JP2013207139A - 発光材料および有機el素子 - Google Patents

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Naomi Nagai
直美 永井
Masaki Shimizu
正毅 清水
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Abstract

【課題】新規の発光材料およびそれを用いた有機EL素子を提供する。
【解決手段】有機EL素子は、陽極および陰極からなる一対の電極間に発光層を有する。発光層を構成する発光材料は、ホスト化合物としてアントラセン誘導体を含有し、ドーパント化合物としてビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルを含有する。前記発光材料は、アントラセン誘導体100重量部に対して、ビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルを1重量部〜50重量部含有することが好ましい。
【選択図】図3

Description

本発明は、発光材料およびそれを用いた有機EL素子に関する。
フラットディスプレイパネルや照明装置に用いられる発光素子として、有機EL素子が注目されている。有機EL素子は、発光層を構成する材料を適宜選択することにより、種々の波長の光を発光することができる。具体的には、有機発光性化合物は、置換基導入等による誘導体化により励起ならびに発光波長を変化させることができる。そのため、発光性を示す新規な基本骨格構造(キー構造)の発見は多様な発展をもたらすことから、精力的に研究がおこなわれている。
緑色発光材料としては、例えば、キナクリドンが知られており、これまでに多数のキナクリドン誘導体が、緑色発光素子、あるいは混色法による白色発光素子材料として開発されている(例えば特許文献1)。しかしながら、キナクリドン誘導体は、溶液中では高い発光量子効率を示すものの、固体状態では消光を引き起こし、発光量子効率が低下する傾向がある。そのため、発光材料が固体状の薄膜として用いられる有機EL素子においては、キナクリドン誘導体のように固体状態で消光を生じる化合物は、他の化合物(ホスト材料)にドーパントとして添加して用いられている。
一方、非特許文献1では、ビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルが、固体状態でも高い発光量子効率を示す緑色発光材料であることが報告されている。非特許文献1では、2つのアミノ基および2つのエステル基が、それぞれフェニル環のオルト位に配置されることで、分子間のπ−πスタッキングによる分子凝集が生じ難く、固体消光が抑制されるとのメカニズムが提唱されている。
国際公開第2004/067674号
Twisting strategy applied to N,N-diorganoquinacridonesleads to organic chromophores exhibiting efficientsolid-state fluorescence., Tetrahedron Letters. 第52巻 32号 第4084-4089頁(2011年)
上記のように、ビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルを有機EL素子の発光材料として適用できることについての基本的な知見が得られている。しかし、これまで、ビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルを有機EL素子の発光材料として応用した例は存在せず、実用化に際してどのような課題が存在するかも明らかではなかった。
このような現状に鑑み、本発明者らは、ビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルの薄膜からなる発光層を備える有機EL素子を作製し、評価を行ったところ、緑色の発光が確認された。一方、当該素子は、緑色発光の色純度が十分といえるものではなかった。また、当該素子は、既に実用化されている有機EL素子に比して、発光効率が低いことが判明した。
このような新たな課題に鑑み、本発明は、ビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルを用いて、緑色発光の色純度の高い発光材料を得ること、および当該発光材料を利用した有機EL素子を提供することを目的とする。
本発明者らが検討の結果、ホスト材料として他の発光材料を用い、ビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルをドーパント化合物として含有する発光材料が、緑色発光の色純度が高く、かつ高発光効率を示すことを見出し、本発明に至った。
本発明は、ホスト化合物およびドーパント化合物を含有する発光材料に関する。本発明の発光材料は、前記ホスト化合物が、アントラセン誘導体であり、前記ドーパント化合物が、下記一般式(1)で表されるビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルである。
Figure 2013207139
上記式(1)中、R1〜Rは、それぞれ独立に、アルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を表す。RおよびRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、ハロゲン置換アルキル基、またはハロゲン置換アルコキシ基を表す。RおよびRは、置換基を有していてもよいアリール基であることが好ましい。RおよびRは、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましい。
本発明の発光材料は、アントラセン誘導体100重量部に対して、前記ビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルを1重量部〜50重量部含有することが好ましい。
さらに、本発明は、発光層として発光材料を含有する有機EL素子に関する。
本発明の発光材料を用いることで、高い発光効率を有し、かつ色純度の高い有機EL素子を提供することができる。
有機EL装置の層構成の一例を示す模式的断面図である。 図1の有機EL装置における有機EL素子の層構成の一例を示す模式的断面図である。 実施例および比較例の有機EL素子の電流密度10mA/cmにおける発光強度スペクトルである。 図3の各発光強度スペクトルを発光極大波長における強度で規格化したものである。 実施例および比較例の有機EL素子の輝度を電流密度に対してプロットしたグラフである。 実施例および比較例の有機EL素子の電流効率を電流密度に対してプロットしたグラフである。
本発明の発光材料は、ホスト化合物としてのアントラセン誘導体を含有し、ドーパント化合物として下記一般式(1)で表されるビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルを含有する。
Figure 2013207139
[ドーパント化合物]
ドーパント化合物としての上記一般式(1)で表されるビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルの置換基について説明する。
式(1)中、R1〜Rは、それぞれ独立に、アルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を表す。RおよびRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、ハロゲン置換アルキル基、またはハロゲン置換アルコキシ基を表す。
およびRは、同一の置換基であってもよく、異なるものであってもよい。化合物を容易に得られ易いとの観点からは、RとRとが同一の置換基であることが好ましい。置換基RおよびRを変更することにより、ビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルのπ共役系の電子密度が変化するため、発光波長を調整することができる。
およびRは、同一の置換基であってもよく、異なるものであってもよい。化合物を容易に得られ易いとの観点からは、RとRとが同一の置換基であることが好ましい。置換基RおよびRを変更することにより、ビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルの発光波長を調整することができる。RおよびRがアルキル基である場合は、アリール基である場合に比して、発光ピーク波長が短波長となる傾向がある。RおよびRは炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましい。
およびRは、同一の置換基であってもよく、異なるものであってもよい。化合物を容易に得られ易いとの観点からは、RとRとが同一の置換基であることが好ましい。また、フェニル環上に複数の置換基R,Rが存在する場合、各フェニル環上の複数の置換基は、同一であってもよく異なるものであってもよい。フェニル環上の置換基RおよびRとして、電子求引性の置換基を有することで、発光ピーク波長が短波長となる傾向がある。フェニル環上の置換基RおよびRとして、電子供与性(電子押出し性)の置換基を有することで、発光ピーク波長が長波長となる傾向がある。
上記のように、一般式(1)で表されるビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルは、置換基の種類によって、材料の発光特性を変化させることができる。
本発明の一実施形態において、ドーパント化合物であるビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルは、下記一般式(2)で表されるビス(ジアリールアミノ)テレフタル酸エステルである。
Figure 2013207139
上記一般式(2)において、R〜Rは、上記一般式(1)と同様である。RおよびRは、RおよびRと同様の置換基であり得る。なお、RおよびRとRおよびRとは、同一の置換基であってもよく、異なるものであってもよい。フェニル環上に複数の置換基R,Rが存在する場合、各フェニル環上の複数の置換基は、同一であってもよく異なるものであってもよい。
上記一般式(1)および(2)において、置換基である前記アルキル基としては、炭素数1〜30の直鎖状または分岐を有するアルキル基が挙げられる。好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4の、直鎖状または分岐を有する低級アルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、1−エチルプロピル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜30の直鎖状または分岐を有するアルコキシ基が挙げられる。好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4の、直鎖状または分岐を有する低級アルコキシ基が挙げられる。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、等が挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が挙げられる。
前記ハロゲン置換アルキル基としては、1〜7個、より好ましくは1〜3個のハロゲン原子で置換された前記例示のアルキル基を挙げることができる。具体的には、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、ジクロロフルオロメチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、3−クロロプロピル基、2−クロロプロピル基、3−ブロモプロピル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル基、4−クロロブチル基、4−ブロモブチル基、2−クロロブチル基、5,5,5−トリフルオロペンチル基、5−クロロペンチル基、6,6,6−トリフルオロヘキシル基、6−クロロヘキシル基、ペルフルオロヘキシル基、等が挙げられる。
前記ハロゲン置換アルコキシ基としては、1〜7個、より好ましくは1〜3個のハロゲン原子で置換された前記例示のアルコキシ基を挙げることができる。具体的には、前記例示のハロゲン置換アルキル基に酸素原子(−O−)が付加されたものが挙げられる。
前記アミノ基は、−NHの他、1個または2個の置換基を有するものであってもよい。アミノ基が水素結合を形成し得る場合、濃度消光を生じ、発光効率が低下する傾向がある。そのため、前記アミノ基は、2個の置換基を有するものが好ましい。アミノ基が2個の置換基を有する場合、これらは同一でもよく、異なっていてもよい。置換基としては、前記例示の低級アルキル基が好ましい。2置換アミノ基の具体的としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−n−ペンチルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N−エチル−N−n−プロピルアミノ基、N−メチル−N−n−ブチルアミノ基、N−メチル−N−n−ヘキシルアミノ基、等が挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等を挙げることができ、フェニル基が好ましく用いられる。アリール基は、フェニル環またはナフタレン環上に、1個以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン置換アルキル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
前記アリール基上の置換基としての前記アルキルカルボニル基としては、アルキル部分が前記例示のアルキル基であるアルキルカルボニル基を挙げることができる。具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基,ヘキサニル基、等が含まれる。
前記アリール基上の置換基としての前記アルコキシカルボニル基としては、アルコキシ部分が前記例示のアルコキシ基であるアルコキシカルボニル基が挙げられる。具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、イソヘキシルオキシカルボニル基、3−メチルペンチルオキシカルボニル基、等が含まれる。
アリール基上の置換基としての前記アミノカルボニル基としては、アミノ基部分が前記例示のアミノ基であるアミノカルボニル基を挙げることができる。具体的には、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、エチルメチルアミノカルボニル基、ベンジルメチルアミノカルボニル基、等が含まれる。
アリール基の具体例としては、フェニル、2−(または3−、または4−)メチルフェニル、2−(または3−、または4−)トリフルオロメチルフェニル、2−(または3−、または4−)ニトロフェニル、2−(または3−、または4−)メトキシフェニル、2−(または3−、または4−)クロロフェニル、ビフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル基、等が挙げられる。
(合成方法)
上記ビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルの合成方法は特に限定されず、各種公知の反応を組み合わせて、目的の化合物を得ることができる。例えば、上記一般式(1)において、RおよびRが置換基R13を有していてもよいフェニル基である場合、目的とするビス(ジアリールアミノ)テレフタル酸エステル(一般式(2)の化合物)は、例えば下記の合成スキームにより得ることができる。
Figure 2013207139
上記一般式(1)において、RおよびRがアルキル基R14である場合、目的とするビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルは、例えば下記の合成スキームにより得ることができる。
Figure 2013207139
RuPhos: 2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジイソプロポキシ−1,1’−ビフェニル
Figure 2013207139
[ホスト化合物]
ホスト化合物となるアントラセン誘導体としては、発光材料として使用可能なものであれば特に限定されず、各種公知の化合物が用いられる。例としては、9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(略称:ADN)、2‐tert−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(略称:TBADN)、2−メチル−9,10−ビス(ナフタレン−2−イル)アントラセン(略称:MADN)、2,2’−ジ(9,10−ジフェニル−アントラセン)(略称:TPBA)、4,4’−ジ(10−(ナフタレン−1−イル)アントラセン−9−イル)ビフェニル(略称:BUBH−3)、等が挙げられる。
本発明の発光材料における、アントラセン誘導体(ホスト化合物)に対するビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステル(ドーパント化合物)の添加割合は特に限定されない。ビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルの含有量は、好ましくは、蒸着比で、アントラセン誘導体100重量部に対して、1〜50重量部、より好ましくは2〜20重量部、さらに好ましくは2.5〜15重量部、特に好ましくは3〜10重量部である。
本発明の発光材料では、ビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルをドーパント化合物として用いることで、当該化合物を単独で用いた場合に比して、発光効率が向上するとともに、発光の色純度が高められる。後に実施例および比較例を用いて示すように、ビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルが単独で発光材料として用いられる場合は、500〜600nm付近の緑色の発光強度ピークに加えて、400〜500nmの短波長(青色)領域にも発光ピークが存在する。これに対して、ビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルをドーパント化合物として用いた場合は、400〜500nmの発光強度が減少し、500〜600nmの緑色の発光強度が増大するため、色純度および発光効率の高い緑色発光が得られる。
また、ビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルがドーパント化合物として用いられる場合は、駆動電流密度が高い場合でも、高電流発光効率が維持される。本発明の発光材料では、ホスト材料であるアントラセン誘導体からビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルへのエネルギー移動が十分に行われており、両者が機能的に相互作用しているといえる。
本発明の発光材料は、アントラセン誘導体(ホスト化合物)とビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステル(ドーパント化合物)以外の成分をさらに含有していてもよい。他の成分の例としては、電子輸送性を示す化合物が挙げられる。電子輸送性を示す化合物としては、電子輸送層15を構成する材料として後に例示するもの等が用いられる。
本発明の発光材料を製造する方法としては、基板等の支持体上に成膜し、薄膜として取得する方法が挙げられる。代表的には、アントラセン誘導体とビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルとを共蒸着する方法が用いられる。
[有機EL素子]
本発明の有機EL素子は、陽極4および陰極6からなる一対の電極の間に少なくとも発光層を備え、発光層が上記した本発明の発光材料を有するものである。図1は、有機EL装置の層構成の一例である。図1に示される有機EL装置は、透明基板3側から光が取り出される、「ボトムエミッション型」と称される構成である。有機EL装置1は、透明基板3上に、有機EL素子2を有し、有機EL素子は、封止部7によって封止されている。有機EL素子2は、透明電極層(陽極)4および裏面電極層(陰極)6からなる一対の電極間に、機能層5を有する。
機能層5は、複数の有機化合物薄膜が積層されたものである。図2は、機能層5の層構成の一例である。図2に示される有機EL素子2において、機能層5は、正孔注入層10、正孔輸送層11、発光層12、電子輸送層15、および電子注入層16を有する。すなわち、有機EL素子2において、発光層12は、透明電極層4と裏面電極層6との間に位置している。
(透明基板)
透明基板3は、透光性を有する材料からなるものであれば特に限定はない。図1に示す実施形態では、透明基板3側から光が取り出されるため(ボトムエミッション方式)、透明基板3は可視光域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。透明基板3としては、ガラス基板、フレキシブルな透明フィルム基板等を使用してもよい。なお、有機EL装置がトップエミッション方式を採用する場合、基板は不透明なものであってもよい。
(透明電極)
透明基板3上には、透明電極層(陽極)4が積層される。透明電極層4を構成する材料は特に限定されず、公知のものが使用できる。例えば、インジウム・スズ酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の材料からなるものが挙げられる。中でも、発光層12からの光の取出し効率や、電極のパターニングの容易性の観点からは、ITOあるいはIZOが好ましく用いられる。
透明電極層4には、必要に応じて、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ホウ素、ニオブ等の1種以上のドーパントがドーピングされていてもよい。透明電極層4の透過率は、可視光域における透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。透明電極層4は、例えば、スパッタ法やCVD法等のドライプロセスによって透明基板3上に形成される。透明電極層4の膜厚は、光の透過性や電気伝導度を考慮して適宜選択すればよいが、例えば80〜300nmであり、好ましくは100〜150nm、より好ましくは130〜150nmである。
(正孔注入層)
透明電極層4上には、正孔注入層10が積層されている。正孔注入層10を構成する材料は特に限定されず、有機EL素子の正孔注入層として用いられている公知の材料を採用することができる。例えば、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化ルテニウム、酸化マンガン等の金属酸化物が挙げられる。その他、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノ−キノジメタン(略称:F4−TCNQ)が挙げられる。さらに、三酸化モリブデンとN,N−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン(略称:NPB)との混合層を正孔注入層10として採用することができる。
正孔注入層10は、例えば、真空蒸着法によって形成される。正孔注入層10の膜厚は光の干渉効果やリーク電流の抑制効果等を考慮して適宜選択すればよいが、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上である。
(正孔輸送層)
正孔注入層10上には、正孔輸送層11が積層されている。正孔輸送層11を構成する材料は特に限定されず、有機EL素子の正孔輸送層として用いられている公知の材料を採用することができる。例えば、下記一般式(3)で表されるアリールアミン系化合物が挙げられる。
Figure 2013207139
上記式(3)中、Ar1、Ar2およびAr3は、それぞれ独立に置換基を有してよい芳香族炭化水素基を示す。
このようなアリールアミン系化合物の具体例としては、N,N,N',N'−テトラフェニル−4,4'−ジアミノフェニル、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジ(3−メチルフェニル)−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、N,N,N',N'−テトラ−p−トリル−4,4'−ジアミノビフェニル、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4'−ジアミノビフェニル、N,N,N',N’−テトラフェニル−4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、4−N,N'−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4'−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、N−フェニルカルバゾール、1,1−ビス(4−ジ−p−トリアミノフェニル)−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)−フェニルメタン、N,N,N−N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4'−[4(ジ−p−トリアミノ)スチリル]スチルベン、N,N,N',N'−テトラフェニル−4,4'−ジアミノ−ビフェニルN−フェニルスカルバゾール、4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]p−ターフェニル、4,4'−ビス[N−(3−アセナフテニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、1,5−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ナフタレン、4,4'−ビス[N−(9−アントリン)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(1−アントリル)−N−フェニル−アミノ]p−タ−フェニル、4,4'−ビス[N−(2−フェナントリル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(8−フルオランテニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(2−ピレニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(2−ペリレニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(1−コロネニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、2,6−ビス[ジ−(1−ナフチル)アミノ]ナフタレン、2,6−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ナフタレン、4,4'−ビス[N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ]タ−フェニル、4,4'−ビス{N−フェニル−N−[4−(1−ナフチル)フェニル]アミノ}ビフェニル、4,4'−ビス[N−フェニル−N−(2−ピレニル)−アミノ]ビフェニル、2,6−ビス[N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ]フルオレン、4,4'−ビス[N−フェニル−N−(2−ピレニル)−アミノ]ビフェニル、2,6−ビス[N,N−ジ−p−トリアミノ]ターフェニル、ビス(N−1−ナフチル)(N−2−ナフチル)アミン、等が挙げられる。
正孔輸送層11は、例えば、真空蒸着法によって形成される。
(発光層)
正孔輸送層11上には、発光層12が積層されている。発光層12は、上記した本発明の発光材料、すなわち、ホスト化合物としてのアントラセン誘導体にビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルがドープされた発光材料を主成分として構成されている。発光層12を成膜する方法としては、アントラセン誘導体とビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルとを同時に堆積させる方法が挙げられる。具体的には、真空蒸着法を用い、アントラセン誘導体とビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルとを共蒸着させる方法が挙げられる。この際、ホスト化合物とドーパント化合物の蒸着速度を制御することにより、所望の蒸着比(ドープ濃度)を実現することができる。真空蒸着法以外の方法としては、発光材料を含む溶液を塗布する方法(コート法、印刷法等)や転写法(レーザー転写、熱転写等)が挙げられる。
発光層12の膜厚は、電流効率等を考慮して適宜選択すればよい。発光層の膜厚は、例えば5nm〜400nmであり、好ましくは7nm〜350nm、より好ましくは10nm〜250nmである。なお、ビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルを単独のホスト化合物として用いた場合、上記の膜厚を有する良質なアモルファス膜を得ることが困難となる傾向がある。これに対して、ビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルをドーパント化合物として用いる本発明の構成によれば、上記膜厚でも発光層として適する良質のアモルファス膜が得られやすい。
(電子輸送層)
発光層12上には、電子輸送層15が積層されている。電子輸送層15を構成する材料は特に限定されず、有機EL素子の電子輸送層として用いられている公知の材料を採用することができる。例えば、トリス(8−ヒドロキシ−キノリナト)アルミニウム(略称:Alq)や1,3−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]ベンゼン(略称:Bpy−OXD)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(略称:Bphen)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンジントリイル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンズイミダゾール)(略称:TPBi)、2−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチフフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、ビス(2−メチルl−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)、3−(4−ビフェニル)−4−フェニル−5−tert−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、等が挙げられる。
電子輸送層15は、例えば、真空蒸着法によって形成される。電子輸送層15の膜厚は干渉効果や移動度等を考慮して適宜選択すればよいが、例えば10〜100nmであり、好ましくは20〜80nm、より好ましくは40〜60nmである。
(電子注入層)
電子輸送層15上には、電子注入層16が積層されている。電子注入層16を構成する材料は特に限定されず、有機EL素子の電子注入層として用いられている公知の材料を採用することができる。例えば、Li等のアルカリ金属;Mg、Ca等のアルカリ土類金属;前記金属を1種類以上含む合金;前記金属の酸化物、ハロゲン化物、および炭酸化物;並びにこれらの混合物が挙げられる。具体的には、8−ヒドロキシキノリノラト(リチウム)(Liq)、フッ化リチウム(LiF)等が例示される。
電子注入層16は、例えば、真空蒸着法によって形成される。電子注入層16の膜厚は移動度等を考慮して適宜選択すればよいが、例えば0.1〜5nmであり、好ましくは0.5〜3nm、より好ましくは1〜2nmである。
(裏面電極層)
電子注入層16上には、裏面電極層(陰極)6が積層されている。裏面電極層6に用いられる材料は、好ましくは仕事関数が小さい金属、またはこれらを含む合金、金属酸化物等が用いられる。例えば、アルカリ金属ではLi等、アルカリ土類金属ではMg,Ca等が例示される。また希土類金属等からなる金属単体、あるいはこれらの金属とAl,In,Ag等の合金等が用いられてもよい。また、特開2001−102175号公報等に開示された技術を使用して、陰極に接する有機層を、アルカリ土類金属イオンおよびアルカリ金属イオンからなる群から選択される少なくとも1種を含む有機金属錯体化合物を用いて構成する場合、該錯体化合物中に含有される金属イオンを真空中で金属に還元する金属、例えばAl,Zr,Ti,Si等もしくはこれらの金属を含有する合金を用いることもできる。
本実施形態の有機EL素子2は、上記のように、透明基板3上に形成された透明電極層4上に、真空蒸着法等の手法により、正孔注入層10、正孔輸送層11、発光層12、電子輸送層15、電子注入層16、および裏面電極層6を順次積層することにより製造することができる。このようにして製造された有機EL素子2は、封止部7によって封止され、有機EL装置1となる。
上記は、機能層5が5つの層からなる構成について説明したが、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。例えば、正孔注入層10、正孔輸送層11、電子輸送層15、電子注入層16の一部または全部が省略された構成でもよい。さらに、発光層12の前後に正孔阻止層や電子阻止層が設けられていてもよい。
本発明の有機EL素子は、有機EL照明や有機EL表示装置等に好適に用いられる。有機EL照明は、住宅等の一般照明のみならず、液晶表示装置のバックライト、デジタルスチルカメラ等の電子機器や内視鏡用の光源、画像処理等の医療分野、露光装置や通信設備等の産業機器等の特殊照明としての応用も可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[合成例]
(2,5−ジ(アリールアミノ)テレフタル酸ジメチルエステルの合成)
撹拌子および還流冷却器を備える1口丸底フラスコ(300mL)に、ジメチルシクロヘキサン−2,5−ジオン−1,4−ジカルボキシレート(5.6g,25mmol)、アニリン(75mmol)、エタノール(50mL)、および酢酸(25mL)を投入し、混合物を120℃で2時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、エタノール(50mL)を加えた。吸引濾過により沈殿物を回収し、エタノール(150mL)で洗浄し、減圧下で乾燥して、ジメチル2,5−ジ(アリールアミノ)−3,6−ジヒドロテレフタル酸ジメチルエステルと、2,5−ジ(アリールアミノ)テレフタル酸ジメチルの混合物を得た。
撹拌子および還流冷却器を備える1口丸底フラスコ(1L)に、上記の粗精混合物とクロロホルム(250mL)を投入し、フラスコ内にI(6.35g,25mmol)およびエタノール(100mL)を加えた。黒色溶液を80℃で6時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、減圧下で有機溶媒を除去した。吸引濾過により沈殿物を回収し、エタノール(100mL)で洗浄し、減圧下で乾燥して、2,5−ジ(アリールアミノ)テレフタル酸ジメチルを得た。得られた化合物はさらなる精製を経ることなく、次のステップに用いられた。
(2,5−ビス(ジフェニルアミノ)テレフタル酸ジメチルエステルの合成)
撹拌子および還流冷却器を備えるアルゴン雰囲気下2口丸底フラスコに、2,5−ジ(アリールアミノ)テレフタル酸ジメチル(5mmol)、ヨウ化アリール(50mmol)、銅粉(64mg,1mmol)、および炭酸カリウム(0.90g、6.5mmol)を投入し、混合物を180℃で48時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、混合物にジクロロメタン(50mL)を加えた。吸引濾過により沈殿物を除去し、減圧下で蒸発させて濾液を濃縮した。残渣をエタノール(50mL)で洗浄した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=2:1〜1:1)により精製し、下記式で表される2,5−ビス(ジフェニルアミノ)テレフタル酸ジメチルエステル(緑みかかった黄色固体、収率87%)を得た。
Figure 2013207139
[実施例1]
パターニングされたITO電極(膜厚150nm)を有するガラス基板上に、以下の手順で、2mm×2mmの発光領域を有するボトムエミッション型評価素子を作製した。
ITO電極(陽極)上に、三酸化モリブデン(MoO)とホール輸送材料(保土谷化学工業株式会社製 EL−301)を共蒸着し、正孔注入層(膜厚60nm)を形成した。正孔注入層の上に、EL−301を真空蒸着し、正孔輸送層(膜厚20nm)を形成した。次に、正孔輸送層の上に、アントラセン誘導体(SFC社製 SH03)と、上記合成例で得られたビス(ジフェニルアミノ)テレフタル酸ジメチルエステルとを共蒸着し、発光層(膜厚20nm)を形成した。ビス(ジフェニルアミノ)テレフタル酸ジメチルエステルのドープ濃度は、アントラセン誘導体100重量部に対して5重量部とした。
発光層の上に、電子輸送材料(メルク社製 ETM−033)を真空蒸着し、電子輸送層(40nm)を形成した。次に、電子輸送層の上に、LiFを真空蒸着し、電子注入層(膜厚10nm)を形成した。電子注入層上に、陰極として、アルミニウムを150nmの膜厚で成膜した。
陰極を形成後、不活性下のグローボックスに、蒸着成膜後の有機EL素子を移動し、ガラスキャップにUV硬化樹脂を塗布し、基板とキャップを貼り合わせた。UV照射後、貼り合わせた基板を大気圧下に取り出し、電流を通電して、電流−電圧−輝度(I−V−L)特性および発光強度スペクトルを測定した。
[実施例2]
上記実施例1の発光層の形成において、ビス(ジフェニルアミノ)テレフタル酸ジメチルエステルのドープ濃度を、アントラセン誘導体100重量部に対して7重量部とした。それ以外は実施例1と同様にして、評価素子を作製し、I−V−L特性および発光強度スペクトルを測定した。
[比較例1]
上記実施例1の発光層の形成において、ビス(ジフェニルアミノ)テレフタル酸ジメチルエステルのみを真空蒸着して発光層(膜厚5nm)を形成した。それ以外は実施例1と同様にして、評価素子を作製し、I−V−L特性および発光強度スペクトルを測定した。
[比較例2]
比較例2においては、発光層のドーパント材料として、国際公開第2010/047335号パンフレットに開示されているケイ素架橋インドール誘導体が用いられた。
上記実施例1で用いたのと同様のガラス基板のITO電極上に、三酸化モリブデン(MoO3)とN,N−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン(NPB)を共蒸着し、正孔注入層(膜厚60nm)を形成した。蒸着速度は、三酸化モリブデンが0.15nm/秒、NPBが1.35nm/秒とした。次に、正孔注入層に上にNPBを真空蒸着し、正孔輸送層(膜厚20nm)を形成した。
次に、正孔輸送層11の上に、アントラセン誘導体と下記式で表されるケイ素架橋インドール誘導体とを共蒸着し、発光層(膜厚20nm)を形成した。ケイ素架橋インドール誘導体のドープ濃度は、アントラセン誘導体100重量部に対して7重量部とした。
Figure 2013207139
発光層の上に、電子輸送材料(メルク社製 ETM−033)を真空蒸着し、電子輸送層(膜厚40nm)を形成した。次に、電子輸送層の上に8−ヒドロキシキノリノラト(リチウム)(Liq)を真空蒸着し、電子注入層(膜厚2.5nm)を形成した。電子注入層上に、陰極として、アルミニウムを150nmの膜厚で成膜した。
陰極を形成後、上記実施例1と同様に基板とキャップの貼り合わせを行い、I−V−L特性を測定した。
[評価結果]
(発光効率)
各実施例および比較例の発光素子を輝度2000cd/m2の光量とした場合の電流効率(cd/A)を表1に示す。
Figure 2013207139
表1から明らかなように、アントラセン誘導体をホスト化合物とし、ビス(ジフェニルアミノ)テレフタル酸ジメチルエステルをドーパントとして用いた実施例の発光材料は、ビス(ジフェニルアミノ)テレフタル酸ジメチルエステルを単独で用いた比較例1の発光材料に比して、約2.5倍の発光効率を有している。また、実施例1,2の有機EL素子は、ドーパント材料として他の発光材料が用いられた比較例2に対しても、高い発光効率を有していることがわかる。
(発光強度スペクトル変化および高電流密度における電流密度効率)
実施例1,2および比較例1の有機EL素子の電流密度10mA/cmにおける発光強度スペクトルを図3に示す。また、各発光強度スペクトルを、発光極大波長における強度(ピーク強度)で規格化したものを図4に示す。実施例1および比較例1の有機EL素子の輝度を電流密度に対してプロットしたグラフを図5に、電流効率を電流密度に対してプロットしたグラフを図6に、それぞれ示す。
図3,4によれば、ビス(ジフェニルアミノ)テレフタル酸ジメチルエステルをドーパントとして用いることで、410nm〜490nm付近の輝度が低下しており、緑色発光の色純度の高い発光材料となっていることがわかる。
図6によれば、ビス(ジフェニルアミノ)テレフタル酸ジメチルエステルを単独で用いた場合は、電流密度の上昇とともに電流効率が低下する傾向がみられた。一方、ビス(ジフェニルアミノ)テレフタル酸ジメチルエステルがドーパントとして用いられた実施例1では、電流密度が90mA/cmまで高められた場合でも、高電流密度効率が維持されていることがわかる。
以上のように、本発明の発光材料は、従来の発光材料に比して高発光効率であるとともに、発光色純度が高い。さらに、本発明の発光材料は、高電流密度(高電圧)で駆動した場合においても、電流密度効率の低下が少なく、有機EL素子への実用に適しているといえる。
2 有機EL素子
4 透明電極層(陽極)
5 機能層
6 裏面電極層(陰極)
12 発光層

Claims (5)

  1. ホスト化合物およびドーパント化合物を含有する発光材料であって、
    前記ホスト化合物が、アントラセン誘導体であり、
    前記ドーパント化合物が、下記一般式(1)で表されるビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルである発光材料:
    Figure 2013207139
    式中、R1〜Rは、それぞれ独立に、アルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を表す;RおよびRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、ハロゲン置換アルキル基、またはハロゲン置換アルコキシ基を表す。
  2. 前記アントラセン誘導体100重量部に対して、前記ビス(ジオルガノアミノ)テレフタル酸エステルを1重量部〜50重量部含有する、請求項1に記載の発光材料。
  3. 前記一般式(1)において、RおよびRが、置換基を有していてもよいアリール基である、請求項1または2に記載の発光材料。
  4. 前記一般式(1)において、RおよびRが、炭素数1〜6のアルキル基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光材料。
  5. 陽極および陰極からなる一対の電極の間に少なくとも発光層を備える有機EL素子であって、
    前記発光層が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光材料を有する有機EL素子。

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