JP2013212437A - ガス処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子ビーム照射とアルカリ溶液による湿式処理とを併用して脱硝を行う際、電子ビームによるラジカル化反応を阻害することなく、被処理ガスのアルカリ溶液による吸収反応効率を高めて脱硝効果を向上する。
【解決手段】内部に供給された窒素酸化物を含有する被処理ガスGに電子ビームEを照射すると共に、該被処理ガスGをアルカリ溶液Lに接触させて脱硝する筒状の照射・吸収反応容器10を備えたガス処理装置において、前記反応容器10の上端に取り付けられた、該反応容器10の軸方向に沿って電子ビームEが通過する天部20と、供給された前記被処理ガスGを、前記反応容器10内を同軸に旋回させる旋回手段と、旋回されて流動する前記被処理ガスGを接触反応させるアルカリ溶液Lを、前記反応容器10の側壁内面に沿って流下させる溶液供給手段とを備えた。
【選択図】図5

Description

本発明は、ガス処理装置に係り、特に窒素酸化物を含む被処理ガスを電子ビーム照射すると共に、アルカリ処理して窒素酸化物を除去する湿式脱硝に適用して好適なガス処理装置に関する。
従来、ボイラーの排ガスやディーゼルエンジンの排ガス等の窒素酸化物を含有する被処理ガスを大気中に排出する際には、電子ビームを照射すると共に、アルカリ溶液で処理して窒素酸化物を除去する湿式脱硝が提案されている。
このような湿式脱硝に適用する技術としては、例えば特許文献1には、一酸化窒素を含むトンネル換気空気を、図1に示す電子ビーム照射反応容器1に導いて電子ビーム照射装置2で電子ビームを照射し、4箇所で屈曲している屈曲ダクト7の入口部に設置したスプレーノズル4から炭酸カリウム水溶液をスプレーした後、ガスを電気集塵機5を経て出口6に導くようにした湿式脱硝装置が開示されている。
また、特許文献2には、図2に示すような、電界放出型素子よりなる電子放出部が形成された陰極と、陽極と、電子線取出窓と、電子線を発生させる真空チャンバーとを備えた電子線照射装置と、前記電子線取出窓を介して前記電子線照射装置が接続された前記排ガスの流路と、前記排ガスの流路に還元剤を供給する装置を有する脱硝装置を備えた排ガスの処理装置と共に、図3に示すような、周囲から電子線照射されている排ガスに上方からアルカリ溶液(還元剤)を噴霧して脱硝する排ガスの処理装置が開示されている。
さらに、特許文献3には、塩化水素等の有害ガスを含むごみ燃焼排ガスを反応器に導いた後に、該反応器内にアルカリ性物質を噴霧すると同時に、電子線等の放射線を照射して、反応により生じた塩を回収する有害ガス除去方法が開示されている。
特開平8−168644号公報(図2) 特開2011−218293号公報(図1、図2) 特開平3−94813号公報
ところで、電子ビーム照射とアルカリ溶液による吸収処理とを併用して排ガスを脱硝する湿式処理では、この排ガス中の窒素分子と酸素分子に電子線が衝突して、NラジカルとOラジカルと呼ばれる不対電子を持った窒素原子と酸素原子を生成するラジカル化反応が起こる。生成したNラジカルはNOと還元反応を起こし、高効率でNOxをN2とO2に分解する。一方、OラジカルはNOと接触してNO2を生成する。
後者のNOとOラジカルからNO2を生成する反応は平衡反応であることから、排ガスの脱硝を効率よく行うためには生成したNO2を速やかに反応系から除去することが重要であり、そのためにはアルカリ溶液をできるだけ電子ビームを照射する空間領域(以下、照射領域と称する)の排ガスに近づけたり、両者の接触面積を大きくしたりすることが考えられる。
しかしながら、特許文献1に開示されている湿式脱硝装置では、電子ビーム照射反応容器1とアルカリ吸収容器(屈曲ダクト)7とが離れて設置された別容器であるため、電子ビームを照射してNO2を生成するラジカル化反応を促進させることが期待できないという問題がある。
また、特許文献2に開示されている図2に示した排ガスの処理装置では、電子ビームを照射して行うラジカル化反応と生成したNO2を吸収するアルカリ吸収反応が同一の反応容器内で行われるため、特許文献1の場合に比べて電子ビーム照射によるラジカル化反応の促進は期待できるが、アルカリ溶液が電子銃により電子ビームを照射する取出窓から離れているため必ずしも十分ではない。そこで、その効果を更に高めるために図3に示したようにアルカリ溶液を噴霧して被処理ガスとの接触面積を増大させることが考えられる。ところが、この場合には、アルカリ溶液を噴霧したために電子ビームの照射領域にその液滴が入ることがあり、それが電子ビームのエネルギーを吸収してラジカル化反応を阻害する懸念が生じる上に、電子ビーム取出窓に付着したアルカリ溶液が電子ビームを吸収するために透過率が低下する懸念も生じるという問題がある。この問題は、特許文献3に開示されている有害ガス除去方法にも同様に存在する。
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、排ガス等の窒素酸化物を含有する被処理ガスに対して電子ビーム照射とアルカリ溶液による湿式処理とを併用して脱硝を行う際、電子ビームによるラジカル化反応を阻害することなく、被処理ガスのアルカリ溶液による吸収反応効率を高めることにより、脱硝効果の向上を実現できるガス処理装置を提供することを課題とする。
本発明は、内部に供給された窒素酸化物を含有する被処理ガスに電子ビームを照射すると共に、該被処理ガスをアルカリ溶液に接触させて脱硝する筒状の照射・吸収反応容器を備えたガス処理装置において、前記照射・吸収反応容器の上端に取り付けられた、該照射・吸収反応容器の軸方向に沿って電子ビームが通過する天部と、供給された前記被処理ガスを、前記照射・吸収反応容器内を同軸に旋回させる旋回手段と、旋回されて流動する前記被処理ガスを接触反応させるアルカリ溶液を、前記照射・吸収反応容器の側壁内面に沿って流下させる溶液供給手段と、を備えたことにより、前記課題を解決したものである。
ここで、前記照射・吸収反応容器の底部には連通管が連結され、該連通管を介して接触反応後の前記被処理ガス及びアルカリ溶液を導入する吸収反応容器を設置することができる。その際、前記連通管には充填材を充填することができる。
また、前記照射・吸収反応容器の下流には、アルカリ溶液を貯留する溶液タンクを配設し、前記溶液供給手段により前記照射・吸収反応容器に供給されるアルカリ溶液を、該溶液タンクを介して循環させる循環手段を備えることができる。
本発明によれば、電子ビームを反応容器の天部中央近傍から軸方向に沿って鉛直下向きに照射すると共に、アルカリ溶液は反応容器の側壁内面を流下させるようにしているため、アルカリ溶液が電子ビームの照射領域に入らないようにすることができることから、アルカリ溶液が電子ビームのエネルギーを吸収してラジカル化反応を阻害することを防止できる。
また、被処理ガスが反応容器内で中心軸と同軸の旋回流となっているため、該被処理ガスの滞留時間を長くすることができる上に、反応容器の側壁内面でのガス流速が高まるようにできることから、該側壁内面に沿って流下しているアルカリ溶液との接触反応の効率を高めることができる。
なお、流下しているアルカリ溶液が被処理ガスの流れに同伴され、その液滴が飛翔する可能性があるが、被処理ガスを反応容器内で同軸旋回させていることから、液滴が飛翔したとしても旋回流の遠心分離作用により、その液滴には容器内壁に押し付ける方向に力が働くために、該液滴が容器中央の電子ビーム照射領域や電子ビーム取出窓へ到達することを有効に抑制することができる。
従って、窒素酸化物を含有する被処理ガスに対して極めて高効率の脱硝を実現することができる。
特許文献1に開示されている湿式脱硝装置の特徴を示す説明図 特許文献2に開示されている排ガスの処理装置の特徴を示す説明図 特許文献2に開示されている他の排ガスの処理装置の特徴を示す説明図 本発明に係る第1実施形態のガス処理装置の全体を模式的に示す断面図 第1実施形態のガス処理装置の要部を模式的に示す(A)平面図及び(B)断面図 本発明に係る第2実施形態のガス処理装置の要部を模式的に示す断面図
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図4は、本発明に係る第1実施形態のガス処理装置の全体を模式的に示す断面図である。
本実施形態のガス処理装置は、大別して第1反応容器(照射・吸収反応容器)10、第2反応容器(吸収反応容器)12及び溶液タンク14を備えている。
第1反応容器10は、図5に(A)平面図と共に(B)断面図を示すように、上端に天部20を構成する天板が固定された円筒状に形成されている。前記第1反応容器10の天部20を構成する天板には、図4に破線で示すフランジ40を介して電子ビーム照射装置(図示せず)が取り付けられ、フランジ40に電子ビーム取出窓22が設置され、該電子ビーム照射装置で発生させた電子ビームEを前記電子ビーム取出窓22を通して第1反応容器10内に照射するようになっている。なお、第1反応容器10の形状は円筒状に限定されず、角筒状等、他の筒状であっても構わない。
前記天部20近傍の第1反応容器10の側壁上部にはガス供給管24が連結され、該ガス供給管24から供給される被処理ガスGを容器内周の接線方向に噴射して供給することにより、該被処理ガスGを該第1反応容器10内を同軸に、即ちその軸を中心に旋回させる旋回手段を構成している。
また、第1反応容器10の上部には、上記のように旋回されて第1反応容器10内を流動する前記被処理ガスGを接触反応させるアルカリ溶液からなる反応液Lを、該第1反応容器10の側壁内面に沿って流下させるリングノズル(溶液供給手段)26が、前記電子ビーム取出窓22より外側の全周囲にわたって配設されている。
また、前記第1反応容器10の底部28の中央には連通管30が連結され、該連通管30を介してその下端の分散板32から接触反応後の前記被処理ガスGと前記反応液(アルカリ溶液)Lとを、該第1反応容器10の下流に設置されている前記第2反応容器12に導入するようになっている。この分散板32は、2枚の円板を上下に組み合わせた構造からなり、その周囲間隙から貯留されている反応液L中に被処理ガスGと反応液Lが放出される。
この第2反応容器12は、前記第1反応容器10と同軸の二重管構造になっており、前記接触反応後の被処理ガスGは、気泡塔を構成する前記連通管30において更に反応液Lと接触して吸収されると共に、前記分散板32の周囲間隙から放出されて貯留されている反応液Lにより更に吸収処理された後、その上部に連結された排管34から処理済の排ガスG’として排出される。
また、前記第1反応容器10の下流に当る前記第2反応容器12の下流には、反応液Lを貯留する前記溶液タンク14が配設され、前記リングノズル26により前記第1反応容器10に供給される反応液Lが、該溶液タンク14から第1溶液ポンプ36により溶液流量計Fで計測される液流量が目標値となるように送給される。
一方、この溶液タンク14には、前記第2反応容器12に貯留されている反応液Lが第2溶液ポンプ38により送給され、前記第2反応容器12に設置されているレベル計Leにより計測される液面高さ(反応液位)が一定になるように反応液Lを循環させるレベル制御が行われている。
なお、前記第2反応容器12では温度計Tにより温度管理が行われ、溶液タンク14ではpH計とORP計により、反応液Lの水素イオン濃度と酸化還元電位がそれぞれ測定され、管理されている。
本実施形態における電子ビーム照射装置としては、例えば特許文献2に開示されているカーボンナノチューブ(CNT)を陰極とした電子銃を利用することができる。
具体的な装置構成としては、適宜最適な寸法等の条件に設計することになるが、前記電子ビーム取出窓22が円形である場合、その大きさは第1反応容器10の内径をDとした場合、0.2D〜0.8Dとすることができる。また、旋回手段を構成する前記ガス供給管24としては、図示されているような一様な管径で形成されているとした場合、その内径Dgは0.1D〜0.4Dとすることができる。
また、使用する反応液Lとしては、炭酸ナトリウム等の一般的なアルカリ溶液とすることも、亜硫酸ナトリウム等の還元性アルカリ溶液とすることもできる。
今、第1反応容器10の内径Dが200mm、アルカリ溶液が亜硫酸ナトリウムであったとすると、前記ガス供給管24から供給される被処理ガスGの流量[G]は30〜300Nm3/hrとし、反応液Lの液流量[L]は0.1〜10L/minとすることが、一例として挙げることができる。但し、これらの具体的な数値は、被処理ガスGに含有される窒素酸化物の濃度や使用されるアルカリ溶液の濃度等を考慮して決定される。
以上詳述した本実施形態によれば、電子ビームEを第1反応容器10の天部20中央から鉛直下向きに照射すると共に、反応液Lはリングノズル26により供給して第1反応容器10の側壁内面上を流下させるようにしているため、反応液Lが電子ビームEの照射領域に入ることを防止できることから、反応液Lにより電子ビームEのエネルギーが吸収されてラジカル化反応が阻害されることを防止できる。
また、被処理ガスGを第1反応容器10内で同軸の旋回流することができるため、該被処理ガスGの滞留時間を長くすることができると共に、第1反応容器10の側壁内面でのガス流速を高めることができることから、該側壁内面上を流下している反応液Lとの接触反応の効率を大幅に向上することができる。
また、流下している反応液Lが被処理ガスGの流れに同伴されて液滴が飛翔したとしても、被処理ガスGを第1反応容器10内で旋回させていることから、その液滴には旋回流の遠心分離作用により容器内壁に押し付ける方向に力が働くために、容器中央の電子ビームEの照射領域や電子ビーム取出窓22への到達を有効に抑制することができる。
更に、被処理ガスGを反応液Lと共に連通管30を介して第2反応容器12へ導いていることから、気泡塔方式で該被処理ガスGと反応液Lとを接触させることができるため、大幅に脱硝効率を上げることができる。また、反応容器が二重構造であるので、コンパクトな構成で気泡塔方式での気液接触促進が可能である。
図6は、本発明に係る第2実施形態のガス処理装置を示す、図5(B)に相当する断面図である。
本実施形態のガス処理装置は、連通管30の上端と下端にそれぞれ取り外し可能なメッシュ状の細孔プレート42A、42Bが取り付けられ、該両細孔プレート42A、42B間に、例えばラシヒリングからなる充填材44が充填されており、それ以外の構成は前記第1実施形態と同一である。
本実施形態によれば、連通管30内に充填材44を充填したことにより、接触面積を増大させる充填塔方式により被処理ガスGと反応液Lとを接触させることが可能となることから、被処理ガスGに対する脱硝効率を一段と向上することができる。また、反応容器が二重構造であるので、コンパクトな構成で充填塔方式での気液接触促進が可能である。
なお、前記実施形態では、旋回手段を構成するガス供給管24として、管径が一様であるものを示したが、これに限らず先端部を細い形状にして旋回流を強めてもよい。
また、第2反応容器12を介して反応液Lを循環させる場合を示したが、必ずしも第2反応容器12は必要なく、第2反応容器12を省略して、第1反応容器10から直接循環させるようにしてもよい。さらには、第1反応容器10と第2反応容器12を二重構造とせず、それぞれが独立した形態としてもよい。
10…第1反応容器(照射・吸収反応容器)
12…第2反応容器(吸収反応容器)
14…溶液タンク
20…天部
22…電子ビーム取出窓
24…ガス供給管
26…リングノズル
28…底部
30…連通管
32…分散板
34…排管
36…第1溶液ポンプ
38…第2溶液ポンプ
40…フランジ
42A、42B…細孔プレート
44…充填材
E…電子ビーム
G…被処理ガス
L…反応液(アルカリ溶液)

Claims (4)

  1. 内部に供給された窒素酸化物を含有する被処理ガスに電子ビームを照射すると共に、該被処理ガスをアルカリ溶液に接触させて脱硝する筒状の照射・吸収反応容器を備えたガス処理装置において、
    前記照射・吸収反応容器の上端に取り付けられた、該照射・吸収反応容器の軸方向に沿って電子ビームが通過する天部と、
    供給された前記被処理ガスを、前記照射・吸収反応容器内を同軸に旋回させる旋回手段と、
    旋回されて流動する前記被処理ガスを接触反応させるアルカリ溶液を、前記照射・吸収反応容器の側壁内面に沿って流下させる溶液供給手段と、を備えていることを特徴とするガス処理装置。
  2. 前記照射・吸収反応容器の底部には連通管が連結され、該連通管を介して接触反応後の前記被処理ガス及びアルカリ溶液を導入する吸収反応容器が設置されていることを特徴とする請求項1に記載のガス処理装置。
  3. 前記連通管には充填材が充填されていることを特徴とする請求項2に記載のガス処理装置。
  4. 前記照射・吸収反応容器の下流には、アルカリ溶液を貯留する溶液タンクが配設され、
    前記溶液供給手段により前記照射・吸収反応容器に供給されるアルカリ溶液を、該溶液タンクを介して循環させる循環手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガス処理装置。
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