JP2013210162A - 空気清浄機 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置が小型で低騒音でありながら、かつ換気速度が大きく、実際の生活空間に於いても有効に大気中のアレルゲン物質の除去が可能である空気清浄機を提供すること。
【解決手段】羽根の回転数が1000rpm以上の軸流ファンと、該ファンの下流側(排気側)および/または該ファンの上流側(吸気側)に、通気量が100ml/cm/秒以上である不織布を設置し、風量が4m/分以上である空気清浄機。
【選択図】なし

Description

本発明は室内における大気中のアレルゲン物質の除去を主たる目的とする新規な空気清浄機に関する。特に、装置が小型で低騒音でありながら、換気速度が大きく、実際の生活空間に於いても有効に大気中のアレルゲン物質の除去が可能である空気清浄機に関する。
室内空間の大気中に含まれる汚染物質として、たばこの煙、外気から侵入する車等の排気ガス、NO、SO等の様々な大気汚染化学物質や、カビ菌、花粉、ダニの糞や死骸等の生物由来のアレルゲン物質等が挙げられ、これらは人の健康に有害であるため、室内空間から速やかに除去されることが望ましい。このため、従来から高性能のフィルターを搭載した空気清浄機が利用され、特にフィルターとしては、例えば特許文献1に記載されるような、単に除塵機能だけでなく、化学的、物理的な吸着を利用した脱臭フィルターとしての活性炭フィルターや酸化チタンの光触媒機能を利用したフィルター、或いは様々な抗菌剤を含んだ抗菌フィルターなど様々なフィルターが、プレフィルター、メインフィルター、脱臭フィルター、抗菌フィルター等として互いに組み合わせて利用されてきた。
特に除塵性能の高いフィルターとしては、HEPAフィルターや、或いはULPAフィルターとして呼称される、粒子径が高々0.3μm以下である浮游粒子の除去効率が極めて高いフィルターが用いられ、これにより、空気中に浮游するウィルスやたばこの煙等の除去が効果的に行われている。
上記のようなHEPAフィルターやULPAフィルターは極めて微細な繊維が密に充填された構造を有することから、圧力損失が大きく、こうしたフィルターを通して、清浄な空気を室内に送り込むためには、静圧の高いファンが必要となり、大風量でかつ静圧の高いファンとしてシロッコファンが用いられる場合が多い。シロッコファンを搭載する空気清浄機は後述する高性能フィルターと組み合わせて用いることで、空気中の様々な汚染物質を効率よく捕捉除去出来る空気清浄機が実現出来るが、装置の小型化が困難であり、また換気速度を高めようとした場合、騒音が大きくなる問題等があった。
空気清浄機の換気速度は、実際の室内空間の空気を清浄する能力に於いて極めて重要な因子である。即ち、室内空間の大きさに対応して、相応の換気速度、即ち空気清浄速度が必要となる。加えて、室内空間は密閉構造とは限らず、例えば、現在の建築基準法において、室内の換気速度として少なくとも時間当たり0.5回の換気が必要とされている。従って、絶えず外気が入り込み、かつ人の出入りが頻繁であるような場合に於いて、有効に実際の生活空間の空気清浄を行うためには、相応の換気能力を備えた空気清浄機を使用する必要があり、或いは複数台の空気清浄機を使用する必要がある。現在様々な空気清浄機が市販され、多くの家庭に於いて使用されているが、空気清浄機が使用される実際の生活空間の大きさと、空気清浄機の性能が必ずしも釣り合っておらず、特にアトピー、喘息や花粉症などアレルギー性疾患で悩んでいる家庭に於いて有効に大気中に浮游するアレルゲン物質を除去したい要望があっても、十分なアレルゲン物質除去性能を有していない空気清浄機が多いことから、実際の生活空間に於いても有効に大気中のアレルゲン物質の除去が可能である空気清浄機の実現が切望されているのが現状である。
非特許文献1には、室内空間において浮游する花粉やダニアレルゲンの大きさを測定し、それぞれ30μmおよび5μm以上であることから市販される空気清浄機で除去することは合理的であるとしているものの、実際に市販される様々な種類の空気清浄機を用いて空気清浄効果を測定したところ、必ずしも満足出来る性能が発揮されないことを報告している。また、非特許文献2においても、大気中に浮游するアレルゲン物質による室内空気の汚染とその除去対策の重要性について触れているが、現状では必ずしも十分な効果を発揮出来る対策が無いのが実情である。実際に効果を発揮するためには、空気清浄機のフィルターを通過して清浄する換気速度を増大させる必要があり、このことはファンの風速を増大することを意味するが、上記のような従来の様々な空気清浄用フィルターでは圧力損失が大きく、ファンに過大の負荷がかかると共に騒音が著しく増加することから、自ずと換気速度には上限があった。
更には、フィルターに様々な物質が捉えられ、目詰まりを生じてフィルターの性能を低下する問題や、更にはフィルターに捉えられた様々な汚染物質が再飛散して、室内の空気を汚染する問題があった。特に、先に述べた様々な大気中に浮游するアレルゲン物質がフィルターに蓄積し、フィルター自体の掃除を頻繁に行わない場合には、フィルターおよび空気清浄機そのものが汚染源になる場合もあった。
フィルターに捕捉された汚染物質の再飛散を防止するため、例えば特許文献2では、ファンの下流側にフィルターを設置する方法が開示されている。この場合には、ファンから送風される風量に対して、フィルターに捕捉された汚染物質が再飛散しないよう防止するために、フィルターとしては捕捉効率の高いHEPAフィルターや、或いはULPAフィルターが用いられるが、ファンとして軸流ファンを利用する場合にはフィルターの圧力損失が高くなり、換気速度が顕著に低下する問題があった。
空気清浄機の搭載されるファンとして、軸流ファンを利用する場合には、大きさがコンパクトでありながら相対的に風量が大きいという特徴を利用した、換気速度の高い効率的な空気清浄機が期待される。例えば、特許文献3には、軸流ファンの上流側にフィルターを設置し、ファンの下流側に向けて排気する空気清浄機が開示されている。この場合には、軸流ファンから発生する騒音を低減するために、吸音材が軸流ファンを収納する箇所に設置されており、コンパクトでかつ比較的騒音の少ない空気清浄機が提案されているが、使用するフィルターとして、帯板を複数の山形に曲折して環状に形成したフィルターを使用するため、圧力損失が大きく、十分な換気速度が得られるものではなかった。同様な軸流ファンを利用する空気清浄機については特許文献4、5等の例を挙げることが出来るが、同様に十分な換気速度が得られるものではなかった。
特許文献6には、扇風機の羽根ガードの中央部分にフィルターを設置する例が記載されるが、送風される大部分の風はフィルターを介することなく通過するため、空気清浄能力に極めて乏しい問題があった。
以上述べてきたように、空気清浄機として、実際の生活空間の空気清浄を行うためには、換気速度が大きく、フィルターの除塵性能が良好で、かつ騒音の発生が防止された装置が望まれている。特に小型で低騒音でありながら、室内空間において空気清浄能力が十分な装置が望まれている。特に、室内から除去すべき汚染物質として先に述べたような、カビ菌、花粉、ダニの糞や死骸等の生物由来のアレルゲン物質の除去が極めて重要である。これらはアレルギー性気道疾患の原因として、特に喘息を引き起こす重要な原因物質であり、或いはアトピー性皮膚炎の予防、治療対策として様々なアレルゲン物質を生活空間から除去することが望まれているが、例えば非特許文献3には、実際の大気中に浮游する微生物の大きさについて述べており、カビ菌糸や細菌などの大きさは概ね1μm以上であることを紹介している。従来の様々な空気清浄機は、こうした大気中のアレルゲン物質の除去に特化した機能を有するものではなく、たばこの煙等の臭気物質や或いはウィルス等の極めて微細な浮遊物質の除去をも意図するため、必然的にフィルターとしても前述したHEPAフィルターやULPAフィルターを利用する必要が出てくるため、十分な換気速度が得にくく、こうしたアレルゲン物質の実際の生活空間からの有効な除去に関しては十分な性能を発揮出来るものではなかった。
特開昭63−137725号公報 特開2008−93639号公報 特開平9−848号公報 特開平11−182918号公報 特開2000−262601号公報 特開2005−201192号公報
入江建久、「エアロゾル研究」、13(1)、5−12(1998) 池田耕一、「エアロゾル研究」、15(1)、5−13(2000) 渋谷勝利、「エアロゾル研究」、18(3)、172−176(2003)
本発明は、室内における大気中のアレルゲン物質の除去を主たる目的とする空気清浄機に関し、特に、装置が小型で低騒音でありながら、かつ換気速度が大きく、実際の生活空間に於いても有効に大気中のアレルゲン物質の除去が可能である空気清浄機を提供することを課題とする。
本発明の課題は、以下の発明により解決される。
1.羽根の回転数が1000rpm以上の軸流ファンと、該ファンの下流側(排気側)および/または該ファンの上流側(吸気側)に、通気量が100ml/cm/秒以上である不織布を設置し、風量が4m/分以上である空気清浄機。
2.上記不織布が、粘着剤を塗布した不織布である上記1に記載の空気清浄機。
3.上記不織布が、コロナ帯電処理を施した不織布である上記1に記載の空気清浄機。
本発明により、装置が小型で低騒音でありながら、換気速度が大きく、実際の生活空間に於いても有効にアレルゲン物質の除去が可能である空気清浄機を提供することが出来る。
軸流ファンの下流側(排気側)に不織布からなるフィルターを設置した空気清浄機の軸流ファンとフィルターの配置図。 軸流ファンの上流側(吸気側)に不織布からなるフィルターを設置した空気清浄機の軸流ファンとフィルターの配置図。 軸流ファンの下流側(排気側)と上流側(吸気側)に不織布からなるフィルターを設置した空気清浄機の軸流ファンとフィルターの配置図。 比較例1のファンの回転数が500rpmの場合のグローブボックス内部の浮游粒子の減少の様子。 実施例1のファンの回転数が1100rpmの場合のグローブボックス内部の浮游粒子の減少の様子。 実施例2のファンの回転数が2000rpmの場合のグローブボックス内部の浮游粒子の減少の様子。 実施例3のファンの回転数が2000rpmの場合のグローブボックス内部の浮游粒子の減少の様子。 実施例4のファンの回転数が3200rpmの場合のグローブボックス内部の浮游粒子の減少の様子。 実施例5のファンの回転数が1100rpmの場合の6畳間の室内の浮游粒子の減少の様子。 実施例6のファンの回転数が2000rpmの場合の6畳間の室内の浮游粒子の減少の様子。
本発明の空気清浄機は軸流ファンを搭載し、軸流ファンの羽根に対峙する形で通気量が100ml/cm/秒以上である通気性の良好な不織布を設置する構造を有する。この不織布が本発明の目的である大気中に浮游するアレルゲン物質を除去するためのフィルターとして機能することが特徴で、こうした通気性の良好な不織布と軸流ファンとの組み合わせで装置が小型で低騒音でありながら、換気速度が大きく、実際の生活空間に於いても有効に大気中のアレルゲン物質の除去が可能である空気清浄機を提供することが出来ることを見出したことが本発明の骨子である。
本発明に於いて目的とする大気中に浮游するアレルゲン物質としては、カビ菌、花粉、ダニの糞や死骸等の生物由来のアレルゲン物質を挙げることが出来る。これらは皮膚細胞や気道上皮細胞に付着することで免疫反応を引き起こし、様々なアレルギー反応を引き起こすことが知られている。アレルゲン物質の種類は極めて多種多様であるが、その大きさから区分すると、一部のカビ胞子等は0.5〜1μm程度の大きさであるが、その他の大部分のアレルゲン物質は1μm以上の大きさである。本発明では、こうした範囲の粒子径を有するアレルゲン物質の実生活空間からの有効な除去を目的に検討を行い、本発明に至ったものである。
本発明に於いて用いることの出来る軸流ファンとしては、モーターの軸の周りに回転する羽根を有する構造であれば任意の形状のものが使用可能であるが、羽根の回転速度と、これから送風される風量については好ましい範囲が存在する。軸流ファンの羽根が回転することで、羽根の回転に沿った運動により大気中のアレルゲン物質が慣性力を与えられる。図1において矢印にて示すように、軸流ファン1の回転により図中右から左へ空気が流れ、軸流ファン1の下流側(排気側)に上記の不織布2が設置され、不織布2の面が軸流ファン1の羽根が回転する面6と平行に置かれた場合、不織布2に対して斜めの方向から渦巻き状に回転しながら大気中に浮游するアレルゲン物質が衝突することになる。本発明に於いて使用する不織布2は通気量が100ml/cm/秒以上である通気性の良好な不織布を使用するため、アレルゲン物質が不織布2の面に対して垂直方向で入射した場合には、容易に不織布2の繊維間隙を通過するため、アレルゲン物質の捕捉は困難であるが、不織布2の平面に対して斜め方向からアレルゲン物質が入射した場合、不織布2の繊維で構成される断面に斜め方向に侵入することで通過すべき距離が長くなることから、アレルゲン物質の捕捉が可能となることが本発明の特徴の一つである。或いは図2に示すように、軸流ファンの上流側(吸気側)に上記の不織布2が設置されている場合についても同様に、吸気される大気中のアレルゲン物質は不織布2に対して斜めの方向から渦巻き状に回転しながら入射することから同様に不織布2に捕捉されることになる。更に、図3に示すように、軸流ファンの下流側(排気側)と上流側(吸気側)に不織布2および2′を設置した場合には、吸気側と排気側の両方に於いてアレルゲン物質の捕捉が行われるため、更に空気清浄効果が高くなり、好ましく用いることが出来る。なお、図1〜3において、吸気口3において、圧力損失を伴わない程度の、メッシュ状のフィルター等を設置して、空気清浄機内部への粗大なゴミの流入を防いだり、或いは排気口4においても同様に圧力損失を伴わない程度の、メッシュ状のフィルターやプラスチック或いは金属製のグリルガード等を設置して、装置内部への異物の侵入を防いだり、或いは、両方の場合において、ファンに人や物の接触することを防止する等の安全面での対策を講じることも極めて好ましく行うことが出来る。
上記の不織布の面と軸流ファンの羽根の回転面とは平行である場合が好ましいが、場合によっては不織布の面が軸流ファンの羽根の回転面と角度を以て(好ましくは±50度以内)対峙している場合であっても良い。不織布の面は必ずしも平面である必要はなく、凹凸を持った面や様々な周期で折り込みを付けた不織布等、プリーツ加工や、或いはコルゲート加工等が施された不織布を用いることも出来る。
図1〜3において、不織布2(および2′)と軸流ファン1の距離については好ましい範囲が存在し、両者の距離が60cm以下である場合が好ましく、30cm以下である場合が更に好ましい。或いは、両者の距離が0.5cm未満である場合には軸流ファン1と不織布2(および2′)が接触する場合がある。従って、両者の好ましい距離として0.5〜30cmの範囲である場合が好ましい。
不織布2(および2′)と軸流ファン1を収納する空気清浄機の構造について、不織布2(および2′)と軸流ファン1の間の空間は外部に対して密閉されている場合が好ましく、この部分に隙間がある場合には、不織布2(および2′)を通過する風量が減少し、更に軸流ファン1の騒音が装置外部に漏れ出すことで問題になる場合がある。更に、図1および図3の構成に於いては、不織布2(および2′)と筐体5の内面の間には空間を設けず、軸流ファン1から送風される風が不織布2(および2′)を通して排風される構造が好ましい。図2の構成の場合には、同様に不織布2と筐体5の内面の間には空間を設けず、吸気が不織布2を通して軸流ファン1に送られる構造が好ましい。
更に、図1〜3において、吸気口3および排気口4は必ずしも図に示されるような直線的な配置を取る必要はなく、それぞれ独立して筐体5の側面に開口していても良く、この場合、筐体5の側面とは、ファンの回転面6に対してこれと直角に交わる角度に面することになり、側面として上下左右の4面の全て、もしくは何れかの面に於いて開口していても良い。このような場合、ファンの回転面6に平行な筐体5の端面は閉じた構造を取っても良く、この場合、ファンの回転面6は床面と平行に配置し、室内の天井或いは周囲に向けて排風が行われるような縦置きであっても良い。
更に、不織布2(および2′)と軸流ファン1を収納する空気清浄機本体の筐体5の内部には、発生する騒音を低減するための吸音材を導入し、騒音低減を行うことも好ましく行うことが出来る。吸音材としてはウレタンゴムや天然ゴムなどから構成されるシート状の材料を、筐体内部に張り合わせる方法が好ましく行われ、軸流ファンが高速回転する場合に風切り音以外に振動音が発生する場合には、制振効果を有する制振材としてのブチルゴムなども好ましく使用することが出来る。
本発明に於いて用いることが出来る不織布としては、上記の通気性の良好である不織布を用いることから、軸流ファンによって送風される風圧に対する圧力損失の程度が極めて軽微になることが特徴の一つである。従って、本発明で与えられる空気清浄機は風量が極めて大きく出来ることが特徴の一つであるが、こうした構造の空気清浄機によって大気中のアレルゲン物質を有効に捕捉するためにはファンの羽根の回転数が極めて重要になる。本発明においては、ファンの回転数として1000rpm以上である場合において大気中のアレルゲン物質の上記の不織布による捕捉が可能になることを見出したものである。
本発明に於いて大気中のアレルゲン物質を不織布により捕捉するための機構としては、所謂慣性捕集機構による粒子の捕捉機構を利用するものである。文献として、例えば、高橋武士、「エアロゾル研究」、Vol.3、No.4(1988)、283−291頁に記載されるように、不織布繊維によって大気中のアレルゲン物質の運動が遮られる場合、アレルゲン物質の大きさが大きいほど慣性力の働きによりアレルゲン物質が繊維に衝突する確率が高くなる機構を利用するものである。従って、この場合、アレルゲン物質の運動速度が大きいほど慣性力の効果も大きくなることから、アレルゲン物質の捕捉効果は、その運動速度と、粒子としての大きさの2つの因子で決定されることになる。後述する実施例に於いて示すように、本発明に於いて、実際に軸流ファンの羽根の回転数を様々に変化させた場合のアレルゲン物質の捕捉効果を調べた結果、羽根の回転数が1000rpmを超えた場合に初めて有効な捕捉効果を見出したものである。これ以下の回転速度の場合には、大気中のアレルゲン物質は上記の不織布に捕捉されず、空気清浄能力が発揮出来ない場合がある。
次に、本発明の空気清浄機の風量についても好ましい範囲が存在し、風量が4m/分以上である場合、実際の生活空間に於いても有効にアレルゲン物質の除去が可能である空気清浄機が実現出来ることを見出したものである。実際の生活空間の大きさとしては、例えば6畳間の居室を取り上げた場合、その実質内容積は大凡20mになる。従って風量が4m/分以上である空気清浄機で室内の空気を不織布を通して濾過(換気)する場合、大凡5分で部屋全体の空気を1回換気することになり、1時間では12回の換気回数となる。生活空間の大きさがこれより大きい場合には、当然時間当たりの換気回数が減少し、12畳では時間当たり約6回、24畳では大凡3回となる。このような換気回数である場合、上記の回転速度を以て軸流ファンと上記の不織布の組み合わせで、実際の生活空間として6〜24畳程度の範囲であれば十分に大気中のアレルゲン物質の除去が可能であることを見出したものである。風量が上記の値を下回る場合、生活空間として6畳の部屋を想定した場合でも空気清浄効果即ち、大気中のアレルゲン物質の除去効果が十分でない場合がある。
上記の風量を軸流ファンを用いて実現するためには、軸流ファンに対峙して設置される上記の不織布の通気性が重要になる。本発明に於いて好ましく使用される不織布の通気量としては、100ml/cm/秒以上である不織布を用いる。通気量がこの値より小さい不織布を用いた場合、軸流ファンによる風圧に対する圧力損失が大きくなり、不織布を通過する風量が上記の4m/分を下回る場合がある。更に、ファンから送風される風が不織布に衝突する際の騒音が顕著になる場合がある。不織布の通気量として更に好ましい範囲は150〜大凡2000ml/cm/秒の範囲である。この範囲を超える通気量の不織布を使用した場合、不織布繊維の目付が小さくなるためアレルゲン物質の捕捉が十分に行われない場合がある。不織布の目付としては通常5〜150g/mの範囲である場合に上記の通気量が実現出来るため好ましく利用することが出来る。また、不織布の厚みに関しても、上記の通気量を確保するためには、通常0.04〜1mmの範囲である場合が好ましい。
上記の不織布を形成する繊維の太さについては特に制限はないが、通気量が同じであれば繊維の径が細い方がアレルゲン物質を捕捉する効果が高くなるため好ましく用いることが出来る。通常、用いられる繊維の直径としては0.1〜100μmの範囲の繊維が好ましく用いることが出来る。更に、不織布を構成する繊維の長さとして1mm以上の短繊維から繊維長さが無限大である場合に、不織布の強度が高く、風圧に対して十分な強度を示すことから好ましく用いることが出来る。
不織布を形成する繊維の材質に関しては、一般の不織布に使用される各種の繊維が使用出来、具体的には綿、麻、セルロースパルプ等の植物由来天然繊維、羊毛、絹等の動物由来天然繊維、レーヨン、ビニロン、ポバール、ナイロン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル系、アラミド等の化学繊維、或いはガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等を挙げることが出来る。本発明ではこれらの繊維を、各々単独或いはこれらを複数組み合わせて製造される不織布を用いることが出来る。
上記の不織布を形成するための製造方法としては従来から行われている種々の製造方法によるものが用いられ、具体的には空気流を利用する乾式法、水流を利用する湿式法および溶融した繊維を利用するスパンボンド法、メルトブローン法等が製造方法として用いられ、また不織布を構成する繊維を結合する方法としては、接着剤を用いるケミカルボンド法、熱融着を利用するサーマルボンド法、ニードルに刻まれる突起を利用して繊維を絡ませるニードルパンチ法、高圧水流を利用するスパンレース法など様々な方法を利用することが出来る。これらの種々の方法を単独で用いて製造された不織布や、これらを組み合わせて製造された例えばSMS不織布と称されるスパンボンド法(S)とメルトブローン法(M)により製造された不織布を組み合わせて製造されるような複合型の不織布を用いることも出来る。
本発明に於いて用いることの出来る不織布として、更に不織布を構成する繊維表面に界面活性剤による親水性を付与した繊維を利用した不織布や、撥水加工を施した不織布、或いはコロナ放電処理を行って繊維表面の改質を行う場合や、或いは難燃加工や帯電加工処理など様々な処理を施した不織布を好ましく用いることが出来る。本発明に於いて特に好ましく用いることの出来る不織布としては、不織布に種々の粘着剤を塗布した不織布と、コロナ放電処理を行い、帯電加工した不織布の2種類を挙げることが出来る。これらの処理を施した不織布を利用することで、大気中のアレルゲン物質の捕捉が促進されると共に、捕捉したアレルゲン物質を不織布に強固に固着させ、不織布からの再飛散を防止する効果が発揮出来ることから好ましく用いることが出来る。この際、粘着剤としてはアクリル系粘着剤やシリコーン系粘着剤、或いは天然ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤等の市販される種々の粘着剤を好ましく用いることが出来る。粘着剤を不織布に塗布する方法については下記に於いて示す。
上記の粘着剤を不織布に塗布を行う際の塗布方法としては、従来から知られる様々な塗布方法を用いることが出来る。例えば、塗布用ロール表面に粘着剤を含有する塗布液を送液し、これを繊維基材に転写するグラビア塗布方式、或いはキスコート方式、ブレードコート方式等も使用することが出来るが、好ましくはスプレー塗布やファウンテン塗布、スライド塗布、カーテン塗布、スロットダイ塗布方式等の塗布装置と不織布が機械的に直接接触せず、塗布液のみが不織布上に送液される方法が好ましい。更には、不織布を該塗布液中に含浸する含浸加工(ディップ塗布方式)も好ましく行うことが出来るが、この場合には含浸した不織布から過剰の塗布液を除去するため、含浸工程に続いてロール間で液を絞り取る方式やドクターブレードで余分な液を掻き落とす方式、エアブレードを同様な目的で使用する方法等が好ましく使用される。
本発明の目的は上記の構成要素を用いて達成されるが、更にその他の機能を付与する目的で様々な素材を上記の塗布液に添加して塗布を行い、複合的な機能を付与した不織布を用いることも可能である。例えば、抗菌作用を付与する目的で、抗菌剤として、例えば、各種フラボノイド等の有機抗菌剤や、或いは、無機抗菌剤として、各種銀イオン系化合物やこれらと組み合わせて用いることの出来る光触媒酸化チタンを併せて用いることで、本発明で用いる不織布に、更に抗菌性を付与することも可能である。或いは、防かび性を付与する目的で、防かび剤として、種々の4級アンモニウム塩化合物が好ましく使用出来、例えば塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウムや、ジェミニ型の4級アンモニウム塩として、例えば、3,3′−(2,7−ジジオキサオクタン)ビス(1−アルキルアンモニウムブロマイド)等が好ましく用いることが出来る。
以下に実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の百分率は断りのない限り質量基準である。
(実施例1〜6および比較例1、2)
軸流ファンとして、オリエンタルモーター株式会社から販売される可変速ファンMRS18V2を使用した。ファンの寸法は、ファンの前面および後面は18cm×18cmの正方形で、側面の幅は9cmの小型のファンを使用した。ファンの回転数は可変抵抗器により0〜3200rpmの間で任意に調整が可能であることから、種々の回転数に設定して以下の試験を行った。ファンから発生する騒音レベルは最大回転数において60デシベルであったが、ファンの周囲を下記に示すように吸音材で囲うことで35デシベル以下の騒音レベルに低下することが出来た。ファンから送風される風速は、アネモマスター風速計モデル6011(日本科学工業株式会社製)を用いて、不織布フィルターを通して送風される風速の測定を行った。風量は、風速にファン前面の送風面積を掛け合わせて求めた。回転数が3200rpmの場合、不織布を設置しない場合のファンの風量は12m/分であった。不織布を設置すると、その圧力損失に応じて風量は減少した。
幅20cm×長さ50cm×厚み0.3cmのアクリル板4枚を使用して筐体を作製し、上記の軸流ファンを筐体内部の中央部に固定した。この際、4枚のアクリル板内面にウレタンとブチルゴムを積層した厚み11mmの吸音シートを張り合わせて筐体内面に吸音材を取り付けた。ファンの前面に、図1に示した配置で、ファンの羽根が回転する面の羽根の先端から距離1cmをおいて不織布を取り付けた。不織布としてポリエステル繊維からなる不織布(スパンボンド不織布、三井化学(株)製、シンテックスMY、銘柄R−055、目付18g/m、厚み0.10mm、通気量780ml/cm/秒)を用い、不織布は筐体内面との間に空間が生じないようにプラスチックの枠を取り付け、枠に不織布を固定して、ファンから送風される風は全て不織布を通るように設置した。プラスチック枠は風を遮る構造でなく、単に不織布を固定する枠として使用した。
実験を行う場所として、本発明者の居住する6畳間の室内を選んだ。即ち、本発明の実施例として、実生活空間の大きさを6畳間の室内として評価を行った。この広さの室内空間に浮游する様々な微粒子の内、アレルゲン物質に相当する大きさの微粒子として特に1μm以上の大きさの微粒子の大気中濃度(個数/リットル)を測定し、この濃度が空気清浄機を稼働した際に、初期濃度に対してこれが1/10に減少するまでの時間を測定し、この時間が3時間以内である場合に空気清浄効果があると判定し、これ以上の時間を要する場合には、空気清浄効果がないと判定した。実験は3月中旬の快晴日を選び、杉花粉の飛散時期に合わせ、室内の窓を開放して十分外気を取り込んだ室内に、グローブボックス(内容積=50cm×50cm×90cm=0.225m)を設置し、室内を密閉して以下の実験を行った。グローブボックスの内容積は6畳の室内の約1/100であった。グローブボックスを開放して室内の空気を取り入れ、次に、上記の空気清浄機をグローブボックス内に設置し、密閉した。グローブボックス内に浮游する微粒子の数を計測するため、パーティクルセンサ(オムロン株式会社製、エアパーティクルセンサ、ZN−PD03S、微粒子計測タイプ)を使用して測定を行った。
グローブボックス内のファンのスィッチをONにしてファンを回転させると同時にパーティクルセンサによる浮游粒子数の計測を開始した。パーティクルセンサは計測する粒子を大きさに従って3水準に分けて計測を行う仕組みになっており、それらは0.3μm、0.5μmおよび1μm以上の3水準の粒子径に分類して計測を行った。ファンの回転が始まると同時に各々の粒子の数は次第に減少したが、減少速度はファンの回転数と粒子の大きさに大きく依存し、ファンの回転数の増加と共に全ての粒子径の浮游微粒子の数の減少が観察された。また、粒子径が大きい粒子ほど迅速に減少した。これらを数値的に評価するため、元の粒子の数が1/10に減少する時間を以て除去能力の目安とした。先ず、比較例1として、ファンの回転数を500rpmに設定して実験を行った。この場合の風量は3m/分であった。図4は、比較例1のファンの回転数が500rpmの場合のグローブボックス内部の浮游粒子の減少の様子を表す。グローブボックス内において1μm以上の浮游粒子は約10分で元の1/10まで減少したが、これより大きさの小さい粒子は1時間以上測定を行ったが、元の1/10まで減少することはなかった。グローブボックスの内容積は実際の生活空間である6畳間の広さの約1/100であるため、実際の生活空間ではこれの約100倍の時間を要することになり、本比較例1の場合、1μm以上の浮游粒子が元の1/10まで減少するために要する時間は大凡17時間を要することになり、空気清浄効果は無いと判定した。
次に、実施例1として、ファンの回転数を1100rpmに設定した以外は同様にして測定を行った。図5は実施例1のファンの回転数が1100rpmの場合のグローブボックス内部の浮游粒子の減少の様子を表す。この場合の風量は4.5m/分であった。グローブボックス内において1μm以上の浮游粒子は約50秒で元の1/10まで減少した。0.5μm粒子の数は4分で元の数の1/10に減少したが、0.3μm粒子は約1時間を要して1/10に減少した。グローブボックスの内容積は実際の生活空間である6畳間の広さの約1/100であるため、実際の生活空間ではこれの約100倍の時間を要することになり、本実施例1の場合、1μm以上の浮游粒子が元の1/10まで減少するために要する時間は大凡1.4時間となることから、アレルゲン物質の大きさに相当する1μm以上の浮游粒子に対する空気清浄効果はあると判定した。
更に、実施例2として、ファンの回転数を2000rpmに設定した以外は同様にして測定を行った。図6は実施例2のファンの回転数が2000rpmの場合のグローブボックス内部の浮游粒子の減少の様子を表す。この場合の風量は6.1m/分であった。グローブボックス内において1μm以上の浮游粒子は約30秒で元の1/10まで減少した。0.5μm粒子の数は約45秒で元の数の1/10に減少したが、0.3μm粒子は約3分を要して1/10に減少した。グローブボックスの内容積は実際の生活空間である6畳間の広さの約1/100であるため、実際の生活空間ではこれの約100倍の時間を要することになり、本実施例1の場合、1μm以上の浮游粒子が元の1/10まで減少するために要する時間は大凡1時間となることから、アレルゲン物質の大きさに相当する1μm以上の浮游粒子に対する空気清浄効果はあると判定した。
また、実施例3として、空気清浄機に取り付けた不織布の配置を排気側から図2に示したように吸気側に置き換えた以外は同様にして測定を行った。ファンの回転数を2000rpmに設定して同様に測定を行った。図7は実施例3のファンの回転数が2000rpmの場合のグローブボックス内部の浮游粒子の減少の様子を表す。この場合の風量は5.5m/分であった。グローブボックス内において1μm以上の浮游粒子は約50秒で元の1/10まで減少した。0.5μm粒子の数は約1分で元の数の1/10に減少したが、0.3μm粒子は約15分を要して1/10に減少した。グローブボックスの内容積は実際の生活空間である6畳間の広さの約1/100であるため、実際の生活空間ではこれの約100倍の時間を要することになり、本実施例1の場合、1μm以上の浮游粒子が元の1/10まで減少するために要する時間は大凡1.5時間となることから、アレルゲン物質の大きさに相当する1μm以上の浮游粒子に対する空気清浄効果はあると判定した。
次に、実施例4として、空気清浄機に取り付ける不織布の配置を図3に示したように排気側と吸気側の両方に設置して同様にして測定を行った。ファンの回転数を3200rpmに設定して同様に測定を行った。図8は実施例4のファンの回転数が3200rpmの場合のグローブボックス内部の浮游粒子の減少の様子を表す。この場合の風量は7m/分であった。グローブボックス内において1μm以上の浮游粒子は約30秒で元の1/10まで減少した。0.5μm粒子の数は約45秒で元の数の1/10に減少し、0.3μm粒子は約2分を要して1/10に減少した。グローブボックスの内容積は実際の生活空間である6畳間の広さの約1/100であるため、実際の生活空間ではこれの約100倍の時間を要することになり、本実施例1の場合、1μm以上の浮游粒子が元の1/10まで減少するために要する時間は大凡1時間となることから、アレルゲン物質の大きさに相当する1μm以上の浮游粒子に対する空気清浄効果はあると判定した。
実施例5として、グローブボックス内から空気清浄機を取り出し、6畳間の室内中央において高さが50cmの机の上に設置した。部屋は密閉した状態で測定を行った。実施例1の場合と同様にファンの排気側のみに不織布を設置し、ファンの回転数を1100rpmに設定して実際の生活空間における浮游粒子の除去効果について同様に測定を行った。図9は実施例5のファンの回転数が1100rpmの場合の6畳間の室内の浮游粒子の減少の様子を表す。この場合の風量は4.5m/分であった。室内において1μm以上の浮游粒子は約1時間で元の1/10まで減少した。0.5μm粒子の数も約2時間で元の数の1/10に減少したが、0.3μm粒子は約3時間を要しても1/10に減少することはなかった。先の実施例1では室内空間の1/100の大きさのグローブボックスを使用して同様な測定を行い、その結果から類推して1μm以上の浮游粒子が元の1/10まで減少するために要する時間は大凡1.4時間としていたが、本実施例5でその推測を裏付ける結果が得られ、アレルゲン物質の大きさに相当する1μm以上の浮游粒子に対する空気清浄効果はあると判定した。
上記の実施例5で使用した不織布を取り出し、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡を使用して、不織布に捕捉された浮游粒子の観察を行ったところ、不織布の全面に亘って粒子径が40μm程度の球形の杉花粉と認められる粒子が観察された。また、これと共に、光学顕微鏡観察において、繊維くずと共に大きさが50μm前後の白色の粉状の物質が捕捉されており、走査型電子顕微鏡で拡大観察した結果、チリダニの糞と推定された。これらの数と大きさから、実施例5で捕捉された粒子径1μm以上の浮游粒子にこうしたアレルゲン物質が含まれることが明らかになると共に、実際の室内空間からこれら粒子径1μm以上の浮游粒子が有効に除去されていることから、アレルゲン物質の大きさに相当する1μm以上の浮游粒子に対する空気清浄効果はあると判定した。
更に実施例6として、実施例5の空気清浄機のファンの回転数を2000rpmに設定し、風量を求めたところ6.1m/分であった。この実施例では、アレルゲン物質の濃度を増やした場合の除去効果を見るために、アレルゲン物質のモデル物質として、平均粒子径1.8μmの合成シリカ微粒子(富士シリシア株式会社製、サイリシア350)を室内に微量散布して同様に測定を行った。図10は、実施例6のファンの回転数が2000rpmの場合の6畳間の室内の浮游粒子の減少の様子を表す。この場合、散布した合成シリカ微粒子により室内の浮游粒子の分布が大きく変化し、1μm以上の粒子数はファンの可動と共に最大15000個/リットルまで増加したが、約40分で元の1/10まで減少した。また、0.5μm粒子も同様に最大7500個/リットルまで増加したが、約40分で元の1/10まで減少した。一方、0.3μm粒子の数は最大で12000個/リットルまで増加し、約3時間を要して元の1/10まで減少した。以上の結果より、本実施例に於いてもアレルゲン物質の大きさに相当する1μm以上の浮游粒子に対する空気清浄効果はあると判定した。
また、比較例2として、ファンの回転数を600rpmに設定した以外は上記実施例6と同様にして測定を行った。この場合の風量は3.5m/分であった。この場合においては、室内に浮游する何れの大きさの粒子の数も3時間を経過しても殆ど変化せず、1μm以上の粒子数は減少しなかった。
(実施例7)
実施例1〜6で使用した不織布に代えて、ポリエステル繊維からなる不織布(スパンボンド不織布、三井化学(株)製、シンテックスMY、銘柄R−033、目付100g/m、厚み0.42mm、通気量140ml/cm/秒)を用い、ファンの回転数を3000rpmに設定した以外は実施例6と同様にして測定を行った。この場合の風量は4.9m/分であった。実施例6と同様にして、アレルゲン物質のモデル物質として、平均粒子径1.8μmの合成シリカ微粒子を室内に散布して同様に測定を行った結果、実施例6と同等の結果を得たことから本実施例に於いてもアレルゲン物質の大きさに相当する1μm以上の浮游粒子に対する空気清浄効果はあると判定した。
(実施例8)
実施例1〜6で使用した不織布と同様の不織布に対して、粘着剤としてアクリル系粘着剤溶液(2−エチルヘキシルアクリレート−エチルアクリレート共重合体溶液を使用)を不織布に含浸加工した不織布を作製した。ファンの回転数を2500rpmに設定して実施例6と同様にして測定を行った。この場合の風量は5.8m/分であった。実施例6と比較して、1μm以上の粒子数は約30分で元の1/10まで減少した。また、0.5μm粒子も約35分で元の1/10まで減少した。一方、0.3μm粒子の数は約1時間30分を要して元の1/10まで減少したことから本実施例に於いてもアレルゲン物質の大きさに相当する1μm以上の浮游粒子に対する空気清浄効果はあると判定した。測定後の不織布を取り出して、光学顕微鏡で表面を観察したところ、不織布繊維表面に合成シリカ微粒子と共に様々なゴミが付着し、指で擦っても取れない程度に強固に接着している様子が確認出来た。
(実施例9)
実施例1〜6で使用した不織布と同様の不織布に対してコロナ帯電処理を行い、表面電位計で測定したところ、表面電位が約1000Vに帯電している不織布が作製出来ていた。ファンの回転数を2000rpmに設定して実施例6と同様にして測定を行った。この場合の風量は6.0m/分であった。実施例6と同様にして、アレルゲン物質のモデル物質として、平均粒子径1.8μmの合成シリカ微粒子を室内に散布して同様に測定を行った結果、実施例6と比較して、1μm以上の粒子数は約30分で元の1/10まで減少した。また、0.5μm粒子も約30分で元の1/10まで減少した。一方、0.3μm粒子の数は約1時間を要して元の1/10まで減少したことから本実施例に於いてもアレルゲン物質の大きさに相当する1μm以上の浮游粒子に対する空気清浄効果はあると判定した。
(比較例3)
実施例1で使用した不織布に代えて、ポリエステル繊維からなる不織布(スパンボンド不織布、ユニチカ(株)製、マリックス、銘柄82007BSO、目付200g/m、厚み0.58mm、通気量80ml/cm/秒以下)を用い、ファンの回転数を3000rpmに設定した以外は実施例1と同様にしてグローブボックス内で測定を行った。この場合には、ファンからの風は不織布を通過せず、背面に排風された。グローブボックス内の浮游粒子数も減少せず、空気清浄効果は認められなかった。
以上の実施例から、本発明の空気清浄機が、実生活空間において大気中に浮游する様々なアレルゲン物質として、特に粒子径が1μmを超える浮游粒子の捕捉性能に優れ、これを実生活空間から有効に除去出来る性能を有することが明らかとなった。
本発明により得られる空気清浄機とそれに用いるフィルターは小型で安価であり、特にフィルターは通気性の良好である不織布を利用出来ることから極めて安価なフィルターとして利用可能である。これにより、様々なアレルゲン物質の除去以外に、換気量が大きい特性を生かし、様々な作業現場や工事現場における粉塵の除去に有効に利用出来、特に人体に有害であるアスベストの除去やその他の有害物質が浮遊する場所において有効に利用することが可能である。
1 軸流ファン
2 不織布フィルター
2′ 不織布フィルター
3 吸気口
4 排気口
5 筐体
6 ファンの回転面

Claims (3)

  1. 羽根の回転数が1000rpm以上の軸流ファンと、該ファンの下流側(排気側)および/または該ファンの上流側(吸気側)に、通気量が100ml/cm/秒以上である不織布を設置し、風量が4m/分以上である空気清浄機。
  2. 前記不織布が、粘着剤を塗布した不織布である請求項1に記載の空気清浄機。
  3. 前記不織布が、コロナ帯電処理を施した不織布である請求項1に記載の空気清浄機。
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