(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るマッサージ機を前記図1ないし図25に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係るマッサージ機1は、着座した被施療者を支える椅子状のものであり、詳細には、床面上に載置されて椅子全体を安定的に支持する基台部11と、この基台部11の上方で被施療者の臀部を支える座部12と、この座部12の後側で被施療者の背中を支える背もたれ部13と、座部12の左右両側で被施療者の肘や前腕部を支える肘掛部14と、座部12の前側で被施療者の脚を支える脚支持部15と、マッサージ動作に係る各種操作入力を受付けるリモコン30と、搭載されている複数の施療機構によるマッサージ動作を操作入力や記録情報等の内容に基づいて制御する制御部40とを備える構成である。
前記基台部11は、マッサージ機設置面としての床面に載置され、椅子各部をなす前記座部12、背もたれ部13、肘掛部14、及び脚支持部15を支持するものである。この基台部11は、座部12及び背もたれ部13を傾動可能に取付けられる枠状のベースフレーム11aと、このベースフレーム11aを取囲むように配設される外殻部11bとを組合わせた構成である。
前記座部12は、基台部11に対し座面の傾斜角度を調整可能として支持され、座面にて被施療者の臀部や太腿部を支えつつ内蔵の施療機構でマッサージを実行するものであり、この施療機構として、空気の給排で動作する臀部用エアセル71、及び太腿部用エアセル72を備える構成である。これらエアセルを空気の給排で動作させるエアポンプ70が座部12下側のスペースに配設される。
この座部12は、座面12aに対する裏側で且つ各エアセルの下側に位置して座部全体を支える座部フレーム12bを有する。この座部フレーム12b後部が基台部11のベースフレーム11a上部に軸支される。一方、この座部フレーム12bの前部は、マッサージ機使用状態で座部アクチュエータ12d等を連結される下側から相対的に加わる力に対し変形しない強度を有して、フレームとしての機能を問題なく果せる構造となっている。また、座部フレーム12b前部と基台部11のベースフレーム11a下部との間に、座部12を傾動させる座部アクチュエータ12dが配設される。
前記座部アクチュエータ12dは、固定部分に対し可動部分を直線移動させることで全体として所定範囲内で伸縮して長さを変化させる機構を有する公知のリニアアクチュエータである。この座部アクチュエータ12dは、座部12の下側で且つ基台部11の内側に生じた空隙部分に位置して、座部12の座部フレーム12b前部に一端部を傾動可能として連結される一方、他端部が基台部11のベースフレーム11a下部の、座部の下方となる所定位置に傾動可能として連結され、伸縮による長さの変化に伴って、座部フレーム12b前部とベースフレーム11a下部との間隔を変え、座部12を基台部11に対し傾動させる構成である。
この座部アクチュエータ12dには、一般的なリニアアクチュエータの場合と同様、固定部分に対する可動部分の移動量、すなわちアクチュエータ全体としての伸縮量を検出する検出手段、例えば、エンコーダ等が併設される。
座部12は、この座部アクチュエータ12dの作動に伴う伸縮により、座部フレーム12b後部の軸支部分を中心として傾動し、座面の傾斜角度を変化させる仕組みである。座部12の傾動に係る変位は、座部アクチュエータ12dの伸縮による変位と一対一に対応していることから、座部アクチュエータ12dの伸縮量を検出することで、制御部40で座部12の傾動状態を把握することができる。
なお、座部12は、初期状態でその前部が後部よりも若干高い位置にあって、座面が水平面に対し所定角度、例えば約5°傾いた配置とされる構成である。座部12を大きく傾けると、被施療者が着座したり座部12から離れて立上がったりするのが容易ではなくなるために、一般的な椅子と同程度に座部12に対し被施療者が着座したり座部12から離れて立上がる行為がスムーズに行えるように、こうした行為が行われる座部12の初期状態での傾斜角度を設定している。
また、座部12の傾動範囲については、座部アクチュエータ12dの作動範囲による制限の他、所定の傾動位置、例えば、傾動の下限としたい位置などで、基台部11のベースフレーム11aの一部をストッパーとして座部フレーム12bに当接させるようにするなど、座部自体の可動範囲に基づいて傾動範囲を設定する構成とすることもできる。この場合、誤って座部12に重量物を載せることなどにより、下がろうとする座部12から座部アクチュエータ12dに過大な力が集中して加わるような、アクチュエータの破損に繋がる事態を避けることもできる。
前記背もたれ部13は、人の背中形状に合せた表面形状とされて前記基台部11及び座部12に対し傾斜角度を調整可能として配設され、その内部に、マッサージを実行する施療機構を備える構成である。
背もたれ部13内部には、施療子としての左右一対の揉み玉51とこれを動作させる駆動機構部60が一体となったメカユニット50と、このメカユニット50を背もたれ部13上下方向に移動可能に支持しつつ、背もたれ部の各部を内部から支える枠状の背もたれ部フレーム16と、前記エアポンプ70による空気の給排で動作する背中用エアセル73及び腰用エアセル74とがそれぞれ配設される構成である。このうちメカユニット50、背中用エアセル73、及び腰用エアセル74が、それぞれマッサージを実行する施療機構をなす。この他、背もたれ部13には、左右の肘掛部14が一体に取付けられ、この肘掛部14を背もたれ部13と共に基台部11に対し傾動可能としている。
なお、この背もたれ部13の左右両側部には、被施療者に面する内面側にエアセル等の施療機構を設けた一対の側壁部を突出配設して、被施療者の上腕部等に対して側方からマッサージを行えるようにすることもできる。
前記背もたれ部フレーム16は、メカユニット50を背もたれ部13上下方向に移動可能とし且つ他方向への動きは拘束して支持する左右一対のガイドフレーム20と、ガイドフレーム20と共に枠状をなす上下一対の横フレーム16aと、上下方向の中間位置で左右のガイドフレーム20間に架設される補強フレーム16bとを備える構成である。
背もたれ部フレーム16は、左右のガイドフレーム20下部を、それぞれ基台部11のベースフレーム11a上部に軸支されて、背もたれ部フレーム16全体として基台部11に対し傾動可能に支持される。そして、背もたれ部フレーム16における傾動中心より下側に位置する横フレーム16aと、座部フレーム前部との間に、背もたれ部13を傾動させる背もたれ部アクチュエータ13dが配設される。
この背もたれ部フレーム16における下部の横フレーム16aは、背もたれ部アクチュエータ13dとの連結に基づいて、マッサージ機使用状態で被施療者から背もたれ部13に加わる荷重を、左右のガイドフレーム20の軸支部分と分担して受け、連結した背もたれ部アクチュエータ13dにこれを押し縮めようとする力を伝えるものとなる。このため、横フレーム16aは、こうした力の伝達に対し変形しない十分な強度を有して、フレームとしての機能を問題なく果せる構造となっている。
なお、背もたれ部フレーム16における、基台部11のベースフレーム11aへの軸支位置は、ベースフレーム11aにおける座部フレーム12bの軸支位置と同じ箇所とされており、背もたれ部13は基台部11に対しその傾動中心を座部12の傾動中心と同じとして、傾動可能に支持されることとなる。
前記背もたれ部アクチュエータ13dは、前記座部アクチュエータ12dと同様、固定部分に対し可動部分を直線移動させることで全体として所定範囲内で伸縮して長さを変化させる機構を有する公知のリニアアクチュエータである。この背もたれ部アクチュエータ13dは、座部12の下側で且つ基台部11の内側に生じた空隙部分に位置して、背もたれ部フレーム16下部の横フレーム16aに一端部を傾動可能として連結される一方、他端部が座部12の座部フレーム12b前部に傾動可能として連結され、伸縮による長さの変化に伴って、背もたれ部フレーム16下部と座部フレーム12b前部との間隔を変え、背もたれ部13を座部12に対し傾動させることで、結果として背もたれ部13を基台部11に対しても傾動させる構成である。この背もたれ部アクチュエータ13dには、一般的なリニアアクチュエータの場合と同様、固定部分に対する可動部分の移動量、すなわちアクチュエータ全体としての伸縮量を検出するエンコーダ等の検出手段が併設される。
背もたれ部13は、この背もたれ部アクチュエータ13dの作動に伴う伸縮により、背もたれ部フレーム16のベースフレーム11aへの軸支部分を中心として傾動し、背もたれ部13全体の傾斜角度、すなわちリクライニング角度、を変化させる仕組みである。背もたれ部13の傾動に際し、背もたれ部アクチュエータ13dの伸縮量を検出することで、制御部40で座部12に対する背もたれ部13の傾動状態を取得し、これと座部アクチュエータ12dの伸縮量から求めた座部12の傾斜角度とを組合わせることで、背もたれ部13の基台部11に対する傾動状態を把握することができる。
前記メカユニット50は、揉み、叩き等の刺激を被施療者に与える施療子としての左右一対の揉み玉51と、これら揉み玉51をそれぞれ突出状態で支持する左右一対の揉み玉支持アーム52と、この揉み玉支持アーム52を介して揉み玉51を揉み、叩き等のマッサージ動作に対応させて駆動する駆動機構部60と、背もたれ部上下方向に直交する軸線を中心として駆動機構部60を傾動可能に支持するベース部54とを備える構成である。
前記駆動機構部60は、制御部40の制御に基づいて揉み玉51に揉み動作を行わせるための駆動力を発生させる揉みモータ62と、制御部40の制御に基づいて揉み玉51に叩き動作を行わせるための駆動力を発生させる叩きモータ64と、各モータからの運動を揉み玉支持アーム52を介して揉み玉51に伝達する揉み機構及び叩き機構(図示を省略)とを備える、公知のマッサージ機に用いられるものと同様の機構であり、詳細な説明を省略する。
前記ベース部54は、駆動機構部60を傾動可能に支持するものであり、この他、制御部40の制御に基づいて、メカユニット昇降用の駆動力を発生させる昇降モータ57と、駆動機構部60を傾動させる駆動力を発生させる進退モータ58とを備える構成である。
メカユニット50は、ベース部54の側端部を一対のガイドフレーム20にそれぞれ上下走行可能に支持されることで、ガイドフレーム20に挟まれる配置状態となり、メカユニット50全体としてガイドフレーム20に沿って移動可能とされる構成である。そして、制御部40による制御に基づき、昇降モータ57が作動してベース部54がガイドフレーム20を走行する状態となることで、ベース部54を含むメカユニット50全体が、ガイドフレーム20に沿って背もたれ部13の上下に移動することとなり、背もたれ部13における揉み玉51の位置(揉み玉による施療対象部位)を上下に変えられる仕組みである。
そして、メカユニット50は、設定されたマッサージの内容に応じて、制御部40による制御で、上記のように背もたれ部13の上下に移動し、揉み玉51の上下位置を調整されると共に、進退モータ58の作動による揉み玉51と駆動機構部60の傾動で、揉み玉51の被施療者側への突出量を調整されて、揉み玉51をマッサージの対象箇所に位置させる。揉み玉51の移動後、又はこうした揉み玉51の移動と並行して、制御部40が、マッサージの種類に応じて、メカユニット50における駆動機構部60の揉み、叩き用のモータを作動させ、揉み玉51に設定された揉みや叩き等のマッサージに対応した動きを行わせることとなる。
前記肘掛部14は、座部12の両側に位置して背もたれ部13と一体に連結し、背もたれ部13の基台部11に対する傾動に伴って移動して、被施療者の前腕を安定的に支持するよう形成される構成である。この肘掛部14にも、前記エアポンプ70による空気の給排で動作するエアセルを配設して、被施療者の前腕部に対しマッサージを行える構成としてかまわない。
前記脚支持部15は、座部12の前側に位置し、座部12前端付近を中心として傾動可能に配設され、座部下側の脚支持部アクチュエータ15dにより傾斜角度を調整されるものである。詳細には、脚支持部15は、脚支持部の裏側に位置して脚支持部全体を支える脚支持部フレーム17を有し、この脚支持部フレーム17が、座部12の座部フレーム12b前端部に軸支されて、脚支持部15を座部12や基台部11に対し傾動可能とする仕組みである。この他、脚支持部15内には、前記エアポンプ70による空気の給排で膨縮動作する施療機構としての脚用エアセル75、76、77、78が配設される。
前記脚支持部アクチュエータ15dは、前記座部アクチュエータ12dと同様、固定部分に対し可動部分を直線移動させることで全体として所定範囲内で伸縮して長さを変化させる機構を有する、公知のリニアアクチュエータである。
この脚支持部アクチュエータ15dは、座部12の下側で且つ基台部11の内側に生じた空隙部分に位置して、脚支持部フレーム17の傾動中心から所定寸法離れた裏面側の所定箇所に一端部を傾動可能として連結される一方、他端部が背もたれ部フレーム16下部の横フレーム16aに傾動可能として連結される。そして、脚支持部アクチュエータ15dは、伸縮による長さの変化に伴って、脚支持部フレーム17と背もたれ部フレーム16下部との間隔を変え、脚支持部15を背もたれ部13に対し傾動させることで、結果として脚支持部15を座部12や基台部11に対しても傾動させる構成である。この脚支持部アクチュエータ15dには、一般的なリニアアクチュエータの場合と同様、固定部分に対する可動部分の移動量、すなわちアクチュエータ全体としての伸縮量を検出するエンコーダ等の検出手段が併設される。
この脚支持部アクチュエータ15dの他端部は、背もたれ部フレーム16下部の横フレーム16aに連結されるが、この横フレーム16aは、背もたれ部アクチュエータ13dとの連結に基づく荷重の伝達を考慮した強度の高い構造となっていることから、脚支持部15からの荷重を受ける脚支持部アクチュエータ15dについても問題なく支持できる。こうして、脚支持部アクチュエータ15dの端部を、背もたれ部アクチュエータ13dと同様に背もたれ部フレーム16下部に連結することで、座部フレーム12bは従来のような脚支持部用のアクチュエータの支持から解放され、座部フレーム12bにアクチュエータ端部を連結するための高強度の突出部分など特別な構造部分を設けずに済み、フレーム構造の簡略化と軽量化が図れ、フレームのコストダウンも見込める。
脚支持部15は、脚支持部アクチュエータ15dの伸縮動作により、脚支持部フレーム17の座部12前端部への軸支部分を中心として傾動し、傾斜角度を変化させる仕組みである。脚支持部15の傾動に際し、脚支持部アクチュエータ15dの伸縮量を検出することで、制御部40で背もたれ部13に対する脚支持部15の傾動状態を取得し、これと背もたれ部アクチュエータ13dの伸縮量から求めた背もたれ部13の傾斜角度、及び、座部アクチュエータ12dの伸縮量から求めた座部12の傾斜角度とを組合わせることで、脚支持部15の座部12や基台部11に対する傾動状態を把握することができる。
前記座部アクチュエータ12d、背もたれ部アクチュエータ13d、及び脚支持部アクチュエータ15dは、それぞれ独立して作動するものであり、例えば、座部12を傾動させながら、背もたれ部13のリクライニング角度を変化させることができる。各アクチュエータを同時に作動させて各部を速やかに所望の傾斜状態に移行させるのが、施療開始までの時間を短縮できる点で好ましい。
また、座部アクチュエータ12dで座部12を傾動させる場合、背もたれ部アクチュエータ13dが作動停止状態を維持していると、座部12のみの傾動だけでなく、背もたれ部13も基台部11に対し傾動し、座部12との相対位置関係はそのままで背もたれ部13のリクライニング角度が変化することとなる。同様に、脚支持部アクチュエータ15dが作動停止状態を維持していると、脚支持部15も背もたれ部フレーム16下部との間隔を変えずに、座部12や背もたれ部13と共に傾動して、基台部11に対する傾斜角度を変化させ、脚支持部15の水平面に対する角度が変化することとなる。
前記リモコン30は、マッサージ機に対する各種情報を画面として表示する表示部31と、マッサージ機に対する各種操作入力を受付ける多数のスイッチ32とを備え、マッサージ機1の側部におけるスタンド33に着脱自在に設置され、マッサージに係る操作入力を制御部40に送信する一方、制御部40から送られた表示情報を受信して表示部31に表示するものである。なお、リモコン30の位置を被施療者にとって最適位置とするために、スタンド33の位置は調整可能となっている。
このリモコン30では、表示部31が、マッサージ機に対する各種操作入力を受付けるスイッチを兼ねるものとされており、表示部31に表示された所定のスイッチ領域を触れることでスイッチ操作を行えるようにした、画面上のスイッチである、いわゆるタッチパネル式の画面スイッチ31aをなしている。こうして、リモコン30には、第一の操作手段としての、表示部31とは独立した、押ボタンスイッチやスライドスイッチ等の機械的な有接点スイッチである多数のスイッチ32と、第二の操作手段として、表示部31で表示された画面スイッチ31aとの二系統のスイッチが存在することとなる。
このうち、第一の操作手段としての通常のスイッチ32のいずれかは、使用者の操作を受けて、前記背もたれ部アクチュエータ13dの作動による背もたれ部13の傾斜角度調整の実行、及び前記脚支持部アクチュエータ15dの作動による脚支持部15の傾斜角度調整の実行を、制御部40に対し指示入力するものとなる。そして、これらスイッチ32のうち、特に、画面スイッチ31aでの座部12の傾斜角度調整の指示を実際に可能な状態へ、制御部40を移行させるものとして、角度調整用スイッチ32aが設けられる。
また、第二の操作手段としての画面スイッチ31aのうち、ポジション選択用のスイッチが、使用者の操作を受けて、前記座部アクチュエータ12dの作動による座部12の傾斜角度調整の実行を、制御部40に対し指示入力するものとなる。
前記制御部40は、あらかじめ被施療者の身体各部位置検出を実行して得られた検出結果に基づいて、施療機構やマッサージ機の他の各可動部分を被施療者に対応した状態に調整すると共に、施療機構や他の各可動部分に対し、リモコン操作やあらかじめ記録設定された施療内容、また前記検出結果の情報に基づいて、適切な施療の実行のための制御を行うものである。
この制御部40は、そのハードウェア構成として、CPUやメモリ、入出力インターフェース等を備えるコンピュータとなっており、メモリ等に格納されるプログラムにより、コンピュータを制御部40として動作させる仕組みである。この制御部40をなすコンピュータは、CPUやメモリ、ROM等を一体的に形成されたマイクロコンピュータとしてもかまわない。
この制御部40をなすコンピュータのユニットは、座部12直下等のマッサージ機1内部の所定のスペースに配設され、リモコン30と通信可能な状態とされると共に、メカユニット50の各種モータや、座部12や背もたれ部13、脚支持部15を傾動させる各アクチュエータ、エアポンプ70とそれぞれ電気的に接続され、被施療者の身体各部位置検出の際にはあらかじめ設定された位置検出用プログラムに基づく制御信号出力により、また、マッサージ実行の際には設定されたマッサージのデータに基づく制御信号出力により、これらの駆動機構の作動を制御する。
加えて、制御部40は、メカユニット50や各アクチュエータの変位量を出力するエンコーダ等の信号出力手段とも電気的に接続されており、メカユニット50の状態や、背もたれ部13及び脚支持部15の傾斜等の状態を把握しつつ、モータやアクチュエータ等の駆動手段の作動制御を行うこととなる。
制御部40は、制御部自体は通電されて起動しているが、施療機構としてのメカユニット50や各エアセルを作動させない準備状態と、こうした施療機構を作動可能とする稼動状態との二つの制御状態を有している。制御部40は、電源投入後はいったん準備状態になるものとされ、使用者によるリモコン30の入/切スイッチ32aの操作に基づく指示入力により、準備状態から稼動状態へ移行する。この場合、制御部40は、準備状態から稼動状態への移行を指示入力されると、座部12の水平面に対する傾斜角度を取得し、傾斜角度が最小角度としての10ないし15°の角度未満である場合には、座部アクチュエータ12dで座部12を傾動させ、傾斜角度を前記最小角度以上の所定角度としてから、稼動状態に移行する。
一方、施療終了後、リモコン30の入/切スイッチ32aを操作された場合には、稼動状態から準備状態へ移行することとなる。
なお、リモコン30の第二の操作手段をなす画面スイッチ31aは、制御部40が稼動状態である場合のみ、表示部31にスイッチとして表示される状態となって、使用者の操作、特に、座部12の傾斜角度調整の実行に係る操作を、適切な状況でのみ受付可能とされる仕組みである。
この他、制御部40は、公知のマッサージ機と同様に、マッサージに先立つ被施療者の身体各部位置検出として、メカユニット50を制御し、メカユニット50を背もたれ部13における初期位置からガイドフレーム20に沿って移動させ、揉み玉51を被施療者に沿って動かす過程で、背もたれ部13にもたれた被施療者側からの揉み玉51に対する圧力の変化や揉み玉51の傾き変化等を順次取得し、この情報に基づいて、被施療者の肩位置、背骨のライン、腰位置を検出することもできる。
次に、本実施形態に係るマッサージ機の座部と背もたれ部、脚支持部の傾動角度調整制御について説明する。はじめに、マッサージ機の起動から施療可能な稼動状態に至る際の制御処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。前提として、マッサージ機1に対し、被施療者が、正しい姿勢で座部12に着座し、背中を背もたれ部13にもたれさせ、脚支持部15に脚を沿わせた状態とし、さらに、前腕部を肘掛部14に載せているものとする。
この状態で、マッサージ機1の主電源スイッチが入とされて、マッサージ機1が電源投入状態となると(ステップS001)、制御部40は、最初に、前回の電源切断が適切な手順で行われたか、すなわち、電源切断前の制御部40におけるマッサージ機稼働の終了処理が正常に行われたか否かを判定する(ステップS002)。
終了処理が正常に行われている場合、リモコン30の表示部31にまだ画面スイッチ31aは表示されないスタンバイ画面(図7参照)を表示する(ステップS003)。こうして制御部40は準備状態となって、施療機構を作動させられる稼働状態への移行指示入力を待つ状態となる。
制御部40は、スタンバイ画面を表示したら、リモコン30の入/切スイッチ32aの状態を監視し(ステップS004)、使用者により入/切スイッチ32aが操作されたか否かを判定する(ステップS005)。
入/切スイッチ32aが操作された場合、制御部40は、稼働状態への移行指示がなされたと認定して、座部12の傾斜角度が15°未満であるか否かを判定する(ステップS006)。
座部12の傾斜角度が15°未満である場合、制御部40は座部アクチュエータ12dを作動させ、アクチュエータで座部前部を上昇させて、座部12の傾斜角度が15°となるまで座部12を傾動させる(ステップS007)。この時、背もたれ部アクチュエータ13dと脚支持部アクチュエータ15dは作動停止状態を維持しており、各アクチュエータを介して座部12と背もたれ部13、背もたれ部13と脚支持部15が連動しているため、座部12のみの傾動だけでなく、背もたれ部13や脚支持部15も基台部11に対し傾動し、座部12との相対位置関係はそのままで背もたれ部13のリクライニング角度が変化し、また、脚支持部15も背もたれ部フレーム16下部との間隔を変えずに基台部11に対する傾斜角度を変化させることとなる(図9、図10参照)。
この後、制御部40はリモコン30の表示部31に、施療の実行を指示するための画面スイッチ31aが表示された待機画面(図11参照)を表示する(ステップS008)。こうして制御部40が待機画面を表示させ、施療実行の指示入力が与えられると施療を実行する稼働状態に至ると、初期傾動処理は終了となる。
なお、前記ステップS002で、施療途中の停電等で、制御部40での終了処理が行われずに電源切断状態となった場合など、電源切断が正常に行われていないと判定されたら、制御部40は、リセット処理として、座部12、背もたれ部13、及び脚支持部15を、それぞれ初期状態(図5、図6参照)として設定された傾斜角度まで傾動させる(ステップS009)。すなわち、制御部40は、座部アクチュエータ12dを作動させ、アクチュエータで座部前部を動かして、座面の傾斜角度が初期状態の角度、例えば5°、となるまで座部12を傾動させる。同様に、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させ、背もたれ部13と座部12とのなす角度が初期状態の角度、例えば115°、となるまで背もたれ部13を傾動させる。また、脚支持部アクチュエータ15dを作動させ、脚支持部と座部とのなす角度が初期状態の角度、例えば95°、となるまで脚支持部15を傾動させる。この後、前記ステップS003へ移行する。
前記ステップS005で、入/切スイッチ32aが操作されていない場合は、またステップS005に戻って操作の判定を繰返す。
さらに、前記ステップS006で座部の傾斜角度が15°未満でない、すなわち15°以上であると判定されたら、そのまま前記ステップS008へ移行する。
制御部40の準備状態において、座部12の傾斜角度が15°未満の場合は、入/切スイッチ32aが操作され、制御部40が施療機構を作動させられる稼働状態に至る前に、座部12の傾斜角度を15°とする角度調整が実行されるようになっており、座部12の傾斜角度が15°未満のままで、施療機構が作動して施療が実行される状態とはならないようにされる。
こうして、座部12の傾斜角度が浅く、着座した人がマッサージ機に対しずれかねないような状況で、施療を実行しないことで、施療対象部位のずれに伴って適切な施療が行えない事態を避けられる。
稼働状態では、リモコン30の表示部31に施療内容を選択するための画面スイッチ31aが表示され、使用者が選択操作可能となる他に、リモコン30において傾斜角度調整モードへの移行を指示する角度調整用スイッチ32bが、使用者の操作を受付可能となっている。使用者によりこの角度調整用スイッチ32bが操作され、傾斜角度調整モードへの移行が指示されると、制御部40はリモコン30の表示部31に傾斜角度調整モードとして複数の画面スイッチ31aを含む画面を表示して、入力待ちの状態となる(図12参照)。
制御部40は、座部12、背もたれ部13、及び脚支持部15についてそれぞれ与えられる目標の傾斜角度の組合せを、あらかじめ複数通り設定している。所定の組合せにおける目標の各傾斜角度に、各部を角度調整すると、マッサージ機の代表的な施療形態(ポジション)が得られる仕組みである。すなわち、各部の目標の傾斜角度の組合せは、マッサージ機の代表的なポジションを具体的に規定するものとなっている。ただし、これら目標の傾斜角度の組合せにおける、座部の傾斜角度は、いずれも前記最小角度としての10ないし15°の角度以上とされる。
傾斜角度調整モードで、制御部40は、リモコン30の表示部31に、複数通りの組合せを、それらが規定する各ポジションに置換えた形で、選択肢として使用者に選択可能な複数の画面スイッチ31aを表示する。
こうして稼動状態で、使用者による角度調整用スイッチ32bの操作を経て、傾斜角度調整モードへ移行して座部12他の傾斜角度を調整可能とする複数の画面スイッチ31aを表示部31に表示するなど、施療への影響の大きい座部12に係る傾斜角度調整の実行指示操作については、複数の手順を使用者に踏ませることで、使用者に座部12の傾斜角度調整の重要性を認識させつつ、誤った調整がなされる事態を確実に起りにくくしている。
具体例として、表示部31上では、座部12と背もたれ部13のなす角度が、椅子として座った時に楽な姿勢を生じさせると一般的に考えられている、約120°となる第1ポジション、そこからさらに背もたれ部13をリクライニングさせ、座部の傾斜も大きくした第2ポジション、この第2ポジションからさらに背もたれ部13をリクライニングさせて座部12と背もたれ部13のなす角度を大きくすると共に、座部12と脚支持部15とのなす角度も大きくして、被施療者が仰向けに寝た姿勢に近くなる第3ポジションの、三つのポジションが選択可能な画面スイッチ31aとして表示され、いずれかを選択することができる。
三つのポジションにそれぞれ対応した画面スイッチ31aのうち、使用者の操作を受けて一つが選択されると、制御部40は、選択されたポジションを規定する各部の目標傾斜角度の組合せを指示入力され、傾斜角度の組合せの内容に応じて各アクチュエータの作動を制御する。すなわち、座部アクチュエータ12dで座部12を傾動させ、背もたれ部アクチュエータ13dで背もたれ部13を傾動させ、さらに、脚支持部アクチュエータ15dで脚支持部15を傾動させ、それぞれ傾斜角度を、指示入力された組合せで与えられる目標の各傾斜角度とし、実際にマッサージ機を使用者の操作で選択されたポジションに移行させる。
この傾斜角度調整モードで、第1ポジション(図15、図16参照)が選択される際の制御処理について、図13及び図14のフローチャートを用いて説明する。
三つのポジションが画面スイッチ31aとして表示部31に表示されている状態で、使用者の画面スイッチ31aへの入力操作で第1ポジションが選択されると(ステップS101)、制御部40は、まず、座部12の角度が15°であるか否かを判定する(ステップS102)。
座部12の傾斜角度が15°である場合、制御部40は背もたれ部アクチュエータ13dと脚支持部アクチュエータ15dを作動させるのに先立って、座部12と背もたれ部13とのなす角度が121°であるか否かを判定する(ステップS103)。
座部12と背もたれ部13のなす角度が121°である場合、制御部40はさらに、座部12と脚支持部15とのなす角度が135°であるか否かを判定する(ステップS104)。
座部12と脚支持部15とのなす角度が135°である場合、制御部40はマッサージ機各部が第1ポジションにあると認定して、各アクチュエータの作動を完全に停止状態とすると共に、リモコン30の表示部31にマッサージ機が第1ポジションである旨を示す画面を表示し(ステップS105)、一連の処理を終了する。
なお、前記ステップS102で、座部12の傾斜角度が15°ではない場合、制御部40は座部アクチュエータ12dを作動させ、アクチュエータで座部前部を動かして、座部12の傾斜角度が15°となるまで座部12を傾動させる(ステップS106)。
また、前記ステップS104で、座部12と脚支持部15とのなす角度が135°ではない場合、制御部40は、脚支持部アクチュエータ15dを作動させて伸長又は縮長させ、脚支持部15を前方又は後方に傾動させ、座部12と脚支持部15とのなす角度が135°となるように調整する(ステップS107)。この後、ステップS105へ移行する。
前記ステップS103で、座部12と背もたれ部13のなす角度が121°でない場合、座部12と背もたれ部13とのなす角度が121°未満であるか否かを判定する(ステップS108)。
座部12と背もたれ部13のなす角度が121°未満である場合、制御部40はさらに、仮に脚支持部アクチュエータ15dの作動を伴わずに背もたれ部13を傾動させて座部12と背もたれ部13のなす角度を121°に調整した場合における、背もたれ部13に連動して傾動した脚支持部15と、座部12とのなす角度を求め(ステップS109)、この角度が135°であるか否かを判定する(ステップS110)。
求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が135°である場合、制御部40は、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させて縮長させ、背もたれ部13を後方に傾動させて倒し、座部12と背もたれ部13のなす角度が121°となるように調整する(ステップS111)。この後、ステップS105へ移行する。
前記ステップS110で、求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が135°ではない場合、制御部40は、この求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が135°未満であるか否かを判定する(ステップS112)。
求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が135°未満である場合、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させて縮長させ、背もたれ部13を後方に傾動させて倒し、座部12と背もたれ部13のなす角度が121°となるように調整しつつ、脚支持部アクチュエータ15dを作動させて伸長させ、背もたれ部13との連動で前方へ傾動する脚支持部15を前方へさらに傾動させ、最終的に座部12と脚支持部15とのなす角度が135°となるように調整する(ステップS113)。この後、ステップS105へ移行する。
前記ステップS112で、求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が135°未満ではない、すなわち、135°を超える場合、制御部40は、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させて縮長させ、背もたれ部13を後方に傾動させて倒し、座部12と背もたれ部13のなす角度が121°となるように調整しつつ、脚支持部アクチュエータ15dを作動させて縮長させ、背もたれ部13との連動で前方へ傾動しようとする脚支持部15に後方への傾動成分を与え、最終的に座部12と脚支持部15とのなす角度が135°となるように調整する(ステップS114)。この後、ステップS105へ移行する。
前記ステップS108で、座部12と背もたれ部13のなす角度が121°未満ではない、すなわち、121°を超える場合、制御部40はさらに、仮に脚支持部アクチュエータ15dの作動を伴わずに背もたれ部13を傾動させて座部12と背もたれ部13のなす角度を121°に調整した場合における、背もたれ部13に連動して傾動した脚支持部15と、座部12とのなす角度を求め(ステップS115)、この角度が135°であるか否かを判定する(ステップS116)。
求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が135°である場合、制御部40は、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させて伸長させ、背もたれ部13を前方に傾動させて起し、座部12と背もたれ部13のなす角度が121°となるように調整する(ステップS117)。この後、ステップS105へ移行する。
前記ステップS116で、求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が135°ではない場合、制御部40は、この求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が135°未満であるか否かを判定する(ステップS118)。
求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が135°未満である場合、制御部40は、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させて伸長させ、背もたれ部13を前方に傾動させて起し、座部12と背もたれ部13のなす角度が121°となるように調整しつつ、脚支持部アクチュエータ15dを作動させて伸長させ、背もたれ部13との連動で後方へ傾動しようとする脚支持部15に前方への傾動成分を与え、最終的に座部12と脚支持部15とのなす角度が135°となるように調整する(ステップS119)。この後、ステップS105へ移行する。
前記ステップS118で、座部12と脚支持部15とのなす角度が135°未満ではない、すなわち、135°を超える場合、制御部40は、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させて伸長させ、背もたれ部13を前方に傾動させて起し、座部12と背もたれ部13のなす角度が121°となるように調整しつつ、脚支持部アクチュエータ15dを作動させて縮長させ、背もたれ部13との連動で後方へ傾動する脚支持部15を後方へさらに傾動させ、最終的に座部12と脚支持部15とのなす角度が135°となるように調整する(ステップS120)。この後、ステップS105へ移行する。
続いて、傾斜角度調整モードで、第2ポジション(図19、図20参照)が選択される際の制御処理について、図17及び図18のフローチャートを用いて説明する。
三つのポジションが画面スイッチ31aとして表示部31に表示されている状態(図12参照)で、使用者の画面スイッチ31aへの入力操作で第2ポジションが選択されると(ステップS201)、制御部40は、まず、座面の角度が37°であるか否かを判定する(ステップS202)。
座面の傾斜角度が37°である場合、制御部40は背もたれ部アクチュエータ13dと脚支持部アクチュエータ15dを作動させるのに先立って、座部12と背もたれ部13とのなす角度が121°であるか否かを判定する(ステップS203)。
座部12と背もたれ部13のなす角度が121°である場合、制御部40はさらに、座部12と脚支持部15とのなす角度が143°であるか否かを判定する(ステップS204)。
座部12と脚支持部15とのなす角度が143°である場合、制御部40はマッサージ機各部が第2ポジションにあると認定して、各アクチュエータの作動を完全に停止状態とすると共に、リモコン30の表示部にマッサージ機が第2ポジションである旨を示す画面を表示し(ステップS205)、一連の処理を終了する。
なお、前記ステップS202で、座面の傾斜角度が37°ではない場合、制御部40は座部アクチュエータ12dを作動させ、アクチュエータで座部前部を動かして、座面の傾斜角度が37°となるまで座部12を傾動させる(ステップS206)。
また、前記ステップS204で、座部12と脚支持部15とのなす角度が143°ではない場合、制御部40は、脚支持部アクチュエータ15dを作動させて伸長又は縮長させ、脚支持部15を前方又は後方に傾動させ、座部12と脚支持部15とのなす角度が143°となるように調整する(ステップS207)。この後、ステップS205へ移行する。
前記ステップS203で、座部12と背もたれ部13のなす角度が121°でない場合、座部12と背もたれ部13とのなす角度が121°未満であるか否かを判定する(ステップS208)。
座部12と背もたれ部13のなす角度が121°未満である場合、制御部40はさらに、仮に脚支持部アクチュエータ15dの作動を伴わずに背もたれ部13を傾動させて座部12と背もたれ部13のなす角度を121°に調整した場合における、背もたれ部13に連動して傾動した脚支持部15と、座部12とのなす角度を求め(ステップS209)、この角度が143°であるか否かを判定する(ステップS210)。
求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が143°である場合、制御部40は、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させて縮長させ、背もたれ部13を後方に傾動させて倒し、座部12と背もたれ部13のなす角度が121°となるように調整する(ステップS211)。この後、ステップS205へ移行する。
前記ステップS210で、求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が143°ではない場合、制御部40は、この求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が143°未満であるか否かを判定する(ステップS212)。
求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が143°未満である場合、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させて縮長させ、背もたれ部13を後方に傾動させて倒し、座部12と背もたれ部13のなす角度が121°となるように調整しつつ、脚支持部アクチュエータ15dを作動させて伸長させ、背もたれ部13との連動で前方へ傾動する脚支持部15を前方へさらに傾動させ、最終的に座部12と脚支持部15とのなす角度が143°となるように調整する(ステップS213)。この後、ステップS205へ移行する。
前記ステップS212で、求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が143°未満ではない、すなわち、143°を超える場合、制御部40は、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させて縮長させ、背もたれ部13を後方に傾動させて倒し、座部12と背もたれ部13のなす角度が121°となるように調整しつつ、脚支持部アクチュエータ15dを作動させて縮長させ、背もたれ部13との連動で前方へ傾動しようとする脚支持部15に後方への傾動成分を与え、最終的に座部12と脚支持部15とのなす角度が143°となるように調整する(ステップS214)。この後、ステップS205へ移行する。
前記ステップS208で、座部12と背もたれ部13のなす角度が121°未満ではない、すなわち、121°を超える場合、制御部40はさらに、仮に脚支持部アクチュエータ15dの作動を伴わずに背もたれ部13を傾動させて座部12と背もたれ部13のなす角度を121°に調整した場合における、背もたれ部13に連動して傾動した脚支持部15と、座部12とのなす角度を求め(ステップS215)、この角度が143°であるか否かを判定する(ステップS216)。
求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が143°である場合、制御部40は、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させて伸長させ、背もたれ部13を前方に傾動させて起し、座部12と背もたれ部13のなす角度が121°となるように調整する(ステップS217)。この後、ステップS205へ移行する。
前記ステップS216で、求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が143°ではない場合、制御部40は、この求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が143°未満であるか否かを判定する(ステップS218)。
求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が143°未満である場合、制御部40は、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させて伸長させ、背もたれ部13を前方に傾動させて起し、座部12と背もたれ部13のなす角度が121°となるように調整しつつ、脚支持部アクチュエータ15dを作動させて伸長させ、背もたれ部13との連動で後方へ傾動しようとする脚支持部15に前方への傾動成分を与え、最終的に座部12と脚支持部15とのなす角度が143°となるように調整する(ステップS219)。この後、ステップS205へ移行する。
前記ステップS218で、座部12と脚支持部15とのなす角度が143°未満ではない、すなわち、143°を超える場合、制御部40は、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させて伸長させ、背もたれ部13を前方に傾動させて起し、座部12と背もたれ部13のなす角度が121°となるように調整しつつ、脚支持部アクチュエータ15dを作動させて縮長させ、背もたれ部13との連動で後方へ傾動する脚支持部15を後方へさらに傾動させ、最終的に座部12と脚支持部15とのなす角度が143°となるように調整する(ステップS220)。この後、ステップS205へ移行する。
また、傾斜角度調整モードで、第3ポジション(図23、図24参照)が選択される際の制御処理について、図21及び図22のフローチャートを用いて説明する。
三つのポジションが画面スイッチ31aとして表示部31に表示されている状態(図12参照)で、使用者の画面スイッチ31aへの入力操作で第3ポジションが選択されると(ステップS301)、制御部40は、まず、座面の角度が15°であるか否かを判定する(ステップS302)。
座面の傾斜角度が15°である場合、制御部40は背もたれ部アクチュエータ13dと脚支持部アクチュエータ15dを作動させるのに先立って、座部12と背もたれ部13とのなす角度が148°であるか否かを判定する(ステップS303)。
座部12と背もたれ部13のなす角度が148°である場合、制御部40はさらに、座部12と脚支持部15とのなす角度が165°であるか否かを判定する(ステップS304)。
座部12と脚支持部15とのなす角度が165°である場合、制御部40はマッサージ機各部が第3ポジションにあると認定して、各アクチュエータの作動を完全に停止状態とすると共に、リモコン30の表示部にマッサージ機が第3ポジションである旨を示す画面を表示し(ステップS305)、一連の処理を終了する。
なお、前記ステップS302で、座面の傾斜角度が15°ではない場合、制御部40は座部アクチュエータ12dを作動させ、アクチュエータで座部前部を動かして、座面の傾斜角度が15°となるまで座部12を傾動させる(ステップS306)。
また、前記ステップS304で、座部12と脚支持部15とのなす角度が165°ではない場合、制御部40は、脚支持部アクチュエータ15dを作動させて伸長又は縮長させ、脚支持部15を前方又は後方に傾動させ、座部12と脚支持部15とのなす角度が165°となるように調整する(ステップS307)。この後、ステップS305へ移行する。
前記ステップS303で、座部12と背もたれ部13のなす角度が148°でない場合、座部12と背もたれ部13とのなす角度が148°未満であるか否かを判定する(ステップS308)。
座部12と背もたれ部13のなす角度が148°未満である場合、制御部40はさらに、仮に脚支持部アクチュエータ15dの作動を伴わずに背もたれ部13を傾動させて座部12と背もたれ部13のなす角度を148°に調整した場合における、背もたれ部13に連動して傾動した脚支持部15と、座部12とのなす角度を求め(ステップS309)、この角度が165°であるか否かを判定する(ステップS310)。
求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が165°である場合、制御部40は、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させて縮長させ、背もたれ部13を後方に傾動させて倒し、座部12と背もたれ部13のなす角度が148°となるように調整する(ステップS311)。この後、ステップS305へ移行する。
前記ステップS310で、求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が165°ではない場合、制御部40は、この求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が165°未満であるか否かを判定する(ステップS312)。
求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が165°未満である場合、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させて縮長させ、背もたれ部13を後方に傾動させて倒し、座部12と背もたれ部13のなす角度が148°となるように調整しつつ、脚支持部アクチュエータ15dを作動させて伸長させ、背もたれ部13との連動で前方へ傾動する脚支持部15を前方へさらに傾動させ、最終的に座部12と脚支持部15とのなす角度が165°となるように調整する(ステップS313)。この後、ステップS305へ移行する。
前記ステップS312で、求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が165°未満ではない、すなわち、165°を超える場合、制御部40は、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させて縮長させ、背もたれ部13を後方に傾動させて倒し、座部12と背もたれ部13のなす角度が148°となるように調整しつつ、脚支持部アクチュエータ15dを作動させて縮長させ、背もたれ部13との連動で前方へ傾動しようとする脚支持部15に後方への傾動成分を与え、最終的に座部12と脚支持部15とのなす角度が165°となるように調整する(ステップS314)。この後、ステップS305へ移行する。
前記ステップS308で、座部12と背もたれ部13のなす角度が148°未満ではない、すなわち、148°を超える場合、制御部40はさらに、仮に脚支持部アクチュエータ15dの作動を伴わずに背もたれ部13を傾動させて座部12と背もたれ部13のなす角度を148°に調整した場合における、背もたれ部13に連動して傾動した脚支持部15と、座部12とのなす角度を求め(ステップS315)、この角度が165°であるか否かを判定する(ステップS316)。
求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が165°である場合、制御部40は、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させて伸長させ、背もたれ部13を前方に傾動させて起し、座部12と背もたれ部13のなす角度が148°となるように調整する(ステップS317)。この後、ステップS305へ移行する。
前記ステップS316で、求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が165°ではない場合、制御部40は、この求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が165°未満であるか否かを判定する(ステップS318)。
求められた座部12と脚支持部15とのなす角度が165°未満である場合、制御部40は、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させて伸長させ、背もたれ部13を前方に傾動させて起し、座部12と背もたれ部13のなす角度が148°となるように調整しつつ、脚支持部アクチュエータ15dを作動させて伸長させ、背もたれ部13との連動で後方へ傾動しようとする脚支持部15に前方への傾動成分を与え、最終的に座部12と脚支持部15とのなす角度が165°となるように調整する(ステップS319)。この後、ステップS305へ移行する。
前記ステップS318で、座部12と脚支持部15とのなす角度が165°未満ではない、すなわち、165°を超える場合、制御部40は、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させて伸長させ、背もたれ部13を前方に傾動させて起し、座部12と背もたれ部13のなす角度が148°となるように調整しつつ、脚支持部アクチュエータ15dを作動させて縮長させ、背もたれ部13との連動で後方へ傾動する脚支持部15を後方へさらに傾動させ、最終的に座部12と脚支持部15とのなす角度が165°となるように調整する(ステップS320)。この後、ステップS305へ移行する。
こうして各部の傾斜角度が調整された後、被施療者によりマッサージコース等の施療内容指示が入力され、制御部40が入力を受けて、各施療機構によるマッサージ動作が開始することとなる。
揉み玉51によるマッサージの場合、設定されたマッサージの内容に応じて、制御部40は、昇降モータ57を作動させ、ガイドフレーム20に対しメカユニット50全体を上下に移動させ、揉み玉51の上下位置を調整すると共に、進退モータ58を作動させて揉み玉51と駆動制御部60を傾動させ、揉み玉51の被施療者側への突出量を調整して、揉み玉51をマッサージの対象箇所に位置させる。この後、又はこうした揉み玉51の移動と並行して、制御部40は、マッサージの種類に応じて、揉みモータ62及び/又は叩きモータ64を作動させ、揉み玉51に設定された揉みや叩き等のマッサージに対応した動きを行わせることとなる。
前記第1ポジション(図15、図16参照)では、座面の水平面に対する傾斜角度が15°、座部12と背もたれ部13とのなす角度が121°、座部12と脚支持部15とのなす角度が135°、であり、被施療者が座った状態で楽な姿勢をとることができ、リラックスした状態で施療を受けられる。
前記第2ポジション(図19、図20参照)では、座面の水平面に対する傾斜角度が37°、座部12と背もたれ部13とのなす角度が121°、座部12と脚支持部15とのなす角度が143°、であり、身体への負担を少なくした施療姿勢となる上、背もたれ部13の傾斜が大きく、被施療者が背もたれ部13により密着する状態となるため、身体がずれにくく、揉み玉51をより強く身体に当てられる。
前記第3ポジション(図23、図24参照)では、座面の水平面に対する傾斜角度が15°、座部12と背もたれ部13とのなす角度が148°、座部12と脚支持部15とのなす角度が165°、であり、被施療者は寝た姿勢に近い状態となり、背もたれ部13から座部12、脚支持部15にかけてバランスよく体圧が分散した状態となることで、エアセルによるマッサージを効率よく行うことができる。
特に、前記第2及び第3のポジションとした場合、座部12や背もたれ部13の傾動に伴って移動する肘掛部14が、前腕部を上向きで支えて被施療者にとって楽な姿勢を生じさせる適切な配置状態となる。仮に、図25に示すように、肘掛部14に施療機構としてのエアセル14a、14bを配設して、被施療者の前腕部に対しマッサージを行える構成をとる場合には、前記第2及び第3のポジションで、肘掛部14上の前腕部にとどまらず腕全体が上向きとなり、肘掛部14のエアセル14a、14bによるマッサージを行うと、リラックスした状態で腕のマッサージが行えることに加え、リンパの流れをよくするいわゆるリンパマッサージの観点からも、上向きとなった腕から身体側に向うリンパの流れを向上させ、むくみやコリの解消を促せるなど、腕のマッサージ効果を優れたものとすることができる。
この他、稼動状態では、前記三つのポジションを生じさせる代表的な傾斜角度以外に、使用者が任意の傾斜角度をスイッチ32で操作指示するのに対応して、制御部40が各アクチュエータを作動させて、座部12、背もたれ部13、及び脚支持部15の傾斜角度をそれぞれ調整することもできる。この場合、座部12の傾動範囲は最小角度、例えば15°以上となっており、施療可能な稼働状態では座部12の傾斜角度を最小角度未満の5°〜15°とすることはできない仕組みとなっている。すなわち、このマッサージ機では、座部の傾斜角度が5°〜15°では施療を実行できないよう制御される仕組みである。
さらに、マッサージ機において施療が終了に至った際の制御処理について、図26のフローチャートを用いて説明する。
制御部40は、それまで実行させていた施療の終了を検出すると(ステップS401)、その終了が入/切スイッチ32aの操作によるものか否かを判定する(ステップS402)。
施療終了がスイッチ操作によるものである場合、制御部40は、稼働状態から準備状態へ移行し、座部アクチュエータ12dを作動させ、15°以上となっている座部12の角度を初期状態の角度に対応する5°になるまで座部12を傾動させる(ステップS403)。
また、制御部40は、座部12と背もたれ部13とのなす角度が115°であるか否かを判定する(ステップS404)。
座部12と背もたれ部13のなす角度が115°である場合、制御部40はさらに、座部12と脚支持部15とのなす角度が95°であるか否かを判定する(ステップS405)。
座部12と脚支持部15とのなす角度が95°である場合、制御部40は、マッサージ機各部が初期状態の傾斜角度にあると認定して、各アクチュエータの作動を完全に停止状態とすると共に、リモコン30の表示部31に準備状態であることを示すスタンバイ画面(図7参照)を表示し(ステップS406)、一連の処理を終了する。
前記ステップS402で、施療の終了が入/切スイッチ32aの操作によるものではない場合、施療開始からあらかじめ設定された終了時間に達して施療終了に至ったとして、制御部40は各アクチュエータの作動を完全に停止状態とすると共に、リモコン30の表示部31に、新たな施療の実行を指示するための画面スイッチ31aが表示された待機画面(図11参照)を表示する(ステップS407)。
待機画面が表示された後、制御部40は、入/切スイッチ32aの状態を監視し(ステップS408)、入/切スイッチ32aが操作されたか否かを判定する(ステップS409)。
スイッチが操作された場合、前記ステップS403へ移行する。
また、前記ステップS409でスイッチが操作されていない場合、待機画面が表示されてから2分経過したか否かを判定する(ステップS410)。
待機画面が表示されてから2分経過した場合、制御部40はマッサージ機の使用がしばらく休止されたと認定して、準備状態に移行すると共に前記ステップS405へ移行する。
前記ステップS410で2分経過していない場合、前記ステップS409へ戻り、以降の過程を繰返す。
前記ステップS404で、座部12と背もたれ部13とのなす角度が115°ではない場合、制御部40は、背もたれ部アクチュエータ13dを作動させて伸長又は縮長させ、背もたれ部13を前方又は後方に傾動させ、座部12と背もたれ部13のなす角度が115°となるように調整する(ステップS411)。この後、前記ステップS404へ移行する。
前記ステップS405で、座部12と脚支持部15とのなす角度が95°ではない場合、制御部40は、脚支持部アクチュエータ15dを作動させて伸長又は縮長させ、脚支持部15を前方又は後方へ傾動させ、座部12と脚支持部15とのなす角度が95°となるように調整する(ステップS412)。この後、前記ステップS405へ移行する。
こうして、スタンバイ画面が表示された状態は、制御部40におけるデータの更新など必要な処理は全て終了し、電源を切断しても問題のない状態となっており、この状態で主電源スイッチを切断すると、正常終了として取扱われる。なお、スタンバイ画面が表示された状態は、座部が初期状態の角度(5°)であるが、準備状態であり、施療はいったん稼働状態に移行して実行されるため、誤って最小角度未満で施療が行われるような事態には至らない。
脚支持部15、背もたれ部13、及び座部12が初期状態の傾斜角度(図5参照)とされ、且つスタンバイ画面が表示された状態では、特に操作を行わない限り、制御部40は各アクチュエータの作動を停止させて、マッサージ機1をスタンバイ状態としており、被施療者はスムーズ且つ安全にマッサージ機1から立ち上がって離席することができる。
このように、本実施形態に係るマッサージ機は、座部12を基台部11上に傾動可能に配設し、座部アクチュエータ12dの作動で座部12の傾斜角度を調整可能とする一方、施療にあたっては、着座姿勢の定りにくい最小角度未満の傾斜角度では施療の実行を制限して、被施療者の姿勢のずれが生じ得る状態でそのまま施療が行われないようにすることで、被施療者の着座姿勢が確実に保持される状態を得られる座部の傾斜角度範囲に座部12がある場合にのみ施療を実行し、適切な姿勢となっている被施療者に対して確実に施療効果を与えることができ、施療の機会ごとに施療姿勢の変化やそれに伴う施療条件の変化を招くことなく、効果の高い施療を常に実行できる。
なお、前記実施形態に係るマッサージ機においては、入/切スイッチ32aの操作により施療を終了した場合、制御部40が座部12、背もたれ部13、及び脚支持部15をそれぞれ初期状態の傾斜角度として準備状態に移行する制御を行う構成としているが、この他、入/切スイッチ32aの操作で施療を終了したとしても、施療を行わないまま、マッサージ機を適度に背もたれ部や座部が傾斜した椅子として使用し続けたり、しばらく時間をおいて再度施療を実行したりすることも考慮して、座部の傾斜角度を初期状態の角度、すなわち離席を促す15°未満の角度に調整しない制御構成とすることもでき、リラックスできる椅子としての利用に適したものが得られる。この場合、制御部は、準備状態とは別に、施療の実行を伴わない別の制御状態、例えば、椅子使用状態、を設けて、稼動状態からこの椅子使用状態へ移行した場合には、座部の傾斜角度を最小角度の15°を下回るような角度調整を行えるようにしてもよく、調整の範囲を大きくすることで、椅子として使用する人にとって、用途に応じて好ましい状態に調整できることとなる。
(本発明の第2の実施形態)
また、前記第1の実施形態に係るマッサージ機において、第二の操作手段としてのリモコン30の表示部31における画面スイッチ31aは、座部12の目標傾斜角度を含むマッサージ機のポジションを、使用者に選択可能として、三つのポジションにそれぞれ対応して設定、表示される。ここで、いずれのポジションも座部12の傾斜角度は15°以上とされ、各ポジションの画面スイッチ31aから制御部40には、座部12については15°以上の目標傾斜角度への調整を実行させる指示入力のみがなされる。
すなわち、前記第1の実施形態では、画面スイッチ31aからは座部を15°未満の傾斜角度とする操作を一切行えないようにする制御構成としているが、この他、第2の実施形態として、前記同様に稼動状態で座部の傾斜角度を15°以上に維持するための別の制御として、稼動状態で表示部31の画面スイッチ31aによる座部12の傾斜角度の15°未満への調整の操作は許容し、画面スイッチ31aから制御部40に、座部12について15°未満の目標傾斜角度への調整実行の指示入力がなされた場合に、制御部40において座部12の目標傾斜角度が15°以上か否かを判別し、目標傾斜角度が15°以上ではない角度調整については実行しない制御構成とすることもできる。
この場合、制御部40は、座部12の傾斜角度の15°未満への調整の操作を受けた後、座部の目標傾斜角度が15°以上ではない角度調整については実行できない旨のエラー表示を、表示部31に示すようにすれば、使用者に施療の安定のため座部の傾斜角度に制限を設けていることを確実に認識させ、使用者に15°以上への調整操作を促すことができる。
(本発明の第3の実施形態)
また、前記第1の実施形態に係るマッサージ機において、制御部40はマッサージ機への電源投入時にはまず準備状態となり、その後のスイッチ操作で稼動状態に移行し、その移行過程であらかじめ座部12の傾斜角度を15°以上にした上でないと、施療内容の選択指示が行えないようにして、座部12の傾斜角度が15°未満での施療を実行しない制御を行う構成としているが、これに限らず、第3の実施形態として、電源投入後すぐに施療内容の選択や各部の傾斜角度調整の指示操作がリモコン30の各スイッチから行えるようにする一方、制御部40が検出した座部12の傾斜角度が15°未満である場合には、施療内容を選択するとエラーとして施療を行えない旨を表示部等に示し、使用者に座部12の傾斜角度の15°以上への調整指示操作を促すようにする制御を行う構成とすることもでき、前記実施形態同様、適切な姿勢となっている被施療者にのみ施療を実行して、安定した施療効果を与えられる。
(本発明の第4の実施形態)
また、前記第1の実施形態に係るマッサージ機において、制御部40が稼動状態にある場合における、施療実行中を含む座部12の角度調整は、そもそも画面スイッチ32aからの指示入力の段階で15°未満への調整項目を除外して、こうした調整を行えないように制御する構成としているが、この他、第4の実施形態として、座部12の傾斜角度が15°未満となる角度調整の操作とその実行を制御部40が許容する一方、仮に施療実行中に角度調整で座部12の傾斜角度が15°未満に至る場合は、制御部40がそれ以降の施療実行を停止して、各アクチュエータの作動による各部の傾斜角度調整のみ実行する制御を行う構成とすることもできる。この場合、使用者の操作に基づき座部の傾斜角度の15°未満への調整を可能とすることで、マッサージ機として施療を安定的に実行できる状態を確保しつつ、座部12の調整範囲を大きくして椅子としての使い勝手を高められる。
さらに、この稼動状態で座部12の傾斜角度が15°未満となる角度調整の操作とその実行を制御部40が許容する場合において、施療が行われていない際に座部12の傾斜角度調整で15°未満の傾斜角度となった場合、制御部30は表示部31に施療が行えない旨を表示し、使用者の操作に基づく画面スイッチ32aからの施療実行の指示入力を受付けないようにして、施療を実行しない構成とすることもできる。
(本発明の第5の実施形態)
また、前記第1の実施形態に係るマッサージ機において、施療形態として第2や第3のポジションが選択されて、制御部40が各部をこれらのポジションに移行させた場合に、肘掛部14に配設したエアセル14a、14bで、被施療者の前腕部に対しマッサージを実行可能とする構成について説明しているが、この他に、第5の実施形態として、図27に示すように、肘掛部14の腕長手方向にエアセルを複数配設し、前方側(指先側)のエアセル14c、14dの組と後方側(肘側)のエアセル14e、14fの組の膨縮を制御部40でそれぞれ別に制御するようにして、座部や背もたれ部の傾斜角度の制御と合わせて、腕に対するマッサージのバリエーションを増やす構成とすることもできる。
この場合、例えば、肘掛部14を、前腕部を上向きで支える位置とした上で、エアセルを膨張させる給気のタイミングが、前方側のエアセル14c、14dで後方側のエアセル14e、14fより先になるようにして、給排気によるエアセルの膨縮を繰返させると、腕を前方側から後方側へ順次押圧することで、ポンプのように指先側から腕付け根側へ向うリンパの流れを促進して、リンパマッサージとしての効果をより一層高められる。
また、前方側のエアセル14c、14dの組と、後方側のエアセル14e、14fの組とのいずれか一方、又は両方を給気により膨張させ、腕を押圧した状態で、背もたれ部13を後方へ傾動させて倒すと、腕のエアセルで押圧された箇所が肘掛部14上に保持されるのに対し、腕のより後方側の部位が、背もたれ部13の傾動による身体の移動に伴って後方に移動しようとすることで、腕は相対的に前方へ引張られる状態となる(図28参照)。こうして、腕にはストレッチ運動のような負荷が加わる状態となり、腕の各部は伸され、腕のストレッチ運動を行うのと同等の効果が生じることとなる。
さらに、前方側のエアセル14c、14dの組を給気により膨張させ、腕を押圧させる一方で、後方側のエアセル14e、14fの組については、給排気によるエアセルの膨縮を繰返させることで、腕を保持した状態でエアセル14e、14fによる押圧刺激が腕に繰返し加わり、腕のずれを防いで効果的に腕マッサージが行える。この場合に、背もたれ部13を後方へ傾動させて倒すようにすると、前記同様に腕は相対的に前方へ引張られる状態となって、腕にストレッチ運動のような負荷を加えつつマッサージを行うことととなり、マッサージによる刺激をより効率よく腕に加えることができる。