JP2013227923A - 太陽熱集熱器を利用した発電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 太陽熱集熱器によって得られる熱エネルギーの有効活用を企図するための発電システムを提供する。
【解決手段】 直列に接続され、熱媒体を貯留するための複数基の貯槽(12)と、各貯槽にそれぞれ接続された1又は複数基の太陽熱集熱器(14)とを備え、貯槽のうち最端部に位置する貯槽が、発電機(20)に接続されたタービン(18)又は蒸気エンジンに、第1管路(22)を介して接続されており、太陽熱集熱器において収集された熱エネルギーによって加温され、貯槽に貯留された熱媒体をタービン又は蒸気エンジンに供給することにより、発電を行うように構成されていることを特徴とする発電システム(10)が提供される。
【選択図】 図1

Description

本発明は一般に、太陽熱集熱器を利用した発電システムに関する。より詳細には、本発明は、太陽熱集熱器によって得られた熱エネルギーの有効活用を可能にする発電システムに関する。
太陽の熱エネルギーを有効に活用する装置として、太陽熱集熱器が知られている。太陽熱集熱器は一般的に、家屋の屋根に設置した集熱器で太陽エネルギーを取得し、取得した太陽エネルギーで熱媒体を加温することによって得られる熱を融雪、暖房、風呂、ロードヒーティング、ビニルハウスなどの種々の用途に活用するものであり、二酸化炭素の排出等のない、環境に優しいエネルギー取得方法であるため、一般家庭においても普及が進んでいる。
本発明は、太陽熱集熱器によって得られる熱エネルギーの有効活用を企図するために開発されたものであって、太陽熱集熱器を利用した発電システムを提供することを目的としている。
本願請求項1に記載の発電システムは、直列に接続され、熱媒体を貯留するための複数基の貯槽と、各貯槽にそれぞれ接続された1又は複数基の太陽熱集熱器とを備え、前記貯槽のうち最端部に位置する貯槽が、発電機に接続されたタービン又は蒸気エンジンに、第1管路を介して接続されており、前記太陽熱集熱器において収集された熱エネルギーによって加温され、前記貯槽に貯留された熱媒体を前記タービン又は前記蒸気エンジンに供給することにより、発電を行うように構成されていることを特徴とするものである。
本願請求項2に記載の発電システムは、前記請求項1のシステムにおいて、前記各貯槽に、貯槽に貯留された熱媒体を加熱及び加圧するための加熱手段及び加圧手段が設置されていることを特徴とするものである。
本願請求項3に記載の発電システムは、前記請求項1又は2のシステムにおいて、前記タービン又は前記蒸気エンジンと、前記タービン又は前記蒸気エンジンに接続された太陽熱集熱器と反対側の最端部に位置する太陽熱集熱器とが、第2管路によって接続されていることを特徴とするものである。
本発明の発電システムによれば、複数の貯槽を直列に接続して、蒸気又は高温高圧の温水を得ることにより、クリーンエネルギーで発電を行うことが可能になる。本発明の発電システムでは、貯槽が直列に配置されているため、熱媒体を効率的に加温することが可能になる。本発明の発電システムは、構造が簡単であるため、製造コストが廉価であり、故障が少なく、維持管理も低コストで行うことができる。
本発明の好ましい実施の形態に係る発電システムの全体を概略的に示した模式図である。 図1の発電システムに使用される太陽熱集熱器の一例を示した図である。 1基の貯槽に6基の太陽熱集熱器が接続されている例を示した斜視図である。
次に図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係る太陽熱集熱器を利用した発電システム(以下、単に「発電システム」という)について説明する。図1は、本発明の好ましい実施の形態に係る発電システムの全体を模式的に示した図である。図1において全体として参照符号10で示される本発明の好ましい実施の形態に係る発電システムは、直列に接続され、熱媒体を貯留するための複数基(図1では、3基)の貯槽12と、各貯槽12にそれぞれ接続された1又は複数基(図1では、2基)の太陽熱集熱器14とを備えている。
太陽熱集熱器14としては、家屋の屋根上に配置される、通常の自然循環式のものを使用してよい。すなわち、太陽熱集熱器14は、太陽の熱エネルギー(集熱エネルギー)により水を加温するパネル状の集熱部14aを有し、集熱部14aからの集熱エネルギーにより加温された温水を貯槽12に供給するようになっている。
図2は、太陽熱集熱器14の一例を模式的に示した斜視図である。図2において、参照符号14a1、14a2、14a3は、第1ヘッダー流路、第2ヘッダー流路、第1ヘッダー流路と第2ヘッダー流路とを連結する連結流路をそれぞれ示している。また、参照符号14a4、14a5は、第1ヘッダー流路14a1と貯槽12とを連結する連結流路、第2ヘッダー流路14a2と貯槽12とを連結する連結流路を示している。集熱部14aは、表面が透光性材料で形成されたケース14bに収納されている。なお、太陽熱集熱器14は、図2に示される型式のものに限定されず、他の型式のものを採用してもよい。
発電システム10はまた、各貯槽12を直列に接続する接続配管16a、16bを備えている。すなわち、図1において、最も左側に位置する貯槽(以下「第1貯槽」という)12と真中に位置する貯槽(以下「第2貯槽」という)12が第1接続配管16aによって接続されており、第2貯槽12と最も右側に位置する貯槽(以下「第3貯槽」という)12が第2接続配管16bによって接続されている。
好ましくは、接続配管16a、16bには、弁16a1、16b1がそれぞれ配置されており、接続配管16a、16bの流体連通を遮断できるようになっている。
また、好ましくは、各貯槽12には、貯槽12に貯留された熱媒体を加熱及び加圧するための加熱手段及び加圧手段(いずれも図示せず)が設置されている。加熱手段及び加圧手段は、公知の型式のものを使用してよい。
発電システム10はまた、タービン18を備えており、タービン18には、発電機20が連結されている。なお、タービン18および発電機20は、通常の型式のものを使用してよい。
発電システム10はさらに、第3貯槽12とタービン18を連結する第1管路22と、タービン16と第1貯槽12とを連結する第2管路24とを備えている。なお、第1管路22には、第3貯槽12とタービン16との流体連通を遮断する弁22aが配置されており、第2管路24には、水を強制的に循環させるためのポンプ24aが設けられている。
以上のように構成された発電システム10の作動の1つの態様について説明する。第1貯槽12に接続された太陽熱集熱器14において集熱エネルギーにより水が加温されて温水が得られ、貯槽12に貯留される(水の温度がT0 からT1 になったものとする)。この状態で弁16a1と弁22aを閉鎖すると、第2貯槽12および第3貯槽12が閉鎖状態になり、第2貯槽12および第3貯槽12に接続された太陽熱集熱器14では、太陽熱エネルギーを更に吸収して温水の温度が上昇する(温水の温度がT1 からT2 になったものとする)。この状態で弁16b1と弁22aを閉鎖すると、第3貯槽12が閉鎖状態になり、第3貯槽12に接続された太陽熱集熱器14では、太陽熱エネルギーを更に吸収して温水の温度が上昇する(温水の温度がT2 からT3 になったものとする)。しかる後、弁22aを開放して、温度T3 の温水又は蒸気をタービン18に供給して発電機20を作動させ発電を行う。そして、発電された電力を公知の態様で送電したり蓄電したりすることによって所望の用途に使用する。上記温度において、T0 <T1 <T2 <T3 が成り立つ。なお、貯槽12に加熱手段及び加圧手段が設置されている場合には、貯槽12内を加熱及び加圧することにより、より効率的に温水を加温することができる。
次に、本発明の発電システムの効果について検証する。
我が国の年間平均日射量は、1750時間/年であるといわれている。
単位面積当たりの日射量による発電量は1kW/m2であるが、受光面の傾斜による損失を30%と仮定すると、単位面積当たりの日射量による発電量は、
1kW/m2×0.7=0.7kW/m2
とすることができる。
従って、我が国の年間平均日射量によって得られる単位面積当たりの発電量は、
0.7kW/m2×1750時間=1225kWh/m2
となる。
これにより、1台の太陽熱集熱器により発電可能な単位面積当たりの年間発電量は、
2.4m2(集熱面積)×1225kWh/m2=2940kWh
となる。
太陽熱集熱器の熱転換効率(実測値)が61%であるので、1台の太陽熱集熱器により発電可能な単位面積当たりの年間発電量は、
2940kWh×0.61=1793kWh
となる。
一方、現時点で普及している太陽光発電システムの熱転換効率は、10%程度であるといわれており、熱転換効率が20%の高性能太陽光発電システムは、高価であるため、一般的には普及していない。また、太陽光パネルは、経年劣化により発電効率が低下していき、耐用年数も長くはない。
従って、熱転換効率が61%の太陽熱集熱器は、熱転換効率が10%の太陽光発電システムと比較して、6倍強の熱転換効率を有しており、そのうえ、太陽熱集熱器の耐用年数は、15年以上であるといわれている。
これらの点を参酌すると、太陽熱集熱器を使用する本発明の発電システムは、既存の太陽光発電システムと比較して、コスト面及びシステムの構造面(システムの構造が簡単である)において有利であると考えられる。
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
たとえば、前記実施の形態に示した太陽熱集熱器14は例示的なものにすぎず、他の型式の集熱器を使用してもよい。また、前記実施の形態では、3基の貯槽12が配置されているが、貯槽12の配置基数を2基にしてもよく、或いは4基以上にしてもよい。また、前記実施の形態では、1基の貯槽12にそれぞれ2基の太陽熱集熱器14が接続されているが、1基の貯槽12に3基以上の太陽熱集熱器14を接続してもよい(図3には、1基の貯槽12に6基の太陽熱集熱器14が接続された例が示されている)。さらに、前記実施の形態では、熱媒体として水が使用されているが、水の代わりに、他の適当な流体(例えば、不凍液、空気など)を熱媒体として使用してもよい。
さらに、前記実施の形態では、タービン18が用いられているが、タービン18の代わりに蒸気エンジン等を用いてもよい。
10 発電システム
12 貯槽
14 太陽熱集熱器
14a 集熱部
14b ケース
16a、16b 接続配管
18 タービン
20 発電機
22 第1管路
22a 弁
24 第2管路
24a ポンプ

Claims (3)

  1. 太陽熱集熱器を利用した発電システムであって、
    直列に接続され、熱媒体を貯留するための複数基の貯槽と、
    各貯槽にそれぞれ接続された1又は複数基の太陽熱集熱器とを備え、
    前記貯槽のうち最端部に位置する貯槽が、発電機に接続されたタービン又は蒸気エンジンに、第1管路を介して接続されており、
    前記太陽熱集熱器において収集された熱エネルギーによって加温され、前記貯槽に貯留された熱媒体を前記タービン又は前記蒸気エンジンに供給することにより、発電を行うように構成されていることを特徴とする発電システム。
  2. 前記各貯槽には、貯槽に貯留された熱媒体を加熱及び加圧するための加熱手段及び加圧手段が設置されていることを特徴とする請求項1に記載された発電システム。
  3. 前記タービン又は前記蒸気エンジンと、前記タービン又は前記蒸気エンジンに接続された太陽熱集熱器と反対側の最端部に位置する太陽熱集熱器とが、第2管路によって接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載された発電システム。
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