以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲だけによって特定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。また、図面において、実質的に同一の構成、動作、および効果を表す要素については、同一の符号を付す。
図1は、本発明の実施の形態に係る液体吐出装置10の構成を示す斜視図である。
この液体吐出装置10は、装置基台101と、装置基台101に対して主走査方向(図1におけるX軸方向)に往復移動自在に支持されたヘッド102と、装置基台101に対して副走査方向(図1におけるY軸方向)に往復移動自在に支持されたステージ103とを備えている。
装置基台101には、ヘッド移動機構104が支持されている。このヘッド移動機構104は、主走査方向に延びるキャリッジ軸105と、キャリッジ軸105に往復移動自在にガイドされるキャリッジ106と、を含んでいる。キャリッジ106には、ヘッド102が支持されている。例えばモータ等の駆動源(図示せず)によりキャリッジ106がキャリッジ軸105上を往復移動することによって、ヘッド102は、装置基台101に対して主走査方向に往復移動される。なお、ヘッド102には、例えばシリコン樹脂等の液体を押圧して液滴状に吐出する液体吐出ヘッドとそれに液体を供給する液体供給装置が1個又は複数個設けられている。
また、装置基台101には、ステージ移動機構107が支持されている。このステージ移動機構107は、副走査方向に延び、且つ、間隔を置いて配置された一対のステージ軸108a,108bを含んでいる。一対のステージ軸108a,108bには、ステージ103が往復移動自在にガイドされている。ステージ103の上面には、例えばトレイに収納された部品や基板等の被吐出物109が支持されている。例えばモータ等の駆動源(図示せず)によりステージ103が一対のステージ軸108a,108b上を往復移動することによって、ステージ103は、装置基台101に対して副走査方向に往復移動される。
液体吐出装置10では、ヘッド102とステージ103上の被吐出物109とをそれぞれ装置基台101に対して相対的に移動させながら、ヘッド102から液体を被吐出物109に向けて液滴状に吐出する。これにより、被吐出物109上に液体がドット状に付着し、例えば被吐出物109上に所望のパターン又は薄膜等を形成することができる。
次に、図2〜図4を用いて、本実施の形態に係る液体吐出ヘッド20及び液体供給装置30の構成について説明する。
図2は、本実施の形態に係る液体吐出ヘッド20の外観を示す斜視図である。図3は、液体吐出ヘッド20を分解した状態で示す斜視図である。図4は、液体吐出ヘッド20及び液体供給装置30の構成を示す断面図である。
液体吐出ヘッド20は、液体を押圧して液滴状に吐出するヘッドであり、液体を押圧する第1部材205と、第1部材205に対向して配置され、第1部材205とともに液体が貯留される貯留室213を形成する第2部材206と、第1部材205と第2部材206との間に配置されて貯留室213の外周部を規定し、第1部材205により第2部材206側に押圧されて弾性変形することによって貯留室213の容積を増減させる弾性部材207と、第1部材205を第2部材206に対して近接及び離隔する押圧方向に相対的に変位させることにより、弾性部材207を弾性変形させる作動部材218とを備えている。
以下、液体吐出ヘッド20について詳細に説明する。
この液体吐出ヘッド20は、ヘッド本体201を備えている。ヘッド本体201は、相互に締結された保持体202及び蓄熱体203を有している。
蓄熱体203は、上面が開口された箱形状に構成されている。蓄熱体203の底部には、第2部材206の吐出孔214を外部に露出させるための開口部203aが設けられている。蓄熱体203は、熱伝導性の高い材質、例えば銅やステンレス等で構成されている。蓄熱体203の内面には、蓄熱体203を加熱するための加熱部材204が取り付けられている。加熱部材204は、例えば電気ヒータ及びセラミックスヒータ等で構成される。加熱部材204からの熱が蓄熱体203に伝達されることによって、蓄熱体203が所定の温度(例えば、30〜80℃)に保たれる。
保持体202は、蓄熱体203の上面の開口を覆うようにして、蓄熱体203の上面に取り付けられている。この保持体202には、第1部材205が挿入される開口部202aが設けられている。保持体202は、剛性を有する材質、例えばステンレス等で構成されている。
ヘッド本体201の内部には、第1部材205、第2部材206、弾性部材207、付勢部材216、電極217及び作動部材218が設けられている。
第1部材205の上端部は例えばパイプ状に構成され、その内部には、ヘッド本体201の外部より液体が供給される供給流路209が設けられている。第2部材206側に位置する第1部材205の下端部は、貯留室213の上面側を規定し、貯留室213に液体を供給する供給孔210を有する。第2部材206側の下端部からより離れる側に位置する第1部材205の上端部は、保持体202の開口部202aを通してヘッド本体201の外部に延びている。第1部材205には、供給流路209の下流側端部と連通されたオリフィス状の供給孔210が形成されている。押圧方向に直交する貯留室213の一端側に液体を供給する供給孔210の直径は、供給流路209の直径よりも小さく構成されている。第1部材205の下端部には、供給孔210と貯留室213とを相互に接続する供給側凹部が形成されている。供給側凹部は、その断面積が貯留室213に向けて漸増するテーパ状に構成されている。
なお、第1部材205は、シリコンゴムやフッ素ゴム等の弾性と耐薬品性とを有する部材で構成される弾性部材207に対して剛性の高い材質、例えばステンレス鋼で構成されている。第1部材205に関する寸法として、例えば、パイプ状の第1部材205の外形の直径は約5mm、オリフィス状の供給孔210の直径は約0.15mm、供給孔210の長さは約1mm、供給孔210に液体を供給する供給流路209の直径は約1.5mm、供給孔210と貯留室213とを相互に接続する供給側凹部の直径の最大値は約0.5mmに構成されている。
第2部材206は、第1部材205の下端面と対向するようにして、蓄熱体203の底部に取り付けられている。第2部材206の上面には、例えば円形状の貯留室形成用凹部が形成されている。第1部材205の下端面と第2部材206の貯留室形成用凹部とが協働することによって、液体が貯留される貯留室213が形成される。第1部材205の下端面(供給側凹部を含む)は、貯留室213の上面を規定し、第2部材206の貯留室形成用凹部(吐出側凹部を含む)は、貯留室213の下面を規定する。第2部材206の内部には、貯留室213と連通され、押圧方向に直交する貯留室213の他端側より液体を吐出する吐出孔214が形成されている。この吐出孔214は、蓄熱体203の開口部203aを通して外部に露出されている。第2部材206の上端部には、吐出孔214と貯留室213とを相互に接続する吐出側凹部が形成されている。吐出側凹部は、その断面積が貯留室213に向けて漸増するテーパ状に構成されている。
なお、第2部材206は、熱伝導性の高い材質、例えばステンレス鋼及びセラミック材等で構成されている。第2部材206は、蓄熱体203と熱的に接続されている。これにより、加熱部材204により加熱された蓄熱体203の熱が、第2部材206を介して吐出孔214に充填される液体に伝達される。
第2部材206に関する寸法として、例えば、吐出孔214の直径は約0.15mm、吐出孔214の長さは0.03〜0.5mm、吐出孔214と貯留室213とを相互に接続する吐出側凹部の直径の最大値は約1mmに構成されている。
また、貯留室213の直径は、第1部材205の供給側凹部の直径の最大値及び第2部材206の吐出側凹部の直径の最大値よりも大きく構成されている。
弾性部材207は、薄い板状、且つ、押圧方向のXY平面視でリング状に構成されている。この弾性部材207は、第1部材205と第2部材206との間に配置されている。この弾性部材207は、貯留室形成用凹部の外周部に配置されることによって、押圧方向に対して直交する方向において貯留室213の外周部を規定する。押圧方向に対して直交する方向を含む平面における貯留室213の断面形状は、円形状で構成されている。後述するように、弾性部材207が第1部材205により第2部材206側に押圧されて弾性変形した際には、弾性部材207の径方向外側への弾性変形が貯留室形成用凹部の外周部によって規制される。なお、この弾性部材207は、貯留室213内の液体が外部に漏れるのを防止するシール機能をも有している。弾性部材207の寸法として、例えば、厚みtは0.05mm〜0.5mm、外径は5.2〜7mm、内径は0.2〜4.8mmに構成されている。
作動部材218は、例えば積層型の圧電素子で構成されたアクチュエータである。作動部材218の中央部には貫通孔が設けられ、この貫通孔には第1部材205が挿入されている。これにより、作動部材218は、第1部材205の周囲を取り囲むようにして、ヘッド本体201の内部に配設されている。作動部材218の上端部は、第1部材205の外周面に接着剤等により強固に固定されている。作動部材218の下端部は、第2部材206の上面に弾性部材207の一部を介して接触されている。作動部材218の上端部と保持体202の下面との間には皿ばね等で構成された付勢部材216が配置されており、この付勢部材216の付勢力によって、作動部材218の下端部が第2部材206の上面に押し当てられる。付勢部材216が作動部材218の上端部を押圧する力は、例えば約20kgfである。
作動部材218の外周部には、電極217が配設されている。この電極217に電圧が印加されたときには、作動部材218は全体として、Z軸方向に伸長される伸長状態に保持される。このとき、第1部材205は、作動部材218の伸長力によって、押圧方向において第2部材206に離隔する向きに変位される。電極217への電圧の印加が解除されたときには、作動部材218は全体として、Z軸方向に収縮される収縮状態に保持される。このとき、第1部材205は、作動部材218の収縮及び付勢部材216の付勢力によって、押圧方向において第2部材206から相対的に近接する向きに変位される。なお、作動部材218が伸長又は収縮した際における、第1部材205の押圧方向における変位量は、例えば約10μmである。
図4に示すように、本実施の形態の液体吐出装置10は、さらに、大気圧以上の圧力を有する液体を押圧して液体吐出ヘッド20の供給流路209に液体を供給する液体供給装置30と、液体吐出ヘッド20の作動部材218の動作を制御する作動制御部111と、を備えている。
作動制御部111は、作動部材218の電極217に印加される電圧を制御する。液体吐出ヘッド20から液体を吐出するときには、作動制御部111は、電極217に印加された電圧を解除する。液体吐出ヘッド20から液体を吐出しないときには、作動制御部111は、電極217に電圧を印加する。従って、作動制御部111が所定のサイクルで作動部材218の電極217に対する電圧の印加と解除とを繰り返すことにより、液体吐出ヘッド20からの液体の吐出が上記所定のサイクルで行われる。
液体供給装置30は、液体を押圧して液体吐出ヘッド20に供給する装置であって、液体を貯留するシリンジ112と、シリンジ112内の液体を押圧する空間としての圧力調整室113に接続されて圧力調整室113への圧縮空気の供給と圧力調整室113からの圧縮空気の排出とを行う給排気手段としての切替弁122、エアー源117、給気抵抗設定部118、切替弁122及び排気抵抗設定部119とを備え、給排気手段は、圧縮空気の供給及び排出により圧力調整室113に対する空気圧を調整することで液体の液面を押圧し、給排気手段は、圧力調整室113から圧縮空気を排出するときの排気抵抗を設定する排気抵抗設定部119と、圧力調整室113に圧縮空気を供給するときの給気抵抗を設定する給気抵抗設定部118とを給排気抵抗設定手段として有する。
排気抵抗設定部119は、液体の供給毎の圧力調整室113に対する空気圧の圧力の積分値が同様になるように排気抵抗を設定する。
給気抵抗設定部118は、液体の供給毎の圧力調整室113に対する空気圧の圧力の積分値が同様になるように給気抵抗を設定する。
液体供給装置30は、さらに、シリンジ112内の圧力調整室113と接続されて給排気手段により給気及び排気が行われるダミーエアー容量120を備える。
液体供給装置30は、さらに、シリンジ112内の圧力調整室113に対する空気圧を検知する検知手段としての圧力センサ121を備える。
以下、液体供給装置30について詳細に説明する。
液体供給装置30は、シリンジ112と、ピストン115と、エアー源117と、給気抵抗設定部118と、排気抵抗設定部119と、ダミーエアー容量120と、圧力センサ121と、切替弁122及び123とを備える。シリンジ112と、エアー源117と、給気抵抗設定部118と、排気抵抗設定部119と、ダミーエアー容量120と、圧力センサ121と、切替弁122及び切替弁123は、エアパイプ等のエア経路により互いに接続されている。
シリンジ112は、円筒状の容器であり、その内部には、液体吐出ヘッド20に供給される液体が貯留されている。シリンジ112の下端部には、シリンジ112内の液体が吐出される吐出孔が設けられている。この吐出孔は接続チューブを介して液体吐出ヘッド20の第1部材205の供給流路209に接続されている。
ピストン115は、円柱状で剛体状のフロートであり、シリンジ112の内部に摺動自在に設けられており、シリンジ112内の液体を押し出す。このピストン115によって区画されたシリンジ112の内部の空間のうちシリンジ112の吐出孔と連通された下部空間は、液体が充填された液体室114となっている。一方、ピストン115によって区画されたシリンジ112の内部の空間のうち液体室114と反対側の上部空間は、圧縮空気が供給及び排出されて空気圧が調整される圧力調整室113となっている。圧力調整室113に対する空気圧によりピストン115が押圧される。
液体室114には、予め液体が充填されており、シリンジ112の吐出孔が連通されている。圧力調整室113には、エアー源117より供給された圧縮空気が充填される。液体室114の液体は、その液面がピストン112により押圧されることによりシリンジ112の吐出孔から吐出され、シリンジ112の吐出孔から吐出された液体室114の液体は、供給流路209に供給される。
なお、図4では、シリンジ112は、液体吐出ヘッド20より高い位置に配置されているが、液体吐出ヘッド20より低い位置に配置されていてもよい。これにより、液体供給装置30から液体吐出ヘッド20への液体の大気圧以上での加圧供給が容易なことや、液体吐出ヘッド20より液体が吐出される吐出孔214の液だれを防止するために、負圧源(図示せず)から圧力調整室115への負圧の印加を不要とすることが可能である。
エアー源117は、エアーコンプレッサや工場正圧エアー源からなり、給気抵抗設定部118及び切替弁122を介して圧力調整室113と接続されており、圧縮空気を圧力調整室113に供給している。給気抵抗設定部118は、切替弁122を介して圧力調整室113と接続されている。
エアー源117は、圧力調整室113に対する空気圧が所定の一定圧になるまで一定圧の圧縮空気を圧力調整室113に供給し、圧力調整室113に対する空気圧が所定の一定圧になるように供給する。圧力調整室113に供給された圧縮空気の圧力によって、ピストン115が液体室114に向かって摺動し、この摺動によって液体室114内の液体が加圧され、液体の圧力は大気圧よりも大きい一定の圧力となる。このように大気圧以上の圧力を有する液体は、接続チューブを通して第1部材205の供給流路209に供給される。
給気抵抗設定部118は、切替弁122と接続されたエア経路(給気経路)に取り外し可能な状態で設けられ、長さ及び径を設定可能なチューブや、給気経路に接続され、給気の径を設定可能なしぼり弁、並びに給気経路に接続され、給気の径が可変なしぼり弁等である。給気抵抗設定部118は、エアー源117による圧縮空気の供給に対して抵抗(負荷)となる給気抵抗(流路抵抗)として働き、圧力調整室113への圧縮空気の供給速度及び供給量を所定の値に設定している。例えば、給気抵抗設定部118が長さを設定可能なチューブである場合、給気抵抗設定部118の給気抵抗を高くするためにチューブの長さが長くされる。
排気抵抗設定部119は、切替弁122を介して圧力調整室113と接続されている。排気抵抗設定部119は、大気開放のエア経路(排気経路)と接続されており、圧力調整室113からの圧縮空気は排気抵抗設定部119を介して排出される。
排気抵抗設定部119は、切替弁122と接続されたエア経路(排気経路)に取り外し可能な状態で設けられ、長さ及び径を設定可能なチューブ、排気経路に接続され、排気の径を設定可能なしぼり弁、並びに排気経路に接続され、排気の径が可変なしぼり弁等である。排気抵抗設定部119は、圧力調整室113からの圧縮空気の排出に対して抵抗(負荷)となる排気抵抗(流路抵抗)として働き、圧力調整室113からの圧縮空気の排出速度及び排出量を所定の値に設定している。例えば、排気抵抗設定部119が長さを設定可能なチューブである場合、排気抵抗設定部119の排気抵抗を高くするためにチューブの長さが長くされる。
ここで、エアー源117及び給気抵抗設定部118により圧力調整室113に圧縮空気を供給した後、切替弁122及び排気抵抗設定部119により供給された圧縮空気を圧力調整室113から排出する一連の動作を1回の液体の供給動作とする。言い換えると、圧力調整室113に対する空気圧が大気圧から上昇して一定の空気圧となり、一定の空気圧が維持された後、再び大気圧に戻ることにより、液体室114の液体の液面を押圧して液体供給装置30から供給させる動作を1回の液体の供給動作とする。このとき、給気抵抗設定部118の給気抵抗(給気抵抗値)及び排気抵抗設定部119の排気抵抗(排気抵抗値)は、それぞれの液体の供給動作における液体の供給量が同じになるように設定される。例えば、給気抵抗及び排気抵抗は、次のように設定が行われる。すなわち、まず液体供給装置30により液体がシリンジ112の液体室114に最初に貯留している量の状態(液体の初期貯留量)で最初に供給されるときの液体の供給量(初期供給量)、つまり圧力調整室113の容積が小さいときの液体の供給量が導出される。また、液体供給装置30により複数回の液体の供給が行われた後で(シリンジ112の液体室114に液体が最後に貯留している量の状態(液体の最後貯留量)で)最後に液体を供給するときの液体の供給量(最後供給量)、つまり圧力調整室113の容積が大きいときの液体の供給量が導出される。そして、これら圧力調整室113の容積が小さいときの液体の供給量と圧力調整室113の容積が大きいときの液体の供給量とが同じになるように、給気抵抗及び排気抵抗が設定される。なお、給気抵抗及び排気抵抗の設定では、エアー源117による給気の条件(圧縮空気の供給速度及び供給量)と、大気開放のエア経路の排気の条件(圧縮空気の排気速度及び排気量)とが一定であることが前提とされる。
切替弁122は、エアー源117及び給気抵抗設定部118と圧力調整室113とを接続し、かつ排気抵抗設定部119とシリンジ112の圧力調整室113とを接続するエア経路に設けられる弁体である。切替弁122は、圧力調整室113に圧縮空気を導入するか否か、圧力調整室113の圧縮空気を排出するか否かを弁の開閉で制御できるものとなっている。切替弁122は、3ポート弁となっており、エアー源117及び給気抵抗設定部118と圧力調整室113とを接続するか、又は排気抵抗設定部119と圧力調整室113とを接続するかを選択的に切り替えている。切替弁122を閉の状態とすれば、エアー源117から圧力調整室113に供給される圧縮空気が遮断されるとともに、圧力調整室113が排気抵抗設定部119と連通して圧力調整室113の圧縮空気が排気抵抗設定部119を介して大気開放される。一方、切替弁122を開の状態とすれば、圧縮空気の大気開放の経路が遮断されるとともに、圧力調整室113がエアー源117及び給気抵抗設定部118と連通して圧力調整室113に圧縮空気が供給される。
圧力センサ121は、切替弁122と圧力調整室113との間に接続されており、圧力調整室113に対する空気圧を測定する。液体供給装置30による液体の供給量は、圧力センサ121による圧力調整室113に対する空気圧の時間変化の測定結果から求められ、例えば圧力調整室113に対する空気圧を時間積分して導出される。
ダミーエアー容量120は、例えば空気を貯留可能な容器等であり、エアー源117より供給された圧縮空気が充填される。ダミーエアー容量120は、大気開放のためのリーク弁が接続されており、液体が初期に供給される際の、液体室114に初期に貯留している液体の容積である液体室114の初期容積と略同一の容積を持っている。ダミーエアー容量120は、切替弁123を介して圧力調整室113と接続されている。
なお、ダミーエアー容量120の容積は、液体室114の初期容積と略同一の容積であるとしたが、液体供給装置30で液体の供給による液体室114の液体の最大減少量が想定されている場合には、その最大減少量に対応する容積(液体が最後に供給される前に液体室114に最後に貯留している液体の容積である液体室114の最後容積)と略同一であるようにされてもよい。例えば、液体供給装置30による液体の供給が行われていない最初の状態で、液体室114の液体の量が5ccであり、液体の供給により最大1ccまで液体室114の液体の量が減る場合、ダミーエアー容量120の容積は4ccに対応する容積とされてもよい。
切替弁123は、ダミーエアー容量120と圧力調整室113とを接続するエア経路に設けられる弁体であり、ダミーエアー容量120に圧縮空気を導入するか否かを弁の開閉で制御できるものとなっている。切替弁123は、2ポート弁となっており、ダミーエアー容量120と、圧力調整室113とともに、エアー源117、給気抵抗設定部118及び排気抵抗設定部119とを接続するか否かを選択的に切り替えている。切替弁122を開の状態にして圧力調整室113とエアー源117とを連通させた状態において、切替弁123を閉の状態とすれば、エアー源117からダミーエアー容量120に供給される圧縮空気が遮断される。一方、切替弁122を開の状態とすれば、ダミーエアー容量120が圧力調整室113とともに、エアー源117及び給気抵抗設定部118と連通してエアー源117からダミーエアー容量120に圧縮空気が供給される。
ここで、ダミーエアー容量120は、液体供給装置30で液体が供給されていない状態において、擬似的に複数回の液体の供給が行われた状態(液体室114が押圧されて最後の液体がシリンジ112より吐出されて供給される前のシリンジ112の液体の貯留量に相当する液体室114の容積である最後容積における状態)を作るために用いられる。この擬似的状態は、切替弁122によりダミーエアー容量120を圧力調整室113と接続することにより実現される。これにより、液体供給装置30のシリンジ112で最後の液体供給時の液体が供給されていない状態においてでも、簡易に給気抵抗設定部118の給気抵抗及び排気抵抗設定部119の排気抵抗を設定することが可能になる。ダミーエアー容量120を用いた設定では、まずダミーエアー容量120を圧力調整室113と接続した状態での1回の液体の供給動作における液体の供給量が導出される。また、ダミーエアー容量120を圧力調整室113に接続しない状態での1回の液体の供給動作における液体の供給量が導出される。そして、これらダミーエアー容量120を接続した状態での供給量とダミーエアー容量120を接続しない状態での供給量とが同じになるように、給気抵抗及び排気抵抗が設定される。
なお、切替弁123は、給気抵抗及び排気抵抗の設定において使用されるものであり、応答性は要求されないため、流量の大きいものとすることができる。
次に、本実施の形態の液体供給装置30による液体供給方法について説明する。図5は、液体供給装置30における液体供給方法及び液体吐出ヘッド20による液体吐出方法を示すフローチャートである。図6A〜図6Cは、液体供給装置30の圧力調整室113に対する空気圧の時間変化を示す図である。
液体供給装置30による液体供給方法は、エアー源117及び給気抵抗設定部118により、圧力調整室113に圧縮空気を供給した後、切替弁122及び排気抵抗設定部119により供給された圧縮空気を圧力調整室113から排出する一連の動作を1回の液体の供給動作とし、それぞれの液体の供給動作における液体の供給量が同じになるように、排気抵抗設定部119の排気抵抗と給気抵抗設定部118の給気抵抗とを設定する設定ステップ(ステップS1)と、設定ステップにて、給気抵抗が設定された給気抵抗設定部118及び排気抵抗が設定された排気抵抗設定部119とにより圧縮空気の供給及び排出を行い、圧縮空気の供給及び排出により圧力調整室113に対する空気圧を調整することで液体の液面を押圧する押圧ステップ(ステップS2,S3)とを含む。
ここで、設定ステップでは、圧力調整室113にダミーエアー容量120を接続した状態での1回の液体の供給動作における液体の供給量と、圧力調整室113にダミーエアー容量120を接続しない状態での1回の液体の供給動作における液体の供給量とが同様になるように排気抵抗設定部119の排気抵抗と給気抵抗設定部118の給気抵抗とを設定する。
以下、液体供給装置30による液体供給方法について詳細に説明する。
まず、液体供給装置30において、液体吐出ヘッド20への液体の供給が開始される前に、排気抵抗設定部119の排気抵抗と給気抵抗設定部118の給気抵抗とを設定する(ステップS1)。このとき設定される排気抵抗及び給気抵抗と、圧力調整室113の容積と、エアー源117による圧縮空気の供給条件と、リーク弁の排気条件とに応じて、液体供給装置30での1回の供給動作における微小量(例えば500nl以下、好ましくは0.1nl〜200nl)の液体供給の液体の供給量が変化する。
ここで、排気抵抗及び給気抵抗は、液体供給装置30で液体の供給が進んで液体室114の液体の量が減り、相対的に圧力調整室113の容積が大きくなっても液体の供給量が変化しないように設定される。具体的には、ダミーエアー容量120を圧力調整室113に接続した状態での液体の供給量とダミーエアー容量120を圧力調整室113に接続しない状態での液体の供給量とが同様になるように、給気抵抗及び排気抵抗が設定される。そして、設定された給気抵抗及び排気抵抗は、液体供給装置30で複数回の液体の供給が行われている期間にわたってそのままの値で維持される。例えば、圧力調整室113に対する空気圧が設定値に到達する最大のときの圧力値を1(100kPa)とし、大気圧のときの圧力値を0として、ダミーエアー容量120を圧力調整室113に接続した状態(図6A及び図6Bの実線)とそうでない状態(図6A及び図6Cの破線)とで液体を押圧する空間である圧力調整室113に対する空気圧が図6A〜図6Cに示すような時間変化を示し、その圧力の立ち上りや立ち下りが調整されて、実線と破線の圧力の面積(積分値X0、X1)が同様になるように給気抵抗及び排気抵抗が設定される。図6A〜図6Cにおいて、実線と破線とで積分値X0、X1は略等しいため、図6A〜図6Cは、ダミーエアー容量120を圧力調整室113に接続した状態とそうでない状態とで液体供給装置30のシリンジ112からの液体の供給量が略等しいことを示している。
なお、液体供給装置30により供給される液体が蛍光体の沈降等により粘度増加し易いものであることも考えられる。この場合には、ダミーエアー容量120を圧力調整室113に接続した状態での液体の供給量がダミーエアー容量120を圧力調整室113に接続しない状態での液体の供給量に比較して、時間経過による液体の粘度の増加を考慮し、少し多くなるように(相対的に多くなるように)、給気抵抗及び排気抵抗が設定されることが好ましい。
また、給気抵抗及び排気抵抗の設定において、圧力調整室113に対する空気圧の時間変化が導出されるが、液体の自重を考慮して空気圧の時間変化を導出してもよい。例えば、ダミーエアー容量120を圧力調整室113に接続しない状態では空気圧の実測値をそのまま用いて時間変化を導出し、ダミーエアー容量120を圧力調整室113に接続した状態では実測値より低くした空気圧を用いて時間変化を導出してもよい。
次に、液体室114内の液体を液体供給装置30から吐出させて液体供給装置30による液体吐出ヘッド20への液体の供給を開始する(ステップS2)。液体供給装置30による液体の供給は、圧力調整室113に圧縮空気が供給され、圧力調整室113の空気圧が高まり、液体室114内の液体の液面が押圧されることにより行われる。そして、このときの押圧は、給気抵抗設定部118及び切替弁122を介してエアー源117から所定の圧力の圧縮空気を圧力調整室113に供給し、一定期間維持した後、排気抵抗設定部119及びリーク弁を通じて圧力調整室113の圧縮空気をリークさせることにより行われる。つまり、所定の圧力の圧縮空気を圧力調整室113に供給し、圧力調整室113に対する空気圧を上昇させて一定の空気圧とし、その一定の空気圧で一定期間維持した後、圧力調整室113の圧縮空気をリークさせて再び大気圧に戻すことにより行われる。なお、液体供給装置30による液体の供給では、切替弁123は閉の状態とされており、エアー源117からの圧縮空気はダミーエアー容量120に供給されない。また、空気圧を上昇させて一定の空気圧とし、その一定空気圧で一定期間維持するとしたが、必ずしもこれに限定されず、例えば所定の空気圧の圧縮空気を圧力調整室113に一定期間供給した後、圧力調整室113の圧縮空気をリークさせて再び大気圧に戻すことにより行われるものであってもよい。
次に、液体吐出ヘッド20による貯留室213内の液体の吐出を開始する(ステップS3)。液体吐出ヘッド20による液体の吐出は、次の動作により実現される。まず、作動制御部111が作動部材218の電極217への電圧の印加を解除することにより、作動部材218は、付勢部材216の付勢力を受けて伸長状態から収縮状態に変位される。これにより、第1部材205は、作動部材218の収縮力によって弾性部材207を介して第2部材206側に向けて押圧されるので、第1部材205は、第2部材206に対して押圧方向の近接する向きに所定の変位量(例えば、約10μm)だけ相対的に変位される。この状態では、弾性部材207は、第1部材205により第2部材206側に押圧されて弾性変形し、第1部材205は、貯留室213内の液体を押圧する。これにより、貯留室213の容積が減少するので、貯留室213内の液体に圧力が加わり、貯留室213内の液体が吐出孔214より液滴状に吐出される。次に、液体の吐出が完了した際には、作動制御部111による作動部材218の電極217に電圧を印加することにより、作動部材218は、収縮状態から伸長状態に変位される。これにより、第1部材205は、付勢部材216の付勢力に抗して第2部材206に対して押圧方向の離隔する向きに相対的に変位され、第1部材205による液体の吐出のための弾性部材207の押圧が解除される。弾性部材207の弾性変形が復元されることにより、貯留室213の容積が増大する。これにより、貯留室213内の液体に作用する圧力が低下し、供給流路209内の液体が第1部材205の供給孔210を通して貯留室213に供給される。液体吐出ヘッド20による液体の吐出では、上記した貯留室213からの液体の吐出及び貯留室213への液体の供給動作が繰り返される。これにより、液体が被吐出物109上にドット状に付着し、例えば被吐出物109上に所望のパターン(形状)又は薄膜等を形成することができる。
なお、液体吐出ヘッド20による液体の吐出が所定回数(例えば1万回)行われた後、液体室114内の液体を液体供給装置30から吐出させて液体供給装置30から液体吐出ヘッド20への2回目の液体の供給が行われる。液体供給装置30による2回目の液体の供給は、ステップS2と同様に液体室114内の液体の液面を押圧することにより行われる。その後、再び所定回数の液体の吐出が行われた後で液体の供給が行われ、以降この液体の吐出及び供給が繰り替えされる。なお、液体吐出ヘッド20に対して液体供給装置30が液体を供給するタイミングは、液体吐出ヘッド20で吐出が1回行われる毎であってもよい。
次に、排気抵抗設定部119の排気抵抗及び給気抵抗設定部118の給気抵抗と、液体供給装置30による液体の供給量との関係について、図7A〜図7Gを用いて説明する。
図7A〜図7Gは、液体供給装置30の圧力調整室113に対する空気圧の時間変化のシミュレーション結果(実験値)を示す図である。
なお、図7A〜図7Gでは、シリンジ112に液体が満タンな状態(液体の初期貯留量)で圧力調整室(シリンジエアー量)113の容積が1ccであり、シリンジ112に液体がほとんど無い状態(液体の最後貯留量)で圧力調整室113の容積が6ccであり、それらの中間の状態で圧力調整室113の容積が3.5ccであるとして各状態での時間変化を個別に示している。そして、図7A〜図7Gの図中の面積計算は、それぞれ圧力調整室113の容積が1ccの状態での空気圧の時間変化の時間積分値である面積を1として、圧力調整室113の容積が3.5ccの状態の面積及び圧力調整室113の容積が6ccの状態の面積を示し、液体供給装置30のシリンジ112より圧力調整室113のエアーの圧力により押圧されて吐出される液体の供給量を示している。従って、異なる図における1の面積は同じ面積を示していない。
また、図7Aは給気抵抗が1/0.5、排気抵抗が1/0.5のときの時間変化を示している。同様に、図7Bは給気抵抗が1/0.5、排気抵抗が1/0.25のとき、図7Cは給気抵抗が1/0.5、排気抵抗が1のとき、図7Dは給気抵抗が1/0.25、排気抵抗が1/0.5のとき、図7Eは給気抵抗が1、排気抵抗が1のとき、図7Fは給気抵抗が1/0.35、排気抵抗が1/0.35のとき、図7Gは給気抵抗が1/0.25、排気抵抗が1/0.25のときの時間変化を示している。このときの給気抵抗及び排気抵抗の値は、例えば1/0.5という値が圧力差100kpaの時に時間1msの間に0.1ccのエアーが流れるものとして示している。
図7A〜図7Gから、給気抵抗と排気抵抗とをバランスしているときには、圧力調整室113の容積つまりシリンジ112のエアー容量が変化しても液体の供給量は同様になるが、そうでないときには、シリンジ112のエアー容量の変化に伴い液体の供給量が変化することが分かる。具体的に、図7Bのように給気抵抗に対して排気抵抗を大きくしたとき、シリンジ112のエアー容量の増加に伴い液体の供給量が増加するが、図7Cのように給気抵抗に対して排気抵抗を小さくしたとき、シリンジ112のエアー容量の増加に伴い液体の供給量が減少することが分かる。
また、図7Dから、給気抵抗を大きくし過ぎると、空気圧が到達目標値まで届かなくなり、シリンジ112のエアー容量が大きくなると、液体の供給量が減少することが分かる。これは給気抵抗と排気抵抗とをバランスしているときでも同様であり、それは図7A、図7E〜図7Gからも明らかである。つまり、給気抵抗と排気抵抗とをバランスしているときでも、給気抵抗及び排気抵抗を絞り過ぎると、空気圧が到達目標値まで届かなくなり、シリンジ112のエアー容量が大きいと、液体の供給量が減少することが分かる。
以上より、給気抵抗と排気抵抗とを絞り過ぎることなく、同一の値とすることで、圧力調整室113(シリンジエアー量)の容積の変化に対して液体の供給量(面積計算:圧力の時間積分値)を一定できることが分かる。
以上のように、本実施の形態の液体供給装置30によれば、圧力調整室113に対する空気圧によってシリンジ112の液体室114の液体の液面を押圧するため、微小量(例えば500nl以下、好ましくは0.1nl〜200nl)の液体をシリンジ112より供給することができる。また、排気抵抗及び給気抵抗を設定することにより、圧力調整室113の容積によらず液体の吐出量を一定とするもできる。従って、微小な供給量で一定量の液体を供給することが可能な液体供給装置を実現することができる。このとき、単に給気抵抗設定部118及び排気抵抗設定部119を設けるだけであるので、装置の構成は複雑化しない。
また、本実施の形態の液体供給装置30によれば、ダミーエアー容量120を圧力調整室113と接続することにより、圧力調整室113の容積が増加した状態つまりシリンジ112内の液体の量が減った状態を擬似的に作り出することができる。従って、実際にシリンジ112内の液体の量を減らさなくても、ダミーエアー容量120を空間に接続した状態とダミーエアー容量120を空間に接続しない状態とでシリンジ112からの液体の供給量が同じになるように給気抵抗及び排気抵抗を設定することで、給気抵抗及び排気抵抗の設定を行うことができる。その結果、給気抵抗及び排気抵抗の設定が容易な液体供給装置を実現することができる。
また、本実施の形態の液体供給装置30によれば、圧力センサ121により圧力調整室113に対する空気圧の時間変化を検知することができる。従って、液体供給装置30による液体の供給量を実際に測定しなくても、例えば液体を押圧する空間である圧力調整室113に対する空気圧の時間変化から液体の供給量を導出して給気抵抗及び排気抵抗の設定を行うことができる。その結果、給気抵抗及び排気抵抗の設定が容易な液体供給装置を実現することができる。
以上、本発明の液体供給装置、液体吐出装置及び液体供給方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当業者が思いつく各種変形を施したものも本発明の範囲内に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、複数の変形例における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
例えば、上記実施の形態では、給気抵抗設定部118及び排気抵抗設定部119の両方が設けられるとしたが、いずれか1つだけが設けられてもよい。例えば、給気抵抗設定部118及び排気抵抗設定部119のいずれかが、切替弁122と接続され、一定の流路抵抗を持つエアパイプに置き換えられてもよい。この場合、エアー源117が給気抵抗設定部118を介さずに切替弁122と接続される、又は切替弁122が排気抵抗設定部119を介さずに大気開放される。
また、上記実施の形態では、液体供給装置30で液体の供給量を導出するために圧力センサ121が設けられるとしたが、液体の供給量を実測する場合、圧力センサ121は設けられなくてもよい。この場合、図5のステップS1の排気抵抗及び給気抵抗の設定において、液体供給装置30の液体の供給量が実測される。
また、上記実施の形態では、液体供給装置30で液体が供給されていない状態において、擬似的に複数回の液体の供給が行われた状態を作るために、ダミーエアー容量120及び切替弁123が設けられるとした。しかし、図5のステップS1の排気抵抗及び給気抵抗の設定において、液体供給装置30で実際に複数回の液体の供給を行って複数回の液体の供給が行われた状態を作る場合には、ダミーエアー容量120及び切替弁123が設けられなくてもよい。この場合、液体供給装置30でまず液体が供給されていない状態での1回の液体の供給動作における液体の供給量が導出される。また、複数回の液体の供給が行われた状態での1回の液体の供給動作における液体の供給量が導出される。そして、導出された2つの液体の供給量が同じになるように、給気抵抗及び排気抵抗の少なくともいずれかが設定される。
また、上記実施の形態では、液体供給装置30で液体の供給量を導出することにより排気抵抗及び給気抵抗を設定した。しかし、それぞれの1回の液体の供給動作において、液体の供給時の圧力調整室113に対する空気圧が一定の値(空気圧目標値もしくは空気圧目標領域)になるまでの時間上昇率と、液体の供給時の圧力調整室113に対する空気圧が大気圧になるまでの時間減少率とが同様になるように、排気抵抗及び給気抵抗の少なくともいずれかが設定されてもよい。つまり、図6の実線の立ち上りにおける時間変化率と、立ち下りにおける時間変化率とが等しく、かつ図6の破線の立ち上りにおける時間変化率と、立ち下りにおける時間変化率とが等しくなるように排気抵抗及び給気抵抗の少なくともいずれかが設定されてもよい。これにより、液体が供給されていない状態において、圧力調整室113に対する空気圧が一定の値(空気圧目標値もしくは空気圧目標領域)になるまでの時間上昇率と、圧力調整室113に対する空気圧が例えば大気圧になるまでの時間減少率とが同様になるように、排気抵抗及び給気抵抗の少なくともいずれかが設定される。さらに、複数回の液体の供給が行われた状態において、圧力調整室113に対する空気圧が一定の値(空気圧目標値もしくは空気圧目標領域)になるまでの時間上昇率と、圧力調整室113に対する空気圧が例えば大気圧になるまでの時間減少率とが同様になるように、排気抵抗及び給気抵抗の少なくともいずれかが設定される。
また、上記実施の形態では、排気抵抗設定部119及び給気抵抗設定部118は、図8に示されるように、液体の供給時の圧力調整室113に対する空気圧の圧力の立ち上り面積(図8の面積A)と立ち下り面積(図8の面積B)とが同様になるように排気抵抗及び給気抵抗の少なくともいずれかを設定してもよい。言い換えると、設定ステップで、1回の液体の供給動作における圧力調整室113に対する空気圧の圧力の立ち上り面積(図8の面積A)と立ち下り面積(図8の面積B)とが同様になるように排気抵抗及び給気抵抗の少なくともいずれかを設定してもよい。
また、上記実施の形態では、ダミーエアー容量120は、切替弁123から取り外し可能であってもよい。この場合、排気抵抗及び給気抵抗の設定が終わった後、切替弁123を閉の状態にしてダミーエアー容量120が取り外される。
また、上記実施の形態では、エアー源117及び給気抵抗設定部118と圧力調整室113とを接続するエア経路(給気経路)と、排気抵抗設定部119と圧力調整室113とを接続するエア経路(排気経路)とで3ポート弁として1つの切替弁122を共用するとした。これにより、切替弁122による給気経路と排気経路とでの流路抵抗差を低減することができる。しかし、切替弁122による流路抵抗差が小さい場合、切替弁122を2ポート弁として給気経路と排気経路とに別々に設けてもよい。
また、上記実施の形態では、液体に揮発成分が含まれていないような場合、ピストン115を用いずに圧縮空気等により直接に液体を加圧し液体を第1部材205の供給流路209に供給するものであってもよい。