JP2013217462A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ABS制御等を実行する車両挙動制御装置とロックアップクラッチとを備えた車両において、スリップの誤検出に基づいて車両挙動制御装置を作動させた場合に燃費の悪化を従来よりも抑制できる車両の制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関と、ロックアップクラッチを有するトルクコンバータと、車両挙動制御装置とを備え、ロックアップクラッチが係合状態である間に車両挙動制御装置が作動したら、ロックアップクラッチを解放状態にする車両の制御装置であって、車両挙動制御装置が作動してから停止した後にロックアップクラッチを解放状態から係合状態にする場合は(ステップS9、ステップS10)、車両挙動制御装置が作動しておらずロックアップクラッチを解放状態から係合状態にする場合(ステップS13)に比べて、ロックアップクラッチを解放状態から係合状態に切り替えやすい(ステップS11、ステップS12)。
【選択図】図3
【解決手段】内燃機関と、ロックアップクラッチを有するトルクコンバータと、車両挙動制御装置とを備え、ロックアップクラッチが係合状態である間に車両挙動制御装置が作動したら、ロックアップクラッチを解放状態にする車両の制御装置であって、車両挙動制御装置が作動してから停止した後にロックアップクラッチを解放状態から係合状態にする場合は(ステップS9、ステップS10)、車両挙動制御装置が作動しておらずロックアップクラッチを解放状態から係合状態にする場合(ステップS13)に比べて、ロックアップクラッチを解放状態から係合状態に切り替えやすい(ステップS11、ステップS12)。
【選択図】図3
Description
本発明は、車両の制御装置に関するものである。
従来、エンジンと駆動輪との間に自動変速機を備えた自動車等の車両が普及している。この種の自動変速機としては、エンジンに連結されるトルクコンバータと、駆動輪に連結される自動変速機構とを直列に連結して備えたものが広く知られている。トルクコンバータとしては、入力側と出力側とを直結可能な油圧式のロックアップクラッチを備えたものが普及している。ロックアップクラッチは、車両の制御装置により係合側油圧および解放側油圧の差圧であるロックアップ差圧を制御されることにより、トルクコンバータの入力側と出力側との間を係合または解放するようになっている。
この種の車両では、車両の制御装置は、ロックアップ制御においてロックアップクラッチを係合することにより、トルクコンバータの入力側と出力側との間を係合して一体回転させ、燃費向上を図るようになっている。また、車両の制御装置は、ロックアップ制御においてロックアップクラッチを解放することにより、トルクコンバータの入力側と出力側との間を解放して互いに回転可能にして、エンジンからトルクコンバータに入力されたトルクを増幅して自動変速機構に出力するようになっている。
また、従来、自動車等の車両において、路面とタイヤとのスリップを抑制するために、例えば、車両の走行時のABS(Antilock Brake System)制御を行うものが広く知られている。この種の車両では、車両の制御装置は、車両が低μ路上で走行する際に急ブレーキが掛けられると車輪のロックを抑制してブレーキの制動力を調整するようABS制御を実行するようになっている。
また、上述したロックアップ制御とABS制御との両方を実行可能な車両の制御装置が知られている。この種の車両の制御装置では、ABS制御を実行する際にはロックアップクラッチを解放するとともに、ABS制御の終了後も所定時間の間、ロックアップクラッチを解放状態に維持するものがある(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来の車両の制御装置にあっては、例えば、車両が路上の小さな凹凸に乗り上げて極短時間の滑りを生じ、その直後に車両が正常に走行する場合等、車両の走行状態によっては、スリップの誤検出に基づいてABS制御を一瞬だけ実行してすぐに復帰する場合がある。従来の車両の制御装置にあっては、このような場合でも、ABS制御の停止後に所定時間の間、ロックアップクラッチを解放してしまう可能性があった。このため、従来の車両の制御装置にあっては、これらの場合、通常の走行時にロックアップクラッチを解放して走行してしまう可能性があり、燃費が悪化するという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、ABS制御等を実行する車両挙動制御装置とロックアップクラッチとを備えた車両において、スリップの誤検出に基づいて車両挙動制御装置を作動させた場合に燃費の悪化を従来よりも抑制できる車両の制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る車両の制御装置は、上記目的達成のため、(1)車両の内燃機関と、前記内燃機関と駆動輪との間に連結されるとともに、前記内燃機関と前記駆動輪との動力伝達経路を解放する解放状態と、前記内燃機関と前記駆動輪との前記動力伝達経路を係合する係合状態との間で伝達状態を切り替えるロックアップクラッチを有するトルクコンバータと、前記車両の挙動を制御する車両挙動制御装置と、を備え、前記ロックアップクラッチが前記係合状態である間に前記車両挙動制御装置が作動したら、前記ロックアップクラッチを前記解放状態にする車両の制御装置であって、前記車両挙動制御装置が作動してから停止した後に前記ロックアップクラッチを前記解放状態から前記係合状態にする場合は、前記車両挙動制御装置が作動しておらず前記ロックアップクラッチを前記解放状態から前記係合状態にする場合に比べて、前記ロックアップクラッチを前記解放状態から前記係合状態に切り替えやすくするよう構成する。本明細書中でロックアップクラッチの解放状態とは、完全解放の他、半係合のように滑りを伴って動力を伝達する状態をも含むものとしている。
この構成により、車両の制御装置は、ロックアップクラッチが係合状態である際に車両挙動制御装置が作動すると、ロックアップクラッチを解放状態にする。そして、車両の制御装置は、車両挙動制御装置が作動してから停止した後に、ロックアップクラッチを解放状態から係合状態に復帰させる。このとき、車両の制御装置は、車両挙動制御装置が作動しておらずロックアップクラッチを解放状態から係合状態にする場合に比べて、ロックアップクラッチを解放状態から係合状態に切り替えやすくする。
これにより、車両の制御装置は、車両挙動制御装置が作動してから停止した後に、ロックアップクラッチを解放状態から係合状態に速やかに切り替えることができる。このため、車両挙動制御装置が一瞬のスリップ等を誤検出したことによりロックアップクラッチを解放状態にしても、ロックアップクラッチを早期に係合状態に復帰することができる。よって、車両の制御装置は、ロックアップクラッチを解放状態にする時間を短縮できるので、燃費の悪化を抑制することができる。
上記(1)に記載の車両の制御装置においては、(2)前記ロックアップクラッチを前記解放状態から前記係合状態に切り替える条件を緩和することにより、前記ロックアップクラッチを前記解放状態から前記係合状態に切り替えやすくするよう構成する。
この構成により、車両の制御装置は、車両挙動制御装置において一瞬のスリップ等を誤検出してロックアップクラッチを係合状態から解放状態にしたとしても、ロックアップクラッチを解放状態から係合状態に切り替える条件が緩和されている。例えば、車両挙動制御装置が作動しておらずロックアップクラッチを解放状態から係合状態にする場合はアクセルペダルの踏み込みが条件であるとすると、車両挙動制御装置が作動してから停止した後にはアクセルペダルの踏み込みを条件としないようにする。
このため、車両の制御装置は、ロックアップクラッチを解放状態から係合状態に容易に切り替えることができる。これにより、車両の制御装置は、車両挙動制御装置が一瞬のスリップ等を誤検出したことにより解放状態にされたロックアップクラッチを早期に係合状態に復帰できるので、ロックアップクラッチを解放状態にする時間を短縮でき、燃費の悪化を抑制することができる。
上記(1)に記載の車両の制御装置においては、(3)前記ロックアップクラッチを前記解放状態から前記係合状態に切り替えるために必要な時間を短縮することにより、前記ロックアップクラッチを前記解放状態から前記係合状態に切り替えやすくするよう構成する。
この構成により、車両の制御装置では、車両挙動制御装置が一瞬のスリップ等を誤検出してロックアップクラッチを係合状態から解放状態にしたとしても、ロックアップクラッチを解放状態から係合状態に切り替えるために必要な時間が短縮されている。このため、車両の制御装置は、ロックアップクラッチを解放状態から係合状態に迅速に切り替えることができる。これにより、車両の制御装置は、車両挙動制御装置が一瞬のスリップ等を誤検出したことにより解放状態にされたロックアップクラッチを早期に係合状態に復帰できるので、ロックアップクラッチを解放状態にする時間を短縮でき、燃費の悪化を抑制することができる。
本発明によれば、ABS制御等を実行する車両挙動制御装置とロックアップクラッチとを備えた車両において、スリップの誤検出に基づいて車両挙動制御装置を作動させた場合に燃費の悪化を従来よりも抑制できる車両の制御装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
まず、構成について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る車両10は、内燃機関としてのエンジン11と、変速装置20と、油圧制御装置30と、デファレンシャル機構40と、ドライブシャフト43と、駆動輪44と、従動輪46と、車両挙動制御装置90と、車両の制御装置としてのECU(Electronic Control Unit)100と、を備えている。
エンジン11は、ガソリンあるいは軽油等の炭化水素系の燃料と空気との混合気を、図示しないシリンダの燃焼室内で燃焼させることによって動力を出力する公知の内燃機関である動力装置により構成されている。エンジン11は、燃焼室内で混合気の吸気、燃焼および排気を断続的に繰り返すことによりシリンダ内のピストンを往復移動させ、ピストンに連結されたクランクシャフト15を回転させるようになっている。
油圧制御装置30は、変速装置20に作動油としてのオイルを供給するとともに、供給するオイルの油圧を調整することにより、変速装置20を制御するようになっている。油圧制御装置30は、ECU100によって制御される複数のソレノイド弁等により、油圧回路の切り替えおよび油圧の制御をするようになっている。
ドライブシャフト43は、車両10の前部に設けられるとともに、左ドライブシャフト43Lおよび右ドライブシャフト43Rを有している。駆動輪44は、左駆動輪44Lおよび右駆動輪44Rを有している。デファレンシャル機構40は、変速装置20から伝達された動力を、左ドライブシャフト43Lを回転させることによって左駆動輪44Lに伝達するとともに、右ドライブシャフト43Rを回転させることによって右駆動輪44Rに伝達するようになっている。従動輪46は、左従動輪46Lおよび右従動輪46Rを有している。エンジン11からの動力は、従動輪46には伝達されないようになっている。
駆動輪44および従動輪46は、金属製のホイールと、ホイールの外周に取り付けられた樹脂製のタイヤとを備えている。駆動輪44は、ドライブシャフト43によって伝達された動力により回転し、タイヤと路面との摩擦作用によって、車両10を走行させるようになっている。
車両10は、クランクセンサ81と、駆動軸回転数センサ83と、アクセル開度センサ84と、ブレーキセンサ88と、を備えている。
クランクセンサ81は、クランクシャフト15のクランク位置やクランク角度を検知して、エンジン回転速度の信号を検出できるクランクポジションセンサにより構成されている。クランクセンサ81は、クランクシャフト15の回転数を検出して信号に変換し、その信号をECU100に入力するようになっている。ECU100は、クランクセンサ81によって入力された検出信号が表すクランクシャフト15の回転数を、エンジン回転数Neとして取得する。
駆動軸回転数センサ83は、左駆動輪センサ83FLと、右駆動輪センサ83FRと、左従動輪センサ83RLと、右従動輪センサ83RRと、を有している。各駆動軸回転数センサ83は、例えば、磁界の変化を測定する半導体式センサと、磁性粉が充填されたゴムにより形成され円周方向にN極およびS極が均等に配置されている磁気ロータと、によって構成されている。駆動輪44または従動輪46の回転により磁気ロータが回転すると、車輪速に応じた磁界の変化が発生する。半導体式センサは、この磁界の変化に応じて、車輪速を表す信号をECU100に入力するようになっている。ECU100は、駆動軸回転数センサ83によって入力された駆動輪44または従動輪46の回転数を表す検出信号に基づいて、車両10の走行速度を算出するようになっている。
アクセル開度センサ84は、運転者の踏み込みにより操作されるアクセルペダル12の近傍に配置され、アクセルペダル12の開度(以下、アクセル開度Accともいう)を検出するようになっている。アクセル開度センサ84は、アクセルペダル12の踏込み量に対してリニアな関係の出力電圧を得られるリニアタイプのアクセルポジションセンサにより構成されている。アクセル開度センサ84は、アクセル開度Accを検出して信号に変換し、その信号をECU100に入力するようになっている。ECU100は、アクセル開度センサ84によって入力された検出信号が表すアクセル開度Accを、エンジン11の出力として取得する。
ブレーキセンサ88は、運転者の踏み込みにより操作されるブレーキペダル13の近傍に配置され、ブレーキペダル13の踏込み量を検出するようになっている。ブレーキセンサ88は、ブレーキペダル13の踏込み量に対してリニアな関係の出力電圧を得られるリニアタイプのブレーキポジションセンサにより構成されている。ブレーキセンサ88は、ブレーキペダル13の踏込み量を検出して信号に変換し、その信号をECU100に入力するようになっている。
車両挙動制御装置90は、制動手段91と、ブレーキ管92と、ABSユニット93と、ABS−ECU94とを備えている。車両挙動制御装置90は、車両10の挙動を制御するようになっている。
制動手段91は、駆動輪44および従動輪46のそれぞれに設けられるとともに、ディスクロータと、これら各ディスクロータを押圧して機械的な制動力を発生させるブレーキパッドやピストンが配備されたキャリパと、を備えている。ブレーキ管92は、各制動手段91とABSユニット93とを連結している。制動手段91は、各ブレーキ管92から供給されたブレーキ液圧によってピストンを作動させ、対応する駆動輪44および従動輪46に対してブレーキ液圧の大きさに応じた制動力を発生させるようになっている。
ABSユニット93は、図示しない油圧ポンプから各ブレーキ管92を介して各制動手段91に供給されるブレーキ液圧を、ABS−ECU94からの指示に従って個別に調節するようになっている。ABSユニット93は、車両10の速度が所定速度よりも高いときにブレーキペダル13が所定量以上踏み込まれると、いわゆるポンピングブレーキ操作を自動的に行うための装置となっている。このABSユニット93は、増圧弁や減圧弁等の制御弁を備えた公知のあるいは新規のシステムにより構成されている。
ABS−ECU94は、ECU100からの指示に従って、ABSユニット93に制御信号を送信して制御するようになっている。ABS−ECU94は、ABSユニット93の制御弁を開閉させることによって、ブレーキマスタシリンダのブレーキ液圧を各ブレーキ管92に供給したり、そのブレーキ液圧を増減して各ブレーキ管92に供給するようになっている。これにより、ABS−ECU94は、ABSユニット93を制御することによって、ブレーキペダル13の踏込み量に応じた制動力を車両10に働かせたり、あるいはABSユニット93によって増圧または減圧されたブレーキ液圧による制動力を車両10に働かせるようになっている。
ABS−ECU94は、ABS制御を実行できるようになっている。ABS−ECU94は、ABS制御フラグを備えている。ABS制御フラグは、ABS−ECU94がABS制御を行っている時にオン状態になるように設定されている。
ECU100は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)と、固定されたデータの記憶を行うROM(Read Only Memory)と、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)と、入力インターフェースと、出力インターフェース(いずれも図示しない)と、書き換え可能な不揮発性のメモリからなるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)と、通信手段と、を備えている。
例えば、ROMには、本実施の形態に係る車両制御プログラムやマップ等が記憶され、記憶装置として機能するようになっている。CPUは、このROMに記憶された制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行するようになっている。また、本実施の形態では、車両の制御プログラムは、ECU100によって予め決められた時間間隔(例えば、10ms)ごとに実行されるようになっている。ROMに記憶されたマップとしては、ブレーキペダル13の踏込み量とブレーキ力との関係を示すマップ等がある。
また、RAMは、CPUによる演算結果や、後述する各種センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するようになっている。また、不揮発性のメモリにより構成されたEEPROMやバックアップメモリ等によって、例えば、エンジン11の停止時に保存すべきデータ等を記憶するようになっている。
また、ECU100は、ABS−onカウンタと、ABS−offカウンタとを備えている。ABS−onカウンタは、ABS制御が開始された時に0にリセットされ、所定時間あるいは所定タイミングごとにカウントアップされるようになっている。ABS−offカウンタは、ABS制御が停止された時に0にリセットされ、所定時間あるいは所定タイミングごとにカウントアップされるようになっている。
また、ECU100は、予め設定されたABS−onカウンタの閾値C1およびABS−offカウンタの閾値C2を有している。ECU100は、ブレーキペダル13が踏み込まれ、かつABS−onカウンタが閾値C1より小さいとともにABS−offカウンタが閾値C2より大きいことを条件に、ABS−ECU94が一瞬のスリップ等に対してABS制御するよう誤検出をしたものと判断するようになっている。
また、ECU100は、予め設定されたブレーキ力閾値F0および滑り量閾値S0を備えている。ECU100は、ブレーキ力がブレーキ力閾値F0より大きいとともに、トルクコンバータ50での滑り量Stcが滑り量閾値S0より小さいことを条件に、第1モードの急速係合を実行し、ロックアップ差圧ΔPを急速に最高圧にまで上昇させるようになっている。また、ECU100は、ブレーキ力がブレーキ力閾値F0以下であるか、またはトルクコンバータ50での滑り量Stcが滑り量閾値S0以上であることを条件に、第2モードの急速係合を実行し、ロックアップ差圧ΔPを徐々に最高圧にまで上昇させるようになっている。
また、ECU100は、ABS誤検出フラグを備えている。ABS誤検出フラグは、ABS−ECU94が一瞬のスリップ等によりABS制御を実行するよう誤検出しているとECU100により判断された場合にオン状態にされるようになっている。
次に、変速装置20の構成について、図2に基づいて説明する。
変速装置20は、トルクコンバータ50と、無段変速機(以下、単にCVT:Continuously Variable Transmissionという)70と、減速歯車機構80とを備えている。エンジン11から出力された動力は、トルクコンバータ50→CVT70→減速歯車機構80という動力伝達経路を介してデファレンシャル機構40に伝達され、左駆動輪44Lおよび右駆動輪44Rに分配されるようになっている。
トルクコンバータ50は、車両10のエンジン11に連結されている。トルクコンバータ50は、ポンプインペラ51pと、タービンランナ51tと、ステータ51sと、フロントカバー52と、エンジン11のクランクシャフト15に連結された入力軸50aと、CVT70に連結された出力軸としてのタービンシャフト54と、ロックアップクラッチ53とを備えている。
ポンプインペラ51pは、フロントカバー52を介してクランクシャフト15に連結されている。タービンランナ51tは、タービンシャフト54を介してCVT70の前後進切り替え機60に連結されている。ステータ51sは、一方向クラッチを介して非回転部材に回転可能に支持されている。
ポンプインペラ51pとタービンランナ51tとは、対向して設けられている。ポンプインペラ51pとタービンランナ51tとの対向部には、それぞれ多数のブレードが備えられるとともに、オイルが充填されている。これにより、ポンプインペラ51pとタービンランナ51tとの間では、オイルを介して動力伝達が行われるようになっている。
タービンランナ51tには、ロックアップクラッチ53が設けられている。ロックアップクラッチ53は、タービンシャフト54と一体回転するように取り付けられるとともに、タービンシャフト54の軸方向に移動可能なように構成されている。また、ロックアップクラッチ53とフロントカバー52との間には、解放側油室55が形成されている。解放側油室55には、図示しない解放側油路が連通している。ロックアップクラッチ53とタービンランナ51tとの間には、係合側油室57が形成されている。係合側油室57には、係合側油路58およびドレン油路59が連通している。
ロックアップクラッチ53は、入力軸50aとタービンシャフト54とを係合する係合状態と、入力軸50aとタービンシャフト54とを解放する解放状態と、入力軸50aとタービンシャフト54とを所定のスリップ率でスリップさせる滑り状態と、の間で伝達状態を切り替えるようになっている。すなわち、ロックアップクラッチ53は、エンジン11と駆動輪44との間に連結されるとともに、エンジン11と駆動輪44との動力伝達経路を解放する解放状態と、エンジン11と駆動輪44との動力伝達経路を係合する係合状態との間で伝達状態を切り替えるようになっている。
ロックアップクラッチ53は、係合側油室57内の係合側油圧Ponおよび解放側油室55内の解放側油圧Poffのロックアップ差圧ΔP(=Pon−Poff)により、軸方向に移動してフロントカバー52に対して係合状態、解放状態、滑り状態の3つの状態のいずれかに切り替わるようになっている。ロックアップクラッチ53は、ポンプインペラ51pおよびタービンランナ51tを一体的に連結して相互に一体回転させることにより、燃費向上を図るようになっている。
本実施の形態では、ロックアップクラッチ53は、ロックアップ差圧ΔPが負圧である場合に解放状態になるようになっている。また、ロックアップクラッチ53は、ロックアップ差圧ΔPが最大正圧である場合に係合状態になるようになっている。さらに、ロックアップクラッチ53は、ロックアップ差圧ΔPが0以上かつ最大正圧未満である場合に滑り状態になるようになっている。本実施の形態では、ロックアップクラッチ53は、ロックアップ差圧ΔPが最低圧の場合に解放状態になるとともに、ロックアップ差圧ΔPが最高圧の場合に係合状態になるようになっている。
CVT70は、前後進切り替え機60と、プライマリシャフト71と、プライマリプーリ72と、セカンダリプーリ77と、セカンダリシャフト79と、ベルト75と、を備えている。
前後進切り替え機60は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置によって構成されている。前後進切り替え機60は、サンギヤ61と、キャリヤ62と、リングギヤ63と、発進クラッチとしての前進クラッチ64と、後進ブレーキ66とを備えている。
前後進切り替え機60は、前進クラッチ64が係合状態であるとともに後進ブレーキ66が解放状態であると、サンギヤ61と、キャリヤ62と、リングギヤ63とが一体回転させられてタービンシャフト54がプライマリシャフト71に直結されるようになっている。これにより、前進方向の駆動力が、タービンシャフト54からプライマリシャフト71に伝達され、最終的には駆動輪44にまで伝達されるようになっている。
また、前後進切り替え機60は、前進クラッチ64が解放状態であるとともに後進ブレーキ66が係合状態であると、リングギヤ63は固定される。このため、タービンシャフト54と一体回転するサンギヤ61の回転方向に対して、第1のピニオンギヤ67および第2のピニオンギヤ68を介してキャリヤ62は反対方向に回転するようになっている。よって、キャリヤ62と連結したプライマリシャフト71はタービンシャフト54に対して逆回転させられるため、後進方向の駆動力が駆動輪44に伝達される。
ベルト75は、プライマリプーリ72およびセカンダリプーリ77のそれぞれに形成されたV溝に巻き掛けられている。CVT70は、プライマリプーリ72およびセカンダリプーリ77のV溝の内壁部とベルト75との間の摩擦力を利用して動力を伝達するようになっている。
プライマリプーリ72は、可動シーブ72aと、固定シーブ72bと、入力側油圧シリンダ73とを備えている。可動シーブ72aは、プライマリシャフト71に対して一体回転可能、かつ軸方向に移動可能に設けられている。固定シーブ72bは、プライマリシャフト71に対して一体回転可能、かつ軸方向に移動できないように設けられている。プライマリプーリ72は、入力側油圧シリンダ73により可動シーブ72aを軸方向に移動することにより、固定シーブ72bとの間のV溝幅を変更可能になっている。
セカンダリプーリ77は、可動シーブ77aと、固定シーブ77bと、出力側油圧シリンダ78とを備えている。可動シーブ77aは、セカンダリシャフト79に対して一体回転可能、かつ軸方向に移動可能に設けられている。固定シーブ77bは、セカンダリシャフト79に対して一体回転可能、かつ軸方向に移動できないように設けられている。セカンダリプーリ77は、出力側油圧シリンダ78により可動シーブ77aを軸方向に移動することにより、固定シーブ77bとの間のV溝幅を変更可能になっている。
変速装置20は、入力軸回転数センサ85と、出力軸回転数センサ86とを備えている。入力軸回転数センサ85は、プライマリシャフト71の回転数Ninを検出して信号に変換し、その信号をECU100に入力するようになっている。なお、車両10の前進時には、プライマリシャフト71の回転数Ninはタービンシャフト54のタービン回転数Ntと一致している。出力軸回転数センサ86は、セカンダリシャフト79の回転数Noutを検出して信号に変換し、その信号をECU100に入力するようになっている。
本実施の形態の車両の制御装置は、エンジン11と、トルクコンバータ50と、車両挙動制御装置90と、を備え、ロックアップクラッチ53が係合状態である間に車両挙動制御装置90が作動したら、ロックアップクラッチ53を解放状態にするようになっている。また、本実施の形態の車両の制御装置は、車両挙動制御装置90が作動してから停止した後にロックアップクラッチ53を解放状態から係合状態にする場合は、車両挙動制御装置90が作動しておらずロックアップクラッチ53を解放状態から係合状態にする場合に比べて、ロックアップクラッチ53を解放状態から係合状態に切り替えやすくするようになっている。
本実施の形態の車両の制御装置は、ロックアップクラッチ53を解放状態から係合状態に切り替える条件を緩和することにより、ロックアップクラッチを解放状態から係合状態に切り替えやすくするようになっている。すなわち、本実施の形態では、ECU100は、車両挙動制御装置90が作動しておらずロックアップクラッチ53を解放状態から係合状態にする場合はアクセルペダル12の踏み込みが必要条件であるのに対し、車両挙動制御装置90が作動してから停止した後にはアクセルペダル12の踏み込みは必要条件になっていない。また、本実施の形態の車両の制御装置は、ロックアップクラッチ53を解放状態から係合状態に切り替えるために必要な時間を短縮することにより、ロックアップクラッチ53を解放状態から係合状態に切り替えやすくするようになっている。
次に、動作について説明する。
ECU100は、以下の自動変速機の制御プログラムの処理を、予め決められた例えば10msごとの時間間隔で実行するようになっている。ここでは、前進走行中の車両10において、ECU100が車両制御プログラムを実行する場合について説明する。
図3に示すように、ECU100は、ロックアップクラッチ53が係合状態であるか否かを判断する(ステップS1)。ロックアップクラッチ53が係合状態であるか否かは、クランクセンサ81で検出されたエンジン回転数Neと入力軸回転数センサ85で検出されたタービン回転数Ntとが一致するか否かに基づいて、ECU100により判断される。ECU100が、ロックアップクラッチ53が係合状態でないと判断した場合は(ステップS1;NO)、ECU100はメインルーチンに処理を戻す。
ECU100が、ロックアップクラッチ53が係合状態であると判断した場合は(ステップS1;YES)、ECU100は、ABS制御が実行されているか否かを判断する(ステップS2)。ABS制御が実行されているか否かは、ABS−ECU94により設定されたABS制御フラグがオン状態であるか否かに基づいてECU100により判断される。ECU100が、ABS制御が実行されていないと判断した場合は(ステップS2;NO)、ECU100はメインルーチンに処理を戻す。
ECU100が、ABS制御が実行されていると判断した場合は(ステップS2;YES)、ECU100は、ABS−onカウンタをリセットしてスタートさせる(ステップS3)。そして、ECU100は、ABS制御が停止されているか否かを判断する(ステップS4)。ABS制御が停止されているか否かは、ABS制御フラグがオフ状態であるか否かに基づいてECU100により判断される。
ECU100が、ABS制御が停止されていないと判断した場合は(ステップS4;NO)、ECU100は、再度ABS制御が停止されているか否かを判断する(ステップS4)。ECU100が、ABS制御が停止されていると判断した場合は(ステップS4;YES)、ECU100は、ABS−offカウンタをリセットしてスタートさせる(ステップS5)。
次に、ECU100は、図中Aで示すように、車両挙動制御装置90が一瞬のスリップ等に対してABS制御するよう誤検出したか否かを判断する(ステップS6〜ステップS8)。まず、ECU100は、ブレーキペダル13が踏み込まれているか否かを判断する(ステップS6)。ブレーキペダル13が踏み込まれているか否かは、ブレーキセンサ88で検出されたブレーキ踏込み量が所定の踏込み量より大きく踏み込まれているか否かに基づいて、ECU100により判断される。
ECU100が、ブレーキペダル13が踏み込まれていると判断した場合は(ステップS6;YES)、ECU100は、ABS−onカウンタが所定閾値C1より小さいか否かを判断する(ステップS7)。さらに、ECU100が、ABS−onカウンタが所定閾値C1より小さいと判断した場合は(ステップS7;YES)、ECU100は、ABS−offカウンタが所定閾値C2より大きいか否かを判断する(ステップS8)。
ECU100が、ABS−offカウンタが所定閾値C2より大きいと判断した場合は(ステップS8;YES)、ブレーキペダル13は踏み込まれ、ABS−onカウンタは所定閾値C1より小さく、ABS−offカウンタは所定閾値C2より大きいので、ECU100は、ABS−ECU94が一瞬のスリップ等に対してABS制御を行うよう誤検出したと判断する。これにより、ECU100は、図中Bで示すように、ロックアップクラッチ53の急速係合を行うようにする(ステップS9〜ステップS12)。
まず、ECU100は、ブレーキ力が所定のブレーキ力閾値F0より大きいか否かを判断する(ステップS9)。ブレーキ力が所定のブレーキ力閾値F0より大きいか否かは、ブレーキペダル13の踏込み量とブレーキ力との関係を示すマップから算出されたブレーキ力を利用して、ECU100により判断される。
ECU100が、ブレーキ力が所定のブレーキ力閾値F0より大きいと判断した場合は(ステップS9;YES)、ECU100は、トルクコンバータ50での滑り量Stcが所定の滑り量閾値S0より小さいか否かを判断する(ステップS10)。トルクコンバータ50での滑り量Stcが所定の滑り量閾値S0より小さいか否かは、エンジン回転数Neからタービン回転数Ntを差し引いて得られた滑り量Stcを利用して、ECU100により判断される。
ECU100が、トルクコンバータ50での滑り量Stcが所定の滑り量閾値S0より小さいと判断した場合は(ステップS10;YES)、ECU100は、ロックアップクラッチ53を第1モードの急速係合を実行する(ステップS11)。この場合、ECU100は、ロックアップ差圧ΔPを急速に最高圧にまで上昇させ、ロックアップクラッチ53を急速に係合状態に切り替える。
また、ECU100が、ブレーキ力が所定のブレーキ力閾値F0以下であると判断した場合(ステップS9;NO)、またはトルクコンバータ50での滑り量Stcが所定の滑り量閾値S0以上であると判断した場合は(ステップS10;NO)、ECU100は、ロックアップクラッチ53を第2モードの急速係合を実行する(ステップS12)。この場合、ECU100は、ロックアップ差圧ΔPを最高圧にまで徐々に上昇させ、ロックアップクラッチ53を徐々に係合状態に切り替える。
一方、ECU100が、ブレーキペダル13が踏み込まれていないと判断した場合(ステップS6;NO)、またはABS−onカウンタが所定閾値C1以上であると判断した場合(ステップS7;NO)、あるいはABS−offカウンタが所定閾値C2以下であると判断した場合は(ステップS8;NO)、ECU100は、ABS−ECU94が誤検出を生じていないと判断する。これにより、ECU100は、ロックアップクラッチ53の通常係合を行うようにする(ステップS13)。この場合、ECU100は、ロックアップ圧を通常の加速時と同様に制御する。このため、ECU100は、例えば、アクセルペダル12が踏み込まれることにより、車両10を加速させながら第2モードの急速係合よりも更にゆっくりとロックアップ差圧ΔPを最高圧に上昇させ、ロックアップクラッチ53を係合状態に切り替える。
次に、車両10がロックアップクラッチ53を係合状態にして前進中に路面上の小さな凹み部を通過して、ABS−ECU94がABS制御を実行した際の動作を、図4〜図7に示すタイムチャートに沿って説明する。
まず、運転者がブレーキペダル13を大きく踏み込むとともに、トルクコンバータ50での滑り量Stcが小さい場合について、図4に示すタイムチャートに沿って説明する。T0において、運転者によりブレーキペダル13が踏み込まれ、ブレーキ力が発生する。
そして、T1において、車両10の駆動輪44または従動輪46が路面上の小さな凹み部に入り込む。これにより、ABS−ECU94は、ABS制御を実行し、ABS制御フラグをオン状態にして、ロックアップ差圧ΔPを最低圧にすることでロックアップクラッチ53を解放状態にする。ロックアップクラッチ53が解放状態にされることにより、トルクコンバータ50において滑りが生じ、タービン回転数Ntよりもエンジン回転数Neが徐々に小さくなる。また、ECU100は、ABS制御の実行に伴い、ABS−onカウンタをリセットしてスタートさせる。
そして、T2において、車両10の駆動輪44または従動輪46が路面上の小さな凹み部を抜け出る。これにより、ABS−ECU94は、ABS制御を停止して、ABS制御フラグをオフ状態にするとともに、ECU100は、ABS−offカウンタをリセットしてスタートさせる。
さらに、T3において、ブレーキペダル13は踏み込まれ、ABS−onカウンタは所定閾値C1より小さく、ABS−offカウンタは所定閾値C2より大きい状態になる。これにより、ECU100は、ABS−ECU94が一瞬のスリップ等によりABS制御を実行するよう誤検出していると判断し、ABS誤検出フラグをオン状態にする。
そして、ECU100は、ブレーキ力は所定のブレーキ力閾値F0より大きいとともに、トルクコンバータ50での滑り量Stcが所定の滑り量閾値S0より小さいと判断し、ロックアップクラッチ53に対し第1モードの急速係合を実行する。ここでは、ECU100は、ロックアップ差圧ΔPを急速に最高圧にまで上昇させ、ロックアップクラッチ53を急速に係合状態にする。このため、ABS制御フラグがオフ状態になってから短時間で、T4においてエンジン回転数Neがタービン回転数Ntに合致するようになる。
その後、T5において、運転者によりブレーキペダル13の踏み込みが解放され、ECU100はABS誤検出フラグをオフ状態にする。そして、T6において、運転者によりアクセルペダル12が踏み込まれ、エンジン回転数Neおよびタービン回転数Ntが上昇する。
次に、運転者がブレーキペダル13を大きく踏み込むとともに、トルクコンバータ50での滑り量Stcが大きい場合について、図5に示すタイムチャートに沿って説明する。ここで、経過時間のT0、T1、T2、T5、T6は、図4に示す例と同様であるので、図中の符号を同じくして詳細な説明を省略する。
T3において、ブレーキペダル13は踏み込まれ、ABS−onカウンタは所定閾値C1より小さく、ABS−offカウンタは所定閾値C2より大きい状態になる。これにより、ECU100は、ABS−ECU94が一瞬のスリップ等によりABS制御を実行するよう誤検出していると判断し、ABS誤検出フラグをオン状態にする。
そして、ECU100は、ブレーキ力は所定のブレーキ力閾値F0より大きいとともに、トルクコンバータ50での滑り量Stcが所定の滑り量閾値S0より大きいと判断し、ロックアップクラッチ53に対し第2モードの急速係合を実行する。ここでは、ECU100は、ロックアップ差圧ΔPを徐々に最高圧にまで上昇させ、ロックアップクラッチ53を徐々に係合状態に変化させ、T4において係合状態にする。このため、ABS制御フラグがオフ状態になってから図4に示す場合よりも長時間を掛けて、T4においてエンジン回転数Neがタービン回転数Ntに合致するようになる。
次に、運転者がブレーキペダル13を小さく踏み込んだ場合について、図6に示すタイムチャートに沿って説明する。ここで、経過時間のT0、T1、T2、T5、T6は、図4に示す例と同様であるので、図中の符号を同じくして詳細な説明を省略する。
T3において、ブレーキペダル13は踏み込まれ、ABS−onカウンタは所定閾値C1より小さく、ABS−offカウンタは所定閾値C2より大きい状態になる。これにより、ECU100は、ABS−ECU94が一瞬のスリップ等によりABS制御を実行するよう誤検出していると判断し、ABS誤検出フラグをオン状態にする。
そして、ECU100は、ブレーキ力は所定のブレーキ力閾値F0より小さいと判断し、ロックアップクラッチ53に対し第2モードの急速係合を実行する。ここでは、ECU100は、ロックアップ差圧ΔPを徐々に最高圧にまで上昇させ、ロックアップクラッチ53を徐々に係合状態に変化させ、T4において係合状態にする。このため、ABS制御フラグがオフ状態になってから図4に示す場合よりも長時間を掛けて、T4においてエンジン回転数Neがタービン回転数Ntに合致するようになる。
次に、運転者がブレーキペダル13を踏み込まない場合について、図7に示すタイムチャートに沿って説明する。ここで、経過時間のT1、T2は、図4に示す例と同様であるので、図中の符号を同じくして詳細な説明を省略する。
T2において車両10の駆動輪44または従動輪46が路面上の小さな凹み部を抜け出た後、ECU100は、ブレーキペダル13は踏み込まれていないので、ABS−ECU94がABS制御をするよう誤検出をしていないと判断し、ABS誤検出フラグをオフ状態に維持する。このため、ロックアップ差圧ΔPは最低圧に下げられたままであるので、エンジン回転数Neは大きく低下して、例えばアイドリング回転数にまで低下する。
そして、T6において、運転者によりアクセルペダル12が踏み込まれ、ECU100はエンジン回転数Neおよびタービン回転数Ntを上昇させる。また、ECU100は、ロックアップ差圧ΔPを徐々に最高圧にまで上昇させ、ロックアップクラッチ53を徐々に係合状態に変化させる。このため、ABS制御フラグがオフ状態になってから図4〜図6に示す場合よりも十分な時間を掛けて、エンジン回転数Neがタービン回転数Ntに合致するようになる。
以上のように、本実施の形態に係る車両の制御装置によれば、ECU100は、図4〜図6に示すように、車両挙動制御装置90が作動してから停止した後に、ロックアップクラッチ53を解放状態から係合状態に復帰させる。このとき、ECU100は、図7に示すように、車両挙動制御装置90が作動しておらずロックアップクラッチ53を解放状態から係合状態にする場合に比べて、ロックアップクラッチ53を解放状態から係合状態に切り替えやすくするようになっている。
これにより、ECU100は、車両挙動制御装置90が作動してから停止した後に、ロックアップクラッチ53を解放状態から係合状態に速やかに切り替えることができる。このため、車両挙動制御装置90が一瞬のスリップ等を誤検出したことによりロックアップクラッチ53を解放状態にしても、ロックアップクラッチを早期に係合状態に復帰することができる。よって、ECU100は、ロックアップクラッチ53を解放状態にする時間を短縮できるので、燃費の悪化を抑制することができる。
また、本実施の形態に係る車両の制御装置によれば、車両挙動制御装置90において一瞬のスリップ等を誤検出してロックアップクラッチ53を係合状態から解放状態にしたとしても、ロックアップクラッチ53を解放状態から係合状態に切り替える条件が緩和されている。本実施の形態では、ECU100は、車両挙動制御装置90が作動しておらずロックアップクラッチ53を解放状態から係合状態にする場合はアクセルペダル12の踏み込みが条件であるのに対し、車両挙動制御装置90が作動してから停止した後にはアクセルペダル12の踏み込みは条件になっていない。
このため、ECU100は、ロックアップクラッチ53を解放状態から係合状態に容易に切り替えることができる。これにより、ECU100は、車両挙動制御装置90が一瞬のスリップ等を誤検出したことにより解放状態にされたロックアップクラッチ53を早期に係合状態に復帰できるので、ロックアップクラッチ53を解放状態にする時間を短縮でき、燃費の悪化を抑制することができる。
また、本実施の形態に係る車両の制御装置によれば、車両挙動制御装置90が一瞬のスリップ等を誤検出してロックアップクラッチ53を係合状態から解放状態にしたとしても、ロックアップクラッチ53を解放状態から係合状態に切り替えるために必要な時間が短縮されている。このため、ECU100は、ロックアップクラッチ53を解放状態から係合状態に迅速に切り替えることができる。これにより、ECU100は、車両挙動制御装置90が一瞬のスリップ等を誤検出したことにより解放状態にされたロックアップクラッチ53を早期に係合状態に復帰できるので、ロックアップクラッチ53を解放状態にする時間を短縮でき、燃費の悪化を抑制することができる。
上述した本実施の形態の車両の制御装置においては、図3中にAで示すように、車両挙動制御装置90の誤検出の判断の一条件として、ABS−onカウンタが所定閾値C1より小さいか否かの判断(ステップS7)を含む場合について説明している。しかしながら、本発明に係る車両の制御装置においては、これに限られず、例えば、上述のステップS7の判断の代わりに、あるいは上述したステップS7の判断と併用して、他の判断手法を採用してもよい。ここでの他の判断手法としては、例えば、ABS制御フラグがオン状態になった時点でのブレーキ力をFon、その後にABS制御フラグがオフ状態になった時点でのブレーキ力をFoffとした場合に、Foff−Fonが所定の閾値ΔFより大きいか否かの判断とすることができる。
また、本実施の形態の車両の制御装置においては、車両挙動制御装置90がABS制御を実行する場合について説明している。しかしながら、本発明に係る車両の制御装置においては、これに限られず、車両挙動制御装置90が、例えば車両安定制御システム(VSC:Vehicle Stability Control)を実行するようにしてもよい。
また、本実施の形態の車両の制御装置においては、ECU100はブレーキペダル13の踏込み量とブレーキ力との関係を示すマップを利用してブレーキ力を算出する場合について説明している。しかしながら、本発明に係る車両の制御装置においては、これに限られず、ECU100は、他の手法によってブレーキ力を算出するようにしてもよい。
ここでの他の手法としては、例えば、ブレーキマニホールドやブレーキ管92等の液圧とブレーキ力との関係を示すマップを用意しておき、液圧を計測した結果に基づいてマップを利用してブレーキ力を算出する方法がある。また、他の手法としては、例えば、ブレーキペダル13に踏み込みに対応したオンオフスイッチを設けておき、そのオンオフスイッチの検出結果に基づいてブレーキ力を算出するようにしてもよい。あるいは、他の手法としては、重力加速度センサの検出結果や、エンジンブレーキの大きさや、車体の傾斜角や、路面負荷等に基づいて算出された減速度からブレーキ力を算出するようにしてもよい。さらには、上述した各種の手法は、単独あるいは複合で用いられるようにしてもよい。
以上のように、本発明に係る車両の制御装置は、ABS制御等を実行する車両挙動制御装置とロックアップクラッチとを備えた車両において、スリップの誤検出に基づいて車両挙動制御装置を作動させた場合に燃費の悪化を従来よりも抑制できるという効果を奏するものであり、車両の制御装置に有用である。
10 車両
11 エンジン(内燃機関)
44 駆動輪
50 トルクコンバータ
53 ロックアップクラッチ
90 車両挙動制御装置
100 ECU(車両の制御装置)
11 エンジン(内燃機関)
44 駆動輪
50 トルクコンバータ
53 ロックアップクラッチ
90 車両挙動制御装置
100 ECU(車両の制御装置)
Claims (3)
- 車両の内燃機関と、
前記内燃機関と駆動輪との間に連結されるとともに、前記内燃機関と前記駆動輪との動力伝達経路を解放する解放状態と、前記内燃機関と前記駆動輪との前記動力伝達経路を係合する係合状態との間で伝達状態を切り替えるロックアップクラッチを有するトルクコンバータと、
前記車両の挙動を制御する車両挙動制御装置と、を備え、
前記ロックアップクラッチが前記係合状態である間に前記車両挙動制御装置が作動したら、前記ロックアップクラッチを前記解放状態にする車両の制御装置であって、
前記車両挙動制御装置が作動してから停止した後に前記ロックアップクラッチを前記解放状態から前記係合状態にする場合は、前記車両挙動制御装置が作動しておらず前記ロックアップクラッチを前記解放状態から前記係合状態にする場合に比べて、前記ロックアップクラッチを前記解放状態から前記係合状態に切り替えやすくすることを特徴とする車両の制御装置。 - 前記ロックアップクラッチを前記解放状態から前記係合状態に切り替える条件を緩和することにより、前記ロックアップクラッチを前記解放状態から前記係合状態に切り替えやすくすることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
- 前記ロックアップクラッチを前記解放状態から前記係合状態に切り替えるために必要な時間を短縮することにより、前記ロックアップクラッチを前記解放状態から前記係合状態に切り替えやすくすることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2012089389A JP2013217462A (ja) | 2012-04-10 | 2012-04-10 | 車両の制御装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012089389A JP2013217462A (ja) | 2012-04-10 | 2012-04-10 | 車両の制御装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2013217462A true JP2013217462A (ja) | 2013-10-24 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2012089389A Pending JP2013217462A (ja) | 2012-04-10 | 2012-04-10 | 車両の制御装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2013217462A (ja) |
-
2012
- 2012-04-10 JP JP2012089389A patent/JP2013217462A/ja active Pending
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