JP2013207830A - 回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】コア10を板状に設けてコア層2の積層数を増やしたタンデム式かつランデル型の回転子5を備える回転電機1おいて、出力向上を達成する。
【解決手段】回転電機1によれば、積層体3は、外周側において略円錐状に面取りされた面取り形状を呈する。これにより、積層体3において回転軸4の近傍で軸方向長さLrが軸方向長さLsより大きくても、軸方向両端近傍におけるコア7、10間の磁束の受渡しが円滑になり、回転電機1の出力を高めることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、回転電機に関するものであり、例えば、車両用交流発電機に好適に利用できる回転電機に係わる。
従来から、例えば、車両用交流発電機には、いわゆるランデル型回転子を備える回転電機が採用されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
ランデル型回転子は、円環状に巻かれた界磁コイル、および界磁コイルへの通電により磁束が通るコアを有する。また、コアは、界磁コイルの内周側に配置される円筒状の第1コア部と、第1コア部の軸方向両端から外周側に広がり界磁コイルを軸方向に挟む2つの第2コア部と、それぞれの第2コア部の外周縁から軸方向に伸びる爪状磁極とを有する。そして、一方の第2コア部に設けられた爪状磁極と他方の第2コア部に設けられた爪状磁極とが周方向に交互に櫛歯状に並んでいる。
また、ランデル型回転子では、コアを必要以上に大型化することなく、また、界磁電流を必要以上に大きくすることなく、磁束を増やして出力を高めるため、界磁コイルおよびコアを軸方向に分割したタンデム式を採用するものがある。
すなわち、タンデム式のランデル型回転子は、円環状に巻かれた界磁コイル、および界磁コイルへの通電により磁束が通るコアを有するコア層を軸方向に、複数、積層してなる積層体を備え、それぞれのコア層は、ランデル型の構造を呈する。
つまり、それぞれのコア層において、コアは、界磁コイルの内周側に配置される円筒状の第1コア部と、第1コア部の軸方向両端から外周側に広がり界磁コイルを軸方向に挟む2つの第2コア部と、それぞれの第2コア部の外周縁から軸方向に伸びる爪状磁極とを有する。そして、一方の第2コア部に設けられた爪状磁極と他方の第2コア部に設けられた爪状磁極とが周方向に交互に櫛歯状に並んでいる(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、タンデム式のランデル型回転子では、さらなる軽量化や出力向上を図るため、それぞれのコア層を形成するコアを板状に設けて、コア層の積層数を大幅に増やしたものが考えられている(例えば、特許文献2参照。)。
そして、このようにコアを板状に設けてコア層の積層数を増やしたタンデム式のランデル型回転子において更に出力を高めるべく、更なる対策が求められている。
特開2011−152001号公報 特開2011−211821号公報
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、コアを板状に設けてコア層の積層数を増やしたタンデム式のランデル型回転子を備える回転電機において、さらなる出力向上を達成することにある。
〔請求項1の手段〕
請求項1の手段によれば、回転電機は、円環状に巻かれた界磁コイル、および界磁コイルへの通電により磁束が通るコアを有するコア層を軸方向に、複数、積層してなる回転子を備える。また、コアは、界磁コイルの内周側に配置される円筒状の第1コア部と、第1コア部の軸方向両端から外周側に広がり界磁コイルを軸方向に挟む2つの板状の第2コア部と、それぞれの第2コア部の外周縁から軸方向に伸びる爪状磁極とを有する。そして、一方の第2コア部に設けられた爪状磁極と他方の第2コア部に設けられた爪状磁極とが周方向に交互に櫛歯状に並んでいる。
また、複数のコア層には、2つの第2コア部の一方または両方が所定の径方向位置で屈曲して所定の径方向位置よりも外周側で略円錐状に傾斜している錐状のコア層が存在する。そして、コア層の積層体の軸方向両端の少なくとも一端に、錐状のコア層を配置することで、積層体を外周側において略円錐状に面取りした面取り形状としている。
これにより、コアを板状に設けてコア層の積層数を増やしたタンデム式のランデル型回転子において、さらなる出力向上を達成することができる。
すなわち、ランデル型回転子を有する回転電機では、回転子のコアの軸方向長さが長くなりがちであり、回転子のコアの軸方向端部が、固定子のコアと軸方向にオーバーラップしなくなる虞がある。そして、回転子のコアの軸方向端部が、固定子のコアと軸方向にオーバーラップしない場合、回転子のコアの軸方向端部と固定子のコアとの間の磁束の受渡しが困難になり、出力向上の妨げになる。
そこで、積層体の軸方向両端の少なくとも一端に、錐状のコア層を配置することで、積層体を外周側において略円錐状に面取りした面取り形状とする。これにより、回転子のコアの軸方向一端側の端部と固定子のコアとの間の磁束の受渡しが円滑になり、出力向上を達成することができる(以下、第2コア部が屈曲を開始する所定の径方向位置を屈曲開始位置と呼ぶ。)。
〔請求項2の手段〕
請求項2の手段によれば、積層体には軸方向一端以外にも錐状のコア層が存在する。
これにより、コア層の組合せに関し、積層体を外周側において面取り形状にするためのバリエーションを増やすことができる。このため、例えば、積層体の外周側における面取り形状の傾斜をより急勾配にすることで、回転子のコアの軸方向端部と固定子のコアとの間の磁束の受渡しを、より一層円滑にすることができるので、さらなる出力向上を達成することができる。
〔請求項3の手段〕
請求項3の手段によれば、錐状のコア層には、界磁コイルの外周側でコアよりも透磁率が低い環状の空隙が存在し、屈曲開始位置と界磁コイルの外周縁とは、径方向に関して略同一の位置にある。
界磁コイルの外周側で環状の空隙を形成する場合、コアを屈曲開始位置で折り曲げる等して傾斜させる加工が容易になる。しかし、空隙の形成によって、第2コア部の外周部や爪状磁極のハネ上がりが著しくなる虞がある。ここで、「ハネ上がり」とは、固定子のコアと爪状磁極との間に作用する磁気的吸引力に起因して第2コア部の外周部や爪状磁極が軸方向にハネ上がる現象である。
そこで、屈曲開始位置と界磁コイルの外周縁とを、径方向に関して略同一の位置にすることで、界磁コイルにより第2コア部を押えてハネ上がりを抑制する。また、界磁コイルの外周縁を屈曲開始位置よりも外周側に配さないことで、第2コア部の屈曲による界磁コイルのつぶれを防止して界磁コイルの絶縁皮膜の破壊を抑制する。
以上により、第2コア部の外周部や爪状磁極のハネ上がり、および、界磁コイルの絶縁皮膜の破壊を抑制しつつ、コアを傾斜させる加工を容易化することができる。
〔請求項4の手段〕
請求項4の手段によれば、軸方向一端にある錐状のコア層では、爪状磁極が存在する範囲の軸方向長さよりも、略円錐状に面取りされている範囲の軸方向長さの方が大きい。
これにより、積層体の外周側における面取り形状の傾斜を確保することができるので、出力向上を確実に達成することができる。
〔請求項5の手段〕
請求項5の手段によれば、軸方向一端にある錐状のコア層では、第2コア部の厚さよりも、略円錐状に面取りされている範囲の軸方向長さの方が大きい。
これにより、積層体の外周側における面取り形状の傾斜を確保することができるので、出力向上を確実に達成することができる。
〔請求項6の手段〕
請求項6の手段によれば、第2コア部は、円板状のディスク部と、ディスク部の外周縁から放射状に外周側に伸びる複数のスポーク部とを有し、爪状磁極は、スポーク部の外周縁から軸方向に伸びている。そして、錐状のコア層では、回転子の回転軸心からスポーク部の内周端までの距離であるディスク半径が、回転子の回転軸心から屈曲開始位置までの距離である屈曲開始半径よりも大きい。
これにより、第2コア部をディスク部およびスポーク部により構成してスポーク部の外周縁に爪状磁極を設ける場合に、第2コア部の外周部(スポーク部)や爪状磁極のハネ上がりを抑制することができる。
つまり、ディスク半径を屈曲開始半径よりも大きくすることで、第2コア部の傾斜部にディスク部を含めることができる。これにより、第2コア部の傾斜部にディスク部を含めない場合(つまり、傾斜部をスポーク部のみで構成する場合)に比べ、ハネ上がりに対する剛性を高めることができる。このため、第2コア部をディスク部およびスポーク部により構成してスポーク部の外周縁に爪状磁極を設ける場合に、スポーク部や爪状磁極のハネ上がりを抑制することができる。
〔請求項7の手段〕
請求項7の手段によれば、スポーク部は、外周端を含む外周部において軸方向に垂直な非傾斜部を形成し、爪状磁極は、非傾斜部の外周縁から軸方向に伸びている。また、積層体には、軸方向に隣り合う2つの錐状のコア層の組合せが存在する。そして、組合せを構成する軸方向一端側のコア層が有する2つの第2コア部の内、軸方向他端側にある第2コア部の非傾斜部と、軸方向他端側のコア層が有する2つの第2コア部の内、軸方向一端側 にある第2コア部の非傾斜部とが面接触している。
これにより、非傾斜部同士の面接触により、ハネ上がりの抑制効果を高めることができる。
〔請求項8の手段〕
請求項8の手段によれば、錐状のコア層では、爪状磁極の内周側に環状体が配置され、環状体は、2つの第2コア部に爪状磁極の近傍で当接している。
これにより、環状体の爪状磁極への当接により、爪状磁極のハネ上がりを抑制することができる。
回転子の斜視図である(実施例)。 回転子の断面図である(実施例)。 (a)は回転子の部分断面図であり、(b)は回転子の部分平面図である(実施例)。
実施形態の回転電機は、円環状に巻かれた界磁コイル、および界磁コイルへの通電により磁束が通るコアを有するコア層を軸方向に、複数、積層してなる回転子を備える。また、コアは、界磁コイルの内周側に配置される円筒状の第1コア部と、第1コア部の軸方向両端から外周側に広がり界磁コイルを軸方向に挟む2つの板状の第2コア部と、それぞれの第2コア部の外周縁から軸方向に伸びる爪状磁極とを有する。そして、一方の第2コア部に設けられた爪状磁極と他方の第2コア部に設けられた爪状磁極とが周方向に交互に櫛歯状に並んでいる。
また、複数のコア層には、2つの第2コア部の一方または両方が所定の径方向位置で屈曲して所定の径方向位置よりも外周側で略円錐状に傾斜している錐状のコア層が存在する。そして、コア層の積層体の軸方向両端の少なくとも一端に、錐状のコア層を配置することで、積層体を外周側において略円錐状に面取りした面取り形状としている。
また、積層体には軸方向一端以外にも錐状のコア層が存在する。
また、錐状のコア層には、界磁コイルの外周側でコアよりも透磁率が低い環状の空隙が存在し、屈曲開始位置と界磁コイルの外周縁とは、径方向に関して略同一の位置にある。
また、軸方向一端にある錐状のコア層では、爪状磁極が存在する範囲の軸方向長さよりも、略円錐状に面取りされている範囲の軸方向長さの方が大きい。
また、軸方向一端にある錐状のコア層では、第2コア部の厚さよりも、略円錐状に面取りされている範囲の軸方向長さの方が大きい。
また、第2コア部は、円板状のディスク部と、ディスク部の外周縁から放射状に外周側に伸びる複数のスポーク部とを有し、爪状磁極は、スポーク部の外周縁から軸方向に伸びている。そして、錐状のコア層では、回転子の回転軸心からスポーク部の内周端までの距離であるディスク半径が、回転子の回転軸心から屈曲開始位置までの距離である屈曲開始半径よりも大きい。
また、スポーク部は、外周端を含む外周部において軸方向に垂直な非傾斜部を形成し、爪状磁極は、非傾斜部の外周縁から軸方向に伸びている。また、積層体には、軸方向に隣り合う2つの錐状のコア層の組合せが存在する。そして、組合せを構成する軸方向一端側のコア層が有する2つの第2コア部の内、軸方向他端側にある第2コア部の非傾斜部と、軸方向他端側のコア層が有する2つの第2コア部の内、軸方向一端側にある第2コア部の非傾斜部とが面接触している。
さらに、錐状のコア層では、爪状磁極の内周側に環状体が配置され、環状体は、2つの第2コア部に爪状磁極の近傍で当接している。
〔実施例の構成〕
実施例の回転電機1の構成を、図面に基づいて説明する。
回転電機1は、ランデル型のコア層2を軸方向に複数積層してなる積層体3および回転軸4を有するタンデム式の回転子5、ならびに、回転子5の外周側に配置されてコイル6およびコア7を有する固定子8を備え、例えば、車両用交流発電機に好適に利用できるものである。
そして、それぞれのコア層2は、円環状に巻かれた界磁コイル9、および界磁コイル9への通電により磁束が通るコア10を有する。
ここで、軸方向に隣り合う2つのコア層2間では、界磁コイル9同士が渡り線(図示せず。)により電気的に接続している。また、渡り線とは別に、スリップリング11に電気的に接続するための引出し線12が、軸方向両端にあるコア層2の界磁コイル9から伸びている。つまり、軸方向両端にあるコア層2の界磁コイル9は、一方のコイル端から渡り線が伸びており、他方のコイル端から引出し線12が伸びている。そして、界磁コイル9、渡り線および引出し線12は、引出し線12→界磁コイル9→渡り線→界磁コイル9→・・・→界磁コイル9→渡り線→界磁コイル9→引出し線12の順に1本の導体をなす。
また、コア10は、界磁コイル9の内周側に配置される円筒状の第1コア部16と、第1コア部16の軸方向両端から外周側に広がり界磁コイル9を軸方向に挟む2つの板状の第2コア部17と、それぞれの第2コア部17の外周縁から軸方向に伸びる爪状磁極18とを有する。また、第2コア部17は、円板状のディスク部19と、ディスク部19の外周縁から放射状に外周側に伸びる複数のスポーク部20とを有し、爪状磁極18は、スポーク部20の外周縁から軸方向に伸びている。
そして、1つのコア層2において、一方の第2コア部17に設けられた爪状磁極18と他方の第2コア部17に設けられた爪状磁極18とが周方向に交互に櫛歯状に並んでいる。なお、界磁コイル9とコア10との間には樹脂製の絶縁材21が挟まっている。
以下、積層体3では、6つのコア層2A、2B、2C、2D、2E、2Fが軸方向一端側から他端側に順次積層されているものとして説明する。また、軸方向一端側とは、回転軸4において、スリップリング11が存在する側として説明する。さらに、以下の説明では、コア層2A〜2Fのそれぞれにおいて、軸方向一端側の第2コア部17を第2コア部17a、軸方向他端側の第2コア部17を第2コア部17bと呼ぶことがある(これにより、第2コア部17aの爪状磁極18は軸方向他端側に伸び、第2コア部17bの爪状磁極18は軸方向一端側に伸びる。)。
積層体3では、コア層2Aの第2コア部17aのスポーク部20、コア層2Bの第2コア部17bのスポーク部20、コア層2Cの第2コア部17aのスポーク部20、コア層2Dの第2コア部17bのスポーク部20、コア層2Eの第2コア部17aのスポーク部20およびコア層2Fの第2コア部17bのスポーク部20が周方向に関して同一位置となっている。
また、コア層2Aの第2コア部17bのスポーク部20、コア層2Bの第2コア部17aのスポーク部20、コア層2Cの第2コア部17bのスポーク部20、コア層2Dの第2コア部17aのスポーク部20、コア層2Eの第2コア部17bのスポーク部20およびコア層2Fの第2コア部17aのスポーク部20が周方向に関して同一位置となっている。
これにより、積層体3では、スポーク部20および爪状磁極18が周方向に関して同一位置となって軸方向に並ぶ軸方向列24が形成され、軸方向列24は、1つのコア層2において第2コア部17a、17bの両方が有するスポーク部20の合計数と同数だけ周方向に等角度間隔で存在する。
また、コア層2A〜2Fは、全て、第2コア部17a、17bの一方または両方が所定の径方向位置(屈曲開始位置)で屈曲して屈曲開始位置よりも外周側で略円錐状に傾斜している錐状コア層である。
すなわち、コア層2A、2Bでは、第2コア部17a、17bが両方とも外周側ほど軸方向他端側に向かって傾斜しており、第2コア部17aの方が第2コア部17bよりも急傾斜である。
また、コア層2Cでは、第2コア部17aのみが外周側ほど軸方向他端側に向かって傾斜しており、第2コア部17bは傾斜しておらず平坦である。また、コア層2Dでは、第2コア部17bのみが外周側ほど軸方向一端側に向かって傾斜しており、第2コア部17aは傾斜しておらず平坦である。さらに、コア層2E、2Fでは、第2コア部17a、17bが両方とも外周側ほど軸方向一端側に向かって傾斜しており、第2コア部17bの方が第2コア部17aよりも急傾斜である。
そして、コア層2Aの第2コア部17bとコア層2Bの第2コア部17aとは同一傾斜であり、コア層2Bの第2コア部17bとコア層2Cの第2コア部17aとは同一傾斜である。また、コア層2Dの第2コア部17bとコア層2Eの第2コア部17aとは同一傾斜であり、コア層2Eの第2コア部17bとコア層2Fの第2コア部17aとは同一傾斜である。
以上により、積層体3は、軸方向両端の外周側において略円錐状に面取りされた面取り形状を呈する。
そして、積層体3が面取り形状を呈することで、コア10が存在する範囲の軸方向長さLrと、コア7が存在する範囲の軸方向長さLsとの関係は次のようになる。
すなわち、屈曲開始位置の内周側では、軸方向長さLrが軸方向長さLsよりも大きく、コア7が存在する範囲は、軸方向に関してコア10が存在する範囲に含まれている。そして、屈曲開始位置の外周側では、軸方向長さLrが外周側ほど短くなって軸方向長さLsに漸近し、外周端において軸方向長さLrと軸方向長さLsとが略一致している。
また、コア層2A〜2Fには、界磁コイル9の外周側でコア10よりも透磁率が低い環状の空隙25が存在し、屈曲開始位置と界磁コイル9の外周縁とは、径方向に関して略同一の位置にある。
また、コア層2A、2Fでは、爪状磁極18が存在する範囲の軸方向長さ(以下、磁極存在長さLpと呼ぶ。)よりも、略円錐状に面取りされている範囲の軸方向長さ(以下、面取り長さLgと呼ぶ)の方が大きい。さらに、コア層2A、2Fでは、第2コア部17a、17bの厚さLtよりも、面取り長さLgの方が大きい。
また、コア層2A〜2Fの全層において、回転子5の回転軸心からスポーク部20の内周端までの距離であるディスク半径Rdが、回転子5の回転軸心から屈曲開始位置までの距離である屈曲開始半径Rcよりも大きい。
つまり、屈曲開始位置で屈曲している第2コア部17a、17bにおいて、ディスク部19は、傾斜していない内周側の部分と、傾斜している外周側の部分とからなり、スポーク部20は、ディスク部19の外周側の部分と略同一の傾斜を保って、ディスク部19から外周側に傾斜して伸びている。
また、コア層2A〜2Fの全層において、傾斜しているスポーク部20は、外周端を含む外周部において軸方向に垂直な非傾斜部26を形成し、爪状磁極18は、非傾斜部26の外周縁から軸方向に伸びている。そして、コア層2Aの第2コア部17bの非傾斜部26と、コア層2Bの第2コア部17aの非傾斜部26とが面接触しており、コア層2Bの第2コア部17bの非傾斜部26と、コア層2Cの第2コア部17aの非傾斜部26とが面接触している。
また、コア層2Dの第2コア部17bの非傾斜部26と、コア層2Eの第2コア部17aの非傾斜部26とが面接触しており、コア層2Eの第2コア部17bの非傾斜部26と、コア層2Fの第2コア部17aの非傾斜部26とが面接触している。
さらに、コア層2A〜2Fの全層において、爪状磁極18の内周側に非磁性体からなる環状体27が配置され、環状体27は、第2コア部17a、17b両方の非傾斜部26および爪状磁極18に当接している。
そして、軸方向列24ごとに、全ての非傾斜部26および全層の環状体27を軸方向に貫通するようにピン28が通っている。また、ピン28の軸方向両端はかしめられて径大化し、ピン28の抜け落ちが阻止されている。
〔実施例の効果〕
実施例の回転電機1によれば、積層体3は、外周側において略円錐状に面取りされた面取り形状を呈する。
これにより、積層体3において回転軸4の近傍で軸方向長さLrが軸方向長さLsより大きくても、軸方向両端近傍におけるコア7、10間の磁束の受渡しが円滑になり、回転電機1の出力を高めることができる。
また、コア層2A〜2Fには界磁コイル9の外周側で環状の空隙25が存在し、屈曲開始位置と界磁コイル9の外周縁とは、径方向に関して略同一の位置にある。
これにより、爪状磁極18やスポーク部20のハネ上がりを抑制することができるとともに、界磁コイル9の絶縁破壊を抑制することができる。すなわち、界磁コイル9の外周側で環状の空隙25を形成する場合、第2コア部17a、17bを屈曲開始位置で曲げて傾斜させる加工が容易になるものの、空隙25の形成によって爪状磁極18やスポーク部20のハネ上がりが著しくなる虞がある。
そこで、屈曲開始位置と界磁コイル9の外周縁とを、径方向に関して略同一の位置にすることで、界磁コイル9により第2コア部17a、17bを押えてハネ上がりを抑制する。また、界磁コイル9の外周縁を屈曲開始位置よりも外周側に配さないことで、第2コア部17a、17bの屈曲による界磁コイル9のつぶれを防止して界磁コイル9の絶縁皮膜の破壊を抑制する。
さらに、軸方向に隣接する2つのコア層2のそれぞれの界磁コイル9により、軸方向一端側のコア層2の第2コア部17bと、軸方向他端側のコア層2の第2コア部17aとを挟むことで、爪状磁極18やスポーク部20のハネ上がりを抑制することができる。
以上により、爪状磁極18やスポーク部20のハネ上がり、および、界磁コイル9の絶縁皮膜の破壊を抑制しつつ、第2コア部17a、17bを傾斜させる加工を容易化することができる。
また、コア層2A、2Fでは、磁極存在長さLpや厚さLtよりも面取り長さLgの方が大きい。
これにより、積層体3の外周側における面取り形状の傾斜を確保することができるので、回転電機1の出力向上を確実に達成することができる。
また、コア層2A〜2Fの全層において、ディスク半径Rdが屈曲開始半径Rcよりも大きい。
これにより、爪状磁極18やスポーク部20のハネ上がりを抑制することができる。
つまり、ディスク半径Rdを屈曲開始半径Rcよりも大きくすることで、第2コア部17a、17bの傾斜部にディスク部19を含めることができる。これにより、第2コア部17a、17bの傾斜部にディスク部19を含めない場合(つまり、傾斜部をスポーク部20のみで構成する場合)に比べ、ハネ上がりに対する剛性を高めることができる。このため、爪状磁極18やスポーク部20のハネ上がりを抑制することができる。
また、コア層2Aの第2コア部17bの非傾斜部26と、コア層2Bの第2コア部17aの非傾斜部26とが面接触しており、コア層2Bの第2コア部17bの非傾斜部26と、コア層2Cの第2コア部17aの非傾斜部26とが面接触している。また、コア層2Dの第2コア部17bの非傾斜部26と、コア層2Eの第2コア部17aの非傾斜部26とが面接触しており、コア層2Eの第2コア部17bの非傾斜部26と、コア層2Fの第2コア部17aの非傾斜部26とが面接触している。
これにより、非傾斜部26同士の面接触により、ハネ上がりの抑制効果を高めることができる。
さらに、コア層2A〜2Fの全層において、爪状磁極18の内周側に非磁性体からなる環状体27が配置され、環状体27は、第2コア部17a、17b両方の非傾斜部26および爪状磁極18に当接している。
これにより、環状体27と非傾斜部26および爪状磁極18との当接により、ハネ上がりの抑制効果を高めることができる。
〔変形例〕
回転電機1の態様は、実施例に限定されるものではなく、様々な変形例を考えることができる。
例えば、実施例の回転電機1によれば、積層体3は、軸方向両端の外周側において面取り形状を呈していたが、例えば、軸方向一端または他端のいずれか一方のみ面取り形状を呈するようにしてもよい。
また、実施例の回転電機1によれば、全てのコア層2A〜2Fが錐状コア層であったが、コア層2A、2Fの少なくとも一方を錐状コア層とすれば、他のコア層2を必ずしも錐状コア層とする必要はない。
さらに、実施例の回転電機1によれば、積層体3は、6個のコア層2A〜2Fを積層することで設けられていたが、2〜5個または7個以上のコア層2を積層することで積層体3を設けてもよい。
1 回転電機
2、2A〜2F コア層
3 積層体
5 回転子
9 界磁コイル
10 コア
16 第1コア部
17、17a、17b 第2コア部
18 爪状磁極
19 ディスク部
20 スポーク部
25 空隙
26 非傾斜部
Lp 磁極存在長さ(爪状磁極が存在する範囲の軸方向長さ)
Lg 面取り長さ(略円錐状に面取りされている範囲の軸方向長さ)
Lt 厚さ(第2コア部の厚さ)
Rd ディスク半径
Rc 屈曲開始半径

Claims (8)

  1. 円環状に巻かれた界磁コイル(9)、およびこの界磁コイル(9)への通電により磁束が通るコア(7)を有するコア層(2、2A〜2F)を軸方向に、複数、積層してなる回転子(5)を備え、
    前記コア(7)は、
    前記界磁コイル(9)の内周側に配置される円筒状の第1コア部(16)と、
    この第1コア部(16)の軸方向両端から外周側に広がり前記界磁コイル(9)を軸方向に挟む2つの板状の第2コア部(17、17a、17b)と、
    それぞれの前記第2コア部(17、17a、17b)の外周縁から軸方向に伸びる爪状磁極(18)とを有し、
    一方の前記第2コア部(17、17a、17b)に設けられた前記爪状磁極(18)と他方の前記第2コア部(17、17a、17b)に設けられた前記爪状磁極(18)とが周方向に交互に櫛歯状に並ぶ回転電機(1)において、
    複数の前記コア層(2、2A〜2F)には、2つの前記第2コア部(17、17a、17b)の一方または両方が所定の径方向位置で屈曲してこの所定の径方向位置よりも外周側で略円錐状に傾斜している錐状のコア層が存在し、
    前記コア層(2、2A〜2F)の積層体(3)の軸方向両端の少なくとも一端に、前記錐状のコア層を配置することで、前記積層体(3)を外周側において略円錐状に面取りした面取り形状とすることを特徴とする回転電機(1)。
  2. 請求項1に記載の回転電機(1)において、
    前記積層体(9)には、軸方向一端以外にも前記錐状のコア層が存在することを特徴とする回転電機(1)。
  3. 請求項1または請求項2に記載の回転電機(1)において、
    前記錐状のコア層には、前記界磁コイル(9)の外周側で前記コア(7)よりも透磁率が低い環状の空隙(25)が存在し、
    前記所定の径方向位置と前記界磁コイル(9)の外周縁とは、径方向に関して略同一の位置にあることを特徴とする回転電機(1)。
  4. 請求項1ないし請求項3の内のいずれか1つに記載の回転電機(1)において、
    軸方向一端にある前記錐状のコア層では、前記爪状磁極(18)が存在する範囲の軸方向長さ(Lp)よりも、略円錐状に面取りされている範囲の軸方向長さ(Lg)の方が大きいことを特徴とする回転電機(1)。
  5. 請求項1ないし請求項4の内のいずれか1つに記載の回転電機(1)において、
    軸方向一端にある前記錐状のコア層では、前記第2コア部(17、17a、17b)の厚さ(Lt)よりも、略円錐状に面取りされている範囲の軸方向長さ(Lg)の方が大きいことを特徴とする回転電機(1)。
  6. 請求項1ないし請求項5の内のいずれか1つに記載の回転電機(1)において、
    前記第2コア部(17、17a、17b)は、円板状のディスク部(19)と、このディスク部(19)の外周縁から放射状に外周側に伸びる複数のスポーク部(20)とを有し、
    前記爪状磁極(18)は、前記スポーク部(20)の外周縁から軸方向に伸びており、
    前記錐状のコア層では、前記回転子(5)の回転軸心から前記スポーク部(20)の内周端までの距離であるディスク半径(Rd)が、前記回転子(5)の回転軸心から前記所定の径方向位置までの距離である屈曲開始半径(Rc)よりも大きいことを特徴とする回転電機(1)。
  7. 請求項1ないし請求項6の内のいずれか1つに記載の回転電機(1)において、
    前記第2コア部(17、17a、17b)は、円板状のディスク部(19)と、このディスク部(19)の外周縁から放射状に外周側に伸びる複数のスポーク部(20)とを有し、
    このスポーク部(20)は、外周端を含む外周部において軸方向に垂直な非傾斜部(26)を形成し、
    前記爪状磁極(18)は、この非傾斜部(26)の外周縁から軸方向に伸びており、
    前記積層体(3)には、軸方向に隣り合う2つの前記錐状のコア層の組合せが存在し、
    この組合せを構成する軸方向一端側の前記コア層(2)が有する2つの前記第2コア部(17a、17b)の内、軸方向他端側にある前記第2コア部(17b)の前記非傾斜部(26)と、軸方向他端側の前記コア層(2)が有する2つの前記第2コア部(17a、17b)の内、軸方向一端側にある前記第2コア部(17a)の前記非傾斜部(26)とが面接触していることを特徴とする回転電機(1)。
  8. 請求項1ないし請求項7の内のいずれか1つに記載の回転電機(1)において、
    前記第2コア部(17、17a、17b)は、円板状のディスク部(19)と、このディスク部(19)の外周縁から放射状に外周側に伸びる複数のスポーク部(20)とを有し、
    前記爪状磁極(18)は、前記スポーク部(20)の外周縁から軸方向に伸びており、
    前記錐状のコア層では、前記爪状磁極(18)の内周側に環状体(27)が配置され、
    この環状体(27)は、2つの前記第2コア部(17a、17b)に前記爪状磁極(18)の近傍で当接していることを特徴とする回転電機(1)。
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