JP2013211305A - 3次元ホモ接合型cnt太陽電池 - Google Patents

3次元ホモ接合型cnt太陽電池 Download PDF

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和志 平岡
Kazunari Matsuda
一成 松田
Yuhei Miyauchi
雄平 宮内
Shinichiro Mori
真一郎 毛利
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Abstract

【課題】光電変換効率の向上を図り得る3次元ホモ接合型CNT太陽電池を提供する。
【解決手段】正極としての金属電極2と、窓部材である透明基板3の表面に配置された負極としての金属カーボンナノチューブ4と、これら両電極間に配置される発電層6とから構成され、且つ上記発電層6は、n型カーボンナノチューブ7とp型カーボンナノチューブ8とを混合させてなる混合層9と、この混合層9と金属電極2との間に層状に配置されるp型カーボンナノチューブ10とから形成されたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、3次元ホモ接合型カーボンナノチューブ(CNT)を用いた太陽電池に関するものである。
従来、カーボンナノチューブを用いた太陽電池は、平面ヘテロ接合により構成されていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−253281号公報
従来のカーボンナノチューブを用いた太陽電池におけるpn接合部分は、厚さが薄い平面内に限られており、多くの光は透過してしまうため、光電変換効率を上げることができなかった。
この問題への対処として、光吸収層を厚くするためにカーボンナノチューブを積み重ねた場合、pn接合より入射光側のカーボンナノチューブは光を吸収したとしても電荷分離が行われず、生成した電子と正孔は発光または緩和により熱となり再結合して、光電変換効率の向上には寄与せず、逆に、pn接合への光を遮り、光電変換効率を下げてしまう。
そこで、本発明は、光電変換効率の向上を図り得る3次元ホモ接合型CNT太陽電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る3次元ホモ接合型CNT太陽電池は、金属電極と光を透過し得る電極との間にカーボンナノチューブを有する発電層が配置された太陽電池であって、
上記発電層を、p型カーボンナノチューブとn型カーボンナノチューブとを混合させてなる混合層および当該混合層と金属電極との間に層状に配置されるp型またはn型のカーボンナノチューブにより形成したものである。
また、本発明の請求項2に係る3次元ホモ接合型CNT太陽電池は、金属電極と光を透過し得る電極との間にカーボンナノチューブを有する発電層が配置された太陽電池であって、
上記発電層を、p型カーボンナノチューブ、n型カーボンナノチューブおよび真性半導体であるi型カーボンナノチューブを混合させて形成したものである。
上記各太陽電池の構成によると、p型カーボンナノチューブとn型カーボンナノチューブとを混合させたので、3次元的(立体的)に多くのpn接合が形成され、言い換えれば、3次元ホモ接合が形成され、したがってpn接合界面での光の吸収量が増大して電子と正孔とが電荷分離される割合が大きくなるので、光電変換効率を大幅に向上させることができる。
特に、カーボンナノチューブを用いることにより下記のような効果が得られる。すなわち、カーボンナノチューブは凝集バンドル化し易い物質で、p型カーボンナノチューブとn型カーボンナノチューブとを凝集バンドル化すると、p型カーボンナノチューブとn型カーボンナノチューブとが密着し、長手方向全体にpn接合が完成し、立体的に高い密度でpn接合が実現され、光電変換効率が向上する。また、カーボンナノチューブは線状であり、電子、正孔などの電荷を運ぶのに適している。また、カーボンナノチューブでは、キャリア移動度が速いので、電子や正孔がその寿命内にpn接合部分に達する機会が多いとともに、緩和する前に電極にも到達し得るので、多くの電流(電力)を取り出すことができる。また、カーボンナノチューブは低抵抗であるので、少ない損失で電荷を電極に移動させることができる。
本発明の実施例1に係る太陽電池の概略構成を示す断面図である。 本発明の実施例2に係る太陽電池の概略構成を示す断面図である。 本発明の実施例3に係る太陽電池の概略構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施例に係る3次元ホモ接合型CNT太陽電池について説明する。
この3次元ホモ接合型CNT太陽電池は、金属電極と光を透過し得る電極との間にカーボンナノチューブ(CNT)を有する発電層が配置されたものであり、以下、種々の実施例について説明する。なお、以下の各実施例において用いられるカーボンナノチューブという語句は、多数のカーボンナノチューブ群という意味で用いており、また部材の表面にカーボンナノチューブを配置するということは、カーボンナノチューブ群を層状(薄い層状であり、膜状ともいえる)に配置するということを意味しており、したがって層状に配置されたカーボンナノチューブ群をカーボンナノチューブ層と呼ぶこともできる。
まず、本発明の実施例1に係る3次元ホモ接合型CNT太陽電池を図1に基づき説明する。
この実施例1に係る3次元ホモ接合型CNT太陽電池は、金属電極と光を透過し得る電極との間にカーボンナノチューブ(CNT)を有する発電層が配置された太陽電池であって、上記発電層を、p型カーボンナノチューブとn型カーボンナノチューブとを混合させて形成するとともに、これらp型カーボンナノチューブとn型カーボンナノチューブの混合層と上記金属電極との間に、層状にp型カーボンナノチューブまたはn型カーボンナノチューブを配置し、且つ上記光を透過し得る電極を、透明部材および当該透明部材の表面に配置される電極としての金属カーボンナノチューブにより形成したものであり、さらに上記各p型およびn型カーボンナノチューブについては、p型およびn型ドーパントがカーボンナノチューブに内包(格子置換でもよい)されたものが用いられたものである。
図1に示すように、この太陽電池1は、正極としての金属電極(例えば、Ag,Au,Cu,In,Pdなどが用いられる)2と、窓部材である透明基板(SiO、ガラスなどが用いられる)3の表面に配置された負極としての金属カーボンナノチューブ(光を透過し得る電極の一例で、集電体ともいえる)4と、これら両電極間に、すなわち金属電極2と金属カーボンナノチューブ4との間に配置される発電層6とから構成されている。
上記負極としての金属カーボンナノチューブ4は、透明基板3の表面に薄い層状(膜状)に配置されている。なお、金属カーボンナノチューブ4の代わりに、光を通過させ得る金属製の櫛型電極を用いてもよい。
また、上記透明基板3の表面には、すなわち透明基板3と負極としての金属カーボンナノチューブ4との間には、補助電極としての集電部材5が配置されている。この集電部材(例えば、Ag,Au,Cu,In,Pdなどが用いられる)5は、当然に、光を通過させ得るように、例えばひし形の網目状に形成されたものが用いられている。なお、図面上は、その一部だけ示している。
上記発電層6は、n型カーボンナノチューブ7とp型カーボンナノチューブ8とが混合されてなる混合層9と、この混合層9と金属電極2との間で薄い層状(膜状)に配置されたp型カーボンナノチューブ10とから形成されている。
上記n型ドーパントとしては、カーボンナノチューブより電気陰性度が小さい元素(例えば、Ba,Ca,Cs,Fr,K,Li,Mg,Na,Rb,Srなど)が用いられる。また、上記p型ドーパントとしては、カーボンナノチューブより電気陰性度が大きい元素(例えば、Cl,F,O,Nなど)が用いられる。
そして、これらのドーパントは、粒状物または液状のものがカーボンナノチューブに内包される。
上記発電層6の形成に際しては、まずカーボンナノチューブ10aにp型ドーパント10bが内包されてなるp型カーボンナノチューブ10をスプレーにより、金属電極2の表面に薄い層状に塗布する。
次に、このp型カーボンナノチューブ10の表面に、同じくカーボンナノチューブ7aにn型ドーパント7bが内包されてなるn型カーボンナノチューブ7およびカーボンナノチューブ8aにp型ドーパント8bが内包されてなるp型カーボンナノチューブ8とをDFM(ジメチルホルムアミド)などの有機溶媒で分散混合させてなる溶液をスプレーにより層状に塗布する。
この塗布により、n型カーボンナノチューブ7とp型カーボンナノチューブ8とはランダムに分散された状態となる。
そして、この発電層6の表面(上面)に、金属カーボンナノチューブ4をスプレーにより薄い層状に塗布した後、表面(下面)に集電部材5が配置された透明基板3を載置して負極が形成されることにより、太陽電池1が得られる。
この太陽電池1において、n型カーボンナノチューブ7とp型カーボンナノチューブ8とのpn接合界面で電荷分離した電子は、当該n型カーボンナノチューブ7を経て負極である金属カーボンナノチューブ4から取り出される。一方、正孔については、p型カーボンナノチューブ8およびp型カーボンナノチューブ10を経て正極である金属電極2から取り出される。
なお、混合層9と金属電極2との間にp型カーボンナノチューブ10が薄い層状に配置されてpn接合が形成されているので、電流の逆流が防止されている。
上記太陽電池1における発電層6の構成によると、n型カーボンナノチューブ7とp型カーボンナノチューブ8とを混合させたので、3次元的(立体的)に多くのpn接合が形成され、言い換えれば、3次元ホモ接合(バルクホモ接合)が形成され、したがってpn接合界面での光の吸収量が増大して電子と正孔とが電荷分離される割合が大きくなるので、光電変換効率を大幅に向上させることができる。また、カーボンナノチューブ同士はバンドル化しやすいため、強力なpn接合が得られる。
特に、カーボンナノチューブを用いることにより下記のような効果が得られる。すなわち、カーボンナノチューブは凝集バンドル化し易い物質で、p型カーボンナノチューブとn型カーボンナノチューブとを凝集バンドル化すると、p型カーボンナノチューブとn型カーボンナノチューブとが密着し、長手方向全体にpn接合が完成し、立体的に高い密度でpn接合が実現され、光電変換効率が向上する。また、カーボンナノチューブは線状であり、電子、正孔などの電荷を運ぶのに適している。また、カーボンナノチューブでは、キャリア移動度が速いので、電子や正孔がその寿命内にpn接合部分に達する機会が多いとともに、緩和する前に電極にも到達し得るので、多くの電流(電力)を取り出すことができる。さらに、カーボンナノチューブは低抵抗であるので、少ない損失で電荷を電極に移動させることができる。なお、この効果は、以下に示す実施例2および実施例3でも得られるものである。
ところで、上述の実施例1においては、負極として金属カーボンナノチューブを用いたが、ITOなどの透明導電膜を用いてもよい。また、グラフェンを用いてもよく、この場合、太陽光は薄いグラフェン膜を通過することになる。
さらに、上述の実施例1においては、金属電極を正極にするとともに金属カーボンナノチューブを負極としたが、逆に、金属電極を負極にするとともに金属カーボンナノチューブを正極にしてもよい。この変形例の場合、金属電極とカーボンナノチューブの混合層との間に配置されるカーボンナノチューブはn型にされる。このn型カーボンナノチューブとしては、カーボンナノチューブにn型ドーパントが内包したものが用いられる。
なお、カーボンナノチューブにドーパントを内包させる方法としては、カーボンナノチューブにイオン注入する方法や、開口処理したカーボンナノチューブとドーパントを高真空中で保持し内包した後、開口部を閉じる方法などがある。
下記の表1に、上述した実施例1およびその変形例に係る各太陽電池の構成内容の一覧を示しておく。なお、表中、太陽光が入射する側と反対側の金属電極を裏面電極と称している。
Figure 2013211305
次に、本発明の実施例2に係る3次元ホモ接合型CNT太陽電池を図2に基づき説明する。
この実施例2に係る3次元ホモ接合型CNT太陽電池は、金属電極と光を透過し得る電極との間にカーボンナノチューブ(CNT)を有する発電層が配置された太陽電池であって、上記発電層を、p型カーボンナノチューブとn型カーボンナノチューブとを混合させて形成するとともに、これらp型カーボンナノチューブとn型カーボンナノチューブの混合層と上記金属電極との間に、層状にp型カーボンナノチューブまたはn型カーボンナノチューブを配置し、且つ上記光を透過し得る電極を、透明部材および当該透明部材の表面に配置される集電体としての金属カーボンナノチューブにより形成したものであり、さらに上記各p型カーボンナノチューブについては、p型ドーパントがカーボンナノチューブに表面担持(外面に付着)されたものが用いられる。
図2に示すように、この太陽電池11は、正極としての金属電極(例えば、Ag,Au,Cu,In,Pdなどが用いられる)12と、窓部材である透明基板(SiO、ガラスなどが用いられる)13の表面に配置された負極としての金属カーボンナノチューブ(光を透過し得る電極の一例で、集電体ともいえる)14と、これら両電極間に、すなわち金属電極12と金属カーボンナノチューブ14との間に配置される発電層16とから構成されている。
上記負極としての金属カーボンナノチューブ14は、透明基板13の表面に薄い層状に配置されている。なお、金属カーボンナノチューブ14の代わりに、光を通過させ得る金属製の櫛型電極を用いてもよい。
また、上記透明基板13の表面には、すなわち透明基板13と負極としての金属カーボンナノチューブ14との間には、補助電極としての集電部材(例えば、Ag,Au,Cu,In,Pdなどが用いられる)15が配置されている。この集電部材15は、当然に、光を通過させ得るように、例えばひし形の網目状に形成されたものが用いられている。なお、図面上は、その一部だけ示している。
上記発電層16は、n型カーボンナノチューブ17とp型カーボンナノチューブ18とが混合されてなる混合層19と、この混合層19と金属電極12との間で薄い層状に配置されたp型カーボンナノチューブ20とから形成されている。
上記n型ドーパントとしては、カーボンナノチューブより電気陰性度が小さい元素(例えば、Ba,Ca,Cs,Fr,K,Li,Mg,Na,Rb,Srなど)が用いられる。また、上記p型ドーパントとしては、化合物としてのF4TCNQ(フッ素化テトラシアノキノジメタン)若しくはカーボンナノチューブより電気陰性度が大きい元素(例えば、Cl,F,O,Nなど)が用いられ、または酸としてのHNO,HSO,HClなどが用いられる。
そして、上記p型ドーパントは、粒状物または液状のものがカーボンナノチューブに表面担持され、上記n型ドーパントは、粒状物または液状のものがカーボンナノチューブに内包される。
上記発電層16の形成に際しては、まずカーボンナノチューブ20aにp型ドーパント20bが表面担持されてなるp型カーボンナノチューブ20をスプレーにより、金属電極12の表面に層状に塗布する。
次に、このp型カーボンナノチューブ20の表面に、カーボンナノチューブ17aにn型ドーパント17bが内包されてなるn型カーボンナノチューブ17およびカーボンナノチューブ18aにp型ドーパント18bが表面担持されてなp型カーボンナノチューブ18とをDFM(ジメチルホルムアミド)などの有機溶媒で分散混合させてなる溶液をスプレーにより層状に塗布する。
この塗布により、n型カーボンナノチューブ17とp型カーボンナノチューブ18とはランダムに分散された状態となる。
そして、この発電層16の表面(上面)に、金属カーボンナノチューブ14をスプレーにより薄い層状に塗布した後、表面(下面)に集電部材15が配置された透明基板13を載置して負極を形成することにより、太陽電池11が得られる。
この太陽電池11において、n型カーボンナノチューブ17とp型カーボンナノチューブ18とのpn接合界面で電荷分離した電子は、当該n型カーボンナノチューブ17を経て負極である金属カーボンナノチューブ14から取り出され、一方、正孔については、p型カーボンナノチューブ18およびp型カーボンナノチューブ20を経て正極である金属電極12から取り出される。
なお、混合層19と金属電極12との間にp型カーボンナノチューブ20が薄い層状に配置されてpn接合が形成されているので、電流の逆流が防止されている。
上記太陽電池11における発電層16の構成によると、n型カーボンナノチューブ17とp型カーボンナノチューブ18とを混合させたので、3次元的(立体的)に多くのpn接合が形成され、言い換えれば、3次元ホモ接合(バルクホモ接合)が形成され、したがってpn接合界面での光の吸収量が増大して電子と正孔とが電荷分離される割合が大きくなるので、光電変換効率を大幅に向上させることができる。また、カーボンナノチューブ同士はバンドル化しやすいため、強力なpn接合が得られる。
ところで、上述の実施例2においては、負極として金属カーボンナノチューブを用いたが、ITOなどの透明導電膜を用いてもよい。また、グラフェンを用いてもよく、この場合、太陽光は薄いグラフェン膜を通過することになる。
さらに、上述の実施例2においては、金属電極を正極にするとともに金属カーボンナノチューブを負極としたが、逆に、金属電極を負極にするとともに金属カーボンナノチューブを正極にしてもよい。この変形例の場合、金属電極とカーボンナノチューブの混合層との間に配置されるカーボンナノチューブはn型にされる。このn型カーボンナノチューブとしては、カーボンナノチューブにn型ドーパントが表面担持されたものが用いられる。
なお、カーボンナノチューブにドーパントを内包させる方法としては、カーボンナノチューブにイオン注入する方法や、開口処理したカーボンナノチューブとドーパントを高真空中で保持し内包した後、開口部を閉じる方法などがある。
下記の表2に、上述した実施例2およびその変形例に係る各太陽電池の構成内容の一覧を示しておく。なお、表中、太陽光が入射する側と反対側の金属電極を裏面電極と称し、またドーパントの表面担持を「外付」と称している。
Figure 2013211305
次に、本発明の実施例3に係る3次元ホモ接合型CNT太陽電池を図3に基づき説明する。
この実施例3に係る3次元ホモ接合型CNT太陽電池は、金属電極と光を透過し得る電極との間にカーボンナノチューブ(CNT)を有する発電層が配置された太陽電池であって、上記発電層を、p型カーボンナノチューブとn型カーボンナノチューブと真性半導体としてのi型カーボンナノチューブとを混合させて形成するとともに、これら3つのカーボンナノチューブの混合層と上記金属電極との間に、層状にp型カーボンナノチューブまたはn型カーボンナノチューブを配置したものであり、さらに上記p型およびn型カーボンナノチューブについては、p型ドーパントおよびn型ドーパントがカーボンナノチューブに内包されたものが用いられる。
図3に示すように、この太陽電池21は、正極としての金属電極(例えば、Ag,Au,Cu,In,Pdなどが用いられる)22と、窓部材である透明基板(SiO、ガラスなどが用いられる)23の表面に配置された負極としての金属カーボンナノチューブ(光を透過し得る電極の一例で、集電体ともいえる)24と、これら両電極間に、すなわち金属電極22と金属カーボンナノチューブ24との間に配置される発電層26とから構成されている。
上記負極としての金属カーボンナノチューブ24は、透明基板23の表面に薄い層状(膜状)に配置されている。なお、金属カーボンナノチューブ24の代わりに、光を通過させ得る金属製の櫛型電極を用いてもよい。
また、上記透明基板23の表面には、すなわち透明基板23と負極としての金属カーボンナノチューブ24との間には、補助電極としての集電部材(例えば、Ag,Au,Cu,In,Pdなどが用いられる)25が配置されている。この集電部材25は、当然に、光を通過させ得るように、例えばひし形の網目状に形成されたものが用いられている。なお、図面上は、その一部だけ示している。
上記発電層26は、n型ドーパントが内包されたn型カーボンナノチューブ27とp型ドーパントが内包されたp型カーボンナノチューブ28とドーパントが添加されない真性半導体としてのi型カーボンナノチューブ29が混合されてなる混合層30と、この混合層30と金属電極22との間で薄い層状に配置されたp型カーボンナノチューブ31とから形成されている。
上記n型ドーパントとしては、カーボンナノチューブより電気陰性度が小さい元素(例えば、Ba,Ca,Cs,Fr,K,Li,Mg,Na,Rb,Srなど)が用いられる。また、上記p型ドーパントとしては、カーボンナノチューブより電気陰性度が大きい元素(例えば、Cl,F,O,Nなど)が用いられる。
そして、上記p型ドーパントおよびn型ドーパントは、粒状物または液状のものがカーボンナノチューブに内包される。
上記発電層26の形成に際しては、まずカーボンナノチューブ31aにp型ドーパント31bが内包されてなるp型カーボンナノチューブ31をスプレーにより、金属電極22の表面に薄い層状に塗布する。
次に、このp型カーボンナノチューブ31の表面に、カーボンナノチューブ27aにn型ドーパント27bが内包されてなるn型カーボンナノチューブ27およびカーボンナノチューブ28aにp型ドーパント28bが内包されてなp型カーボンナノチューブ28並びにドーパントが行われていないi型カーボンナノチューブ29をDFM(ジメチルホルムアミド)などの有機溶媒で分散混合させてなる溶液をスプレーにより層状に塗布する。
この塗布により、n型カーボンナノチューブ27、p型カーボンナノチューブ28およびi型カーボンナノチューブ29はランダムに分散された状態となる。
そして、この発電層26の表面(上面)に、金属カーボンナノチューブ24をスプレーにより薄い層状に塗布した後、表面(下面)に集電部材25が配置された透明基板23を載置して負極を形成することにより、太陽電池21が得られる。
この太陽電池21において、n型カーボンナノチューブ27とp型カーボンナノチューブ28とのpn接合界面で電荷分離した電子は、当該n型カーボンナノチューブ27を経て負極である金属カーボンナノチューブ24から取り出され、一方、正孔については、p型カーボンナノチューブ28およびp型カーボンナノチューブ31を経て正極である金属電極22から取り出される。
なお、混合層30と金属電極22との間にp型カーボンナノチューブ31が薄い層状に配置されてpn接合が形成されているので、電流の逆流が防止されている。
上記太陽電池21における発電層26の構成によると、n型カーボンナノチューブ27、p型カーボンナノチューブ28およびi型カーボンナノチューブ29を混合させたので、3次元的(立体的)に多くのpn接合が形成され、言い換えれば、3次元ホモ接合(バルクホモ接合)が形成され、したがってpn接合界面での光の吸収量が増大して電子と正孔とが電荷分離される割合が大きくなるので、光電変換効率を大幅に向上させることができる。また、カーボンナノチューブ同士はバンドル化しやすいため、強力なpn接合が得られる。
ところで、上述の実施例3においては、負極として金属カーボンナノチューブを用いたが、ITOなどの透明導電膜を用いてもよい。また、グラフェンを用いてもよく、この場合、太陽光は薄いグラフェン膜を通過することになる。
さらに、上述の実施例3においては、金属電極を正極にするとともに金属カーボンナノチューブを負極としたが、逆に、金属電極を負極にするとともに金属カーボンナノチューブを正極にしてもよい。この変形例の場合、金属電極とカーボンナノチューブの混合層との間に配置されるカーボンナノチューブはn型にされる。このn型カーボンナノチューブとしては、カーボンナノチューブにn型ドーパントが内包されたものが用いられる。
なお、カーボンナノチューブにドーパントを内包させる方法としては、カーボンナノチューブにイオン注入する方法や、開口処理したカーボンナノチューブとドーパントを高真空中で保持し内包した後、開口部を閉じる方法などがある。
下記の表3に、上述した実施例3およびその変形例に係る各太陽電池の構成内容の一覧を示しておく。なお、表中、太陽光が入射する側と反対側の金属電極を裏面電極と称している。
Figure 2013211305
1 太陽電池
2 金属電極
3 透明基板
4 金属カーボンナノチューブ
5 集電部材
6 発電層
7 n型カーボンナノチューブ
7a カーボンナノチューブ
7b n型ドーパント
8 p型カーボンナノチューブ
8a カーボンナノチューブ
8b p型ドーパント
9 混合層
10 p型カーボンナノチューブ
11 太陽電池
12 金属電極
13 透明基板
14 金属カーボンナノチューブ
15 集電部材
16 発電層
17 n型カーボンナノチューブ
17a カーボンナノチューブ
17b n型ドーパント
18 p型カーボンナノチューブ
18a カーボンナノチューブ
18b p型ドーパント
19 混合層
20 p型カーボンナノチューブ
21 太陽電池
22 金属電極
23 透明基板
24 金属カーボンナノチューブ
25 集電部材
26 発電層
27 n型カーボンナノチューブ
27a カーボンナノチューブ
27b n型ドーパント
28 p型カーボンナノチューブ
28a カーボンナノチューブ
28b p型ドーパント
29 i型カーボンナノチューブ
30 混合層
31 p型カーボンナノチューブ

Claims (2)

  1. 金属電極と光を透過し得る電極との間にカーボンナノチューブを有する発電層が配置された太陽電池であって、
    上記発電層を、p型カーボンナノチューブとn型カーボンナノチューブとを混合させてなる混合層および当該混合層と金属電極との間に層状に配置されるp型またはn型のカーボンナノチューブにより形成したことを特徴とする3次元ホモ接合型CNT太陽電池。
  2. 金属電極と光を透過し得る電極との間にカーボンナノチューブを有する発電層が配置された太陽電池であって、
    上記発電層を、p型カーボンナノチューブ、n型カーボンナノチューブおよび真性半導体であるi型カーボンナノチューブを混合させて形成したことを特徴とする3次元ホモ接合型CNT太陽電池。
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