JP2013211307A - レーザ駆動回路、レーザ駆動方法、プロジェクタ装置、及び、レーザ光を用いる装置 - Google Patents

レーザ駆動回路、レーザ駆動方法、プロジェクタ装置、及び、レーザ光を用いる装置 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザ光がコヒーレント光であることに起因するスペックルノイズを低減することができるレーザ駆動回路、レーザ駆動方法、プロジェクタ装置、及び、レーザ光を用いる装置を提供する。
【解決手段】波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を、入力される映像信号に基づいて生成する複数のレーザ駆動映像電流生成回路と、映像信号に同期した信号を基に、映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を発振する発振器を有し、当該高周波信号を複数のレーザ駆動映像電流生成回路が生成するレーザ駆動電流に対して重畳する高周波重畳部とを備える。
【選択図】 図10

Description

本開示は、レーザ駆動回路、レーザ駆動方法、プロジェクタ装置、及び、レーザ光(レーザビーム)を用いる装置に関する。
レーザ光(レーザビーム)を用いる装置として、例えば、レーザ光を用いて画像の表示を行うレーザディスプレイ装置がある。このレーザディスプレイ装置は、レーザ光を出射するレーザ光源をレーザ駆動回路によって駆動し、当該レーザ駆動回路による駆動の下でレーザ光をスキャナによって走査することにより、スクリーン上に画像を表示するという装置である(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−66303号公報
レーザディスプレイ装置では、スクリーンの微小な凹凸によって、レーザ光源からスクリーンを経て視聴者の目に結像するまでのレーザ光の光路長がランダムに変化する。そして、レーザ光のような波長及び位相が揃ったコヒーレントな光の場合、光路長の変化に応じて位相の異なる光が目に入射し、それらが互いに干渉して強度がランダムに分布する干渉縞が無数に見える斑点、所謂、スペックルノイズが生じる。このスペックルノイズについては、レーザディスプレイ装置に限らず、コヒーレント光であるレーザ光を用いる装置全般について言える問題である。
そこで、本開示は、レーザ光がコヒーレント光であることに起因するスペックルノイズを低減することができるレーザ駆動回路、レーザ駆動方法、プロジェクタ装置、及び、レーザ光を用いる装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本開示のレーザ駆動回路は、
波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を、入力される映像信号に基づいて生成する複数のレーザ駆動映像電流生成回路と、
前記映像信号に同期した信号を基に、前記映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を発振する発振器を有し、当該高周波信号を前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路が生成するレーザ駆動電流に対して重畳する高周波重畳部とを備えるレーザ駆動回路である。
また、上記の目的を達成するための本開示のレーザ駆動方法は、
波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を、入力される映像信号に基づいて生成するレーザ駆動映像電流生成ステップと、
前記映像信号に同期した信号を基に、前記映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を発振する発振ステップと、
前記レーザ駆動映像電流生成ステップで生成するレーザ駆動電流に対して、前記発振ステップで発振する前記高周波信号を重畳する高周波重畳ステップとを有するレーザ駆動方法である。
映像信号に基づくレーザ駆動電流に高周波信号を重畳し、この高周波信号を重畳したレーザ駆動電流によってレーザ光源を駆動することにより、レーザ光源から出射されるレーザ光の波長スペクトラムが広がるため可干渉性が下がる。そして、レーザ光の可干渉性が下がることで、レーザ光がコヒーレント光であることに起因するスペックルノイズを低減できる。
このとき、映像信号と高周波信号が非同期だと、両者の混変調に伴う折返し成分が生じ、画質を損なう懸念がある。それに対して、映像信号に同期した信号を基に、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号を発振することで、高周波信号が映像信号と同期する。これにより、映像信号と高周波信号の混変調に伴う折返し成分を抑えることができるため、当該折返し成分による画質劣化を回避することができる。
本開示によれば、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号を映像信号と同期させることにより、両者の混変調に伴う折返し成分による画質劣化を回避しつつ、レーザ光がコヒーレント光であることに起因するスペックルノイズを低減することができる。
図1は、レーザビーム・スキャニング方式のプロジェクタ装置の構成の一例を示すシステム構成図である。 図2は、レーザビーム・スキャニング方式のスクリーン上の走査方法の例を示す図である。 図3は、ビデオ信号処理回路とレーザ駆動回路との間の映像信号インターフェースの一例を示す図である。 図4は、スペックルノイズについて説明するモデル図である。 図5は、本開示のレーザ駆動回路の基本的な構成を示すブロック図である。 図6は、半導体レーザの電流−光出力特性を示す図である。 図7は、レーザ駆動電流に高周波信号を重畳する概念図である。 図8は、レーザ駆動電流に高周波信号を重畳することによるレーザ出力光の波長スペクトラムの変化を示す図である。 図9は、投影映像信号に非同期の高周波信号を重畳したときのレーザ駆動電流の例を示す波形図である。 図10は、第1実施形態の実施例1に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。 図11は、第1実施形態の実施例1における投影映像信号と高周波信号の振幅との関係を示す波形図である。 図12は、第1実施形態の実施例1における投影映像信号の画素周期に発振停止/発振開始が同期した高周波信号を重畳したレーザ駆動電流の例を示すタイミング波形図である。 図13は、発振位相同期回路を有する重畳信号発振器の構成の一例を示すブロック図である。 図14は、第1実施形態の実施例2に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。 図15は、第1実施形態の実施例2における投影映像信号の画素周期に発振停止/発振開始が同期した高周波信号を重畳したレーザ駆動電流の例を示すタイミング波形図である。 図16は、第1実施形態の実施例3に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。 図17は、第1実施形態の実施例3における投影映像信号の画素周期に発振停止/発振開始が同期した高周波信号を重畳したレーザ駆動電流の例を示すタイミング波形図である。 図18は、第1実施形態の実施例4に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。 図19は、第1実施形態の実施例5に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。 図20は、第1実施形態の実施例5における投影映像信号の画素周期に発振停止/発振開始が同期した高周波信号を重畳したレーザ駆動電流の例を示すタイミング波形図である。 図21は、第1実施形態の実施例6に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。 図22は、第1実施形態の実施例6における投影映像信号の画素周期に発振停止/発振開始が同期した高周波信号を重畳したレーザ駆動電流の例を示すタイミング波形図である。 図23は、第1実施形態の実施例7に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。 図24は、第1実施形態の実施例7における投影映像信号の画素周期に発振停止/発振開始が同期した高周波信号を重畳したレーザ駆動電流の例を示すタイミング波形図である。 図25は、第1実施形態の実施例8に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。 図26は、第1実施形態の実施例8における投影映像信号の画素周期に発振停止/発振開始が同期した高周波信号を重畳したレーザ駆動電流の例を示すタイミング波形図である。 図27は、第1実施形態の他の適用例に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。 図28は、適用例における2つの増幅/減衰器の利得と高周波信号の振幅との関係を示す波形図(その1)である。 図29は、適用例における2つの増幅/減衰器の利得と高周波信号の振幅との関係を示す波形図(その1)である。 図30は、第2実施形態の適用例1に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。 図31は、第2実施形態の適用例2に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。 図32は、第2実施形態の適用例3に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。 図33は、第2実施形態の適用例4に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。
以下、本開示の技術を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。本開示は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値などは例示である。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は以下の順序で行う。
1.本開示のレーザ駆動回路、レーザ駆動方法、プロジェクタ装置、及び、レーザ光を用いる装置、全般に関する説明
2.本開示の技術が適用されるプロジェクタ装置のシステム構成
3.本開示のレーザ駆動回路の基本的な構成
4.第1実施形態(レーザ駆動映像電流生成回路の入力側で重畳処理を行う場合の例)
4−1.実施例1
4−2.実施例2
4−3.実施例3
4−4.実施例4
4−5.実施例5
4−6.実施例6
4−7.実施例7
4−8.実施例8
4−9.他の適用例
5.第2実施形態(レーザ駆動映像電流生成回路の出力側で重畳処理を行う場合の例)
5−1.適用例1
5−2.適用例2
5−3.適用例3
5−4.適用例4
6.本開示の構成
<1.本開示のレーザ駆動回路、レーザ駆動方法、プロジェクタ装置、及び、レーザ光を用いる装置、全般に関する説明>
本開示のレーザ駆動回路は、波長の異なるレーザ光(以下、「レーザビーム」と記述する場合もある)を出射する複数のレーザ光源を駆動するためのものである。複数のレーザ光源としては、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の三種類の波長のレーザ光を出射するRGBの3つのレーザ光源を用いることができる。レーザ光源としては、他の光源に比較して小型で効率の良い半導体レーザを用いるのが望ましい。但し、半導体レーザは一例であって、レーザ光源としては、半導体レーザに限られるものではない。
本開示のレーザ駆動回路は、映像信号を入力とし、当該映像信号を増幅して各レーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を生成する。このレーザ駆動電流の生成に当たって、本開示の技術は、映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号をレーザ駆動電流に重畳する、所謂、高周波重畳の技術を用いるレーザ駆動回路及びレーザ駆動方法に関する。そして、高周波重畳の技術を用いる、本開示のレーザ駆動回路及びレーザ駆動方法は、レーザ光を用いる装置全般に対して適用することができる。
レーザ光を用いる装置、特に、本開示のレーザ駆動回路及びレーザ駆動方法を用いる装置としては、レーザディスプレイ装置、特に、レーザディスプレイ装置の一種である、レーザビーム・スキャニング方式のプロジェクタ装置を例示することができる。但し、本開示の技術は、プロジェクタ装置への適用に限られるものではなく、レーザ光を用いる装置全般に対して適用可能である。プロジェクタ装置以外のレーザディスプレイとして、ヘッドマウントディスプレイ、レーザ液晶TV(テレビジョン)、有機レーザTV、立体(三次元)ディスプレイなどを例示することができる。
本開示のレーザ駆動回路は、波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を、入力される映像信号に基づいて生成する複数のレーザ駆動映像電流生成回路を備える。本開示のレーザ駆動回路は更に、複数のレーザ駆動映像電流生成回路が生成するレーザ駆動電流に対して、映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を重畳する高周波重畳部を備える。
このように、映像信号に基づくレーザ駆動電流に高周波信号を重畳し、この高周波信号を重畳したレーザ駆動電流によってレーザ光源を駆動することにより、レーザ光源から出射されるレーザ光の波長スペクトラムが広がるため可干渉性が下がる。そして、レーザ光の可干渉性が下がることで、レーザ光がコヒーレント光であることに起因するスペックルノイズを低減できる。
ここで、映像信号と高周波信号が非同期だと両者の混変調に伴う折返し成分が生じ、画質を損なう懸念がある。そこで、本開示のレーザ駆動回路にあっては、高周波重畳部は、映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号の信号源として、映像信号に同期した信号を基に、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号を発振する発振器を用いることを特徴としている。
このように、映像信号に同期した信号を基に、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号を生成することにより、映像信号と高周波信号とを同期させることができる。これにより、映像信号と高周波信号の混変調に伴う折返し成分を抑えることができるため、当該折返し成分による画質劣化を回避することができる。
上述した好ましい構成を含む本開示のレーザ駆動回路、レーザ駆動方法、及び、レーザ光を用いる装置にあっては、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号を発振する発振器について、映像信号に同期した信号に応じて発振器の発振停止/発振開始を制御する発振位相同期回路を有する構成とすることができる。また、映像信号に同期した信号として、映像信号の明暗を繰り返す最小単位である画素の開始を示す画素周期同期信号を用いることができる。
ここで、レーザディスプレイ装置の表示原理は、レーザ光の輝度(明暗)をコントロールすることで画像を表示し、レーザ光の強度変調によって階調表現を実現する。従って、映像信号の明暗を繰り返す「最小単位」は、液晶表示装置、プラズマ表示装置、EL表示装置などのフラットパネルディスプレイにおける画素に相当する。また、「最小単位の周期」は、フラットパネルディスプレイにおける画素周期ということになる。
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示のレーザ駆動回路、レーザ駆動方法、及び、レーザ光を用いる装置にあっては、高周波重畳部について、映像信号から画素周期同期信号を抽出する画素周期抽出回路を有する構成とすることができる。画素周期抽出回路は、映像信号から抽出した画素周期同期信号を映像信号に同期した信号として発振器に与える。
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示のレーザ駆動回路、レーザ駆動方法、及び、レーザ光を用いる装置にあっては、高周波重畳部について、映像信号のレベル情報を画素毎に判別してレベル変動を検出するレベル変動検出回路を有する構成とすることができる。レベル変動検出回路は、映像信号の画素毎のレベル変動を検出すると、当該レベル変動に同期した信号を映像信号に同期した信号として発振器に与える。
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示のレーザ駆動回路、レーザ駆動方法、及び、レーザ光を用いる装置にあっては、高周波重畳部について、任意の、若しくは、高周波信号の周波数(重畳周波数)に連動した発振停止期間を設定する発振停止期間設定回路を有する構成とすることができる。このとき、発振器は、発振停止期間設定回路が設定した発振停止期間の間発振を停止した後に、発振を開始することになる。
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示のレーザ駆動回路、レーザ駆動方法、及び、レーザ光を用いる装置にあっては、高周波重畳部について、発振器を複数設ける構成とすることができる。このとき、発振位相同期回路は、複数の発振器の発振出力を切り替えることにより、一の発振器の発振停止期間では別の発振器の発振出力を、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号として用いる動作を行うことになる。
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示のレーザ駆動回路、レーザ駆動方法、及び、レーザ光を用いる装置にあっては、高周波重畳部について、入力される映像信号に対して振幅調整を行う増幅/減衰器を複数のレーザ駆動映像電流生成回路に対応して設ける構成とすることができる。このとき、高周波重畳部は、発振停止期間に増幅/減衰器の出力を選択することによって輝度の調整を行うことになる。
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示のレーザ駆動回路、レーザ駆動方法、及び、レーザ光を用いる装置にあっては、高周波重畳部について、発振器の出力をカウントするカウンタを有する構成とすることができる。このとき、発振器は、カウンタのカウント値が所定の設定値になったときのカウンタの出力を受けて発振を停止する動作を行うことになる。
<2.本開示が適用されるプロジェクタ装置のシステム構成>
本開示のレーザ光を用いる装置として、本開示が適用されるプロジェクタ装置、より具体的には、レーザビーム・スキャニング方式のプロジェクタ装置を例示し、以下に、その構成について説明する。
図1は、レーザビーム・スキャニング方式のプロジェクタ装置の構成の一例を示すシステム構成図である。本例に係るプロジェクタ装置10は、ビデオ信号処理回路11、レーザ駆動回路12、光源部13、スキャナ部14、受光素子15、及び、スキャナ駆動回路16を有する構成となっている。
ビデオ信号処理回路11は、ビデオ・デコーダ111、フレームメモリ112、クロック生成部113、レーザ制御部114、及び、システム制御部115によって構成され、入力される映像信号からスキャナ部14のスキャナ動作に同期し、レーザ光の波長などの特性に応じた映像信号を生成する。このようなレーザを駆動するための映像信号を、本明細書では「投影映像信号」と呼ぶこととする。
ビデオ信号処理回路11についてより具体的に説明する。ビデオ信号処理回路11において、入力段のビデオ・デコーダ111は、入力される映像信号を光源部13の各光源の波長に応じた映像信号に変換(色域変換)する。フレームメモリ112は、ビデオ・デコーダ111から与えられる色域変換後の映像信号を一旦格納する。クロック生成部113は、スキャナ部14のスキャナ動作に同期した投影映像クロック信号を生成する。この投影映像クロック信号は、フレームメモリ112及びレーザ制御部114に与えられる。
フレームメモリ112は、投影映像クロック信号を受けることで、当該投影映像クロック信号に同期して、格納している映像信号を読み出す。これにより、フレームメモリ112から読み出される映像信号は、スキャナ部14のスキャナ動作に同期した映像信号となる。
レーザ制御部114は、受光素子15から与えられるレーザパワーモニタ信号に基づいて、光源部13の各光源の発光パワーを監視することで、入力される映像信号通りにレーザ光が発光するような投影映像信号を生成する。システム制御部115は、CPUなどによって構成され、本システム全体の制御を司る。
レーザ制御部114で生成された投影映像信号は、後述する映像電流制御信号と共に、レーザ駆動回路12に供給される。レーザ駆動回路12には、投影映像信号及び映像電流制御信号の他、画素の開始を示す画素周期同期信号が、クロック生成部113で生成される投影映像クロック信号と共にビデオ信号処理回路11から供給される。
レーザ駆動回路12は、各波長に応じた投影映像信号にしたがって光源部13の各光源を駆動する。このレーザ駆動回路12は、本開示の特徴とする部分であり、その基本的な構成や具体的な実施形態については後述する。
光源部13は、複数の光源、例えば3つの光源を有する。これらの光源としては、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の波長のレーザ光を出射するレーザ光源131R,131G,131Bを用いている。図1では、便宜上、赤色のレーザ光を実線で示し、緑色のレーザ光を一点鎖線で示し、青色のレーザ光を破線で示している。レーザ光源131R,131G,131Bとしては、特に、小型で効率の良い半導体レーザを用いるのが望ましい。
レーザ光源131R,131G,131Bの各出射光は、各々の波長に対応した投影映像信号によって変調される。具体的には、入力される映像信号に応じた画像を表示するためにレーザ光の輝度(明暗)をコントロールするとともに、階調表現を実現するためにレーザ光の強度を変調する。レーザ光源131R,131G,131Bから出射された各レーザ光は、コリメートレンズ132R,132G,132Bによってほぼ平行光にされた後、ビーム・スプリッタ133R,133G,133Bなどによって1本のレーザ光に束ねられる。
この束ねられた1本のレーザ光は、スキャナ部14に至る光路の途中に配されたビーム・スプリッタ17によって一部が反射される。この反射されたレーザビームは、受光素子15に入射する。受光素子15は、入射するレーザ光を基に、光源部13の各レーザ光源131R,131G,131Bの発光パワーを示すレーザパワーモニタ信号を出力し、ビデオ信号処理回路11のレーザ制御部114に供給する。
ビーム・スプリッタ17を通過したレーザ光は、スキャナ部14に入射する。スキャナ部14は、例えば、1つの2軸スキャナ141を用いて構成されている。入射したレーザ光は、2軸スキャナ141によって照射角度に対して水平及び垂直方向に変調が加えられてからスクリーン(図示せず)に投影される。尚、ここでは、スキャナ部14として、1つの2軸スキャナ141で水平・垂直の両方向に走査する例を示しているが、1軸スキャナを2つ用いて水平方向及び垂直方向に走査する構成であってもよい。
通常、スキャナ部14には、2軸スキャナ141などの照射角度を検出するセンサが内蔵されており、当該センサから水平・垂直それぞれの角度信号が出力される。これらの角度信号は、スキャナ駆動回路16に入力される。
スキャナ駆動回路16は、駆動回路161,162、バッファ163,164、アンプ165、及び、位相シフト回路166などによって構成され、水平角度信号及び垂直角度信号を参照しつつ、所望の照射角度になるように2軸スキャナ141を駆動する。例えば、図2に示すような走査(所謂、ラスター走査)を行う場合、水平方向には正弦波状に駆動する一方、垂直方向には映像信号のフレームレートに同期した、のこぎり波状の波形で駆動する。
(映像信号インターフェースについて)
ここで、ビデオ信号処理回路11とレーザ駆動回路12との間の映像信号インターフェースの一例について図3を用いて説明する。
10ビット階調の映像信号の場合、赤・緑・青の各波長毎に10本の映像信号が必要となるためそのまま伝送すると、ビデオ信号処理回路11とレーザ駆動回路12との間での信号本数が増大する。そこで、伝送本数の削減のために、パラレル/シリアル変換によるデータの多重化が行われる。
図3は、30本の映像信号を5本に多重化した例を示している。図3において、投影映像信号はビデオ信号処理回路11から出力される信号で、画素毎の映像信号を1画素の1/6の周期でパラレル/シリアル変換したものである。1つの信号に赤・緑・青の2ビットずつの信号を含んでいるため、5本で3波長分の10ビット階調信号を伝送することができる。
一方、レーザ駆動回路12側では、多重化された映像信号から、シリアル/パラレル変換を行い、画素毎の映像信号に分離し、図3に示す投影映像信号(赤・緑・青)を生成する。その際、レーザ駆動回路12では、1画素の1/6の周期の映像信号クロックと、画素の開始を示す画素周期同期信号が必要となる。そのため、投影映像クロック信号及び画素周期同期信号が投影映像信号と一緒に伝送される。
尚、レーザ駆動回路12側のパラレル/シリアル変換回路は本開示の技術には直接関係しないため、以降の説明ではパラレル/シリアル変換回路は省略し、投影映像信号は図3に示す、投影映像信号(赤・緑・青)のように、波長毎の画素毎に分離された後の状態になっているものとする。
(スペックルノイズについて)
ところで、レーザを光源とするプロジェクタ装置の課題として、スクリーン上の映像に無数の斑点が見えるスペックルノイズが挙げられる。スペックルノイズは、図4のモデルで説明される。すなわち、プロジェクタ装置から出射されたレーザ光は、スクリーンで反射された後、目に入射して網膜上に結像する。このとき、スクリーンがもつ微小な凹凸によってレーザ光源から網膜上に結像するまでの光路長はランダムに変化する。
レーザ光のような波長・位相が揃ったコヒーレントな光を光源とする場合、光路長の変化に応じて位相の異なる複数の光が目に入射し、それらの光が互いに干渉して強度がランダムに分布する干渉縞が生じる。この干渉縞が、無数に見える斑点、即ち、スペックルノイズである。そして、レーザ光がコヒーレント光であることに起因するスペックルノイズを低減するために為されたのが、本開示の技術である。
<3.本開示のレーザ駆動回路の基本的な構成>
続いて、本開示の技術が適用されるレーザ駆動回路の基本的な構成について説明する。図5は、図1に示すレーザビーム・スキャニング方式のプロジェクタ10に用いられるレーザ駆動回路12、即ち、本開示の技術が適用されるレーザ駆動回路の基本的な構成を示すブロック図である。
前にも述べたように、光源として、通常、赤色、緑色、青色の三種類のレーザ光源131R,131G,131Bが用いられる。これに対応して、レーザ駆動回路12は、光源の数に応じた3つの駆動部120R,120G,120Bを備える。また、先述したように、スキャナ部14のスキャナ141の動きに同期した、三種類のレーザ光の各波長に応じた投影映像信号が、レーザ駆動回路12に入力される。
駆動部120R,120G,120Bは、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121B及びベース電流生成回路122R,122G,122Bを有する構成となっている。ここでは、赤色のレーザ駆動映像電流生成回路121R及びベース電流生成回路122Rの構成について具体的に説明するが、緑色、青色のレーザ駆動映像電流生成回路121G,121B及びベース電流生成回路122G,122Bの各構成についても同様である。
レーザ駆動映像電流生成回路121Rは、入力される投影映像信号を、レーザ光の発光に必要な電流値まで増幅し、赤色のレーザ光源131Rを駆動するレーザ駆動電流として出力する。ここで、レーザ駆動回路12に入力される投影映像信号は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。
投影映像信号がデジタル信号で入力される場合は、レーザ駆動映像電流生成回路121Rとして、デジタル信号をアナログ信号に変換するデジタル/アナログ変換機能を有する回路を用いることになる。その際、ビデオ信号処理回路11からレーザ駆動回路12に与えられる映像電流制御信号が、デジタル/アナログ変換におけるフルスケール電流を制御する。
尚、図5では、レーザ光源131R,131G,131Bである例えば半導体レーザのアノードに電流を流し込む回路構成となっているが、カソードから電流を引き込む回路構成であってもよい。いずれの回路構成を採るかは任意である。
ところで、半導体レーザは、図6に示すような電流−光出力特性をもっており、閾値電流までは光パワーは出力されない。ベース電流生成回路122Rは、図6に示すように、レーザ光源131Rに対して閾値電流分を供給することに用いられる。このように、ベース電流生成回路122Rからレーザ光源131Rに閾値電流分を供給することにより、レーザ駆動映像電流生成回路121Rのダイナミックレンジを有効に使うことができる。
尚、ベース電流生成回路122Rの有無については本開示の技術とは直接関係しないので、図面などの簡略化のために、以降、実施形態の説明及び図面ではベース電流生成回路122Rについては省略するものとする。
上記構成のレーザ駆動回路12において、本開示では、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bで生成するレーザ駆動電流に対して、映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を重畳することを特徴としている。
高周波信号を重畳するに当たっては、図7に示すように、半導体レーザの閾値電流をまたぐような振幅で変調をかけることになる。図8に、レーザ駆動電流に高周波信号を重畳することによるレーザ出力光の波長スペクトラムの変化を示す。半導体レーザは、本来、図8の(A)に示すように、単一モード(シングルモード)で発振する。この場合、レーザ光の可干渉性は強い(高い)。
これに対し、レーザ駆動電流に高周波信号を重畳することにより、図8の(B)に示すように、レーザは多くの波長成分を含む多モード(マルチモード)で発振する。この場合、レーザ光の可干渉性は弱くなる(下がる)。一般に、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅が大きくなるほど、波長スペクトラムはより広くなる傾向にある。
上述したように、入力される映像信号に基づくレーザ駆動電流に高周波信号を重畳し、この高周波信号を重畳したレーザ駆動電流によってレーザ光源を駆動することにより、レーザ光源から出射されるレーザ光の波長スペクトラムが広がるため可干渉性が下がる。その結果、レーザ光がコヒーレント光であることに起因するスペックルノイズを低減することができる。
(高周波信号と投影映像信号の混変調に伴う折返しについて)
ところで、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号と投影映像信号とが非同期だと、高周波信号と投影映像信号の混変調に伴う折返し成分が生じ、画質を損なう懸念がある。この折返しについてより具体的に説明する。
ここで、理解を容易にするために、投影映像信号の明暗を繰り返す最小単位を「画素単位」と呼ぶこととする。画素単位で明暗を繰り返す投影映像信号に、当該投影映像信号と非同期の高周波信号を重畳したときのレーザ駆動電流の例を図9に示す。この例は、1画素区間に対して、高周波信号が2.75周期の場合の例である。
入力される投影映像信号は、明区間ですべて同一のレベルを持っている。高周波信号によるレーザ光の発光は3回と2.5回を繰り返しており、明区間は一つおきに輝度変化を生じてしまっている。図9のレーザ駆動電流の波形において、破線は平均電流を表わしており、その平均電流の差が輝度差となる。
これは、画素周波数をfvとしたとき、高周波信号の周波数fvがfv=5.5×fvの例であるが、画素周波数の5倍の高調波:5×fvと高周波信号周波数:5.5×fvの差成分の折返しとみなすことができる。
輝度変化として生じる折返しは、1画素区間の発光回数の変化に起因する。従って、画素周波数と高周波信号の周波数とを同期させるか、1画素内の高周波信号の位相を一致させることによって、輝度変化を低減させることができる。かかる点に鑑みて為されたのが、本開示のレーザ駆動回路である。
ところで、レーザ駆動電流に高周波信号を重畳する処理としては、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bの入力側で行う処理と、複数のレーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bの出力側で行う処理とが考えられる。
以下に、入力側で行う構成に関して第1実施形態として、出力側で行う構成に関して第2実施形態として説明を行うものとする。また、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号を投影映像信号に同期させるための具体的な実施例については、第1実施形態の各実施例として説明を行うものとする。
<4.第1実施形態>
第1実施形態では、複数のレーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bの入力側において、レーザ駆動電流に高周波信号を重畳する処理を行う。具体的には、これらレーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bに入力する映像信号(投影映像信号)を高周波信号に応じてスイッチングする。
尚、第1実施形態では、レーザ駆動電流に重畳する、映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号の信号源として、当該レーザ駆動回路12Aに内蔵の発振器(以下、「重畳信号発振器」と記述する)を用いる構成を採る。この点については、第2実施形態においても同様である。
[4−1.実施例1]
図10は、第1実施形態の実施例1に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。実施例1に係るレーザ駆動回路12Aは、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bに加えて、重畳信号発振器123と、2入力1出力のスイッチ(以下、「映像信号スイッチ」と記述する)124R,124G,124Bとを備えている。
重畳信号発振器123及び映像信号スイッチ124R,124G,124Bは、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bが生成するレーザ駆動電流に対して高周波信号を重畳する高周波重畳部を構成している。レーザ駆動回路におけるレーザ駆動映像電流生成回路、発振器(重畳信号発振器)、及び、高周波重畳部は、本開示のレーザ駆動方法にあっては、レーザ駆動映像電流生成ステップ、発振ステップ、及び、高周波重畳ステップということになる。以下に説明する各実施例においても同様である。
重畳信号発振器123は、入力される投影映像信号に同期した信号に応じて当該発振器123の発振停止/発振開始を制御する発振位相同期回路125を有する。入力される投影映像信号に同期した信号としては、画素の開始を示す画素周期同期信号を用いる。
画素周期同期信号は、前に述べた映像信号インターフェース(図3参照)において、ビデオ信号処理回路11からレーザ駆動回路12に対して、投影映像信号や投影映像クロック信号と一緒に伝送される信号である。
発振位相同期回路125が重畳信号発振器123に対して、入力される画素周期同期信号に応じて発振停止/発振開始の制御を行うことで、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号(以下、「高周波重畳信号」と記述する場合もある)の発振停止/発振開始が画素周期に同期する。
映像信号スイッチ124R,124G,124Bは、入力される投影映像信号を一方の入力とし、所定の電位、例えば接地(GND)レベルを他方の入力とする。これにより、映像信号スイッチ124R,124G,124Bは、重畳信号発振器123から与えられる高周波信号に応じて、投影映像信号と接地レベルとの間でスイッチングすることになる。その結果、図11に示すように、投影映像信号の信号レベルの振幅の高周波信号が投影映像信号、ひいては、レーザ駆動電流に重畳されることになる。
図12は、実施例1における投影映像信号の画素周期に発振停止/発振開始が同期した高周波信号を重畳したレーザ駆動電流の例を示すタイミング波形図である。この例は、投影映像信号が1画素毎に明暗を繰り返す場合の例である。画素周期と重畳周期とは同期していないが、高周波重畳信号の発振停止/発振開始が画素周期に同期しているので、レーザ駆動電流の平均電流が画素毎に一致する。
これにより、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号と投影映像信号とが非同期の場合にみられた、レーザ駆動電流の平均電流の差である輝度差が生じないため、輝度変化として生じる、投影映像信号と高周波信号の混変調に伴う折返し成分を抑えることができる。従って、折返し成分による画質劣化を回避しつつ、レーザ光がコヒーレント光であることに起因するスペックルノイズを低減することができる。
(発振位相同期回路を有する重畳信号発振器)
発振位相同期回路125を有する重畳信号発振器123の構成の一例を図13に示す。図13に示すように、重畳信号発振器123は、インバータ1231、インバータ1232、及び、NORゲート1233がリング状に接続され、発振周波数制御信号で遅延量が制御可能な遅延回路3段の構成のゲーティドリングオシレータである。
この重畳信号発振器123において、NORゲート1233が発振位相同期回路125としての機能を持つ。このNORゲート1233に画素周期同期信号を発振位相同期信号として入力する。これにより、画素周期同期信号のアクティブ期間(高レベル区間)で発振出力が低レベルとなり、重畳信号発振器123が発振を停止する。また、画素周期同期信号が非アクティブ(低レベル)になると、重畳信号発振器123が発振を開始する。
[4−2.実施例2]
図14は、第1実施形態の実施例2に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。実施例2に係るレーザ駆動回路12Bは、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121B、重畳信号発振器123、及び、映像信号スイッチ124R,124G,124Bに加えて、画素周期抽出回路126を備える構成となっている。
画素周期抽出回路126は、レーザ駆動回路12Bに入力される投影映像信号から画素周期に同期した信号、即ち、画素周期同期信号を抽出し、当該画素周期同期信号を投影映像信号に同期した信号として重畳信号発振器123、具体的には、発振位相同期回路125に与える。画素周期抽出回路126については、周知のクロックリカバリ回路などを用いて構成することができる。
実施例2の構成によれば、投影映像信号に画素周期に同期した何らかの信号が含まれていれば、画素周期抽出回路126によって画素周期同期信号を抽出することができる。具体的には、投影映像信号に画素毎に切り替わる何らかの信号が含まれていれば、その情報を抽出し、当該情報を基にクロックリカバリ回路内のリファレンスクロックを同期させることで、画素周期同期信号を抽出することができる。
そして、画素周期抽出回路126が抽出した画素周期同期信号を重畳信号発振器123内の発振位相同期回路125に与えることで、投影映像信号に画素周期に発振停止/発振開始が同期した高周波信号を、レーザ駆動電流に重畳することができる。
図15は、実施例2における投影映像信号の画素周期に発振停止/発振開始が同期した高周波信号を重畳したレーザ駆動電流の例を示すタイミング波形図である。実施例2の場合にも、実施例1の場合と同様に、レーザ駆動電流の平均電流が画素毎に一致する。従って、レーザ駆動電流の平均電流の差である輝度差が生じないため、折返し成分による画質劣化を回避しつつ、レーザ光がコヒーレント光であることに起因するスペックルノイズを低減することができる。
[4−3.実施例3]
折返しは、画素周期と高周波信号の周期の非同期によって生じる。ここで、プロジェクタ装置において、映像信号の明暗を繰り返す最小単位、即ち、1画素は、隣接する画に対して輝度が変化することによって初めて画素として識別され、輝度が変化しなければ1画素として認識されない。そのため、画素周期ではなく、輝度が変化する周期と高周波信号の周期が非同期の場合に、折返しが発生する可能性がある。この点に鑑みて為されたのが、以下に説明する実施例3に係るレーザ駆動回路である。
図16は、第1実施形態の実施例3に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。実施例2に係るレーザ駆動回路12Cは、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121B、重畳信号発振器123、及び、映像信号スイッチ124R,124G,124Bに加えて、レベル変動検出回路127を備える構成となっている。
レベル変動検出回路127は、投影映像信号のレベル情報を画素毎に判別してレベル変動を検出し、当該レベル変動に同期した信号を映像信号に同期した信号として重畳信号発振器123、具体的には、発振位相同期回路125に与える。
図16に示すように、レベル変動検出回路127は、例えば、RGBの投影映像信号に対応したエッジ検出器1271R,1271G,1271Bと、ORゲート1272とから成り、各波長毎の輝度変化をエッジとして検出するエッジ検出回路の構成となっている。このエッジ検出回路にあっては、各波長毎の輝度変化をエッジ検出器1271R,1271G,1271Bで検出し、ORゲート1272によって各波長毎の検出結果の論理和をとるようにしている。
このように、投影映像信号のレベル変動(輝度変動)に同期した信号を重畳信号発振器123内の発振位相同期回路125に与えることにより、輝度が変化する周期に発振停止/発振開始が同期した高周波信号を、レーザ駆動電流に重畳することができる。これにより、輝度が変化する周期と高周波信号の周期が非同期の場合のような折返しを抑えることができる。
図17は、実施例3における投影映像信号の画素周期に発振停止/発振開始が同期した高周波信号を重畳したレーザ駆動電流の例を示すタイミング波形図である。実施例2の場合と異なり、投影映像信号の変化点のエッジを検出したものである。
ここで、1画素の平均輝度は、高周波信号重畳の停止期間の輝度に依存してしまうため、当該停止期間の回数は少ない方が望ましい。従って、実施例3のように、輝度変化が生じたときのみ重畳信号発振器123の発振を停止することで、当該制限を設けない場合に比べて停止期間の回数を低減することができる。また、実施例3によれば、実施例2のように、クロックリカバリ回路等から成る画素周期抽出回路126が必要ないため、簡単な回路構成にて所期の目的を達成できる利点もある。
[4−4.実施例4]
図18は、第1実施形態の実施例4に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。実施例4に係るレーザ駆動回路12Dは、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121B、重畳信号発振器123、及び、映像信号スイッチ124R,124G,124Bに加えて、発振停止期間設定回路128を備える構成となっている。
発振停止期間設定回路128は、外部から与えられる発振停止期間制御信号に応じて、画素周期同期信号に同期して発振停止期間を任意に設定し、この設定した発振停止期間に重畳信号発振器123に対して発振停止信号を与える。すなわち、本例に係る発振停止期間設定回路128は、外部から与えられる発振停止期間制御信号に応じて任意に発振停止期間を設定する構成となっている。重畳信号発振器123は、発振停止期間設定回路128から発振停止信号が与えられると、その期間発振を停止する。
ここで、1画素の平均輝度は、高周波信号重畳の停止期間の輝度に依存してしまうため、当該停止期間は短い方が望ましい。しかし、重畳信号発振器123が発振を停止するまでに要する時間は、高周波信号の周波数やプロセスバラツキ等により変動するため、発振停止期間の調整が必要となる。
[4−5.実施例5]
図19は、第1実施形態の実施例5に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。実施例5に係るレーザ駆動回路12Eは、基本的に、実施例4に係るレーザ駆動回路12Dと同様の構成となっている。
実施例4に係るレーザ駆動回路12Dと異なるのは、発振停止期間設定回路128が設定する発振停止期間が、高周波信号の周波数に連動する構成となっている点である。すなわち、発振停止期間設定回路128は、発振周波数の制御のために外部から重畳信号発振器123に与えられる発振周波数制御信号に応じて、画素周期同期信号に同期して発振停止期間を設定する構成となっている。
図20は、実施例5における投影映像信号の画素周期に発振停止/発振開始が同期した高周波信号を重畳したレーザ駆動電流の例を示すタイミング波形図である。この例は、発振停止期間が高周波重畳信号の低レベル区間と等しい場合の例となっている。図20のように、発振停止期間を高周波重畳信号の低レベル区間と等しくすることで、周波数やプロセスに依らず、重畳信号発振器123が確実に停止状態になる時間を確保できる。また、図20に示すレーザ駆動電流波形は、画素の切替りで低レベルから発振開始した高周波重畳波形と同等となる。ここで、高周波信号の低レベルと高レベルは容易に反転可能であり、レベル反転後の波形は発振停止期間が無く、高レベルから発振開始した高周波重畳波形と同等となる。
[4−6.実施例6]
図21は、第1実施形態の実施例6に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。実施例6に係るレーザ駆動回路12Fは、実施例1に係るレーザ駆動回路12Aの構成を基本とした上で、重畳信号発振器123を複数有する、例えば2つの重畳信号発振器123A,123Bを有する構成となっている。
レーザ駆動回路12Fは更に、2つの重畳信号発振器123A,123Bの入力側に分周器151及びインバータ152を有し、出力側にORゲート153を有する構成となっている。分周器151は、外部から与えられる画素周期同期信号を例えば1/2に分周し、一方の重畳信号発振器123Aに直接、他方の重畳信号発振器123Bにインバータ152を介して供給する。ORゲート153は、2つの重畳信号発振器123A,123Bから出力される高周波重畳信号1,2を合成して映像信号スイッチ124R,124G,124Bに供給する。
すなわち、実施例6に係るレーザ駆動回路12Fは、複数の発振器を有し、これら複数の発振器の発振出力を切り替えることにより、一の発振器の発振停止期間では別の発振器の発振出力を、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号として用いることとなる。本例の場合、画素周期同期信号を分周した信号に基づいて、2つの重畳信号発振器123A,123Bの発振を交互に停止するようになっている。
図22は、実施例6における投影映像信号の画素周期に発振停止/発振開始が同期した高周波信号を重畳したレーザ駆動電流の例を示すタイミング波形図である。この例の場合は、高周波重畳信号1と高周波重畳信号2の合成信号である高周波重畳信号は、発振停止期間の無い波形となっている。
[4−7.実施例7]
上述した実施例1乃至実施例5では、高周波信号の重畳停止期間のレーザ駆動電流はOFFか、高周波重畳信号を論理反転した場合でもONに固定されてしまう。この場合、高周波信号の重畳停止期間、即ち、重畳信号発振器123の発振停止期間に依存して平均輝度が変動してしまうため、画質が劣化する懸念がある。この点に鑑みて為されたのが、以下に説明する実施例7に係るレーザ駆動回路である。
図23は、第1実施形態の実施例7に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。実施例7に係るレーザ駆動回路12Gは、実施例1に係るレーザ駆動回路12Aの構成を基本とした上で、入力される投影映像信号に対して振幅調整を行う、各波長に対応した複数の増幅/減衰器171R,171G,171Bを有する構成となっている。
レーザ駆動回路12Gは更に、映像信号スイッチ124R,124G,124Bの後段に映像信号スイッチ172R,172G,172Bを有し、映像信号スイッチを2段構成としている。映像信号スイッチ172R,172G,172Bは、増幅/減衰器171R,171G,171Bで振幅調整された投影映像信号と、映像信号スイッチ124R,124G,124Bの出力信号とを2入力としている。そして、映像信号スイッチ172R,172G,172Bは、画素周期同期信号に応じて、重畳信号発振器123の発振停止期間に、増幅/減衰器171R,171G,171Bで振幅調整された投影映像信号を選択する。
このように、高周波信号の重畳停止期間、即ち、重畳信号発振器123の発振停止期間に、増幅/減衰器171R,171G,171Bで振幅調整(輝度調整)された投影映像信号を出力するようにすることで、発振停止期間に依存する平均輝度の変動を抑えることができる。
図24は、実施例7における投影映像信号の画素周期に発振停止/発振開始が同期した高周波信号を重畳したレーザ駆動電流の例を示すタイミング波形図である。高周波信号の重畳停止期間(発振停止期間)に投影映像信号の1/2の電流を出力することで、1画素の平均輝度の変動を低減することができる。
[4−8.実施例8]
上述した実施例1乃至実施例6では、高周波信号の重畳停止のタイミングが、高周波信号の周期に同期していないため、発振停止時の高周波信号の波形が変形する懸念がある。特に、重畳信号発振器123の発振出力の波形が極端に細く(狭く)なってしまった場合に、入力信号のジッタ等の影響を受けやすく、波形出力が不安定になり、映像劣化につながる懸念がある。この点に鑑みて為されたのが、以下に説明する実施例8に係るレーザ駆動回路である。
図25は、第1実施形態の実施例8に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。実施例8に係るレーザ駆動回路12Hは、実施例7に係るレーザ駆動回路12Gの構成を基本とした上で、重畳信号発振器123の後段に、カウンタ173及びORゲート174を有する構成となっている。
カウンタ173は、画素周期同期信号に同期して、重畳信号発振器123の出力をカウントする、即ち、高周波重畳信号の周波数でカウント動作を行う。ORゲート174は、カウンタ173のカウント出力と画素周期同期信号との論理和をとり、その出力を映像信号スイッチ172R,172G,172Bにその切替え信号として供給するとともに、発振位相同期回路125にその制御信号として供給する。
上記の構成の実施例8に係るレーザ駆動回路12Hでは、カウンタ173のカウント出力と画素周期同期信号との論理和の結果を基に、重畳信号発振器123の発振停止/発振開始の制御が行われる。これにより、重畳信号発振器123の発振停止を高周波信号の周期に同期させ、発振開始を画素周期に同期させることになる。
図26は、実施例8における投影映像信号の画素周期に発振停止/発振開始が同期した高周波信号を重畳したレーザ駆動電流の例を示すタイミング波形図である。
重畳信号発振器123の出力をカウントするカウンタ173のカウント値が設定値に至る画素周期以内とすることで、画素周期内で重畳信号発振器123の発振停止を制御する制御信号(カウンタ信号)を生成することができる。
図26では、カウンタ値(設定値)を4回に設定しており、高周波重畳信号の4回目の立ち上がりでカウンタ173がカウンタ信号を出力し、画素周期でカウンタ173がリセットされる。カウンタ173のリセット後も画素周期同期信号により、重畳信号発振器123が発振を停止しており、画素周期に同期した立ち下りタイミングで重畳信号発振器123が発振を開始する。カウント値を最適な値に設定することで、画素の切替わり時に高周波信号が重畳されていない安定したレーザ駆動電流の波形を得ることができる。
ここで、図26の例では、増幅/減衰器171R,171G,171Bを1/2に設定し、重畳停止期間に出力することにより、重畳停止期間も平均駆動電流が映像信号の1/2を保持できる構成にしている。
尚、図26の例では、画素周期同期信号とカウンタ信号で共通の増幅/減衰器171R,171G,171Bを用いているが、それぞれ別の増幅/減衰器を備え、画素の開始と終了時のパワーを調整することで、より正確に輝度をコントロールできる。また、増幅/減衰器171R,171G,171Bを備えずに、画素周期同期信号で重畳信号発振器123の発振を停止し、カウンタ信号で重畳信号発振器123の発振を開始する構成を採ることも可能である。
以上説明した実施例1乃至実施例8では、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bに加えて、基本的に、重畳信号発振器123と、映像信号スイッチ124R,124G,124Bとを備えるレーザ駆動回路に適用する場合について説明した。但し、本開示の技術は、当該構成のレーザ駆動回路への適用に限られるものではない。
[4−9.他の適用例]
図27は、第1実施形態の他の適用例に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。
本適用例に係るレーザ駆動回路12Iは、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121B毎にそれらの入力側に、映像信号スイッチ124R,124G,124Bに加えて、複数(本例では、2つ)の増幅/減衰器175A,175Bを備える構成となっている。
ここでは、赤色側の2つの増幅/減衰器175A-R,175B-R、映像信号スイッチ124Rの機能について具体的に説明する。但し、緑色側の増幅/減衰器175A-G,175B-G、映像信号スイッチ124Gの機能、及び、青色側の増幅/減衰器175A-B,175B-B、映像信号スイッチ124Bの機能についても同様である。
2つの増幅/減衰器175A-G,175B-Gは、各々異なる利得をもち、入力される投影映像信号を基に振幅が異なる2つの投影映像信号を生成する。この2つの投影映像信号は、映像信号スイッチ124Rの2入力となる。映像信号スイッチ124Rは、重畳信号発振器123から与えられる高周波信号に応じて、2つの増幅/減衰器175A-G,175B-Gが生成した2つの投影映像信号を選択(スイッチング)する。
上記の構成により、映像信号スイッチ124Rは、重畳信号発振器123が出力する高周波信号のH/Lに応じて、振幅の異なる2つの投影映像信号を選択することができる。ここで、Hは高周波信号の高レベルを意味し、Lは高周波信号の低レベルを意味する。例えば、2つの増幅/減衰器175A-G,175B-Gの一方の利得を2倍、他方の利得を0倍とした場合、図28に示すような、高周波信号が重畳された投影映像信号が生成され、レーザ駆動映像電流生成回路121Rに入力される。
レーザ駆動映像電流生成回路121Rは、高周波信号が重畳された投影映像信号を、レーザ光源131Rの駆動に必要な電流値まで増幅し、レーザ駆動電流としてレーザ光源131Rに供給する。このとき、レーザ駆動電流は、高周波信号が重畳された電流としてレーザ光源131Rに供給され、当該レーザ光源131Rを駆動する。
レーザ駆動電流に重畳される高周波信号の振幅は、2つの増幅/減衰器175A-G,175B-Gの利得によって任意に設定することができる。別の例として、2つの増幅/減衰器175A-G,175B-Gの一方の利得を1.75倍、他方の利得を0.25倍とした場合には、図29に示すような、図28の場合に比べて高周波信号の振幅を小さくした投影映像信号、ひいては、レーザ駆動電流を生成することができる。
上述したように、本適用例に係るレーザ駆動回路12Iによれば、図28や図29に示すように、その振幅が投影映像信号のレベルに比例するような高周波信号をレーザ駆動電流に重畳することができる。これにより、投影映像信号のレベルがゼロの部分では、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅もゼロとなるため、輝度がゼロとなるべき部分でレーザ光が発光してしまうというような不具合を回避できる。また、投影映像信号のレベルがゼロの状態では、レーザ光が発光していないことから、スペックルノイズの問題は起こらない。従って、レーザ駆動電流に対する高周波信号の重畳処理は不要である。
一方、投影映像信号のレベルが大きくなるほどスペックルノイズが目立つようになる。それに対しては、投影映像信号のレベルが大きくなるほど、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅も大きくなり、スペックルノイズを低減する効果を強める(高める)ように作用する。
本適用例に係るレーザ駆動回路12Iにおける重畳信号発振器123に対しても、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号を投影映像信号に同期させる、先述した実施例1乃至実施例8を適用することができる。そして、その適用により、適用例に係る作用、効果に加えて、実施例1乃至実施例8に係る作用、効果を得ることができる。
以上では、レーザ駆動電流に高周波信号を重畳する処理を、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bの入力側で行う構成のレーザ駆動回路12に適用した場合を第1実施形態として説明した。本開示の技術は、レーザ駆動電流に高周波信号を重畳する処理を、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bの出力側で行う構成のレーザ駆動回路12に対しても同様に適用可能である。
<5.第2実施形態>
以下に、レーザ駆動電流に高周波信号を重畳する処理を、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bの出力側で行う構成のレーザ駆動回路12に適用する場合を第2実施形態として、各種の適用例に係るレーザ駆動回路12について説明する。
[5−1.適用例1]
図30は、第2実施形態の適用例1に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。本適用例1に係るレーザ駆動回路12Jは、高周波重畳部として、内蔵の重畳信号発振器123の他に、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121B毎にそれらの出力側に、レーザ駆動電流スイッチ181(181R,181G,181B)を備えた構成となっている。レーザ駆動電流スイッチ181R,181G,181Bは、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bが生成したレーザ駆動電流を通過/遮断する機能をもつ。
上述した構成のレーザ駆動回路12Jにおいて、レーザ駆動電流スイッチ181の通過/遮断の制御を、重畳信号発振器123から与えられる高周波信号に応じて行うことで、当該高周波信号をレーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bが生成したレーザ駆動電流に重畳することができる。
この場合にも、第1実施形態の他の適用例の場合と同様に、その振幅が投影映像信号のレベルに比例するように高周波信号をレーザ駆動電流に重畳することができる(図28参照)。その結果、第1実施形態の他の適用例の場合と同様の作用、効果を得ることができる。すなわち、投影映像信号のレベルがゼロの部分では、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅もゼロとなり、また、投影映像信号のレベルが大きくなるほど、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅も大きくなるため、スペックルノイズを低減する効果を強めることができる。
[5−2.適用例2]
図31は、第2実施形態の適用例2に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。本適用例2に係るレーザ駆動回路12Kは、高周波重畳部として、内蔵の重畳信号発振器123の他に、当該重畳信号発振器123から与えられる高周波信号を増幅するレーザ駆動重畳電流生成回路182(182R,182G,182B)を備えた構成となっている。このレーザ駆動重畳電流生成回路182R,182G,182Bは、その出力端がレーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bの出力側の接続ノードNR,NG,NBに接続されている。
上述した構成のレーザ駆動回路12Kにおいて、重畳信号発振器123から出力される高周波信号は、レーザ駆動重畳電流生成回路182R,182G,182Bによってレーザ光源131R,131G,131Bの駆動に必要なレベルまで増幅される。そして、レーザ駆動重畳電流生成回路182R,182G,182Bから出力される高周波電流は、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bの出力電流、即ち、レーザ駆動電流と接続ノードNR,NG,NBで加算され、レーザ光源131R,131G,131Bに供給される。
本適用例2に係るレーザ駆動回路12Kの場合には、投影映像信号のレベルによらず、一定の振幅の高周波電流がレーザ駆動電流に重畳される。これにより、高周波信号の振幅が投影映像信号のレベルに比例するように重畳される場合のような効果は得られないものの、高周波重畳による効果、即ち、レーザ光の波長スペクトラムが広がり、可干渉性が下がることによるスペックルノイズの低減効果を得ることができる。
[5−3.適用例3]
図32は、第2実施形態の適用例3に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。本適用例3に係るレーザ駆動回路Lは、高周波重畳部として、内蔵の重畳信号発振器123、レーザ駆動重畳電流生成回路182の他に、レベル比較器183及び重畳電流スイッチ184をレーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121B毎に備えた構成となっている。
レベル比較器183(183R,183G,183B)は、入力される投影映像信号のレベルの、所定の閾値に対する大小を判定する機能をもつ。所定の閾値は、投影映像信号レベルの判定閾値であり、投影映像信号のゼロレベルの近傍の値に設定される。ここで、「ゼロレベルの近傍」とは、ゼロレベルを多少前後するレベルの他、ゼロレベルも含む。投影映像信号のゼロレベルの検出に当たって、所定の閾値について、設計上あるいは製造上生ずる種々のばらつきの存在は許容される。
重畳電流スイッチ184R,184G,184Bは、レーザ駆動重畳電流生成回路182R,182G,182Bの出力端と、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bの出力端との間に接続されている。重畳電流スイッチ184R,184G,184Bは、レベル比較器183R,183G,183Bの比較結果(判定結果)に応じてオン(閉)/オフ(開)動作を行う。
上述した構成のレーザ駆動回路12Lにおいて、レベル比較器183は、映像信号のレベルが、所定の閾値を超えると判定すると、その判定結果によって重畳電流スイッチ184を導通(オン)状態にする。これにより、レーザ駆動重畳電流生成回路182から出力される高周波電流が重畳電流スイッチ184を通過し、レーザ駆動映像電流生成回路121から出力されるレーザ駆動電流に加算(重畳)される。
本適用例3に係るレーザ駆動回路12Lによれば、高周波重畳による効果に加えて、レベル比較器183の作用により、投影映像信号のレベルがゼロ(所定の閾値以下)であることを検出したときに、高周波信号をレーザ駆動電流に重畳しないようにすることができる。その結果、投影映像信号のレベルがゼロの場合には、レーザ光が発光することはないため、輝度をゼロまで下げることができる。
[5−4.適用例4]
図33は、第2実施形態の適用例4に係るレーザ駆動回路の構成を示すブロック図である。本適用例4に係るレーザ駆動回路12Mは、適用例3に係るレーザ駆動回路12Lにおけるレベル比較器183及び重畳電流スイッチ184に代えて、乗算器185(185R,185G,185B)をレーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121B毎に備えた構成となっている。
乗算器185R,185G,185Bは、重畳信号発振器123から出力される高周波信号と、各波長の投影映像信号とを入力とし、これらを乗算する。乗算器185R,185G,185Bの各出力信号は、レーザ駆動重畳電流生成回路182R,182G,182Bに入力される。レーザ駆動重畳電流生成回路182R,182G,182Bは、乗算器185R,185G,185Bの各出力信号を、レーザ駆動に必要なレベルまで増幅する。レーザ駆動重畳電流生成回路182R,182G,182Bの各出力電流は、接続ノードNR,NG,NBでレーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bの各出力電流と加算される。
上述した構成の適用例4に係るレーザ駆動回路12Mにおいても、第1実施形態の他の適用例の場合と同様の作用、効果を得ることができる。すなわち、投影映像信号のレベルがゼロの部分では、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅もゼロとなり、また、投影映像信号のレベルが大きくなるほど、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅も大きくなるため、スペックルノイズを低減する効果を強めることができる。
ここで、乗算器185R,185G,185Bや、レーザ駆動重畳電流生成回路182R,182G,182Bの各利得を調整可能な構成とし、これら利得を調整することにより、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号の振幅を変えることができる。例えば、加算する高周波信号の振幅を相対的にやや小さめに設定することにより、相対的にやや小さい振幅で高周波信号をレーザ駆動電流に重畳することができる。この場合、乗算器185R,185G,185B及びレーザ駆動重畳電流生成回路182R,182G,182Bの両方の利得を調整可能な構成の他、どちらか一方の利得を調整可能な構成とすることもできる。
以上説明した、レーザ駆動映像電流生成回路121R,121G,121Bの出力側でレーザ駆動電流に高周波信号を重畳する処理を行う第2実施形態に係る各レーザ駆動回路12(12J〜12M)に対しても本開示の技術を適用することができる。すなわち、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号を投影映像信号に同期させる、第1実施形態の実施例乃至実施例8を適用することができる。そして、その適用により、適用例1乃至適用例4に係る作用、効果に加えて、実施例1乃至実施例8に係る作用、効果を得ることができる。
<4.本開示の構成>
尚、本開示は以下のような構成を採ることができる。
[1]波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を、入力される映像信号に基づいて生成する複数のレーザ駆動映像電流生成回路と、
前記映像信号に同期した信号を基に、前記映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を発振する発振器を有し、当該高周波信号を前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路が生成するレーザ駆動電流に対して重畳する高周波重畳部とを備えるレーザ駆動回路。
[2]前記発振器は、前記映像信号に同期した信号に応じて前記発振器の発振停止/発振開始を制御する発振位相同期回路を有する上記[1]に記載のレーザ駆動回路。
[3]前記映像信号に同期した信号は、当該記映像信号明暗を繰り返す最小単位である画素の開始を示す画素周期同期信号である上記[1]または上記[2]に記載のレーザ駆動回路。
[4]前記高周波重畳部は、前記映像信号から前記画素周期同期信号を抽出し、当該画素周期同期信号を前記映像信号に同期した信号として前記発振器に与える画素周期抽出回路を有する上記[1]から上記[3]のいずれかに記載のレーザ駆動回路。
[5]前記高周波重畳部は、前記映像信号のレベル情報を、明暗を繰り返す最小単位である画素毎に判別してレベル変動を検出し、当該レベル変動に同期した信号を前記映像信号に同期した信号として前記発振器に与えるレベル変動検出回路を有する上記[1]または上記[2]に記載のレーザ駆動回路。
[6]前記高周波重畳部は、任意の、若しくは、前記高周波信号の周波数に連動した発振停止期間を設定する発振停止期間設定回路を有し、
前記発振器は、前記発振停止期間設定回路が設定した発振停止期間の間発振を停止した後に、発振を開始する上記[2]から上記[5]のいずれかに記載のレーザ駆動回路。
[7]前記高周波重畳部は、複数の発振器を有し、
前記発振位相同期回路は、前記複数の発振器の発振出力を切り替えることにより、一の発振器の発振停止期間では別の発振器の発振出力を、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号として用いる上記[2]または上記[3]に記載のレーザ駆動回路。
[8]前記高周波重畳部は、複数のレーザ駆動映像電流生成回路に対応して設けられ、入力される映像信号に対して振幅調整を行う複数の増幅/減衰器を有し、発振停止期間に前記複数の増幅/減衰器の出力を選択することによって輝度の調整を行う上記[2]から上記[6]のいずれかに記載のレーザ駆動回路。
[9]前記高周波重畳部は、前記発振器の出力をカウントし、カウント値が所定の設定値になったときにカウンタ信号を出力するカウンタを有し、
前記発振器は、前記カウンタが出力するカウンタ信号を受けて発振を停止する上記[2]、上記[3]、または、上記[8]に記載のレーザ駆動回路。
[10]波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を、入力される映像信号に基づいて生成するレーザ駆動映像電流生成ステップと、
前記映像信号に同期した信号を基に、前記映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を発振する発振ステップと、
前記レーザ駆動映像電流生成ステップで生成するレーザ駆動電流に対して、前記発振ステップで発振する前記高周波信号を重畳する高周波重畳ステップとを有するレーザ駆動方法。
[11]波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源と、
入力される映像信号に応じて前記複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動回路と、
前記複数のレーザ光源から出射されたレーザ光をスクリーンに投影するスキャナ部とを具備し、
前記レーザ駆動回路は、
前記複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を前記映像信号に基づいて生成する複数のレーザ駆動映像電流生成回路と、
前記映像信号に同期した信号を基に、前記映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を発振する発振器を有し、当該高周波信号を前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路が生成するレーザ駆動電流に対して重畳する高周波重畳部とを備えるプロジェクタ装置。
[12]波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を、入力される映像信号に基づいて生成する複数のレーザ駆動映像電流生成回路と、
前記映像信号に同期した信号を基に、前記映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を発振する発振器を有し、当該高周波信号を前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路が生成するレーザ駆動電流に対して重畳する高周波重畳部とを備えるレーザ駆動回路を用いる装置。
10・・・レーザビーム・スキャニング方式のプロジェクタ装置、11・・・ビデオ信号処理回路、12(12A〜12M)・・・レーザ駆動回路、13・・・光源部、14・・・スキャナ部、15・・・受光素子、16・・・スキャナ駆動回路、120R,120G,120B・・・駆動部、121R,121G,121B・・・レーザ駆動映像電流生成回路、122R,122G,122B・・・ベース電流生成回路、123,123A,123B・・・重畳信号発振器、124R,124G,124B,172R,172G,172B・・・映像信号スイッチ、125・・・発振位相同期回路、126・・・画素周期抽出回路、127・・・レベル変動検出回路、128・・・発振停止期間設定回路、131R,131G,131B・・・レーザ光源、151・・・分周器、152・・・インバータ、153,174・・・ORゲート、171R,171G,171B,175A_R,175B_R,175A_G,175B_G,175A_B,175B_B・・・増幅/減衰器、173・・・カウンタ、181R,181G,181B・・・レーザ駆動電流スイッチ、182R,182G,182B・・・レーザ駆動重畳電流生成回路、183R,183G,183B・・・レベル比較器、184R,184G,184B・・・重畳電流スイッチ、185R,185G,185B・・・乗算器

Claims (12)

  1. 波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を、入力される映像信号に基づいて生成する複数のレーザ駆動映像電流生成回路と、
    前記映像信号に同期した信号を基に、前記映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を発振する発振器を有し、当該高周波信号を前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路が生成するレーザ駆動電流に対して重畳する高周波重畳部とを備えるレーザ駆動回路。
  2. 前記発振器は、前記映像信号に同期した信号に応じて前記発振器の発振停止/発振開始を制御する発振位相同期回路を有する請求項1に記載のレーザ駆動回路。
  3. 前記映像信号に同期した信号は、当該記映像信号明暗を繰り返す最小単位である画素の開始を示す画素周期同期信号である請求項1に記載のレーザ駆動回路。
  4. 前記高周波重畳部は、前記映像信号から前記画素周期同期信号を抽出し、当該画素周期同期信号を前記映像信号に同期した信号として前記発振器に与える画素周期抽出回路を有する請求項1に記載のレーザ駆動回路。
  5. 前記高周波重畳部は、前記映像信号のレベル情報を、明暗を繰り返す最小単位である画素毎に判別してレベル変動を検出し、当該レベル変動に同期した信号を前記映像信号に同期した信号として前記発振器に与えるレベル変動検出回路を有する請求項1に記載のレーザ駆動回路。
  6. 前記高周波重畳部は、任意の、若しくは、前記高周波信号の周波数に連動した発振停止期間を設定する発振停止期間設定回路を有し、
    前記発振器は、前記発振停止期間設定回路が設定した発振停止期間の間発振を停止した後に、発振を開始する請求項2に記載のレーザ駆動回路。
  7. 前記高周波重畳部は、複数の発振器を有し、
    前記発振位相同期回路は、前記複数の発振器の発振出力を切り替えることにより、一の発振器の発振停止期間では別の発振器の発振出力を、レーザ駆動電流に重畳する高周波信号として用いる請求項2に記載のレーザ駆動回路。
  8. 前記高周波重畳部は、複数のレーザ駆動映像電流生成回路に対応して設けられ、入力される映像信号に対して振幅調整を行う複数の増幅/減衰器を有し、発振停止期間に前記複数の増幅/減衰器の出力を選択することによって輝度の調整を行う請求項2に記載のレーザ駆動回路。
  9. 前記高周波重畳部は、前記発振器の出力をカウントし、カウント値が所定の設定値になったときにカウンタ信号を出力するカウンタを有し、
    前記発振器は、前記カウンタが出力するカウンタ信号を受けて発振を停止する請求項2に記載のレーザ駆動回路。
  10. 波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を、入力される映像信号に基づいて生成するレーザ駆動映像電流生成ステップと、
    前記映像信号に同期した信号を基に、前記映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を発振する発振ステップと、
    前記レーザ駆動映像電流生成ステップで生成するレーザ駆動電流に対して、前記発振ステップで発振する前記高周波信号を重畳する高周波重畳ステップとを有するレーザ駆動方法。
  11. 波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源と、
    入力される映像信号に応じて前記複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動回路と、
    前記複数のレーザ光源から出射されたレーザ光をスクリーンに投影するスキャナ部とを具備し、
    前記レーザ駆動回路は、
    前記複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を前記映像信号に基づいて生成する複数のレーザ駆動映像電流生成回路と、
    前記映像信号に同期した信号を基に、前記映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を発振する発振器を有し、当該高周波信号を前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路が生成するレーザ駆動電流に対して重畳する高周波重畳部とを備えるプロジェクタ装置。
  12. 波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源を駆動するレーザ駆動電流を、入力される映像信号に基づいて生成する複数のレーザ駆動映像電流生成回路と、
    前記映像信号に同期した信号を基に、前記映像信号の帯域を超える周波数の高周波信号を発振する発振器を有し、当該高周波信号を前記複数のレーザ駆動映像電流生成回路が生成するレーザ駆動電流に対して重畳する高周波重畳部とを備えるレーザ駆動回路を用いる装置。
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