JP2013213418A - スクリュー圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】部分負荷運転時の吐出損失の増大を抑制しつつ、漏れ損失を低減できるスクリュー圧縮機を得ることを目的とする。
【解決手段】圧縮室11で圧縮した流体を吐出する吐出ポート15を、可変ポート16と固定ポート17とで構成する。可変ポート16は、スライドバルブ12の移動によって開口面積と吐出開始のタイミングとを変更できるポートである。固定ポート17は、可変ポート16とゲートロータ7との間に設けられ、スライドバルブ12が移動しても開口面積が変化しないポートである。そして、固定ポート17のゲートロータ側壁面17Aとゲートロータ7との距離を、回転軸方向の吐出側よりも吸入側が相対的に長くなるようにした。
【選択図】図3

Description

本発明は、冷凍・空調用途等の冷凍サイクル内で用いられるスクリュー圧縮機に関するものである。
この種のスクリュー圧縮機として、一端が流体の吸入側となり他端が吐出側となるスクリューロータの回転軸方向へスライド移動する柱状のスライドバルブを有するものがある(例えば、特許文献1参照)。スライドバルブは、圧縮室で圧縮された高圧ガスの吐出開始(圧縮完了)位置を変更するものであり、吐出面積を変化させて吸入容積に対する吐出容積の比率を変更するものである。
特許文献1では、運転負荷に応じた運転圧力比(吐出圧力/吸入圧力)に対して、高い圧縮機効率が得られる容積比になるようにスライドバルブのスライド停止位置を制御しており、運転状態が全負荷運転なのか部分負荷運転なのかに応じてスライドバルブの位置を変化させている。具体的には、スライドバルブは、部分負荷運転時は吸入側に位置して吐出ポートの開度を大きくし、全負荷運転時は吐出側に位置して吐出ポートの開度を小さくするように位置が変化する。
特許文献1のスクリュー圧縮機の吐出ポートは、スクリューロータを収容するケーシングに設けた開口部の内壁面とスライドバルブの吐出側端面とで形成されており、可変ポートと固定ポートとを有している。可変ポートは、スライドバルブの移動によりスライドバルブによる閉塞部分が開放されるか又は逆方向の移動によって開放部分が閉塞されることにより面積変化するポートである。固定ポートは、可変ポートと、ケーシングにおいてゲートロータ歯が挿入される開口部(以下、ゲートロータ用開口部と称する)との間に設けられ、スライドバルブの位置によらず常に開放された状態のポートである。
特許文献1に記載の従来のスクリュー圧縮機では、固定ポート及び可変ポートに加えて更に、部分負荷運転時の吐出面積拡大を目的として平行四辺形形状の複数の副ポートが、可変ポートとゲートロータ用開口部との間において固定ポートの吸入側に並設されている。
ここで、固定ポートは、全負荷運転時のスライドバルブの位置に合わせて吐出面積が確保できるように形成される。また、副ポートはスライドバルブが吸入側にスライドする部分負荷運転で圧縮室及び可変ポートに連通し、スライドバルブが吐出側へスライドする全負荷運転ではスライドバルブによって閉塞されるように、固定ポートとは切り離して形成されている。特許文献1では、以上のように固定ポートと副ポートを設けることにより、圧力の異なる圧縮室同士が連通することを防止すると共に、部分負荷の運転状態において十分な大きさの吐出面積を確保することを可能としている。
特開2011−132834号公報(要約、図6)
ところで、吐出ポートを構成する開口部のうちゲートロータ用開口部側の内壁面とゲートロータ用開口部の吐出ポート側の内壁面との間の領域部分は、ゲートロータ歯の回転軸方向において低圧側と高圧側とを区画するシール部として機能する。特許文献1のスクリュー圧縮機は、このシール部に複数の副ポートが並設されているため、高圧側から低圧側へ冷媒ガスが漏れやすくなる。
つまり、副ポートや固定ポートの面積を拡大すると、吐出抵抗が低減するため吐出損失を低減させることができる一方、漏れ損失が多くなる。このように固定ポートや副ポートの拡大に関しては、圧縮機内部で発生する二大損失である漏れ損失と吐出損失がトレードオフの関係となり、特許文献1に記載の従来のスクリュー圧縮機は吐出損失の低減を重視したものとなっている。
スクリュー圧縮機が搭載される冷凍機の省エネルギーの指標として、従来は定格条件(全負荷条件:100%負荷)での成績係数(能力/消費電力)を用いることが主流であった。しかし、最近では実運転条件に近い指標、例えば米国で定められている期間成績係数IPLV(Integrated Part Load Value)が注目されてきている。
一般的な冷凍機では、年間を通じて定格条件で運転される時間は非常に短く、年間を通した運転時間のうち9割以上が部分負荷で運転され、部分負荷のうち特に75〜50%負荷がその大半を占める。全負荷運転と部分負荷運転では、冷媒循環流量や運転圧縮比が異なり、成績係数も変化する。このような実運転の状況を考慮し、期間成績係数が注目されてきたのである。つまり、期間成績係数は部分負荷条件での成績係数を重視した指標となっている。
冷媒循環流量が少なくなるにつれ、圧縮機内部で発生する二大損失のうち吐出損失の占める割合は小さくなり、漏れ損失の占める割合は大きくなる。部分負荷運転では冷媒循環流量が全負荷運転時に比べて少なくなるため、漏れ損失の占める割合が大きくなる。それにもかかわらず、特許文献1の構成では、吐出損失の低減を重視した構成としているため、年間の運転時間の大半を占める部分負荷運転時の漏れ損失が多くなり、効率が低下する問題があった。
また、従来より、副ポートを設けず固定ポートのみを設けたスクリュー圧縮機がある。この種のスクリュー圧縮機において漏れ損失の低減を図るべく、むやみに固定ポートを無くしてしまうと、吐出行程終盤で吐出面積(スクリューロータの外周に設けたスクリュー溝(圧縮室)と吐出ポートとの対向領域)が無くなってしまう。このため、吐出行程終盤から吐出完了までの間、スクリューロータとスクリューロータを収容するケーシングとの間等の隙間からのみしか冷媒が排出されなくなり、圧縮室内の圧力が過度に上昇してしまう問題がある。
本発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであり、部分負荷運転時の吐出損失の増大を抑制しつつ、漏れ損失を低減でき、ひいては年間を通じて高効率な運転を可能とするスクリュー圧縮機を得ることを目的とする。
本発明に係るスクリュー圧縮機は、複数条のスクリュー溝が外周面に形成され、一端が流体の吸入側となり他端が吐出側となるスクリューロータと、スクリュー溝に噛み合わされる複数の歯が外周部に形成されたゲートロータと、スクリューロータが収容される収容部及び吐出ポートを有するケーシングと、収容部の内壁面に形成され、スクリューロータの回転軸方向に延びるスライド溝と、スライド溝内に回転軸方向にスライド移動自在に収容され、部分負荷運転時には吸入側にスライドして吐出開始タイミングを早めると共に、全負荷運転時には吐出側にスライドして吐出開始タイミングを遅くするスライドバルブと、ケーシングに設けられ、収容部に開口するゲートロータ用開口部とを有し、ゲートロータの複数の歯がゲートロータ用開口部を介して収容部に挿入されてスクリュー溝と噛み合わされ、スクリューロータが回転することにより、収容部の内壁面、スクリュー溝及びゲートロータで囲まれた空間である圧縮室に流体を吸入して圧縮し、圧縮した流体を吐出ポートから吐出するスクリュー圧縮機であって、吐出ポートは、スライドバルブの移動によって開口面積と吐出開始のタイミング(具体的には吐出ポートと圧縮室とが連通し始めるタイミング)とを変更できる可変ポートと、可変ポートとゲートロータとの間に設けられ、スライドバルブが移動しても開口面積が変化しない固定ポートとを有し、固定ポートのゲートロータ側壁面とゲートロータとの距離が、回転軸方向の吐出側よりも吸入側が相対的に長くなるようにしたものである。
本発明によれば、固定ポートのゲートロータ側壁面とゲートロータとの距離が、スクリューロータの回転軸方向の吐出側よりも吸入側が相対的に長くなるようにし、吐出面積を確保しつつも流路抵抗を増す構成としたので、部分負荷運転時の吐出損失の増大を抑制しつつ、漏れ損失を低減できる。その結果、年間を通じて高効率な運転を可能とするスクリュー圧縮機を得ることができる。
本発明の実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100の概略断面図(平面断面図)である。 図1のA−A断面図である。 本発明の実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100の吐出ポート15近傍(収容部)を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100の吐出ポート15近傍の説明図である。 本発明の実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100の収容部1A内壁面及びスクリューロータ4外周面の展開図である。 本発明の実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100の吐出ポート15を収容部1A内から見た斜視図である。 本発明の実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100の圧縮原理を示す説明図である。 本発明の実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100におけるスクリューロータ4の回転角と圧縮室11の容積との関係を示す特性図である。 スクリューロータ4とケーシング1との間に形成される隙間からの冷媒漏れ経路を模式的に示した説明図である。 本発明の実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100の全負荷運転におけるスクリュー回転角と吐出面積との関係を説明するための説明図である。 本発明の実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100の部分負荷運転におけるスクリュー回転角と吐出面積との関係を説明するための説明図である。 スクリュー圧縮機の負荷条件に応じたスライドバルブ配置における吐出面積を示す特性図である。 吐出面積に対応する固定ポート形状の概略図である。 図13の各固定ポートの大きさに応じた、スクリュー回転角と吐出面積との関係を示す特性図である。 本発明の実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100におけるスクリュー回転角と吐出面積との関係を説明するための特性図である。 固定ポートのゲートロータ側壁面における段差位置の説明図である。 隙間と漏れ流路長さを変化させたときの漏れ流量特性を示す図である。 本発明の実施の形態2に係るスクリュー圧縮機100の収容部1A内壁面及びスクリューロータ4外周面の展開図である。 本発明の実施の形態2に係るスクリュー圧縮機100の吐出ポート15を収容部1A内から見た斜視図である。 本発明の実施の形態3に係るスクリュー圧縮機100の収容部1A内壁面及びスクリューロータ4外周面の展開図である。 本発明の実施の形態3に係るスクリュー圧縮機100の吐出ポート15を収容部1A内から見た斜視図である。
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100の概略断面図(平面断面図)である。また、図2は、図1のA−A断面図である。なお、図1、図2及び以下に示す図において、同一の符号を付したものは同一又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。更に、明細書全文に表れている構成要素の形態は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。
スクリュー圧縮機100は、ケーシング1、スクリューロータ4、ゲートロータ7、スクリューロータ4を回転駆動させる電動機8及びスライドバルブ12等を備えている。ケーシング1は、スクリューロータ4と、ゲートロータ7と、電動機8と、スライドバルブ12等とを収容するものである。ケーシング1には、収容部1Aに開口する吐出ポート15(後述の図4参照)が形成されている。なお、吐出ポート15の詳細については後述する。
ケーシング1の内部には略円柱状の空間である収容部1Aが形成され、収容部1A内部に略円柱形状のスクリューロータ4が収容されている。スクリューロータ4は、一端が流体の吸入側となり他端が吐出側となる。このスクリューロータ4の外周面には、複数条のスクリュー溝10が螺旋状に形成されている。また、スクリューロータ4の中心には、駆動軸となる回転軸9が回転一体に設けられている。回転軸9は、ケーシング1に設けられた高圧側軸受2及び低圧側軸受3によって回転自在に支持されている。また、回転軸9の低圧側軸受3側の端部には、例えばインバータ(図示省略)で周波数制御される電動機8が接続されている。
ケーシング1には、収容部1A(つまり、スクリューロータ4)を中心として対向するように、一対のゲートロータサポート室6が形成されている。各ゲートロータサポート室6には、略円板形状のゲートロータ7が収容されている。ゲートロータ7は、ゲートロータサポート室6に収容されたゲートロータサポート5に設けられている。
ゲートロータサポート5は、その中心軸(回転軸)5bがスクリューロータ4の回転軸9と略垂直となるように配置され、中心軸5b方向に離間して対向配置された軸受5aによって回転自在に支持されている。
図2において収容部1Aの左側に形成されたゲートロータサポート室6と、収容部1Aの右側に形成されたゲートロータサポート室6とのそれぞれに収容されているゲートロータ7及びゲートロータサポート5は、スクリューロータ4の回転軸9を中心にして180°回転させた配置となっている。
ゲートロータ7は、収容部1A及びスクリューロータ4と共に圧縮室11を形成するものであり、その外周部には、スクリュー溝10に噛み合わされる複数のゲートロータ歯7aが形成されている。より詳しくは、ケーシング1には、収容部1Aとゲートロータサポート室6とを連通する(収容部1Aに開口する)ゲートロータ用開口部1dが、回転軸9(図1参照)方向に延びるように形成されている。
そして、ゲートロータ7の外周部は、ケーシング1に設けたゲートロータ用開口部1dに挿入されている。つまり、ゲートロータ7のゲートロータ歯7aはゲートロータ用開口部1dを介して収容部1A内に挿入され、スクリュー溝10に噛み合わされている。これにより、ゲートロータ7、収容部1Aの内壁面及びスクリューロータ4で囲まれた空間(換言すると、ゲートロータ7のゲートロータ歯7a及び収容部1Aで仕切られたスクリュー溝10)が形成され、この空間が圧縮室11となる。
また、収容部1Aの内壁面には、スクリューロータ4の回転軸9方向に延びる2つのスライド溝14が形成されており、このスライド溝14内にスライドバルブ12がスライド移動自在に収容されている。詳しくは、2つのスライド溝14は略円柱形状に形成され、内周面の一部が収容部1Aと連通している。そして、これら2つのスライド溝14は、スクリューロータ4の回転軸9を中心にして180°回転させた配置となっている。
スライド溝14に設けられているスライドバルブ12は、スライド溝14と同様に、略円柱形状に形成されている。そして、スライドバルブ12は、収容部1Aと対向する対向面1eが収容部1Aの外周壁に沿った形状となるように円柱の一部を切り欠いた形状となっている。スライドバルブ12には直動アクチュエータ(図示せず)が接続されており、直動アクチュエータを駆動させることにより、スライド溝14内をスライドバルブ12がスクリューロータ4の回転軸9方向に移動する。
(吐出ポート15近傍の詳細構成)
次に、本実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100の吐出ポート15近傍の詳細構成について説明する。
図3は、本発明の実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100の吐出ポート15近傍(収容部)を示す斜視図である。なお、図3は、図2の白抜き矢印側から見た斜視図である。また、図3(a)はスライドバルブ12が吐出側に移動している状態を示し、図3(b)はスライドバルブ12が吸入側に移動している状態を示している。また、図3では、吐出ポート15近傍をわかりやすく示すため、スライドバルブ12において吐出ポート15よりも吐出側に位置している部分(次の図4の左図のスライドバルブ12における左端部分)の図示は省略している。図4は、図3のスクリュー圧縮機100の吐出ポート15近傍の説明図である。
図3に示すように、スライドバルブ12は回転軸9(図1参照)と平行にスライド溝14(図4参照)に移動可能に収容され、スライドバルブ12の吐出側端面12dの位置を変更することにより吐出開始のタイミングを調整する。すなわち、スライドバルブ12は、部分負荷運転時には吸入側にスライドして吐出開始タイミングを早めると共に、全負荷運転時には吐出側にスライドして吐出開始タイミングを遅くする。つまり、吐出ポート15は、ケーシング1に形成された開口部1B(より詳しくは、ケーシング1において収容部1Aに開口する開口部)の内壁面とスライドバルブ12の吐出側端面12dとで形成されている。
ここで、以降の説明にあたり、図4に示すように吐出ポート15を定義する。つまり、吐出ポート15は、可変ポート16(図中太斜線部)と固定ポート17(図中細斜線部)とを有する。
可変ポート16は、吐出ポート15のうち、スライドバルブ12と同じスクリューロータ中心角範囲に開口する領域で構成され、換言すれば、吐出ポート15のうち、スライドバルブ12の対向面1eをスライド方向に延長した領域と重なる領域部分で構成される。可変ポート16は、スライドバルブ12の吐出側端部の位置に応じて吐出開始のタイミングと開口面積とが可変とされるようになっている。
固定ポート17は、吐出ポート15のうち、可変ポート16以外の領域であり、可変ポート16とゲートロータ7(図3参照)との間に形成された部分である。また、固定ポート17は、ゲートロータ7側の内壁面(以下、ゲートロータ側壁面という)17Aが段差を有しており、以下では、段差によって開口面積が小さくなった側(吸入側)を吸入側固定ポート17a、それ以外の部分(吐出側)を吐出側固定ポート17bとして区別する。固定ポート17は、スライドバルブ12が移動しても、開口面積が変化しないポートである。固定ポート17は、以下に詳述するが、吐出完了直前のスクリュー溝10が通過する領域を含んで形成され、吐出行程終盤で可変ポート16からの流出がなくなっても流体を最後まで吐出できるように構成されている。
また、ゲートロータ用開口部1dの周壁の一部と、固定ポート17のゲートロータ側壁面17Aとを、図3及び図4に示すように定義する。つまり、ゲートロータ用開口部1dの内壁面のうち、吐出ポート15側の壁面をケーシングリップ面1aと定義する。また、固定ポート17のゲートロータ側壁面17Aのうち、吸入側固定ポート17a側を吐出ポート壁面1bとし、吐出側固定ポート17b側を吐出ポート壁面1cとする。
図5は、図3のスクリュー圧縮機100の収容部1A内壁面及びスクリューロータ4外周面の展開図である。また、図6は、このスクリュー圧縮機100の吐出ポート15を収容部1A内から見た斜視図である。
図5及び図6に示すように、本実施の形態1では、ゲートロータ用開口部1dのケーシングリップ面1aから固定ポート17の吐出ポート壁面1b、1cまでの距離h1、h2を、スライドバルブ12のスライド方向(図5の左右方向)で異ならせている。すなわち、吐出側固定ポート17b側は開口面積が大きくなるように、ゲートロータ用開口部1dのケーシングリップ面1aから吐出側固定ポート17bの吐出ポート壁面1cまでの距離h2を短くしている。一方、吸入側固定ポート17a側はゲートロータ用開口部1dのケーシングリップ面1aから吸入側固定ポート17aの吐出ポート壁面1bまでの距離h1が長くなるようにしている。
(動作説明)
続いて上記のように構成されたスクリュー圧縮機100の動作について説明する。
図7は、本発明の実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100の圧縮原理を示す説明図である。図8は、このスクリュー圧縮機100におけるスクリューロータ4の回転角と圧縮室11の容積との関係を示す特性図である。図8において横軸がスクリュー回転角[゜]、縦軸が圧縮室容積を示している。
図7に示すように、スクリューロータ4が電動機8(図1参照)により回転軸9(図1参照)を介して回転させられることで、ゲートロータ7のゲートロータ歯7aがスクリュー溝10内を相対的に移動し、圧縮室11内で吸入行程、圧縮行程及び吐出行程を行い、これを繰り返すようになっている。ここでは、図7においてグレーで示した圧縮室11に着目して説明する。
図7(a)は吸入行程における圧縮室11の状態を示している。スクリューロータ4が電動機8により駆動されて実線矢印の方向に回転すると、図7に示す下側のゲートロータ7はスクリューロータ4の回転に伴い、白抜き矢印の方向に回転する。また、図7に示す上側のゲートロータ7は、白抜き矢印で示すように、下側のゲートロータ7とは反対方向に回転する。吸入行程では、圧縮室11は最も拡大した容積を有し、ケーシング1(図1参照)の低圧空間と連通しており、低圧の冷媒ガスが満たされている。
更にスクリューロータ4が回転すると、その回転に連動して2つのゲートロータ7のゲートロータ歯7aが順次吐出ポート15の方へ回転移動し、これにより図7(b)のように圧縮室11の容積(体積)が縮小し、圧縮室11内の冷媒ガスが圧縮される。
引き続きスクリューロータ4が回転すると、図7(c)に示すように、圧縮室11が吐出ポート15に連通する。これにより、圧縮室11内で圧縮された高圧の冷媒ガスが吐出ポート15より外部へ吐出される。そして、再びスクリューロータ4の背面で同様の圧縮が行われる。なお、ケーシング1(つまり、収容部1Aの内壁面)に覆われていない開放されたスクリュー溝10内は、反対側のゲートロータ7及びゲートロータサポート室6と連通し、吸入圧力雰囲気となっている。
本実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100においては、上述した圧縮開始から吐出完了までの圧縮動作が、スクリューロータ4の回転角度(以下、スクリュー回転角とも称する)が0°から180°以下の範囲で行われる。スクリュー回転角に対する圧縮室11の容積変化は図8に示すように、スクリュー回転角0゜から大きくなるにつれて圧縮室容積が次第に小さくなる。
上記の圧縮動作を行うには、スクリューロータ4とゲートロータ7とを相対移動させる必要があり、また、スクリューロータ4とケーシング1とを相対移動させる必要がある。このため、スクリューロータ4とゲートロータ7との間、及びスクリューロータ4とケーシング1との間には隙間を形成する必要があり、圧縮室11は完全な密閉状態とはなっていない。このため、これらの隙間を通って高圧の圧縮室11内の冷媒ガスが、低圧の圧縮室11やゲートロータサポート室6に漏れることを防止する対策として、冷凍機油等の油(潤滑な液体)を圧縮室11内に積極的に注入することにより、隙間からの冷媒漏れを低減している。
図9は、スクリューロータ4とケーシング1との間に形成される隙間からの冷媒漏れ経路を模式的に示した説明図である。図9おいて、矢印(1)は、隣り合う圧縮室11間の冷媒漏れ経路である。本実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100においては、複数の圧縮室11を形成して隣接する圧縮室同士間の漏れ差圧を小さくすることにより、圧縮室11間の冷媒漏れを抑制している。
矢印(2)は、圧縮室11から高圧側軸受2(図1参照)が収納される吸入圧空間への冷媒漏れ経路である。本実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100においては、スクリューロータ4の端部に直交形ラビリンスシール(図示省略)を設けることにより、当該経路からの冷媒漏れを抑制している。
また、矢印(3)は、固定ポート17からゲートロータサポート室6(図2参照)への冷媒漏れ経路である。本実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100においては、冷媒漏れ経路となる固定ポート17のゲートロータ側壁面17Aを上述したように段付き形状(1bと1c)とし、吐出ポート壁面1b側のケーシングリップ面1aまでの距離(以下、この距離を漏れ流路長さという場合がある)h1(図5参照)を長くして冷媒漏れ経路の摩擦抵抗を増すことにより、冷媒漏れを抑制している。
次に、吐出面積の変化について、図10〜図12を用いて詳細に説明する。図10、図11は、本発明の実施の形態1に係るスクリュー圧縮機100におけるスクリュー回転角と吐出面積との関係を説明するための説明図で、収容部1A内壁面及びスクリューロータ4外周面の展開図を示している。図10はスライドバルブ12が吐出側に配置される全負荷(100%負荷)運転時の状態を示し、図11はスライドバルブ12が吸入側に配置される部分負荷運転時の状態を示す。
なお、スクリュー圧縮機100の実質的な吐出面積は、吐出ポート15とスクリュー溝10との対向領域面積であり、図10、図11において横線で示す横線部C1〜C3及び右斜め下向きの斜線で示す斜線部D1、D2は、それぞれ実質的な吐出面積(吐出ポート15とスクリュー溝10との対向領域)を示している。
また、図12は、負荷条件に応じたスライドバルブ配置における吐出面積を示す特性図である。図12において横軸はスクリュー回転角、縦軸は吐出面積である。図12の(a)は全負荷の場合の特性を示している。図12の(b)及び(c)は部分負荷の場合の特性を示しており、(b)の方が(c)よりも負荷割合が大きい場合の特性を示している。何れの負荷の場合も、吐出面積は、スクリュー回転角110°〜120°付近で極大となり、上に凸の放物線で表される。
(全負荷運転時)
以下、図10及び図12を参照して全負荷運転時の吐出面積の変化を説明する。全負荷運転時において、図10(a)は、スクリュー回転角80°付近の吐出面積C1と、スクリュー回転角140°付近の吐出面積D1とを示している。図10(b)は、スクリュー回転角90°付近の吐出面積C2と、スクリュー回転角150°付近の吐出面積D2を示している。また、図10(c)は、スクリュー回転角130°付近の吐出面積C3を示している。
よって、スクリュー回転角80゜付近で吐出面積(対向領域)がC1となり、スクリュー回転角90゜付近で吐出面積(対向領域)がC2となる。そして、スクリュー回転角130゜付近で吐出面積(対向領域)がC3となり、スクリュー回転角140゜付近で吐出面積(対向領域)がD1となり、スクリュー回転角150゜付近で吐出面積(対向領域)がD2となる。
つまり、スクリュー回転角が80゜に達する付近(図10(a))で圧縮室11内が吐出圧力に達し、吐出ポート15の可変ポート16が開口し始める(C1)。そして、90゜付近(図10(b))では可変ポート16の吐出面積が増大していくと共に、固定ポート17のうち吸入側固定ポート17aが開口し始める(C2)。その後、可変ポート16及び固定ポート17の吐出面積が増大していき、120゜付近で最大に達する(図12参照)。
そして、130゜付近(図10(c))では、可変ポート16の吐出面積は減少に転じ始める一方、固定ポート17は、吸入側固定ポート17aに加えて更に吐出側固定ポート17bも開口し始める(C3)が、全体としては図12に示すように吐出面積は減少していく。そして、140゜付近((図10(a))では可変ポート16の吐出面積が減っていく一方、固定ポート17の吐出側固定ポート17b側は最大開口となる(D1)。そして、150゜付近(図10(b))では、可変ポート16側の吐出面積は無くなり、吐出側固定ポート17bのみが開口した状態となる(D2)。
(部分負荷運転時)
以下、図11及び図12を参照して部分負荷運転時の吐出面積の変化を説明する。なお、図11は、図12の(b)に対応している。
図11(a)は、スクリュー回転角80°付近の吐出面積C1と、スクリュー回転角140°付近の吐出面積D1とを示している。図10の(b)は、スクリュー回転角90°付近の吐出面積C2と、スクリュー回転角150°付近の吐出面積D2を示している。また、図10の(c)は、スクリュー回転角70°付近の吐出面積C0と、スクリュー回転角130°付近の吐出面積C3を示している。
よって、スクリュー回転角70゜付近で吐出面積(対向領域)がC0となり、スクリュー回転角80゜付近で吐出面積(対向領域)がC1となり、スクリュー回転角90゜付近で吐出面積(対向領域)がC2となり、スクリュー回転角130゜付近で吐出面積(対向領域)がC3となり、スクリュー回転角140゜付近で吐出面積(対向領域)がD1となり、スクリュー回転角150゜付近で吐出面積(対向領域)がD2となる。
つまり、部分負荷運転の場合は、スクリュー回転角が全負荷運転よりも小さい70゜に達する付近(図11(c))で圧縮室11内が吐出圧力に達し、吐出ポート15の可変ポート16が開口し始める(C0)。そして、80゜付近(図11(a))では可変ポート16の吐出面積が増大していくと共に、固定ポート17のうち吸入側固定ポート17aが開口し始め(C1)、90゜付近(図11(b))でもその傾向が続く(C2)。その後、可変ポート16及び固定ポート17の吐出面積が増大していき、110゜付近で最大に達する(図12参照)。
その後、130゜付近(図11(c))では可変ポート16の吐出面積は減少に転じ始める一方、固定ポート17は、吸入側固定ポート17aに加えて更に吐出側固定ポート17bも開口し始めるが、全体としては図12に示すように吐出面積は減少していく(C3)。そして、140゜付近(図11(a))では可変ポート16の吐出面積が減っていく一方、固定ポート17の吐出側固定ポート17b側は最大開口となり(D1)、150゜付近(図11(b))では、可変ポート16側の吐出面積は無くなり、吐出側固定ポート17bのみが開口した状態となる(D2)。
ここで、図10と図11とを比較して明らかなように、図11に示す部分負荷条件の方が、図10に示す全負荷運転条件に比べて同じスクリュー回転角での可変ポート面積(C1〜C3領域)が大きく、吐出行程前半の吐出面積が大きくなる。また、図12に示したように、負荷割合が小さくなるにつれ、吐出行程前半において同じスクリュー回転角での吐出面積が大きくなる。
ところで、固定ポート17は、吐出行程終盤において圧縮室11が可変ポート16に連通しなくなる状態(スクリュー溝10(圧縮室11)と可変ポート16との対向領域である吐出面積が無くなる状態)のとき(図10及び図11の例では、スクリュー回転角140゜から150゜の間付近)、吐出面積を確保できるように形成される。ここで、本発明の目的は、上述したように年間を通じて冷凍機の運転パターンの大半を占める部分負荷運転時の吐出損失の増大抑制、漏れ損失の低減にあり、漏れ損失を低減するには固定ポート17を縮小すればよい。しかし、固定ポート17をむやみに縮小すると、吐出損失が大きくなってしまう。よって、本実施の形態1では、部分負荷運転時において吐出損失を増大させない範囲で固定ポート17の開口面積を縮小し、漏れ損失を低減するようにしている。以下、固定ポート17の大きさや形状に関わる事項について説明する。
部分負荷運転時はスライドバルブ12が全負荷運転時より吸入側に配置されるため、スクリュー溝10が可変ポート16に連通している吐出行程前半から中盤は比較的大きな吐出面積を確保でき、吐出損失の増大抑制が可能である。一方、可変ポート16に連通しなくなる吐出行程終盤は固定ポート17によって吐出面積を確保する必要がある。よって、部分負荷運転時の漏れ損失を低減するために固定ポート17を縮小するにあたっては、吐出行程の前半から中盤に利用される吸入側固定ポート17a側の開口面積を小さくし、吐出行程の終盤に利用される吐出側固定ポート17b側については縮小しないようにしている。以下、吸入側固定ポート17a側の開口面積を縮小することによる吐出面積の変化について検討する。
図13(a)〜(d)は、固定ポート17を最大限確保した状態から順次縮小していった場合の各固定ポート形状の概要図である。図13において、Pで示す部分が最大で、次にQ、R、Sの順に固定ポート17を縮小している。図14は、図13の各固定ポート17の大きさに応じた、スクリュー回転角と吐出面積との関係を示す特性図である。図14のP、Q、R、Sは、図13のP、Q、R、Sに対応している。
吐出面積を最大としたP形状と、P形状よりも次に小さいQ形状とを比較すると、吐出面積が比較的確保される90〜130°付近では、P形状の方が吐出面積が大きい。すなわち固定ポートを拡大したことによる吐出面積の増加量が大きい。しかし、130°以上になるとP形状とQ形状の吐出面積の差が小さくなり、140°以上、言い換えれば吐出行程終盤ではP形状としてもQ形状としても吐出面積は同じになる。つまり、固定ポート17に対しては、吐出行程終盤における吐出面積の確保が要求されるが、吸入側固定ポート17a側をシール性向上の観点からある程度縮小しても、吐出行程終盤の吐出面積の確保には影響がないことがわかる。なお、R形状とS形状のように固定ポート17の吐出面積を小さくしすぎると、吐出行程中盤から後半にかけて吐出面積が小さくなるため、吐出損失に関しては好ましくない状況となる。
図15は、スクリュー回転角と吐出面積との関係を説明するための特性図である。図15において横軸はスクリュー回転角、縦軸は吐出面積である。図15において、(a)は、全負荷運転時のスライドバルブ位置で固定ポートを、図13(a)のP形状のように最大とした場合を示しており、(b)は部分負荷運転時のスライドバルブ位置で固定ポートを図13(b)のQ形状のように縮小した場合を示している。また、図15において点線は、部分負荷運転で固定ポートを最大(P形状)とした場合を示している。
図15から明らかなように、部分負荷運転ではスライドバルブ12が吸入側に配置されるため可変ポート16の開口面積が大きく、固定ポート17をPからQに縮小しても全負荷運転で固定ポート17を最大とした場合の吐出面積と大差ない面積を確保できることがわかる。
次に、固定ポート17の開口形状について検討する。
固定ポート17を縮小するにあたっては、吸入側固定ポート17a側を縮小するとして説明したが、図13に示したように固定ポート17の吸入側を完全に削除して縮小するのではなく、吐出面積確保の観点から、ある程度開口面積を残しつつ縮小する。具体的には、本実施の形態1では、固定ポート17のゲートロータ側壁面17Aを、ゲートロータ7との距離(漏れ流路長さ)が吐出側よりも吸入側が相対的に長くなるような段差形状としている。なお、ここでは段差を一段としているが、一段に限られず多段としてもよい。
次に、段差を設ける境界部分の位置について説明する。図16は、固定ポート17のゲートロータ側壁面17Aにおける段差位置の説明図で、可変ポート16が略閉塞された状態を示している。ゲートロータ側壁面17Aのうち、吐出側の吐出ポート壁面1cについては、吐出側固定ポート17bの吐出面積を大きく取る観点から、ゲートロータ7側に最大限に寄せて設けている(図16の吐出ポート壁面1cの位置)。
そして、ゲートロータ側壁面17Aにおいて吐出側から数えて一段目の境界壁面17Bの回転軸9方向の位置は、可変ポート16が閉塞されて可変ポート16からの流出がなくなるタイミングにおけるスクリュー溝10の吸入側壁面11aより吸入側にあり、スライドバルブ12の吐出側端面12dのゲートロータ7側の端部12e(図16参照)より吐出側の位置に形成している。この例では、図16に示すように、可変ポート16が閉塞されるときの圧縮室11のスクリュー溝10の吸入側壁面11aと一段目の境界壁面17Bとの交点が、スクリュー溝10の吸入側壁面11aと吐出ポート壁面1cとの交点に一致するように形成している。なお、実施の形態1では、可変ポート16が閉塞されるタイミングに合わせて1段目の境界壁面17Bの位置を上記のように決定したが、運転条件や漏れ隙間の大きさによって最適位置は変わり、漏れ損失と吐出損失が最小となる位置に決定されればよく、これに限らない。
そして、吸入側固定ポート17aのケーシングリップ面1aまでの距離(漏れ流路長さ)h1については、漏れ損失と吐出損失との兼ね合いから決定する。以下、この点について説明する。
図17は、隙間と漏れ流路長さを変化させたときの漏れ流量特性を示す図で、ケーシング1とスクリューロータ4との間の隙間が、大、中、小の3つの場合の漏れ流量特性を示している。なお、横軸は漏れ流路長さ、縦軸は摩擦を考慮した漏れ流量を摩擦を考慮しない時の漏れ流量で標準化したものである。
図17に示すように、漏れ流量特性は漏れ流路長さに対して線形に変化せず、その傾きは、漏れ流路長さが長くなるにつれて緩やかとなっている。すなわち、漏れ流量の低減効率は漏れ流路長さが短い範囲では高いが、漏れ流路長さが長くなるにつれ次第に低下していく。つまり、漏れ流路長さを長くすればするほど漏れ流量を少なくすること自体はできるが、漏れ流量の低減効率は低下する。一方、漏れ流路長さを長くするほど、固定ポート17の開口面積が減るため吐出損失が大きくなる。よって、漏れ流量の低減効率が高い範囲で、且つ、吐出損失を考慮して、漏れ流路長さを決定すればよい。
以上説明したように、本実施の形態1によれば、部分負荷運転時はスライドバルブ12が全負荷運転時より吸入側に配置されるので、スクリュー溝10が可変ポート16に連通している吐出行程前半から中盤において、比較的大きな吐出面積を確保できる。そして、可変ポート16に連通しなくなる吐出行程終盤は、固定ポート17によって吐出面積が確保されているので圧縮室11内の圧力が過度に上昇せず、吐出損失の増大を小さくできる。更に、吐出行程前半から中盤に利用される吸入側固定ポート17aのゲートロータ側壁面17Aとゲートロータ用開口部1dの吐出ポート側壁面であるケーシングリップ面1aとの距離を吐出側固定ポート17b側よりも長くし、流路抵抗を増しているので、特に冷媒循環流量の小さい部分負荷運転で漏れを抑制できる効果がある。
固定ポート17のゲートロータ側壁面17Aの形状として、実施の形態1では吸入側の漏れ流路長さを長くした段付き形状とし、部分負荷運転において吐出損失を増大させない範囲で漏れ損失を最小化できる固定ポート形状としたので、部分負荷運転での圧縮機効率が高いスクリュー圧縮機100を得ることができる。よって、このスクリュー圧縮機100を冷凍機に搭載することにより、年間を通して高効率な冷凍機を構成することができる。
なお、実施の形態1では、固定ポート17のゲートロータ側壁面17Aを段付き形状としたが、これに限らず、要は、固定ポート17のゲートロータ側壁面17Aを、ゲートロータ7との距離が吸入側よりも吐出側が相対的に短くなる形状に形成すればよい。以下、固定ポート17の他の形状例について、実施の形態2及び実施の形態3で説明する。
実施の形態2.
図18は、本発明の実施の形態2に係るスクリュー圧縮機100の収容部1A内壁面及びスクリューロータ4外周面の展開図である。図19は、本発明の実施の形態2に係るスクリュー圧縮機100の吐出ポート15を収容部1A内から見た斜視図である。
実施の形態2のスクリュー圧縮機100は、実施の形態1では段付き形状としていた固定ポート17のゲートロータ側壁面17Aのうち、吐出ポート壁面1bを、吐出側から吸入側に向かうにつれてゲートロータ7から離れる方向に傾斜する傾斜面としたものである。なお、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とする。
以上、本実施の形態2に係るスクリュー圧縮機100においても、実施の形態1と同様の効果が得られると共に、固定ポート17のゲートロータ側壁面17Aとケーシングリップ面1aとの距離(漏れ流路長さ)を保持しつつ、適度な吐出面積を確保できるので、部分負荷運転での圧縮機効率の高い圧縮機を得ることができる。
実施の形態3.
図20は、本発明の実施の形態3に係るスクリュー圧縮機100の収容部1A内壁面及びスクリューロータ4外周面の展開図である。図21は、本発明の実施の形態3に係るスクリュー圧縮機100の吐出ポート15を収容部1A内から見た斜視図である。
実施の形態3のスクリュー圧縮機100は、固定ポート17のゲートロータ側壁面17Aを、全体に亘って連続的に傾斜する傾斜面1fとしたものである。すなわち、ゲートロータ側壁面17Aを、吐出側から吸入側に向かうにつれてゲートロータ7から離れる方向に連続して傾斜する傾斜面1fとしたものである。この形状とすると、図20と実施の形態2の図18とを比較して明らかなように、固定ポート17のゲートロータ側壁面17Aとケーシングリップ面1aとの距離(漏れ流路長さ)を、実施の形態2よりも長く確保することができる。なお、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とする。
以上、実施の形態3に係るスクリュー圧縮機100においても、実施の形態1と同様の効果が得られると共に、固定ポート17のゲートロータ側壁面17Aを、段差が無く連続する傾斜面1fとし、ゲートロータ7との距離(ケーシングリップ面1aとの距離)を実施の形態2よりも確保するようにしたので、実施の形態2よりも漏れを低減でき、より部分負荷運転での圧縮機効率が高い圧縮機を得ることができる。
なお、以上の各実施の形態(実施の形態1〜実施の形態3)では、2つのゲートロータ7を設けたタイプのスクリュー圧縮機について説明した。しかし、これに限らず、1つのゲートロータを設けたタイプのスクリュー圧縮機であっても、吐出ポート15を上記各実施の形態で示した形状とすることにより、総合的に損失の小さい高効率なスクリュー圧縮機とすることができる。
1 ケーシング、1A 収容部、1B 開口部、1a ケーシングリップ面、1b 吐出ポート壁面、1c 吐出ポート壁面、1d ゲートロータ用開口部、1e 対向面、1f 傾斜面、2 高圧側軸受、3 低圧側軸受、4 スクリューロータ、5 ゲートロータサポート、5a 軸受、5b 中心軸、6 ゲートロータサポート室、7 ゲートロータ、7a ゲートロータ歯、8 電動機、9 回転軸、10 スクリュー溝、11 圧縮室、11a 吸入側壁面、12 スライドバルブ、12d 吐出側端面、12e 吐出側端面のゲートロータ側の端部、14 スライド溝、15 吐出ポート、16 可変ポート、17 固定ポート、17A ゲートロータ側壁面、17B 境界壁面、17a 吸入側固定ポート、17b 吐出側固定ポート、100 スクリュー圧縮機。

Claims (7)

  1. 複数条のスクリュー溝が外周面に形成され、一端が流体の吸入側となり他端が吐出側となるスクリューロータと、
    前記スクリュー溝に噛み合わされる複数の歯が外周部に形成されたゲートロータと、
    前記スクリューロータが収容される収容部及び吐出ポートを有するケーシングと、
    前記収容部の内壁面に形成され、前記スクリューロータの回転軸方向に延びるスライド溝と、
    前記スライド溝内に前記回転軸方向にスライド移動自在に収容され、部分負荷運転時には吸入側にスライドして吐出開始タイミングを早めると共に、全負荷運転時には吐出側にスライドして吐出開始タイミングを遅くするスライドバルブと、
    前記ケーシングに設けられ、前記収容部に開口するゲートロータ用開口部とを有し、
    前記ゲートロータの前記複数の歯が前記ゲートロータ用開口部を介して前記収容部に挿入されて前記スクリュー溝と噛み合わされ、前記スクリューロータが回転することにより、前記収容部の内壁面、前記スクリュー溝及び前記ゲートロータで囲まれた空間である圧縮室に流体を吸入して圧縮し、圧縮した流体を前記吐出ポートから吐出するスクリュー圧縮機であって、
    前記吐出ポートは、
    前記スライドバルブの移動によって開口面積と吐出開始のタイミングとを変更できる可変ポートと、
    前記可変ポートと前記ゲートロータとの間に設けられ、前記スライドバルブが移動しても開口面積が変化しない固定ポートとを有し、
    前記固定ポートのゲートロータ側壁面と前記ゲートロータとの距離が、前記回転軸方向の吐出側よりも吸入側が相対的に長くなるようにしたことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  2. 前記固定ポートの前記ゲートロータ側壁面を段付き形状としたことを特徴とする請求項1記載のスクリュー圧縮機。
  3. 前記段付き形状において吐出側から数えて一段目の境界壁面は、前記可変ポートからの流出がなくなるタイミングにおける前記スクリュー溝の吸入側壁面より吸入側にあり、前記スライドバルブの吐出側端面の前記ゲートロータ側の端部より吐出側に形成したことを特徴とする請求項2記載のスクリュー圧縮機。
  4. 前記固定ポートの前記ゲートロータ側壁面の吐出側を、前記ゲートロータ側に最大限に寄せて設けた位置とし、前記ゲートロータ側壁面の吸入側を、前記ゲートロータから離れる方向に傾斜する傾斜面としたことを特徴とする請求項1記載のスクリュー圧縮機。
  5. 前記固定ポートの前記ゲートロータ側壁面の吐出側と前記ゲートロータ側壁面の吸入側との境界部分を、前記可変ポートからの流出がなくなるタイミングにおける前記スクリュー溝の吸入側壁面より吸入側とし、前記スライドバルブの吐出側端面の前記ゲートロータ側の端部より吐出側としたことを特徴とする請求項4記載のスクリュー圧縮機。
  6. 前記固定ポートの前記ゲートロータ側壁面を、吐出側から吸入側に向かうにつれて前記ゲートロータから離れる方向に連続して傾斜する傾斜面としたことを特徴とする請求項1記載のスクリュー圧縮機。
  7. 駆動軸を介して前記スクリューロータと接続され、前記スクリューロータを回転させる電動機を備え、
    前記電動機は、インバータで駆動される電動機であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のスクリュー圧縮機。
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