JP2013214554A - 発振装置および電子装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の原子発振器1は、ガス状のアルカリ金属原子が封入されるガスセル21と、ガスセル21内のアルカリ金属原子を励起する励起光を出射する光出射部22と、ガスセル21を透過した励起光を検出する光検出部23とを有する原子発振器2と、水晶振動子31を有する温度制御型水晶発振器3とを備え、ガスセル21、光出射部22、光検出部23および水晶振動子31を含む複数の部品8が、互いに熱的に結合するように配置されている。
【選択図】図1
Description
このような原子発振器は、一般に、長期的に高精度な発振特性(高い長期安定度)を有するものの、短期的な発振特性(短期安定度)が水晶発振器に劣る。
そこで、従来、このような原子発振器を備える発振装置として、原子発振器と、温度制御型水晶発振器(OCXO)とを有し、原子発振器の出力信号に基づいて、温度制御型水晶発振器の出力信号を補正するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、このような従来の発振装置では、原子発振器および温度制御型水晶発振器が互いに別々のブロックとして構成されているため、発振装置の構成が複雑化するとともに発振装置全体が大型化するという問題があった。
[適用例1]
本発明の発振装置は、ガス状の原子が封入されるガスセルと、前記原子を励起する励起光を出射する光出射部と、前記ガスセルを透過した前記励起光を検出する光検出部とを有する原子発振器と、
振動子を有する温度制御型発振器とを備え、
前記ガスセル、前記光出射部、前記光検出部および前記振動子のうちの少なくとも前記ガスセルおよび前記振動子を含む複数の部品が、互いに熱的に結合するように配置されていることを特徴とする。
また、原子発振器の出力信号に基づいて温度制御型発振器の出力を補正することにより、長期にわたり優れた発振特性を発揮することができる。
本発明の発振装置では、前記複数の部品は、同一の筐体内に収納されているのが好ましい。
これにより、複数の部品に対する外部の温度変化の影響を低減することができる。また、複数の部品間での熱交換を効率的に生じさせることができる。
本発明の発振装置では、前記複数の部品のうちの少なくとも1つの部品を加熱または冷却する温度調節素子を備えるのが好ましい。
これにより、外部の温度が変化しても、複数の部品の温度を適正温度範囲に維持することができる。
本発明の発振装置では、前記複数の部品は、一方向に並んで配置されているのが好ましい。
これにより、各部品の適正温度範囲が異なる場合であっても、複数の部品の並ぶ順序を適宜設定することにより、各部品の温度を効率的に適正温度範囲に維持することができる。また、複数の部品同士の間の距離を小さくすることができるので、発振装置の小型化を図ることができる。
本発明の発振装置では、前記複数の部品は、前記光出射部を含むのが好ましい。
これにより、発振装置の小型化を図りつつ、光出射部の温度を適正温度範囲に維持することができる。その結果、光出射部からの励起光の周波数の変動を防止または抑制することができる。
本発明の発振装置では、前記ガスセルは、前記光出射部と前記水晶振動子とに挟まれているのが好ましい。
一般に、ガラスセルの適正温度範囲は、光出射部の適正温度範囲よりも高く、また、振動子(水晶振動子)の適正温度範囲よりも低い。したがって、光出射部をガスセルに対して振動子とは反対側に配置することにより、適正温度範囲の大小順に、光出射部、ガスセル、振動子を配置することができる。そのため、光出射部、ガスセル、振動子を含む複数の部品の温度調節をそれぞれ効率的に行うことができる。
本発明の発振装置では、前記複数の部品は、前記光検出部を含み、
前記光検出部は、前記ガスセルと前記振動子との間に設けられているのが好ましい。
これにより、光出射部、ガスセル、振動子を適正温度範囲の大小順に配置しつつ、ガスセルを透過した励起光を光検出部で検出することができる。
本発明の発振装置では、前記原子発振器の出力信号に基づいて、前記温度制御型発振器の出力信号を補正する補正手段を備えるのが好ましい。
これにより、原子発振器の長期的に優れた発振特性と、温度制御型発振器の短期的に優れた発振特性との両長所を生かし、長期にわたり優れた発振特性を発揮することができる。
[適用例9]
本発明の電子装置は、本発明の発振装置を備えることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する電子装置を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る発振装置の概略構成を示すブロック図、図2は、図1に示す発振装置の概略構成を示す断面図、図3は、図1に示す発振装置の原子発振器に備えられたガスセル内のアルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図、図4は、図1に示す発振装置の原子発振器に備えられた光出射部および光検出部について、光出射部からの2つの光の周波数差と、光検出部の検出強度との関係を示すグラフである。
ここで、図1に示すように、原子発振器2は、ガスセル21と、光出射部22と、光検出部23と、発振回路24とを備える。また、温度制御型水晶発振器3は、水晶振動子31(振動子)と、発振回路32とを備える。
この発振装置1では、原子発振器2の温度制御が必要な部品と温度制御型水晶発振器3の温度制御が必要な部品とを共通の温度調節手段5により温度調節する。これにより、発振装置1の小型化および簡素化を図ることができる。
また、補正手段4が、原子発振器2の出力信号に基づいて温度制御型水晶発振器3の出力を補正する。これにより、長期にわたり優れた発振特性を発揮することができる。
[原子発振器]
原子発振器2は、量子干渉効果を利用して発振するように構成された原子発振器である。量子干渉効果を利用した原子発振器は、二重共鳴現象を利用した原子発振器に比し、小型化を図ることができる。
この原子発振器2は、図1に示すように、ガスセル21と、光出射部22と、光検出部23と、発振回路24とを備え、これらのうち、ガスセル21、光出射部22および光検出部23が、筐体6内に収納されている。なお、発振回路24も筐体6内に収納されていてもよい。
ガスセル21内には、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属が封入されている。
アルカリ金属は、図3に示すように、3準位系のエネルギー準位を有しており、エネルギー準位の異なる2つの基底状態(基底状態1、2)と、励起状態との3つの状態をとり得る。ここで、基底状態1は、基底状態2よりも低いエネルギー状態である。
そして、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数に一致したとき、基底状態1、2から励起状態への励起がそれぞれ停止する。このとき、共鳴光1、2は、いずれも、アルカリ金属に吸収されずに透過する。このような現象をCPT現象または電磁誘起透明化現象(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)と呼ぶ。
この本体部を構成する材料は、特に限定されず、金属材料、樹脂材料等であってもよく、窓部と同様にガラス材料、水晶等であってもよい。また、この窓部を構成する材料としては、前述したような励起光に対する透過性を有していれば、特に限定されないが、例えば、ガラス材料、水晶等が挙げられる。
また、ガスセル21には、必要に応じて、通電によりコイルからの磁場が印加される。これにより、ガスセル21中のアルカリ金属の縮退している異なるエネルギー状態間のギャップを拡げて、分解能を向上させることができる。その結果、原子発振器2の発振周波数の精度を高めることができる。
より具体的には、光出射部22は、ガスセル21に向けて、前述したような周波数の異なる2種の光(共鳴光1および共鳴光2)を出射するものである。
共鳴光1の周波数ω1は、ガスセル21中のアルカリ金属を前述した基底状態1から励起状態に励起し得るものである。
このような光出射部22としては、前述したような励起光を出射し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)等の半導体レーザー等を用いることができる。
光検出部23は、ガスセル21の内部空間Sを透過した励起光(共鳴光1、2)の強度を検出する機能を有する。
具体的には、光検出部23は、前述したようなEIT信号の有無を検出する。
この光検出部23としては、上述したような励起光を検出し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、太陽電池、フォトダイオード等の光検出器(受光素子)を用いることができる。
このような光出射部22、ガスセル21および光検出部23は、この順で一方向に並んで配置されている。すなわち、ガスセル21は、光出射部22と光検出部23との間に設けられている。
また、この発振回路24は、発振周波数が可変であり、光検出部23で検出されたEIT信号に基づいて、発振周波数が補正される。例えば、発振回路24は、上記水晶振動子と組み合わせた状態で、電圧制御型水晶発振器を構成するものである。
温度制御型水晶発振器3は、図1に示すように、水晶振動子31と、発振回路32とを備える。
水晶振動子31は、筐体6内に設けられている。
そして、水晶振動子31と前述した光検出部23との間には、温度調節素子51が設けられている。主に、この温度調節素子51によって、水晶振動子31が温度調節される。
水晶振動子31は、図示しないが、水晶振動片と、この水晶振動片を収納するパッケージとを有する。なお、このパッケージ内には、発振回路32が収納されていてもよい。
水晶振動子31は、特に限定されず、各種水晶振動子を用いることができるが、例えば、ATカット振動子、STカット振動子等を用いることができる。
また、発振回路32は、発振周波数が可変であり、後述する補正手段4により、前述した原子発振器2の出力信号に基づいて、発振周波数が補正される。例えば、温度制御型水晶発振器3は、電圧制御型水晶発振器(Voltage Controlled Oscillator)を構成するものである。
補正手段4は、前述した原子発振器2の出力信号(発振周波数)に基づいて、前述した温度制御型水晶発振器3の出力信号(発振周波数)を補正するものである。これにより、長期にわたり優れた発振特性を発揮することができる。
この補正手段4は、図1に示すように、周波数比較器41と、周波数制御回路42とを備える。
周波数制御回路42は、周波数比較器41の比較結果に基づいて、温度制御型水晶発振器3の出力信号(発振周波数)を制御するものである。具体的には、周波数制御回路42は、周波数比較器41の比較結果に基づいて、温度制御型水晶発振器3の発振周波数を原子発振器2の発振周波数に一致させるように制御する。
筐体6(ハウジング)は、図2に示すように、前述したガスセル21、光出射部22、光検出部23および水晶振動子31を収納する。この筐体6に収納されたガスセル21、光出射部22、光検出部23および水晶振動子31を含む複数の部品8は、互いに熱的に結合するように配置されている。
このような筐体6は、ガスセル21、光出射部22、光検出部23、水晶振動子31および温度調節素子51〜53からなる複数の部品8(集合体)を収納する空間を有する。
本実施形態では、筐体6内には、回路基板71(配線基板)が複数の部品8とともに収納されている。この回路基板71は、複数の端子73を介して、水晶振動子31を支持するとともに、水晶振動子31に電気的に接続されている。
この回路基板71は、複数の端子72を介して筐体6に支持されている。
この複数の端子72は、筐体6を内外に貫通している。そして、この複数の端子72は、回路基板71に電気的に接続されている。
また、本実施形態では、筐体6内(筐体6の複数の部品8を収納する空間)は、減圧されているのが好ましい。これにより、筐体6内にて複数の部品8を覆う空間で構成された断熱層の断熱性を高めることができる。そのため、筐体6内に対する外部の温度変化の影響をより効果的に低減することができる。
温度調節手段5は、前述した筐体6内を所定温度に温度調節するものである。
この温度調節手段5は、図1に示すように、温度調節素子51〜53と、温度制御回路54とを備える。
温度調節素子51〜53は、前述した複数の部品8のうちの少なくとも1つの部品を加熱または冷却するものである。これにより、外部の温度が変化しても、複数の部品8の温度を適正温度範囲に維持することができる。
この温度調節素子51は、主に、光検出部23および水晶振動子31を加熱または冷却するものである。これにより、外部(筐体6の外部)の温度が変化しても、光検出部23および水晶振動子31の温度を適正温度範囲に維持することができる。
この温度調節素子52は、主に、ガスセル21を加熱または冷却するものである。これにより、外部(筐体6の外部)の温度が変化しても、ガスセル21の温度を適正温度範囲に維持することができる。
この温度調節素子53は、主に、光出射部22を加熱または冷却するものである。これにより、外部(筐体6の外部)の温度が変化しても、光出射部22の温度を適正温度範囲に維持することができる。
また、複数の部品8は、一方向に並んで配置されている。これにより、複数の部品8の各部品の適正温度範囲が異なる場合であっても、複数の部品8の並ぶ順序を適宜設定することにより、各部品の温度を効率的に適正温度範囲に維持することができる。また、複数の部品8同士の間の距離を小さくすることができるので、発振装置1の小型化を図ることができる。
また、光出射部22は、ガスセル21に対して水晶振動子31とは反対側に設けられている。すなわち、ガスセル21は、光出射部22と水晶振動子31とに挟まれている。
また、温度制御回路54は、温度調節素子51〜53の加熱または冷却の対象物である複数の部品8の温度がそれぞれ所望の温度範囲となるように、温度調節素子51〜53への通電を制御するものである。例えば、温度制御回路54は、図示しない温度センサーの検出結果に基づいて、温度調節素子51〜53への通電を制御する。
また、原子発振器2の出力信号(発振周波数)に基づいて温度制御型水晶発振器3の出力信号(発振周波数)を補正することにより、長期にわたり優れた発振特性を発揮することができる。
図5に示す測位システム100は、GPS衛星200と、基地局装置300と、GPS受信装置400とで構成されている。
GPS衛星200は、測位情報(GPS信号)を送信する。
ここで、受信装置302は、その基準周波数発振源として前述した本発明の発振装置1を備える電子装置である。このような受信装置302は、優れた信頼性を有する。また、受信装置302で受信された測位情報は、リアルタイムで送信装置304により送信される。
以上、本発明の発振装置および電子装置について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、前述した実施形態では、温度調節素子が複数の部品8のいずれかに接触するように設けられていたが、これに限定されず、例えば、温度調節素子を筐体6の内周面上または外周面上に設けてもよい。
また、前述した実施形態では、ガスセル、光出射部、光検出部および水晶振動子からなる複数の部品が互いに熱的に結合するように配置されている場合を例に説明したが、これに限定されず、少なくともガスセルおよび水晶振動子が互いに熱的に結合するように配置されていれば、本発明の効果を奏し得る。
Claims (9)
- ガス状の原子が封入されるガスセルと、前記原子を励起する励起光を出射する光出射部と、前記ガスセルを透過した前記励起光を検出する光検出部とを有する原子発振器と、
振動子を有する温度制御型発振器とを備え、
前記ガスセル、前記光出射部、前記光検出部および前記振動子のうちの少なくとも前記ガスセルおよび前記振動子を含む複数の部品が、互いに熱的に結合するように配置されていることを特徴とする発振装置。 - 前記複数の部品は、同一の筐体内に収納されている請求項1に記載の発振装置。
- 前記複数の部品のうちの少なくとも1つの部品を加熱または冷却する温度調節素子を備える請求項1または2に記載の発振装置。
- 前記複数の部品は、一方向に並んで配置されている請求項1ないし3のいずれか一項に記載の発振装置。
- 前記複数の部品は、前記光出射部を含む請求項1ないし4のいずれか一項に記載の発振装置。
- 前記ガスセルは、前記光出射部と前記水晶振動子とに挟まれている請求項5に記載の発振装置。
- 前記複数の部品は、前記光検出部を含み、
前記光検出部は、前記ガスセルと前記振動子との間に設けられている請求項6に記載の発振装置。 - 前記原子発振器の出力信号に基づいて、前記温度制御型発振器の出力信号を補正する補正手段を備える請求項1ないし7のいずれか一項に記載の発振装置。
- 請求項1ないし8のいずれか一項に記載の発振装置を備えることを特徴とする電子装置。
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