JP2013216921A - 圧粉磁心用粉末の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この圧粉磁心のための粉末の製造方法は、(1)粉体18を容器10に投入する工程及び(2)ローター16を回転させてこの粉体18を攪拌するとともにこの粉体18に送風口12から気体を吹き込みながらこの粉体18を流動させ、この流動状態にある粉体18にノズル14から処理液をこの粉体18に吹きかけることにより、無数の金属粉末それぞれにこの処理液を付着させるとともに、この付着した処理液を乾燥させる工程を含む。この製造方法では、上記処理液には、上記有機金属化合物として、複数のモノマーからなるオリゴマーが含まれている。この有機金属化合物は、金属元素を含んでいる。この金属元素は、チタン、アルミニウム、珪素及びジルコニウムからなる群から選択された少なくとも1種である。
【選択図】図3
Description
(1)上記粉体を容器に投入する工程
及び
(2)ローターを回転させてこの粉体を攪拌するとともにこの粉体に上記送風口から上記気体を吹き込みながらこの粉体を流動させ、この流動状態にある粉体に上記ノズルから上記処理液をこの粉体に吹きかけることにより、上記無数の金属粉末それぞれにこの処理液を付着させるとともに、この付着した処理液を乾燥させる工程
を含む。この製造方法では、上記処理液には、上記有機金属化合物として、複数のモノマーからなるオリゴマーが含まれている。この有機金属化合物は、金属元素を含んでいる。この金属元素は、チタン、アルミニウム、珪素及びジルコニウムからなる群から選択された少なくとも1種である。
圧粉磁心の製作に先だって、下記の表1及び表2に示された各例の粉末を製作した。この粉末の製作では、無数の金属粉末からなる粉体(10kg)が準備された。この金属粉末として、Fe−3wt%Si粉末およびFe−9.5wt%Si−5.5wt%Al粉末が用いられた。
作製した圧粉磁心について、コアロスを測定した。なお、金属粉末にFe−3wt%Si粉末を用いた圧粉磁心については、励磁磁束密度0.1T、周波数10kHzの条件でコアロスを測定した。金属粉末にFe−9.5wt%Si−5.5wt%Al粉末を用いた圧粉磁心については、励磁磁束密度0.1T、周波数100kHzの条件でコアロスを測定した。この結果が、下記の表1及び2に示されている。
コアロスの渦電流損失成分に大きく影響する粉末の被覆層の厚さ(皮膜厚さ)を評価した。この評価では、作製した粉末の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて10視野撮影し、皮膜厚さを計測した。これにより、皮膜の平均厚さ、最大厚さ及び最小厚さを得た。この結果が、下記の表1及び2に示されている。
実施例1−8では、図2に示された基本構成を備えた装置の容器に、無数の金属粉末(Fe−3wt%Si粉末)からなる粉体が投入された。ローターを回転させてこの粉体を攪拌するとともにこの粉体に送風口から気体を吹き込みながらこの粉体が流動させられた。そして、この流動状態にある粉体にノズルからオリゴマーで構成された処理液を吹きかけることにより、無数の金属粉末それぞれにこの処理液を付着させるとともに、この付着した処理液が乾燥された。このようにして、実施例1−8の、圧粉磁心のための粉末が得られた。
実施例9−16では、図4に示された基本構成を備えた装置の容器に、無数の金属粉末(Fe−3wt%Si粉末)からなる粉体が投入された。ローターを回転させてこの粉体を攪拌するとともにこの粉体に送風口から気体を吹き込みながらこの粉体が流動させられた。そして、この流動状態にある粉体にノズルからオリゴマーで構成された処理液を吹きかけることにより、無数の金属粉末それぞれにこの処理液を付着させるとともに、この付着した処理液が乾燥された。このようにして、実施例9−16の、圧粉磁心のための粉末が得られた。
比較例1−4では、図2に示された基本構成を備えた装置の容器に、無数の金属粉末(Fe−3wt%Si粉末)からなる粉体が投入された。ローターを回転させてこの粉体を攪拌するとともにこの粉体に送風口から気体を吹き込みながらこの粉体が流動させられた。そして、この流動状態にある粉体にノズルからモノマーで構成された処理液を吹きかけることにより、無数の金属粉末それぞれにこの処理液を付着させるとともに、この付着した処理液が乾燥された。このようにして、比較例1−4の、圧粉磁心のための粉末が得られた。
比較例5−8では、図4に示された基本構成を備えた装置の容器に、無数の金属粉末(Fe−3wt%Si粉末)からなる粉体が投入された。ローターを回転させてこの粉体を攪拌するとともにこの粉体に送風口から気体を吹き込みながらこの粉体が流動させられた。そして、この流動状態にある粉体にノズルからモノマーで構成された処理液を吹きかけることにより、無数の金属粉末それぞれにこの処理液を付着させるとともに、この付着した処理液が乾燥された。このようにして、比較例5−8の、圧粉磁心のための粉末が得られた。
比較例9−12では、図2に示された基本構成を備えた装置の容器に、無数の金属粉末(Fe−3wt%Si粉末)からなる粉体が投入された。ローターを回転させてこの粉体を攪拌するとともにこの粉体に送風口から気体を吹き込みながらこの粉体が流動させられた。そして、この流動状態にある粉体に、チタン、珪素、アルミニウム及びジルコニウム以外の金属元素を含む有機金属化合物のオリゴマーで構成された処理液をノズルから吹きかけることにより、無数の金属粉末それぞれにこの処理液を付着させるとともに、この付着した処理液が乾燥された。このようにして、比較例9−12の、圧粉磁心のための粉末が得られた。
比較例13−16では、市販の加熱可能な混合機(ミキサー)に、無数の金属粉末(Fe−3wt%Si粉末)からなる粉体とオリゴマー又はモノマーで構成された処理液とを投入した。これらを十分に混合及び攪拌を行うことで、処理液を金属粉末の表面に付着させた。加熱により、この付着した処理液を乾燥させた。このようにして、比較例13−16の、圧粉磁心のための粉末が得られた。
比較例17−20では、市販の加熱可能な混合機(ミキサー)に、無数の金属粉末(Fe−3wt%Si粉末)からなる粉体を投入した。この混合機には、その上方に処理液を噴霧可能な装置(スプレー)が設けられている。オリゴマー又はモノマーで構成された処理液が、攪拌中の粉体にこの装置からスプレーされた。これにより、処理液を金属粉末の表面に付着させた。加熱により、この付着した処理液を乾燥させた。このようにして、比較例17−20の、圧粉磁心のための粉末が得られた。
実施例17−24では、図2に示された基本構成を備えた装置の容器に、無数の金属粉末(Fe−9.5wt%Si−5.5wt%Al粉末)からなる粉体が投入された。ローターを回転させてこの粉体を攪拌するとともにこの粉体に送風口から気体を吹き込みながらこの粉体が流動させられた。そして、この流動状態にある粉体にノズルからオリゴマーで構成された処理液を吹きかけることにより、無数の金属粉末それぞれにこの処理液を付着させるとともに、この付着した処理液が乾燥された。このようにして、実施例17−24の、圧粉磁心のための粉末が得られた。
実施例25−32では、図4に示された基本構成を備えた装置の容器に、無数の金属粉末(Fe−9.5wt%Si−5.5wt%Al粉末)からなる粉体が投入された。ローターを回転させてこの粉体を攪拌するとともにこの粉体に送風口から気体を吹き込みながらこの粉体が流動させられた。そして、この流動状態にある粉体にノズルからオリゴマーで構成された処理液を吹きかけることにより、無数の金属粉末それぞれにこの処理液を付着させるとともに、この付着した処理液が乾燥された。このようにして、実施例25−32の、圧粉磁心のための粉末が得られた。
比較例21−24では、図2に示された基本構成を備えた装置の容器に、無数の金属粉末(Fe−9.5wt%Si−5.5wt%Al粉末)からなる粉体が投入された。ローターを回転させてこの粉体を攪拌するとともにこの粉体に送風口から気体を吹き込みながらこの粉体が流動させられた。そして、この流動状態にある粉体にノズルからモノマーで構成された処理液を吹きかけることにより、無数の金属粉末それぞれにこの処理液を付着させるとともに、この付着した処理液が乾燥された。このようにして、比較例21−24の、圧粉磁心のための粉末が得られた。
比較例25−28では、図4に示された基本構成を備えた装置の容器に、無数の金属粉末(Fe−9.5wt%Si−5.5wt%Al粉末)からなる粉体が投入された。ローターを回転させてこの粉体を攪拌するとともにこの粉体に送風口から気体を吹き込みながらこの粉体が流動させられた。そして、この流動状態にある粉体にノズルからモノマーで構成された処理液を吹きかけることにより、無数の金属粉末それぞれにこの処理液を付着させるとともに、この付着した処理液が乾燥された。このようにして、比較例25−28の、圧粉磁心のための粉末が得られた。
比較例29−32では、図2に示された基本構成を備えた装置の容器に、無数の金属粉末(Fe−9.5wt%Si−5.5wt%Al粉末)からなる粉体が投入された。ローターを回転させてこの粉体を攪拌するとともにこの粉体に送風口から気体を吹き込みながらこの粉体が流動させられた。そして、この流動状態にある粉体に、チタン、珪素、アルミニウム及びジルコニウム以外の金属元素を含む有機金属化合物のオリゴマーで構成された処理液をノズルから吹きかけることにより、無数の金属粉末それぞれにこの処理液を付着させるとともに、この付着した処理液が乾燥された。このようにして、比較例29−32の、圧粉磁心のための粉末が得られた。
比較例33−36では、市販の加熱可能な混合機(ミキサー)に、無数の金属粉末(Fe−9.5wt%Si−5.5wt%Al粉末)からなる粉体とオリゴマー又はモノマーで構成された処理液とを投入した。これらを十分に混合及び攪拌を行うことで、処理液を金属粉末の表面に付着させた。加熱により、この付着した処理液を乾燥させた。このようにして、比較例33−36の、圧粉磁心のための粉末が得られた。
比較例37−40では、市販の加熱可能な混合機(ミキサー)に、無数の金属粉末(Fe−9.5wt%Si−5.5wt%Al粉末)からなる粉体を投入した。この混合機には、その上方に処理液を噴霧可能な装置(スプレー)が設けられている。オリゴマー又はモノマーで構成された処理液が、攪拌中の粉体にこの装置からスプレーされた。これにより、処理液を金属粉末の表面に付着させた。加熱により、この付着した処理液を乾燥させた。このようにして、比較例37−40の、圧粉磁心のための粉末が得られた。
Fe−3wt%Si粉末から得られた圧粉磁心の場合、実施例1−16では、コアロス値は100kW/m3以下であった。これに対して比較例1−20では、コアロス値は100kW/m3以上であった。実施例1−16では、比較例1−20に比べて、コアロス値が良好である。
4・・・金属粉末
6・・・被覆層
8、24・・・装置
10、26・・・容器
12、28・・・送風口
14、30・・・ノズル
16、32・・・ローター
18・・・粉体
20、34・・・羽根
22・・・軸
Claims (5)
- 無数の金属粉末からなる粉体を収容する容器と、回転によりこの粉体を攪拌するローターと、この粉体に気体を吹き込む送風口と、有機金属化合物を含む処理液をこの粉体に吹きかけるノズルとを備えた装置を用いて、この有機金属化合物からなる被覆層を有する、圧粉磁心用粉末を製造する方法であって、
上記粉体を容器に投入する工程と、
ローターを回転させてこの粉体を攪拌するとともにこの粉体に上記送風口から上記気体を吹き込みながらこの粉体を流動させ、この流動状態にある粉体に上記ノズルから上記処理液をこの粉体に吹きかけることにより、上記無数の金属粉末それぞれにこの処理液を付着させるとともに、この付着した処理液を乾燥させる工程とを含んでおり、
上記処理液には、上記有機金属化合物として、複数のモノマーからなるオリゴマーが含まれており、
この有機金属化合物が、金属元素を含んでおり、
この金属元素が、チタン、アルミニウム、珪素及びジルコニウムからなる群から選択された少なくとも1種である、圧粉磁心用粉末の製造方法。 - 上記金属粉末の主成分が、鉄である請求項1に記載の圧粉磁心用粉末の製造方法。
- 上記金属粉末が、珪素及び/又はアルミニウムを含む請求項1又は2に記載の圧粉磁心用粉末の製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法により得られた圧粉磁心用粉末。
- 請求項1に記載の製造方法により得られた粉末を用いて形成されている圧粉磁心。
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