JP2013221304A - 崩壊抑止構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】深層崩壊の抑止工に関し、その施工の効率化を図る。
【解決手段】
本発明は、安定土塊G1と不安定土塊G2の間で生じる深層崩壊を抑止する崩壊抑止構造物であって、安定土塊G1に配置される第1定着部11と、不安定土塊G2に配置される第2定着部12と、第1定着部11と第2定着部12とを緊張状態で連結する、複数本のPC鋼材14を含む自由長部13とを有する。そして、第1定着部11、第2定着部12、及び自由長部13からなる主管部27を円筒状に構成することで、抑制工としての機能を付与することができる。加えて、自由長部13に支管25を連通させることで、深層崩壊の発生を効果的に防ぐことができる。
【選択図】図12

Description

本発明は、安定土塊と不安定土塊の間で生じる深層崩壊を抑止する崩壊抑止構造物に関する。
近年、豪雨の発生回数が増加しつつあり、深層崩壊の発生リスクが高まってきている。この深層崩壊は、地下水の集中によって発生すると考えられている。例えば、急斜面の岩盤が、割れ目の相対的に少ない下側の岩と割れ目の相対的に多い上側の岩とから構成されている場合、豪雨の発生に伴って多量の雨水が地下水となって上側の岩を浸透する。この地下水が上側の岩と下側の岩の境界部分に集中してしまうと、集中箇所における地下水圧の上昇が起こり、深層崩壊が発生する。
このような深層崩壊を防ぐ技術として、例えば抑止工と抑制工がある。抑止工は、構造物の持つ抵抗力を利用して不安定土塊の移動を停止させる工法であり、例えば杭工やアンカー工がある。一方、抑制工は、地下水の状態などの自然条件を変化させることによって、不安定土塊が移動しようとする力に対する抵抗力を高め、不安定土塊の移動を停止または緩和させる工法であり、例えば地下水排除工がある。
ここで、特許文献1の従来技術には、盛土地盤の下流側に構築した擁壁から盛土地盤内にアンカーを施工する抑止工について記載されている。
特開2007−231629号公報
特許文献1に記載された技術を用いて、深層崩壊の抑止にアンカーを施工することが考えられる。しかし、アンカーの施工で深層崩壊を抑止しようとすると、所定間隔(例えば1.5m〜5.0m間隔)のマトリクス状に多数のアンカーを施工する必要があり、施工に手間が掛かることから現実的ではない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、深層崩壊の抑止工に関し、その効率化を図ることにある。
前記目的を達成するため、本発明は、安定土塊と不安定土塊の間で生じる深層崩壊を抑止する崩壊抑止構造物であって、前記安定土塊に配置される第1定着部と、前記不安定土塊に配置される第2定着部と、前記第1定着部と前記第2定着部とを緊張状態で連結する、複数本の鋼材を含んだ自由長部とを有することを特徴とする。
本発明によれば、複数本の鋼材によって第1定着部と第2定着部とを緊張状態で連結するという簡単な構成を採っているので、深層崩壊の抑止工に関し、施工を容易化でき、効率化が図れる。
前述の崩壊抑止構造物において、岩盤の斜面側から構築され、前記安定土塊と前記不安定土塊とを貫く筒状の殻部材を有し、前記第1定着部が前記殻部材の一端側に設けられ、前記第2定着部が前記殻部材の他端側に設けられていることが好ましい。この構成では、筒状の殻部材に第1定着部と第2定着部とを設けているので、殻部材を先行して地盤に構築することで、各定着部を容易に設けることができる。
前述の崩壊抑止構造物において、前記第1定着部及び前記第2定着部が前記殻部材の内周面に沿って形成された筒状のコンクリートによって構成されていることが好ましい。この構成では、第1定着部、自由長部及び第2定着部の内部に、地下水を排出するための排水路を形成できる。このため、抑制工としての機能をも発揮させることができる。
前述の崩壊抑止構造物において、前記自由長部には、前記鋼材とは縁の切れた状態で、前記殻部材の内周面に沿って筒状のコンクリートが形成されていることが好ましい。この構成では、第1定着部と第2定着部とを緊張状態で連結しつつ、排出される地下水が鋼材に直接接触することを防止できる。
前述の崩壊抑止構造物において、前記自由長部から上方に配設され、かつ、前記自由長部に連通される有孔管を有することが好ましい。この構成では、有孔管を通じて地下水を案内できるので、抑制工としての機能をより高めることができる。
本発明によれば、深層崩壊の抑止工に関し、その施工の効率化を図ることができる。
第1実施形態に係る全体構成の斜視図である。 第1実施形態に係る全体構成の断面図である。 第1実施形態に係る崩壊抑止構造物の断面図である。 第1,2定着部の拡大図である。 自由長部の拡大図である。 構築手順の説明図であり、筒状の殻部材を施工した状態を示す。 構築手順の説明図であり、PC鋼材を配置した状態を示す。 構築手順の説明図であり、各定着部へのコンクリート打設を示す。 構築手順の説明図であり、PC鋼材を緊張状態にする工程を示す。 構築手順の説明図であり、斜面側端部を閉塞した状態を示す。 第2実施形態に係る全体構成の斜視図である。 第2実施形態に係る全体構成の断面図である。 第2実施形態に係る崩壊抑止構造物の断面図である。 第1,2定着部を説明する拡大図である。 自由長部の拡大図である。 構築手順の説明図であり、筒状の殻部材を施工した状態を示す。 構築手順の説明図であり、支管を施工した状態を示す。 構築手順の説明図であり、PC鋼材を配置した状態を示す。 構築手順の説明図であり、各定着部へのコンクリート打設を示す。 構築手順の説明図であり、自由長部のPC鋼材を緊張状態にし、かつ、絶縁処理を施す工程を示す。 構築手順の説明図であり、自由長部へのコンクリート打設を示す。
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態の崩壊抑止構造物1は、安定土塊G1と不安定土塊G2が形成された急斜面の岩盤Gに構築される。ここで、安定土塊G1とは割れ目の相対的に少ない岩であり、不安定土塊G2とは割れ目の相対的に多い岩である。このような地盤では、安定土塊G1と不安定土塊G2の境界が、深層崩壊が発生し易い滑り面Sになる。
例示した崩壊抑止構造物1は、円柱状の外観を呈しており、岩盤Gの傾斜面から奥側へ延びるように、複数本横並びに構築されている。具体的には、不安定土塊G2の斜面下端の高さからほぼ水平方向に向けて、安定土塊G1と不安定土塊G2とを貫く状態で構築されている。そして、崩壊抑止構造物1における奥側の端部(一端部)は安定土塊G1の内部に位置しており、手前側の端部(他端部)は不安定土塊G2の内部に位置している。また、手前側の端面は、岩盤Gの斜面から外側に突出している。
図2及び図3に示すように、崩壊抑止構造物1は、第1定着部11、第2定着部12、及び自由長部13を有している。第1定着部11は、岩盤Gの奥側に位置しており、安定土塊G1に定着されている。第2定着部12は、岩盤Gの手前側(斜面側)に位置しており、不安定土塊G2に定着されている。自由長部13は、第1定着部11と第2定着部12の間に位置しており、複数本のPC鋼材14によって第1定着部11と第2定着部12とを緊張状態で連結している。なお、本実施形態では、PC鋼材14をPCより線によって構成している。
この崩壊抑止構造物1は円筒状の殻部材15を有している。そして、殻部材15における一端側の内周面に対し、PC鋼材14の一端部を内包させた状態で、筒状にコンクリート16を打設することで第1定着部11を形成している。同様に、殻部材15における他端側の内周面に対し、PC鋼材14の他端部を内包させた状態で、筒状にコンクリート17を打設することで第2定着部12を形成している。従って、殻部材15は、第1定着部11、第2定着部12、及び自由長部13のそれぞれに用いられているといえる。
本実施形態において、殻部材15は直径が3mのコンクリートによって構成されているが、このサイズに限定されるものではない。殻部材15のサイズ(直径や長さ)は、施工現場の状況に応じて定められる。同様に、第1定着部11や第2定着部12の長さも、施工現場の状況に応じて定められる。
図4に示すように、第1定着部11及び第2定着部12には、PC鋼材14が、殻部材15の内周面に沿って等角度間隔で配置されている。本実施形態のPC鋼材14は、16本のより線によって構成されている。このため、各PC鋼材14は、22.5度間隔に配置されている。そして、筒状コンクリート16,17に内包されているPC鋼材14の両端部には、複数のボルト18が抜け止め部材として取り付けられている。また、筒状コンクリート16,17の厚さtは、岩盤Gの移動力に対して十分な耐力を有する厚さに設けられている。
さらに、図3に示すように、殻部材15の両端部には、円盤状のコンクリート板で構成された閉塞蓋(第1閉塞蓋19,第2閉塞蓋20)が取り付けられている。これらの閉塞蓋19,20により、崩壊抑止構造物1に対する内部空間への地下水の浸入が防止されている。
図5に示すように、自由長部13には、緊張状態のPC鋼材14が、殻部材15の内周面に沿って複数本等角度間隔で配置されている。そして、PC鋼材14の途中には締め付け金具21が設けられている。この締め付け金具21は、PC鋼材14に緊張力を与えるための部材であり、第1定着部11に接続された一方のPC鋼材14と、第2定着部12に接続された他方のPC鋼材14とを近接方向に引っ張る。
本実施形態の締め付け金具21は、一方のPC鋼材14の端部に設けられた第1ボルト部22と、他方のPC鋼材14の端部に設けられた第2ボルト部23と、第1ボルト部22及び第2ボルト部23が嵌まるナット部24とを有している。そして、ナット部24を所定方向に回転させると、第1ボルト部22と第2ボルト部23が近接方向に移動してPC鋼材14に緊張力が与えられる。これに伴い、自由長部13に位置する殻部材15には、圧縮力が付与される。
以上のように構成された崩壊抑止構造物1を、第1定着部11が安定土塊G1に配置され、第2定着部12が不安定土塊G2に配置されるように構築すると、自由長部13に位置するPC鋼材14によって第1定着部11と第2定着部12とが連結され、かつ、PC鋼材14の緊張力によって第2定着部12を第1定着部11の方(安定土塊G1側)へ引っ張ること、すなわち不安定土塊G2を安定土塊G1側に引き寄せておくことができる。
そして、不安定土塊G2からの力を受けて、第2定着部12が第1定着部11から離れる方向に移動しようとしても、緊張状態のPC鋼材14が移動する力に対して抵抗するので、崩壊抑止構造物1が巨大なアンカー体として機能し、不安定土塊G2に対する安定性を高めることができる。
さらに、第1定着部11と第2定着部12との間に複数のPC鋼材14が架け渡されることで、各PC鋼材14が両定着部11,12を共用する構成になっているため、複数のPC鋼材14を密に配置することが可能となる。これにより、両定着部11,12の間に強い緊張力を与えることができる。
次に、上記の崩壊抑止構造物1を構築するための手順について説明する。
本実施形態では、まず図6に示すように、殻部材15を岩盤Gに滑り面Sを貫通させた状態に構築する。殻部材15の構築は、NATM工法や在来工法など任意の工法を採ることができる。NATM工法について概略を説明すると、岩盤Gの斜面に形成された小孔にダイナマイトを装填して爆破する。爆破によって生じた土砂を搬出し、鉄骨を組み立てる。その後、吹付けコンクリートを吹き付け、ロックボルト(図示せず)を打ち込む。以降は、同様の作業を繰り返して行い、所望長さの殻部材15を岩盤Gに構築する。なお、岩盤Gの掘削に関し、機械掘削を行ってもよい。
殻部材15を岩盤Gに構築したならば、図7に示すように、奥側の端面にコンクリートを打設し、第1閉塞蓋19を形成する。そして、殻部材15の内周面に沿って、複数のPC鋼材14を等角度間隔に配置する。その際、各PC鋼材14は、殻部材15の内周面にフック(図示せず)等によって仮止めしておく。また、締め付け金具21は緩めた状態にしておく。
各PC鋼材14を配置したならば、図8に示すように、第1定着部11に対応する殻部材15の内周面と、第2定着部12に対応する殻部材15の内周面のそれぞれに、コンクリート16,17を円筒状に打設する。コンクリート16,17の打設は、吹付けコンクリートを用いてもよいし、型枠を用いてもよい。そして、打設したコンクリート16,17が硬化することで、殻部材15及びPC鋼材14の端部と円筒状のコンクリート16,17とが一体化される。
円筒状のコンクリート16,17が硬化したならば、図9に示すように、締め付け金具21によってPC鋼材14に緊張力を与える。本実施形態では、締め付け金具21のナット部24を締め付け方向に回転させる。これにより、第1ボルト部22及び第2ボルト部23が近接方向に移動し、PC鋼材14に緊張力が与えられる。この緊張力によって、第2定着部12を第1定着部11の方へ引っ張ることができ、不安定土塊G2の安定性を高めることができる。
PC鋼材14に緊張力を与えたならば、図10に示すように、殻部材15における手前側(岩盤Gの傾斜面側)の端面にコンクリートを打設し、第2閉塞蓋20を形成する。これにより、崩壊抑止構造物1が完成する。第2閉塞蓋20が形成されることで、殻部材15が閉塞されて地下水等の内部空間への浸入が防止される。
このように、本実施形態では、複数本のPC鋼材14によって第1定着部11と第2定着部12とを緊張状態で連結するという簡単な構成を採っている。このため、円筒状の殻部材15を地盤Gに構築し、PC鋼材14を殻部材15の内部に配置し、各定着部11,12に対して円筒状にコンクリート16,17を打設し、各PC鋼材14に緊張力を与えるという比較的容易な手順で崩壊抑止構造物1を構築できる。このため、深層崩壊の抑止工に関し、施工を容易化できて効率化が図れる。また、筒状の殻部材15に第1定着部11と第2定着部12とを設けるように構成しているので、殻部材15を先行して構築することにより、各定着部11,12を容易に設けることができる。
ところで、第1実施形態の崩壊抑止構造物1は、アンカー体としてのみ機能するものであった。ここで、崩壊抑止構造物1に地下水の排出機能を付与できれば、岩盤Gの深層崩壊をより効果的に防ぐことができる。以下、地下水の排出機能を備えた崩壊抑止構造物1の第2実施形態について説明する。
図11及び図12は、第2実施形態に係る崩壊抑止構造物2の構築状態を説明する図である。これらの図に示すように、第2実施形態の崩壊抑止構造物2と第1実施形態の崩壊抑止構造物1とは、次の相違点を有している。
第1の相違点は、各蓋部材19,20が設けられておらず、傾斜面側の端部から地下水Wが排出される点である。第2の相違点は、自由長部13に連通する支管25が設けられている点である。第3の相違点は、自由長部13の内周面に、PC鋼材14とは縁の切られた状態で円筒状コンクリート26が設けられている点である。以下、これらの相違点を中心に、第2実施形態の崩壊抑止構造物2について説明する。
第1の相違点に関し、本実施形態の崩壊抑止構造物2では、図14に示すように、第1定着部11側の端部と第2定着部12側の端部が開放されているので、地下水Wは、主管部27における奥側端部(第1定着部11側の端部)から流入し、自由長部13及び第2定着部12を流れて、傾斜面側の端部(第2定着部12側の端部)から排出される。
第2の相違点に関し、自由長部13の上端面には、主管部27の軸線方向に並んだ状態で、複数本の支管25が接続されている。図15にも示すように、これらの支管25は、主管部27よりも細径(例えば直径50cm)の有孔管によって構成されており、下端部が自由長部13に接続されて、互いに連通している。また、図12及び図13に示すように、各支管25は、互いに平行であって、主管部27の軸線方向に沿って奥側に傾斜させた状態で取り付けられている。言い換えれば、地下水流の上流側に位置する安定土塊G1から自由長部13に向けて下り傾斜させた状態で設けている。そして、各支管25の長さは、その先端部(自由長部13とは反対側の端部)が安定土塊G1に位置する程度に定められている。
第3の相違点に関し、図13及び図15に示すように、自由長部13における殻部材15の内周面には、円筒状のコンクリート26が形成されている。このコンクリート26の厚みは、各定着部11,12のコンクリート16,17の厚みと揃えられている。このため、主管部27の内側には段差のない連続した空間が形成される。
自由長部13にもコンクリート26が形成されたことに伴い、PC鋼材14には、このコンクリート26と機械的な縁を切るための絶縁層28が形成されている。この絶縁層28は、コンクリート26との縁が切れればどのような構成であってもよい。例えば、PC鋼材14よりも一回り大きなパイプ材を用いることができる。この場合、パイプ材の内側空間に収容されることで、PC鋼材14はこの空間内を自由に伸縮することができる。
以上のように構成された崩壊抑止構造物2では、第1実施形態の崩壊抑止構造物1で説明した作用効果に加えて、次の効果を奏する。
まず、主管部27が円筒状であることから、豪雨等によって地下水Wの量が増加しても、主管部27の内側空間を排水路として機能させることができ、余剰な地下水Wが傾斜面側の端部から排出される。これにより、地下水位Hの過度な上昇を抑えることができ、岩盤Gの深層崩壊を効果的に防ぐことができる。
また、自由長部13にも円筒状のコンクリート26が形成されていることから、地下水WがPC鋼材14に直接接触することを防止できる。これにより、地下水Wとの接触に起因するPC鋼材14の腐食を防止できる。そして、PC鋼材14に関し、パイプ材等の絶縁層28によって、コンクリート26と縁が切られた状態で設けられているため、第1定着部11と第2定着部12とを緊張状態で連結することができる。
次に、複数の支管25が主管部27の軸線方向に並んだ状態で設けられており、これらの支管25の内部空間と自由長部13の内部空間とが互いに連通されているので、支管25に到達した地下水Wを速やかに自由長部13へ流し込むことができる。これにより、不安定土塊G2における排水効率を高めることができ、岩盤Gの深層崩壊を抑制できる。
また、各支管25が主管部27に対して傾斜した状態で設けられ、かつ、各支管25の先端が安定土塊G1に位置しているので、安定土塊G1から不安定土塊G2へ流れ込む地下水Wの量を低減させることができる。これにより、不安定土塊G2での地下水圧の過度な上昇を抑制でき、ひいては岩盤Gの深層崩壊を抑制できる。
次に、上記の崩壊抑止構造物2を構築するための手順について説明する。なお、第1実施形態と同様の手順については簡単に説明し、第2実施形態に特有の手順を中心に説明する。
本実施形態でも、まず図16に示すように殻部材15を岩盤Gに構築する。第1実施形態と同様に、殻部材15の構築は、NATM工法や在来工法など任意の工法を採ることができる。前述したように、本実施形態では、地下水位Hの近傍に地下水位Hに沿って主管部27が構築される。このため、殻部材15の構築に先立ってボーリング調査を行い、地下水位H、安定土塊G1、不安定土塊G2等を把握する。そして、主管部27の太さ、長さ、高さ、構築角度などを予め求めておく。
殻部材15を岩盤Gに構築したならば、図17に示すように、地盤内に支管25を設置する。支管25の設置は、例えば、殻部材15の内部からボーリングマシンによってボーリングを行い、形成された孔に支管25(有孔管)を挿入することで行われる。支管25についても、先のボーリング調査に基づき、太さ、長さ、角度、間隔などを予め求めておく。
支管25を形成したならば、図18に示すように、殻部材15の内周面に沿って、複数のPC鋼材14を、支管25と干渉しない位置に等角度間隔で配置する。PC鋼材14を配置したならば、図19に示すように、第1定着部11に対応する殻部材15の内周面と、第2定着部12に対応する殻部材15の内周面のそれぞれに、コンクリート16,17を円筒状に打設する。そして、PC鋼材14の配置、及び、コンクリート16,17の打設は、第1実施形態と同様に行われる。
打設したコンクリート16,17が硬化したならば、図20に示すように、PC鋼材14に緊張力を与える。また、それぞれのPC鋼材14の周囲に絶縁層28を形成する。緊張力の付与は、第1実施形態と同様に、締め付け金具21のナット部24を回転させることで行われる。また、絶縁層28の形成は、例えば軸方向にスリットが形成された円筒管の内部に、PC鋼材14を収納することで行われる。
PC鋼材14に緊張力を与え絶縁層28を形成したならば、図21に示すように、殻部材15における自由長部13の内周面に沿って、円筒状にコンクリート26を打設する。この打設は、吹付けコンクリートで行ってもよいし、型枠を用いてもよい。そして、打設したコンクリート26が硬化することで、崩壊抑止構造物2の構築が完了する。
本実施形態における構築手順でも、円筒状の殻部材15を先行して地盤Gに構築し、この殻部材15を利用して支管25の構築や各定着部11,12の形成を行っているので、比較的容易な手順で崩壊抑止構造物1を構築できる。このため、深層崩壊の抑止工に関し、施工を容易化できて効率化が図れる。
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。例えば、次のように構成してもよい。
第1実施形態の崩壊抑止構造物2に関し、抑止工として機能させるのであれば、安定土塊G1側の第1定着部11と不安定土塊G2側の第2定着部12との間を複数本のPC鋼材14で連結する構成とすればよい。例えば、第1定着部11及び第2定着部12を直方体状のコンクリートブロックで構成し、これらのコンクリートブロック同士をPC鋼材14によって緊張状態で連結するようにしてもよい。このようにしても、複数本の鋼材によって第1定着部11と第2定着部12とが緊張状態で連結されているので、深層崩壊の抑止工に関して施工を容易化でき、効率化が図れる。
殻部材15に関し、前述の各実施形態では円筒状のものを例示したが、円筒状に限られない。例えば角筒状に構成してもよい。また、PC鋼材14に関し、前述の各実施形態ではPCより線を例示したが、PCより線に限られない。例えば、棒状の鋼材を用いてもよい。
第2実施形態の支管25に関し、地下水流上流の安定土塊G1から自由長部13に向けて下り傾斜させた状態で設けたものを例示したが、この構成に限られない。主管部27の軸線方向に対して鉛直となる方向に設けてもよいし、左右方向に傾斜させてもよい。
第2実施形態の主管部27に関し、その傾斜角度は、第2定着部12側(手前側)の端部が、第1定着部11側(奥側)の端部よりも高くなければよい。これは、地下水Wが、第2定着部12側の端部から滞りなく排出されるためである。
締め付け金具21に関し、前述の各実施形態では、第1ボルト部22、第2ボルト部23、及びナット部24を有するものを例示したが、この構成に限られない。例えば、締め付け金具を、筒体と楔部材との組によって構成してもよい。
そして、各実施形態に記載された要素技術は、互いに組み合わせて適用することができる。例えば、第2実施形態において、第1実施形態と同様に、自由長部13内のコンクリート26を省略してもよい。
1…崩壊抑止構造物(第1実施形態),2…崩壊抑止構造物(第2実施形態),11…第1定着部,12…第2定着部,13…自由長部,14…PC鋼材,15…殻部材,16…第1定着部側の筒状コンクリート,17…第2定着部側の筒状コンクリート,18…ボルト,19…第1閉塞蓋,20…第2閉塞蓋,21…締め付け金具,22…第1ボルト部,23…第2ボルト部,24…ナット部,25…支管,26…自由長部の筒状コンクリート,27…主管部,28…絶縁層,G…岩盤,G1…安定土塊,G2…不安定土塊,S…滑り面,W…地下水

Claims (5)

  1. 安定土塊と不安定土塊の間で生じる深層崩壊を抑止する崩壊抑止構造物であって、
    前記安定土塊に配置される第1定着部と、
    前記不安定土塊に配置される第2定着部と、
    前記第1定着部と前記第2定着部とを緊張状態で連結する、複数本の鋼材を含んだ自由長部とを有することを特徴とする崩壊抑止構造物。
  2. 岩盤の斜面側から構築され、前記安定土塊と前記不安定土塊とを貫く筒状の殻部材を有し、
    前記第1定着部が前記殻部材の一端側に設けられ、
    前記第2定着部が前記殻部材の他端側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の崩壊抑止構造物。
  3. 前記第1定着部及び前記第2定着部が、前記殻部材の内周面に沿って形成された筒状のコンクリートによって構成されていることを特徴とする請求項2に記載の崩壊抑止構造物。
  4. 前記自由長部には、前記鋼材とは縁の切れた状態で、前記殻部材の内周面に沿って筒状のコンクリートが形成されていることを特徴とする請求項3に記載の崩壊抑止構造物。
  5. 前記自由長部から上方に配設され、かつ、前記自由長部に連通される有孔管を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の崩壊抑止構造物。
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