JP2013212709A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】押圧されているギヤに生じる外力が小さいときにはギヤ間のフリクションを小さくすることができるとともに、大きな外力が生じるときにはその外力を吸収できる装置を提供する。
【解決手段】ハンドルの回転と連動して回転する入力軸21と車輪の向きと連動して回転する出力軸22との相対回転角度に応じて駆動される電動モータ40の回転力を出力軸22に伝える伝達機構50は、電動モータ40の回転軸に装着された駆動ギヤ51と、出力軸22に装着された従動ギヤ52と、駆動ギヤ51と従動ギヤ52との間に介在する中間ギヤ53と、中間ギヤ53の歯面を他のギヤの歯面に対して押圧するコイルばね群60とを有し、コイルばね群60は、中間ギヤ53の軸方向の変位量が所定量未満である場合には変位量に応じて押圧力が所定の増加量以下で増加し、変位量が所定量以上である場合には変位量に応じて押圧力が所定の増加量より大きく増加する。
【選択図】図3
【解決手段】ハンドルの回転と連動して回転する入力軸21と車輪の向きと連動して回転する出力軸22との相対回転角度に応じて駆動される電動モータ40の回転力を出力軸22に伝える伝達機構50は、電動モータ40の回転軸に装着された駆動ギヤ51と、出力軸22に装着された従動ギヤ52と、駆動ギヤ51と従動ギヤ52との間に介在する中間ギヤ53と、中間ギヤ53の歯面を他のギヤの歯面に対して押圧するコイルばね群60とを有し、コイルばね群60は、中間ギヤ53の軸方向の変位量が所定量未満である場合には変位量に応じて押圧力が所定の増加量以下で増加し、変位量が所定量以上である場合には変位量に応じて押圧力が所定の増加量より大きく増加する。
【選択図】図3
Description
本発明は、電動パワーステアリング装置に関する。
近年、鞍乗型車両の操舵力を軽減するための電動パワーステアリング装置が提案されている。
例えば、特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置は、ハンドルが接続される入力軸と、車輪側操舵部材が接続される出力軸と、入力軸と出力軸の間に設けられるトルクセンサと、トルクセンサの検出トルクに応じて駆動される電動モータと、電動モータの駆動力を出力軸に伝える伝達機構とを備える。伝達機構は、電動モータの駆動軸に接続される駆動ギヤと、出力ギヤに設けられる従動ギヤと、駆動ギヤと従動ギヤの間に介在する中間ギヤとを有して構成されている。そして、これら駆動ギヤ、従動ギヤおよび中間ギヤの回転軸は、互いに平行である。
例えば、特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置は、ハンドルが接続される入力軸と、車輪側操舵部材が接続される出力軸と、入力軸と出力軸の間に設けられるトルクセンサと、トルクセンサの検出トルクに応じて駆動される電動モータと、電動モータの駆動力を出力軸に伝える伝達機構とを備える。伝達機構は、電動モータの駆動軸に接続される駆動ギヤと、出力ギヤに設けられる従動ギヤと、駆動ギヤと従動ギヤの間に介在する中間ギヤとを有して構成されている。そして、これら駆動ギヤ、従動ギヤおよび中間ギヤの回転軸は、互いに平行である。
電動パワーステアリング装置における電動モータの駆動力を出力軸に伝える伝達機構を構成するにあたっては、ギヤ間のバックラッシュの存在が回転伝達時の歯打ち音の原因になるため、バックラッシュを抑制することが望ましい。
これに対して、伝達機構を構成するギヤ同士のバックラッシュが低減するようにギヤを押圧する押圧手段を備えることも考えられる。かかる場合、鞍乗型車両が整地された路面を走行する通常走行時のように、押圧手段に直に押圧されているギヤに外力があまり生じないときにはギヤ間のフリクションは小さいことが望ましく、また、不整地路面を走行する時のように、押圧手段に直に押圧されているギヤに大きな外力が生じるときにはその外力を吸収できることが望ましい。
これに対して、伝達機構を構成するギヤ同士のバックラッシュが低減するようにギヤを押圧する押圧手段を備えることも考えられる。かかる場合、鞍乗型車両が整地された路面を走行する通常走行時のように、押圧手段に直に押圧されているギヤに外力があまり生じないときにはギヤ間のフリクションは小さいことが望ましく、また、不整地路面を走行する時のように、押圧手段に直に押圧されているギヤに大きな外力が生じるときにはその外力を吸収できることが望ましい。
かかる目的のもと、本発明は、ハンドルの回転と連動して回転する入力軸と、車輪の向きと連動して回転する出力軸と、前記入力軸と前記出力軸との相対回転角度に応じて駆動される電動モータと、前記電動モータの回転力を前記出力軸に伝える伝達機構と、を備え、前記伝達機構は、前記電動モータの回転軸に装着された駆動ギヤと、前記出力軸に装着された従動ギヤと、当該駆動ギヤと当該従動ギヤとの間に介在する中間ギヤと、当該中間ギヤの歯面を他のギヤの歯面に対して押圧する押圧手段とを有し、当該押圧手段は、当該中間ギヤの軸方向の変位量が所定量未満である場合には当該変位量に応じて押圧力が所定の増加量以下で増加し、当該変位量が当該所定量以上である場合には当該変位量に応じて当該押圧力が当該所定の増加量より大きく増加することを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
ここで、前記車輪が整地された路面を走行する場合に、前記押圧手段が前記中間ギヤを押圧する力は、当該中間ギヤに生じる当該中間ギヤと前記従動ギヤとの噛み合いが解けようとする方向の力よりも小さいとよい。
また、前記中間ギヤの前記変位量が最大となり前記押圧手段が当該中間ギヤを押圧する力が最大となった場合でも、前記電動モータの回転力を前記出力軸に伝え得るように前記伝達機構を構成するギヤの歯丈が設定されているとよい。
また、前記中間ギヤの前記変位量が最大となり前記押圧手段が当該中間ギヤを押圧する力が最大となった場合でも、前記電動モータの回転力を前記出力軸に伝え得るように前記伝達機構を構成するギヤの歯丈が設定されているとよい。
また、前記押圧手段は、高さが異なる複数のコイルばねから構成され、前記中間ギヤの軸方向の変位量が所定量未満である場合には当該複数のコイルばねの内の一つのコイルばねが押圧力を付与し、当該中間ギヤの軸方向の変位量が所定量以上である場合には当該複数のコイルばねの内の二以上のコイルばねが押圧力を付与するとよい。
他の観点から捉えると、本発明は、ハンドルの回転と連動して回転する入力軸と、車輪の向きと連動して回転する出力軸と、前記入力軸と前記出力軸との相対回転角度に応じて駆動される電動モータと、前記電動モータの回転力を前記出力軸に伝える伝達機構と、を備え、前記伝達機構は、前記電動モータの回転軸に装着された駆動ギヤと、前記出力軸に装着された従動ギヤと、当該駆動ギヤと当該従動ギヤとの間に介在する中間ギヤと、当該中間ギヤの歯面を他のギヤの歯面に対して押圧する押圧手段とを有し、当該押圧手段は、荷重特性の異なる弾性材の組合せにて構成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
ここで、前記押圧手段は、高さが異なる複数のコイルばねにて構成されているとよい。
また、前記押圧手段は、前記中間ギヤの軸方向の変位量が所定量未満である場合には前記複数のコイルばねの内の一つのコイルばねが押圧力を付与し、当該中間ギヤの軸方向の変位量が所定量以上である場合には当該複数のコイルばねの内の二以上のコイルばねが押圧力を付与するとよい。
また、前記押圧手段は、前記中間ギヤの軸方向の変位量が所定量未満である場合には前記複数のコイルばねの内の一つのコイルばねが押圧力を付与し、当該中間ギヤの軸方向の変位量が所定量以上である場合には当該複数のコイルばねの内の二以上のコイルばねが押圧力を付与するとよい。
他の観点から捉えると、本発明は、ハンドルの回転と連動して回転する入力軸と、車輪の向きと連動して回転する出力軸と、前記入力軸と前記出力軸との相対回転角度に応じて駆動される電動モータと、前記電動モータの回転力を前記出力軸に伝える伝達機構と、を備え、前記伝達機構は、前記電動モータの回転軸に装着された駆動ギヤと、前記出力軸に装着された従動ギヤと、当該駆動ギヤと当該従動ギヤのいずれか一方のギヤの歯面を他方のギヤの歯面に対して押圧する押圧手段とを有し、当該押圧手段は、当該一方のギヤの回転軸方向の変位量が所定量未満である場合には当該変位量に応じて押圧力が所定の増加量以下で増加し、当該変位量が当該所定量以上である場合には当該変位量に応じて当該押圧力が当該所定の増加量より大きく増加することを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
また、他の観点から捉えると、本発明は、ハンドルの回転と連動して回転する入力軸と、車輪の向きと連動して回転する出力軸と、前記入力軸と前記出力軸との相対回転角度に応じて駆動される電動モータと、前記電動モータの回転力を前記出力軸に伝える伝達機構と、を備え、前記伝達機構は、前記電動モータの回転軸に装着された駆動ギヤと、前記出力軸に装着された従動ギヤと、当該駆動ギヤと当該従動ギヤのいずれか一方のギヤの歯面を他方のギヤの歯面に対して押圧する押圧手段とを有し、当該押圧手段は、荷重特性の異なる弾性材の組合せにて構成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
本発明によれば、押圧手段に直に押圧されているギヤに生じる外力が小さいときにはギヤ間のフリクションを小さくすることができるとともに、大きな外力が生じるときにはその外力を吸収できる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係る鞍乗型車両1の概略構成を示す図である。
本実施の形態に係る鞍乗型車両1は、例えば不整地走行用車両として用いられるバギー車やスノーモービル等である。鞍乗型車両1は、車体フレーム1aと、この車体フレーム1aの前側に取り付けられた前輪2と、後ろ側に取り付けられた不図示の後輪と、不図示のエンジンとを備えている。前輪2および後輪は、それぞれ一つ又は二つであることを例示できる。
図1は、実施の形態に係る鞍乗型車両1の概略構成を示す図である。
本実施の形態に係る鞍乗型車両1は、例えば不整地走行用車両として用いられるバギー車やスノーモービル等である。鞍乗型車両1は、車体フレーム1aと、この車体フレーム1aの前側に取り付けられた前輪2と、後ろ側に取り付けられた不図示の後輪と、不図示のエンジンとを備えている。前輪2および後輪は、それぞれ一つ又は二つであることを例示できる。
また、鞍乗型車両1は、前輪2を操舵する棒状のハンドル4と、このハンドル4を支持する操舵軸5と、前輪2を支持する車輪側操舵部材6と、操舵軸5と車輪側操舵部材6との間に配置された電動パワーステアリング装置100(以下、単に「ステアリング装置100」と称する場合もある。)とを備えている。操舵軸5は車体フレーム1aの上部フレーム1auに支持され、車輪側操舵部材6は車体フレーム1aの下部フレーム1adに支持され、ステアリング装置100はブラケット7を介して車体フレーム1aの上部フレーム1auに支持されている。
<第1の実施形態>
図2および図3は、第1の実施形態に係るステアリング装置100の構成を示す部分断面図である。
ステアリング装置100は、操舵軸5がセレーション結合されて接続される入力軸21と、車輪側操舵部材6がセレーション結合されて接続される出力軸22と、入力軸21と出力軸22とに同軸的に連結されたトーションバー23とを備えている。トーションバー23の一端は入力軸21に連結ピン23aで連結され、トーションバー23の他端は出力軸22の中空部にセレーション結合される。
図2および図3は、第1の実施形態に係るステアリング装置100の構成を示す部分断面図である。
ステアリング装置100は、操舵軸5がセレーション結合されて接続される入力軸21と、車輪側操舵部材6がセレーション結合されて接続される出力軸22と、入力軸21と出力軸22とに同軸的に連結されたトーションバー23とを備えている。トーションバー23の一端は入力軸21に連結ピン23aで連結され、トーションバー23の他端は出力軸22の中空部にセレーション結合される。
また、ステアリング装置100は、入力軸21、出力軸22およびトーションバー23の一部を収納するハウジング30を備えている。ハウジング30は、第1ハウジング31、第2ハウジング32および第3ハウジング33から構成される。
第1ハウジング31は、出力軸22を回転可能に支持する軸受け31aを、出力軸22の回転軸方向(以下、単に「軸方向」と称する場合もある。)の一方の端部側(図2においては下側)に有し、軸方向の他方の端部側(図2においては上側)が開口した部材である。第1ハウジング31における軸受け31aの一方の端部側(図2においては下側)にはオイルシール31bが装着されている。
第1ハウジング31は、出力軸22を回転可能に支持する軸受け31aを、出力軸22の回転軸方向(以下、単に「軸方向」と称する場合もある。)の一方の端部側(図2においては下側)に有し、軸方向の他方の端部側(図2においては上側)が開口した部材である。第1ハウジング31における軸受け31aの一方の端部側(図2においては下側)にはオイルシール31bが装着されている。
第2ハウジング32は、出力軸22を回転可能に支持する軸受け32aを有して、軸方向の両端部が開口しているとともに後述する電動モータ40の回転軸を挿入する挿入孔が形成された部材である。第2ハウジング32における軸方向の一方の端部側の開口部が第1ハウジング31における軸方向の他方の端部側の開口部と対向するように配置される。そして、第2ハウジング32は、例えばボルトなどにより第1ハウジング31に固定される。
第3ハウジング33は、入力軸21を回転可能に支持する軸受け33aを、軸方向の他方の端部側(図2においては上側)に有し、軸方向の一方の端部側(図2においては下側)が開口した部材である。そして、軸方向の一方の端部側の開口部が第2ハウジング32における軸方向の他方の端部側の開口部と対向するように配置されるとともに、例えばボルトなどにより第2ハウジング32に固定される。第3ハウジング33における軸受け33aの他方の端部側(図2においては上側)にはオイルシール33bが装着されている。
また、ステアリング装置100は、第2ハウジング32に形成された挿入孔に駆動軸40aが挿入されるとともに第2ハウジング32に取り付けられる電動モータ40と、電動モータ40の駆動力を出力軸22に伝達する伝達機構50とを備えている。
伝達機構50は、ハウジング30に収納され、電動モータ40の駆動軸40aの回転を出力軸22に伝える機構である。より具体的には、伝達機構50は、電動モータ40の駆動軸40aに継手41を介して接続される駆動ギヤ51と、出力軸22に固定された従動ギヤ52と、駆動ギヤ51と従動ギヤ52との間に介在する中間ギヤ53とを備えている。駆動ギヤ51は平歯車であり、従動ギヤ52はベベルギヤであり、中間ギヤ53はベベルギヤであることを例示することができる。つまり、駆動ギヤ51は駆動軸40aの軸方向に沿う歯面を有し、従動ギヤ52は出力軸22の軸方向の他方の端部側(図2においては上側)に向けて縮径して軸方向に対して傾斜した歯面を有し、中間ギヤ53は軸方向の一方の端部側(図2においては下側)に向けて縮径して軸方向に対して傾斜した歯面を有している。
なお、駆動ギヤ51、従動ギヤ52および中間ギヤ53の歯形状はストレートでもらせん状であってもよい。
なお、駆動ギヤ51、従動ギヤ52および中間ギヤ53の歯形状はストレートでもらせん状であってもよい。
また、伝達機構50は、入力軸21および出力軸22の軸方向と軸方向が平行となるように設けられて中間ギヤ53を保持する回転軸54と、回転軸54を回転可能に支持する、第1ハウジング31に取り付けられたすべり軸受け55と、第2ハウジング32に取り付けられたボール軸受け56とを備えている。中間ギヤ53の内周にはセレーションが設けられ、回転軸54の外周にはセレーションが設けられ、中間ギヤ53はセレーション結合にて回転軸54と一体的に回転するとともに、回転軸54に対し軸方向に移動する。
そして、伝達機構50は、中間ギヤ53を、駆動ギヤ51の歯面と従動ギヤ52の歯面に対し押圧する押圧手段の一例としてのコイルばね群60と、回転軸54の周りで、コイルばね群60と第2ハウジング32に設けたボール軸受け56の端面との間に配置した円板65と、を有している。なお、回転軸54の上端部のボール軸受56は自動調芯型とされている。これにより、中間ギヤ53は軸方向の一方の端部側(図2においては下側)に向けて縮径して軸方向に対して傾斜した歯面を、駆動ギヤ51における駆動軸40aの軸方向に沿う歯面と、従動ギヤ52における軸方向の一方の端部側(図2においては上側)に向けて縮径して出力軸22の軸方向に対して傾斜した歯面との両者と隙間なく噛合うように構成されている。コイルばね群60については後で詳述する。
また、ステアリング装置100は、ハウジング30内に、入力軸21と出力軸22との相対回転角度に基づいて、言い換えればトーションバー23の捩れ量に基づいてハンドル4の操舵トルクを検出するトルクセンサ70を備えている。
トルクセンサ70は、図3に示すように、入力軸21と出力軸22に係合している円筒状のコア71と、このコア71を囲む2個の検出コイル72、73とを備えている。コア71には、出力軸22に設けられたガイドピン22aに嵌まり込む軸方向溝71aが軸方向に形成されており、軸方向にのみ移動可能とされている。また、コア71には、入力軸21に設けられたスライダピン21aに嵌まり込むスパイラル溝71bがスパイラル状に形成されており、コア71は、スライダピン21aに押されて軸方向に移動する。検出コイル72と検出コイル73とは、所定の間隔を隔てて第3ハウジング33に取り付けられている。
トルクセンサ70は、図3に示すように、入力軸21と出力軸22に係合している円筒状のコア71と、このコア71を囲む2個の検出コイル72、73とを備えている。コア71には、出力軸22に設けられたガイドピン22aに嵌まり込む軸方向溝71aが軸方向に形成されており、軸方向にのみ移動可能とされている。また、コア71には、入力軸21に設けられたスライダピン21aに嵌まり込むスパイラル溝71bがスパイラル状に形成されており、コア71は、スライダピン21aに押されて軸方向に移動する。検出コイル72と検出コイル73とは、所定の間隔を隔てて第3ハウジング33に取り付けられている。
このように構成されたトルクセンサ70においては、ハンドル4に加えられた操舵トルクが入力軸21に付与され、トーションバー23の弾性ねじり変形により、入力軸21と出力軸22との間に回転方向の相対変位を生ずると、入力軸21と出力軸22の回転方向の変位に応じてコア71が軸方向に変位する。このコア71の変位により、検出コイル72、73の周辺に磁気的変化が生じ、検出コイル72、73のインダクタンスが変化する。つまり、コア71が入力軸21の側へ移動すると、コア71が近づく方の検出コイル72のインダクタンスが増加し、コア71が遠ざかる方の検出コイル73のインダクタンスが減少する。トルクセンサ70は、このインダクタンスの変化により操舵トルクを検出する。
以上のように構成されたステアリング装置100においては、ハンドル4に加えた操舵トルクをトルクセンサ70にて検出し、その検出トルクに応じたアシストトルクを発生させるように電動モータ40を駆動し、電動モータ40の発生トルクを伝達機構50の駆動ギヤ51、中間ギヤ53、従動ギヤ52を介して出力軸22に伝える。これにより、電動モータ40の発生トルクが、ハンドル4に加える運転者の操舵力をアシストする。つまり、出力軸22は、ハンドル4の回転によって発生する操舵トルクと電動モータ40から付与されるアシストトルクとで回転する。
次に、コイルばね群60について詳細に説明する。
図4は、コイルばね群60の概略構成を示す図である。
コイルばね群60は、荷重特性の異なる弾性材の組合せにて構成されている。より具体的には、コイルばね群60は、径と高さが異なる第1コイルばね61と第2コイルばね62とから構成される。図4に示すように、第1コイルばね61のコイル中心径D61は、第2コイルばね62のコイル中心径D62よりも大きく、かつ、第1コイルばね61のコイル内径D161は、第2コイルばね62のコイル外径D262よりも大きい。また、第2コイルばね62のコイル内径D162は、回転軸54の外径よりも大きい。それゆえ、第2コイルばね62は、第1コイルばね61の内側に配置され、第1コイルばね61および第2コイルばね62は、回転軸54の周囲に配置される。
図4は、コイルばね群60の概略構成を示す図である。
コイルばね群60は、荷重特性の異なる弾性材の組合せにて構成されている。より具体的には、コイルばね群60は、径と高さが異なる第1コイルばね61と第2コイルばね62とから構成される。図4に示すように、第1コイルばね61のコイル中心径D61は、第2コイルばね62のコイル中心径D62よりも大きく、かつ、第1コイルばね61のコイル内径D161は、第2コイルばね62のコイル外径D262よりも大きい。また、第2コイルばね62のコイル内径D162は、回転軸54の外径よりも大きい。それゆえ、第2コイルばね62は、第1コイルばね61の内側に配置され、第1コイルばね61および第2コイルばね62は、回転軸54の周囲に配置される。
また、第1コイルばね61の自由長L61は、第2コイルばね62の自由長L62よりも長い。そして、第1コイルばね61の自由長L61および第2コイルばね62の自由長L62は、以下のように設定されている。
すなわち、コイルばね群60の軸方向の移動を規制する中間ギヤ53の端面と円板65との間が所定値より大きい場合にはコイルばね群60の内の自由長が長い第1コイルばね61のばね力のみが生じ、所定値以下となった場合には第1コイルばね61および第2コイルばね62のばね力が生じる。中間ギヤ53の端面と円板65との間が所定値以下となる場合とは、鞍乗型車両1が整地されていない路面を走行し、路面にある凸部から前輪2が外力を受け、出力軸22が軸方向に上昇した場合である。鞍乗型車両1が整地された路面を走行する通常走行時には、中間ギヤ53の端面と円板65との間が所定値より大きくなる。
すなわち、コイルばね群60の軸方向の移動を規制する中間ギヤ53の端面と円板65との間が所定値より大きい場合にはコイルばね群60の内の自由長が長い第1コイルばね61のばね力のみが生じ、所定値以下となった場合には第1コイルばね61および第2コイルばね62のばね力が生じる。中間ギヤ53の端面と円板65との間が所定値以下となる場合とは、鞍乗型車両1が整地されていない路面を走行し、路面にある凸部から前輪2が外力を受け、出力軸22が軸方向に上昇した場合である。鞍乗型車両1が整地された路面を走行する通常走行時には、中間ギヤ53の端面と円板65との間が所定値より大きくなる。
図5は、コイルばね群60の軸方向の変位量とコイルばね群60に生じるばね力(荷重)との関係を示す図である。
第1の実施形態に係るコイルばね群60においては、コイルばね群60における軸方向の変位量が零〜第1コイルばね61の自由長L61から第2コイルばね62の自由長L62を減算した値であるL61−L62までは第1コイルばね61のみが変化し、その変化に応じたばね力が発生する。そして、軸方向の変位量がL61−L62より大きくなると、第2コイルばね62も変化することから、第1コイルばね61および第2コイルばね62の変化に応じたばね力が発生する。
第1の実施形態に係るコイルばね群60においては、コイルばね群60における軸方向の変位量が零〜第1コイルばね61の自由長L61から第2コイルばね62の自由長L62を減算した値であるL61−L62までは第1コイルばね61のみが変化し、その変化に応じたばね力が発生する。そして、軸方向の変位量がL61−L62より大きくなると、第2コイルばね62も変化することから、第1コイルばね61および第2コイルばね62の変化に応じたばね力が発生する。
そして、第1の実施形態に係るステアリング装置100においては、上述した所定値が第2コイルばね62の自由長L62となるように設定されている。つまり、中間ギヤ53の端面と円板65との間の隙間が第2コイルばね62の自由長L62より大きい場合には第1コイルばね61のばね力のみが生じ、自由長L62以下となった場合には第1コイルばね61および第2コイルばね62のばね力が生じるように設定されている。言い換えれば、中間ギヤ53の軸方向の変位量が所定量未満である場合にはその変位量に応じて中間ギヤ53を押圧する力が所定の増加量(第1コイルばね61のばね定数)以下で増加し、中間ギヤ53の軸方向の変位量が上記所定量以上である場合にはその変位量に応じて中間ギヤ53を押圧する力がこの所定の増加量より大きく増加し、その増加量は第1コイルばね61のばね定数と第2コイルばね62のばね定数とを加算した値となる。さらに言い換えれば、例えば、鞍乗型車両1が整地された路面を走行する通常走行時には第1コイルばね61のばね力のみが生じ、整地されていない路面の凸部から外力を受けた場合には第1コイルばね61および第2コイルばね62のばね力が生じるように設定されている。
なお、上記所定量は、鞍乗型車両1が整地された路面上で直立して停止している状態での中間ギヤ53の端面と円板65との間の隙間(初期隙間)から第2コイルばね62の自由長L62となるまでに変化する量である。例えば、鞍乗型車両1が整地された路面上で直立して停止している状態での中間ギヤ53の端面と円板65との間の隙間(初期隙間)が第1コイルばね61の自由長L61から初期変化量L0を減算した値(L61−L0)である場合には、上記所定量は、L61−L0−L62となる。
また、通常走行時に中間ギヤ53が軸方向へ上昇する力(中間ギヤ53に生じる中間ギヤ53と従動ギヤ52との噛み合いが解けようとする方向の力(中間ギヤ53の離反力))が、中間ギヤ53が第1コイルばね61によって軸方向の下方へ押し付けられる力(第1コイルばね61のばね力)よりも小さくなるように第1コイルばね61のばね定数が設定されている。
また、コイルばね群60が最も縮み、中間ギヤ53が軸方向へ最も上昇したとしても、中間ギヤ53と駆動ギヤ51との噛み合いおよび中間ギヤ53と従動ギヤ52との噛み合いが、電動モータ40の駆動トルクを出力軸22に十分に伝達できる程度に確保されるように、コイルばね群60の仕様が設定されている。言い換えれば、整地されていない路面の凸部から大きな外力を受けたとしても、電動モータ40の駆動トルクを出力軸22に伝達できなくなる程噛み合わなくならないように、コイルばね群60の線径や巻き数、各ギヤの歯丈などが設定されている。
以上のように構成された第1の実施形態に係る伝達機構50によれば、中間ギヤ53が回転軸54の軸方向に移動可能にされ、中間ギヤ53を駆動ギヤ51と従動ギヤ52の各歯面に対して押圧するコイルばね群60を設けているので、中間ギヤ53の回転軸54の軸方向に対して交差(斜交又は直交)する傘面状の歯面が隙間なく駆動ギヤ51と従動ギヤ52の各歯面に押圧される。これにより、中間ギヤ53と駆動ギヤ51とのバックラッシュが抑制され、中間ギヤ53と従動ギヤ52とのバックラッシュが抑制される。その結果、伝達機構50を構成する各ギヤの寸法精度や組付精度の高精度化によらず、中間ギヤ53と駆動ギヤ51との歯打ち音、および中間ギヤ53と従動ギヤ52との歯打ち音が低減される。
また、コイルばね群60が、高さが異なる第1コイルばね61と第2コイルばね62とから構成され、鞍乗型車両1が整地された路面を走行する通常走行時には第1コイルばね61のばね力のみが生じるので、コイルばね群60が過度に中間ギヤ53を押圧することに起因して生じる中間ギヤ53と駆動ギヤ51との間のフリクション、および中間ギヤ53と従動ギヤ52との間のフリクションは小さい。それゆえ、伝達機構50は、電動モータ40が発生する駆動トルクを円滑に出力軸22に伝達することが可能となる。また、通常走行時の中間ギヤ53の離反力が、中間ギヤ53が第1コイルばね61によって軸方向の下方へ押し付けられる力(第1コイルばね61のばね力)よりも小さくなるように第1コイルばね61のばね定数が設定されているので、通常走行時に第1コイルばね61のばね力のみが生じる構成であっても電動モータ40の駆動トルクが出力軸22に伝達される。
また、コイルばね群60が、中間ギヤ53を駆動ギヤ51の歯面に対して押圧するとき、コイルばね群60自体が弾性変形できるため、鞍乗型車両1の前輪2が路面から受ける力を吸収する。特に、鞍乗型車両1の前輪2が整地されていない路面から大きな力を受けたとしても、第1コイルばね61のばね力と第2コイルばね62のばね力とで、この外力に対抗するので、鞍乗型車両1の前輪2が路面から受ける力が大きくても、その力を吸収することが可能となる。これにより、鞍乗型車両1の凹凸路面(不整地路面)走行時やコーナリング走行時のハンドル4あるいは操舵軸5等のガタ振れが小さくなる。
また、整地されていない路面から大きな外力を受けたとしても、電動モータ40の駆動トルクを出力軸22に伝達できなくなる程噛み合わなくならないように、コイルばね群60の線径や巻き数、各ギヤの歯丈などが設定されているので、たとえ大きな外力を受けたとしても、精度高く電動モータ40の駆動トルクが出力軸22に伝達される。これにより、電動モータ40がアシストしなくなることに起因して運転者の操舵負荷が大きくなることが抑制される。
また、中間ギヤ53を、駆動ギヤ51の歯面と従動ギヤ52の歯面に対し押圧する押圧手段として、複数のコイルばねから構成されるコイルばね群60を用い、中間ギヤ53の端面と円板65との間の隙間における回転軸54の周りに配置する構成とすることで、簡易な構成とすることが可能となる。
図6(a)は、コイルばね群60の他の実施例の概略構成を示す図である。図6(b)は、他の実施例に係るコイルばね群60の軸方向の変位量とコイルばね群60に生じるばね力(荷重)との関係を示す図である。
他の実施例に係るコイルばね群60は、径と高さが異なる3つのコイルばねから構成される点が、上述した実施形態に係るコイルばね群60と異なる。
このように、中間ギヤ53の歯面を、駆動ギヤ51の歯面と従動ギヤ52の歯面に対し押圧する押圧手段として、より多くのコイルばねにて構成されるコイルばね群60を用いることと、中間ギヤ53の端面と円板65との間の隙間に対するこれらのコイルばねの自由長の設定とで、鞍乗型車両1の通常走行時の歯打ち音の低減とギヤ間に生じるフリクションの低減とのバランス、不整地路面から受ける大きな外力の吸収力などを鞍乗型車両1の仕様に応じてきめ細かく調整することが可能になる。
他の実施例に係るコイルばね群60は、径と高さが異なる3つのコイルばねから構成される点が、上述した実施形態に係るコイルばね群60と異なる。
このように、中間ギヤ53の歯面を、駆動ギヤ51の歯面と従動ギヤ52の歯面に対し押圧する押圧手段として、より多くのコイルばねにて構成されるコイルばね群60を用いることと、中間ギヤ53の端面と円板65との間の隙間に対するこれらのコイルばねの自由長の設定とで、鞍乗型車両1の通常走行時の歯打ち音の低減とギヤ間に生じるフリクションの低減とのバランス、不整地路面から受ける大きな外力の吸収力などを鞍乗型車両1の仕様に応じてきめ細かく調整することが可能になる。
<第2の実施形態>
図7は、第2の実施形態に係るステアリング装置100の構成を示す部分断面図である。
第2の実施形態にステアリング装置100は、第1の実施形態に係るステアリング装置100に対して伝達機構50が異なる。以下では異なる点について説明する。
第2の実施形態に係る伝達機構80は、電動モータ40の駆動軸40aに継手41を介して接続される駆動ギヤ81と、出力軸22に固定された従動ギヤ82と、駆動ギヤ81と従動ギヤ82との間に介在する中間ギヤ83とを備えている。
図7は、第2の実施形態に係るステアリング装置100の構成を示す部分断面図である。
第2の実施形態にステアリング装置100は、第1の実施形態に係るステアリング装置100に対して伝達機構50が異なる。以下では異なる点について説明する。
第2の実施形態に係る伝達機構80は、電動モータ40の駆動軸40aに継手41を介して接続される駆動ギヤ81と、出力軸22に固定された従動ギヤ82と、駆動ギヤ81と従動ギヤ82との間に介在する中間ギヤ83とを備えている。
駆動ギヤ81、従動ギヤ82および中間ギヤ83はベベルギヤであることを例示することができる。つまり、駆動ギヤ81は駆動軸40aの先端側に向けて縮径して軸方向に対して傾斜した歯面を有し、従動ギヤ82は出力軸22の軸方向の一方の端部側(図7においては下側)に向けて縮径して軸方向に対して傾斜した歯面を有し、中間ギヤ83は軸方向の他方の端部側(図7においては上側)に向けて縮径して軸方向に対して傾斜した歯面を有している。
なお、駆動ギヤ81、従動ギヤ82および中間ギヤ83の歯形状はストレートでもらせん状であってもよい。
中間ギヤ83の内周にはセレーションが設けられ、回転軸54の外周にはセレーションが設けられ、中間ギヤ83はセレーション結合にて回転軸54と一体的に回転するとともに、回転軸54に対し軸方向に移動する。
なお、駆動ギヤ81、従動ギヤ82および中間ギヤ83の歯形状はストレートでもらせん状であってもよい。
中間ギヤ83の内周にはセレーションが設けられ、回転軸54の外周にはセレーションが設けられ、中間ギヤ83はセレーション結合にて回転軸54と一体的に回転するとともに、回転軸54に対し軸方向に移動する。
そして、伝達機構80は、中間ギヤ83を、駆動ギヤ81の歯面と従動ギヤ82の歯面に対し押圧する押圧手段の一例としてのコイルばね群90と、回転軸54の周りで、コイルばね群90と第1ハウジング31に設けたすべり軸受け55の上端面との間に配置された円板65と、を有している。
上述した構成により、中間ギヤ83は軸方向の他方の端部側(図7においては上側)に向けて縮径して軸方向に対して傾斜した歯面を、駆動ギヤ81における駆動軸40aの軸方向の先端側に向けて縮径して駆動軸40aの軸方向に対して傾斜した歯面と、従動ギヤ82における軸方向の他方の端部側(図7においては下側)に向けて縮径して軸方向に対して傾斜した歯面との両者と隙間なく噛合うように構成されている。
次に、コイルばね群90について詳細に説明する。
図8は、第2の実施形態に係るコイルばね群90の概略構成を示す図である。
コイルばね群90は、径と高さが異なる第1コイルばね91と第2コイルばね92とから構成される。図8に示すように、第1コイルばね91のコイル中心径D91は、第2コイルばね92のコイル中心径D92よりも大きく、かつ、第1コイルばね91のコイル内径D191は、第2コイルばね92のコイル外径D292よりも大きい。また、第2コイルばね92のコイル内径D192は、回転軸54の外径よりも大きい。それゆえ、第2コイルばね92は、第1コイルばね91の内側に配置され、第1コイルばね91および第2コイルばね92は、回転軸54の周囲に配置される。
図8は、第2の実施形態に係るコイルばね群90の概略構成を示す図である。
コイルばね群90は、径と高さが異なる第1コイルばね91と第2コイルばね92とから構成される。図8に示すように、第1コイルばね91のコイル中心径D91は、第2コイルばね92のコイル中心径D92よりも大きく、かつ、第1コイルばね91のコイル内径D191は、第2コイルばね92のコイル外径D292よりも大きい。また、第2コイルばね92のコイル内径D192は、回転軸54の外径よりも大きい。それゆえ、第2コイルばね92は、第1コイルばね91の内側に配置され、第1コイルばね91および第2コイルばね92は、回転軸54の周囲に配置される。
また、第1コイルばね91の自由長L91は、第2コイルばね92の自由長L92よりも長い。そして、第1コイルばね91の自由長L91および第2コイルばね92の自由長L92は、以下のように設定されている。
すなわち、コイルばね群90の軸方向の移動を規制する中間ギヤ83の端面と円板65との間が所定値より大きい場合にはコイルばね群90の内の自由長が長い第1コイルばね91のばね力のみが生じ、所定値以下となった場合には第1コイルばね91および第2コイルばね92のばね力が生じる。中間ギヤ83の端面と円板65との間が所定値以下となる場合とは、鞍乗型車両1の前輪2が整地されていない路面に存在する凹部に沿うように下方へ移動して出力軸22が軸方向に下降した場合である。鞍乗型車両1が整地された路面を走行する通常走行時には、中間ギヤ83の端面と円板65との間が所定値より大きくなる。
すなわち、コイルばね群90の軸方向の移動を規制する中間ギヤ83の端面と円板65との間が所定値より大きい場合にはコイルばね群90の内の自由長が長い第1コイルばね91のばね力のみが生じ、所定値以下となった場合には第1コイルばね91および第2コイルばね92のばね力が生じる。中間ギヤ83の端面と円板65との間が所定値以下となる場合とは、鞍乗型車両1の前輪2が整地されていない路面に存在する凹部に沿うように下方へ移動して出力軸22が軸方向に下降した場合である。鞍乗型車両1が整地された路面を走行する通常走行時には、中間ギヤ83の端面と円板65との間が所定値より大きくなる。
コイルばね群90の軸方向の変位量とコイルばね群90に生じるばね力(荷重)との関係は、図5に示した関係と同じになる。
つまり、コイルばね群90においては、コイルばね群90における軸方向の変位量が零〜第1コイルばね91の自由長L91から第2コイルばね92の自由長L92を減算した値であるL91−L92までは第1コイルばね91のみが変化し、その変化に応じたばね力が発生する。そして、軸方向の変位量がL91−L92より大きくなると、第2コイルばね92も変化することから、第1コイルばね91および第2コイルばね92の変化に応じたばね力が発生する。
つまり、コイルばね群90においては、コイルばね群90における軸方向の変位量が零〜第1コイルばね91の自由長L91から第2コイルばね92の自由長L92を減算した値であるL91−L92までは第1コイルばね91のみが変化し、その変化に応じたばね力が発生する。そして、軸方向の変位量がL91−L92より大きくなると、第2コイルばね92も変化することから、第1コイルばね91および第2コイルばね92の変化に応じたばね力が発生する。
そして、第2の実施形態に係るステアリング装置100においては、上述した所定値が第2コイルばね92の自由長L92となるように設定されている。つまり、中間ギヤ83の端面と円板65との間の隙間が第2コイルばね92の自由長L92より大きい場合には第1コイルばね91のばね力のみが生じ、自由長L92以下となった場合には第1コイルばね91および第2コイルばね92のばね力が生じるように設定されている。言い換えれば、中間ギヤ83の軸方向の変位量が所定量未満である場合にはその変位量に応じて中間ギヤ83を押圧する力が所定の増加量(第1コイルばね91のばね定数)以下で増加し、中間ギヤ83の軸方向の変位量が上記所定量以上である場合にはその変位量に応じて中間ギヤ83を押圧する力がこの所定の増加量より大きく増加し、その増加量は第1コイルばね91のばね定数と第2コイルばね92のばね定数とを加算した値となる。さらに言い換えれば、例えば、鞍乗型車両1が整地された路面を走行する通常走行時には第1コイルばね91のばね力のみが生じ、整地されていない路面に存在する凹部に沿うよう前輪2が下方へ移動することに起因して中間ギヤ83が従動ギヤ82から力を受けた場合には第1コイルばね91および第2コイルばね92のばね力が生じるように設定されている。
なお、上記所定量は、鞍乗型車両1が整地された路面上で直立して停止している状態での中間ギヤ83の端面と円板65との間の隙間(初期隙間)から第2コイルばね62の自由長L62となるまでに変化する量である。例えば、鞍乗型車両1が整地された路面上で直立して停止している状態での中間ギヤ83の端面と円板65との間の隙間(初期隙間)が第1コイルばね61の自由長L61から初期変化量L0を減算した値(L61−L0)である場合には、上記所定量は、L61−L0−L62となる。
また、中間ギヤ83の重力に通常走行時に中間ギヤ83が軸方向へ下降する力(中間ギヤ83に生じる中間ギヤ83と従動ギヤ82との噛み合いが解けようとする方向の力(中間ギヤ83の離反力)を加算した力が、中間ギヤ83が第1コイルばね91によって軸方向の上方へ押し付けられる力(第1コイルばね91のばね力)よりも小さくなるように第1コイルばね91のばね定数が設定されている。
また、コイルばね群90が最も縮み、中間ギヤ83が軸方向へ最も下降したとしても、中間ギヤ83と駆動ギヤ81との噛み合いおよび中間ギヤ83と従動ギヤ82との噛み合いが、電動モータ40の駆動トルクを出力軸22に十分に伝達できる程度に確保されるように、コイルばね群90の仕様が設定されている。言い換えれば、整地されていない路面に存在する凹部に沿うように前輪2が移動することに起因して従動ギヤ82から大きな力を受けたとしても、電動モータ40の駆動トルクを出力軸22に伝達できなくなる程噛み合わなくならないように、コイルばね群90の線径や巻き数、各ギヤの歯丈などが設定されている。
以上のように構成された第2の実施形態に係る伝達機構80によれば、中間ギヤ83が回転軸54の軸方向に移動可能にされ、中間ギヤ83を駆動ギヤ81と従動ギヤ82の各歯面に対して押圧するコイルばね群90を設けているので、中間ギヤ83の回転軸54の軸方向に対して交差(斜交又は直交)する傘面状の歯面が隙間なく駆動ギヤ81と従動ギヤ82の各歯面に押圧される。これにより、中間ギヤ83と駆動ギヤ81とのバックラッシュが抑制され、中間ギヤ83と従動ギヤ82とのバックラッシュが抑制される。その結果、伝達機構80を構成する各ギヤの寸法精度や組付精度の高精度化によらず、中間ギヤ83と駆動ギヤ81との歯打ち音、および中間ギヤ83と従動ギヤ82との歯打ち音が低減される。
また、コイルばね群90が、高さが異なる第1コイルばね91と第2コイルばね92とから構成され、鞍乗型車両1が整地された路面を走行する通常走行時には第1コイルばね91のばね力のみが生じるので、コイルばね群90が過度に中間ギヤ83を押圧することに起因して生じる中間ギヤ83と駆動ギヤ81との間のフリクション、および中間ギヤ83と従動ギヤ82との間のフリクションは小さい。それゆえ、伝達機構80は、電動モータ40が発生する駆動トルクを円滑に出力軸22に伝達することが可能となる。また、中間ギヤ83の重力に通常走行時に中間ギヤ83が軸方向へ下降する力を加算した力が、中間ギヤ83が第1コイルばね91によって軸方向の下方へ押し付けられる力(第1コイルばね91のばね力)よりも小さくなるように第1コイルばね91のばね定数が設定されているので、通常走行時に第1コイルばね91のばね力のみが生じる構成であっても電動モータ40の駆動トルクが出力軸22に伝達される。
また、コイルばね群90が、中間ギヤ83を駆動ギヤ81の歯面に対して押圧するとき、コイルばね群90自体が弾性変形できるため、鞍乗型車両1の前輪2が整地されていない路面の凹部に沿うように下方へ移動することに起因して従動ギヤ82から受ける力を吸収する。特に、鞍乗型車両1の前輪2が整地されていない路面に存在する深い凹部に沿うように下方へ移動することに起因して従動ギヤ82から大きな力を受けたとしても、第1コイルばね91のばね力と第2コイルばね92のばね力とで、この外力に対抗するので、従動ギヤ82から受ける力が大きくても、その力を吸収することが可能となる。これにより、鞍乗型車両1の凹凸路面(不整地路面)走行時のハンドル4あるいは操舵軸5等のガタ振れが小さくなる。
また、鞍乗型車両1の前輪2が整地されていない路面に存在する深い凹部に沿うように下方へ移動することに起因して従動ギヤ82から大きな力を受けたとしても、電動モータ40の駆動トルクを出力軸22に伝達できなくなる程噛み合わなくならないように、コイルばね群90の線径や巻き数、各ギヤの歯丈などが設定されているので、たとえ大きな力を受けたとしても、精度高く電動モータ40の駆動トルクが出力軸22に伝達される。これにより、電動モータ40がアシストしなくなることに起因して運転者の操舵負荷が大きくなることが抑制される。
また、図6を用いて説明したように、中間ギヤ83の歯面を、駆動ギヤ81の歯面と従動ギヤ82の歯面に対し押圧するコイルばね群90を、より多くのコイルばねにて構成することが好適であるのは上述した通りである。
<第3の実施形態>
図9は、第3の実施形態に係るステアリング装置100の構成を示す部分断面図である。
第3の実施形態にステアリング装置100は、第1の実施形態に係るステアリング装置100に対して伝達機構50が異なる。以下では異なる点について説明する。
第3の実施形態に係る伝達機構150は、電動モータ40の駆動軸40aに継手41を介して接続される駆動ギヤ151と、出力軸22に固定された従動ギヤ152と、を備えている。
図9は、第3の実施形態に係るステアリング装置100の構成を示す部分断面図である。
第3の実施形態にステアリング装置100は、第1の実施形態に係るステアリング装置100に対して伝達機構50が異なる。以下では異なる点について説明する。
第3の実施形態に係る伝達機構150は、電動モータ40の駆動軸40aに継手41を介して接続される駆動ギヤ151と、出力軸22に固定された従動ギヤ152と、を備えている。
駆動ギヤ151および従動ギヤ152はベベルギヤであることを例示することができる。つまり、駆動ギヤ151は、第2の実施形態に係る駆動ギヤ81と同じように、駆動軸40aの先端側に向けて縮径して軸方向に対して傾斜した歯面を有し、従動ギヤ152は第1の実施形態に係る駆動ギヤ51と同じように、出力軸22の軸方向の他方の端部側(図7においては上側)に向けて縮径して軸方向に対して傾斜した歯面を有している。
なお、駆動ギヤ151および従動ギヤ152の歯形状はストレートでもらせん状であってもよい。
なお、駆動ギヤ151および従動ギヤ152の歯形状はストレートでもらせん状であってもよい。
そして、伝達機構150は、従動ギヤ152を、駆動ギヤ151の歯面に対し押圧する押圧手段の一例としてのコイルばね群160と、出力軸22の周りで、コイルばね群160と第1ハウジング31に設けた軸受け31aの上端面との間に配置した円板165と、を有している。
上述した構成により、従動ギヤ152は軸方向の他方の端部側(図9においては上側)に向けて縮径して軸方向に対して傾斜した歯面を、駆動ギヤ151における駆動軸40aの軸方向の先端側に向けて縮径して駆動軸40aの軸方向に対して傾斜した歯面と隙間なく噛合うように構成されている。
次に、コイルばね群160について詳細に説明する。
図10は、第3の実施形態に係るコイルばね群160の概略構成を示す図である。
コイルばね群160は、径と高さが異なる第1コイルばね161と第2コイルばね162とから構成される。図10に示すように、第1コイルばね161のコイル中心径D161は、第2コイルばね162のコイル中心径D162よりも大きく、かつ、第1コイルばね161のコイル内径D1161は、第2コイルばね162のコイル外径D2162よりも大きい。また、第2コイルばね162のコイル内径D1162は、出力軸22の外径よりも大きい。それゆえ、第2コイルばね162は、第1コイルばね161の内側に配置され、第1コイルばね161および第2コイルばね162は、出力軸22の周囲に配置される。
図10は、第3の実施形態に係るコイルばね群160の概略構成を示す図である。
コイルばね群160は、径と高さが異なる第1コイルばね161と第2コイルばね162とから構成される。図10に示すように、第1コイルばね161のコイル中心径D161は、第2コイルばね162のコイル中心径D162よりも大きく、かつ、第1コイルばね161のコイル内径D1161は、第2コイルばね162のコイル外径D2162よりも大きい。また、第2コイルばね162のコイル内径D1162は、出力軸22の外径よりも大きい。それゆえ、第2コイルばね162は、第1コイルばね161の内側に配置され、第1コイルばね161および第2コイルばね162は、出力軸22の周囲に配置される。
また、第1コイルばね161の自由長L161は、第2コイルばね162の自由長L162よりも長い。そして、第1コイルばね161の自由長L161および第2コイルばね162の自由長L162は、以下のように設定されている。
すなわち、コイルばね群160の軸方向の移動を規制する従動ギヤ162の端面と円板165との間が所定値より大きい場合にはコイルばね群160の内の自由長が長い第1コイルばね161のばね力のみが生じ、所定値以下となった場合には第1コイルばね161および第2コイルばね162のばね力が生じる。従動ギヤ152の端面と円板165との間が所定値以下となる場合とは、鞍乗型車両1の前輪2が整地されていない路面に存在する凹部に沿うように下方へ移動して出力軸22が軸方向に下降した場合である。鞍乗型車両1が整地された路面を走行する通常走行時には、従動ギヤ152の端面と円板165との間が所定値より大きくなる。
すなわち、コイルばね群160の軸方向の移動を規制する従動ギヤ162の端面と円板165との間が所定値より大きい場合にはコイルばね群160の内の自由長が長い第1コイルばね161のばね力のみが生じ、所定値以下となった場合には第1コイルばね161および第2コイルばね162のばね力が生じる。従動ギヤ152の端面と円板165との間が所定値以下となる場合とは、鞍乗型車両1の前輪2が整地されていない路面に存在する凹部に沿うように下方へ移動して出力軸22が軸方向に下降した場合である。鞍乗型車両1が整地された路面を走行する通常走行時には、従動ギヤ152の端面と円板165との間が所定値より大きくなる。
コイルばね群160の軸方向の変位量とコイルばね群160に生じるばね力(荷重)との関係は、図5に示した関係と同じになる。
つまり、コイルばね群160においては、コイルばね群160における軸方向の変位量が零〜第1コイルばね161の自由長L161から第2コイルばね162の自由長L162を減算した値であるL161−L162までは第1コイルばね161のみが変化し、その変化に応じたばね力が発生する。そして、軸方向の変位量がL161−L162より大きくなると、第2コイルばね162も変化することから、第1コイルばね161および第2コイルばね162の変化に応じたばね力が発生する。
つまり、コイルばね群160においては、コイルばね群160における軸方向の変位量が零〜第1コイルばね161の自由長L161から第2コイルばね162の自由長L162を減算した値であるL161−L162までは第1コイルばね161のみが変化し、その変化に応じたばね力が発生する。そして、軸方向の変位量がL161−L162より大きくなると、第2コイルばね162も変化することから、第1コイルばね161および第2コイルばね162の変化に応じたばね力が発生する。
そして、第3の実施形態に係るステアリング装置100においては、上述した所定値が第2コイルばね162の自由長L162となるように設定されている。つまり、従動ギヤ152の端面と円板165との間の隙間が第2コイルばね162の自由長L162より大きい場合には第1コイルばね161のばね力のみが生じ、自由長L162以下となった場合には第1コイルばね161および第2コイルばね162のばね力が生じるように設定されている。言い換えれば、従動ギヤ152の軸方向の変位量が所定量未満である場合にはその変位量に応じて従動ギヤ152を押圧する力が所定の増加量(第1コイルばね161のばね定数)以下で増加し、従動ギヤ152の軸方向の変位量が上記所定量以上である場合にはその変位量に応じて従動ギヤ152を押圧する力がこの所定の増加量より大きく増加し、その増加量は第1コイルばね161のばね定数と第2コイルばね162のばね定数とを加算した値となる。さらに言い換えれば、例えば、鞍乗型車両1が整地された路面を走行する通常走行時には第1コイルばね161のばね力のみが生じ、整地されていない路面に存在する凹部に沿うよう前輪2が下方へ移動することに起因して従動ギヤ15が従動ギヤ82から力を受けた場合には第1コイルばね161および第2コイルばね162のばね力が生じるように設定されている。
なお、上記所定量は、鞍乗型車両1が整地された路面上で直立して停止している状態での従動ギヤ152の端面と円板165との間の隙間(初期隙間)から第2コイルばね162の自由長L162となるまでに変化する量である。例えば、鞍乗型車両1が整地された路面上で直立して停止している状態での従動ギヤ152の端面と円板165との間の隙間が第1コイルばね161の自由長L161から初期変化量L0を減算した値(L161−L0)である場合には、上記所定量は、L161−L0−L162となる。
また、従動ギヤ152の重力に通常走行時に従動ギヤ152が軸方向へ下降する力(従動ギヤ152に生じる駆動ギヤ151との噛み合いが解けようとする方向の力(従動ギヤ152の離反力)を加算した力が、従動ギヤ152が第1コイルばね161によって軸方向の上方へ押し付けられる力(第1コイルばね161のばね力)よりも小さくなるように第1コイルばね161のばね定数が設定されている。
また、コイルばね群160が最も縮み、従動ギヤ152が軸方向へ最も下降したとしても、従動ギヤ152と駆動ギヤ151との噛み合いが、電動モータ40の駆動トルクを出力軸22に十分に伝達できる程度に確保されるように、コイルばね群160の仕様が設定されている。言い換えれば、整地されていない路面に存在する凹部に沿うように前輪2が移動したとしても、電動モータ40の駆動トルクを出力軸22に伝達できなくなる程噛み合わなくならないように、コイルばね群160の線径や巻き数、各ギヤの歯丈などが設定されている。
以上のように構成された第3の実施形態に係る伝達機構150によれば、従動ギヤ152が出力軸22の軸方向に移動可能にされ、従動ギヤ152を駆動ギヤ151の歯面に対して押圧するコイルばね群160を設けているので、従動ギヤ152の軸方向に対して交差(斜交又は直交)する傘面状の歯面が隙間なく駆動ギヤ151の歯面に押圧される。これにより、従動ギヤ152と駆動ギヤ151とのバックラッシュが抑制される。その結果、伝達機構150を構成する各ギヤの寸法精度や組付精度の高精度化によらず、従動ギヤ152と駆動ギヤ151との歯打ち音が低減される。
また、コイルばね群160が、高さが異なる第1コイルばね161と第2コイルばね162とから構成され、鞍乗型車両1が整地された路面を走行する通常走行時には第1コイルばね161のばね力のみが生じるので、コイルばね群160が過度に従動ギヤ152を押圧することに起因して生じる従動ギヤ152と駆動ギヤ151との間のフリクションは小さい。それゆえ、伝達機構150は、電動モータ40が発生する駆動トルクを円滑に出力軸22に伝達することが可能となる。また、従動ギヤ152の重力に通常走行時に従動ギヤ152が軸方向へ下降する力を加算した力が、従動ギヤ152が第1コイルばね161によって軸方向の上方へ押し付けられる力(第1コイルばね161のばね力)よりも小さくなるように第1コイルばね161のばね定数が設定されているので、通常走行時に第1コイルばね161のばね力のみが生じる構成であっても電動モータ40の駆動トルクが出力軸22に伝達される。
また、コイルばね群160が、従動ギヤ152を駆動ギヤ151の歯面に対して押圧するとき、コイルばね群160自体が弾性変形できるため、鞍乗型車両1の前輪2が整地されていない路面の凹部に沿うように下方へ移動する際の力を吸収する。特に、鞍乗型車両1の前輪2が整地されていない路面に存在する深い凹部に沿うように下方へ移動するのを、第1コイルばね161のばね力と第2コイルばね162のばね力とで対抗するので、その路面の凹部が深くても、前輪2の急激な移動を抑制することが可能となる。これにより、鞍乗型車両1の凹凸路面(不整地路面)走行時のハンドル4あるいは操舵軸5等のガタ振れが小さくなる。
また、鞍乗型車両1の前輪2が整地されていない路面に存在する深い凹部に沿うように下方へ移動したとしても、電動モータ40の駆動トルクを出力軸22に伝達できなくなる程噛み合わなくならないように、コイルばね群160の線径や巻き数、各ギヤの歯丈などが設定されているので、たとえ凹部が深くても、精度高く電動モータ40の駆動トルクが出力軸22に伝達される。これにより、電動モータ40がアシストしなくなることに起因して運転者の操舵負荷が大きくなることが抑制される。
また、図6を用いて説明したように、従動ギヤ152の歯面を、駆動ギヤ151の歯面に対し押圧するコイルばね群160を、より多くのコイルばねにて構成することが好適であるのは上述した通りである。
なお、上述した第1、第2、第3の実施形態に係る伝達機構50、80,150に備えられた押圧手段は、複数のコイルばねから構成されたコイルばね群60、90,160であるが、特にかかる態様に限定されない。例えば、高さが異なる複数のゴムなどの弾性体であって互いに径が異なる円筒状の弾性体を回転半径方向に組み合わせた物であってもよい。あるいは、硬さが異なる複数のゴムなどの弾性体を軸方向に重ね合わせた物であってもよい。
これら押圧手段が直に押圧しているギヤの軸方向の変位量が所定量未満である場合には当該変位量に応じて押圧力が所定の増加量以下で増加し、当該変位量が当該所定量以上である場合には当該変位量に応じて当該押圧力が当該所定の増加量より大きく増加する物であれば上述した作用と同様の作用を生じる。そして、押圧手段が、直に押圧しているギヤを、変位量に応じた押圧力が所定の増加量以下で増加するように押圧したとしても、その押圧力が、押圧手段により直に押圧されているギヤの離反力よりも大きければ、ギヤ間のフリクションを低減させても電動モータ40の駆動トルクを出力軸22に伝達することが可能となる。
また、押圧手段が最も変形した状態でもギヤ間の噛み合いが、電動モータ40の駆動トルクを出力軸22に十分に伝達できる程度に確保されるように、押圧手段を構成するゴムなどの弾性体の仕様、各ギヤの歯丈などを設定することで、精度高く電動モータ40の駆動トルクを出力軸22に伝達することが可能となる。これにより、電動モータ40がアシストしなくなることに起因して運転者の操舵負荷が大きくなることを抑制することができる。
1…鞍乗型車両、21…入力軸、22…出力軸、23…トーションバー、30…ハウジング、31…第1ハウジング、32…第2ハウジング、33…第3ハウジング、40…電動モータ、50、80、150…伝達機構、51、81、151…駆動ギヤ、52、82、152…従動ギヤ、53、83…中間ギヤ、60、90、160…コイルばね群、70…トルクセンサ、100…電動パワーステアリング装置
Claims (9)
- ハンドルの回転と連動して回転する入力軸と、
車輪の向きと連動して回転する出力軸と、
前記入力軸と前記出力軸との相対回転角度に応じて駆動される電動モータと、
前記電動モータの回転力を前記出力軸に伝える伝達機構と、
を備え、
前記伝達機構は、前記電動モータの回転軸に装着された駆動ギヤと、前記出力軸に装着された従動ギヤと、当該駆動ギヤと当該従動ギヤとの間に介在する中間ギヤと、当該中間ギヤの歯面を他のギヤの歯面に対して押圧する押圧手段とを有し、当該押圧手段は、当該中間ギヤの軸方向の変位量が所定量未満である場合には当該変位量に応じて押圧力が所定の増加量以下で増加し、当該変位量が当該所定量以上である場合には当該変位量に応じて当該押圧力が当該所定の増加量より大きく増加することを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記車輪が整地された路面を走行する場合に、前記押圧手段が当該中間ギヤを押圧する力は、当該中間ギヤに生じる当該中間ギヤと前記従動ギヤとの噛み合いが解けようとする方向の力よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記中間ギヤの前記変位量が最大となり前記押圧手段が当該中間ギヤを押圧する力が最大となった場合でも、前記電動モータの回転力を前記出力軸に伝え得るように前記伝達機構を構成するギヤの歯丈が設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記押圧手段は、高さが異なる複数のコイルばねから構成され、前記中間ギヤの軸方向の変位量が所定量未満である場合には当該複数のコイルばねの内の一つのコイルばねが押圧力を付与し、当該中間ギヤの軸方向の変位量が所定量以上である場合には当該複数のコイルばねの内の二以上のコイルばねが押圧力を付与することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
- ハンドルの回転と連動して回転する入力軸と、
車輪の向きと連動して回転する出力軸と、
前記入力軸と前記出力軸との相対回転角度に応じて駆動される電動モータと、
前記電動モータの回転力を前記出力軸に伝える伝達機構と、
を備え、
前記伝達機構は、前記電動モータの回転軸に装着された駆動ギヤと、前記出力軸に装着された従動ギヤと、当該駆動ギヤと当該従動ギヤとの間に介在する中間ギヤと、当該中間ギヤの歯面を他のギヤの歯面に対して押圧する押圧手段とを有し、当該押圧手段は、荷重特性の異なる弾性材の組合せにて構成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記押圧手段は、高さが異なる複数のコイルばねにて構成されていることを特徴とする請求項5に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記押圧手段は、前記中間ギヤの軸方向の変位量が所定量未満である場合には前記複数のコイルばねの内の一つのコイルばねが押圧力を付与し、当該中間ギヤの軸方向の変位量が所定量以上である場合には当該複数のコイルばねの内の二以上のコイルばねが押圧力を付与することを特徴とする請求項6に記載の電動パワーステアリング装置。
- ハンドルの回転と連動して回転する入力軸と、
車輪の向きと連動して回転する出力軸と、
前記入力軸と前記出力軸との相対回転角度に応じて駆動される電動モータと、
前記電動モータの回転力を前記出力軸に伝える伝達機構と、
を備え、
前記伝達機構は、前記電動モータの回転軸に装着された駆動ギヤと、前記出力軸に装着された従動ギヤと、当該駆動ギヤと当該従動ギヤのいずれか一方のギヤの歯面を他方のギヤの歯面に対して押圧する押圧手段とを有し、当該押圧手段は、当該一方のギヤの回転軸方向の変位量が所定量未満である場合には当該変位量に応じて押圧力が所定の増加量以下で増加し、当該変位量が当該所定量以上である場合には当該変位量に応じて当該押圧力が当該所定の増加量より大きく増加することを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - ハンドルの回転と連動して回転する入力軸と、
車輪の向きと連動して回転する出力軸と、
前記入力軸と前記出力軸との相対回転角度に応じて駆動される電動モータと、
前記電動モータの回転力を前記出力軸に伝える伝達機構と、
を備え、
前記伝達機構は、前記電動モータの回転軸に装着された駆動ギヤと、前記出力軸に装着された従動ギヤと、当該駆動ギヤと当該従動ギヤのいずれか一方のギヤの歯面を他方のギヤの歯面に対して押圧する押圧手段とを有し、当該押圧手段は、荷重特性の異なる弾性材の組合せにて構成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012082572A JP2013212709A (ja) | 2012-03-30 | 2012-03-30 | 電動パワーステアリング装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2019087578A1 (ja) * | 2017-11-01 | 2019-05-09 | ヤマハ発動機株式会社 | リーン車両 |
-
2012
- 2012-03-30 JP JP2012082572A patent/JP2013212709A/ja active Pending
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WO2019087578A1 (ja) * | 2017-11-01 | 2019-05-09 | ヤマハ発動機株式会社 | リーン車両 |
US11235834B2 (en) | 2017-11-01 | 2022-02-01 | Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha | Leaning vehicle |
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