以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係るホログラム作製装置の全体構成を示すブロック図である。図1のホログラム作製装置10は、コヒーレント光源11と、ビームスプリッタ12と、物体光学系13と、拡散板14と、写像光学系15と、絞り部材16と、参照光学系17と、反射ミラー18,19とを備えている。
コヒーレント光源11は、コヒーレント光を照射する。コヒーレント光源11の一例はレーザ光源である。単色用のホログラム記録媒体55を形成する場合は、コヒーレント光源11は一つだけでよいが、カラー用のホログラム記録媒体55を形成する場合は、各色に対応した発光波長を持つ複数のコヒーレント光源11が必要となる。本明細書では、記録面55aに干渉縞が記録されたものをホログラム記録媒体55と呼び、干渉縞が記録される前をホログラム記録材料58と呼び、ホログラム記録材料58の干渉縞が記録される対象となる面を記録対象面58aと呼ぶ。
例えば、ホログラム記録材料58の記録対象面58aの面方向に沿って、赤用の干渉縞と、緑用の干渉縞と、青用の干渉縞とを形成する場合、赤色の発光波長を持つコヒーレント光源11と、緑色の発光波長を持つコヒーレント光源11と、青色の発光波長を持つコヒーレント光源11とを設ける必要がある。
なお、カラー用の複数の干渉縞は、必ずしも記録面55aの面方向に沿って形成する必要はなく、記録面55aの奥行き方向に別個の層として形成してもよい。
ビームスプリッタ12は、コヒーレント光源11からのコヒーレント光を2つのコヒーレント光(第1コヒーレント光と第2コヒーレント光)に分岐する。第1コヒーレント光は物体光の生成に用いられ、第2コヒーレント光は参照光の生成に用いられる。
物体光学系13は、第1コヒーレント光を拡散板14上の物体面14aのサイズに応じた平行光束に変換する。この平行光束は拡散板14に入射される。
拡散板14は、物体光学系13からの平行光束を拡散させた拡散光を生成し、この拡散光は写像光学系15に入射される。拡散板14の拡散面が物体面14aに対応し、拡散板14から拡散される拡散光が物体光に対応する。
写像光学系15は、光軸上に配置された第1レンズ群15aと第2レンズ群15bを有する。第1レンズ群15aの焦点距離の位置に物体面14aが配置される。第1レンズ群15aは、物体面14a(拡散面)から拡散された物体光を入射させて平行光に変換する。第2レンズ群15bは、第1レンズ群15aを通過した物体光を所定の像面位置に写像する。ここで、所定の像面位置とは、第2レンズ群15bの焦点位置であり、この焦点位置付近にホログラム記録材料58が配置される。第1レンズ群15aと第2レンズ群15bはそれぞれ、一つ以上のレンズで構成されている。物体面14aは第1レンズ群15aの前焦点位置に配置され、第2レンズ群15bは第1レンズ群15aの後焦点位置に配置される。第1レンズ群15aと第2レンズ群15bは、正の屈折率パワーを持ち焦点を結ぶ光学部材でもよく、例えば凹面鏡などでもよい。
絞り部材16は、写像光学系15を通過した物体光の一部を通過させる。絞り部材16の開口部を通過した物体光は、ホログラム記録材料58の記録対象面58aに入射される。絞り部材16は、その開口部の全領域からの光線が上述した像面の各点に到達するように配置されている。
参照光学系17は、第2コヒーレント光を、ホログラム記録材料58の記録対象面58aのサイズに応じた平行光束の参照光に変換して、記録対象面58aに入射させる。
これにより、ホログラム記録材料58の記録対象面58aでは、絞り部材16の開口部を通過した物体光と、参照光学系17で生成された参照光とが干渉して干渉縞が形成される。
ここで、干渉縞のコントラストは、物体光と参照光の光量の比で決まる。物体光の光量が参照光の光量に対して低いと、干渉縞のコントラストが低下してしまう。物体光は拡散板14で拡散された光であり、この拡散光の光量が拡散領域の全域にわたって均一になるように制御するのは困難である。したがって、拡散板14で拡散された物体光を直接ホログラム記録材料58に入射させて干渉縞を形成すると、物体光の光量が場所によって不均一であるために、干渉縞のコントラストは低下してしまう。
これに対して、本実施形態では、拡散板14で拡散された物体光のうち、絞り部材16の開口部を通過した物体光のみをホログラム記録材料58に入射させるため、ホログラム記録材料58の記録対象面58a上での物体光の光量を均一化でき、干渉縞のコントラストが向上する。
絞り部材16の開口部の中心部は、写像光学系15の光軸上に設けられており、絞り部材16の開口部を通過する物体光は、写像光学系15を通過した物体光全域の中で、光量の均一性が高い光束である。すなわち、絞り部材16を設けることで、物体光のうち周縁部側の光量の低い光束を除去できる。したがって、ホログラム記録材料58の記録対象面58aには、光量の均一性の高い物体光が入射される。
また、本実施形態では、拡散板14と絞り部材16の間に写像光学系15を配置している。この写像光学系15は、拡散板14で拡散された物体光をある程度収束させて絞り部材16の方向に導光する役割を果たす。よって、写像光学系15を設けることで、絞り部材16の開口部を通過する物体光の光量を増やすことができ、ホログラム記録媒体55上に形成される干渉縞の品質を向上できる。より詳細には、物体光は写像光学系15で収束されて絞り部材16の開口部を通過する。開口部の全領域からの光線は写像光学系15の像面の各点に到達する。本実施形態で使用する拡散板14自体には小さな拡散領域があればよく、拡散板14で拡散した光を直接ホログラム記録材料58の記録光として用いる場合と比べて、光の利用効率のロスが少なくなる。
写像光学系15には、第1レンズ群15aと第2レンズ群15bが設けられており、これら第1レンズ群15aと第2レンズ群15bの焦点距離によって、ホログラム記録材料58の記録対象面58a上に入射される物体光の光量と物体光の光像のサイズが変化する。理想的には、第1レンズ群15aの焦点距離f1は、第2レンズ群15bの焦点距離f2以下にするのが望ましい。第1レンズ群15aの焦点距離f1が長いと、拡散板14の拡散面(物体面14a)と第1レンズ群15aとの間の距離が広がってしまい、拡散板14で拡散された物体光のうち第1レンズ群15aに入射されない物体光の割合が増えてしまい、結果としてホログラム記録材料58に入射される物体光の光量が低くなる。また、第2レンズ群15bの焦点距離f2が短いと、絞り部材16の開口部を通過しない物体光の割合が増えてしまい、やはりホログラム記録材料58に入射される物体光の光量が低くなる。よって、このような観点から、f1≦f2が最善である。
図1では、第1レンズ群15aの焦点距離f1を100mmとし、第2レンズ群15bの焦点距離f2を150mmとした例を示している。この場合は、焦点距離の比(f2/f1)は1.5である。このため、ホログラム記録材料58の記録対象面58aに入射される光束領域は、拡散板14上の物体面14aを通過する光束領域の1.5倍の大きさになる。
なお、f1>f2であっても、ホログラム記録媒体55上に良質の干渉縞を形成することは可能である。この場合、拡散板14上の物体光の拡散領域のサイズよりも、ホログラム記録材料58上の物体光の入射領域のサイズの方が小さくなる。
図2は図1のホログラム作製装置10で干渉縞を形成する際の物体光側の光線の通過経路をシミュレーションで図式化したものである。図2では、写像光学系15内の第1レンズ群15aを2枚のレンズからなる組レンズで構成し、第2レンズ群15bを1枚のレンズで構成し、第1レンズ群15aの焦点距離f1を110mmとし、第2レンズ群15bの焦点距離f2を150mmとしてシミュレーションを行った例を示している。
図2では、干渉縞の形成に寄与する物体光の光線のみを図示している。すなわち、図2は、拡散板14上の物体面14aから拡散された物体光のうち、第1レンズ群15aと第2レンズ群15bを通過して、さらに絞り部材16の開口部を通過して記録対象面58a上に入射される光線のみを図示している。図2からわかるように、ホログラム記録材料58の記録対象面58a上の光束領域のサイズは、拡散板14の物体面14a上の光束領域のサイズに比べて、150/110=約1.36倍程度に拡大されている。
図3は図1のホログラム作製装置10におけるホログラム記録材料58の記録対象面58aにおける照度分布のシミュレーション結果を示す図である。図3(a)は記録対象面58aの照度分布を照度別にハッチングの種類を変えて示した図であり、図3(b)は図3(a)のX−X方向の照度分布を示すグラフ、図3(c)は図3(a)のY−Y方向の照度分布を示すグラフである。
一方、図4と図5は、図1から写像光学系15を除去して、拡散板14からの物体光を直接絞り部材16に入射させた場合のホログラム記録材料58の記録対象面58aにおける照度分布のシミュレーション結果を示す図である。図4と図5の違いは、図4は拡散板14の拡散角度を20度にした場合の照度分布を示し、図5は拡散角度を15度にした場合の照度分布を示している。
図3〜図5を比較すればわかるように、写像光学系15を設けることで、絞り部材16に入射される物体光の光量が増えて、記録対象面58aの照度が全体的に高くなる。また、図3〜図5のいずれにおいても、絞り部材16の開口部を通過した物体光を用いて記録対象面58aに干渉縞を形成するため、記録対象面58aでの物体光の光量が均一化され、記録対象面58aの全域での照度分布に大きなばらつきはない。
このように、本実施形態では、拡散板14上の物体面14aから拡散された物体光のうち、写像光学系15を介して絞り部材16の開口部を通過した物体光のみをホログラム記録材料58上の記録対象面58aに入射させて、干渉縞を形成するため、記録対象面58aに入射される物体光の光量ばらつきがなくなり、光量の均一性の高い干渉縞を形成できる。
また、本実施形態では、拡散板14上の物体面14aで拡散された物体光や写像光学系15を通過した物体光をそのままホログラム記録材料58上の記録対象面58aに入射されるのではなく、絞り部材16の開口部を通過した物体光のみを入射させるため、拡散板14上の物体面14aや写像光学系15にゴミや傷があったとしても、その影響を受けにくくなり、干渉縞の品質を向上できる。
別の見方をすれば、ホログラム記録媒体55上に形成される干渉縞は、絞り部材16の開口部を通過した物体光の情報、すなわち絞り部材16の開口部の情報を記録したものであり、この干渉縞は、上述したように、拡散板14上の物体面14aや写像光学系15にゴミや傷の影響を受けにくくなる。
さらに、本実施形態では、拡散板14と絞り部材16との間に写像光学系15を配置しており、この写像光学系15で、拡散板14から拡散された物体光をある程度収束させてから絞り部材16の開口部を通過させるため、写像光学系15がない構成と比べて、絞り部材16の開口部を通過する物体光の光量を増大でき、結果として、ホログラム記録材料58上に入射される物体光の光量も増えて、良質の干渉縞を形成できる。
図6は図1のホログラム作製装置10で作製したホログラム記録媒体55に記録された干渉縞を利用して再生像を生成する手法を説明する図である。ホログラム記録媒体55に対して、図1に示した参照光の入射方向とは反対側の方向から、平行光束からなる再生照明光を入射する。この再生照明光は、ホログラム記録媒体55上の干渉縞で拡散されて、絞り部材16があった位置に再生像を形成する。再生照明光は、ホログラム記録媒体55上の記録面55aのどの場所に照射されても、図6に示す位置に再生像が形成される。
図7は図1のホログラム作製装置10で作製したホログラム記録媒体55を用いて構成した投射装置の一例を示すブロック図である。
図7の投射装置20は、ホログラム記録媒体55と、照射装置60と、光変調器30と、投射光学系80とを備えている。ホログラム記録媒体55と照射装置60を合わせた構成が照明装置40に対応する。したがって、照明装置40を作製したい場合は、図7から光変調器30と投射光学系80とを除去すればよい。
照射装置60は、コヒーレント光がホログラム記録媒体55の表面を走査するように、ホログラム記録媒体55にコヒーレント光を照射する。照射装置60は、平行光束からなるコヒーレント光を照射する複数のレーザ光源61(61r、61g、61b)と、各レーザ光源61から放射されたコヒーレント光をホログラム記録媒体55の表面上で走査させる走査デバイス65とを有する。
走査デバイス65は、入射されたコヒーレント光の反射角度を可変させて、反射されたコヒーレント光がホログラム記録媒体55上を走査するようにしている。コヒーレント光をホログラム記録媒体55上で走査させるのは、後述するように、スペックルが視認されないようにするためである。
ホログラム記録媒体55上に入射されたコヒーレント光は、ホログラム記録媒体55上の干渉縞により拡散されて、図6に示したように、絞り部材16があった位置に再生像を形成する。この位置は被照明領域LZであり、図7ではこの位置に光変調器30を配置している。これにより、被照明領域LZに重ねて配置される光変調器30は、再生像により照明されることになる。再生像は、拡散板14で拡散された物体光の情報を含んでおり、本実施形態では、ホログラム記録媒体55のすべての点が絞り部材16の開口部すべてを均一に照射するようにホログラム記録媒体55を作製するため、再生像も光量のムラのない均一な光になる。
照明装置40によって照明される光変調器30上の被照明領域LZの形状は、図1に示した絞り部材16の形状の相似形である。
光変調器30としては、例えばDMD(Digital Micromirror Device)などのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子からなる反射型のマイクロディスプレイを用いることができる。上述した特許文献2に開示された装置でも、DMDが光変調器30として利用されている。
この他、光変調器30としては、透過型の液晶パネルを用いることも可能であるが、結像光学系70を通過するコヒーレント光は、平行光ではなく液晶パネル内での光路長が様々に異なるため、液晶パネルへの光線入射角度によっては、コントラストが下がるおそれがある。この意味からも、本実施形態の光変調器30としては、DMDなどの反射型のマイクロディスプレイを用いるのが望ましい。
光変調器30の入射面は、照明装置40がコヒーレント光を照射する被照明領域LZと同一の位置で、かつ同一の形状および大きさであることが好ましい。この場合、照明装置40からのコヒーレント光を、拡散スクリーン15への映像の表示に高い利用効率で利用することができるからである。
光変調器30で生成された変調画像を拡散スクリーン15に投射する投射光学系80は、例えば複数枚のレンズ群で構成されたプロジェクションレンズ81を有し、光変調器30で生成された変調画像は、プロジェクションレンズ81で屈折されて拡散スクリーン15上に変調画像を投射する。プロジェクションレンズ81の径や、プロジェクションレンズ81と光変調器30との距離や、プロジェクションレンズ81と拡散スクリーン15との距離によって、拡散スクリーン15に投影される変調画像のサイズを調整することができる。図7の拡散スクリーン15は、透過型であり、投射された変調画像光を拡散する。なお、拡散スクリーン15は、反射型でもよい。
図7では省略しているが、拡散スクリーン15で拡散された変調画像を、不図示のハーフミラーに入射して、このハーフミラーで、拡散スクリーン15で拡散された変調画像光の一部を反射させて変調画像の虚像を形成して、この虚像を外光とともにハーフミラーを介して観察者が視認できるようにしてもよい。これにより、ヘッドアップディスプレイ装置を実現できる。この場合、ハーフミラーとして、例えば、車両のフロントガラスを用いることができ、観察者は運転席に座って前方を向くことで、フロントガラスを通して車外の景色を見ながら、虚像を視認できる。あるいは、ハーフミラーの代わりに、ホログラム記録媒体55やプリズムを用いてもよい。
光変調器30では、種々の変調画像を生成可能であり、光変調器30で変調画像を生成して、その変調画像を被照明領域LZで照明することで、種々の変調画像を拡散スクリーン上に投射することができる。
本実施形態で用いられるホログラム記録媒体55は、例えばフォトポリマーを用いた反射型の体積型ホログラムである。
次に、図2のような構成で干渉縞が形成されるホログラム記録媒体55にコヒーレント光を照射する照射装置60の構成について説明する。図1〜図6に示された例において、照射装置60は、コヒーレント光を生成するレーザ光源61と、このレーザ光源61からのコヒーレント光の進行方向を変化させる走査デバイス65と、を有する。
レーザ光源61は、単色のレーザ光源でもよいし、発光波長の異なる複数のレーザ光源でもよい。例えば、赤、緑、青の複数のレーザ光源を用いて構成してもよい。複数のレーザ光源61を用いる場合は、各レーザ光源61からのレーザ光が図7に示すように、平行光束になるようにする。あるいは、各レーザ光源61からのレーザ光を走査デバイス65上の同一点を照射するようにし、走査デバイス65からの反射光をレンズを用いて平行光束にしてホログラム記録媒体55に入射させてもよい。
発光波長の異なる複数のレーザ光源61を用いることで、ホログラム記録媒体55は、各レーザ光源61の照明色が混ざり合った再生照明光で照明されることになる。この場合、各レーザ光源からのコヒーレント光は、走査デバイス65の入射角度に応じた反射角度で反射されて、ホログラム記録媒体55上に入射され、ホログラム記録媒体55から別個に回折されて、被照明領域LZ上で重ね合わされて合成色になる。例えば、赤、緑、青の複数のレーザ光源を用いて構成して場合には白色になる。あるいは、各レーザ光源ごとに、別個の走査デバイス65を設けてもよい。
なお、例えば白色で照明する場合は、赤緑青以外の色で発光するレーザ光源、例えば、黄色で発光するレーザ光源を別個に設けた方が、より白色に近い色を再現できる場合もある。したがって、照射装置60内に設けるレーザ光源の種類や数は、特に限定されるものではない。
光変調器30にてカラーの変調画像を形成する場合には、種々の実現手法が考えられる。光変調器30がLCOSなどで構成されていて、各画素ごとにカラーフィルタを有する場合には、被照明領域LZを白色光とすることで、光変調器30で生成される変調画像をカラー化することができる。
あるいは、例えば、赤色の変調画像を生成する光変調器30と、緑色の変調画像を生成する光変調器30と、青色の変調画像を生成する光変調器30とを近接配置し、これら3つの光変調器30のそれぞれを照明する3つの被照明領域LZを、順次にホログラム記録媒体55からの拡散光で照明するようにしてもよい。これにより、3つの光変調器30で生成された3色の変調画像が合成されて、カラーの変調画像を生成可能となる。このような時分割駆動の代わりに、3つの光変調器30で同時に生成した3色の変調画像をプリズム等を用いて合成して、カラーの変調画像を生成してもよい。
上述した投射光学系80は、主には、光変調器30の変調画像を拡散スクリーン15に投影するために設けられている。拡散スクリーン15を設けることで、スペックルが重ねられて平均化される結果、スペックルが目立たなくなる。
走査デバイス65は、コヒーレント光の進行方向を経時的に変化させ、コヒーレント光の進行方向が一定とはならないよう種々の方向へ向ける。この結果、走査デバイス65で進行方向を変化させられるコヒーレント光がホログラム記録媒体55の入射面上を走査するようになる。
図8は走査デバイス65の走査経路を説明する図である。
本実施形態に係る走査デバイス65は、一つの軸線RA1を中心として回動可能な反射面66aを有する反射デバイス66を含んでいる。反射デバイス66は、一つの軸線RA1を中心として回動可能な反射面66aとしてのミラーを有したミラーデバイスを有する。このミラーデバイス66は、ミラー66aの配向を変化させることによって、レーザ光源61からのコヒーレント光の進行方向を変化させるようになっている。この際、図6に示すように、ミラーデバイス66は、概ね、基準点SPにおいてレーザ光源61からコヒーレント光を受けるようになっている。
ミラーデバイス66で進行方向を最終調整されたコヒーレント光は、基準点SPからの発散光束の一光線をなし得る再生照明光La(図6参照)として、ホログラム記録媒体55へ入射し得る。結果として、照射装置60からのコヒーレント光がホログラム記録媒体55上を走査するようになり、且つ、ホログラム記録媒体55上の各位置に入射したコヒーレント光が同一の輪郭を有した散乱板6の像5を同一の位置(被照明領域LZ)に再生するようになる。
図8に示すように、反射デバイス66は、一つの軸線RA1に沿ってミラー66aを回動させるように構成されている。図8に示された例では、ミラー66aの回動軸線RA1は、ホログラム記録媒体55の板面上に定義されたXY座標系(つまり、XY平面がホログラム記録媒体55の板面と平行となるXY座標系)のY軸と、平行に延びている。そして、ミラー66aが、ホログラム記録媒体55の板面上に定義されたXY座標系のY軸と平行な軸線RA1を中心として回動するため、照射装置60からのコヒーレント光のホログラム記録媒体55への入射点IPは、ホログラム記録媒体55の板面上に定義されたXY座標系のX軸と平行な方向に往復動するようになる。すなわち、図8に示された例では、照射装置60は、コヒーレント光がホログラム記録媒体55上を直線経路に沿って走査するように、ホログラム記録媒体55にコヒーレント光を照射する。
ミラーデバイス66等で構成される走査デバイス65は、上述したように、少なくとも軸線RA1回りに回動可能な部材であり、例えば、MEMSなどを用いて構成される。走査デバイス65は、周期的に回動運動を行うが、人間が直接観察する液晶表示装置などの用途では、1周期1/30秒程度、表示したい画面の種類に応じてそれ以上に高速にコヒーレント光で走査できれば、その回動周波数には特に制限はない。
なお、実際上の問題として、ホログラム記録媒体55を作成する際、ホログラム記録材料58が収縮する場合がある。このような場合、ホログラム記録材料58の収縮を考慮して、照射装置60からホログラム記録媒体55に照射されるコヒーレント光の入出射角度が調整されることが好ましい。したがって、コヒーレント光源61で生成するコヒーレント光の波長は、図2の露光工程で用いた光の波長と厳密に一致させる必要はなく、ほぼ同一となっていてもよい。
また、同様の理由から、ホログラム記録媒体55へ入射する光の進行方向も、基準点SPからの発散光束に含まれる一光線と厳密に同一の経路を取っていなくとも、被照明領域LZに像5を再生することができる。実際に、図8に示す例では、走査デバイス65をなすミラーデバイス66のミラー(反射面)66aは、必然的に、その回動軸線RA1からずれる。したがって、基準点SPを通過しない回動軸線RA1を中心としてミラー66aを回動させた場合、ホログラム記録媒体55へ入射する光は、基準点SPからの発散光束をなす一光線とはならないことがある。しかしながら、実際には、図示された構成の照射装置60からのコヒーレント光によって、被照明領域LZに重ねて像5を実質的に再生することができる。
ところで、走査デバイス65は、必ずしもコヒーレント光を反射させる部材である必要はなく、反射ではなく、コヒーレント光を屈折や回折等を行わせて、コヒーレント光をホログラム記録媒体55上で走査させてもよい。
(本実施形態の作用効果)
次に、以上の構成からなる投射装置20の作用および効果について説明する。
本実施形態では、走査デバイス65、ホログラム記録媒体55、および光変調器30を用いて変調画像を生成するため、例えば通常の液晶表示装置を用いて変調画像を生成する場合と比べて、変調画像を生成するまでのハードウェア構成を大幅に小型化できる。また、本実施形態では、走査デバイス65でホログラム記録媒体55上をコヒーレント光で走査させ、かつ拡散スクリーン15に変調画像を投射するため、コヒーレント光を用いながらも、スペックルを目立たせなくすることができ、高品質の画像表示が可能な投射装置20を実現できる。また、拡散スクリーン15を設けることで、視野角を広げることも可能となる。
走査デバイス65は、ホログラム記録媒体55上の各位置に、当該位置でのブラッグ条件を満たす入射角度で、対応する特定波長のコヒーレント光を入射させる。この結果、各位置に入射したコヒーレント光は、それぞれ、ホログラム記録媒体55に記録された干渉縞による回折により、被照明領域LZの全域を重ねて照明する。すなわち、照射装置60からホログラム記録媒体55の各位置に入射したコヒーレント光はそれぞれ、ホログラム記録媒体55で拡散されて(拡げられて)、被照明領域LZの全域に入射するようになる。
このようにして、照射装置60は、被照明領域LZをコヒーレント光で照明する。例えば、レーザ光源61がそれぞれ異なる色で発光する複数のレーザ光源61を有する場合は、被照明領域LZは、絞り部材16を通過した各色の光の情報が再生される。したがって、これらレーザ光源61が同時に発光する場合は、被照明領域LZは3色が混ざり合った白色で照明されることになる。
本実施形態では、以下に説明するように、スペックルを目立たせずに被照明領域LZ上に光像を形成することができる。
上述した照射装置60は、コヒーレント光がホログラム記録媒体55上を走査するように、ホログラム記録媒体55にコヒーレント光を照射する。また、照射装置60からホログラム記録媒体55内の任意の位置に入射したコヒーレント光は、被照明領域LZの全域を照明するが、当該被照明領域LZを照明するコヒーレント光の照明方向は互いに異なる。そして、コヒーレント光が入射するホログラム記録媒体55上の位置が経時的に変化するため、被照明領域LZへのコヒーレント光の入射方向も経時的に変化する。
上述したように、本実施形態では、コヒーレント光は、ホログラム記録媒体55上を連続的に走査する。これに伴って、照射装置60からホログラム記録媒体55を介して被照明領域LZに入射されるコヒーレント光の入射方向も連続的に変化する。ここで、ホログラム記録媒体55から被照明領域LZへのコヒーレント光の入射方向が僅か(例えば0.数°)だけ変化すれば、被照明領域LZ上に生じるスペックルのパターンも大きく変化し、無相関なスペックルパターンが重畳されることになる。加えて、実際に市販されているMEMSミラーやポリゴンミラー等の走査デバイス65の周波数は通常数百Hz以上であり、数万Hzにも達する走査デバイス65も珍しくない。
以上のことから、本実施形態によれば、被照明領域LZの各位置において時間的にコヒーレント光の入射方向が変化していき、且つ、この変化は、人間の目で分解不可能な速さである。したがって、仮に被照明領域LZにスクリーンを配置したとすると、各入射角度に対応して生成されたスペックルが重ねられ平均化されて観察者に観察されることから、スクリーンに表示されている映像を観察する観察者に対して、スペックルを極めて効果的に目立たなくさせることができる。本実施形態の場合は、被照明領域LZの位置に重ねて光変調器30を配置し、この光変調器30から投射光学系80を介して拡散スクリーン15に投射しているが、この場合も同様であり、拡散スクリーン15上で発生するスペックルが重ねられて平均化されるため、拡散スクリーン15上で発生するスペックルは目立たなくなる。
上述したように、本発明の実施形態では、走査デバイス65を用いて、コヒーレント光をホログラム記録媒体55上で走査させ、ホログラム記録媒体55で回折されたコヒーレント光を被照明領域LZの全域に入射させるという、きわめて簡易な構成で、照明装置40を実現できる。
(本実施形態のその他の特徴)
前掲の非特許文献1には、スクリーン上に生じたスペックルの程度を示すパラメータとして、スペックルコントラスト(単位%)という数値を用いる方法が提案されている。このスペックルコントラストは、本来は均一の輝度分布をとるべきテストパターン映像を表示した際に、スクリーン上に実際に生じる輝度のばらつきの標準偏差を、輝度の平均値で除した値として定義される量である。このスペックルコントラストの値が大きければ大きいほど、スクリーン上のスペックル発生程度が大きいことを意味し、観察者に対して、斑点状の輝度ムラ模様がより顕著に提示されていることを示す。
加えて、上述してきた本実施形態によれば、次の利点を享受することもできる。
上述してきた本実施形態によれば、スペックルを目立たなくさせるためのホログラム記録媒体55が、照射装置60から照射されるコヒーレント光のビーム形態を整形および調整するための光学部材としても機能し得る。したがって、光学系を小型且つ簡易化することができる。
また、上述してきた本実施形態によれば、ホログラム記録媒体55の特定位置に入射するコヒーレント光が、被照明領域LZ内の全域に、絞り部材16を通過した各色の光の情報を生成する。このため、ホログラム記録媒体55で回折された光をすべて照明用に利用することが可能となり、レーザ光源61からの光の利用効率の面においても優れる。
(0次光の回避)
照射装置60からのコヒーレント光の一部は、ホログラム記録媒体55で回折されることなく当該ホログラム記録媒体55を透過する。このような光は0次光と呼ばれる。0次光が被照明領域LZに入射してしまうと、周囲と比較して明るさ(輝度)が急激に上昇する点状領域、線状領域、面状領域等の異常領域が被照明領域LZ内に発生してしまう。
体積型のホログラム記録媒体55(以下、体積反射型ホロ)を用いる場合、特に体積反射型ホログラムの場合は0次光が進行する方向には被照明領域LZは配置されないため、0次光を比較的容易に回避できる。また、体積透過型のホログラム記録媒体55(以下、体積透過型ホロ)を用いる場合は、入射光と出射光が干渉しないよう、記録角度を選択すれば0次光を分離することができる。配置上の問題で0次光の光路と1次光の光路を分離できない場合は、回折効率を極力高くし、0次光の影響をできるだけ抑えるようにするのが望ましい。
(反射型と透過型のホログラム記録媒体55)
反射型ホロは、透過型ホロに比べて、波長選択性が高い。すなわち、反射型ホロは、異なる波長に対応した干渉縞を積層させても、所望の層のみで所望の波長のコヒーレント光を回折させることができる。また、0次光の影響を除去しやすい点でも、反射型ホロは優れている。
一方、透過型ホロは、回折可能なスペクトルが広く、レーザ光源61の許容度が広いが、異なる波長に対応した干渉縞を積層させると、所望の層以外の層でも所望の波長のコヒーレント光が回折されてしまう。よって、一般には、透過型ホロは、積層構造にするのが困難である。
(照射装置60)
上述した形態では、照射装置60が、レーザ光源61と走査デバイス65とを有する例を説明した。走査デバイス65は、コヒーレント光の進行方向を反射によって変化させる一軸回動型のミラーデバイス66からなる例を示したが、これに限られない。走査デバイス65は、図9に示すように、ミラーデバイス66のミラー(反射面66a)が、第1の回動軸線RA1だけでなく、第1の回動軸線RA1と交差する第2の回動軸線RA2を中心としても回動可能となっていてもよい。図9に示された例では、ミラー66aの第2の回動軸線RA2は、ホログラム記録媒体55の板面上に定義されたXY座標系のY軸と平行に延びる第1回動軸線RA1と、直交している。そして、ミラー66aが、第1軸線RA1および第2軸線RA2の両方を中心として回動可能なため、照射装置60からのコヒーレント光のホログラム記録媒体55への入射点IPは、ホログラム記録媒体55の板面上で二次元方向に移動可能となる。このため、一例として図9に示されているように、コヒーレント光のホログラム記録媒体55への入射点IPが円周上を移動するようにすることもできる。
また、走査デバイス65が、二以上のミラーデバイス66を含んでいてもよい。この場合、ミラーデバイス66のミラー66aが、単一の軸線を中心としてのみ回動可能であっても、照射装置60からのコヒーレント光のホログラム記録媒体55への入射点IPを、ホログラム記録媒体55の板面上で二次元方向に移動させることができる。
なお、走査デバイス65に含まれるミラーデバイス66aの具体例としては、MEMSミラー、ポリゴンミラー、ガルバノスキャナ等を挙げることができる。
また、走査デバイス65は、反射によってコヒーレント光の進行方向を変化させる反射デバイス、すなわち、本実施形態において、一例として上述してきたミラーデバイス66以外のデバイスを含んで構成されていてもよい。例えば、走査デバイス65が、屈折プリズムやレンズ等を含んでいていてもよい。
そもそも、走査デバイス65は必須ではなく、照射装置60の光源61が、ホログラム記録媒体55に対して変位可能(移動、揺動、回転)に構成され、光源61のホログラム記録媒体55に対する変位によって、光源61から照射されたコヒーレント光がホログラム記録媒体55上を走査するようにしてもよい。
さらに、照射装置60の光源61が、線状光線として整形されたレーザ光を発振する前提で説明してきたが、これに限られない。とりわけ、上述した形態では、ホログラム記録媒体55の各位置に照射されたコヒーレント光は、ホログラム記録媒体55によって、被照明領域LZの全域に入射するようになる光束に整形される。したがって、照射装置60の光源61からホログラム記録媒体55に照射されるコヒーレント光は精確に整形されていなくとも不都合は生じない。このため、光源61から発生されるコヒーレント光は、発散光であってもよい。また、光源61から発生されるコヒーレント光の断面形状は、円でなく、楕円等であってもよい。さらには、光源61から発生されるコヒーレント光の横モードがマルチモードであってもよい。
なお、光源61が発散光束を発生させる場合、コヒーレント光は、ホログラム記録媒体55に入射する際に、点ではなくある程度の面積を持った領域に入射することになる。この場合、ホログラム記録媒体55で回折されて被照明領域LZの各位置に入射する光は、角度を多重化されることになる。言い換えると、各瞬間において、被照明領域LZの各位置には、或る程度の角度範囲の方向からコヒーレント光が入射する。このような角度の多重化によって、スペックルをさらに効果的に目立たなくさせることができる。
さらに、図1では、走査デバイス65で反射されたコヒーレント光を直接にホログラム記録媒体55に入射させる例を示したが、走査デバイス65とホログラム記録媒体55の間に集光レンズを設けて、この集光レンズでコヒーレント光を平行光束にしてホログラム記録媒体55に入射するようにしてもよい。このような例では、ホログラム記録媒体55を作製する際の露光工程において、参照光Lrとして、上述した収束光束に代えて、平行光束を用いることになる。このようなホログラム記録媒体55は、より簡単に作製および複製することができる。
(ホログラム記録媒体55)
上述した実施形態では、フォトポリマーを用いた反射型の体積型ホログラム55を用いる例を示したが、これに限られない。また、ホログラム記録媒体55は、銀塩材料を含む感光媒体を利用して記録するタイプの体積型ホログラムを含んでもよい。さらに、ホログラム記録媒体55は、透過型の体積型ホログラム記録媒体55を含んでいてもよいし、レリーフ型(エンボス型)のホログラム記録媒体55を含んでいてもよい。
ただし、レリーフ(エンボス)型ホログラムは、表面の凹凸構造によってホログラム干渉縞の記録が行われる。しかしながら、このレリーフ型ホログラムの場合、表面の凹凸構造による散乱が、光量ロスの原因となるほか、意図しない新たなスペックル生成要因となる可能性があり、この点において体積型ホログラムの方が好ましい。体積型ホログラムでは、媒体内部の屈折率変調パターン(屈折率分布)としてホログラム干渉縞の記録が行われるため、表面の凹凸構造による散乱による影響を受けることはない。
もっとも、体積型ホログラムでも、銀塩材料を含む感光媒体を利用して記録するタイプのものは、銀塩粒子による散乱が光量ロスの原因となるほか、意図しない新たなスペックル生成要因となる可能性がある。この点において、ホログラム記録媒体55としては、フォトポリマーを用いた体積型ホログラムの方が好ましい。
また、図2に示す記録工程では、いわゆるフレネルタイプのホログラム記録媒体55が作成されることになるが、レンズを用いた記録を行うことにより得られるフーリエ変換タイプのホログラム記録媒体55を作成してもかまわない。ただ、フーリエ変換タイプのホログラム記録媒体55を用いる場合には、像再生時にもレンズを使用してもよい。
また、ホログラム記録媒体55に形成されるべき縞状パターン、例えば屈折率変調パターンや凹凸パターンは、現実の物体光Loおよび参照光Lrを用いることなく、予定した再生照明光Laの波長や入射方向、並びに、再生されるべき像の形状や位置等に基づき計算機を用いて設計されてもよい。このようにして得られたホログラム記録媒体55は、計算機合成ホログラムとも呼ばれる。また上述した変形例のように波長域の互いに異なる複数のコヒーレント光が照射装置60から照射される場合には、計算機合成ホログラムとしてのホログラム記録媒体55は、各波長域のコヒーレント光にそれぞれ対応して設けられた複数の領域に平面的に区分けされ、各波長域のコヒーレント光は対応する領域で回折されて像を再生するようにしてもよい。
(照明方法)
上述した形態において、照射装置60がホログラム記録媒体55上でコヒーレント光を一次元方向に走査可能とするように構成され、且つ、ホログラム記録媒体55が各位置に照射されたコヒーレント光を二次元方向に拡散するように構成され、これにより、照明装置40が二次元的な被照明領域LZを照明する例を示した。ただし、既に説明してきたように、このような例に限定されることはなく、例えば、照射装置60がホログラム記録媒体55上でコヒーレント光を二次元方向に走査可能とするように構成され、且つ、ホログラム記録媒体55が各位置に照射されたコヒーレント光を二次元方向に拡散するように構成され、これにより、図9に示したように、照明装置40が二次元的な被照明領域LZを照明してもよい。
また、既に言及しているように、照射装置60がホログラム記録媒体55上でコヒーレント光を一次元方向に走査可能とするように構成され、且つ、ホログラム記録媒体55が各位置に照射されたコヒーレント光を一次元方向に拡散するように構成され、これにより、照明装置40が一次元的な被照明領域LZを照明するようにしてもよい。この態様において、照射装置60によるコヒーレント光の走査方向と、ホログラム記録媒体55の拡散方向と、が平行となるようにしてもよい。
さらに、照射装置60がホログラム記録媒体55上でコヒーレント光を一次元方向または二次元方向に走査可能とするように構成され、且つ、ホログラム記録媒体55が各位置に照射されたコヒーレント光を一次元方向に拡散するように構成されていてもよい。この態様において、複数のホログラム記録媒体55を有し、各ホログラム記録媒体55に対応した被照明領域LZを順に照明していくことによって、照明装置40が二次元的な領域を照明するようにしてもよい。この際、各被照明領域LZが、人間の目では同時に照明されているかのような速度で、順に照明されていってもよいし、あるいは、人間の目でも順番に照明していると認識できるような遅い速度で、順に照明されていってもよい。
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。