JP2015191023A - 電気泳動粒子の製造方法、電気泳動粒子、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器 - Google Patents

電気泳動粒子の製造方法、電気泳動粒子、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】基材粒子の種類に関係なく、その表面に高分子を固定させることができる電気泳動粒子の製造方法、かかる高分子が表面に固定された電気泳動粒子、かかる電気泳動粒子を用いた信頼性の高い、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器を提供する。
【解決手段】表面で第1の官能基を露出する母粒子(粒子)2と、母粒子2を覆う被覆層とを含む電気泳動粒子の製造方法であり、リビング重合により、モノマーM1が重合した分散部33と、モノマーM2とモノマーM3とが重合した架橋・吸着部34とを有し、分散部33と架橋・吸着部34とが連結したポリマー35を得る工程と、架橋・吸着部34を母粒子2の表面に吸着させる工程と、架橋剤を介して架橋基を架橋することにより、ポリマー35同士を連結させて該被覆層を形成する工程とを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、電気泳動粒子の製造方法、電気泳動粒子、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器に関するものである。
一般に、液体中に微粒子を分散させた分散系に電界を作用させると、微粒子は、クーロン力により液体中で移動(泳動)することが知られている。この現象を電気泳動といい、近年、この電気泳動を利用して、所望の情報(画像)を表示させるようにした電気泳動表示装置が新たな表示装置として注目を集めている。
この電気泳動表示装置は、電圧の印加を停止した状態での表示メモリー性や広視野角性を有することや、低消費電力で高コントラストの表示が可能であること等の特徴を備えている。
また、電気泳動表示装置は、非発光型デバイスであることから、ブラウン管のような発光型の表示デバイスに比べて、目に優しいという特徴も有している。
このような電気泳動表示装置には、電気泳動粒子を溶媒中に分散させたものを、電極を有する一対の基板間に配置される電気泳動分散液として備えるものが知られている。
かかる構成の電気泳動分散液では、電気泳動粒子として、正帯電性のものと、負帯電性のものとを含むものが用いられ、これにより、一対の基板(電極)間に電圧を印加することで、所望の情報(画像)を表示させることができるようになる。
ここで、電気泳動粒子501としては、一般的に、基材粒子502に対して高分子533が連結された被覆層503を備えるものが用いられ(図11参照。)、このような被覆層503(高分子533)を備える構成とすることで、電気泳動分散液中において、電気泳動粒子501を分散および帯電させることが可能となる。
また、かかる構成の電気泳動粒子は、例えば、原子移動ラジカル重合反応(atom transfer radical polymerization :ATRP)を用いて、以下のようにして製造される。
すなわち、基材粒子502を用意し、この基材粒子502の表面に、重合開始基を有するシランカップリング剤531を結合させた後、この重合開始基を起点として、モノマーがリビングラジカル重合により重合した重合部532を形成して高分子(ポリマー)533を設けることで、帯電性や分散性等の性質が付与されることにより電気泳動粒子501が製造される(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、このようなATRPを用いて製造した電気泳動粒子501では、基材粒子502の表面に対する高分子533の連結は、上記の通り、基材粒子502の表面に、シランカップリング剤を連結させ、このシランカップリング剤が有する重合開始基を起点としてモノマーを重合させることにより行われる。
そのため、基材粒子502は、シランカップリング剤が連結し得る官能基を、その表面から露出している必要がある。
しかしながら、基材粒子の種類によっては、かかる官能基をその表面に有していないため、共有結合などの化学的に安定な方法では基材粒子の表面に高分子を固定させることができないという問題があった。このため、基材粒子の表面から高分子が外れてしまい、長期的な安定性を確保できない場合があった。
特開2013−156381号公報
本発明の目的の一つは、基材粒子の種類に関係なく、たとえ基材粒子が表面に官能基を有しないものであったとしても、その表面に安定に高分子を固定させることができる電気泳動粒子の製造方法、かかる高分子が表面に固定された電気泳動粒子、かかる電気泳動粒子を用いた信頼性の高い、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の電気泳動粒子の製造方法は、粒子と、前記粒子の少なくとも一部を覆う被覆層とを含む電気泳動粒子の製造方法であって、
リビング重合により、分散媒中への分散性に寄与する官能基を有する第1のモノマーが重合した分散部と、架橋基を有する第2のモノマーと、粒子吸着基を有する第3のモノマーとが共重合した架橋・吸着部とを有し、前記分散部と、前記架橋・吸着部とが連結した複数のブロックコポリマーを得る第1の工程と、
複数の前記ブロックコポリマーの各々が有する前記架橋・吸着部を前記粒子の表面に吸着させる第2の工程と、
架橋剤を介して前記架橋基を架橋することにより、異なる前記ブロックコポリマー同士を連結させて前記被覆層を形成する第3の工程と、を有することを特徴する。
これにより、基材粒子の種類に関係なく、たとえ粒子が表面に官能基を有しないものであったとしても、その表面にブロックコポリマーを固定させることができる。
本発明の電気泳動粒子の製造方法では、前記第1の工程において、前記架橋・吸着部は、前記第2のモノマーが重合した架橋部を形成する工程と、前記第3のモノマーが重合した吸着部を形成する工程とを含み、前記架橋部と前記吸着部とが連結したブロック共重合体を得ることで形成されることが好ましい。
これにより、基材粒子の種類に関係なく、たとえ粒子が表面に官能基を有しないものであったとしても、その表面にブロックコポリマーをより確実に固定させることができる。
本発明の電気泳動粒子の製造方法では、前記第1の工程において、前記架橋・吸着部は、前記第2のモノマーと前記第3のモノマーとの双方の存在下で、これらを共重合させることでランダム共重合体を得ることにより形成されることが好ましい。
これにより、基材粒子の種類に関係なく、たとえ粒子が表面に官能基を有しないものであったとしても、その表面にブロックコポリマーを固定させることができる。また、工程の簡略化を図ることができる。
本発明の電気泳動粒子の製造方法では、前記リビング重合は、可逆的付加開裂型連鎖移動重合であることが好ましい。
逆的付加開裂連鎖移動重合によれば、金属触媒を用いず金属汚染の心配がなく、さらに、第1のモノマーの重合時における重合を簡便に進行させることができる。また、分散部における分子量分布を1.2以下とすることができる。
本発明の電気泳動粒子の製造方法では、前記第2の工程に先立って、ブロックコポリマーを単離精製する処理を施すことが好ましい。
これにより、得られるブロックコポリマーの生成率を向上させることができる。
本発明の電気泳動粒子の製造方法では、前記粒子吸着基は、前記粒子の表面に対する静電的な吸着能を備えることが好ましい。
本発明の電気泳動粒子の製造方法では、前記粒子吸着基は、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
これにより、前記粒子吸着基に、前記粒子の表面に対する静電的な吸着能を付与することができる。
本発明の電気泳動粒子は、粒子と、
前記粒子の少なくとも一部を覆う被覆層とを有し、
前記被覆層は、分散媒中への分散性に寄与する官能基を有する第1のモノマーが重合することで形成された分散部と、架橋基を有する第2のモノマーと粒子吸着基を有する第3のモノマーとが共重合した架橋・吸着部と、を備えるブロックコポリマーを複数含んでおり、
前記ブロックコポリマーは、前記架橋・吸着部が前記粒子の表面に吸着するとともに、異なる前記ブロックコポリマー同士が前記架橋基において架橋剤を介して連結していることを特徴する。
これにより、基材粒子の種類に関係なく、たとえ粒子が表面に官能基を有しないものであったとしても、その表面にブロックコポリマーが固定されたものとすることができる。
本発明の電気泳動粒子では、前記架橋・吸着部は、前記第2のモノマーが重合した架橋部と、前記第3のモノマーが重合した吸着部とからなるブロック共重合体であることが好ましい。
これにより、基材粒子の種類に関係なく、たとえ粒子が表面に官能基を有しないものであったとしても、その表面にブロックコポリマーがより確実に固定されたものとすることができる。
本発明の電気泳動粒子では、前記吸着部は、5以上30以下の個数の前記第3のモノマーが重合することで形成されたものであることが好ましい。
これにより、吸着部を粒子の表面に確実に吸着したものとすることができる。
本発明の電気泳動粒子では、前記架橋部は、10以上70以下の個数の前記第2のモノマーが重合することで形成されたものであることが好ましい。
これにより、異なるランダムコポリマーが備える架橋部同士を架橋剤を介して確実に結合したものとすることができる。
本発明の電気泳動粒子では、前前記架橋・吸着部は、前記第2のモノマーと前記第3のモノマーとを共重合させることにより形成されたランダム共重合体であることが好ましい。
これにより、基材粒子の種類に関係なく、たとえ粒子が表面に官能基を有しないものであったとしても、その表面にブロックコポリマーが固定されたものとすることができる。
本発明の電気泳動粒子では、前記分散部は、その重量平均分子量が20,000以上、100,000以下であることが好ましい。
これにより、電気泳動粒子の電気泳動分散液中における分散性をより優れたものとすることができる。
本発明の電気泳動粒子では、前記第1のモノマーは、下記一般式(I)で表されるシリコーンマクロモノマーであることが好ましい。
Figure 2015191023
[式中、Rは水素原子またはメチル基、R’は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、nは0以上の整数、xは1〜3の整数を表す。]
これにより、電気泳動分散液中に含まれる分散媒としてシリコンオイルを主成分とするものを用いた際に、第1のモノマーが分散媒に対して優れた親和性を示すため、モノマーM1が重合することで得られた分散部を備える電気泳動粒子を優れた分散性をもって分散媒中に分散させることができる。
本発明の電気泳動粒子では、前記シリコーンマクロモノマーは、その分子量が1000以上、10000以下であることが好ましい。
これにより、第1のモノマーが重合することで得られた分散部を備える電気泳動粒子をより優れた分散性をもって分散媒中に分散させることができる。
本発明の電気泳動粒子では、前記粒子吸着基は、前記粒子の表面に対する静電的な吸着能を備えることが好ましい。
本発明の電気泳動分散液は、本発明の電気泳動粒子の製造方法または本発明の電気泳動粒子により製造された電気泳動粒子を含有することを特徴とする。
これにより、優れた分散能を発揮する電気泳動粒子を備える電気泳動分散液とすることができる。
本発明の電気泳動シートは、基板と、
前記基板の上方に配置され、各々が本発明の電気泳動分散液を収納する複数の構造体とを含むことを特徴とする。
これにより、性能および信頼性の高い電気泳動シートが得られる。
本発明の電気泳動装置は、本発明の電気泳動シートを備えることを特徴とする。
これにより、性能および信頼性の高い電気泳動装置が得られる。
本発明の電子機器は、本発明の電気泳動装置を備えることを特徴とする。
これにより、性能および信頼性の高い電子機器が得られる。
本発明の電気泳動粒子の実施形態を示す縦断面図である。 図1に示す電気泳動粒子が有するポリマーの模式図である。 図1に示す電気泳動粒子が有するポリマーの変形例の模式図である。 図1に示す電気泳動粒子が有するポリマーの他の構成例の模式図である。 図1に示す電気泳動粒子が有するポリマーの他の構成例の模式図である。 図1に示す電気泳動粒子が有するポリマーの他の構成例の模式図である。 電気泳動表示装置の実施形態の縦断面を模式的に示す図である。 図7に示す電気泳動表示装置の作動原理を示す模式図である。 本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。 本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。 従来の電気泳動粒子における構造の縦断面を模式的に示す図である。
以下、本発明の電気泳動粒子の製造方法、電気泳動粒子、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明の電気泳動粒子の製造方法を説明するのに先立って、かかる製造方法で製造された電気泳動粒子(本発明の電気泳動粒子)について説明する。
<電気泳動粒子>
図1は、本発明の電気泳動粒子の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1に示す電気泳動粒子が有するポリマーの模式図である。
電気泳動粒子1は、母粒子2と、母粒子2の表面に設けられた被覆層3とを有している。
母粒子(粒子)2には、例えば、顔料粒子、樹脂粒子またはこれらの複合粒子のうちの少なくとも1種が好適に用いられる。これらの粒子は、製造が容易である。
顔料粒子を構成する顔料としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料、二酸化チタン、三酸化アンチモン、硫酸バリウム、硫化亜鉛、亜鉛華、二酸化珪素等の白色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン等の黄色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドンレッド、クロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、紺青、群青、コバルトブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、樹脂粒子を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン、ポリエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、複合粒子としては、例えば、顔料粒子の表面を樹脂材料で被覆することでコート処理されたもの、樹脂粒子の表面を顔料で被覆することでコート処理されたもの、顔料と樹脂材料とを適当な組成比で混合した混合物で構成される粒子等が挙げられる。
なお、母粒子2として用いる顔料粒子、樹脂粒子および複合粒子の種類を適宜選択することにより、電気泳動粒子1の色を所望のものに設定することができる。
このような母粒子2には、顔料粒子、樹脂粒子および複合粒子の種類によって、水酸基やカルボキシル基、アミノ基のような、反応性を有する官能基をその表面に備えているものと、かかる官能基を備えないものとがある。電気泳動粒子1には、これらの何れであっても適用することは可能であるが、本発明は、特に、表面に官能基を備えない母粒子2に好ましく適用される。換言すれば、本発明によれば、たとえ表面に官能基を備えない母粒子2であったとしても、後述するような構成のブロックコポリマー(ブロック共重合体)35を有する被覆層3を、母粒子2の表面の少なくとも一部に備える電気泳動粒子1とすることができる。なお、このように表面に官能基を備えない母粒子2は、顔料粒子、樹脂粒子および複合粒子のうち、その表面が有機系材料で構成されるものに比較的多く認められる。
母粒子2は、その表面の少なくとも一部(図示の構成では、ほぼ全体)が被覆層3により被覆されている。
被覆層3は、本発明では、分散部33と、架橋・吸着部34と、を備えるブロックコポリマー35(以下、単に「ポリマー35」ともいう)を複数含む。分散部33は、重合後は分散媒中への分散性に寄与する側鎖(分散側鎖)となる官能基を有する第1のモノマーM1(以下、単に「モノマーM1」ともいう)が重合することで形成される。架橋・吸着部34は、本実施形態では、架橋基を有する第2のモノマーM2(以下、単に「モノマーM2」ともいう)と、母粒子2の表面に対して静電的な吸着能を備える側鎖(吸着側鎖)となる官能基を有する第3のモノマーM3(以下、単に「モノマーM3」ともいう)とが共重合したブロック共重合体で構成される。また、以降ではポリマー35中における、モノマーM1に由来する部位を分散ユニット、モノマーM2に由来する部位を架橋ユニット、モノマーM3に由来する部位を吸着ユニットともいう。ポリマー35は、吸着ユニットが有する吸着側鎖の母粒子2の表面に対する静電的な吸着能により、架橋・吸着部34が母粒子2の表面に吸着するとともに、異なるポリマー35同士が、架橋ユニットが有する架橋基において架橋剤Aを介して連結していることにより母粒子2の周囲に固定されている。
このような被覆層3が備えるポリマー35において、本実施形態では、架橋・吸着部34は、モノマーM2が単重合することで形成され、一端が分散部33に連結した架橋部32と、モノマーM3が単重合することで形成され、架橋部32の他端に連結した吸着部31とからなるブロック共重合体で構成される。このポリマー35では、吸着部31が、吸着側鎖において、母粒子2の表面に吸着するとともに、架橋部32同士が、架橋基において架橋剤Aを介して連結しており、これにより、母粒子2に複数のポリマー35が固定される(図2参照。)。
分散部33は、後述する電気泳動分散液中において、電気泳動粒子1に分散性を付与するために、被覆層3中において、母粒子2の表面から露出して設けられる。
この分散部33は、電気泳動分散液における分散媒中への分散性に寄与する側鎖となる官能基を有するモノマーM1が複数重合(単重合)することで形成されるポリマーで構成される。このようなモノマーM1に由来するポリマーが分散部33として、母粒子2の表面から露出することで、電気泳動粒子1に確実に分散性を付与することができる。
また、かかる構成の分散部33、すなわち、モノマーM1が複数重合することで形成されたポリマーは、複数のものが母粒子2の表面から露出するが、これら分散部33の分子量分布は、1.2以下であることが好ましく、1.1以下であることがより好ましく、1.05以下であることがさらに好ましい。分散部33の分子量分布とは、分散部33の数平均分子量(Mn)と分散部33の重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)を表すことから、この分散部33の分子量分布が前記上限値以下であることで、複数の電気泳動粒子1において露出する分散部33がほぼ均一な長さのものとなっていると言える。そのため、電気泳動分散液中において、各電気泳動粒子1を、均一な分散能を発揮するものとすることができる。このような数平均分子量(Mn)や重量平均分子量(Mw)は、例えばゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法を用いて、ポチスチレン換算分子量として測定することができる。
モノマーM1は、リビングラジカル重合(ラジカル重合)により重合し得るように1つの重合基を備え、さらに重合後は非イオン性の側鎖となる部位を備えるペンダント型をなす単官能モノマーである。
モノマーM1として、非イオン性の側鎖となる官能基を備えるものを用いることで、リビングラジカル重合により形成される分散部33は、後述する電気泳動分散液に含まれる分散媒に対して、優れた親和性を示すこととなる。そのため、電気泳動分散液中において、かかる分散部33を備える電気泳動粒子1は、凝集することなく優れた分散性をもって分散するものとなる。すなわち、この非イオン性の側鎖が、電気泳動分散液における分散媒中への分散性に寄与する分散側鎖としての機能を発揮する。
また、モノマーM1が有する1つの重合基としては、例えば、ビニル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基のような炭素−炭素2重結合を含むものが挙げられる。
このようなモノマーM1としては、例えば、ビニルモノマー、ビニルエステルモノマー、ビニルアミドモノマー、(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルエステルモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、スチリルモノマー等が挙げられ、より具体的には、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロ(メタ)アクリレート、下記一般式(I)で表されるシリコーンマクロモノマー等のアクリル系モノマー、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2−プロピルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、2−イソプロピルスチレン、3−イソプロピルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン等のスチレン系モノマーが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
Figure 2015191023
[式中、Rは水素原子またはメチル基、R’は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、nは0以上の整数、xは1〜3の整数を表す。]
これらの中でも、モノマーM1としては、上記一般式(I)で表されるシリコーンマクロモノマーであることが好ましい。このようなモノマーM1とすることで、後述する電気泳動分散液中に含まれる分散媒としてシリコンオイルを主成分とするものを用いた際に、モノマーM1が分散媒に対して優れた親和性を示すため、モノマーM1が重合することで得られる分散部33を備える電気泳動粒子1を優れた分散性をもって分散媒中に分散させることができる。
このシリコーンマクロモノマーの分子量は、1000以上、10000以下程度であることが好ましく、3000以上、8000以下程度であることがより好ましい。これにより、モノマーM1が重合することで得られる分散部33を備える電気泳動粒子1をより優れた分散性をもって分散媒中に分散させることができる。
また、分散部33の重量平均分子量は、20,000以上、100,000以下であることが好ましく、30,000以上、60,000以下であることがより好ましい。特に、モノマーM1として、前記一般式(I)で表されるシリコーンマクロモノマーを用いた場合、分散部33の重量平均分子量は、30,000以上、70,000以下であることが好ましく、45,000以上、55,000以下であることがより好ましい。これにより、電気泳動粒子1の電気泳動分散液中における分散性をより優れたものとすることができる。
なお、モノマーM1としては、後述する電気泳動分散液中に含まれる分散媒として脂肪族炭化水素類(流動パラフィン)を主成分とするものを用いた場合には、非イオン性の側鎖となる官能基がアルキル基であるものを用いることが好ましい。モノマーM1が分散媒に対して優れた親和性を示すため、モノマーM1が重合することで得られる分散部33を備える電気泳動粒子1を優れた分散性をもって分散媒中に分散させることができる。
さらに、分散部33は、吸着部31に連結する基端部側のモノマーM1の分子量が先端部側のモノマーM1の分子量よりも小さくなっていることが好ましい。より具体的には、基端部側に位置する分散ユニットの前駆体となるモノマーM1が備える側鎖の分子量が、先端部側に位置する分散ユニットの前駆体となるモノマーM1が備える側鎖の分子量よりも小さくなっていることが好ましい。これにより、電気泳動粒子1の電気泳動分散液中における分散性をより優れたものとすることができるとともに、分散部33を母粒子2の表面に高密度に結合させることができる。
なお、このような側鎖の分子量の変化は、基端側から先端側に向かって連続的に大きくなるものであっても良いし、基端側から先端側に向かって段階的に大きくなるものであっても良い。
架橋・吸着部34は、前述の通り、本実施形態では、架橋部32と吸着部31とからなるブロック共重合体で構成され、吸着部31が母粒子2の表面に対する吸着に関与し、架橋部32が架橋剤Aを介した連結に関与している。
吸着部31は、電気泳動粒子1が備える被覆層3中において、母粒子2の表面に吸着しており、さらに、異なるポリマー35同士が後述する架橋部32において架橋剤を介して連結していることにより、ポリマー35が母粒子2の周囲に固定される。
この吸着部31は、本実施形態では、母粒子2の表面に対して静電的な吸着能を備える吸着側鎖となる官能基(粒子吸着基)を有する第3のモノマーM3が複数重合(単重合)することで形成されるポリマーで構成される。
このように、母粒子2の表面に対して、吸着側鎖を有する吸着部31が関与している。すなわち、母粒子2の表面が共有結合可能な官能基を備えない場合であっても、静電的な吸着能を備える吸着側鎖を有する吸着ユニットを複数有する吸着部31を備えることにより、ポリマー35は母粒子2の表面に結合(吸着)することができる。
モノマーM3は、リビングラジカル重合により重合し得るように1つの重合基を備え、母粒子2の表面に対して静電的な吸着能を備える吸着側鎖となる官能基を有するペンダント型のモノマーである。なお、モノマーM3が有する吸着側鎖となる官能基は1つであってもよいし、複数であってもよい。
また、モノマーM3が有する1つの重合基としては、前記モノマーM1で挙げたのと同様のものが挙げられ、例えば、ビニル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基のような炭素−炭素2重結合を含むものが挙げられる。
さらに、モノマーM3が有する吸着側鎖となる官能基は、母粒子2の表面の酸性度または塩基性度、すなわち、母粒子2の表面の正または負に帯電する帯電度に応じて、アニオン性基、カチオン性基または非イオン性の極性基(ノニオン性基)を有するものが選択される。すなわち、母粒子2の表面が正に帯電する場合には、吸着側鎖としてアニオン性基または非イオン性の負極性基を有するものが選択され、母粒子2の表面が負に帯電する場合には、吸着側鎖としてカチオン性基または非イオン性の正極性基を有するものが選択される。
このような吸着側鎖としては、例えば、スルホン基、カルボキシル基のようなアニオン性基、アミンおよびその塩類、4級アンモニウム塩のようなカチオン性基、水酸基、エーテル基、フェニル基、エステル基、アミド基、芳香環のような非イオン性基等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。芳香環としては、芳香族炭化水素を基本骨格とする環であってもよく、芳香族複素環式化合物を基本骨格とする環であってもよい。これらは単環であってもよく縮合環していてもよい。
このようなモノマーM3としては、例えば、アニオン性基、カチオン性基または非イオン性の極性基を有する吸着側鎖を1つ備えるビニルモノマー、ビニルエステルモノマー、ビニルアミドモノマー、(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルエステルモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、スチリルモノマー等が挙げられ、より具体的には、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリルアミド、1-ナフチル(メタ)クリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)クリレート、1-ピレンメチル(メタ)クリレート、2,4,6-トリブロモフェニル(メタ)クリラート、(メタ)クリル酸ペンタフルオロフェニル、(メタ)クリル酸フルフリル、(メタ)クリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)クリル酸グリコシルオキシエチル、エチレングリコールフェニルエーテル(メタ)クリラート、(メタ)クリル酸トリエチレングリコールメチルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、スチレン、α-メチルスチレン、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリラート、N−エチル−N−フェニルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリラート、4−ビニルピリジン、(メタ)アクリル酸、カルボキシメチル(メタ)アクリレート、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ビニル安息香酸、ビニルフェニル酢酸、ビニルフェニルプロピオン酸、ビニルスルホン酸、スルホメチル(メタ)アクリレート、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、9H-カルバゾール-9-エチル(メタ)クリラート、フェロセニルメチル(メタ)クリラート、3-スルホプロピル(メタ)クリラート カリウム塩、(メタ)クリル酸2-アミノエチル 塩酸塩、および、 [3-((メタ)クリロイルアミノ)プロピル]ジメチル(3-スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド 分子内塩等が挙げられる。吸着部31は、これらのうちの1種を用いたホモポリマーであってもよいし、2種以上を組み合せて用いてもよい。
また、1つのポリマー35中において、吸着部31に含まれる吸着ユニットの個数、すなわち吸着部31を形成する際に重合されるモノマーM3の個数は、5以上30以下であることが好ましく、10以上20以下であることがより好ましい。前記上限値を超えると、吸着部31は分散媒に対する親和性が分散部33と比較して低いため、モノマーM3の種類によっては、電気泳動粒子1の分散性を低下させたり、部分的に吸着部31同士が反応するおそれがある。また、前記下限値よりも少ないと、モノマーM3の種類によっては、母粒子2への吸着を十分に進行させることができず、これに起因して電気泳動粒子1の分散性が低下するおそれがある。
また、吸着部31に含まれる結合ユニットの数は、NMRスペクトル、IRスペクトル、元素分析、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等の汎用分析機器を用いる分析により求めることができる。ポリマー35において、吸着部31は高分子重合体であるため、ある分子量分布を有している。したがって、上記のような分析の結果が、全てのポリマー35に当てはまるとは限らないが、少なくとも上記手法で求めた吸着ユニット数が5〜30であれば、ポリマー35と母粒子2との吸着性と、電気泳動粒子1の分散性とを両立させることができる。
このようなポリマー35は、後述する製造方法により得られる。例えば後述する可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)を用いると、比較的均一なポリマーを得ることができる。従って、連鎖移動剤に対して5〜30モル当量のモノマーM3を添加して重合すれば、吸着部31における結合ユニット数を上記範囲とすることができる。モノマーM3の転化率が100%以下の場合はこれを考慮し、モノマーM3の添加量を5〜30モル当量以上にして重合反応を行ってもよい。
架橋部32は、電気泳動粒子1が備える被覆層3中において、異なるポリマー35同士を結合させるために設けられた部位である。架橋剤Aを介して異なるポリマー35が備える架橋部同士が連結しており、さらに、前述した吸着部31が母粒子2の表面に吸着していることにより、ポリマー35が母粒子2の周囲に固定される。
この架橋部32は、本実施形態では、架橋基を有する第2のモノマーM2が複数重合(単重合)することで形成されるポリマーで構成される。そして、かかる構成の架橋部32において、異なるポリマー35が有する架橋部32同士が架橋剤Aを介して連結されている。
このように、架橋基を有する第2のモノマーM2が複数重合することで架橋部32が形成されているため、架橋剤Aを介した架橋部32同士の連結に、複数の架橋基が関与することができる。そのため、異なるポリマー35同士を、架橋部32において確実に連結させたものとすることができる。したがって、ポリマー35は、前述の通り、吸着部31において母粒子2の表面に吸着しているが、この状態で、ポリマー35同士をより強固に固定することができ、電気泳動粒子1を優れた分散性ともに、優れた長期安定性を有するものとすることができる。
さらに、本実施形態においては母粒子2の表面に、ほぼ均一にポリマー35が吸着するとともに、これらのポリマー35同士が架橋剤Aによって連結されている。すなわち、架橋部32と架橋剤Aとが架橋することによって形成されたシェルによって母粒子2が被覆されている。これにより、ポリマー35が母粒子2の表面から剥離することを防ぐことができる。さらに、母粒子2の一部が剥離したり、母粒子そのものが崩壊したりしても、剥離した母粒子の一部や、崩壊した母粒子をシェルの内部に留めておく効果が期待できる。これにより、電気泳動粒子1の分散性や長期安定性が低下することを防ぐことができる。なお、母粒子2の剥離や崩壊は、有機材料からなる顔料粒子に比較的多く認められる。従って、本発明は母粒子2が有機材料からなる顔料粒子に特に効果的であるが、その他の材料からなる母粒子2にも有効であることはいうまでもない。
モノマーM2は、リビングラジカル重合により重合し得るように1つの重合基を備え、他の架橋基に対して架橋剤Aを介して架橋する架橋基を有するペンダント型のモノマーである。なお、モノマーM2が有する架橋基は1つであってもよいし、複数であってもよい。
また、モノマーM2が有する1つの重合基としては、前記モノマーM1で挙げたのと同様のものが挙げられ、例えば、ビニル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基のような炭素−炭素2重結合を含むものが挙げられる。
さらに、モノマーM2が有する架橋基は、架橋剤Aが備える官能基に対して反応性を有するものが選択される。
このようなモノマーM2が有する架橋基と、架橋剤Aが備える官能基との組み合わせは、互いに反応して架橋し得るものであれば特に限定されず、(A)有機化酸化物、フェノール、アルコール、アルデヒド、エポキシ化合物、イソシアネート、カルボン酸、(B)(A)で挙げた化合物の硫黄同族体、(C)硫黄、アミン、キノン、ハロゲン、アジリジン化合物、アゾ化合物、酸無水物、ボラン、ホウ酸、リン化合物等の一般的な架橋性を有する官能基の組み合わせであればよく、例えば、クロロスルホン基と水酸基との組み合わせ、イソシアネート基と水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、フェノール性水酸基またはニトリル基との組み合わせ、エポキシ基、グリシジル基またはオキセタン基とカルボキシル基、アミノ基、チオール基、水酸基、フェノール性水酸基、イソシアネート基、酸無水物、クロロスルホンまたはイミダゾール基との組み合わせ、オキサゾリン基とカルボキシル基との組み合わせ、アミノ基またはピリジン基とCl、Br、Iのようなハロゲン基との組み合わせ、アルコキシシリル基と水酸基またはアルコキシシリル基との組み合わせ等が挙げられるが、中でも、架橋基がエポキシ基であり、官能基がカルボキシル基、アミノ基、チオール基、水酸基またはイミダゾール基である組み合わせが好ましい。
この組み合わせとなっている架橋基を有するモノマーM2および架橋剤Aは、それぞれ、比較的容易に用意することができるとともに、架橋剤Aを介してモノマーM2同士を強固に結合させることができることから好ましく用いられる。
このようなモノマーM2としては、例えば、架橋基としてエポキシ基を1つ備えるビニルモノマー、ビニルエステルモノマー、ビニルアミドモノマー、(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルエステルモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、スチリルモノマー等が挙げられ、より具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
また、架橋剤Aとしては、例えば、2官能以上の、酸無水物、ポリアミン化合物、フェノール化合物、ジオール化合物、チオール化合物、イミダゾール化合物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤Aとしてこれらの化合物を用いることにより、エポキシ基と反応して連結構造を形成し得ることから、この架橋剤Aを介して、架橋基同士を確実に連結することができる。
特に、これらの中でも、ポリアミン化合物およびジオール化合物のうちの少なくとも1種であるのが好ましい。これらの化合物は、取り扱いが容易で、かつ反応性が高いことから、架橋基同士をより確実に連結することができる。
なお、架橋剤の具体例としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロプレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミンのような鎖状脂肪族ポリアミン、N−アミノエチルピベラジン、メンセンジアミン、イソフオロンジアミンのような環状脂肪族ポリアミン、m−キシレンジアミン、ショーアミンX、アミンブラック、ショーアミンブラックのような脂肪芳香族アミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォンのような芳香族アミン、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体、クロレンド酸無水物、ポリアゼライン酸無水物のような酸無水物、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコールのようなジオール化合物等が挙げられる。
また、架橋剤Aが、2つの官能基と、これら官能基を連結する主鎖とを備え、この主鎖がアルキレン基で構成されるものである場合、アルキレン基に含まれる炭素の数は、4以上、20以下であることが好ましく、6以上、10以下であることがより好ましい。これにより、ポリマー35同士を分散性や長期安定性に好適な距離を保って連結することができる。また、隣接するポリマー35が有する架橋部32において、架橋ユニットが有する架橋基同士を、この架橋剤Aを介して確実に連結することができる。
なお、隣接するポリマー35において、架橋部32が有する架橋基同士が架橋剤を介して連結することにより形成される架橋構造は、架橋部32が備える架橋ユニット各々に形成されている必要はなく、各ポリマー35の架橋部32において、少なくとも1つ形成されていればよい。
また、1つのポリマー35中において、架橋部32に含まれる架橋ユニットの個数、すなわち架橋部32中を形成する際重合されるモノマーM2の個数は、10以上70以下であることが好ましく、20以上60以下であることがより好ましい。前記上限値を超えると、架橋部32は分散媒に対する親和性が分散部33と比較して低いため、モノマーM2の種類によっては、電気泳動粒子1の分散性を低下させるおそれがある。また、前記下限値よりも少ないと、モノマーM2の種類によっては、架橋基同士の架橋剤Aを介した結合が十分に進行させることができず、これに起因して電気泳動粒子1の長期安定性が低下するおそれがある。
また、架橋基が母粒子2の表面に対して静電的な吸着能を備えるものである場合には、この架橋基に、上述した吸着ユニットが備える吸着側鎖としての機能をも発揮させることができることから、架橋部32に吸着部31としての機能を付与することができる。したがって、母粒子2の表面に対する静電的な吸着能を備える架橋基を有するモノマーM2’を用いて架橋・吸着部34を合成する場合には、ポリマー35における吸着部31の形成を省略することができる(図3参照。)。このような、母粒子2に対する静電的な吸着能の備えた架橋基としては、ヒドロキル基、第1級ないし第3級のアミン(アミノ基)、カルボキシル基、スルホン基、ホスホン基等が挙げられる。
モノマーM2’を用いて架橋・吸着部34を合成する場合には、1つのポリマー35中において架橋・吸着部34に含まれる架橋・吸着ユニットの個数、すなわち架橋・吸着部34を形成する際重合されるモノマーM2’の個数は、15以上100以下であることが好ましく、30以上80以下であることがより好ましい。
また、架橋部32に含まれる架橋ユニットの数、架橋・吸着部34に含まれる架橋・吸着ユニットの数は、NMRスペクトル、IRスペクトル、元素分析、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等の汎用分析機器を用いる分析により求めることができる。ポリマー35において、架橋部32、架橋・吸着部34は高分子重合体であるため、ともにある分子量分布を有している。したがって、上記のような分析の結果が、全てのポリマー35に当てはまるとは限らないが、少なくとも上記手法で求めた架橋ユニット数、架橋・吸着ユニット数が上述の範囲内であれば、ポリマー35と母粒子2との吸着性と、電気泳動粒子1の分散性、長期安定性とを両立させることができる。
このようなポリマー35は、後述する製造方法により得られる。例えば後述する可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)を用いると、比較的均一なポリマーを得ることができる。従って、連鎖移動剤に対して10〜70モル当量のモノマーM2を添加して重合すれば、架橋部32における架橋ユニット数を上記範囲とすることができる。モノマーM2の転化率が100%以下の場合はこれを考慮し、モノマーM2の添加量を10〜70モル当量以上にして重合反応を行ってもよい。連鎖移動剤に対して15〜100モル当量のモノマーM2’を添加して重合すれば、架橋・吸着部34における架橋・吸着ユニット数を上記範囲とすることができる。モノマーM2’の転化率が100%以下の場合はこれを考慮し、モノマーM2’の添加量を15〜100モル当量以上にして重合反応を行ってもよい。
さらに、かかる構成の架橋部32は、その厚さが、好ましくは5nm程度以上、20nm程度以下、より好ましくは7nm程度以上、14nm程度以下に設定されている。これにより、架橋部32において、他のポリマー35が有する架橋部32同士を強固に連結することができるため、電気泳動粒子1は電気泳動分散液中において優れた分散性を有するものとなる。
また、架橋・吸着部34は、本実施形態では、架橋部32と吸着部31とからなるブロック共重合体で構成されたが、かかる構成のものに限定されず、例えば、以下に示すような他の構成例のものであってもよい。
すなわち、他の構成例では、架橋・吸着部34は、第2のモノマーM2と第3のモノマーM3とを共重合させることにより形成されたランダム共重合体で構成される(図4参照。)。
かかる構成の架橋・吸着部34では、ランダム共重合体を構成する吸着ユニットが母粒子2の表面に対する吸着に関与し、さらに、ランダム共重合体を構成する架橋ユニットが架橋剤Aを介した連結に関与している。
そのため、架橋・吸着部34は、電気泳動粒子1が備える被覆層3中において、吸着ユニットの作用により母粒子2の表面に吸着するとともに、異なるポリマー35同士が架橋ユニットにおいて架橋剤Aを介して連結されることにより、ポリマー35が母粒子2の周囲に固定される。
モノマーM2とモノマーM3とをランダム共重合させることにより架橋・吸着部34を形成する場合には、1つのポリマー35中において架橋・吸着部34に含まれる架橋ユニット数は10以上70以下であることが好ましく、20以上60以下であることがより好ましい。吸着ユニット数は5以上30以下であることが好ましく、10以上20以下であることがより好ましい。
あるいは、ポリマー35は、本実施形態では、架橋部32が吸着部31と分散部33との間に位置したブロック共重合体として説明したが、係る構成のものに限定されない。吸着部31が架橋部32と分散部33との間に位置したブロック共重合体としてもよい(図5参照。)。
また、本実施形態では、第2のモノマーM2を重合して架橋部32を形成し、第3のモノマーM3を重合して吸着部31を形成する構成について説明したが、係る構成のものに限定されない。すなわち、他の構成例ではリビングラジカル重合により重合し得る1つの重合基と、重合後に吸着側鎖となる官能基(粒子吸着基)と、架橋基とを備える第4のモノマーM4を重合して架橋・吸着部34としてもよい(図6参照。)。このようなモノマーM4の吸着側鎖となる官能基としては、モノマーM3が有する吸着側鎖となる官能基として例示したものが挙げられ、架橋基としてはモノマーM2の架橋基として例示したものが挙げられる。
このようなモノマーM4は、例えば重合性基と吸着基(粒子吸着基)の前駆体となる部位とを含むモノマーと、吸着基の前駆体となる部位と化学的に結合して吸着基を形成する部位と架橋基とを有するモノマーを反応させて得ることができ、このような化合物としては下記式(A1)〜(A3)に示す化合物が挙げられる。
Figure 2015191023
あるいは、重合性基と吸着基とを有するモノマーAと、重合性基と架橋基とを有するモノマーBとを重合して得られた化合物を、モノマーM4としてもよい。このとき、モノマーM4はモノマーAとモノマーBのブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよい。
あるいは、このようなモノマーM4としては、下記式(A4)、(A5)に示す化合物のように分子内にイオン性基を有するものであってもよい。
Figure 2015191023
上記で例示した化合物以外にも、例えば4−クロロメチルスチレンのようなものを用いてもよい。
このような化合物を重合して形成した架橋・吸着部34において、プラスイオンまたはマイナスイオンが吸着基として働き、他方は架橋基として機能することができる。このように、母粒子2に対する吸着能と、架橋基としての機能とを備える架橋・吸着基を1つ以上備えるモノマーM4を重合して架橋・吸着部34を形成してもよい。
モノマーM4を用いて架橋・吸着部34を合成する場合には、1つのポリマー35中において架橋・吸着部34に含まれる架橋・吸着ユニットの個数、すなわち架橋・吸着部34を形成する際重合されるモノマーM4の個数は、15以上100以下であることが好ましく、30以上80以下であることがより好ましい。
かかる構成の他の構成例の架橋・吸着部34においても、複数の吸着ユニットが母粒子2の表面に対する吸着に関与していることから、ポリマー35を、架橋・吸着部34において、母粒子2の表面に確実に吸着させたものとすることができる。また、複数の架橋ユニットが架橋剤Aを介した異なるポリマー35同士の連結に関与していることから、異なるポリマー35同士を、架橋・吸着部34において、強固に連結させることができる。
以上のような、電気泳動粒子1は、例えば、次のようにして製造することができる。
<電気泳動粒子の製造方法>
電気泳動粒子1の製造方法は、分散部33と、架橋・吸着部34とが連結した複数のブロックコポリマー35を得る第1の工程と、吸着ユニットが有する吸着側鎖の母粒子2の表面に対する静電的な吸着能により、架橋・吸着部34を母粒子2の表面に吸着させる第2の工程と、架橋ユニットが有する架橋基を、架橋剤を介して架橋し、異なる(隣接する)ポリマー35同士を連結させることにより、複数のポリマー35が母粒子2の周囲に固定された被覆層3を形成する第3の工程とを有する。また、第1の工程は重合開始剤を用いたリビングラジカル重合により、分散側鎖となる官能基を有するモノマーM1が重合した分散部33を形成する工程と、架橋基を有するモノマーM2と、吸着側鎖となる官能基を有するモノマーM3とが共重合した架橋・吸着部34を形成する工程とを含む。第1の工程においては、分散部33を形成した後、架橋・吸着部34を形成してもよいし、架橋・吸着部34を形成した後分散部を形成してブロックコポリマー35を得てもよい。架橋・吸着部34がブロック共重合体である場合は吸着部31を形成した後架橋部32を形成してもよいし、その逆でもよい。架橋・吸着部34がランダム重合体である場合は一括して形成すればよい。本実施形態では、前記第1の工程として、分散部33を形成した後、モノマーM2が単重合した架橋部32、モノマーM3が単重合した吸着部31をこの順で形成することにより、架橋部32と吸着部31とが連結したブロック共重合体を得る場合について説明する。
以下、各工程について詳述する。
[1] まず、分散部33と架橋・吸着部34とが連結した複数のブロックコポリマー35、すなわち、本実施形態では、分散部33と架橋部32と吸着部31とがこの順で連結した複数のブロックコポリマー35を生成する(第1の工程)。
[1−1] まず、重合開始剤を用いたリビングラジカル重合により、第1のモノマーM1が重合した分散部33を形成する。
このリビング重合法としては、リビングラジカル重合、リビングカチオン重合またはリビングアニオン重合等が挙げられるが、中でも、リビングラジカル重合が好ましい。リビングラジカル重合とすることで、反応系で生じる反応液等を簡便に用いることができ、さらに、反応の制御性も良くモノマーM1を重合させることができる。また、分散部33における分子量分布を確実に1.2以下に容易に設定することができ、その結果、得られる電気泳動粒子1を電気泳動分散液中において均一な分散能を発揮し得るものとすることができる。
また、リビングラジカル重合法としては、原子移動ラジカル重合(ATRP)、ニトロキシドを介するラジカル重合(NMP)、有機テルルを用いるラジカル重合(TERP)および、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)等が挙げられるが、中でも、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)を用いることが好ましい。可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)によれば、金属触媒を用いず金属汚染の心配がなく、さらに、モノマーM1の重合時における重合を簡便に進行させることができる。また、分散部33における分子量分布をより確実に1.2以下に設定することができる。
重合開始剤(ラジカル重合開始剤)としては、特に限定されないが、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2.4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2.4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル 2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]のようなアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムのような過硫酸塩等が挙げられる。
また、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)とする場合、重合開始剤の他に、連鎖移動剤(RAFT剤)が用いられるが、この連鎖移動剤としては、特に限定されないが、例えば、ジチオエステル基、トリチオカルバメート基、ザンテート基、ジチオカルバメート基等の官能基を有する硫黄化合物が挙げられる。
具体的には、連鎖移動剤としては、下記化学式(1)〜(7)で表される化合物が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの化合物は、比較的入手が容易であり、反応の制御を容易に行い得ることから好ましく用いられる。
Figure 2015191023
これらの中でも、連鎖移動剤は、上記化学式(6)で表される2-シアノ-2-プロピルベンドジチオエートであることが好ましい。これにより、反応の制御をより容易に行うことができるようになる。
さらに、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)を用いる場合、モノマーM1、重合開始剤、連鎖移動剤の比率は、形成すべき分散部33の重合度やモノマーM1等の化合物の反応性を考慮して適宜決定されるが、これらのモル比がモノマー:重合開始剤:連鎖移動剤=500〜5:5〜0.25:1であること好ましい。これにより、モノマーM1が重合することで得られる分散部33の長さ(重合度)を適切な大きさに設定することができる。また、この分散部33を、その分子量分布を1.2以下のものとして、容易に生成することができる。
また、リビングラジカル重合によりモノマーM1を重合させる溶液を調製するための溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ブタノールのようなアルコール類、ヘキサン、オクタン、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の炭化水素類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル類、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素類等が挙げられ、これらを単独または混合溶媒として用いることができる。
また、前記溶液(反応液)は、重合反応を開始する前に、脱酸素処理を行っておくのが好ましい。脱酸素処理としては、例えば、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガスによる真空脱気後の置換やパージ処理等が挙げられる。
また、モノマーM1の重合反応に際して、前記溶液の温度を所定の温度まで加熱(加温)することにより、モノマーの重合反応をより迅速かつ確実に行うことができる。
この加熱の温度は、モノマーM1の種類等によっても若干異なり、特に限定されないが、30〜100℃程度であるのが好ましい。また、加熱の時間(反応時間)は、加熱の温度を前記範囲とする場合、5〜48時間程度であるのが好ましい。
なお、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)を用いた際には、分散部33の片末端(先端部)には使用した連鎖移動剤の断片が存在している。そして、この断片を備える分散部33が次工程[1−2]において、分散部33に架橋部32を重合させる反応における連鎖移動剤として作用する。
[1−2] 次いで、分散部33に連結するように、第2のモノマーM2が重合した架橋部32を形成する。
これにより、分散部33に吸着部31が連結したブロックコポリマーが生成される。
なお、本工程[1−2]における、モノマーM2を用いた架橋部32の形成に先立って、必要に応じて、前記工程[1―1]で用いた未反応のモノマーM1や溶媒、重合開始剤等の不純物を除去して分散部33を単離精製する精製処理(除去処理)を行なうようにしても良い。これにより、得られるブロックコポリマーがより均一で、純度の高いものとすることができる。この精製処理としては、特に限定されず、例えば、カラムクロマトグラフィー法、再結晶法、再沈殿法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。
また、前述の通り、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)を用いた際には、分散部33の片末端には使用した連鎖移動剤の断片が存在している。このため、前記工程[1−1]が完了して得られた分散部33と、モノマーM2とを含有する溶液を調製し、この溶液中で、再度リビング重合が行われることにより架橋部32が形成される。
なお、本工程に用いる溶媒としては、前記工程[1−1]で挙げたのと同様のものを用いることができ、また、溶液中でモノマーM2を重合させる際の条件は、前記工程[1―1]において溶液中でモノマーM1を重合させる際の条件として挙げたのと同様にすることができる。
また、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)を用いた際には、前記工程[1−1]と同様に、架橋部32の片末端(先端部)には使用した連鎖移動剤の断片が存在している。そして、この断片を備える架橋部32が次工程[1−3]において、架橋部32に吸着部31を重合させる反応における連鎖移動剤として作用する。
[1−3] 次いで、架橋部32に連結するように、第3のモノマーM3が重合した吸着部31を形成する。
これにより、分散部33と架橋部32と吸着部31とがこの順で連結されたブロックコポリマーで構成されるポリマー35が生成される。
なお、本工程[1−3]における、モノマーM3を用いた吸着部31の形成に先立って、必要に応じて、前記工程[1―2]で用いた未反応のモノマーM2や溶媒、重合開始剤等の不純物を除去してポリマー35を単離精製する精製処理(除去処理)を行なうようにしても良い。これにより、得られるポリマー35がより均一で、純度の高いものとすることができる。この精製処理としては、特に限定されず、例えば、カラムクロマトグラフィー法、再結晶法、再沈殿法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。
また、前述の通り、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)を用いた際には、架橋部32の片末端には使用した連鎖移動剤の断片が存在している。このため、前記工程[1−2]が完了して得られた分散部33および架橋部32からなるブロックコポリマーと、モノマーM3とを含有する溶液を調製し、この溶液中で、再度リビング重合が行われることにより吸着部31が形成される。
なお、本工程に用いる溶媒としては、前記工程[1−1]で挙げたのと同様のものを用いることができ、また、溶液中でモノマーM3を重合させる際の条件は、前記工程[1―1]において溶液中でモノマーM1を重合させる際の条件として挙げたのと同様にすることができる。
以上のような工程[1−1]〜[1−3]を経ることで、分散部33と架橋・吸着部34とが連結した複数のブロックコポリマー35、すなわち、本実施形態では、分散部33と架橋部32と吸着部31とがこの順で連結した複数のブロックコポリマー35が生成される。
なお、架橋・吸着部34を、前述した他の構成例のものとする場合、すなわち、第2のモノマーM2と第3のモノマーM3とを共重合させることにより形成されたランダム共重合体とする場合には、前記工程[1−2]、[1−3]に代えて、下記のような工程[1−2’]とすることで、分散部33と架橋・吸着部34とが連結した複数のブロックコポリマー35を生成することができる。
[1−2’] 分散部33に連結するように、第2のモノマーM2と第3のモノマーM3とが共重合したランダムコポリマーで構成される架橋・吸着部34を形成する。
これにより、分散部33に架橋・吸着部34が連結したブロックコポリマー35が生成される。また、このような1の工程で架橋・吸着部34を形成することができるため、工程の簡略化を図ることができる。
なお、本工程[1−2’]における、モノマーM2とモノマーM3とを用いた架橋・吸着部34の形成に先立って、必要に応じて、前記工程[1―1]で用いた未反応のモノマーM1や溶媒、重合開始剤等の不純物を除去して分散部33を単離精製する精製処理(除去処理)を行なうようにしても良い。これにより、得られるブロックコポリマー35がより均一で、純度の高いものとすることができる。この精製処理としては、特に限定されず、例えば、カラムクロマトグラフィー法、再結晶法、再沈殿法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。
また、架橋・吸着部34を、静電的な吸着能を備える架橋基を有するモノマーM2’を重合させることにより形成された重合体とする場合、または、粒子吸着基と架橋基とを備える第4のモノマーM4を重合させることにより形成された重合体とする場合には、それぞれ、前記工程[1−2]において、モノマーM2に代えてモノマーM2’またはモノマーM4を用い、さらに、前記工程[1−3]を省略することで、分散部33と架橋・吸着部34とが連結した複数のブロックコポリマー35を生成することができる。
また、かかる構成の架橋・吸着部34は、前述の通り、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)を用いた際には、分散部33の片末端には使用した連鎖移動剤の断片が存在している。このため、前記工程[1−1]が完了して得られた分散部33と、モノマーM2およびモノマーM2とを含有する溶液を調製し、この溶液中で、再度リビング重合が行われることにより架橋・吸着部34が形成される。このように、架橋・吸着部34は、第2のモノマーM2と第3のモノマーM3との双方の存在下で、これらを共重合させることでランダム共重合体を得ることにより形成される。
なお、本工程に用いる溶媒としては、前記工程[1−1]で挙げたのと同様のものを用いることができ、また、溶液中でモノマーM2およびモノマーM2を重合させる際の条件は、前記工程[1―1]において溶液中でモノマーM1を重合させる際の条件として挙げたのと同様にすることができる。
[2] 次に、吸着ユニットが有する吸着側鎖の母粒子2の表面に対する静電的な吸着能により、吸着部31を母粒子2の表面に吸着させる(第2の工程)。
このような吸着部31の母粒子2の表面への吸着は、前記工程[1]で得られたポリマー35と、母粒子2とを適切な溶媒中で混合して溶液を調製し、必要に応じて攪拌、加熱等を行うことで実施することができる。
なお、本工程に用いる溶媒としては、前記工程[1−1]で挙げたのと同様のものを用いることができる。
また、溶液の攪拌は、超音波照射による攪拌・分散や、ボールミル、ビーズミル等を用いた撹拌等が挙げられる。
さらに、溶液の加熱は、好ましくは100℃〜200℃、1時間以上の条件で実施される。
さらに、本工程において調整すべき前記溶液の量は、母粒子2の体積に対して、1体積%程度以上、20体積%程度以下であることが好ましく、5体積%程度以上、10体積%程度以下であることがより好ましい。これにより、母粒子2に対するポリマー35の接触機会を増大させることができるため、吸着部31をより確実に母粒子2の表面に吸着させることができる。
[3] 次に、架橋ユニットが有する架橋基を、架橋剤Aを介して架橋し、異なるポリマー35同士を連結させて、複数のポリマー35を母粒子2の周囲に固定させる(第3の工程)。
これにより、母粒子2の少なくとも一部が被覆層3で被覆された電気泳動粒子1が得られる。
異なるポリマー35が備える架橋部32が有する架橋基同士の架橋剤を介した反応は、例えば、前記工程[2]において得られた、複数のポリマー35が吸着部31において表面に吸着した母粒子2を含有する溶液に、架橋剤Aを添加した後、必要に応じて、加熱や、光、電子線、ガンマ線等のエネルギー線の照射等を行うことで実施することができる。
このように溶液を加熱すること、すなわち、架橋基と架橋剤とが反応する温度まで加熱(加温)することで、この反応をより迅速かつ確実に行うことができる。
この加熱の温度は、架橋基および架橋剤の種類等によっても若干異なり、特に限定されないが、30〜100℃程度であるのが好ましい。また、加熱の時間(反応時間)は、加熱の温度を前記範囲とする場合、0.5〜10時間程度であるのが好ましい。
また、溶液中に含まれるポリマー35が有する架橋部32が備える架橋基の数A[個]と、架橋剤が備える官能基の数B[個]の比A:Bは、1:2〜10:1であることが好ましく、1:1(等量)であることがより好ましい。架橋剤の添加量が過剰となる場合には、未反応の架橋剤および、部分的にしか架橋していない架橋剤が生じるため、架橋剤が不純物として電気泳動粒子1に残存するおそれがある。一方、架橋剤が不足した場合には、未反応の架橋基が架橋部32に多量に残ることとなり、架橋部32における架橋強度を十分に強くすることができないおそれがある。
さらに、溶液中には、硬化促進剤が含まれているのが好ましい。これにより、前記架橋基同士の架橋剤を介した反応をより円滑に進行させることができる。
硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、イミダゾール類およびその誘導体、第三級アミン類ならびに第四級アンモニウム塩等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、この反応の後、ポリマー35中には未反応の架橋基が残存していることがある。この場合、架橋基(特に、エポキシ基)は反応性が高いものであるので、電気泳動分散液中において、不本意に架橋基が反応(例えば、分解反応)し、その結果、電気泳動粒子1の分散特性および帯電特性等の特性に変化が生じるおそれがある。このような特性の変化を防止することを目的に、予め、この反応が完了した後に、架橋基を分解・洗浄処理するようにしてもよい。
分解処理としては、例えば、一般的な酸やアルカリ、亜硫酸ナトリウム等の試薬と接触させる方法が挙げられる。
そして、この反応の後に、余分なポリマー35を洗浄除去することで、電気泳動粒子1が精製される。なお、ポリマー35を構成するモノマー、特にモノマーM1の種類によっては、電気泳動粒子1を乾燥させてしまうと分散溶媒に分散しなくなる場合がある。このような場合には、洗浄作業の際には反応溶媒を分散溶媒に少しずつ置換していく(乾燥工程を経ない)溶媒置換法で行うことが好ましい。
以上のような工程を経ることで、電気泳動粒子1が得られることから、母粒子2の種類に関係なく、たとえ母粒子2が表面に官能基を有しないものであったとしても、その表面にポリマー35を確実に固定させることができる。
<電気泳動分散液>
次に、本発明の電気泳動分散液について説明する。
電気泳動分散液は、少なくとも1種の電気泳動粒子(本発明の電気泳動粒子)を分散媒(液相分散媒)に分散(懸濁)してなるものである。
分散媒としては、沸点が100℃以上に高く比較的高い絶縁性を有するものが好ましく用いられる。かかる分散媒としては、例えば、各種水(例えば、蒸留水、純水等)、ブタノールやグリセリン等のアルコール類、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸ブチル等のエステル類、ジブチルケトン等のケトン類、ペンタン等の脂肪族炭化水素類(流動パラフィン)、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン等の芳香族複素環類、アセトニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、カルボン酸塩、シリコンオイルまたはその他の各種油類等が挙げられ、これらを単独または混合物として用いることができる。
中でも、分散媒としては、脂肪族炭化水素類(アイソパー等の流動パラフィン)またはシリコンオイルを主成分とするものが好ましい。流動パラフィンまたはシリコンオイルを主成分とする分散媒は、電気泳動粒子1の凝集抑制効果が高いことから、示す電気泳動表示装置920の表示性能が経時的に劣化するのを抑制することができる。また、流動パラフィンまたはシリコンオイルは、不飽和結合を有しないため耐候性に優れ、さらに安全性も高いという利点を有している。
また、分散媒としては、比誘電率が1.5以上3以下であるものが好ましく用いられ、1.7以上2.8以下であるものがより好ましく用いられる。このような分散媒は、電気泳動粒子1の分散性に優れるとともに、電気絶縁性も良好である。このため、消費電力が小さく、コントラストの高い表示が可能な示す電気泳動表示装置920の実現に寄与する。なお、この誘電率の値は、50Hzにおいて測定された値であり、かつ、含有する水分量が50ppm以下、温度25℃である分散媒について測定された値である。
また、分散媒中には、必要に応じて、例えば、電解質、界面活性剤(アニオン性またはカチオン性)、金属石鹸、樹脂材料、ゴム材料、油類、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、潤滑剤、安定化剤、各種染料等の各種添加剤を添加するようにしてもよい。
また、電気泳動粒子の分散媒への分散は、例えば、ペイントシェーカー法、ボールミル法、メディアミル法、超音波分散法、撹拌分散法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。
このような電気泳動分散液中において、被覆層3が有するポリマー35の作用により、電気泳動粒子1は、優れた分散能を発揮するものとなる。
<電気泳動表示装置>
次に、本発明の電気泳動シートが適用された電気泳動表示装置(本発明の電気泳動装置)について説明する。
図7は、電気泳動表示装置の実施形態の縦断面を模式的に示す図、図8は、図7に示す電気泳動表示装置の作動原理を示す模式図である。なお、以下では、説明の都合上、図7および図8中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図7に示す電気泳動表示装置920は、電気泳動表示シート(フロントプレーン)921と、回路基板(バックプレーン)922と、電気泳動表示シート921と回路基板922とを接合する接着剤層98と、電気泳動表示シート921と回路基板922との間の間隙を気密的に封止する封止部97とを有している。
電気泳動表示シート(本発明の電気泳動シート)921は、平板状の基部92と基部92の下面に設けられた第2の電極94とを備える基板912と、この基板912の下面(一方の面)側に設けられ、マトリクス状に形成された隔壁940と電気泳動分散液910とで構成された表示層9400とを有している。
一方、回路基板922は、平板状の基部91と基部91の上面に設けられた複数の第1の電極93とを備える対向基板911と、この対向基板911(基部91)に設けられた、例えばTFT等のスイッチング素子を含む回路(図示せず)とを有している。
以下、各部の構成について順次説明する。
基部91および基部92は、それぞれ、シート状(平板状)の部材で構成され、これらの間に配される各部材を支持および保護する機能を有する。
各基部91、92は、それぞれ、可撓性を有するもの、硬質なもののいずれであってもよいが、可撓性を有するものであるのが好ましい。可撓性を有する基部91、92を用いることにより、可撓性を有する電気泳動表示装置920、すなわち、例えば電子ペーパーを構築する上で有用な電気泳動表示装置920を得ることができる。
また、各基部(基材層)91、92を可撓性を有するものとする場合、これらは、それぞれ、樹脂材料で構成するのが好ましい。
このような基部91、92の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、20〜500μm程度であるのが好ましく、25〜250μm程度であるのがより好ましい。
これらの基部91、92の隔壁940側の面、すなわち、基部91の上面および基部92の下面に、それぞれ、層状(膜状)をなす第1の電極93および第2の電極94が設けられている。
第1の電極93と第2の電極94との間に電圧を印加すると、これらの間に電界が生じ、この電界が電気泳動粒子(本発明の電気泳動粒子)95に作用する。
本実施形態では、第2の電極94が共通電極とされ、第1の電極93がマトリックス状(行列状)に分割された個別電極(スイッチング素子に接続された画素電極)とされており、第2の電極94と1つの第1の電極93とが重なる部分が1画素を構成する。
各電極93、94の構成材料としては、それぞれ、実質的に導電性を有するものであれば特に限定されない。
このような電極93、94の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、0.05〜10μm程度であるのが好ましく、0.05〜5μm程度であるのがより好ましい。
なお、各基部91、92および各電極93、94のうち、表示面側に配置される基部および電極(本実施形態では、基部92および第2の電極94)は、それぞれ、光透過性を有するもの、すなわち、実質的に透明(無色透明、有色透明または半透明)とされる。
電気泳動表示シート921では、第2の電極94の下面に接触して、表示層9400が設けられている。
この表示層9400は、電気泳動分散液(上述した本発明の電気泳動分散液)910が隔壁940により画成された複数の画素空間9401内に収納(封入)された構成となっている。
隔壁940は、対向基板911と基板912との間に、マトリクス状に分割するように形成されている。
隔壁940の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂のような熱硬化性樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
画素空間9401内に収納された電気泳動分散液910は、本実施形態では、着色粒子95bと白色粒子95aとの2種(少なくとも1種の電気泳動粒子1)を分散媒96に分散(懸濁)してなるものであり、前述した本発明の電気泳動分散液が適用される。
このような電気泳動表示装置920では、第1の電極93と第2の電極94との間に電圧を印加すると、これらの間に生じる電界にしたがって、着色粒子95b、白色粒子95a(電気泳動粒子1)は、いずれかの電極に向かって電気泳動する。
本実施形態では、白色粒子95aとして正荷電を有するものが用いられ、着色粒子(黒色粒子)95bとして負荷電のものが用いられている。すなわち、白色粒子95aとして、母粒子2がプラスに帯電している電気泳動粒子1が用いられ、着色粒子95bとして、母粒子2がマイナスに帯電している電気泳動粒子1が用いられる。
このような電気泳動粒子1を用いた場合、第1の電極93を正電位とすると、図8(A)に示すように、白色粒子95aは、第2の電極94側に移動して、第2の電極94に集まる。一方、着色粒子95bは、第1の電極93側に移動して、第1の電極93に集まる。このため、電気泳動表示装置920を上方(表示面側)から見ると、白色粒子95aの色が見えること、すなわち、白色が見えることになる。
これとは逆に、第1の電極93を負電位とすると、図8(B)に示すように、白色粒子95aは、第1の電極93側に移動して、第1の電極93に集まる。一方、着色粒子95bは、第2の電極94側に移動して、第2の電極94に集まる。このため、電気泳動表示装置920を上方(表示面側)から見ると、着色粒子95bの色が見えること、すなわち、黒色が見えることになる。
このような構成において、白色粒子95a、着色粒子95b(電気泳動粒子1)の帯電量や、電極93または94の極性、電極93、94間の電位差等を適宜設定することにより、電気泳動表示装置920の表示面側には、白色粒子95aおよび着色粒子95bの色の組み合わせや、電極93、94に集合する粒子の数等に応じて、所望の情報(画像)が表示される。
また、電気泳動粒子1の比重は、分散媒96の比重とほぼ等しくなるように設定されているのが好ましい。これにより、電気泳動粒子1は、電極93、94間への電圧の印加を停止した後においても、分散媒96中において一定の位置に長時間滞留することができる。すなわち、電気泳動表示装置920に表示された情報が長時間保持されることとなる。
なお、電気泳動粒子1の平均粒径は、0.1〜10μm程度であるのが好ましく、0.1〜7.5μm程度であるのがより好ましい。電気泳動粒子1の平均粒径を前記範囲とすることにより、電気泳動粒子1同士の凝集や、分散媒96中における沈降を確実に防止することができ、その結果、電気泳動表示装置920の表示品質の劣化を好適に防止することができる。
本実施形態では、電気泳動表示シート921と回路基板922とが、接着剤層98を介して接合されている。これにより、電気泳動表示シート921と回路基板922とをより確実に固定することができる。
接着剤層98の平均厚さは、特に限定されないが、1〜30μm程度であるのが好ましく、5〜20μm程度であるのがより好ましい。
基部91と基部92との間であって、それらの縁部に沿って、封止部97が設けられている。この封止部97により、各電極93、94、表示層9400および接着剤層98が気密的に封止されている。これにより、電気泳動表示装置920内への水分の浸入を防止して、電気泳動表示装置920の表示性能の劣化をより確実に防止することができる。
封止部97の構成材料としては、上述した隔壁940の構成材料として挙げたものと同様のものを用いることができる。
<電子機器>
次に、本発明の電子機器について説明する。
本発明の電子機器は、前述したような電気泳動表示装置920を備えるものである。
<<電子ペーパー>>
まず、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態について説明する。
図9は、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。
図9に示す電子ペーパー600は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体601と、表示ユニット602とを備えている。
このような電子ペーパー600では、表示ユニット602が、前述したような電気泳動表示装置920で構成されている。
<<ディスプレイ>>
次に、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態について説明する。
図10は、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。このうち、図10中(a)は断面図、(b)は平面図である。
図10に示すディスプレイ(表示装置)800は、本体部801と、この本体部801に対して着脱自在に設けられた電子ペーパー600とを備えている。
本体部801は、その側部(図10(a)中、右側)に電子ペーパー600を挿入可能な挿入口805が形成され、また、内部に二組の搬送ローラ対802a、802bが設けられている。電子ペーパー600を、挿入口805を介して本体部801内に挿入すると、電子ペーパー600は、搬送ローラ対802a、802bにより挟持された状態で本体部801に設置される。
また、本体部801の表示面側(図10(b)中、紙面手前側)には、矩形状の孔部803が形成され、この孔部803には、透明ガラス板804が嵌め込まれている。これにより、本体部801の外部から、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を視認することができる。すなわち、このディスプレイ800では、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を、透明ガラス板804において視認させることで表示面を構成している。
また、電子ペーパー600の挿入方向先端部(図10中、左側)には、端子部806が設けられており、本体部801の内部には、電子ペーパー600を本体部801に設置した状態で端子部806が接続されるソケット807が設けられている。このソケット807には、コントローラー808と操作部809とが電気的に接続されている。
このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600は、本体部801に着脱自在に設置されており、本体部801から取り外した状態で携帯して使用することもできる。
また、このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600が、前述したような電気泳動表示装置920で構成されている。
なお、本発明の電子機器は、以上のようなものへの適用に限定されず、例えば、テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、電子新聞、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等を挙げることができ、これらの各種電子機器の表示部に、電気泳動表示装置920を適用することが可能である。
以上、本発明の電気泳動粒子の製造方法、電気泳動粒子、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の電気泳動粒子の製造方法は、任意の目的の工程が1または2以上追加されていてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.電気泳動粒子の製造、電気泳動分散液の調製
[実施例1]
1.分散部の合成
フラスコに、分子量5,000のシリコーンマクロモノマー(JNC株式会社製「サイラプレーン FM−0721」):10g(2mmol)、2−シアノ−2−プロピルベンゾジチオエート:45mg(0.2mmol)、アゾビスイソブチロニトリル:33mg(0.2mmol)、酢酸エチルを加え、20時間加熱撹拌してシリコーンマクロモノマーを重合した。これを室温まで冷却して反応を終了し、溶媒を除去して赤褐色のシリコーンポリマー反応溶液を得た。
トルエンを展開溶媒としたゲル浸透クロマトグラフィーによって、得られたシリコーンポリマーの重量平均分子量(Mw)が60,000のシリコーンポリマーが得られたことを確認した。
2.架橋部の合成
フラスコに、上記で得られたシリコーンポリマー:1g(17μmol)、メタクリル酸グリシジル:97mg(680μmol)、アゾビスイソブチロニトリル:2.8mg(17μmol)、酢酸エチルを加え、加熱撹拌して重合を行った。これを室温まで冷却して反応を終了し、溶媒を除去して分散性ポリマーと架橋性ポリマーのブロックコポリマーを得た。
3.吸着部の合成
フラスコに、上記で得られたブロックコポリマー:1g(17μmol)、メタクリル酸ナトリウム:27mg(255μmol)、アゾビスイソブチロニトリル:2.8mg(17μmol)、酢酸エチルを加え、加熱撹拌して重合を行った。これを室温まで冷却して官能を終了し、溶媒を除去して分散性ポリマーと、架橋性ポリマーと、吸着性ポリマーのトリブロックコポリマーを得た。
4.電気泳動分散液の調整
フラスコに、上記で得られたブロックコポリマー:1g、赤色顔料(アントラキノン:PigmentRed−177):1g、シリコーンオイル(信越化学製「KF−96−20cs」)、1,6−ヘキサンジチオールを加えて加熱撹拌し、粒子に吸着されたブロックコポリマーを架橋して電気泳動粒子を得た。遠心分離器を用いて電気泳動粒子を洗浄し、シリコーンオイル(信越化学製「KF−96−20cs」)を添加して所定濃度の電気泳動分散液を調整した。
[実施例2]
架橋部と吸着部の合成順序を入れ換えた以外は実施例1と同様にして実施例2の電気泳動分散液を調整した。
[実施例3]
実施例1と同様にして分散部の合成を行った。
得られたシリコーンポリマー:1g(17μmol)、メタクリル酸グリシジル:97mg(680μmol)、メタクリル酸ナトリウム:27mg(255μmol)、アゾビスイソブチロニトリル:2.8mg(17μmol)を用いて重合し、架橋性ポリマーと吸着性ポリマーとがランダム重合した架橋・吸着部を有するブロックコポリマーを得た。
得られたブロックコポリマーを用いた以外は実施例1と同様にして実施例3の電気泳動分散液を調整した。
[実施例4]
用いる2−シアノ−2−プロピルベンゾジチオエートの量を135mg(0.6mmol)とした以外は実施例1と同様にして分散部の合成を行い、重量平均分子量(Mw)が20,000のシリコーンポリマーを得た。
得られたシリコーンポリマー:1g(50μmol)、メタクリル酸グリシジル:285mg(2000μmol)、アゾビスイソブチロニトリル:8.2mg(50μmol)を用いた以外は実施例1と同様にして架橋部の合成を行った。
得られたブロックコポリマー:1g(50μmol)、メタクリル酸ナトリウム:81mg(750μmol)、アゾビスイソブチロニトリル:8.2mg(50μmol)を用いた以外は実施例1と同様にして吸着部の合成を行った。
得られたブロックコポリマーを用いた以外は実施例1と同様にして実施例4の電気泳動分散液を調整した。
[実施例5]
用いる2−シアノ−2−プロピルベンゾジチオエートの量を22mg(0.1mmol)とした以外は実施例1と同様にして分散部の合成を行い、重量平均分子量(Mw)が100,000のシリコーンポリマーを得た。
得られたシリコーンポリマー:1g(10μmol)、メタクリル酸グリシジル:57mg(400μmol)、アゾビスイソブチロニトリル:1.7mg(10μmol)を用いた以外は実施例1と同様にして架橋部の合成を行った。
得られたブロックコポリマー:1g(10μmol)、メタクリル酸ナトリウム:16mg(150μmol)、アゾビスイソブチロニトリル:1.7mg(10μmol)を用いた以外は実施例1と同様にして吸着部の合成を行った。
得られたブロックコポリマーを用いた以外は実施例1と同様にして実施例5の電気泳動分散液を調整した。
[実施例6]
分散部を合成した後の単離精製工程と、架橋部を合成した後の単離精製工程とを省略して実施例6の電気泳動分散液を調整した。
具体的には、実施例1と同様にして分散部の合成を行った後、得られた反応溶液から溶媒を除去せずに、メタクリル酸グリシジル:970mg(6800μmol)を加え、架橋部の合成を行った。得られた反応溶液に、メタクリル酸ナトリウム:270mg(2550μmol)を加え、吸着部の合成を行った。
得られたブロックコポリマーを用いた以外は実施例1と同様にして実施例6の電気泳動分散液を調整した。
[実施例7]
シリコーンマクロモノマーに代えて、メタクリル酸ステアリル:10g(29mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、分散部を合成した。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は50,000であった。
得られたポリマー:1g(20μmol)、メタクリル酸グリシジル:114mg(800μmol)、アゾビスイソブチロニトリル:3.4mg(20μmol)を用いた以外は実施例1と同様にして架橋部の合成を行った。
得られたブロックコポリマー:1g(20μmol)、メタクリル酸ナトリウム:32mg(300μmol)、アゾビスイソブチロニトリル:3.4mg(20μmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、吸着部の合成を行った。
得られたブロックコポリマーを用い、シリコーンオイルに代えてアイソパーG(エクソンモービル社製)とした以外は実施例1と同様にして実施例7の電気泳動分散液を調整した。
[実施例8]
用いるメタクリル酸グリシジルの量を12mg(85μmol)とした以外は実施例1と同様にしてブロックコポリマーの合成を行った。
得られたブロックコポリマーを用いた以外は実施例1と同様にして実施例8の電気泳動分散液を調整した。
[実施例9]
用いるメタクリル酸グリシジルの量を48mg(340μmol)とした以外は実施例1と同様にしてブロックコポリマーの合成を行った。
得られたブロックコポリマーを用いた以外は実施例1と同様にして実施例9の電気泳動分散液を調整した。
[実施例10]
用いるメタクリル酸グリシジルの量を145mg(1020μmol)とした以外は実施例1と同様にしてブロックコポリマーの合成を行った。
得られたブロックコポリマーを用いた以外は実施例1と同様にして実施例10の電気泳動分散液を調整した。
[実施例11]
用いるメタクリル酸グリシジルの量を193mg(1360μmol)とした以外は実施例1と同等にしてブロックコポリマーの合成を行った。
得られたブロックコポリマーを用いた以外は実施例1と同様にして実施例11の電気泳動分散液を調整した。
[実施例12]
1,6−ヘキサンジチオールに代えて、1,3−ジアミノプロパンを用いた以外は実施例1と同様にして実施例12の電気泳動分散液を調整した。
[実施例13]
1,6−ヘキサンジチオールに代えて、ヘキサメチレンジアミンを用いた以外は実施例1と同様にして実施例13の電気泳動分散液を調整した。
[実施例14]
実施例1と同様にして分散部の合成を行った。
得られたシリコーンポリマー:1g(17μmol)、メタクリル酸−2−アミノエチル塩酸塩:154mg(935μmol)、アゾビスイソブチロニトリル:2.8mg(17μmol)を用い、吸着側鎖が架橋基を兼ねる、架橋・吸着部の合成を行った。
得られたブロックコポリマーを用い、1,6−ヘキサンジチオールに代えて、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテルを用いた以外は実施例1と同様にして実施例14の電気泳動分散液を調整した。
[実施例15]
実施例1と同様にして分散部の合成を行った。
得られたシリコーンポリマー:1g(17μmol)、上記式(A5)の化合物:224mg(935μmol)、アゾビスイソブチロニトリル:2.8mg(17μmol)を用い、吸着基と架橋基とを有するモノマーを重合して、架橋・吸着部の合成を行った。
得られたブロックコポリマーを用いた以外は実施例1と同様にして実施例15の電気泳動分散液を調整した。
[実施例16]
用いるメタクリル酸ナトリウムの量を4mg(34μmol)とした以外は実施例1と同様にしてブロックコポリマーの合成を行った。
得られたブロックコポリマーを用いた以外は実施例1と同様にして実施例16の電気泳動分散液を調整した。
[実施例17]
用いるメタクリル酸ナトリウムの量を74mg(680μmol)とした以外は実施例1と同様にしてブロックコポリマーの合成を行った。
得られたブロックコポリマーを用いた以外は実施例1と同様にして実施例17の電気泳動分散液を調整した。
[実施例18]
メタクリル酸ナトリウムに代えて、メタクリル酸−2−(ジメチルアミノ)エチル:40mg(255μmol)を用いた以外は実施例1と同様にしてブロックコポリマーの合成を行った。
得られたブロックコポリマーを用い、赤色顔料に代えて緑色顔料(フタロシアニングリーン:PigmentGreen−7)を用いた以外は実施例1と同様にして実施例18の電気泳動分散液を調整した。
[実施例19]
メタクリル酸ナトリウムに代えて、メタクリル酸ベンジル:44mg(255μmol)を用いた以外は実施例1と同様にしてブロックコポリマーの合成を行った。
得られたブロックコポリマーを用い、赤色顔料に代えてカーボンブラックを用いた以外は実施例1と同様にして実施例19の電気泳動分散液を調整した。
[比較例1]
分子量5,000のシリコーンマクロモノマー(JNC株式会社製「サイラプレーン FM−0721」):1g(0.2mmol)、メタクリル酸グリシジル:97mg(680μmol)、メタクリル酸ナトリウム:27mg(255μmol)、アゾビスイソブチロニトリル:33mg(0.2mmol)を用いて重合し、得られたランダムコポリマーを用いた以外は実施例1と同様にして電気泳動分散液を調整した。
[比較例2]
架橋部の合成を省略した以外は実施例1と同様にして比較例2の電気泳動分散液を調整した。
[比較例3]
吸着部の合成を省略した以外は実施例1と同様にして比較例3の電気泳動分散液を調整した。
2.電気泳動分散液の評価
2.1 電気泳動分散粒子の体積平均粒径
各実施例および各比較例で得られた電気泳動分散液について、それぞれ、静的光散乱法を用いて、電気泳動分酸液中に含まれる電気泳動粒子の体積平均粒径を測定した。
2.2 電気泳動分散粒子の長期安定性
前記2.1における電気泳動分散粒子の体積平均粒径の測定の後、電気泳動分散液を60℃の条件で1週間放置し、その後、前記2.1における条件と同様にして、電気泳動分散液中に含まれる電気泳動粒子の体積平均粒径を測定した。
そして、電気泳動分酸液の放置前後における体積平均粒径に基づいて、以下の基準にしたがって評価した。
<長期安定性の評価>
◎: 2.1において測定した体積平均粒径と比較して粒径の変化量が5%未満
○: 2.1において測定した体積平均粒径と比較して粒径の変化量が5%以上20%未満
△: 2.1において測定した体積平均粒径と比較して粒径の変化量が20%以上50%未満
×: 完全に沈降
以上、2.1〜2.2の各評価結果を表1に示す。なお、架橋部に含まれる架橋ユニット数、吸着部に含まれる吸着ユニット数については、1H−NMR法によって確認した。また、実施例14については、吸着側鎖が架橋基を兼ねるため、便宜的に架橋部1本あたりにおける架橋ユニット数を40、吸着部1本あたりにおける吸着ユニット数を15としてある。
Figure 2015191023
表1から明らかなように、各比較例で得られた電気泳動分酸液では、いずれも、長期に亘って、電気泳動分酸液中に電気泳動粒子を分散させることができなかった。これに対して、各実施例で得られた電気泳動分酸液では、体積平均粒径が各比較例と比較して小さくなっており、電気泳動分酸液中に電気泳動粒子を優れた分散性をもって分散させることができるとともに、この分散性を長期に亘って維持することができた。
1……電気泳動粒子
2……母粒子
3……被覆層
31……吸着部
32……架橋部
33……分散部
34……吸着部
35……ブロックコポリマー
91……基部
92……基部
93……第1の電極
94……第2の電極
95a……白色粒子
95b……着色粒子
96……分散媒
97……封止部
98……接着剤層
501……電気泳動粒子
502……基材粒子
503……被覆層
531……シランカップリング剤
532……重合部
533……高分子
600……電子ペーパー
601……本体
602……表示ユニット
800……ディスプレイ
801……本体部
803……孔部
804……透明ガラス板
805……挿入口
806……端子部
807……ソケット
808……コントローラー
809……操作部
910……電気泳動分散液
911……対向基板
912……基板
920……電気泳動表示装置
921……電気泳動表示シート
922……回路基板
940……隔壁
9400……表示層
9401……画素空間
A……架橋剤
M1……第1のモノマー
M2……第2のモノマー
M3……第3のモノマー

Claims (20)

  1. 粒子と、前記粒子の少なくとも一部を覆う被覆層とを含む電気泳動粒子の製造方法であって、
    リビング重合により、分散媒中への分散性に寄与する官能基を有する第1のモノマーが重合した分散部と、架橋基を有する第2のモノマーと、粒子吸着基を有する第3のモノマーとが共重合した架橋・吸着部とを有し、前記分散部と、前記架橋・吸着部とが連結した複数のブロックコポリマーを得る第1の工程と、
    複数の前記ブロックコポリマーの各々が有する前記架橋・吸着部を前記粒子の表面に吸着させる第2の工程と、
    架橋剤を介して前記架橋基を架橋することにより、異なる前記ブロックコポリマー同士を連結させて前記被覆層を形成する第3の工程と、を有することを特徴する電気泳動粒子の製造方法。
  2. 前記第1の工程において、前記架橋・吸着部は、前記第2のモノマーが重合した架橋部を形成する工程と、前記第3のモノマーが重合した吸着部を形成する工程とを含み、前記架橋部と前記吸着部とが連結したブロック共重合体を得ることで形成される請求項1に記載の電気泳動粒子の製造方法。
  3. 前記第1の工程において、前記架橋・吸着部は、前記第2のモノマーと前記第3のモノマーとの双方の存在下で、これらを共重合させることでランダム共重合体を得ることにより形成される請求項1に記載の電気泳動粒子の製造方法。
  4. 前記リビング重合は、可逆的付加開裂型連鎖移動重合である請求項1ないし3のいずれかに記載の電気泳動粒子の製造方法。
  5. 前記第2の工程に先立って、前記ブロックコポリマーを単離精製する処理を施す請求項1ないし4のいずれかに記載の電気泳動粒子の製造方法。
  6. 前記粒子吸着基は、前記粒子の表面に対する静電的な吸着能を備える請求項1ないし5のいずれかに記載の電気泳動粒子の製造方法。
  7. 前記粒子吸着基は、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基から選ばれる少なくとも1種である請求項1ないし6のいずれかに記載の電気泳動粒子の製造方法。
  8. 粒子と、
    前記粒子の少なくとも一部を覆う被覆層とを有し、
    前記被覆層は、分散媒中への分散性に寄与する官能基を有する第1のモノマーが重合することで形成された分散部と、架橋基を有する第2のモノマーと粒子吸着基を有する第3のモノマーとが共重合した架橋・吸着部と、を備えるブロックコポリマーを複数含んでおり、
    前記ブロックコポリマーは、前記架橋・吸着部が前記粒子の表面に吸着するとともに、異なる前記ブロックコポリマー同士が前記架橋基において架橋剤を介して連結していることを特徴する電気泳動粒子。
  9. 前記架橋・吸着部は、前記第2のモノマーが重合した架橋部と、前記第3のモノマーが重合した吸着部とからなるブロック共重合体である請求項8に記載の電気泳動粒子。
  10. 前記吸着部は、5以上30以下の個数の前記第3のモノマーが重合することで形成されたものである請求項9に記載の電気泳動粒子。
  11. 前記架橋部は、10以上70以下の個数の前記第2のモノマーが重合することで形成されたものである請求項9または10に記載の電気泳動粒子。
  12. 前記架橋・吸着部は、前記第2のモノマーと前記第3のモノマーとを共重合させることにより形成されたランダム共重合体である請求項8に記載の電気泳動粒子。
  13. 前記分散部は、その重量平均分子量が20,000以上、100,000以下である請求項8ないし12のいずれか1項に記載の電気泳動粒子。
  14. 前記第1のモノマーは、下記一般式(I)で表されるシリコーンマクロモノマーである請求項8ないし13のいずれか1項に記載の電気泳動粒子。
    Figure 2015191023
    [式中、Rは水素原子またはメチル基、R’は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、nは0以上の整数、xは1〜3の整数を表す。]
  15. 前記シリコーンマクロモノマーは、その分子量が1000以上、10000以下である請求項14に記載の電気泳動粒子。
  16. 前記粒子吸着基は、前記粒子の表面に対する静電的な吸着能を備える請求項8ないし15のいずれか1項に記載の電気泳動粒子。
  17. 請求項1ないし7のいずれかに記載の電気泳動粒子の製造方法または請求項8ないし16のいずれかに記載の電気泳動粒子により製造された電気泳動粒子を含有することを特徴とする電気泳動分散液。
  18. 基板と、
    前記基板の上方に配置され、各々が請求項17に記載の電気泳動分散液を収納する複数の構造体とを含むことを特徴とする電気泳動シート。
  19. 請求項18に記載の電気泳動シートを備えることを特徴とする電気泳動装置。
  20. 請求項19に記載の電気泳動装置を備えることを特徴とする電子機器。
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