性(80質量%放出時間)
凝集剤(C1〜C16)5gをポリエチレン製の蓋付容器に入れ、200mlの蒸留水を満たして密栓した。この容器を25℃のインキュベーター内に保存し、7日間経過毎に蒸留水に放出した全アルミニウム量を測定した。徐放性凝集剤の放出率は下記の式により算出した。なお、80質量%放出時間とは、放出されたアルミニウム濃度の累積放出量が80%になる時間である。
Figure 2013230418
放出率が80%になるのに要する時間が240時間以上960時間以下であるものを放出特性良好(○)とし、放出率が80%になるのに要する時間が240時間未満、または960時間以上であるものを溶出特性不良(×)と判定した。
凝集剤の80質量%放出時間の評価結果を表5に示す。
Figure 2013230418
C10、C12の放出率が80%になるのに要する時間は240時間未満であり、C11、C13、C16の放出率が80%になるのに要する時間は960時間を超えた。
(2)凝集剤の溶解特性(カラム通水試験)
図3に示す装置を用いて、C1〜4、C10〜11、C14〜16およびF1〜2の凝集剤の溶解特性を評価した。すなわち、円筒カラム24(内径10cm、長さ9cm)に、各層の体積が1層目27にガラスビーズが314cm3、2層目28に凝集剤が78.5cm3、3層目29にガラスビーズが314cm3となるよう層状に詰めた。上記状態の円筒カラム24に、貯水タンク31より送液ポンプ25にて送液管26から円筒カラム24に所定の流速で蒸留水を通水した(通水条件:SV=250)。通水してから5分後および10分後に排出管30より排出された蒸留水をそれぞれサンプリングした。
凝集剤の溶解特性結果を表6に示す。
Figure 2013230418
[ジャーテスト試験]
実施例1〜2および比較例3〜4についてジャーテスト試験を行い、濁水処理効果を検証した。すなわち、高濃度濁水(浮遊物質濃度2500mg/L)および低濃度濁水(100 mg/L)を500mLずつビーカーに採取し、凝集剤C1、C2、C5およびC6を投入した。これらを回転数を150min-1に設定したジャーテスター中で20分間攪拌した後、30分静置した。30分後、上澄み液を採取し、清澄度の観察、浮遊物質(SS)濃度およびpHを測定した。
ジャーテスト試験の試験結果を表7に示す。
Figure 2013230418
表5に示すように、実施例1〜2では清澄度、濁水処理効果およびpHともに良好であった。比較例3は清澄度、濁水処理効果は認められるが、pHが5.8以下となり濁水処理方法として好ましくない。比較例4では清澄度、濁水処理効果が認められなかった。
1.噴流塔
2.噴霧ノズル
3.水溶性凝集剤(芯材)
4.循環気流配管
5.被覆液供給配管
6.固気分離器
7.凝縮器
8.ブロワー
9.被膜材料混合溶解槽(溶解槽)
10.送液ポンプ
11.整流缶
12.ヒーター
13.製品排出口
14.ガイド管
15.水溶性凝集剤(芯材)投入口
21.絞り円盤
22.円盤主体
23.噴出孔
24.円筒カラム
25.送液ポンプ
26.送液管
27.1層目(ガラスビーズ)
28.2層目(凝集剤)
29.3層目(ガラスビーズ)
30.排出管
31.貯水タンク
32.沈砂池
33.濁水流入口
34.凝集剤
35.整流板
36.接触ろ過材
37.油吸着マット
38.排出口
39.造成地

Claims (8)

  1. 2価または3価の金属含有化合物を含む水溶性凝集剤の表面に、1種以上の樹脂を含む被膜材料で被覆することを特徴する徐放性凝集剤。
  2. 2価または3価の金属含有化合物を含む水溶性凝集剤の水溶性が1g/20℃純水100g以上で且つ2価または3価の鉄塩、カルシウム塩、アルミニウム塩から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1記載の徐放性凝集剤。
  3. 水溶性凝集剤がアルミニウム塩を含むことを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載の徐放性凝集剤。
  4. 樹脂が熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂である請求項1〜2のいずれか一項に記載の徐放性凝集剤。
  5. 熱可塑性樹脂がポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−一酸化炭素共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、およびプロピレン−ブテン共重合体から選ばれた1種以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の徐放性凝集剤。
  6. 請求項1または2のいずれか一項に記載の徐放性凝集剤を用い、沈砂池および沈砂池への濁水流入路に投入して、該水溶性凝集剤を1〜5mg/Lの範囲の量で水中に放出することを特徴とする濁水処理方法。
  7. 2価または3価の金属含有化合物を含む水溶性凝集剤の表面に被膜を形成する方法において、下記(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする徐放性凝集剤の製造方法。
    (1)水溶性凝集剤を温度40℃以上の上昇気流により流動させる工程
    (2)前記流動状態の水溶性凝集剤に熱可塑性樹脂を含む被膜材料溶解分散液を噴霧する工程
    (3)前記噴霧により水溶性凝集剤表面に付着した被膜材料溶解分散液から上昇気流により溶媒を除去する工程
    (4)前記(3)の上昇気流に含まれる溶媒を気流から分離回収する工程
  8. 2価または3価の金属含有化合物を含む水溶性凝集剤の表面に被膜を形成する方法において、下記(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする徐放性凝集剤の製造方法。
    (1)水溶性凝集剤を温度20℃〜100℃の流動状態または転動状態にする工程
    (2)流動状態または転動状態の水溶性凝集剤に熱硬化性樹脂を含む被膜材料を被覆する工程
    (3)前記被膜材料から成る未硬化被覆層を前記水溶性凝集剤表面に形成させる工程
    (4)形成した未硬化被覆層を熱硬化させて被膜を形成する工程
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