JP2013221872A - 試験片把持具 - Google Patents

Abstract

【課題】超音波疲労試験において、ねじ加工が不可能な材料での試験片、あるいは板厚部分にねじ加工が不可能な薄い形状の板状試験片を試験片把持具に取り付けた状態で、ホーンで増幅された縦振動と試験片とを一体となって共振させる。
【解決手段】超音波疲労試験において、くさびホルダーに内挿された一対のくさびを有する試験片把持具で板状の試験片を締め付けることにより試験片をホーンに取り付ける。板状試験片が機械的にしっかりとホーンに取り付けられるので、ホーンで増幅された縦振動が確実に試験片に伝えられる。
【選択図】 図２

Description

本発明は、超音波疲労試験において、板状および棒状試験片での試験をするための試験片把持具に関する。

超音波疲労試験においては、振動を増幅するホーンの先端に試験片を取り付けるために、試験片端部およびホーン端部にねじを加工してねじ結合する方法、あるいは試験片端部および接続治具にテーパを加工してテーパ部で支持結合する方法がある。

特許文献１には、セラミックス用超音波疲労試験に係り、超音波発振器の共振周波数と一致する共振周波数に設定される治具本体の端面に試験片のテーパ部端面を面接触させ、試験片のテーパ部外周面を締め込み具のテーパ状斜面に支持し、リングと締め込み具を雄ねじ部にねじ結合する方法が記載されている。

従来の試験片把持具のうち、ねじ結合方式の構造を図７に、テーパ結合方式の構造を図８に、それぞれ示す。

図７に示すねじ結合方式では、ホーン５３に雌ねじ５３ａを加工し、雄ねじ５８ａが加工された試験片５８をねじ結合する。

図８に示すテーパ結合方式では、治具本体６４の端面６４ａに試験片６８のテーパ部端面６８ａを面接触させ、試験片６８のテーパ部外周面６８ｂを締結具６５のテーパ状斜面６５ａに支持し、リング６６と締結具６５を治具本体６４の雄ねじ６４ｂにねじ結合する。

特開平５−８７７１９号公報

従来の試験片把持具では、ねじ加工が可能な材料の棒状試験片か、あるいは板状試験片でも板厚部分にねじ加工が可能な厚さをもった試験片に限定され、ねじ加工が不可能な材料での試験片、あるいは板厚部分にねじ加工が不可能な薄い形状の板状試験片には適用できない方式であった。

超音波発振器による縦振動をホーンで増幅し、その先端部に当接された試験片を共振させることにより疲労強度を測定する超音波疲労試験機用の試験片把持具において、くさびを挿入するためのくさび斜面を有するくさびホルダーと、試験片を把持し締め付けるための一対のくさびと、くさびホルダーをホーンに結合させるねじ結合機構とからなることを特徴とする。

また、前記試験片把持具において、くさびとくさびホルダーとの接触面を長手方向に円錐形状にして、くさびと板状試験片とを全面に接触させることを特徴とする。

また、前記試験片把持具において、試験片を把持するくさび面にＶ形状の溝を設け、棒状試験片の把持を可能とすることを特徴とする。

本発明によれば、ねじ加工が不可能な材料での試験片、あるいは板厚部分にねじ加工が不可能な薄い形状の板状試験片を確実に把持してホーンに接合することができ、超音波振動の試験片への的確な伝達により正確な疲労強度の評価ができる。

本発明の超音波疲労試験機の正面図である。 図２（ａ）は本発明の試験片把持具の構造図で、図２（ｂ）は本発明の試験片把持具のＡ矢視図である。 本発明の試験片把持具の変形例１を示す。 本発明の試験片把持具の変形例２を示す。 本発明の試験片把持具の変形例３を示す。 本発明の試験片把持具の変形例４を示す。 従来のねじ結合方式による試験片把持具の構造を示す。 従来のテーパ結合方式による試験片把持具の構造を示す。

本発明は、超音波発振器の発振を、共振により振幅を増幅するホーンの先端に取り付けた超音波疲労試験機用の試験片把持具である。

本発明に関する超音波疲労試験機の概略構造を図１に、本発明の試験片把持具の構造を図２（ａ）に、そのＡ矢視を図２（ｂ）に、変形例１を図３に、変形例２を図４に、変形例３を図５に、変形例４を図６に示す。なお、図２（ｂ）は図２（ａ）の試験片取り付け状態を示すＡ矢視図である。

図１に、本発明に係る超音波疲労試験機の概略構造を示す。フレーム１に取り付けられた超音波発振器２の発振をホーン３で増幅し、試験片８に縦振動として伝達し、疲労強度の評価を行うものである。くさびホルダー４は、試験片８をホーン３に取り付けるための試験片把持具の一部である。

図２（ａ）に示すとおり、本発明による試験片把持具は、くさび挿入のためのくさび斜面を持つくさびホルダー４に、試験片８を把持し締め付けるための一対のくさび５が内挿され、ホーン３先端部と、くさびホルダー４とを、ねじ結合する構造である。

すなわち、ねじ加工が不可能な材料での試験片、あるいは板厚部分にねじ加工が不可能な薄い形状の板状試験片８を、一対のくさび５に挟んだ状態で、くさびホルダー４のくさび斜面に押し込み、ホーン３先端部とくさびホルダー４とをねじ結合することにより、超音波疲労試験を心ずれなく、超音波振動の試験片への的確な伝達により正確な疲労強度の評価を行う。

図２に示した例では、試験片は薄い板の形状をした板状試験片８であり、その厚み方向から二つのくさび５を使用して板状試験片を挟むことによってくさびホルダー４に硬く装着されている。くさび５は図２（ａ）の下から上に押し込むように打ち込まれている。くさび５が試験片８を保持し、超音波疲労試験を行うことができる把持力は、くさび５の押し込み力、くさび角、くさび背面とくさびホルダー４のくさび斜面との摩擦係数さらにはくさび５と試験片８との摩擦係数に依存し、このつかみ力が加振慣性力より充分大きい場合に試験を行うことができる。

図２に示す構造の場合、ホーン３先端とくさびホルダー４との接触面積を大きくすることができ、超音波振動の試験片への的確な伝達が可能となる。

図３に、変形例１を示す。変形例１は図２（ａ）および図２（ｂ）に示す本発明のくさびホルダー４とくさび５の軸方向の向き、すなわちくさび斜面の向きを逆方向にしたもので、くさび挿入のためのくさび斜面を持つくさびホルダー１４に、試験片１８をつかみ、締め付けるための一対のくさび１５が内挿され、ホーン１３先端部と、くさびホルダー１４とを、ねじ結合する構造である。

図３に示す構造の場合、ホーン１３先端がくさび１５の上面を押し込み、くさび１５の緩みを規制するため、試験中の試験片１８の滑りを防ぐことが可能となる。

図４に、変形例２を示す。変形例２は図２（ａ）および図２（ｂ）に示す本発明のくさび５の背面を円錐状に加工したもので、くさびホルダー２４のくさび面は平面形状を持つ。このことによりくさび２５と板状の試験片２８とが全面に接触し、試験片厚さの不均一や構成部品の加工誤差に起因する試験片２８の心ずれを防ぐことができる。
なお、図４および以下に説明する図５と図６に示す図は、それぞれ変形例３から４の実施の形態において、図２における矢印Ａの方向から見た図に相当するものである。

図５に、変形例３を示す。変形例３は前記変形例２のとおり、図２（ａ）および図２（ｂ）に示す本発明のくさび５の背面を円錐状に加工するとともに、くさびホルダー４のくさび斜面をも円錐状に加工したものである。前記変形例２と同様、くさび３５と板状の試験片３８とが全面に接触し、試験片厚さの不均一や構成部品の加工誤差に起因する試験片３８の心ずれを防ぐことができる。なお、くさび３５背面の曲率半径は、くさびホルダー３４くさび斜面の曲率半径と同等か、それより小さい値であることが必要である。

図６に、変形例４を示す。変形例４は図２（ａ）および図２（ｂ）に示す本発明のくさび５の試験片把持面を、棒状試験片に対応するようにＶ溝加工したものである。Ｖ溝加工されたくさび４５はくさびホルダー４４に内挿される。このことにより、棒状試験片４８の把持を可能とすると同時に、Ｖ形状の溝により棒状試験片４８の心ずれを防ぐことが可能となる。

１ フレーム
２ 超音波発振器
３ ホーン
４ くさびホルダー
５ くさび
８ 試験片
１３ ホーン
１４ くさびホルダー
１５ くさび
１８ 試験片
２４ くさびホルダー
２５ くさび
２８ 試験片
３４ くさびホルダー
３５ くさび
３８ 試験片
４４ くさびホルダー
４５ くさび
４８ 試験片
５３ ホーン
５３ａ 雌ねじ
５８ 試験片
５８ａ 雄ねじ
６４ 治具本体
６４ａ 端面
６４ｂ 雄ねじ
６５ 締結具
６５ａ テーパ状斜面
６６ リング
６８ 試験片
６８ａ テーパ部端面
６８ｂ テーパ部外周面

Claims (3)

1. 超音波発振器による縦振動をホーンで増幅し、その先端部に当接された試験片を共振させることにより疲労強度を測定する超音波疲労試験機用の試験片把持具において、くさびを挿入するためのくさび斜面を有するくさびホルダーと、試験片を把持し締め付けるための一対のくさびと、くさびホルダーをホーンに結合させるねじ結合機構とからなることを特徴とする試験片把持具。
2. 請求項１に記載された試験片把持具において、くさびとくさびホルダーとの接触面を長手方向に円錐形状にして、くさびと板状試験片とを全面に接触させることを特徴とする板状試験片用の試験片把持具。
3. 請求項１に記載された試験片把持具において、試験片を把持するくさび面にＶ形状の溝を設け、棒状試験片の把持を可能とすることを特徴とする棒状試験片用の試験片把持具。

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