JP2013223449A - 穀物粉含有食品、その生地および穀物含有食品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】容器内面にマイクロ波加熱発熱体を設けた容器であって、容量が185〜230cm3の範囲内であって、高さが30〜70mmの範囲内のサイズに設定され、小麦粉や米粉を100とした場合、水分は50〜80の範囲とし、油脂は0〜30の範囲で添加して調整した穀物粉含有食品の生地を充填し、電子レンジにより出力500Wで5分間以内の時間で加熱して、前記生地を焼成してなり、24時間経過後に前記収納容器から取り出した時の食品内部の硬さが12N以下となることを特徴とする穀物粉含有食品及びその製造方法。
【選択図】図4
Description
本出願人らは、更に鋭意研究の結果、マイクロ波加熱は照射ムラや水分蒸散を招き易い性質のため、サセプターの形状・大きさ・内容物組成に配慮することで、焼成時間を短くし、加熱ムラによるパンの一部分の乾燥で硬くなるという不具合を解決できることを知り、本発明を完成するに至った。
この発明の別の課題は、マイクロ波発熱容器に充填する穀物粉含有食品の生地が、焼成後に乾燥ムラが無く、軟らかな食感を有する食品となるようにするための内容物処方を提供することにある。
容器内面にマイクロ波加熱発熱体を設けた容器であって、該容器は容量が185〜230cm3の範囲内であって、高さが30〜70mmの範囲内のサイズに設定されており、前記容器内に穀物粉含有食品の生地が充填され、マイクロ波加熱により前記生地を焼成してなることを特徴とする。
請求項2の発明では、
マイクロ波加熱が、出力500Wで5分以内の加熱時間に設定されていることを特徴とする。
請求項3の穀物粉含有食品の生地の発明では、
前記請求項1又は2に記載の穀物粉含有食品の生地が、小麦粉や米粉その他の穀物類の粉末を100とした場合、水分は50〜80の範囲とし、油脂は0〜30の範囲で添加して調整してなることを特徴とする。
請求項4の発明では、
前記請求項3の生地に各種副原料を加えたことを特徴とする。
請求項5の焼成穀物粉含有食品の発明では、
前記請求項3または4に記載の穀物粉含有食品の生地を内面にマイクロ波加熱発熱体を設けた容器に充填し、マイクロ波加熱で焼成後に、水分が蒸発しないように袋その他の密封収納容器に入れ、24時間経過後に前記密封収納容器から取り出した時の穀物粉含有食品の内部の硬さが12N以下であることを特徴とする。
請求項6の穀物粉含有食品の製造方法の発明では、
容器内面にマイクロ波加熱発熱体を設けた容器であって、容量が185〜230cm3の範囲内であって、高さが30〜70mmの範囲内のサイズに設定された容器に、小麦粉や米粉その他の穀物類の粉末を100とした場合、水分は50〜80の範囲とし、油脂は0〜30の範囲で添加して調整した穀物粉含有食品の生地を充填し、電子レンジにより出力500Wで5分間以内の時間で加熱して、前記生地を焼成してなり、焼成後に水分が蒸発しないように袋その他の収納容器に入れて24時間経過後に前記収納容器から取り出した時の食品内部の硬さが12N以下となることを特徴とする。
(2)マイクロ波加熱として、電子レンジの出力500Wで5分以内の短い加熱時間で焼成することで、外観・食感共に良好な穀物粉含有食品を焼き上げることができる。
(3)穀物粉含有食品の生地中の油脂と水の配合比を、穀物類の粉末を100とした場合、水分は50〜80、油脂は0〜30の範囲内とすることで、焼成穀物粉含有食品の乾燥がほぼ抑制できる。
(4)前記容器に充填した焼成穀物粉含有食品の生地を焼成した後に、24時間後に12N以下の硬さの焼成穀物粉含有食品を作製すれば、焼成後も乾燥し難く食味良好な焼成穀物粉含有食品であることが確認された。
以下に、この発明の好適実施例について、図面を参照しながら説明する。
穀物粉含有食品の電子レンジを用いた簡易焼成法では、容器が短時間で高温となることが必要なためマイクロ波加熱発熱体(サセプター)を設けた容器(以下「マイクロ波発熱容器」という。)を用いている。
サセプターは、別体に形成されたサセプターを容器の内面に固着したものでも、容器内面に金属蒸着加工などにより一体に積層したものでもよい。
本実施例では、生地を充填する容器の内面には数十秒間でシート面を200℃程度まで昇温可能なマイクロ波吸収材料として金属蒸着層を設けたマイクロ波加熱発熱体(サセプター)を使用した。
また、サセプターは、容器の蓋の内面を除く側面及び底面の内面に設けたものを用いたが、蓋、側面、底面の内面の全てに設けるものであってもよい。
本実施例で前記マイクロ波発熱容器1のサセプターを形成する基台の素材には紙を用いたが、この発明では、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル等からなるフィルムやシート、その他の適宜素材を用いることができる。
パン製造では配合割合を粉対比(小麦粉の重量を100としたときの各材料の重量)で示すことが多く、これに倣い、ハニーブレッド生地の配合割合と、食パン生地の配合割合を以下に示す。
<ハニーブレッド生地の配合割合>
・小麦粉 100
・ドライイースト 2.4
・塩 1.12
・蜂蜜 16
・バター 10、20、30、40
・水 50、60、70
ここで、マイクロ波加熱による乾燥と硬化を防ぐため、水及びバターを小麦粉対比において10刻みで配合比を変え12種類(水3種類、バター4種類)の生地を用い、乾燥し難い生地の配合割合を探索した。
・小麦粉 100
・ドライイースト 2
・塩 2
・砂糖 5
・バター 0、10、20、30
・水 50、60、70、80
注:食パンをオーブンで焼成する場合は、水70、バター10とする場合が多い。
ここで、マイクロ波加熱による乾燥と硬化を防ぐため、水及びバターを小麦粉対比において10刻みで配合比を変え16種類(水4種類、バター4種類)の生地を用い、乾燥し難い生地の配合割合を探索した。
穀物粉含有食品が食パンの場合の製法は次の通りである。
なお、ハニーブレッドは、食パンの製法とほぼ同様であるため説明を省略する。
まず、予め、マイクロ波発熱容器の蓋以外の内側にバターを塗っておく。
次に、生地用の材料を全てパン捏ね器(キッチンエイド(登録商標)・業務用スタンドミキサーKSM5)に入れ、最低速で3分間混捏、速度を1段階上げ17分間混捏とした。
混捏後に生地を取り出し、捏ねムラが無くなり、生地の膜の張りがさらに強くなるまで手で捏ねる。
生地を所定の充填量に分割後、1個ずつ丸め、10分間静置する。
その後、前記マイクロ波発熱容器に充填し易い形状に成形後、この容器内に充填し、2次発酵(25℃、40分程度)させる。
所定の充填量とは、マイクロ波発熱容器の容量や生地の組成が変わると充填する生地量や発酵後の膨張度合が異なるため、容量の異なるそれぞれの容器において、充填した生地が2次発酵後に容器の側面より上方に盛り上がり、蓋をした際に蓋と生地が密着する状態となるよう、それぞれの実験区において調べた上での生地充填量を指す。
蓋を閉めた後は、蓋についた掛止用の突起を容器の本体に形成されたスリットにはめ込み、1箱ずつ袋に充填し、袋を密封した後、焼成に供するまで−20℃で冷凍保管した。
本実施例におけるマイクロ波加熱方法による実験は以下の方法で行った。
出力500Wの加熱に際しては電子レンジ(東芝ホームアプライアンス株式会社製、型番:ER−A9)を使用した。
出力320Wの加熱に際しては電子レンジ(三洋電機株式会社製、型番:EM−1600)を用いた。
また、ハニーブレッド、食パンの生地、製法とマイクロ波発熱容器への充填方法は後述の通りとした。
本実施例における食味評価法は以下の方法で行った。
焼成程度は目視にて表面の7割以上が茶系に色づいておれば○、5割以上7割未満を△、5割未満を×とすることを食品専門家のパネラー4名で事前に申し合わせておき、4名の合意により○、△、×の判定を行った。
食感も同様にパネラー4名で、加熱ムラがなくパサつきもなく、パン内部にしっとり感のあるものを○、硬くはないがしっとり感がなくパサついているもの、逆に軟らか過ぎるものも△、一部分に過剰の熱がかかり乾燥しているものは×として評価した。
硬さの測定条件は、図7(a)に示すように、マイクロ波による加熱後に、マイクロ波発熱容器から焼成された食パン、ハニーブレッドなどの穀物粉含有食品5を取り出し、マイクロ波加熱時に底面5aとなっていた面から立ち上がる一側面(4側面の内、「長辺÷短辺」の長さの比が大きい側面のどちらか)の長辺の中点から底面より15mm上方の点を測定点6とする。(5aの図示)
測定には万能試験機としてSHIMADZU(登録商標)EZ−S(株式会社島津製作所製)の小型卓上試験機を用いるが、前記万能試験機は垂直方向の上下動のため、測定台の上には、焼成穀物含有食品5の測定点6と定めた側面5bが天面となるように前記食品5を90度倒して設置する(図7(b)参照)。(5bの図示)
万能試験機を用い進入度測定用の治具7(3mm径、先端は尖っている)を25mm/minの速度で焼成穀物粉含有食品の厚みの50%まで進入させる。
マイクロ波加熱では天面よりも底面の方が硬くなるため、底面の方を測定する。
焼成穀物粉含有食品5が円柱状の場合は、マイクロ波加熱時の底面より15mmの任意の点を測定点とする。
(1)トースト型
トースト型形状の容器1は、食パン1斤の6枚切りの1枚の厚み20mmを基本とし、底面を同一形状にして、10mm間隔で20〜50mmまで高さを変えたもので、(A)高さが20mm(392cm3、充填量191g)、(B)高さが30mm(容量588cm3、充填量287g)、(C)高さが40mm(容量784cm3、充填量382g)、(D)高さが50mm(容量980cm3、充填量478g)の各種の容器を作製した。
(A)(a)外観 上面は× 上面にブラウニング無し、下面は○
(b)食感 × 加熱ムラがある。
(c)500W加熱時間 9分
(B)(C)は(A)より厚さが厚く、加熱時間が長くなると考えられるので実験せず。
(D)(a)外観 ○ 焼き色薄い
(b)食感 △ しっとりしている。
(c)320W加熱時間 30分
以上から、容器形状が前記(1)のトースト型の場合、トースト型の水平高さ20mmの容器を電子レンジの内部に寝かせて置き、500Wで加熱するとパンの焼成に9分間かかり下部は焦げた。
簡易焼成法では加熱時間を4分間程度に抑えることが目的のため9分間かかるトースト型は容器として不適であった。
トースト型を電子レンジ庫内に寝かせずに立たせて500Wで9分間の加熱をすると最下部は焦げて硬くなり上部は生であった。
トースト型で高さが30mmと40mmと高くなると加熱時間がより長くなり容器底部が焦げると考えられたので、これらを500Wで加熱することは行わなかった。
ワット数を落とし時間をかければ大きめのパンも焼けるが、30分間の加熱時間がかかるのであればオーブン加熱と時間的に変わりがなく、マイクロ波加熱の特徴を活かすことができない。
(2)スリット型蓋付き箱型
スリット型蓋付き箱型形状の容器1は、容量が185cm3(充填量90g)で、マイクロ波照射時のパンの膨らみに応じて容器の蓋の部分が追従して動くように、大きなスリット3を入れたスリット型の蓋部2を用いた。
(a)外観 ○ 接触部分にブラウニング
(b)食感 ○ 皮がパリパリしており、中身はフワフワしている。
(c)500W加熱時間 4分
可動型蓋付き箱型形状の容器1は、容量が185cm3(充填量90g)で、蓋部2に細かなスリット3を入れておき、焼成後にパンの膨らみに応じてアーチ型となるような蓋部とした。
(a)外観 ○ 接触部分にブラウニング
(b)食感 ○ 皮が硬め
(c)500W加熱時間 4分
蓋ロック付き箱型形状の容器1は、容量が185cm3(充填量90g)で、蓋に凸部を作り、容器の胴部の切り込みに蓋部2に形成された凸状の蓋ロック片4を差し込み、加熱時に蓋部2が容器本体部に完全にロックされる構造とした。
蓋部がロックされるものは焼成後に容器1からパンが取り出しにくいので、容器の胴部側面にミシン目を入れて容器を壊し易くした。
(a)外観 ○ 接触部分にブラウニング
(b)食感 ○ 皮がパリパリしており、中身はフワフワしている。
(c)500W加熱時間 4分
以上から 容器形状は、前記(2)〜(4)の箱型形状の場合、500Wで4分間の加熱により良好な外観と食感になった。
また、蓋は追従式よりも、(4)の蓋ロック付きの箱型の方がより好ましかった。
電子レンジ加熱では、パンが硬くなり易いため、蓋を完全に閉じた方がクラム(内部)の水分が抜けずに軟らかさを保持できるためである。
(5)平面蓋付き丸型形状
平面蓋付き丸型形状からなる円形平面蓋部2’を有するマイクロ波発熱容器1は、(A)大型の容量が400cm3(充填量195g)、(B)中型の容量が230cm3(充填量112g)、(C)小型の容量が190cm3(充填量93g)のものを作製した。
(A)(a)外観 ○ 良好
(b)食感 ○ 良好
(c)500W加熱時間 8分
(B)(a)外観 ○ 少し弱め
(b)食感 ○ 良好
(c)500W加熱時間 4分30秒
(C)(a)外観 ○ 良好
(b)食感 ○ 良好
(c)500W加熱時間 4分
渦巻き状の蓋付き丸型形状のマイクロ波発熱容器1は、(A)大型の容量が400cm3(充填量195g)、(B)中型の容量が230cm3(充填量112g)、(C)小型の容量が190cm3(充填量93g)のものを作製した。
この容器1は、その胴部上に渦巻き状の蓋部2”を取り付けている。
上記の説明で、充填量は、生地を分割し容器1に充填した時の重量をいう。
(A)(a)外観 ○ 良好
(b)食感 ○ 良好
(c)500W加熱時間 8分
(B)(a)外観 ○ 良好
(b)食感 ○ 良好
(c)500W加熱時間 4分30秒
(C)(a)外観 ○ 良好
(b)食感 ○ 良好
(c)500W加熱時間 4分
以上から 容器形状が前記(5)〜(6)の丸型形状の場合、大型(容量400cm3)では8分間、中型(容量230cm3)では4分30秒間、小型(容量190cm3)では4分間であった。
丸型の場合、小型の容量190cm3が最適で、中型の容量230cm3が適当であった。
次に、マイクロ波発熱容器1の容量を200cm3とした場合、底面形状・底面積・高さの異なる(1)円柱形状、(2)正四角柱形状、(3)四角柱形状からなる以下の容器1を製作し、前記容器1を用いて、ハニーブレッドの生地を出力500Wの電子レンジで4分10秒加熱して得られたパンの焼成具合を調べた。
外観、食感の評価は、前記容器形状の実験の場合と同じである。
(1)円柱形状
(A)高さ20mm、底面積100cm2、底面の直径113mm、底面の円周354mm
(a)外観 × 上面:中心に焼き目なし 側面:良好 下面:外周の焼き目が強い、中心なし
(b)食感 × 縁の焦げ部分は硬い、他は良好
(c)重量 加熱前121g、加熱後107g
(d)温度 中心温度77℃、外周温度95℃
(a)外観 ○ 上面:良好 側面:良好 下面:良好
(b)食感 ○ 良好
(c)重量 加熱前118g、加熱後102g
(d)温度 中心温度100℃、外周温度99℃
(a)外観 ○ 上面:良好 側面:良好 下面:良好
(b)食感 ○ 良好(下部の一部はわずかに硬い)
(c)重量 加熱前117g、加熱後100g
(d)温度 中心温度99℃、外周温度99℃
(a)外観 △ 上面:焼き目が少ない(蓋が開き接触が悪い) 側面:良好 下面:良好
(b)食感 × 下部の一部は硬い 他は良好
(c)重量 加熱前120g、加熱後103g
(d)温度 中心温度99℃、外周温度98℃
(a)外観 ○ 上面:良好 側面:良好 下面:良好(少し強すぎる)
(b)食感 × 縁の一部は硬い 他は良好
(c)重量 加熱前118g、加熱後101g
(d)温度 中心温度101℃、外周温度99℃
(A)高さ20mm、底面積100cm2、正方形の1辺100mm
(a)外観 × 上面:中心に焼き目なし 側面:良好 下面:外周の焼き目が強い、中心なし
(b)食感 × 縁の一部は硬い、他は良好
(c)重量 加熱前124g、加熱後109g
(d)温度 中心温度93℃、外周温度95℃
(B)高さ40mm、底面積50cm2、正方形の1辺71mm
(a)外観 ○ 上面:良好 側面:良好 下面:良好
(b)食感 ○ 良好
(c)重量 加熱前122g、加熱後106g
(d)温度 中心温度100℃、外周温度102℃
(a)外観 △ 上面:焼き目が少ない(蓋が開き接触が悪い) 側面:良好 下面:良好
(b)食感 ○ 良好(下部の一部はわずかに硬い)
(c)重量 加熱前120g、加熱後102g
(d)温度 中心温度100℃、外周温度100℃
(a)外観 × 上面:焼き目が少ない 側面:良好 下面:良好
(b)食感 × 下部の一部は硬い、上部は良好
(c)重量 加熱前121g、加熱後104g
(d)温度 中心温度102℃、外周温度102℃
(a)外観 × 上面:焼き目が少ない 側面:良好 下面:良好
(b)食感 × 下部の一部は硬い、上部は良好
(c)重量 加熱前125g、加熱後109g
(d)温度 中心温度100℃、外周温度100℃
(A)高さ20mm、底面積100cm2、長方形の長辺126mm、長方形の短辺79mm
(a)外観 × 上面:焼き目が少ない 側面:良好 下面:焼き目が無い
(b)食感 × 縁の一部は硬い、他は良好
(c)重量 加熱前123g、加熱後107g
(d)温度 中心温度92℃、外周温度91℃
(a)外観 ○ 上面:良好 側面:良好 下面:良好
(b)食感 ○ 良好
(c)重量 加熱前120g、加熱後103g
(d)温度 中心温度100℃、外周温度97℃
(a)外観 ○ 上面:良好 側面:良好 下面:良好
(b)食感 ○ 良好
(c)重量 加熱前121g、加熱後105g
(d)温度 中心温度99℃、外周温度100℃
(a)外観 × 上面:焼き目が少ない 側面:良好 下面:良好
(b)食感 × 下部の一部は硬い、上部は良好
(c)重量 加熱前122g、加熱後105g
(d)温度 中心温度98℃、外周温度100℃
(a)外観 × 上面:焼き目が少ない 側面:良好 下面:良好
(b)食感 × 下部は硬い、上部は良好
(c)重量 加熱前107g、加熱後103g
(d)温度 中心温度100℃、外周温度101℃
容器1の容量を200cm3にし、底面形状を円形、正方形、長方形とし、さらに高さを変えた場合の焼成穀物粉含有食品の品質の違いを実験した。
その結果、外観・食感共に良好なのは、容量200cm3の時、特に40〜60mmの範囲が最適であった。
また、追加実験の結果、容量を185cm3〜230cm3とした場合、高さ10mm単位で増減したが、高さ30〜70mmの範囲でも外観・食感共に良好であった。
一方、容器1の底面形状は外観・食感共に影響しないことが判明した。
発熱面の温度を速やかに上昇させるためには、発熱面に繰り返しマイクロ波が当たるように、容器内で反射が頻繁にムラ無く起こり発熱面に当たることが必要である。
ハニーブレッド生地を用いた焼成穀物粉含有食品の硬さは7N以下であった。
このように多くの焼成穀物粉含有食品では、マイクロ波照射後に乾燥により硬くなり難いが、食パン生地では時間が経つと硬くなる場合がある。
それらは、生地中の水分とバターの含有率を高め、保湿度を高めて硬化を抑制させることができる。
そこで、食パン生地の配合を変えて200cm3の容量で蓋をロックできる箱型のマイクロ波発熱容器1(図4参照)で実験した。
食パンの生地はハニーブレッドの生地に比べて膨張率が高いため、容器1への充填量は食パン生地ではハニーブレッドより少なくでき、加熱時間は前記電子レンジを用い、出力500Wで3分50秒加熱して実験を行った。
以下に、食パン生地の配合中の小麦粉100に対する油脂と水との配合比と、加熱時間を3分50秒として焼成した後の外観と、焼成後の食感と、24時間後の硬度(N)の関係を示す。
ここで24時間後の硬度(N)の測定は、生地が充填されたマイクロ波発熱容器1を電子レンジにより加熱、焼成した後に、水分が蒸発しないように袋その他の密封収納容器(図示せず)に入れて24時間経過後に前記密封収納容器から取り出した時の食品内部の硬さを測定した。硬度(N)の測定法は前記図7(a)(b)の説明の通りである。
(例1)粉対比:バター0・水50、外観:○、食感:×[外側が硬い、内側は少し硬い。乾燥気味]、24時間後硬度:23.4
(例2)粉対比:バター0・水60、外観:○、食感:△[外側が少し硬い、内側はもちもちしている(食パンではない)]、24時間後硬度:19.4
(例3)粉対比:バター0・水70、外観:○、食感:△[外側にクリスピー感あり(フランスパンに近い)、内側はもちもちしている(食パンではない)]、24時間後硬度:22.3
(例4)粉対比:バター0・水80、外観:△、食感:△[外側にクリスピー感あり(フランスパンに近い)、内側はもちもちしている、水分多め(食パンではない)]、24時間後硬度:11.9
(例5)粉対比:バター10・水50、外観:○、食感:△[外側にクリスピー感あり、内側は少し乾燥気味]、24時間後硬度:21.0
(例6)粉対比:バター10・水60、外観:○、食感:○[外側にクリスピー感あり、内側は良好]、24時間後硬度:7.2
(例7)粉対比:バター10・水70、外観:○、食感:○[外側にクリスピー感あり、内側は良好(例6より水分多め)]、24時間後硬度:5.9
(例8)粉対比:バター10・水80、外観:○、食感:△[外側にクリスピー感あり、内側はもちもちしている、水分多め(食パンではない)]、24時間後硬度:6.6
(例9)粉対比:バター20・水50、外観:△、食感:×[外側に硬い部分あり、内側は少し乾燥気味]、24時間後硬度:17.7
(例10)粉対比:バター20・水60、外観:○、食感:○[外側にクリスピー感あり、内側は良好]、24時間後硬度:8.2
(例11)粉対比:バター20・水70、外観:○、食感:○[外側にクリスピー感あり、内側は良好(例10より水分多め)]、24時間後硬度:6.9
(例12)粉対比:バター20・水80、外観:○、食感:×[外側に硬い部分あり、内側は水分多め、食パンとしては軟らかい]、24時間後硬度:6.6
(例13)粉対比:バター30・水50、外観:○、食感:△[外側にクリスピー感あり、内側は少し乾燥気味]、24時間後硬度:14.4
(例14)粉対比:バター30・水60、外観:△、食感:×[外側は軟らかい、内側は食パンとしては軟らかい]、24時間後硬度:13.5
(例15)粉対比:バター30・水70、外観:△、食感:×[外側は軟らかい、内側は食パンとしては軟らかい]、24時間後硬度:4.6
(例16)粉対比:バター30・水80、外観:△、食感:×[外側は軟らかい、内側は食パンとしては軟らかい]、24時間後硬度:3.5
前記の例1〜16の各実験例の食味評価の結果、穀物類の粉末(小麦粉や米粉等)を100とした場合、水分を50〜80の範囲内とし、バターを0〜30の範囲内で含有させた場合には焼成穀物粉含有食品の乾燥がほぼ抑制できた。
ここで、前記評価における「△」は、商品性に関して合格の範囲内と認定した。
また、これら乾燥が抑制されたものの焼成24時間後の最大強度は12N以下だった。
よって24時間後に12N以下の焼成穀物粉含有食品を作製すれば、焼成後も乾燥し難く食味良好な焼成穀物粉含有食品を食することができることが判明した。
更に、前記配合の生地に卵、ベーコン、チーズその他の各種副原料を添加しても、結果に変更はなかった。
尚、上記実験例ではバターを用いたが、バターに替えて他の油脂(例えば、マーガリン、ショートニング等の食用油脂)を用いてもよい。
穀物の種類も実施例にあげた小麦粉等に限られるわけではない。
イースト、砂糖、塩などの配合比も実施例にあげた数値に限定されるわけではない。
2 蓋部
2’ 円形平面蓋部
2” 渦巻き状の蓋部
3 スリット
4 蓋ロック片
5 焼成穀物粉含有食品
6 測定点
7 進入度測定用冶具
Claims (6)
- 容器内面にマイクロ波加熱発熱体を設けた容器であって、該容器は容量が185〜230cm3の範囲内であって、高さが30〜70mmの範囲内のサイズに設定されており、前記容器内に穀物粉含有食品の生地が充填され、マイクロ波加熱により前記生地を焼成してなることを特徴とする穀物粉含有食品。
- マイクロ波加熱が、出力500Wで5分以内の加熱時間に設定されていることを特徴とする請求項1の穀物粉含有食品。
- 請求項1又は2に記載の穀物粉含有食品の生地が、小麦粉や米粉その他の穀物類の粉末を100とした場合、水分は50〜80の範囲とし、油脂は0〜30の範囲で添加して調整してなることを特徴とする穀物粉含有食品の生地。
- 請求項3の生地に各種副原料を加えたことを特徴とする穀物粉含有食品の生地。
- 請求項3または4に記載の穀物粉含有食品の生地を内面にマイクロ波加熱発熱体を設けた容器に充填し、マイクロ波加熱で焼成後に、水分が蒸発しないように袋その他の密封収納容器に入れ、24時間経過後に前記密封収納容器から取り出した時の穀物粉含有食品の内部の硬さが12N以下であることを特徴とする焼成穀物粉含有食品。
- 容器内面にマイクロ波加熱発熱体を設けた容器であって、容量が185〜230cm3の範囲内であって、高さが30〜70mmの範囲内のサイズに設定された容器に、小麦粉や米粉その他の穀物類の粉末を100とした場合、水分は50〜80の範囲とし、油脂は0〜30の範囲で添加して調整した穀物粉含有食品の生地を充填し、電子レンジにより出力500Wで5分間以内の時間で加熱して、前記生地を焼成してなり、焼成後に水分が蒸発しないように袋その他の収納容器に入れて24時間経過後に前記収納容器から取り出した時の食品内部の硬さが12N以下となることを特徴とする穀物粉含有食品の製造方法。
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-
2012
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