JP2013214697A - 半導体装置および半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置および半導体装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】時間が経過するに伴って多孔質絶縁膜の誘電率が上昇することを抑制する。
【解決手段】まず、炭化水素を含む有機シロキサン原料を用いて、多孔質絶縁膜(PF1またはPF2)を形成する(多孔質絶縁膜形成工程)。次いで、多孔質絶縁膜(PF1またはPF2)に、波長400nm以下の光または電子線を照射する(照射工程)。得られる多孔質絶縁膜は、Si、O、CおよびHを含んでいる。また、多孔質絶縁膜中の空孔含有率(%)とC含有率(atom%)との比(空孔含有率)/(C含有率)は、1.5未満である。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
近年、層間絶縁膜の比誘電率を低下させるための様々な方法が提案されている。
特許文献1(特開2011−192962号公報)には、以下のような半導体装置の製造方法が記載されている。まず、それぞれ環状SiO構造を主骨格とし互いに構造が異なる二種類以上の有機シロキサン化合物原料を混合して気化させる。次いで、反応炉にて当該気化ガスを用い、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法またはプラズマ重合法により、加熱された半導体基板上に炭素組成に富んだ多孔質絶縁膜を成長させる。これにより、絶縁膜の比誘電率を容易に低下することができるとされている。
特許文献2(特開2009−94503号公報)には、以下のような半導体を処理する方法が記載されている。まず、処理チャンバ内の基板の上に低誘電率膜を形成する。次いで、低誘電率膜に紫外線を照射することにより、低誘電率膜をキュアする。キュアする工程の間、低誘電率膜を25から10000ppmの酸素を含む処理ガスに晒す。これにより、低誘電率膜中のSi−H基およびSi−OH基の形成を制限することによって、処理直後の低誘電率膜の吸湿を抑制して誘電率の再上昇を回避させることができるとされている。
特許文献3(特開2008−78621号公報)には、以下のような半導体デバイスの製造方法が記載されている。まず、Si−CH結合およびSi−OH結合を含む絶縁膜を形成する。次いで、当該絶縁膜に紫外線を照射する。このとき、紫外線照射によって、絶縁膜中のうち、X線光電子分光法によるC濃度の減少率が30%以下、C−H結合、O−H結合またはSi−OHのSi−O結合の減少率が10%以上である。これにより、吸湿による誘電率の上昇を抑制することができるとされている。
特許文献4(特開2005−350653号公報)には、以下のような有機シリカ系膜の形成方法が記載されている。まず、−Si−O−Si−構造および−Si−CH−Si−構造を有するケイ素化合物からなる塗膜を基材上に形成する。次いで、塗膜を加熱する。次いで、塗膜に紫外線を照射して硬化処理を行う。このとき、原料であるケイ素化合物中において、−Si−O−Si−に対する−Si−CH−Si−の比率が0.025〜2.00であることが好ましいことが記載されている。これにより、短時間且つ低温で塗膜を硬化させることができるとされている。なお、当該特許文献4における塗膜が多孔質であるとは記載されていない。
特開2011−192962号公報 特開2009−94503号公報 特開2008−78621号公報 特開2005−350653号公報
上記特許文献には、多孔質絶縁膜の経時劣化について開示されていない。本発明者らは、特に炭素組成に富んだ多孔質絶縁膜について以下のような公知でない新たな課題を見出した。炭素組成に富んだ多孔質絶縁膜自体は、酸素等の高い分極原子の割合が小さくなるため、低誘電率化に対して有利となる。ただし、炭素組成に富んだ多孔質絶縁膜を形成する工程において、活性な炭化水素が膜表面や膜内部に取り込まれやすい。これらの炭化水素は、大気中の−OH基等と結合しやすく、多孔質絶縁膜の保管時間が長くなるにつれて、上記多孔質絶縁膜の誘電率が上昇する要因になる。
また、多孔質絶縁膜は、プロセス中のダメージを受けやすいため、ダメージを軽減するための膜物性が重要である。したがって、信頼性の高い多孔質絶縁膜を実現するためには、炭素含有量が多く、かつ経時劣化を抑制可能な材料制御が必要である。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
一実施の形態によれば、まず、炭化水素を含む有機シロキサン原料を用いて、炭素組成に富んだ多孔質絶縁膜を形成する(多孔質絶縁膜形成工程)。次いで、多孔質絶縁膜に、波長400nm以下の光または電子線を照射する(照射工程)。
また、一実施の形態によれば、多孔質絶縁膜は、Si、O、CおよびHを含んでいる。多孔質絶縁膜には、配線またはビアが設けられている。多孔質絶縁膜中のうち、−Si−O−Si−に対する−Si−(CH−Si−(n≧1)の比率が0.001以上である。
一実施の形態によれば、多孔質絶縁膜は、Si、O、CおよびHを含んでいる。多孔質絶縁膜には、配線またはビアが設けられている。多孔質絶縁膜中の空孔含有率(%)とC含有率(atom%)との比(空孔含有率)/(C含有率)は、1.5未満に制御する。
前記一実施の形態によれば、時間経過に伴って多孔質絶縁膜の誘電率上昇を抑制し、さらに高いプラズマダメージ耐性を実現可能な多孔質絶縁膜を提供することができる。
第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。 第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。 第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。 第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。 第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。 第1の実施形態の多孔質絶縁膜の特性を説明するための図である。 第1の実施形態の多孔質絶縁膜の特性を説明するための図である。 第1の実施形態の多孔質絶縁膜の特性を説明するための図である。 第1の実施形態の多孔質絶縁膜の特性を説明するための図である。 第1の実施形態の多孔質絶縁膜の特性を説明するための図である。 第1の実施形態の多孔質絶縁膜の特性を説明するための図である。 第1の実施形態の多孔質絶縁膜の特性を説明するための図である。 第1の実施形態の多孔質絶縁膜の特性を説明するための図である。 第1の実施形態の多孔質絶縁膜の特性を説明するための図である。 第1の実施形態の多孔質絶縁膜の特性を説明するための図である。 第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。 第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。 第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。 第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。 第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。 第3の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。 =3、n=4としたときの、[成膜レート]x[膜強度(Modulus)]/[比誘電率(k-value)]の、有機シロキサン原料の混合比率(モル比率)依存を示す図である。 第4の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1を用い、第1の実施形態に係る半導体装置SDについて説明する。この半導体装置SDは、以下の配線層の構成を備えている。多孔質絶縁膜PF2は、Si(シリコン)、O(酸素)、C(炭素)およびH(水素)を含んでいる。多孔質絶縁膜(PF1またはPF2)には、配線(IC1もしくはIC2)またはビアVAが設けられている。ここで、多孔質絶縁膜(PF1またはPF2)中の空孔含有率(%)とC含有率(atom%)は、
(空孔含有率)/(C含有率)<1.5
を満たす。または、多孔質絶縁膜(PF1またはPF2)中のうち、−Si−O−Si−に対する−Si−(CH−Si−(n≧1)の比率が0.001以上である。以下、詳細を説明する。
第1の実施形態によれば、炭化水素を含む有機シロキサン原料を用いて、多孔質絶縁膜(PF1またはPF2)を形成した後、当該多孔質絶縁膜に、波長400nm以下の光(UV光)または電子線を照射する。製造方法については、詳細を後述する。このようにして形成された多孔質絶縁膜は以下のような特徴を有している。
多孔質絶縁膜(PF1またはPF2)中の空孔含有率(%)とC含有率(atom%)は、
(空孔含有率)/(C含有率)<1.5
を満たす。このように、多孔質絶縁膜のうち(空孔含有率)/(C含有率)<1.5であることにより、製造工程中におけるプロセスダメージを抑制することができる。したがって、時間が経過するに伴って多孔質絶縁膜の誘電率が上昇することを抑制できる。
または、多孔質絶縁膜(PF1またはPF2)中のうち、−Si−O−Si−に対する−Si−(CH−Si−(n≧1)の比率が0.001以上である。このように、多孔質絶縁膜にUV光または電子線を照射することにより、膜表面および膜中における未反応または活性な炭化水素は、Siと結合することにより安定かつ強固な−Si−(CH−Si−の架橋構造を形成する。これにより、膜中のC含有量を過度に減少させることなく、多孔質絶縁膜の長期安定性および膜強度を向上させることができる。
次に、第1の実施形態に係る半導体装置SDの全体構造について説明する。第1の実施形態の半導体装置SDは、多孔質絶縁膜(PF1またはPF2)を備えている。ここでは、たとえば、複数の多孔質絶縁膜(多孔質絶縁膜PF1および多孔質絶縁膜PF2)が積層され、多層配線構造が構成されている。
多孔質絶縁膜PF1は、たとえば、基板(不図示)上に設けられている。多孔質絶縁膜PF1を機械的に支えることが可能な部材であればよい。基板は、たとえば、半導体基板である。具体的には、基板は、シリコン基板である。
その他、基板は、金属基板、絶縁基板であってもよい。具体的には、金属基板は、たとえば、Au(金)、Cu(銅)、Ti(チタン)、Fe(鉄)またはそれらを含む合金などである。また、絶縁基板としては、ガラス(SiO)、高分子樹脂、プラスチック、シリコン樹脂またはそれらの複合材料であってもよい。または、多孔質絶縁膜PF1そのものが基板を形成していてもよい。
多孔質絶縁膜PF1には、たとえば、複数の配線IC1が設けられている。配線IC1は、たとえば、Cuを主成分として含む。配線IC1は、Cu以外の金属元素が含まれていてもよい。その他、配線IC1は、W(タングステン)、Al(アルミニウム)またはその合金等であってもよい。
配線IC1の側面および底面には、バリアメタルBM1が設けられている。配線IC1がCuを含む場合、バリアメタルBM1は、たとえば、Ti、Ta(タンタル)、W、Ru(ルテニウム)、またはこれらの窒化物もしくは炭窒化物により形成されている。
多孔質絶縁膜PF1上には、バリア絶縁膜IF1が設けられている。バリア絶縁膜IF1は、Cuの酸化や絶縁膜中へのCuの拡散を防ぐ機能、および多孔質絶縁膜PF1等を加工する際にエッチングストップ層としての機能を有する。バリア絶縁膜IF1は、たとえば、SiC膜、SiCN膜、SiN膜、BN膜またはBCN膜である。なお、バリア絶縁膜IF1は無くてもよい。
また、配線IC1上にはメタルキャップ層(図示せず)が設けられていてもよい。メタルキャップ層は、たとえばCoWP、CoWB、CoSnP、CoSnB、NiB、又はNiMoBなどが形成されても良い。
バリア絶縁膜IF1上には、多孔質絶縁膜PF2が設けられている。多孔質絶縁膜PF2は、たとえば、上述の多孔質絶縁膜PF1と同様に形成されている。
多孔質絶縁膜PF2には、たとえばデュアルダマシン法により、ビアVAおよび配線IC2が設けられている。配線IC2は、ビアVAを介して、下層に位置する配線IC1に接続している。ビアVAおよび配線IC2は、たとえば配線IC1と同一の材料により形成されている。それぞれの配線層で異なる金属により配線またはビアが形成されていてもよい。
また、ビアVAの側面並びに底面、および配線IC2の側面並びに底面には、バリアメタルBM2が設けられている。バリアメタルBM2は、たとえばバリアメタルBM1と同一の材料により形成されている。
多孔質絶縁膜PF2上には、バリア絶縁膜IF2が設けられている。バリア絶縁膜IF2は、たとえばバリア絶縁膜IF1と同一の材料により形成されている。
バリア絶縁膜IF2上に、さらに多層の多孔質絶縁膜が形成されていてもよい。
次に、図2から図5を用い、第1の実施形態に係る半導体装置SDの製造方法について、説明する。図2から図5は、第1の実施形態に係る半導体装置SDの製造方法を説明するための断面図である。第1の実施形態に係る半導体装置SDの製造方法は、以下の工程を備えている。まず、炭化水素を含む有機シロキサン原料を用いて、多孔質絶縁膜(PF1またはPF2)を形成する(多孔質絶縁膜形成工程)。次いで、多孔質絶縁膜(PF1またはPF2)に、波長400nm以下の光または電子線を照射する(照射工程)。以下詳細を説明する。
図2(a)のように、基板(不図示)上に多孔質絶縁膜PF1を形成する。この多孔質絶縁膜PF1を、たとえば後述する多孔質絶縁膜PF2と同様にして形成する。次いで、後述する照射工程を行ってもよい。次いで、多孔質絶縁膜PF1に、複数の配線溝(符号不図示)を形成する。次いで、配線溝の側面および底面に、バリアメタルBM1を形成する。次いで、配線溝内に金属膜(符号不図示)を形成する。次いで、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により金属膜を研磨して配線溝内に金属を埋め込む。これにより、多孔質絶縁膜PF1に配線IC1を形成する。次いで、多孔質絶縁膜PF1上に、バリア絶縁膜IF1を形成する。
図2(b)のように、バリア絶縁膜PF1上に、炭化水素を含む有機シロキサン原料を用いて、バリア絶縁膜IF1上に多孔質絶縁膜PF2を形成する(多孔質絶縁膜形成工程)。このときの成膜温度(すなわちステージ温度)は、100°以上400℃以下、好ましくは250℃以上400℃以下、さらに好ましくは330℃以上370℃以下である。
多孔質絶縁膜PF2は、たとえば炭化水素を含む有機シロキサン原料を用いて、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法またはプラズマ重合法により形成される。この場合、多孔質絶縁膜を形成するための製造装置は、たとえば、平行平板のプラズマ発生装置を有するCVD成膜装置である。有機シロキサン原料は、不活性ガスであるキャリアガスを用いて導入される。キャリアガスは、たとえばHeである。
多孔質絶縁膜形成工程において、有機シロキサン原料は、たとえば、一つのシリコン原子に対して少なくとも二つ以上の炭素原子を有する。換言すれば、当該有機シロキサン原料に含まれるシリコン原子の4つのボンドのうち、二つ以上のボンドが炭素原子に結合している。または、一つのシリコン原子に、二つ以上の炭素原子を有する炭化水素基が配位している。後者のように、たとえば、有機シロキサン原料は、かさ高い炭化水素基を有している。後述する照射工程において、有機シロキサン原料中の炭化水素が多いほど、−Si−(CH−Si−の架橋構造が形成されやすい。したがって、有機シロキサン原料におけるシリコン原子に対して炭素原子が多く含まれていることにより、容易に−Si−(CH−Si−の架橋構造を形成することができる。
有機シロキサン原料は、たとえば、不飽和炭化水素基を有する。これにより、照射工程において、当該不飽和炭化水素基はラジカル化する。ラジカル化した不飽和炭化水素基は、Siと結合してSi−(CH−Siの架橋構造を形成しやすい。したがって、有機シロキサン原料が不飽和炭化水素基を有することにより、積極的にSi−(CH−Siの架橋構造を形成することができる。
有機シロキサン原料は、下記化学式(1)に示される環状有機シリカ骨格を有することが好ましい。
Figure 2013214697
・・・・(1)
ただし、化学式(1)において、nは2〜5の整数である。Rx及びRyはそれぞれ水素、不飽和炭化水素基及び飽和炭化水素基の何れかである。また、不飽和炭化水素基および飽和炭化水素基の各々は、ビニル基、アリル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、およびターシャリーブチル基の何れかである。
このように、有機シロキサン原料が環状有機シリカ骨格を有することにより、Si−O環状構造を空孔として多孔質絶縁膜PF2に取り入れることができる。多孔質絶縁膜PF2において、Si−O環状構造の直径に相当する空孔が形成される。したがって、多孔質絶縁膜PF2内に、微細かつ均一に空孔を導入することができる。
たとえば、nが3である有機シロキサン原料を用いて、多孔質絶縁膜PF2を形成する。これにより、空孔径が1nm以下である多孔質絶縁膜PF2を形成することができる。
なお、多孔質絶縁膜形成工程において、複数の有機シロキサン原料を用いてもよい。たとえば、上記化学式(1)のうち、n、RxまたはRyのいずれか一つ以上が異なる原料を組み合わせてもよい。
たとえば、上記化学式(1)におけるnが互いに異なる2種類以上の有機シロキサン原料を用いて多孔質絶縁膜PF2を形成する。このとき、nが小さい方の有機シロキサン原料を「第1の有機シロキサン原料」とし、nが大きい方の有機シロキサン原料を「第2の有機シロキサン原料」とする。nが大きい第2の有機シロキサン原料の方が、プラズマによって第1の有機シロキサン原料よりも相対的に分解されやすい。これにより、分解した第2の有機シロキサン原料の一部が、隣接する第1の有機シロキサン原料の間の架橋に寄与することができる。
ここでは、たとえば、nが3および4である2種類以上の前記有機シロキサン原料を用いて、多孔質絶縁膜PF2を形成する。具体的には、たとえば、第1の有機シロキサン原料としては、2,4,6−トリイソプロピル−2,4,6−トリビニルシクロトリシロキサンである(nが3であり、Rxがビニル基、Ryがイソプロピル基である。)。また、たとえば、第2の環状有機シロキサンとしては、2,4,6,8−テトライソプロピル−2,4,6,8−テトラビニルシクロトリシロキサンである(nが4であり、Rxがビニル基であり、Ryがイソプロピル基であり、n=4である。)。なお、Rx、Ryはこれら以外の炭化水素基であってもよい。このように、n=3の第1の有機シロキサン原料と、n=4の第2の有機シロキサン原料を混合させることにより、単一の有機シロキサン原料を用いる場合よりも多孔質絶縁膜PF2の膜強度を強くすることができる。また、nが3または4である有機シロキサン原料は、製造がしやすく、また化学的に安定なものが多いため、特に好ましい。
また、たとえば、二種類の有機シロキサン原料を用いる場合、第1の有機シロキサン原料と第2の有機シロキサン原料との混合比は、1:9〜9:1である。
ここで、第1の有機シロキサン原料のnをnとして、第2の有機シロキサン原料のnをnとした場合、第1の有機シロキサン原料に対する第2の有機シロキサン原料の混合比率は、n/n×0.8以上n/n×1.2以下であることが好ましい。
図22は、n=3、n=4としたときの、[成膜レート]x[膜強度(Modulus)]/[比誘電率(k-value)]の、有機シロキサン原料の混合比率(モル比率)依存を示している。図22の縦軸は数値が大きいほど、成膜レートと膜強度が大きく、誘電率が小さいことを意味する。従って、縦軸は大きい方向にプロットされるほど、膜特性は良好であることを示す。図中にはHe流量依存性もプロットしているが、He流量に関わらず、8員環原料濃度が43%(6員環:8員環=4:3)で最も大きく、高性能化には上記混合比が好適である。
したがって、6員環:8員環=4:3(すなわち第1の有機シロキサン原料に対する第2の有機シロキサン原料の混合比率=n/n)の混合原料を用いてベースとなる多孔質絶縁膜を形成した後にUVキュアを実施することで、高スループットにて信頼性の高い多孔質絶縁膜を形成することが可能である。上記混合比率は、環状原料の側鎖が過不足なく結合するための条件となる。よって、このようなストイキオメトリー条件を採用することで、環状原料同士の結合が過不足なくネットワークを形成するため、強固な膜構造を実現することが可能であると推定される。また、図22から、第1の有機シロキサン原料に対する第2の有機シロキサン原料の混合比率=n/nに設定することが好適であるが、±20%の範囲でも他の混合濃度よりも優位な特性を得ることができる。
なお、第1の有機シロキサン原料として6員環を使用し、第2の有機シロキサン原料として8員環を使用した場合、8員環は、6員環よりも化学的に安定であるため、8員環を導入した混合原料は長期保管性がよく、また、気化器内(高温下)での重合不純物の発生や変質等が抑制される。従って、信頼性の高い成膜特性を維持できる。
このとき、複数の有機シロキサン原料を複数の原料を混合した後で気化するか、又は、混合と気化とを一度に行うことが好ましい。これにより、原料を輸送するキャリアガスを低減することができる。したがって、原料の分解を抑制することができる。なお、それぞれの有機シロキサン原料を個々に気化させてもよい。
また、多孔質絶縁膜形成工程において、O、CO、CO、NO、又はNOなどの酸化性ガスを添加してもよい。
次いで、図3(a)のように、多孔質絶縁膜PF2に、波長400nm以下の光または電子線を照射する(照射工程)。この照射工程において、多孔質絶縁膜PF2中に存在する炭化水素のうち、炭化水素基となって終端されている部分を、−Si−(CH−Si−(n≧1)の架橋構造に変化させる。これにより、膜中のC含有量を過度に減少させることなく、多孔質絶縁膜の長期安定性および膜強度を向上させることができる。
なお、ここでいう「波長400nm以下の光」は、可視光より波長が短い光のことであり、紫外光またはX線である。波長400nm以下の光は、線スペクトルを有する単波長光であっても、ブロードバンドを有するブロード光であってもよく、これらを組み合わせた光であってもよい。波長400nm以下の光は、連続光であっても、パルス光であってもよい。照射する光の波長は、100nm以上400nm以下であることがさらに好ましい。光源は、たとえば、ランプまたはレーザーである。
照射工程における光または電子の照射条件は、用いた有機シロキサン原料、所望の膜厚、または所望の誘電率によって調整される。照射工程において、たとえば、以下のような照射条件で行う。
照射工程において光を照射する場合、照射工程における圧力は、大気圧であっても、大気圧よりも低くてもよい。電子線を照射する場合、照射工程における圧力は、電子を加速させることが可能な圧力であることが好ましい。
照射工程における雰囲気は、酸素を含まないことが好ましい。照射工程によって酸素がオゾンとなり、多孔質絶縁膜が酸化されてしまう。このため、多孔質絶縁膜の誘電率が上昇する可能性がある。したがって、照射工程における雰囲気は、不活性ガス雰囲気であることが好ましい。(電子線の場合は、減圧した不活性ガス雰囲気である。)不活性ガスは、たとえばAr(アルゴン)やHe(ヘリウム)が例示される。
また、たとえば、多孔質絶縁膜形成工程を減圧下または不活性雰囲気下で行う場合、大気暴露することなく照射工程を行う。なお、多孔質絶縁膜形成工程の後に大気に晒した後であっても、当該照射工程を行うことにより、同質の多孔質絶縁膜を得ることができる。
さらに、照射工程において、光または電子線のいずれの場合であっても、不活性ガスを流しながら多孔質絶縁膜に光または電子線を照射することが好ましい。ここでいう「不活性ガスを流しながら」とは、装置内に不活性ガスを供給し、装置内から排出することをいう。すなわち、不活性ガスの気流を生じさせることをいう。ここで、照射工程において、上記架橋構造への変化に伴い、多孔質絶縁膜から炭化水素系のアウトガスが放出される。照射工程において気流のない雰囲気で行った場合、装置内または基板上にアウトガスに起因した堆積物が生成される可能性がある。照射工程において不活性ガスを流しながら行うことにより、アウトガスを装置外へ排出することができる。したがって、照射工程において、堆積物が生成することを抑制することができる。
照射工程において光を照射する場合、波長400nm以下の光の強度は、少なくとも多孔質絶縁膜形成工程におけるプラズマ発光の強度よりも大きい。具体的には、基板表面上での光強度は、たとえば1mW/cm以上1000mW/cm以下である。光強度が上記下限値以上であることにより、−Si−(CH−Si−(n≧1)の架橋構造を形成することができる。光強度が上記上限値以下であることにより、多孔質絶縁膜PF2よりも下層に位置する層構造にダメージを与えることがない。たとえば、基板に形成された半導体素子が劣化することを抑制することができる。
照射工程において電子を照射する場合、電子線の加速エネルギーは、たとえば1keV以上30keV以下である。また、ドーズ量は、たとえば0.05mC/cm以上1.0mC/cm以下である。電子線の加速エネルギーおよびドーズ量が上記下限値以上であることにより、−Si−(CH−Si−(n≧1)の架橋構造を形成することができる。電子線の加速エネルギーおよびドーズ量が上記上限値以下であることにより、多孔質絶縁膜PF2よりも下層に位置する層構造にダメージを与えることがない。
照射工程において、−Si−(CH−Si−(n≧1)の架橋構造の架橋量は、上記した照射強度と照射時間との積によって決定される。光または電子線の照射時間が長いほど、−Si−(CH−Si−(n≧1)の架橋構造の架橋量は多くなる。具体的には、光または電子線の照射時間は、たとえば10sec以上1000sec以下である。好ましくは、光または電子線の照射時間は、たとえば50sec以上500sec以下である。照射時間が上記下限値以上であることにより、顕著に膜強度を向上させることができる。この点については、図11および図12を用いて詳細を後述する。
また、照射工程において、多孔質絶縁膜PF2を加熱することが好ましい。たとえば基板を載置するサセプタに設けられたヒーターによって、基板を加熱する。または、光または電子線の照射によって多孔質絶縁膜PF2を発熱させてもよい。当該温度は、たとえば、100℃以上400℃以下である。これにより、多孔質絶縁膜PF2内における架橋反応を促進させることができる。
照射工程において、深さ方向に多孔質絶縁膜PF2の膜全体に侵入する条件で光または電子線を照射する。少なくとも後述するCMP工程によって研磨される深さよりも深い位置まで照射することが好ましい。
複数の多孔質絶縁膜が積層され多層配線が形成されている場合、一層の多孔質絶縁膜毎に照射工程を行うことが好ましい。複数の多孔質絶縁膜を形成した後に一度に照射工程を行う場合、多層配線によって下層に位置する多孔質絶縁膜まで光または電子線が照射されない可能性がある。したがって、一層毎に照射工程を行うことにより、均一に多孔質絶縁膜に光または電子線を照射することができる。
照射工程において、多孔質絶縁膜PF2に対する照射条件は、下層に位置する多孔質絶縁膜PF1に対する照射条件と異なる条件であってもよい。たとえば、多孔質絶縁膜PF2の膜厚が多孔質絶縁膜PF1の膜厚よりも厚いとき、多孔質絶縁膜PF2に対する照射時間は多孔質絶縁膜PF1に対する照射時間よりも長い。
また、照射工程において、多孔質絶縁膜PF2上に多孔質絶縁膜PF2と異なる膜(たとえばハードマスクHM)が形成されていない状態で光または電子線を照射することが好ましい。これにより、多孔質絶縁膜PF2から、上述したアウトガスを放出させ易くすることができる。
以上の照射工程において上記した照射条件を調整することにより、空孔含有率(%)とC含有率(atom%)が(空孔含有率)/(C含有率)<1.5を満たすように多孔質絶縁膜PF2を形成する。これにより、製造工程のうち溝又はビアホールを形成する工程などの後工程において、プロセスダメージを抑制することができる。この点については、詳細を後述する。
次いで、図3(b)のように、多孔質絶縁膜PF2上に、ハードマスクHMを形成する。ハードマスクHMは、溝またはビアホールを形成する工程において、多孔質絶縁膜PF2を保護する。ハードマスクHMは、たとえば、SiO、TEOS、または多孔質絶縁膜PF2より硬質な(Modulus10GPa以上)のSiOCもしくはSiOCHである。このハードマスクHMは無くてもよい。
次いで、たとえばRIE(Reactive Ion Etching)法により、多孔質絶縁膜PF2を選択的に除去する。これにより、多孔質絶縁膜PF2に、溝IT及びビアホールVHを形成する。この工程は、ビアファースト法及びトレンチファースト法のいずれであってもよい。
次いで、図4(a)のように、溝ITおよびビアホールVHの側面および底面に、バリアメタルBM2を形成する。バリアメタルBM2を、たとえばバリアメタルBM1と同一の材料により形成する。たとえば、スパッタにより、バリアメタルBM2として、たとえば、Ti、Ta、W、Ru、またはこれらの窒化物もしくは炭窒化物を形成する。
次いで、たとえばめっき法により、溝ITおよびビアホールVHに金属膜MFを形成する。金属膜MFは、たとえば、Cuである。
次いで、Cu粒成長のために熱処理を行う。たとえば、熱処理における温度が200℃以上400℃以下、熱処理時間が30sec以上1時間以下である。
次いで、図4(b)のように、CMP法により、金属膜MFを研磨して、溝ITおよびビアホールVHに金属を埋め込む。これにより、多孔質絶縁膜PF2に配線IC2およびビアVAを形成する。このとき、ハードマスクHMを除去してもよい。また、多孔質絶縁膜PF2の表層を除去してもよい。
次いで、図5のように、多孔質絶縁膜PF2上に、バリア絶縁膜IF2を形成する。バリア絶縁膜IF2を、たとえばバリア絶縁膜IF1と同一の材料により形成する。バリア絶縁膜IF2として、たとえば、SiC膜、SiCN膜、SiN膜、BN膜またはBCN膜を形成する。
多孔質絶縁膜PF2上に、さらに複数の多孔質絶縁膜を形成してもよい。以上の工程により、第1の実施形態に係る半導体装置SDを得ることができる。
次に、図6から図15を用い、第1の実施形態によって得られる多孔質絶縁膜(PF1またはPF2)の特性について、詳細を説明する。図6から図15は、第1の実施形態の多孔質絶縁膜(PF1またはPF2)の特性を説明するための図である。
以下では、代表的な実施例として、多孔質絶縁膜形成工程において、化学式(1)に示される環状有機シリカ骨格を有する有機シロキサン原料を用い、照射工程において、波長400nm以下の紫外線の光(UV光)を照射した場合について説明する。なお、図では、有機シロキサン原料が、n=3の単一原料(6員環原料)、またはn=3および4の混合原料(6員環原料および8員環原料)のそれぞれの場合について示している。
この場合、多孔質絶縁膜は、Si、O、CおよびHを含んでいる。また、多孔質絶縁膜は、たとえば、Si−O環状構造を含んでいる。具体的には、多孔質絶縁膜は、6員環のSi−O環状構造、または6員環のSi−O環状構造および8員環のSi−O環状構造の混合構造を含んでいる。
なお、第1の実施形態で用いる有機シロキサン原料はこれらに限られたものではない。他の有機シロキサン原料を用いた場合であっても、得られる多孔質絶縁膜は、以下と同様の傾向を示す。
図6は、第1の実施形態の多孔質絶縁膜のうち比誘電率(k)の経時変化を示している。横軸は多孔質絶縁膜を形成した後の経過時間を、縦軸は多孔質絶縁膜の比誘電率の上昇率を示している。
図6のように、6員環原料および8員環原料を用いた多孔質絶縁膜に対して照射工程を行わなかった場合の比較例では、時間の経過とともに、多孔質絶縁膜の比誘電率が上昇している。
これに対して、第1の実施形態のように、6員環原料、または6員環原料および8員環原料を用いた多孔質絶縁膜に対して照射工程を行った場合では、多孔質絶縁膜の比誘電率は上昇することなく安定している。このように、多孔質絶縁膜に波長400nm以下の光を照射することにより、長期に渡って多孔質絶縁膜の低比誘電率特性を維持することができる。
図7は、照射工程における照射時間に対する多孔質絶縁膜の膜強度を示している。縦軸は、ナノインデーション法によって測定した膜強度(Modulus)である。
図7のように、6員環原料を用いた多孔質絶縁膜のうち、成膜直後(照射時間0sec)の膜強度は、3.3GPaである。照射工程における照射時間を増加させるとともに、6員環原料を用いた多孔質絶縁膜の膜強度は増加する。6員環原料および8員環原料の混合原料を用いた多孔質絶縁膜の膜強度は、単一の6員環原料のみを用いた多孔質絶縁膜よりも大きい。さらに、照射工程における照射時間を増加させるとともに、6員環原料および8員環原料の混合原料を用いた多孔質絶縁膜の膜強度も増加する。照射時間に対する6員環原料および8員環原料の混合原料を用いた多孔質絶縁膜の膜強度の増加量は、単一の6員環原料のみを用いた多孔質絶縁膜よりも大きい。
図8は、多孔質絶縁膜の比誘電率に対する膜強度を示している。図8は、図7において、異なる照射時間で形成した多孔質絶縁膜をプロットしている。
図8のように、比誘電率の値が2.55から2.6の小さな領域の間において、6員環原料、または6員環原料および8員環原料を用いた多孔質絶縁膜の膜強度が約2倍に増加する。このように照射工程によって多孔質絶縁膜の比誘電率を過度に上昇させることなく、多孔質絶縁膜の膜強度を向上させることができる。
図9および図10は、6員環原料を用いた多孔質絶縁膜について、フーリエ変換赤外分光(FTIR:Fourier Transform Infrared Spectroscopy)法によって測定したスペクトルを示している。
図9のように、多孔質絶縁膜の成膜直後(照射時間0sec)、およびそれぞれの照射後のスペクトルにおいて、吸湿した場合にみられるSi−OHのピーク(波数3500cm−1近傍)が存在していない。
また、照射工程における照射時間が長くなるにつれて、原料の炭化水素に起因するCHxのピーク強度(波数2900cm−1近傍)が減少していく。
この点について、図10を用いて説明する。図10は、FTIRスペクトルのうち波数が1300cm−1以上1400cm−1以下である領域を示している。
図10のように、照射工程を行うことによって、−Si−(CH−Si−(n≧1)の架橋構造の代表構造である−Si−CH−Si−結合のピーク(波数1357cm−1近傍)が出現している。すなわち、照射工程を行うことによって、多孔質絶縁膜中に−Si−CH−Si−結合が形成されている。さらに、化学式(1)のうちRxおよびRyの炭素数が2以上の場合であっても当該ピークは検出されることから、多孔質絶縁膜中において、種々のn≧1である−Si−(CH−Si−の架橋構造が形成されていると考えられる。
また、図10のように、照射工程における照射時間が長くなるにつれて、−Si−CH−Si−結合のピーク強度(波数1357cm−1近傍)が増加していく。
なお、この−Si−CH−Si−結合については、TEM−EELS(透過電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)及び電子エネルギー損失分光法(EELS:Electron Energy−Loss Spectroscopy))などにより観測することもできる。
図11は、照射工程における照射時間に対する、「−Si−CH−Si−結合の比率」を示している。ここでいう「−Si−CH−Si−結合比率」(図中[−Si−CH−Si−]/[−Si−O−Si−])とは、FTIRで検出されたスペクトルのうちバックグラウンドを除去した後のスペクトルにおいて、−Si−O−Si−結合のピーク強度積分値に対する−Si−CH−Si−結合のピーク強度積分値の比率のことである。すなわち、「−Si−CH−Si−結合比率」は、多孔質絶縁膜中における−Si−O−Si−結合に対する−Si−CH−Si−結合の比率に相当する。
図11のように、照射工程における照射時間が長くなるにつれて、−Si−CH−Si−結合の比率は高くなる。有機シロキサン原料として単一の6員環原料のみを用いた場合だけでなく、6員環原料および8員環原料の混合原料を用いた場合についても同様の傾向を示す。以上のように、照射工程における照射時間が長いほど、多孔質絶縁膜中には多くの−Si−(CH−Si−の架橋構造(n≧1)が多孔質絶縁膜中に形成されている。
図9にて上述したように、照射工程における照射時間が長くなるにつれて、原料の炭化水素に起因するCHxのピーク強度(波数2900cm−1近傍)が減少していく。この原因は、二つ考えられる。一つ目の原因は、照射工程を行うことによって、多孔質絶縁膜中に残存した未反応の炭化水素(炭化水素基等)や活性な炭化水素の一部が、アウトガスとして脱離するからである。二つ目の原因は、図10にて示されているように、照射工程を行うことによって、上記した未反応または活性な炭化水素は、Siと結合することにより安定かつ強固な−Si−(CH−Si−の架橋構造(n≧1)を形成するからである。−Si−(CH−Si−の架橋構造には、水分が吸着しにくい。これにより、膜中のC含有量を過度に減少させることなく、多孔質絶縁膜の長期安定性を向上させることができる。
なお、図9にて図示されていないが、有機シロキサン原料が不飽和炭化水素基を含む場合、不飽和炭化水素基はラジカル化することによって、Siと結合してSi−(CH−Siの架橋構造を形成しやすい。この場合、FTIRスペクトルに、不飽和炭化水素基に起因するピークが表れていてもよい。すなわち、照射工程後の多孔質絶縁膜は、有機シロキサン原料のうち不飽和炭化水素基を含んでいてもよい。
図12は、「−Si−CH−Si−結合の比率」に対する多孔質絶縁膜の膜強度を示している。なお、図12における各々の点は、それぞれ、照射時間が0sec、60sec、150sec、240secおよび360secの場合を示している。
図12のように、−Si−CH−Si−結合の比率が上昇するにつれて、多孔質絶縁膜の膜強度は上昇する。したがって、照射工程によって−Si−(CH−Si−の架橋構造(n≧1)を形成することにより、多孔質絶縁膜の長期安定性を向上させるだけでなく、多孔質絶縁膜の膜強度を向上させることができる。
ここで、図12において、−Si−CH−Si−結合の比率が0.0005以上のとき、膜強度は顕著に上昇を示す。−Si−CH−Si−結合の比率が0.001以上であれば、安定的に多孔質絶縁膜の膜強度が上昇する。また、上述のように、−Si−CH−Si−(n=1)だけでなく、種々のn>1である−Si−(CH−Si−の架橋構造が形成されていると考えられる。したがって、多孔質絶縁膜中のうち、−Si−O−Si−に対する−Si−(CH−Si−(n≧1)の比率が0.001以上であることが好ましい。図11に示したように、−Si−CH−Si−結合の比率は、照射工程における照射時間によって調整することができる。
図13は、多孔質絶縁膜の空孔分布曲線を示している。なお、図中のプロファイルは、6員環原料を用いた場合を示している。また、この空孔分布曲線は、小角X線散乱(SAXS:Small Angle X−ray Scattering)法により測定することができる。具体的には、多孔質絶縁膜にX線を照射すると、X線は多孔質絶縁膜内の空孔によって散漫散乱される。この散乱プロファイルは、多孔質絶縁膜内の空孔径の密度や分布によって定まる。このため、SAXSのプロファイルに基づいて、多孔質絶縁膜内の平均空孔径を測定することができる。
図14は、照射工程における照射時間に対する多孔質絶縁膜の平均空孔径を示している。ここでいう「平均空孔径」とは、図13の空孔分布プロファイルの面積が半分となるときの空孔径のことである。
図14のように、照射時間を長くしても、多孔質絶縁膜の平均空孔径は1nm以下を維持している。たとえば、照射時間が360secであるときの多孔質絶縁膜の平均空孔径は、照射工程を行わないときの多孔質絶縁膜の平均空孔径と同等である。この傾向は、有機シロキサン原料が単一の6員環原料のみであっても、6員環原料および8員環原料の混合原料であっても、同様である。
このように、第1の実施形態における多孔質絶縁膜の平均空孔径は、1nm以下である。これにより、多孔質絶縁膜中にガスやメタルが拡散することを抑制することができる。したがって、照射工程を行った場合であっても、半導体装置の高絶縁耐圧特性を維持することができる。
ここで、多孔質絶縁膜は、たとえば多孔質絶縁膜に溝またはビアホールを形成する工程において、エッチングガスのプラズマ中に曝される。このとき、多孔質絶縁膜がプラズマによってダメージを受ける可能性がある。具体的には、時間の経過に伴って、多孔質絶縁膜の誘電率が上昇してしまう可能性がある。また、多孔質絶縁膜が吸湿することによって、バリアメタル(BM1またはBM2等)が劣化する可能性がある。さらに、多孔質絶縁膜において、配線(IC1またはIC2等)の埋め込み不良等が発生する可能性がある。したがって、多孔質絶縁膜は、プラズマに対して耐性を有していることが好ましい。
発明者らは、以下のように、多孔質絶縁膜のプラズマに対する耐性が、空孔含有率およびC(炭素)含有率に依存することを見出した。
図15は、(空孔含有率)/(C含有率)に対する多孔質絶縁膜の「プラズマダメージ」の相関を示している。図中において、多孔質絶縁膜の「プラズマダメージ」とは、多孔質絶縁膜の表面に酸素プラズマを一定時間照射した際に、ダメージを受けた層の膜厚の相対値である。言い換えれば、図中の「プラズマダメージ」の値は、多孔質絶縁膜がプラズマによって受けるプロセスダメージの一指標である。「プラズマダメージ」の値が小さいほど、多孔質絶縁膜がダメージを受け難いことを示している。
具体的には、図中の「プラズマダメージ」とは、多孔質絶縁膜の表面に酸素プラズマを一定時間照射した後に、SiO化した表面をフッ酸にてエッチングすることによって減少した膜厚のことである。また、上記ダメージ層の膜厚は、X線反射率(XRR:X−ray Reflectivity)による膜密度解析によっても評価可能である。
また、ここでいう「空孔含有率(%)」(Porosity)とは、多孔質絶縁膜の単位体積当たりに占める空孔の体積比率(%)である。空孔含有率は、たとえばガス吸着法により求めることができる。具体的には、空孔含有率は、たとえばBET表面積測定装置(島津製作所製)を用いて測定することができる。
また、ここでいう「C(炭素)含有率(atom%)」は、多孔質絶縁膜中における全元素に対するC原子の組成比率(atom%)である。C含有率は、たとえば、X線光電子分光分析(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)法により求めることができる。その他、C含有率は、たとえば、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)、またはエネルギー分散型X線分析(EDX:Energy dispersive X−ray spectrometry)法により求めることもできる。
図15のように、(空孔含有率)/(C含有率)が小さいほど、多孔質絶縁膜の「プラズマダメージ」指標の値が小さく、強いプロセスダメージ耐性を有する。すなわち、空孔含有率が小さく、C(炭素)含有量が多いほど、良好なプロセスダメージ耐性を実現することができる。これは、空孔含有率が小さいほど、プロセスガスやプラズマが膜中に拡散しにくく、C(炭素)含有量が多いほど高誘電率化の要因であるSiO化が抑制されるためである。
ここで、(空孔含有率)/(C含有率)≧1.5のとき、多孔質絶縁膜の「プラズマダメージ」の値は1.5より大きくなる。発明者らの検討により、上記の場合、多孔質絶縁膜の誘電率の上昇、吸湿によるバリアメタル(BM1またはBM2等)の劣化、配線(IC1またはIC2等)の埋め込み不良等が発生する可能性が高いことが分かった。
したがって、多孔質絶縁膜中の空孔含有率(%)とC含有率(atom%)は、
(空孔含有率)/(C含有率)<1.5
を満たすことが好ましい。なお、多孔質絶縁膜は空孔を有しているため、具体的には、
0<(空孔含有率)/(C含有率)<1.5
を満たす。
これにより、製造工程中におけるプロセスダメージを抑制することができる。したがって、時間が経過するに伴って多孔質絶縁膜の誘電率が上昇することを抑制することができる。
また、上述のように照射工程の照射条件を調整することにより、(空孔含有率)/(C含有率)を制御することができる。これにより、上記(空孔含有率)/(C含有率)の条件を満たす多孔質絶縁膜を得ることができる。
なお、上記(空孔含有率)/(C含有率)に関する傾向は、有機シロキサン原料が環状シロキサン原料である場合に限られず、他の有機シロキサン原料を用いた場合であっても同様である。
次に、第1の実施形態の効果について説明する。
比較例として、照射工程を行わない場合について考える。多孔質絶縁膜形成工程において、活性な炭化水素が膜表面や膜内部に残留する。これらの炭化水素は、大気中の−OH基等と結合しやすい。このため、多孔質絶縁膜の保管時間が長くなるにつれて、多孔質絶縁膜の誘電率が上昇する可能性がある。
これに対して、第1の実施形態によれば、多孔質絶縁膜(PF1またはPF2)を形成した後に、波長400nm以下の光または電子線を照射する。これにより、膜表面および膜中における未反応または活性な炭化水素を、Siと結合させることができる。すなわち、多孔質絶縁膜中に安定かつ強固な−Si−(CH−Si−の架橋構造を形成することができる。−Si−(CH−Si−の架橋構造には、水分が吸着しにくい。したがって、膜中のC含有量を過度に減少させることなく、時間が経過するに伴って多孔質絶縁膜の誘電率が上昇することを抑制できる。さらに、多孔質絶縁膜の膜強度を向上させることができる。
また、第1の実施形態によれば、上記した照射工程を行った多孔質絶縁膜中の空孔含有率(%)とC含有率(atom%)は、
(空孔含有率)/(C含有率)<1.5
を満たす。これにより、製造工程中におけるプロセスダメージを抑制することができる。このような理由によっても、時間が経過するに伴って多孔質絶縁膜の誘電率が上昇することを抑制することができる。
(第2の実施形態)
図16は、第2の実施形態に係る半導体装置SDの構成を示す断面図である。第2の実施形態は、多層配線層がシングルダマシン法により形成されている点を除いて、第1の実施形態と同様である。以下、詳細を説明する。
図16のように、バリア絶縁膜IF1上には、多孔質絶縁膜PF2が設けられている。多孔質絶縁膜PF2には、たとえばシングルダマシン法により、ビアVAが設けられている。ビアVAの側面および底面には、バリアメタルBM2が設けられている。
多孔質絶縁膜PF2上には、バリア絶縁膜IF2が設けられている。バリア絶縁層IF2上には、多孔質絶縁膜PF3が設けられている。多孔質絶縁膜PF3には、たとえばシングルダマシン法により、配線IC3が設けられている。配線IC3の側面および底面には、バリアメタルBM3が設けられている。配線IC3は、ビアVAを介して、下層に位置する配線IC1に接続している。
次に、図17から図20を用い、第2の実施形態に係る半導体装置SDの製造方法について説明する。図17から図20は、第2の実施形態に係る半導体装置SDの製造方法を説明するための断面図である。第2の実施形態に係る半導体装置SDの製造方法は、シングルダマシン法である点を除いて、第1の実施形態と同様である。
図17(a)のように、炭化水素を含む有機シロキサン原料を用いて、バリア絶縁膜IF1上に多孔質絶縁膜PF2を形成する。
次いで、図17(b)のように、多孔質絶縁膜PF2に、波長400nm以下の光または電子線を照射する。この照射工程において、多孔質絶縁膜PF2中に存在する炭化水素のうち、炭化水素基となって終端されている部分を、−Si−(CH−Si−(n≧1)の架橋構造に変化させる。また、照射工程において上記した照射条件を調整することにより、空孔含有率(%)とC含有率(atom%)が(空孔含有率)/(C含有率)<1.5を満たすように多孔質絶縁膜PF2を形成する。
次いで、図示していないが、多孔質絶縁膜PF2上に、ハードマスクHMを形成する。
次いで、図18(a)のように、たとえばRIE法により、多孔質絶縁膜PF2を選択的に除去する。これにより、多孔質絶縁膜PF2に、ビアホールVHを形成する。
次いで、図18(b)のように、ビアホールVHの側面および底面に、バリアメタルBM2を形成する。次いで、ビアホールVHに金属膜MFを形成する。次いで、Cu粒成長のために熱処理を行う。
次いで、CMP法により、金属膜MFを研磨して、ビアホールVHに金属を埋め込む。これにより、多孔質絶縁膜PF2にビアVAを形成する。このとき、ハードマスクHMを除去してもよい。また、多孔質絶縁膜PF2の表層を除去してもよい。
次いで、図19(a)のように、多孔質絶縁膜PF2上に、バリア絶縁膜IF2を形成する。次いで、バリア絶縁膜IF2上に、多孔質絶縁膜PF2と同様にして、多孔質絶縁膜PF3を形成する。
次いで、図19(b)のように、多孔質絶縁膜PF3に、波長400nm以下の光または電子線を照射する。このとき、多孔質絶縁膜PF3に対する照射条件は、多孔質絶縁膜PF2に対する照射条件と異なる条件であってもよい。
次いで、図20(a)のように、たとえばRIE法により、多孔質絶縁膜PF3を選択的に除去する。これにより、多孔質絶縁膜PF3に、溝ITを形成する。
次いで、図20(b)のように、溝ITの側面および底面に、バリアメタルBM3を形成する。次いで、溝ITに金属膜MFを形成する。次いで、Cu粒成長のために熱処理を行う。
次いで、CMP法により、金属膜MFを研磨して、溝ITに金属を埋め込む。これにより、多孔質絶縁膜PF3に配線IC3を形成する。次いで、多孔質絶縁膜PF3上に、バリア絶縁膜IF3を形成する。
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。第2の実施形態のように、シングルダマシン法を用いてもよい。
(第3の実施形態)
図21は、第3の実施形態に係る半導体装置SDの構成を示す断面図である。第3の実施形態は、基板SUBにトランジスタTR等が図示されている点を除いて、第1の実施形態と同様である。以下、詳細を説明する。
図21のように、基板SUBには、開口部を有する素子分離領域DIRが形成されている。基板SUBは、たとえば半導体基板である。具体的には、基板SUBは、シリコン基板である。
素子分離領域DIRの開口部には、トランジスタTRが形成されている。トランジスタTRは、たとえば、不純物が注入されたソース領域、ドレイン領域並びにエクステンション領域、基板SUB上に形成されたゲート絶縁膜、およびゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極を備えている(以上符号不図示)。
素子分離領域DIR上には、受動素子PDが設けられていてもよい。受動素子PDは、たとえば、ポリシリコンにより形成された抵抗素子である。
基板SUBおよび素子分離領域DIRの上には、多層配線層が形成されている。多層配線層は、第1の実施形態と同様の多孔質絶縁膜を少なくとも一層以上含んでいる。
多層配線層は、ローカル配線層LLおよびグローバル配線層GLを備えている。ローカル配線層LLは、回路を形成するための配線層であり、グローバル配線層GLは、電源配線及び接地配線を引き回すための配線層である。グローバル配線層GLの最上層は、たとえばAl配線層となっている。この配線層は、電極パッドを含んでいる。ローカル配線層LLを形成する配線層、及びグローバル配線層GLの一部の層は、ダマシン法により形成されている。
ここで、たとえば、ローカル配線層LLのうち2層目から上層の層間絶縁層は、すべて第1の実施形態と同様の多孔質絶縁膜である。また、たとえば、グローバル配線層GLのうち、最上層の配線層を除く層間絶縁層は、第1と同様の多孔質絶縁膜である。なお、全ての層間絶縁層が多孔質絶縁膜であってもよい。
第3の実施形態に係る半導体装置SDの製造方法は、基板SUBにトランジスタTR等を形成する点を除いて、第1の実施形態と同様である。
たとえば、STI(Shallow Trench Isolation)法により、基板SUBに、開口部(符号不図示)を有する素子分離領域DIRを形成する。なお、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法により、素子分離領域DIRを形成してもよい。
次いで、基板SUB上に、ゲート絶縁層およびゲート電極を形成する。このとき、素子分離領域DIR上に受動素子PDも同時に形成する。
次いで、当該ゲート絶縁層およびゲート電極をマスクとして、基板SUBに不純物をイオン注入することにより、エクステンション領域を形成する。次いで、ゲート絶縁層およびゲート電極の側壁に側壁絶縁膜を形成する。次いで、これらをマスクとして、基板SUBに不純物をイオン注入することにより、ソース領域およびドレイン領域を形成する。以上により、トランジスタTRを形成する。
次いで、基板SUBおよび素子分離領域DIRの上に、多層配線層を形成する。多層配線層のうち、少なくとも一層の層間絶縁層として第1の実施形態の多孔質絶縁膜を形成する。
第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。第3の実施形態のように、基板SUBにトランジスタTR等の半導体素子が形成されていてもよい。
以上の実施形態において、環状有機シロキサン原料を用いてプラズマCVD法またはプラズマ重合法によって多孔質絶縁膜を形成する方法を説明した。プラズマCVD法またはプラズマ重合法によって多孔質絶縁膜を形成する際には、環状有機シロキサン原料に限られず、たとえば直鎖状などの他の有機シロキサン原料であってもよい。
また、以上の実施形態において、ポロジェンを含む有機シロキサン原料を用いて多孔質絶縁膜を形成してもよい。この場合、たとえば以下のようにして、多孔質絶縁膜を形成する。まず、当該有機シロキサン原料を含む膜を塗布法により形成する。次いで、加熱またはUV光を照射することにより、ポロジェンを分解して多孔質絶縁膜を形成する。次いで、空孔を有する多孔質絶縁膜が形成された状態で、照射工程を行う。このような方法で、多孔質絶縁膜を形成してもよい。
(第4の実施形態)
図23は、第4の実施形態に係る半導体装置の断面図である。この半導体装置は、MRAM(Magnetic Random Access Memory)とロジック回路とを混載したものである。図23は、MRAMの断面を示している。本図に示すMRAMは、MTJ素子(Magnetic Tunnel Junction)100を有している。
図23(b)に示すように、ロジック領域には、ロジック回路を構成するトランジスタが形成されている。図23(b)には、そのトランジスタのソースドレイン領域117が示されている。
このトランジスタの上には、多孔質絶縁膜160、170、180、190がこの順に積層されている。これにより、多層配線層が形成されている。多孔質絶縁膜160、170、180、190は、上記した第1〜第3の実施形態のいずれかに示した方法により形成されている。すなわち多孔質絶縁膜160、170、180、190を形成するときの温度、及び光照射時又は電子線照射時の温度は、100℃以上400℃以下である。そして、MTJ素子100は、上記した多層配線層の中に形成されている。
MRAMは磁性体の磁化方向により、0、1判定をし、これにより記憶素子として動作する。一般に、磁性体の磁化が反転するモードは、反転核生成モードと磁壁移動モードの二つが有る。本実施形態において、MTJ素子100は、磁壁移動モードの素子とする。ただし、MTJ素子100は、反転核生成モードの素子であってもよい。
図23(a)に示すように、MTJ素子100は、スピン吸収層112,114、磁壁移動層120、トンネルバリア層130及びピン層140をこの順に積層した構造を有している。スピン吸収層112、114の下面は、コンタクト152、154を介してそれぞれ拡散層に接続している。コンタクト152、154は、多孔質絶縁膜160に埋め込まれている。スピン吸収層112、114は、多孔質絶縁膜170に埋め込まれている。磁壁移動層120、トンネルバリア層130及びピン層140は、多孔質絶縁膜180に埋め込まれている。詳細には、ピン層140は、多孔質絶縁膜180に形成された貫通孔の内壁及び外周に沿って形成されている。そして、この貫通孔のうちピン層140の上に位置する部分には、反強磁性層142が充填されている。配線111は多孔質絶縁膜180上に形成されている。ピン層140及び反強磁性層142の上面は多孔質絶縁膜180に被覆されておらず、配線111に接続している。配線111上には、ビア115及び配線116が形成されている。ビア115及び配線116は、多孔質絶縁膜190に埋め込まれている。
磁壁移動層120の磁化方向は、書き込み電流によって制御される。磁壁移動層120の磁化方向によって、書き込まれた情報の0、1が判定される。なお、ピン層140の磁化の方向は、反強磁性層142によって固定されている。
MTJ素子100は400℃以上の熱処理によって以下のような信頼性劣化が発生する。1つは熱処理により反強磁性層142の結晶構造が変化する。この場合、反強磁性層142の磁化方向が変化し、ピン層140の磁化方向が固定できなくなる。もう1つは熱処理によりトンネルバリア層130を通して金属拡散が発生し、磁壁移動層120やピン層140の磁化特性が変化する。
このため、多層配線層を形成する絶縁膜を高温プロセスで形成した場合、MTJ素子100の歩留まりが低下する。これに対して本実施形態では、多層配線層を形成する多孔質絶縁膜160、170、180、190は、第1〜第3の実施形態のいずれかに示した方法によって形成されている。このため、MTJ素子100をロジック回路と混載しても、MTJ素子100に熱負荷が加わってMTJ素子100の歩留まりが低下することを抑制できる。
なお、図23(a)において、MTJ素子100は、ロジック回路の配線が引き回されている配線層(下層配線層)に配置されているが、電源配線が引き回されている配線層(上層配線層)に形成されていてもよい。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
なお、以上の実施形態には、下記に示す発明も開示されている。
(付記1)
炭化水素を含む有機シロキサン原料を用いて、多孔質絶縁膜を形成する多孔質絶縁膜形成工程と、
前記多孔質絶縁膜に、波長400nm以下の光または電子線を照射する照射工程と、
を備える多孔質絶縁膜の製造方法。
(付記2)
付記1に記載の多孔質絶縁膜の製造方法において、
前記照射工程において、
前記多孔質絶縁膜中に存在する前記炭化水素のうち、炭化水素基となって終端されている部分を、−Si−(CH−Si−(n≧1)の架橋構造に変化させる多孔質絶縁膜の製造方法。
(付記3)
付記1に記載の多孔質絶縁膜の製造方法において、
前記多孔質絶縁膜中の空孔含有率(%)とC含有率(atom%)は、
(空孔含有率)/(C含有率)<1.5
を満たす多孔質絶縁膜の製造方法。
(付記4)
付記1に記載の多孔質絶縁膜の製造方法において、
前記多孔質絶縁膜の平均空孔径は、1nm以下である多孔質絶縁膜の製造方法。
(付記5)
付記1に記載の多孔質絶縁膜の製造方法において、
前記多孔質絶縁膜形成工程において、
前記有機シロキサン原料は、一つのシリコン原子に対して少なくとも二つ以上の炭素原子を有する多孔質絶縁膜の製造方法。
(付記6)
付記1に記載の多孔質絶縁膜の製造方法において、
前記多孔質絶縁膜形成工程において、
前記有機シロキサン原料は、不飽和炭化水素基を有する多孔質絶縁膜の製造方法。
(付記7)
付記1に記載の多孔質絶縁膜の製造方法において、
前記多孔質絶縁膜形成工程において、
前記有機シロキサン原料は、下記化学式(1)に示される環状有機シリカ骨格を有する多孔質絶縁膜の製造方法。
Figure 2013214697
・・・・(1)
(ただし、化学式(1)において、nは2〜5であり、Rx及びRyはそれぞれ水素、不飽和炭化水素基及び飽和炭化水素基の何れかであり、前記不飽和炭化水素基および前記飽和炭化水素基の各々は、ビニル基、アリル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、およびターシャリーブチル基の何れかである。)
(付記8)
付記7に記載の多孔質絶縁膜の製造方法において、
前記多孔質絶縁膜形成工程において、
nが互いに異なる2種類以上の前記有機シロキサン原料を用いて前記多孔質絶縁膜を形成する多孔質絶縁膜の製造方法。
(付記9)
付記7に記載の多孔質絶縁膜の製造方法において、
前記多孔質絶縁膜形成工程において、
nが3である前記有機シロキサン原料を用いて前記多孔質絶縁膜を形成する多孔質絶縁膜の製造方法。
(付記10)
付記7に記載の多孔質絶縁膜の製造方法において、
前記多孔質絶縁膜形成工程において、
nが3および4である2種類以上の前記有機シロキサン原料を用いて前記多孔質絶縁膜を形成する多孔質絶縁膜の製造方法。
(付記11)
付記1に記載の多孔質絶縁膜の製造方法において、
前記照射工程の後に、前記多孔質絶縁膜に溝またはビアホールを形成し、金属を埋め込むことにより配線またはビアを形成する工程をさらに備える多孔質絶縁膜の製造方法。
(付記12)
付記1に記載の多孔質絶縁膜の製造方法において、
前記照射工程において、
不活性ガスを流しながら前記多孔質絶縁膜に前記光または前記電子線を照射する多孔質絶縁膜の製造方法。
(付記13)
Si、O、CおよびHを含むとともに、空孔を含み、
空孔含有率(%)とC含有率(atom%)は、
(空孔含有率)/(C含有率)<1.5
を満たす多孔質絶縁膜。
(付記14)
付記13に記載の多孔質絶縁膜において、
−Si−O−Si−に対する−Si−(CH−Si−(n≧1)の比率が0.001以上である多孔質絶縁膜。
(付記15)
Si、O、CおよびHを含むとともに、空孔を含み、
−Si−O−Si−に対する−Si−(CH−Si−(n≧1)の比率が0.001以上である多孔質絶縁膜。
(付記16)
付記13又は15に記載の多孔質絶縁膜において、
平均空孔径は、1nm以下である多孔質絶縁膜。
(付記17)
付記13又は15に記載の多孔質絶縁膜において、
不飽和炭化水素基を含む多孔質絶縁膜。
(付記18)
付記13又は15に記載の多孔質絶縁膜において、
Si−O環状構造を含む多孔質絶縁膜。
(付記19)
付記13又は15に記載の多孔質絶縁膜において、
6員環のSi−O環状構造、または6員環のSi−O環状構造および8員環のSi−O環状構造の混合構造を含む多孔質絶縁膜。
(付記20)
Si、O、CおよびHを含む多孔質絶縁膜と、
前記多孔質絶縁膜に設けられた配線またはビアと、
を備え、
前記多孔質絶縁膜中の空孔含有率(%)とC含有率(atom%)は、
(空孔含有率)/(C含有率)<1.5
を満たす半導体装置。
(付記21)
Si、O、CおよびHを含む多孔質絶縁膜と、
前記多孔質絶縁膜に設けられた配線またはビアと、
を備え、
前記多孔質絶縁膜中のうち、−Si−O−Si−に対する−Si−(CH−Si−(n≧1)の比率が0.001以上である半導体装置。
(付記22)
付記20又は21に記載の半導体装置において、
前記多孔質絶縁膜は、6員環のSi−O環状構造、または6員環のSi−O環状構造および8員環のSi−O環状構造の混合構造を含む半導体装置。
(付記23)
付記20又は21に記載の半導体装置において、
前記多孔質絶縁膜は、多層配線層の層間絶縁膜であり、
前記多層配線層に設けられたメモリ素子を有する半導体装置。
(付記24)
付記23に記載の半導体装置において、
前記メモリ素子はMTJ素子である半導体装置。
PF1 多孔質絶縁膜
PF2 多孔質絶縁膜
PF3 多孔質絶縁膜
IC1 配線
IC2 配線
IC3 配線
VA ビア
BM1 バリアメタル
BM2 バリアメタル
BM3 バリアメタル
IF1 バリア絶縁膜
IF2 バリア絶縁膜
IF3 バリア絶縁膜
VH ビアホール
IT 溝
SD 半導体装置
SUB 基板
TR トランジスタ
PD 受動素子
LL ローカル配線層
GL グローバル配線層
HM ハードマスク
MF 金属膜
DIR 素子分離領域

Claims (20)

  1. 炭化水素を含む有機シロキサン原料を用いて、多孔質絶縁膜を形成する多孔質絶縁膜形成工程と、
    前記多孔質絶縁膜に、波長400nm以下の光または電子線を照射する照射工程と、
    を備える半導体装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記照射工程において、
    前記多孔質絶縁膜中に存在する前記炭化水素のうち、炭化水素基となって終端されている部分を、−Si−(CH−Si−(n≧1)の架橋構造に変化させる半導体装置の製造方法。
  3. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記多孔質絶縁膜中の空孔含有率(%)とC含有率(atom%)は、
    (空孔含有率)/(C含有率)<1.5
    を満たす半導体装置の製造方法。
  4. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記多孔質絶縁膜の平均空孔径は、1nm以下である半導体装置の製造方法。
  5. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記多孔質絶縁膜形成工程において、
    前記有機シロキサン原料は、一つのシリコン原子に対して少なくとも二つ以上の炭素原子を有する半導体装置の製造方法。
  6. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記多孔質絶縁膜形成工程において、
    前記有機シロキサン原料は、不飽和炭化水素基を有する半導体装置の製造方法。
  7. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記多孔質絶縁膜形成工程において、
    前記有機シロキサン原料は、下記化学式(1)に示される環状有機シリカ骨格を有する半導体装置の製造方法。
    Figure 2013214697
    ・・・・(1)
    (ただし、化学式(1)において、nは2〜5の整数であり、Rx及びRyはそれぞれ水素、不飽和炭化水素基及び飽和炭化水素基の何れかであり、前記不飽和炭化水素基および前記飽和炭化水素基の各々は、ビニル基、アリル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、およびターシャリーブチル基の何れかである。)
  8. 請求項7に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記多孔質絶縁膜形成工程において、
    nが互いに異なる2種類以上の前記有機シロキサン原料を用いて前記多孔質絶縁膜を形成する半導体装置の製造方法。
  9. 請求項7に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記多孔質絶縁膜形成工程において、
    nが3である前記有機シロキサン原料を用いて前記多孔質絶縁膜を形成する半導体装置の製造方法。
  10. 請求項7に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記多孔質絶縁膜形成工程において、
    nが3および4である2種類以上の前記有機シロキサン原料を用いて前記多孔質絶縁膜を形成する半導体装置の製造方法。
  11. 請求項7に記載の半導体装置の製造方法において、
    nがnである第1の前記有機シロキサン原料及びnがnである第2の前記有機シロキサン原料を用いて前記多孔質絶縁膜を形成し、
    前記第1の有機シロキサン原料に対する前記第2の有機シロキサン原料の混合比率は、n/n×0.8以上n/n×1.2以下である半導体装置の製造方法。
  12. 請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、
    は3であり、nは4である半導体装置の製造方法。
  13. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記照射工程の後に、前記多孔質絶縁膜に溝またはビアホールを形成し、金属を埋め込むことにより配線またはビアを形成する工程をさらに備える半導体装置の製造方法。
  14. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記照射工程において、
    不活性ガスを流しながら前記多孔質絶縁膜に前記光または前記電子線を照射する半導体装置の製造方法。
  15. Si、O、CおよびHを含む多孔質絶縁膜と、
    前記多孔質絶縁膜に設けられた配線またはビアと、
    を備え、
    前記多孔質絶縁膜中の空孔含有率(%)とC含有率(atom%)は、
    (空孔含有率)/(C含有率)<1.5
    を満たす半導体装置。
  16. 請求項15に記載の半導体装置において、
    前記多孔質絶縁膜中のうち、−Si−O−Si−に対する−Si−(CH−Si−(n≧1)の比率が0.001以上である半導体装置。
  17. Si、O、CおよびHを含む多孔質絶縁膜と、
    前記多孔質絶縁膜に設けられた配線またはビアと、
    を備え、
    前記多孔質絶縁膜中のうち、−Si−O−Si−に対する−Si−(CH−Si−(n≧1)の比率が0.001以上である半導体装置。
  18. 請求項15に記載の半導体装置において、
    前記多孔質絶縁膜の平均空孔径は、1nm以下である半導体装置。
  19. 請求項15に記載の半導体装置において、
    前記多孔質絶縁膜は、不飽和炭化水素基を含む半導体装置。
  20. 請求項15に記載の半導体装置において、
    前記多孔質絶縁膜は、Si−O環状構造を含む半導体装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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