JP2013227009A - シートベルト装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な構成で衝突時などに生じる乗員の胸たわみを低減できるシートベルト装置を提供する。
【解決手段】シートベルト装置100は、車両用シートの側部に設けられたバックル160と、ウエビング150を挿通しバックルに係合するプレート状のタング170と、ウエビングが取付けられたアンカプレートからタングを経由してウエビングが巻き掛けられるショルダアンカとを備え、タングは、バックルに係合するタングプレートを有するベース部174と、ウエビングが挿通されタングを厚み方向に貫通する一つの挿通孔172と、ベース部から連続しバックルの外側でベース部よりも乗員から遠ざかる方向に挿通孔の近傍で屈曲し、先端部178が乗員から最も遠ざかる場所に位置する屈曲部176とを備え、ウエビングは挿通孔で屈曲部に沿って折り返され、先端部を経由してショルダアンカに送られる。
【選択図】図4

Description

本発明は、乗員拘束用のウエビングに取付けられバックルに係合するタングを備えたシートベルト装置に関するものである。
車両用のシートベルト装置では、車両用シートの側部に設けられたバックルにタングを係合することにより、ウエビングが例えば、乗員の肩部から一方の側の腰部にかけて斜めに掛け渡され、さらに他方の側の腰部に掛け渡される。通常、ウエビングは、乗員の上半身を拘束するショルダーベルトと、腰部を固定するラップベルトとに区分される。
特許文献1には、車両に衝突などが発生した場合、乗員の上体に対するショルダーベルトの密着性を高めるとしたシートベルト装置が記載されている。このシートベルト装置では、バックルにタングが係合された状態で、ショルダーベルトの一端部が巻き掛けられるタングの挿通孔が、タングのバックルへの係止方向線によりも車両後方側に配置されている。また、タングは、ラップベルトの一端部が巻き掛けられる他の挿通孔も有している。
特許文献1では、タングの挿通孔を上記配置とすることで、ショルダーベルトの一端部が乗員に近い位置に配置され、乗員の上体に対するショルダーベルトの密着性が向上するとしている。
特開2007−186168号公報
しかし、特許文献1に記載のシートベルト装置では、タングに2つの挿通孔を形成した上で、ショルダーベルトの一端部が巻き掛けられる挿通孔を係止方向線によりも車両後方側に配置するなど、構造が複雑になってしまう。
本発明者は、より簡素な構造でショルダーベルトの密着性を高め、衝突時などに発生する乗員の胸たわみを低減する構成を見出した。なお、胸たわみ(Chest Deflection)とは、ショルダーベルトによる集中荷重が胸骨に加わって、その胸骨がたわむことをいう。
本発明は、このような課題に鑑み、簡素な構成で衝突時などに生じる乗員の胸たわみを低減できるシートベルト装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかるシートベルト装置の代表的な構成は、車両用シートの側部に設けられたバックルと、乗員拘束用のウエビングを挿通し、バックルに係合するプレート状のタングと、車両用シートのバックルが設けられた側部の反対側で車両に固定され、ウエビングの一端部が取付けられたアンカプレートと、アンカプレートの上方で車両に固定され、アンカプレートからタングを経由してウエビングが巻き掛けられるショルダアンカとを備えたシートベルト装置であって、タングは、バックルに挿入され係合するタングプレートを有するベース部と、ウエビングが挿通され、タングをこのタングの厚み方向に貫通する一つの挿通孔と、ベース部から連続していてバックルの外側でベース部よりも乗員から遠ざかる方向に挿通孔の近傍で屈曲し、先端部が乗員から最も遠ざかる場所に位置する屈曲部とを備え、ウエビングは、挿通孔で屈曲部に沿って折り返され、先端部を経由してショルダアンカに送られることを特徴とする。
上記構成によれば、ウエビングは、アンカプレートからタングの屈曲部まで差し渡され、乗員の腰部を拘束するラップベルトと、タングの屈曲部からショルダアンカまで差し渡され、乗員の胸部を拘束するショルダーベルトとに区分される。タングの屈曲部が乗員から遠ざかる方向(車両内側)に屈曲しているので、屈曲部の先端部と乗員との隙間が大きくなる。言い換えると、ショルダーベルトのベルトパス(取り回し経路)が車両内側にオフセットする。このため、ショルダーベルトは、乗員拘束中に乗員の胸部をせり上がり、乗員の胸部に対する密着度が増す。その結果、ショルダーベルトから胸部が受ける荷重が低減され、いわゆる胸たわみを低減できる。このように本発明によれば、タングを屈曲させるという簡素な構成で、胸たわみを低減できる。
また、タングは、タングプレートを有するベース部と、ウエビングが挿通される一つの挿通孔と、挿通孔の近傍で屈曲した屈曲部とを含んでいる。さらに、ウエビングは、挿通孔で屈曲部に沿って折り返され、屈曲部の先端部を経由してショルダアンカに送られている。つまり、タングは、一枚もののプレート、すなわち既存のプレートから成り、ベース部に対して、挿通孔の近傍で屈曲部を車両内側に屈曲させた単純な形状で構成されている。このため、上記タングでは、一例として、2つの挿通孔を形成し、これらの挿通孔にショルダーベルトの一端部、ラップベルトの一端部をそれぞれ巻き掛けるような複雑な構成を採用する必要もない。よって、既存のタングを採用して、ベース部に対して屈曲部を車両内側に屈曲させるだけで、極めて単純な構成を有する上記タングを形成できる。
上記の屈曲部は、挿通孔の上端縁部付近で屈曲するとよい。これにより、ウエビングは、挿通孔の上端縁部で折り返され、屈曲部の先端部を経由してショルダアンカに送られる。このため、ウエビングは、挿通孔の上端縁部から屈曲部の先端部に至る間で、ほぼ屈曲部全体にわたって確実に沿うことになり、屈曲部に対して滑らかに摺動することが可能となる。
上記の屈曲部の先端部は、ベース部に沿った平面から30〜40mm離間しているとよい。ここで、本発明者は、乗員を模擬したダミー(AF05型)を用いた衝突実験を行い、屈曲部の先端部が上記平面から30mm、乗員から遠ざかる方向(車両内側)に離間すると、屈曲部を有さないタングに比べて、胸たわみが5mm程度低減することを確認した。なお、40mm離間すると、胸たわみは4mm程度低減することも確認した。また、屈曲部の先端部を上記平面から30mm、乗員に近付く方向(車両外側)に離間すると、屈曲部を有さないタングに比べて、胸たわみが3mm程度増加することも確認した。したがって、上記平面から30〜40mm車両内側に離間するように、タングの先端部を屈曲させると、胸たわみを低減でき、特に、30mmが好ましいことが明らかである。
本発明によれば、簡素な構成で衝突時などに生じる乗員の胸たわみを低減できるシートベルト装置を提供することができる。
本発明の実施形態の一例におけるシートベルト装置が適用される車両の一部を示す図である。 図1のシートベルト装置の使用態様を示す図である。 図1のシートベルト装置のタングおよびバックルを拡大して示す図である。 図3のバックルにタングが係合した状態を例示する図である。 比較例のシートベルト装置のタングおよびバックルを拡大して示す図である。 ショルダーベルトと乗員との位置関係を概略的に示す図である。 乗員を模擬したダミーを用いた衝突実験の結果を示す図である。 図1のシートベルト装置をエアバッグとともに用いた状態を例示する図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本発明の実施形態の一例におけるシートベルト装置100が適用される車両110の一部を示す図である。図中では、車両110内の左側前部座席となる車両用シート120とともにシートベルト装置100を示している。図2は、図1のシートベルト装置100の使用態様を示す図である。図2では、車両110の一部を車両前側から見た状態を示している。
車両110は、例えば、シートベルト装置100と、車両用シート120と、車両用シート120の車外側に位置するサイドドア130と、サイドドア130の車両後方側に位置するセンターピラー140とを備えている。なお、車両用シート120は、乗員200が着座するシートクッション122と、シートバック124とを有する。
シートベルト装置100は、例えば、乗員拘束用のウエビング150と、車両用シート120のシートクッション122の側部付近に設けられたバックル160と、ウエビング150に取付けられバックル160に係合するタング170と、アンカプレート180と、ショルダアンカ190とを備えている。
アンカプレート180は、バックル160が設けられた車両用シート120の側部とは反対側で車両に固定されていて、ウエビング150の一端部152が取付けられている。ショルダアンカ190は、アンカプレート180の上方で例えばシートバック124よりも車両上側にてセンターピラー140に固定され、ウエビング150が巻き掛けられている。
ウエビング150は、図示のように、バックル160にタング170が係合した状態でラップベルト154とショルダーベルト156とに区分される。ラップベルト154は、図2に示すように、アンカプレート180からタング170まで差し渡され、乗員200の腰部202を拘束する。
本例のショルダーベルト156は、図2に示すように、タング170からショルダアンカ190まで差し渡されていて、乗員200の胸部204を拘束する。なお、図示は省略するがウエビング150の他端部は、センターピラー140付近に設けられた不図示のリトラクタに固定され適宜巻き取られる。このように、シートベルト装置100では、バックル160にタング170が係合することでウエビング150が装着され、さらにウエビング150のたるみがリトラクタで取り除かれて、乗員200を拘束する。
図3は、図1のシートベルト装置100のタング170およびバックル160を拡大して示す図である。図中では、バックル160にタング170が係合する前の状態を示している。図4は、図3のバックル160にタング170が係合した状態を例示する図である。図中では、バックル160に係合したタング170を車両前側から見た状態を示し、さらにラップベルト154およびショルダーベルト156を含むウエビング150と乗員200との位置関係も概略的に示している。
バックル160は、タング170を固定しあるいは固定を解除する装置であり、図3に示すように、開口162と解除ボタン164とを備える。タング170は、バックル160の開口162に挿入することで固定され、例えば解除ボタン164を押すことで固定が解除される。
タング170は、図3に示すように、ウエビング150を挿通しこれを折り返す1つの挿通孔172を備える。挿通孔172は、タング170の厚み方向に貫通している。なおウエビング150は、挿通孔172の上端縁部172aに接触した状態で折り返されている。さらに、タング170は、ベース部174と、ベース部174から連続する屈曲部176とを備える。
ベース部174は、上記開口162に挿入されバックル160と係合するタングプレート174aを有する。屈曲部176は、タングプレート174aが突出する方向とは反対側に位置する先端部178を有する。
また、屈曲部176は、図4に示すように、ベース部174よりも乗員200から遠ざかる方向、すなわち車内側に屈曲している。具体的には、屈曲部176は、挿通孔172の近傍である上端縁部172a付近で屈曲し、先端部178が乗員200から最も遠ざかる場所に位置している。一例として、バックル160にタング170が係合した状態では、屈曲部176の先端部178は、ベース部174に沿った平面Laから30mm車内側に離間している。なお図中では、平面Laに平行かつ先端部178に沿った平面Lbを示し、平面La、Lb間の距離30mmを示している。このため、シートベルト装置100では、乗員200の例えば腰部202と屈曲部176の先端部178との距離(隙間)Aが大きくなる。
また、屈曲部176の先端部178は、図4に示すように、ショルダーベルト156と接しこれを乗員200側に折り返している。ラップベルト154は、上記アンカプレート180からタング170の挿通孔172に至っている。なお、ウエビング150は挿通孔172の上端縁部172aにて屈曲部176に沿って折り返されている。ここでは、挿通孔172の上端縁部172aにて折り返され先端部178に至るウエビング150も、ショルダーベルト156の一部156aとする。
つまり、ショルダーベルト156は、タング170の挿通孔172の上端縁部172aから、車内側に屈曲した屈曲部176の先端部178に沿っていて、さらに先端部178で折り返された上で、上記ショルダアンカ190に至っている。言い換えると、シートベルト装置100では、タング170の形状によって、ショルダーベルト156のベルトパス(取り回し経路)が車内側にオフセットしている。ここで、屈曲部176は、挿通孔172の上端縁部172aで折り返されたショルダーベルト156を、乗員200から最も遠ざかった先端部178を経由してショルダアンカ190へ送ることになる。
図5は、比較例のシートベルト装置100Aのタング170Aおよびバックル160を拡大して示す図である。なお、図中では、上記シートベルト装置100に示す部材と同一部材には同一符号を付し、説明を適宜省略する。
シートベルト装置100Aは、タング170Aの屈曲部176Aが車内側ではなく、乗員200に近付く方向、すなわち車外側に屈曲している点で、上記シートベルト装置100と異なる。
タング170Aは、図示のようにバックル160に係合した状態で、屈曲部176の先端部178Aが、ベース部174に沿った平面Laから30mm車外側に離間している。なお図中では、平面Laに平行かつ先端部178Aに沿った平面Lcを示し、平面La、Lc間の距離30mmを示している。このため、シートベルト装置100Aでは、乗員200の例えば腰部202と屈曲部176Aの先端部178Aとの距離Bが、上記シートベルト装置100での上記距離Aに比べて小さくなる。
よって、シートベルト装置100Aでは、ショルダーベルト156Aが、タング170Aの挿通孔172から車外側に屈曲した屈曲部176Aの先端部178Aに沿って、この先端部178Aで折り返される。言い換えると、シートベルト装置100Aでは、タング170Aの形状によって、ショルダーベルト156Aのベルトパスが車外側にオフセットしている。
図6は、ショルダーベルト156、156A、156Bと乗員200との位置関係を概略的に示す図である。図中では、車両用シート120に着座した乗員200の胸部204に対する、各ショルダーベルト156、156A、156Bの位置関係を示している。
図中実線で示すショルダーベルト156は、車内側に30mmオフセットしていて(図4参照)、タング170の屈曲部176の先端部178の位置が平面Lbで例示されている。図中点線で示すショルダーベルト156Aは、車外側に30mmオフセットしていて(図5参照)、タング170Aの屈曲部176Aの先端部178Aの位置が平面Lcで例示されている。そして、図中一点鎖線で示すショルダーベルト156Bは、上記屈曲部176が形成されていない場合であり、オフセットしていない。なお、平面Laでタング170の位置を例示している。
ショルダーベルト156は、図示のように、ショルダーベルト156A、156Bに比べて上方に位置している。また、ショルダーベルト156Aは、ショルダーベルト156、156Bに比べて下方に位置している。つまり、タング170の屈曲部176が乗員200から遠ざかる方向に屈曲して、ベルトパスが車内側にオフセットすると、ショルダーベルト156は、矢印Cに示すように、乗員200の胸部204をせり上がり、乗員200に対する密着度が増すことになる。
図7は、乗員200を模擬したダミーを用いた衝突実験の結果を示す図である。なお、ダミーとしては、小柄な女性を模擬したAF05型を用いた。図中、横軸は衝突時の経過時間(ms)、縦軸は胸たわみ(mm)をそれぞれ示している。
グラフG1、G2は、上記ショルダーベルト156、156Aにそれぞれ対応していて、ベルトパスが30mm車内側または車外側にオフセットした場合での経過時間に対する胸たわみの変位を示している。グラフG3は、上記ショルダーベルト156Bに対応していて、ベルトパスがオフセットしていない場合での経過時間に対する胸たわみの変位を示している。
衝突実験の結果、グラフG1では、ピーク時の胸たわみがグラフG3に比べて、5mm低減した。また、グラフG2では、ピーク時の胸たわみがグラフG3に比べて、3mm増加した。
このように、各グラフG1、G2、G3を比較することで、ベルトパスが乗員200から遠ざかるように車内側にオフセットして、乗員200に対する密着度が増すほど、胸たわみを低減できることが確認された。なお、図示は省略するが、ショルダーベルト156のベルトパスを40mm車内側にオフセットすると、ピーク時の胸たわみがグラフG3に比べて、4mm低減した。よって、タング170の屈曲部176の先端部178は、車内側に30〜40mmオフセットしてもよく、特に30mmが好ましいことが明らかになった。
図8は、図1のシートベルト装置100をエアバッグ210とともに用いた状態を例示する図である。このエアバッグ210は、いわゆるPRC(Pelvis Restrain Cushion)であり、例えば車両用シート120のシートクッション122内に収容されていて、衝突時などに上方に展開し乗員200の大腿部などを上方に移動させて、膝などが車室内の周辺物などに衝突することを回避する。
このように、エアバッグ210などで乗員200の大腿部を拘束すると、衝突時におけるラップベルト154への荷重を低くできる。なお、ラップベルト154とショルダーベルト156とは連続しているので、ラップベルト154への荷重を低くすれば、ショルダーベルト156に伝わる荷重も低くでき、結果的に、胸たわみをより低減できる。
つまり、胸たわみを低減させるためには、ラップベルト154が受ける荷重そのものを低くすること、また、ラップベルト154への荷重が、ショルダーベルト156に影響を与えることを抑制することが重要である。そのため、エアバッグ210に限られず、例えば、大腿部の側方で展開する、KAB(Knee Airbag)などの他のエアバッグをシートベルト装置100とともに用いてもよい。さらに、衝突時などにラップベルト154が受けた荷重をショルダーベルト156に伝わり難くする、いわゆるクラッシュロッキングタング(SLC)などを用いてもよい。
したがって、本実施形態におけるシートベルト装置100では、タング170の屈曲部176が乗員200から遠ざかる方向(車内側)に屈曲しているので、屈曲部176の先端部178と乗員200との隙間を大きくし、ショルダーベルト156のベルトパスを車両内側にオフセットできる。その結果、ショルダーベルト156は、乗員拘束中に乗員200の胸部204をせり上がり、乗員200の胸部204に対する密着度が増す。
このようにシートベルト装置100によれば、タング170を屈曲させるという簡素な構成で、ショルダーベルト156から胸部204が受ける荷重を低減し、胸たわみを低減できる。
また、タング170は、一枚もののプレート、すなわち既存のプレートから成り、ベース部174に対して、挿通孔172の近傍で屈曲部176を車両内側に屈曲させた単純な形状を有している。したがって、シートベルト装置100では、既存のタングを採用し、その上でベース部174に対して屈曲部176を屈曲させることで、極めて単純な構成を有する上記タング170を低コストで形成し、さらに上記のように胸たわみを低減できる。
さらに、屈曲部176は、挿通孔172の上端縁部172a付近で屈曲している。このため、ウエビング150は、挿通孔172の上端縁部172aで折り返され、上端縁部172aから屈曲部176の先端部178に至る間で、ほぼ屈曲部176全体にわたって確実に沿うことになる。したがって、シートベルト装置100では、ウエビング150を屈曲部176に対して滑らかに摺動させることが可能となる。
なお上記実施形態では、タング170に関し、屈曲部176がベース部174に対して、乗員200から遠ざかる方向(車内側)に屈曲している構成を採用したが、これに限定されない。一例として、既存のタングのうち、比較例で例示したような乗員側(車外側)に向けてオフセットされているものを採用し、その採用したタングを表裏逆にした状態で、バックル160の開口162に挿入し係合可能としてもよい。このようにすれば、このタングは、バックル160に係合された状態において、結果的に、車内側にオフセットされているため、上記同様に胸たわみを低減できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
また、上記実施形態においては本発明にかかるシートベルト装置100を自動車に適用した例を説明したが、自動車以外にも航空機や船舶などに適用することも可能であり、同様の作用効果を得ることができる。
本発明は、乗員拘束用のウエビングに取付けられ、バックルに係合するタングを備えたシートベルト装置に利用することができる。
100…シートベルト装置、110…車両、120…車両用シート、122…シートクッション、124…シートバック、130…サイドドア、140…センターピラー、150…ウエビング、154…ラップベルト、156…ショルダーベルト、160…バックル、162…開口、164…解除ボタン、170…タング、172…挿通孔、172a…上端縁部、174…ベース部、174a…タングプレート、176…屈曲部、178…先端部、180…アンカプレート、190…ショルダアンカ、200…乗員、202…腰部、204…胸部、210…エアバッグ

Claims (3)

  1. 車両用シートの側部に設けられたバックルと、
    乗員拘束用のウエビングを挿通し、前記バックルに係合するプレート状のタングと、
    前記車両用シートの前記バックルが設けられた側部の反対側で車両に固定され、前記ウエビングの一端部が取付けられたアンカプレートと、
    前記アンカプレートの上方で車両に固定され、該アンカプレートから前記タングを経由して前記ウエビングが巻き掛けられるショルダアンカとを備えたシートベルト装置であって、
    前記タングは、
    前記バックルに挿入され係合するタングプレートを有するベース部と、
    前記ウエビングが挿通され、前記タングを当該タングの厚み方向に貫通する一つの挿通孔と、
    前記ベース部から連続していて前記バックルの外側で該ベース部よりも乗員から遠ざかる方向に前記挿通孔の近傍で屈曲し、先端部が乗員から最も遠ざかる場所に位置する屈曲部とを備え、
    前記ウエビングは、前記挿通孔で前記屈曲部に沿って折り返され、前記先端部を経由して前記ショルダアンカに送られることを特徴とするシートベルト装置。
  2. 前記屈曲部は、前記挿通孔の上端縁部付近で屈曲することを特徴とする請求項1に記載のシートベルト装置。
  3. 前記屈曲部の先端部は、前記ベース部に沿った平面から30〜40mm離間していることを特徴とする請求項1または2に記載のシートベルト装置。
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