JP2013211771A - Δσad変換器および信号処理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ディザを使わずに量子化誤差を低減でき、“dead-zone”問題を解決することが可能で、ロバストな回路の具現化が可能なΔΣAD変換器および信号処理システムを提供する。
【解決手段】入力信号を供給されるクロックの周波数に応じた回数積分処理を行い、このクロックに同期してデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換を行うLa(Laは1を含む正数)次のΔΣ変調器と、ΔΣ変調器の出力側に縦続されたLd(Ldは1を含む正数)次のデジタルフィルタと、入力信号を積分する回数を決めるクロック周波数を入力信号値に応じて変化させ、少なくとも上記ΔΣ変調器に供給する周波数可変部とを有する。
【選択図】図8

Description

本技術は、無線通信における受信機をはじめとし、オーディオ機器や医療計測器等の信号処理系に応用されるΔΣ変調技術に基づくΔΣAD(アナログデジタル)変換器および信号処理システムに関するものである。
図1は、チャージバランス(Charge-balancing)ΔΣAD変換器の基本的な構成を示すブロック図である。
図1のΔΣAD変換器1は、ΔΣ変調器2、およびΔΣ変調器2の出力側に縦続接続されたデジタルフィルタ3を有する。
ΔΣ変調器2は、積分器21と、たとえば1〜5ビット(bit)の分解能のAD変換器22と、AD変換器22と同じビット数のDA(デジタルアナログ)変換器23と、入力段の減算器24により構成される。
ΔΣ変調器2は、フィードバックを用いたシステムであるため、回路の非線形性、ノイズが圧縮され、高分解を実現することができる。
ΔΣ変調器2は、入力信号としてDC信号、あるいは時変信号をサンプルホールドし、一回の変換期間において一定であると見なせる信号が入力される(図2の“Analog In”)。
ΔΣAD変換器1において、少なくともΔΣ変調器2内のAD変換器(ADC)22およびDA変換器(DAC)23、さらにデジタルフィルタ3はクロックCKによって動作する。
ADC22が1ビット出力である場合はADCとは単にコンパレータである。また、DAC23は規定のリファレンスレベル(電圧と仮定しVrefと記すが、もちろん適宜電流値であってもかまわない)をフィードバックする。
なお、デジタルフィルタ3はデシメーションフィルタと呼ばれることもある。また、以降の説明からわかる通り、本質的にはデジタルの積分器つまりAD出力が1ビットであれば“カウンタ”である。
次に、チャージバランスΔΣAD変換器1の動作を図2に関連付けて説明する。
図2(A)〜(C)は、図1のチャージバランスΔΣAD変換器の動作を説明するための図である。
図2(A)は積分器の出力波形を、図2(B)は変調器(変換器)の出力を、図2(C)はリセット制御波形を、それぞれ示している。
前述のとおり全体システムは周波数が固定のクロックCKで動作しており、図2(A)に示すクロック周期TCKがそれに相当する。
入力信号は、図2(C)に示す「1変換期間TCNV1」において一定と見なされ、クロック周期毎に積分器21に入力される。すなわち、「1変換期間TCNV1」内のクロック数をNと設定すると、入力信号はN回積分器21に入力され積算される。
一方で、積分器21の出力にはADC22が配置されている(図2では1ビットADCの例として説明される)。
積分器21の出力がそのADC22、すなわちこの例ではコンパレータの閾値に達するとADC22の出力ビットが立ち、それが後段のデジタルフィルタ3に入力される。これと並行してDAC23によって規定のアナログ量が入力にフィードバックされ積分器21に入力される。
たとえば、入力信号を電圧と仮定しVinと記すと、ADC22の出力ビットが立ったサイクルでは既定のリファレンス電圧Vrefが入力から減算器24で減算され積分器21に入力される。
これによってそれまでの積分値からはリファレンス電圧Vrefが一旦減算され、積分器21の出力は、図2(A)に示すような波形動作を繰り返す。
「1変換期間TCNV1」においてこれが繰り返され、結局、積分器21の出力には(N×Vin)の入力信号が加算され、{(出力ビットが1となった回数)×Vref}が減算されて現れる。
以上の動作から、コンパレータ(ADC)入力がオーバーロードしないという条件下では、アナログ入力である(N×Vin)の出力での推定値が、{(出力ビットが1となった回数)×Vref}である。
その結果、Vinの推定値が{(出力ビットが1となった回数)×(Vref/N)となる。
“回数”の粒度は1であり、(Vref/N)刻みであるが、Nを大きく設定することにより精度を上げることができる。
一般的には入力信号として正負の値をとり、DAC23からのフィードバックも±Vrefで動作し、変換器としての分解能はVIsb=(2Vref/N)で表される。
なお、動作からわかる通り、リファレンス電圧Vrefは変換器として扱える入力信号の最大値を決めるため、分解能を向上するためにリファレンス電圧Vrefを低減することはS/N向上につながらない。
図3は、具体例として1次ΔΣ変調器および1次デジタルフィルタによるΔΣAD変換器の構成例を示す図である。
図3においても、ADC22は1ビットの例で示している。
図4は、量子化誤差を入力信号レベルに対して示したグラフであって、VIsb=(2Vref/N)の分解能である。
図4において、縦軸はVIsbで規格化されている。
図5は、1次ΔΣ変調器および2次デジタルフィルタによるΔΣAD変換器の構成例を示す図である。
一般的に知られている量子化誤差の低減手法として、図5に示すように,ΔΣ変調器2の次数に対してより高次の次数のデジタルフィルタ3を設置する方法がある。
図5はデジタルフィルタとして2次の積分器を設置した例である。
1次積分器すなわち1段カウンタ31−1では1変換期間TCNV1でのフィルタ出力としてとり得る値はN値であるが、2段にすることで、{=N(N−1)/2}まで向上する。
図6は、図5の1次ΔΣ変調器および2次デジタルフィルタの構成による効果を量子化誤差としてみたグラフである。
図6において、縦軸はVIsbで規格化されている。
"Theory and Applications of Incremental△Σ Converters", IEEE TRANSACTIONS ON CIRCUITS AND SYSTEMS−I: REGULAR PAPERS, VOL. 51, NO. 4, APRIL 2004
ところが、図6からもわかる通り、上記方式によれば、入力信号レベルが小さい領域では、図5のようにデジタルフィルタ3の次数LdをΔΣ変調器2の次数Laに対してより高次にする効果が得られない。
これはコンパレータからの出力ビットが1となって始めてLdの高次化効果が得られるためであり、入力信号レベルが小さい領域ではΔΣ変調器で決まるVIsb=(2Vref/N)の粒度が顕在化してしまうことによる。
この問題(“dead-zone”問題)に対処するため、図7に示すような方法がとられている。
すなわち、図7では、コンパレータ(ADC)の入力にディザを加え、入力レベルが小さい領域においてもコンパレータが動作し出力ビットがトグルすることで後段の高次積分器による効果を得ようとする方法が採られている。
しかしながらこの方法では、ディザ発生回路によって付加されるノイズの管理、あるいは不完全なランダム性による予期せぬ不具合など、特に設計管理、設計保証の観点で困難さをもたらすという不利益がある。
本技術は、ディザを使わずに量子化誤差を低減でき、“dead-zone”問題を解決することが可能で、ロバストな回路の具現化が可能なΔΣAD変換器および信号処理システムを提供することにある。
本技術の第1の観点のΔΣAD変換器は、入力信号を供給されるクロックの周波数に応じた回数積分処理を行い当該クロックに同期してデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換を行うLa(Laは1を含む正数)次のΔΣ変調器と、上記ΔΣ変調器の出力側に縦続されたLd(Ldは1を含む正数)次のデジタルフィルタと、入力信号を積分する回数を決めるクロック周波数を入力信号値に応じて変化させ、少なくとも上記ΔΣ変調器に供給する周波数可変部とを有する。
本技術の第2の観点の信号処理システムは、アナログ信号処理系からのアナログ信号をデジタル信号に変換するΔΣアナログデジタル(AD)変換器を有し、上記ΔΣAD変換器は、入力信号を供給されるクロックの周波数に応じた回数積分処理を行い当該クロックに同期してデジタル信号に変換するAD変換を行うLa(Laは1を含む正数)次のΔΣ変調器と、上記ΔΣ変調器の出力側に縦続されたLd(Ldは1を含む正数)次のデジタルフィルタと、入力信号を積分する回数を決めるクロック周波数を入力信号値に応じて変化させ、少なくとも上記ΔΣ変調器に供給する周波数可変部と、を含む。
本技術によれば、ディザを使わずに量子化誤差を低減でき、“dead-zone”問題を解決することが可能で、ロバストな回路の具現化が可能となる。
チャージバランス(Charge-balancing)ΔΣAD変換器の基本的な構成を示すブロック図である。 図1のチャージバランスΔΣAD変換器の動作を説明するための図である。 具体例として1次ΔΣ変調器および1次デジタルフィルタによるΔΣAD変換器の構成例を示す図である。 量子化誤差を入力信号レベルに対して示したグラフである。 1次ΔΣ変調器および2次デジタルフィルタによるΔΣAD変換器の構成例を示す図である。 図5の1次ΔΣ変調器および2次デジタルフィルタの構成による効果を量子化誤差としてみたグラフである。 1次ΔΣ変調器および2次デジタルフィルタによるΔΣAD変換器においてコンパレータ(ADC)の入力にディザを加える構成例を示す図である。 本実施形態に係るチャージバランスΔΣAD変換器の基本的な構成を示すブロック図である。 1次ΔΣ変調器およびLd次デジタルフィルタの構成例を示すブロック図である。 2次ΔΣ変調器の構成例を示すブロック図である。 本実施形態に係るΔΣAD変換器における第1の構成例を示す図である。 本実施形態に係るΔΣAD変換器における第2の構成例を示す図である。 本技術を適用した信号処理システムの構成例を示す図である。
以下、本技術の実施形態を図面に関連付けて説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.ΔΣAD変換器の基本的構成
2.ΔΣAD変換器の周波数可変部の第1の構成例
3.ΔΣAD変換器の周波数可変部の第2の構成例
4.信号処理システムとしての受信装置の構成例
<1.ΔΣAD変換器の基本的構成>
図8は、本実施形態に係るチャージバランスΔΣAD変換器の基本的な構成を示すブロック図である。
図1のΔΣAD変換器100は、ΔΣ変調器110、ΔΣ変調器110の出力側に縦続接続されたデジタルフィルタ120、並びにΔΣ変調器110およびデジタルフィルタに周波数可変の動作クロックCKを供給するクロック発生器130を有する。
クロック発生器130は、周波数可変部としての機能を有する。
本実施形態に係るΔΣAD変換器100は、入力信号を積分する回数を決めるクロック周波数を入力信号値に応じて変化させることにより、ディザを使わずに量子化誤差を低減できるように構成されている。
ΔΣAD変換器100は、入力信号の値が小さい領域においてクロック周波数が高くなるように設定する。換言すれば、ΔΣAD変換器100は、入力信号の値が微小な領域でΔΣ変調器110における変換サイクル数をあげることで、量子化誤差を低減する。
ΔΣ変調器110は、La(Laは1を含む正数)の変調器として形成される。
La次ΔΣ変調器110は、少なくとも一つの積分器と、最終段となる積分器の出力信号を量子化してデジタル信号を出力するADCと、ADCによるデジタル信号をアナログ信号に変換し、積分器の入力側に帰還させる少なくとも一つのDACを含んで構成される。
ここで、ΔΣ変調器110の構成を1次(La=1)と2次(La=2)の場合を例に簡単に説明する。
図9は、1次ΔΣ変調器およびLd次デジタルフィルタの構成例を示すブロック図である。
図9の1次(La=1)ΔΣ変調器110は、一つの積分器111と、たとえば1〜5ビット(bit)の分解能のADC112と、ADC112と同じビット数の一つのDAC113と、入力段の減算器114により構成される。
ΔΣ変調器110は、フィードバックを用いたシステムであるため、回路の非線形性、ノイズが圧縮され、高分解を実現することができる。
図10は、2次ΔΣ変調器の構成例を示すブロック図である。
図10の2次(La=1)ΔΣ変調器110Aは、2つの積分器111−1,111−2と、ADC112と、ADC112と同じビット数の2つのDAC113−1,113−2と、積分器の入力段の減算器114−1,114−2により構成される。
このような構成を有するLa次ΔΣ変調器110,110Aにおいて、少なくともADC112、DAC113(113−1,113−2)は、クロック発生器130で発生される周波数可変のクロックCLKの供給を受けて動作する。
そして、ΔΣ変調器110は、入力信号としてDC信号、あるいは時変信号をサンプルホールドし、一回の変換期間TCNVにおいてレベル(値)が一定であると見なせる信号が入力される(図8等の“Analog In”)。
なお以下では、入力信号を電圧と仮定しVinと記す。
ADC112が1ビット出力である場合はADCとは単にコンパレータである。また、DAC113は規定のリファレンスレベル(電圧と仮定しVrefと記すが、もちろん適宜電流値であってもかまわない)をフィードバックする。
デジタルフィルタ120は、ΔΣ変調器110の次数Laに対して次数Ldが大きく設定され、次数Ldに応じた数の積分器121が縦続接続されている。
ΔΣAD変換器100において、少なくともΔΣ変調器110内のAD変換器(ADC)112およびDA変換器(DAC)113、さらにデジタルフィルタ120は、クロック発生器130によるクロックCLKによって動作する。
なお、デジタルフィルタ120はデシメーションフィルタと呼ばれることもある。また、本質的にはデジタルの積分器つまりAD出力が1ビットであれば“カウンタ”である。
クロック発生器130は、ΔΣ変調器100で入力信号Vinを積分する回数を決めるクロック周波数を入力信号値に応じて変化させ、周波数を変化させたクロックをΔΣ変調器110およびデジタルフィルタ120に供給する。
クロック発生器130は、入力信号Vinの値が小さい領域においてクロック周波数が高くなるように設定する。
次に、チャージバランスΔΣAD変換器100の動作を説明する。
入力信号Vinは、クロック発生器130およびLa次ΔΣ変調器110に入力される。
クロック発生器130においては、ΔΣ変調器100で入力信号Vinを積分する回数を決めるクロック周波数を入力信号値に応じて変化させ、この周波数を変化させたクロックCLKがΔΣ変調器110およびデジタルフィルタ120に供給される。
このように、本ΔΣAD変換器100は、周波数が入力信号の値に応じて可変のクロックCLKで動作する。
入力信号Vinは、1変換期間TCNVにおいて一定と見なされ、クロック周期毎にΔΣ変調器110の積分器111に入力される。すなわち、1変換期間TCNV内のクロック数をNと設定すると、入力信号VinはN回積分器111に入力され積算される。
積分器111の出力がたとえば1ビットのADC112、すなわちこの例ではコンパレータの閾値に達するとADC112の出力ビットが立ち、それが後段のデジタルフィルタ120に入力される。
これと並行してDAC113によって規定のアナログ量が入力にフィードバックされ積分器111に入力される。
ADC112の出力ビットが立ったサイクルでは既定のリファレンス電圧Vrefが入力から減算器114で減算され積分器111に入力される。
これによってそれまでの積分値からはリファレンス電圧Vrefが一旦減算され、積分器111の出力は、図2(A)に示すような波形動作を繰り返す。
1変換期間TCNVにおいてこれが繰り返され、結局、積分器111の出力には(N×Vin)の入力信号が加算され、{(出力ビットが1となった回数)×Vref}が減算されて現れる。
以上の動作から、コンパレータ(ADC)入力がオーバーロードしないという条件下では、アナログ入力である(N×Vin)の出力での推定値が、{(出力ビットが1となった回数)×Vref}である。
その結果、Vinの推定値が{(出力ビットが1となった回数)×(Vref/N)となる。
“回数”の粒度は1であり、(Vref/N)刻みであるが、Nを大きく設定することにより精度を上げることができる。
一般的には入力信号として正負の値をとり、DAC113からのフィードバックも±Vrefで動作し、変換器としての分解能はVIsb=(2Vref/N)で表される。
背景技術の説明からわかる通り、「1変換期間TCNV」は主にシステム上決められ、通常、ADCおよびDACの動作周期はクロック周期より長い。
リファレンス電圧Vrefは、入力ダイナミックレンジから決まるため、量子化誤差VIsb=(2Vref/N)(1次ΔΣ変調器の場合)を低減するためにNを増大させたいが、これはクロック周波数の増大を意味する。
特に、大信号入力時はADCおよびDACの動作周波数の増大が回路動作の限界に達してしまう。
一方で、後段のデジタルフィルタ120の次数Ldのみを高次にし、量子化誤差を実質的に低減する方法が知られているが、入力信号レベルが小さい領域では効果が得られない。
本実施形態においては、図8の構成によって,入力信号レベルが小さい領域では、クロック周波数を高くし、相対的に(つまり「1変換期間」に対して)Nを大きくする。
ただしこの場合は、入力信号レベルが小さいためADC112およびDAC113の動作レートは大信号入力時ほど増大しない。
すなわち、回路動作の限界に達するデメリットは無く、結果としてVIsb=(2Vref/N)で決まる量子化誤差を低減することで、いわゆる“dead-zone”問題を解消する。 そして、一方で入力信号レベルが相対的に大きい場合は(背景技術と同様に)Nをことさら大きくすること無く、デジタルフィルタ120の次数Ldの高次化による量子化誤差低減効果の恩恵を受ける。
なお、ΔΣ変調器で決まる量子化誤差は、3次であればVIsb={(2Vref・3!)/(N(N−1)(N−2))}となる。
また、一般化するとVIsb=(2VrefLa)となる。
この場合、高次であるほど精度が上がるが、回路規模の増大、ループ安定化に起因するロスが存在する。
ただし一方で、本実施形態によるNの増大効果はさらに効果的に得られる。
<2.ΔΣAD変換器の周波数可変部の第1の構成例>
図11は、本実施形態に係るΔΣAD変換器における第1の構成例を示す図である。
図11は、クロック周波数を入力信号に応じて変化させるためのクロック発生器130Aの具体例として周波数可変発振器(電圧制御発振器VCO)を用いた構成例を示している。
クロック発生器130Aは、供給される電力に応じた周波数で発振し、発振したクロックCLKを出力する発振部131と、制御端子に入力する入力信号値に応じた電力を発振部131に供給するトランスコンダクタンス(Gm)素子(アンプ)132と、を含む。
発振部131は、奇数(図11の例では3)のインバータINVをリング状に接続されたリング発振器ROSCにより構成されている。
リング発振器ROSCは、Gm素子132により供給される電力(本例では電圧)が大きいほど高い周波数で発振する。
Gm素子132は、pチャネルMOS(PMOS)トランジスタPTにより形成されている。
PMOSトランジスタPTのソースが電源電圧VDDの供給ラインに接続され、ドレインがリング発振器ROSCの各インバータINVに電源ラインに接続され、制御端子であるゲートが入力信号Vinの供給ラインに接続されている。
この構成において、入力信号Vinの値が小さいほど高い電圧がリング発振器ROSCに供給される。そして、リング発振器ROSCは、供給される電圧が大きいほど高い周波数で発振する。
このように、図11のクロック発生器130Aは、ΔΣ変調器100で入力信号Vinを積分する回数を決めるクロック周波数を入力信号値に応じて変化させ、周波数を変化させたクロックをΔΣ変調器110およびデジタルフィルタ120に供給する。
クロック発生器130Aは、入力信号Vinの値が小さい領域においてクロック周波数が高くなるように設定する。
<3.ΔΣAD変換器の周波数可変部の第2の構成例>
図12は、本実施形態に係るΔΣAD変換器における第2の構成例を示す図である。
図11は、クロック周波数を入力信号に応じて変化させるためのクロック発生器130Bの具体例としてクロックレート調整部を用いた構成例を示している。
クロック発生器130Bは、固定周波数のクロックを発振するクロック源133を有する。設定される分周値でクロック源による原発振クロックを分周し、分周クロックを出力する分周器134と、を含む。
クロック発生器130Bは、入力信号Vinのレベルを判定し、離散値としての分周値を設定し、設定した分周値を分周器134に出力する判定部135を含む。
このクロック発生器130Bにおいては、入力信号Vinのレベルを判定する判定部135(ここでは閾値判定であるが広義のAD変換器)から離散値としての分周設定を得て、固定周波数で発振するクロック源133からの原発振クロックを分周器134で分周する。
図12のクロック発生器130Bにおいても、ΔΣ変調器100で入力信号Vinを積分する回数を決めるクロック周波数を入力信号値に応じて変化させ、周波数を変化させたクロックをΔΣ変調器110およびデジタルフィルタ120に供給する。
クロック発生器130Aは、入力信号Vinの値が小さい領域においてクロック周波数が高くなるように設定する。
なお、本技術は、連続時間であろうと、スイッチトキャパシタを用いた離散時間型であろうといかなる変更を加えることなく適用できる。
同様に、ΔΣAD変換器(変調器)の構成(フィードバックまたは、フィードフォワードまたは両用)や次数やDA変換器の回路トポロジーに関係なく本技術を用いることが可能である。
このΔΣAD変換器は、たとえば固体撮像装置のカラム処理系に適用することが可能である。
図13は、本技術を適用した信号処理システムの構成例を示す図である。
図13には、この信号処理システム200の一例として、複数の画素PXがマトリクス状に配列された画素アレイ部210を有する固体撮像装置あるいはX線検出装置が例示されている。
すなわち、図13の信号処理システム200は、2次元イメージセンサ(可視光センサ,X線センサ)の画素ADCとしての構成例を示している。
この信号処理システム200は、画素アレイ部210の画素を列ごとに駆動して信号を得る駆動部220を含んで構成されている。
本例では、各画素PXは、光電変換素子であるフォトダイオード211、および本技術に係るΔΣAD変換器230を含んで構成されている。ΔΣAD変換器230は、ΔΣ変調器231、AD変換器232、およびクロック発生成器(周波数可変部)233を有する。
このような構成において、各画素PXに配置されたフォトダイオード211で光電変換された信号はそのままΔΣ変調器230の入力として供給され、上述した本技術の構成に従いAD変換される。
なお、X線センサの場合は入射X線を一旦シンチレーション膜においてシリコンフォトダイオードで光電変換可能な可視光波長領域に変換し上記と同様の方法でAD変換できる。
また、図13の例では画素毎のAD変換機構で説明しているが、通常のイメージセンサと同様にカラム(列)毎にAD変換機構を配置、各行ごと時系列に変換する方法をとってもかまわない。
本技術のΔΣAD変換器は、固体撮像装置、オーディオ機器や医療計測器等の信号処理システムにも適用することが可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、固体撮像装置、オーディオ機器や医療計測器等に応用されるΔΣAD変換器において次の効果を有する。
すなわち、本実施形態によれば、ディザを使わずに“dead-zone”問題を解決することが可能でロバストな回路の具現化が可能となる。
クロックレートを可変とすることで,回路構成・素子の限界まで有効に活用し消費電力低減を図ることが可能となる。
なお、本技術は以下のような構成をとることができる。
(1)入力信号を供給されるクロックの周波数に応じた回数積分処理を行い当該クロックに同期してデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換を行うLa(Laは1を含む正数)次のΔΣ変調器と、
上記ΔΣ変調器の出力側に縦続されたLd(Ldは1を含む正数)次のデジタルフィルタと、
入力信号を積分する回数を決めるクロック周波数を入力信号値に応じて変化させ、少なくとも上記ΔΣ変調器に供給する周波数可変部と
を有するΔΣAD変換器。
(2)上記周波数可変部は、
入力信号の値が小さい領域において上記クロック周波数が高くなるように設定する
上記(1)記載のΔΣAD変換器。
(3)上記周波数可変部は、
供給される電力に応じた周波数で発振し、当該発振クロックを上記ΔΣ変調器および上記デジタルフィルタのうち、少なくとも上記ΔΣ変調器に出力する発振部と、
制御端子に入力する入力信号値に応じた電力を上記発振部に供給するトランスコンダクタンス(Gm)素子と、を含む
上記(1)または(2)記載のΔΣAD変換器。
(4)上記周波数可変部は、
固定周波数のクロックを発振するクロック源と、
設定される分周値で上記クロック源による原発振クロックを分周し、分周クロックを上記ΔΣ変調器および上記デジタルフィルタのうち、少なくとも上記ΔΣ変調器に出力する分周器と、
入力信号のレベルを判定し、離散値としての分周値を設定し、設定した分周値を上記分周器に出力する判定部と、を含む
上記(1)または(2)記載のΔΣAD変換器。
(5)上記ΔΣ変調器への上記入力信号は、
一回の変換期間においてレベルが一定であると見なせる信号である
上記(1)から(4)のいずれか一に記載のΔΣAD変換器。
(6)上記デジタルフィルタは、
上記ΔΣ変調器の次数に対して次数が大きく設定され、
次数に応じた数の積分器が縦続接続されている
上記(1)から(5)のいずれか一に記載のΔΣAD変換器。
(7)上記ΔΣ変調器は、
少なくとも一つの積分器と、
上記積分器の出力信号を上記クロックに同期して量子化してデジタル信号を上記デジタルフィルタに出力するn(nは1を含む)ビットのアナログデジタル(AD)変換器と、
上記AD変換器のフィードバック系において、上記クロックに同期してデジタル信号をアナログ信号に変換し、当該アナログ信号を上記積分器の入力側に帰還させる少なくとも一つのnビットのデジタルアナログ(DA)変換器と、を含む
上記(1)から(6)のいずれか一に記載のΔΣAD変換器。
(8)アナログ信号処理系からのアナログ信号をデジタル信号に変換するΔΣアナログデジタル(AD)変換器を有し、
上記ΔΣAD変換器は、
入力信号を供給されるクロックの周波数に応じた回数積分処理を行い当該クロックに同期してデジタル信号に変換するAD変換を行うLa(Laは1を含む正数)次のΔΣ変調器と、
上記ΔΣ変調器の出力側に縦続されたLd(Ldは1を含む正数)次のデジタルフィルタと、
入力信号を積分する回数を決めるクロック周波数を入力信号値に応じて変化させ、少なくとも上記ΔΣ変調器に供給する周波数可変部と、を含む
信号処理システム。
100,100A,100B・・・ΔΣAD変換器、110・・・La次ΔΣ変調器、111,111−1,111−2・・・積分器、112・・・AD変換器、113,113−1,113−2・・・DA変換器、114,114−1,114−2・・・減算器、120・・・デジタルフィルタ、130,130A,130B・・・クロック発生器(周波数可変部)、200・・・信号処理システム、210・・・画素アレイ部、230・・・ΔΣAD変換器。

Claims (8)

  1. 入力信号を供給されるクロックの周波数に応じた回数積分処理を行い当該クロックに同期してデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換を行うLa(Laは1を含む正数)次のΔΣ変調器と、
    上記ΔΣ変調器の出力側に縦続されたLd(Ldは1を含む正数)次のデジタルフィルタと、
    入力信号を積分する回数を決めるクロック周波数を入力信号値に応じて変化させ、少なくとも上記ΔΣ変調器に供給する周波数可変部と
    を有するΔΣAD変換器。
  2. 上記周波数可変部は、
    入力信号の値が小さい領域において上記クロック周波数が高くなるように設定する
    請求項1記載のΔΣAD変換器。
  3. 上記周波数可変部は、
    供給される電力に応じた周波数で発振し、当該発振クロックを上記ΔΣ変調器および上記デジタルフィルタのうち、少なくとも上記ΔΣ変調器に出力する発振部と、
    制御端子に入力する入力信号値に応じた電力を上記発振部に供給するトランスコンダクタンス(Gm)素子と、を含む
    請求項1または2記載のΔΣAD変換器。
  4. 上記周波数可変部は、
    固定周波数のクロックを発振するクロック源と、
    設定される分周値で上記クロック源による原発振クロックを分周し、分周クロックを上記ΔΣ変調器および上記デジタルフィルタのうち、少なくとも上記ΔΣ変調器に出力する分周器と、
    入力信号のレベルを判定し、離散値としての分周値を設定し、設定した分周値を上記分周器に出力する判定部と、を含む
    請求項1または2記載のΔΣAD変換器。
  5. 上記ΔΣ変調器への上記入力信号は、
    一回の変換期間においてレベルが一定であると見なせる信号である
    請求項1から4のいずれか一に記載のΔΣAD変換器。
  6. 上記デジタルフィルタは、
    上記ΔΣ変調器の次数に対して次数が大きく設定され、
    次数に応じた数の積分器が縦続接続されている
    請求項1から5のいずれか一に記載のΔΣAD変換器。
  7. 上記ΔΣ変調器は、
    少なくとも一つの積分器と、
    上記積分器の出力信号を上記クロックに同期して量子化してデジタル信号を上記デジタルフィルタに出力するn(nは1を含む)ビットのアナログデジタル(AD)変換器と、
    上記AD変換器のフィードバック系において、上記クロックに同期してデジタル信号をアナログ信号に変換し、当該アナログ信号を上記積分器の入力側に帰還させる少なくとも一つのnビットのデジタルアナログ(DA)変換器と、を含む
    請求項1から6のいずれか一に記載のΔΣAD変換器。
  8. アナログ信号処理系からのアナログ信号をデジタル信号に変換するΔΣアナログデジタル(AD)変換器を有し、
    上記ΔΣAD変換器は、
    入力信号を供給されるクロックの周波数に応じた回数積分処理を行い当該クロックに同期してデジタル信号に変換するAD変換を行うLa(Laは1を含む正数)次のΔΣ変調器と、
    上記ΔΣ変調器の出力側に縦続されたLd(Ldは1を含む正数)次のデジタルフィルタと、
    入力信号を積分する回数を決めるクロック周波数を入力信号値に応じて変化させ、少なくとも上記ΔΣ変調器に供給する周波数可変部と、を含む
    信号処理システム。
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