JP2013218122A - 電気泳動粒子の製造方法、電気泳動粒子、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器 - Google Patents

電気泳動粒子の製造方法、電気泳動粒子、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】電気泳動分散液中において優れた分散能を長期的に発揮し得る電気泳動粒子を製造することができる電気泳動粒子の製造方法、かかる機能を発揮し得る電気泳動粒子、かかる電気泳動粒子を用いた信頼性の高い、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明は、母粒子2と、母粒子2の少なくとも一部を覆う被覆層3とを含む電気泳動粒子1の製造方法であり、母粒子2の表面に、重合開始基を有する重合開始剤31を複数結合させる第1の工程と、重合開始基を起点として、1つの重合基を備える非イオン性の単官能モノマーと、2つ以上の重合基を備える多官能モノマーとを含むモノマーをリビングラジカル重合により重合させて重合部32を形成して複数のポリマー33を得る第2の工程とを有し、第2の工程において、複数のポリマー33同士は、前記多官能モノマーにおいて互いに連結して形成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、電気泳動粒子の製造方法、電気泳動粒子、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器に関するものである。
一般に、液体中に微粒子を分散させた分散系に電界を作用させると、微粒子は、クーロン力により液体中で移動(泳動)することが知られている。この現象を電気泳動といい、近年、この電気泳動を利用して、所望の情報(画像)を表示させるようにした電気泳動表示装置が新たな表示装置として注目を集めている。
この電気泳動表示装置は、電圧の印加を停止した状態での表示メモリー性や広視野角性を有することや、低消費電力で高コントラストの表示が可能であること等の特徴を備えている。
また、電気泳動表示装置は、非発光型デバイスであることから、ブラウン管のような発光型の表示デバイスに比べて、目に優しいという特徴も有している。
このような電気泳動表示装置には、電気泳動粒子を溶媒中に分散させたものを、電極を有する一対の基板間に配置される電気泳動分散液として備えるものが知られている。
かかる構成の電気泳動分散液では、電気泳動粒子として、正帯電性のものと、負帯電性のものとを含むものが用いられ、これにより、一対の基板(電極)間に電圧を印加することで、所望の情報(画像)を表示させることができるようになる。
ここで、電気泳動粒子501としては、一般的に、基材粒子502に対して高分子533が連結された被覆層503を備えるものが用いられ、このような被覆層503(高分子533)を備える構成とすることで、電気泳動分散液中において、電気泳動粒子501を分散および帯電させることが可能となる。
また、かかる構成の電気泳動粒子は、例えば、原子移動ラジカル重合反応(atom transfer radical polymerization :ATRP)を用いて、以下のようにして製造される。
すなわち、基材粒子502を用意し、この基材粒子502の表面に、重合開始基を有するシランカップリング剤531を結合させた後、この重合開始基を起点として、モノマーがリビングラジカル重合により重合した重合部532を形成して高分子(ポリマー)533を設けることで、帯電性や分散性等の性質が付与されることにより電気泳動粒子501が製造される(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、このようなATRPを用いて製造した電気泳動粒子501では、高分子533は、電気泳動粒子501における高分子533の密度、高分子533の組成や、電気泳動分散液の温度および溶媒によっては、電気泳動分散液中において、丸まった構造をとる、いわゆるマッシュルーム構造を部分的に形成することが知られている(図8(A)参照。)。高分子533が丸まることで伸びきらないマッシュルーム構造が形成されると、高分子533による電気泳動粒子501間の距離を引き離す効果、すなわち分散性が低くなり、その結果、電気泳動粒子501の凝集が生じやすくなる。
さらに、高分子533がたとえ直線状に伸びていたとしても、図8(B)のように、隣り合う電気泳動粒子501が備える高分子533同士が絡まり合うことに起因して、電気泳動粒子501同士間の離間距離が接近し、電気泳動粒子501の凝集が生じることがある。加えて、高分子は、その一端部においてのみ、基材粒子に対して連結している。そのため、電気泳動装置の製造途中や電気泳動装置の使用過程において、振動等に起因して電気泳動粒子同士が衝突したりする物理的な影響や、電気泳動粒子が分散する溶媒に由来する化学的な影響を受けることに起因して、高分子の一端部と基材粒子とが連結する連結部を起点として、高分子が基材粒子から脱離してしまう。その結果、電気泳動装置の製造時および使用時において、電気泳動分散液中に含まれる複数の電気泳動粒子間において帯電性および分散性等にバラツキが生じるという問題がある。
これらのことから、上記のようなATRPを用いて製造した電気泳動粒子501では、優れた分散性を長期的に維持することは、困難であった。
特開2007−225732号公報
本発明の目的の一つは、電気泳動分散液中において優れた分散能を長期的に発揮し得る電気泳動粒子を製造することができる電気泳動粒子の製造方法、かかる機能を発揮し得る電気泳動粒子、かかる電気泳動粒子を用いた信頼性の高い、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の電気泳動粒子の製造方法は、母粒子と、前記母粒子の少なくとも一部を覆う被覆層とを含む電気泳動粒子の製造方法であって、
前記母粒子を用意し、該母粒子の表面に、重合開始基を有する重合開始剤を複数結合させる第1の工程と、
前記重合開始基を起点として、非イオン性の単官能モノマーと、2つ以上の重合基を備える多官能モノマーとを含むモノマーをリビングラジカル重合により重合させて重合部を形成して複数のポリマーを得る第2の工程とを有し、
前記第2の工程において、複数の前記ポリマー同士は、前記多官能モノマーにおいて互いに連結して形成されることを特徴とする。
これにより、電気泳動分散液中において優れた分散能を長期的に発揮し得る電気泳動粒子を製造することができる。
本発明の電気泳動粒子の製造方法では、前記重合部は、前記非イオン性の単官能モノマーと、前記多官能モノマーと、陽イオン性の単官能モノマーとを含むモノマーを重合させることにより形成されることが好ましい。
これにより、電気泳動分散液中において、正帯電性が付与された電気泳動粒子を得ることができる。
本発明の電気泳動粒子の製造方法では、前記重合部は、前記非イオン性の単官能モノマーと、前記多官能モノマーと、陰イオン性の単官能モノマーとを含むモノマーを重合させることにより形成されることが好ましい。
これにより、電気泳動分散液中において、負帯電性が付与された電気泳動粒子を得ることができる。
本発明の電気泳動粒子の製造方法では、前記重合開始剤は、シランカップリング剤であることが好ましい。
シランカップリング剤であれば、このものが有するアルコキシシリル基のような結合基を介して、母粒子の表面に、シランカップリング剤を確実に結合させることができる。
本発明の電気泳動粒子の製造方法では、前記重合開始基は、原子移動ラジカル重合により重合するものであることが好ましい。
これにより、重合開始基と、モノマーとが反応するリビングラジカル重合をより効率よく進行させることができる。
本発明の電気泳動粒子の製造方法では、前記第1の工程において、前記母粒子の表面に結合させる前記重合開始剤の結合度を0.01chain/nm以上、0.5chain/nm以下とすることで、
前記第2の工程において、形成される前記ポリマーの前記母粒子の表面への結合度が0.01chain/nm以上、0.5chain/nm以下に設定されることが好ましい。
これにより、電気泳動分散液中において優れた分散能を発揮する電気泳動粒子とすることができる。
本発明の電気泳動粒子は、母粒子と、
前記母粒子の少なくとも一部を覆う被覆層とを有し、
前記被覆層は、該母粒子の表面に結合した重合開始基を有する重合開始剤と、前記重合開始基を起点として、モノマーがリビングラジカル重合により重合した重合部とを備えるポリマーを複数含んでおり、
前記モノマーは、1つの重合基を備える非イオン性の単官能モノマーと、2つ以上の重合基を備える多官能モノマーとを含み、
複数の前記ポリマー同士は、前記多官能モノマーにおいて互いに連結していることを特徴とする。
これにより、電気泳動分散液中において優れた分散能を長期的に発揮し得る電気泳動粒子とすることができる。
本発明の電気泳動分散液は、本発明の電気泳動粒子の製造方法または本発明の電気泳動粒子により製造された電気泳動粒子を含有することを特徴とする。
これにより、優れた分散能を発揮する電気泳動粒子を備える電気泳動分散液とすることができる。
本発明の電気泳動シートは、基板と、
前記基板の上方に配置され、各々が本発明の電気泳動分散液を収納する複数の構造体とを含むことを特徴とする。
これにより、性能および信頼性の高い電気泳動シートが得られる。
本発明の電気泳動装置は、本発明の電気泳動シートを備えることを特徴とする。
これにより、性能および信頼性の高い電気泳動装置が得られる。
本発明の電子機器は、本発明の電気泳動装置を備えることを特徴とする。
これにより、性能および信頼性の高い電子機器が得られる。
本発明の電気泳動粒子の実施形態を示す縦断面図である。 図1に示す電気泳動粒子が有するポリマーの模式図である。 電気泳動表示装置の実施形態の縦断面を模式的に示す図である。 図3に示す電気泳動表示装置の作動原理を示す模式図である。 本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。 本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。 電気泳動分散液中の電気泳動粒子の泳動移動度を測定するために用いた封止セルの構成を示す模式図である。 従来の電気泳動粒子が取り得る構造の縦断面を模式的に示す図である。
以下、本発明の電気泳動粒子の製造方法、電気泳動粒子、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<電気泳動粒子>
まず、本発明の電気泳動粒子の製造方法を説明するのに先立って、かかる製造方法で製造された電気泳動粒子(本発明の電気泳動粒子)について説明する。
図1は、本発明の電気泳動粒子の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1に示す電気泳動粒子が有するポリマーの模式図である。
電気泳動粒子1は、母粒子2と、母粒子2の表面に設けられた被覆層3とを有している。
母粒子2には、例えば、顔料粒子、樹脂粒子またはこれらの複合粒子のうちの少なくとも1種が好適に用いられる。これらの粒子は、製造が容易である。
顔料粒子を構成する顔料としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料、二酸化チタン、三酸化アンチモン、硫酸バリウム、硫化亜鉛、亜鉛華、二酸化珪素等の白色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン等の黄色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドンレッド、クロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、紺青、群青、コバルトブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、樹脂粒子を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン、ポリエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、複合粒子としては、例えば、顔料粒子の表面を樹脂材料で被覆することでコート処理されたもの、樹脂粒子の表面を顔料で被覆することでコート処理されたもの、顔料と樹脂材料とを適当な組成比で混合した混合物で構成される粒子等が挙げられる。
なお、母粒子2として用いる顔料粒子、樹脂粒子および複合粒子の種類を適宜選択することにより、電気泳動粒子1の色を所望のものに設定することができる。
なお、母粒子2は、後述する重合開始基を有する重合開始剤31(以下、単に「重合開始剤31」ともいう)と結合(連結)し得る官能基を備えている必要がある。しかしながら、顔料粒子、樹脂粒子および複合粒子の種類によっては官能基を有していない場合があるため、この場合、予め、酸処理、塩基処理、UV処理、オゾン処理、プラズマ処理等の官能基導入処理を施して、母粒子2の表面に官能基が導入されている。また、官能基としては、例えば、水酸基等が挙げられる。
母粒子2は、その表面の少なくとも一部(図示の構成では、ほぼ全体)が被覆層3により被覆されている。
本発明では、被覆層3は、母粒子2の表面に結合した重合開始基を有する重合開始剤31と、この重合開始基を起点として、モノマーがリビングラジカル重合により重合した重合部32とを備えるポリマー33を含む構成をなし、前記モノマーは、1つの重合基を備える非イオン性の単官能モノマーと、2つ以上の重合基を備える多官能モノマーとを含んでおり、複数のポリマー33同士は、前記多官能モノマーにおいて互いに連結している(図2(a)参照。)。
重合開始基を有する重合開始剤31は、母粒子2の表面に結合するとともに、この重合開始基を起点として重合した重合部32に結合している。
すなわち、重合開始基を有する重合開始剤31は、母粒子2と、重合部32とを接続(連結)する接続部として機能する。
この重合開始剤31としては、重合開始基を有し、さらに、母粒子2の表面に結合し得る機能を有するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、重合開始基を有するシランカップリング剤が好ましく用いられる。シランカップリング剤であれば、このものが有するアルコキシシリル基のような結合基を介して、母粒子2の表面に、重合開始剤(シランカップリング剤)31を確実に結合させることができる。
重合開始基としては、原子移動ラジカル重合(ATRP)により重合するもの、ニトロキシド媒介重合(NMP)により重合するもの、可逆的付加開裂型連鎖移動重合(RAFT)、有機テルル化合物を用いるリビングラジカル重合(TERP)により重合するもの等が挙げられるが、中でも、原子移動ラジカル重合により重合するものであるのが好ましい。これにより、重合開始基と、モノマーとが反応するリビングラジカル重合をより効率よく進行させることができる。
原子移動ラジカル重合により重合する重合開始基としては、例えば、有機ハロゲン化物およびハロゲン化スルホニル化合物に由来するものが挙げられ、有機ハロゲン化物に由来するものとしては、下記一般式(1)で表わされるベンジル誘導体を備えるもの、下記一般式(2)で表わされるα−ハロエステル基を備えるもの、および下記一般式(3)で表わされるα−ハロアミド基を備えるものが挙げられる。さらに、ハロゲン化スルホニル化合物に由来するものとしては、下記一般式(4)で表わされるものが挙げられる。
Figure 2013218122
[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、X、および炭素原子の数が1〜20であり任意の−CH−が−O−またはシクロアルキレン基で置換されてもよいアルキル基から選択される基を表し、Xは、塩素、臭素またはヨウ素を表す。]
Figure 2013218122
[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基または炭素数7〜20のアリールアルキル基を表し、RおよびRがともに水素であることが除かれる。また、X、は塩素、臭素またはヨウ素を表す。]
Figure 2013218122
[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基または炭素数7〜20のアリールアルキル基を表し、RおよびRがともに水素であることが除かれる。また、X、は塩素、臭素またはヨウ素を表す。]
Figure 2013218122
[式中、X、は塩素、臭素またはヨウ素を表す。]
したがって、重合開始剤としてシランカップリング剤を用いる場合、この重合開始剤(シランカップリング剤)31は、例えば、下記一般式(5)で表すことができる。
Figure 2013218122
[式中、Aは、重合開始基を表す。Zは、結合基を表し、それぞれ独立して、水素、メチル基、塩素、メトキシ基またはエトキシ基を表し、3つのZが全て水素もしくはメチル基であることが除かれ、nは、1〜20の整数を表す。]
重合部32は、後述する電気泳動分散液中における電気泳動粒子1の特性を発揮させるために付与されているものである。
この重合部32は、本発明では、1つの重合基を備える非イオン性の単官能モノマーと、2つ以上の重合基を備える多官能モノマーとを含むモノマーをリビングラジカル重合により重合させたものであり、隣り合うポリマー33が有する重合部32の多官能モノマーにおいて、ポリマー33同士が連結している。
このように、母粒子2の表面に結合したポリマー33が、隣り合うもの同士の間で連結(架橋)していることから、前述した背景技術で説明したような、ポリマーが丸まることで生じるマッシュルーム構造を形成したり、ポリマー同士が絡まり合うことを的確に抑制または防止することができる。そのため、ポリマー33中に非イオン性の単官能モノマーが含まれていることにより、電気泳動粒子1に付与される特性、すなわち、分散性を、電気泳動粒子1は的確に発揮することとなる。
さらに、ポリマー33は、重合開始剤31側の端部ばかりでなく、隣り合うポリマー33とも連結することとなるため、たとえ重合開始剤31側の端部における連結部で、ポリマー33が母粒子2から脱離したとしても、ポリマー33同士が連結していることとなる。その結果、連結部において母粒子2から脱離したポリマー33が、母粒子2から脱離してしまうのを確実に防止することができる。すなわち、ポリマー33の母粒子2への密着強度を向上させることができ、電気泳動粒子1の耐久性の向上を図ることができる。
よって、電気泳動装置の製造途中や電気泳動装置の使用過程に、振動等に起因して電気泳動粒子1同士が衝突したりする物理的な影響や、電気泳動粒子1が分散する溶媒に由来する化学的な影響を受けたとしても、ポリマー33の母粒子2からの脱離を確実に防止することができる。そのため、電気泳動装置の製造時および使用時において、電気泳動分散液中に含まれる複数の電気泳動粒子1間において分散特性にバラツキが生じてしまうのを的確に防止することができることから、電気泳動粒子1は、分散特性が長期的に安定なものとなる。
単官能モノマーは、リビングラジカル重合により重合し得るように1つの重合基を備える非イオン性のものである。
単官能モノマーとして、非イオン性ものを用いることで、リビングラジカル重合により形成される重合部32は、後述する電気泳動分散液に含まれる分散媒に対して、優れた親和性を示すこととなる。そのため、電気泳動分散液中において、かかる重合部32を備える電気泳動粒子1は、凝集することなく優れた分散性をもって分散するものとなる。
また、単官能モノマーが有する1つの重合基としては、例えば、ビニル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基のような炭素−炭素2重結合を含むものが挙げられる。
このような単官能モノマーとしては、例えば、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロ(メタ)アクリレート等のアクリル系モノマー、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2−プロピルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、2−イソプロピルスチレン、3−イソプロピルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン等のスチレン系モノマーが挙げられる。
多官能モノマーは、2以上の重合基を備えるものである。これにより、リビングラジカル重合により重合する際に、隣り合うポリマー33が有する重合部32において、多官能モノマー同士が連結することが可能となる。
多官能モノマーが有する重合基の数は、2以上であればよいが、2または3であるのが好ましく、2であるのがより好ましい。これにより、多数のポリマー33が1つの多官能モノマーにおいて不必要に連結し、これに起因して、電気泳動粒子1の分散能が低下してしまうのを的確に抑制または防止しつつ、隣り合うポリマー33同士を連結することができる。
また、多官能モノマーが有する2以上の重合基としては、単官能モノマーが有する重合基で挙げたのと同様のものが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような多官能モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、N、N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジクミルパーオキシド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)クリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、この多官能モノマーは、非イオン性のものであるのが好ましい。これにより、多官能モノマーも、電気泳動粒子1の分散性の向上に寄与することとなる。さらに、後述する電気泳動粒子の製造方法において、単官能モノマーと多官能モノマーとを、これらを含む溶液中で均一に分散することができる。そのため、かかるモノマーから生成される重合部32において、多官能モノマーが偏在するのを的確に抑制または防止することができる。すなわち、重合部32を単官能モノマーと多官能モノマーとのランダム共重合体とすることができる。したがって、隣り合うポリマー33が有する重合部32の多官能モノマー同士が連結することにより形成される架橋点が偏在するのを的確に抑制または防止することができることから、多官能モノマー同士を連結させることにより得られる効果をより確実に発揮させることができる。
このようなこの多官能モノマーとしては、上述したもののうち、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレートおよび1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、重合部32中に含まれる単官能モノマーの数A[個]と、多官能モノマーの数B[個]との比[A:B]は、100:0.1〜100:20程度であることが好ましく、100:1〜100:10程度であることがより好ましい。多官能モノマーの数が上記下限値よりも少なすぎると、十分な架橋点を得ることができず、電気泳動分散液中に含まれる分散液の種類等によっては電気泳動粒子1の分散性を向上させることができないおそれがある。一方、多官能モノマーの数が上記上限値を超えると、ポリマー(ブラシ鎖)33の動きの自由度が低下し、これに起因して、電気泳動分散液中に含まれる分散液の種類等によっては、ポリマー33が分散液と溶媒和を形成することができず、電気泳動粒子1の凝集を引き起こすおそれがある。
さらに、かかる構成の重合部32は、その厚さが重合開始剤31の厚さと合わせて、好ましくは5nm程度以上、500nm程度以下、より好ましくは10nm程度以上、50nm程度以下に設定されている。これにより、電気泳動粒子1を、ポリマー33を備える構成とすることにより効果を確実に発揮させることができ、電気泳動粒子1は電気泳動分散液中において優れた分散性を有するものとなる。
また、単官能モノマーと多官能モノマーとを含むモノマーは、これらの他に、陽イオン性の陽イオン性モノマーまたは陰イオン性の陰イオン性モノマーを含むもの、すなわち、重合部32は、非イオン性の単官能モノマーと多官能モノマーとの他に、さらに陽イオン性モノマーまたは陰イオン性モノマーを含むモノマーをリビングラジカル重合により重合させたものであってもよい。
モノマーとして、陽イオン性モノマーを含むものを用いて、リビングラジカル重合により重合部32を形成することで、後述する電気泳動分散液において、重合部32は、正(プラス)に帯電することとなる。そのため、電気泳動分散液中において、かかる重合部32を備える電気泳動粒子1は、正帯電性の電気泳動粒子(正電気泳動粒子)となる。
また、モノマーとして、陰イオン性モノマーを含むものを用いて、リビングラジカル重合により重合部32を形成することで、後述する電気泳動分散液において、重合部32は、負(マイナス)に帯電することとなる。そのため、電気泳動分散液中において、かかる重合部32を備える電気泳動粒子1は、負帯電性の電気泳動粒子(負電気泳動粒子)となる。
陽イオン性モノマーとしては、例えば、その構造中にアミノ基を備えるものが挙げられ、具体的には、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチル−N−フェニルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、4−ビニルピリジン等が挙げられる。
また、陰イオン性モノマーとしては、例えば、その構造中にカルボキシル基またはスルホニル基を備えるものが挙げられ、具体的には、(メタ)アクリル酸、カルボキシメチル(メタ)アクリレート、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ビニル安息香酸、ビニルフェニル酢酸、ビニルフェニルプロピオン酸、ビニルスルホン酸、スルホメチル(メタ)アクリレート、2−スルホエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、単官能モノマーと多官能モノマーとの他に、陽イオン性モノマーや陰イオン性モノマーのようなイオン性モノマーをモノマーが含む場合、重合部32は、このイオン性モノマーが不規則に存在するランダム共重合体であってもよいし、イオン性モノマーが母粒子2(重合開始剤31)側に偏在するブロック共重合体であってもよい。これら何れの場合であっても、電気泳動粒子1の分散特性を維持しつつ、含まれるイオン性モノマーの種類に応じて、電気泳動粒子1を、負帯電性または正帯電性の粒子とすることができる。
なお、上述したような重合開始剤(シランカップリング剤)31、単官能モノマーおよび多官能モノマーから得られるポリマー33は、単官能モノマーをM、多官能モノマーをMで表すと、図2(b)のような模式図で表すことができる。なお、図2(b)中、単官能モノマーMおよび多官能モノマーMは1以上の整数であれば任意の数をとることができ、さらに、重合部32が有する多官能モノマーM同士は、少なくとも1つ連結していればよい。
また、上記のような被覆層3において、ポリマー33は、母粒子2の表面への結合度が0.01chain/nm以上、0.5chain/nm以下となっていることが好ましく、0.05chain/nm以上、0.1chain/nm以下となっていることがより好ましい。
ここで、母粒子の表面に重合開始基を有する重合開始剤31を結合させ、その後、この重合開始剤31の重合開始基を起点として、重合部32を形成することにより母粒子2の表面にポリマー33を結合させる構成とすると、通常、ポリマー33の母粒子2への結合度が前記範囲を超えて大きくなる傾向を示す。すなわち、母粒子2にポリマー33が密に形成される傾向を示す。
このように密な状態でポリマー33が母粒子2の表面に形成されている電気泳動粒子1を、電気泳動分散液中に分散させると、電気泳動分散液中に含まれる分散媒の種類によっては、この分散媒が、ポリマー同士の間に浸入することが困難となり、これに起因して、電気泳動粒子1が十分な分散能を発揮できない場合がある。
これに対して、ポリマー33の母粒子2の表面への結合度を前記範囲内に設定することにより、母粒子2の表面へのポリマー33の結合度が疎な状態となり、その結果、分散媒がポリマー33同士の間に容易に浸入することが可能となる。そのため、電気泳動粒子1に、十分な分散能が付与されることとなる。
さらに、ポリマー33の結合度が疎な状態となっていることで、各ポリマー33は、重合部32が有する架橋点以外において、互いに干渉し合うことなく、より容易に可動することができるようになる。そのため、電気泳動分散液にイオンを添加する構成とすることで、ポリマー33により、かかるイオンを捕捉させることができ、その結果、電気泳動粒子1は帯電性を有するものとなる。
また、陽イオン性モノマーまたは陰イオン性モノマーを含む重合部32を備えるポリマー33を電気泳動粒子1が有する場合、分散媒がポリマー33同士の間に浸入すると、重合部32からのカウンターイオンの脱離が容易に行われるため、重合部32の帯電性が向上し、その結果、電気泳動粒子1の移動能がより優れたものとなる。
以上のような、重合開始剤31と重合部32とを有するポリマー33が母粒子2の表面に形成された電気泳動粒子1は、例えば、次のようにして製造することができる。
<電気泳動粒子の製造方法>
電気泳動粒子1の製造方法は、母粒子2を用意し、母粒子2の表面に、重合開始基を有する重合開始剤31を複数結合させる第1の工程と、前記重合開始基を起点として、1つの重合基を備える非イオン性の単官能モノマーと、2つ以上の重合基を備える多官能モノマーとを含むモノマーをリビングラジカル重合により重合させて重合部32を形成して複数のポリマー33を得る第2の工程とを有しており、第2の工程において、複数のポリマー33同士は、重合部32に含まれる多官能モノマーにおいて互いに連結して形成される。
以下、各工程について詳述する。
[1] まず、母粒子2を用意し、この母粒子2の表面に、重合開始基を有する重合開始剤31を結合させる(第1の工程)。
なお、本工程[2]における、ポリマー33の母粒子2の表面への結合度を0.01chain/nm以上、0.5chain/nm以下に設定する場合には、本工程[1]において、母粒子2の表面に対する、重合開始剤31の結合度を0.01chain/nm以上、0.5chain/nm以下の範囲内となるように結合させる。
ここで、母粒子2の表面に対する重合開始剤31の結合度の結合度を前記範囲内に設定する方法としては、例えば、以下に示すI〜IIIの方法が挙げられる。
すなわち、Iの方法は、重合開始剤31を含む溶液中において、重合開始剤31の含有量が低くなるように前記溶液を調製し、母粒子2の表面にかかる溶液を接触させる方法(希釈法)である。
また、IIの方法は、重合開始基を有する重合開始剤31と、重合開始基を有しない重合開始剤とを含む溶液を調製し、母粒子2の表面にかかる溶液を接触させる方法(競合法)である。
さらに、IIIの方法は、重合開始基を有する重合開始剤31を含む溶液を調製し、母粒子2の表面にかかる溶液を接触させて、重合開始基を有する重合開始剤31を母粒子2の表面に結合させた後、結合した重合開始剤31の重合開始基の一部を失活させる方法(失活法)である。
以下、I〜IIIの方法について、順次、詳細に説明する。
<<I:希釈法>>
Iの方法は、上述の通り、重合開始基を有する重合開始剤31を含む溶液中において、重合開始基を有する重合開始剤31の含有量が低くなるように前記溶液を調製し、母粒子2の表面にかかる溶液を接触させる方法である。
このように、母粒子2の表面に接触させる溶液中に含まれる重合開始基を有する重合開始剤31の含有量を低濃度に設定することで、重合開始基を有する重合開始剤31が母粒子2の表面に接触する接触機会が減少するため、母粒子2の表面への重合開始基を有する重合開始剤31の結合度を疎な状態とすることができる。
また、母粒子2の表面に対する、重合開始基を有する重合開始剤31の結合度を前記範囲内とするには、前記溶液中における重合開始基を有する重合開始剤31の含有量を、下記式(A)に基づいて求められた範囲内に設定することにより行うことができる。
Figure 2013218122
[式中、Winiは重合開始基を有するシランカップリング剤の重量[g]を、Mは重合開始基を有するシランカップリング剤の分子量[g/mol]を、Sは母粒子の比表面積[nm/g]を、Wは母粒子の重量[g]を、Nはアボガドロ数[/mol]を、それぞれ表す。]
そこで、例えば、分子量300の重合開始基を有する重合開始剤31を、比表面積10m/gの母粒子2に形成する場合、上記式(A)から0.00005<Wini/W<0.0025の関係が求められる。
したがって、この場合には母粒子2の重量に対して0.005〜0.25wt%の範囲内となる重合開始基を有する重合開始剤31を前記溶液中に含有させることで、母粒子2の表面に対する、重合開始基を有する重合開始剤31の結合度を前記範囲内に設定することができる。
なお、母粒子2の表面に、溶液を接触させる方法としては、例えば、I:溶液中に母粒子2を浸漬する方法(浸漬法)、II:母粒子2の表面に溶液を塗布する方法(塗布法)、III:母粒子2の表面に前記溶液をシャワー状に供給する方法(噴霧法)等が挙げられる。
また、上記の溶液を調製するための溶媒としては、例えば、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、塩化メチレン等の非極性溶媒、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のプロトン性極性溶媒等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。この際に重合開始剤(シランカップリング剤)31の反応性を向上させるために少量の水もしくは酸もしくは塩基を添加してもよい。
また、浸漬法を用いる場合、必要に応じて上記溶液に対して、超音波を所定時間照射したり、所定時間撹拌するようにしてもよい。これにより、溶液中における母粒子2の分散性が向上するため、母粒子2の表面に、重合開始基を有する重合開始剤31を、より均一に結合させることができる。
なお、母粒子2の表面と、重合開始基を有する重合開始剤31との反応は、例えば、浸漬法を用いる場合、過剰な溶液をろ過等で取り除いた後、母粒子2を加熱することで行うことができる。また、母粒子2を加熱する際の条件は、加熱温度を100〜150℃程度で、加熱時間を30〜90分程度に設定される。
<<II:競合法>>
IIの方法は、上述の通り、重合開始基を有する重合開始剤31と、重合開始基を有しない重合開始剤(シランカップリング剤)とを含む溶液を調製し、母粒子2の表面にかかる溶液を接触させる方法である。
このように、母粒子2の表面に接触させる溶液中に、重合開始基を有する重合開始剤31の他に、さらに、重合開始基を有しない重合開始剤(シランカップリング剤)が含まれる構成とすることで、母粒子2の表面には、重合開始基を有する重合開始剤31と重合開始基を有しない重合開始剤(シランカップリング剤)との双方が結合することとなるため、結果的に、母粒子2の表面に対する、重合開始基を有する重合開始剤31の結合度が疎な状態となる。
また、母粒子2の表面に対する、重合開始基を有する重合開始剤31の結合度を前記範囲内とするには、前記溶液中における重合開始基を有する重合開始剤31の含有量と、重合開始基を有しない重合開始剤(シランカップリング剤)の含有量との比を、下記式(C)に基づいて求められた範囲内に設定することにより行うことができる。
すなわち、前記溶液中における重合開始基を有する重合開始剤31と重合開始基を有しない重合開始剤(シランカップリング剤)とのモル比を、m:(1−m)としたとき、かかる溶液を用いて処理された母粒子2の表面における、重合開始基を有する重合開始剤31の結合度(表面密度)は、下記式(B)で表すことができる。
Figure 2013218122
[式中、Sは、重合開始基を有する重合開始剤31の被覆面積[nm]を表し、Sは、重合開始基を有しない重合開始剤(シランカップリング剤)の被覆面積[nm]を表す。]
この結合度が、0.01〜0.5[chain/nm]を満足すれば良いことから、下記式(C)に基づいて、0.01S<m<0.5Sなる関係を求めることができる。
Figure 2013218122
[式中、SとSとは、S=Sとして取り扱うことができる。]
したがって、通常、重合開始基を有する重合開始剤31の被覆面積Sは0.2nmであると取り扱うことが可能であるため、0.002<m<0.1なる関係が満足されるように、重合開始基を有する重合開始剤31と、重合開始基を有しない重合開始剤(シランカップリング剤)とが含まれる溶液を調製することで、母粒子2の表面に対する、重合開始基を有する重合開始剤31の結合度を前記範囲内に設定することができる。
なお、この方法では、母粒子2の表面の重合開始剤が結合し得る領域のほぼ全体に亘って、重合開始基を有する重合開始剤31または重合開始基を有しない重合開始剤(シランカップリング剤)が連結していることが好ましい。したがって、かかる方法に用いる溶液中には、重合開始基を有する重合開始剤31と重合開始基を有しない重合開始剤(シランカップリング剤)とを合わせたものが過剰量含まれているのが好ましく、具体的には、母粒子2の重量に対して、1〜5重量%程度含まれているのが好ましい。
また、重合開始基を有しない重合開始剤としては、重合開始剤としてシランカップリング剤を用いる場合、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、p−スチリルトリフェノキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリフェノキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリフェノキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等があげられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
<<III:失活法>>
IIIの方法は、上述の通り、重合開始基を有する重合開始剤31を含む溶液を調製し、母粒子2の表面にかかる溶液を接触させて、重合開始基を有する重合開始剤31を母粒子2の表面に結合させた後、結合した重合開始剤31の重合開始基の一部を失活させる方法である。
このように、母粒子2の表面に結合した複数の重合開始剤31のうち、一部の重合開始剤31が有する重合開始基を失活(不活性化)させるため、結果的に、母粒子2の表面への重合開始基の結合度が疎な状態となる。
なお、この方法では、母粒子2の表面の重合開始剤が結合し得る領域のほぼ全体に亘って、重合開始基を有する重合開始剤31が連結していることが好ましい。したがって、かかる方法に用いる溶液中には、重合開始基を有する重合開始剤31が過剰量含まれているのが好ましく、具体的には、母粒子2の重量に対して、1〜5重量%程度含まれているのが好ましい。
また、重合開始基を失活させる方法としては、特に限定されないが、例えば、重合開始基を有する重合開始剤31が表面に結合した母粒子2を、液体中に分散させた状態、または乾燥させた状態で、酸酸性溶液やアルカリ性溶液で処理する溶液処理の他、UV照射処理、コロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電子線照射処理等が挙げられる。
[2] 次に、重合開始剤31が有する重合開始基を起点として、1つの重合基を備える非イオン性の単官能モノマーと、2つ以上の重合基を備える多官能モノマーとを含むモノマーをリビングラジカル重合により重合させて重合部32を形成して複数のポリマー33を得る(第2の工程)。
このリビングラジカル重合は、例えば、重合開始基を有する重合開始剤31が結合する母粒子2の表面に、単官能モノマーおよび多官能モノマーを含むモノマーと、触媒とを含有する溶液を接触させること等により行うことができる。
この溶液を、重合開始基を有する重合開始剤31が連結する母粒子2の表面に接触させると、重合開始基と、モノマー(単官能モノマーおよび多官能モノマー)が有する重合基との間に重合反応が生じる。また、重合部32の生長過程において、生長末端が常に重合開始基となり、この重合開始基とモノマーの重合基との間に、さらに重合反応が生じて重合部32が合成される(生成する)。
ここで、モノマーとして単官能モノマーを単独で含むものを用いたリビングラジカル重合では、重合開始基と、単官能モノマーの1つの重合基との間に重合反応が生じ、さらに、生長末端の重合開始基と、単官能モノマーの1つの重合基との間の重合反応が繰り返し生じるため、得られる重合部(ポリマー)は、分岐しない一本鎖を形成する。
これに対して、本発明では、リビングラジカル重合によりポリマー33を生成する際に、モノマーとして単官能モノマーと多官能モノマーとを含むものを用いている。そのため、重合部32の生長過程において、単官能モノマーばかりでなく多官能モノマーも消費される。すなわち、重合部32は、単官能モノマーと多官能モノマーとを含むものとなる。このとき、この重合部32において、多官能モノマーでは、1つの重合基が消費され、1以上の重合基が残存している。そのため、他のポリマー33が有する重合部32の生長過程において、生長末端の重合開始基と、この残存している重合基との間で重合反応が生じることがある。このような重合反応が生じることで、生成される2つのポリマー33(重合部32)は、重合基が残存していた多官能モノマーにおいて互いに連結(架橋)されたものとなる。かかる過程を経ることで、本発明では、隣り合うポリマー33同士は、重合部32に含まれる多官能モノマーにおいて互いに連結したものとなる。
また、リビングラジカル重合では、重合部32の生長過程において、生長末端が常に重合活性を有するため、モノマーが消費され、重合反応が停止した後、新たにモノマーを加えると重合反応がさらに進行する。
したがって、反応系に供給するモノマー(単官能モノマーおよび多官能モノマー)の量、反応時間や触媒量を所望の重合度に応じて調整した結果、合成されるポリマー33が有するモノマー(単官能モノマーおよび多官能モノマー)に由来する構成単位の数を精度よく制御することができる。また、重合度の分布の揃った第1重合部32を得ることができる。
なお、母粒子2の表面に溶液を接触させる方法としては、各種の方法を用いることができるが、例えば、I:溶液に母粒子2を浸漬する方法(浸漬法)、II:母粒子2の表面に溶液を塗布する方法(塗布法)、III:母粒子2の表面に溶液を噴霧(シャワー)する方法(噴霧法)によって行うことができるが、これらの中でも、浸漬法を用いるのが好ましい。浸漬法によれば、一度に大量の母粒子2を処理することができる。
触媒としては、重合部32の生長過程において、生長末端を重合開始基とすることができるもの、またはルイス酸性度が比較的低いもの用いられる。かかる触媒としては、例えば、Cu、Fe、Au、Ag、Hg、Pd、Pt、Co、Mn、Ru、MoおよびNb等の遷移金属のハロゲン化物、銅フタロシアニン等の有機基が配位子として配位した遷移金属錯体等が挙げられるが、中でも、遷移金属のハロゲン化物を主成分とするものが好ましい。
また、前記溶液を調製するための溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ブタノールのようなアルコール類、ヘキサン、オクタン、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の炭化水素類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル類、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素類等が挙げられ、これらを単独または混合溶媒として用いることができる。
さらに、母粒子2に接触させる前記溶液の量は、母粒子2の体積に対して、1体積%程度以上、20体積%程度以下であることが好ましく、5体積%程度以上、10体積%程度以下であることがより好ましい。前記上限値を超えると、重合部32を生成させる際の条件等によっては、異なる電気泳動粒子1が有する重合部32同士の間で連結し、電気泳動粒子1の凝集が生じるおそれがある。また、前記下限値を下回ると、重合部32を生成させる際に大量の溶媒が必要となったり、重合反応の進行が遅くなり重合部32を生成させるのに時間を要するため、コスト高の原因となる。
また、前記溶液(反応液)は、重合反応を開始する前に、脱酸素処理を行っておくのが好ましい。脱酸素処理としては、例えば、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガスによる真空脱気後の置換やパージ処理等が挙げられる。
また、重合反応に際して、前記溶液の温度を所定の温度(モノマーおよび触媒が活性化する温度)まで加熱(加温)することにより、モノマーの重合反応をより迅速かつ確実に行うことができる。
この加熱の温度は、触媒の種類等によっても若干異なり、特に限定されないが、30〜100℃程度であるのが好ましい。また、加熱の時間(反応時間)は、加熱の温度を前記範囲とする場合、10〜20時間程度であるのが好ましい。
なお、前記工程[1]において、母粒子2の表面に対する、重合開始基を有する重合開始剤31の結合度を0.01chain/nm以上、0.5chain/nm以下に設定した場合には、本工程[2]において形成されるポリマー33についても同様に、母粒子2の表面に対するポリマー33の結合度が0.01chain/nm以上、0.5chain/nm以下に設定されたものとなる。
また、重合部32を、単官能モノマーと多官能モノマーとの他に、陽イオン性モノマーや陰イオン性モノマーのようなイオン性モノマーを含み、これらのランダム共重合体とする場合、前記溶液として、単官能モノマーと多官能モノマーとイオン性モノマーと触媒とを含むものを用意し、この溶液を、重合開始剤31が結合する母粒子2の表面に接触させることで、かかる構成の重合部32を形成することができる。
さらに、イオン性モノマーが母粒子2(重合開始剤31)側に偏在し、単官能モノマーおよび多官能モノマーが表面側に偏在するブロック共重合体とする場合、溶液として、イオン性モノマーと触媒とを含む第1溶液と、単官能モノマーと多官能モノマーと触媒とを含む第2溶液とを用意し、まず、第1溶液を重合開始剤31が結合する母粒子2の表面に接触させ、次いで、第1溶液を除去した後、第2溶液を、この母粒子2の表面に接触させることで、かかる構成の重合部32を形成することができる。
以上のようにして、母粒子2が被覆層3で被覆された電気泳動粒子1が製造される。
<電気泳動分散液>
次に、本発明の電気泳動分散液について説明する。
電気泳動分散液は、少なくとも1種の電気泳動粒子(本発明の電気泳動粒子)を分散媒(液相分散媒)に分散(懸濁)してなるものである。
分散媒としては、比較的高い絶縁性を有するものが好ましく用いられ、例えば、例えば、各種水、アルコール類、セロソルブ類、エステル類、脂肪族炭化水素類(流動パラフィン)、脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、芳香族復素環類等が挙げられ、これらを単独溶媒として用いてもよいし、混合溶媒として用いてもよい。
また、分散媒中には、必要に応じて、例えば、電解質、界面活性剤(アニオン性またはカチオン性)、金属石鹸、樹脂材料、ゴム材料、油類、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、潤滑剤、安定化剤、各種染料等の各種添加剤を添加するようにしてもよい。
また、電気泳動粒子の分散媒への分散は、例えば、ペイントシェーカー法、ボールミル法、メディアミル法、超音波分散法、撹拌分散法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。
このような電気泳動分散液中において、被覆層3が有するポリマー33の作用により、電気泳動粒子1は、優れた分散能を発揮するものとなる。
<電気泳動表示装置>
次に、本発明の電気泳動シートが適用された電気泳動表示装置(本発明の電気泳動装置)について説明する。
図3は、電気泳動表示装置の実施形態の縦断面を模式的に示す図、図4は、図3に示す電気泳動表示装置の作動原理を示す模式図である。なお、以下では、説明の都合上、図3および図4中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図3に示す電気泳動表示装置920は、電気泳動表示シート(フロントプレーン)921と、回路基板(バックプレーン)922と、電気泳動表示シート921と回路基板922とを接合する接着剤層98と、電気泳動表示シート921と回路基板922との間の間隙を気密的に封止する封止部97とを有している。
電気泳動表示シート(本発明の電気泳動シート)921は、平板状の基部92と基部92の下面に設けられた第2の電極94とを備える基板912と、この基板912の下面(一方の面)側に設けられ、マトリクス状に形成された隔壁940と電気泳動分散液910とで構成された表示層9400とを有している。
一方、回路基板922は、平板状の基部91と基部91の上面に設けられた複数の第1の電極93とを備える対向基板911と、この対向基板911(基部91)に設けられた、例えばTFT等のスイッチング素子を含む回路(図示せず)とを有している。
以下、各部の構成について順次説明する。
基部91および基部92は、それぞれ、シート状(平板状)の部材で構成され、これらの間に配される各部材を支持および保護する機能を有する。
各基部91、92は、それぞれ、可撓性を有するもの、硬質なもののいずれであってもよいが、可撓性を有するものであるのが好ましい。可撓性を有する基部91、92を用いることにより、可撓性を有する電気泳動表示装置920、すなわち、例えば電子ペーパーを構築する上で有用な電気泳動表示装置920を得ることができる。
また、各基部(基材層)91、92を可撓性を有するものとする場合、これらは、それぞれ、樹脂材料で構成するのが好ましい。
このような基部91、92の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、20〜500μm程度であるのが好ましく、25〜250μm程度であるのがより好ましい。
これらの基部91、92の隔壁940側の面、すなわち、基部91の上面および基部92の下面に、それぞれ、層状(膜状)をなす第1の電極93および第2の電極94が設けられている。
第1の電極93と第2の電極94との間に電圧を印加すると、これらの間に電界が生じ、この電界が電気泳動粒子(本発明の電気泳動粒子)95に作用する。
本実施形態では、第2の電極94が共通電極とされ、第1の電極93がマトリックス状(行列状)に分割された個別電極(スイッチング素子に接続された画素電極)とされており、第2の電極94と1つの第1の電極93とが重なる部分が1画素を構成する。
各電極93、94の構成材料としては、それぞれ、実質的に導電性を有するものであれば特に限定されない。
このような電極93、94の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、0.05〜10μm程度であるのが好ましく、0.05〜5μm程度であるのがより好ましい。
なお、各基部91、92および各電極93、94のうち、表示面側に配置される基部および電極(本実施形態では、基部92および第2の電極94)は、それぞれ、光透過性を有するもの、すなわち、実質的に透明(無色透明、有色透明または半透明)とされる。
電気泳動表示シート921では、第2の電極94の下面に接触して、表示層9400が設けられている。
この表示層9400は、電気泳動分散液(上述した本発明の電気泳動分散液)910が隔壁940により画成された複数の画素空間9401内に収納(封入)された構成となっている。
隔壁940は、対向基板911と基板912との間に、マトリクス状に分割するように形成されている。
隔壁940の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂のような熱硬化性樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
画素空間9401内に収納された電気泳動分散液910は、本実施形態では、着色粒子95bと白色粒子95aとの2種(少なくとも1種の電気泳動粒子1)を分散媒96に分散(懸濁)してなるものであり、前述した本発明の電気泳動分散液が適用される。
このような電気泳動表示装置920では、第1の電極93と第2の電極94との間に電圧を印加すると、これらの間に生じる電界にしたがって、着色粒子95b、白色粒子95a(電気泳動粒子1)は、いずれかの電極に向かって電気泳動する。
本実施形態では、白色粒子95aとして正荷電を有するものが用いられ、着色粒子(黒色粒子)95bとして負荷電のものが用いられている。すなわち、白色粒子95aとして、母粒子2がプラスに帯電している電気泳動粒子1が用いられ、着色粒子95bとして、母粒子2がマイナスに帯電している電気泳動粒子1が用いられる。
このような電気泳動粒子1を用いた場合、第1の電極93を正電位とすると、図4(A)に示すように、白色粒子95aは、第2の電極94側に移動して、第2の電極94に集まる。一方、着色粒子95bは、第1の電極93側に移動して、第1の電極93に集まる。このため、電気泳動表示装置920を上方(表示面側)から見ると、白色粒子95aの色が見えること、すなわち、白色が見えることになる。
これとは逆に、第1の電極93を負電位とすると、図4(B)に示すように、白色粒子95aは、第1の電極93側に移動して、第1の電極93に集まる。一方、着色粒子95bは、第2の電極94側に移動して、第2の電極94に集まる。このため、電気泳動表示装置920を上方(表示面側)から見ると、着色粒子95bの色が見えること、すなわち、黒色が見えることになる。
このような構成において、白色粒子95a、着色粒子95b(電気泳動粒子1)の帯電量や、電極93または94の極性、電極93、94間の電位差等を適宜設定することにより、電気泳動表示装置920の表示面側には、白色粒子95aおよび着色粒子95bの色の組み合わせや、電極93、94に集合する粒子の数等に応じて、所望の情報(画像)が表示される。
また、電気泳動粒子1の比重は、分散媒96の比重とほぼ等しくなるように設定されているのが好ましい。これにより、電気泳動粒子1は、電極93、94間への電圧の印加を停止した後においても、分散媒96中において一定の位置に長時間滞留することができる。すなわち、電気泳動表示装置920に表示された情報が長時間保持されることとなる。
なお、電気泳動粒子1の平均粒径は、0.1〜10μm程度であるのが好ましく、0.1〜7.5μm程度であるのがより好ましい。電気泳動粒子1の平均粒径を前記範囲とすることにより、電気泳動粒子1同士の凝集や、分散媒96中における沈降を確実に防止することができ、その結果、電気泳動表示装置920の表示品質の劣化を好適に防止することができる。
本実施形態では、電気泳動表示シート921と回路基板922とが、接着剤層98を介して接合されている。これにより、電気泳動表示シート921と回路基板922とをより確実に固定することができる。
接着剤層98の平均厚さは、特に限定されないが、1〜30μm程度であるのが好ましく、5〜20μm程度であるのがより好ましい。
基部91と基部92との間であって、それらの縁部に沿って、封止部97が設けられている。この封止部97により、各電極93、94、表示層9400および接着剤層98が気密的に封止されている。これにより、電気泳動表示装置920内への水分の浸入を防止して、電気泳動表示装置920の表示性能の劣化をより確実に防止することができる。
封止部97の構成材料としては、上述した隔壁940の構成材料として挙げたものと同様のものを用いることができる。
<電子機器>
次に、本発明の電子機器について説明する。
本発明の電子機器は、前述したような電気泳動表示装置920を備えるものである。
<<電子ペーパー>>
まず、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態について説明する。
図5は、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。
図5に示す電子ペーパー600は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体601と、表示ユニット602とを備えている。
このような電子ペーパー600では、表示ユニット602が、前述したような電気泳動表示装置920で構成されている。
<<ディスプレイ>>
次に、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態について説明する。
図6は、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。このうち、図6中(a)は断面図、(b)は平面図である。
図6に示すディスプレイ(表示装置)800は、本体部801と、この本体部801に対して着脱自在に設けられた電子ペーパー600とを備えている。
本体部801は、その側部(図6(a)中、右側)に電子ペーパー600を挿入可能な挿入口805が形成され、また、内部に二組の搬送ローラ対802a、802bが設けられている。電子ペーパー600を、挿入口805を介して本体部801内に挿入すると、電子ペーパー600は、搬送ローラ対802a、802bにより挟持された状態で本体部801に設置される。
また、本体部801の表示面側(図6(b)中、紙面手前側)には、矩形状の孔部803が形成され、この孔部803には、透明ガラス板804が嵌め込まれている。これにより、本体部801の外部から、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を視認することができる。すなわち、このディスプレイ800では、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を、透明ガラス板804において視認させることで表示面を構成している。
また、電子ペーパー600の挿入方向先端部(図6中、左側)には、端子部806が設けられており、本体部801の内部には、電子ペーパー600を本体部801に設置した状態で端子部806が接続されるソケット807が設けられている。このソケット807には、コントローラー808と操作部809とが電気的に接続されている。
このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600は、本体部801に着脱自在に設置されており、本体部801から取り外した状態で携帯して使用することもできる。
また、このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600が、前述したような電気泳動表示装置920で構成されている。
なお、本発明の電子機器は、以上のようなものへの適用に限定されず、例えば、テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、電子新聞、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等を挙げることができ、これらの各種電子機器の表示部に、電気泳動表示装置920を適用することが可能である。
以上、本発明の電気泳動粒子の製造方法、電気泳動粒子、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の電気泳動粒子の製造方法は、任意の目的の工程が1または2以上追加されていてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.電気泳動粒子の製造
(実施例1)
<1> まず、母粒子として、酸化チタン粒子(チタン工業社製、「KR−310」)を用意した。
<2> 次に、ステンレス製容器内に、テトラヒドロフラン溶媒と、下記化学式(6)で表される化合物(重合開始基を有するシランカップリング剤)と、母粒子とを投入して混合液を得た後、3時間攪拌混合を行った。次いで、遠心分離操作により酸化チタン粒子のみを取り出した後、120度の乾燥炉で2時間焼成を行うことによって重合開始基を有するシランカップリング剤を母粒子の表面に結合させた。
Figure 2013218122
<3> 次に、単官能モノマーとしてラウリルメタクリレート5重量%、陽イオン性モノマーとしてメタクロリルコリンクロリド1重量%、多官能モノマーとして1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート0.5重量%を、混合液中に投入した。次いで、反応系内を十分に窒素置換した後に、重合触媒として臭化銅および2,2’−ビピリジルを添加することによりATRP反応を開始した。反応制御性を上げるため、反応中の温度は60〜80度の間となるように調整した。一定時間ごとにサンプリングを行うことで反応の進行と終了を確認した。系内の温度を室温に戻した後、母粒子を溶媒で洗浄して未反応のモノマー残渣と重合触媒を除去し、80度の乾燥炉で2時間乾燥させてシランカップリング剤に連結する重合部を形成した。
以上のような工程を経ることで、母粒子に被覆層が形成された実施例1の電気泳動粒子を製造した。
なお、実施例1の電気泳動粒子における、母粒子の表面に結合する重合開始基を有するシランカップリング剤の結合度は、0.032chain/nmであった。
(実施例2〜5)
前記工程<3>において、混合液中に投入する多官能モノマーの添加量を表1のように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2〜5の電気泳動粒子を製造した。
(実施例6〜9)
前記工程<2>において、混合液中に含まれる重合開始基を有するシランカップリング剤の含有量を適宜設定して、母粒子の表面に結合する重合開始基を有するシランカップリング剤の結合度を表1のように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例6〜9の電気泳動粒子を製造した。
(比較例)
前記工程<3>において、混合液中への多官能モノマーの投入を省略したこと以外は、前記実施例1と同様にして、重合部の多官能モノマーにおける連結が省略された比較例の電気泳動粒子を製造した。
2.電気泳動分散液の調製
分散媒として、アイソパーG(エクソン化学社製)を用意し、この分散媒に、それぞれ、各実施例および比較例の電気泳動粒子10重量%を添加した後、これらに超音波を1時間付与することで、各実施例および比較例の電気泳動分散液を調製した。
3.評価
[1]まず、各実施例および比較例の電気泳動分散液を、それぞれ、図7に示すような、平行平板電極101、102が形成された封止セル100に充填した。
[2]次に、この電極101、102間に電圧を印加することで電気泳動粒子を泳動させ、この様子を高速度カメラ103で観測し、電気泳動粒子の移動速度を算出した。その後印加した電界強度で換算することによって電気泳動移動度を算出した。
これらの結果を、表1に示す。
Figure 2013218122
表1から明らかなように、各実施例の電気泳動表示装置では、電気泳動粒子は、優れた泳動移動度を有しているものの、比較例の電気泳動表示装置では、電気泳動粒子の泳動移動度は、各実施例と比較して明らかに劣る結果となった。
これは、比較例の電気泳動粒子では、重合部の多官能モノマーにおける連結が形成されていないことに起因して、電気泳動粒子が凝集し、その結果、泳動移動度が低下しているものと推察された。
さらに、各実施例および比較例の電気泳動粒子について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察したところ、各実施例の電気泳動粒子ではマッシュルーム構造の形成が認められなかったのに対して、比較例の電気泳動粒子ではマッシュルーム構造が明らかに形成されていた。
1……電気泳動粒子 2……母粒子 3……被覆層 31……重合開始基を有する重合開始剤 32……重合部 33……ポリマー 91……基部 92……基部 93……第1の電極 94……第2の電極 95……電気泳動粒子 95a……白色粒子 95b……着色粒子(黒色粒子) 96……分散媒 97……封止部 98……接着剤層 910……電気泳動分散液 911……対向基板 912……基板 920……電気泳動表示装置 921……電気泳動表示シート 922……回路基板 940……隔壁 9400……表示層 9401……画素空間 100……封止セル 101、102……平行平板電極 103……高速度カメラ 501……電気泳動粒子 502……基材粒子 503……被覆層 531……シランカップリング剤 532……重合部 533……高分子 600……電子ペーパー 601……本体 602……表示ユニット 800……ディスプレイ 801……本体部 802a、802b……搬送ローラ対 803……孔部 804……透明ガラス板 805……挿入口 806……端子部 807……ソケット 808……コントローラー 809……操作部

Claims (11)

  1. 母粒子と、前記母粒子の少なくとも一部を覆う被覆層とを含む電気泳動粒子の製造方法であって、
    前記母粒子を用意し、該母粒子の表面に、重合開始基を有する重合開始剤を複数結合させる第1の工程と、
    前記重合開始基を起点として、非イオン性の単官能モノマーと、2つ以上の重合基を備える多官能モノマーとを含むモノマーをリビングラジカル重合により重合させて重合部を形成して複数のポリマーを得る第2の工程とを有し、
    前記第2の工程において、複数の前記ポリマー同士は、前記多官能モノマーにおいて互いに連結して形成されることを特徴とする電気泳動粒子の製造方法。
  2. 前記重合部は、前記非イオン性の単官能モノマーと、前記多官能モノマーと、陽イオン性の単官能モノマーとを含むモノマーを重合させることにより形成される請求項1に記載の電気泳動粒子の製造方法。
  3. 前記重合部は、前記非イオン性の単官能モノマーと、前記多官能モノマーと、陰イオン性の単官能モノマーとを含むモノマーを重合させることにより形成される請求項1に記載の電気泳動粒子の製造方法。
  4. 前記重合開始剤は、シランカップリング剤である請求項1ないし3のいずれかに記載の電気泳動粒子の製造方法。
  5. 前記重合開始基は、原子移動ラジカル重合により重合するものである請求項1ないし4のいずれかに記載の電気泳動粒子の製造方法。
  6. 前記第1の工程において、前記母粒子の表面に結合させる前記重合開始剤の結合度を0.01chain/nm以上、0.5chain/nm以下とすることで、
    前記第2の工程において、形成される前記ポリマーの前記母粒子の表面への結合度が0.01chain/nm以上、0.5chain/nm以下に設定される請求項1ないし5のいずれかに記載の電気泳動粒子の製造方法。
  7. 母粒子と、
    前記母粒子の少なくとも一部を覆う被覆層とを有し、
    前記被覆層は、該母粒子の表面に結合した重合開始基を有する重合開始剤と、前記重合開始基を起点として、モノマーがリビングラジカル重合により重合した重合部とを備えるポリマーを複数含んでおり、
    前記モノマーは、1つの重合基を備える非イオン性の単官能モノマーと、2つ以上の重合基を備える多官能モノマーとを含み、
    複数の前記ポリマー同士は、前記多官能モノマーにおいて互いに連結していることを特徴とする電気泳動粒子。
  8. 請求項1ないし6のいずれかに記載の電気泳動粒子の製造方法または請求項7に記載の電気泳動粒子により製造された電気泳動粒子を含有することを特徴とする電気泳動分散液。
  9. 基板と、
    前記基板の上方に配置され、各々が請求項8に記載の電気泳動分散液を収納する複数の構造体とを含むことを特徴とする電気泳動シート。
  10. 請求項9に記載の電気泳動シートを備えることを特徴とする電気泳動装置。
  11. 請求項10に記載の電気泳動装置を備えることを特徴とする電子機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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