JP2013213216A - スラグ系注入材及びその注入工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透水係数が1×10−2cm/s以下であるような難浸透性地盤中でも浸透距離が大きく、浸透性に優れ、かつ改良地盤内での中長期的な固化強度の発現性に優れ、良好な耐久性を示す注入材及びその注入工法を提供する。
【解決手段】高炉スラグ微粉末、消石灰微粉末、ケイ酸アルカリ、分散剤及び水を含有してなるスラグ系注入材であって、注入材中、ケイ酸アルカリがSiO濃度にして0.05〜0.40質量%であることを特徴とするスラグ系注入材及びその注入工法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、軟弱地盤の強化や液状化防止を目的としたスラグ系注入材及びその注入工法に関するものである。
従来、軟弱地盤の強化や液状化防止のために、セメント系等の非薬液系注入材(懸濁系注入材)、溶液型水ガラス系又は懸濁液型水ガラス系等の薬液系注入材が開発されている(特許文献1及び2参照)。このうち、非薬液系注入材としては、一般構造物用セメントよりもかなり細かく微粉砕したポルトランドセメント、カルシウムアルミネートセメント等のセメントの微粉末と潜在水硬性を有する微粉末(高炉スラグ微粉末)やポゾラン反応性を有する微粉末とを併用する注入材が知られている。
非薬液系注入材は、含有する微粉末の大きさ(特に最大粒子径)や注入材中での分散性の良否によって地盤への浸透性が大きく左右される反面、浸透後の固化強度は中長期的に高く維持され、耐久性にも優れた特性を有する。
非薬液系注入材の地盤への浸透性を高めるため、微粉末の最大粒子径を小さくするための超微粉砕方法、粗大粒群を分級・分離操作によって除去する方法、微粉末やその二次凝集物の分散性を高める方法(凝集物の解砕・解膠、界面活性剤による分散等)等が種々開示されている。なお、この種の注入材の施工は、通常、1液型の1ショット工法である。
薬液系注入材は、一般に非薬液系注入材に較べて地盤への浸透性に優れるといわれているが、耐久性に難がある。なお、水ガラス系注入材は、注入の際に注入材の粘度が急激に増加し、流動性を全く失う“ゲル化”現象を起こさせて、それよりも深部への浸透を抑制する限定注入工法が基本となっている。このゲル化時間は、懸濁液型水ガラス系の場合、ゲル化反応に関与する懸濁粒子の種類・配合割合や水/粉体比、水ガラスの組成比(SiO/NaOモル比)、水ガラス溶液の濃度や懸濁液との容積比によって変化するので、施工範囲や改良目的に見合った配合設計が行われる。なお、この種の注入材の施工は、通常、2液型で1.5又は2ショット工法で行われる。
しかしながら、細粒土を多く含む砂質土のように透水係数の小さい難浸透性地盤に対して、浸透距離が大きく、浸透性に優れ、かつ改良地盤内での中長期的な固化強度の発現性に優れ、良好な耐久性を示す注入材は開発されておらず、そのような注入材への要求が高いのが現状である。
特開平09−143978号公報 特開昭59−49283号公報
本発明の目的及び課題は、難浸透性地盤中でも浸透距離が大きく、浸透性に優れ、かつ改良地盤内での中長期的な固化強度の発現性に優れ、良好な耐久性を示す注入材及びその注入工法を見出すことにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定のスラグ系注入材が上記の目的を達成しうることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、高炉スラグ微粉末、消石灰微粉末、ケイ酸アルカリ、主鎖を形成するメチル基又はメチレン基をもち、カルボキシ金属塩を主鎖中にもち、かつ脂肪族エーテル基の側鎖をもつカルボキシル基含有ポリエーテル系分散剤及び水を含有してなる1液型のスラグ系注入材であって、注入材中、ケイ酸アルカリがSiO濃度にして0.07〜0.37質量%、カルボキシル基含有ポリエーテル系分散剤が0.50〜0.74質量%であり、高炉スラグ微粉末の質量と消石灰微粉末の質量との比が85:15〜96:4であり、かつ水の質量と高炉スラグ微粉末及び消石灰微粉末の合計質量との比が12:1以下であり、高炉スラグ微粉末及び消石灰微粉末が、それぞれ通過体積百分率95%の粒子径が12.0μm以下の粉末である。これらのことが、地盤への浸透性及び浸透後の固化の点から有効である。
さらに、本発明は、上記のスラグ系注入材を、地盤に注入する注入工法に関し、注入工程中(実質的に24時間以内)に粘度が急激に増加して流動性を失わせる“ゲル化”現象を生じさせずに行うものである。
本発明のスラグ系注入材は、細粒土を多量に(約25質量%まで)含む砂質土のような透水係数1×10−2cm/s以下の難浸透性地盤中でも浸透距離が大きく(例えば、約1m以上、円柱改良体では直径約2m以上の場合)、注入後の軟弱地盤の強化や液状化防止に必要な強度(通常、100kN/m以上)を中長期にわたって安定的に発現させることができる。また、本発明は実質的に1液型の薬液系注入材であるので、1ショット工法でも注入することができ、使用材料の配合・攪拌、注入設備・機器及び注入操作が簡単であるとの工法的なメリットもある。
カルボキシル基含有ポリエーテル系分散剤の赤外線吸収スペクトルである。
以下、本発明のスラグ系注入材の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明のスラグ系注入材は、高炉スラグ微粉末、消石灰微粉末、ケイ酸アルカリ、分散剤及び水を含有してなる。
高炉スラグ微粉末及び消石灰微粉末は、注入材中の懸濁粒子である。高炉スラグ微粉末又は消石灰微粉末は、特に限定されず、例えば当該分野で公知のものを使用することができる。
本発明のスラグ系注入材において、高炉スラグ微粉末の質量と消石灰微粉末の質量の比は、85:15〜96:4であることが好ましい。本発明のスラグ系注入材において、高炉スラグ微粉末は、注入材の地盤への浸透後の固化及び透水係数の低減(遮水性向上)に大きく貢献するが、その特徴である潜在水硬性によって硬化するためにアルカリ刺激剤が不可欠であり、消石灰微粉末が中長期的にその役割を担うものである。上記の範囲で、高炉スラグ微粉末及び消石灰微粉末を配合するとそれぞれの役割が充分に発揮される。高炉スラグ微粉末の質量と消石灰微粉末の質量の比は、より好ましくは90:10〜95:5である。
本発明のスラグ系注入材において、高炉スラグ微粉末と消石灰微粉末の粉末度は、細粒土を含む砂層や砂レキ層への浸透性の点から、これら微粉末全体として、通過体積百分率95%の粒子径が12.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは5.0μm以下であり、4.8〜1.8μmとすることがさらに好ましい。ここで、粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定器を用いて測定された粒度分布から内挿方法によって求めることができ、具体的には、堀場製作所製のレーザー回折式粒度分布測定器(LA−500)を使用して、試料分散媒としてはエタノールを用い、測定前の超音波による試料分散時間を5分間、測定データの取り込み回数は25回とし、測定した結果をRosin−Rammler線図にプロットして相当する粒子径を求めることができる。なお、この線図での直線回帰は、積算通過粒子量が60%以上の範囲で行うこととする。より好ましくは、高炉スラグ微粉末と消石灰微粉末のそれぞれの通過体積百分率95%の粒子径が12.0μm以下であり、より好ましくは5.0μm以下であり、4.8〜1.8μmとすることがさらに好ましい。消石灰微粉末のアルカリ刺激剤の役割の点から、浸透した地盤中において消石灰微粉末の近傍に高炉スラグ微粉末が存在することが好ましく、そのため地盤への浸透性に大きく影響する粉末度が、高炉スラグ微粉末と消石灰微粉末で近似していることが好ましいからである。
高炉スラグ微粉末と消石灰微粉末は、上記の配合比及び粉末度になるように混合粉砕したものを使用してもよいが、個別に粉砕したものを混合して使用することがより好ましい。
本発明のスラグ系注入材において、ケイ酸アルカリは、消石灰微粉末と併用することにより、地盤への高い浸透性を有すると共に強度を高める成分である。さらに、ケイ酸アルカリは、注入材中の微粉末材料の沈降分離を抑制することができ、土粒子間隙への均質な浸透と閉塞の実現に貢献する。
ケイ酸アルカリとは、水に対する溶解度が大きい各種ケイ酸のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)をいい、特にケイ酸のナトリウム塩が好ましい。具体的には、ケイ酸アルカリは、JIS K 1408−1966「けい酸ナトリウム」に規定されている1〜3号品の形態で配合することができ、特に3号品が好適に使用できるが、これらに限定されない。ケイ酸アルカリは、SiOの供給源であると同時に、強アルカリ環境下、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性の早期顕在化にも有効に作用する。
ケイ酸アルカリは、注入材中、SiO濃度にして0.05〜0.40質量%であることが好ましい。この範囲であれば、地盤への浸透性が大きく改善されるとともに、注入工程中に流動性を消失し、その後の浸透が大きく妨げられる“ゲル化”現象は実質的に24時間以内に起こらない。より好ましくは、注入材中、ケイ酸アルカリは、SiO濃度にして0.07〜0.32質量%であり、さらに好ましくは0.09〜0.25質量%である。このSiO濃度は、注入材中に配合するケイ酸アルカリ中のSiO含有量から計算することができる。
なお、従来の溶液型又は懸濁液型水ガラス系注入材は、地盤の遮水性を高め(透水係数低減)、かつ限定注入(注入距離範囲を限定)を目的に用いられてきた。つまり、従来の水ガラス系注入材は、SiO濃度を大きく高めることによって、地盤への注入工程で所定時間経過後、換言すれば目標とする浸透距離に達した後は急激に“ゲル化”して流動性を失わせ、以降の浸透を防止させるものである。
これに対して、本発明の注入材は、上述の水ガラス系注入材とはSiO濃度が異なるもので、流動性を全く失う“ゲル化”現象を起こさせずに注入して、難浸透性地盤への浸透距離の極大化を実現するものである。
ここで、注入材の“ゲル化”現象は、室温(23℃)で、注入材を円筒形容器(直径9cm、高さ9cm、内容積400ml)に入れた状態で低速回転し(23rpm)、B型粘度計(23℃、回転数60rpm)で、そのみかけ粘度が100mPa・s以上になるまでの所要時間(ゲル化時間)を測定するか、又は室温(23℃)で、注入材をカップ(ポリビーカー、内容積500ml)に入れ、さらに別の同一形状のカップに注入材を入れ替える操作を繰り返し、その移し変えができなくなるまでの所要時間を測定することによって評価することができる。前者の方法で、100mPa・s以上にならない場合は、ゲル化現象が生じないことを意味し、後者の方法で、移し変えができなくならない場合は、ゲル化現象が生じないことを意味する。本発明の注入材は、いずれの測定方法によっても、少なくとも24時間以内(通常の注入時間範囲内)ではこのようなゲル化現象は生じない。
本発明のスラグ系注入材において、分散剤は、注入材中の高炉スラグ微粉末や消石灰微粉末を充分に分散させ、地盤への浸透性を高めるのに寄与する。分散剤の好ましい例としては、カルボキシル金属塩を主鎖中にもち、かつ脂肪族エーテル基の側鎖をもつカルボキシル基含有ポリエーテル系分散剤である。分散剤の主要構成成分に係る官能基及び構造に帰属する情報の一部は、例えば日本分光社製のフーリエ変換型赤外吸収分光分析器FT/IR−4100(測定精度:4cm−1)を用い、NaCl板に分散剤を塗布して110℃で乾固し、透過法により波数400〜4000cm−1の範囲で15回程度積算することによって確認することができる。図1に示すように、ポリエーテル系分散剤のうち、赤外線吸収スペクトルの相対強度比α[(1560〜1600cm−1付近に出現する吸収ピークAの強度)/(2850〜2960cm−1付近に出現する吸収ピークBの強度)]が0.25〜0.80であり、かつ赤外線吸収スペクトルの相対強度比β[(1090〜1130cm−1付近に出現する吸収ピークCの強度)/(2850〜2960cm−1付近に出現する吸収ピークBの強度)]が0.40〜1.30のものが特に好ましい。
分散剤は、注入材中、例えば0.25〜1.50質量%とすることができるが、効率的に、微粉末材料を充分に分散して、良好な地盤への浸透性の改善効果を得ることができる点から、0.55〜1.10質量%であることが好ましい。より好ましくは、分散剤は、注入材中、0.63〜1.00質量%であり、さらに好ましくは0.70〜0.90質量%である。なお、分散剤は、通常、固形分25〜45質量%の溶液形態であり、上記の注入材中の範囲は、溶液形態の分散剤についてのものである。
本発明のスラグ系注入材は、練り混ぜ水として、水を含む。水の質量と高炉スラグ微粉末及び消石灰微粉末の合計質量との比は6:1〜24:1であることが好ましい。この範囲であれば、注入材中の各材料の分離が抑制され、懸濁粒子の分散が充分で、良好な地盤への浸透性のみならず、充分な固化強度も期待できる。ちなみに、この比は、通常の懸濁液系又は水ガラス系注入材に較べて大きい。すなわち、本発明の注入材によれば、透水係数が小さい難浸透性地盤に、相対的に希薄な粉体濃度で注入することができる。
本発明のスラグ系注入材には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として、材料分離低減剤、消泡剤、無水石膏、炭酸カルシウム等を含有させることができる。材料分離低減剤としては、セルロース系水溶性高分子、アクリル系水溶性高分子、グリコール系水溶性高分子、バイオポリマー、ベントナイト、アロフェン等があげられる。一方、消泡剤としては、シリコーン等を含有させることができる。
本発明の注入材は、所定量の高炉スラグ微粉末、消石灰微粉末、ケイ酸アルカリ、分散剤、水及び任意成分を計量し、混合・攪拌することによって調製される。この場合、使用するミキサ−及び水に対する各材料の添加順序や混合・攪拌時間は特に限定されるものではないが、水に、分散剤、微粉末材料(高炉スラグ微粉末及び消石灰微粉末)、次いでケイ酸アルカリの順で添加・攪拌することが好ましい。これは微粉末材料の分散、ケイ酸アルカリの完全溶解及び注入材全体の均質化が実現できるからである。
このように調製された注入材は通常の地盤注入工程・注入時間範囲内(24時間以内)ではゲル化しないので、通常の注入設備・機器で操作が簡単な1ショット工法で充分に注入することができる。但し、改良工事面積が広い、注入孔本数が多い場合、あるいは既に1.5ショット又は2ショット工法の設備が設置されている場合、効率的な注入を行うためにケイ酸アルカリを含む液とその他材料を含む懸濁液とに別けて、1.5ショット又は2ショット工法で注入することも可能である。
以下、本発明の実施例及び比較例を記載するが、本発明はこれらに限定される訳ではない。
1 使用材料
使用した材料は次のとおりである。
(1)高炉スラグ微粉末:通過体積百分率95%粒子径4.3μm、ブレーン比表面積15100cm/g、塩基度1.88
(2)消石灰微粉末:通過体積百分率95%粒子径4.1μm
(3)ケイ酸アルカリ:JIS K 1408−1966「けい酸ナトリウム」に規定の3号品(SiO濃度29%)
(4)分散剤:カルボキシル基含有ポリエーテル系分散剤(固形分量33質量%、赤外線吸収スペクトルの相対強度比α=0.63、β=1.09)
通過体積百分率95%粒子径の測定は、堀場製作所製のレーザー回折式粒度分布測定器(LA−500)を使用して、試料分散媒としてはエタノールを用い、測定前の超音波による試料分散時間を5分間、測定データの取り込み回数は25回とし、測定した結果をRosin−Rammler線図にプロットして相当する粒子径を求めた。この線図での直線回帰は、積算通過粒子量が60%以上の範囲で行った。
分散剤の赤外線吸収スペクトル(FT−IR)は、日本分光社製のフーリエ変換型赤外吸収分光分析器FT/IR−4100を用い、NaCl板に分散剤を塗布して110℃で乾固し、透過法により波数400〜4000cm-1の範囲で15回積算することにより測定した。図1に赤外線吸収スペクトルを示す。1560〜1600cm−1付近に出現する吸収ピークA(図1中のピークNo.15)はカルボキシル金属塩の基の伸縮振動、2850〜2960cm−1付近に出現する吸収ピークB(図1中のピークNo.18)は主鎖を形成するメチル基又はメチレン基の伸縮振動、1090〜1130cm−1付近に出現する吸収ピークC(図1中のピークNo.8)は側鎖を形成する脂肪族エーテル基の伸縮振動によるものである。各吸収ピークについてベースラインからの距離(吸収ピーク強度)を計り、相対強度比を求めた。これらの波数領域に吸収ピークが認められない場合は、1580cm−1、2870cm−1、1110cm−1の位置でベースラインからの距離を計る。ベースラインは、吸収ピークBでは4000〜2000cm−1付近に見られる透過率の高い凸の部分同士を結んだ直線、吸収ピークA及びピークCでは1800〜600cm−1付近に見られる透過率の高い凸の部分同士を結んだ直線とした。
2 注入材の粘性変化
(1)注入材の調製
高炉スラグ微粉末の質量と消石灰微粉末の質量の比を93:7、注入材中の分散剤を約0.7質量%(溶液基準)に固定し、水の質量と高炉スラグ微粉末及び消石灰微粉末の合計質量の比を8:1及び12:1とし、表1及び2に示すようにケイ酸アルカリの量を変動させて、実施例1〜4及び比較例1〜2の注入材を調製した。注入材は、1バッチ当たりの出来上がり容積を1Lとして、所定量の分散剤、高炉スラグ微粉末及び消石灰微粉末、ケイ酸アルカリの順に加え、ジューサーミキサ(松下電器社製、MX‐915C)で1分間高速攪拌(15000rpm)して調製した。
(2)注入材粘度の経時変化
調製した注入材を、円筒形容器(直径9cm、高さ9cm、内容積400ml、粉砕媒体無し)に入れ、ボールミル架台にセットして室温(23℃)で低速回転(23rpm)した。所定の時間に達した時点で、注入材粘度(みかけ粘度)をB型粘度計(株式会社トキメック製デジタル粘度計DVL−BII形、23℃、回転数60rpm、BLアダプター使用)で測定し、次の測定まで再び低速回転した。これらの結果を表1〜2に示す。
Figure 2013213216
Figure 2013213216
各注入材の粘度の経時変化の測定結果から、SiO濃度が0.40質量%超になると、従来の溶液型水ガラス系や懸濁液型水ガラス系注入材のように粘度が著しく上昇し、注入上問題を生じたり、流動性を全く失ったりするケースがあるが、本発明の注入材(SiO濃度が0.05〜0.40質量%)では、例えば24時間経過後においてもその粘度は20mPa・s以下であって、注入上問題となるような粘度上昇(浸透注入性状の低下等)は生じていないことがわかった。
(3)注入材のサンドゲル強度及び浸透性
上記材料を使用し、高炉スラグ微粉末の質量と消石灰微粉末の質量との比を93:7とし、表3及び4に示すように、水の質量と高炉スラグ微粉末及び消石灰微粉末の合計質量との比(表3及び4中の質量比)、分散剤及びケイ酸アルカリの量を変動させて、実施例1、4〜6及び比較例3の注入材を調製し、注入材を珪砂(宇部珪砂7号、細粒土分24%)と練り混ぜ、塩化ビニル製の円筒容器(内径Φ5cm×10cm)に流し込み、23℃の恒温室で封緘養生した。所定材齢経過後、脱型して一軸圧縮強さを測定した。なお、混合珪砂充填時の間隙率は約50%であったので、その間隙相当容積の注入材を加えた。結果を表3〜4に示した。
また、透明アクリル製円筒容器(Φ10cm)に珪砂(宇部珪砂7号)を充填(高さ100cm、透水係数4.2×10−3cm/s)し、この砂層充填層下部孔から注入材を0.2MPaで圧入し、注入材の浸透距離(先端浸透高さを目視で判定)を測定した。結果を表4に示した。
Figure 2013213216
注入材の水の質量と高炉スラグ微粉末及び消石灰微粉末の合計質量の比が小さい方が、サンドゲル強度が高い傾向があった。例えば、砂質層で液状化の発生を予防するには施工管理材齢の28日で100kN/m以上の一軸圧縮強度が目安であるが、注入材の水の質量と高炉スラグ微粉末及び消石灰微粉末の合計質量比を24以内に留めることにより、上記目安の数値を充足できることがわかった。なお、実地盤での固化強度は、注入材中の水分は濾過され、また微粉材料は土粒子間隙部分で濃縮されるので、上記のサンドゲル強度よりも一般に大きくなる。
Figure 2013213216
実施例5と比較例3から、ケイ酸アルカリを添加しないとサンドゲル強度が100kN/m未満となり好ましくないことがわかった。一方、実施例4と実施例6から、分散剤濃度が0.5質量%を超えると浸透距離も長くなり、より好ましいことがわかった。

Claims (5)

  1. 高炉スラグ微粉末、消石灰微粉末、ケイ酸アルカリ、主鎖を形成するメチル基又はメチレン基をもち、カルボキシ金属塩を主鎖中にもち、かつ脂肪族エーテル基の側鎖をもつカルボキシル基含有ポリエーテル系分散剤及び水を含有してなる1液型のスラグ系注入材であって、注入材中、ケイ酸アルカリがSiO濃度にして0.07〜0.37質量%、カルボキシル基含有ポリエーテル系分散剤が0.25〜0.74質量%であり、
    高炉スラグ微粉末の質量と消石灰微粉末の質量との比が85:15〜96:4であり、かつ水の質量と高炉スラグ微粉末及び消石灰微粉末の合計質量との比が12:1以下であり、
    高炉スラグ微粉末及び消石灰微粉末が、それぞれ通過体積百分率95%の粒子径が12.0μm以下の粉末である、1液型のスラグ系注入材。
  2. 高炉スラグ微粉末の質量と消石灰微粉末の質量との比が90:10〜95:5である、請求項1記載の1液型のスラグ系注入材。
  3. 注入材中、ケイ酸アルカリがSiO濃度にして0.07〜0.32質量%である、請求項1又は2記載の1液型のスラグ系注入材。
  4. 注入材中、ケイ酸アルカリがSiO濃度にして0.09〜0.28質量%である、請求項1〜3のいずれか1項記載の1液型スラグ系注入材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の1液型のスラグ系注入材を地盤に注入する注入工法。
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