JP2013207001A - 液体噴射ヘッドの製造方法、液体噴射装置の製造方法及び圧電素子の製造方法 - Google Patents

液体噴射ヘッドの製造方法、液体噴射装置の製造方法及び圧電素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】振動板の下地層や電極との密着性に優れた酸化ジルコニウム層を有する液体噴射ヘッドの製造方法、液体噴射装置の製造方法及び圧電素子の製造方法を提供する。
【解決手段】酸化ジルコニウム層55の上方に、圧電体層70及び圧電体層70に設けられた電極60,80を有する圧電素子300を備えた液体噴射ヘッドの製造方法であって、酸化ジルコニウム層55を形成する際に、前駆体溶液を塗布する工程と、塗布膜を結晶化させる工程と、を含む。
【選択図】図3

Description

本発明は、酸化ジルコニウム層を含む振動板を具備する圧電素子を有する液体噴射ヘッドの製造方法、液体噴射装置の製造方法及び圧電素子の製造方法に関する。
圧電デバイスに用いられる圧電素子としては、電気機械変換機能を呈する圧電材料、例えば、結晶化した誘電材料からなる強誘電体層を、2つの電極で挟んで構成されたものがあり、このような圧電素子は、振動板の一部として酸化ジルコニウム(ZrO)層を設けたものが知られている。
そして、スパッタリング法等により金属ジルコニウム層を形成し、金属ジルコニウム層を熱酸化することにより酸化ジルコニウム層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−294438号公報
しかしながら、このような構造のアクチュエーター装置では、酸化ジルコニウム層とその上に設けられた電極との密着力や、酸化ジルコニウム層とその下地である酸化シリコン膜との密着力が十分ではなく、信頼性の低下につながっている。
なお、このような問題は、インクジェット式記録ヘッド等の液体噴射ヘッドに搭載されるアクチュエーター装置だけでなく、他の装置に搭載されるアクチュエーター装置においても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、振動板の下地層や電極との密着性に優れた酸化ジルコニウム層を有する液体噴射ヘッドの製造方法、液体噴射装置の製造方法及び圧電素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、酸化ジルコニウム層の上方に、圧電体層及び該圧電体層に設けられた電極を有する圧電素子を備えた液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記酸化ジルコニウム層を形成する際に、前駆体溶液を塗布する工程と、塗布膜を結晶化させる工程と、を含むことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる本発明によれば、酸化ジルコニウム層の下地層との密着性が向上でき、耐久性の高い液体噴射ヘッドを実現できる。
ここで、前記前駆体溶液が、Zrを含む金属アルコキシド及びZrを含む金属カルボン酸塩からなる群から選択される少なくとも一種を含むのが好ましい。これによると、酸化ジルコニウム層をより確実に形成でき、密着性を向上させることができる。
また、本発明の他の態様は、前記液体噴射ヘッドの製造方法により液体噴射ヘッドを製造する工程を有することを特徴とする液体噴射装置の製造方法にある。
かかる本発明によれば、酸化ジルコニウム層の下地層との密着性が向上でき、耐久性の高い液体噴射装置を実現できる。
また、本発明の他の態様は、酸化ジルコニウム層の上方に、圧電体層及び該圧電体層に設けられた電極を具備する圧電素子の製造方法であって、前記酸化ジルコニウム層を形成する際に、前駆体溶液を塗布する工程と、塗布膜を結晶化させる工程と、を含むことを特徴とする圧電素子の製造方法にある。
かかる本発明によれば、酸化ジルコニウム層の下地層との密着性が向上でき、耐久性の高い圧電素子を実現できる。
また、本発明の他の態様は、前記前駆体溶液が、Zrを含む金属アルコキシド及びZrを含む金属カルボン酸塩からなる群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする圧電素子の製造方法にある。
かかる本発明によれば、酸化ジルコニウム層をより確実に形成でき、下地層との密着性を向上させることができる。
実施形態1に係る記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの要部平面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドのA−A′線断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るアクチュエーター装置を有する液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、インクジェット式記録ヘッドの要部平面図であり、図3は、図2のA−A′線断面図である。
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコン(SiO)からなる、厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。流路形成基板10には、隔壁11によって区画された複数の圧力発生室12がその幅方向(短手方向)である第1方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向、すなわち、第1方向とは直交する第2方向の外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。連通部13は、後述する保護基板のマニホールド部31と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールドの一部を構成する。
インク供給路14は、圧力発生室12の長手方向一端部側に連通し且つ圧力発生室12より小さい断面積を有する。例えば、本実施形態では、インク供給路14は、マニホールド100と各圧力発生室12との間の圧力発生室12側の流路を幅方向に絞ることで、圧力発生室12の幅より小さい幅で形成されている。なお、このように、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。さらに、各連通路15は、インク供給路14の圧力発生室12とは反対側に連通し、インク供給路14の幅方向(短手方向)より大きい断面積を有する。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼などからなる。
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、二酸化シリコンからなり厚さが例えば、約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、酸化ジルコニウム(ZrO2)からなり厚さが例えば、約0.1〜0.4μmの酸化ジルコニウム層55が積層形成されている。
本実施形態の酸化ジルコニウム層55は、後述するように液相法により形成されたものである。すなわち、Zrを含む金属アルコキシド又は金属カルボン酸塩を含む前駆体溶液を弾性膜50を有する流路形成基板10上に塗布し、その後、乾燥工程、脱脂工程、仮焼成工程及び本焼成工程を経て形成される。詳細な酸化ジルコニウム層55の形成工程は後述する。このような液相法により形成された酸化ジルコニウム層55は、第一電極膜60や下地である弾性膜50との密着力が高く、優れた耐久性を有する。よって、アクチュエーター装置を駆動した際の酸化ジルコニウム層55からの第一電極膜60や弾性膜50の剥れを防止できる。
また、酸化ジルコニウム層55上には、厚さが例えば約0.1〜0.2μmの第一電極膜60と、厚さが例えば約0.5〜5μmの圧電体層70と、厚さが例えば約10〜200nmの第二電極膜80とからなる圧電素子300が形成されている。
ここで、圧電素子300は、第一電極膜60、圧電体層70及び第二電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施形態では、第一電極膜60を圧電素子300の共通電極とし、第二電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部320が形成されていることになる。なお、本実施形態では、第一電極膜60、圧電体層70及び第二電極膜80が、図3に示すように、第二電極膜80側の幅が狭くなるようにパターニングされ、その側面は傾斜面となっている。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電素子と称するが、アクチュエーター装置とも称する場合がある。上述した例では、弾性膜50、酸化ジルコニウム層55及び第一電極膜60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、弾性膜50を設けずに、酸化ジルコニウム層55及び第一電極膜60が振動板として作用するようにしてもよい。
酸化ジルコニウム層55の上には第一電極膜60が設けられる。本実施形態の第一電極膜60としては、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、チタン(Ti)、タングステン(W)等の各種金属や、これらの合金等やLaNiO、SrRuO等の導電性複合酸化物と各種金属膜との積層電極構造が挙げられる。
また、本実施形態では圧電素子300を構成する圧電体層70の材料(圧電材料)としては、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料や、これにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等が用いられる。
また、圧電体層70は、非鉛系の圧電材料で形成してもよく、非鉛系の圧電材料としては、鉄酸ビスマス((BiFeO)、略「BFO」)、チタン酸バリウム((BaTiO)、略「BT」)、ニオブ酸カリウムナトリウム((K,Na)(NbO3)、略「KNN」)、ニオブ酸カリウムナトリウムリチウム((K,Na,Li)(NbO3))、ニオブ酸タンタル酸カリウムナトリウムリチウム((K,Na,Li)(Nb,Ta)O3)、チタン酸ビスマスカリウム((Bi1/21/2)TiO3、略「BKT」)、チタン酸ビスマスナトリウム((Bi1/2Na1/2)TiO3、略「BNT」)、マンガン酸ビスマス(BiMnO3、略「BM」)、ビスマス、カリウム、チタン及び鉄を含みペロブスカイト構造を有する複合酸化物(x[(Bi1−x)TiO3]−(1−x)[BiFeO3]、略「BKT−BF」)、ビスマス、鉄、バリウム及びチタンを含みペロブスカイト構造を有する複合酸化物((1−x)[BiFeO]−x[BaTiO]、略「BFO−BT」)や、これにマンガン、コバルト、クロムなどの金属を添加したもの((1−x)[Bi(Fe1−y)O]−x[BaTiO](Mは、Mn、CoまたはCr))等が用いられる。
また、第二電極膜80としては、Ir,Pt,タングステン(W),タンタル(Ta),モリブデン(Mo)等の各種金属の何れでもよく、また、これらの合金や、酸化イリジウム等の金属酸化物が挙げられる。
そして、圧電素子300の個別電極である各第二電極膜80には、インク供給路14側の端部近傍から引き出され、酸化ジルコニウム層55上にまで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
さらに、圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、圧電素子300に対向する領域に、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32を有する保護基板30が、接着剤35によって接合されている。なお、圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
また、保護基板30には、連通部13に対向する領域にマニホールド部31が設けられており、このマニホールド部31は、上述したように、流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100を構成している。また、保護基板30の圧電素子保持部32とマニホールド部31との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、この貫通孔33内に第一電極膜60の一部及びリード電極90の先端部が露出されている。
また、保護基板30上には、圧電素子300を駆動するための図示しない駆動回路が固定されており、駆動回路とリード電極90とはボンディングワイヤー等の導電性ワイヤーからなる接続配線を介して電気的に接続されている。
保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってマニホールド部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの第一電極膜60と第二電極膜80との間に電圧を印加し、酸化シリコン膜51からなる弾性膜50、酸化ジルコニウム層55、第一電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。本実施形態では、第一電極膜60や弾性膜50と酸化ジルコニウム層55との密着力が高いので、アクチュエーター装置を駆動してたわみ変形させても第一電極膜60や弾性膜50が酸化ジルコニウム層55から剥離しないため、耐久性に優れたものとなる。
ここで、インクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図4〜図8を参照して説明する。なお、図4〜図8は、圧力発生室の長手方向の断面図である。まず、図4(a)に示すように、シリコンウェハーである流路形成基板用ウェハー110を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、その表面に弾性膜50を構成する酸化シリコン膜51を形成する。
続いて、図4(b)、(c)に示すように、酸化シリコン膜51上に、液相法により酸化ジルコニウム層55を形成する。すなわち、図4(b)に示すように、酸化シリコン膜51上に酸化ジルコニウムの前駆体溶液を塗布して前駆体層56を形成し、前駆体層56を結晶化して酸化ジルコニウム層55とする(図4(c))。
このような液相法に用いる酸化ジルコニウムの前駆体溶液は、Zrを含む金属アルコキシド又はZrを含む金属カルボン酸塩を含有するものである。
ここで、金属アルコキシドとしては、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラヘキシルジルコニウム、テトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム等が挙げられるが、Zrを含むアルコキシドであれば特に限定されない。
また、金属カルボン酸塩としては、酢酸ジルコニウム、プロピオン酸ジルコニウム、プロピオン酸トリブトキシジルコニウム、テトラキス(ブタン酸)ジルコニウム、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム等が挙げられるが、Zrのカルボン酸塩であれば特に限定されない。
前駆体溶液は、金属アルコキシド又は金属カルボン酸塩を、カルボン酸を含む溶媒に溶解したものである。カルボン酸としては、特に限定されず、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸等が挙げられるが、酢酸を用いることが好ましい。
また、前駆体溶液は、塗布性を向上させて比較的厚い膜を容易に形成できるために、増粘剤を含有するのが好ましい。増粘剤としては、例えば、有機高分子化合物を用いることができ、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリアミク酸、アセチルセルロース等が挙げられるが、ポリエチレングリコールを用いることが好ましい。
以上説明した前駆体溶液は、酸化ジルコニウム層55がZrO層の場合のものであるが、酸化ジルコニウム層55は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)層でもよく、このイットリア安定化ジルコニア(YSZ)も含まれるものである。かかるイットリア安定化ジルコニア(YSZ)層を液相法で形成する場合の前駆体溶液は、Zrを含む金属アルコキシドまたは金属カルボン酸塩に、イットリウムイオンを含む溶液を添加したものである。ここで、イットリウムイオンを含む溶液としては、特に限定されないが、例えば、酢酸イットリウム溶液、プロピオン酸イットリウム溶液、塩化イットリウム溶液、硝酸イットリウム溶液等が挙げられる。
以下に酸化ジルコニウム層55の形成工程を示す。
まず、カルボン酸に、金属アルコキシド又は金属カルボン酸塩と増粘剤を加え、その後、水(HO)を加えて、約70℃で約2時間の加熱攪拌を行い、均一な透明な前駆体溶液を得る。この前駆体溶液をスピンコート法により、回転数1400rpmで、基板に塗布する(塗布工程)。次に、この基板に塗布された溶液を160℃〜200℃に加熱して、約5分間乾燥し、乾燥膜を得る(乾燥工程)。そして、この乾燥膜を375℃〜415℃に加熱して、約5分間保持することによって脱脂する(脱脂工程)。なお、ここで言う脱脂とは、乾燥膜に含まれる有機成分を、例えば、NO2、CO2、H2O等として離脱させることである。次に、乾燥膜を750℃〜850℃に加熱して約3分間保持することによって結晶化させ(仮焼成工程)、さらに、800℃〜950℃に加熱して約1時間保持することによって、酸化ジルコニウム層55を形成する(本焼成工程)。なお、乾燥工程、脱脂工程、仮焼成工程及び本焼成工程で用いられる加熱装置としては、例えば、赤外線ランプの照射により加熱するRTA(Rapid Thermal Annealing)装置やホットプレート等が挙げられる。
ここで、酸化ジルコニウム層55からの第一電極膜60や弾性膜50の剥れを防止するためには、第一電極膜60や弾性膜50と酸化ジルコニウム層55との密着力を向上させることが必要である。この密着力を判断するために、薄膜スクラッチ試験機を使用して、酸化ジルコニウム層のスクラッチ強度(mN)を測定する。スクラッチ強度(mN)が300mN以上であり且つクラックが発生しなければ密着力は高いと判断することとする。液体噴射ヘッドにおいては、個々の液滴を吐出する吐出口配列の解像度が300dpi、600dpiと年々高解像度化しており、従来十分だったと思われるスクラッチ強度(150mN)よりも遥かに大きな強度が必要とされるからである。前駆体溶液を用いて液相法により形成した酸化ジルコニウム層55は、スクラッチ強度(mN)が300mN以上と高く且つクラックも発生しないので、耐久性に優れたものである。
また、前駆体溶液の塗布により形成される酸化ジルコニウム層55の膜厚は厚いことが望ましい。工程回数を減少でき、生産性向上を実現できるからである。本実施形態では、前記金属アルコキシドとして、テトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム(IV)を用いれば、酸化ジルコニウム層55の膜厚をより厚くできることを知見した。
このように液相法による成膜は、スパッタリング法などの気相法と比較して環境負荷が小さく、大量生産に適しており、製造コストの低減を図ることができるという利点があり、さらに、一回の塗布で形成できる膜厚が大きいほどその効果は大きい。
酸化ジルコニウム層55の形成後、例えば、チタン(Ti)、白金(Pt)とイリジウム(Ir)とを酸化ジルコニウム層55上にスパッタリング法等により積層することにより、図5(a)に示すように、第一電極膜60を形成する。
次に、第一電極膜60上に、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70を形成する。ここで、本実施形態では、金属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成している。また、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal−Organic Decomposition)法等を用いてもよい。また、この他のスパッタリング法を用いてもよい。
圧電体層70の具体的な形成手順としては、まず、図5(b)に示すように、第一電極膜60上にPZT前駆体膜である圧電体前駆体膜71を形成する。すなわち、第一電極膜60が形成された流路形成基板10上に金属有機化合物(チタン酸ジルコン酸鉛)を含むゾル(溶液)をスピンコート法等で塗布して圧電体前駆体膜71を形成する(塗布工程)。次いで、この圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間乾燥させる(乾燥工程)。次に、乾燥した圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間保持することによって脱脂する(脱脂工程)。なお、ここで言う脱脂とは、圧電体前駆体膜71に含まれる有機成分を、例えば、NO2、CO2、H2O等として離脱させることである。
次に、図5(c)に示すように、圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間保持することによって結晶化させ、圧電体膜72を形成する(焼成工程)。なお、乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程で用いられる加熱装置としては、例えば、赤外線ランプの照射により加熱するRTA(Rapid Thermal Annealing)装置やホットプレート等が挙げられる。
次に、図6(a)に示すように、圧電体膜72上にレジスト400を形成し、所定形状にパターニングする。次に、図6(b)に示すように、レジスト400をマスクとして第一電極膜60及び1層目の圧電体膜72をそれらの側面が傾斜するように同時にパターニングする。
次いで、レジスト400を剥離した後、上述した塗布工程、乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程からなる圧電体膜形成工程を複数回繰り返して複数の圧電体膜72からなる圧電体層70を形成することで、図6(c)に示すように複数層の圧電体膜72からなる所定厚さの圧電体層70を形成する。例えば、ゾルの1回あたりの膜厚を非常に薄くして複数層の圧電体膜からなる圧電体層70全体の膜厚を約1〜3μm程度とする。本実施形態では、圧電体膜72を積層して設けたが、圧電体膜72の1層分の膜厚を厚くして1層のみで構成してもよい。このようにして得られた圧電体層70は、平滑であり突出した領域は存在しない。
圧電体層70を形成した後は、図7(a)に示すように、圧電体層70上の全面に亘ってイリジウム(Ir)からなる第二電極膜80をスパッタリング法等で形成し、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして、第一電極膜60と圧電体層70と第二電極膜80からなる圧電素子300を形成する。なお、圧電体層70と第二電極膜80とのパターニングでは、所定形状に形成したレジスト(図示なし)を介してドライエッチングすることにより一括して行うことができる。そして、このようなドライエッチングでは、レジストの側面を予め傾斜させておくと、圧電体層70及び第二電極膜80が、第二電極膜80側の幅が狭くなるようにパターニングされ、その側面が傾斜面となる。
次に、図7(b)に示すように、流路形成基板用ウェハー110の全面に亘って、例えば、金(Au)等からなるリード電極90を形成後、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を介して各圧電素子300毎にパターニングする。
次に、図7(c)に示すように、流路形成基板用ウェハー110の圧電素子300側に、シリコンウェハーであり複数の保護基板30となる保護基板用ウェハー130を接着剤35を介して接合する。なお、この保護基板用ウェハー130は、例えば、数百μm程度の厚さを有するため、保護基板用ウェハー130を接合することによって流路形成基板用ウェハー110の剛性は著しく向上することになる。
次に、図8(a)に示すように、流路形成基板用ウェハー110をある程度の厚さとなるまで薄くする。また、流路形成基板用ウェハー110上に、例えば、マスク膜52を新たに形成し、所定形状にパターニングする。
そして、図8(b)に示すように、流路形成基板用ウェハー110をマスク膜52を介してKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより、圧電素子300に対応する圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15等を形成する。
その後は、流路形成基板用ウェハー110及び保護基板用ウェハー130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハー110の保護基板用ウェハー130とは反対側の面の酸化シリコン膜51を除去した後にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハー130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハー110等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとする。
以下、実施例及び比較例に基づいてさらに詳細に説明する。
(実施例1)
上記実施形態に基づき、流路形成基板用ウェハー110を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、厚さ1μmの酸化シリコン膜51を形成し、この酸化シリコン膜51上に、液相法により酸化ジルコニウム層55を形成した。酸化ジルコニウム層55の形成は以下の手順で行った。まず、酢酸475.60g(純度:>99.7%、関東化学株式会社製)に、酸化ジルコニウムの原料である酢酸ジルコニウム(純度:85−90%、シグマアルドリッチ社製)(分子量327.4)を1.0モルと増粘剤であるポリエチレングリコール(平均分子量600)317.06gを加え、その後、水317.06gを加えて、70℃で約2時間の加熱攪拌を行い、均一で透明な前駆体溶液を得た。その後、この前駆体溶液をスピンコート法により回転数1400rpmで基板上に塗布した(塗布工程)。
次に、この基板に塗布された溶液を160℃に加熱して、5分間乾燥し、乾燥膜を得た(乾燥工程)。そして、この乾燥膜を415℃に加熱して5分間保持することによって脱脂した(脱脂工程)。次に、乾燥膜を800℃に加熱して3分間保持することによって結晶化させ(仮焼成工程)、さらに、850℃に加熱して60分間保持することによって、酸化ジルコニウム層55を形成した(本焼成工程)。なお、乾燥工程、脱脂工程、仮焼成工程で用いられる加熱装置として、赤外線ランプの照射により加熱するRTA(Rapid Thermal Annealing)装置を使用した。本焼成工程では、電気炉を用いた。
なお、前駆体溶液中に含まれる金属成分を酸化ジルコニウムとして質量濃度を算出すると、7.35質量%である。
(実施例2)
実施例1で用いた酢酸ジルコニウムを1.1モルに増やした以外の条件は実施例1と同様に実施した。なお、前駆体溶液中に含まれる金属成分を酸化ジルコニウムとして質量濃度を算出すると、7.82質量%である。
(実施例3)
実施例1で用いた酢酸ジルコニウムを1.2モルに増やした以外の条件は実施例1と同様に実施した。なお、前駆体溶液中に含まれる金属成分を酸化ジルコニウムとして質量濃度を算出すると、8.26質量%である。
(実施例4)
実施例1で用いた酸化ジルコニウムの原料をテトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウムとし、モル数を1.0モル(487.66g)とした以外の条件は実施例1と同様に実施した。なお、前駆体溶液中に含まれる金属成分を酸化ジルコニウムとして質量濃度を算出すると、7.71質量%である。
(実施例5)
実施例1で用いた酸化ジルコニウムの原料をテトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウムとし、モル数を1.5モルとした以外の条件は実施例1と同様に実施した。なお、前駆体溶液中に含まれる金属成分を酸化ジルコニウムとして質量濃度を算出すると、10.04質量%である。
(実施例6)
実施例1で用いた酸化ジルコニウムの原料をテトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウムとし、モル数を2.0モルとした以外の条件は実施例1と同様に実施した。なお、前駆体溶液中に含まれる金属成分を酸化ジルコニウムとして質量濃度を算出すると、11.82質量%である。
(実施例7)
実施例1で用いた酢酸ジルコニウムに酢酸イットリウムを加えたものを前駆体溶液として用いた。前駆体溶液の調製は以下の手順で行った。酢酸475.60g(純度:>99.7%、関東化学株式会社製)に、酸化ジルコニウムの原料である酢酸ジルコニウム521.26g(純度:85−90%、シグマアルドリッチ社製)と増粘剤であるポリエチレングリコール(平均分子量600)317.06gを加え、その後、水317.06gを加え、さらに酢酸イットリウム24.1gを加えた後、70℃で約2時間の加熱攪拌を行い、均一で透明な前駆体溶液を得た。なお、前駆体溶液中に含まれる金属成分をイットリウム安定化ジルコニアとして質量濃度を算出すると、7.30質量%である。
(実施例8)
実施例1で用いた酸化ジルコニウムの原料である酢酸ジルコニウムを1.5モルに増やした以外の条件は実施例1と同様に実施した。なお、前駆体溶液中に含まれる金属成分を酸化ジルコニウムとして質量濃度を算出すると、9.43質量%である。
(実施例9)
実施例1で用いた酸化ジルコニウムの原料である酢酸ジルコニウムを2.0モルに増やした以外の条件は実施例1と同様に実施した。なお、前駆体溶液中に含まれる金属成分を酸化ジルコニウムとして質量濃度を算出すると、10.99質量%である。
(試験例)
各実施例1〜9について、酸化ジルコニウム層55の膜厚とスクラッチ強度を測定した。
膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて算出した。
スクラッチ強度は、テーブルの上に固定した試料にダイヤモンド圧子を密着させ、徐々に荷重を加えていき、同時にテーブルを一定の速度で移動させることで膜の密着性を評価した。
酸化ジルコニウムの原料を酢酸ジルコニウムとし、モル数を1.0モル(実施例1)、1.1モル(実施例2)、1.2モル(実施例3)、1.5モル(実施例8)、2.0モル(実施例9)として形成した場合の酸化ジルコニウム層55の膜厚及びスクラッチ強度(mN)の測定結果を表1に示す。なお、本焼成後の各酸化ジルコニウム層についてクラック観察を行い、クラックが発生しなかったものだけ、スクラッチ強度を測定した。クラックが発生せず且つスクラッチ強度が300mN以上であれば、密着力は高いとして、判定を○とした。
この結果、酢酸ジルコニウムのモル数を1.0モル、1.1モル、1.2モルとすると、クラックは発生せず且つスクラッチ強度は300mN以上であったが、酢酸ジルコニウムのモル数を1.5モル、2.0モルと増やすと、クラックが発生した。しかしながら、酢酸ジルコニウムのモル数を1.5モル、2.0モルと増やした場合においても、乾燥、焼成条件等を変更すれば、クラックの発生を防止でき且つスクラッチ強度の高い膜を成膜できると思われる。
しかしながら、上述した成膜条件では、酢酸ジルコニウムのモル数を1.0モル、1.1モル、1.2モルとして、酸化ジルコニウム層55を形成すれば、密着性に優れた酸化ジルコニウム層55を形成することができることがわかった。このような酸化ジルコニウム層55を振動板に有する圧電素子、この圧電素子を具備する液体噴射ヘッド及びこの液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置は、酸化ジルコニウム層55からの弾性膜50の剥れを防止でき、耐久性に優れたものとなる。
酸化ジルコニウムの原料をテトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム(実施例4、5、6)として形成した場合の酸化ジルコニウム層55の膜厚及びスクラッチ強度(mN)の測定結果を表2に示す。
この結果、原料をテトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウムとした場合の方が酢酸ジルコニウムとした場合よりも、酸化ジルコニウム層55の膜厚を厚くできることがわかった。特に、原料を1.0モルとした場合においては、酸化ジルコニウム層55の膜厚を42%も厚くできることがわかった。
ここで、テトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウムのモル数を1.0モル、1.5モルとすると、クラックは発生せず且つスクラッチ強度は300mN以上であったが、モル数を2.0モルと増やすと、クラックが発生した。
よって、上述した成膜条件では、テトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウムのモル数を1.0モル、1.5モルとして、酸化ジルコニウム層55を形成すれば、膜厚を厚くできるだけでなく、密着性に優れた酸化ジルコニウム層55を形成できることがわかった。このような酸化ジルコニウム層55を振動板に有する圧電素子、この圧電素子を具備する液体噴射ヘッド及びこの液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置は、酸化ジルコニウム層55からの弾性膜50の剥れを防止でき、耐久性に優れたものとなる。
酸化ジルコニウム層55をイットリウム安定化ジルコニアとしたもの(実施例7)を用いて形成した場合の酸化ジルコニウム層55の膜厚およびスクラッチ強度(mN)の測定結果を表3に示す。
この結果、酢酸イットリウムを添加して形成したイットリウム安定化ジルコニアからなる酸化ジルコニウム層55は、酢酸イットリウムを添加しないで形成した酸化ジルコニウム層55に比べて、スクラッチ強度がさらに増加することがわかった。
よって、酸化ジルコニウム層55をイットリウム安定化ジルコニアとすれば、密着性がさらに優れたものとすることができる。このような酸化ジルコニウム層55を振動板に有する圧電素子およびこの圧電素子を具備する液体噴射ヘッド及びこの液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置は、酸化ジルコニウム層55からの弾性膜50の剥れを防止でき、より遥かに耐久性に優れたものとなる。
Figure 2013207001
Figure 2013207001
Figure 2013207001
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的構成は上述した実施形態1に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、基板上に酸化シリコン層と酸化ジルコニウム層を順に設けたが、金属酸化物からなる基板を用い、この基板上に酸化ジルコニウム層を直接設けてもよい。金属酸化物の金属としては、Mg等が挙げられる。このような構成にすると、第一電極膜や基板と酸化ジルコニウム層との密着性に優れたアクチュエーター装置となる。なお、酸化ジルコニウム層が設けられる一方面側が金属酸化物からなる基板であればよく、例えば、基板本体の酸化ジルコニウム層が設けられる側に金属酸化膜が設けられている基板を用いてもよい。
また、上述した実施形態1では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。なお、本発明は、液体噴射ヘッド(インクジェット式記録ヘッド等)に搭載されるアクチュエーター装置だけでなく、あらゆる装置に搭載されるアクチュエーター装置に適用できることは言うまでもない。
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 マニホールド部、 32 圧電素子保持部、 40 コンプライアンス基板、 60 第一電極膜、 70 圧電体層、 80 第二電極膜、 90 リード電極、 100 マニホールド、 300 圧電素子、 320 圧電体能動部

Claims (5)

  1. 酸化ジルコニウム層の上方に、圧電体層及び該圧電体層に設けられた電極を有する圧電素子を備えた液体噴射ヘッドの製造方法であって、
    前記酸化ジルコニウム層を形成する際に、前駆体溶液を塗布する工程と、塗布膜を結晶化させる工程と、を含むことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  2. 前記前駆体溶液が、Zrを含む金属アルコキシド及びZrを含む金属カルボン酸塩からなる群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の製造方法により液体噴射ヘッドを製造する工程を有することを特徴とする液体噴射装置の製造方法。
  4. 酸化ジルコニウム層の上方に、圧電体層及び該圧電体層に設けられた電極を有する圧電素子の製造方法であって、
    前記酸化ジルコニウム層を形成する際に、前駆体溶液を塗布する工程と、塗布膜を結晶化させる工程と、を含むことを特徴とする圧電素子の製造方法。
  5. 前記前駆体溶液が、Zrを含む金属アルコキシド及びZrを含む金属カルボン酸塩からなる群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項4に記載の圧電素子の製造方法。
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