JP2013226542A - 分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明の目的は、分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法であり、乾燥された分離材を湿潤剤で含浸させることなく、さらには気体透過性が高い場合にも好適に適用でき、微粒子等の分離材への残存もない欠陥検出方法を提供することにある。
【解決手段】
ケースとこれに内蔵された分離材を有し、前記分離材により前記ケースは第1空間および第2空間に分けられ、前記ケースには前記第1空間に連通する第1注入口および第1排出口および前記第2空間に連通する第2排出口が設けられたモジュールの欠陥検出方法において、前記分離材に対し吸着性を有する気体(以下、吸着性気体)を含む気体を第1注入口から供給して、前記第1排出口から排出された前記吸着性気体のモジュールへの被吸着量または前記第2排出口から排出された前記吸着性気体のモジュールへの被吸着量を測定した上で、既知の正常品についての前記被吸着量と比較することを特徴とする分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法。
【選択図】なし
本発明の目的は、分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法であり、乾燥された分離材を湿潤剤で含浸させることなく、さらには気体透過性が高い場合にも好適に適用でき、微粒子等の分離材への残存もない欠陥検出方法を提供することにある。
【解決手段】
ケースとこれに内蔵された分離材を有し、前記分離材により前記ケースは第1空間および第2空間に分けられ、前記ケースには前記第1空間に連通する第1注入口および第1排出口および前記第2空間に連通する第2排出口が設けられたモジュールの欠陥検出方法において、前記分離材に対し吸着性を有する気体(以下、吸着性気体)を含む気体を第1注入口から供給して、前記第1排出口から排出された前記吸着性気体のモジュールへの被吸着量または前記第2排出口から排出された前記吸着性気体のモジュールへの被吸着量を測定した上で、既知の正常品についての前記被吸着量と比較することを特徴とする分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、ケースに内蔵される分離材のピンホール、破断等の欠陥検出方法に関し、ドライタイプの分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法として好適に用いられる。
ケース内に分離材を内蔵したモジュールは純水の製造、用水の除菌や除濁、廃水処理、脱気、脱水、ガス分離など様々な気体、液体、固体の分離に広く利用されている。ここで、分離材のピンホール、破断またはケース・分離材間の接着部不良等の欠陥は、分離材を内蔵したモジュールを使用するシステムに致命的な影響を与える。この様な分離材を内蔵したモジュールの欠陥を検出する方法として、モジュールに空気圧、水圧、油圧などをかけて圧力の変化を検出する方法や、液体に分散させた粒子の透過量を検出する方法が広く用いられている。ここで、分離材が水や湿潤剤を含有したウエットタイプと、分離材を乾燥したドライタイプがある。ドライタイプは軽量なため輸送コストが低く取り扱い性も良く、また、寒冷地での凍結による破損などの問題もない。しかしながら、ドライタイプの分離材を内蔵したモジュールでは、上記水圧や油圧の変化で欠陥を検出する方法や、液体に分散させた粒子で欠陥を検出する方法を用いると、検出工程の後に乾燥工程が必要となり操作が煩雑となる。また、空気圧の変化で欠陥を検出する方法では、その後の乾燥工程は不要であるが、空気圧が保持されるような孔径の小さいまたは孔のない分離材にしか適用することができない。
中空糸膜を通り、中空糸膜が装填されたケース端部に形成した封止部から流れる気流を形成して、この気流の中の中空糸膜の欠陥部を通り抜けた塵等の微粒子を検出する方法が開示されている(特許文献1)。しかしながら、欠陥検出後の分離材を内蔵したモジュールに微粒子が残存するため、モジュールで分離した目的物に微粒子が混入する懸念があり、分離材が多孔材で微粒子が孔を塞いだ場合は分離材を内蔵したモジュールの透水性能が低下することが予測されるものであった。
一方、60℃以上に加熱または5℃以下に冷却した気体を中空糸膜モジュールに供給し、中空糸膜より放出される気体の温度差で欠陥を検出する方法が開示されている(特許文献2)。しかしながら、分離材の気体透過率が高い場合に高精度に検出することは期待できない。
本発明の目的は、分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法であり、乾燥された分離材を湿潤剤で含浸させることなく、さらには気体透過性が高い場合にも好適に適用でき、微粒子等の分離材への残存もない欠陥検出方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を達成するためのものであり、分離材に気体が吸着すること、吸着速度が気体の流れによって変化すること、および欠陥の有無により気体の吸着量に差が生じることから見出されたものである。
すなわち、本発明はケースとこれに内蔵された分離材を有し、前記分離材により前記ケースは第1空間および第2空間に分けられ、前記ケースには前記第1空間に連通する第1注入口および第1排出口および前記第2空間に連通する第2排出口が設けられたモジュールの欠陥検出方法において、前記分離材に対し吸着性を有する気体(以下、吸着性気体)を含む気体を第1注入口から供給して、前記第1排出口から排出された前記吸着性気体のモジュールへの被吸着量または前記第2排出口から排出された前記吸着性気体のモジュールへの被吸着量を測定した上で、既知の正常品における前記被吸着量と比較することを特徴とする分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法である。
後述のように、分離材やモジュール部材の種類、構成が同じであれば、その材料、部材に吸着性気体を含む気体を同様の条件で供給したとき、上記「第1排出口から排出された前記吸着性気体のモジュールへの被吸着量」と「第2排出口から排出された前記吸着性気体のモジュールへの被吸着量」は正常品と同等になるところ、分離材に欠陥がある場合は、気体の流路が変化することから、上記それぞれの排出口から排出された吸着性気体における被吸着量は、正常品に比べ増加あるいは減少する。本発明はかかる現象を利用して分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出を行うものであり、先ず正常品として既知のモジュールについて気体を供給してその被吸着量を測定した上で、対象品を測定して気体の被吸着量を求め、両者を比較して欠陥を判別する手法である。好ましくは、第1排出口から排出された吸着性を有する気体の被吸着量と第2排出口から排出された吸着性を有する気体の被吸着量の差を求めて比較する方法を用いるとより確実に欠陥を検出できる。
この際、分離材の含水率が100%以下であると好ましく、また、後の乾燥工程が不要となることから、本発明を好ましく適用できる。
また、上記吸着性気体としてはアルコール、水蒸気、二酸化炭素のいずれかを用いることが好ましい。
本発明によれば、ドライタイプの分離材を内蔵したモジュールの製造工程において、検出工程後に乾燥工程を設ける必要がない。さらに、欠陥が生じたときの気体の流れの違いを被吸着量として検出するため、従来の分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法と異なり、正常な孔と欠陥のサイズの違いを検出するために用いる物質のサイズとして分離材の孔径よりも大きい粒子を使用することなく、分離材の孔径と気体のサイズに関わらず欠陥検出を行うことができる。したがって、気体透過性の高い分離材でも、気体を用いて乾燥状態での欠陥検出が可能である。また、欠陥検出後の分離材には吸着した気体成分が残存するが、固体である微粒子が残存した場合に比べて、目詰まりによる透水性能の低下が起こらない。また、使用直前に水に溶解しやすい成分を用いて容易に水洗除去できる。
本発明において、分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法とは、欠陥のない正常なモジュールと欠陥のある不良なモジュールとの違いを判別する方法である。欠陥の種類として、分離材に異常に大きい孔が空くピンホール、分離材の破断、ケースと分離材の接着部の不良などが挙げられる。本発明では、分離材が内蔵されるケースは分離材により第1空間と第2空間に分けられるものであり、欠陥を検出するための気体を供給する側が第1空間、同気体が排出される側が第2空間である。上記いずれの欠陥が有った場合にも、欠陥を通して供給側である第1空間から透過側である第2空間に分離材を介さずに物質移動が起こり得る。なお、同じモジュールでも、気体の供給側を排出側と入れ替えることもあり、これに伴い第1空間と第2空間とが入れ替わることがある。なお、分離材により3つ以上の空間に分けられる場合も有り得るため、気体の排出側が2つ以上の空間となる場合も考えられるが、この場合はそれら2つ以上の空間を第2空間と読み替えることとして、これらの空間のいずれかまたは全てから排出される気体の被吸着量を測定する方法が採られ得る。
本発明において分離材とは、上記の如く第1空間と第2空間を区画するものであるが、孔を透過することでサイズや吸着性で物質を分離する多孔材でもよく、孔がなく溶解・拡散によって物質を分離する無多孔材でもよく、第1空間と第2空間を遮断するフィルムでもよい。
本発明において、上記ケースは、供給側である第1空間に連通する第1注入口および第1排出口および透過側である第2空間に連通する第2排出口とが設けられている。ここで、分離材に対する吸着性を有する気体(以下、吸着性気体)を含む気体を第1注入口から供給して第1排出口および第2排出口から排出させると、吸着性気体は分離材やケース部材に吸着され、減量して、または混合気体における濃度が減少して排出される。
吸着性気体の被吸着量は、混合気体の場合、供給する気体における吸着性気体の濃度、排出された気体における吸着性気体の濃度および流量を測定することで、(1)式によって算出できる。
A=(Ci×Qi−Co×Qo)÷100÷22.4×M (1)
(1)式で、Aが被吸着量(g)、Ciが供給する気体における吸着性気体の濃度(体積%)、Coが排出された気体における吸着性気体の濃度(体積%)、Qi(ml)が供給する気体の流量、Qo(ml)が排出された気体の流量、Mが吸着性気体の分子量である。
(1)式で、Aが被吸着量(g)、Ciが供給する気体における吸着性気体の濃度(体積%)、Coが排出された気体における吸着性気体の濃度(体積%)、Qi(ml)が供給する気体の流量、Qo(ml)が排出された気体の流量、Mが吸着性気体の分子量である。
各排出口毎にCoとQoを測定することで、それぞれの排出口における吸着性気体の被吸着量を測定することができる。複数の吸着性気体を用いる場合は、それぞれの吸着性気体における、被吸着量を算出する。
吸着性気体の濃度は、ガスクロマトグラフィやガス検知管で測定することができる。
吸着性気体の被吸着量は、ケースや分離材の部材への親和性と接触時間と温度によって決まる。温度が一定の条件で、かつケースや分離材の構成が同じ分離材を内蔵したモジュールに吸着性気体を供給した場合は、吸着性気体の被吸着量は吸着性気体と部材との接触時間のみによって決まる。さらに、吸着性気体と部材の接触時間は、吸着性気体と部材との接触面積、および吸着性気体の流速の影響を受け、吸着性気体と部材との接触面積が大きい程、また吸着性気体の流速が小さい程、被吸着量が大きくなる傾向にある。分離材を内蔵したモジュールに供給した吸着性気体は、第1空間を通り第1排出口から排出される流れと、第1空間を通り分離材を透過して第2空間を通り第2排出口から排出される流れに分岐する。この2つの流れにおいては、流路の圧損が異なることから吸着性気体の流速が異なり、また、吸着性気体と部材との接触面積も異なる。したがって、第1排出口から排出された吸着性気体の被吸着量と、第2排出口から排出された吸着性気体の被吸着量が同じとなるとは限らない。
分離材やモジュール部材の種類、構成が同じであり、かつ気体の供給条件が一定で、分離材を内蔵したモジュールに欠陥がなければ、吸着性気体の流れが同じなので、各被吸着量は一定となる。一方、分離材を内蔵したモジュールに欠陥があると供給した吸着性気体は欠陥を通るため、吸着性気体の流路が変化する。そのため、吸着性気体の流速と吸着性気体と部材の接触面積が変わり、被吸着量が変化する。同一の材質、構成のモジュールについて、あらかじめ欠陥がない分離材を内蔵したモジュールから排出された吸着性気体の被吸着量を測定し、正常品の既知の値としておき、次いで欠陥の有無を判定したい分離材を内蔵したモジュールから排出された吸着性気体の被吸着量と比較することで、欠陥を検出することができる。正常品についての測定結果から被吸着量を規格化し、欠陥の有無を判定する方法を採ることもできる。
ここで、比較の対象とするのは、第1排出口から排出される吸着性気体の被吸着量、第2排出口から排出される吸着性気体の被吸着量のいずれかでもよいが、一方が正常品と同一でも、他方が異なる場合もあり、また、吸着量に与える影響の変化は複雑であり、一方の排出口から排出される吸着性気体の被吸着量のみ変化する場合もある。そのため、各被吸着量を個別に比較するよりも、被吸着量の差を比較したほうが、欠陥検出の精度が上がることから、第1排出口から排出される吸着性気体の被吸着量と、第2排出口から排出される吸着性気体の被吸着量の差を比較することが好ましい。
欠陥がある分離材を内蔵したモジュールに気体を供給したときの挙動の変化の例を挙げると、先ず欠陥がある場合は第1空間から第2空間に流れる吸着性気体の圧損が低下するので、第1排出口から排出される吸着性気体は流速が下がって被吸着量が増加し、第2排出口から排出される吸着性気体は流速が上がって被吸着量が低下する傾向になる。
別の例では、ピンホール等の欠陥は一般に圧損が低く、吸着性気体が流れると偏流が起こりやすいが、欠陥を通過する偏流を起こすと、第1供給口から第1空間を通り、分離材を透過して第2空間を通り、第2排出口から排出される流れにおいて、第1空間を通る距離が減少する。第1空間が第2空間に比べて部材面積が大きい場合、第1空間を通る距離が減ると、吸着性気体と部材の接触面積が低下し、第2排出口から排出される吸着性気体の被吸着量が低下する傾向になる。一方、第1空間が第2空間に比べて部材面積が小さい場合、吸着性気体が欠陥を通過する偏流を起こすと、第1空間を通る距離が減少して吸着性気体と部材の接触面積が低下し、第2排出口から排出される吸着性気体の被吸着量が増加する傾向になる。この様に、欠陥の有無による被吸着量の変化は、分離材を内蔵したモジュールの形状や面積、欠陥の大きさや位置によって増減する。ただし、上記第1空間が第2空間に比べて部材面積が小さい場合の例で言えば、流速の増加により被吸着量が減少傾向になり、2つの効果が打ち消しあって被吸着量の変化が少なくなり、欠陥検出の精度が低下することがある。そのため、本発明では第1空間の部材面積は、第2空間の部材面積よりも大きいことが好ましく、1.3倍以上であることがより好ましい。また、第1空間の部材面積を大きくするために、部材面積が大きい方を供給側、すなわち第1空間として欠陥検出を行ってもよい。
また、欠陥の位置が第1注入口から遠いと、欠陥を通過する偏流がおこっても、第1空間を通る距離の減少が少ないことがあり、吸着性気体と部材の接触面積の変化、すなわち被吸着量の変化が小さく、欠陥検出の精度が低下することがある。かかる欠陥の位置による影響を小さくするために、本発明では吸着性気体の流入口となり得る箇所を2個以上設けて吸着性気体を供給することが好ましい。
分離材を内蔵したモジュールの第1空間の圧損が高いと、欠陥がある場合に圧損の低下が大きくなり、欠陥検出の精度が高くなる。モジュールに内蔵する分離材が中空糸膜であれば、吸着性気体が中空部を流れるときの圧損が高い。そのため、本発明はモジュールに内蔵する分離材が中空糸膜である場合に好ましく適用でき、中空糸膜の中空部が第1空間を構成することがより好ましい。
中空糸膜の内径について、小さいと圧損は高くなるため、内径は400μm以下が好ましく、250μm以下がより好ましい。
本発明では被吸着量によって欠陥検出するため、分離材の孔径の大きさに関わらず、広い範囲の分離材を内蔵したモジュールに適用することができる。分離材の孔径は、デキストラン分画分子量で示すことができる。デキストラン分画分子量とは、種々の分子量のデキストランを用いて分離材を透過させたときに、篩い係数が0.1になる分子量のことである。分離材が無多孔材であったり、デキストラン分画分子量が小さい材料では、気体透過率が低いため、従来の方法でも欠陥検出が可能である。一方で、分離材の孔径が大きいと分離材を透過するときの圧損が下がるため、欠陥があるときの圧損が低下しにくくなり、欠陥検出の精度が低くなる。そのため本発明は、モジュールに内蔵する分離材のデキストラン分画分子量は10以上の場合に好ましく適用でき、100以上の場合により好ましく適用できる。一方で、1000000以下の場合に好ましく適用でき、500000以下の場合により好ましく適用できる。また、分離材が多孔材であることが好ましい。
分離材を内蔵したモジュールに吸着性気体を供給すると、吸着性気体の被吸着量の増加は初期に大きく、供給した吸着性気体の総量が増えるにつれてその増加が低下し、分離材を内蔵したモジュールの吸着性気体に対する飽和吸着量に達するとそれ以上の被吸着量の変化はゼロになる。すなわち、初期の被吸着量の増加が大きいためにその段階で供給した吸着性気体のほとんどが吸着され、その後の被吸着量の変化が小さくなり、欠陥検出の精度が低下する。一方で、上記飽和吸着量に近いと被吸着量が著しく小さいため、やはり被吸着量の変化が小さくなり、欠陥検出の精度が低下する。吸着性気体の供給量よりも被吸着量が少なく、飽和吸着状態に達していないときに欠陥検出の精度が高くなる。そのため、本発明では被吸着量を測定するのは、分離材を内蔵したモジュールにおける吸着性気体の飽和吸着量の40%以上、好ましくは60%以上の吸着性気体が分離材を内蔵したモジュールに吸着されているときが好ましく、一方で、95%以下の吸着性気体が吸着されているときが好ましく、90%以下がより好ましい。なお、ここでいう飽和吸着量とは、単位量当たりの量ではなく、分離材を内蔵したモジュール全体における吸着性気体が透過し得る空間(第1空間、第2空間を含む)における飽和吸着量である。
吸着性気体の分離材を内蔵したモジュールに対する飽和吸着量が小さいと、吸着性気体の供給量が少ないうちに飽和吸着量に達するため、精度の高い条件で欠陥検出するのが困難となる。一方で、吸着性気体の分離材を内蔵したモジュールに対する飽和吸着量が大きいと、精度の高い条件で欠陥検出するのに必要となる気体の供給量が多くなるため、時間的にもコスト的にも不利になる。そのため、本発明において用いる吸着性気体の分離材を内蔵したモジュールにおける飽和吸着量は0.01g以上であることが好ましく、0.05g以上がより好ましい。一方で、50g以下が好ましく、10g以下がより好ましい。
ここでいう飽和吸着量とは、欠陥検出時と同じ温度で、正常品サンプルである分離材を内蔵したモジュールの第1注入口から吸着性気体を供給し、第1排出口と第2排出口から排出し、供給した吸着性気体の量と、第1排出口および第2排出口から排出した吸着性気体の量の和の差が1%以内となるまでに、分離材を内蔵したモジュールに吸着した吸着性気体の総量である。詳細は実施例にて後述する。飽和吸着量を上げるには、部材と親和性の高い気体を選択すること、分離材を内蔵したモジュールの分離材の表面積を上げること、欠陥検出時の雰囲気温度を下げることが有効である。
供給する吸着性気体は単独で用いてもよく、他の気体と混合して用いてもよい。モジュールに吸着する吸着性気体の種類が増えると、吸着挙動が複雑になるため、分離材を内蔵したモジュールに吸着しない気体と混合することが好ましいが、ガスクロマトグラフィを用いて分離して測定すれば吸着性気体が複数であっても問題ない。吸着性気体と混合して用いられる他の気体の具体例としては、分離材やモジュールの部材によっても異なるが、大気、酸素、窒素が好ましく用いられる。
混合気体を用いる場合の吸着性気体の供給気体における濃度は適宜調整すればよいが、なかでも大気圧での飽和濃度以下にすることが好ましい。気体を加圧して吸着性気体の濃度を上げても、欠陥検出後の分離材を内蔵したモジュールが大気圧に戻れば、分離材を内蔵したモジュール中の気体が凝縮して液体としての残存量が増え、分離材を内蔵したモジュールが濡れて重量が増加する。また、供給する気体の温度を上げて混合気体における吸着性気体の飽和濃度を高め、吸着性気体の濃度を上げても、欠陥検出後の分離材を内蔵したモジュールが常温に戻れば同様に気体の凝縮が問題となる。
供給する気体の濃度を調整する方法としては、タンクに液体を入れて密封する方法や大気などを液体に流す方法があり、飽和濃度の気体を調整した後、大気などで希釈して濃度を調整する方法がある。飽和濃度の気体を調整する際には、加熱して濃度を高めた後に冷却することで、短時間で飽和濃度の気体を得ることができる。また、大気などを液体中に流す流速を調整して液体の蒸発量を制御することで、希釈操作を省略することもできる。
吸着性気体の飽和蒸気圧が低いと、大気圧で濃度を上げることができなくなるため、供給する気体の流量を増やす必要があり、欠陥検出に必要な時間が長くなる。そのため本発明では、吸着性気体の20℃における飽和蒸気圧が1Pa以上であることが好ましく、10Pa以上がより好ましい。
吸着性気体としては、上記飽和蒸気圧が高く、ケースや分離材の部材となる高分子を変質させる能力が低いことから、アルコール、水蒸気、二酸化炭素が好適に用いられる。特に限定しないが、アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ヘキサノール、シクロヘキサノールなどがあげられる。なかでも医療用途の分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出に用いる場合は、残存物質の毒性が問題となることもあり、消毒用に広く用いられているエタノールや、生体に無害な水蒸気、二酸化炭素が好適に用いられる。
また、アルコールを含め、水溶性の気体は親水性高分子との親和性が高い。そのため、分離材を内蔵したモジュールに内蔵される分離材が親水性高分子を含有していると、飽和吸着量が高くなる傾向にある。気体と親水性高分子の種類によるが、分離材の親水性高分子の含有量は1%以上が好ましく、2重量%以上がより好ましい。一方で、10重量%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。親水性高分子としては、特に限定しないが、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンを用いることが好ましい。また、他のモノマーと共重合していても良い。
供給する気体の流量について、低ければ充分な吸着量を得るのに必要な時間が長くなる。一方で供給する気体の流量が高ければ、欠陥検出に必要な時間が短縮できる一方、分離材の破損の原因になることがある。また、流速が上がることで吸着効率が低下し、充分な吸着量を得るのに必要な気体の量が増える傾向にある。そのため、本発明では供給する気体の流量は0.5L/min以上が好ましく、1L/min以上がより好ましい。一方で、100L/min以下が好ましく、10L/min以下がより好ましい。
モジュールに内蔵される分離材が含水していると、供給した気体が水分に溶解するため、分離材を内蔵したモジュールにおける吸着性気体の飽和吸着量が著しく大きくなる。そのため、分離材の含水率は100%以下が好ましく、1%以下がより好ましい。かかるドライタイプの分離材の欠陥検出工程に適用すれば、液体を用いて欠陥検出を行う場合に比べて、その後に乾燥工程を設ける必要がなく、好ましい。なお、吸着性気体として水蒸気を用いる場合であっても、他の吸着性気体同様に凝集しない条件であれば、含水率への影響は小さいため、乾燥工程を設ける必要は特にない。
分離材の含水率は、モジュール内の分離材の重量と、乾燥した分離材の重量を測定し、(2)式で算出できる。
p=(ww−wd)÷wd (2)
(2)式において、p=分離材の含水率(重量%)、ww=分離材の重量(g)、wd=分離材の乾燥重量(g)である。
(2)式において、p=分離材の含水率(重量%)、ww=分離材の重量(g)、wd=分離材の乾燥重量(g)である。
以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(1)デキストラン分画分子量の測定方法
分離材として中空糸膜を用いたときの測定方法について記載する。直径5mm、長さ17cmのハウジングに中空糸膜を充填し、両端をコニシ(株)製エポキシ樹脂系化学反応形接着剤「クイックメンダー」で0.5cmずつポッティングし、カットして開口することによって、分離材を内蔵したモジュールを作製した。充填する中空糸膜の本数は、ポッティング部分を除いた16cmの長さで中空糸膜の内表面積が0.004m2となるようにした。中空糸膜の内表面積は(3)式で算出される。
分離材として中空糸膜を用いたときの測定方法について記載する。直径5mm、長さ17cmのハウジングに中空糸膜を充填し、両端をコニシ(株)製エポキシ樹脂系化学反応形接着剤「クイックメンダー」で0.5cmずつポッティングし、カットして開口することによって、分離材を内蔵したモジュールを作製した。充填する中空糸膜の本数は、ポッティング部分を除いた16cmの長さで中空糸膜の内表面積が0.004m2となるようにした。中空糸膜の内表面積は(3)式で算出される。
内表面積(m2)=内径(μm)×π×16(cm)×糸本数×0.00000001 (3)
次いで、該モジュールの中空糸膜およびモジュール内部に蒸留水を100ml/minの流量で1時間流して洗浄した。FULKA社製デキストラン平均分子量〜1500(No.31394)、平均分子量〜6000(No.31388)、平均分子量15000〜20000(No.31387)、平均分子量〜40000(No.31389)、平均分子量〜60000(No.31397)、平均分子量〜200000(No.31398)を各々0.5mg/ml( 溶質全体では3.0mg/ml) になるように蒸留水で溶解し、種々のデキストラン水溶液(原液)を作成した。モジュールに対して、中空糸膜の内側に同原液を流し、内側から外側に向けて濾過をかけた。同原液を流すときの温度は25℃とし、原液流量が20ml/min、濾過流量が0 .24ml/minになるように流速を調整した。原液を流してから60分後から75分後までの15分間のモジュール原液出口液および濾液を採取し、原液を流してから75分後に原液入口液を採取した。採取した液の濃度をGPCで測定した。サンプリングした水溶液を細孔径0.5μmのフィルターで濾過し、その濾液をGPC用カラム(東ソーTSK−gel−G3000PWXL)に流し、カラム温度40℃とし、移動相として液クロ用蒸留水1ml/min、サンプル打ち込み量100μlにて分析を行い、示差屈折率計(東ソー社製 RI−8020)を用いてslice time0.02min、base−line−range4.5〜11.0minとして測定した。デキストラン重量平均分子量の検量線は、測定直前に単分散のデキストラン(Fluka社製デキストランスタンダードNo.31416、No.31417、No.31418、No.31420、No.31422) を用いて行った。各重量平均分子量の篩い係数(SC)は、モジュール原液入口のデキストラン濃度(Ca)、出口のデキストラン濃度(Cb)、濾液のデキストラン濃度(Cf)から、(4)式で算出した。
次いで、該モジュールの中空糸膜およびモジュール内部に蒸留水を100ml/minの流量で1時間流して洗浄した。FULKA社製デキストラン平均分子量〜1500(No.31394)、平均分子量〜6000(No.31388)、平均分子量15000〜20000(No.31387)、平均分子量〜40000(No.31389)、平均分子量〜60000(No.31397)、平均分子量〜200000(No.31398)を各々0.5mg/ml( 溶質全体では3.0mg/ml) になるように蒸留水で溶解し、種々のデキストラン水溶液(原液)を作成した。モジュールに対して、中空糸膜の内側に同原液を流し、内側から外側に向けて濾過をかけた。同原液を流すときの温度は25℃とし、原液流量が20ml/min、濾過流量が0 .24ml/minになるように流速を調整した。原液を流してから60分後から75分後までの15分間のモジュール原液出口液および濾液を採取し、原液を流してから75分後に原液入口液を採取した。採取した液の濃度をGPCで測定した。サンプリングした水溶液を細孔径0.5μmのフィルターで濾過し、その濾液をGPC用カラム(東ソーTSK−gel−G3000PWXL)に流し、カラム温度40℃とし、移動相として液クロ用蒸留水1ml/min、サンプル打ち込み量100μlにて分析を行い、示差屈折率計(東ソー社製 RI−8020)を用いてslice time0.02min、base−line−range4.5〜11.0minとして測定した。デキストラン重量平均分子量の検量線は、測定直前に単分散のデキストラン(Fluka社製デキストランスタンダードNo.31416、No.31417、No.31418、No.31420、No.31422) を用いて行った。各重量平均分子量の篩い係数(SC)は、モジュール原液入口のデキストラン濃度(Ca)、出口のデキストラン濃度(Cb)、濾液のデキストラン濃度(Cf)から、(4)式で算出した。
SC =2Cf/(Ca+Cb) (4)
SCが0.1の重量平均分子量を分画分子量とした。分画分子量が測定上限以上となった場合は、分子量200000以上のデキストランを用いて同様の濾過実験を行うこととした。その際、分子量に合わせてGPCの測定条件を適宜変更し、検量線から分子量を求めた。
(2)元素分析
分離材3gを凍結乾燥させ、全自動元素分析装置varioEL(エレメンタール社)にて、試料分解路950℃、還元炉500℃、ヘリウム流量200ml/min、酸素流量20〜25ml/minで測定を行った。分離材としてポリスルホンとポリビニルピロリドンからなるものを用いたので、測定された窒素含有量(wN(重量%))から親水性高分子の含有量(wC(重量%))を(5)式を用いて計算して求めた。
SCが0.1の重量平均分子量を分画分子量とした。分画分子量が測定上限以上となった場合は、分子量200000以上のデキストランを用いて同様の濾過実験を行うこととした。その際、分子量に合わせてGPCの測定条件を適宜変更し、検量線から分子量を求めた。
(2)元素分析
分離材3gを凍結乾燥させ、全自動元素分析装置varioEL(エレメンタール社)にて、試料分解路950℃、還元炉500℃、ヘリウム流量200ml/min、酸素流量20〜25ml/minで測定を行った。分離材としてポリスルホンとポリビニルピロリドンからなるものを用いたので、測定された窒素含有量(wN(重量%))から親水性高分子の含有量(wC(重量%))を(5)式を用いて計算して求めた。
wC=wN×111/14 (5)
(3)分離材の含水率測定
分離材を内蔵したモジュールに内蔵されている分離材を切り出した。分離材の重量(ww(g))を測定した後、100℃で1時間乾燥した後の分離材の重量を測定した。この乾燥操作と重量測定を繰り返し、重量変化が1%以内になった重量を乾燥重量(wd(g))とした。(2)式で含水率(p(%))を算出した。
(3)分離材の含水率測定
分離材を内蔵したモジュールに内蔵されている分離材を切り出した。分離材の重量(ww(g))を測定した後、100℃で1時間乾燥した後の分離材の重量を測定した。この乾燥操作と重量測定を繰り返し、重量変化が1%以内になった重量を乾燥重量(wd(g))とした。(2)式で含水率(p(%))を算出した。
p=(ww−wd)÷wd (2)
(4)飽和吸着量の測定
測定は20℃で行う。ガスサンプラーと50mlの液体を入れたガス洗浄瓶2つをシリコンチューブで直列に連結した。ガスサンプラーで大気を流すことで、液体が蒸発した気体を吸着性気体として大気との混合気体を供給できる。ガスサンプラーから流速1.5L/minの大気を流して得られた混合気体の濃度(Ci(体積%))をガスクロマトグラフィで測定した。混合気体が分離材を内蔵したモジュールの第1注入口に供給されるように、ガスサンプラーと分離材を内蔵したモジュールとを連結し、ガスサンプラーから流速1.5L/minで大気を流し、分離材を内蔵したモジュールに混合気体を供給した。測定開始から2分毎に第1排出口の流速(Vo1(L/min))と第2排出口の流速(Vo2(L/min))を測定し、排出される気体を採取した、第1排出口から排出された吸着性気体の濃度(Co1(体積%))と第2排出口から排出された吸着性気体の濃度(Co2(体積%))をガスクロマトグラフィで測定した。供給した気体中の吸着性気体の量(Gi(g))と、第1排出口および第2排出口から排出した気体中の吸着性気体の量の和(Go(g))の差が1%以内となるまで測定を行った。Viは供給流速の1.5ml/min、Tは測定間隔の2分、Mは供給した気体の分子量として、(6)式で供給した吸着性気体の量を、(7)式で排出した吸着性気体の量の和を、(8)式で各時間の吸着量(B(g))を算出した。
(4)飽和吸着量の測定
測定は20℃で行う。ガスサンプラーと50mlの液体を入れたガス洗浄瓶2つをシリコンチューブで直列に連結した。ガスサンプラーで大気を流すことで、液体が蒸発した気体を吸着性気体として大気との混合気体を供給できる。ガスサンプラーから流速1.5L/minの大気を流して得られた混合気体の濃度(Ci(体積%))をガスクロマトグラフィで測定した。混合気体が分離材を内蔵したモジュールの第1注入口に供給されるように、ガスサンプラーと分離材を内蔵したモジュールとを連結し、ガスサンプラーから流速1.5L/minで大気を流し、分離材を内蔵したモジュールに混合気体を供給した。測定開始から2分毎に第1排出口の流速(Vo1(L/min))と第2排出口の流速(Vo2(L/min))を測定し、排出される気体を採取した、第1排出口から排出された吸着性気体の濃度(Co1(体積%))と第2排出口から排出された吸着性気体の濃度(Co2(体積%))をガスクロマトグラフィで測定した。供給した気体中の吸着性気体の量(Gi(g))と、第1排出口および第2排出口から排出した気体中の吸着性気体の量の和(Go(g))の差が1%以内となるまで測定を行った。Viは供給流速の1.5ml/min、Tは測定間隔の2分、Mは供給した気体の分子量として、(6)式で供給した吸着性気体の量を、(7)式で排出した吸着性気体の量の和を、(8)式で各時間の吸着量(B(g))を算出した。
Gi=(Ci×Vi)×T÷100÷22.4×M (6)
Go=(Co1×Vo1+Co2×Vo2)×T÷100÷22.4×M (7)
B=Gi−Go (8)
測定終了までの吸着量を積算して飽和吸着量とした。
(5)分離材を内蔵したモジュールの作成
ポリスルホン(アモコ社 Udel−P3500)17重量%、ポリビニルピロリドンK30(インターナショナルスペシャルプロダクツ社;以下ISP社と略す)3.5重量%、ポリビニルピロリドンK90(ISP社)2.5重量%をジメチルアセトアミド76重量%、水1重量%と共に90℃で加熱溶解し、製膜原液とした。
Go=(Co1×Vo1+Co2×Vo2)×T÷100÷22.4×M (7)
B=Gi−Go (8)
測定終了までの吸着量を積算して飽和吸着量とした。
(5)分離材を内蔵したモジュールの作成
ポリスルホン(アモコ社 Udel−P3500)17重量%、ポリビニルピロリドンK30(インターナショナルスペシャルプロダクツ社;以下ISP社と略す)3.5重量%、ポリビニルピロリドンK90(ISP社)2.5重量%をジメチルアセトアミド76重量%、水1重量%と共に90℃で加熱溶解し、製膜原液とした。
この原液を温度50℃の紡糸口金部へ送り、環状スリット部の外径0.35mm、内径0.25mmの2重スリット管から吐出させた。芯液としてジメチルアセトアミド60重量部、水40重量部からなる溶液を内側の管より吐出させた。吐出させた原液を、温度30℃、露点39〜40℃で調湿したドライゾーン雰囲気を有する長さ350mmの空間を経由させ、ジメチルアセトアミド20重量%、水80重量%からなる温度40℃の凝固浴を通過させて中空糸膜を得た。その後、60〜75℃の水で90秒行う水洗工程、140℃で2分行う乾燥工程を通過させ、160℃で行うクリンプ工程を経て得られた中空糸膜を巻き取り、束とした。中空糸膜の内径は200μm、膜厚は40μmだった。この中空糸膜10000本を、長さ26cm、内径3.5cmのポリプロピレン製ケースに充填し、端部をポリウレタン樹脂からなるポッティング剤によって封止し、端部における中空糸が両面とも外側に向かって開口するようにポッティング剤をケース断面と平行な方向に沿ってカットし、ポッティング剤カット後のケース両端にヘッダーを取り付けて分離材を内蔵したモジュールとした。この分離材を内蔵したモジュールに対し、吸着性気体としてエタノールを用いた場合の飽和吸着量とシクロヘキサノールを用いた場合の飽和吸着量をそれぞれ測定した。分離材を内蔵したモジュールのデキストラン分画分子量、元素分析、含水率を測定した。
エタノールの飽和吸着量は1.71gだった。シクロヘキサノールの飽和吸着量は0.17gだった。分画分子量は94000だった。元素分析の結果、ポリビニルピロリドンの含有量は1.7重量%だった。含水率は0%だった。
また、別途、上記と同様に分離材を内蔵したモジュールを作成した後、モジュール中の中空糸膜1本を切断することで、欠陥分離材を内蔵したモジュールとした。
(実施例1)
ガスサンプラーと50mlのエタノールを入れたガス洗浄瓶2つとをシリコンチューブで直列に連結した。ガスサンプラーで大気を流すことで、エタノールと大気が混合したエタノールガスを供給できる。ガスサンプラーから流速1.5L/minの大気を流して得られたエタノールガスの濃度(Ci(体積%))をガスクロマトグラフィで測定した。エタノールガスが分離材を内蔵したモジュールの第1注入口に供給されるように、ガスサンプラーと分離材を内蔵したモジュールを連結した。ガスサンプラーから流速1.5L/minで大気を流し、分離材を内蔵したモジュールにエタノールガスを供給した。測定開始から2分毎に第1排出口の流速(Vo1(L/min))と第2排出口の流速(Vo2(L/min))を測定し、排出される気体を採取した、第1排出口から排出されたエタノールガスの濃度(Co1(体積%))と第2排出口から排出されたエタノールガスの濃度(Co2(体積%))をガスクロマトグラフィで測定した。測定時間8分間とした。測定は20℃で行った。(9)〜(11)式で第1排出口から排出されたエタノールガスの被吸着量(A1(g))と第2排出口から排出されたエタノールガスの被吸着量(A2(g))の差(Ad(g))を算出した。ここで、Viは供給流速の1.5ml/min、Tは測定間隔の2分、Mはエタノールの分子量で46.07である。
(実施例1)
ガスサンプラーと50mlのエタノールを入れたガス洗浄瓶2つとをシリコンチューブで直列に連結した。ガスサンプラーで大気を流すことで、エタノールと大気が混合したエタノールガスを供給できる。ガスサンプラーから流速1.5L/minの大気を流して得られたエタノールガスの濃度(Ci(体積%))をガスクロマトグラフィで測定した。エタノールガスが分離材を内蔵したモジュールの第1注入口に供給されるように、ガスサンプラーと分離材を内蔵したモジュールを連結した。ガスサンプラーから流速1.5L/minで大気を流し、分離材を内蔵したモジュールにエタノールガスを供給した。測定開始から2分毎に第1排出口の流速(Vo1(L/min))と第2排出口の流速(Vo2(L/min))を測定し、排出される気体を採取した、第1排出口から排出されたエタノールガスの濃度(Co1(体積%))と第2排出口から排出されたエタノールガスの濃度(Co2(体積%))をガスクロマトグラフィで測定した。測定時間8分間とした。測定は20℃で行った。(9)〜(11)式で第1排出口から排出されたエタノールガスの被吸着量(A1(g))と第2排出口から排出されたエタノールガスの被吸着量(A2(g))の差(Ad(g))を算出した。ここで、Viは供給流速の1.5ml/min、Tは測定間隔の2分、Mはエタノールの分子量で46.07である。
A1=(Ci×Vi−Co1×Vo1)×T÷100÷22.4×M (9)
A2=(Ci×V1−Co2×Vo2)×T÷100÷22.4×M (10)
Ad=A1−A2 (11)
8分経過時点までのA1とA2の値を積算すると1.35gで、飽和吸着量の78%だった。8分経過時点のA1は0.19g、A2は0.19g、Adは0gだった。
A2=(Ci×V1−Co2×Vo2)×T÷100÷22.4×M (10)
Ad=A1−A2 (11)
8分経過時点までのA1とA2の値を積算すると1.35gで、飽和吸着量の78%だった。8分経過時点のA1は0.19g、A2は0.19g、Adは0gだった。
欠陥分離材を内蔵したモジュールでも同様の操作を行った。8分経過時点までの被吸着量の積算値は1.35gで、飽和吸着量の78%だった。8分経過時点のA1は0.23g、A2は0.12g、Adは0.11gだった。
欠陥が生じることによって、第1排出口から排出されるエタノールガスの被吸着量が増加し、第2排出口から排出されるエタノールガスの被吸着量が減少し、被吸着量の差は増加した。すなわち、被吸着量を比較することで欠陥検出することができた。
(実施例2)
測定時間を10分とする以外は、実施例1と同様の測定を行った。
(実施例2)
測定時間を10分とする以外は、実施例1と同様の測定を行った。
10分経過時点までのA1とA2の値を積算すると1.37gで、飽和吸着量の80%だった。10分経過時点のA1は0.11g、A2は0.02g、Adは0.09gだった。
欠陥分離材を内蔵したモジュールでも同様の操作を行った。10分経過までの被吸着量の積算値は1.40gで、飽和吸着量の82%だった。10分経過時点のA1は0.08g、A2は0.02g、Adは0.06gだった。
欠陥が生じることによって、第1排出口から排出されるエタノールガスの被吸着量が減少し、第2排出口から排出されるエタノールガスの被吸着量は変化がなく、被吸着量の差は減少した。すなわち、被吸着量を比較することで欠陥検出することができた。
(実施例3)
測定時間を6分とする以外は、実施例2と同様の測定を行った。
(実施例3)
測定時間を6分とする以外は、実施例2と同様の測定を行った。
6分経過時点までのA1とA2の値を積算すると1.23gで、飽和吸着量の72%だった。6分経過時点のA1は0.42g、A2は0.42g、Adは0gだった。
欠陥分離材を内蔵したモジュールでも同様の操作を行った。6分経過までの被吸着量の積算値は1.17gで、飽和吸着量の68%だった。6分経過時点のA1は0.40g、A2は0.34g、Adは0.06gだった。
欠陥が生じることによって、第1排出口から排出されるエタノールガスの被吸着量は減少し、第2排出口から排出されるエタノールガスの被吸着量は減少し、被吸着量の差は増加した。すなわち、被吸着量を比較することで欠陥検出することができた。
(実施例4)
ガス洗浄瓶に入れる液体をシクロヘキサノールにし、ガスサンプラーの流量を0.4L/minにし、測定時間を200分にし、測定間隔を10分にした以外は、実施例1と同様の測定を行った。(6)〜(8)式のTは測定間隔の10分、Mはシクロヘキサノールの分子量で100.12である。
(実施例4)
ガス洗浄瓶に入れる液体をシクロヘキサノールにし、ガスサンプラーの流量を0.4L/minにし、測定時間を200分にし、測定間隔を10分にした以外は、実施例1と同様の測定を行った。(6)〜(8)式のTは測定間隔の10分、Mはシクロヘキサノールの分子量で100.12である。
200分経過時点までのA1とA2の値を積算すると0.15gで、飽和吸着量の88%だった。200分経過時点のA1は0.0070g、A2は0.0064g、Adは0.0006gだった。
欠陥分離材を内蔵したモジュールでも同様の操作を行った。200分経過までの被吸着量の積算値は0.13gで、飽和吸着量の76%だった。200分経過時点のA1は0.0048g、A2は0.0075g、Adは0.0027gだった。
欠陥が生じることによって、第1排出口から排出されるシクロヘキサノールガスの被吸着量は減少し、第2排出口から排出されるシクロヘキサノールガスの被吸着量は増加し、被吸着量の差は増加した。すなわち、被吸着量を比較することで欠陥検出することができた。
Claims (12)
- ケースとこれに内蔵された分離材を有し、前記分離材により前記ケースは第1空間および第2空間に分けられ、前記ケースには前記第1空間に連通する第1注入口および第1排出口および前記第2空間に連通する第2排出口が設けられたモジュールの欠陥検出方法において、前記分離材に対し吸着性を有する気体(以下、吸着性気体)を含む気体を第1注入口から供給して、前記第1排出口から排出された前記吸着性気体のモジュールへの被吸着量または前記第2排出口から排出された前記吸着性気体のモジュールへの被吸着量を測定した上で、既知の正常品における前記被吸着量と比較することを特徴とする分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法。
- 前記第1排出口から排出された前記吸着性気体の被吸着量と第2排出口から排出された前記吸着性気体の被吸着量の差を求めて既知の正常品における前記被吸着量の差と比較することを特徴とする請求項1に記載の分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法。
- 前記吸着性気体の前記分離材を内蔵したモジュールに対する飽和吸着量が0.01g以上、50g以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法。
- 前記吸着性気体の20℃の飽和蒸気圧が1Pa以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法。
- 前記吸着性気体の分離材を内蔵したモジュールに対する飽和吸着量の40%以上、95%以下の吸着性気体がモジュールに吸着している時に前記被吸着量の測定を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法。
- 供給される気体の流速が0.5L/min以上、100L/min以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法。
- 分離材の含水率が100%以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法。
- 前記吸着性気体がアルコール、水蒸気、二酸化炭素のいずれかであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法。
- 分離材が親水性高分子を1重量%以上、10重量%以下含有することを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法。
- 分離材が中空糸膜であり、中空部が第1空間を構成することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法。
- 分離材が多孔体であることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法。
- 分離材のデキストラン分画分子量が10以上、1000000以下であることを特徴とする、請求項11に記載の分離材を内蔵したモジュールの欠陥検出方法。
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2013
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