以下、図面を参照して、本発明に係る光制御フィルム、表示装置、および光制御フィルムの製造方法について説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
以下、本発明に係る光制御フィルムを備えた表示装置の第1実施形態について、図1〜図5を用いて説明する。なお、本実施形態では、表示装置として透過型の液晶パネルを備えた液晶表示装置の例を挙げて説明する。
図1は、本実施形態の液晶表示装置を示す模式図である。図1(A)は本実施形態の液晶表示装置1を斜め下方(背面側)から見た斜視図であり、図1(B)は本実施形態の液晶表示装置の断面図である。
本実施形態の液晶表示装置1(表示装置)は、図1(A)、(B)に示すように、バックライト2(光源)と第1偏光板3と液晶パネル4(光変調素子)と第2偏光板5とを有する液晶表示体6(表示体)と、光制御フィルム7(視野角拡大部材、光拡散部材)と、から構成されている。図1(B)では、液晶パネル4を模式的に1枚の板状に図示しているが、その詳細な構造については後述する。観察者は、光制御フィルム7が配置された図1(B)における液晶表示装置1の上側から表示を見ることになる。よって、以下の説明では、光制御フィルム7が配置された側を視認側と称し、バックライト2が配置された側を背面側と称する。
本実施形態の液晶表示装置1においては、指向性の光(照明光)を出射するバックライト2から射出された光を液晶パネル4で変調し、変調した光によって所定の画像や文字等を表示する。また、液晶パネル4から射出された光が光制御フィルム7を透過すると、射出光の角度分布が光制御フィルム7に入射する前よりも広がった状態となって光が光制御フィルム7から射出される。これにより、観察者は広い視野角を持って表示を視認できる。
以下、液晶パネル4の具体的な構成例について説明する。
ここでは、アクティブマトリクス方式の透過型液晶パネルを一例に挙げて説明するが、本発明に適用可能な液晶パネルはアクティブマトリクス方式の透過型液晶パネルに限るものではない。本発明に適用可能な液晶パネルは、例えば半透過型(透過・反射兼用型)液晶パネルや反射型液晶パネルであっても良く、更には、各画素がスイッチング用薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor, 以下、TFTと略記する)を備えていない単純マトリクス方式の液晶パネルであっても良い。
図2は、液晶パネル4の縦断面図である。
液晶パネル4は、図2に示すように、スイッチング素子基板としてのTFT基板9と、TFT基板9に対向して配置されたカラーフィルター基板10と、TFT基板9とカラーフィルター基板10との間に挟持された液晶層11と、を有している。液晶層11は、TFT基板9と、カラーフィルター基板10と、TFT基板9とカラーフィルター基板10とを所定の間隔をおいて貼り合わせる枠状のシール部材(図示せず)と、によって囲まれた空間内に封入されている。
本実施形態の液晶パネル4は、例えばVA(Vertical Alignment, 垂直配向)モードで表示を行うものであり、液晶層11には誘電率異方性が負の垂直配向液晶が用いられる。
TFT基板9とカラーフィルター基板10との間には、これら基板間の間隔を一定に保持するための球状のスペーサー12が配置されている。なお、表示モードについては、上記のVAモードに限らず、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、IPS(In-Plane Switching)モード、FFS(Fringe Field Sweitching)モード等を用いることができる。
TFT基板9には、表示の最小単位領域である画素(図示せず)がマトリクス状に複数配置されている。TFT基板9には、複数のソースバスライン(図示せず)が、互いに平行に延在するように形成されるとともに、複数のゲートバスライン(図示せず)が、互いに平行に延在し、かつ、複数のソースバスラインと直交するように形成されている。
したがって、TFT基板9上には、複数のソースバスラインと複数のゲートバスラインとが格子状に形成され、隣接するソースバスラインと隣接するゲートバスラインとによって区画された矩形状の領域が一つの画素となる。ソースバスラインは、後述するTFTのソース電極に接続され、ゲートバスラインは、TFTのゲート電極に接続されている。
TFT基板9を構成する透明基板14の液晶層11側の面には、半導体層15、ゲート電極16、ソース電極17、ドレイン電極18等を有するTFT19が形成されている。
透明基板14としては、例えばガラス基板を用いることができる。透明基板14上には、例えばCGS(Continuous Grain Silicon:連続粒界シリコン)、LPS(Low-temperature Poly-Silicon:低温多結晶シリコン)、α−Si(Amorphous Silicon:非結晶シリコン)等の半導体材料からなる半導体層15が形成されている。
また、透明基板14上には、半導体層15を覆うようにゲート絶縁膜20が形成されている。ゲート絶縁膜20の材料としては、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、もしくはこれらの積層膜等を用いることができる。ゲート絶縁膜20上には、半導体層15と対向するようにゲート電極16が形成されている。ゲート電極16の材料としては、例えばW(タングステン)/TaN(窒化タンタル)の積層膜、Mo(モリブデン)、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)等が用いられる。
ゲート絶縁膜20上には、ゲート電極16を覆うように第1層間絶縁膜21が形成されている。第1層間絶縁膜21の材料としては、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、もしくはこれらの積層膜等を用いることができる。
第1層間絶縁膜21上には、ソース電極17およびドレイン電極18が形成されている。ソース電極17は、第1層間絶縁膜21とゲート絶縁膜20とを貫通するコンタクトホール22を介して半導体層15のソース領域に接続されている。同様に、ドレイン電極18は、第1層間絶縁膜21とゲート絶縁膜20とを貫通するコンタクトホール23を介して半導体層15のドレイン領域に接続されている。
ソース電極17およびドレイン電極18の材料としては、上述のゲート電極16と同様の導電性材料を用いることができる。第1層間絶縁膜21上に、ソース電極17およびドレイン電極18を覆うように第2層間絶縁膜24が形成されている。第2層間絶縁膜24の材料としては、上述の第1層間絶縁膜21と同様の材料、もしくは有機絶縁性材料を用いることができる。
第2層間絶縁膜24上には、画素電極25が形成されている。画素電極25は、第2層間絶縁膜24を貫通するコンタクトホール26を介してドレイン電極18に接続されている。よって、画素電極25は、ドレイン電極18を中継用電極として半導体層15のドレイン領域に接続されている。画素電極25の材料としては、例えばITO(Indium Tin Oxide、インジウム錫酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxide、インジウム亜鉛酸化物)等の透明導電性材料を用いることができる。
これらの構成によって、ゲートバスラインを通じて走査信号が供給され、TFT19がオン状態となったときに、ソースバスラインを通じてソース電極17に供給された画像信号が、半導体層15、ドレイン電極18を経て画素電極25に供給される。また、画素電極25を覆うように第2層間絶縁膜24上の全面に配向膜27が形成されている。この配向膜27は、液晶層11を構成する液晶分子を垂直配向させる配向規制力を有している。なお、TFTの形態としては、図2に示したボトムゲート型TFTであっても良いし、トップゲート型TFTであっても良い。
一方、カラーフィルター基板10を構成する透明基板29の液晶層11側の面には、ブラックマトリクス30、カラーフィルター31、平坦化層32、対向電極33、配向膜34が順次形成されている。ブラックマトリクス30は、画素間領域において光の透過を遮断する機能を有している。ブラックマトリクス30は、例えばCr(クロム)やCr/酸化Crの多層膜等の金属、もしくはカーボン粒子を感光性樹脂に分散させたフォトレジストで形成されている。
カラーフィルター31には、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色の色素が含まれている。TFT基板9上の一つの画素電極25には、R,G,Bのいずれか一つのカラーフィルター31が対向して配置されている。なお、カラーフィルター31は、R、G、Bの3色以上の多色構成としても良い。
平坦化層32は、ブラックマトリクス30およびカラーフィルター31を覆う絶縁膜で構成されている。平坦化層32は、ブラックマトリクス30およびカラーフィルター31によってできる段差を緩和して平坦化する機能を有している。平坦化層32上には対向電極33が形成されている。対向電極33の材料としては、画素電極25と同様の透明導電性材料が用いられる。また、対向電極33上の全面には、垂直配向規制力を有する配向膜34が形成されている。
図1(B)を参照して、バックライト2は、発光ダイオード、冷陰極管等の光源36と、光源36から射出された光の内部反射を利用して液晶パネル4に向けて射出させる導光板37と、を有している。バックライト2は、光源が導光体の端面に配置されたエッジライト型でも良く、光源が導光体の直下に配置された直下型でも良い。
本実施形態で用いるバックライト2としては、光の射出方向を制御して指向性を持たせたバックライト、いわゆる指向性バックライトを用いることが望ましい。後述する光制御フィルム7の光拡散部にコリメートまたは略コリメートした光を入射させるような指向性バックライトを用いることでボヤケを少なくし、光の利用効率を高めることができる。
上記の指向性バックライト2は、導光板37内に形成する反射パターンの形状や配置を最適化することで実現できる。または、バックライト上にルーバーを配置することで指向性を実現しても良い。また、バックライト2と液晶パネル4との間には、偏光子として機能する第1偏光板3が設けられている。また、液晶パネル4と光制御フィルム7との間には、偏光子として機能する第2偏光板5が設けられている。
次に、本発明の一実施形態である光制御フィルムについて詳細に説明する。
図3(A)は、光制御フィルムを示す断面図である。また、図3(B)は、光制御フィルムを出射面側から見たときの平面図である。
光制御フィルム7は、図1および図3(A)に示すように、光透過性の基材39と、基材39の一面39a(視認側と反対側の面)の一部領域に配された光拡散部40と、この光拡散部40が配された一部領域を除いた残余領域に配された遮光層41と、光拡散部40の傾斜面(外周面)40cおよび遮光層41とで区画された低屈折率部42と、を備えている。
この光制御フィルム7は、図1(B)に示すように、光拡散部40が設けられた側を第2偏光板5に向け、基材39の側を視認側に向けた姿勢で第2偏光板5上に配置されている。即ち、基材39の他面39b側が、液晶表示体6(表示体)からの光(画像光)を観察者に向けて出射させる出射側となる。
光透過性の基材39としては、一般に、熱可塑性ポリマーや熱硬化性樹脂、光重合性樹脂などの樹脂類など光透過性材料が用いられる。アクリル系ポリマー、オレフィン系ポリマー、ビニル系ポリマー、セルロース系ポリマー、アミド系ポリマー、フッ素系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シリコーン系ポリマー、イミド系ポリマー等などからなる適宜な透明樹脂製の基材を用いることができる。例えばトリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム等の透明樹脂製の基材が好ましく用いられる。
基材39は、後述する製造プロセスにおいて、後で遮光層41や光拡散部40の材料を塗布する際の下地となるものであり、製造プロセス中の熱処理工程における耐熱性と機械的強度とを備える必要がある。したがって、基材39としては、樹脂製の基材の他、ガラス製の基材等を用いても良い。
ただし、基材39の厚さは耐熱性や機械的強度を損なわない程度に薄い方が好ましい。その理由は、基材39の厚さが厚くなる程、表示のボヤケが生じる虞があるからである。また、基材39の全光線透過率は、JIS K7361−1の規定で90%以上が好ましい。全光線透過率が90%以上であると、十分な透明性が得られる。本実施形態では、一例として厚さが100μmのPETフィルムを用いる。
光拡散部40は、例えばアクリル樹脂やエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の光透過性および感光性を有する有機材料で構成されている。これら樹脂に重合開始剤、カップリング剤、モノマー、有機溶媒などを混合した透明樹脂製の混合物を用いることができる。さらに、重合開始剤は安定剤、禁止剤、可塑剤、蛍光増白剤、離型剤、連鎖移動剤、他の光重合性単量体等のような各種の追加成分を含んでいてもよい。その他、特許第4129991号記載の材料を用いることができる。また、光拡散部40の全光線透過率は、JIS K7361−1の規定で90%以上が好ましい。全光線透過率が90%以上であると、十分な透明性が得られる。
図1に示すように、光拡散部40を基材39の一面と平行な面(xy平面)で切断したときの水平断面は、例えば円形である。この光拡散部40の直径は例えば20μm程度である。複数の光拡散部40は全て同一の直径であってもよいし、異なる直径のものが混在していても良い。また、光拡散部40の水平断面は、円形以外にも、楕円形、矩形、不定形など、任意の形状をもつように形成することができる。
こうした光拡散部40は、基材39の一面39aに接する光射出端面40aの面積が、液晶表示体6(表示体)と接する光入射端面40bよりも小さく、かつ、基材39から離れるにつれて水平断面の面積が徐々に大きくなっている。また、光拡散部40は光射出端面40aから光入射端面40bに向けて、遮光層41よりも厚みが厚くなるように形成されている。即ち、光拡散部40は、基材39側から見たとき、いわゆる逆テーパ状の円錐台形の形状を有している。
光拡散部40は、光制御フィルム7において光の透過に寄与する部分である。すなわち、光拡散部40に入射した光は、光拡散部40の光射出端面40aから光入射端面40bに向かって広がる、即ち傾斜角度が漸増するテーパ状の傾斜面(外周面)40cで全反射しつつ、光拡散部40の内部に略閉じこめられた状態で導光し、射出される。
図1に示すように、光拡散部40を複数設ける場合、基材39上に点在して配置すればよい。複数の光拡散部40を基材39上に点在して形成することにより、遮光層41は基材39上に一連に繋がった状態で形成される。
また、複数の光拡散部40は、基材39の主面の法線方向から見てランダムに(非周期的に)配置されている。したがって、隣接する光拡散部40間のピッチは一定ではないが、隣接する光拡散部40間のピッチを平均した平均ピッチは25μmに設定されている。
遮光層41は、図1および図3(A)、図3(B)に示すように、基材39の一面39aのうち、光拡散部40が形成された一部領域を除いた残余領域を覆うように形成されている。遮光層41は、一例として、ブラックレジスト等の光吸収性および感光性を有する有機材料で構成されている。遮光層41としては、このほか、Cr(クロム)やCr/酸化Crなど金属単体、金属酸化物、もしくは金属単体と金属酸化物との多層膜等の金属膜、黒色インクに用いられるような顔料・染料、黒色樹脂、多色のインクを混合して黒色インクとしたもの等、遮光性を有する材料を用いていれば良い。
遮光層41の層厚は、光拡散部40の光入射端面40bから光射出端面40aまでの厚み(高さ)よりも小さく設定されている。本実施形態の場合、遮光層41の層厚は一例として150nm程度であり、光拡散部40の光入射端面40bから光射出端面40aまでの高さは一例として25μm程度である。
低屈折率部42は、光拡散部40の傾斜面40cおよび遮光層41とで区画された空間、即ち複数の光拡散部40間の間隙に、光拡散部40よりも屈折率が低い低屈折率材料を充填してなる。こうした低屈折率材料は、光拡散部40の構成材料に応じて選択されれば良いが、例えば気体、一例として空気や、アルゴン、窒素などの不活性ガスを挙げることができる。
なお、基材39の屈折率と光拡散部40の屈折率とは略同等であることが望ましい。その理由は、例えば基材39の屈折率と光拡散部40の屈折率とが大きく異なっていると、光入射端面40bから入射した光が光拡散部40から射出しようとする際に光拡散部40と基材39との界面で不要な光の屈折や反射が生じて、所望の光拡散角度が得られない、射出光の光量が減少する、等の不具合が生じる虞があるからである。
光制御フィルム7は、図1(B)に示したように、基材39が視認側に向くように配置されるため、円錐台状の光拡散部40の2つの対向面のうち、面積の小さい方の面が光射出端面40aとなり、面積の大きい方の面が光入射端面40bとなる。また、光拡散部40の傾斜面40cの傾斜角θ(光射入射端面40bと傾斜面40cとのなす角)は、例えば、41度〜89度の範囲に設定される。一例として、傾斜面40cの傾斜角θは80°に設定される。ただし、光拡散部40の傾斜面40cの傾斜角度は、光制御フィルム7から出射される光を十分に拡散させることが可能な角度であれば、特に限定されない。
本実施形態の場合、隣接する光拡散部40間には空気が介在しているため、光拡散部40を例えばアクリル樹脂で形成したとすると、光拡散部40の傾斜面40cはアクリル樹脂と空気との界面となる。仮に光拡散部40の周囲を他の低屈折率材料で充填したとしても、光拡散部40の内部と外部との界面の屈折率差は、外部にいかなる低屈折率材料が存在する場合よりも空気が存在する場合が最大となる。したがって、Snellの法則より、本実施形態の構成においては臨界角が最も小さくなり、光拡散部40の傾斜面40cで光が全反射する入射角範囲が最も広くなる。その結果、光の損失がより抑えられ、高い輝度を得ることができる。
ただし、光拡散部40の光入射端面40bに対して90度から大きくずれた角度で入射する光は、光拡散部40の傾斜面40cに対して臨界角以下の角度で入射し、全反射することなく光拡散部40の傾斜面40cを透過する。それでも、光拡散部40の形成領域以外の領域に遮光層41が設けられているため、光拡散部40の傾斜面40cを透過した光は遮光層41で吸収される。そのため、表示のボヤケが生じたり、コントラストが低下したりすることはない。しかしながら、光拡散部40の傾斜面40cを透過する光が増えると、光量のロスが生じ、輝度の高い画像が得られない。そこで、本実施形態の液晶表示装置1においては、光拡散部40の傾斜面40cに臨界角以下で入射しないような角度で光を射出するバックライト、いわゆる指向性を有するバックライトを用いることが好ましい。
図33(A)は、指向性バックライトの輝度角度特性を示す図である。この図は、指向性バックライトから出射される光に関して、横軸が出射角度(°)、縦軸が輝度(cd/m2)を示している。今回用いた指向性バックライトは、出射されるほぼ全ての光が出射角度±30°以内におさまっていることが分かる。この指向性バックライトと光制御フィルムを組み合わせることで、ボヤケを少なくし、光の利用効率の高い構成を実現できる。
図33(B)に示すようにθ1 : バックライトからの出射角度, θ2 : 光拡散部40のテーパ角度と定義する。光拡散部40に入射した光Laはテーパ部で全反射を起こし、基材39表面から視認側へ出射されるが、入射角度の大きい光Lbは、テーパ部で全反射せず透過し、入射光の損失が発生する場合がある。
図33(C)にバックライトからの出射角度と臨界角となるテーパ角度の関係を示す。
例えば、バックライトからの出射角度30°の光は、透明樹脂屈折率n=1.6の光拡散部40が57°未満のテーパ角度の場合、テーパ形状で全反射せずに透過し、光の損失が発生する。出射角度±30°以内の光を損失無く、テーパ形状で全反射させるためには、光拡散部40のテーパ角度は57°以上〜90°未満が望ましい。
図3(A)、図3(B)に示すように、本実施形態の光制御フィルム7は、光拡散部40の光出射端面40aにおける表面積をA1、光拡散部40の光入射端面40bにおける表面積をA2、とした時に、式1を満たす形状となるように光拡散部40が形成される。即ち、表面積A1は、1つの(所定面積あたりの)光制御フィルム7における、複数の光拡散部40の光出射端面40aの面積を全て総和した値であればよく、また、面積A2は、1つの(所定面積あたりの)光制御フィルム7における、複数の光拡散部40の光入射端面40bの面積を全て総和した値であればよい。
図3(A)に示すように、バックライト2から液晶パネルを介して光制御フィルム7に入射された光(画像光)Lのうち、光拡散部40の中心に入射した光Lcは、そのまま光拡散部40の内部を直進して透過し、基材39の他面39b(出射面)側から視認者に向けて出射する。この場合、光Lcは、他面39b(出射面)に対して垂直な光(直接透過光)となる。一方、光拡散部40の端部付近の位置、即ち、基材39側から平面視すると遮光層41と重なる位置から入射した光Leは、光拡散部40と低屈折率部42との屈折率差によって光拡散部40の周面で全反射し、他面39b(出射面)に対して所定の角度をもって視認者側へ出射する光(拡散光)となる。
こうした光制御フィルム7では、光拡散部40の周面で全反射されて出射する拡散光(Le)が多いほど、他面39b(出射面)に対して所定の角度をもって広がる光が多いことになり、視野角拡大の効果が大きくなる。即ち、拡散光(Le)が多いほど、他面39b(出射面)に対して垂直方向から傾いた角度から、この出射面を観察した際に、出射光、例えば画像を鮮明に、かつ色再現性が良好な状態で観察できることを示している。
そこで、本発明の本光制御フィルムにおいては、バックライト2から液晶パネルを介して光制御フィルム7に入射された光(画像光)Lのうち、光拡散部40の周面で全反射されて出射する拡散光(Le)を50%以上とすることによって、出射面に垂直な方向から傾いた斜め方向からでも、出射光、例えば画像を鮮明に、かつ色再現性良く観察できることを見出した。このため、光拡散部40の光出射端面40aにおける表面積をA1、光拡散部40の光入射端面40bにおける表面積をA2、とした時に、上述した式1を満たす形状となるように光拡散部40を形成することによって、視認者側に多くの拡散光が全方位にまんべんなく出射されるため、視野角輝度特性が緩やかな光制御フィルム7を得ることができる。
一方、拡散光が50%以下の光制御フィルムの場合には、光拡散層の光拡散性が不十分となり、拡散光の成分が少ないため、液晶表示装置に使用した際には視野角輝度特性が急激に変化し、出射面に対して斜め方向から出射面を監察した際に出射光、例えば画像が暗くなったり、色調に大きな変化が生じるため好ましくない。なお、視野角輝度特性とは、光制御フィルムの出射面に対して垂直な方向(出射面に正対した方向)の輝度に対して、ある角度から見たときの輝度変化の度合いを表している。
例えば、図34に、本実施形態の光制御フィルム、および従来の光制御フィルムにおける視野角輝度特性を示す。この図34(A)に示すグラフは、図34(B)に示すような出射面(画面)に対して方位角90°〜270°における視野角輝度特性を示している。図34(A)に示すグラフによれば、従来技術による光制御フィルムの視野角輝度特性の変化に対して、拡散光がそれぞれ55%、50%である光制御フィルムを表示装置に設けた場合には、輝度変化の傾斜がなだらかとなっていることがわかる。
これに対して、拡散光が45%である光制御フィルムを設けた場合は、従来技術の光制御フィルムよりも急激に視野角輝度特性が変化していることがわかる。つまり、光制御フィルムの拡散光を50%以上とすることによって、従来技術による光制御フィルムよりも視野角輝度特性の変化を改善し、広視野角な表示装置を得ることが可能となることを示している。
また、本実施形態の光制御フィルム7では、光拡散部40内に光Lcが0°の角度で入射した場合において、Lcは光拡散部40を直進して視認者側へ出射される。光拡散部40は光出射端面40aから光入射端面40bに向かうにつれて断面積が広がっており、光拡散部40の端部付近の位置、即ち、基材39側から平面視すると遮光層41と重なる位置から入射した光Leは、傾斜面40cで全反射して光拡散部40の光出射端面40aから視認者側へ拡散されて出射される。
これによって、光制御フィルム7を備えた液晶表示装置1(表示装置)の全光束量とコントラストを低下させることなく、視野角輝度特性を改善することが可能となる。
一例として、図4に示すような、断面が真円を成す円錐台形の光拡散部40に着目して、光の出射条件を示す。この光拡散部40の光出射端面40aにおける直径をL2、光拡散部40の厚みをd、光出射端面40aの外縁と厚みdの中点における垂線との交点までの距離をL1、光拡散部40の傾斜面40cの傾斜角をθとする。
この場合、光拡散部40の光出射端面40aにおける表面積A1は、
A1=π(L2/2)2で示される。
また、光拡散部40の光入射端面40bにおける表面積A2は、
A2=π(2L1+L2/2)2で示される。
光出射端面40aから見て、光拡散部40の厚みdの半分(d/2)以内の傾斜面40cに入射した光Leが、傾斜面40cに対して1回だけ反射して光出射端面40aから出射するには、
L1+L2=(d/2)tan(180−2θ)を満たす必要がある。
一例として、d=20μm、θ=80°とした場合、L1=1.76μm、L2=1.88μm、A1=2.77μm2、A2=62.62μm2となる。
つまり、厚みd/2以下の傾斜面40cに入射した光が光出射端面40aから出射するには、
(A2−A1)/A2×100≦95.58(%)となる必要がある。
上述した実施形態の光制御フィルム7では、基材39の他面39bから直接、視認者に向けて光(画像光)を出射させていたが、基材39の他面39bに重ねて、更に拡散フィルムを設けて、光をより効率的に拡散させ、視野角輝度特性を更に改善する構成も好ましい。
図5(A)、(B)は、第一実施形態の変形例における光制御フィルムの作用を説明する断面図である。
図5(A)に示すように、この光制御フィルム7では、基材39の他面39bに重ねて、更に拡散フィルム(光散乱層)50を形成している。拡散フィルム50は、基材39の他面(視認側の面)39bに粘着層51により固定されている。拡散フィルム50は、例えばアクリル樹脂等のバインダー樹脂の内部に多数のアクリルビーズ等の光散乱体52が分散されて構成されている。当該拡散フィルム50の厚みは一例として20μm程度であり、球状の光散乱体52の球径は0.5〜20μm程度であり、粘着層51の厚みは一例として25μm程度である。なお、拡散フィルム50は、等方拡散材である。拡散フィルム50は、光拡散部40で拡散された光を等方的に拡散しさらに広角に広げる。
なお、光散乱体52は、これに限らず、アクリル系ポリマー、オレフィン系ポリマー、ビニル系ポリマー、セルロース系ポリマー、アミド系ポリマー、フッ素系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シリコーン系ポリマー、イミド系ポリマーなどからなる樹脂片、ガラスビーズ等の適宜な透明の物質で構成されていてもよい。
また、これら透明な物質以外でも、光の吸収の無い散乱体、反射体を用いることができる。あるいは、光散乱体52を光拡散部40内に拡散させた気泡としてもよい。個々の光散乱体52の形状は、例えば、球形、楕円球形、平板形、多角形立方体など、各種形状に形成することができる。光散乱体52のサイズも均一あるいは不均一になるように形成されていればよい。
本実施形態において、拡散フィルム(光散乱層)50は防眩処理層(アンチグレア層)をも兼ねている。防眩処理層は例えば基材39にサンドブラスト処理やエンボス処理等を施すことによって形成することもできるが、本実施形態においては基材39に複数の光散乱体52を含む層を形成することにより防眩処理を施している。この構成によれば、拡散フィルム50が防眩処理層として機能するので、新たに防眩処理層を設ける必要がない。よって、装置の簡素化、薄型化を図ることができる。
なお、本実施形態では、拡散フィルム(光散乱層)50が基材39の他面(視認側の面)39b側に形成されているが、これに限らない。例えば、拡散フィルム(光散乱層)50を基材39の一面39aと光拡散部40との間に拡散フィルム50を設けることも好ましい。この場合、拡散フィルム50自体に剛性を持たせて、基材の機能を兼ねた構成としてもよい。あるいは、粘着層51そのものが光拡散性を有していてもよい。例えば、粘着層51に多数の光散乱体を分散させることにより実現することができる。
粘着層51としては、ゴム系やアクリル系、シリコーン系やビニルアルキルエーテル系、ポリビニルアルコール系やポリビニルピロリドン系、ポリアクリルアミド系やセルロース系等の粘着剤など、接着対象に応じた適宜な粘着性物質を用いることができる。特に、透明性や耐候性等に優れる粘着性物質が好ましく用いる。なお粘着層51は、実用に供するまでの間、セパレータなどを仮着して保護しておくことが好ましい。
本実施形態の場合、光拡散部40の光入射端面40bに対して垂直に入射する光Lcは、光拡散部40で拡散した後、拡散フィルム50でさらに拡散する。このため、拡散フィルム50からは様々な角度の光が射出される。
このように、本実施形態の場合、光制御フィルム7の最表面には拡散フィルム50が配置されているため、光の拡散角度を1つに集中させないようにできる。その結果、光制御フィルム7の光拡散特性をよりなだらかにすることができ、広い視野角で明るい表示が得られる。
また、本実施形態において、光制御フィルム7は、拡散フィルム50が、当該拡散フィルム50の光拡散部40と反対側の面50fから入射し、バインダー樹脂などの基材と光散乱体52との界面で反射、もしくは光散乱体52で屈折して進行方向が変更された光が、前方散乱するように構成されている。
なお、図5(B)において、拡散フィルム50の面50fに向けて入射する外光Lsが拡散フィルム50において前方散乱する光を実線の矢印で示す。比較のため、後方散乱する光を破線の矢印で示したが、この種の光を生じないようにする。このような全反射条件は、例えば、拡散フィルム50に含まれる光散乱体52の粒子の大きさを適宜変更することにより、満足させることができる。
次に、図1に示した光制御フィルムの製造方法について、図6を用いて説明する。
以下では、光制御フィルム7の製造工程を中心に説明する。
最初に、図6(A)に示すように、10cm角で厚さが100μmのポリエチレンテレフタレートの基材39を準備し、スピンコート法を用いて、この基材39の一面に遮光層材料としてカーボンを含有したブラックネガレジストを塗布し、膜厚150nmの塗膜44を形成する。
次いで、上記の塗膜44を形成した基材39をホットプレート上に載置し、温度90℃で塗膜のプリベークを行う。これにより、ブラックネガレジスト中の溶媒が揮発する。
次いで、露光装置を用い、図6(B)に示すように、複数の遮光パターン46が設けられたフォトマスク45を介して塗膜44に光Eを照射し、露光を行う。このとき、波長365nmのi線、波長404nmのh線、波長436nmのg線の混合線を用いた露光装置を使用する。露光量は100mJ/cm2とする。
本実施形態の場合、次工程で遮光層41をマスクとして透明ネガレジストの露光を行い、光拡散部40を形成するため、フォトマスク45の遮光パターン46の位置が光拡散部40の形成位置に対応する。複数の遮光パターン46は全て直径20μmの円形パターンであり、ランダムに配置されている。
そのため、隣接する遮光パターン46間の間隔(ピッチ)は一定でないが、複数の遮光パターン46間の間隔を平均した平均間隔は25μmである。
遮光パターン46の平均間隔は液晶パネル4の画素の間隔(ピッチ)よりも小さいことが望ましい。これにより、画素内に少なくとも1つの光拡散部40が形成されるので、例えばモバイル機器等に用いる画素ピッチが小さい液晶パネルと組み合わせたときに広視野角化を図ることができる。
上記のフォトマスク45を用いて露光を行った後、専用の現像液を用いてブラックネガレジストからなる塗膜44の現像を行い、100℃で乾燥し、図6(C)に示すように、複数の円形の開口部を有する遮光層41を基材39の一面に形成する。円形の開口部は次工程の光拡散部40の形成領域に対応する。
なお、本実施形態では、ブラックネガレジストを用いたフォトリソグラフィー法によって遮光層41を形成したが、この構成に代えて、本実施形態の遮光パターン46と光拡散部とが反転したフォトマスクを用いれば、ポジレジストを用いることもできる。もしくは、蒸着法や印刷法、インクジェット法等を用いてパターニングした遮光層41を直接形成しても良い。
次いで、図6(D)に示すように、スピンコート法を用いて、遮光層41の上面に光拡散部材料としてアクリル樹脂からなる透明ネガレジストを塗布し、膜厚25μmの塗膜48を形成する。次いで、上記の塗膜48を形成した基材39をホットプレート上に載置し、温度95℃で塗膜48のプリベークを行う。これにより、透明ネガレジスト中の溶媒が揮発する。
次いで、基材39側から遮光層41をマスクとして塗膜48に拡散光Fを照射し、露光を行う。このとき、波長365nmのi線、波長404nmのh線、波長436nmのg線の混合線を用いた露光装置を使用する。露光量は600mJ/cm2とする。露光工程では、平行光または拡散光を用いる。また、露光装置から射出された平行光を拡散光Fとして基材39に照射する手段としては、露光装置から射出された光の光路上にヘイズ50程度の拡散板を配置すれば良い。拡散光Fで露光を行うことにより、塗膜48は、遮光層41間の開口部から放射状に露光され、光拡散部40の逆テーパ状の側面が形成される。
その後、上記の塗膜48を形成した基材39をホットプレート上に載置し、温度95℃で塗膜48のポストエクスポージャーベイク(PEB)を行う。
次いで、専用の現像液を用いて透明ネガレジストからなる塗膜48の現像を行い、100℃でポストベークし、図6(E)に示すように、複数の光拡散部40を基材39の一面に形成する。
以上の工程を経て、本実施形態の光制御フィルム7が完成する。なお、上記の例では遮光層41や光拡散部40の形成時に液状のレジストを塗布することとしたが、この構成に代えて、フィルム状のレジストを基材39の一面に貼付するようにしても良い。
この後、表示装置を製造する場合には、上記工程にて完成した光制御フィルム7を、図2に示すように、基材39を視認側に向け、光拡散部40を第2偏光板5に対向させた状態で、光学接着剤等を用いて液晶表示体6に貼付する。
以上の工程により、本実施形態の液晶表示装置1が完成する。
本実施形態の光制御フィルムおよびこれを備えた表示装置によれば、図3(A)に示すように、光拡散部40の端部付近の位置、即ち、基材39側から平面視すると遮光層41と重なる位置から入射した光Leは、傾斜面40cで全反射して光拡散部40の光出射端面40aから視認者側へ、入射する前よりも角度分布が広がった状態で射出される。したがって、観察者が液晶表示体(表示装置)6の正面方向(法線方向)から視線を傾けていっても良好な表示を視認することができる。特に本実施形態の場合、光拡散部40の平面形状が円形であるため、液晶表示体6の画面の法線方向を中心とした全ての方位に角度分布が広がる。そのため、観察者は全ての方位で良好な表示を視認することができる。
即ち、光制御フィルム7は、拡散部40の光出射端面40aにおける表面積をA1、光拡散部40の光入射端面40bにおける表面積をA2、とした時に、式1を満たす形状となるように光拡散部40を形成することによって、光拡散部40の周面で全反射されて出射する拡散光(Le)が高められ、視野角拡大の効果が大きくなる。拡散光(Le)が多いほど、他面39b(出射面)に対して垂直方向から傾いた角度から、この出射面を観察した際に、出射光、例えば画像を鮮明に、かつ色再現性が良好な状態で観察できる。本発明の本光制御フィルムにおいては、バックライト2から液晶パネルを介して光制御フィルム7に入射された光(画像光)Lのうち、光拡散部40の周面で全反射されて出射する拡散光(Le)を50%以上とすることによって、出射面に垂直な方向から傾いた斜め方向からでも、出射光、例えば画像を鮮明に、かつ色再現性良く観察できる。
なお、複数の光拡散部40は、少なくとも一部において連結していても良い。これにより、各光拡散部40が倒れにくくなり、光制御フィルム7の形態安定性が向上する。また、光制御フィルム7に入射した光が遮光層41に吸収される割合が小さくなるため、光の利用効率を更に向上させることができる。
[第1実施形態の第1変形例]
図7は、上記実施形態の液晶表示装置の第1変形例を示す模式図である。図7(A)は本変形例の液晶表示装置1Aの斜視図であり、図7(B)は本変形例の液晶表示装置1Aの断面図である。
上記実施形態では、拡散フィルム50が基材39の他面(視認側の面)に配置されていたが、図7(A)、(B)に示す光制御フィルム7Aのように、拡散フィルム50が基材39の一面(視認側と反対側の面)に配置されていてもよい。すなわち、拡散フィルム50が、光拡散部40よりも光射出側に配置されていればよい。本変形例では、拡散フィルム50が、基材39の一面に粘着層51を介して固定されており、拡散フィルム50の一面(視認側と反対側の面)に光拡散部40および遮光層41が形成された構成としている。
[第2実施形態]
以下、第2実施形態について、図8、図9を用いて説明する。図8は、本発明に係る光制御フィルムを備えた表示装置を斜め上方(視認側)から見た斜視図である。図9(A)は、本実施形態の液晶表示装置の平面図であり、図9(B)は、図9(A)のA−A’線に沿う断面図である。
本実施形態の液晶表示装置201(表示装置)は、図8および図9(B)に示すように、バックライト202(光源)と第1偏光板203と第1位相差板213と液晶パネル204(光変調素子)と第2位相差板208と第2偏光板205とを有する液晶表示体206(表示体)と、光制御フィルム207(視野角拡大部材、光拡散部材)と、から構成されている。
この第2実施形態における光制御フィルム207は、図8および図9(B)に示すように、基材239と、基材239の一面(視認側と反対側の面)に形成された複数の遮光層240と、この遮光層240に重なる部分に配された低屈折率部242と、遮光層240および低屈折率部242からなる柱状体が配された一部領域を除いた残余領域に配された透明樹脂層241(光拡散部)と、から構成されている。
つまり、この第2実施形態では、第1実施形態において光透過領域とされた台形円錐状の光拡散部に相当する部分を、光を透過させない遮光層240を配し、第1実施形態において遮光領域とされた遮光層240の形成部分に相当する領域を、光を透過させる透明樹脂層241(光拡散部)としたものである。
この第2実施形態の光制御フィルム207においても、透明樹脂層241(光拡散部)の光出射端面241aにおける表面積をA1、透明樹脂層241(光拡散部)の光入射端面241bにおける表面積をA2、とした時に、式1を満たす形状となるように透明樹脂層241(光拡散部)が形成される。
即ち、表面積A1は、1つの(所定面積あたりの)光制御フィルム207における、透明な基材39と接する面全体の表面積から複数の遮光層240の面積の総和を引いた残りの面積(透明樹脂層241が出射端側で露呈している面積)である。また、表面積A2は、1つの(所定面積あたりの)光制御フィルム207における、液晶表示体206と接する面全体の表面積から低屈折率部242の露呈面積の総和を引いた残りの面積(透明樹脂層241が入射端側で露呈している面積)である。
このような第2実施形態の光制御フィルム207であっても、前述した式1を満たす形状となるように透明樹脂層241(光拡散部)を形成することによって、拡散光(Le)を50%以上にして、出射面に垂直な方向から傾いた斜め方向からでも、出射光、例えば画像を鮮明に、かつ色再現性良く観察可能な光制御フィルム207を実現することが可能になる。視認者側に多くの拡散光が全方位にまんべんなく出射されるため、視野角輝度特性が緩やかな光制御フィルム7を得ることができる。
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、図10、図11を用いて説明する。
本実施形態の液晶表示装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、基材に光散乱体が含まれている点が第1実施形態と異なるのみである。したがって、本実施形態では、液晶表示装置の基本構成の説明は省略し、光制御フィルムについてのみ説明する。
図10は、本実施形態の液晶表示装置を示す模式図である。図10(A)は本実施形態の液晶表示装置1Bの斜視図であり、図10(B)は本実施形態の液晶表示装置1Bの断面図である。
図11(A)〜(F)は、光制御フィルムを、製造工程順を追って示す断面図である。
図10、図11(A)〜(F)において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
第1実施形態では、拡散フィルム50が基材39の他面(視認側の面)に配置されていた。これに対して、本実施形態の光制御フィルム7Bでは、図10(A)、(B)に示すように、基材に拡散フィルムが配置されておらず、基材そのものが拡散フィルムとして機能する。すなわち、基材50Bの内部に多数の光散乱体52Bが分散されている。
本実施形態の光制御フィルム7Bの製造工程においては、最初に、図11(A)に示すように、内部に多数の光散乱体52Bが分散された基材50Bを準備する。
次いで、図11(B)に示すように、スピンコート法を用いて、この基材50Bの一面に遮光層材料としてカーボンを含有したブラックネガレジストを塗布し、塗膜44を形成する。次いで、上記の塗膜44を形成した基材39をホットプレート上に載置し、塗膜のプリベークを行う。
次いで、露光装置を用い、図11(C)に示すように、複数の遮光パターン46が設けられたフォトマスク45を介して塗膜44に光Eを照射し、露光を行う。
上記のフォトマスク45を用いて露光を行った後、専用の現像液を用いてブラックネガレジストからなる塗膜44の現像を行い、乾燥し、図11(D)に示すように、複数の円形の開口部を有する遮光層41を基材50Bの一面に形成する。円形の開口部は次工程の光拡散部40の形成領域に対応する。
次いで、図11(E)に示すように、スピンコート法を用いて、遮光層41の上面に光拡散部材料としてアクリル樹脂からなる透明ネガレジストを塗布し、塗膜48を形成する。
次いで、上記の塗膜48を形成した基材50Bをホットプレート上に載置し、塗膜48のプリベークを行う。
次いで、基材50B側から遮光層41をマスクとして塗膜48に拡散光Fを照射し、露光を行う。このとき、波長365nmのi線、波長404nmのh線、波長436nmのg線の混合線を用いた露光装置を使用する。露光量は600mJ/cm2とする。露光工程では、平行光または拡散光を用いる。なお、本実施形態では、基材50Bの内部に光散乱体52Bが分散されているので、露光装置から射出された光は基材50Bを通過後に拡散光となって塗膜48に到達する。
そのため、基材50Bを所定のヘイズ値に設定することにより、拡散光Fとして基材50Bに照射する手段として、露光装置から射出された光の光路上に拡散板を配置する必要が無くなる。拡散光Fで露光を行うことにより、塗膜48は、遮光層41間の開口部から放射状に露光され、光拡散部40の逆テーパ状の側面が形成される。
その後、上記の塗膜48を形成した基材50Bをホットプレート上に載置し、塗膜48のポストエクスポージャーベイク(PEB)を行う。
次いで、専用の現像液を用いて透明ネガレジストからなる塗膜48の現像を行い、ポストベークし、図11(F)に示すように、複数の光拡散部40を基材50Bの一面に形成する。
以上の工程を経て、本実施形態の光制御フィルム7Bが完成する。
最後に、完成した光制御フィルム7Bを、図10(B)に示すように、基材50Bを視認側に向け、光拡散部40を第2偏光板5に対向させた状態で、光学接着剤等を用いて液晶表示体6に貼付する。
以上の工程により、本実施形態の液晶表示装置1Bが完成する。
本実施形態の液晶表示装置1Bによれば、基材50Bそのものが拡散フィルムとして機能するので、新たに粘着層や拡散フィルムを設ける必要がない。よって、装置の簡素化、薄型化を図ることができる。また、光制御フィルム7Bの製造工程において基材50Bが拡散板としても機能するので、光拡散部40を形成する際に露光装置から射出された光の光路上に拡散板を配置する必要もない。よって、製造工程の簡略化を図ることができる。
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態について、図12〜図14を用いて説明する。
本実施形態の液晶表示装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、光制御フィルムの光拡散部の構成が第1実施形態と異なるのみである。したがって、本実施形態では、液晶表示装置の基本構成の説明は省略し、光制御フィルムについてのみ説明する。
図12は本実施形態の液晶表示装置を示す模式図である。図12(A)は本実施形態の液晶表示装置1Cの斜視図であり、図12(B)は本実施形態の液晶表示装置1Cの断面図である。
図13(A)、(B)および図14(A)、(B)は光制御フィルムの作用を説明するための図である。
また、図12、図13(A)、(B)、図14(A)、(B)において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
第1実施形態では、複数の光拡散部40は全て同一の寸法であった。これに対して、本実施形態の光制御フィルム7Cでは、図12(A)に示すように、複数の光拡散部40Cの寸法(直径)が異なっている。例えば複数の光拡散部40Cの直径は15〜25μmの範囲で分布している。すなわち、複数の光拡散部40Cが複数種類の寸法を有している。また、複数の光拡散部40Cは、第1実施形態と同様、平面的にランダムに配置されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
本実施形態の場合、図13(A)、図14(A)に示すように、光拡散部40Cのxy平面における断面形状は第1実施形態の光拡散部40(図13(B)、図14(B)参照)と同様の円形である。したがって、xz平面内において光制御フィルム7Cが光の角度分布を拡大する作用も第1実施形態と同様である。ところが、第1実施形態では複数の光拡散部40が全て同一の寸法であったのに対し、図13(A)、図14(A)に示すように、本実施形態では複数の光拡散部40Cの寸法が異なっている。図13(B)に示すように、光拡散部40が一定形状であると、光透過部分(光拡散部)の割合を増やすために光拡散部のピッチを狭めても、遮光部分(遮光層)が広く残る。その結果、遮光層で遮光される光の割合が大きくなる。
また、図14(B)に示すように、一定形状の光拡散部40をランダムに配置すると、複数の光拡散部40が直線に並んでしまう部分が生じる。これに対し、図14(A)に示すように、サイズの異なる形状の光拡散部40Cをランダムに配置すると、複数の光拡散部40Cが直線に並ぶ割合が少なくなる。
つまり、複数の光拡散部の寸法を複数の種類としたり、ランダムに変えたりすることで、例えば径が大きい円形の光拡散部の間を径が小さい円形の光拡散部で埋めるなどして、光拡散部の配置密度を高めることができる。その結果、遮光層で遮光される光の割合を小さくし、光の利用効率を高めることができる。
本実施形態の液晶表示装置1Cによれば、複数の光拡散部40Cがランダムに配置されていることに加え、光拡散部40Cの大きさも異なるため、光の回折現象によるモアレ縞を抑制しつつ、第1実施形態と同様に視野角輝度特性の変化を少なくして視野角を拡大することができる。
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態について、図15〜図17を用いて説明する。
本実施形態の液晶表示装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、光制御フィルムの光拡散部の形状が第1実施形態と異なるのみである。したがって、本実施形態では、液晶表示装置の基本構成の説明は省略し、光制御フィルムについてのみ説明する。
図15は本実施形態の液晶表示装置を示す断面図である。
図16(A)は本実施形態の光制御フィルム7Dの断面図であり、図16(B)は、光制御フィルムの製造に用いるフォトマスクを示す平面図である。
図17は、本実施形態の光制御フィルムの製造方法を説明するための図である。
また、図15、図16(A)、(B)、図17において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
第1実施形態では、複数の光拡散部は全て同一の形状であった。これに対して、本実施形態の光制御フィルム7Dでは、図15および図16(A)に示すように、複数の光拡散部40Dにおいて、光射出端面40Daの寸法(遮光層41Dの開口部の寸法)が異なり、側面40Dcの傾斜角度も異なっている。すなわち、複数の光拡散部40D全体を見ると、複数の光拡散部40Dの光射出端面40Daが複数種類の寸法を有し、複数の光拡散部40Dの側面40Dcが複数種類の傾斜角度を有している。また、複数の光拡散部40Dで側面40Dcの傾斜角度が異なることに伴って、光入射端面40Dbの寸法も異なっている。その他の構成は第1の実施形態と同様である。
図16(B)に示すように、遮光層41の形成時に用いるフォトマスク69は、複数の遮光パターン70の寸法が異なり、直径が5〜25μmの範囲で分布している。このフォトマスク69を用いて遮光層41Dを形成すると、複数の開口部の寸法が異なる遮光層41Dが得られる。その後、図17(A)に示すように、遮光層41Dをマスクとして基材39側から透明ネガレジストからなる塗膜48の露光を行うと、図17(A)の符号Aで示した箇所のように、遮光層41Dの開口部41Daの寸法が大きい箇所では拡散光Fのうち、基材39に対して大きな入射角で入射する光が遮光層41Dによって遮光されにくい。そのため、この箇所では基材39に対して大きな入射角で入射する光が塗膜48の露光に寄与するため、図17(B)に示すように、光拡散部40Dの側面40Dcの傾斜角度が急になる。
一方、図17(A)の符号Bで示した箇所のように、遮光層41Dの開口部41Daの寸法が小さい箇所では大きな入射角で入射する光が遮光層41Dによって遮光されやすい。そのため、この箇所では基材39に対して大きな入射角で入射する光が塗膜48の露光に寄与できないため、図17(B)に示すように、光拡散部40Dの側面40Dcの傾斜角度が緩やかになる。
このように、遮光層41Dの開口部41Daの寸法を異ならせることによって光拡散部40Dの光射出端面40Daの寸法を異ならせるばかりでなく、側面40Dcの傾斜角度も異ならせることができる。勿論、第1実施形態のように、拡散光の拡散角度を場所によって変化させても良い。
本実施形態の液晶表示装置1Dによれば、複数の光拡散部40Dの側面40Dcの傾斜角度が互いに異なっているので、光の全反射角度の範囲を、側面40Dcの傾斜角度が異なる複数の光拡散部40Dの間で補間し合って広げることができる。その結果、角度を変えて液晶表示装置1Dを観察した際に観察角度に応じて輝度がなだらかに変化し、視野角輝度特性を一層向上させることが可能になる。
なお、本実施形態では、光拡散部40Dの側面40Dcの傾斜角度を複数種類としたため、輝度がなだらかに変化して好ましい。ただし、少なくとも一部の光拡散部の傾斜角度を他の光拡散部と異ならせ、2種類の傾斜角度を設定するだけでも、視野角輝度特性の向上効果は得られる。
[第6実施形態]
以下、本発明の第6実施形態について、図18、図19を用いて説明する。
本実施形態の液晶表示装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、光制御フィルムの光拡散部の形状が第1実施形態と異なるのみである。したがって、本実施形態では、液晶表示装置の基本構成の説明は省略し、光制御フィルムについてのみ説明する。
図18は本実施形態の液晶表示装置を示す断面図である。
図19は本実施形態の光制御フィルムの断面図である。
なお、図18、図19において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
上記の第1実施形態においては、一つの光拡散部に着目したときに、光拡散部の側面は一定の傾斜角度を有していた。これに対して、本実施形態の光制御フィルム7Eは、図18および図19に示すように、各光拡散部40Eの側面40Ecが光射出端面40Eaから光入射端面40Ebにかけて凸状になだらかに湾曲しており、傾斜角度が場所によって異なっている。その他の構成は第1の実施形態と同様である。
本実施形態の液晶表示装置1Eにおいても、視野角輝度特性をなだらかにするとともに、モアレも防止して表示品位を維持できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、光拡散部の側面の傾斜角度が一定である場合、画面の水平方向もしくは垂直方向に沿って観察角度を変えたときに、観察角度によっては表示ムラが視認される場合がある。この表示ムラ対策として、第4実施形態では複数の光拡散部全体で側面が複数種類の傾斜角度を有していた。これに対して、本実施形態の光制御フィルム7Eでは、個々の光拡散部40Eにおいても、側面40Ecの場所によって傾斜角度が異なっているため、側面の傾斜角度が一定である場合に比べて光の反射角度分布が広がる。これにより、観察角度に応じて輝度がなだらかに変化し、視野角輝度特性を向上できる。
[第7実施形態]
以下、本発明の第7実施形態について、図20、図21を用いて説明する。
本実施形態の液晶表示装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、光制御フィルムの光拡散部の形状が第1実施形態と異なるのみである。したがって、本実施形態では、液晶表示装置の基本構成の説明は省略し、光制御フィルムについてのみ説明する。
図20は本実施形態の液晶表示装置を示す断面図である。
図21は本実施形態の光制御フィルムを示す平面図である。
なお、図20、図21において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
第1実施形態では、光拡散部の各光拡散部は略円錐台形状であり、光入射端面、光射出端面の平面形状はともに円形であった。これに対して、本実施形態の光制御フィルム7Fにおいて、各光拡散部40Fは、図20、図21に示すように、八角錐台形状であり、光入射端面40Fb、光射出端面40Faの平面形状はともに八角形である。各光拡散部40Fの平面形状である八角形の8本の辺のうち、互いに平行な2辺を1組とした4組の辺は、x軸に平行な方向、y軸に平行な方向、x軸と45°の角度をなす方向(x軸の正方向を基準として反時計回りに見た角度)、x軸と135°の角度をなす方向、をそれぞれ向くように配置されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。上記構成の光制御フィルム7Fを作製するには、遮光層41Fの形成工程において、八角形の遮光パターンを有するフォトマスクを用いれば良い。
本実施形態の液晶表示装置1Fにおいても、視野角輝度特性の変化をなだらかにして視野角の拡大が可能になる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
さらに、第1実施形態によれば、光拡散部の平面的な形状が円形であるため、液晶表示体6の法線方向を中心として全方位に光が拡散し、全方位に視野角拡大効果が発揮される。これに対して、本実施形態によれば、光拡散部40Fの平面的な形状が八角形であり、上述の4組の辺が、x軸に平行な方向、y軸に平行な方向、x軸と45°の角度をなす方向、x軸と135°の角度をなす方向をそれぞれ向いているため、光が上記の4つの方位に集中して拡散する。
そのため、液晶表示装置で視野角特性が特に重要視されている、画面の水平方向、垂直方向、および斜め方向において視野角拡大効果が発揮される。なお、光拡散部40Fの平面的な形状は八角形に限ることなく、その他の多角形を採用することができる。その場合、多角形の形状および辺の配置に応じて光が特定の方向に集中して拡散するため、特定の観察方位において優れた視野角拡大効果を発揮する液晶表示装置が提供できる。
なお、第1実施形態では、図22(A)に示すように、平面形状が円形である光拡散部40の例を示したが、例えば図22(B)に示すように、平面形状が正方形である光拡散部40Gを用いても良い。あるいは、図22(C)に示すように、平面形状が正八角形である光拡散部40Hを用いても良い。あるいは、図22(D)に示すように、正方形の対向する2辺を外側に湾曲させた形状の光拡散部40Iを用いても良い。あるいは、図22(E)に示すように、2つの長方形を直交する2方向に交差させた形状の光拡散部40Jを用いても良い。
あるいは、図22(F)に示すように、細長い楕円形状の光拡散部40Kを用いても良い。あるいは、図22(G)に示すように、細長い長方形状の光拡散部40Lを用いても良い。あるいは、図22(H)に示すように、細長い八角形状の光拡散部40Mを用いても良い。あるいは、図22(I)に示すように、細長い長方形の対向する2辺を外側に湾曲させた形状の光拡散部40Nを用いても良い。あるいは、図22(J)に示すように、縦横比が異なる2つの長方形を直交する2方向に交差させた形状の光拡散部40Pを用いても良い。さらに、図22(A)〜(J)の形状が複数の方向に回転していてもよい。
例えば図22(B)に示す正方形状の光拡散部40Gであれば、正方形の各辺に垂直な方向に向けて光が拡散する。また、図22(G)に示す長方形状の光拡散部40Lであれば、長辺に垂直な方向への光の拡散が短辺に垂直な方向への光の拡散よりも強くなる。そのため、辺の長さによって垂直方向(上下方向)と水平方向(左右方向)とで光の拡散の強さが異なる光制御フィルムを実現できる。このように、視野角の異方性が要求される場合、光拡散部の形状を適宜変えることで異なる光拡散特性を得ることができる。
[第8実施形態]
以下、本発明の第8実施形態について、図23、図24を用いて説明する。
本実施形態の液晶表示装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、光制御フィルムの光拡散部および遮光層の構成が第1実施形態と異なるのみである。したがって、本実施形態では、液晶表示装置の基本構成の説明は省略し、光制御フィルムについてのみ説明する。
図23は、本実施形態の液晶表示装置を示す模式図である。図23(A)は本実施形態の液晶表示装置101の斜視図であり、図23(B)は本実施形態の液晶表示装置101の断面図である。
図24(A)〜(E)は、光制御フィルムを、製造工程順を追って示す断面図である。
図23、図24(A)〜(E)において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
第1実施形態では、基材39の一面に形成された複数の光拡散部40と、基材39の一面において光拡散部40の形成領域以外の領域に形成された遮光層41と、を備え、複数の光拡散部40が基材39の一面の法線方向から見て点在して配置され、遮光層41が光拡散部40の形成領域以外の領域に連続して形成されていた。
これに対して、本実施形態の光制御フィルム107は、基材39の一面に形成された複数の遮光層141と、基材39の一面において遮光層141の形成領域以外の領域に形成された光拡散部140と、を備え、複数の遮光層141が基材39の一面の法線方向から見て点在して配置され、光拡散部140が遮光層141の形成領域以外の領域に連続して形成されている。
複数の遮光層141は、基材39上に点在してランダムに(非周期的に)配置されている。それに伴い、複数の遮光層141と同一の位置に形成される複数の中空部143も基材39上にランダムに配置されている。
本実施形態では、各遮光層141を基材39の法線方向から見たときの平面形状は円形である。各遮光層141の直径は例えば10μmである。複数の遮光層141は全て同一の直径となっている。複数の遮光層141が基材39上に点在して形成されたことにより、本実施形態の光拡散部140は基材39上に連続して形成されている。
光制御フィルム107における遮光層141の形成領域には、基材39の一面に平行な平面で切断したときの断面積が遮光層141側で大きく、遮光層141から離れるにつれて漸次小さくなる形状の中空部143が形成されている。すなわち、中空部143は、基材39側から見たとき、いわゆる順テーパ状の略円錐台状の形状を有している。中空部143の内部には空気が存在している。光制御フィルム107の中空部143以外の部分、すなわち光拡散部140が連続して存在する部分は光の透過に寄与する部分である。光拡散部140に入射した光は、当該光拡散部140と中空部143との界面で全反射しつつ、光拡散部140の内部に略閉じこめられた状態で導光し、基材39を介して外部に出射される。
本実施形態の場合、中空部143には空気が存在しているため、光拡散部140を例えば透明樹脂で形成したとすると、光拡散部140の側面140cは透明樹脂と空気との界面となる。ここで、光拡散部140の内部と外部との界面の屈折率差は、中空部143が空気で充填されている方が、光拡散部140の周囲が他の一般的な低屈折率材料で充填されているよりも大きい。したがって、Snellの法則より、光拡散部140の側面140cで光が全反射する入射角範囲が広い。その結果、光の損失がより抑えられ、高い輝度を得ることができる。
なお、中空部143には、空気に代えて、窒素等の不活性ガスが充填されていても良い。もしくは、中空部143の内部が真空状態であっても良い。
次に、上記構成の液晶表示装置101の製造方法について、図24を用いて説明する。
以下では、光制御フィルム107の製造工程を中心に説明する。
最初に、図24(A)に示すように、10cm角で厚さが100μmのポリエチレンテレフタレートの基材39を準備し、スピンコート法を用いて、この基材39の一面に遮光層材料としてカーボンを含有したブラックネガレジストを塗布し、膜厚150nmの塗膜44を形成する。
次いで、上記の塗膜44を形成した基材39をホットプレート上に載置し、温度90℃で塗膜のプリベークを行う。これにより、ブラックネガレジスト中の溶媒が揮発する。
次いで、露光装置を用い、平面形状が円形の複数の開口パターン146が形成されたフォトマスク145を介して塗膜44に光Eを照射し、露光を行う。このとき、波長365nmのi線、波長404nmのh線、波長436nmのg線の混合線を用いた露光装置を使用する。露光量は100mJ/cm2とする。
図24(A)に示すように、遮光層141の形成時に用いるフォトマスク145は、ランダムに配置された複数の円形の開口パターン146を有している。このフォトマスク145を設計する際には、最初に開口パターン146を一定のピッチで規則的に配置しておき、次にランダム関数を用いて例えば開口パターン146の中心点等、各開口パターン146の基準位置データに揺らぎを持たせ、開口パターン146の位置をばらつかせることにより、ランダムに配置された複数の開口パターン146を有するフォトマスク145を製作することができる。
上記のフォトマスク145を用いて露光を行った後、専用の現像液を用いてブラックネガレジストからなる塗膜44の現像を行い、100℃で乾燥し、図24(B)に示すように、平面形状が円形の複数の遮光層141を基材39の一面に形成する。本実施形態の場合、次工程でブラックネガレジストからなる遮光層141をマスクとして透明ネガレジストの露光を行い、中空部143を形成する。そのため、フォトマスク145の開口パターン146の位置が中空部143の形成位置に対応する。円形の遮光層141は次工程の光拡散部140の非形成領域(中空部143)に対応する。複数の開口パターン146は全て直径10μmの円形のパターンである。
なお、本実施形態では、ブラックネガレジストを用いたフォトリソグラフィー法によって遮光層141を形成したが、この構成に代えて、本実施形態の開口パターン146と遮光パターンとが反転したフォトマスクを用いれば、光吸収性を有するポジレジストを用いることもできる。もしくは、蒸着法や印刷法等を用いてパターニングした遮光層141を直接形成しても良い。
次いで、図24(C)に示すように、スピンコート法を用いて、遮光層141の上面に光拡散部材料としてアクリル樹脂からなる透明ネガレジストを塗布し、膜厚25μmの塗膜48を形成する。次いで、上記の塗膜48を形成した基材39をホットプレート上に載置し、温度95℃で塗膜48のプリベークを行う。これにより、透明ネガレジスト中の溶媒が揮発する。
次いで、基材39側から遮光層141をマスクとして塗膜48に拡散光Fを照射し、露光を行う。このとき、波長365nmのi線、波長404nmのh線、波長436nmのg線の混合線を用いた露光装置を使用する。露光量は600mJ/cm2とする。露光工程では、平行光または拡散光を用いる。
また、露光装置から射出された平行光を拡散光Fとして基材39に照射する手段として、露光装置から射出された光の光路上にヘイズ50程度の拡散板を配置する。拡散光Fで露光を行うことにより、塗膜48は、遮光層141の非形成領域から外側に広がるように放射状に露光される。これにより、順テーパ状の中空部143が形成され、光拡散部140の中空部143と面する部分には逆テーパ状の側面が形成される。
その後、上記の塗膜48を形成した基材39をホットプレート上に載置し、温度95℃で塗膜48のポストエクスポージャーベイク(PEB)を行う。
次いで、専用の現像液を用いて透明ネガレジストからなる塗膜48の現像を行い、100℃でポストベークし、図24(D)に示すように、複数の中空部143を有する光拡散部140を基材39の一面に形成する。
次いで、図24(E)に示すように、多数のアクリルビーズ等の光散乱体52がアクリル樹脂等のバインダー樹脂の内部に分散されて構成された拡散フィルム50を、粘着層51を介して基材39の他面に配置する。
以上の工程を経て、本実施形態の光制御フィルム107が完成する。なお、上記の例では遮光層141や光拡散部140の形成時に液状のレジストを塗布することとしたが、この構成に代えて、フィルム状のレジストを基材39の一面に貼付するようにしても良い。
最後に、完成した光制御フィルム107を、図23(B)に示すように、基材39を視認側に向け、光拡散部140を第2偏光板5に対向させた状態で、光学接着剤等を用いて液晶表示体6に貼付する。
以上の工程により、本実施形態の液晶表示装置101が完成する。
本実施形態の液晶表示装置101においても、所望の光拡散性能が発揮できる光制御フィルムを、製造プロセスを複雑にすることなく作製できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、この構成によれば、複数の遮光層141が平面的にランダムに配置されているため、液晶パネル4の画素の規則的配列との間で干渉によるモアレが生じることなく、視野角輝度特性を向上させることができる。
また、この構成によれば、光制御フィルム107に設けられた複数の中空部143が孤立しており、光拡散部140となる部分は面内で連続した形状となっている。これにより、例えば光の拡散の度合いを高めるために中空部143の密度を高めて光拡散部140の体積を小さくしても、光拡散部140と基材39との接触面積が十分に確保できるため、光拡散部140と基材39との密着力が強い。そのため、外力等による光拡散部140の欠陥が生じ難く、所望の光拡散機能を果たすことができる。
また、遮光層140をマスクとして基材39の背面側から透明樹脂層に光Fを照射しているため、光拡散部140が遮光層141の非形成領域に自己整合(セルフアライン)した状態で形成される。その結果、光拡散部140と遮光層141とが重なることがなく、光透過率を確実に維持することができる。また、精密なアライメント作業が不要なため、製造に要する時間を短縮できる。
また、この構成によれば、各中空部143の体積が同一であるため、透明樹脂層を現像する際に除去される樹脂の体積が一定となる。このため、各中空部143が形成される工程で各中空部143の現像スピードが一定となり、所望のテーパ形状を形成できる。その結果、光制御フィルム107の微細形状の均一性が高くなり、歩留まりが向上する。
なお、本実施形態では、図25(A)に示すように、平面形状が円形である遮光層141の例を示したが、例えば図25(B)に示すように、平面形状が正方形である遮光層141Gを用いても良い。あるいは、図25(C)に示すように、平面形状が正八角形である遮光層141Hを用いても良い。あるいは、図25(D)に示すように、正方形の対向する2辺を外側に湾曲させた形状の遮光層141Iを用いても良い。あるいは、図25(E)に示すように、2つの長方形を直交する2方向に交差させた形状の遮光層141Jを用いても良い。
あるいは、図25(F)に示すように、細長い楕円形状の遮光層141Kを用いても良い。あるいは、図25(G)に示すように、細長い長方形状の遮光層141Lを用いても良い。あるいは、図25(H)に示すように、細長い八角形状の遮光層141Mを用いても良い。あるいは、図25(I)に示すように、細長い長方形の対向する2辺を外側に湾曲させた形状の遮光層141Nを用いても良い。あるいは、図25(J)に示すように、縦横比が異なる2つの長方形を直交する2方向に交差させた形状の遮光層141Pを用いても良い。さらに、図25(A)〜(J)の形状が複数の方向に回転していてもよい。
本実施形態の遮光層141の平面形状は図25(A)に示すような円形であるから、光拡散部140の側面140c、すなわち反射面の断面形状も円形である。したがって、光拡散部140の側面140cで反射した光は360度、全ての方位に向けて拡散する。これに対して、例えば図25(B)に示す正方形状の遮光層141Gであれば、正方形の各辺に垂直な方向に向けて光が拡散する。また、図25(G)に示す長方形状の遮光層141Lであれば、長辺に垂直な方向への光の拡散が短辺に垂直な方向への光の拡散よりも強くなる。
そのため、辺の長さによって垂直方向(上下方向)と水平方向(左右方向)とで光の拡散の強さが異なる光拡散シートを実現できる。また、図25(C)に示す八角形状の遮光層141Hであれば、特に液晶表示装置で視野角特性が重要視されている垂直方向と水平方向と斜め45度方向とに集中して光を拡散させることができる。このように、視野角の異方性が要求される場合、遮光部の形状を適宜変えることで異なる光拡散輝度特性を得ることができる。
[第8実施形態の変形例]
図26は、上記実施形態の光制御フィルムの変形例を示す模式図である。図26(A)は本変形例の光制御フィルム107Aの斜視図であり、図26(B)は本変形例の光制御フィルム107Aの断面図である。
上記実施形態では、複数の遮光層141を基材39の一面にそれぞれ独立して形成したが、図26(A)、(B)に示す光制御フィルム107Aのように、複数の遮光層141Aが少なくとも一部において連結していても良い。本変形例では、隣り合う2つの遮光層141Aが連結しており、連結された遮光層141Aの形成領域に形成された中空部143Aも一部がつながる構成となっている。また、図26(B)に示すように、中空部143Aが光拡散部140Aによって塞がれていてもよい。
この構成においても、光拡散部140Aと基材39との接触面積が十分に確保できるため、光拡散部140Aと基材39との密着力が強い。また、光拡散部140Aが連結していると、光制御フィルム107Aに入射した光が遮光層141Aに吸収される割合が小さくなるため、光の利用効率が向上する。
[第9実施形態]
以下、本発明の第9実施形態について、図27、図28を用いて説明する。
本実施形態の液晶表示装置の基本構成は第8実施形態と同一であり、基材に光散乱体が含まれている点が第8実施形態と異なるのみである。したがって、本実施形態では、液晶表示装置の基本構成の説明は省略し、光制御フィルムについてのみ説明する。
図27は、本実施形態の液晶表示装置を示す模式図である。図27(A)は本実施形態の液晶表示装置101Bの斜視図であり、図27(B)は本実施形態の液晶表示装置101Bの断面図である。
図28(A)〜(E)は、光制御フィルムを、製造工程順を追って示す断面図である。
図27、図28(A)〜(E)において、第8実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
第8実施形態では、拡散フィルム50が基材39の他面(視認側の面)に配置されていた。これに対して、本実施形態の光制御フィルム107Bでは、図27(A)、(B)に示すように、基材に拡散フィルムが配置されておらず、基材そのものが拡散フィルムとして機能する。すなわち、基材150Bの内部に多数の光散乱体152Bが分散されている。
本実施形態の光制御フィルム107Bの製造工程においては、最初に、図28(A)に示すように、内部に多数の光散乱体152Bが分散された基材150Bを準備する。
次いで、図28(B)に示すように、スピンコート法を用いて、この基材150Bの一面に遮光層材料としてカーボンを含有したブラックネガレジストを塗布し、塗膜44を形成する。次いで、上記の塗膜44を形成した基材39をホットプレート上に載置し、塗膜のプリベークを行う。
次いで、露光装置を用い、複数の開口パターン146が設けられたフォトマスク145を介して塗膜44に光Eを照射し、露光を行う。
上記のフォトマスク145を用いて露光を行った後、専用の現像液を用いてブラックネガレジストからなる塗膜44の現像を行い、乾燥し、図28(C)に示すように、平面形状が円形の複数の遮光層141を基材150Bの一面に形成する。
次いで、図28(D)に示すように、スピンコート法を用いて、遮光層141の上面に光拡散部材料としてアクリル樹脂からなる透明ネガレジストを塗布し、塗膜48を形成する。次いで、上記の塗膜48を形成した基材150Bをホットプレート上に載置し、塗膜48のプリベークを行う。
次いで、基材150B側から遮光層141をマスクとして塗膜48に拡散光Fを照射し、露光を行う。このとき、波長365nmのi線、波長404nmのh線、波長436nmのg線の混合線を用いた露光装置を使用する。露光量は600mJ/cm2とする。露光工程では、平行光または拡散光を用いる。なお、本実施形態では、基材150Bの内部に光散乱体152Bが分散されているので、露光装置から射出された光は基材150Bを通過後に拡散光となって塗膜48に到達する。
そのため、基材150Bを所定のヘイズ値に設定することにより、拡散光Fとして基材150Bに照射する手段として、露光装置から射出された光の光路上に拡散板を配置する必要が無くなる。拡散光Fで露光を行うことにより、塗膜48は、遮光層141の非形成領域から外側へ広がるように放射状に露光される。これにより、順テーパ状の中空部143が形成され、光拡散部140の中空部143と面する部分には逆テーパ状の側面が形成される。
その後、上記の塗膜48を形成した基材150Bをホットプレート上に載置し、塗膜48のポストエクスポージャーベイク(PEB)を行う。
次いで、専用の現像液を用いて透明ネガレジストからなる塗膜48の現像を行い、ポストベークし、図28(E)に示すように、複数の中空部143を有する光拡散部140を基材150Bの一面に形成する。
以上の工程を経て、本実施形態の光制御フィルム107Bが完成する。
最後に、完成した光制御フィルム107Bを、図27(B)に示すように、基材150Bを視認側に向け、光拡散部140を第2偏光板5に対向させた状態で、光学接着剤等を用いて液晶表示体6に貼付する。
以上の工程により、本実施形態の液晶表示装置101Bが完成する。
本実施形態の液晶表示装置101Bによれば、基材150Bそのものが拡散フィルムとして機能するので、新たに粘着層や拡散フィルムを設ける必要がない。よって、装置の簡素化、薄型化を図ることができる。また、光制御フィルム107Bの製造工程において基材150Bが拡散板としても機能するので、光拡散部140を形成する際に露光装置から射出された光の光路上に拡散板を配置する必要もない。よって、製造工程の簡略化を図ることができる。
[第10実施形態]
以下、本発明の第10実施形態について、図29を用いて説明する。
本実施形態の液晶表示装置の基本構成は第8実施形態と同一であり、光制御フィルムの遮光層の構成が第8実施形態と異なるのみである。したがって、本実施形態では、液晶表示装置の基本構成の説明は省略し、光制御フィルムについてのみ説明する。
図29は本実施形態の液晶表示装置を示す模式図である。図29(A)は本実施形態の液晶表示装置101Cの斜視図であり、図29(B)は本実施形態の液晶表示装置101Cの断面図である。
また、図29において、第8実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
第8実施形態では、複数の遮光層141は全て同一の寸法であった。これに対して、本実施形態の光制御フィルム107Cでは、図29(A)に示すように、複数の遮光層141Cの寸法(直径)が異なっている。例えば複数の遮光層141Cの直径は10〜25μmの範囲で分布している。すなわち、複数の遮光層141Cが複数種類の寸法を有している。また、複数の遮光層141Cは、第8実施形態と同様、平面的にランダムに配置されている。また、複数の中空部143Cのうち、少なくとも一つの中空部143Cの体積は他の中空部143Cの体積と異なっている。その他の構成は第8実施形態と同様である。
本実施形態の場合、複数の遮光層141Cがランダムに配置されていることに加え、遮光層141Cの大きさも異なるため、光の回折現象によるモアレ縞をより確実に抑制することができる。また、少なくとも一つの中空部143Cの体積は他の中空部143Cの体積と異なっているため、遮光層の配置密度を高めて光拡散性を高めることができる。
[第11実施形態]
以下、本発明の第11実施形態について、図30を用いて説明する。
本実施形態の液晶表示装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、タッチパネルを備えた点が第1実施形態と異なるのみである。したがって、本実施形態では、液晶表示装置の基本構成の説明は省略し、タッチパネルの構成についてのみ説明する。
図30は、本実施形態の液晶表示装置84を示す断面図である。
なお、図30において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の液晶表示装置84においては、図30に示すように、バックライト2から光拡散シート7までの構成は第1実施形態と同一である。そして、光拡散シート7を構成する基材39の視認側にタッチパネル85(情報入力装置)が配置されている。以下の説明では、光拡散シート7を構成する基材39のことを「光拡散シート用基材」と称する。
タッチパネル85は、光拡散シート用基材39の周縁部において両面テープ等の接着材86によって光拡散シート用基材39上に貼付されており、タッチパネル85と光拡散シート用基材39との間には接着材86の厚さ分の間隙が形成されている。すなわち、タッチパネル85と光拡散シート用基材39との間には空気層87が存在している。
タッチパネル85は、基材88と位置検出用電極89とを有している。以下の説明では、タッチパネル85を構成する基材88のことを「タッチパネル用基材」と称する。ガラス等からなるタッチパネル用基材88の一面に、ITO、ATO(Antimony-doped Tin Oxide:アンチモンがドープされた錫酸化物)等の透明導電材料からなる位置検出用電極89が形成されている。位置検出用電極89は、ITO、ATO等のスパッタリングにより形成されたものであり、数百〜2kΩ/□程度の一様なシート抵抗を有している。
本実施形態では、静電容量方式のタッチパネル85が用いられている。静電容量方式のタッチパネル85では、例えばタッチパネル85を平面視したときの位置検出用電極89の4つの角部に微小な電圧が印加されている。位置検出用電極89上方の任意の位置に指を触れると、指を触れた点が人体の静電容量を介して接地される。これにより、接地点と4つの角部との間の抵抗値に応じて各角部での電圧が変化する。位置検出回路がこの電圧変化を電流変化として計測し、その計測値から接地点、すなわち指が触れた位置を検出する。
なお、本実施形態に適用可能なタッチパネルは静電容量方式に限ることはなく、抵抗膜方式、超音波方式、光学方式等、任意のタッチパネルが適用可能である。
本実施形態の液晶表示装置84によれば、第1実施形態と同様の光拡散シート7を備えているので、視野角特性に優れ、さらに情報入力機能を備えた液晶表示装置を実現することができる。例えば使用者が広視野角の画像を見ながら指やペンでタッチパネル85に触れることによって、情報処理装置等に対話形式で情報を入力することが可能になる。
図31は光制御フィルムの製造装置の一例を示す概略構成図である。
図31に示す製造装置160は、長尺の基材39をロール・トゥー・ロールで搬送し、その間に各種の処理を行うものである。また、この製造装置160は、遮光層41の形成に、上述のフォトマスク45を用いたフォトリソグラフィー法に代えて、印刷法、インクジェット法を用いている。
製造装置160の一端に基材39を送り出す送出ローラー161が設けられ、他端には基材39を巻き取る巻取ローラー162が設けられており、基材39は送出ローラー161側から巻取ローラー162側に向けて移動する構成となっている。基材39の上方には、送出ローラー161側から巻取ローラー162側に向けて印刷装置163、第1乾燥装置164、塗布装置165、現像装置166、第2乾燥装置167が順次配置されている。基材39の下方には、露光装置168が配置されている。
印刷装置163は、基材39上に遮光層41を印刷するためのものである。第1乾燥装置164は、印刷により形成した遮光層41を乾燥させるためのものである。塗布装置165は、遮光層41上に透明ネガレジストを塗布するためのものである。現像装置166は、露光後の透明ネガレジストを現像液によって現像するためのものである。第2乾燥装置167は、現像後の透明レジストからなる光拡散部40が形成された基材39を乾燥させるためのものである。この後さらに、光拡散部40が形成された基材39を第2偏光板5と貼り合わせ、光制御フィルムを偏光板と一体化させても良い。
露光装置168は、基材39側から透明ネガレジストの塗膜48の露光を行うためのものである。図32(A)、(B)は、製造装置160のうち、露光装置168の部分だけを取り出して示す図である。露光装置168は、図32(A)に示すように、複数の光源169を備えており、基材39の進行に伴って、各光源169からの拡散光Fの強度が徐々に弱くなる等、拡散光Fの強度が変化しても良い。あるいは、露光装置168は、図32(B)に示すように、基材39の進行に伴って、各光源169からの拡散光Fの射出角度が徐々に変化しても良い。
なお、上記の例では遮光層41や光拡散部40の形成時に液状のレジストを塗布することとしたが、この構成に代えて、フィルム状のレジストを基材39の一面に貼付するようにしても良い。
最後に、完成した光制御フィルムを、図2に示すように、基材39を視認側に向け、光拡散部40を第2偏光板5に対向させた状態で、光学接着剤等を用いて液晶表示体6に貼付する。
以上の工程により、本実施形態の液晶表示装置が完成する。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば上記実施形態では、表示体として液晶表示装置の例を挙げたが、これに限ることなく、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマディスプレイ等に本発明を適用しても良い。
また、上記実施形態では、光制御フィルムを液晶表示体の第2偏光板上に接着する例を示したが、光制御フィルムと液晶表示体とは必ずしも接触していなくても良い。
例えば、光制御フィルムと液晶表示体との間に他の光学フィルムや光学部品等が挿入されていても良い。あるいは、光制御フィルムと液晶表示体とが離れた位置にあっても良い。また、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマディスプレイ等の場合には偏光板が不要であるため、光制御フィルムと偏光板とが接触することはない。
また、上記実施形態における光制御フィルムの基材の視認側に、反射防止層、偏光フィルター層、帯電防止層、防眩処理層、防汚処理層のうちの少なくとも一つを設けた構成としても良い。この構成によれば、基材の視認側に設ける層の種類に応じて、外光反射を低減する機能、塵埃や汚れの付着を防止する機能、傷を防止する機能等を付加することができ、視野角特性の経時劣化を防ぐことができる。
また、上記実施形態では、光拡散部を、中心軸を挟んで対称な形状としたが、必ずしも対称な形状でなくても良い。例えば表示装置の用途や使い方に応じて意図的に非対称な角度分布が要求される場合、例えば画面の上方側だけ、あるいは右側だけに視野角を広げたい等の要求がある場合には、光拡散部の側面の傾斜角度を非対称にしても良い。
また、光散乱体を含む層が複数あっても良い。
その他、光拡散部や遮光層の配置や形状、光制御フィルムの各部の寸法や材料、製造プロセスにおける製造条件等に関する具体的な構成は上記実施形態に限ることなく、適宜変更が可能である。