JP2013209633A - ポリオレフィン樹脂用改質剤 - Google Patents

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Masayoshi Fujita
政義 藤田
Miyuki Hayashi
美有紀 林
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Abstract

【課題】 ポリオレフィン樹脂に極性を付与する改質効果に優れ、機械的強度および耐熱性にも優れる成形品を与えるポリオレフィン樹脂用改質剤を提供する。
【解決手段】 酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基およびチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する変性ポリオレフィン(A)、および(A)と反応性の官能基を有するシランカップリング剤(B)から形成されるシラン変性ポリオレフィン(X)を含有してなるポリオレフィン樹脂用改質剤(K)。
【選択図】なし

Description

本発明はポリオレフィン樹脂用改質剤に関する。より詳細には、ポリオレフィン樹脂に極性を付与する改質特性に優れたポリオレフィン樹脂用改質剤に関する。
従来、ポリオレフィン樹脂は無極性であることから、成形品等の表面へのウレタン等の極性が高い塗膜は密着しない問題があった。また、無機粉末や木粉等の極性を有する充填剤はポリオレフィン樹脂への分散性が悪いことから機械物性等が著しく低下する問題があった。
そこでそれらを改善するため、従来は無水マレイン酸で変性して極性を高めたポリオレフィンからなる改質剤を添加すること等(例えば、特許文献1参照)の対策が一般的であった。また、無水マレイン酸変性した該改質剤の他にもポリオレフィンに水酸基やアミノ基を導入した改質剤が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
特表2007−517104号公報 特開平9−165478号公報 特開2004−155942号公報
しかしながら、上記特許文献1の改質剤は無機粉末や木粉等の極性を有する充填剤との親和性がまだ不十分であることから、ポリオレフィン樹脂中でのこれらの分散性が悪く、ポリオレフィン樹脂本来の機械的強度が満足できるものではないという問題がある。また、上記特許文献2や3の改質剤では該充填剤との親和性は改善されてはいるものの、得られる成形品の耐熱性を含む機械的強度がまだ不十分という問題がある。
本発明の目的は、ポリオレフィン樹脂に極性を付与する改質効果に優れ、機械的強度および耐熱性にも優れる成形品を与えるポリオレフィン樹脂用改質剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基およびチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する変性ポリオレフィン(A)、および(A)と反応性の官能基を有するシランカップリング剤(B)から形成されるシラン変性ポリオレフィン(X)を含有してなるポリオレフィン樹脂用改質剤(K)である。
本発明のポリオレフィン樹脂用改質剤(K)は下記の効果を奏する。
(1)ポリオレフィン樹脂に極性を付与する改質特性に優れる。
(2)該改質剤およびポリオレフィン樹脂を含有するポリオレフィン樹脂組成物を成形してなる成形品は極性を有する塗膜等の他の樹脂との密着性に優れる。
(3)該改質剤、ポリオレフィン樹脂および充填剤(無機粉末、木粉等)を含有してなるポリオレフィン樹脂組成物を成形してなる成形品は機械的強度および耐熱性に優れる。
[変性ポリオレフィン(A)]
本発明における変性ポリオレフィン(A)は、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基およびチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するポリオレフィンであり、後述のポリオレフィン(a0)を変性して該官能基を持たせることにより得られる。
該ポリオレフィン(a0)には、オレフィンの1種または2種以上の(共)重合体、並びにオレフィンの1種または2種以上と他の単量体の1種または2種以上との共重合体が含まれる。
上記オレフィンには、炭素数(以下、Cと略記)2〜30のアルケン、例えばエチレン、プロピレン、1−および2−ブテン、およびイソブテン、並びにC5〜30のα−オレフィン(1−ヘキセン、1−デセン、1−ドデセン等);他の単量体には、オレフィンとの共重合性を有するC4〜30の不飽和単量体、例えばスチレン、酢酸ビニルが含まれる。
(a0)の具体例には、エチレン単位含有(プロピレン単位非含有)(共)重合体、例えば高、中および低密度ポリエチレン、およびエチレンとC4〜30の不飽和単量体[ブテン(1−ブテン等)、C5〜30のα−オレフィン(1−ヘキセン、1−ドデセン等)、酢酸ビニル等]との共重合体(重量比はポリオレフィン樹脂組成物の成形性および成形品の耐熱性の観点から好ましくは30/70〜99/1、さらに好ましくは50/50〜95/5)等;プロピレン単位含有(エチレン単位非含有)(共)重合体、例えばポリプロピレン、プロピレンとC4〜30の不飽和単量体(前記に同じ)との共重合体(重量比は前記に同じ);エチレン/プロピレン共重合体(重量比はポリオレフィン樹脂組成物の成形性および成形品の耐熱性の観点から、好ましくは0.5/99.5〜30/70、さらに好ましくは2/98〜20/80);C4以上のオレフィンの(共)重合体、例えばポリブテンが含まれる。
これらのうち、後述のポリオレフィン樹脂(D)との相溶性の観点から好ましいのはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合、プロピレン/C4〜30の不飽和単量体共重合体、さらに好ましいのはエチレン/プロピレン共重合体、プロピレン/C4〜30の不飽和単量体共重合体である。
上記ポリオレフィン(a0)の重量平均分子量[以下Mwと略記。測定は後述の条件で測定されるゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。]は後述のポリオレフィン樹脂用改質剤(K)の改質特性の観点から好ましくは1,000〜500,000、さらに好ましくは2,000〜450,000、とくに好ましくは4,000〜400,000であり、数平均分子量(以下Mnと略記。測定はMwと同様にGPC法による。)は、同様の観点から好ましくは500〜250,000、さらに好ましくは1,
000〜225,000、とくに好ましくは2,000〜200,000である。
本発明におけるGPCの測定条件は下記のとおりである。
<GPC測定条件>
[1]装置 :Waters150−CV[Waters(株)製]
[2]カラム :PLgel 10.MIXED−B
[ポリマーラボラトリーズ(株)製]
[3]溶離液 :o−ジクロロベンゼン
[4]基準物質:ポリスチレン
[5]注入条件:サンプル濃度3mg/ml、カラム温度135℃
(a0)は、後述の官能基を持たせる変性の容易さの観点から分子末端および/または
分子鎖中に二重結合を有することが好ましい。
(a0)の炭素1,000個当たりの該分子末端および/または分子鎖中の二重結合数[炭素1,000個当たりの二重結合数。以下同じ]は、(a0)の変性の容易さ、および改質剤(K)の生産性の観点から好ましくは0.01〜40個、さらに好ましくは0.02〜35個、とくに好ましくは0.03〜30個である。
ここにおいて該二重結合数は、(a0)の1H−NMR(核磁気共鳴)分光法のスペクトルから求めることができる。すなわち、該スペクトル中のピークを帰属し、(a0)の4.5〜6ppmにおける二重結合由来の積分値および(a0)由来の積分値から、(a0)の二重結合数と(a0)の炭素数の相対値を求め、(a0)の炭素1,000個当たりの該分子末端および/または分子鎖中の二重結合数を算出するものである。後述の実施例における二重結合数は該方法に従った。
(a0)の製造方法には、重合法(例えば特開昭59−206409号公報、特開昭55−13502公報に記載のもの)および減成法[熱的、化学的および機械的減成法等、これらのうち熱的減成法(以下において熱減成法ということがある)としては、例えば特公昭43−9368号公報、特公昭44−29742号公報、特公平6−70094号公報に記載のもの]が含まれる。
重合法には前記オレフィンの1種または2種以上を(共)重合させる方法、およびオレフィンの1種または2種以上と他の単量体の1種または2種以上を共重合させる方法が含まれる。
減成法には、前記重合法で得られる高分子量(Mw100,000〜600,000)のポリオレフィンを熱的、化学的または機械的に減成する方法が含まれる。
減成法のうち、熱減成法には、前記ポリオレフィンを窒素通気下で、(1)有機過酸化物(例えば、ジクミルパーオキシド。以下同じ。)不存在下、通常300〜450℃で0.5〜10時間、連続的または非連続的に熱減成する方法、および(2)有機過酸化物存在下、通常180〜300℃で0.5〜10時間、連続的または非連続的に熱減成する方法等が含まれる。
これらのうち、分子末端および/または分子鎖中の二重結合数のより多いものが得やすく、(a0)の変性がし易い観点から好ましいのは、(1)の方法である。
これらの(a0)の製造方法のうち、分子末端および/または分子鎖中の二重結合数のより多いものが得やすく、後工程で(a0)の変性がし易いという観点から好ましいのは減成法、さらに好ましいのは熱減成法である。
変性ポリオレフィン(A)は、例えば上記ポリオレフィン(a0)と、酸無水物基、エポキシ基、イソシアナート基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基およびチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する重合性不飽和モノマー(c)を、ラジカル開始剤(s)の存在下または非存在下で反応させることにより製造できる。
前記重合性不飽和モノマー(c)には以下の(c1)〜(c6)が含まれる。
酸無水物基を有する重合性不飽和モノマー(c1)としては、重合性不飽和基を1個有する不飽和ポリ(n=2〜3、好ましくは2)カルボン酸無水物が挙げられる。
該(c1)としては、C4〜30、例えば脂肪族のもの(C4〜24、例えば無水マレイン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、メサコン酸無水物、およびアコニット酸無水物)、並びに脂環式のもの(C8〜24、例えばシクロへキセンジカルボン酸無水物、シクロヘプテンジカルボン酸無水物)が挙げられる。
これらの(c1)のうち、後述のポリオレフィン樹脂用改質剤(K)の改質特性の観点から好ましいのは脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物、さらに好ましいのは無水マレイン酸である。
エポキシ基を有する重合性不飽和モノマー(c2)としては、C6〜100、例えばグ
リシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド、ポリ(グリシジルエーテル)のモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記ポリ(グリシジルエーテル)のモノ(メタ)アクリレートにおけるポリ(グリシジルエーテル)としては、C1〜12のアルキル基、アルケニル基もしくは芳香環を有する、アルキルグリシジルエーテル、アルケニルグリシジルエーテルもしくは芳香環含有グリシジルエーテルの各グリシジル基を開環重合して得られる重合体が挙げられる。
該アルキルグリシジルエーテルとしては、エチルグリシジルエーテル、n−プロピルグリシジルエーテル、n−およびi−ブチルグリシジルエーテル、n−ヘキシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等;アルケニルグリシジルエーテルとしては、(メタ)アリルグリシジルエーテル、プロペニルグリシジルエーテル等;芳香環含有グリシジルエーテルとしては、フェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
ポリ(グリシジルエーテル)のグリシジルエーテル単位の数は、改質剤(K)の改質特性の観点から好ましくは2〜20、さらに好ましくは2〜10であり、ポリ(グリシジルエーテル)のモノ(メタ)アクリレートの分子量は、同様の観点から好ましくは202〜Mw2,000、さらに好ましくは202〜Mw1,000である。
これらの(c2)のうち、(K)の改質特性の観点から好ましいのはグリシジル(メタ)アクリレートである。
イソシアネート基を有する重合性不飽和モノマー(c3)としては、C3〜10、例えば2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルメチルベンジルイソシアネートおよびビニルイソシアネートが挙げられる。
これらの(c3)のうち、改質剤(K)の改質特性の観点から好ましいのは2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレートおよびビニルイソシアネート、さらに好ましいのは2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレートである。
カルボキシル基を有する重合性不飽和モノマー(c4)としては、C3〜20の、不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、桂皮酸等]、および不飽和カルボン酸エステル[マレイン酸モノアルキル(C1〜3)エステル、フマル酸モノアルキル(C1〜3)エステル、イタコン酸モノアルキル(C1〜3)エステル、シトラコン酸モノアルキル(C1〜3)エステル等]等が挙げられる。
これらの(c4)のうち、改質剤(K)の改質特性の観点から好ましいのは(メタ)アクリル酸、マレイン酸およびイタコン酸、さらに好ましいのは(メタ)アクリル酸である。
水酸基を有する重合性不飽和モノマー(c5)としては、以下の(c51)〜(c56)が挙げられる。
(c51)水酸基含有(メタ)アクリレート
(c511)下記の一般式(1)で示される(メタ)アクリレート

CH2=CR1−C(=O)O−(A−O)mH (1)

[式中、R1はHまたはメチル基、AはC2〜4のアルキレン基、mは1〜20(好まし
くは1〜10、さらに好ましくは1)の数を表す。]
(c511)としては、ヒドロキシアルキル(C2〜4)(メタ)アクリレート[2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、HEMAと略記)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下HEAと略記)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等]、およびヒドロキシアルコキシ(C2〜4)
アルキル(メタ)アクリレート[2−ヒドロキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等]等;
(c512)3〜8個の水酸基を有する多価アルコールの(メタ)アクリレート
多価アルコールとしては、例えばC3〜12のアルカンポリオール、その分子内もしくは分子間脱水物および糖類等[例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール(それぞれ以下GR、TMP、PE、SOと略記)、ソルビタン、ジGR、蔗糖、メチルグルコシド]が挙げられ、それらの(メタ)アクリレートとしてはGRモノ−およびジ−(メタ)アクリレート、TMPモノ−およびジ−(メタ)アクリレート、蔗糖(メタ)アクリレート等;
(c52)C2〜12のアルケノール
ビニルアルコール(酢酸ビニル単位の加水分解により形成される)、およびC3〜12のアルケノール[(メタ)アリルアルコール、(イソ)プロペニルアルコール、クロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、1−ブテン−4−オール、1−オクテノール、1−ウンデセノール、1−ドデセノール等];
(c53)C4〜12のアルケンジオール
2−ブテン−1,4−ジオール等;
(c54)C3〜12の、アルケニル基を有する水酸基含有アルケニルエーテル
例えばヒドロキシアルキル(C1〜6)アルケニルエーテル〔例えば2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、並びに前記(c512)で挙げた多価アルコールのアルケニル(C3〜12)エーテル[TMPモノ−およびジ−(メタ)アリルエーテル、蔗糖(メタ)アリルエーテル等]〕;
(c55)水酸基含有芳香族モノマー
o−、m−およびp−ヒドロキシスチレン等;
(c56)上記(c51)〜(c55)の(ポリ)オキシアルキレンエーテル
(c51)〜(c55)の水酸基のうちの少なくとも1個が−O(A−O)m−A−O
Hで置換されたモノマー[但し、Aおよびmは前記一般式(1)と同じ]。
(c5)のうち、改質剤(K)の改質特性の観点から好ましいのは(c51)、(c52)、(c54)、(c55)および(c56)、さらに好ましいのは(c511)、とくに好ましいのはHEA、HEMA、最も好ましいのはHEMAである。
アミノ基を有する重合性不飽和モノマー(c6)としては、C3〜C20のもの、例えば1級アミノ基含有ビニルモノマー〔アルケニル(C3〜6)アミン[(メタ)アリルアミン、クロチルアミン等]およびアミノアルキル(C2〜6)(メタ)アクリレート[アミノエチル(メタ)アクリレート等]等〕;2級アミノ基含有ビニルモノマー〔アルキル(C1〜6)アミノアルキル(C2〜6)(メタ)アクリレート[t−ブチルアミノエチルメタクリレート、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、2−および4−ジフェニルアミン(メタ)アクリルアミド、C6〜12のジアルケニルアミン[ジ(メタ)アリルアミン等]等〕が挙げられる。
これらの(c6)のうち、改質剤(K)の改質特性の観点から好ましいのは、アミノエチル(メタ)アクリレートである。
チオール基を有する重合性不飽和モノマー(c7)としては、C4〜10、例えばビニル−2−エチルメルカプトエチルエーテル、2−メルカプトエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記重合性不飽和モノマー(c)は1種単独でも、2種以上併用でもいずれでもよい。
これらの(c)のうち、改質剤(K)の改質特性の観点から好ましいのは、(c1)、(c2)、(c5)、(c6)および(c7)、さらに好ましいのは、脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、HEA、HEMA、アミノエチル(メタ)アクリレートおよび2−メルカプトエチル(メタ)アクリレート、とくに好ましいのは無水マレイン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、HEMAおよびアミノエチル(メタ)アクリレートである。
(A)の製造における(a0)と(c)の重量比[(a0)/(c)]は、後述のポリオレフィン樹脂(D)との相溶性および改質剤(K)の改質特性の観点から好ましくは30/70〜99/1、さらに好ましくは50/50〜97/3、とくに好ましくは70/30〜95/5である。
上記重合性不飽和モノマー(c)で変性して得られる変性ポリオレフィン(A)の具体的な製造方法には、次の[1]、[2]の方法が含まれる。
[1]ポリオレフィン(a0)および重合性不飽和モノマー(c)を加熱溶融、あるいは適当な有機溶媒[C2〜18、例えば炭化水素(例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えばジ−、トリ−およびテトラクロロエタンおよびジクロロブタン)、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンおよびジ−t−ブチルケトン)およびエーテル(例えばエチル−n−プロピルエーテル、ジ−i−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−t−ブチルエーテルおよびジオキサン)。以下同じ。]に懸濁あるいは溶解させ、これに必要によりラジカル開始剤(s)[もしくは(s)を適当な有機溶媒(上記に同じ)に溶解させた溶液。以下同じ。]、後述の連鎖移動剤(t)、重合禁止剤(u)を加えて加熱撹拌する方法(溶融法、懸濁法および溶液法);
[2](a0)、(c)および必要により(s)、(t)、(u)を予め溶融混合し、押出機、バンバリーミキサーまたはニーダ等を用いて溶融混練する方法(溶融混練法)。
これらのうち(a0)と(c)との反応性の観点から好ましいのは[1]の方法、さらに好ましいのは溶融法および溶液法である。
溶融法での反応温度は、(a0)が溶融する温度であればよく、(a0)と(c)との反応性および(A)の熱安定性の観点から好ましくは120〜260℃、さらに好ましくは130〜240℃である。
溶液法での反応温度は、(a0)が溶媒に溶解する温度であればよく、(a0)と(c)との反応性および(A)の熱安定性の観点から好ましくは50〜220℃、さらに好ましくは110〜210℃、とくに好ましくは120〜180℃である。
本発明における前記ラジカル開始剤(s)としては、例えばアゾ化合物(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等)および過酸化物〔単官能(分子内にパーオキシド基を1個有するもの)[ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド等]および多官能(分子内にパーオキシド基を2個以上有するもの)[2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジアリルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート等]〕が挙げられる。
これらのうち、(a0)と(c)との反応性の観点から好ましいのは過酸化物、さらに好ましいのは単官能過酸化物、とくに好ましいのはジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシドおよびジクミルパーオキシドである。
ラジカル開始剤(s)の使用量は、重合性不飽和モノマー(c)の重量に基づいて、(
a0)と(c)との反応性および副反応抑制の観点から好ましくは0.001〜20%、さらに好ましくは0.01〜10%、とくに好ましくは0.1〜5%である。
前記連鎖移動剤(t)としては、例えばアルコール(C1〜24、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−ブタノール、アリルアルコール);チオール(C1〜24、例えばエタンチオール、プロパンチオール、1−および2−ブタンチオール、1−オクタンチオール);アルデヒド(C2〜18、例えばn−およびsec−ブチルアルデヒド、1−ペンチルアルデヒド);フェノール(C6〜36、例えばフェノール、o−、m−およびp−クレゾール);アミン(C3〜24、例えばジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、ジフェニルアミン);ジスルフィド(C2〜24、例えばジエチルジスルフィド、ジ−1−プロピルジスルフィド)が挙げられる。
(t)の使用量は、重合性不飽和モノマー(c)の重量に基づいて通常40%以下、(a0)と(c)との反応性および(a0)と(t)との相溶性の観点から好ましくは0.05〜20%である。
前記重合禁止剤(u)としては、無機化合物[例えば酸素、硫黄および金属塩(塩化第二鉄等)]および有機化合物〔カテコール(C6〜36、例えば2−メチル−2−プロピルカテコール)、キノン(C6〜24、例えばp−ベンゾキノンおよびデュロキノン)、ヒドラジン(C2〜36、例えば1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジン)、フェルダジン(C5〜36、例えば1,3,5−トリフェニルフェルダジン)、ニトロ化合物(C3〜24、例えばニトロベンゼン)および安定ラジカル[C5〜36、例えば1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)および1,3,5−トリフェニルフェルダジル]等〕が挙げられる。
(u)の使用量は、重合性不飽和モノマー(c)の重量に基づいて通常5%以下、(a0)、(c)の安定性および(A)の生産性の観点から好ましくは0.01〜0.5%である。
変性ポリオレフィン(A)は、上記のとおりポリオレフィン(a0)と重合性不飽和モノマー(c)を、ラジカル開始剤(s)の存在下または非存在下で反応させることにより製造することができるが、また、ポリオレフィン(a0)を不飽和ポリカルボン酸および/またはその酸無水物(f)を前記(a0)と(c)との反応と同様に反応させて得られる酸変性物(a01)と、水酸基、アミノ基およびチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を2個以上有する活性水素原子含有化合物(g)とを、(g)と(a01)との反応当量比[(g)/(a01)]が1を超えるように反応させることによっても製造することができる。
(f)のうち、不飽和ポリ(n=2〜4またはそれ以上、好ましくは2)カルボン酸としては、C4〜24のもの、例えばジカルボン酸[脂肪族(C4〜24、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸およびメサコン酸)、脂環式(C8〜24、例えばシクロヘキセンジカルボン酸およびシクロヘプテンジカルボン酸)等];3価〜4価またはそれ以上のポリカルボン酸[例えば脂肪族ポリカルボン酸(C5〜24、例えばアコニット酸)]が挙げられる。
(f)のうち、不飽和ポリカルボン酸無水物としては、上記不飽和ポリカルボン酸の無水物、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、シクロヘキセンジカ
ルボン酸無水物、アコニット酸無水物が挙げられる。
(f)は1種単独でも、2種以上併用してもいずれでもよい。
これらの(f)のうち改質剤(K)の改質特性および(a0)との反応性の観点から好ましいのは、不飽和ジカルボン酸の無水物、さらに好ましいのは無水マレイン酸である。
(a0)を(f)で変性する際の(a0)と(f)の重量比[(a0)/(f)]はポリオレフィン樹脂(D)との相溶性および改質剤(K)の改質特性の観点から、好ましくは80/20〜99/1、さらに好ましくは83/17〜98/2、とくに好ましくは85/15〜95/3である。
酸変性物(a01)中の未反応の(f)は、後述する成形品の機械的強度の観点から好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、とくに好ましくは0.1重量%以下である。
(a0)と(f)は、前記ラジカル開始剤(s)の存在下または非存在下のいずれにおいても反応させることができるが、(a0)と(f)との反応性の観点から(s)の存在下で反応させるのが好ましい。
(s)としては、前記のものが挙げられ、それらのうち好ましいものも同じである。
(s)の使用量は、(f)の重量に基づいて、(a0)と(f)の反応性の観点から好ましい下限は0.001%、さらに好ましくは0.01%、とくに好ましくは0.1%、副反応抑制の観点から好ましい上限は100%、さらに好ましくは50%、とくに好ましくは30%である。
該酸変性物(a01)の具体的な製造方法としては、次の[1]、[2]の方法が挙げられる。
[1](a0)および(f)を加熱溶融、あるいは適当な有機溶媒(前記に同じ。)に懸濁あるいは溶解させ、これに必要により、前記の(s)、(t)、(u)を加えて加熱撹拌する方法(溶融法、懸濁法および溶液法);
[2](a0)、(f)および必要により(s)、(t)、(u)を予め混合し、押出機、バンバリーミキサーまたはニーダ等を用いて溶融混練する方法(溶融混練法)が含まれる。
これらのうち(a0)と(f)との反応性の観点から好ましいのは[1]の方法、さらに好ましいのは溶融法および溶液法である。
溶融法での反応温度は、(a0)が溶融する温度であればよく、(a0)と(f)との反応性および酸変性物(a01)の熱安定性の観点から好ましくは120〜260℃、さらに好ましくは130〜240℃である。
溶液法での反応温度は、(a0)が溶媒に溶解する温度であればよく、(a0)と(f)との反応性、および酸変性物(a01)の熱安定性の観点から好ましくは50〜220℃、さらに好ましくは110〜210℃、とくに好ましくは120〜180℃である。
活性水素原子含有化合物(g)には、水酸基、アミノ基およびチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の、前記酸変性物(a01)と反応性を有する官能基を2個以上有する化合物が含まれる。
化合物(g)の具体的な例としては、以下のものが挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物が使用できる。
水酸基を2個以上有する活性水素原子含有化合物(g1)としては、多価アルコール、例えば2価アルコール〔(ポリ)エチレングリコール[エチレングリコール、ポリオキシエチレングリコールを(重合度は2〜200)]、(ポリ)プロピレングリコール[プロ
ピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール(重合度は2〜180)]、(ポリ)テトラメチレングリコール[1,4−ブタンジオール、ポリオキシテトラメチレングリコール(重合度は2〜150)]、および1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等〕;3価アルコール[GRおよびTMP等)、4価アルコール[PEおよびソルビタン等]、5価アルコール(ブドウ糖および果糖等)、6価アルコール[SO、キシリトール、マンニトール、ジPEおよび、テトラGR等]、7価アルコール(ペンタGR等)、8価アルコール(ショ糖、ヘキサGRおよびトリPE等)、9価アルコール(ヘプタGR等)、10価アルコール(オクタGR等);重合度2〜10またはそれ以上のオリゴマー[ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アリルアルコール、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびポリヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等]、6〜10価またはそれ以上のウレタン化ポリオールおよびポリエステルポリオール(例えば上記多価アルコールのポリイソシアネートもしくはポリカルボン酸化合物との反応生成物等)、1分子当たり2〜8個またはそれ以上の水酸基を有するポリオールとジエポキシ化合物の反応物[例えば特公昭46−24255号公報に記載のもの、該ジエポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、環状脂肪族ジエポキサイド(1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン等)、ポリオキシアルキレン(アルキレン基はC2〜4、重合度2〜100)型エポキシ樹脂、3級アミノ基含有ポリオール(トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン等のAO付加物等)等]等が挙げられる。
アミノ基(1級または2級、以下同じ。)を2個以上有する活性水素原子含有化合物(g2)としては、ジアミン(エチレンジアミン等)、アミノ基数3〜8のポリアルキレン(C2〜6)ポリアミン(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等)、枝分かれしたポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン(例えば、特公昭51−44275号公報記載の、ダイマー酸と上記ポリアルキレンポリアミンとの縮合物等)が挙げられる。
アミノ基および水酸基を各1個以上有する活性水素原子含有化合物(g3)としては、ヒドロキシルアミン、1級モノアミンのヒドロキシアルキル化(C2〜4)物、並びに1級モノアミンおよびそれらのアルキル化(C1〜4)物等のアルキレンオキシド(以下AOと略記)付加物[モノ−およびジ−ヒドロキシアルキルアミン(モノ−およびジエタノールアミン、モノ−およびジイソプロパノールアミン)、並びにエチルアミンのAO付加物等]が挙げられる。
チオール基を2個以上有する活性水素原子含有化合物(g4)としては、前記の多価アルコールとチオ尿素との反応により得られる2〜10官能またはそれ以上のチオール、エピクロルヒドリンの1〜10量体またはそれ以上と水硫化ナトリウムとの反応により得られる2〜10官能またはそれ以上のチオール等が挙げられる。
これらのうち改質剤(K)の改質特性の観点から好ましいのは、2価アルコール、ヒドロキシルアミン、ジアミンであり、さらに好ましいのはエチレングリコール、モノ−およびジエタノールアミン、エチレンジアミンである。
(A)の上記製造方法における、活性水素原子含有化合物(g)と酸変性物(a01)との反応当量比[(g)/(a01)]は、改質剤(K)の改質特性およびポリオレフィン樹脂(D)との相溶性の観点から好ましくは1.1/1〜5/1、さらに好ましくは1.5/1〜3/1である。
酸変性物(a01)と活性水素原子含有化合物(g)との反応による変性ポリオレフィン(A)の製造方法としては、次の[1]、[2]の方法が挙げられる。
[1](a01)および(g)を加熱溶融、あるいは適当な有機溶媒(前記に同じ。)に
懸濁あるいは溶解させ、加熱撹拌する方法(溶融法、懸濁法および溶液法);
[2](a01)および(g)を予め混合し、押出機、バンバリーミキサーまたはニーダ等を用いて溶融混練する方法(溶融混練法)。
これらのうち(a01)と(g)との反応性の観点から好ましいのは[1]の方法、さらに好ましいのは溶融法および溶液法である。
溶融法での反応温度は、(a01)が溶融する温度であればよく、(a01)と(g)との反応性の観点から好ましくは120〜260℃、さらに好ましくは130〜240℃である。
溶液法での反応温度は、(a01)が溶媒に溶解する温度であればよく、(a01)と(g)との反応性および(A)の熱安定性の観点から好ましくは50〜220℃、さらに好ましくは110〜210℃、とくに好ましくは120〜180℃である。
変性ポリオレフィン(A)のMwは、後述する成形品の機械的強度および後述するポリオレフィン樹脂組成物の成形性の観点から、好ましくは1,000〜500,000、さらに好ましくは2,000〜450,000である。
変性ポリオレフィン(A)は、前記のとおり、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基およびチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有し、(A)1分子当たりの該官能基の個数は、改質剤(K)の改質特性および後述のポリオレフィン樹脂(D)との相溶性の観点から好ましくは1〜50個、さらに好ましくは2〜30個である。
[シランカップリング剤(B)]
本発明におけるシランカップリング剤(B)は、変性ポリオレフィン(A)と反応性の官能基を有する、加水分解性シリル基含有シラン化合物が挙げられる。
(B)としては、(A)との反応のし易さの観点から、アミノ基、エポキシ基、チオール基およびイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有し、C5〜24のものが好ましく、下記の(B1)〜(B4)が含まれる。
(B1)アミノ基を有するもの
アミノ基を分子中に1〜4個有するもの、例えばアミノアルキル(C2〜15)アルコキシ(C1〜4)シラン[例えば、(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルメチルジメトキシシラン]等;
(B2)エポキシ基を有するもの
エポキシ基を分子中に1〜4個有するもの、例えばエポキシアルキル(C1〜4)アルコキシ(C1〜4)シラン[例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン]、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等;
(B3)チオール基を有するもの
チオール基を分子中に1〜4個有するもの、例えばメルカプトアルキル(C1〜4)アルコキシ(C1〜4)シラン[例えば、メルカプトプロピルトリメトキシシラン]等;
(B4)イソシアネート基を有するもの
イソシアネート基を分子中に1〜4個有するもの、例えばイソシアネートアルキル(C1〜6)アルコキシ(C1〜4)シラン[例えば、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン]等。
[シラン変性ポリオレフィン(X)]
本発明におけるシラン変性ポリオレフィン(X)は、前記(A)と(B)から形成されるものであり、(A)と(B)を反応させることにより製造することができる。
(A)と(B)を反応させる際の(A)と(B)の重量比は、(X)を含有してなる後述のポリオレフィン樹脂用改質剤(K)と後述のポリオレフィン樹脂(D)との相溶性および(K)の改質特性の観点から、好ましくは30/70〜99/1、さらに好ましくは40/60〜99/2、とくに好ましくは60/40〜95/5である。
(A)と(B)との反応における(A)中の前記反応性官能基と(B)中の前記反応性官能基との当量比は、(K)と後述のポリオレフィン樹脂(D)との相溶性および(K)の改質特性の観点から好ましくは0.5〜2.0、さらに好ましくは0.7〜1.5、とくに好ましくは0.9〜1.2である。
(X)は、(A)中の反応性官能基と(B)中の反応性官能基とが反応して(A)と(B)が結合して形成されるものであり、(K)の改質特性、およびポリオレフィン樹脂(D)との相溶性の観点から該結合として好ましいのは、イミド結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合およびエポキシ開環結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合である。
ここにおいて、エポキシ開環結合には、例えば下記式(2)〜(4)で示される結合が含まれる。

−CH(OH)−CH2−NH− (2)

−CH(OH)−CH2−S− (3)

−CH(OH)−CH2−O−C(=O)− (4)
該シラン変性ポリオレフィン(X)の具体的な製造方法としては、次の[1]、[2]の方法が挙げられる。
[1](A)および(B)を加熱溶融、あるいは適当な有機溶媒(前記に同じ。)に懸濁あるいは溶解させ、加熱撹拌する方法(溶融法、懸濁法および溶液法);
[2](A)および(B)を予め混合し、押出機、バンバリーミキサーまたはニーダ等を用いて溶融混練する方法(溶融混練法)。
これらのうち(A)と(B)との反応性の観点から好ましいのは[1]の方法、さらに好ましいのは溶融法および溶液法である。
溶融法での反応温度は、(A)が溶融する温度であればよく、(A)と(B)との反応性の観点から好ましくは90〜180℃、さらに好ましくは100〜150℃である。
溶液法での反応温度は、(A)が溶媒に溶解する温度であればよく、(A)と(B)との反応性および改質剤(K)の熱安定性の観点から好ましくは50〜220℃、さらに好ましくは70〜200℃、とくに好ましくは90〜180℃である。
シラン変性ポリオレフィン(X)の構造の特定は、1H−NMR、13C−NMR、およ
29Si−NMR測定により水素、炭素およびケイ素を測定することにより同定することができる。これらのNMRの測定は、重トルエンとヘキサクロロ−1,3−ブタジエンの混合溶液に溶解した溶液を80℃に加熱した状態で測定することができる。
(X)中のSiの含有量(重量%)は、蛍光X線測定装置を使用して、含有量が既知の
Si含有化合物について作成した検量線に基づいて求めることができる。
蛍光X線測定装置としては、例えば[商品名「X−ray Fluorescence
Spectrometer LAB CENTER XRF−1800」、(株)島津製作所製]が挙げられる。
(X)中のSiの含有量(重量%)は、(K)の改質特性および後述のポリオレフィン樹脂(D)との相溶性の観点から好ましくは0.1〜7%、さらに好ましくは0.4〜5%である。
(X)のMwは、後述の成形品の機械的強度および成形性の観点から好ましくは1,000〜500,000、さらに好ましくは2,000〜450,000である。
[ポリオレフィン樹脂用改質剤(K)]
本発明のポリオレフィン樹脂用改質剤(K)は、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基およびチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する変性ポリオレフィン(A)、および(A)と反応性の官能基を有するシランカップリング剤(B)から形成される前記シラン変性ポリオレフィン(X)を含有してなる。該(K)は前記のように(X)が(A)と(B)から形成されるものであるため、ポリオレフィン樹脂に極性を付与する改質特性に優れるものである。
[ポリオレフィン樹脂組成物]
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、前記ポリオレフィン樹脂用改質剤(K)およびポリオレフィン樹脂(D)を含有してなる。該組成物は後述する方法で製造される。
本発明におけるポリオレフィン樹脂(D)としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体[共重合比(重量比)=0.1/99.9〜99.9/0.1]、プロピレンおよび/またはエチレンと他のα−オレフィン(C4〜12)の1種以上との共重合体(ランダムおよび/またはブロック付加)[共重合比(重量比)=99/1〜5/95]、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)[共重合比(重量比)=95/5〜60/40]、エチレン/エチルアクリレート共重合体(EEA)[共重合比(重量比)=95/5〜60/40]等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、ポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレンおよび/またはエチレンとC4〜12のα−オレフィンの1種以上との共重合体[共重合比(重量比)=90/10〜10/90、ランダムおよび/またはブロック付加]である。
(D)のMnは、成形品の機械的強度および(K)との相溶性の観点から好ましくは10,000〜500,000、さらに好ましくは20,000〜400,000である。
また、(D)のMwは、同様の観点から好ましくは15,000〜800,000、さらに好ましくは30,000〜600,000である。
(D)と(K)の組合せとしては、(D)の構成単位と(K)を構成する変性ポリオレフィン(A)の構成単位が同じか類似している場合が(D)と(K)との相溶性の観点から好ましい。例えば、(D)がプロピレン単位含有(エチレン単位非含有)(共)重合体である場合は、(K)を構成する(A)もプロピレン単位含有(エチレン単位非含有)(共)重合体である場合が好ましい。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物における(D)と(K)の重量比は、樹脂組成物の成形性および後述の成形品の改質、すなわち機械強度、耐熱性向上の観点から好ましくは40/60〜99/1、さらに好ましくは70/30〜98/2である。
該樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要によりポリオレフィン樹脂(D)以外の熱可塑性樹脂を併用することができる。その他の熱可塑性樹脂としては、ポリアクリル樹脂[例えばポリメタクリル酸メチル等];ポリスチレン樹脂[ビニル基含有芳
香族炭化水素単独またはビニル基含有芳香族炭化水素と、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルおよびブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種とを構成単位とする共重合体、例えばポリスチレン、高耐衝撃性ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体(AN樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体(MBS樹脂)、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体(MS樹脂)等]等〕;ポリエステル樹脂[例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等];ポリアミド樹脂[例えばナイロン66、ナイロン69、ナイロン612、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6/66、ナイロン6/12等];ポリカーボネート樹脂[例えばポリカーボネート、ポリカーボネート/ABS樹脂アロイ等];バイオマス由来樹脂[例えばポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリトリメチレンテレフタレート、エステル化デンプンおよびセルロースアセテート等];ポリアセタール樹脂およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(D)以外の上記その他の熱可塑性樹脂の併用量は、(D)の重量に基づいて、機械的強度および樹脂組成物の成形性の観点から好ましくは1〜30%、さらに好ましくは5〜25%である。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物には、必要に応じて極性を有する充填剤(E)を含有させてもよい。
(E)としては、金属酸化物(アルミナ、ケイ灰石、シリカ、タルク、マイカ、クレー、焼成カオリン等)、金属水酸化物(水酸化アルミニウム等)、金属塩(炭酸カルシウム、珪酸カルシウム等)、無機繊維(炭素繊維、繊維素、α−繊維素、ガラス繊維、アスベスト等)、有機繊維(コットン、ジュート、ナイロン、アクリルおよびレーヨン繊維等)、無機マイクロバルーン(ガラス、シラス等)、有機マイクロバルーン(フェノール樹脂等)、炭素類(カーボンブラック、石墨、石炭粉等)、金属硫化物(二硫化モリブデン等)、木質材料(木粉等)、金属粉(アルミニウム粉、銅粉等)およびこれらの混合物等が挙げられる。
上記(E)は目的に応じて種々のものを選択できるが、機械的強度および耐熱性の観点から、好ましいのは金属酸化物、金属塩、無機繊維および木質材料、さらに好ましいのはシリカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、木粉である。
(E)の使用量は、前記改質剤(K)とポリオレフィン樹脂(D)の合計重量に基づいて、成形品の機械的強度および成形性の観点から好ましくは1〜250%、さらに好ましくは5〜100%、とくに好ましくは7〜50%である。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要によりさらに種々の添加剤(H)を含有させることができる。
(H)としては、着色剤(H1)、難燃剤(H2)、滑剤(H3)、帯電防止剤(H4)、分散剤(H5)、酸化防止剤(H6)および紫外線吸収剤(H7)からなる群から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
着色剤(H1)としては顔料および染料が挙げられる。
顔料としては、無機顔料(アルミナホワイト、グラファイト等);有機顔料(アゾレーキ系等)が挙げられる。
染料としては、アゾ系、アントラキノン系等が挙げられる。
難燃剤(H2)としては、有機難燃剤〔含窒素化合物[尿素化合物、グアニジン化合物
等の塩等]、含硫黄化合物[硫酸エステル、スルファミン酸、およびそれらの塩、エステル、アミド等]、含珪素化合物[ポリオルガノシロキサン等]、含リン系[リン酸エステル等]等〕;無機難燃剤〔三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ポリリン酸アンモニム等〕等が挙げられる。
滑剤(G3)としては、ワックス(カルナバロウワックス等)、高級脂肪酸(ステアリン酸等)、高級アルコール(ステアリルアルコール等)、高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド等)等が挙げられる。
帯電防止剤(H4)としては、下記および米国特許第3,929,678および4,331,447号明細書に記載の、非イオン性、カチオン性、アニオン性および両性の界面活性剤が挙げられる。
(1)非イオン性界面活性剤
アルキレンオキシド(以下AOと略記)付加型ノニオニックス、例えば疎水性基(C8〜24またはそれ以上)を有する活性水素原子含有化合物[飽和および不飽和の、高級アルコール(C8〜18)、高級脂肪族アミン(C8〜24)および高級脂肪酸(C8〜24)等]の(ポリ)オキシアルキレン誘導体(AO付加物およびポリアルキレングリコールの高級脂肪酸モノ−およびジ−エステル);多価アルコール(C3〜60)の高級脂肪酸(C8〜24)エステルの(ポリ)オキシアルキレン誘導体(ツイーン型ノニオニックス等);高級脂肪酸(上記)の(アルカノール)アミドの(ポリ)オキシアルキレン誘導体;多価アルコール(上記)アルキル(C3〜60)エーテルの(ポリ)オキシアルキレン誘導体;およびポリオキシプロピレンポリオール[多価アルコールおよびポリアミン(C2〜10)のポリオキシプロピレン誘導体(プルロニック型およびテトロニック型ノニオニックス)];多価アルコール(上記)型ノニオニックス(例えば多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールアルキル(C3〜60)エーテル、および脂肪酸アルカノールアミド);並びに、アミンオキシド型ノニオニックス[例えば(ヒドロキシ)アルキル(C10〜18)ジ(ヒドロキシ)アルキル(C1〜3)アミンオキシド]。
(2)カチオン性界面活性剤
第4級アンモニウム塩型カチオニックス[テトラアルキルアンモニウム塩(C11〜100)アルキル(C8〜18)トリメチルアンモニウム塩およびジアルキル(C8〜18)ジメチルアンモニウム塩等];トリアルキルベンジルアンモニウム塩(C17〜80)(ラウリルジメチルベンジルアンモニウム塩等);アルキル(C8〜60)ピリジニウム塩(セチルピリジニウム塩等);(ポリ)オキシアルキレン(C2〜4)トリアルキルアンモニウム塩(C12〜100)(ポリオキシエチレンラウリルジメチルアンモニウム塩等);およびアシル(C8〜18)アミノアルキル(C2〜4)もしくはアシル(C8〜18)オキシアルキル(C2〜4)トリ[(ヒドロキシ)アルキル(C1〜4)]アンモニウム塩(サパミン型4級アンモニウム塩)[これらの塩には、例えばハライド(クロライド、ブロマイド等)、アルキルサルフェート(メトサルフェート等)および有機酸(下記)の塩が含まれる];並びにアミン塩型カチオニックス:1〜3級アミン〔例えば高級脂肪族アミン(C12〜60)、脂肪族アミン(メチルアミン、ジエチルアミン等)のポリオキシアルキレン誘導体[エチレンオキシド(以下EOと略記)付加物等]、およびアシルアミノアルキルもしくはアシルオキシアルキル(上記)ジ(ヒドロキシ)アルキル(上記)アミン(ステアロイロキシエチルジヒドロキシエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン等)〕の、無機酸(塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸等)塩および有機酸(C2〜22)塩。
(3)アニオン性界面活性剤
高級脂肪酸(上記)塩(ラウリル酸ナトリウム等)、エーテルカルボン酸[EO(1〜10モル)付加物のカルボキシメチル化物等]、およびそれらの塩;硫酸エステル塩(ア
ルキルおよびアルキルエーテルサルフェート等)、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステルおよび硫酸化オレフィン;スルホン酸塩[アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル型、α−オレフィン(C12〜18)スルホン酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン(イゲポンT型等)等];並びにリン酸エステル塩等(アルキル、アルキルエーテルおよびアルキルフェニルエーテルホスフェート等)。
(4)両性界面活性剤:
カルボン酸(塩)型アンフォテリックス[アミノ酸型アンフォテリックス(ラウリルアミノプロピオン酸(塩)等)、およびベタイン型アンフォテリックス(アルキルジメチルベタイン、アルキルジヒドロキシエチルベタイン等)等];硫酸エステル(塩)型アンフォテリックス[ラウリルアミンの硫酸エステル(塩)、ヒドロキシエチルイミダゾリン硫酸エステル(塩)等];スルホン酸(塩)型アンフォテリックス[ペンタデシルスルホタウリン、イミダゾリンスルホン酸(塩)等];並びにリン酸エステル(塩)型アンフォテリックス等[グリセリンラウリル酸エステルのリン酸エステル(塩)等]。
上記のアニオン性および両性界面活性剤における塩には、金属塩、例えばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)およびIIB族金属(亜鉛等)の塩;アンモニウム塩;並びにアミン塩および4級アンモニウム塩が含まれる。
分散剤(H5)としては、Mn1,000〜20,000のポリマー、例えばビニル樹脂{ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、変性ポリオレフィン[酸化ポリエチレン(ポリエチレンをオゾン等で酸化し、カルボキシル基、カルボニル基および/または水酸基等を導入したもの)等]、および上記ポリオレフィン以外のビニル樹脂〔ポリハロゲン化ビニル[ポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル等]、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメチルビニルエーテル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル[ポリ(メタ)アクリル酸メチル等]およびスチレン樹脂[ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン(AS)樹脂等〕等};ポリエステル樹脂[ポリエチレンテレフタレート等]、ポリアミド樹脂[6,6−ナイロン、12−ナイロン等]、ポリエーテル樹脂[ポリエーテルサルフォン等]、ポリカーボネート樹脂[ビスフェノールAとホスゲンの重縮合物等]、およびそれらのブロック共重合体等が挙げられる。
酸化防止剤(H6)としては、ヒンダードフェノール化合物[p−t−アミルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、ノルジヒドログアヤレチック酸(NDGA)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール(BHA)、6−t−ブチル−2,4,−ジメチルフェノール(24M6B)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール(26B)等];
含イオウ化合物[N,N’−ジフェニルチオウレア、ジミリスチルチオジプロピオネート等];
含リン化合物[2−t−ブチル−α−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニル)ホスファイト、ジオクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルホスホネート等]等が挙げられる。
紫外線吸収剤(H7)としては、サリチレート化合物[フェニルサリチレート等];ベンゾフェノン化合物[2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等];ベンゾトリアゾール化合物[2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール等]等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂組成物中の(H)全体の含有量は、該組成物の全重量に基づいて、
通常20%以下、各(H)の機能発現および工業上の観点から好ましくは0.05〜10%、さらに好ましくは0.1〜5%である。
該組成物の全重量に基づく各添加剤の使用量は、(H1)は通常5%以下、好ましくは0.1〜3%;(H2)は通常8%以下、好ましくは1〜3%;(H3)は通常8%以下、好ましくは1〜5%;(H4)は通常8%以下、好ましくは1〜3%;(H5)は通常1%以下、好ましくは0.1〜0.5%;(H6)は通常2%以下、好ましくは0.05〜0.5%;(H7)は通常2%以下、好ましくは0.05〜0.5%である。
上記(H1)〜(H7)の間で添加剤が同一で重複する場合は、それぞれの添加剤が該当する添加効果を奏する量をそのまま使用するのではなく、他の添加剤としての効果も同時に得られることをも考慮し、使用目的に応じて使用量を調整するものとする。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物の製造方法としては、
(1)前記(D)、(K)、および必要により充填剤(E)、添加剤(H)を一括混合して樹脂組成物とする方法(一括法);
(2)(D)の一部、(K)の全量、および必要により(E)の一部もしくは全量、(H)の一部もしくは全量を混合して高濃度の(K)を含有するマスターバッチポリオレフィン樹脂組成物を一旦作成し、その後残りの(D)、および必要により(E)の残り、(H)の残りを加えて混合して樹脂組成物とする方法(マスターバッチ法)が含まれる。
(K)の混合効率から好ましいのは(2)の方法である。
前記のポリオレフィン樹脂組成物の製造方法における具体的な混合方法としては、
(i)混合する各成分を、例えば粉体混合機〔「ヘンシェルミキサー」[商品名「ヘンシェルミキサーFM150L/B」、三井鉱山(株)、社名変更後は日本コークス工業(株)製]、「ナウターミキサー」[商品名「ナウターミキサーDBX3000RX」、ホソカワミクロン(株)製]、「バンバリーミキサー」[商品名「MIXTRON BB−16MIXER」、(株)神戸製鋼所製]等〕で混合した後、溶融混練装置[バッチ混練機、連続混練機(単軸混練機、二軸混練機等)等]を使用して通常120〜220℃で2〜30分間混練する方法;
(ii)混合する各成分をあらかじめ粉体混合することなく、上記と同様の溶融混練装置を使用して同様の条件で直接混練する方法が挙げられる。
これらの方法のうち混合効率の観点から(i)の方法が好ましい。
本発明のポリオレフィン樹脂改質剤(K)は、極性の大きく異なる材料と優れた親和性を有することから、該(K)または該(K)を含有するポリオレフィン樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂等の無極性のプラスチック、およびポリウレタン等の極性の高いプラスチックのいずれに対しても親和性に優れるという特徴を有する。
そのためこれら極性の異なるプラスチック同士の密着(一方が基材で他方が塗膜である場合等)においては、本発明の改質剤(K)、または該(K)を含有するポリオレフィン樹脂組成物は、プラスチック成形品等のプライマー用としても適用することができる。
また、さらに前記充填剤(E)を該樹脂組成物に含有させて成形することにより、機械的強度(曲げ弾性率等)および耐熱性(荷重たわみ温度等)に優れた成形品を得ることができる。
[成形品および成形物品]
本発明の成形品は、上記の樹脂組成物を成形して得られる。該成形方法としては、射出成形、圧縮成形、カレンダ成形、スラッシュ成形、回転成形、押出成形、ブロー成形、フィルム成形(キャスト法、テンター法、インフレーション法等)等が挙げられ、目的に応じて単層成形、多層成形あるいは発泡成形等の手段も取り入れた任意の方法で成形できる。
本発明の樹脂組成物を成形してなる成形品は、優れた機械強度を有すると共に、良好な塗装性および印刷性を有し、成形品に塗装および/または印刷を施すことにより成形物品が得られる。
該成形品を塗装する方法としては、例えばエアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電スプレー塗装、浸漬塗装、ローラー塗装、刷毛塗り等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
塗料としては、例えば、ポリエステルメラミン樹脂塗料、エポキシメラミン樹脂塗料、アクリルメラミン樹脂塗料、アクリルウレタン樹脂塗料等のプラスチックの塗装に一般に用いられる塗料が挙げられる。
塗装膜厚(乾燥膜厚)は、目的に応じて適宜選択することができるが通常10〜50μmである。
また、該成形品または成形品に塗装を施した上に印刷する方法としては、一般的にプラスチックの印刷に用いられている印刷法であればいずれも用いることができ、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、ドライオフセット印刷およびオフセット印刷等が挙げられる。
印刷インキとしてはプラスチックの印刷に通常用いられるもの、例えばグラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、パッドインキ、ドライオフセットインキおよびオフセットインキが使用できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下において部および%は特記する以外はそれぞれ重量部および重量%を示す。
[ポリオレフィン(a0)の製造]
製造例1
窒素導入管、排ガス留出管、撹拌装置および冷却管を備えた反応容器に、プロピレン98モル%およびエチレン2モル%を構成単位とするポリオレフィン[商品名「サンアロマーPZA20A」、サンアロマー(株)製、Mw200,000、以下同じ。]100部を窒素雰囲気下に仕込み、気相部分に窒素を通気しながらマントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら360℃で40分間熱減成を行い、ポリオレフィン(a0−1)を得た。(a0−1)は、Mw41,000、炭素1,000個当たりの二重結合数は2.1個であった。
製造例2
製造例1において、熱減成時間を40分間から80分間に変えたこと以外は製造例1と同様に行い、ポリオレフィン(a0−2)を得た。(a0−2)は、Mw7,000、炭素1,000個当たりの二重結合数は12.3個であった。
製造例3
製造例1において、熱減成時間を40分間から65分間に変えたこと以外は製造例1と同様に行い、ポリオレフィン(a0−3)を得た。(a0−3)は、Mw27,000、炭素1,000個当たりの二重結合数は4.1個であった。
[変性ポリオレフィン(A)の製造]
製造例4
製造例1と同様の反応容器に、(a0−1)を95部、無水マレイン酸5部およびキシレン100部を仕込み、窒素雰囲気下で130℃まで加熱昇温して均一に溶解した。ここ
にジクミルパーオキサイド0.5部をキシレン10部に溶解した溶液を滴下した後、キシレン還流温度まで昇温し、3時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa、以下同じ。)でキシレンおよび未反応の無水マレイン酸を留去して、1分子当たりに4個の酸無水物基を有する変性ポリオレフィン(A−1)を得た。(A−1)のMwは42,000であった。
製造例5
製造例1と同様の反応容器に、(a0−1)90部、およびキシレン30部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で150℃まで加熱昇温し溶融させた。次にメタクリル酸5部、およびキシレン10部に溶解したジクミルパーオキサイド0.5部を滴下し、150℃で3時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに2個のカルボキシル基を有する変性ポリオレフィン(A−2)を得た。(A−2)のMwは41,500であった。
製造例6
製造例1と同様の反応容器に、(a0−2)30部、およびキシレン100部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で150℃まで加熱昇温し溶融させた。次にメタクリル酸70部、およびキシレン10部に溶解したジクミルパーオキシド0.5部を滴下し、150℃で3時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに23個のカルボキシル基を有する変性ポリオレフィン(A−3)を得た。(A−3)のMwは15,000であった。
製造例7
製造例1と同様の反応容器に、(a0−1)95部、およびキシレン30部を別の冷却管付き反応容器に仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で150℃まで加熱昇温し溶融させた。次にアミノエチルメタクリレート5部、およびキシレン10部に溶解したジクミルパーオキシド0.5部を滴下し、150℃で3時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに3個のアミノ基を有する変性ポリオレフィン(A−4)を得た。(A−4)のMwは42,000であった。
製造例8
製造例1と同様の反応容器に、(a0−3)85部、およびキシレン30部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で150℃まで加熱昇温し溶融させた。次にグルシジルメタクリレート15部、およびキシレン10部に溶解したジクミルパーオキシド0.5部を滴下し、150℃で3時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに4個のエポキシ基を有する変性ポリオレフィン(A−5)を得た。(A−5)のMwは28,500であった。
製造例9
製造例1と同様の反応容器に、(a0−1)97部、およびキシレン30部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で150℃まで加熱昇温し溶融させた。次に2−メルカプトエチルメタクリレート3部、およびキシレン10部に溶解したジクミルパーオキシド0.5部を滴下し、150℃で3時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに2個のチオール基を有する変性ポリオレフィン(A−6)を得た。(A−6)のMwは43,000であった。
製造例10
製造例1と同様の反応容器に、(a0−1)99部、およびキシレン30部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で150℃まで加熱昇温し溶融させた。次に2−ヒドロキシエチルメタクリレート1部、およびキシレン10部に溶解したジクミルパーオキシド0
.3部を滴下し、150℃で3時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに1個の水酸基を有する変性ポリオレフィン(A−7)を得た。(A−7)のMwは41,500であった。
製造例11
製造例1と同様の反応容器に、(A−1)97部、およびキシレン40部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で120℃まで加熱昇温し溶融させた。次にモノエタノールアミン6部を投入し、120℃で3時間撹拌を続けた。その後、減圧下で未反応のモノエタノールアミンおよびキシレンを留去し、1分子当たりに4個の水酸基を有する変性ポリオレフィン(A−8)を得た。(A−8)のMwは42,500であった。
製造例12
製造例1と同様の反応容器に、(a0−1)95部、およびキシレン30部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で150℃まで加熱昇温し溶融させた。次に2−イソシアネートエチルメタクリレート5部、およびキシレン10部に溶解したジクミルパーオキシド0.3部を滴下し、150℃で3時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに2個のイソシアネート基を有する変性ポリオレフィン(A−9)を得た。(A−9)のMwは42,000であった。
製造例13
製造例1と同様の反応容器に、(a0−3)85部、およびキシレン30部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で150℃まで加熱昇温し溶融させた。次に無水マレイン酸15部、およびキシレン10部に溶解したジクミルパーオキシド0.3部を滴下し、150℃で3時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに8個の酸無水物基を有する変性ポリオレフィン(A−10)を得た。(A−10)のMwは30,000であった。
製造例14
製造例1と同様の反応容器に、(A−10)92部、およびキシレン40部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で120℃まで加熱昇温し溶融させた。次にモノエタノールアミン16部を投入し、120℃で3時間撹拌を続けた。その後、減圧下で未反応のモノエタノールアミンおよびキシレンを留去し、1分子当たりに16個の水酸基を有する変性ポリオレフィン(A−11)を得た。(A−11)のMwは32,000であった。
[ポリオレフィン用樹脂改質剤]
実施例1
製造例1と同様の反応容器に、(A−1)90部およびキシレン100部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で120℃まで加熱昇温し溶融させた。次に3−アミノプロピルトリエトキシシラン(B−1)[商品名「KBE−903」、信越シリコーン(株)製、以下同じ。]10部を滴下し、120℃で還流脱水しながら1時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに12個のエトキシ基を有するシラン変性ポリオレフィン(X−1)を含有してなるポリオレフィン樹脂用改質剤(K−1)を得た。(X−1)のMwは44,000、Si含量は1.3%であった。
実施例2
実施例1と同様の反応容器に、(A−2)86部およびキシレン100部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で120℃まで加熱昇温し溶融させた。次に3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(B−2)[商品名「KBE−403」、信越シリコーン(株)製、以下同じ。]14部を滴下し、120℃で1時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに15個のエトキシ基を有するシラン変性ポリオレ
フィン(X−2)を含有してなるポリオレフィン樹脂用改質剤(K−2)を得た。(X−2)のMwは43,000、Si含量は1.4%であった。
実施例3
実施例1と同様の反応容器に、(A−4)90部およびキシレン100部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で120℃まで加熱昇温し溶融させた。次に(B−2)10部を滴下し、120℃で1時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに9個のエトキシ基を有するシラン変性ポリオレフィン(X−3)を含有してなるポリオレフィン樹脂用改質剤(K−3)を得た。(X−3)のMwは42,500、Si含量は1.0%であった。
実施例4
実施例1と同様の反応容器に、(A−5)81部およびキシレン100部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で120℃まで加熱昇温し溶融させた。次に(B−1)19部を滴下し、120℃で1時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに12個のエトキシ基を有するシラン変性ポリオレフィン(X−4)を含有してなるポリオレフィン樹脂用改質剤(K−4)を得た。(X−4)のMwは43,000、Si含量は2.4%であった。
実施例5
実施例1と同様の反応容器に、(A−5)94部およびキシレン100部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で120℃まで加熱昇温し溶融させた。次に3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(B−3)[商品名「KBM−803」、信越シリコーン(株)製、以下同じ。]6部を滴下し、120℃で1時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに12個のメトキシ基を有するシラン変性ポリオレフィン(X−5)を含有してなるポリオレフィン樹脂用改質剤(K−5)を得た。(X−5)のMwは30,000、Si含量は0.9%であった。
実施例6
実施例1と同様の反応容器に、(A−6)96部およびキシレン100部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で120℃まで加熱昇温し溶融させた。次に(B−2)4部を滴下し、120℃で1時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに6個のエトキシ基を有するシラン変性ポリオレフィン(X−6)を含有してなるポリオレフィン樹脂用改質剤(K−6)を得た。(X−6)のMwは42,500、Si含量は0.4%であった。
実施例7
実施例1と同様の反応容器に、(A−7)99部およびキシレン100部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で120℃まで加熱昇温し溶融させた。次に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(B−4)[商品名「KBE−9007」、信越シリコーン(株)製、以下同じ。]1部を滴下し、120℃で1時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに3個のエトキシ基を有するシラン変性ポリオレフィン(X−7)を含有してなるポリオレフィン樹脂用改質剤(K−7)を得た。(X−7)のMwは42,000、Si含量は0.1%であった。
実施例8
実施例1と同様の反応容器に、(A−2)89部およびキシレン100部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で150℃まで加熱昇温し溶融させた。次に(B−1)11部を滴下し、150℃で還流脱水しながら3時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに15個のエトキシ基を有するシラン変性ポリオレフィン(X
−8)を含有してなるポリオレフィン樹脂用改質剤(K−8)を得た。(X−8)のMwは43,000、Si含量は1.4%であった。
実施例9
実施例1と同様の反応容器に、(A−8)89部およびキシレン100部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で120℃まで加熱昇温し溶融させた。次に(B−4)11部を滴下し、120℃で1時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに12個のエトキシ基を有するシラン変性ポリオレフィン(X−9)を含有してなるポリオレフィン樹脂用改質剤(K−9)を得た。(X−9)のMwは43,000、Si含量は1.2%であった。
実施例10
実施例1と同様の反応容器に、(A−3)30部およびキシレン100部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で120℃まで加熱昇温し溶融させた。次に(B−2)70部を滴下し、120℃で1時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに69個のエトキシ基を有するシラン変性ポリオレフィン(X−10)を含有してなるポリオレフィン樹脂用改質剤(K−10)を得た。(X−10)のMwは45,000、Si含量は7.0%であった。
実施例11
実施例1と同様の反応容器に、(A−9)92部およびキシレン100部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で120℃まで加熱昇温し溶融させた。次に(B−1)8部を滴下し、120℃で1時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに12個のエトキシ基を有するシラン変性ポリオレフィン(X−11)を含有してなるポリオレフィン樹脂用改質剤(K−11)を得た。(X−11)のMwは44,000、Si含量は1.0重量%であった。
実施例12
実施例1と同様の反応容器に、(A−10)75部およびキシレン100部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で120℃まで加熱昇温し溶融させた。次に(B−1)25部を滴下し、120℃で1時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに24個のエトキシ基を有するシラン変性ポリオレフィン(X−12)を含有してなるポリオレフィン樹脂用改質剤(K−12)を得た。(X−12)のMwは32,000、Si含量は3.2%であった。
実施例13
実施例1と同様の反応容器に、(A−11)74.5部およびキシレン100部を仕込み、窒素置換した後、窒素雰囲気下で120℃まで加熱昇温し溶融させた。次に(B−4)25.5部を滴下し、120℃で1時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、1分子当たりに48個のエトキシ基を有するシラン変性ポリオレフィン(X−13)を含有してなるポリオレフィン樹脂用改質剤(K−13)を得た。(X−13)のMwは34,000、Si含量は2.9%であった。
[樹脂組成物、成形品、成形物品]
実施例14〜30、比較例1〜12
市販のポリオレフィン樹脂(D−1)[商品名「サンアロマーPM−771M」、プロピレン/エチレン共重合体、Mn150,000、サンアロマー(株)製、以下同じ。]、市販のポリオレフィン樹脂(D−2)[商品名「サンアロマーPLA00A」、ポリプロピレン、Mn200,000、サンアロマー(株)製、以下同じ。]と、ポリオレフィン樹脂用改質剤(K−1)〜(K−13)、変性ポリオレフィン(A−1)、(A−3)〜(A−11)のそれぞれを表1の配合組成に従ってベント付き二軸押出機にて190℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物を射出成形機[型番「PS40ESASE」、日精樹脂工業(株)製]を用いて、樹脂温度190℃、射出速度50mm/s、金型温度40℃の条件で成形し、厚さ4mmの平板シート状成形品を得て後述の性能評価用の各試験板を作成した。上記各試験板上に、さらに上塗り塗料として1液型ウレタン塗料[商品名「コートロン MW−060」、三洋化成工業(株)製]を乾燥後の膜厚が15μmとなるようにスプレー塗布し、120℃で20分間乾燥させて試験板を作成した。該試験板を室温で一日静置した後に、密着性を評価した。結果を表1に示す。
実施例31〜57、比較例13〜29
ポリオレフィン樹脂(D−1)、(D−2)と、ポリオレフィン樹脂用改質剤(K−1)〜(K−13)、変性ポリオレフィン(A−1)、(A−3)〜(A−11)およびシリカ(E−1)[商品名「サンラブリー TZ−824」、旭硝子エスアイテック(株)製。]、ガラス繊維(E−2)[商品名「ミルドファイバー EFH50−31」、セントラル硝子(株)製]、木粉(E−3)[商品名「セルユント」、島田商会(株)製、体積平均粒子径80μm]、炭素繊維(E−4)[商品名「トレカ カットファイバー T010−003」、東レ(株)製]のそれぞれを表2、3の配合組成に従ってベント付き二軸押出機にて190℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物を射出成形機[型番「PS40ESASE」、日精樹脂工業(株)製]を用いて、樹脂温度190℃、射出速度50mm/s、金型温度40℃の条件で成形し、長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの各試験板を作成した。成形した板の曲げ弾性率および荷重たわみ温度の結果を表2、3に示す。
実施例58
ポリオレフィン樹脂(D−1)20部と、ポリオレフィン樹脂用改質剤(K−1)10部および炭素繊維(E−4)30部をベント付き二軸押出機にて190℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練してマスターバッチポリオレフィン樹脂組成物を得た。該樹脂組成物60部に(D−1)40部を加えて、ベント付き二軸押出機にて190℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物を、射出成形機[型番「PS40ESASE」、日精樹脂工業(株)製]を用いて、樹脂温度190℃、射出速度50mm/s、金型温度40℃の条件で成形し、長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの各試験板を作成した。成形した板の曲げ弾性率および荷重たわみ温度の結果を表2に示す。
上記性能評価は以下の方法に従った。
<評価方法>
(1)密着性
試験板についてJIS K5400の碁盤目試験に従って評価した。
(2)曲げ弾性率
試験板についてJIS K7171に準拠して測定した。(単位:MPa)
(3)荷重たわみ温度
試験板についてJIS K7191に準拠して測定した。(単位:℃)
Figure 2013209633
Figure 2013209633
Figure 2013209633
表1から、本発明のポリオレフィン樹脂用改質剤を含有してなるポリオレフィン樹脂組成物を成形してなる成形品は、比較のものに比べ、極性を有する塗膜等の他の樹脂との密着性に優れることがわかる。
また、表2、3から、該改質剤、ポリオレフィン樹脂および極性を有する充填剤を含有してなるポリオレフィン樹脂組成物を成形してなる成形品は、比較のものに比べ、機械的強度および耐熱性に優れることがわかる。
本発明のポリオレフィン樹脂用改質剤(K)は、成形品の機械的強度を低下させることなく、ポリオレフィン樹脂に極性を付与する改質特性に優れる。また、該改質剤(K)を含有するポリオレフィン樹脂組成物を成形してなる成形品は、極性を有する塗膜等の他の樹脂との密着性に優れ、さらに、シリカ、ガラス繊維、木粉等の極性を有する充填剤を含有させてなる樹脂組成物を成形してなる成形品は、機械的強度および熱的特性に優れるものである。
これらのことから、改質剤(K)はポリオレフィン樹脂用の改質剤として、該(K)を含有してなる樹脂組成物はプラスチック成形品用プライマー等として、また、該組成物を成形してなる成形品、成形物品は、電気・電子材料用、自動車の内外装材用、家電製品のハウジング材用、生活資材用、建材用(ウッドプラスチック等)、包装材料用等の幅広い分野に適用することができる。該生活資材には、例えば家具(椅子、机、ハンガー等)、趣味用品(スポーツ用品等)、園芸用品(プランター等)、日用品[食器、玩具、文具、
トイレタリー用品、衛生材料(紙おむつ、マスク等)]等;該建材には、住宅等の建築用
として用いられる資材であれば何ら限定されるものではなく、例えば、玄関・室内等の各種ドア、内外壁材、天井材、屋根材、断熱・遮熱材等が含まれる。

Claims (12)

  1. 酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基およびチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する変性ポリオレフィン(A)、および(A)と反応性の官能基を有するシランカップリング剤(B)から形成されるシラン変性ポリオレフィン(X)を含有してなるポリオレフィン樹脂用改質剤(K)。
  2. (B)が有する反応性の官能基が、アミノ基、エポキシ基、チオール基およびイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の改質剤。
  3. (A)と(B)が、イミド結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合およびエポキシ開環結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して結合してなる請求項1または2記載の改質剤。
  4. (A)と(B)の重量比が、30/70〜99/1である請求項1〜3のいずれか記載の改質剤。
  5. (X)中のSiの含有量が0.1〜7重量%である請求項1〜4のいずれか記載の改質剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載の改質剤(K)およびポリオレフィン樹脂(D)を含有してなるポリオレフィン樹脂組成物。
  7. (D)と(K)の重量比が40/60〜99/1である請求項6記載の組成物。
  8. さらに、極性を有する充填剤(E)を含有させてなる請求項6または7記載の組成物。
  9. (K)および(D)の合計重量に基づく(E)の使用量が、1〜250%である請求項8記載の組成物。
  10. 請求項6〜9のいずれか記載の組成物を成形してなる成形品。
  11. 請求項10記載の成形品に塗装および/または印刷を施してなる成形物品。
  12. 酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基およびチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する変性ポリオレフィン(A)と、(A)と反応性の官能基を有するシランカップリング剤(B)を反応させることを特徴とするシラン変性ポリオレフィン(X)を含有するポリオレフィン樹脂用改質剤(K)の製造方法。
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