JP2013229615A - 太陽電池モジュール用充填材及び太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池モジュール用充填材及び太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】良好な柔軟性を有するポリエチレン系樹脂を用いた太陽電池モジュール用充填材等を提供すること。
【解決手段】それぞれ所定範囲の密度の2種類のポリエチレン系樹脂(A)及びポリエチレン系樹脂(B)を少なくとも含む充填材組成物からなる多層フィルムであって、前記充填材組成物中の前記ポリエチレン系樹脂(A)の含有量が50〜95質量%、前記ポリエチレン系樹脂(B)の含有量が5〜50質量%であって、前記多層フィルムは、両最外層に比べてコア層のほうが前記ポリエチレン系樹脂(A)の含有量が多く、前記両最外層及び前記コア層以外の内層は、ポリエチレン系樹脂(A):ポリエチレン系樹脂(B)の含有量比が90:10〜60:40であり、前記コア層は、ポリエチレン系樹脂(A):ポリエチレン系樹脂(B)の含有量比が99:1〜80:20である太陽電池モジュール用充填材を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュール用充填材組成物、太陽電池モジュール用充填材及び太陽電池モジュールに関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。太陽電池を構成する太陽電池モジュールには、太陽電池素子が含まれ、この太陽電池素子が太陽光等の光エネルギーを電気エネルギーに変換する役割を担う。
太陽電池素子は、単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板を用いて作製することが多い。このため、太陽電池素子は、物理的衝撃に弱く、また屋外に太陽電池モジュールを取り付けた場合に雨等からこれを保護する必要がある。また、太陽電池素子1枚では発生する電気出力が小さいため、複数の太陽電池素子を直並列に接続して、実用的な電気出力が取り出せるようにする必要がある。このため、複数の太陽電池素子を接続し、透明基板及び充填材で封入して太陽電池モジュールを作製することが通常行なわれている。一般に、太陽電池モジュールは、透明前面基板、充填材、太陽電池素子、充填材及び裏面保護シート等を順次積層し、これらを真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等により製造される。
太陽電池モジュールに使用される充填材としては、その加工性、施工性、製造コスト、その他等の観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)が最も一般的なものとして使用されている。しかしながら、EVA樹脂は、長期間の使用に伴って徐々に分解する傾向があり、太陽電池モジュールの内部で劣化して強度が低下したり、太陽電池素子に影響を与える酢酸ガスを発生させたりする可能性がある。このため、EVA樹脂の代わりに、ポリエチレン等のポリオレフィンを使用した太陽電池モジュール用充填材が提案されている(例えば、特許文献1等を参照)。
特開2000−91611号公報
しかしながら、ポリエチレン等のポリオレフィン系の充填材は、EVA樹脂を使用した充填材に比べて、柔軟性が不足する傾向にある。そのため、ポリオレフィン系の充填材を使用して太陽電池モジュールを作製した場合、その太陽電池モジュールに撓みが発生したときに、太陽電池モジュール内部の充填材が撓みによる曲げ応力を十分に吸収することができずに、太陽電池素子に曲げ応力が加わり、太陽電池素子に微小なクラックを生じることがあった。この場合、太陽電池モジュールの発電効率の低下に繋がる可能性がある。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、ポリエチレン系の樹脂を使用しながら太陽電池モジュール用充填材に良好な柔軟性を付与することのできる太陽電池モジュール用充填材組成物、太陽電池モジュール用充填材、及びそのような太陽電池モジュール用充填材を使用した太陽電池モジュールを提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、特定の範囲の異なる密度を有する少なくとも2種類のポリエチレン系樹脂を、特定の範囲の含有量で組み合わせた太陽電池モジュール用充填材組成物を使用して太陽電池モジュール用充填材を作製することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、(1)下記(a)〜(c)の条件を満たす2種類のポリエチレン系樹脂(A)及びポリエチレン系樹脂(B)を少なくとも含む充填材組成物からなる多層フィルムであって、前記充填材組成物中の前記ポリエチレン系樹脂(A)の含有量が50〜95質量%、前記ポリエチレン系樹脂(B)の含有量が5〜50質量%であって、前記多層フィルムは、両最外層に比べてコア層のほうが前記ポリエチレン系樹脂(A)の含有量が多く、前記両最外層及び前記コア層以外の内層は、ポリエチレン系樹脂(A):ポリエチレン系樹脂(B)の含有量比が90:10〜60:40であり、前記コア層は、ポリエチレン系樹脂(A):ポリエチレン系樹脂(B)の含有量比が99:1〜80:20である太陽電池モジュール用充填材である。
(a) ポリエチレン系樹脂(A)は、密度が0.870〜0.890g/cmの範囲であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンである。
(b) ポリエチレン系樹脂(B)は、密度が0.875〜0.910g/cmの範囲であるポリエチレン系樹脂である。
(c) 前記充填材組成物中の前記ポリエチレン系樹脂(B)の密度は、前記ポリエチレン系樹脂(A)の密度よりも大きい。
また本発明は、(2)前記ポリエチレン系樹脂(A)がエチレンと炭素数6〜8のα−オレフィンとの共重合体である(1)項記載の太陽電池モジュール用充填材である。
また本発明は、(3)前記ポリエチレン系樹脂(A)の密度と、前記ポリエチレン系樹脂(B)の密度との差が0.040g/cm以下である(1)項又は(2)項に記載の太陽電池モジュール用充填材である。
また本発明は、(4)前記太陽電池モジュール用充填材組成物を構成するすべてのポリエチレン系樹脂の密度差が0.060g/cm以下である(1)項から(3)項のいずれか1項記載の太陽電池モジュール用充填材である。
また本発明は、(5)前記ポリエチレン系樹脂(B)が少なくともα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなる共重合体である(1)項から(4)項のいずれか1項記載の太陽電池モジュール用充填材である。
また本発明は、(6)(1)から(5)のいずれか1項記載の太陽電池モジュール用充填材を使用した太陽電池モジュールである。
本発明によれば、ポリエチレン系の樹脂を使用しながらも良好な柔軟性を有する太陽電池モジュール用充填材、及びそのような太陽電池モジュール用充填材を使用した太陽電池モジュールが提供される。
本発明の太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。
以下、本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物、太陽電池モジュール用充填材及び太陽電池モジュールの順に詳細に説明する。
<太陽電池モジュール用充填材組成物>
まず、本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物について説明する。本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物は、成型して太陽電池モジュール用充填材を作製するために使用される。本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物は、2種類のポリエチレン系樹脂(A)及びポリエチレン系樹脂(B)を少なくとも含む。以下、これらのポリエチレン系樹脂(A)及び(B)について説明する。
[ポリエチレン系樹脂(A)]
本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物で使用されるポリエチレン系樹脂(A)は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、密度が0.870〜0.890g/cmの範囲であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンである。メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンは、シングルサイト触媒であるメタロセン触媒を用いて合成されるものである。このようなポリエチレンは、側鎖の分岐が少なく、コモノマーの分布が均一である。このため、分子量分布が狭く、上記のような超低密度にすることが可能でありシートに柔軟性を付与できる。また、結晶性分布が狭く、結晶サイズが揃っているので、結晶サイズの大きいものが存在しないばかりでなく、低密度であるために結晶性自体が低い。このため、シート状に加工した際の透明性に優れる。
共重合体の作製に使用されるα−オレフィンとしては、好ましくは分枝を有しないα−オレフィンが好ましく使用され、これらの中でも、炭素数が6〜8のα−オレフィンである1−ヘキセン、1−ヘプテン又は1−オクテンが特に好ましく使用される。α−オレフィンの炭素数が6以上8以下であることにより、太陽電池モジュール用充填材に良好な柔軟性を付与することができるとともに良好な強度を付与することができる。
ポリエチレン系樹脂(A)の密度は、0.870〜0.890g/cmである。この範囲であれば、シート加工性を維持しつつ良好な柔軟性を付与することができる。ポリエチレン系樹脂(A)の密度は、0.875〜0.888g/cmであることが好ましく、0.878〜0.885g/cmであることがより好ましい。
太陽電池モジュール用充填材組成物に含まれるポリエチレン系樹脂(A)の含有量は、50〜95質量%である。ポリエチレン系樹脂(A)の含有量が50質量%以上であることにより、太陽電池モジュール用充填材に良好な柔軟性を付与することができ、ポリエチレン系樹脂(A)の含有量が95質量%以下であることにより、シート状への加工を容易にする。太陽電池モジュール用充填材組成物に含まれるポリエチレン系樹脂(A)の含有量は、60〜92質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることがより好ましい。
ポリエチレン系樹脂(A)のショアD硬度は、15〜40度であることが好ましく、15〜35度であることがより好ましい。ポリエチレン系樹脂(A)のショアD硬度が上記の範囲であることにより、太陽電池モジュール用充填材の柔軟性を維持することができる。また、ポリエチレン系樹脂(A)のメルトマスフローレート(MFR)は、190℃において0.5〜8g/10分であることが好ましく、2〜5g/10分であることがより好ましい。ポリエチレン系樹脂(A)のMFRが上記の範囲であることにより、製膜時の加工適性に優れるとともに、太陽電池モジュール作成時のラミネート工程での加工適性に優れる。
[ポリエチレン系樹脂(B)]
本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物で使用されるポリエチレン系樹脂(B)は、密度が0.875〜0.910g/cmの範囲であるポリエチレン系樹脂である。ここで、「ポリエチレン系樹脂」には、エチレンを重合して得られる通常のポリエチレンのみならず、α−オレフィン等のようなエチレン性の不飽和結合を有する化合物を重合して得られた樹脂、エチレン性不飽和結合を有する複数の異なる化合物を共重合させた樹脂、及びこれらの樹脂に別の化学種をグラフトして得られる変性樹脂等が含まれる。
上記ポリエチレン系樹脂(B)の中でも、少なくともα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体を好ましく使用することができる。このような樹脂を使用することにより、透明前面基板や太陽電池素子等といった部材と充填材との接着性が得られる。次に、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体について説明する。
シラン共重合体は、例えば、特開2003−46105号公報に記載されているものである。当該共重合体を太陽電池モジュールの充填材組成物の成分として使用することにより、強度、耐久性等に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、その他の諸特性に優れ、更に、太陽電池モジュールを製造する加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく極めて優れた熱融着性を有し、安定的に、低コストで、種々の用途に適する太陽電池モジュールを製造し得る。
ポリエチレン系樹脂(B)として好ましく使用されるシラン共重合体は、少なくともα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物をコモノマーとし、必要に応じて更にその他の不飽和モノマーをコモノマーとして共重合して得られる共重合体であり、該共重合体の変性体ないし縮合体も含むものである。
具体的には、例えば、α−オレフィンの1種ないし2種以上と、エチレン性不飽和シラン化合物の1種ないし2種以上と、必要ならば、その他の不飽和モノマーの1種ないし2種以上とを、所望の反応容器を使用し、例えば、圧力500〜4000Kg/cm位、好ましくは、1000〜4000Kg/cm位、温度100〜400℃位、好ましくは、150〜350℃位の条件下で、ラジカル重合開始剤及び必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時にあるいは段階的にランダム共重合させ、更には、必要に応じて、その共重合によって生成するランダム共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させて、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体を製造することができる。
また、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体としては、例えば、α−オレフィンの1種ないし2種以上と、必要ならば、その他の不飽和モノマーの1種ないし2種以上とを、所望の反応容器を使用し、上記と同様に、ラジカル重合開始剤及び必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時にあるいは段階的に重合させ、次いで、その重合によって生成するポリオレフィン系重合体に、エチレン性不飽和シラン化合物の1種ないし2種以上をグラフト共重合させ、更には、必要に応じて、その共重合体によって生成するグラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させて、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体を製造することができる。
α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンより選択される1種以上を使用することができる。
エチレン性不飽和シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリカルボキシシランより選択される1種以上を使用することができる。
その他の不飽和モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ビニルアルコールより選択される1種以上を使用することができる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、ラウロイルパーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物、分子状酸素、アゾビスイソブチロニトリルアゾイソブチルバレロニトリル等のアゾ化合物等を使用することができる。
連鎖移動剤としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン等のパラフィン系炭化水素、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、n−ブチルアルデヒド等のアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素等を使用することができる。
ランダム共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させる方法、あるいは、グラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させる方法としては、例えば、錫、亜鉛、鉄、鉛、コバルト等の金属のカルボン酸塩、チタン酸エステル及びキレート化物等の有機金属化合物、有機塩基、無機酸、及び、有機酸等のシラノール縮合触媒等を使用し、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とのランダム共重合体あるいはグラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分のシラノール間の脱水縮合反応等を行うことにより、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体の変性ないし縮合体を製造する方法が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂(B)として使用されるシラン共重合体としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであっても好ましく使用することができるが、グラフト共重合体であることがより好ましく、重合用ポリエチレンを主鎖とし、エチレン性不飽和シラン化合物が側鎖として重合したグラフト共重合体が更に好ましい。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、太陽電池モジュールにおける他の部材への充填材の接着性を向上することができる。
α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成する際のエチレン性不飽和シラン化合物の含量としては、全共重合体質量に対して、例えば、0.001〜15質量%位、好ましくは、0.01〜5質量%位、特に好ましくは、0.05〜2質量%位が望ましいものである。本発明において、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成するエチレン性不飽和シラン化合物の含量が多い場合には、機械的強度及び耐熱性等に優れるが、含量が過度になると、引っ張り伸び及び熱融着性等に劣る傾向にある。
以上、本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物で使用されるポリエチレン系樹脂(B)の好ましい例として、シラン共重合体を説明したが、ポリエチレン系樹脂(B)は、上記シラン共重合体に限定されるものではない。
本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物で使用されるポリエチレン系樹脂(B)は、密度が0.875〜0.910g/cmである。また、ポリエチレン系樹脂(B)の密度は、既に説明したポリエチレン系樹脂(A)の密度よりも大きい。このように、本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物で使用する2種類のポリエチレン系樹脂(A)及びポリエチレン系樹脂(B)の密度が異なる理由は次の通りである。
既に述べたように、本発明で使用されるポリエチレン系樹脂(A)は低密度ポリエチレンであるので、ポリエチレン系樹脂(A)単独では、軟化点が低く加工性が劣り、安定して成膜加工を行なうことが困難である。そのため、本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物では、ポリエチレン系樹脂(A)よりも密度の大きなポリエチレン系樹脂(B)を混合して使用することが好ましい。これにより、低密度であるポリエチレン系樹脂(A)の柔軟性を維持しつつ、加工性を維持することができる。
ポリエチレン系樹脂(B)の密度が0.875g/cm以上であることにより、製膜時の加工適性に優れ、ポリエチレン系樹脂(B)の密度が0.910g/cm以下であることにより、透明性を付与することができる。ポリエチレン系樹脂(B)の密度は、0.878〜0.910g/cmであることが好ましく、0.880〜0.905g/cmであることがより好ましい。
なお、上記ポリエチレン系樹脂(A)の密度と、ポリエチレン系樹脂(B)の密度との差は、0.040g/cm以下であることが好ましい。密度の差が0.040g/cm以下であることにより、太陽電池モジュール用充填材組成物に含まれるポリエチレン系樹脂(A)とポリエチレン系樹脂(B)との結晶性を近いものとすることができ、この組成物から作製された太陽電池モジュール用充填材の透明性を高くすることができる。ポリエチレン系樹脂(A)の密度と、ポリエチレン系樹脂(B)の密度との差は、0.005〜0.035g/cmがより好ましく、0.01〜0.03g/cmが更に好ましい。
太陽電池モジュール用充填材組成物に含まれるポリエチレン系樹脂(B)の含有量は、5〜50質量%である。ポリエチレン系樹脂(B)の含有量が5質量%以上であることにより、加工性の向上のために必要な硬さを太陽電池モジュール用充填材組成物に付与することができる。また、ポリエチレン系樹脂(B)の含有量が50質量%以下であることにより、太陽電池モジュール用充填材の柔軟性を維持することができる。太陽電池モジュール用充填材組成物に含まれるポリエチレン系樹脂(B)の含有量は、8〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
ポリエチレン系樹脂(B)のショアD硬度は、20〜40度であることが好ましく、25〜35度であることがより好ましい。ポリエチレン系樹脂(B)のショアD硬度が上記の範囲であることにより、太陽電池モジュール用充填材の柔軟性を維持することができる。また、ポリエチレン系樹脂(B)のメルトマスフローレート(MFR)は、190℃において0.5〜8g/10分であることが好ましく、1〜4g/10分であることがより好ましい。ポリエチレン系樹脂(B)のMFRが上記の範囲であることにより、製膜時の加工適性に優れる。
[その他の成分]
本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物には、上記ポリエチレン系樹脂(A)及びポリエチレン系樹脂(B)以外の成分を含有させることができる。このような成分としては、本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物から作製された充填材に耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤等の成分が例示される。これらの添加剤を含むことにより、太陽電池モジュール用充填材組成物に対して、長期に亘って安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物に添加される上記各種の添加剤のうち、まず、耐候性マスターバッチについて説明する。耐候性マスターバッチとは、光安定剤や紫外線吸収剤等をポリエチレン等の樹脂に分散させたものであり、これを太陽電池モジュール用充填材組成物に添加することにより、太陽電池モジュール用充填材に良好な耐候性を付与することができる。耐候性マスターバッチは、適宜作製して使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
耐候性マスターバッチに使用される樹脂としては、特に限定されず、好ましくはポリエチレン系樹脂が例示される。これらの中でも、ポリエチレン系樹脂(A)及びポリエチレン系樹脂(B)に近い構造を有するポリエチレン系樹脂が好ましく使用される。ここで、ポリエチレン系樹脂には、エチレンを重合して得られる通常のポリエチレンのみならず、α−オレフィン等のようなエチレン性の不飽和結合を有する化合物を重合して得られた樹脂、エチレン性不飽和結合を有する複数の異なる化合物を共重合させた樹脂、及びこれらの樹脂に別の化学種をグラフトして得られる変性樹脂等が含まれる。
ここで、本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物に使用されるすべてのポリエチレン系樹脂の密度の差が0.060g/cm以下であることが好ましい。密度の差が0.060g/cm以下であることにより、太陽電池モジュール用充填材組成物に含まれるすべてのポリエチレン系樹脂の結晶性を近いものとすることができ、この組成物から作製された太陽電池モジュール用充填材の透明性を高くすることができる。太陽電池モジュール用充填材組成物に含まれるすべてのポリエチレン系樹脂の密度の差は、0.005〜0.055g/cmがより好ましく、0.01〜0.05g/cmが更に好ましい。なお、「すべてのポリエチレン系樹脂」とは、既に説明したポリエチレン系樹脂(A)、ポリエチレン系樹脂(B)、マスターバッチに含まれるポリエチレン系樹脂、その他太陽電池モジュール用充填材組成物に添加されたポリエチレン系樹脂のすべてを意味するものである。
光安定化剤は、太陽電池モジュール用充填材に使用される樹脂中の光劣化開始の活性種を補足し、光酸化を防止するものである。具体的には、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードピペリジン系化合物等の光安定化剤が挙げられる。
紫外線吸収剤は、太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギーへと変換し、太陽電池モジュール用充填材に用いられる樹脂の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものである。具体的には、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サルチレート系、アクリロニトリル系、金属錯塩系、ヒンダードアミン系、及び超微粒子酸化チタン(粒子径:0.01μm〜0.06μm)もしくは超微粒子酸化亜鉛(粒子径:0.01μm〜0.04μm)等の無機系等の紫外線吸収剤が挙げられる。
熱安定剤としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4´−ジイルビスホスフォナイト、及びビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリト−ルジフォスファイト等のリン系熱安定剤;8−ヒドロキシ−5,7−ジ−t−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物等のラクトン系熱安定剤等を挙げることができる。リン系熱安定剤とラクトン系熱安定剤とを併用することが好ましい。
酸化防止剤は、太陽電池モジュール用充填材に用いられる熱可塑性樹脂の酸化劣化を防止するものである。具体的には、フェノール系、アミン系、イオウ系、リン系、及びラクトン系等の酸化防止剤が挙げられる。
これらの光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤は、それぞれ1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤の含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ太陽電池モジュール用充填材組成物中に0.001質量%〜5質量%の範囲内であることが好ましい。
更に、本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物に用いられる他の化合物としては上記以外に、核剤、架橋剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤等を挙げることができる。
核剤は、小さい結晶を多数形成する作用をなし、太陽電池モジュール用充填材が、ホットスポット現象等に伴って充填材層が白濁することを防止する機能を有するものである。この核剤としては、上記機能を発現するものであれば特に限定されず、例えば、ソルビトール系核剤、カルボン酸系核剤、有機リン酸系核剤等を挙げることができる。
ソルビトール系核剤としては、例えばジベンジリデンソルビトール、又はその誘導体が挙げられ、具体的には1,3,2,4−ジ(メリルベンジリデン)ソルビトール、1,3−クロルベンジリデン−2,4−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−ジメチルベンジリデン−D−ソルビトール等を用いることができる。
カルボン酸系核剤としては、例えば脂肪族カルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、芳香族カルボン酸もしくは芳香族ジカルボン酸の金属塩、又はそれらのアルキル核置換誘導体の金属塩が挙げられ、具体的にはステアリン酸、アジピン酸もしくはセバチン酸のナトリウム塩、カルシウム塩、又はアルミニウム塩、あるいは、安息香酸のナトリウム塩又はパラ−第3ブチル−安息香酸のアルミニウム塩等を用いることができる。
有機リン酸系核剤としては、例えばビス(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩等が挙げられる。
また、上記核剤としては、例えばゼオライト、シリカ、タルク、ハイドロタルサイト等を用いることもできる。これらの核剤は、単独又は混合物として使用することができる。
上記の中でも、本発明においてはソルビトール系核剤が好適に用いられる。更に、上記ソルビトール系核剤の中でも、1,3:2,4−ビス−O−ジメチルベンジリデン−D−ソルビトールが好ましい。
その他、架橋剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤等は、従来公知のものを、その効果を奏する量、適宜加えることができる。また、必要に応じて、上記ポリエチレン系樹脂(A)及びポリエチレン系樹脂(B)の他にもポリエチレン系樹脂を添加してもよい。
<太陽電池モジュール用充填材>
次に、本発明の太陽電池モジュール用充填材について説明する。本発明の太陽電池モジュール用充填材は、上記の太陽電池モジュール用充填材組成物を、従来公知の方法で成型加工して得られるものであり、好ましくはシート状又はフィルム状としたものである。なお、本発明におけるシート状とはフィルム状も含む意味であり両者に差はない。
上記太陽電池モジュール用充填材組成物のシート化又はフィルム化は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、すなわち、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形法により行われる。こうして、上記太陽電池モジュール用充填材組成物をシート化又はフィルム化することにより、本発明の太陽電池モジュール用充填材が得られる。
太陽電池モジュール用充填材を作製するにあたり、太陽電池モジュール用充填材の構造を3層以上の構造、すなわち2枚の最外層と、この最外層に挟まれたコア層とを少なくとも有する多層フィルムからなる構造とし、2枚の最外層に比べて、コア層に含まれるポリエチレン系樹脂(A)の含有量を多くすることが好ましい。このためには、ポリエチレン系樹脂(A)の含有量の異なる少なくとも2種類の太陽電池モジュール用充填材組成物を使用することになる。具体的には、外層、及びコア層以外の内層は、ポリエチレン系樹脂(A):ポリエチレン系樹脂(B)が90:10〜60:40とし、コア層は、ポリエチレン系樹脂(A):ポリエチレン系樹脂(B)が99:1〜80:20として、コア層を軟らかくして、両最外層をコア層よりも固くするような仕様が好ましく例示できる。
既に述べたように、ポリエチレン系樹脂(A)は軟化点の低い低密度ポリエチレンであるので、ポリエチレン系樹脂(A)の含有量の大きな太陽電池モジュール用充填材組成物から作製された充填材は、柔軟性が優れるものの、加工性やハンドリング性がやや劣るものである。そこで、上記のように、ポリエチレン系樹脂(A)の含有量の異なる少なくとも2種類の充填材組成物を使用して3層以上の構造の太陽電池モジュール用充填材とし、2枚の最外層に比べて、コア層に含まれるポリエチレン系樹脂(A)の含有量を多くすることが好ましい。これにより、太陽電池モジュール用充填材の加工性やハンドリング性を最外層で確保しつつ、同時に太陽電池モジュール用充填材の柔軟性をコア層で確保することができる。
また、ポリエチレン系樹脂(B)としてコストの高いシラン共重合体を使用する場合、太陽電池モジュールを構成する他の部材への密着性が要求される充填材の最外層部分をポリエチレン系樹脂(B)の含有量の大きな組成物で作製し、充填材のコア層部分をポリエチレン系樹脂(B)の含有量の小さな組成物で作製するとコスト面で有利である。このような観点からも、2枚の最外層に比べてコア層の方がポリエチレン系樹脂(A)の含有量が多い(すなわち、ポリエチレン系樹脂(B)の含有量が小さい)太陽電池モジュール用充填材とすることが好ましい。
上記のように、ポリエチレン系樹脂(A)の含有量の異なる少なくとも2種類の太陽電池モジュール用充填材組成物を使用して、多層フィルムからなる太陽電池モジュール用充填材を作製するには、例えば、従来公知のTダイ多層共押出し法を用いることができる。
<太陽電池モジュール>
次に、本発明の太陽電池モジュールについて、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。本発明の太陽電池モジュール1は、図1に示すように、入射光7の受光面側から、透明前面基板2、前面充填材層3、太陽電池素子4、背面充填材層5、及び裏面保護シート6が順に積層されている。本発明の太陽電池モジュール1は、前面充填材層3及び背面充填材層5の少なくとも一方に上記の太陽電池モジュール用充填材を使用する。
太陽電池モジュール1は、例えば、上記の各層を形成する部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の各層を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。
また、太陽電池モジュール1は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、例えば、Tダイ押出成形等により、太陽電池素子4の表面側及び裏面側のそれぞれに、前面充填材層3及び背面充填材層5を溶融積層して、太陽電池素子4を前面充填材層3及び背面充填材層5でサンドし、次いで、透明前面基板2及び背面保護シート6を順次積層し、次いで、これらを真空吸引等により一体化して加熱圧着する方法で製造してもよい。
なお、本発明の太陽電池モジュール1において、前面充填材層3及び背面充填材層5以外の部材である透明前面基板2、太陽電池素子4及び背面保護シート6は、従来公知の材料を特に制限なく使用することができる。また、本発明の太陽電池モジュール1は、上記部材以外の部材を含んでもよい。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[ポリエチレン系樹脂A]
エチレンと1−ヘキセンとの共重合体であり、密度0.880g/cm、190℃でのメルトマスフローレート(MFR)が3.4g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンをポリエチレン系樹脂Aとした。
[ポリエチレン系樹脂B]
密度0.898g/cmであり、190℃でのMFRが2g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とを混合し、200℃で溶融、混練し、シラン変性透明樹脂を得た。この樹脂の密度は、0.901g/cm、190℃におけるMFRは、1.0だった。この樹脂を、ポリエチレン系樹脂Bとした。
[耐候性マスターバッチ]
・耐候性マスターバッチAの調製
密度0.924g/cmのチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー91.5質量部に対して、ヒンダードアミン系光安定剤4.6質量部とベンゾフェノン3.4質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化した耐候性マスターバッチAを得た。
・耐候性マスターバッチBの調製
密度0.901g/cmのチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー91.5質量部に対して、ヒンダードアミン系光安定剤4.6質量部とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤3.4質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化した耐候性マスターバッチBを得た。
[太陽電池モジュール用充填材組成物の調製]
・太陽電池モジュール用充填材組成物A1の調製
ポリエチレン系樹脂Aのペレットを80質量部と、ポリエチレン系樹脂Bのペレットを20質量部と、耐候性マスターバッチAを5質量部とを混合して、太陽電池モジュール用充填材組成物A1を得た。
・太陽電池モジュール用充填材組成物A2の調製
ポリエチレン系樹脂Aのペレットを90質量部と、ポリエチレン系樹脂Bのペレットを10質量部と、耐候性マスターバッチAを5質量部とを混合して、太陽電池モジュール用充填材組成物A2を得た。
・太陽電池モジュール用充填材組成物B1の調製
ポリエチレン系樹脂Aのペレットを80質量部と、ポリエチレン系樹脂Bのペレットを20質量部と、耐候性マスターバッチBを5質量部とを混合して、太陽電池モジュール用充填材組成物B1を得た。
・太陽電池モジュール用充填材組成物B2の調製
ポリエチレン系樹脂Aのペレットを90質量部と、ポリエチレン系樹脂Bのペレットを10質量部と、耐候性マスターバッチBを5質量部とを混合して、太陽電池モジュール用充填材組成物B2を得た。
[太陽電池モジュール用充填材]
・実施例1
太陽電池モジュール用充填材組成物A1を第1層及び第3層とし、太陽電池モジュール用充填材組成物A2を第2層として、3層構造である実施例1の太陽電池モジュール用充填材を作製した。実施例1の太陽電池モジュール用充填材は、これらの組成物を常法により三層にて押し出し、2m巾のTダイを有する成膜機により作製した。成膜温度は、シリンダーからTダイの設定値を170〜220℃とし、樹脂組成物の温度は230℃以下とした。なお、第1層、第2層及び第3層の厚さは、それぞれ100μm、300μm及び100μmとした。
・実施例2
太陽電池モジュール用充填材組成物B1を第1層及び第3層とし、太陽電池モジュール用充填材組成物B2を第2層としたこと以外は実施例1と同様の方法にて、実施例2の太陽電池モジュール用充填材を得た。
[評価]
上記の方法で作製した実施例1及び2の太陽電池モジュール用充填材について、引張強度(JIS K7127)、引張伸度(JIS K7127)、ショアA硬度(JIS K6253)、全光線透過率(JIS K6911)及び曇度(JIS K6911)を評価した。その結果を表1に示す。なお、参考用として、EVA樹脂シート(膜厚400μm)における上記測定結果を併せて表1に示す。
Figure 2013229615
表1に記載するように、実施例1及び2の太陽電池モジュール用充填材は、これまで使用されてきたEVA樹脂シートと同等のショアA硬度を有し、良好な柔軟性を示すことがわかる。このことから、本発明の太陽電池モジュール用充填材は、ポリエチレン系の樹脂を使用しながら、良好な柔軟性を有することが理解される。また、実施例1及び2は、実用的な全光線透過率を有することが理解され、特に、実施例2の曇度は、実施例1の曇度よりも小さいことがわかる。この違いは、耐候性マスターバッチの作製に使用した低密度ポリエチレンの密度の値がポリエチレン系樹脂A及びBの密度の値に近いことに起因すると考えられる。このことから、太陽電池モジュール用充填材組成物を構成するすべてのポリエチレン系樹脂の密度差が小さいと、透明性の観点から好ましいことが理解される。
1 太陽電池モジュール
2 透明前面基板
3 前面充填材層
4 太陽電池素子
5 背面充填材層
6 裏面保護シート

Claims (6)

  1. 下記(a)〜(c)の条件を満たす2種類のポリエチレン系樹脂(A)及びポリエチレン系樹脂(B)を少なくとも含む充填材組成物からなる多層フィルムであって、
    前記充填材組成物中の前記ポリエチレン系樹脂(A)の含有量が50〜95質量%、前記ポリエチレン系樹脂(B)の含有量が5〜50質量%であって、
    前記多層フィルムは、両最外層に比べてコア層のほうが前記ポリエチレン系樹脂(A)の含有量が多く、
    前記両最外層及び前記コア層以外の内層は、ポリエチレン系樹脂(A):ポリエチレン系樹脂(B)の含有量比が90:10〜60:40であり、
    前記コア層は、ポリエチレン系樹脂(A):ポリエチレン系樹脂(B)の含有量比が99:1〜80:20である太陽電池モジュール用充填材。
    (a) ポリエチレン系樹脂(A)は、密度が0.870〜0.890g/cmの範囲であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンである。
    (b) ポリエチレン系樹脂(B)は、密度が0.875〜0.910g/cmの範囲であるポリエチレン系樹脂である。
    (c) 前記充填材組成物中の前記ポリエチレン系樹脂(B)の密度は、前記ポリエチレン系樹脂(A)の密度よりも大きい。
  2. 前記ポリエチレン系樹脂(A)がエチレンと炭素数6〜8のα−オレフィンとの共重合体である請求項1に記載の太陽電池モジュール用充填材。
  3. 前記ポリエチレン系樹脂(A)の密度と、前記ポリエチレン系樹脂(B)の密度との差が0.040g/cm以下である請求項1又は2記載の太陽電池モジュール用充填材。
  4. 前記太陽電池モジュール用充填材組成物を構成するすべてのポリエチレン系樹脂の密度差が0.060g/cm以下である請求項1から3のいずれか1項記載の太陽電池モジュ−ル用充填材。
  5. 前記ポリエチレン系樹脂(B)が少なくともα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなる共重合体である請求項1から4のいずれか1項記載の太陽電池モジュール用充填材。
  6. 請求項1から5のいずれか1項記載の太陽電池モジュール用充填材を使用した太陽電池モジュール。
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