JP2013221585A - 遠心クラッチを備えた自動二輪車 - Google Patents
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Abstract
【課題】遠心クラッチを備え、パーキングブレーキを用いなくても安定した坂道駐車が可能であり、エンストが生じにくく、クリープ走行性能が良好な自動二輪車を提供する。
【解決手段】遠心クラッチ2は、クラッチハウジング46に設けられた第1プレート64と、クラッチボス48に設けられた第2プレート65と、第1プレート64および第2プレート65に接近および離反可能なプレッシャプレート77と、遠心力を受けることによってプレッシャプレート77を第1プレート64および第2プレート65の方に押し出す遠心ウエイト41と、を備えている。遠心クラッチ2は、第1プレート64と第2のプレート65との間で伝達されるトルクTが、エンジンが停止しているときからエンジン回転速度の上昇に伴って、いったん減少してから増加するように構成されている。
【選択図】図3
【解決手段】遠心クラッチ2は、クラッチハウジング46に設けられた第1プレート64と、クラッチボス48に設けられた第2プレート65と、第1プレート64および第2プレート65に接近および離反可能なプレッシャプレート77と、遠心力を受けることによってプレッシャプレート77を第1プレート64および第2プレート65の方に押し出す遠心ウエイト41と、を備えている。遠心クラッチ2は、第1プレート64と第2のプレート65との間で伝達されるトルクTが、エンジンが停止しているときからエンジン回転速度の上昇に伴って、いったん減少してから増加するように構成されている。
【選択図】図3
Description
本発明は、遠心クラッチを備えた自動二輪車に関する。
自動二輪車は、エンジンから駆動輪に動力を伝達する動力伝達機構を備えている。従来から、動力伝達機構内に遠心クラッチを備えた自動二輪車が知られている。従来の遠心クラッチは、エンジンが停止しているときには遮断され、エンジンの回転速度が上昇すると接続されるように形成されている。エンジンが停止しているときには遠心クラッチが遮断されるので、駆動輪には抵抗が加えられない。そこで、従来から、自動二輪車を坂道に駐車する場合、別途設けられたパーキングブレーキを用いて駆動輪が回転しないように規制することが行われていた。
一方、特許文献1には、パーキングブレーキを用いずに、変速機のギア入力を行うだけで安定した坂道駐車が可能な自動二輪車が記載されている。特許文献1に記載された自動二輪車の遠心クラッチは、第1のプレートと、第2のプレートと、第1のプレートを第2のプレートに押し付けるプレッシャプレートと、プレッシャプレートに押し付け力を与える遠心ウエイトとを備えている。エンジンが停止しているときには、遠心ウエイトには遠心力が生じないので、プレッシャプレートには押し付け力は付与されない。そこで、エンジンが停止しているときであっても第1のプレートが第2のプレートをある程度の力で押し付けるように、上記遠心クラッチには、プレッシャプレートを第1のプレートの方に押し付ける弾性体が設けられている。
特許文献1に記載された自動二輪車によれば、エンジンが停止しているときには、弾性体によってプレッシャプレートが第1のプレートの方に押し付けられ、第1のプレートと第2のプレートとが互いに押し付けられる。そのため、エンジンが停止しているときであっても遠心クラッチは接続されており、パーキングブレーキを用いなくても、駆動輪の回転は規制される。図19は、上記遠心クラッチの特性を表す曲線である。横軸はエンジン回転速度r、縦軸は遠心クラッチの伝達トルクTを表している。この遠心クラッチでは、エンジン回転速度がri以下の場合には、伝達トルクは一定値Tiとなる。
ところで、エンジン停止時に駆動輪の回転をより確実に規制するためには、伝達トルクTiの値は大きい方が好ましい。しかし、伝達トルクTiの値が大きすぎると、アイドリング時にエンジンに過大な負荷がかかってしまい、エンストを招くおそれがある。また、エンストが生じないとしても、伝達トルクTiの値が大きいと、アクセルを開いていないときに駆動輪に大きな駆動力が伝達されてしまい、自動二輪車のクリープ走行性能が悪化するおそれがある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、遠心クラッチを備えた自動二輪車であって、パーキングブレーキを用いなくても安定した坂道駐車が可能であり、エンストが生じにくく、クリープ走行性能が良好な自動二輪車を提供することにある。
本発明に係る自動二輪車は、エンジンと、駆動輪と、前記エンジンに連結された第1の動力伝達機構と、前記駆動輪に連結された第2の動力伝達機構と、前記第1の動力伝達機構と前記第2の動力伝達機構とに接続された遠心クラッチと、を備えた自動二輪車である。前記遠心クラッチは、前記第1の動力伝達機構に接続された第1の回転体と、前記第2の動力伝達機構に接続された第2の回転体と、前記第1の回転体に設けられ、前記第1の回転体と共に回転する第1のプレートと、前記第1のプレートに対向するように前記第2の回転体に設けられ、前記第2の回転体と共に回転する第2のプレートと、前記第1または第2のプレートに対向するように配置され、前記第1および第2のプレートに対して接近および離反可能なプレッシャプレートと、前記プレッシャプレートに対して前記第1および第2のプレートが配置されている方と反対の方に配置され、遠心力を受けることによって前記プレッシャプレートを前記第1および第2のプレートの方に押し出す遠心ウエイトと、を備えている。前記遠心クラッチは、前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間で伝達されるトルクが、前記エンジンが停止しているときからエンジン回転速度の上昇に伴って、いったん減少してから増加するように構成されている。
本発明に係る自動二輪車によれば、遠心クラッチの伝達トルクは、エンジンが停止しているときからエンジン回転速度の上昇に伴って、いったん減少してから増加する。そのため、エンジン停止時の伝達トルクを比較的大きく設定しても、アイドリング時の伝達トルクを低く抑えることができ、また、クリープ走行時の伝達トルクを低く抑えることができる。したがって、パーキングブレーキを用いなくても安定した坂道駐車が可能であり、エンストが生じにくく、また、クリープ走行性能を良好に保つことができる。
本発明の好ましい一態様によれば、前記遠心クラッチは、前記プレッシャプレートに対して前記第1および第2のプレートが配置されている方と反対の方に配置され、前記第1の回転体に支持された第3のプレートと、前記第3のプレートと前記プレッシャプレートとの間に配置された第4のプレートと、前記第3のプレートと前記第4のプレートとの間に配置され、前記第4のプレートの半径方向の内方に行くほど前記第4のプレートとの間隔が大きくなるようなカム面が形成されたカム部材と、前記カム部材を前記プレッシャプレートの方に付勢する弾性体と、を備えている。前記遠心ウエイトは、前記カム部材のカム面と前記第4のプレートとの間に配置されている。
エンジンが停止しているときには、カム部材が弾性体から力を受けることによってプレッシャプレートを押し、プレッシャプレートによって第1のプレートと前記第2のプレートとが互いに押し付けられる。エンジン回転速度が上昇すると、カム部材が遠心ウエイトから力を受けることによってプレッシャプレートから遠ざかり、プレッシャプレートが第1のプレートと第2のプレートとを押し付ける力が弱まる。そのため、第1のプレートと第2のプレートとの間で伝達されるトルクは小さくなる。エンジン回転速度が更に上昇すると、遠心ウエイトが第4のプレートをプレッシャプレートの方に押しつける。すると、プレッシャプレートが第1および第2のプレートを押す力が強くなり、第1のプレートと第2のプレートとの間で伝達されるトルクは大きくなる。このようにして、第1のプレートと第2のプレートとの間で伝達されるトルクは、エンジンが停止しているときからエンジン回転速度の上昇に伴って、いったん減少してから増加する。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記遠心クラッチは、前記プレッシャプレートに対して前記第1および第2のプレートが配置されている方と反対の方に配置され、前記第1の回転体に支持された第3のプレートと、前記第3のプレートと前記プレッシャプレートとの間に配置され、前記第3のプレートの半径方向の内方に行くほど前記第3のプレートとの間隔が大きくなるようなカム面が形成されたカム部材と、前記カム部材を前記第3のプレートに向かって付勢する弾性体と、を備えている。前記プレッシャプレートには、半径方向の内方に行くほど前記第3のプレートとの間隔が小さくなるような他のカム面が形成されている。前記遠心ウエイトは、前記カム部材のカム面と前記第3のプレートとの間であって、且つ前記プレッシャプレートの前記他のカム面と前記第3のプレートとの間に配置されている。
エンジンが停止しているときには、カム部材が弾性体から力を受けることによって遠心ウエイトを第3のプレートの方に押し、遠心ウエイトはカム部材から力を受けることによって、カム面上を半径方向の内方に移動する。遠心ウエイトがカム部材のカム面上からプレッシャプレートの他のカム面上に移動すると、プレッシャプレートは遠心ウエイトから第1および第2のプレートの方に向かう力を受け、プレッシャプレートによって第1のプレートと第2のプレートとが互いに押し付けられる。エンジン回転速度が上昇すると、遠心ウエイトが半径方向の外方に移動し、プレッシャプレートが遠心ウエイトから受ける力が弱まり、プレッシャプレートが第1および第2のプレートを押し付ける力が弱まる。そのため、第1のプレートと第2のプレートとの間で伝達されるトルクは小さくなる。エンジン回転速度が更に上昇すると、遠心ウエイトが更に半径方向の外方に移動する。遠心ウエイトがプレッシャプレートの他のカム面上からカム部材のカム面上に移動すると、カム部材は遠心ウエイトから力を受け、プレッシャプレートを第1および第2のプレートの方に押し付ける。すると、プレッシャプレートによって第1のプレートと第2のプレートとが互いに押し付けられ、第1のプレートと第2のプレートとの間で伝達されるトルクは大きくなる。このようにして、第1のプレートと第2のプレートとの間で伝達されるトルクは、エンジンが停止しているときからエンジン回転速度の上昇に伴って、いったん減少してから増加する。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記遠心クラッチは、前記プレッシャプレートに対して前記第1および第2のプレートが配置されている方と反対の方に配置され、前記第1の回転体に支持された第3のプレートと、前記第3のプレートと前記プレッシャプレートとの間に配置された第4のプレートと、前記第3のプレートと前記第4のプレートとの間に配置され、前記第4のプレートを前記プレッシャプレートの方に付勢する皿ばねと、を備えている。前記プレッシャプレートには、前記第4のプレートの半径方向の内方に行くほど前記第4のプレートとの間隔が大きくなるようなカム面が形成されている。前記遠心ウエイトは、前記プレッシャプレートの前記カム面と前記第4のプレートとの間に配置されている。前記皿ばねは、撓み量が増えるに従って弾性力が減少するような特性を有している。
エンジンが停止しているときには、第4のプレートは皿ばねから弾性力を受けることによって、遠心ウエイトをプレッシャプレートの方に押し付ける。プレッシャプレートは、第4のプレートおよび遠心ウエイトを介して皿ばねから弾性力を受け、第1および第2のプレートの方に押し付けられる。プレッシャプレートによって第1のプレートと第2のプレートとが互いに押し付けられる。エンジン回転速度が上昇すると、遠心ウエイトが半径方向の外方に移動し、第4のプレートは遠心ウエイトから第3のプレートの方に向かう力を受け、皿ばねが撓む。皿ばねは撓み量が増えるに従って弾性力が減少するような特性を有しているので、第4のプレートが遠心ウエイトを介してプレッシャプレートを押す力が弱まり、プレッシャプレートが第1および第2のプレートを押し付ける力は弱まる。そのため、第1のプレートと第2のプレートとの間で伝達されるトルクは小さくなる。エンジン回転速度が更に上昇すると、遠心ウエイトが更に半径方向の外方に移動する。すると、遠心ウエイトがプレッシャプレートを押し付ける力が強まり、プレッシャプレートが第1および第2のプレートを押し付ける力は強まる。そのため、第1のプレートと第2のプレートとの間で伝達されるトルクは大きくなる。このようにして、第1のプレートと第2のプレートとの間で伝達されるトルクは、エンジンが停止しているときからエンジン回転速度の上昇に伴って、いったん減少してから増加する。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記遠心クラッチは、前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間で伝達されるトルクが、前記エンジンが停止しているときからエンジン回転速度の上昇に伴って、いったん減少して零になってから増大するように構成されている。
このことにより、エンストをより確実に防止することができ、また、クリープ走行性能を更に向上させることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートはそれぞれ複数設けられ、交互に配置されている。
このような多板式の遠心クラッチによれば、単板式の遠心クラッチに比べて、前述の効果がより顕著に発揮される。
本発明によれば、遠心クラッチを備えた自動二輪車であって、パーキングブレーキを用いなくても安定した坂道駐車が可能であり、エンストが生じにくく、クリープ走行性能が良好な自動二輪車を提供することができる。
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る遠心クラッチを備えた自動二輪車について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、以下に説明する自動二輪車は、本発明を実施した好ましい形態の単なる例示である。本発明に係る自動二輪車は、以下に説明する自動二輪車1に限定されるものではない。なお、本明細書において、自動二輪車とは、旋回する際に車体を傾ける形式の車両を言う。ここでいう自動二輪車は、車輪の数が2つの車両に限定されず、3つ以上の車輪を有していてもよい。
以下、本発明の実施形態に係る遠心クラッチを備えた自動二輪車について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、以下に説明する自動二輪車は、本発明を実施した好ましい形態の単なる例示である。本発明に係る自動二輪車は、以下に説明する自動二輪車1に限定されるものではない。なお、本明細書において、自動二輪車とは、旋回する際に車体を傾ける形式の車両を言う。ここでいう自動二輪車は、車輪の数が2つの車両に限定されず、3つ以上の車輪を有していてもよい。
図1は、実施形態に係る自動二輪車1の左側面図である。なお、下記の説明においては特に断らない限り、前、後、左、右の方向は、後述するシート16に着座した乗員から見た前、後、左、右の方向をそれぞれ意味するものとする。
《自動二輪車の構成》
図1に示すように、自動二輪車1は、車両本体7と、前輪14と、駆動輪としての後輪19とを備えている。車両本体7は、車体フレーム10を備えている。車体フレーム10は、ヘッドパイプ11を有している。ヘッドパイプ11には、ハンドル12が取り付けられたステアリングシャフト(図示せず)が挿通されている。ステアリングシャフトの下端部にはフロントフォーク13が設けられ、フロントフォーク13の下端部には前輪14が回転可能に取り付けられている。
図1に示すように、自動二輪車1は、車両本体7と、前輪14と、駆動輪としての後輪19とを備えている。車両本体7は、車体フレーム10を備えている。車体フレーム10は、ヘッドパイプ11を有している。ヘッドパイプ11には、ハンドル12が取り付けられたステアリングシャフト(図示せず)が挿通されている。ステアリングシャフトの下端部にはフロントフォーク13が設けられ、フロントフォーク13の下端部には前輪14が回転可能に取り付けられている。
車体フレーム10には、パワーユニット3が懸架されている。また、車体フレーム10には、車体カバー15が取り付けられている。ヘッドパイプ11の後方には燃料タンク17が配置され、燃料タンク17の後方にはシート16が配置されている。車体フレーム10には、リアアーム18が揺動可能に支持されている。リアアーム18の後端部には、後輪19が回転可能に取り付けられている。後輪19は、動力伝達機構を介してエンジン4(図2参照)に連結されている。エンジン4の動力は動力伝達機構を通じて後輪19に伝達される。
ハンドル12の右部には、図示しないアクセルグリップが設けられている。ハンドル12の左部には、グリップ29が設けられている。グリップ29の前方には、後述する遠心クラッチ2(図2参照)を手動で断続する際に操作されるクラッチ操作子として、クラッチレバー24が設けられている。
車両本体7の左右両側部には、フットレスト20Lが設けられている。左のフットレスト20Lの前方には、後述する変速装置5(図2参照)の変速比を変更する際に操作されるシフトペダル27が設けられている。車両本体7の左部であって且つシフトペダル27およびフットレスト20Lの下方には、サイドスタンド28が設けられている。
《パワーユニットの構成》
図2はパワーユニット3の断面図であり、パワーユニット3の内部構成を示している。図2に示すように、パワーユニット3は、エンジン4と、変速装置5と、遠心クラッチ2とを備えている。本実施形態では、エンジン4は空冷式単気筒エンジンである。ただし、エンジン4の種類は特に限定されず、水冷式のエンジンであってもよく、多気筒のエンジンであってもよい。
図2はパワーユニット3の断面図であり、パワーユニット3の内部構成を示している。図2に示すように、パワーユニット3は、エンジン4と、変速装置5と、遠心クラッチ2とを備えている。本実施形態では、エンジン4は空冷式単気筒エンジンである。ただし、エンジン4の種類は特に限定されず、水冷式のエンジンであってもよく、多気筒のエンジンであってもよい。
エンジン4は、シリンダ21と、シリンダ21内で往復運動するピストン25と、コンロッド26を介してピストン25に連結されたクランク軸32とを有している。クランク軸32は左方および右方に延びている。言い換えると、クランク軸32は車両幅方向に延びている。クランク軸32はクランクケース31内に収容されている。
クランクケース31内には、メイン軸33およびドライブ軸23が配置されている。メイン軸33およびドライブ軸23は、クランク軸32と平行に配置されている。クランク軸32は遠心クラッチ2を介してメイン軸33に連結されている。メイン軸33は変速装置5を介してドライブ軸23に連結されている。ドライブ軸23の右端部にはスプロケット30が固定されている。図示は省略するが、後輪19の車軸には他のスプロケットが固定され、このスプロケットと上記スプロケット30とはチェーンによって連結されている。
変速装置5はギア式の有段変速装置である。変速装置5として、従来から公知の各種の変速装置を用いることができる。変速装置5は、メイン軸33に装着された複数の変速ギア34と、ドライブ軸23に装着された複数の変速ギア35とを備えている。また、図示は省略するが、変速装置5は、変速ギア34および変速ギア35を左方または右方に移動させるシフトフォークと、シフトフォークを移動させるシフトカムとを備えている。シフトフォークが適宜移動することにより、選択された変速ギア34と選択された変速ギア35とが結合する。これら変速ギア34および変速ギア35を介して、メイン軸33からドライブ軸23に動力が伝達される。選択される変速ギア34および変速ギア35の組み合わせによって、変速比が段階的に変更される。
遠心クラッチ2は第1の動力伝達機構51に接続されており、第1の動力伝達機構51を介してクランク軸32に連結されている。言い換えると、遠心クラッチ2は、第1の動力伝達機構51を介してエンジン4に連結されている。第1の動力伝達機構51は、クランク軸32に固定されたギア32aを有している。ただし、第1の動力伝達機構51の構成は何ら限定されない。第1の動力伝達機構51として、エンジン4の動力を遠心クラッチ2に伝達し得る任意の機構を利用することができる。
また、遠心クラッチ2は第2の動力伝達機構52に接続されており、第2の動力伝達機構52を介して後輪19に連結されている。第2の動力伝達機構52は、メイン軸33と、変速装置5と、ドライブ軸23と、スプロケット30と、スプロケット30と後輪19のスプロケット(図示せず)とに巻き掛けられたチェーン(図示せず)とを有している。ただし、第2の動力伝達機構52の構成は何ら限定されず、従来から公知の各種の動力伝達機構を用いることができる。
《遠心クラッチの構成》
遠心クラッチ2は、湿式多板式の摩擦クラッチによって構成されている。遠心クラッチ2は、クランク軸32の回転速度(以下、エンジン回転速度という)に応じて自動的に断続されると共に、ライダーのクラッチレバー24の操作によって強制的に遮断可能なクラッチである。次に、遠心クラッチ2の構成について詳述する。
遠心クラッチ2は、湿式多板式の摩擦クラッチによって構成されている。遠心クラッチ2は、クランク軸32の回転速度(以下、エンジン回転速度という)に応じて自動的に断続されると共に、ライダーのクラッチレバー24の操作によって強制的に遮断可能なクラッチである。次に、遠心クラッチ2の構成について詳述する。
図3に示すように、遠心クラッチ2は、「第1の回転体」の一例であるクラッチハウジング46を備えている。クラッチハウジング46には、メイン軸33が貫通している。クラッチハウジング46は、メイン軸33が挿入された底部46aと、底部46aから左方に延びる複数のアーム46dとを有している。底部46aは円盤状に形成されており、クラッチハウジング46の全体は有底円筒状に形成されている。
クラッチハウジング46には、シザーズギア45が取り付けられている。シザーズギア45はギア45aを備えている。ギア45aは、クランク軸32のギア32a(図2参照)と噛み合っている。シザーズギア45のギア45aは、クラッチハウジング46の底部46aに固定されている。クラッチハウジング46は、ギア45aおよびギア32aを介してクランク軸32に連結されている。クラッチハウジング46はクランク軸32と共に回転する。シザーズギア45とメイン軸33との間には、ニードルベアリング53が配置されている。このニードルベアリング53によって、シザーズギア45はメイン軸33に対して回転可能となっている。
クラッチハウジング46の内方には、クラッチボス48が配置されている。クラッチボス48の中心部にはメイン軸33が貫通している。クラッチボス48は、ナット67によってメイン軸33に固定されている。クラッチボス48は、メイン軸33と共に回転する。クラッチボス48とシザーズギア45との間には、スラストベアリング63が配置されている。
クラッチハウジング46のアーム46dには、複数の第1プレート64が係合している。第1プレート64は、左方および右方に配列されている。言い換えると、第1プレート64は、メイン軸33の軸方向に配列されている。第1プレート64は環状に形成されている。第1プレート64は、アーム46dに左方および右方に移動可能に支持されている。第1プレート64はアーム64dと共に回転する。言い換えると、第1プレート64はクラッチハウジング46と共に回転する。
相互に隣接する第1プレート64の間には、第2プレート65が配置されている。第1プレート64と同様、第2プレート65も左方および右方に配列されており、メイン軸33の軸方向に配列されている。第2プレート65は環状に形成されている。第2プレート65は第1プレート64に対向している。第2プレート65はクラッチボス48に支持されており、クラッチボス48と共に回転する。
第1プレート64および第2プレート65の左方には、プレッシャプレート77が配置されている。図4に示すように、プレッシャプレート77は略円盤形状に形成されている。図3に示すように、プレッシャプレート77の中心部には、後述するサブクラッチ100が設けられている。プレッシャプレート77の最も左方に位置する第1プレート64に対向する部分には、第1プレート64と接触する接触部77bが形成されている。図4に示すように、接触部77bは周方向に沿って複数設けられている。なお、本実施形態および後述する各実施形態では、第1プレート64および第2プレート65のうち、最も左方に位置するプレートは第1プレート64であるが、最も左方に位置するプレートが第2プレート65であってもよい。その場合、プレッシャプレート77の接触部77bは第2プレート65に対向し、第2プレート65に接触することになる。プレッシャプレート77は、左方および右方に移動可能に構成されている。プレッシャプレート77が右方に移動すると、接触部77bが最も左方に位置する第1プレート64と接触し、この第1プレート64を右方に押す。その結果、第1プレート64と第2プレート65とは、互いに押し付けられる。
プレッシャプレート77の左方には、第3プレート66が配置されている。図5に示すように、第3プレート66は環状に形成されている。図3に示すように、第3プレート66は、プレッシャプレート77に対して、第1プレート64および第2プレート65が配置されている方と反対の方に配置されている。第3プレート66は、クラッチハウジング46のアーム46dに支持されている。詳しくは、図5に示すように、第3プレート66の外周部には、周方向に並んだ複数の凸部66aが形成されている。隣り合うアーム46dの間に凸部66aが配置されることにより、第3プレート66はアーム46dに支持されている。
第3プレート66の左方には、皿ばね83が配置されている。皿ばね83の半径方向の外方部は、クラッチハウジング46のアーム46dに固定されている。皿ばね83の半径方向の内方部は、第3プレート66に接触している。皿ばね83は、第3プレート66を右方に付勢するように形成されている。
第3プレート66とプレッシャプレート77との間には、第4プレート68が配置されている。図6に示すように、第4プレート68は環状に形成されている。図3に示すように、第3プレート66の半径方向の外方部には、右方に延びるスプリングホルダ122aが設けられている。スプリングホルダ122aは棒状に形成されている。スプリングホルダ122aの右端部は、第4プレート68の孔68aに嵌め込まれている。第4プレート68は、スプリングホルダ122aの右端部に支持されている。第4プレート68は、プレッシャプレート77と接触可能に形成されている。
第3プレート66と第4プレート68との間には、カム部材69が配置されている。図7に示すように、カム部材69は略円盤状に形成されている。カム部材69の右部にはカム面81が形成されている。カム面81は、半径方向の内方に行くほど第4プレート68との間隔が大きくなるように形成されている。カム面81は、半径方向の内方に行くほど左方に向かうように傾斜している。カム面81は周方向に複数設けられている。カム面81は放射状に形成されている。カム部材69の半径方向の外方部には、スプリングホルダ122aに係合する係合部69aが形成されている。カム部材69は、スプリングホルダ122aに左方および右方に移動自在に支持されている。
スプリングホルダ122aの左端部には大径部122bが形成されている。大径部122bとカム部材69の係合部69aとの間には、「弾性体」の一例であるコイルスプリング122が配置されている。ただし、弾性体の種類は特に限定されず、コイルスプリングに限らず、他の種類のばねであってもよい。また、ばねの代わりに他の弾性体を用いることも可能である。コイルスプリング122はカム部材69を右方に付勢している。言い換えると、コイルスプリング122はカム部材69をプレッシャプレート77の方に付勢している。本実施形態では、コイルスプリング122の左端部はスプリングホルダ122aの大径部122bに係止され、コイルスプリング122の右端部はカム部材69の係合部69aに係止されている。しかし、コイルスプリング122の左端部は第3プレート66に係止されていてもよい。コイルスプリング122の右端部は他の部材を介してカム部材69を付勢していてもよい。本実施形態では、カム部材69はコイルスプリング122によって右方に押されるように形成されているが、カム部材69は弾性体によって右方に引っ張られるように形成されていてもよい。例えば、カム部材69の右方に引っ張りばねを設けることも可能である。
カム部材69のカム面81と第4プレート68の左面との間には、遠心ウエイト41が配置されている。カム部材69には複数のカム面81が形成されており、遠心ウエイト41は各カム面81上に設けられている。カム部材69と第4プレート68との間には、複数の遠心ウエイト41が配置されている。本実施形態では、遠心ウエイト41は円柱状のローラによって形成されている。遠心ウエイト41はカム面81上を転がるように形成されている。ただし、遠心ウエイト41の形状は特に限定されず、例えば球状であってもよい。また、遠心ウエイト41は必ずしもカム面81上を転がる必要はなく、カム面81上を滑るように形成されていてもよい。遠心ウエイト41は、クラッチハウジング46の回転に伴ってメイン軸33の軸心まわりを旋回し、その旋回時に生じる遠心力によって、カム面81上を半径方向の外方に移動する。
図3に示すように、遠心クラッチ2にはサブクラッチ100が設けられている。ただし、サブクラッチ100は必ずしも必要ではなく、省略することも可能である。サブクラッチ100は、摩擦プレート101と、摩擦プレート101の右方に配置された右プレート102と、摩擦プレート101の左方に配置された左プレート103とを備えている。
摩擦プレート101は、プレッシャプレート77と共に回転するようにプレッシャプレート77に係合している。右プレート102はプッシュロッド43aに固定されている。右プレート102は、プッシュロッド43aと共に軸方向に移動自在であり、プッシュロッド43aと共に回転する。左プレート103は、スライド軸201に固定されている。左プレート103は、スライド軸201と共に回転し、スライド軸201と共に軸方向に移動可能に構成されている。左プレート103は、左方に延びるボス部103aを有している。ボス部103aには軸受104が設けられ、軸受104はプレッシャプレート77を回転自在に支持している。左プレート103とプレッシャプレート77とは、相対回転自在となっている。また、左プレート103とプレッシャプレート77とは、軸方向に一体となって移動するように構成されている。
プッシュロッド43aが左方に移動すると、右プレート102も左方に移動する。すると、摩擦プレート101は右プレート102と左プレート103とに挟まれる。それにより、プレッシャプレート77の回転力が摩擦プレート101を介して右プレート102および左プレート103に伝達され、右プレート102および左プレート103に回転力が加えられる。メイン軸33の内部には貫通孔33aが形成されている。貫通孔33aには、プッシュロッド43a、ボール43c、およびプッシュロッド43bが挿入されている。
図3に示すように、遠心クラッチ2には倍力機構200が設けられている。ただし、倍力機構200は必ずしも必要ではなく、省略することも可能である。倍力機構200は、プレッシャプレート77の回転力の一部を遠心クラッチ2を遮断するための力に変換し、遠心クラッチ2の遮断に要する力を低減させるものである。本実施形態に係る倍力機構200は、いわゆるボールカムによって構成されている。倍力機構200は、左プレート103に固定されたスライド軸201と、第1カムプレート202と、第2カムプレート203と、第2カムプレート203を第1カムプレート202から遠ざかる方に付勢するコイルスプリング(図示せず)とを備えている。
第1カムプレート202の中心部には、スライド軸201が挿通されている。スライド軸201は、第1カムプレート202に対して軸方向に移動自在であり、且つ第1カムプレート202に対して回転自在である。第2カムプレート203の中心部にはスライド軸201が嵌め込まれている。第2カムプレート203は、スライド軸201と共に軸方向に移動し、スライド軸201と共に回転するようになっている。
第1カムプレート202の左面および第2カムプレート203の右面には、それぞれカム面202a,203aが形成されている。それらのカム面202a,203aは、第2カムプレート203が所定方向(プレッシャプレート77の回転方向と同方向)に回転するとボール204aが両カム面202a,203aの間から乗り上げ、第2カムプレート203が上記所定方向と逆の方向に回転すると、ボール204aが両カム面202a,203aの間に収納されるような形状に形成されている。サブクラッチ100が接続されると、プレッシャプレート77の回転力が左プレート103に伝達され、左プレート103が回転する。すると、スライド軸201が回転し、第2カムプレート203も回転する。第2カムプレート203が前記コイルスプリングの付勢力に打ち勝って回転すると、ボール204aによって両プレート202,203が互いに遠ざかるように押圧され、第2カムプレート203は左方に移動する。すると、スライド軸201が左方に移動し、プレッシャプレート77も左方に移動する。一方、サブクラッチ100が遮断され、第2カムプレート203を回転させる力が消失すると、前記コイルスプリングの付勢力によって第2カムプレート203は逆方向に回転しながら右方に移動する。
前述したように、本実施形態の遠心クラッチ2は強制的に遮断することができる。自動二輪車1には、遠心クラッチ2を強制的に遮断するためのクラッチレリーズ機構86が設けられている。クラッチレリーズ機構86は、前述のプッシュロッド43a、ボール43c、およびプッシュロッド43bと、プッシュロッド43bを駆動する駆動機構87(図2参照)とを備えている。
図2に示すように、駆動機構87は、シリンダ90と、プッシュロッド43bの右端部に固定されたピストン91とを備えている。ピストン91は、左方および右方に移動可能に形成されている。ピストン91が左方に移動すると、プッシュロッド43bは左方に押し出される。ピストン91とシリンダ90との間には、圧力室92が形成されている。圧力室92には、オイルが満たされている。また、ピストン91とシリンダ90との間には、コイルスプリング93が配置されている。ピストン91は、コイルスプリング93によって右方に付勢されている。
ライダーがクラッチレバー24を握ると、圧力室92にオイルが供給され、圧力室92の圧力が上昇する。すると、ピストン91が左方に移動し、プッシュロッド43bを左方に移動させる。プッシュロッド43bは、ボール43cおよびプッシュロッド43aを介して、プレッシャプレート77を左方に押す。その結果、プレッシャプレート77は左方に移動し、遠心クラッチ2は遮断される。ライダーがクラッチレバー24を離すと、圧力室92の圧力が低下する。皿ばね83がプレッシャプレート77を右方に押す力とコイルスプリング93がピストン91を右方に引っ張る力との合計が、ピストン91が油圧によって左方に押される力よりも大きくなると、プレッシャプレート77は右方に移動する。すると、第1プレート64と第2プレート65とがプレッシャプレート77によって互いに押し付けられ、遠心クラッチ2は接続される。
《遠心クラッチの特性》
図8は遠心クラッチ2の特性曲線を表すグラフである。図8のグラフの横軸はエンジン回転速度rを表し、縦軸は伝達トルクTを表す。本実施形態に係る遠心クラッチ2では、エンジン4が停止しているとき、すなわちエンジン回転速度rが零のときには、伝達トルクTは零よりも大きなT1となる。伝達トルクTは、エンジン回転速度rの上昇に伴っていったん減少し、エンジン回転速度rがriのときに零となる。エンジン回転速度rが更に上昇すると伝達トルクTは零から増加し、エンジン回転速度rがrs以上になると伝達トルクTは一定値Tsとなる。
図8は遠心クラッチ2の特性曲線を表すグラフである。図8のグラフの横軸はエンジン回転速度rを表し、縦軸は伝達トルクTを表す。本実施形態に係る遠心クラッチ2では、エンジン4が停止しているとき、すなわちエンジン回転速度rが零のときには、伝達トルクTは零よりも大きなT1となる。伝達トルクTは、エンジン回転速度rの上昇に伴っていったん減少し、エンジン回転速度rがriのときに零となる。エンジン回転速度rが更に上昇すると伝達トルクTは零から増加し、エンジン回転速度rがrs以上になると伝達トルクTは一定値Tsとなる。
エンジン4が停止しているときには、遠心ウエイト41に遠心力は発生しない。カム部材69は遠心ウエイト41に押されることはないので、コイルスプリング122によって右方に付勢され、プレッシャプレート77を右方に押す。カム部材69から押されたプレッシャプレート77は、最も左方に位置する第1プレート64を右方に押すことにより、第1プレート64と第2プレート65とを互いに押し付ける。その結果、第1プレート64と第2プレート65とはトルクの伝達が可能となり、その伝達トルクは零よりも大きくなる。このときの伝達トルクが前述のT1である。
エンジン回転速度rが零から上昇すると、遠心ウエイト41に遠心力が発生し、遠心ウエイト41が半径方向の外方に移動する。すると、カム部材69が遠心ウエイト41によって左方に押され、カム部材69は左方に移動する。カム部材69がプレッシャプレート77を右方に押し付ける力が減少するので、プレッシャプレート77が最も左方に位置する第1プレート64を右方に押し付ける力が減少する。そのため、第1プレート64と第2プレート65との間の押し付け力が弱まり、第1プレート64と第2プレート65との間で伝達できるトルクは小さくなる。エンジン回転速度rがriになると、第1プレート64と第2プレート65との間でトルクを伝達することができなくなり、伝達トルクは零となる。
エンジン回転速度rが更に上昇すると、遠心ウエイト41は半径方向の更に外方に移動する。カム部材69が第3プレート66と接触すると、カム部材69の左方への移動が規制され、また、カム部材69は第3プレート66を介して皿ばね83から右方への付勢力を受ける。遠心ウエイト41は、第3プレート66およびカム部材69を介して皿ばね83の付勢力を受け、第4プレート68を右方に押す。すると、第4プレート68がプレッシャプレート77を右方に押し付け、プレッシャプレート77は右方に移動する。第1プレート64と第2プレート65とは、プレッシャプレート77によって互いに押し付けられる。その結果、第1プレート64と第2プレート65とはトルクの伝達が可能となる。エンジン回転速度rが大きいほど、プレッシャプレート77が第1プレート64を押し付ける力が大きくなるので、第1プレート64と第2プレート65との間の伝達トルクは大きくなる。図8に示すように、エンジン回転速度rの上昇に伴って伝達トルクTは増加する。
遠心ウエイト41が半径方向の最も外方に移動すると、カム部材69によって遠心ウエイト41のそれ以上の移動が規制される。そのため、プレッシャプレート77が第1プレート64を押し付ける力は一定となる。よって、エンジン回転速度rがrs以上になると、第1プレート64と第2プレート65との間の伝達トルクTは一定値Tsとなる。
このように、遠心ウエイト41、カム部材69、プレッシャプレート77、コイルスプリング122、第3プレート66、および第4プレート68が上述のように協働することにより、図8に示すような特性が得られる。
《実施形態の効果》
以上のように、本実施形態に係る自動二輪車1によれば、エンジン停止時の遠心クラッチ2の伝達トルクT1が零よりも大きいので、エンジン停止時であっても、変速装置5のギアを入力することにより(詳しくは、メイン軸33に装着された変速ギア34とドライブ軸23に装着された変速ギア35とを噛み合わせることにより)、後輪19とエンジン4とを接続した状態にすることができる。後輪19とエンジン4とが接続した状態では、後輪19を回転させるためにはクランク軸32を回転させなければならないため、後輪19には制動力が与えられる。そのため、後輪19の回転を規制することができ、パーキングブレーキを用いなくても自動二輪車1を坂道に駐車させることが可能となる。
以上のように、本実施形態に係る自動二輪車1によれば、エンジン停止時の遠心クラッチ2の伝達トルクT1が零よりも大きいので、エンジン停止時であっても、変速装置5のギアを入力することにより(詳しくは、メイン軸33に装着された変速ギア34とドライブ軸23に装着された変速ギア35とを噛み合わせることにより)、後輪19とエンジン4とを接続した状態にすることができる。後輪19とエンジン4とが接続した状態では、後輪19を回転させるためにはクランク軸32を回転させなければならないため、後輪19には制動力が与えられる。そのため、後輪19の回転を規制することができ、パーキングブレーキを用いなくても自動二輪車1を坂道に駐車させることが可能となる。
図8に示すように、遠心クラッチ2の伝達トルクTは、エンジン4が停止しているときからエンジン回転速度rの上昇に伴って、いったん減少してから増加する。遠心クラッチ2がこのような特性を有していることにより、エンジン停止時の伝達トルクT1を比較的大きく設定しても、アイドリング時の伝達トルクを低く抑えることができる。また、クリープ走行時の伝達トルクを低く抑えることができる。したがって、パーキングブレーキを用いなくても、安定した坂道駐車とエンストの防止とを両立させることができる。また、クリープ走行性能を良好に保つことができる。
特に本実施形態によれば、遠心クラッチ2の伝達トルクTは、エンジン4が停止しているときからエンジン回転速度rの上昇に伴って、いったん減少して零になってから増大する。そのため、エンストをより確実に防止することができる。また、クリープ走行性能を更に向上させることができる。
なお、エンジン停止時の伝達トルクT1は、例えば、コイルスプリング122のばね定数を変更すること等により、容易に調整することができる。エンジン停止時の後輪19の制動力は調整可能である。
アイドリング時の遠心クラッチ2の伝達トルクは、エンジン停止時の伝達トルクT1よりも小さくてもよいが、特に限定される訳ではない。アイドリング時の遠心クラッチ2の伝達トルクは、エンジン停止時の伝達トルクT1と同じでもよく、伝達トルクT1よりも大きくてもよい。後述する各実施形態においても同様である。
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係る自動二輪車1の遠心クラッチ2の断面図である。第2実施形態に係る遠心クラッチ2も、第1実施形態に係る遠心クラッチ2と同様の特性を有している。以下の説明では、第1実施形態と同様の部分には同様の符号を付し、それらの詳しい説明は省略する。
図9は、第2実施形態に係る自動二輪車1の遠心クラッチ2の断面図である。第2実施形態に係る遠心クラッチ2も、第1実施形態に係る遠心クラッチ2と同様の特性を有している。以下の説明では、第1実施形態と同様の部分には同様の符号を付し、それらの詳しい説明は省略する。
第2実施形態においても、第1プレート64および第2プレート65の左方には、プレッシャプレート77が配置されている。第2実施形態に係るプレッシャプレート77は第1実施形態に係るプレッシャプレート77とは形状が異なるが、図10に示すように、第2実施形態に係るプレッシャプレート77は略円盤形状に形成されている。プレッシャプレート77の中心部にはサブクラッチ100が設けられ、プレッシャプレート77の半径方向の外方部には、クラッチハウジング46のアーム46dと係合する係合部77aが形成されている。プレッシャプレート77は、クラッチハウジング46に対して、左方および右方に移動可能に形成されている。一方、プレッシャプレート77はクラッチハウジング46に対して回転不能であり、クラッチハウジング46と共に回転する。プレッシャプレート77には、最も左方に位置する第1プレート64に接触する接触部77bが形成されている。
プレッシャプレート77の左方には、第3プレート66が配置されている。図11に示すように、第3プレート66は環状に形成されている。第3プレート66は、プレッシャプレート77に対して、第1プレート64および第2プレート65が配置されている方と反対の方に配置されている。第3プレート66の半径方向の外方部66bは、クラッチハウジング46のアーム46dに支持されている。第3プレート66の半径方向の内方部には孔66cが形成され、孔66cにはスプリングホルダ122aが嵌め込まれている。
第3プレート66とプレッシャプレート77との間には、カム部材69が配置されている。図12に示すように、カム部材69は略円盤状に形成されている。カム部材69の左部にはカム面81が形成されている。カム面81は、半径方向の内方に行くほど第3プレート66との間隔が大きくなるように形成されている。カム面81は、半径方向の内方に行くほど右方に向かうように傾斜している。カム面81は周方向に複数設けられている。カム面81は放射状に形成されている。カム部材69の半径方向の外方部は、クラッチハウジング46のアーム46dに係合している。カム部材69は、アーム46dに左方および右方に移動自在に支持されている。カム部材69の半径方向の内方部には、スプリングホルダ122aに係合する係合部69aが形成されている。
スプリングホルダ122aの右端部には大径部122bが形成されている。大径部122bとカム部材69の係合部69aとの間には、「弾性体」の一例であるコイルスプリング122が配置されている。ただし、弾性体の種類は特に限定されず、コイルスプリングに限らず、他の種類のばねであってもよい。また、ばねの代わりに他の弾性体を用いることも可能である。コイルスプリング122はカム部材69を左方に付勢している。言い換えると、コイルスプリング122はカム部材69を第3プレート66に向かって付勢している。本実施形態では、コイルスプリング122の右端部はスプリングホルダ122aの大径部122bに係止され、コイルスプリング122の左端部はカム部材69の係合部69aに係止されている。本実施形態では、カム部材69はコイルスプリング122によって左方に押されるように形成されているが、カム部材69は弾性体によって左方に引っ張られるように形成されていてもよい。例えば、カム部材69の左方に引っ張りばねを設けることも可能である。
プレッシャプレート77の左部には、他のカム面81Bが形成されている。カム面81Bは、半径方向の内方に行くほど第3プレート66との間隔が小さくなるように形成されている。カム面81Bは、半径方向の内方に行くほど左方に向かうように傾斜している。カム面81Bは、カム部材69のカム面81の半径方向の中途部81mにおいて、カム面81と交差している。
カム部材69のカム面81と第3プレート66との間であって、且つプレッシャプレート77の他のカム面81Bと第3プレート66との間には、遠心ウエイト41が配置されている。カム部材69には複数のカム面81が形成され、プレッシャプレート77には複数のカム面81Bが形成され、遠心ウエイト41は各カム面81上および各カム面81B上に設けられている。カム部材69およびプレッシャプレート77と、第3プレート66との間には、複数の遠心ウエイト41が配置されている。本実施形態では遠心ウエイト41は円柱状のローラによって形成されているが、遠心ウエイト41の形状等が限定されないことは第1実施形態と同様である。
本実施形態においても、遠心クラッチ2は第1実施形態の遠心クラッチ2と同様の特性を有している。第2実施形態に係る遠心クラッチ2も、図8に示すような特性を有している。
エンジン4が停止しているときには、遠心ウエイト41には遠心力は発生しない。カム部材69はコイルスプリング122によって左方に押されるので、遠心ウエイト41はカム面81から力を受け、半径方向の内方に移動する。遠心ウエイト41がカム面81の内方に移動すると、プレッシャプレート77のカム面81Bが遠心ウエイト41から右向きの力を受ける。すると、プレッシャプレート77は右方に移動し、最も左方に位置する第1プレート64を右方に押し付ける。第1プレート64と第2プレート65とは、プレッシャプレート77によって互いに押し付けられる。その結果、第1プレート64と第2プレート65とはトルクの伝達が可能となり、その伝達トルクは零よりも大きくなる。このときの伝達トルクが図8に示すT1である。
エンジン回転速度が零から上昇すると、遠心ウエイト41に遠心力が発生し、遠心ウエイト41は半径方向の外方に移動する。すると、遠心ウエイト41がカム面81Bを右方に押し付ける力が弱まり、プレッシャプレート77が最も左方に位置する第1プレート64を右方に押し付ける力が減少する。そのため、第1プレート64と第2プレート65との間の押し付け力が弱まり、第1プレート64と第2プレート65との間で伝達できるトルクは小さくなる。エンジン回転速度rがriになると、第1プレート64と第2プレート65との間でトルクを伝達することができなくなり、伝達トルクTは零となる(図8参照)。
エンジン回転速度が更に上昇すると、遠心ウエイト41は半径方向の更に外方に移動する。遠心ウエイト41がカム面81を右方に押し、カム部材69は右方に移動する。カム部材69はプレッシャプレート77を右方に押し付け、プレッシャプレート77は最も左方に位置する第1プレート64を右方に押し付ける。第1プレート64と第2プレート65とは、プレッシャプレート77によって互いに押し付けられる。その結果、第1プレート64と第2プレート65とはトルクの伝達が可能となる。エンジン回転速度が大きいほど、プレッシャプレート77が第1プレート64を押し付ける力が大きくなるので、第1プレート64と第2プレート65との間の伝達トルクは大きくなる。図8に示すように、エンジン回転速度rの上昇に伴って伝達トルクTは増加する。
遠心ウエイト41が半径方向の最も外方に位置すると、カム部材69によってそれ以上の移動が規制される。そのため、プレッシャプレート77が第1プレート64を押し付ける力は一定となる。よって、図8に示すように、エンジン回転速度rがrs以上になると、第1プレート64と第2プレート65との間の伝達トルクTは一定値Tsとなる。
したがって、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、エンジン停止時の伝達トルクT1は、例えば、コイルスプリング122のばね定数を変更すること等により、容易に調整することができる。本実施形態においても、エンジン停止時の後輪19の制動力は調整可能である。
(第3実施形態)
図13は、第3実施形態に係る自動二輪車1の遠心クラッチ2の断面図である。第3実施形態に係る遠心クラッチ2も、第1実施形態に係る遠心クラッチ2とほぼ同様の特性を有している。以下の説明では、第1実施形態と同様の部分には同様の符号を付し、それらの詳しい説明は省略する。
図13は、第3実施形態に係る自動二輪車1の遠心クラッチ2の断面図である。第3実施形態に係る遠心クラッチ2も、第1実施形態に係る遠心クラッチ2とほぼ同様の特性を有している。以下の説明では、第1実施形態と同様の部分には同様の符号を付し、それらの詳しい説明は省略する。
第3実施形態においても、第1プレート64および第2プレート65の左方には、プレッシャプレート77が配置されている。第3実施形態に係るプレッシャプレート77は第1実施形態に係るプレッシャプレート77とは形状が異なるが、図14に示すように、第3実施形態に係るプレッシャプレート77は略円盤形状に形成されている。プレッシャプレート77の中心部にはサブクラッチ100が設けられ、プレッシャプレート77の半径方向の外方部には、クラッチハウジング46のアーム46dと係合する係合部77aが形成されている。プレッシャプレート77は、クラッチハウジング46に対して、左方および右方に移動可能に形成されている。一方、プレッシャプレート77は、クラッチハウジング46に対して回転不能であり、クラッチハウジング46と共に回転する。プレッシャプレート77には、最も左方に位置する第1プレート64に接触する接触部77bが形成されている。
プレッシャプレート77の左方には、第3プレート66が配置されている。図15に示すように、第3プレート66は環状に形成されている。第3プレート66は、プレッシャプレート77に対して、第1プレート64および第2プレート65が配置されている方と反対の方に配置されている。第3プレート66の半径方向の外方部66bは、クラッチハウジング46のアーム46dに支持されている。第3プレート66の左方には、皿ばね83が設けられている。
第3プレート66とプレッシャプレート77との間には、第4プレート68が配置されている。図16に示すように、第4プレート68は環状に形成されている。第4プレート68の半径方向の外方部68bは、クラッチハウジング46のアーム46dと係合している。第4プレート68は、クラッチハウジング46に対して回転不能であり、クラッチハウジング46と共に回転する。一方、第4プレート68は、クラッチハウジング46に対して左方および右方に移動可能である。
第3プレート66と第4プレート68との間には、皿ばね70が配置されている。図17Aおよび図17Bに示すように、皿ばね70は略環状に形成されている。図17Cは皿ばね70の特性曲線を表すグラフである。図17Cの横軸は皿ばね70の高さ(言い換えると、皿ばね70の左右の長さ)Xを表し、縦軸は皿ばね70の弾性力Sを表している。Xsは、第4プレート68が最も右方に位置するときの第3プレート66と第4プレート68との間隔を表す。言い換えると、Xsは第3プレート66と第4プレート68との間の最大間隔を表す。図17Cに示すように、皿ばねはX≦Xsの範囲において、高さXが増えるにつれて弾性力Sが低下するような特性を有している。
図13に示すように、プレッシャプレート77の左部には、カム面81Cが形成されている。カム面81Cは、半径方向の内方に行くほど第4プレート68との間隔が大きくなるように形成されている。カム面81Cは、半径方向の内方に行くほど右方に向かうように傾斜している。
プレッシャプレート77のカム面81Cと第4プレート68との間には、遠心ウエイト41が配置されている。プレッシャプレート77には複数のカム面81Cが形成されており、遠心ウエイト41は各カム面81C上に設けられている。カム部材69と第4プレート68との間には、複数の遠心ウエイト41が配置されている。本実施形態では、遠心ウエイト41は円柱状のローラによって形成されているが、遠心ウエイト41の形状等が限定されないことは第1実施形態と同様である。
図18は第3実施形態に係る遠心クラッチ2の特性曲線を表すグラフである。本実施形態においても、エンジン回転速度rが零から上昇するに従って、伝達トルクTはいったん減少してから上昇する。ただし、本実施形態では第1実施形態および第2実施形態と異なり、伝達トルクTの最小値は零ではなく、零よりも大きな値T2となる。
エンジン4が停止しているときには、遠心ウエイト41に遠心力は発生しない。しかし、第4プレート68は皿ばね70から右向きの力を受けるので、第4プレート68は遠心ウエイト41を右方に押し付ける。すると、遠心ウエイト41はプレッシャプレート77を右方に押し、第1プレート64と第2プレート65とはプレッシャプレート77によって互いに押し付けられる。その結果、第1プレート64と第2プレート65とはトルクの伝達が可能となり、図18に示すように、その伝達トルクT1は零よりも大きくなる。
エンジン回転速度が零から上昇すると、遠心ウエイト41に遠心力が発生し、遠心ウエイト41が半径方向の外方に移動する。すると、第4プレート68が遠心ウエイト41によって左方に押され、皿ばね70が縮むと共に第4プレート68は左方に移動する。皿ばね70が縮むと皿ばね70の弾性力は低下するので(図17C参照)、プレッシャプレート77が第4プレート68および遠心ウエイト41を介して皿ばね70から受ける力は低下する。すると、プレッシャプレート77が最も左方に位置する第1プレート64を右方に押し付ける力は弱まる。そのため、第1プレート64と第2プレート65との間の押し付け力が弱まり、第1プレート64と第2プレート65との間で伝達できるトルクは小さくなる。エンジン回転速度rがriになると、皿ばね70は最も縮んだ状態となり、第1プレート64と第2プレート65との間の伝達トルクTは最小値T2となる(図18参照)。
エンジン回転速度が更に上昇すると、遠心ウエイト41は半径方向の更に外方に移動する。遠心ウエイト41は、半径方向の外方に行くほどプレッシャプレート77を右方に強く押し付け、プレッシャプレート77は第1プレート64を強く押し付ける。そのため、エンジン回転速度が大きくなるほど、第1プレート64と第2プレート65とを互いに押し付ける力が大きくなるので、第1プレート64と第2プレート65との間の伝達トルクは大きくなる。図18に示すように、エンジン回転速度rの上昇に伴って伝達トルクTは増加する。
遠心ウエイト41が半径方向の最も外方に移動すると、遠心ウエイト41のそれ以上の移動が規制される。そのため、プレッシャプレート77が第1プレート64を押し付ける力は一定となる。よって、図18に示すように、エンジン回転速度rがrs以上になると、第1プレート64と第2プレート65との間の伝達トルクTは一定値Tsとなる。
本実施形態においても、遠心クラッチ2の伝達トルクTは、エンジン回転速度rが零から上昇するに従って、いったん減少してから増加する。そのため、本実施形態においても、第1実施形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態においても、エンジン停止時の伝達トルクT1は、例えば、皿ばね70のばね定数を変更すること等により、容易に調整することができる。本実施形態においても、エンジン停止時の後輪19の制動力は調整可能である。
(他の実施形態)
第1〜第3実施形態に係る遠心クラッチ2は、いわゆる多板式の遠心クラッチであり、第1プレート64および第2プレート65がそれぞれ複数設けられ、それらが交互に配置されていた。しかし、本発明に係る遠心クラッチは多板式の遠心クラッチに限定される訳ではない。本発明に係る遠心クラッチは、第1プレートおよび第2プレートを一組備えた単板式の遠心クラッチであってもよい。ただし、多板式の遠心クラッチによれば、単板式の遠心クラッチに比べて、前述の効果がより顕著に発揮される。
第1〜第3実施形態に係る遠心クラッチ2は、いわゆる多板式の遠心クラッチであり、第1プレート64および第2プレート65がそれぞれ複数設けられ、それらが交互に配置されていた。しかし、本発明に係る遠心クラッチは多板式の遠心クラッチに限定される訳ではない。本発明に係る遠心クラッチは、第1プレートおよび第2プレートを一組備えた単板式の遠心クラッチであってもよい。ただし、多板式の遠心クラッチによれば、単板式の遠心クラッチに比べて、前述の効果がより顕著に発揮される。
1 自動二輪車
2 遠心クラッチ
4 エンジン
19 後輪(駆動輪)
41 遠心ウエイト
46 クラッチハウジング(第1の回転体)
48 クラッチボス(第2の回転体)
51 第1の動力伝達機構
52 第2の動力伝達機構
64 第1プレート
65 第2プレート
77 プレッシャプレート
2 遠心クラッチ
4 エンジン
19 後輪(駆動輪)
41 遠心ウエイト
46 クラッチハウジング(第1の回転体)
48 クラッチボス(第2の回転体)
51 第1の動力伝達機構
52 第2の動力伝達機構
64 第1プレート
65 第2プレート
77 プレッシャプレート
Claims (6)
- エンジンと、駆動輪と、前記エンジンに連結された第1の動力伝達機構と、前記駆動輪に連結された第2の動力伝達機構と、前記第1の動力伝達機構と前記第2の動力伝達機構とに接続された遠心クラッチと、を備えた自動二輪車であって、
前記遠心クラッチは、
前記第1の動力伝達機構に接続された第1の回転体と、
前記第2の動力伝達機構に接続された第2の回転体と、
前記第1の回転体に設けられ、前記第1の回転体と共に回転する第1のプレートと、
前記第1のプレートに対向するように前記第2の回転体に設けられ、前記第2の回転体と共に回転する第2のプレートと、
前記第1または第2のプレートに対向するように配置され、前記第1および第2のプレートに対して接近および離反可能なプレッシャプレートと、
前記プレッシャプレートに対して前記第1および第2のプレートが配置されている方と反対の方に配置され、遠心力を受けることによって前記プレッシャプレートを前記第1および第2のプレートの方に押し出す遠心ウエイトと、を備え、
前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間で伝達されるトルクが、前記エンジンが停止しているときからエンジン回転速度の上昇に伴って、いったん減少してから増加するように構成されている、自動二輪車。 - 前記遠心クラッチは、
前記プレッシャプレートに対して前記第1および第2のプレートが配置されている方と反対の方に配置され、前記第1の回転体に支持された第3のプレートと、
前記第3のプレートと前記プレッシャプレートとの間に配置された第4のプレートと、
前記第3のプレートと前記第4のプレートとの間に配置され、前記第4のプレートの半径方向の内方に行くほど前記第4のプレートとの間隔が大きくなるようなカム面が形成されたカム部材と、
前記カム部材を前記プレッシャプレートの方に付勢する弾性体と、を備え、
前記遠心ウエイトは、前記カム部材のカム面と前記第4のプレートとの間に配置されている、請求項1に記載の自動二輪車。 - 前記遠心クラッチは、
前記プレッシャプレートに対して前記第1および第2のプレートが配置されている方と反対の方に配置され、前記第1の回転体に支持された第3のプレートと、
前記第3のプレートと前記プレッシャプレートとの間に配置され、前記第3のプレートの半径方向の内方に行くほど前記第3のプレートとの間隔が大きくなるようなカム面が形成されたカム部材と、
前記カム部材を前記第3のプレートに向かって付勢する弾性体と、を備え、
前記プレッシャプレートには、半径方向の内方に行くほど前記第3のプレートとの間隔が小さくなるような他のカム面が形成され、
前記遠心ウエイトは、前記カム部材のカム面と前記第3のプレートとの間であって、且つ前記プレッシャプレートの前記他のカム面と前記第3のプレートとの間に配置されている、請求項1に記載の自動二輪車。 - 前記遠心クラッチは、
前記プレッシャプレートに対して前記第1および第2のプレートが配置されている方と反対の方に配置され、前記第1の回転体に支持された第3のプレートと、
前記第3のプレートと前記プレッシャプレートとの間に配置された第4のプレートと、
前記第3のプレートと前記第4のプレートとの間に配置され、前記第4のプレートを前記プレッシャプレートの方に付勢する皿ばねと、を備え、
前記プレッシャプレートには、前記第4のプレートの半径方向の内方に行くほど前記第4のプレートとの間隔が大きくなるようなカム面が形成され、
前記遠心ウエイトは、前記プレッシャプレートの前記カム面と前記第4のプレートとの間に配置され、
前記皿ばねは、撓み量が増えるに従って弾性力が減少するような特性を有している、請求項1に記載の自動二輪車。 - 前記遠心クラッチは、前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間で伝達されるトルクが、前記エンジンが停止しているときからエンジン回転速度の上昇に伴って、いったん減少して零になってから増大するように構成されている、請求項1に記載の自動二輪車。
- 前記第1のプレートおよび前記第2のプレートはそれぞれ複数設けられ、交互に配置されている、請求項1に記載の自動二輪車。
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